司馬遼太郎著「コロニーを行く」(三)

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1前スレの1
たとえば、悪を憎むという善き心の働きでさえ、平和をこわす。
反面、悪を憎む心がなくては人の世は一瞬も保てない。崇高な二律背反といっていい(風塵抄)
司馬遼太郎著「コロニーを行く」http://ebi.2ch.net/shar/kako/1003/10037/1003725924.html
司馬遼太郎著「コロニーを行く」(二)http://ebi.2ch.net/shar/kako/1003/10037/1003725924.html

脱落してしまったので立てました。
2通常の名無しさんの3倍:03/02/02 00:23 ID:???
復活おめでとう
3:03/02/02 00:25 ID:???
ありがとうございます。随時書き込んでいく予定ですので、よろしく。
「パプティマス様は、なににお適しになります?」
「覇者だな。それも全人類のだ」
「えっ」
サラはどぎもをぬかれた。つまり、一介の大尉の身分でありながら自分には
人類全体を導く指導者になれる器量がある、とこの士官は正気でおもっているらしい。
「人間の才能は、多様だ」
と、シロッコはいった。
「小吏にむいている、という男もあれば総司令としてしか才腕を振るえない、という男もある」
「どちらが、本当に幸せなのでしょうか?」
「小吏の才だな」
シロッコはいった。コロニー公社などの机上の片すみでこつこつと飽きもせずに小さな事務を
とってゆく、そういう小器量の男にうまれついた者は幸せであるという。自分の一生に疑いも
もたず、冒険もせず、危険の淵に近づきもせず、ただ己の分をまもり、妻子を愛し、それなりで
生涯をすごす。
「パプティマス様は?」
「お見かけのとおりだ」
どうみても、コロニー公社の職員という感じではない。
「天才肌の大人物?」
「そうとしか、おもえぬ」
と照れもせず、にがい顔でいった。この生まれつきは不幸である、と
シロッコはいう。小人物程度の職分なら世に無数にあるが、しかし大人物
の職分はめったにない。平時ならば無用の長物として世に出るまえに終わるのが
常である。
「生まれつき参謀本部のエリート・コースをすすんでいるか、ジオンの指導層に関連でも
しておればまた別だが、私のように今だバスク程度の配下でとどまっているというのは、
ちょっと滑稽だな」
「滑稽ですか」
サラは真剣に考えている。なるほど天才と呼べるにふさわしい器量をもつシロッコが
立身の機会もないまま、ドゴス・ギア一隻の艦長程度でいるという現実は、悲愴というよりも
むしろ滑稽にちかい。
「さしあたって、なにをなさるのです?」
と、サラはきいた。そのへんのことはシロッコに対して好意はおろか興味すら抱いているサラの
本心の疑問というべきものである。
「謀反かな」
シロッコの言葉にサラは衝撃をうけたが、つぎの一言で「それはせぬ」といった。
「いま一つの道はジャミトフ総帥へ武勲を立ててみせ、堂々と立身する道だ」
しかしこれではらちがあかぬ、とシロッコはいった。
「となれば、ひたすらに好機が来るのを待ち、それまでに実力を蓄えておかねばならぬ」
「好機来たれば?」
「うむ、そのときは・・・・みずから全権力を掌握するつもりだ」
「来なければ?」
「それはまずないと思っているよ。もちろん、事敗れ死んでゆく覚悟などとうにできている。
この覚悟がないやつこそ、引力に魂を縛られた人々だと覚えておいてくれ」
セシリー・フェアチャイルドという少女は、シオ・フェアチャイルドとは血のつながりがない。
宇宙世紀0105年、ロナ家で出生した。実の父はカロッゾ・ロナである。この少女ほど複雑な
家庭環境を抱えた少女もまれであろう。

この男は、天寿を全うするなどはまったく考えていない。ジオン独立戦争の渦中、
幾多の同胞たちが命を散らしたが自分もことを成した後、それに殉じようという精神を
有していた。ところがア・バオア・クーでデラーズに命を預け、今日、少佐の階級で
デラーズ・フリートに参加している。
かれはすぐにでも連邦に対して一矢を報いたいという気持ちを強くもっていながら、それを
実行することができない現状に苛立ちを抱いていた。
アナベル・ガトーがたえず配下のカリウスにいっていたのは、
「私は無念にも散っていった同胞に報いることすらできずにいる。本当に私は
正しき道を進んでいるのか」
という自問の言葉であった。
「デラーズ閣下のもと、星の屑を完遂することができれば、私ははじめて正々堂々と
同胞たちに顔向けができるのだ」
と言葉がつづく。ガトーはどうやら尋常の尺度とはかけ離れた寸法の男らしく、安穏と生涯を
終えるということを考えたこともなかった。
ナガイ「政治的人間としては、ロナ家一門というのはたいしたものですよ」
シバ「たいしたものだし、一種の無私があるでしょう。かれらの公というのは、スペース
ノイド、コロニー公社の利害調整ということでしょうが、そういうことについてのロナ家一門
の責任感は明快に出てきますね。ロナ家の家名を買って以来、どうスペースノイドの自立・自活
を成すための策動をするか、やはりその影響力は連邦の高官なんぞ比べるべくもない」

ナガイ「女の歴史でいいますとね、ナディアをものすごい自分勝手な女だ
というんだけれども、庶民意識に憧れをもった女性が、古い家制度に縛られる
こと自体苦痛だし、それこそオールドタイプだと感じたはずですよ。貴族主義の謳い文句は
人類の救済なのに、自分はまったく救われてないじゃないか。むしろお父様や旦那は
旧世紀の貞淑な妻を演じさせることに疑いはおろか、改めようとすらしない。
そういう彼女を反面教師として、セシリーの人格が形成されていくということはあるんだけど、
やっぱり悪女というレッテルをナディアに貼るのはよくない」
シバ「ナディアが身勝手というよりも、彼女をここまで育て、自由にさせるだけの裁量をマイッツァーが
認めることができなかったところが、男の、父親の限界というところかもしれない。
ナディアの意識は庶民意識そのものですよ。一人だけで自立したい、キャリア・ウーマンに憧れていた節がある
ようですし。しかもその庶民という名にふさわしい小男に出会い、新たな生活を営めるとしてロナ家を
飛び出す。でも重要な点は、夫のカロッゾはナディア以後、妻を迎えなかったこと。
そんなカロッゾのある意味「苦労な一面」を汲み取れない義父の構図と強制。二人ともちょっと
哀れだな」
ロナ家に戻ったセシリーには、護衛者としてザビーネ・シャル中尉がつけられている。
(なにか、もの足りない)
と、ザビーネについて思うのは、その薄さについてであった。あるいは、贅沢というものかも
しれない。
ザビーネは、コスモ貴族主義に対する柔軟な理解があり、ブラック・バンガード隊長としてMSの
進退にも充分に華があるようだ。24歳という若さで立身したということで内部からの
反感も多いらしいが、その判断力と容姿、そして篤実ではない「野心」を抱いている側面もうかがえ、
クロスボーン・バンガードの士官のなかでも、これほどの俊英はめったにいない。
が、それだけのことだ。器用でセシリーが話す話題にもかるがると反応する。なにやら人間ではなく、
楽器のような感じがするのである。バイオリンの弦を切ってしまえばその楽器は効力を失うように、
ザビーネという男には、精神につまった、充分に満たされるという実感が感じられないのである。
(それにくらべて、シーブックは。−)
と、思ってしまう。もはや会うことさえままならぬシーブックと、ロナ家の立派な人物に仕立ててゆこうとする
ザビーネとをくらべるばかもない。
さらには、一方は軍人であり、一方は就職すらしておらず、給料ももらえる立場でもなく、自分とは同じ学校で
学生であったにすぎない男ではないか。
それに、ザビーネはよく鳴る楽器だが、シーブックは自分が鳴らそうとしても鳴りはせぬ。
シーブックに物がつまっているといっても、中身は重いばかりの鉛ではあるまいか。
11通常の名無しさんの3倍:03/02/02 03:19 ID:???
うまいなあ あげ
12通常の名無しさんの3倍:03/02/02 13:46 ID:???
これは良いものだ。
(あの人は所詮、機械科の一学生に過ぎないのよ)
とセシリーは自分に言いきかせようとしている。たしかに、ながめていると、
セシリーは、自分は錯覚しているのではないかとときに思う。シーブックが持っている
ひたむきさ、シーブックのあの友を思いやる優しさ、さらには物事に対して悲観する前に
なにかしらの行動を自ら起こさねばどうにもならないという自分の法則についての忠実さ
と機械科学生としての技術。すべてが、シーブックの人柄を構成している要素なのである。
(ただ、それだけじゃない)
と思うのだが、なぜかベラ・ロナと成って以来、かれのことを思い出してしまう。
目の光が、ザビーネとちがう。
たれとも、ドワイトとも違っている。あの青い瞳孔からのぞいている光に、正体があるのか。
あるとすれば、それは何か、とつい考えこんでしまう。
ひょっとすると、ニュータイプ同士特有のカンというものかもしれない。シーブックはよもや
ニュータイプで、かれのみが有している何かがあるのか。
(いらだってしまう。・・・)
シーブックのことを思うと、である。
14通常の名無しさんの3倍:03/02/02 14:54 ID:???
復活オメ!がんがれ!
テムは、なにもいわなかった。共に宇宙には行かないとカマリアが言ったにもかかわらず、
強制するまでもなくただそうかと頷いただけであった。
(このひとはやはり、仕事にしか関心がないんだわ)
と、あらためて痛感した。
テム・レイはたががはずれたように、近所や技術部に受けのいいおだやかな人柄にもどっている。
これは、常であった。自分に関心のある対象に対しては本気になるが、どうでもいいことなど論外
なのだ。論外、それ以上のものかもしれない。
(だから、あなたは駄目なのよ)
と、カマリアは思っている。じつのところ、近所の人たちに「真面目でおだやかな人だねえ」と評判
されているこの夫に、カマリアは、失望しか感じていなかった。
一年戦争では、ジオン側は戦時条約たる南極条約を遵守し、もって国際的
信用の下地をつくるという目的もあって、敵の捕虜をあつかう上で戦時条約の
優等生であったことは、よく知られている。
私の手もとに、一年戦争のとき公国軍・ギレン・ザビ総帥の親衛隊長であった大佐
エギーユ・デラーズの各軍団長へ送った通達文の草稿がある。
「我軍ハ仁義ヲ以(もっ)テ動キ、サイド独立ノ普遍的原理二依(よっ)テ戦フモノナリ。
故二我軍ノ敵トスル処ハ連邦政府ノ軍隊二シテ、其(ソノ)一個人二アラズ。サレバ敵軍二
当リテハ素ヨリ勇壮ナリト雖モ、其降人、捕虜、傷者ノ如キ、我二敵抗セザルモノ二対シテハ
之ヲ賞撫(しょうぶ)スベキ事、先ニ総帥ギレン・ザビ閣下ヨリ訓示セラレタルガ如シ」
戦うについても、
「サイド独立を準拠として戦う」
などというあたりが、宇宙世紀の新興サイド国家の軍人らしい昂揚であり、これに対して
差別と強権的エリート思想をその軍隊に植え付け、アースノイド絶対ということを謳い文句に
していたティターンズなどの特権集団の指導者たちにくらべると、まるで違った人種であった
かのような観さえある。
17:03/02/02 15:55 ID:???
これからバイトですので、一旦切り上げます。
また夜にでも書きますので。
18 ◆CKMASKiFoA :03/02/02 15:56 ID:QCYoPOpQ
てst
19通常の名無しさんの3倍:03/02/02 18:27 ID:VRiU6zQw
>>1は三国戦国板の住人
20通常の名無しさんの3倍:03/02/02 19:30 ID:???
復活記念
21:03/02/02 22:12 ID:???
>>19
正確には政治・時代劇・日本史板の住人です(シャア板もですが)
三戦板や世界史板もチェックはしますが。
22通常の名無しさんの3倍:03/02/02 22:33 ID:???
今度こそは保守します。
種のせいですぐDAT落ち
するので油断がならねー。
「地球そのものを」
と、フォークをおき、両手をもって虚空に大きな円をえがいた。その円が地球
ということなのであろう。
ーこの地球を守るという作業は、人にゆずれない。
とも、ジャミトフはいった。ひとがそれをやろうとすれば押しのけても叩き殺して
も自分がやりたい、と言い、万事痛快なことの好きなこのバスク・オムをよろこばせ、
「閣下、やりましょう」といわせた。
「大いにやるべきです。私には難しいことはわかりませぬが、叩っ殺しのほうならいくらでも
お手伝いしましょう」
とまでバスクは言った。ちなみにバスク・オムは、ジャミトフ・ハイマンがその生涯のなかで
もった数すくない同志というべき存在であろう。これはこのジャブローにおける同じ連邦軍属と
いう関係のうえで知り合い、手を組んだ。
ージャミトフとバスク・オムは・・・
と、この二人の策謀によって失脚に追い込まれたジョン・コーウェンはこう語っている。
「その仲のよさはにかわとうるしのように食っついて離れぬというほどのものであった。
性格の違いということもあるが、ともに共通の目的と敵をもっているが故に、互いに主従
関係が良好であったのだろう」
24:03/02/02 22:54 ID:???
>>22
前スレは惜しかったですね。よろしくお願いします。
今度は1000行けるといいですね。
25通常の名無しさんの3倍:03/02/02 22:56 ID:C9yXh1gu
おい、どっかのHPでまとめられるのなら、まとめれ。と思ってんだけど、それくらいいいレス続いてますか?
26通常の名無しさんの3倍:03/02/02 22:57 ID:???
激しく前スレ読みたくなってしまったのだが>>1のリンクが両方同じだったりするのはご愛嬌
このダカール演説によってエゥーゴは勢力を盛り返し、ティターンズ・アクシズ
双方よりも優位に立った。悦ばなかったのはこれら指導層らであった。
この事態に悲観するよりもむしろクワトロを怖れた。
(この身勝手な男をほろぼし、殺すか強引に傘下にひき加えなければネオジオンの将来は
あぶない)
と考えたのは、アクシズのハマーン・カーンであり、それほどにかつて自分が恋焦がれた
男を敵視し、このいわば愛憎の感情を地球圏制覇を推進してゆく最後まですてなかった。
28:03/02/02 23:10 ID:???
スマソ。とりあえず、
コロニーを行く(二)http://comic.2ch.net/test/read.cgi/shar/1036247225/l50
>>25
多少前スレの分まとめてありますが、うPしましょうか?
この年、11月16日、クワトロ・バジーナはダカールにある連邦議会にカラバ
の護衛部隊とベルトーチカらと乗り込み、議会の中断宣言に強引に割り込んだ。
連邦議員たちは、みななにごとであろうとおもい、私語の飛び交うなか、中央をみつめた。
(中略)
クワトロはサングラスを外し、自らシャアの名を明かした。
雄弁が、開始された。
「私はこの場を借りてジオンの遺志を継ぐ者として語りたい」
「現在、ティターンズが地球連邦軍をわが物にしている事実はザビ家の
やり方よりも悪質であると気づく」
「人が宇宙(そら)に出たのは地球が人間の重みで沈むのを避けるためだった。
そして宇宙に出た人類が、その生活圏を拡大したことによって、人類そのものの力を
身に付けたと誤解をして、ザビ家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。それは
不幸だ。もうその歴史を繰り返してはならない」
「宇宙に出ることによって人間はその能力を広げることができるとなぜ信じられないのか。
我々は地球を人の手で汚すなと言っている。ティターンズは地球に魂を引かれた人々の集まりで、
地球を食いつぶそうとしているのだ」
「人は長い間この地球というゆりかごの中で戯れてきた。しかし時はすでに
人類を地球から巣立たせる時が来たのだ。その後に至ってなぜ人類同士が戦い、
地球を汚染しなければならないのだ!地球を自然のゆりかごの中に戻し、人間は
宇宙で自立しなければ、地球は水の惑星ではなくなるのだ!」
「このダカールさえ砂漠に飲み込まれようとしている。それほどに地球は疲れきっている」
カラバのスタッフであるベルトーチカ・イルマは一言、議場を見渡してこう言った。
「議員たちが彼の演説に引き込まれていくわ」と。
「今、誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。ならば自分の欲求を満たすためだけに
地球に寄生虫のようにへばりついて良いわけがない」
「現にティターンズはこのような時に戦闘を仕掛けてくる。見るがいい、この暴虐な行為を!」
クワトロの背後のスクリーンに、ティターンズのMSが起こした爆発と硝煙のシーンが映し出された。
皆、驚きの声をあげた。
「彼等はかつての地球連邦軍から膨れ上がり、逆らうものは全て「悪」と称しているが、それこそ
悪であり、人類を衰退させていると言い切れる!」
ここから語尾が丁寧な口調に変わる。余談になるがこの演説プロデュースははベルトーチカ・イルマの手に
よるものであるらしいが、クワトロ自身、演説の対象としていたのはあくまで「テレビを見ている視聴者」
すなわち国民であり、連邦議員などはダシの程度であった。語調を使い分けることにより、
自分が本当に訴えたいのはあなた方国民そのものなのであるというイメージを強調している
というわけである。この機転と機敏な対応こそ、クワトロの才能というところであろう。
「テレビを御覧の方々はお分かりになるはずだ。これがティターンズのやり方なのです。
我々が議会を武力で制圧したのも悪いのです。しかしティターンズはこの議会に自分たちの
味方となる議員がいるにも関わらず破壊しようとしている!」
みな、微動だにしない。
意外の名演説に茫然としたというよりも、一種の催眠状態におちいっていた。

その御明弁に酔えるなり。

と、クワトロの配下であるキグナン軍曹は、その日記に書きしるしている。 
32通常の名無しさんの3倍:03/02/03 13:06 ID:???
ご苦労様です。
33通常の名無しさんの3倍:03/02/03 22:20 ID:GAPa9phX
age
「私は戦後の地球が見てみたいのだ」
と、シロッコはマウアーとジェリドにいった。しかし今はエゥーゴとの抗争が本格化し、
いつ戦争が終結するか見通しすらたたない。
「だがこれだけはいえる。戦後の地球を支配するのは、女性(おんな)だということだ」
「女性ですか」
と、ジェリドは鼻じろんだ。女が支配者になるはずなどないではないか。
「それが、可能性として考えられるのさ」
シロッコがいった。かれのいうところでは、新たなる生命を産む女性ほど貴重な人間もいない。
古来、女性という存在は男性を働かせ、奮い立たせ、勇気づけ、およそ自分の精神・肉体では到底
出来もしないことを男性に委託し、自らは家庭や子育てに集中した。いま、女性兵士(ウェーブ)も
珍しくなく、強化人間も女性が多いという現状はこれからの人類社会のさきがけをいっているといえる、
というのである。
そういいつつ、その場を立ち去った。これはある種のジェリドに対する皮肉であろうとマウアーは思った。
ジェリド自身は気がついていないが、あのシロッコ大尉は自分とジェリドを見ただけでそこまで洞察しぬいている。
侮れない男だとマウアーはおもった。
(おれほどの男を)
という自負心があった。このパプティマス・シロッコというほどの男を
連邦政府はなぜ用いないのであろうか。泰平の世ならばよし、国家経済が豊か
ならばよし、しかしながらいまはそれとは逆の、なにもかも行きづまって地球圏その
ものが崩壊の寸前にあるというのに、この危機を回避し、未来へ飛躍させる人材をなぜ
用いようとしないのであろう。
敵ーリガ・ミリティア側は有利に作戦を展開、アレキサンドリア級旧式重巡
ガウンランドを先頭に、リーンホースがそれに続くかたちでカイラスギリー艦隊を圧倒していた。
クロノクル大尉は出撃してまもなくコンティオの胸部ビームを放ちリーンホースを中破、激戦が開始された。
だが戦力は先のマイクロウェーブガンによる「腹痛攻撃」の効果によりかなりのMSや艦艇がやられており、
戦況はクロノクル大尉が参戦したとはいえ不利であることに変わりはない。
この状況をあらためてぶち破ったのは、老巧艦ガウンランドの思いもよらぬリガ・ミリティア側の使い方であった。
バリアを解除した老巧艦ガウンランドにカイラスギリーの部隊が殺到、まんまと作戦にはまったとゴメスらのリガ・ミリティア側は
予定通りガウンランドを自爆させたのである。老巧艦をダミーに用いたのだ。
轟音とともにカイラスギリー艦隊のほとんどが消え去り、クロノクルが気づいたときには
後方のリーンホースは戦艦スクィードに対し白兵戦を仕掛けるべく接触しようとしていた。



このとき、クロノクルはタシロ・ヴァゴ大佐の安否を気遣い、コンティオで戦場を疾駆
していた。同時になぜかカテジナ・ルースもなにかウッソに伝えたいことがあるためであろうか、
一人艦を飛び出している。タシロを発見したクロノクルは離脱を図ろうとしたが、シュラク隊に
追いつかれ小規模ながら有線式攻撃を行なっている。

このようにしてカイラスギリーはリガ・ミリティア側の手に落ちることになり、
クロノクルは戦場で拾い、血液鑑定の結果判明した「姫様」とともにザンスカール本国へ帰還することとなった。
腹痛と出撃遅れと、そして有線式攻撃を使いながら思うように戦果を挙げられなかったという
不幸が重なるなかで、唯一に近い幸福は、この「姫様」シャクティ・カリンの存在を発見できた
ことであろう。
(ディアナの行動はムーンレイスに危険を及ぼす)
とアグリッパはおもった。アグリッパ・メンテナーは、かれ自身それほどの器量の
持ち主ではなかったが、将来の観測にかけては比類のない目をもっていた。
アグリッパからみればこの地球降下作戦による弊害は、ディアナが市民軍たるディアナ・
カウンターをギム・ギンガナムが統率するムーンレイス正規軍をさしおいて使用した
ことという点と、地球人が逆にムーンレイスと接触することにより、2500年近くも
戦争行為を経験していないギンガナムが戦端をひらきうる大義を見出し、大規模な侵略作戦を
地球に対して展開してゆきかねないということであった。
コールドスリープシステムの管理者にして、絶え間なき戦争が繰り返された「黒歴史」に精通
している穏健派のアグリッパとしては地球人との接触は自ずから戦争をし始めることと同列であり、
その戦争による弊害はいかに悲惨で、残酷なものであるかを熟知しているだけに、ことにギンガナムをはじめとした
ムーンレイスの闘争本能の開花を極端なまでに恐れ、だからこそディアナ排斥を謀ったといえるのである。
ギム・ギンガナムという指揮官は代々世襲制によるムーンレイス正規軍の
指揮官の血筋であり、本人も極めて勇敢で、トレードマークとして日本刀を
携行している。代々の正規軍指揮官のなかでも特に勇猛果敢で、のちにターンXを
掘り出して自らモノにしてからはまさに鬼人のごとき猛勇を顕示した(中略)
異常なほどの野心家で激情家であるということは、死に狂いに狂わねばならぬ戦場に
あってはうってつけの性分といえた。
41:03/02/04 01:23 ID:???
>>39/40
どちらも「故郷忘じがたく候」に収録されてます。
>>39
P168
>>40
P149・150
アグリッパ〜細川幽斎 ギンガナム〜細川忠興
42:03/02/04 02:01 ID:???
文修文庫刊
「月光蝶」
月の女王ディアナ・ソレルはディアナ・カウンターによる地球帰還作戦
により地球へ降り立った。そのディアナをこよなく尊敬する少年、ロラン・セアック。ディアナの
意志はあくまで平和的にであったが、不幸にもお互いの誤解によりムーンレイスとミリシャは
戦端をひらいてしまう。
地球人との接触により明かされる衝撃の黒歴史。それに伴うギンガナムのターンXとロランの
∀による月光蝶発動は、人類と文明、地球に何をもたらすのか。
女王ディアナを中心とした表題作の他、ティターンズ崩壊後、ニューディサイズと名乗り、
戦闘行動を華々しく展開した元小惑星ペズン基地駐留の教導団を主役とした、
「おお連邦」他、何度自爆しても生き返る、謎のテロリスト少年トロワ・バートンを主人公とした、
「奇妙なテロリスト」を収録。
やがておこなわれるであろうルウム大会戦については、全人類が注目していた。
ジオン公国としては、国際世論や講和への外交政略やらを考えるとき、ジオン独立戦争
におけるこの宇宙世紀はじまって以来の主力艦隊決戦に勝ち、先の一週間戦争で頓挫した
ブリティッシュ作戦を是が非でも成功させねばならない。
もしブリティッシュ作戦が失敗し、会戦にも敗北することがあれば、ジオン公国の独立自治権
達成の手段は失われ、戦争勃発前以上の搾取体制に逆戻りすることは目に見えている。
この作戦の開始にあたって、公国軍総司令部は宇宙軍最高司令官であるドズル・ザビ中将に対し、
「ブリティッシュ作戦完遂をしてジオン公国を勝利にみちびくよう指導すべし」
との訓電を発した。
44通常の名無しさんの3倍:03/02/04 20:51 ID:???
がんがってください。
おもしろいっす
45:03/02/05 00:43 ID:???
大幅に作り変えてますが、矛盾があったらご指摘お願いします。
46通常の名無しさんの3倍:03/02/05 01:01 ID:???
ハマーンは、シャアにひそかに好意をもっていた。ジオン公国のなかでも権門の
家の出である彼女は、他の同年代の少女たちよりも、男性という存在を知らずにいるが、
そのこともあったのであろう、シャアのような型の男性を、新鮮なひととして捉えた。
はじめは、
(どのようなお人だろう)
と、とまどう思いがした。
アクシズ行きのグワジンのなかで父に呼ばれ、シャアにひきあわされた。
「これは、娘のハマーンじゃ。フラナガン機関で育成させたところ、ニュータイプと
しての素養があるという。大佐、よろしくご教授のほどを頼む」
とシャアに言ってから、
「ハマーン、ごあいさつをせよ」
と、父のマハラジャは微笑をむけた。ハマーンは型どおりのあいさつをしてから、父に、
「あの、父上さま。アズナブルさまにものをたずねてもよろしゅうございましょうか」
マハラジャは機嫌よく許した。彼女は大きな眼でシャアをみた。
「あの、アズナブルさま」
「なんです」
とは、いわない。癖で小首をかしげたままである。
「ハマーンは正直者でございますから、疑問におもったことをうかがいとうございます。
よろしゅうございましょうか」
「は?」
とシャアはあわてたが、、すぐこっくりとうなずいた。
「先の戦争でお召しになられていたマスク、なぜ珍しいマスクをお召しになられていたのですか」
「えっ、マスクですか」
シャアはサングラスを外し、ひたいのキズを指差しながら、
「これです。これを隠したかった」
「でも、カッコイイのですもの、べつに隠す必要はどこにもございませんわ」
「ははぁ、これは困った。いかん」
シャアはあらためてサングラスをかけて、
「じつは、意外にも私はシャイなタイプでして」
シャイと聞いて、二人は笑った。まったく意外なことだったからだ。
はたからみて、まったくそうはみえない。



48:03/02/05 01:28 ID:???
46も竜馬がゆく(P95)からです。タイトル入れ忘れた。
49通常の名無しさんの3倍:03/02/05 19:44 ID:???
創作活動大変だと思いますが頑張ってください。
「シ、シャアが、シャア・アズナブルが!」
と、通信者はその報をラサに送った。ネオジオン総帥シャア・アズナブルがにわかに
立ち、小規模の艦隊とともにスウィート・ウォーターを占拠した、という変事である。
ただしシャア直率の部隊は、連邦艦隊主力「88艦隊」の半数にも満たない少数だという。
ラサの参謀本部の印象では、遠い宇宙の小暴動に過ぎない。
「あの程度の戦力で一体なにができるか」
と、連邦政府の高官たちはおもった(中略)
おどろくことはない。大政治家というものは軽々と驚かぬことをもってたしなみ
とすべきものなのである。危機感もなかった。事実、このささいな叛乱をもって、
政府滅亡を想像するのは、よほど想像力のたくましい、たとえば狂人でしかあるまい。
連邦議員たちは、みな閑々としていた。
ところがバウアーは別の手を打っていた。万が一のことを考えての、
連邦政府中枢機構そのものを移転するという強行手段をとったのである(中略)
この移転作業は、ロンド・ベル隊を組織して以来のかれの年来の構想であった。
ジョン・バウアーはアデナウアーらをはじめとした他の連邦議員たちとはまるで
ちがう欲望をもっている。一時(いっとき)の不安定な政治生命よりも、永続的な
政治生命を欲した。
かつてのグリプス動乱におけるジャミトフの恫喝を駆使した権力確立、それ以前の
武官コーウェンのガンダム計画を基本とした影響力拡大などを見、その軍事組織
掌握のうまみを利用することで、自己の権勢拡大をいくらでも図ることができるすべを
先例として知っていた男だけに、この男はロンド・ベル隊をかつてのティターンズの如く暴走させぬよう
最小限の、コントロールしうる戦力にとどめ、その純然たる影響力をもって、今後の連邦政府の
中枢たらんとした。この点、愛人と絶対民主主義を信じているだけのアデナウアーのような俗物
には理解できぬ男であったろう。

議員たちのほとんどは理解できなかった。かれらはラサから離れることを嫌った。
だが、バウアーの工作と、アデナウアーの意外な助力を得て、連邦政府中枢機構
は移転を決行する手はずになった。移転は多端ななかでおこなわれた。
しかも移転の号令は突如発せられた。
ーすぐひきうつれ。
という厳命である。だが、富裕階級のものは比較的移転も楽にできようが、
そうでないものは移転といわれようが簡単にはいかない。事実、最後まで
移転するということができずに、フィフス・ルナの業火に焼かれる人も少なく
なかったのである。
ー無茶苦茶だ。
と、人々は連邦政府の無謀さを恨んだが、バウアーは意にも介しない。かれからすれば、
政府機構中枢そのものが失われれば、連邦政府そのものが破滅する。かれの実感としては
遠いシャアの叛乱による巨大な「効果」によってもたらされる結末のほうが、他人でしかない
民衆の意見や悲鳴よりも切実であった。
ーが。
インタビュー番組内でシャアが事実上、連邦政府に対し宣戦を布告したという
報が入ったときは、さすがに連邦政府高官や議員たちも、事態の容易ではない
ことがうすうすわかった(中略)
が、それでもなお政府滅亡の危機を感じたわけではなかった。かれらの想像力では、
せいいっぱいのところ「交換条件としてかれの要求を多少は呑んでやればシャアは納得し、
平和は保たれるのではないか」という程度であり、事実この後、シャアのネオジオンに対して
フィフス・ルナとその推力につかうべき核を譲渡してしまっているのである。
さしあたっての現実問題は、叛乱が拡大してはスペースノイドからの租税が入らない。
それのみを、いまはおそれた。
好色であるという。
そういう評判がアデナウアー・パラヤにはある。がこの男の好色は、多数の
連邦議員たち以上にそのことを芸術化しようとしていた。むしろちかごろでは
連邦議員たちに品下がる人物が多く、その点からいえばアデナウアーの好色趣味の
ほうがはるかに貴族議員といっていいほどの存在かもしれない。
その証拠に、かねてアデナウアーに媚を売っているある議員が、ある日、アデナウアー
の屋敷にやってきて、
「参謀次官、これを、こう」
と、三方の上に意味ありげな書物をのせ、アデナウアーに進呈しようとした。
「それはなんだ」
「ご存じないか。それ、世にいう64種の技の本でござりまするよ」
「64種?」
64種の技と少女の口説き方の載った性典、カーマスートラのことである(中略)
「ほう」
最初アデナウアーは、64種の技の意味がわからず、なにげなく手にとり、披(ひら)いた。
褐色の男女の痴態が彩色で描かれている。
アデナウアーはそうと知ると即座に目をつぶり、手だけで書物を操り、ついに見なかった。
同時に自分の色好みを穢されたように思った。アデナウアーが言うに、−いろを好む者は、その
行為そのものがひどく動物的なものだけに、できるだけ清らかに装飾しなければならない。
すずやかに華麗に劇的に構成さるべきものであり、かような即物的なもので目をよろこばせるのは
愚物野人である。

「お持ち帰りあれ」
議員はおどろき、不首尾のまま辞去した。そのあとジョン・バウアーの
ところに行った。バウアーだけは、
「これはよいものを持ってきた」
と無邪気によろこび、一齣々々食い入るようにながめ、大いに気に入った
あげく、この議員に対しつぎの選挙には支援してやるといった。この点、一大派閥の
親玉たるバウアーだけは、大政治家としての度量を、濃厚に有しているといっていい。
56通常の名無しさんの3倍:03/02/06 10:14 ID:gXoKya2x
age
後世という、事が冷却化してしまった時点でみてなお、ティターンズの態度には、
弁護すべきところがまったくない。ティターンズはスペースノイドを意識的に死へ
追いつめていた。エゥーゴを窮鼠にした。死力をふるって猫を噛むしか仕方がなかったであろう。
MSの出撃の際には、シャアはノーマルスーツは着用しない。
普段の公国軍佐官の軍服のままである。
「なぜノーマルスーツをお召しにならないのです」
と、副官のドレンが聞いたが、シャアは笑っているだけで答えなかった。
かれにいわせれば、
「士気に関わる。それに、私はMSに乗っても、必ずかえってくる主義だ」
ということになるであろう。
59誤算(歳月P679・680):03/02/06 13:16 ID:???
ジャミトフ・ハイマンは、ブレックスとは対立しつつも、そのブレックス本人
に対する深刻な解釈はもっていない。ジャミトフは本来そうであった。
つねに対人感覚が深刻でなく、策士としての知恵を有しながらスペースノイドを
政治的存在として理解しえたことがなかった。その理由のもっとも重要なひとつは、
コロニー落としをはじめとした様々なジオンの暴挙を、スペースノイドそのものの
暴挙と捉えていた点に求められるかもしれない。
60誤算(歳月P679・680):03/02/06 13:19 ID:???
ジャミトフはかつて、
ー馬鹿ほどきらいなものはない。
と言い、りくつの通らぬ人間をみると、これは人ではないと思ってしまう、
と告白しているが、ジャミトフはそうであろう。
61通常の名無しさんの3倍:03/02/06 13:22 ID:???
コロニーをニューヤークに落とすのじゃ!
要するにジャミトフ・ハイマンは、シロッコという身内の「敵」になりえる
男に対する想像力を欠いていた。シロッコの血判と言動から己に対して忠誠心あり
と見、シロッコというニュータイプの本質を見ず、さらにジャミトフのおもうところ、
シロッコもまたジャミトフのように敵はハマーン・カーンとエゥーゴであると思い、
半ばはそう信じていた。
が、シロッコの思案は、ジャミトフの想像外のところにある。
かれにとって、必要なのはティターンズをいかに上手く掌握するかという「政略」
にあり、是が非でもジャミトフを政治的に「ハマーン・カーンが謀殺した」というかたちを
とらせ、ジャミトフが無残にも残党どもによって「殺される」ことによってティターンズ将兵
全てにハマーンへの憎しみの心をかきたたせ、さらにはその勢いをもって「ジャミトフ閣下の
弔い合戦である」と称し、自らティターンズの指導者となって残党を殲滅、同時に
エゥーゴも殲滅する。
それにはジャミトフ・ハイマン連邦軍大将・前統合参謀本部長に対する暗殺はできるだけ悲惨
であることがのぞましく、そういう好機がくれば、自ずとグワダン内において手を下すつもりで
あった。
この意外さと災厄と屈辱に、ジャミトフはどう行動すべきかもわからず、
なにはともわれ、事態を把握したいと思い、とっさに立ち上がろうとした。
その目の前に、意外な青年士官が立っていた。ジャミトフの不幸は、この
期におよんで腰をぬかしてしまったことであった。このため、のちに多くの
スペースノイドから「差別主義者の無様なことよ」と、のちにいわれた。
ジャミトフは腰をぬかしながら、言葉を叫んだ。
「ハ、ハマーンは、どうしたのだ」
つづけて、シロッコの名前を叫んだ。
ジャミトフ・ハイマンという宇宙世紀史上稀代の大政治屋にとってその半ちぎれ
の片ことが、この会談場所におけるかれの最後の発言になった。
「ジャミトフ、醜態、笑止なり」
すまないという言葉とともに、シロッコは引き金をしぼった(中略)
この日、1月25日、シロッコはサラ・ザビアロフのボリノーク・サマーンと
ともに、陰謀の舞台であった戦艦グワダンからジ・オに搭乗し離脱した。
ジャミトフ暗殺の真相を知らないでいるサラは、この木星帰りのニュータイプ
とともにジュピトリスへと帰還した。
65通常の名無しさんの3倍:03/02/06 14:21 ID:Vz0ol6NM
すばらしいねこのスレ。1さんが全部書いてるの?
がんがれっ!
66:03/02/06 14:35 ID:???
>>65
今のところそのようです。ありがとうございます。
タイトルを考えるのが難しいなと思うこの頃です。前スレも見てくださいね。

パイロットメインの話がなかなか書けない。考えよう。
イノウエ「いまはちょこちょこと出世の階段をのぼって退官後の手当てばかり
考えている官僚ばかり。高級官僚は、同期の者が局長になるとほとんど辞めて
しまうそうですね。そこでその人たちの就職先をいつも考えていなければならない。
そのために天下り先の公社に関連した法人や団体がすこぶる多いそうです。そういう
安心な装置をつくるのも大事かもしれませんが、そればかりになって、大ナタを振るう
人がいなくなった。政府の力が衰えている、ひいてはアースノイド・スペースノイド
問わず衰えている、という気さえしてくるんです」
シバ「いい悪いは別として、天才崇拝という意識が衰えましたね。一人のニュータイプ
よりも複数のオールドタイプで作られたシステムのなかで生きていこうという社会です。
典型が連邦政府組織だと思いますが、まさにニュータイプそのものすら理解してないし、
革新的なことを邪魔なものだと感じている。
グリプス戦役開戦時にカミーユ・ビダンが不当にもガンダムマークUを強奪して、
ブライトをして「アムロの再来」が現れてきたとき、エゥーゴのメンバーは、主にブレックス
ですがカミーユを大切にしました。もちろん不幸にもニュータイプというレッテルをはられて
いることや、多くを感じすぎる繊細さがかれを破滅させる要因にもなるわけですが。
よく考えれば、アムロもジュドーも、ウッソ・エヴィンもクルーからは大切にされてましたね。
そういう少年の可能性を引き出すことができない。そんな引き出されない少年が大人になり、
官僚社会に入れば、それは力を発揮することなんかできないでしょう。そういうところが、いまの
コロニー社会にはないんですね」
シバ「もう、だいたいこれで終わりなんでしょう。アニメーションのいわゆる
発展は終わりで、あとはよき停滞、美しき停滞をできるかどうか。これを民族の
能力をかけてやらなければいけないんです」
イノウエ「美しき停滞・・・・、それはいい言葉ですね」
シバ「でも、どうもその美しき停滞にはいけそうもない。先日、富野由悠季さんが
おっしゃっていました。アニメーションをつくるときの、若い声優の声がだめなんだ
そうです。たとえば「ブレンパワード」では、登場人物の一人である18歳の女の子
がオルファンでいわばオウム信者のような生活を強制させられている主人公の心をときほぐす
キーになる存在なんですが、その子の声を現役の女性声優から選ばなかったそうです。
理由は声優の声は、僕にはサインでしか聞こえてこない。リアルに聞こえないということだそうで。
渡辺久美子くらいだ、ナマ身で娼婦の声に聞こえないのは、だそうですな」
イノウエ「なんだかかなしい話ですね」

69通常の名無しさんの3倍:03/02/06 17:13 ID:Vz0ol6NM
あんまこの板こねーからお気に入りに登録しときまつ。
70通常の名無しさんの3倍:03/02/06 23:52 ID:???
>>1さん、頑張ってください。
71通常の名無しさんの3倍:03/02/07 16:39 ID:???
保守しときます
721:03/02/07 18:17 ID:???
>>69/70/71
書き込みが不定期なのに・・・
その一行レスだけでやる気でてきますよ。保守よろしく。
ナカト少佐はルセットを射殺したあと、ふたたびコウに銃口を向け説明しはじめた。
が、そのとき、シナプスがナカト少佐の背後に銃をつきつけた。周りにはモンシア
をはじめとしたアルビオンクルーたちが構えている。
シナプスはナカトに対し、敵はあくまでデラーズ・フリートである、兵を退け
と要求した(中略)
ナカトは当然なことながら意図的に命令に逆らおうとする彼らに怒りをおぼえ、
平常心をうしなっていた。シナプスを殺したい、という衝動を、ナカトはおさえかねた
にちがいない。
ついに、
「あなたがたアルビオン隊は、このラビアンローズと三号機の護衛という命を受けているのです。
まず第一にウラキ中尉(注・戦時)にも三号機を運用してよいとゆう命令はどこからも出ていない。
同時にシナプス閣下、もしあなた自身の「独断」でコロニー阻止に向かう、同時に三号機を借用する
となれば、閣下ご自身にご責任が及びますぞ。それでもよろしいのですかな」
と、ワンマン軍人的な正論をはいた。
シナプスは、ナカトのあくまでも現状打開よりも規律を重視するという姿勢に苛立ちをおぼえた。
「ナカト少佐、もはやこの三号機しか落下するコロニーを阻止できる機体はないのです。コロニー
が阻止できなければ地球は計り知れない惨禍を蒙ることになる。このまま我々がここにいては、
敵を利するだけでこちらにはなんの一利もない。それがなぜわからないのか」
と、冷静な口調で子供に言い聞かせるようにしていった。
「私は任務を忠実に遂行せよとの命令を受けているだけです。連邦軍とて愚かではない。対策は上に
お任せしておればよいのですよ」
(こいつはなにもわかっとらん)
と、シナプスはいよいよ思った。
シャアが、アクシズにて政治上の補佐をするのを、もっとも頼りがいの
ある者としてよろこんだのは、現時点での代理指導者ともいうべきマハラジャ・
カーンだった。
ハマーンの父親たるマハラジャはこのごろ体の加減がわるく、実際の政務をとる
こともほとんどできない状態であったが、
「なあ、アズナブルどの」
と、いった。マハラジャは他のジオン高官たちとはちがい、人間がごく砕けている。
ちかごろでは娘のハマーンのシャアに対する呼び方をまねて、大佐ともシャアともよばず、
そんな呼び方をするのである。
「わしもそう永くはないようだが、ところがこうしてよろよろしていても、二日に一度は
若いころにもどったように体が爽やかになるときがある。皮肉にもそれが
大てい夜だ。もし、貴殿にその気があるのなら、ミネバ様がご成人されるまで、わしの跡を
継いで、後見となってアクシズを指導していってはくれぬか」
シャアは即答をさけた。かれ自身、自分がトップの立場になるのをためらっていたからでもある。
しばし考えさせてくださいと返答し、部屋を出た。ハマーンは、シャアに妙なものを感じた。

75通常の名無しさんの3倍:03/02/07 19:02 ID:RewKDLUP
この観艦式挙行の場合、熱狂的推進者はグリーン・ワイアットそのひとであった。
〜中略〜
「どうすれば、残党どもをこらしめることができるか」
ということを、当然ながら提督はかれにきいた。かれは観艦式をこの時点で決行し
それにともなう大規模な宇宙艦隊の存在をデラーズ・フリートに示すことができると主張した。
「それによってデラーズ・フリートなどと僭称している賊徒どもを宇宙に葬り、頭目エギーユ・
デラーズを海の藻屑にできましょう」
というのである。なぜデラーズ鎮圧よりも観艦式を重視するのかという議論はしなかった。強大な連邦
艦隊がよもや一撃を受ける可能性があるとでも言おうものなら、それは臆病者であり、軍人にあるまじき
卑怯者であり、提督はおろか、連邦軍そのものへの不敬であった。第一、ワイアットは、自らが搭乗する
新鋭戦艦バーミンガムを中心とした連邦宇宙艦隊をもってすれば、簡単にデラーズ・フリートを叩き沈める
ことはいとも簡単だとおもっていた。
なぜ思っていたのかといえば、かれはジャミトフ・ハイマンより、デラーズ・フリートの一員として
参加しているある女海賊(ジャミトフはこう呼んでいた)が、連邦軍へ帰順したいという旨を申し出て
きたということを知っていたからである。女海賊との接触により、簡単に敵の作戦の意図を知ることができる。
揉みつぶすことなど容易いことだと思ったとしても、あながち間違いではない。

しかし何よりもかれが一度も宇宙の実戦を経験したことのないことがなによりも
重大であった。さらに今ひとつ信じられないことは、かれの軍人としての履歴は
本部勤務がほとんどで、艦隊勤務などというものにはまるでといっていいほどに経験
がない。かれはただ連邦上層部の官僚軍人にふさわしいスマートさと、ゴップ派に属し
ていたことによりここまでの地位を得たのである。
連邦宇宙軍が誇る最新最大の戦艦バーミンガムとは、
イングランド中部の中心で、ロンドンに次ぐ大都市の名である(中略)
この戦艦の威容は、多くの連邦宇宙軍の艦艇のりの目から見てもすばらしい
ものとして映ったが、MS搭載能力がないという点で、懸念するパイロット
たちも多かった。戦後、大艦巨砲主義に固執していた連邦首脳部はこの大型
宇宙戦艦を宇宙一の戦艦だと評していたが、公国軍残党はMS搭載能力をもたない
ことを知るや、意にも介しなくなった。
79とんぼ ◆GDIhcRYKlE :03/02/08 19:23 ID:???
No hard feelings.
逆襲のシャア以後、ガンダムファンは、従来の富野ガンダムファンに加え、0080・
83に代表されるOVAファン、Vガン以後にはG、W、Xのガンダムファンに分かれた(亜流としてセンチネルなどの流れもあるが)
根は、ただ一つ。ガンダムそのものであったが、そのこだわりの差異、好みの問題、一貫性
や設定、メカニック描写、思想やそれぞれの監督・スタッフの掲げるテーマ性などの違いから
今でもこれらのファンの間には論争が絶えない。
彼女ら801ファンの錯覚は、Wによって火をつけられ、種によってより
深みにはまってゆくことになった。
たしかにプラモデルを売りたいというバンダイとサンライズの死活的商売手段は
それが成功せねば潰れるかもしれないという危機をはらんでいる以上、決して
否定できるものではあるまい。
しかし、たとえ商業的論理が先行したとしても、多数のガノタや1stを知っている大人
の人たち、そしてこれから作品を見ていくであろう子供たちにとって、なによりも「内容・キャラ
クター・メカニック」ともに新番組にふさわしいすぐれたロボットアニメを提供することは、
可能であったはずであり、そして、それを当然のごとく渇望する空気も充分すぎる
ほどにあった。
だが、種のスタッフは(多分にバンダイの要求も考慮に入れた結果なのであろうが)1stを越える
作品を視聴者に提供するという義務を「放棄」し、シナリオライター両澤の独断専行を許したあげく、
あろうことか「種は傑作である。ガノタの暴言や批判意見などは世迷言である」という
錯覚に身をゆだね甘美な自己陶酔に浸ることをよしとしたのである。
ファンの望むものより自分たちの見たいものを最優先に作るという同人誌的「遊び」感覚は、アニメーション
勢作というきわめて困難な、しかしまたそれだけの粘りと力量を要する「現実」に対する一種の
逃避作用といっていい。それによってガンダムが3流に落ち、アニメーションというジャンルがますます
日陰者のレッテルを貼られ続けることなどは、この心理のなかではむしろ「どうでもいい。関係ない。
今、利益を出せればそれでいい」ということなのである。
以上が、夢であったのかどうかは、わからない。ともかくもみちを歩きつづけていて
、不意にどこかの工廠にたどりついてしまった。
こういう場所は私がかつて好んだ場所であった。工場内より立ちあがるマークU、
マニュアルを片手にRX−78ガンダムに乗り込むアムロ・レイ、なにかしらの違い
はあれども、ウッソもシーブックもガロードもヒイロも、そのガンダムという機体を
駆って飛翔しゆく姿を、私は少年のころより、とても美しいものであると本心から感じて
いた。
ただ、この工廠はなにかが違った。皮膚感覚というものだろうか。
そこに、巨大な、きわめてシンプルなガンダムらしき機体が横たわっている。
その、どこからみても特徴のない機体は、色がある。ただし、ときに真っ白
になったり、黒いマークUのデザインになったり、なぜか金色になったりする(中略)
君はなにかね、ときいてみると、驚いたことにその異胎は、声を発した。
「ガンダムだ」というのである。

ただしその機体がみずからを定義したのは、ガンダムといっても、
富野ガンダムやG・W・Xなどのガンダムの系列を継いでいるというわけ
ではない。∀よりもあとの、本物のガンダムだというのである。
つまりこの異胎は、黒歴史に葬られるまえの、まだかたちをとどめている
ガンダムであるらしい。
「おれを最高の機体と呼んでくれ」
と、その機体はなぜかキラの声でいった。
「君は、生きているのか」
「おれ自身は充分に生きている。もっとも、葬られた連中(黒歴史に封印された
ガンダムたちを指しているらしい)を好む奴らからみれば、死んでいるというだろうが」
もっとも黒歴史などというものは、才能を散々利用され、使い捨てにされた老人の
妄想ごとでしかないがな、と、ガノタを挑発するかのようなこともいった。
ガンダムもまた、初代から美しい流れをつくってきた。その栄光の歴史は、様々な
ドラマを生み出し、アニメーション史においても十分に美しい功績を残しえた。ただ、
そのことが、全て黒歴史に封印されてしまうなどとは、あまりにもけしからぬことである。
「おれは神を越えるんだよ」
と、今度は種の監督・福田巳津央の声でいうのである。
その機体は気味わるく目をひからせ、うかつに近寄ろうものなら、そのまま
吸い込まれてしまいかねない感じもある。私は十分距離を置き、気になっていた
質問をしてみた。
サンライズは、ガンダムのヒット後、形相を一変させた。
「なぜサンライズは、功労者たる富野にガンダムを作らせることばかり要求し、
イデオンからエルガイムに至るまでのアニメーション的なオリジナルの才を殺す
ような愚行をしたのか」
ということである。
その優秀なスタッフと総監督富野の才腕により、ガンダムは勢作され、
従来になかったリアルロボ路線というみちをきりひらき、放映当時は
打ち切りの憂き目にあったとはいえ、再放送で評価され、空前のガンダム・
フィーバーという現象となった。
サンライズは一躍、一流会社としての名声を得ることとなり、富野はスターダム
にのぼりつめた(中略)
当然、世間や業界は富野にヒット作を期待した。ところがイデオンはまたもや打ち切り、
ザブングルもファンの評価は高かったがガンダムほどのヒットまではゆかず、ダンバインも
西洋ファンタジー路線をひらいたなどの功績はあったが、タカトクの倒産でよもや打ち切られる
危険をもってしまい、エルガイムにいたっては若手スタッフ抜擢などの新機軸を投入(永野の
才能を見出したことはまさに功績といっていい)やはり、業界自身はガンダムのパート2を
望んでいた。
しかし、ガンダムのヒットは、タイミングや状況ということもあったであろうし、第一、作家
たらんと欲した富野自身は、自らの才能を自ら否定するかのようなパート2などという作品は
根本的に拒否の態度をとっていた。
「ヒットを再び。これだけだ」
その機体は、ただそれだけで答えた。ガンダムという巨大なマーケットを
形成した富野の才能を酷使することで、自分たちの生活の安定を図り、
危険なオリジナルをやらないことによって、安定した収益をはかる。
むしろ会社組織というものは、たとえ才能ある連中が集まっていたとしても
現実問題として収益を第一に考えるのはあたりまえだ、という意味のことを
いっているのであろうか。
その機体の返答はまことにみじかい(中略)
ガンダムのパート2を勢作するという発表があったとき、世のアニメファンは
富野も西崎のような愚行をするのかと批判・非難が浴びせられた。
当時のサンライズの指導者はそのことについての想像力をもっていたか、と
きいてみた。
この異胎は、しばらく沈黙していた。そのあと、
「あのころには、深刻な事情があった」
といった(中略)
このままでは本気でサンライズは潰れてしまう、とおもっていた、という。
「思っていた?たとえ、恩人の富野を破綻させることになったとしても?」
ときいたとき、この機体が、それまでの赤・白・青のカラーから、一変して
黒いガンダムにかわった。だがマークUやサイコガンダムとくらべるとカコワルイ
印象は拭えない。
「それが商売だ。大人というものだ」
恐ろしい声を発した。
(ひょっとすると、この機体は、富野をハゲシク欝にさせた張本人ではあるまいか)
ふと、そう思った。
さらに質問した。富野のあと、GやWなどのガンダムが製作されたが、
そのことはその場しのぎの、大ヒットよりも少ヒットを狙っていたのか、
と、問うと、
「ちがう」
と、奇声に似た声がかえってきた。
むろん、この機体のいうことはあたってはいるだろう。不発におわるかもしれない
オリジナルをやらせるより、確実に利益が見込めるからである。
だが、もっともおろかだと思うのは、Xに続くテレビ版ガンダムを製作
するということについて、その作品そのものの価値や面白さという点を
まったく考慮の対象としていなかったということだろう。
種を作る際に、ガノタを満足させることができないガンダムをつくろうなどと
思った、とは考えたくないし、それは自らの首を絞める行為につながるはずで
愚かなことだとはすぐにでもわかる。
「われわれは、そういう俗な計算でやったわけではない」
と、福田監督の声でその異胎はいう。ただ、声はほとんど聞き取れなくなって
いる。
さらに、その異胎はいった。
「君のいうガンダムじゃなくても、プラモデルは売れているよ」(中略)
サンライズが儲かるようになったのは、種の宣伝効果のカラクリの結果
であるとこの異胎はいうのである。だがそのプラモデルたるや、目新しい
ほどのデザインでもなければ、大河原邦男が本気になってやった代物でもない。
なにより、ガンダム以外の機体はすべて「不要品」であるという意図が映像には
見えすぎるほどに露骨に出ている。
このチャチといっていい、801受けの、感情移入すらも拒み、視聴者には悪の
精神が一番気持ちいいんだよと、まるでエヴァの受け売りかのようなテーゼをたらしこみ、
のっぺりした画面、緊張感のない戦闘シーン、動かないキャラに、中途半端なセックスシーン、
存在そのものすら意味のない、なにがやりたいのかとまず疑問におもってしまう「種」のために
ガンダムというジャンルそのものが破滅の危機にある。いや、むしろ、意図してそういう
方向にもってゆこうとしているかのように。
一人のポスト富野(今川がいるが)も出そうともせず、大勢でこんなばかな作品を世に出して
平然としている連中がいるなどと信じられるだろうか。

911:03/02/09 01:09 ID:???
もう寝ます。保守よろしくお願いします。
92通常の名無しさんの3倍:03/02/09 09:21 ID:???
保守しときますよ
93通常の名無しさんの3倍:03/02/09 19:16 ID:cSqJVojr
保守age
94通常の名無しさんの3倍:03/02/09 20:32 ID:X+TKzgxc
あの頃に....
95通常の名無しさんの3倍:03/02/09 20:34 ID:???
亮タソハァハァ
96まとめてみますた:03/02/09 22:22 ID:???
>>4 木星帰りの男(峠(上)P335)
>>5 木星帰りの男(峠(上)P335・336)
>>6 ロナ家の人々(第七章・セシリー)
>>7 ソロモンの悪夢(翔ぶが如く(二)千絵・P206)
>>8 コスモ貴族主義とロナ家1(八人との対話・P261)
>>9 コスモ貴族主義とロナ家2(八人との対話・P261)
>>10 ベラ・ロナとして1(箱根の坂(上)P218〜)
>>13 ベラ・ロナとして2(箱根の坂(上)P219)
>>15 サイド7へ(上総の剣客(真説宮本武蔵P184)
>>16 ジオン公国軍(歴史と視点P17)
>>23 准将ジャミトフ(歳月・P129)
>>27 踊る彗星(最後の将軍・P221・222)
97まとめてみますた:03/02/09 22:23 ID:???
>>29 ダカール演説1(最後の将軍・P230)
>>30 ダカール演説2(最後の将軍・P231)
>>31 ダカール演説3(最後の将軍・P231)
>>34 木星帰りの男1(峠(上)P327・328)
>>35 木星帰りの男2(峠(上)P324)
>>36 べスパの青年将校1(殉死・P19)
>>37 べスパの青年将校2(殉死・P19)
>>38 べスパの青年将校3(殉死・P19)
>>39 女王ディアナ・ソレル1(胡桃に酒より)
>>40 女王ディアナ・ソレル2(胡桃に酒より)
>>42 背表紙「月光蝶」
>>43 ルウム大会戦(坂の上の雲(四)P108)
98まとめてみますた:03/02/09 22:23 ID:???
>>46 シャアとハマーン1(竜馬がゆく(一)P95)
>>47 シャアとハマーン2(竜馬がゆく(一)P96・97)
>>50 宣戦布告1(義経(上)P256・257)
>>51 宣戦布告2(義経(上)P256・257)
>>52 宣戦布告3(義経(上)P258)
>>53 宣戦布告4(義経(上)P258)
>>54 政府高官1(義経(上)P258)
>>55 政府高官2(義経(上)P258)
>>57 開戦(坂の上の雲(三)P178)
>>58 ゲリラ掃討部隊(坂の上の雲(三)P293)
>>59 誤算1(歳月P679・680)
>>60 誤算2(歳月P679・680)
99まとめてみますた:03/02/09 22:24 ID:???
>>62 グワダン艦内1(歳月P679・680)
>>63 グワダン艦内2(歳月P681)
>>64 グワダン艦内3(歳月P681)
>>67 器量を問う(国家・宗教・日本人P125〜)
>>68 発展はおわった(国家・宗教・日本人P133)
>>73 三号機出撃(坂の上の雲(五)P76・77)
>>74 シャアとハマーン3(竜馬がゆく(一)P170〜)
>>76 連邦参謀本部1(坂の上の雲(四P329・330)
>>77 連邦参謀本部2(坂の上の雲(四P329・330)
>>78 コンペイトウ燃ゆ(坂の上の雲(四)P335)
>>80 分化(アメリカ素描P324)
>>81 種の罪(アメリカ素描P323)
100まとめてみますた:03/02/09 22:24 ID:???
>>82 プラモ屋の商業主義1(この国のかたち(一)P34)
>>83 プラモ屋の商業主義2(この国のかたち(一)P34)
>>84 プラモ屋の商業主義3(この国のかたち(一)P35)
>>85 プラモ屋の商業主義4(この国のかたち(一)P37)
>>86 プラモ屋の商業主義5(この国のかたち(一)P37)
>>87 プラモ屋の商業主義6(この国のかたち(一)P40)
>>88 プラモ屋の商業主義7(この国のかたち(一)P40)
>>89 プラモ屋の商業主義8(この国のかたち(一)P45)
>>90 プラモ屋の商業主義9(この国のかたち(一)P45)
101まとめてみますた:03/02/09 22:25 ID:???
>>82 プラモ屋の商業主義1(この国のかたち(一)P34)
>>83 プラモ屋の商業主義2(この国のかたち(一)P34)
>>84 プラモ屋の商業主義3(この国のかたち(一)P35)
>>85 プラモ屋の商業主義4(この国のかたち(一)P37)
>>86 プラモ屋の商業主義5(この国のかたち(一)P37)
>>87 プラモ屋の商業主義6(この国のかたち(一)P40)
>>88 プラモ屋の商業主義7(この国のかたち(一)P40)
>>89 プラモ屋の商業主義8(この国のかたち(一)P45)
>>90 プラモ屋の商業主義9(この国のかたち(一)P45)
102まとめてみますた:03/02/09 22:26 ID:???
やっちまった 鬱氏
そうだ!
どうせ聞こえるなら、聞かせてやるさ!
惚三郎!
好きだァー! 惚三郎! 愛しているんだ! 惚三郎ァー!
観柳斉が言い寄る前から
好きだったんだ!
好きなんてもんじゃない!
惚三郎と義兄弟の契りを結びたいんだ!
惚三郎の事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
惚三郎を「女」にしたいんだ!
咽喉輪を突き破る程の突きをくらわせたーい!
言い寄る湯沢は黒漆の不気味な直刀で切り捨ててやる!
惚三郎ッ! 好きだ!
惚三郎ーーーっ! 愛しているんだよ!
ぼくのこの心のうちの叫びを
きいてくれー! 惚三郎さーん!
新撰組に入ってから、惚三郎を知ってから、僕は君の虜になってしまったんだ!
愛してるってこと! 好きだってこと! ぼくに振り向いて!
惚三郎が僕に振り向いてくれれば、ぼくはこんなに「私ノ闘争許サズ」を破らなくってすむんです。
優しい君なら、ぼくの心のうちを知ってくれて、ぼくに応えてくれるでしょう
ぼくは君をぼくのものにしたいんだ! その美しい心と美し前髪を!
誰が邪魔をしようとも奪ってみせる!
山崎がいるなら、今すぐ出てこい! 四条の堀川で相手になってやる!
でも惚三郎さんがぼくの愛に応えてくれれば戦いません
ぼくは惚三郎を抱きしめるだけです! 君の心の奥底にまで手篭めにします!
力一杯の手篭めをどこにもここにもしてみせます!
副長や沖田を連れてくるんじゃない! 心から君に切りつけます! それが僕の生きる為なんだから
異形の愛語を振るのなら、もっと渾身の力を、霧のように、霧のように、消してしまう!
惚三郎! 君が僕の死体に狂人のように切りつけるというのなら、沖田に始末される!
104通常の名無しさんの3倍:03/02/10 00:34 ID:Pa8dxQIV
ホシュage
105通常の名無しさんの3倍:03/02/10 13:14 ID:???
お、いつの間にフカーツしとる。
オメ
1061:03/02/10 19:33 ID:???
皆さん、保守どうもです。
>>96/97/98/99/100
上手くまとめてくれましたね。なかなかいいな。
べスパの青年将校・木星帰りの男などは、前スレに書いたものもあります。
最終的には一つにまとめたいですね。
乙カレです。
>>103
面白い(w
こういうネタもありですね。

血風録を書いてなかった!ネタ考えておきます。

ー公女ミネバ・ラオ・ザビは、どのようなお顔の、どのような心映えのお人か。
という、ただそれだけの簡単なことが月面都市・各サイドだけでなく、ティターンズ
のあいだでも知られていない。いずれも世間の関心のまとであったが、しかしくわしい
ことは、摂政ハマーンがすべてを秘匿しているため、ほとんどの人は知らない。
「父親のドズルに似て、背丈・声ともに大きい」
という説もグラナダやフォン・ブラウンあたりではおこなわれているが、むろん
あてずっぽうである。
ー心映えかしこからず。
といわれているが、これもどうであろう。世間の風にあたることのない御殿育ちの
子が物事に鋭敏な反応をもとうはずがないという憶測にすぎなかった。
「あれはシャアのような男だ」
と、後世のわれわれは、いわゆる「ズルイ男」の典型を、この時代のシャア
・アズナブルによって大いに人間批判や性格分類のなかでつかっているのである(中略)
かれはその人生の最後の瞬間に、宇宙世紀史上あらわれた指導者が誰もやらず、語ろうと
もしなかった本音を口にした。シャアは小説や芝居こそ書かなかったが、その才能はひょっと
するとそれに適合していたかもしれず、その証拠に、かれの地球寒冷化作戦(隕石落とし)という
壮大な事実演出は、かれみずからシナリオを書き、演出し、自演した。結果としてアクシズは
地球に落ちなかったものの、後世に対して、「シャア」という名は巨大な存在としてひとびとに記憶されたの
だが、かれの性格の一典型、いわゆる「ロリコン」や「少女好き」といった負の部分も、遺産として
ひとびとに記憶されたのである。



アナベル・ガトーや、かれから参加を要請されたケリィ・レズナーにすれば、
最初から公国軍残党勢力が勝てるというような成算はなかった。ただ、戦争の
空気やジオン軍人としての責務などをもっとも濃厚にもっている者としての最後
の自己表現の場をこの星の屑作戦にもとめたにすぎない(中略)
ジオン公国軍の敗因は、ただ一人の人間に起因している。総帥ギレン・ザビの
変死である。
こういう現象は、古今にまれといっていい。
国家であれ、大艦隊であれ、また他の集団であれ、それ大躓きに躓くときは、
その遠因近因ともに複雑で、一人や二人の高級責任者の能力や失策に帰納されて
しまうような単純なものではなく、無数の原因の足し算なり掛け算からその結果
がうまれている。
が、ア・バオア・クー会戦にかぎってはただひとりのギレンの死に理由がもとめられる。
その意味ではこの宇宙要塞ア・バオア・クーで戦われた宇宙戦史史上最大の規模の会戦
は、古今の珍例といってよかった。
この作戦における連邦軍中将ダグラス・ベーダーの気持ちというのは、薄氷
を踏むようなものであった。
ダグラスは全兵力をすべて展開し、予備隊といえるほどの戦力を控置しない
という戦術的な非常識をやってのけているのである(中略)
「とにかく、主力艦隊なきいま、早急にア・バオア・クー要塞を陥落せしめなければ
戦争の早期終結は望めないだろう」
という心理があった。この心理から来る焦燥感は、一種の賭博に似た行為をダグラスと
他の連邦軍将官にとらせることとなったが、肝心のギレンの行動がどう出てくるかが重大な
問題であった。計算の心理には、ギレンへの対策は考慮されていない。
なによりも、ギレンの軍事的能力が未知数であり、先のソロモン戦よりも敵の士気や
練度の点で有利であろうが、かれら将官たちには、巨大MAビグザムによってあっというまに
多数の連邦艦艇が、宇宙に光芒のかがやきを発して消えてしまったという事実を見ているだけに
余計に焦りがあった。


「連邦の白い悪魔が出てくる」
ということが、ジオン公国軍の頭痛のたねであった。白い悪魔のことはすでにのべた。
第十三独立艦隊(ホワイトベース)に所属するパイロット、アムロ・レイとかれの搭乗する
ガンダムのことを指している。
わずか3分で12機のリック・ドムを撃破し、二人のニュータイプをさらに神業ともいえる
ほどの技量で打ち倒した(エルメスの場合は特異であるが)連邦の白い悪魔が戦場で活躍す
れば、損害は計り知れない。このふせぎを、新たに専用ゲルググにかわってMAジオングを
配備されたシャア・アズナブル大佐がうけもつこととなった(中略)
(ガンダムに勝つ。この機体の火力と、ニュータイプとしての開花をはじめている今の私なら
必ずやれる)
と、シャアはおもっていた。
113通常の名無しさんの3倍:03/02/11 21:12 ID:???
落としはせんぞ〜
114通常の名無しさんの3倍:03/02/11 21:42 ID:Vcq1hcab
まだまだ
115通常の名無しさんの3倍:03/02/11 22:35 ID:???
がんがれ〜
グリプス戦役時、ハマーンはティターンズ・エゥーゴを脅かすほどの軍事力を
もちながら、そのどちらの勢力にも組せず、両勢力を手玉にとって漁夫の利を
占め、その強大な武力を放出してティターンズを事実上崩壊させ、エゥーゴへも
大打撃を与えた。
このためハマーンは早くからティターンズ・エゥーゴ双方から、
「アステロイド・ベルトの女狐」
とか、
「アクシズの女傑」
とかいわれた。
ハマーンののちの活躍にとっては、俊英などは無用有害であった。なぜなら、
アクシズ・ネオジオンを動かす頭脳は、ハマーンがもって生まれた頭脳一つ
でこと足りた。あとは犬のように従順な指揮官やMSパイロットがおればよい、
というのがハマーンの帝王学であった。
マシュマー・セロはハマーンの側近で、過剰なほどの騎士道精神を重んじる
人物である。その忠誠心は主従の絆のあつさというよりも、愛情に似たものであろう。
もちろん、マシュマーからの思い込みではあるが。
ハマーンは、マシュマーにはさほどの才はないが、その質朴さを買っている。それに
ハマーンは、想をまとめようとするとき、マシュマーを聞かせ相手にえらんだ。これに
ついて、
ーマシュマー、壁に話しかけるよりそちと話しているほうが、まだしも受け応えがあって、
まだしも想がまとまる。
とハマーンはいっていた。
(あ、ハマーンさまは。−)
天下に野心がおありなのではないか、とマシュマーはおもった。いまのタイミング
で地球圏へアクシズを帰還させ、ネオジオン軍将兵が死力をふるって奮迅すれば、
地球圏はおろか、連邦政府ですらものの数ではないであろう。
ハマーンは、そのまなざしをむけながら微笑している。どんなときでも端正な風貌を
ハマーンはくずしたことがない。その容貌はかならずしも外見だけではないことを、
マシュマーは知っている。容貌とともに溢れんばかりの気品と統率者としての才能、
ミネバ・ラオ・ザビ様への真摯な敬意、そして、魅了されんばかりの雰囲気、
完璧なお方とは、ハマーンさまのようなお方をいうのであろう。
(夢をみておられる)
とはマシュマーはおもわなかった。着実にことを進めてゆくハマーンの実行力について
は、マシュマーがいちばんよく知っていた。
ハマーンについては、たれもいう者がいない。知らないからである。
ただ、准将ブレックス・フォーラであったかどうか、
「さらに英明な者がアステロイド・ベルトで刻をうかがっている」
といったといわれる。が、このことばのあとがわるい。
「あるいは乱世の姦雄やもしれぬ」
121:03/02/12 20:25 ID:???
肥前の妖怪>酔って候に収録。
>>116
P255
>>117
P262
>>118
P276
>>119
P278
>>120
P284
122:03/02/12 20:42 ID:???
ガルマ、シャアのいう御曹司。
「あやつこそ、俺すらも使いこなしてくれる将軍にもなろうと期待していたものを・・」
と兄である公国軍中将ドズル・ザビから嘆かれたこの男は、宇宙世紀0059、
デギン・ソド・ザビの4番目の子として、サイド3で生まれた。
母は、正夫人ではない。
(なにをぐずぐずしているのか)
と、シャアは歯がゆい思いでいたが、しかしこのところは沈黙し、ガルマの
成すことをただ見ていた。かれはもともとガルマにはそれほど期待をよせて
いなかったが、かといって手をぬきすぎる発言をしたりさせたりすることは
木馬をわざわざ利させてやるだけのことだ、得することはない。
(ーしかしこのたまを)
絶妙な好機をとらえて華々しく散らさねばならない、それが復讐を完璧に成せる
ことである、とシャアはおもった。
124:03/02/12 20:56 ID:???
>>122
同じくタイトルは坊ちゃんです。P139。
グエン・サード・ラインフォードは、褐色の肌にやや顔が長いが、鼻筋
がとおり、唇がしまり、秀麗といっていいほどの容貌をもっている。その
上学問好きで、アメリアの各領主たちのなかでも、グエンほど近代化に熱心
だった者はいなかった。
グエンには今ひとつ、強烈な個性がある。新モノ好きということである(中略)
ムーンレイスから、
「交渉のため、通信用の機械を進呈します」
ということで、グエンにもとに機械が届けられた。
「なにぶん、地球にいた期間が長かったからな。宇宙にはまだ馴れん」
それだけいって、カクリコンは、大きなからだを音が鳴るように折った。
宇宙に馴れぬ、といえば、ちかじか、ジャブローを発(た)ってティターンズ
総帥として要塞グリプスを視察されるカクリコンの主人ジャミトフ・ハイマン
もそうだし、ティターンズ将兵のほとんどはそうである。
地球出身者ばかりで構成される軍隊であり、連邦正規軍以上に、ティターンズ
ほど武骨な集団もない。
そのティターンズが、この年、大規模な戦力強化を図ろうとしている。
マリアの伝説といえば、最近、私の知人でどういう場合でも理性をうしないそうにない
人文科学者が、話題がマリア・ピァ・アーモニアのことになると、自分は、つまり自分
のようなサイド2育ちの者にはとてもマリアを人として論ずることはできない、人以上の
存在だと思ったときにはじめて気持ちが安らいで多少ともマリアについて語ることができる、
と言った。
それを聴いて私は息を忘れるような驚きをおぼえた。その人のその場合の印象は、私が年少
のころコロニーで接したスペースノイドたちとすこしもかわらなかった。マリアとはなおその
ような存在でありつづけているのかとおもうと、この人物を肉眼で見たいという自分の願望が
そらおそろしくおもえたりする。
しかしクロノクルにとって不幸だったのは、このカイラスギリー戦闘に参加した
将兵は緊急徴兵した新兵がほとんどで、大半が学徒兵ばかりであり、かれらは当然
戦闘に慣れているわけではなく、いわば弱兵であることであった。かれら兵隊たちは
なるほどシュミレーションはうけていたが、マニュアル以上の行動をもとめられると
どうにもならず、狼狽するよりほかなかった(中略)
むしろクロノクルはタシロ大佐を救出し、姫様をお連れし、リガ・ミリティアのカイラス
ギリー再使用による巨大ビーム攻撃の目標を外した、などなどの点を首脳部に考慮され、
そのあたりを功績として評価された。ひとつにはべスパは女王の弟というクロノクルを
評価する以外にこれといった評価するべき対象がいなかったということもあるであろう。
130通常の名無しさんの3倍:03/02/12 22:34 ID:???
>>129
蛇足ながら
シュミレーション -> シミュレーション でつ
地球・東欧地区ラゲーン基地司令ファラ・グリフォン中佐配下のMSパイロットが、
当時中尉であったクロノクル・アシャーであった。
「クロノクルは地球を知っている。クロノクルがよかろう」
という人選の発想はそういうところにある。クロノクル大尉は地球という環境に慣れている、
ということであり、この戦闘のなかで最も困難な課目とされている重力下戦闘のベテランであるという
ことではない。
132:03/02/12 22:42 ID:???
>>130
訂正ありがと。
クロノクル・アシャーが新設のモトラッド艦隊司令官として地球におもむく
べく月面を離れたのは、サイド2コロニー・マケドニア攻撃後の5月19日
のことである。
その作戦参謀として、士官学校におけるクロノクルの先輩にあたる大尉、
アルベオ・ピピニーデンがつけられていた。
同時に指揮下のMSパイロットとして、ルペ・シノ大尉と、自ら軍人になるべく
べスパに志願したカテジナ・ルース少尉も加わっている。
「ピピニーデンがおるから、だいじょうぶだろう」
と、べスパの首脳部はたかをくくった。ピピニーデンがそれほど参謀として能力が
あるということではなく、かれが重力下の戦闘を経験していることと、ピピニーデン・
サーカスの異名をとるエースであるという点で、ひとは漠然とその艦隊への適格性を
みとめた。
134:03/02/13 00:08 ID:???
カイラスギリーの主砲、ビッグキャノンだった!失敗・・・
意外とネタが多く浮かびました。もう寝ます。

135通常の名無しさんの3倍:03/02/13 05:20 ID:???
無茶面白いです。
胡蝶の夢なんか期待してます。
136山崎渉:03/02/13 21:29 ID:???

----------------------------------------------------------------
                                      山発第250号
                                   平成15年2月13日
 2ちゃんねる
 関係者各位
                               山崎渉実行委員会
                                 実行委員長 山崎渉

             【(^^)山崎渉再開のお知らせ(^^)】

  拝啓 余寒の候、毎々格別のご厚情を賜り、まことに有り難うございます。
平素は山崎渉をひとかたならぬご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
  さて、早速ではございますが、先日サービスを終了させていただきました
山崎渉を皆様からのご声援とご要望にお応えして、再びサービスを再開する
運びとなりましたのでお知らせいたします。
  つきましては、関係者の皆様には既に山崎渉の使用をお止めになった
方もいらっしゃると思いますので、この機会に再度ご使用いただけますよう
お願い申し上げます。

  これからも何卒変わらぬご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。(^^)

                                           敬具
----------------------------------------------------------------
137通常の名無しさんの3倍:03/02/14 09:43 ID:???
保守
1381:03/02/14 13:42 ID:???
>>135
そうですか。ありがとうございます。
胡蝶の夢ですか、ネタを考えておきますね。

なるべくネタが偏らないようにしないとな。
シーマはブリッジを脱出した。
戦艦グワデンをビームマシンガンで葬り、AGX−04ガーベラ・テトラを駆りつつ、
「よくもあたしの一大のばくちを!」
と叫ぶと、すさまじいMS戦を展開した。
この間、落ちゆくコロニーに対して、バスクの強引な一令によって充填100%にならないままソーラシステムUの
照射が放たれたが、MAノイエ・ジールに搭乗するガトーの決死の強行攻撃によりコントロール制御艦が撃破されたことで、
思惑とは裏腹にコロニーは消滅することなく在りのままの姿をとどめてなお、落下することを
やめない。
指揮下の海兵部隊とジオン残党部隊の、はたから見れば同士撃ちの様相を呈する泥沼のなかで、
巨大なビームエネルギーがはしり、リリー・マルレーンが貫かれ、四散した。
(いわんこっちゃない)
その張本人たる機体が接近してきた。シーマは怒りをおぼえてガーベラ・テトラをGP03に向けた。
話しかけてきた配下のゲルググがまた消えた。GP03は爆導索をもちいて艦をしずめた。
そのばかでかいコンテナを背負った張本人たるGP03に高笑いとともにあられの如く射撃を浴びせた。
シーマは叫んだ。あんたはどっちの味方なんだい、と。
そのとき。
GP03のメガビーム砲が、ガーベラ・テトラにめり込んだ。串刺しにされたかたちになった。
ヘルメットが、割れた。
もがいて離れようとするが、離れられない。
瞬間、メガビーム砲の一撃が炸裂、その閃光は巨大なかがやきとともに、
ガーベラ・テトラを木っ端微塵にし、シーマは宇宙に散った(中略)
戦闘終了後ほどなくこの付近にて救助・処理活動をおこなっていた寝返り海兵隊の
一人が、ガーベラ・テトラの残骸をみて、
「シーマ様・・・・あまりにもむなしすぎる一生であられましたな・・」
と、涙をこぼした。
シーマ・ガラハウのごときは、MSパイロット史上からみても、恐るべき女傑として
列伝中に加えるべきものであろう。
140ザメル(虎徹より):03/02/14 14:59 ID:???
ザメルは、姿(なり)こそわるい。しかしその68センチカノン砲の破壊力は、
相当な戦果が期待できそうであった(中略)
(これがザメルか)とボブ中尉はおもった。
あたらしい芸術品というのは、つねに抵抗にあうものだが、ザメルの姿にも、最初
のひと目がわるく、一種の不快感をおこさせる。が、永く搭乗すればするほどその
姿が落ち着いて来、ついにはこれこそぬきさしならぬ姿だ、とまで惚れこませる力
をもっているのだが、最初ボブ中尉は抵抗あったものの、結局はザメルに惚れこむ
ことになる。
ジャミトフにはそれ以上のくやしさがあった(中略)
貧困もいい。屈辱もいい。なによりもジャミトフという政治ずきな、仕事ずきな、
なによりも功業心のつよいこの精力漢を鬱屈させていたのは財政部門に身をおくかぎり、
一部門でしか指導できず、連邦全体の政務にたずさわることができないことであった。
これはあたかも絵師を志す若者に絵具やスケッチブックをもたせぬということであり、
絵を指で空中に描かせつづけるということであり、事実ジャミトフは身もだえするような
思いで空中に絵を描きつづけてきた。ついに一軍人の立場で老年になった。
この、ながい歳月の怨念がジャミトフのこの老年齢にこもっている。
(ばかめが)
と、ジャミトフは黙殺した。それにつけてもこの議員連中のあほうさ
加減はほぼいままでの答弁でわかった。相手が馬鹿か利口かというこ
とについてはジャミトフは異常に敏感で、賭博組合を経営しているときも、
「わたしは元来、馬鹿とは話す気になれない。一瞬でも馬鹿と対座する
ことは生涯のむだである」
といっていた。そのくせ余談ながらこの男は士官学校でかれを知るほとんど
の者から、「面貌陰険のごとき者」といわれ、ことに若いとき歩兵銃隊の
訓練をうけたときジャミトフだけはどうしても手があがらず、銃をかつぐ
動作すらろくにできなかったためあほうのあつかいを受け、その歩兵銃隊の
訓練からはずされたことさえある。
(これが、いわゆる政府要人か)
と、ジャミトフは肚のなかで嘲笑していた(中略)
議員、軍人とも一年戦争を経験し、なにかしらは生死のさかいをくぐって
きている者もいる。
(それだけのことだ)
と、ジャミトフはおもい、今後は連邦政府に何の用もない人物どもだと
おもった。ジオン公国との事実上の戦争はすでに終結した以上、今後の
連邦政府、ひいては地球に必要なのは一年戦争の活動・経験や履歴だけ
ではなく、政府をつくりあげるための智略である。その智略を提供する
者は、
「わたししかいない」
という肚でジャミトフは連邦議会の一席にすわっている。
143通常の名無しさんの3倍:03/02/14 21:21 ID:???
sage
144通常の名無しさんの3倍:03/02/14 23:03 ID:MaeYELGh

「花神」文庫中巻P149より。村田蔵六が自宅に戻って・・・

カミーユがアーガマに戻ってから、ファは美しくなった。艦内の評判であった。
「そうでしょうか」と、ある日、ファはカミーユが「Zガンダム」の図面を見ているとき、
きいたことがある。カミーユもじつはそのことに気づいていた。この事物の評価についてきわめて
厳密な男は、「ファは、たしかに美しくなった」と、正直に、空手の「型」を評価でもするような
断定的な口調で、返答した。カミーユは空手が得意であった。ファは、それだけにして
おけばよかった。このアーガマにレコア・ロンドという中年の美女がいる。レコアさんより美しいで
しょうか、と、ファは比較論をもちだしたのである。「美しさの比較は困難であるが」
とカミーユは、言った。「気性の愛らしさということを含めれば、レコアさんより美しかろう」
この判定はファをよろこばせた。というより、この偏屈が、こういうことをいうのが、
まるでモビルスーツが物を言うように珍奇に思えて、もっと言わせたいと思った。
145通常の名無しさんの3倍:03/02/14 23:07 ID:MaeYELGh
「花神」続き
「では、カミーユが地球で見た美しい人々のあいだに入れると、私は何番目になりますでしょう」
「田舎臭いのが、欠点である」と、カミーユは言った。そう鑑定したからそう言っただけだが、
これはファをひどく傷つけた。ファはしばらくつばを飲んでいたが、やがて、「では、どなたが
お美しゅうございましたか」と、上目でカミーユを見た。カミーユは、図面を見つづけている。
見ながら、「フォウ・ムラサメと申されるお人が、美しいように思えたな」
「フォウどの」ファは、眉を上げた。が、できるだけ声をおさえて、その人は田舎臭うはございませなん
だか、と、問うた。「香港育ちである。香港の人は、スペースコロニーの人より、涼やかなようだ」
「ニュータイプ研究所」と、ファは口走った。思い出したのである。
カミーユが、香港でその女性とデートしたという話を、かつて聞いたことがあった。
「そのお人ですか」と、思わず声が上ずったとき、カミーユはすかさず自室を出た。
格納庫へ向かって逃げて行く。実のところ、カミーユはようやくこの話題に乗ったことを後悔した。
1461:03/02/15 00:22 ID:???
>>144-145
>空手の「型」を評価でもするような
>涼やかなようだ
ここらへん、唸ってしまいました。なかなかいいな。
理知的なカミーユ・ファも(・∀・)イイ!
147通常の名無しさんの3倍:03/02/15 00:35 ID:???
>144
レコアさんを "中年" と呼ぶくだりは出来れば別の表現に
変えて欲しかったでつ。(T T)
148政敵(歳月・P342):03/02/15 00:36 ID:???
以後、ジャミトフの生涯に多大な影響をあたえる人物として、ブレックス・
フォーラが登場する。この稿は、この革命家肌の人物について触れてゆかね
ばならない。
ジャミトフは、みずからの能力を重く見すぎる癖がある。自然、かれのライバル
的存在であるブレックスの力量を軽視しすぎるかたむきがあったが、しかし
同時代のスペースノイドたちはブレックスの力量については、それを語るときは
息をひそめてそれを仰ぐほどの態度を示し、容易ならざる評価をこの人物にあたえていた。
149総帥(歳月・P346):03/02/15 00:41 ID:???
かれの謹厳さは、神秘的なたたずまいにさえなっている。ギレンの総帥
時代の総帥の官室というのは「神殿のようであった」といわれる。どういう
男が、ギレンに異論をもち、それを砕くつもりで押しかけていってもこの
室に入ると、議論をはじめるどころか結局はギレンの威厳にすくみあがる
だけで退室したという。
カクリコンとジェリドがひきいるMS部隊は、エゥーゴの降下部隊を
とらえた。予定通りである。
地球が青く美しくひかっている。
マラサイの赤色が宇宙にめだつ。
ーいいか。
と、カクリコンはいった。
ーMS部隊はそれぞれ降下するエゥーゴを叩け。俺とジェリドはマークUをやる。
(来たな。・・・・)
と、カクリコンは気負うジェリドとともに大気圏上空に機体をむかわせる。
宇宙のむこうに数十機、いや、それ以上のエゥーゴの降下部隊が突入しようとして
いる。そのなかに、ウェーブライダーに乗るガンダムマークUの姿を発見した(中略)
見出してよりジェリドのマラサイが執拗に攻撃をかける。
(ええい、なぜ当たらんのだ)
地球の重力に引っ張られてゆくなかで、カクリコンはジェリドと歩調をあわせ、
マラサイを突入させてゆく。

その間、マークUへの射撃と斬りこみをおこなったが、今ひとつ一撃を
あたえられない。そのうち、大気圏上の限界に達し、舌打ちしながらも
ジェリドはマラサイのバリュートを展開した。この時点でカクリコンも
バリュートを展開していればたすかっていたろう。が、功をあせった
カクリコンはさらなるチャンスをもとめて、バリュートを展開せぬまま
なおもマラサイそのままの状態でマークUに突撃してきた。カクリコン
は獲物にくらいつきすぎていた。ライフルを撃ち、目標をマークUに
さだめながら、
ー落ちろ。
と気合をいれ、マークUにとりつこうとした。
だが大気圏の熱はマラサイをそのままにはしなかった。結局、とりつく
ことができなかったカクリコンはマラサイのバリュートをひらいたものの、
時すでに遅く、摩擦熱に機体が耐え切れなくなっていた。
マラサイの燃えゆくなかで、
「ア・・・アメリアァァァァァー!」
と、地球にのこっている女の名を叫んだ。ジェリドの叫びもむなしく、カクリコン
のマラサイは、大気圏にて燃え尽きた。
数すくない生き残りとして、散っていった同胞に真っ向から顔向けできるようにせねば、と
おもった。いや、ただ一矢を報いるだけでなく、いかなることがあっても、
デラーズ・フリートの結盟を破ってはならぬ、とおもった。そして星の屑を
完遂させることが、愚劣な連邦に対して散っていった同胞へのせめてもの償いとなるのである。
(公国軍の実力、思い知らせてやる)
カリウスはそう思った。
1531:03/02/15 01:48 ID:???
保守よろしく。明後日から多忙・・・
154通常の名無しさんの3倍:03/02/15 11:58 ID:a5f86Xq9
ば・・・「馬上少年過ぐ」とかも・・・。
155通常の名無しさんの3倍:03/02/15 18:13 ID:???
新しい書き手さんの登場ですか
156144:03/02/15 23:03 ID:zKS3TVBF

「花神」中巻P140 高杉晋作が蔵六を訪ねる

ところで、カミーユの背後に、見慣れぬガンダムが立っていた。(略)(あの見慣れぬガンダムはなんだ)と
アムロは強烈な関心を持ちつつも、しかしこの天性のニュータイプは、その表情から好奇心をわざと消した。
(略)アムロは、ガンダムについて質問さえしなかった。彼は別なことを語った。
「今、カラバでは、キリマンジャロへ押し出してゆこうという気分が盛り上がっており、(略)ハヤトも
それをおさえかねているが、カミーユはこれをどう思われる」(略)
「どう思われるか」とアムロが訊いたとき、カミーユの沈黙の長さは、ほとんど記録的であった。(略)
やがて、「このガンダムが、千機もあれば攻略すべきでしょう」と、言った。戦略を、MSで表現
しきってしまうあたり、いかにもカミーユらしかった。アムロも、そういう表現が好きであった。
「なるほど」とはじめてそのガンダムについて、質問した。
「そのガンダムは、見かけたところ、RX−78ではありませんな」「ありません」と、カミーユは言った。
ついでながら、カラバは先進的な勢力であるとはいえ、そのMSは、多くはGM2であり、わずかに
リック・ディアスが数十機配備されているに過ぎない。ところでカミーユは、ありません、とうなずいた
だけで、あとは黙っている。(略)アムロはさすがにたまりかね、
「そのガンダムにつき説明をうけたまわりたい」と、音をあげた。
157通常の名無しさんの3倍:03/02/15 23:06 ID:zKS3TVBF
「花神」中巻P142 余談

ここで余談ながらMSとスペースノイドということで、触れてみたい。(略)
スペースノイドはその居住環境が狭く、人口が多く、競争が激しいせいか、道具、ことに新奇な道具に
対する好奇心が、ほとんど異常なほどに強い。MSが、その端的な例であった。
UC0075、サイド3で「ザク」が開発されて以来、僅かのあいだに驚嘆すべき普及ぶりを見せた。(略)
このスペースノイドの性癖を、もっとも怖れたのは地球連邦政府であった。(略)連邦によって抑圧された
スペースノイドの発明意欲は、はけ口を別な方向に向けた。GMにセンサーやアンテナを増設したり、
「MAX塗り」と呼ばれる塗装をほどこしたりして、これを工芸化することであった。(略)
この戦役の一時期、「ハイザック」という言葉ほど、新文明の象徴的な語感を持った言葉は無かった。
MSの名である。「RMS−106 ハイザック」と言われた。実際は、大したMSでない。
アナハイム社は、時代遅れの機体を、「最新型です」と称して諸勢力に売りつけた傾向がある。
ただし、ハイザックの古さを見抜いていた勢力が、一つだけあった。エウーゴである。
エウーゴは最大の開明家であるブレックス准将の指揮のもとに、MSの改良をはじめており、
アナハイム社の協力により、新型の「リック・ディアス」を配備するようになった。
余談ながら、このようなエウーゴの先進性に較べると、連邦の辺境部隊は信じがたいほどに
後進的で、ジャブローの留守部隊などは、一年戦争当時の試作機で戦闘に臨んだほどであった。
158通常の名無しさんの3倍:03/02/15 23:11 ID:zKS3TVBF
「花神」中巻P147 新型銃を見る高杉

「見せていただいてよろしいか」とアムロは、カミーユの背後のガンダムへ目をやりながら、言った。
「RX−178、ガンダムマーク2と申す」と、カミーユは言って、マーク2取扱法と書かれた
彼の草稿をアムロに示した。口で説明するのが、面倒だったのである。(略)
やがてアムロが読み終え、質問した。「RX−178とRX−78には、どういう違いがあります」
「コクピットを開けてみられよ」と、カミーユは仕事をしながら言った。(略)
アムロは、変に神妙に従順になっている。アムロばかりでなく人間と言うのは、新しい道具に接するとき、
幼児のようにあどけない心になるらしい。「ご覧じましたか」「なにやら、球体のような」
「左様、そのリニアシートとムーバブルフレームが、RX−78との違いでござる。ただそれだけの細工で、
操縦性は天地の差がある」(略)このマーク2は、グリプス製のものであった。カミーユの父フランクリン
が設計したもので、他ならぬこのカミーユとクワトロ大尉により、3機強奪してきたのである。
「カミーユは、このマーク2を好まれるか」と、アムロは妙な質問をした。カミーユはしばらく
考えていたが、やがて、「好みませぬな」と、答えた。
なぜなら、このマーク2は、地球の重力下を長距離移動するときには、このアウドムラのような
輸送機に搭載しなくてはならない。同じMSでも、連邦の「アッシマー」などはMAに変形
して自力で飛行できるという話をカミーユは聞いていた。要するに、このマーク2は、MS単体としては
新兵器であっても、思想的には旧式機であった。カミーユはその事情をよく知っていた。
「エウーゴとカラバが、その正義を連邦に主張せんとすれば、まず新式の変形MSを
そろえてからそうすべきでありましょう」
159通常の名無しさんの3倍:03/02/16 11:29 ID:???
文才のない俺に出来る事をやろう
160通常の名無しさんの3倍:03/02/16 19:33 ID:Qjrufm8e
age
161通常の名無しさんの3倍:03/02/16 23:04 ID:+34e7DCX
「竜馬がゆく」より「横笛丸」嫌われ者陸奥陽之助

「カツはどこへ行った」クワトロは、いった。カツ・コバヤシはこのところアストナージと同居して
アーガマへの補給物資の手配をしているはずであった。
「例のところです」アストナージは、苦い顔でいった。例のところとは、サラ・ザビアロフのことである。
クワトロは珍しく苦い顔をした。「手伝わぬのか」「あいつ、何を考えているのか、わかりません、ここに
坐っていても、ぱらぱらと同人誌とやらをめくるばかりで何もしません。気が付くと、いなくなってる」
「変なやつだな」 カツ・コバヤシは、クワトロでさえときどき不快になるほどやりにくい若者だった。
平素、むっつり押し黙って、他のクルーがなにか話しかけてきても小馬鹿にしたように薄ら笑い、
それっきりで黙殺してしまうことが多い。ところが気に入らぬことがあると、その鋭すぎる舌鋒と強引な論理を
持って相手を攻撃し、勝手に「勝利宣言」を出すまでやめない。それに礼儀がなく、クルーへの思いやりが薄く、
艦内で勝手気侭に生きているようなふしがある。自然、艦内ではみなに嫌われ、ほとんど孤立してしまって
いるような状態だが、ただクワトロだけはカツをかばい、重用し(弾よけという説もあったが)
シロッコやハマーンとの対決には必ず連れて行く。「なぜ、あんな腐ったジャガイモのような小僧をクワトロ
さんは可愛がるのか」とクルーたちは不服に思うくらいだった。
162通常の名無しさんの3倍:03/02/16 23:08 ID:+34e7DCX
「竜馬がゆく」

ただ、カツはクワトロにだけは心服しきっている様子だった。もっともそういう様子を見せることが
ひどく嫌いらしく、クワトロにも突っかかってくることが多い。それに、平のクルー同志の席では、
「クワトロが、こう言った」と、呼び捨てにする。これがクルーのかんにさわっていた。(略)
とにかく、小面憎い男なのだ。あるとき、「ダストシュートから宇宙(そら)へ放り出してやる」
とサエグサやファが騒いだことがあるが、そのときも、この種の小面憎さが原因になってのことだった。(略)
翌朝、クワトロが朝めしを食っていると、カツがやってきた。「遅いですな、いま朝めしですか」
とトレーの上を、のぞきこんだ。オートミールに、大豆蛋白のソーセージ、それにジャムを添えた
トーストが一枚ついている。「そのトーストを一枚、呉れませんか」と、甘ったれるようにいった。
「どうするんだ」「食うんです」「朝帰りか」クワトロは苦りきってトーストをつまみあげたが、(略)
自分でかぶりついた。「これはひどい」「君の気持ちもわかるがね」と、クワトロは別なことを言った。
「僕の気持ち?」カツは、小首をかしげた。
「そのとげとげしい気持だ」「驚いたな。僕は何も、クワトロさんにとげとげしくはありませんよ」
「サエグサやアストナージに対してだ」「ああ、あの連中にね」「もっと仲良くやることだ」
163通常の名無しさんの3倍:03/02/16 23:13 ID:+34e7DCX

「竜馬がゆく」

「ぞっとするな。クワトロさんの言葉とは思えませんよ」「なぜだ」
「仲良く、などは、サネアツ・ムシャーの版画で十分ですよ。モーニングなんとかいうアイドルを
馬鹿声あげて仲良く応援している、そんなのを、クワトロさんは望みますか」「わからん」
「あなたはわかっているはずだ。だからこそ僕はあなたに付いている」(略)
「物を考えない阿呆ばかりが仲良しですよ。ぞっとするような雰囲気だ」
「酒宴で仲間が酔っているときに、君だけが、醒めているというわけか」
「僕は未成年ですが、まあそうです」「醒めているだけでなく、まわりの酔っている奴をへらへらと
冷笑している」「悪い例だな」「しかしそのとうりだろう。その状態は私にもわかる。かつてブレックスが
エウーゴを組織し、スペースノイドの子弟を集めた。私もこうして参加したが、しかし彼等が酩酊している
ごとくにはどうしても酔えなかった」「そうでしょう」「しかし私は、一緒に酔っているふりをしてきた。
今も変わらない」「それは真似できません」「男子はすべからく酒間で独り醒めている必要がある。
しかし同時に、大勢と一緒に酔態を呈しているべきだ。でなければ、この世で大事業は出来ぬ」

「カツ・コバヤシのドキュソで行く一日」を読み返しながら・・・
149さん、ギレンのカリスマがびんびん伝わってきます。
1641:03/02/16 23:55 ID:???
余談(・∀・)イイですね。見習わないと。
1651:03/02/17 00:06 ID:???
>>163
これはクワトロなら言いそうな感じ。
カツもね(w
人騒がせの好きな男がいた。地球帰還作戦が開始され、サンベルトの提供を
めぐってミリシャとディアナ・カウンターが双方干戈を交えていたころである(中略)
〜中略〜
男が、コクピットで、かけ声と共に筋トレをしていた。ピチピチのスーツ、頭は
短髪ですっきりしており、目つきはつねにいかつい。典型的なムーンレイス受刑者
の行装である。
かっこつけている。
恩赦という特例がよほどうれしかったのか、湧きあがる興奮を抑えきれないらしい。
男の乗る機体の両側に、二機のプチMSがある。
二人の背の低い男が歩いてくる。相棒のようだ。
お騒がせ三人組といった感じである。
かつて女王ディアナ暗殺を謀った兵士を大量虐殺したかどで冷凍刑に処せられて
いたのがこのコレン・ナンダーである。筋肉ダルマというべき姿と、単細胞と思えて
しまうような顔をしている。
かれの記憶の中に、白いガンダムにコケにされたということがあった。
相棒のブルーノとヤコップに、
「なんの、コヤ、ディアナ様のためじゃ。ガンダムちゃんをコテンパン
にのしてやらなきゃ、気がすまんのよ」
といった。だからこそ、∀をあぶりだすためにプチMSのレールキャノン
による攻撃を二人に命じたのである。
コレンは本来の茶目なのか、単なるディアナへの忠誠のため∀を倒そうと
したのか、かれのガンダムにコケにされたという記憶にその解明の糸口が
ありそうだが、この、のされた記憶をどこでかれが経験したのかは、謎である。
通信機である。グエンは電線なしで交信できる機械を見るのははじめて
であった。
物狂おしいほどによろこび、それを他の領主たちなどでたれかれとなしに
見せ、
「電線でつながっていなくても、このアンテナで電波を受信し、相手と
交信することが可能なのです」
とうれしそうに説明した。他の領主たちにもグエンなどと同じく機械が
送られたが見たことも聞いたこともない通信機を使おうという物珍しい
人物はグエンくらいのもので、ほとんど使われることなく捨ててしまう
領主がほとんどであった。
グエンのこの喜びようは、機械の歴史からいえばさほど珍奇なものではなく、
むしろアメリアのイングレッサ領主の御曹司が、月の都市で普通に機械を
使っているムーンレイスと同じように機械を知り、驚嘆し、できればアメリア
全体に産業革命をおこして文明を開花させたいという衝動をもったと見て
やるほうがかれに対する親切であろう。
ともかくかれが送られてきた通信機に驚嘆したのが来襲より数年前。
2345年、ディアナ・カウンター来襲。地球と月の騒乱はこのときから幕を
切っておとすのだが、グエンも、イングレッサの代表としてかれらと
交渉をする一方、
「ヒゲの機械人形が出てきたのなら、もっと使える機械人形が出てくるのでは
ないか」
と考え、ミリシャ指揮官ミハエル大佐に話をし、山師のシド爺さんに
マウンテンサイクルを掘りかえすように命じたのは、ディアナ・カウンター
側との本格的交渉をする前のことである。
170:03/02/17 00:56 ID:???
今日はこのくらいで。もう寝ます。
「百策をほどこし百論を論じても、時勢という魔物には勝てぬ」
と、クワトロはいった。クワトロは、なにをいってもきつい目で己を嘲笑して
いるあのハマーンの顔を思いだしていた。
ハマーンがくちをひらけば、「ミネバ様の御意志である」「戻るのだシャア」
というのみであった。
その女を相手に、シャアが百策百論をほどこしてなおかつ敗北感を感じ続けている
のはどういうことであろう。ハマーンの背後には時勢というものがあるのにちがいない。
愚かな女ーとしかクワトロにすればおもえぬあのハマーンは、時勢という巨壁の前に
どかりと腰をおろしている。クワトロはその前でさんざん踊ってみせるのだが、ハマーンは
気難しくきつい視線をむけて見下し、話を聞こうというそぶりもみせない。
「今という刻では時勢はハマーンに味方している。かなわぬのも無理はない」
と、人一倍刻の流れが見える男だけに、このクワトロの詠嘆は肺腑の奥から出たもの
であろう。
資質からいえば己の独裁にこだわり、ミネバを道化にしようとしているハマーンこそ
クワトロの立場となり、クワトロこそハマーンの役割をすべきであった。が、クワトロ
は悲痛にもーと彼はときにおもっているーエゥーゴの指導者であった。
「いや、シャアのおもしろさは」
と、ハマーンはいった。弱点は、と言いかえてもいい。責任を背負うことを
嫌がるところである。というよりも指導者となって長期的に組織を差配して
ゆくことを、世にシャアほどめんどくさがる男もまれであろう。
シャアはパイロットあがりだけにその目はつねにMSパイロットという立場
を固執し、政治家となって俗物とやりあう汚い作業を軽蔑し、蔑んでいた。
オールドタイプたる俗物とやりあい、あわよくば自分が無用のダメージを彼ら
から受けうるということをなによりもおそれた。これほどの革新主義者の男に
この性質上の弱点があるというのはどういうことであろう。かれの父ジオン・ダイクン
にはそれが皆無であった。皆無であることがダイクンの行動を革命家たらしめ、
コントリズム提唱とサイド3首相という政治活動を実践しえたのだが、クワトロは
ジオン・ダイクンとは違い、父のあだ討ちという復讐心に燃えてパイロットになり、
自然その視点は軍人よりとなり、クワトロ自身がダイクンとは違い政治家よりも軍人
的行動を潔いものとして感じ、逆に政治屋を汚れたものとして認識していた。
このため男子の本懐ともいうべき軍事的決着をつけて物事を解決する方策をもっとも
好み、ハヤトがかつて提言したような政治屋稼業に身をつっこみ、支持者を含めた総合的
責任を背負うことをおそれた。そこが、貴公子の意識であり、かれの限界であった(中略)
かれは自分がギレンのような立場になることを恐れ、また政治活動がいかに、気の遠くなるような
時間と刻を要するものであるかを知りぬき、その点でつねに過剰な意識をもっていた。



「だからな」
と、ハマーンはマシュマーとグレミーにいう。クワトロ個人はおそらく
すらすらとエゥーゴを捨てるだろう。しかし、残されたエゥーゴのメンバー
や将兵・出資者たちはそれではおさまるまい(中略)
指導者なき組織など、立ち腐れてしまうのが関の山。われわれに各個撃破
されて沈みゆくのみ。それをエゥーゴのメンバーは承知するか。
「まさか、しますまい」グレミーがいった。
当然、指導者をあたらしくして強化を図るだろう。しかしシャアのいないエゥーゴ
などどうにでもできる。連邦と和約を組み、かれらを賊軍に仕立てて討つ。
いとも簡単なことだ。ティターンズなどはもう力もない、話にならん。
「なるほど、それならばハマーンさまの地球圏制覇もいとも容易い」
マシュマーは唸った。
174通常の名無しさんの3倍:03/02/17 23:03 ID:cc7h3WL2


「竜馬がゆく」「東山三十六峰」から 怪人清河八郎

グリプス動乱史を、ヒートホークで割ったような断定でいうのならば、映画の「月−地球間36万キロ
艦隊戦のひびき」の時代を引き起こした人物は「木星帰りの男」パプテマス・シロッコであるといえる。
シロッコは、MS戦闘の達人で、秀麗な容貌、堂々たる体躯を持ち、MS設計の才あり、さらに謀才あり、
しかも人を蚊トンボとしか思わぬ男で、その上に女たらしの能力と、木星からの資源の仕送りがあった。(略)
諺に、「寄らば大樹の陰」という。シロッコには、クワトロの旧ジオン残党、ハマーンのアクシズ、
ジャミトフの地球財閥、といった活動の背後、基盤がなかった。だから、シロッコが事業をおこすには、
あちらを操り、こちらをだますと言うブローカー的な策略を用いるしか手がなかった。(略)
昨日はジャミトフに取り入って血書まで送ったかと思うと、今日はアクシズと同盟してエウーゴを叩き、
「これからは女性が時代を作るのだ」などと、ぬけぬけと言っている。奇術師とすればこれ以上の
奇術師はない。ただ、踊らされる方も、馬鹿ではない。あとから、「してやられた」と、みな気付いた。
が、シロッコは、度胸がいい。種が割れてもせせら笑っている。割れたときにはもう次の奇術を考えているのだ。
175通常の名無しさんの3倍:03/02/17 23:11 ID:cc7h3WL2
「花神」中巻P40 桂小五郎の秘密

シャア・アズナブル、キャスバル・レム・ダイクンという男は、一応ニュータイプであった。が、彼はその能力を
生涯全開にしたことがない。というより、彼は「ジオング」を操ったほどの技達者だったが、彼がNTになって
知った最大の真実は、NT専用機をもって襲いかかってくる者に対しては、逃げるしか方法がないと言うことで
あった。シャアはこののち劇的な危難に何度も遭うが、そのつどそのNT能力と、通常の三倍の機敏さが、
彼自身を救った。このため、シャアはこのあとのジオンの政治的窮迫期に連邦にしつこく探索されながら
ついにアクシズ落しまで生き延びた。
この時代の政治活動家の用心深さについては、シャアだけでない。ティターンズのジャミトフ・ハイマンも
(略)かならずバスクなどを連れていたし、シロッコやハマーンなどと会合せねばならぬ時、ジェリド・メサを
控えさせていた。もし刺客がおどりこんでくればジェリドがまずその刺客に飛びかかるはずだから、そのすきに
ジャミトフはその老いた体を他の場所に移動できるということであろう。(略)
シャアというのはNTでありながら、スペースノイドに多い思想への陶酔体質は持ってはおらず、ごく常識的な
現実認識家である面が強い。そのシャアをNTに仕上げているのは強いマザコン・シスコンの念とその持続性で
あるらしく、この念はティターンズ滅亡後も続き、(略)彼はむしろ少女を愛するようになり、ララァへの
未練から、連邦軍のアムロと同質の憂鬱症にとりつかれ、UC0093、アクシズを落とす騒ぎを起こしつつ
アムロと刺し違えて流れ星となった。
176通常の名無しさんの3倍:03/02/17 23:14 ID:cc7h3WL2

「城塞」上巻 織田常真入道 あるいはパラレルワールドのシャア 

クワトロが来たと言うので、ミネバとハマーンが、ふたたび上段に現れた。
クワトロは、平伏した。(なぜ私はこのように平伏しなければならぬのか)と、このときも思った。
本来なら、クワトロ=シャア=キャスバルとは何者か、父ジオンが倒れたあと、サイド3を継ぐのは
当然このクワトロ=シャア=キャスバルであるべきだった。それを暗殺者のザビ家に簒奪され、その傘下の
軍人にされてしまった。(略)いずれにせよ、元はといえばドズルも家来筋、その子のミネバにいたっては
なにほどもない。なぜそのミネバに対して平伏しなければならないのであろう。それを思うとクワトロは
奇妙な心境になるのだが、その愚痴もせいぜいカツやカミーユにこぼすしかないだろう。
顔を上げると、クワトロは笑顔をつくり、グレミーのようなものにまで愛想をふりまいた。
「ほう、グレミー殿がおられるか。おや、マシュマー殿もそこに、いやさこれはキャラ殿で」と、
そこは元「赤い彗星」だけにくだけた態度をとって見せた。
ハマーンも、この元恋人には気が置けなくて、つい彼女自らが用件を話した。

177通常の名無しさんの3倍:03/02/17 23:19 ID:cc7h3WL2

「城塞」ひたすら情けないシャア

「ふむ」「ふむ」とクワトロはうなずいていたが、次第に真顔になってきた。容易ならぬことであった。
自分をアクシズに呼び戻して大将にするという。それでもってティターンズ・エウーゴと雌雄を決せよ、という。
(冗談ではない)とクワトロは内心恐れ入ってしまった。ジャミトフと決戦できるだけの器量が自分にあれば、
いまごろエウーゴの使者としてアクシズでミネバに平つくばっているはずがない。
いずれにせよ、クワトロが思うに、MSを操ることには多少のうぬぼれがあったが、(略)とてものこと、
ジャミトフやシロッコ相手に大決戦を交えられる男ではない。それよりもクワトロは安逸が欲しかった。
今のようにエウーゴの一MS乗りとしてアーガマに身をよせているのではなく、
せめて赤い専用戦艦と若い愛人を持って、余生を安らかに暮したい。
1781:03/02/17 23:30 ID:???
>>174-175
175が好きだな。上手いのは174かな。例えが面白い。
>>176
信長次男をシャアにもってくるとこがいいかも。
179坊ちゃん(きつね馬より):03/02/18 00:31 ID:???
「なんだと!?シ、シャア!貴様」
と言い、しばらく身を震わせていた。なにもかも自分の思惑通りにいくはずで
あった。木馬討伐後は、華麗なるイセリナとの婚礼と、栄達が待っているはずで
あった。
背後の木馬からの攻撃とシャアの通信によって、ガルマは自分が愚弄され、利用
されつづけてきたことを、やっと知った(中略)
(謀ったな!シャア!ー)
とおもった(中略)
ガルマはこのどうしようもない現実のまえに、潔い最期を飾ろうとしたのか、
「私とてザビ家の男!無駄死にはしない!」
と、木馬に向けて特攻をかけた。
180度回頭していたガウ攻撃空母は、遮二無二ホワイトベースにむかって
つっ込んできた(中略)
ブライトはミライに緊急の上昇を命じる一方で、全火力をガウにむけて集中させた。
「ジオン公国に栄光あれー!」
かれの脳裏に、イセリナの姿が去来した。
ガウ攻撃空母はシアトルの天にはじけとび、その轟音は、ザビ家の末子ガルマの感情
を象徴するかのように、ホワイトベースのそばで轟いた。
木星帰りである。
フォンセ・カガチ。
それが、この老人の名である。あやしい老人にしかみえない。
が、実物はちがう。左目モノアイの不気味な姿(なり)に、盟友ムッターマ・
ズガンとともにサイド2掌握を狙っている。旧世紀のどこかの国の陸軍大臣
に似ていなくもない、独裁志向の人物である。
むろん担ぎ出す人物は、どんな人物でもよいというわけではない。
(乱世をまとめうるべき人物。多数のひとびとに力をあたえ、慈悲をあたえうる
、そう、女であれば申し分ない)
とカガチはおもっていた。人々に支持されるような劇的要素がなければ、サイド2
全体を掌握することはできぬということを、カガチは数々の事例を知っているだけ
によくわかっている。
かれ自身にはナンバー1の才はない。
なるほど度胸と謀才は天賦のものであったが、かれ自身トップになることを好まず、
むしろ黒幕に徹して才腕を振るいたいという性質の男なのである。
ムッターマ・ズガンはおもった。このカガチという盟友がもっている稀代の
謀才に表現力が加われば虎に翼ということになろう。百万隻の艦隊戦力を得る
よりも、さらに強力なサイド2掌握のエネルギーになるにちがいない。
「おらんのか」
「左様」
ズガンはしばらく考えて、
「女ということなら、一人思い当たる者が」
と、ズガンはいった。
そこでマリアの名前が出たのである(中略)
「マリア?」
「左様。サイド1アルバニアンにて占い師をしておるが、あの奇跡の力といい、
よく当たる占いといい、あれほどの占い師はまずおらん」
「指導者にもってこいか」
「十分、カリスマになれるだろう。あの容姿と才智なら必ずな」
「うむ」
カガチのモノアイが不気味にひかった。木星帰り特有のカンが働いたのだろう。
「会いにゆくぞ」
183通常の名無しさんの3倍:03/02/18 21:36 ID:???
保守
184通常の名無しさんの3倍:03/02/18 23:04 ID:x526SD/Y
対談「日本人の顔」 梅棹忠夫氏との対談

シーバ・リョター  一年戦争当時の写真を見ますと、台湾の高砂族のような顔をしてますでしょう。
          写真のドットも荒いしレタッチの技術も未熟だから、デラーズフリートの勇士でも、
          なんだか首狩りに行くのかなというような感じでしょう。

ウメザ・タダーオ  特にランバ・ラル隊の写真などを見ると、ほんとにものすごい顔してますね。

シーバ 写真の技術があれだから、どうしても気張ってくる。ニューディサイズのブレイブ・コッド
    なんかそうですな。あれ三分ほどがんばってる顔ですな。(笑)

ウメザ 写真に魂を吸い取られるという迷信が分布してるんです。たとえば、前世紀の日本で流行った
    「プリクラ」というのはおもしろい。女の子がベロを出したり、皆何か非常におもしろい
    ポーズをするんですね。

シーバ つまり斜めに構えることによって魔を逃れる。 

172さんのシャアの性格分析とハマーンとの微妙な関係がすばらしいです。
185通常の名無しさんの3倍:03/02/18 23:11 ID:x526SD/Y
「日本人の顔」

シーバ ぼくはバーニイ・ワイズマンというまあ無名兵士の写真を持っていた。学生だったのが
    動員されてサイクロプス隊に入って、間もなく戦死するんですが、この人の写真と言うのは、
    劇中人物の写真のようなポーズを作ってますな。ヘルメットを膝に置きまして、それで
    横向きで遠くを眺めてるんですよ。宇宙世紀というのは猛々しい時代ですから、
    どうしてもポーズが芝居がかるのでしょうな。(略)
    あれは言語学者のチェンバレンやったかどうか、連邦顔とジオン顔に分けた人いるでしょう。
    連邦顔は貴公子の顔で、ジオンは石臼のような顔だというんですけれど、
    連邦でも、たとえば、リュウやハヤトなんかはずいぶん薄みっともない顔してますからね。 
    ジオンでもガルマなんか非常にノーブルな顔してますからね。

シーバ アーガマのカツ・コバヤシと言う人などは、0087年ですか、せっかくノーマルスーツを着て 
    Gディフェンサーの操縦訓練を受ける姿で、非常に誇らしげにしてますが、
    そのくせに猫背でしょう。足元はと見ると内股(笑)だからこれはカッコ悪いほうのパターン
    やな。おそらくやっこさんはモデルになるべきものを持っていない。(笑)   

1861:03/02/19 00:05 ID:???
>>184
「顔」に注目するとこが凄い(w
>台湾の高砂族
>がんばってる顔
ここらへん笑わせていただきました(w
>>185
正確にはバーナード・ワイズマン。バーニィは愛称ですね。

172に関してはわりとやりやすいです。慶喜とクワトロがよく似てるし(w
難しいのは女性描写でしょうか。

戦闘描写を文体で表現するのはとても難しいですね。今Vガンを見てる段階なんで、
また書いてみたいと思ってはいますが。
そう考えると、司馬氏の文体はリアルだな。

長文スマソ。
その夜は、ナナイとともに寝た。
ベッドの上で肌をふれあってしまうと、肌のぬくもりがナナイの羞恥を
融かした。男女というものは、奇妙なものである。愛しあっていても、常住、
肌を接しあわないかぎり、永遠に他人なものなのだろうか。ナナイはそうに
ちがいないとおもった。自分のなかの他人を融かしつくすには、はげしく
燃える以外に手はなかった。ナナイは、白い四肢をもだえさせて、かぎりなく
シャアにもとめた。
やがて、そのことがおわったとき、ナナイは上気したほおをベッドの上に伏せながら、
そっと横目でシャアをみて、
「大佐」
「うん?」
「これで、大佐は、ナナイの大佐」
「妙なことをいう。いつどんなときでも、わたしはナナイのものだが」
「ちがいまする」
ナナイは、形のいい唇を、小さくつぼめて、くびをかしげ、
「遠くはなれていても、ナナイは毎日、大佐のことばかり考えていました。
ところが、あまり想いすぎると、かえって、夢にはべつの光景が浮かんできたり・・・
こんなものなのでございましょうか」
「・・・・どうかな」
「今夜こそきっと大佐だ、大佐が夢のなかにあらわれてくださる、そう祈りながら毎夜眠り
につくのに、出ていらっしゃることがないばかりか、なぜかべつの女のこえがきこえてきたり、
するのでございます。ほんとうに妙でございますわ。そのくせ、昼間、日常のなかの大佐を
見ていますと、夢のなかの女と戯れている大佐の姿とはまるで別人の大佐がそこにあって・・・
ふしぎ。ーだけど、その女の顔はわからないのです。大佐の姿はちらほらとみえるのに。思い出せない
のです」
「そのことか・・・・気にすることでもない。私の気持ちはナナイが一番よくわかっているはずだ」
カガチはすでに、マリアのことは十分に調べぬいている。知れば知るほどそれが
偉材であることがわかり、
(わしの才能、マリアの慈悲、この二つが両輪をなせば覇道は成る)
とまで思うようになった。マリアが貴人伝中の人物であることも知り、そういう
性格の女を掌中におさめるにはどうすればよいかという点も、練りに練った。
演出が必要だろう。
マリアはごく自然に会釈をし、「こたびはお招きしていただき、ありがとう
ございます」とごく普通にいった。だが、油断はできない、という気持ちで
マリアはカガチの顔をじっとみつめている。
(侮れない老人・・・)
と、おもった。60を過ぎた、というところだろうか。眼がぎょろりと光って
いるところが、尋常一様の男でないことを思わせる。
やがて夕食の仕度がととのった。
マリアはテーブルの上の品々を見た。マリアの嫌いな食べ物はなく、野菜、山菜、
といった菜食系のものがほとんどで、どの品も好物でないものはなかった。
(わたしのことをずいぶんと調べたのね)
と、マリアは敏感に察し、むしろそのことに警戒心を持った。カガチがただのねずみ
でないことが、この一事でもわかるではないか。
「カガチ殿は相当のタカ派だそうですね」
と、マリアがいった。
言ってから、すこし酷だったかなともおもった。カガチはそのタカ派振りゆえ、
当然敵も多い(中略)
タカ派、という言葉を聞いたとき、カガチはナイフを動かしていたが、急にむせ、
いやむせたふりをしたのか、顔を真赤にしたまま何もいわなかった。
食事のあと、雑談になった(中略)
「この使用人が、老いて聾(ろう)でござってな」
と、カガチは自分の耳をさした。
あるとき、使用人は庭に出て草むしりをしていた。カガチも使用人の
そばにしゃがみこみ、使用人から昔話をきいていた。
たまたま午(ひる)で、そのまわりにむらがっていた鶏が、首をもたげて鳴いた。
使用人はその鶏を見、やがてカガチのほうにむきなおって、
「星移り物換(かわ)れば、ものがみな昔とちがって参りますな」
と、ため息まじりにいった。
「どういうことだ」
「あの鶏からして昔とちがっております。わしどもの若いころの鶏は時を
報ずるときはかならずコケコッコーと鳴いたものでござりましたが、いまの
鶏はただ嘴(くちばし)を開けるだけでござりまするよ」
カガチはこの話を、使用人の表情までつくって話した。自分の耳がわるいということ
を知らぬ、というのである。
マリアもこの話には笑いをおさえきれなかったが、四半刻ばかり経って
からカガチがわざわざこの話をした真意に気づいた。この使用人とは、
つまりマリア・ピァ・アーモニアのことではないか。そう言っているのだろう。
時勢がまったく見えず、聞こうともせず、塞いだままで平然としている。
当のカガチにすれば、「いつまでもただの宗教団体の長程度にとどまって
いるな」と言いたいのではないか。
「仰ること、よくわかったような気がします」
と、マリアはいった。
そのあとマリアはにわかに態度をあらため、まじめに自分の理想と方向性を語り
はじめた。
奇跡の力により、多くの迷える人々を救いたい。戦乱の世を鎮め、希望のひかりを
あたえたい、慈愛の精神に満ちた美しき聖母の理念であった。
カガチは理想論などとうの昔に知っていたが、かれ自身、そんなことはどうでもよかった
のだが、マリアにさからうことなくいちいちマリアの考えにうなずき、ついには横手をうち、
「あなた様の仰ること、理念、わたしも賛同いたします。ですが慈悲を宇宙全体にあまねく
満たすためには、私に協力していただくことがなによりの近道です」
と叫ぶようにいった。
マリアはカガチの目をみつめ、その言葉が嘘ではないということを信じてしまった。
カガチの主張に賛同し、「本当にそれが近道なら、カガチ殿の手をお借りしてもいい、と
考えております」と言い、
「このことにより、より多くの人々が幸福になれますよう・・・」と、祈りを天に
捧げながらいった。
こうして、協議とマリアの意志によって、0146年、マリア主義集団を取り込む
かたちで政治結社ガチ党が結成、マリアは、カガチに担ぎ上げられることとなった。


しかし将来のコスモ貴族主義の女王となる運命であるなら、養父シオの
立場とて悪くなるどころか、むしろ今以上にいい立場になるであろう。
シオは即座に承知した。
そしてシオは、セシリーをロナ家へさし出す(正確には戻すというべきだが)
ことにした(中略)
ーようやくセシリーが役にたった。
とシオはおもったであろう。ナディアが生んだセシリーは、ロナ家の象徴となる
そのための修練としてシオのもとで育てられてきたようなものであった。齢は、18
になっていた。
193:03/02/19 02:23 ID:???
もう寝ます。
194通常の名無しさんの3倍:03/02/19 02:49 ID:0jXf0ZWJ
とても良いスレを見ました。2ちゃんねると言うところには本当に良い人が多いところ
なんです。
グレミー・トトという、まっとうな軍人の履歴を経てきた人物としてはひどく若年
から突出したこの男は、諸説あるが、あのジオン公国総帥・ギレン・ザビの正統なる
後継者ということを根拠として、ハマーン・カーンに対して叛乱をおこした。
しかし真実、ギレンの子かどうかは疑わしく、クローン人間説もあるくらいであり、
なによりも時期的に奇妙であった。
グレミー程度の才略やニュータイプ能力をもった人物は宇宙世紀史上では
決してめずらしくないであろう(中略)
いや、そもそもクローンという存在が出てきている時点で、特異な存在である
ととらえるべきなのであろうか。思いあわせてみると、プルツーのような存在といい、
グレミーの存在といい、クローンというべき存在のパイロットたちは、そのほとんど
が最終的には消えゆく運命をもたされていたかのように思える。
197横入り失礼?:03/02/19 23:04 ID:iY9CgCN1

「割って、城を」 古田織部

そのマ・クベは、ザビ家の新しい政権の中で、彼にふさわしい地位を見出していた。
公女キシリアの茶道の師範である。これは容易ならぬことであった。茶を教える場合、ときに一室で女性の
キシリアとふたりきりになる。よほど、ザビ家の信頼が厚くなければ勤まらない役目であった。
(マはなんと幸運な男よ)と高官からも羨望された。(略)茶室で、キシリアと壷を愛でているうちに、
どういう政道向きの意見がマの口から出るかも知れないと思って、艦隊を率いる提督たちもマの機嫌を
そこねまいと思った。(略)(ところが、)ウラガンには、一つの不審がある。マのMSのことである。
MSのことはよくわからないが、(無益なことをする)と、かねて思っていた。
最初、マ専用の「グフ」を見たとき、その印象はおどろくほど重かった。
よくみると、全身にずしりとした黄金で装飾されている。「グフ」の異様な重量感は、そこから出ていた。
ウラガンは、一度、マの仕事場に入って、ものめずらしく見学したことがある。(略)
うるしに小麦粉を混ぜてよく練るのである。それを機体の上から塗り、七日捨てておく。(略)
まだ、仕上がりではない。その半乾きのものへ、金粉をかけ、うるしを塗り、そのあとは木賊でよく
みがくのである。(手間のかかる仕事だな)ウラガンは、あきれた。さらにあきれたのは、こういう設備を
一大佐が陸戦艇に持っていることであった。
198通常の名無しさんの3倍:03/02/19 23:09 ID:iY9CgCN1

「竜馬がゆく」「若者たち」

みな若い。27歳のクワトロが、齢がしらだった。(略)そのうち、席のすみで、みるからに目の鋭い若者が立った。
いきなり空手の「演武」を始めたのである。年のころをみると、アムロより7,8歳は下らしい。
「あれは誰です」「知らないのか。グリーンノアのカミーユ・ビダンだ」「あの男が」
アムロにはわかった。あのガンダムに乗っていた少年だ。「いい面構えだ」「ふむ、一年戦争に参加していれば、
あれも艦隊を率いるほどの男だ」演武が終わって席へ戻ろうとするカミーユを、クワトロがさしまねいた。
「カミーユ君、こっちへ来ないか」「なぜです」(略)「なぜって、君」さすがにクワトロも不快な表情で、
「ただ来給え、と言っただけだよ」「クワトロ大尉は理由もなく人をお呼びになるのですか」
「では訊くが、君は、理由がなければ来ないのかい。そこから、わずか三歩の場所だぜ」
「たとえ三歩でも、カミーユ・ビダンは理由なく身を動かしません」(こいつは、化物だ)とアムロは思った。
理屈っぽい、というものではない。理屈が人の皮を着て歩いているような男である。
クワトロももてあまし気味で、「いや、理由はある」「おっしゃっていただきます」
「ここに、アムロ・レイ大尉がいる。君をアムロ君に紹介したい」「ご無用にねがいます」
これには、クワトロもアムロも驚いた。喧嘩腰ではないか。
199通常の名無しさんの3倍:03/02/19 23:20 ID:iY9CgCN1

「竜馬がゆく」

「なぜだ」「僕は、MS乗りに興味はありませんよ」
「カミーユ君、先輩を侮辱すると、そのぶんには置かぬぞ。第一わたしもMS乗りだ」
「クワトロ大尉は違います。エウーゴに参加してMSを人類に生かそうとなさっています。だからこそ敬慕
しています。が、お隣の方は単なるMS乗りで、いや失礼。事実ですから。せっかくガンダムに乗った
功績がありながらいま世界がどうなっているか、我々若者が何に命を捧ぐべきか、お考えになってる
ご様子がない。そういう方とは、僕は御近づきねがう気がしません」(驚いたなあ)アムロは、正直、
目を丸くしている。「カミーユ君」クワトロは、立ち上がった。
「表へ出ろ、私は自分の友人を侮辱されて黙ってはいられない」
「いや、僕が」飛び上がるようにして立ったのは、例のカツ・コバヤシである。まだ子供だから小さくなっていた
のだが、アムロを侮辱されて黙っていられなくなったのだろう。さらにカツはホワイトベースクルーでもある。
クワトロの手をわずらわすより、自分がやる。と思ったのだろう。
「僕がやります、カミーユ君、表へ出ろ」身の程知らずではある。さすがに後年、「自爆のカツ」と言われた
ほどの男だ。「いやこれは」無理にも明るい声を出したのは、当の被害者のアムロだった。
ただ公国軍総帥ギレン・ザビの場合はこの点がひどく異常であった。
かれの父デギンはジオン共和国を公国制に移行させ、ザビ家一統独裁
を成立させた男であったが、ギレンはこのデギンのやり方が気に入らず、
ひそかに側近と語らって策謀し、デギンが自ら独断でレビルを仲介として
連邦政府との和平交渉をしようとし出撃したのを、ソーラレイの一令とともに
一瞬で消してしまった。あたらしい時代を自らの手でひらこうとするとき、
それをさえぎるものは父といえどもたおすべきものであることにはかわり
がない。
そうではあるが、時勢からみればグレミーは遅く出すぎたのであろう。
ザビ家一統の時代は過ぎ去ろうとしていた。サイド3首相となったジオン・ダイクン
はその思想や人となりはすでに昔語りのひとになっていたし、ギレンやキシリアもこの
世にない(中略)
そのあとその一門ともいえるべきハマーンがザビ家の権益を相続し、中央の体制をかため
つつ地球圏全体に自らの威をおよぼそうとしている。それに対抗している勢力として、クワトロ
失踪後の残党勢力にまで落ちぶれているエゥーゴがまだ存在しているが、指導層のやる気のなさと
戦力・人材不足という観点から、やがてはハマーンの勢いに併呑されてしまうかもしれぬという
のが、おおかたの印象であった。
とにかく、べスパの方針は、
「モトラッド艦隊ノ強襲ヲモツテ地球浄化(クリーン)作戦ヲ遂行スル」
というものであった。リガ・ミリティアから多少の抵抗をうけ、それがため
犠牲を払うとも、あくまでもすべて揉みつぶし、滑走路のごとくきれいに、
掃除をするかのように一掃する。たとえ地球に住む人々が踏み潰されようとも、
それは偉大なるマリアに殉じる行為なのであるから、これはむしろ神聖なる
作業なのである、というのがこの作戦の根幹であった。
それには優しさと繊細を十分以上に持ちあわせているクロノクルが最適であろうと
べスパおよび首脳部はおもったかどうか、それはわからない。
「クロノクルにはクロノクルでなければならぬ役がある」といったタシロ・ヴァゴ
大佐のことば(不確実だが)はすくなくとも地球浄化作戦を想定した時期のことば
でなく、このことばをもってこの人選をさぐるわけにはいかない。
さて、クロノクルにあたえられた作戦参謀アルベオ・ピピニーデンのことである(中略)
大尉のとき地球に赴任、ラゲーン基地に着任してからはさきに述べたとおり、ピピニーデン・
サーカスの腕を存分にふるってリガ・ミリティア側と戦った。この点の重力下戦闘と地球経験
を買われ、クロノクルの作戦参謀に補せられたのであろう。さらにクロノクル・アシャーとは
士官学校における先輩・後輩の間柄であり、人としての縁も深く、まずかれらは懇意の仲と
いっていいであろう。ピピニーデンはそれらの経歴からみても、クロノクルと地球で結ばるべく
宿命づけられているようであったが、これがピピニーデンにとって幸福であったかどうかはべつ
である。
いまさらあらためていうことだが、この稿は小説である。
ところで、こうも想像を抑制していては小説というものは成立しがたいが、しかし
マリアは実在した人物であり、彼女の時代のどの人物よりも著作物が多く、さらには
同時代と後世にあたえた影響の大きさということでいえば彼女ほどの人物は絶無である
かもしれない。このため、彼女のような歴史的実在に対しては想像を抑制するほうが後世
への節度であるようにおもわれ、むしろそのほうが早やばやとマリアのそばに到達できる
ということもまれにありうる。しかしながら抑制のみしていてはマリアを肉眼でみたいという
筆者の願望は遂げられないかもしれず、このためわずかづつながらも抑制をゆるめてゆきたい。
12月7日、ティターンズ艦隊との攻防のさなか、目の前を巨大な閃光が走りぬけた(中略)
その黒い閃光は一直線にサイド2へむかい、そのなかの18バンチをあっというまにつらぬいた。
いわば串刺しの目に遭ったが、このとき、18バンチコロニーの住民のほとんどが消滅した。
「人間のうめき声が、いっぱい聞こえたよ」
と、カミーユはつとめて顔をうごかさずにいったが、あの人間が一瞬で消えほろびゆく黒い
光景はかれの終生、グリプス戦役におけるかれの精神崩壊に直接ひびいたほどのすさまじい印象
をあたえた。カミーユはきわめて純粋で、繊細な性格をもっていたがゆえに、人の死から受ける
衝撃が人一倍深刻であり、事実、かれの精神は今後はげしく揺さぶられてゆくのである。
206通常の名無しさんの3倍:03/02/20 01:43 ID:???

いい馬刺を安く売ります…

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2071:03/02/20 02:34 ID:???
ネタ考えないといかん・・・・寝ます。
208通常の名無しさんの3倍:03/02/20 23:07 ID:sy3Af4P7

「割って、城を」 古田織部

MS狩りというものが、一年戦争後期にジオン高官のあいだで熱病のようにはやったことがある。
ジオニックやツィマッドの倉庫をしらみつぶしにさがし、在庫品のザクやドム、開発段階で放棄された
試作機などを召し上げ、好き勝手に改造して見せびらかすのである。(略)
ウラガンが驚いたことに、先ほどまで変哲もなかった試作機が、一変している。マ・クベが魔術を
用いたのかと疑わしくなるほど、その景色が見違っていた。頭部の形状といい、ビームサーベルといい、
中世の騎士のようであった。(略)
さらに新しい装備が取り付けられた。シールドにミサイルが仕込んである。(あっ)
「大佐、なにをなさいます。シールドにミサイルなど、危険です」「改造する」マは、楽しそうであった。
「改造して、私の好きなように、自在に武器や装飾をつける。その景色は、いちだんとよいものだ」
「ほう」改造すれば、名も実も、ギャンはマの作品になる。搭乗するだけではつまらぬ。
そこにマ・クベを注入させるのだ。それにはMSを改造するしかない。とマはいいたいのであろう。
(MS道楽というのは、おそるべきものだ)戦場ではいかなる敵にも震えの来なかったウラガンが、
いま、体が小刻みに震えてきているのを感じた。
2091:03/02/21 00:21 ID:???
>>194
前スレもhtml化されたあと読んでくださいね。
>>208
織部がマ・クベ、斬新だな(w
アデット・キスラーは、色白で美人といえる風貌をもっていたが、背が高く
性格は竹を割ったようにわかりやすく、言動はつねに正直ゆえに、きつい。
元シベリア鉄道警備隊員であったが、愛するヤッサバが辻占いの少女とともに
離脱してしまい、そのことで自分の居場所に疑問を感じていた際、誘いをうけて
現在エクソダス遂行中の「ヤーパンの天井」に所属している(中略)
「アデット先生」といえば、その傍若無人振りと、えもいえぬ強い女・確固
とした信念を持つ女性として(特にゲイナーからみれば)認知されている。
そのうえ彼女には私設部隊ともいうべき「アデット隊」という集団すら存在しており、
侮れない存在となっている。
自分の愛するヤッサバに勝ったゲイナーに強い男になりうるものを見出した彼女は
教師となってよりすぐにゲイナーの家に転がり込み、共同生活を強引にはじめた。
むろん、目的はゲイナーの鍛錬にある。
「私、本当に戻ってきてしまった・・・この練習艦にいる、あなたのもとに」
「おどろいたな」
シーブックはセシリーの隣に座り、
「本当に、僕のもとに帰ってきてくれたのかい?未練はないんだな」
「あなたは、私を忘れないでいてくれた・・・でも、まだ不安でいっぱいなの」
「・・・・・ねえ・・・」
セシリーの目は、シーブックをまっすぐに見つめている。二人の気持ちは素直
になっていた。劇的な要素が重なりすぎたなかで、シーブック自身も、自分の
自分の気持ちに正直になろうと心にきめた。
シーブックは、呼吸を落ち着かせながら、ジーパンをぬいだ。セシリーは静寂
のなかで眼をこらしているらしい様子であった。
「セシリー」
「うん」
「はじめるよ」
シーブックは、ベッドの上にセシリーを押し倒し、その温かい体を
力一杯に抱き寄せた。
「痛い」
「ごめん。なんせはじめてなもんだから」
セシリーは、だまったままである。
シーブックの手が上半身に伸ばされ、くびや背をのけぞらせ、懸命に
吐く息をこらえている。
〜中略〜
シーブックは、セシリーがどんな目鼻だちなのかふと気になって、細い
首すじから耳たぶ、頬、唇、まぶた、にかけてそっと小指の腹で触れて
やった。
(可愛い。・・・・)
むろん、暗中ゆえはっきりとはみえない。
〜中略〜
なにげなく、セシリーの胸の先端を指でつまんでみた。セシリーは、
びくり
と、肩をすくめた。シーブックは意外な反応におどろいたが、しかし
セシリーの女身のかなめとなる場所はここではないことは、シーブック
もよく知っている。
ところが、セシリーは柔らかい両足をくっつけ、かたく閉じたままひらこうと
しない。
「ここだ、ここをひらいてくれ」
「それは、シーブックが自然とひらけるように導いてくれないと・・・」
この娘は、十分に落ち着いていた。肢体こそ羞恥に満ちていたが、言葉に
落ち着きと気品があった。
それならこうかな、とシーブックは、セシリーの胸にのせた掌を腹部の
やわらかい起伏にそっと撫でおろし、やがて小さな隆起にとどいた。
そのころにはすでにセシリーの花がひらいていた。
小さな隆起は、シーブックの掌の下で、そこだけがべつの生き物に化した
かのように動き、やがてシーブックの指が濡れた。
あとは、神が人にあたえてくれたままに従えばよい。苦もなかった。
シーブックはセシリーの胎内を自分のものとし、胎内をシーブックにあずけた
セシリーは唇を噛み、ときどき息を洩らし、ときどき小さな声をあげた。
「シーブック」
セシリーは、夢中で白いあごをあげた。
カガチは、いわばこの政権奪取のおそるべき凶器ともいうべきギロチンの
使用についての相談を、マリアにもちかけた。
「マリア殿はどう思われる」
とカガチはいった。カガチの怖れたのは、マリアは女王になる意思を
もっている人物であっても、これほどの強権を行使してまで女王の地位と
ガチ党の政権獲得に賛同するのだろうか、あるいはもっと平和的手段をと
反対するのではないかということだった。ところがマリアは、
「仕方のないことです。やむをえません」
と、ギロチンを用いることに消極的ながら賛成した。
専制者(総帥)が支配する国家の兵というのは、つねにそういうものであった。
ザビ家一統の保身のために兵たちは死なねばならず、死んでもむろん、そういう
国家の兵士である以上、その死は当然な死であり、さらには総帥およびサイド国家
ジオンにとって偉大な名となっているジオン・ズム・ダイクンのもとに殉じると
いった精神が確実に保証されていると信じていた。
ギレンは完璧な答案を作成し、かれみずからが、ほぼ満足するまでに
重厚な防衛準備を完了した。
「これで、連邦艦隊も壊滅するだろう」
と、めずらしく景気のいい壮語を吐いたのは、よほど自信があったに
相違ない。
その自信も、かれにとって思いがけない出来事で崩壊しようとは、かれ
自身つゆほども予見できなかったであろう。
217:03/02/21 02:32 ID:???
これくらいで。
218通常の名無しさんの3倍:03/02/21 22:03 ID:???
書き手さんたち発表のペース速くないですか。
余計なお世話かもしれませんが創作するの大変そうなんで。
こちらはたくさん読めて嬉しいけど、先を考えると正直一日一書きこでも良いのでは。
219通常の名無しさんの3倍:03/02/21 23:10 ID:ojTLZRa/

「花神」中巻  144

フォウは、ミノフスキー物理学の話をはじめた。(略)、カミーユは、感嘆した。
彼が学校で学んだ物理学は、もはや怪しくなったのである。
「その理論を、実戦で使えますか」「とても、むずかしいことでございますね」と、フォウはいった。(略)
「物理学や軍事理論にくわしければ、実戦に強いのか」と、レビルが書いているのをカミーユは読んだ
ことがある。「否」と、レビルはこの設問を否定した。(略)物理学そのものは、戦闘にはとても役に立たない。
が、それを技術の裏打ちとして統合し、理論と技術をくるくると相関させていくのは結局個々の戦士である。(略)
夜はふけたが、----------まだか。という愚劣で猥雑な期待ながら、その期待を監視役の軍曹は持ち続けている。
変な少年とフォウが、どうにかならぬかということであった。(略)
が、話題は、学問と名前とのことらしい。しきりに「カミーユとは女の名前か」という話が出る。
(なにをしてやがるんだ、あの両所は)と、軍曹は幕の上がらぬ芝居を待つようにばかばかしい。(略)
ひとつには軍曹は、相手が強化人間だったからにちがいない。強化人間がどういう恋愛や性生活をするか、
この点が軍曹の強化人間への不審のひとつであった。カミーユとかいう少年と出逢ったとき、
さてこそと思い、躍り上がりたいような期待を持ったのである。
220:03/02/22 01:34 ID:???
>>218
お気遣いありがとうございます。
衝動的に書きたくなったりするんですよ、読んでると。
まあ、大変なときもありますけど。

というご意見なので、一日1〜2書き込むことにします。
ここ2、3日は多忙なのでちと無理ですが、保守よろしく。
221通常の名無しさんの3倍:03/02/22 18:54 ID:???
間に合った
222通常の名無しさんの3倍:03/02/22 20:54 ID:pN33W2lw
「項羽と劉邦」(38頁)より
マ・クベは、ガンダムをテキサスコロニーにおびき寄せたが、シャアの目の前で
敗北した。MSギャンに乗り込むとき、副官のウラガンをかえり見、
「北宋の壷をおぼえているか」
と言った。骨董品好きのかれがもっている壷のうちの一品であった。ウラガンが
うなずくと、マ・クベは、
「もしものことがあれば、お前はグラナダに帰り、あの壷をキシリア閣下に届け
てくれ。あの壷はいいものだからな。」
と言って、出撃した。

北宋の壷は青磁?
223通常の名無しさんの3倍:03/02/23 09:43 ID:???
保守
224    ↑:03/02/23 13:54 ID:???
同志発見
225通常の名無しさんの3倍:03/02/23 21:37 ID:???
総スレ数578、そろそろ圧縮がきそうなんで
226通常の名無しさんの3倍:03/02/23 23:19 ID:t1NfUvp2
そしてさらに保守、同志age
227通常の名無しさんの3倍:03/02/24 20:53 ID:???
なんか幕末物みたいと思いながら保守
2281:03/02/24 21:46 ID:???
ここんとこ身内の行事で多忙でした。一旦ageますね。
シバ「シャアという思想のもっともラディカルな突角は、彼が、「人類
全体をニュータイプにしてしまわなければ永遠に人類は救われない。だから、
アクシズを地球に落下させて、その人類のゆりかごたる地球を寒冷化させる
ことによって、はじめて人類は自立し、ニュータイプへと開花できる環境を
つくりだせうる」と考えていたことです。ところが彼の思惑は外れて、アクシズ
は地球に落ちることなく、オーロラの波とともに地球から離れていってしまった(中略)
彼には、スペースノイドを保護存立せしめたいという考えがあったのではないでしょうか。
つまり、ニュータイプへと開花しうる可能性をもった人類がスペースノイドであるとすれば、
その可能性をより引き伸ばし、開花させるために導く指導者は、やはりジオン・ダイクンの
実の子である自分しかいない。そうシャアは考えていたのだろう、と思うんです(中略)
ハギワラ「その通りでしょうね」
シバ「シャアという人はいかにも革命家ですけれども、しかし指導者たるべき
革命家として余分なことに、一パイロットとして、アムロ・レイと決着をつけ
たいという持続的な願望を最後まで捨てきれませんでした。普通に考えればアムロ・
レイなどいくら最強のニュータイプ・エースだといっても、所詮は一介のロンド・
ベルのパイロットにすぎませんから、さっさと有利なうちになぎ倒して地球寒冷化
作戦を完遂すればいいじゃないかと思うんです。ところがシャアはまるで敵を利する
かのようにサイコ・フレームの情報をわざと流して、わざわざνガンダムをアムロに
完成させてから、直接対決を迫るわけですね。
このところが、ララァを殺された恨みを直接晴らさなければ気がすまないという、
パイロットあがりのシャアらしいというべきこだわりだと思います。ナナイもシャアに
対して問い詰めているくらいですからね(中略)」
ハギワラ「なるほど。確かにナナイからすれば、シャアには総帥であってもらわねば困るとこが
ありますしね。彼女は組織人としての在りようをシャアに求めているし、その一面のシャアを見て、
支えているわけですから。内心は許せなかっただろうな、アムロとの個人対決は」
シバ「もう一ついえることは、第二次ネオジオン紛争でのシャアの軍は
ネオジオン軍ですね。幹部たちは独立戦争やグリプス戦役、先の第一次
ネオジオン抗争をなんらかのかたちで戦い抜いてきた、つまり、宇宙戦争
の生き残りで、革命家としてどういう等級にランクされるかは別として、
ニュータイプ思想や、ジオン公国の大義を奉じている者たちでしょう(中略)
強烈な反連邦意識はあっても、実際の軍隊としては、思想的にバラバラな連中が
そろっている。むしろ、そのバラバラの勇士たちを、革命家ジオンの血を
ひくシャアがまとめるというかたちで成立している」
シバ「この軍を形成しているほとんどが、旧公国軍の系列を組む将兵が
ほとんどなわけです。ダンジダン派というのは、ハマーンの残党勢力ですね。
ランバ・ラルと並び旧公国軍で勇猛を謳われたかれとその指揮下の兵士たちは、
ハマーン・カーン亡きあとも孤軍ながらもゲリラ活動を継続して、その存在感を
示しております。シャアとの接触の際に、ダンジダン・ポジドンは惜しいことに
戦死してしまうんですが、この残党を糾合したシャアの勢力はきわめて大きくな
り、軍内部でもダンジダン派はわりといい待遇を受けていたようです(中略)
最強を謳われた彼らの力量は健在だし、しかも団結力は強い。かつてのデラーズ・
フリートの戦力を縮小したような連中が揃っていた。しかしダンジダン派の意識は
シャアのニュータイプ思想とはまったくべつの意識ですね」
ともあれ、モトラッド艦隊の任務たる、地球クリーン作戦は開始された。
ちなみに、艦隊は三つにわけられており、一つはピピニーデン直率の「ラステオ
艦隊」もう一つはガチ党員にしてバイク狂といえるほどのバイク乗り、ドゥカー・
イク少佐が搭乗し指揮、ちなみに彼がモトラッド艦隊設立の提案者でもある。
最後がクロノクル直卒の艦隊である。
作戦の内容はその名の通り、地球をクリーンにすることである。要するにすべてを
バイク型戦艦アドラステアで踏み潰し、地ならしをするということである。
モトラッド艦隊はメキシコ湾タンビコ付近より上陸、北米大陸を北上することとなった。
この際、海底に潜んでいたところをリガ・ミリティア側に発見され、パイロットと
MSゾリディア、アインラッドを捕獲されている。
まず、町をつぶさねばならない。クロノクル指揮下のモトラッド艦隊は
その巨大なタイヤの威容を示しながら激進、これに対して一機のMSジャベリン
がその進撃を止めようとアドラステアの前に躍り出たが、激烈な対空砲火の
前に墜落し、大地に落ちたところをパイロットまるごと踏みつぶされた。
町の住人にとっては寝耳に水であったろう。ドゥカー・イクの下令のもと、ビームが
撃たれ、建物が一瞬で破壊され、町は壊滅した。


クワトロは、この日の情景を、からだが壮健であっても、しきりと夢に
みた。
かれほど劇的な情景をその人生で数多くもった人物も稀であったが、その
なかでもこの宇宙世紀0088・2月22日の日の記憶ほど、ララァの記憶
とともにかれの心にふかぶかと焼きついた思い出はない(中略)
かれ自身、力のかぎりエゥーゴとニュータイプの未来のためにつくしたが、
ついにむくわれず、いまカミーユの崩壊を感じながら自らの行方をくらまそう
としている。クワトロは、自分を劇的な存在として感傷することを、その乾いた
意志力でおさえることができる男であったが、しかしこのときだけは、
大破した百式の上でとめどもなく涙があふれた。
(もはや、希望を見出すことなど無意味だ)
と思うと、クワトロは少女のような感傷に襲われた。が、堪えた(中略)
このときに、重力に魂を縛られた人々を粛清するとかれは本気で決意したので
あろう。二度と同じ過ちをくりかえさないために、自らの手でみちをひらく
ことを決心したのである。


ついでクワトロのとらねばならぬ政略は、絶対潜伏であった。ハマーン・
カーンおるかぎり、このひとすじをつらぬかねばならぬとおもった(中略)
それ以外に、あの執着心のつよすぎる女狐に太刀打ちできる手はない。
ひたすらに世間から隠れようとした。
237 :03/02/25 01:39 ID:???
まさに掃き溜めに鶴のようなスレですね。
がんばってください。
238通常の名無しさんの3倍:03/02/25 04:57 ID:???
保守。期待sage
239通常の名無しさんの3倍:03/02/25 21:00 ID:???
なにげに入っているページ数が嬉しいです
2401:03/02/25 22:06 ID:???
途切れ途切れで書いてますのでちょっと読みにくいかもしれませんが・・・
>>239
元ネタページ、メール欄に入れてみました。このほうがしっくりくるんで。
この日、GP02A・ガンダム二号機奪取に成功したアナベル・ガトー
少佐は、公国軍残党の拠点の一つであるアフリカ・キンバライド基地へ
到着した。
ソロモンの悪夢の到着に、キンバライドにこもるジオン残党の将兵たちは
歓喜の声をあげた。
「これはガトー少佐、ご苦労でした」
と出迎えたのは、キンバライド基地司令ノイエン・ビッター少将である。
歴戦の勇士であり、将兵の信頼があつい。デラーズと同じく、終戦協定を
由とせず、これまでの3年間、ゲリラ活動を展開しつつ基地を維持してきた。
シバ「ジャミトフというのは、連邦政府を成立せしめているイデオロギー
が、意識を向上させたスペースノイドの台頭によって崩されてしまうのは
かなわない、わたしの立つ瀬がないという、必死のところがあったと思う
んですよ(中略)」
ヤマザキ「ジャミトフという人はむしろ、きわめて純論理的に、国家や政府
が成り立つためには、一つの国是があり、それは論理的な思想になっていな
ければならないという信念があったのではないでしょうか。例の准将ブレックス
の議会演説についても過敏すぎるほどに反応を示したのはジャミトフでしたからね。
自分の体質とはあまり関係のないものを一所懸命心配した人のような気がするん
です(中略)」
シバ「つまりこの二人は非常に対照的な性質と履歴をもっている人ですね。レビルや
ティアンム、ゴップなどとは違うわけです。それでブレックスは非常に現実的な政治家
として将来を憂い、ジャミトフはたいへんイデオロギストになってゆく。まあジャミトフ
の場合は、おっしゃるように、政府や国家を成立せしめているのはある理念で、それが
なくなったら政府や国家はなくなるんだという原理性の高い思想は、あったかもしれ
ませんね」
ヤマザキ「どこかでそれを習ったんですね。そこが不思議なところだと思います。その
結論ははなはだいただけないんだけども、その意識という点では、ジャミトフを評価し
てもいいという気はします」
243通常の名無しさんの3倍:03/02/26 18:35 ID:???
保守
このペガサス級7番艦アルビオンの艦長を命じられたエイパー・シナプス大佐
は、その風貌のために、厳格で気むずかしい印象がある。
しかし、話のわかる上官であり、なによりも連邦軍人にはめずらしい柔軟な思考
と大局を見渡して戦略を理解しうるという点で、参謀本部付きの高級軍人である
グリーン・ワイアットなどとは比べ物にならぬくらいの評判が、とくに下士官たち
にはあった。提督というものの最大の資質が人格的魅力にあるとすれば、シナプス
はウェーブにいたるまでクルーから敬愛されていた。
強襲揚陸艦アルビオンがトリントン基地を出発したのは、0083・10月14日
である。その発進も、のちに観艦式に参列するワイアットの宇宙艦隊の発進と比べ、
一瞬の不注意があったとはいえ、核弾頭付きのガンダムを奪われてしまったことと
それを奪還することができなかったことによる将来の不安感・ジャブローの参謀本部
のあまりにも杜撰(ずさん)で現場を知らぬ対応振りから、到着したときに比べ華やかさ
というものがまるでなかった。この日、夕陽が燦然と輝いていたが、確実に奪還でき損害
を少なくできうるのか、そんな心境のなかにいるアルビオンのクルーたちにとっては、
この夕陽の姿はむしろ落日の日というそんな印象すらクルーたちにもたせた。
エイパー・シナプス大佐の艦隊統率は、この当時の連邦軍人の将領のなか
では上乗以上のものであった。
かれの信条によると、生まれながらの兵士というものはありえず、一流の
兵士を育てうるには専門分野のエキスパートにすべてを一任するというやり
方がもっとも効果的であるとおもっていた。このためにコウ・ウラキ少尉の
可能性をみとめ、またサウス・バニング大尉を信頼し、ほぼかれの判断に
耳をかたむけ、ときには医師から制限されていたが、ともに酒を酌み交わす
情のある一面をバニングと交わした。
かれはそのながい艦隊勤務と一年戦争時における経験から、兵士には勇怯がなく、
あるのは経験を積み重ね、兵士自身が自らを強兵に仕立ててゆく意志と、かれら
を理解するというこのきわめて困難な姿勢を示すことがなによりも大事であると
信じていたし、さらにかれによれば兵士というものはいかに厳格な訓練にも耐えうる
ものだが、かれらの士気をうしなわしめるものは兵士の心理に無理解な上官と、一種の
軍隊悪ともいうべきエリート主義・軍閥主義などの諸種の悪習慣であるとおもっていた。
シナプスはこの奪還作戦をはじめるにあたってクルーたちにこの考えを徹底させた。
結果からみれば、シナプスは捨てられたのも同然であった。デラーズ・
フリートの内応者と上層部の高級軍人が、ジャミトフの暗躍で結託し、
あろうことかワイアット自体が、海兵部隊と接触しようとしているなどと
かれはまったくといっていいほど知らされていなかった。要するに、二号機を
奪還せよ、と指示されていただけであった。
247人任せ:03/02/26 20:23 ID:???
暇な人、専用のHP作ってまとめてくれませんか?
暇ができたら、じっくりと読みたいんだけど。
248通常の名無しさんの3倍:03/02/26 21:14 ID:???
>>244-246
いいねぇ。 シナプス艦長カッコ(・∀・)イイ!!
2491:03/02/26 23:38 ID:???
>HP
僕も人任せですが・・・・
誰か作ってくれないでしょうか?新作も書き込めるし・・・・
お願いします。
が、アドラステアはとまるどころか、ますます勢いを強めた。それどころか、
このわずか数十日間のモトラッド艦隊との攻防で、おびただしい人命と、リガ・
ミリティア側の重要人物が相次いで悲惨な死をとげるという運命になった。
被害が大きすぎるために撃破することなく足をとめなければならないというのは、
制約があまりにも大きすぎるが、とめなければますます泥沼化して犠牲がどんどん
増えてゆく、これほど悲惨で過酷な条件の戦場もないであろう。
リガ・ミリティアの最初の阻止行動開始の日は雲が低く垂れ、敵の艦隊がひどく
巨大にみえた。この日、町を完全に潰しにかかるモトラッド艦隊へ、ウッソ・
エヴィンのV2、マーベットのV1などをはじめとしたMS部隊がいっせいに
ビームライフルを放ち、それぞれアドラステアをとめるべく攻撃を開始した。
ミサイルが戦場に飛び交い、両軍のビームの応酬は数々の爆音と地上をゆるがせ、
鳴り響くタイヤの音がそれに加わってより激戦が展開された。が、いくらタイヤを
破壊しようとしても、傷ひとつあたえることができず、なおもアドラステアは艦砲
射撃を繰り広げながら快走、飛翔しつつ逐次攻撃をする以外に手がないリガ・ミリティア側に
シャワーのように砲火をあびせかけた。
中部の町をつぎの標的にしていることを知ったV2パイロット、ウッソはモトラッド
艦隊の進路を変えるべく、MSの核融合炉を艦隊の目前で爆破させるという強行手段をとるべく
進撃、モトラッド艦隊のそばにMSを落とし、盾になれ!モビルスーツ!と叫びつつビームを
MSにむけて発射した。内心の迷いは相当のものだ。
カテジナ少尉の叫びとともに、モトラッド艦隊の前面に巨大な核爆発が巻きおこった。
その結果は、進路変更には成功したものの、多大なダメージを地球にもたらすことになった。
クロノクルは冷静な判断で戦場からの離脱を命じ、アドラステアは上昇、空を飛び、悔しがる
ウッソのV2の面前で飛び立った。わずかながらの功績は、先頭をすすんでいた巡洋艦を足止め
できたことであった(中略)
このわずか数時間の戦闘で、2度におよぶ核爆発がおこり、その悪しき放射能はあちこちにばら撒かれた。
しかもアドラステアは依然として健在であり、ピピニーデン指揮下のラステオ艦隊も果然健在であった。
戦闘後のクロノクルの目には、かれらリガ・ミリティア側の逐次攻撃という行為が単なる環境汚染としか
おもえなかったであろう。




エギーユ・デラーズは、シーマ海兵艦隊を見るまではそれに対し懐疑の
念を抱いていたが、この艦隊がデラーズ・フリートに参加し、女傑シーマ
と接してから気分を変えてしまった。元来、統率者としての大度量を示したい
と考えていたデラーズとしては、毒にもなりかねないシーマを御し、使って
みせることが作戦成就のみちであると思っていた節がある。
かれは星の屑作戦にシーマが参加することで、もはや連邦への勝利は間違いなし
との訓令を極秘裏に発している。
「強者揃いのシーマ艦隊の参加によって、我がデラーズ・フリートはより強化された。
偉大なるギレン閣下への恩を報じ、星の屑完遂のために尽力しうることこそが我らの宿願
である!偉大なるギレン・ザビ総帥のために・・・ジーク、ジオン!」
「デラーズの野郎はギレン教の牧師にでもなったのか」
と、口のわるいリリー・マルレーンの海兵が、陰口をたたいた。
253湖畔(前スレ分):03/02/27 02:14 ID:???
「残念ながら、ハマーンには知恵がありすぎました」
と、シャアはいった。
「知恵はあるが、その知恵を結局は自己の独裁へと向けてしまった。私とは違い、自分に自信がありすぎた故の
結末であると思ってくれれば幸いです」
「シャアも人がわるい。お前がハマーンを受け入れてやればよかったのではないのか」
少女は、シャアを蔑むように見た。シャアは怒らず、遠目で笑いながら「いかにも悪い」とうなずいた。
「わたしも悪いが、ハマーン・カーン自身にも罪はある。ミネバ様を道化にしようとなされた」
シャアのいうハマーンの罪とは、ザビ家独裁を前提とした人類の革新というやり方を指しているのだろう。
「ハマーンがわたしを利用しようとしていたとは思いたくない」
と、あくまでハマーンをかばいながら、
「なら、いったいどうすればスペースノイド全体を救えるのだ」
「方法はないわけではない」
と、シャアは少女に自らの構想を語り始めた。かれがいままでに経験してきたことをまとめると、
旧体制的な独裁や自由主義的政治運動などというものはかたちのないものであり、全ての人類のみちをひらくという
原動力には決してなりえない。
シャアのいおうとするところでは、ザビ家はもはや世を担ってゆく魅力がなくなっている。ハマーンは自己の政治構想の源
とするためにやむなくザビ家の貴種たるミネバを担いだのではなく、本心から戦後の体制もこのままの体制を続けようとした。
すべての無理はそこにある、とシャアは言いたかったが、しかし沈黙した。かわりに、
「皮肉なことだが、ハマーンはいい先例を示してくれたのです」
といった。ただ一つ、独裁権力の正当化のやり方を広く喧伝せしめた。あの一挙は、故ギレンやザビ家一統、その父
マハラジャへのなによりもの馳走となったであろう。滅びゆく運命にあったアクシズをまとめあげ、その力をもって地球圏
を一時的ながら掌握した。グレミーの裏切りや、様々な誤算もあったろうが、女性という立場でありながらここまでやってのけた
点からいえば、ハマーンは十分に成功した、とシャアはいうのである
254通常の名無しさんの3倍:03/02/27 11:45 ID:???
255通常の名無しさんの3倍:03/02/27 20:55 ID:???
種曜日でなければ一日一書キコで大丈夫かな。
256通常の名無しさんの3倍:03/02/28 14:06 ID:???
保守
257通常の名無しさんの3倍:03/02/28 22:35 ID:???
平日なのにスレ数が550を越えている。用心の為に書いておきます。
258通常の名無しさんの3倍:03/03/01 04:07 ID:???
沈まぬ先の保守
2591:03/03/01 11:46 ID:???
土日は用心・・・・と。夜もチェックしよう。
余談ながらマリアよりまえのひととして出たジオン・ズム・ダイクンにはそういう
神のような雰囲気があり、ダイクンをとりまく信仰的気分がそのまま延長し、さらに
他の外因でそれが飛躍し、ついには死後、ジオン・ズム・ダイクンは神の如くあがめられた。
マリアの場合は、とくにサイド2においてはジオン・ズム・ダイクンよりその面が
巨大である。


この人選は、ナナイから出たものだ。シャアから相談されたとき、
「ギュネイ・ガスが適材でございましょう」
と、ナナイはいった。
理由は、ギュネイが強化人間である、ということだ。並みのパイロットでは扱うこと
のできないニュータイプ専用MSを操ることができ、ファンネルの威力を使いこなす
ことによって、隕石落としを阻止してくるであろうロンド・ベルのMSをかるく防ぐ
ことができる。
その点、ギュネイならいい。金がかかっている、いやそれ以上に奮起させればより働き
もよくなるはずだ。
とおもわれる。ギュネイはほとんどの強化人間たちの境遇と同じく家庭環境は不遇である。
262開戦(播磨灘物語(二)):03/03/01 12:04 ID:???
各サイドに駐留する連邦軍将兵も、
「こういう馬鹿な戦があるか」
とおもったにちがいない。かれらは宇宙戦闘といえば艦船同士による砲撃戦と、
それにともなう戦闘機のドッグ・ファイトが主であるとおもっていたのだが、
ジオン軍のやり方はちがっていた。
巨大な人型兵器があちこちを飛び回り、マシンガンを乱射、核をバズーカより
発射し、しかもありえるはずもない白兵戦ですらこの兵器は仕掛けることができる
のである(中略)
その攻めてくる人型兵器に対し、主砲を斉射するものの、ミノフスキー粒子の影響
でレーダーが使用不能なため、思うように命中させることが困難であり、気がついたとき
には、艦橋をバズーカで吹っ飛ばされているという有様であった。
このスペシャルと呼ばれた天才少年は、0140年、地球・東欧地区(旧ルーマニア)
カサレリアにうまれた(異説はある。しかしこの小説は考証を目的とするもので
ないために、筆者の信ずる資料によって書きすすめる)
父はハンゲルグ・エヴィン。
(どこか、ちがう)
サラは、奇妙におもった(中略)
「なんだ、人の顔ばかり見て」
シロッコは、ウーロンティーを飲みながら、サラをみた。
「なにか、ついているのか」
「それが」
「ついているのだろう」
シロッコには、自分の顔つきの変化がわかっているらしい。
「どんなぐあいだ」
「それが、でございますね」
サラは、言葉をさがそうとした。険といえば言いすぎる。言うとすれば
方角のない緊張が、発散されぬままに赤味を帯び、赤光(しゃっこう)を発し、
顔をぎらつかせているという感じである。
「そうだろう」
シロッコは自分で言い、自分でうなずきつつ、ちょっと笑った。自嘲といっていい。
「わたしも大したやつではないな」
「なぜでございますか」
「いやさ、人間とはもろいものだ」
その翌日、シロッコはジュピトリス副司令官ハイファンと、この話をした。
「サラにまで見抜かれるようでは、よほど胡乱(うろ)がきていたものとみえる」
「シロッコ大尉、なんのことです」
「わたしは宇宙一のMSを開発した。それを他の試作機とともに地球圏に
もってきた。それらを格納庫にてしみじみと眺めてみたところ、恥ずかしながら
心が慄(ふる)えてきた」
「はい、大尉。小官が察しまするにそれは英雄の戦慄と思われますが」
「まあ待て」
シロッコは自分を語らねばならない。
「今度開発した機体は、メッサーラやパラス・アテネの比ではない。
こいつはバイオセンサーの搭載と、ガンダリウム合金によって見た目は
大型ながらじつに機敏で軽快な働きをしてくれる。従来のMSの構造は
複雑化する一方だが、このジ・オはちがう。武装もサーベルとライフルのみ
だ。たとえ相手がファンネルを放ってこようが、やすやすと撃ち落せる。
このジ・オによって我が方はゆうに100万のMSを得たことと同等なのだ」
「ははぁ」
「それに」
とシロッコは、このハイファンにだけPMX−003ジ・オの秘密をうちあけた。
サブマニピュレータ、通称「隠し腕」を装備しており、誰も予測できないところ
から攻撃ができる。
これで試作機は4機、以前に開発したMSも十分に第一級の機体として使える代物
ばかりである。このジ・オ、神の意志と名づけられた重MSの登場によって、
シロッコがもつ武力は十倍、いや百倍に飛躍したということになるであろう。
266:03/03/01 13:19 ID:???
今夜、また書きたいと思います。
267通常の名無しさんの3倍:03/03/01 22:21 ID:???
寝る前に保守
シーブック・アノーのことを書こうとおもっているうちに、シーブックと関連の
あるロナ家の興隆と歳月のほうに惹かれてしまった。
シーブックは、しばらく出ない。
ところで、ロナ家のことといっても、正確には先祖代々の古き良き名家の流れを
継いでいるわけではない(中略)
シャルンホルスト・ブッホという人物が、欧州の名家ロナ家の家名を買ったのである。
十代の頃よりスペース・ジャンク屋の仕事をはじめてより、シャルンホルストがブッホ・
ジャンク・インクを創業したのが宇宙世紀0055、この年に、のちのコスモ貴族主義
提唱とクロスボーン・バンガードを創設するマイッツァーが生誕している。
名家を買ったのはそれなりの野心があったと考えていいだろう。この時代の家系の流れなどと
いうものはほとんどがこのような例であり、由緒正しい流れなどというあと付けである場合が多い。
セシリーの曽祖父シャルンホルストが、名門ロナ家の家名を買ったのは、
宇宙世紀0068である。
曾孫のセシリーがうまれるよりせいぜい40年ばかり前である(中略)
シャルンホルストがジャンク屋「ブッホ・ジャンク・インク」を軌道にのせて
いる頃は、連邦政府により特権を保護されていたコロニー公社の天下ともいえる時代
であった。この数年後に、抑圧から開放されんと、いわゆるジオン独立戦争がおこる(中略)
このコロニーの運用権を牛耳り、巨額の富を得、それを地球の既得権維持のためにせっせとつぎ込んでいる
公社全盛の時代にあっては、シャルンホルストのような他者からの干渉を極度にきらう人間から
すれば憤りをおぼえかねない。
いずれにせよ、連邦の天下り官僚が支配権をにぎっている公社全盛の時代
の中を、山師と陰口をたたかれているジャンク屋稼業が立身してゆくなどと
いうのは、事業や運営そのものが大事業であり、容易ならぬことであった。
ロナ家一門というのはこの創業者といえるシャルンホルストといい、その子
マイッツァーやエンゲイストといい、よく似た色合いをもっている。
色合いのひとつはあくまでも合理的な、シャアのような過激論で世を変えよう
というのではなく、純粋に企業手段、政治手段で連邦に対し立場を構築してゆこう
とする姿勢であった。
どちらかといえば潔い企業家で、歴史学にも精通し、また部下に対してもよき創業者
でありえた。シャルンホルストはまさにそういった「柔軟な、よくわかる頭をもった」人物である。
シャルンホルストが死んだのはセシリーがうまれるより数年前だから、
セシリーにとってこの曽祖父は伝説上のひとで、
「偉大なる創業者ビッグ・ブッホ」
というのをきいているにすぎない。
シャルンホルストの子のマイッツァーが、セシリーとの関係が濃厚である。
マイッツァーは兄のエンゲイストとならび、相当な教養人であったらしい。
「生があれば死がある。それは自然の摂理だ。延命策など自然の流れを
否定するものだ。いらぬ」
と、創業者シャルンホルストは言い残して世を終えたにちがいない。
273:03/03/02 00:32 ID:???
そろそろ寝よう。
274(花神より):03/03/02 02:33 ID:???
(言ってしまえ)
と、ソシエはおもった。
「ロランなんて、大きらいよ」
 言ってから、自分の気持ちとはおよそかけはなれたこ
の言葉の内容にわれながらおどろいたが、しかし言葉と
は時に内容ではないであろう。いまの気持ちにはこれほ
どぴったりしたことばはないとおもった。
----はて、なぜきらいだろう。
 ドアの向こうで、ちょっと考え込む気配がうかがえた。
そのロランの相も変わらぬ朴念仁ぶりが、ソシエの癇を
いよいよかたぶらせた。
 なにか、思いっきり引き裂きたかった。物をではな
い、言葉で、それもはげしい言葉で、出来ればロランと
のあいだでできあがったこの主従というなまぬるい関係
を思い切ってひきさいてしまいたかった。引き裂いた後
がどうなるか、ソシエにもわからない。
275通常の名無しさんの3倍:03/03/02 13:47 ID:???
保全
276通常の名無しさんの3倍:03/03/02 18:49 ID:DQIQF3Oc
保守
277ザメル(虎徹より):03/03/02 22:51 ID:???
砲弾は、うそのように標的にむかって吸いこまれた。
(狙える。さすがはザメルだ・・・・)
ほとんど手ごたえもない。しかもザクよりもはるかにあつかいやすく、撃ちの
すさまじさは、ドム・トローペンのラケーテンバズーカに似ている。
MSは、持ち手によって魔力をおびるものだ。
狙える、と信じたとき、ボブはおそらく実力以上の使い手になっていた。
278ザメル(虎徹より):03/03/02 23:23 ID:???
宇宙世紀0083・10月13日夜、オーストラリア・トリントン基地
をデラーズ・フリートが襲撃したとき、ボブ中尉のザメルは後方にて、一同
基地内部にてMSを駆りつつあるなか、遠距離から絶え間なき砲撃を繰り広げた。
ーどうした!?なにがおこったのだ!!!
とこの砲声や爆音に反応したのは、連邦軍のなかでも良識派としてとおっている
准将マーネリーである。コーウェン派に属する少数派軍人でもある。
ーただちにアルビオンへ急変を伝えよ。
マーネリーは司令塔にて事態の把握につとめ、対処しようとした。
「な、なに」
マーネリーは指示をしようとしたが、そのときすでにボブ中尉のザメル
「68センチカノン砲」の砲弾が司令塔に命中、マーネリーは一瞬で
司令塔とともに肉塊となって吹き飛んだ。
(やれる)
ボブは作戦成功を確信した。信じている。ザメルには憑きものがあると。
MSが敵を撃つのか、パイロットの腕が撃つのか、こういう場合の技量の
シンの在りかは、いま想像しようもない。

279通常の名無しさんの3倍:03/03/03 12:28 ID:???
保守します。
280通常の名無しさんの3倍:03/03/03 20:59 ID:imXT3/He
保護
281通常の3倍死ぬ名無し:03/03/03 21:02 ID:QGlLaM1d
KEEP OUT
282Scooter:03/03/03 21:03 ID:vMl7S8IT
シャアマル秘情報ゲットしました。
一部公開致します。

http://homepage3.nifty.com/sst/
283父と子(関ヶ原(上)):03/03/04 14:22 ID:???
「ギレンは、よく稼ぐ男だな」
と、数日前、デギンはマハラジャ・カーンにいったことがある。
「なるほどうまいことを申される」
と、側近マハラジャは感心した。デギンのいうよく稼ぐ、とは物事に敏感で
かたときもじっとしていられず、つねにつぎから次へと手を打っている。
ーそういうギレンの性格を「よく稼ぐ」という言葉でデギンはあらわしている。
「わが子ながらおもしろい、が・・・ちと不愉快ではあるな」
284オデッサ(関ヶ原(下)):03/03/04 14:47 ID:???
オデッサの司令部から戦場を眺望しているマ・クベは、自己の信念のもっとも
強烈な信者といっていい。
ー自分以外に神をもたぬ。
という点ではギレンもシロッコもそうであったが、マ・クベはなおその極端な
ほうであろう。
彼のいまの場合、その戦略である。かれが想定し、その想定の上でたかだかと
組みあげた対レビル戦の戦略に、かれ自身が信者になった。
怨恨は一年戦争開戦前後によるものだけではないであろう。復興後の無差別
攻撃も影響している。サイド2はここではいちいちあげることができないほど
の差別をティターンズや地球連邦からうけた(中略)
「すべてアースノイドがそうしている」
と、サイド2のスペースノイドは信じ、事実、グリプス戦役時ではまぎれも
なくそうであり、サイド2のスペースノイドたちのうらみは理由のないものでは
決してない(中略)
「ザンスカールの伝統なんて、根づいてやしませんよ」
と、私の友人はいった。残っているのは一年戦争以来の怨恨と、マリアのお慈悲
のみです、とこの友人は手きびしくいう。
サイド2のコロニー群は殲滅された。多くの人々は死に、サイド2そのものは復興を
繰り返しながら、なんとか現在その在りようをとどめている(中略)
女王マリアの姿が、サイド2のスペースノイドたちにどのようにうつったかは、今と
なれば想像するしか手がないが、それこそ真実の救済をマリアに対して感じたスペースノイド
もすくなくはなかったであろう。
それにサイド2のスペースノイドは複雑に屈折した皮肉屋である場合が多く、その皮肉も
きわめて嗜虐性に富み、この友人の自虐的なことばを、私のような他サイドからきた人間が
そのまま受けとめることはできないであろう。
「それにしてもふしぎだな」
同行のTさんが、首相官邸をながめながら、別な話題を出した。
「このサイド3にくると、地球のことを考えますね。つまり地球の来し方、
ゆくすえといったようなことを。これはどういうわけかなあ」
Tさんのおかげで、こんどの旅行の主題ができた。これを考えながら歩きたい。
考える前に、ごく普通に思いつく答えは、地球圏に浮かぶ各コロニー群のなかで
最もハシに位置しているサイドであるということである。船でも、船首か船尾に
立てば船全体が見えるように、地球圏のハシであるサイド3に立てば、つい視覚が
巨視的になるのかもしれない。
さて、なぜサイド3にくれば地球のことを考えるのか。それそのものに
ついて考えるよりも、考える材料を考えるほうがよさそうである。
サイド3という宇宙都市国家は、他のサイドとはずいぶんちがっている。
その特異さは、まずこの都市国家は、宇宙世紀史において(テロ行為をふくめて)
地球そのもの(連邦政府といったほうがいいだろうか)に対して大規模な戦争を
挑んだ国家であるということである。クロスボーンやザンスカールなど、連邦に
対して戦争を仕掛けた勢力は無数にあるが、これほどの膨大きわまりない規模の
戦争ではなかったことを留意しておいていただきたい。
288:03/03/04 15:45 ID:???
Html化されたようですので、あらためて貼っておきますね。
前スレhttp://comic.2ch.net/shar/kako/1036/10362/1036247225.html
もし物量攻勢をもっとも好む連邦軍が本気でモトラッド艦隊阻止にうごいたならば
この時期のべスパを逆襲撃退できたかもしれない。しかし連邦軍自体はまだまだこの
事態を楽観視しておりー唯一ともいえる存在に連邦軍の名将ムバラク・スターン大将がいるが、
いまだ主流は宥和・穏健派が連邦軍ではほとんどであるーその動きたるや鈍重であった(中略)
少数ではあるが連邦軍は動いた。そのことは多少ではあるがリガ・ミリティアにとっては
幸運であったろうか。
攻撃は新たに作戦を練ったうえで再開された。先に捕虜としていたゴズ・バール少尉を脱走させ、
その脱走とあわせてV2を奪ってもらい、機体内に潜伏しながらアドラステアに乗り込んでウッソの
母とシャクティを救出するという作戦である。潜入は成功、ウッソとオデロはミューラと会い、シャクティを
救出することに成功したが、ミューラ自体はふたたび人質となってしまい、ウッソは悔しみをおぼえつつ
離脱せざるを得なかった。この作戦はシャクティのみの救出でおわった。
クロノクルはピピニーデンの参謀としての能力にほとんど信頼をおいている態度でいたし、
ピピニーデン自身もクロノクルに対し連邦との講和前に、白いMS(ヤツ)をやっておきたいという
野望をもっていた。
「ゴズ・バールの独断行為を黙認してくれ。こんどは確実に成功する」
と、ピピニーデン作戦参謀はクロノクルからの映像通信上で要求した。
ゴズ・バールは作戦通りにウッソの母ミューラ・ミゲルを騙して連れ出し、
予定通りにリガ・ミリティアのMS部隊と接触した。ミューラは攻撃をした
ゴズ・バールに不審を抱き、何をするのとなかば叫ぶように言ったが、しかし
ミューラの意図と反して、ゴズ・バールは掌中におさめているミューラをV2に
見せつけながら、自分はあなたを盾にするように命令されている、主義には反するが
やむを得ないことなのだ、と信じられない言葉を口にした。V2に搭乗するウッソは
手を出すことができない。
「見下げ果てた先輩だ!!」
と、アドラステア艦橋にて戦況を見ていたクロノクルは、ほとんど呆然と憤りをこめて
吐きすてるようにいった。ゴズ・バールを用いた作戦とは、卑劣極まりない仕業でしか
なかったとは。
MSゲドラフに搭乗するカテジナもこの異変に気づいている。この場面を見るかぎり、彼女
にも一定の倫理観の一面がうかがえる。だが、人質を預かろうとするカテジナにゴズ・バールは言い放った。
「クロノクルの女が!!!」と。
不幸はまだおさまらない。V2はゴズ・バールの乗るゾリディアを中破
させた。ところがそのゾリディア、墜落したかどで、なんとアドラステアの
前部主砲塔にひっかかってしまったのである。ゾリディアの手につよく握られて
いるミューラを助けようとするウッソであったが、それを阻むかのように
護衛の巡洋艦リステアとカテジナが襲いくる。
「抜け出してハッチへ移動せよ」
と、アドラステア艦長が指示したが、クロノクルはそのまま放置しておくように
との命を下した。これが決定打となった。リガ・ミリティアのMS部隊は
もう一つ、アドラステアを護衛しようとするリステアを止めるべく地上にビームを
叩きつけたが、これによって生じた溝にリステアがひっかかり、前進が不可能となり、
さらにうしろから迫るアドラステアも回避できずにつっ込み、翻って空中に飛んだ
リステアが、ミューラを助けようと奔走しているV2を衝撃ではじき飛ばし、タイヤを
めり込ませた。ゾリディアはリステアに巻き込まれ、握られていたミューラの首は、虚空に
とんだ。ウッソの絶叫が、戦場にこだました。
この惨状のすぐあとに、連邦との停戦協定が成立したとの報がアドラステアに入り、不幸にも
白旗が掲げられた。ウッソはなお憤りをおさえきれないままV2のビームライフルを斉射していたが、
もはや停戦協定は結ばれ、これ以上の攻撃は不可能であった。陰謀といえるほどの不運であった。
「遺品」を抱えたウッソはマーベットにその「遺品」を渡し、せめてあと5分停戦が早ければと
泣いた。ミューラは地球の大地に還った。

293通常の名無しさんの3倍:03/03/05 23:00 ID:???
保守あ
294通常の名無しさんの3倍:03/03/05 23:13 ID:???
素直にすごい。
カミーユ・ビダンはふとしたことからエゥーゴに参加することとなった。
「アムロ・レイの再来」といわれたこの少年は、曹長(中尉待遇を要求したことも
あるのだが)としてグリプス戦役を戦った。
参加してからかれはマークUとリック・ディアスを参考にして、独自に可変・一撃
離脱型MSを設計、それがたまたまアーガマのチーフメカマン・アストナージ・メドッソ
の目にとまり、アナハイムのZプロジェクトに組み込まれ、試行錯誤の結果、Zガンダム
として完成、エゥーゴの活動に貢献することと同時にかれを過酷な状態へと追いやることと
なった。エゥーゴの作戦はかれの活躍なくしてはありえないものであった(中略)
この少年がいなければエゥーゴはどうなっていたかわからないが、そのくせこの少年が、
繊細すぎる感情と、外向的な過剰反応と少年としての憤りがはげしく、いかにもアダルト・
チルドレンの如く戦場に出て世の過酷さを体感するあたりに、いまのところ筆者はかぎりない
関心をもっている。
サイド2といえば、上質の漆器を見るような、光沢(つや)のすきとおった
印象と、エンジェル・ハイロゥ攻防のさいのザンスカール下士官・近衛兵団
などでできあがった悲壮美の世界を感ずるが、現実のサイド2での印象はかな
らずしもその過去と調和しない。
「アメリアって大嫌い」
と、あるバーの女性がいった。おどろいて理由をきくと、「他のコロニーのわるくち
ばかりいう」といった(中略)
アメリアはかつてザンスカール帝国を称して、他のサイド2・コロニーを従えようと
した歴史をもつ。その独裁的な点が、人情にも気風にもすべて伝統の主体的重石がかかって
いる。中核の意識がつよいのである。
T氏が、
「サイド6のスペースノイドというのは、それほど損得利害に敏感なのでしょうか」
といった。むろんT氏はごく気軽に、ごく概念でいっている。それだけに、
世間の多くのひとも、サイド6、通称リーアという地名感覚から、そのような
人間風土をばく然と感じているのだろう。
「さあ。・・・・」
と、私は頭のなかを整理しつつ考えた。
こまったことに人間風土の観察というのは、すこし視点をずらせると、まったく
べつな風景が展開するのである。たとえば、宇宙世紀史には歴史上多くのサイド6・
スペースノイドが登場するが、そういう系列をみていくと、どうもアナハイム的アキンド
体質もしくは思考法のにおいとはちょっとちがうようなのである。
298通常の名無しさんの3倍:03/03/06 22:01 ID:???
また寒くなりました。健康に気をつけて下さいね。
299通常の名無しさんの3倍:03/03/07 10:52 ID:???
保守
300通常の名無しさんの3倍:03/03/07 15:34 ID:???
サラに保守
301通常の名無しさんの3倍:03/03/07 21:13 ID:???
念には念を入れて保守
3021:03/03/07 23:55 ID:???
>>298
本当に寒いですね。ここんとこ睡眠不足なんで、気をつけようかと思います。

明日・あさっての保守お願いしますね。
サラも描いてみたいなあ。
「俺は仇を討ちたい。やりとげてみせる」
顔をあげた。
声がふるえている。色が白く、目には野望がやどっている。マウアーは、あらためて
ジェリドがいい男だとおもった。
「どんな?」
とマウアーはいったが、例の件だと肚の中で直感した。ジェリドへのレクチャーを約束
していたライラ・ミラ・ライラ大尉は、サイド1・30バンチにて、ガンダムマークUに
搭乗していたカミーユ・ビダンに殺された。それから執拗にマークUを撃つべく奮迅したが、
地球降下の際に友であるカクリコンをまたもやマークU・カミーユの手によって落とされている。
ジェリドは屈辱をかみしめながら、
「俺がライラとカクリコンの仇を討つ」
といった。顔があかい(中略)
ジェリドは顔を伏せて、悔しさをこらえている。故人への愛惜(あいせき)が、掌のふるえに出ていた。
「死ぬような連中じゃなかった。油断があったんだ」とジェリドはいった。
ジェリドのいうとおり、レクチャーを約束した相手は連邦軍のなかでも名の知れたエースで、
むざむざ殺されるような女性パイロットではなかった。カクリコンもだ。無能であるなら、ティターンズ
のパイロットなんかにはなれやしない。
304反感(祇園囃子より):03/03/08 00:45 ID:???
地球連邦軍大尉で、ライラ・ミラ・ライラ。
ーといえば、一年戦争からグリプス戦役初期にかけて連邦軍・ティターンズ
のあいだで高名なパイロットである。
「ライラの技量、粗剛なれども気品あり」
といわれた女性軍人である。
搭乗MSは、ガリバルディβといい、旧ジオン公国軍MS・ガリバルディαを
改修、外装を全面的に再設計し軽量化を図ったため、運動性がたかい。
彼女はこれに乗り、巡洋艦ボスニアにてMS部隊・ガリバルディ隊を指揮する。
「ボスニアのライラ大尉」
といえば、ジオン残党やエゥーゴでさえおそれた。
305反感(祇園囃子より):03/03/08 01:44 ID:???
そのライラが、エゥーゴとおもわれる部隊を臨検した際、しくじった。
グリーンノア襲撃事件のあとのことである。4機のガルバルディ隊をひきいて、
アーガマと接触、停戦信号を出し、所属をあきらかにするよう要求したが、
「好きなことを!」
かけ声とともにクワトロのリック・ディアスがクレイバズーカで応戦、ライラは
持ち前のテクニックでガルバルディβをあやつり射撃をかわした。
ライラは飛び出してきたMSが赤いMSであることに衝撃をおぼえた。相手は、
あの赤い彗星ではないのか、まさか・・・・。
はっとしたときには、ガルバルディ隊のうちの一機が落とされていた。そのことと
タイミングを合わせるかのようにボスニアから撤退命令の信号が出た。
(のせられてしまった。あの赤いMSに)
母艦の支援がなければ勝てないのかと思いつつ撤退した。一機とはいえ、部下の乗るガルバルディβを
落とされてしまったことがなによりも衝撃的だった。事実、赤い彗星が相手でなければ立つ瀬がなかった。

306:03/03/08 01:46 ID:???
×ガリバルディβ
○ガルバルディβ
>>304訂正。
307ソシエ嬢(若江堤の霧より):03/03/08 02:41 ID:???
ソシエ・ハイムは、鉱山主ディラン・ハイムのむすめで、姉のキエル・ハイム
とは4歳ちがいの15歳である。年少のころから勝気でおてんばだが、姉とならんで
イングレッサ領ならぶなしといわれたほどの美人姉妹であり、うわさは隣のルジャーナ
領にまできこえていた(中略)
∀パイロット以前のロラン・セアックは、とくにこの姉妹に対しての関係は、ハイム家の
用人としての関係でしかない。
後世にまでつたわる伝説では、かれのディアナ・ソレルとの隠遁生活にまでいたる過程は
尋常なものではなく、いかにも人々がよろこびそうな咄(はなし)がのこっている。
月光蝶発動後、ソシエはロランに告白をした。だがロランはディアナとの余生をともに
生きるため、彼女にごめんなさいとキスをし、別れたという。そのとき彼女ははげしく慟哭し、
そのかなわぬ想いから、ついに病いの床に臥すまでになったというのである(中略)
おそらくソシエは病にまで臥したのではあるまい。後世の人々がその悲劇性に尾ひれをつけ、その
劇的な最後まで偽作したのだろうと筆者は想像した。しかしこのような伝説が出るほどの
人気というのは容易なものではない。
今日でも、ウエディングドレスに関連することとして、ギャバン・グーニーとソシエ・ハイムとの
悲劇が語られたり、ウェーブのよき見本として影響をあたえている。彼女の性格とは
まるで正反対ともいえる不遇さや悲劇性がよりいっそう後世の、とくに女性に支持される
要因であるのかもしれない。
308通常の名無しさんの3倍:03/03/08 12:32 ID:???
スレ数が577もあります。
309通常の名無しさんの3倍:03/03/08 19:54 ID:nmsYrNk0
くなとくな
310通常の名無しさんの3倍:03/03/08 20:00 ID:nmsYrNk0
保守 
311通常の名無しさんの3倍:03/03/09 03:30 ID:???
漏れ的には清水義範の「猿蟹の賦」以来の面白さです。
今後もがんがってください。
3121:03/03/09 10:55 ID:???
>>311
どうもありがとうございます。書き手としても嬉しいです。
900を越えたら一挙にまとめてみようかと思います。それまで保守できればいいですね。
>>308
用心、用心・・・
313反感(祇園囃子より):03/03/09 11:22 ID:???
ジェリドは、ブリーフィングルームのドアを開けた。
不愉快なことに、なかにいる連邦軍士官たちが大勢でせせら笑っている。
ジェリドは、だまって身を入れて、ライラの隣の席にすわった。ライラは
軽蔑するかのような台詞をはき、「出戻りのジェリド中尉といったらもう有名だ」
と、ライラはわざとらしく、となりにすわっているジェリドに聞こえるように皆にいった。
出戻り、といわれた言葉が、ジェリドのかんにさわった。
314反感(祇園囃子より):03/03/09 11:46 ID:???
決定された作戦で、ライラの小隊はジェリドの指揮下におかれることとなったが、
納得がいかなかった。
(あの甘ちゃんでも、ティターンズだからあんな風に厚遇されるのか)
ライラはいらいらした。さっさと作戦を済ませてボスニアに帰りたかった(中略)
と、いきなりである。後ろからかけ声とともにジェリドが拳を突き入れてきた。
ライラはそれを軽々とかわし、逆にジェリドのあごに強烈な蹴りをいれた。
ジェリドはなおも諦めきれないのか、ライラに対してまるで子供のように理由を問うた。
ライラはかれの雑すぎる神経が馬鹿すぎる男だと思えたのか、
「あたらしい環境、相手、事態にあえば違うやり方をしなくちゃならないんだよ」
と、対応の仕方を諭した。
ジェリドにとって、おそらく初めての経験であったのだろう。今まで自分が付き合って
きた女のなかで、このようなことを言い、行動する女がいただろうか。
「お願いだ。教えてくれ。俺はティターンズをこの手にしたいんだ」
本気であると悟ったライラはボスニアから作戦を始動させることを約束させ、承諾した。
可愛らしいと思った。けなげな奴もいるものだ。

315反感(祇園囃子より):03/03/09 12:03 ID:???
ジャマイカンへの戦闘報告後、ジェリドはライラの部屋へ行った。
扉が開けられ入ってみると、ライラはバスタオル一枚の姿でいた。
「いや、すまない」
とあやまった。ライラがジャマイカンがどうしたって?と問いかけると、
「俺はいつか、ティターンズをこの手にするって言っただろ。手にするため
には、ジャマイカンとだって一人で対応したい。それを庇うそぶりを見せる
なんて、あんたらしくないじゃないか」
濡れた髪をタオルでふきながら、ライラはまだまだ甘いと思った。
「まったくわかってないようだね。アーガマの事実を説明したまでだよ。
あんたのことなんて、考えちゃいなかったさ」
「ニュータイプのことはすでに聞いていた!」
こっちを向くんじゃない!ライラの言葉にジェリドは顔をそむけた。
316反感(祇園囃子より):03/03/09 12:29 ID:???
「ですから、艦隊を三つに分けて・・・」
ライラは発言した。
「大尉!作戦参謀は私だ!軽々しい口の聞き方はやめたまえ」
「ガルバルディ隊をアレキサンドリアで修理していただいた分だけ、我々は働かねばなりません。
我々はティターンズではありませんから、ボスニアに帰還し、別ルートでアーガマを追います」
「いい覚悟だ。だが敵を捕捉したときに戦い急ぐなよ。大尉は戦争を好む性質(タイプ)だと聞いている。
戦争屋は焦りがちになるからな」
「それは少佐の偏見です!」
ライラの表情に怒りがあらわれた。
「よかろう。もしアーガマとの接触ができたときの判断は君に一任する。我々との合流を原則にな」
「はっ」
出撃しようとするライラにジェリドが話しかけた。これがライラとジェリドとの最後のふれあいとなった。
ゆっくりと酒でも飲まないかというジェリドに対しライラはOKを出した。
「いい男になってくれれば、もたれかかって酒が飲める。それはいいものさ」
ライラはジェリドに素質を見出したのだろう。愛情というものかどうかは筆者にはわからない。
ジェリドのほうは気があったであろうが。
ライラのガルバルディβはボスニアに帰還した。
317反感(祇園囃子より):03/03/09 12:41 ID:???
これが、宇宙世紀0087・3月18日のことである。ライラのガルバルディ隊を
載せた巡洋艦ボスニアは、サイド1の空域へむかった。
焦るライラを艦長のチャン・ヤーがなだめた。ライラとは気のあう上官である。
サイド1・30バンチにアーガマが入港したとの報がはいった。ライラは偵察をしたいと
チャンに言い、迂回して工業用ハッチにボスニアをつけるように要求した。戦況報告が
できたほうが土産になると言うライラをチャンはとめるべきであったかもしれない。
だがライラの強気の発言にチャンは折れ、あくまでエゥーゴの拠点があるかどうか確認
するだけだぞと言い渡し、ライラは出撃した。


318反感(祇園囃子より):03/03/09 12:51 ID:???
ライラは30バンチに入った。30バンチはかつて連邦政府に対するデモ運動が
華々しく展開されたコロニーであったが、いまは毒ガス注入により住民は全滅、
電気は生きているが、無残にも荒れ果ててしまっている。強風がやまない。
「ここに、エゥーゴの拠点が?」
人がいる。ライラは銃をかまえた。だが、その人らしき物体は強風にあおられて
飛ばされた。死体のようだ。
「このコロニーは死んだままだ。ということは拠点のひとつとしては格好の場所に
なるわけだな」
ライラはこの当時の連邦軍将校の例にもれず、30バンチ事件の張本人がティターンズ、
つまりバスクの手によるものであることを知らない。
このアストナージを脅しての出撃はフランクリンに不幸をもたらすことになった。
フランクリンの愚かしさは、あれほど恥をさらしたはずであるのに、リック・ディアスを
土産に持ち帰ってティターンズの技術部にかえり咲こうとしていたとこだ。こうまで
愚物な父親もいない。
フランクリンは己のやっていることにすら疑いを抱くこともなく、クワトロの乗っていた
リック・ディアスにまでゆき、コクピットをひらかせた。それに満足したのか、満身の笑みを
うかべて「ご苦労」の一声とともにアストナージを宇宙に突き飛ばした。
フランクリンにすれば、リック・ディアスの一機でも奪って戻れば、自分の才能を評価している
ティターンズはかならず用いてくれるはずだとでもおもったのだろう。
起動させ、技術屋らしく360度スクリーンに感心しながら、アクセルを踏んだ。
赤色のリック・ディアスが宇宙に翔(と)んだ(中略)
フランクリンはリック・ディアスに陶酔しきっていた。運動性・加速性・申し分のない機体だ。
かれは満足していた(中略)
「きた」
フランクリンのリック・ディアスは追いついてきたクワトロのMS部隊にクレイバズーカを
かまえ、応戦の姿勢をとったが、いきなり背後から銃撃がきた。
一瞬の隙をついてクワトロの搭乗するマークUがフランクリンのリック・ディアスを
背後から捕らえたが、ティターンズのMS・ハイザックの射撃で脚を撃たれ、衝撃で弾き
飛ばされた。フランクリンは興奮していた。
自分の設計したハイザックを、敵の機体に乗る自分がテストするのである。滑稽ではある。
頭に愛人マルガリータとのベッドシーンがうかんだ。不謹慎なほどにそのシーツだけの
姿がうかんでくる。

そのころ、いてもたってもいられなくなったカミーユは左腕を外していたティターンズ
カラーのガンダムマークUに飛び乗り、偽って強引に出撃した。
追いついたカミーユはかれらしい愛憎をこめた一言をぶちまけ、
「あなたという人は!」言葉とともにマークUは狙撃する態勢をとった。だが、撃てるわけがない。
フランクリンは都合よく、「親を撃つのかカミーユ。親不孝者め」とカミーユに叫ぶ
ようにいった。
「私はきちんと親の務めを果たしてきた。それを仇で返すように・・・銃を向けるとは!!
そんな風に育てた覚えはない。それを、私の立場も考えずに!!!お前は!!」
エゴむきだしでバズーカを乱射した。自分を撃つなといいながら、フランクリン自身は
カミーユを堂々と狙撃しているのである。わが子でも死ねばいいと本気でおもっているのであろうか。
弾がなくなり、射撃がとまったと思ったそのとき。
運命の一撃が、リック・ディアスの腹部をつらぬいた。たれが放ったのか、よくわからない。
よろめきながらフランクリンは頭部のコクピットから出たが、リック・ディアスの爆発に巻き込まれて
死んだ。その死体は、マークUのライフルに当たり、弾かれて宇宙にとんでいった。
その死体は、朽ち果ててしまったともいい、またあるコロニーに流れつき、共同墓地に
葬られたともいわれている。
「あんな両親でも、僕にとっては親だったんです。僕は両親に親をやってほしかったんですよ」
カミーユはアーガマに帰還してから、クワトロにはげしい口調でこう言った。
フランクリンの愛人マルガリータは、その後ある男性と結婚したともいわれているが、よく
わからない。
ところで、ハンブラビをうしない、ジャンク屋稼業にまで身をおとしたヤザンは、
野心おとろえることなく、むしろその野心は強烈なZへの執着で燃え上がっているかの
ような観がある(中略)
奇妙なことに服装があの「惑星ゾラと呼ばれている地球・・・」でおなじみのティンプ・
シャローンと同じ服装なのである。別世界の余談になるがもともとティンプというのは、
運び屋同士を争わせるため暗躍するイノセントの仕掛人というべき存在だが、この男の
顛末といい、ヤザンの境遇といいどうも悪役でありながらなにか滑稽な部分が共通して
いるように感じられる。実際のティンプは知恵者(ずっこけてばかりの印象だが)であるが、
ヤザンも野獣のごとき本能から発する才能という点では劣らない。
ひょっとすると、一種の系譜があるのかもしれないとおもったが、これは推量にすぎない。
322通常の名無しさんの3倍:03/03/09 23:21 ID:???
ヤザン正則いいですね。喧嘩が強く、部下思いの点は似ていますね。
正則同様、槍一本で一国を切り取るヤザン。素敵です。
323通常の名無しさんの3倍:03/03/10 14:36 ID:???
イ呆

324初陣(冷泉斬りより):03/03/10 17:53 ID:???
ルーはコアファイターのなかで必死に演技している。グレミーはマシュマーに、この少女を
エンドラにお連れするようにと指示された。
コクピットで手をふるルー・ルカの姿は、グレミーが思わず息をとめたほど美しかった。
ーか、かわいい。
初恋、いや、一目惚れということだろう。グレミーはガザCでルーのコアファイターを「丁重に」
送りながら感動していた。一方のルー、そんなことは露ほども知らない。あとは成り行きに
まかせるしかなかった。

フジ「アースノイドは、簡単に正義派になって、ほんまに正義の味方や思い込む
とこがあるわな。少し悪人かいなと思うとる奴にはユーモアがあるけれど、俺には
まったくええのや思いよるさかいに困るわ、アースノイドは。ティターンズがもっとも
わかりやすいやろ。「俺はまるまるええのや。スペースノイドはまるまる悪いのや。
コラオ前ッ」って、やってたやろ。今でも遺伝しとるわな」
シバ「人相が浅ましいほどに変わっている」
フジ「人間ていうのは滑稽なものであるということを常々思うべきなんや。・・・滑稽
なものやで、アースノイドのやっとることは。俺は絶対正しい思うとる奴ほど敵わんものはないな」
シバ「うん」
フジ「自分の弱点を知っとる奴でないと、敵わんわ。そう思わんちゅうことは、つまり頭脳構造
が簡単や、いうことやからね」
シバ「(中略)地球にはいろんな面白い人間がいるんだが、しかし政治的正義というものに取り憑かれる
と俺だけが正しいという狂信的グループができあがる。それが群れると集団発狂し、サイドに対して侵略をやりだす。
こんな血のお里はどこからきたのかなあ」
フジ「不思議やね」
326:03/03/11 14:56 ID:???
>>322
ハンブラビでつっ込んでゆくとこがね、いいですね。
ZZヤザンを書くべきかどうか迷う。
327アナハイム(大坂侍より):03/03/11 15:03 ID:???
天下の官僚組織などと威張っているコロニー公社でも台所は火の車で、アナハイム
などの月のアキンドから金を借りてやっと息をついている。地球圏の人々のなかで、アナハイム
製の商品をもっていない者などは一人もいないくらいだ。近頃はエゥーゴだけでなく、
特務部隊と称しているティターンズですら、MSの提供と技術をアナハイムから受けている。
他のコロニーはしずまりかえっている。
アル・ギザの機関にひが入り、やがて流れるかのようにサイド1・30バンチ
の空域を離脱した(中略)
30バンチには、コロニー住民の死骸だけがのこった。
刻がたつにつれて、ベルナルド・モンシアは昨夜の行為がしだいにおそろしく思える
ようになっていた。
(お、おらア、や、やったんだよな。ほんとに)
そう思うと、G3ガスのボンベをハイザックで据え付けた感覚がのこっているようである。
格納庫へ行ってみることにした。
あらためてハイザックを見たいと思ったのである。地球出身者のティターンズパイロット・
モンシアにすれば、前に乗っていたジム・クゥエルのほうが個人的には好みである。



329反感(祇園囃子より):03/03/12 00:04 ID:???
不意に、人がいることに気づいた。ライラは、物陰にかくれた。見えたのは
白いパイロットスーツをまとった男である。ちらっとライラの方をみた様子だった
が、気がつかぬようであった。町の住民は全員死亡している。だとすればエゥーゴの
兵士だろうか。と、そこへ死骸が飛んでいったため、つい声をあげてしまった。男は
反応を示した。ライラは拳銃をかまえながら言い放った。
「そこのパイロットスーツ!」
と、相手がふりむくと同時に「エゥーゴの者か」と付けくわえた。相手の男は
両手をあげた。よく見ると、少年である。こんな歳の子が戦争をやっていることに、
ライラは衝撃をおぼえた。
(まだ子供じゃないか。こんな子供が・・・)
やはり、予測したとおりだ。ライラは先のジャマイカンへの報告で、あの戦艦はかつての
ホワイトベースのように感じられると報告した。そのホワイトベースのエースパイロットが
わずか15歳という年齢でありながら、正規軍をうわまわる功績を打ちたて、連邦軍の勝利
に貢献したことを当然ライラは知っている。そのアムロ・レイというパイロットも、成り行き
上戦争に参加せざるをえなかったということも。この少年があの戦艦のパイロットであるなら・・・
そのとき、むこうから人の話し声がきこえた。ライラは少年に拳銃を突きつけながら建物
に連れ込み、様子をうかがった。
「ティターンズの方ですか」
少年は拳銃を突きつけられながら言った。
「ティターンズなものか」
警戒しながら、さらに拳銃を頬にくいこませ、いった。不快な一言であった。
ライラは憤った。なぜこうもティターンズと聞くと嫌な気持ちになるのか。
330反感(祇園囃子より):03/03/12 00:26 ID:???
「あれは、エマ・シーン・・・」
知ってるんですかと、少年は問うた。ライラはまあなと返した。それにしても
拳銃を突きつけられながらも少年は肝がふとい。ライラは聞き耳を立てて様子を
うかがっている。
「なぜここまでする必要があったんです?納得できません」
エマと、赤いパイロットスーツの男が話しはじめた。
「連邦の人々は、宇宙というあたらしい環境を手に入れてそこに適応していこうとする
人間を恐れたのだ」
「ニュータイプのようになるからですか?」
「そうだ。ニュータイプをエスパーのように考えているから、いつかそのニュータイプに主権を
侵害されることを怖れているのさ」
「たった、それだけのために、これだけの人たちを殺せると」
「殺せるさ。ちょっとした借金のために人を殺すよりもよっぽど理性的な行為といえる」
ライラはかくれながら、会話をきいている。ライラには納得できなかった。偽りをいっているとしか
おもえない。
ライラは飛び出し「偽りを言うんじゃない」と叫んだ。
「たったそれだけのために、バスクがこれだけの人を殺したりはしない」
赤いパイロットスーツの男はしごく冷静な態度で、
「見てわからないのか」それにライラがザビ家の残党連中の理屈にだまされている
だけだと反論すると、
「地球連邦、ひいてはティターンズが第二のザビ家になろうとしているのだぞ」
「なんだと!?」
我慢できなくなり、少年をつきとばしてライラは走り去った。いままで自分が聞かされてきた
ことと、まったく違うことを彼らはいっている。やはり彼らは敵だ。
自然に気持ちが反感へとつながっていっていることに、この時点ではまだライラは気が
ついていなかった。
331反感(祇園囃子より):03/03/12 00:50 ID:???
ガルバルディβを発進させたライラは、感情の高ぶりがおさえられないまま
30バンチの空域に飛んできたマークUを発見した。えらそうな声がきこえている。
「生意気な口をきいた士官が乗ってるとでもいうのか」
と、ライラはマークUのバズーカの一撃をかわしながらいった(中略)
そのマークUが、眼の前に接触してきた。正確には抱きついてきたというほうが
正しいが、接触したマークUのパイロットははげしい口調で、「あなたも先ほどの
クワトロ大尉の言葉を聞いたでしょう」と、説教するかのようにライラに諭した。
ライラはなぜ先ほどの子供が自分の名を知っているのか疑問におもったが、それ以上に
その一言が癪にさわった。
「なにゴタクをならべて!!」
ライラのガルバルディβは、少年のマークUを突き飛ばした。突き飛ばされたマークUは
「抵抗するんなら、撃ちますよ」と、ハイパー・バズーカをガルバルディにむけて放った。
ライラはかろうじてガルバルディβを回避させたが、内心焦りをおぼえている。妙な力を、
圧迫を感じている。この圧迫感、マークUの動き、やはりニュータイプなのか。
「あんな子供に!あんな子供なのに!!」
と、ライラの前におどり出たガルバルディ隊の一機が偶然にもマークUに落とされた。
「私は正規軍のパイロットだ!あんな子供に負けてなるものか」
正規の軍人であるという彼女の執着が、彼女自身気がつかぬかたちで反感を育てていた。
嫉妬とでもいいかえられるかどうか。
「大尉。あなたは逆上しすぎている」
少年の一言とともに、マークUはコロニーのミラーよりみずからの機体をかくした。ライラは
またもや動揺した。
332反感(祇園囃子より):03/03/12 01:05 ID:???
コロニーの穴にかくれたマークUは、少年の息遣いとともにしずかに
ライラのガルバルディβを待ち構えていた。
その宇宙の鼓動を感じた瞬間、少年はビームライフルの引き金をひいた。
ビームのエネルギーが、ライラのガルバルディβに命中した。
「うわぁぁぁ」
ライラは不意をつかれた。たちまちガルバルディβは衝撃でとんでゆく。
マークUはそれを撃つべく穴から飛び出し、ライラはガルバルディの体勢を
姿勢制御によって整えたが、いち早くマークUが突撃してきて、ライラの隙を
つくかのように頭部のバルカンをあびせかけた。
「負けるものか!あんな子供に!!」
背中からビームサーベルを抜いてふりおろしたが、瞬時にマークUにかわされ、
空振りとなった。それをみて少年は、マークUのビームライフルを撃ちこんだ。
そのビームがとどく前に、
「私がジャマイカンに言ったとおりだ。ジェリド!油断するな、こいつはただ者じゃない!!」
333反感(祇園囃子より):03/03/12 01:14 ID:???
ビームの一撃が、コクピットに命中したとき、ライラはオールドタイプの
ありようがどういうものであるかを瞬時に悟った。
「そうか・・・私が今あの子のことをただ者じゃないといった。このわかり方
が無意識のうちに反感になる・・・これが・・・オールドタイプということなのか」
覚醒したといえるかもしれない。ライラはビームの閃光に貫かれ、散った。
ほとんど意識していなかったことを、彼女は死の瞬間に意識し、理解したのである。
その感じかたこそ、本来のニュータイプたるべき素質であったといえるのかもしれなかった。
334反感(祇園囃子より):03/03/12 01:20 ID:???
その戦闘を、遠くアレキサンドリアの艦橋でみていたジェリドは、悲痛な
声をあげながら泣いた。自分を呼ぶライラの声が聞こえた。何を言おうとした
かったのか・・・ジェリドにはわからなかった。
ライラは唐突に、足早に駆け去って、宇宙に散った。
ジェリドの復讐も、この日を境に、ますます強烈なものとなってゆく。
335通常の名無しさんの3倍:03/03/12 01:25 ID:???
最近忙しくて随分と久しぶりに板に帰ってきたら・・・何時の間にか(三)になってやがんの(笑
時間あるし、じっくり読みがてらHP作ってみようかな。
かなり作業量多そうだが。
なんの、生前の司馬先生に比べたら!
と、一念発起してみる今日この頃。
336:03/03/12 02:02 ID:???
キンゲ見終わったんで寝ます。
337:03/03/12 02:07 ID:???
>>335
寝ようと思ったけど・・・・
HP!ぜひおながいします!
338335:03/03/12 02:14 ID:???
とりあえず作成開始。
が、睡魔に勝てそうにないので寝ます。
なんとか今週中には形にしたいですね。
339通常の名無しさんの3倍:03/03/12 14:09 ID:W1WKEZ5F
保守
340通常の名無しさんの3倍:03/03/12 16:16 ID:???
すげぇ・・・神の住まうスレだな
また来る
341:03/03/12 22:12 ID:???
ついにHPを作成してくださる方が登場か。よかった。
335さん、よろしくです。
>>340
どうもありがとうございます。神スレの認定は前スレでもされてましたが、
うれしいです。
いずれ人気投票などをやっていただけるといいかと思います。
サイド2のスペースノイドの多くは(アメリアにかぎらずマケドニア・モルガルテン
すべてのサイド2・スペースノイドの通癖だが)平明な表現ではものをいわない。
私が数年前、サイド2にきたとき、ある有力者に会い、その吐き出す毒気にほとんど
頭痛をおこしかけたことがある。たとえばその某氏はある知名の作家を
大学の先輩にもっているのだが、単にそれだけのことをいうのに「あの野郎は大した
小説も書かねえくせに男ぶりだけはいい」といった調子でいう。
現実のその作家は大した小説を書かないどころか、われわれの宇宙世紀史がもったもっとも
すぐれた作家のひとりなのだが、とにかくそういう調子であり、しかもどうやらその人は
その作家の作品を読んでもいないような様子なのである。が、言っている当人にすればそれが
諧謔(かいぎゃく)のつもりであり、つもりというよりも風土的な諧謔なのかもしれず、この種
の風土的諧謔家(ユーモリスト)にはサイド2では前後二回の旅行で何人もに出会った。
となればそういう口ぶりがつまりサイド2のスペースノイドの固有の文体ー話体というべきかー
なのかもしれず、言う当人にすればおそらくほめているつもりなのであろう。しかし
いわれている人間にとってはたまったものではないであろう。
モンシアは咳き込んでいった。
「ベイトはわかってんだろ。俺たちが何をしたのか。で、それがどうなったか」
「やった」
と、ベイトはいった。が、さすがに詳しくは外側で護衛をしていたのでわからなかったらしく、
「そうはっきりいわれると、答えにくくなるが」
といった。
「ただ」
と、ベイトは言葉をつないだ。
「俺たちはあの残党どものいるコロニーを黙らせろという命令をうけたにすぎん。
残党狩りの命令、こいつはティターンズでは絶対のことだ。それに多少住民が巻き添えくったって、
デモ自体公的には禁止されているのに、タブーをおかしてやったのはサイド1のスペースノイドどもだ。
モンシア、おれたちは正しいことをしたんだ。アデルもいっていたが、理念が正しいから俺たちはティターンズ
になったんだろうが」
そういわれてみると、意外にもその理屈が正しいようにもおもえた。まず、法律違反をしたというれっきとした
根拠がある。残党連中をかくまっていたというガディ艦長の通達もあった。モンシアは存外、頭が単純に出来すぎて
いる男であったが、なぜかひっかかるのである。
344335:03/03/13 00:08 ID:???
ttp://f12.aaacafe.ne.jp/~ryotaro/

とりあえず仮設置してみました。
スレ住民の皆様の御意見をお待ちしております。
3451:03/03/13 01:08 ID:???
HP拝見しますた。これはすごく期待がもてそうですね。
編集作業大変だと思いますが、がんがってください。
なおウッソ・エヴィンの事柄については、かれ自身の日記やシャクティの育て子カルルマン・
ドゥガートゥスの撰文した「スペシャル」の碑文をはじめ、後人の書いたものなどがあるが、
それらの資料の解釈によっては、ウッソはそれほどのエースではなかったという解釈も一方に
なりたつ。げんに、そういう説も多い(中略)
ウッソは戦場で華々しく敵MSとの攻防をくぐりぬけてきたが、その勝利の要因はVの機体分離による
虚をついた戦術、体当たりによって堂々と本体をぶつけ、コアファイターとなって離脱、ふたたび換装して
逆襲勝利、また多数の支援者による幸運がかさなったことによる運のよさといった、従来のエースという定義とは
ちょっとちがうかのような勝ち方がかれの場合にはおおい。どういうわけか。
という疑問によって、在来、ウッソ非スペシャル説が出ている。その論拠はただ、「機体損耗と抜群の強運、頭の回転の
はやさ」というだけのことだが、たしかにゲリラ組織であるにもかかわらず堂々と機体を消耗してゆくということはエースの
条件(この定義自体もさまざまの定義が考えられるが)を満たすうえでは足らないかもしれない。
その強運という点については地下のウッソ自身に聞いてみなければわからない。
347通常の名無しさんの3倍:03/03/13 10:29 ID:???
>>344
アドレス入力したけどいけないよー
なんでだろ〜なんでだろ〜♪
348通常の名無しさんの3倍:03/03/13 10:47 ID:???
生活板の他板紹介スレから来ました(ここがシャア板のオススメスレになってますよ)。
私はガンダムはファースト世代でして(現在三十○歳)
もう随分長いことアニメは観てませんけど、
司馬先生の作品はとても好きで、今でも良く再読してますよ。
このスレは私も面白い試みだと思います。時々拝見に来ますね。
349:03/03/13 13:42 ID:???
http://f12.aaacafe.ne.jp/~ryotaro/
>>347
コレでどうぞ。
>>348
ここがオススメになってたんだ・・・すごいな。
シャア板で好評だってのはわかってたけど。
>試み
これはですね、僕も過去ログで初代スレを発見して素晴らしいと感動したわけです。
路線は初代スレで出来てたんですが、いやいや初代1さんのセンスはすごいなと。
僕は21なんですけど(平成ガンダム世代に当たる・・・)司馬さんの小説は読み出して
から2年くらいしか経ってないんですけど、とても面白いですね(これで幕末を理解できました)
よろしく。
350連邦の技術者(上総の剣客):03/03/13 14:02 ID:???
テム・レイは四十をすぎているが、実際にはもっと老けてみえ、身のたけも
それなりにあり、いかにも技術者という風貌である。しかし写真がのこっている
が、極度の近眼で、エリート的な頭脳をもっている点ではまさに秀才といえる人物
であったが、
「ガンダムが完成すれば、地球連邦の勝利は間違いないぞ」
というのが、このところの口ぐせであった(中略)
妻女の名は、カマリア。
夫婦のあいだに、一人の息子がある。アムロ、のちの連邦軍エース・ニュータイプ
アムロ・レイである。
テム・レイは無類の機械マニアで、技術士官という職業上、家庭よりも仕事に没頭した。
生真面目きわまりないのは、かれは無用の浪費をせず、酒や女といった遊びにはいっさい手を
つけず、ただひたすらに連邦軍のRX計画・MS開発に精魂をかたむけていたことだ。
テムのような大人は、べつにめずらしくもない。しかもかれは表面上おだやかであり、これと
いった落度もなかったため、近所でも真面目だねえという評判でとおっていた。
351344:03/03/13 14:06 ID:???
>>1
いけますた〜サンクス
盛り上がってきましたゾイ。
352347:03/03/13 14:08 ID:???
名前間違えた〜344殿スマソ
353古王クワウトル(草原の記):03/03/13 14:32 ID:???
クワウトルは、マニューピチ砲台のまえで、爆弾をかかげながら言い放った。
「タルカ!私を討て!新しき時代のために古きを駆逐するというアデスカのしきたり
に従え」
タルカに王の素質を見いだしていたクワウトルは新王たるタルカに決断を迫った。
古き王を新しき王が倒す。非情な王位継承の儀式。クワウトルにすれば、かつて民の
運命をひきうけることができなかったタルカが、今度こそひきうけるだけの器量をそなえた
かどうか、試す意図もあったのであろう。
タルカは躊躇した。だが、目の前に王の仮面が落ちてきたとき、タルカは意を決した。
火矢をクワウトルにむけて放ち、砲台は爆発に包まれ、クワウトルは付き従っていた
従者マヤリトとともに死んだ。

クワウトルほど、アデスカ的な人物はすくなかったであろう。
かれの寛容さ、義務感にいたっては、平均的アデスカ王の肖像を見るようである。
かれのすごさは、アデスカの民ではなかったマヤリトが忠誠をささげ、最後の瞬間でも
ともに殉じるということをさせているということでもその器量の大きさがわかるであろう。
354通常の名無しさんの3倍:03/03/13 14:35 ID:???
>>335
HP立ち上げ乙です。早速観させていただきました。イイ感じですね。


355通常の名無しさんの3倍:03/03/13 22:41 ID:???
>>335
HP立ち上げお疲れ様です。
居城が出来たことだし後はスレの保存に励むのみ。
356通常の名無しさんの3倍:03/03/14 13:07 ID:???
保守age
357通常の名無しさんの3倍:03/03/14 21:31 ID:WSlTQMT3
燃えよ剣 下巻 P139
(どこに行きゃがったか)
と、ブライトは狂気のようにエレベータへ駆けた。中略 アムロの部屋にたどりついた。 
「アムロ」
と、ブライト・ノアは血相をかえた。ブライトは弱冠19歳といえど「ホワイトベースの艦長」
で歴とした連邦軍の仕官である。
「ガンダムのパイロット」などといっても、もともとはサイド7から避難してきた一般市民で
あったから、ブライトが威猛高になるのは当然なことだ。
「な、何故出撃しない」
中略
「ブライトさん、あんたがガンダムを操縦して戦えばいいんだ」
とアムロは1人そっぽをむいた。ブライトはそいつの横っ面を力まかせになぐった。

358木星帰りの男(峠(下)):03/03/14 22:23 ID:???
またこういった有事に役立たせるためのティターンズ設立であり、残党狩りなどの
軍事活動のために地球出身者のみの構成とし、給料を士官たちに支払っている。
ところがいざエゥーゴという賊徒どもが決起、反連邦運動を開始したとたんにどんどん
エースパイロットが撃たれ、ことごとくその作戦を阻止することができないとはどういうこと
であろう。
本気になって鎮圧する意図がないからである。
(これは、ティターンズの廃滅につながりかねない)
ともいえぬことはない。シロッコは生粋のニュータイプであるため、ニュータイプをビデオ屋の想像物で
あると嘲笑し、己の才能に対して過信しすぎているティターンズ将校に対して憎悪以上の
ものを感じている。
シロッコがきいたところでは、ティターンズ総帥・ジャミトフ・ハイマン大将に対し、幕僚の
一部がエゥーゴの早期殲滅を建言した。ジャミトフは乗らなかった。乗らぬ理由の一つとして、
「あの弱腰のブレックスめが我がティターンズに勝る組織を作り出せるはずがない。白い艦(ふね)を
すすめたとてふと背後をみればたれもついてはこぬ。なぜならば襲撃という手段しか使えぬほどに戦力
がすくないからだ」
という意味のことをいった。
さらに、エゥーゴとその支援者たちが、スペースノイドの総意と称して絶対民主制の総領たるジャミトフを
討つと呼号している。そこまで愚劣な行為に出ているのも、扇動者ブレックスのやぶれかぶれというべき
現状認識力のなさから出ている。きゃつらほどティターンズの実体を見抜いていない連中はいないであろう。
シロッコの思想では、政治は力である。直接行為に出ずともティターンズの武威が地球圏を圧しておればエゥーゴは、
まるでこどもをおどすような、そういう没義道的な態度には出ぬはずであった。
359ミライ・ノア(関ヶ原(上):03/03/14 23:32 ID:???
さらに、雑談をつづけたい。

ブライト・ノアの妻
「ミライ」
のことについてである。筆者は多年、この婦人に興味をもち、ややもすれば好きに
なった。資性、英気溌剌としている。
ブライトの妻としてロンド・ベル隊長夫人として敬意されるようになってからも、
「私とブライトとのなれそめなんて、それはかわったものだったわ」
と娘のチェーミンをまじえて、ホワイトベース時代のことをおもしろおかしく物語る
ような女性だった。
ブライト・ノアは一年戦争当時、一介の少尉で、地球出身。新鋭艦ホワイトベースに
配属され、宇宙に出た(中略)
ミライは、相当な名家の出である。ヤシマ家という、大財閥・大企業のご令嬢である。
ミライの父がもし存命していたなら、一年戦争を防げたかもしれないといわれているほどの
影響力のある家の出身であった。
360通常の名無しさんの3倍:03/03/14 23:53 ID:AcfxBoBH
今日初めて見たスレですが1さん凄いですね。
良スレage
361通常の名無しさんの3倍:03/03/15 00:42 ID:???
紀行文が好き
3621:03/03/15 01:04 ID:???
335さん、乙です。
>>360-361
どうもありがとうございます。おかげで神スレの評価を頂いております。

明日・あさっての保守よろしく。明日早いんでそろそろ寝ます。
363通常の名無しさんの3倍:03/03/15 05:50 ID:pI2fFr7x
ageておきます。
いつも拝見させてもらってます。
正直、今一番楽しみなスレです。
364通常の名無しさんの3倍:03/03/15 12:42 ID:???
>>329-334ははまりすぎですね。Z本編でのシーンを思い出しましたよ。
365通常の名無しさんの3倍:03/03/15 21:44 ID:???
スレ数565。圧縮がいつ来てもおかしくないです。
366通常の名無しさんの3倍:03/03/15 21:59 ID:???
ココ見て司馬遼太郎に興味を持ちました。
明日、図書館で探してきます。

ってキッカケがこんなんでいいのか自分?(‘д`)
367通常の名無しさんの3倍:03/03/15 23:12 ID:???
ほしゅ
368外郭新興部隊(花神(下):03/03/15 23:33 ID:???
しかしバウアーにあっても、武(部隊をさす)についてはつねに定見がない。
(武は凶であり、危険である)
という政治家らしい暴走をおさえるための抑制心と、先例たるティターンズから
えた武を発展させることについての際限もない貪婪さというものが、バウアーの
なかでつねに振子のように極から極へとゆれている。
さらには宇宙のなかでの地球の位置、その地球を中心とする連邦政府の危うさと
いうことから脱け出るには、いまできるだけ精錬な武の組織と装備をつくりだすしか
ないという現実的逼迫感が、バウアーのその振子をむりやりに武のほうへ振らせるべく
努力している。
連邦政府における現実的危機感は、スペースノイド側のその過剰ともいえる意識にくらべ、
あきらかに消極的である。天下をあげてひとりとして政府を保護し、人民をまもるという者も
なく、武という選択肢すらも予算不足と危機は起ころうはずもないという楽観的予測から対処
しようともしない怠惰的気分が主流であるといってよかった。
そういう怠惰的気分のなかにあって、
(要するに地球圏を真っ二つに割るだけの武の競い合いがいまからはじまろうとしている)
というのが、ジョン・バウアーの観測であり、将来観であった。ハマーンのごときものが
組織する武が勝つか、バウアー自らの提唱で組織されるであろう新興部隊の武が勝つかという
ことである。
369:03/03/15 23:45 ID:???
保守ありがとうございます。
>>363
どうもありがとうございます。書き手の自分も楽しんで結構書いてます。
やる気が出ます。
>>364
文体から状況がリアルに再現できればいいのですけど、なかなか難しい
ですね。台詞はなるべく変えないようにしてます。
Zは個人的に好きなキャラ多いので、一番意欲的に書けますね。
>>365
バイトがあるので夕方のチェックができないのです。警戒しとかないと。
>>366
興味をもってくれるだけで充分ですよ。きっかけはどんなのでもかまいません。
僕も司馬さんの小説は立ち読みと歴史系サイトがきっかけでしたから。
アムロ・レイに、総司令官の器量はない。
が、一パイロットの能力としては、天賦ともいえるMSの技量と、父ゆずりとも
いえるMS設計能力を有している点で、最強のニュータイプ・パイロットという評価を
あたえられている。
それも並の技量ではなく、一年戦争以来の撃墜数はトップクラス、倒した敵パイロット
の力量もランバ・ラルやシャリア・ブルといった名うてのエースがおおく、グリプス戦役
時、リック・ディアスやディジェ搭乗時においても負けたことがなかった。
この力量とニュータイプへの覚醒が、かれの生涯を危難から守った(ただし、かれ個人の
体質からくる虚無的なものまでは最後までついてまわったが)かれは終始一パイロットに徹し、
それ以上のどんな立場にもつかなかったが、ニュータイプ特有のカンのよさや感知はおそらく
どんなニュータイプよりも感覚が鋭敏にできていたのであろう。この種の野生のような感知が
かれをしてさまざまな戦死や危機から事前にのがれしめた。アムロのような凄みと直観力は、ひょっと
すると宇宙世紀史上の人物のなかで類がないかもしれない。
サイド2、サイド6、といったふうに書いてきた。そのいずれの土地も
傾斜をもっている。
気質が歴史と風土に彫琢(ちょうたく)され、なにがしかの傾斜を帯びた
土地を、この稿を書くにあたって筆者は好んでいる。その傾斜も単なる傾斜
でなく、その傾斜あるがゆえに宇宙世紀の骨髄に突きささってしまったような
土地をえらびたい。
「つぎは、やはりアクシズでしょうね」
と、前回の帰路、同行のTさんはいった。たれしもが感じている傾斜の惑星である。
「ジオン残党のアクシズですからね」
と、Tさんはいう(中略)
ザビ家という独裁色のつよい大義だけで公国軍将兵があれだけ窮乏の淵にまでおい
つめられながらも、グリプス戦役に突如参入し、ついには連邦政府を屈服させるところにまで
追い詰める行為を実現できたとはおもえず、またあのような極端なファシズム的根性(ことば
が過ぎるが)だけでは、宇宙世紀史に果たしたアクシズ・ネオジオンの巨(おお)きさはとうてい
出てこないであろう。とにかくもわれわれは出かけることにした。

372通常の名無しさんの3倍:03/03/16 06:31 ID:???

373通常の名無しさんの3倍:03/03/16 13:37 ID:bDtH7Psz
保守
当時のアメリア政庁議会は、現状維持派というべき穏健派の巣窟といっていい。
ほとんどの政党が民主主義派であり、一勢力たるガチ党のカガチが動いたところで、
正攻法で第一党になるということは不可能であった。
結局、謀略を用いる以外にない。手品のたねは、

贈収賄疑惑のある現時点での第一党議員

を人民・ひいては法的不正の名のもとに、皆が納得するかたちで公開処刑
することである。
陰謀家らしいねらいといっていい。
カガチがねらいをつけている議員連中というのは、誠実で、普遍的民主制を
信じ込んでいるだけのなんの価値もない議員どもである(中略)
「なるほど第一党の議員たちを。−」
とまでいっただけでマリアは沈黙した。この陰謀のおそろしさに、さすがの慈悲深き
マリアも戦慄する思いだったのであろう。
「左様、俗物どもを」
と、カガチはふとぶとしくうなずいた。

カガチの秘密工作は活発になった。ガチ党員総出で敵対政党の妨害や証拠
調べを洗い出し、徹底した論理でギロチンによる粛清が正しいと人民に思わせる
くらいの効果を出すべく奔走した。もちろん、マリア主義集団も積極的にサイド2
の危機を煽り、活動に貢献している。
さて、話は少し過去にさかのぼる。かつてカガチは、ムッターマ・ズガンとともに
木星船団に所属している時期があった。この所属時、かれは木星船団の意向と自分の
科学者たる本領を発揮し、妙なリング状の大道具を建造している。ごく簡単に建造できた
わけではない。相当な労力と時間を要した。
この当時の輸送船内は、あらたな歴史を創る工作室のようになった。
ことにサイコミュ兵器を巨大化させること自体、前代未聞であった。歴史的にいえば
サイコミュ兵器はさほどふるいものではない。一年戦争の際に開発されたブラウ・ブロ、
エルメスなどというMAをはじめとして、グリプス戦役時にはバイオセンサーや
ハマーンの使用したキュベレイなどに、ビットの発展系たるファンネルをもちいたオールレンジ
攻撃がおこなわれているし、シャアの叛乱時にはνガンダムやサザビー、ヤクト・ドーガなどの
主力MSはほぼサイコミュ兵器を装備しており、史上、サイコミュ要塞などというものは
存在していない。


376通常の名無しさんの3倍:03/03/17 06:59 ID:???
おはようの保守
377通常の名無しさんの3倍:03/03/17 21:43 ID:???
コンバンワの保守
378顎ひげ艦長(貂の皮より):03/03/17 22:21 ID:???
ウッソは、ハンゲルグと言ったゴメスにいてもたってもいられずに、
「ハンゲルグ・エヴィンとか・・・どうしてご存知なんです」
まわりが驚くほどの大声で、グータラ気味のゴメスに問いかけた。ゴメスは、
この少年のなりふりかまわぬ問いかけがとるに足らないことだと思ったらしい。
さっさとあしらって機内の奥へ行った。
ーこれは、よほどの器量人だ。
と、ロベルト・ゴメス大尉をひと目みたとき、ウッソはおもったというが、初対面
で相手の力量まで見抜くことができるほど、スペシャルというのは人間離れしていない
はずである。この時点ではただ、父の名をなぜ知ってるのかということを思ったにすぎない。
そのいかにも前線向きで、チャームポイントといえる顎ひげと怠惰的気分を有した人物が
ロベルト・ゴメスという人であった。のちに驚くほどの変貌をとげることになるのだが、
この時点ではまだ完全にやる気を出していない。
ウッソはオリファーやマーベット・シュラク隊などに教えられ、またジン・ジャハナムの影武者
も知ったし、のちに父親のハンゲルグとも会ったが、しかしいかにもしっかりした大人というべき
軍人であったのは、艦長ロベルト・ゴメス大尉がもっとも出来た人物であった、と晩年までカルルマン・
ドゥガートゥスに語っている。
カガチは、文献をあさった。シャアの叛乱時に、αアジールという巨大MAが
登場しており、その強大な攻撃力と精神波動により、一時はあのアムロ・レイ
搭乗のνガンダムすらあやうくさせたほどの存在であった。また後年、フロンティア
サイド動乱の際、クロスボーン・バンガード総指揮官カロッゾ・ロナによって
開発・運用されたラフレシアというこれまた巨大なMAは、カロッゾその人に
よる脳波コントロールで、機体そのものをコントロールし、負担もそれほど多くなく
膨大なテンタクラーロッドの運用でMSビギナ・ギナがいとも簡単に大破せしめられている。
もっとも同じ事実が文献によってちがい、最強(最凶というべきか)といわれたラフレシア
も、コクピット自体のもろさは最後までカバーできなかったとか、その巨大な精神コントロールは
カロッゾ自身をすでに破綻させていたとか、さまざまな記録があった。いずれもやはり、コントロール
する人物は一人である。
ムッターマ・ズガンも、念のためにそういう文献の内容を検索・調べていた。果(はた)して実現不可能
だと知ると、
(はて、カガチよ、どうする)
と困りはてた。
ちなみに、先ほど筆者はカガチとムッターマが木星船団在籍中にエンジェル・ハイロゥを建造しているという
表現をつかったが、正確にはエンジェル・ハイロゥが完成したのは、帝国を建国後、そのザンスカール帝国に
対し、ムバラク・スターン大将指揮下の連邦艦隊とリガ・ミリティアが本格的な攻撃を展開している
間、0153年・6月18日に完全なかたちで完成をみた。じつにかなりの時間をエンジェル・ハイロゥ
運用まで費やしていることがおわかりだと思う。

380:03/03/17 22:53 ID:???
眠いので明日の朝書こうと思います。Vガン見て寝ます。
381通常の名無しさんの3倍:03/03/18 00:29 ID:45ZYJBUd
断固保守
ある日、カガチは自室から出てきて、
「できた」
と、一枚の設計図をムッターマにさしだした。
なるほど大きな紙の上に、ペンで書かれたような線で、二重・三重にもおよぶ
ようなリングが描かれている。よくよく見ると、エルメス・キュベレイ・ラフレシア
などのMS・MAなどとはちがい、なにやら内臓されているサイコミュの部分をそのまま
再現しただけの代物にもみえなくもない。複数のリングから構成されるこの天使の輪は
相当な大きさになるだろう、俗人どもを天に召すのに、これほど簡易な装置もないはずだ。
カガチはくわしい説明もないままに誇らしげにムッターマに語った。要するにカガチはこれを
もって人類の最終兵器たらんと欲しているのだろう。天使の輪とは、これまた滑稽なネーミングでは
ないか。
(カガチらしいのう。昇天を一挙になしうるには、要塞の形態がもっともふさわしいと考えたのか)
ムッターマ・ズガンはおかしくもあり、ひと安堵もした。安堵、というのは、ネーミングセンスの点で
ある。天使の輪、エンジェル・ハイロゥと名づけるセンスなど、目の前のカガチ以外たれがつけるというので
あろう。
「早速、この原案をもとに建造を開始しよう。さて問題はどうやって地球圏にむけて運ぶかということだが」
「それぞれの部品を解体し、バラバラにして運び、しかるのち組み立てる。この点は木星公社も気をつかってくれよう」
「なるほど」
エンジェル・ハイロゥ建造計画はこの日よりスタートした。ほぼすべてにカガチは関与した。
大量のサイキッカーを乗せるという案もカガチの案である。


383:03/03/18 18:30 ID:???
バイトに行きますのでチョト外します。
384通常の名無しさんの3倍:03/03/18 19:37 ID:YzNQqXCB
保守
セシリーの乗る自転車をおいかけながら、シーブックは自転車に乗りながら考えている。
(セシリーが・・・好きだ)
とおもった。が、そう思いたい自分を、否定するかのような気分もつづいている。
クラスで聞いたあの噂話がまだ尾をひいていて、つい足首をみてしまう。ドワイトとの
関係を邪推してしまう自分がそこにいるのである。清楚なイメージを強引に持とうとして
いるに過ぎないのではないかと思う心がある。
少なくとも先ほどの会話で、ドワイトとの信憑性は薄れたのだが。
(ドワイト)
と、心中、ときに呼びすてにしたくなるほど、シーブックはこのボンボンがきらいだった。
親の七光りで、自分が一番すぐれていると思いんでいる甘い男。まして連邦軍准将の御曹司
とくれば、いい奴であるはずがない。そのくせ生徒会長までそつなくつとめ、家庭教師をつけられて
いるくせに、自分は優秀であると周りに己の学才を誇る男なのである。
この事件の前、側近の手からジャマイカンからの報告書を読まされたティターンズ総帥
ジャミトフ・ハイマンは、すでに連邦政府より事(こと)をおさめてほしいという要請
がきていたために、
「何分、宇宙のゴミどものやかましいことだ」
と一言いい、苦笑しただけで、うなずいた。その苦笑は、ジャミトフにすれば、自分が
この事件の役者として出ることをみずから退いたことを意味する。すべてを、実戦部隊
総指揮官バスク・オム大佐にまかせた。
バスクは、艦隊を出動させた。
「スペースノイドどもが騒ぎ立てるのであれば、ティターンズの実力にかけて目にもの見せてくれよう」
と、旗艦アル・ギザを中心とした少数の艦艇を30バンチにむけ出港させた。
387335:03/03/18 23:11 ID:???
ちょっと目を離すと作業がたまる・・(笑
3881:03/03/19 08:08 ID:???
335さん、お疲れさまです。
休戦条約は結ばれたが、実際には諸所で戦闘が展開されている。
ウッソたちのホワイトアークは、北海にてリシテア級巡洋艦と遭遇、
6月1日〜6月3日のあいだに、べスパのバイク乗りドゥカー・イク少佐の
部隊と交戦した。
一度目の攻撃はかろうじてホワイトアークはのりきり(そもそも休戦条約締結
後に攻撃をしかけてくること自体違反行為なのだが)ドゥカー・イク自らMS
ジャバコで、部下のレンダ・デ・パロマとともに襲来してきた際、V2のウッソの
働きと連邦軍の増援の効果もあって撃退することに成功している。

390通常の名無しさんの3倍:03/03/19 21:00 ID:???
保守
391通常の名無しさんの3倍:03/03/20 00:57 ID:???
今週末はなんか怖いです。イラク問題便乗とかキンゲ最終回便乗などいろいろ有りそうで。
392通常の名無しさんの3倍:03/03/20 07:21 ID:???
ブッシュ、フセイン落ち着いてくれの保守
393:03/03/20 08:54 ID:???
沸騰気味の米とイラク・・・どっちもヤだな。
土日は要注意と。
さらにはマリアは、後年の彼女をみても、人間の世の中において他人との調和
の保てない奇矯な性格の持ち主ではなく、むしろ人の心をよく読み、人が何を欲して
いるかを表情で悟り、世の中はこういうものだというわけ知りなところもあり、
その点からいってもキャリア・ウーマンとしても、一介の母親としても充分に
やっていくことができる女性であった。
そういう印象からいえばマリアはごく当たり前の若者であり、すくなくとも世俗の
わくからころがり落ちそうな性格のきわどさはなく、天才的人物といわれている者に
常識としてありがちとされる狂気の相貌や行為は一見みられなかった。
395斬って候(酔って候より):03/03/20 10:15 ID:???
主(あるじ)は冷凍睡眠により1000年もの時を生きるソレル家の当主で、月の女王である(中略)
あるとき女王ディアナはこの御大将の物狂おしい剣舞を見て、
「ギム・ギンガナム殿はなぜそのようなことをなされます」
といった。
「身の内に、火のようなものがあります。じっとしていると、悶え狂いそうになるからです」
と、御大将はいった。火のようなものを消すには体を激しく動かすか、演習をするか、刀をぬいて
剣舞をする以外に手がなかった。
396:03/03/20 10:41 ID:???
>335さん
初代スレ作品のタイトルを考えてみますた。
>106
武人ドズル
>125
蒼い宇宙
>126
血路
>127
シロッコ台頭
>131
ぜナの変転
>132
ローラ・ローラ
>136
感情のままに
>137
将帥余話
>139
サイド3帰還
>140
フリーメーソンの目
>142
妹よ
>143
中将脱出行
>148
感慨
>149
穏健派・強硬派
397通常の名無しさんの3倍:03/03/20 21:47 ID:xREssgDD
脱出(燃えよ剣下巻P83)
ブライトは沈んでいくホワイトベースをじっと見つめていた。
(青春はおわった。  )
そんなおもいであった。ア・バオア・クーはホワイトベースクルーのそれぞれにとって、
永遠に青春の墓場になるだろう。
あの要塞にすべての情熱の思い出を、いま埋めようとしている。
「まず政権確立後の帝国政府の構想と職制について相談したい」
とカガチはいった。二人のべスパ指揮官は、事の早さに驚いた。カガチは自分の
案をのべた。−女王の下に宰相をおき、宰相はこのフォンセ・カガチがつとめ、ムッターマ・
ズガンをもって軍部門の総指揮官とし、政府要人はガチ党メンバーをもってこれにあてると
いうもので、ことごとくカガチが考えたものだった。
「どうだ」
と、カガチは二人の顔をみた。
「異存ござりませぬ」
と二人はいった。ムッターマはともかく、タシロ・ヴァゴに新政権の構想を
考えるような頭はない。
「それではこれでゆくか」
「結構なことでござりまする」
と、タシロは、にこにこ笑うしか能がない。
エンジェル・ハイロゥの製作者のフォンセ・カガチは、その建造が進行
段階にあるなか、陰謀を駆使してようやく第一党となったガチ党を主体と
した独裁政権を確立すべく、工作とマリア演説用の草稿を考えていた。
「エンジェル・ハイロゥの建造、女王はご覧なられますか」
とカガチは好意でいってくれたが、マリアはそこが慈悲深きところであったが、
要塞そのものに興味はない、といった。サイコミュ要塞とはいえ、人が動かすもの、
たくさんのサイキッカーたちが起こしうるやさしさの波動の効果こそがなによりも
大事なのです、とマリアはいうのである。
なるほど、考えてみれば、多数のサイキッカーと中心となる柱(マリアを指す)がいなければ
最大のサイコミュ兵器があったとしてもその効力は発揮できない。兵器ではなく、人を
中心に据えている点で、いかにもマリアらしいといえた。
二度目の襲来は皆奮迅して、ガッダール隊(イク少佐指揮のモトラッド分艦隊と
いうべきだが)は死をおそれずーむしろこのバイク狂の部隊は猛進をよろこぶがごとくー
ホワイトアークにむかって猛攻撃をかけた。
北海において行なわれたこの戦闘では、リガ・ミリティア側のオデロ・ヘンリーク
が奮戦(もっとも本人はべつにやりたい事があったようだが)リシテア級巡洋艦エム
の艦橋をガンブラスターのビームの一撃を命中させ破壊、
「地球をバイク乗りの楽園にする」という野望を抱いていたガチ党員ドゥカー・イク
少佐と、軍務中のスケッチブックに家を書き、イク少佐とともに暮らす夢を抱いていた
レンダ・デ・パロマ中尉は戦死し、ともに天国へのぼった、といわれる。
6月5日にはラゲーン駐留部隊のマチス・ワーカー大尉が改造したゾロ部隊をひきいて
強襲、武装解除も拒絶、「地球を安息の地として、家族とともに幸せに暮らす」理想を
抱き、カサレリアにて行なわれた戦いでは、ホワイトアークに肉迫するほどの苛烈ぶりを
示したものの、ウッソのV2が形成した「光の翼」によりラゲーン駐留部隊は壊滅、
大破した機体からマチス大尉を救出しようとしたウッソだったが、手遅れであった。
マチス・ワーカー大尉はカサレリアに葬られ、そのウッソたちの償いをみたマチスの妻レーナは
のちに誤解をといて感謝の言葉をウッソに述べている。
この数日間でザンスカール側は膨大な死傷者と機体をうしなった。リガ・ミリティア側にも
ウッソ・エヴィンの戦闘拒否反応など、変化の色合いをみせている。
べスパが懸念しているホワイトアークと、リーンホースjrはいまだ健在であった。
401マチルダ中尉(城の怪):03/03/20 23:38 ID:???
自然、アムロはマチルダ中尉がウッディ・マルデン技術大尉と婚約を
かわしていることなど知るよしもない。第一、アムロは、マチルダの一面
しかみておらず、マチルダに対する感情も憧れの対象ということのほうが
つよい。
ただ、オデッサの戦場を見下ろしながら思うことは、マチルダ・アジャン中尉
というのはアムロ・レイの命の恩人であったということだろう。黒い三連星の
ジェット・ストリームアタックをきりぬけることができたのも、ミデア輸送機
で体当たりを敢行してくれたマチルダ中尉のおかげであった。
波動のエネルギーが、空域をつつんだ。こだましていた鈴の音のかわりに
感じられるえたいのしれない波動に、ウッソの心気は朦朧としてきて、
いつのまにか身におぼえのない行動をしてしまっている。
もう妖しいというレベル以上に、ウッソ自身が「あやしく」なっていた。
げんにこの少年の濛々として朧(おぼ)ろな頭のなかには、カサレリアでの
戦闘の光景も出ていたし、シャクティ・カリンも、あざやかなというには幼すぎる
肢体を、水浴びをする光景のなかにうかびあがらせ、さっきから何度も出てくるオデロ
と会話をかわしている。
ハングライダーで空を滑空するハンゲルグの背に幼いころの自分がいたし、母のミューラ
にナイフ投げを教えてもらっている。シュラク隊のマヘリア・ケイト・ヘレン、二度もうかぶ
ジュンコの爆発寸前の裸体、オリファーの特攻のシーンが再現された。
ふと気がついたときは、敵部隊との戦闘になっていた。相手の機体が赤色だった
ことからか、敵MSがクロノクル搭乗のMSゾロアットとなって、ウッソに襲いかかった。
ウッソの機体も、V2からVダッシュガンダムに変わって、戦闘が展開された。
ゾロアットを破壊したウッソだったが、あらためて出てきたのはコンティオである。
現実にいるゾロアット部隊と、再現されるかのように出てくるMS、そしてクロノクルの
嘲笑にも似た台詞に、ウッソは混乱した。そして・・・・カテジナのタイヤ付きゲドラフが
あらわれた。
このときには、V2にもどっていた。ビームの閃光のなか突進するカテジナの
ゲドラフに対して、
「なんで追いかけてくるんです!カテジナさん!」
とおもわず声をあげた。
と、場面は宇宙でありながら地上の風景が再現されるなかでのゾリディアとの
戦闘である。再現されたカテジナは相変わらずの言葉をウッソにぶつけ、
その言葉に対しウッソは、
「ウーイッグのカテジナさんの言うことじゃないですよ!シャクティの母さんの
マリアの言うことじゃないですよ!そんなこと!!!」
と、本音とも思える反論を口にした。口にした途端・・・
奇妙な光景があらわれた。
窓辺から外をながめているカテジナの姿が、ウッソのまえにあらわれたのである。
ウッソの心に秘めている、そうあってほしいという願望が再現されたかのような光景を
目にし、涙を滲ませながら「ウーイッグのカテジナさんでしょ!!!あなたは家の二階で
物思いにふけったり、盗み撮りする僕をばかにしてくれていればよかったんですよ!!それが!!!」
窓辺のカテジナの視線は、ウッソを見据えたままである。ありったけの思いをぶちまけたウッソに
対して光景のなかのカテジナは、
「男の子のロマンスに、なんであたしが付き合わなければならないの!!」
と、正直すぎる言葉をかえした。
感情をおさえきれないウッソは興奮し、涙をぼろぼろ流し声をはりあげながら宇宙空間をV2で
駆け回った。
仮想と現実が交じり合うなか、オデロとトマーシュはなんとかウッソの目を覚まさせようとするが、
いっこうに効果がない。ウッソのほうは、血気に逸るオデロが放ったガンブラスターの
マルチランチャーが翔びゆく射線を見、頭に光の翼の光景が浮かびあがった。
一瞬、静寂と心地よい光が、ウッソを包み、身体が光を帯びた。


404335:03/03/21 00:41 ID:???
>>1さん
ありがとうございまつ。

HPの方、今週末は何気に忙しいので更新無理っぽそうです・・。
時間が出来次第更新しまふ・・。
心地よいと思ったその瞬間、マルチランチャーの破壊とともに幻は音をたてるように
して破れ、ウッソは我にかえった。ウッソはV2の光の翼で突進、二機のゾロアットを
撃破した。憔悴しきっていた。
「ああ!!」
と、マリアの叫びとともにサイキッカーたちの脳波が乱れた。エンジェル・ハイロゥの
実験を観察していたカガチはムッターマと言葉をかわし、初期段階の過剰反応が出たようだと
しごく冷静にいった。カガチはつねに科学者的な合理精神でうごいている男であるだけに、
この時点ではマリアの身体に予想以上の疲労が出ることを知り、考え込んだ。マリア以上の
エンジェル・ハイロゥの柱となるべき人物など存在するわけがないからである。だが、完璧な
布陣で臨みたいと思うのは、科学者の常なのであろう。意外な方向から、その望みはかなえられること
になる。
ホワイトアークに戻ったウッソを、マーベットが介抱した。しかしマーベット、ウッソに対しては実の子の
ように優しすぎる。ウッソは乳離れしていないかのように甘え、あらためてシャクティを救出すべく誓うのだった。
406:03/03/21 00:58 ID:???
>>335さん
また補足できるようでしたら、手助けしますね。
仕事、頑張ってくださいね。HPはいつでもできますし。
期待して待ってます。

それではお休みなさい(Vガンネタに偏りつつと反省しながら・・・・)
407通常の名無しさんの3倍:03/03/21 01:50 ID:77mbKi8g
光る宇宙(燃えよ剣下巻P152)


「それはもう、戦争(ア・バオア・クーの戦い)のときは、えらいさわぎでした。私らが
ブリッジから宇宙をながめていますと、目の前を大きな光が疾っていき、たくさんの艦が
沈んでいったのだなと思いました。」と、この当時の目撃者が、その後ながく生きていた。
フォンブラウン市のKさんである。市の最高齢者として市からお祝いをうけたが、その取
材記者が会いにいったときの第1声が「戦争のときは」であったという。
彼女は単に戦争といった。記者はエンジェル・ハイロゥ攻防戦のことだと思ったが、よく
きいてみると、ア・バオア・クーの戦いのことであった。
408通常の名無しさんの3倍:03/03/21 18:35 ID:???
本日、図書館に行って司馬作品を借りようとしたんですが祝日で休みでした。
409通常の名無しさんの3倍:03/03/21 19:26 ID:77mbKi8g
保守
410:03/03/21 22:54 ID:???
祝日という感じがしない一日でした。
>>407
>この当時の目撃者
こういう箇所がリアリティを生むんですよね。

ガンダムの資料を買うべきかなあ。
411通常の名無しさんの3倍:03/03/21 23:05 ID:T1aRy4Jx
あge
412通常の名無しさんの3倍:03/03/21 23:05 ID:77mbKi8g
関係ない話だけれど、漏れが司馬小説にのめり込むきっかけは、厨房のときに
北斗の拳と勘違いして北斗の人を読んだことがきっかけだった。
ちなみに消防のとき銀河鉄道999と勘違いして銀河鉄道の読んで
なんじゃこりゃーと思った。

保守
413通常の名無しさんの3倍:03/03/21 23:08 ID:77mbKi8g
銀河鉄道の夜の間違い スマソ
キンバライド基地正面。
この日、宇宙世紀0083・10月23日、アナベル・ガトー少佐とガンダム二号機を
搭載したHLV発射の時間を稼ぐべく、例のノイエン・ビッター少将搭乗の指揮官用ザクU
を中心にMS部隊が展開した。
ビッターは揮下のMSザクU、ドム・トローペンの部隊とともに、キンバライド基地にむけて
進んでくる強襲揚陸艦アルビオンを急襲した。
天佑といってもいいくらいの幸運であった。主力MS隊は囮のMS部隊につられ、アルビオンの
真下で展開する護衛機はたったの二機のみであった。
が、敵艦も機銃座をフル稼働させて、猛烈な射撃をビッターの部隊にくわえてくる。
間隙をぬって、揮下のドム・トローペンが敵艦にラケーテンバズーカの一撃を格納庫らしき
部分に命中させたが、敵もなめたものではなく、機動性を生かして攻撃を仕掛けたもう一機の
ドム・トローペンは、新型のジム・タイプにあっというまに撃破されてしまった。
「護衛機などかまうな!敵艦の懐(ふところ)へ飛び込むんだ!!」
と、ビッターは揮下のMS部隊を督励するが、なにぶん銃砲火があつい(中略)
当然、勝利者の側である連邦軍のほうが、優秀なMSを開発しているのであり、性能の点から
いけばザクなどでは歯が立たない。
キンバライド基地部隊は、3年間基地を維持し続けたものの、依然としてMSは一年戦争当時の
代物をつかっている。進歩のさせようがないのである。
その新旧の戦いは、まさにジオン残党たちにとっては命がけの戦いであろう。
ビッターの命とともに、敵艦の懐に飛び込んだドム・トローペンが機銃座を破壊した
そのころ、キンバライド基地がアルビオンの射程圏内にようやくはいった。
アルビオン艦長エイパー・シナプス大佐は、主砲を展開させ照準をあわせる
ように命をくだした。アルビオンの主砲が、発進しゆくHLVにむけてひらかれた。
その敵艦の行動にビッター少将、
「行ってくれガトー少佐!全機突撃!」
と、残っているMS部隊の総力をあげて行動を阻止すべく敵艦にむかって突撃したが、
思わぬところから射撃がきて、揮下のザクUが撃破されてしまった。
「なんだ!?横合いからか」
ふとみると、囮部隊が牽制していたはずの主力MS部隊がすぐそばにいた。
ビッターは悔しがったが、かれの部隊の突撃は決して無駄ではなかった。執拗に食いついて
くるジオンのMS部隊に焦点をおいたために、肝心のHLVへの主砲照準があわず、主砲は
放たれたものの、二本のビームは命中することなくむなしく線をひくのみであった。
HLVが轟然と打ち上げられてゆく姿を茫然とみるアルビオンクルーたちを尻目にしてビッターは
星の屑作戦の勝利を確信した。
「勝ったぞ・・・星の屑作戦に栄光あれ」
ビッター、覚悟をきめて搭乗する指揮官用ザクUの推力を全快にし、生き残った揮下のザクUとともに
敵艦の艦橋を撃破するべくありったけのエネルギーで飛び上がった。
激烈な対空砲火の嵐のなか、揮下のザクUは砲火にのまれ撃破された。
敵艦に乗り上げたビッターの指揮官用ザクUは、120oザクマシンガンの
照準を敵艦の艦橋にあわせた。
「我々の意地をみよ!!」
といままさに撃とうとしたとき、横合いからビームライフルの閃光がはしり、
ビッターの搭乗する指揮官用ザクUはひるがえってアフリカのサバンナの大地に堕ちた。
堕ちたビッターの指揮官用ザクUは、片手を高々と宇宙へむけて伸ばしたまま、その
在りようをとどめたという。
ビッターの決死の行動は身を結んだ。脱出したHLVのなかで、ガトーはビッターの
形見といえるであろうダイヤモンドを握り締め、星の屑成就と自分を助けてくれたビッター
に感謝の意をあらわしながら、感傷にふるえていた。

戦闘は終結した。
アルビオン艦橋からニナ・パープルトンがみたものは、白旗をかかげて降伏の
意をあらわそうとするヴォルフガング・ヴァールの姿であった。かれは戦闘前に
ビッターから降伏するようにとあらかじめ指示をされていたのである。
MSをうしなった以上、これ以上の抗戦は不可能である。現実的判断にたった
亡き基地司令ビッターの命を、ヴァールは忠実にまもった。
「あれが、スペースノイド・・・あれが・・・敵」
ガンダム一号機パイロット、コウ・ウラキはキンバライド基地将兵のあまりにも
潔すぎる姿をみて、敵に対する認識をあらたにするのだった。

417:03/03/22 00:52 ID:???
>>412
厨房のときは項羽と劉邦読んで、あまりの難しさに引いてしまった記憶があります。
加熱した理由は前に書きましたが、きっかけってさりげないものですね。

明日早いのでもう寝ます。
418通常の名無しさんの3倍:03/03/22 12:13 ID:???
項羽と劉邦を読んでいたおかげで
漢文のテスト(問題は四面楚歌)でいい点取ったのは私だけだろうか?
419通常の名無しさんの3倍:03/03/22 19:37 ID:???
保守
420通常の名無しさんの3倍:03/03/22 19:43 ID:???
あげましょう
シロッコは、アポロ作戦にて占領したフォン・ブラウン市にいる。先ほどの
ジャマイカンからの平手打ちの痛みを感じながら、にがい顔ですわっていた。
「いつまで」
とシロッコはしごく冷静にいった。隣にいたサラは、びくっとして、つぎのことばを
待った。
が、シロッコはつぎの言葉を奥歯でかみころしてしまっている。
(いつまで特権集団のつもりで居やがるんだ)
ということを本音として抱いていたのだが、こんなことを口にするようではまだまだ
己の器がちいさいというものである。
422:03/03/22 23:52 ID:???
明日の保守よろしく。
423通常の名無しさんの3倍:03/03/23 04:07 ID:GR6cRpi9
司馬遼太郎フアンでガンダム好きにはたまらないなあ。
頑張ってくれ〜。
424通常の名無しさんの3倍:03/03/23 07:13 ID:???
saikou
425通常の名無しさんの3倍:03/03/23 16:38 ID:GvFbWr5L
ふるたはほしゅ
426:03/03/23 18:13 ID:???
皆様、保守どうもです。

しかし、米国指導層がティターンズに見えて仕方がない。
コーウェン(パウエル)とジャミトフ(ラムズフェルド)の組み合わせが・・・
レズリー・アノーがフロンティアWに移住して、コロニー公社の下請け会社「ブラッドリー
宇宙建設工業に再就職したときは40代前半という壮齢で、すでに子のシーブックも中学に
入っており、娘のリィズも小学三年生になっている。
「やめるべきかどうか」
とレズリーは先に材料工学の専門家としてつとめていたヘルンガッド政庁のロックウェイ研究所
をやめるときに悩んだにちがいない。自分のしている材料工学の開発研究が軍に利用されることを
嫌がったためだが、この仕事に対する自分自身の入れこみ具合からいえば、もったないともいえなくも
ない。コロニー建設に関われば自分にとって次の何かを発見できるのではないか。ノーマルスーツの仕事も
重労働をさきに経験したこともあるし、やれないことはないだろう。
この時代、軍関係の仕事は割合給料や待遇がよかった。その環境をすててあえてこういう現場の建設作業に
従事するきっかけとなったのは、研究所の職員たちに対する苛立ちと、妻のモニカの存在があった。
二流、三流の、外を満たすよりも内側の充足のみに目を向けている姿勢、そんな閉鎖的空間にいることがレズリー
には耐えられなかったことと、研究自体は、モニカに任せればいいという考えもあったと思われる。
仕事に熱心になるモニカがレズリーとの離婚を言い出したのも、仕事と家庭の両立は不可能であるという見地にたった
彼女の希望であったが、レズリーはここのところは柔軟すぎる男であったのか、モニカに「子供は私が育てる。モニカ
は飽きるほどサナリィで研究するがいい」と言って、モニカの自由を許した。
離婚という選択をあえて回避したのは、かれなりの家族に対する愛情がさせたのであろう。と同時に、時代の進化とともに
ジェンダーに縛られた価値観は古くさいと感じていたレズリーの、素晴らしい家庭人になってやろうという意気込みをあらわす
ことだったのかもしれない。
それにしても仕事と家庭を両立させることは、よほど難しいことだ。レズリーは
思っていた以上にこの仕事がきびしいことを自覚せざるをえなかったし、ロボットの
監視だけでなく、肉体労働も予想以上にきびしかった。
仕事が終わって、それですぐ休めるというわけではない。アバシーヤ区のタウンに戻れば、
シーブックとリィズの夕食の仕度のための買い物や、家に帰ってからの掃除・洗濯など、
休むひまなどなかった。
この点、ロナ家代々の当主と比較すると、その柔軟さがわかるであろう。カロッゾは妻のナディアの
姿勢を理解することができなかったし、マイッツァーも妻のレイチェルとは離婚という結末をむかえている
ことから考えると、妻の在りようを認めることがいかに困難なことであるかがわかる。

ーミドガルドは、影のようだ。
と、宮殿のなかのひとびとから言われた。ミーム・ミドガルド大尉(ゲンガナム
大隊予備役)はひそひそと歩く。とくべつな呼吸術でも心得ているのか、アグリッパ・
メンテナーの身辺で身のまわりのことをしていても、人間がそこにいるというわず
らわしさをアグリッパに感じさせず、また冬の宮殿のなかを歩いていても足音も
しなかった。気配すら立てなかった(中略)
(ミドガルドは私の影であって、人ではない)
とアグリッパは思うようになっていたし、当然、子飼いの情報将校ともなればディアナの
身辺を探るのにうってつけであり、影である以上発覚されることもあるまい。
反女王工作をするのになんのさわりもないと思った。
430通常の名無しさんの3倍:03/03/23 23:35 ID:ZZbxSo1Y
>>426

>米国指導層がティターンズに見えて仕方がない。

私もそう思います。元々独善的な部分がある国でしたが・・・・。
431:03/03/24 00:02 ID:???
>>430
国連決議のないままの戦争、独走してもオッケーという先例を米は作ってしまいましたね。
この独走が暴走しないとも限らないし・・・・(かといってイラクにも加担できないし)
不安ですね。

スレ違いですね。それでは寝ます。
432通常の名無しさんの3倍:03/03/24 21:01 ID:???
フセインの演説聞きながら保守
433狂女の怪(城の怪):03/03/24 23:44 ID:???
少女の名は、エリシャ・クランスキー、15歳。
マルチナという、3つ年下の妹がいる。太陽電池衛星ハイランドに住んでいたが、
ハイランドを軍事利用しようとするべスパによって人質とされていたが、ウッソたち
リガ・ミリティアの手によって救出され、現在、成り行きから、ホワイトアークのクルーと
なっている。
妹のマルチナとくらべると、わりとおとなしい印象があるが、実際の彼女はそうではない。
エリシャ、はっきりと物をいう、しっかりした少女である。
ーエリシャさん。
と、オデロ・ヘンリーク、気になり何度も声をかけるが、エリシャはまったく気にするそぶり
もみせず、興味すらなさそうである。
エリシャに一目惚れしたオデロ、任務の合間にエリシャをのぞきこむと、息がとまるほどに美しい。
〜中略〜
ザンスカールとの戦闘の合間、ウッソがシュラク隊のお姉さん方が気になるように、ウォレンが
マルチナに好意をもつように、オデロはエリシャのことが気になってしかたがない。
美しい。
その帝国建国宣言の日時には諸説あるが、とにかく、この日、0149年7月19日、
サイド2・アメリアにてザンスカール帝国が建国された。カガチの構想どおりの人事にて
軍政部門は整えられ、政党はガチ党一党のみとし、他のアメリア政党はすべて解散させた。
ところがかれらのおかしさは、サイド2をザンスカールの統治下に従える前に、地球に橋頭堡を
築こうとしたことである。この戦略は、地球そのものの浄化を目標に定めていたカガチにとっては
予定通りのことであったが、それ以前に、わざわざ武力制圧という手段に訴えなくても、ザンスカールの
艦隊戦力はサイド2のなかでは最強ともいえるMSや艦艇をもっていたためにあえて武力に訴えるという
手段を行使しなくてもいいという判断があったからだろう。のちに地球浄化作戦前にムッターマ・ズガン直卒の
艦隊がサイド2連合軍に対し武力攻撃をするのだが。その名はズガン艦隊。安易すぎるネーミングである(中略)
建国後、カガチは、サイド2掌握よりも前にやるべきことがあると女王マリアに語り、その諒解(りょうかい)を
もとめるような言い方で、
「エンジェル・ハイロゥの発動はまだまだ先のことであり、その間しばらく間をおくことになりますが、この間、
人類の故郷である地球に対し、拠点を築いておく必要があるかと存じます。なによりも諸悪の根源たる連邦の戦力を
漸減しておくことこそ、人類全体の業を祓う素晴らしき行いであると、私は考えますが」といった。
マリアは微笑してうなずいた。要するにマリアは人類の幸福のために祈る立場にあり、実際、女王といっても直接
政務を執るわけでもない。マリアのするべきことはザンスカール臣民の柱たる存在として、皆を救済する
演説と奇跡の力を発揮することだけなのである。実際の政務遂行はカガチの役目である。
「すべて一任いたします」と言いたかったのであろう。
435通常の名無しさんの3倍:03/03/25 22:20 ID:???
保守
カサレリアにて一時の休息をしたウッソたちであったが、ラゲーン基地にて準備中の
ホワイトアークとリーンホースjrを狙ってか、高空から強大な荷粒子ビームが地上に
むけて降り注ぎ、そのいわば敵味方、民間人入り混じる基地内部の居住地に命中、その
衝撃は昼間出会ったマチスの妻と子を気遣うウッソを大きく刺激した。かれは親子を探す
べく危険を省みず居住地にむかって走り出したが、ふたたび高空から繰り出された第二波の
ビームがウッソの背後で命中、爆風の威力でウッソは弾き飛ばされた。リーンホースjrの
出撃を指示したゴメスは、かなりの高空から撃っていると予想し上空を見上げると、なるほど
天高き場所に飛び交う一筋の光がみえた。
ウッソはなおも走り回っていたが、やがて泣きわめく二人の子をあやすマチスの妻レーナを発見し、
安全なところへ連れてゆくといい、マチスの墓へと案内するべくホワイトアークへ誘導した。
ブースターを装備したホワイトアークは動きだした。
V2にてレーナをマチスの墓へと案内したウッソは泣き崩れた。そこへシャクティがカルルを背負って
あらわれ、死刑執行人にまつわる鈴の話と、ファラ・グリフォンのことを分かった範囲でウッソにつたえた。
ウッソはシャクティにレーナのことを任せ、ホワイトアークに戻った。
リーンホースjrは浮上してビームシールドを張ったが、上空からの攻撃
にはいかんともし難い。シールドを上に向けろと駄々をこねるジン・ジャハナム
(影武者)の命をゴメスは軽く受け流し、ホワイトアークの部隊が上空にむかって
いると返事をかえした。
ホワイトアークはブースターの出力を最大源に発揮して高度をあげた。成層圏に
飛行物体を一機キャッチしたとのマルチナの報告に、マーベットはモニターをまわすようにと
指示を出した。円盤のようなMSが赤い光を帯びてうつっている。
その円盤が射程圏内にはいった。ホワイトアークのメガ粒子砲が放たれたが、それた。
赤い光の反撃がきた。ユカのVダッシュとウッソのV2、オデロとトマーシュのガンブラスター二機が
散開しつつ円盤を狙撃する。追う最中、ザンネック(ややこしいが、正式名称を使うことにする)の粒子
加速器が熱を帯び、鈴の音がウッソの頭にこだました。昨夜カサレリアにてカルルがはげしく反応していた
あの鈴の音である。
下から落とそうとガンブラスターのビームライフルを撃つトマーシュだったが、
ザンネックの乗るザンネックベースはユニット自体、下面にビームシールドを
張っていたために効果がない。攻撃に気がついたザンネックは機体逆さまの状態
になって荷粒子砲ザンネックキャノンを振り回し、ガンブラスターの頭部をはじき
飛ばした。背面から攻撃をかけるユカのVダッシュにもかるがると対応、粒子加速器
から少量のビームを放ってしりぞけた。
ザンネックは第三波を繰り出すべく粒子加速器にエネルギーを蓄積しはじめ、強大な
威力を誇るザンネックキャノンを地上にむけてかまえ、斉射した。赤いビームは雲を
つらぬき、リーンホースjrのすぐそばを通りぬけて地上に命中、森を焼き払った。
巨大な衝撃と爆風がリーンホースjrに叩きつけられた。かろうじて回避できたものの、
さらなる一撃がくれば、リーンホースjrは回避できるかどうかわからない。
ユカはホワイトアークのメガ粒子砲でザンネックを仕留めようと他のMS部隊をさらに散開
させて四方から攻撃をくわえるが敵はいまだ傷ついた気配すらない。
照準がザンネックに定められ、ホワイトアークのメガ粒子砲が放たれたが、ザンネックも負けじと
赤い光を繰り出し、二つの巨大ビームは成層圏にて命中、力はやはりザンネックのビームが勝って
おり、ホワイトアークはその衝撃で落下をはじめてしまった。
そこへ隙をつくかのように光の翼をひろげたV2が迫り、ザンネックの
懐へとびこんでビームサーベルを振るった。胸部マイクロミサイルを至近
距離にて放ち、対応しようとするザンネックにウッソのV2はなおも戦おう
とするが、さすがにエネルギーを消耗しすぎたのかザンネックは発光しつつ
戦場から撤退した。
深刻なダメージをうけたホワイトアークにさらなる宇宙への出撃の命が下ったが、
艦長ゴメスの判断で一日だけ休暇があたえられた。ウッソはレーナにお別れをし、
オデロをはじめとするホワイトアーククルーたちは、マーベットの一言「カサレリア
にお別れを」という言葉とともに、宇宙へ上がるのだった。
440:03/03/26 01:07 ID:???
一段落つけるまでが長い・・・キッズVガン放映終了まであと少し。
寝ます。
441通常の名無しさんの3倍:03/03/26 19:10 ID:???
何も知らない友人にVガンとキンゲは同じ人が作ったといったら驚いていました。
442通常の名無しさんの3倍:03/03/27 07:54 ID:???
保守
443:03/03/27 22:24 ID:???
疲れたので寝ます。明日の朝書こう。
444通常の名無しさんの3倍:03/03/27 23:59 ID:ydwkyGzc
ガンダムと司馬遼太郎がこんなに合うとは・・・・。
ファンタスティックです〜。

しかも何度読み返しても読み応え有ります。
相当推敲していますね。

1さんの大作、労作に敬礼!!
445:03/03/28 08:20 ID:???
>>444
どうもです。わりとネタが限られてるんで、本編のイメージを損なわない
ように考えたりはしてます。
>相当推敲していますね。
Vガンネタよりも、F91ネタのほうが推敲してるかも・・・
目標は全作品制覇!と高々と掲げてみる・・・・

バラバラに書き込んでますので、読みにくいかもしれませんが(あと誤字も)
ご容赦を。
446:03/03/28 08:24 ID:???
>>441
僕の友達は富野嫌いなヤシなんですけど、キンゲはいいなという返答が最近
返ってきました。漫画のほうですけど(アニメーションを評価してホスィ・・・・)
明らかに御大の異能ぶりが発揮されてましたね。続編をひそかに期待してたりします。
おわっていない、という話題について、去年だったか、旧連邦軍総司令部、現在
は南米の一都市となっているジャブローの青年会議所から、
「すでにティターンズなく、ロンド・ベルなく、連邦政府中枢機構も月に移った。
たがいに古い感情をあらいながし、姉妹都市になろうではないか」
という意味の提案がサイド2・アメリアの青年会議所にもたらされた。それに対し
アメリアの青年会議所はにべもなく拒絶した。その青年たちの小気味よさに、町中
の老人が喝采した。
カリウス軍曹にとって生涯ジオン独立戦争はおわっていなかったように、われわれ
スペースノイドの仲間ではこのサイド2・スペースノイドだけが人間の節操という
ものを怨恨という、いわば病的症状のかたちながらも、それに変質させてもちつづ
けているのである。
これは歴史の深刻さによるものなのか、風土によるものか、そのあたりの機微はす
ぐさまの判断は不可能であるけれども、とにかく事実はそのようである。
448:03/03/28 08:37 ID:???
バイトあるんで続きは夜にでも。
449狂女の怪(城の怪):03/03/28 20:28 ID:???
ラゲーンから焼け出されてウォレン、スージィとともに戦災孤児となってしまった
あと、オデロ・ヘンリークは空き家に潜入した。いや、なによりも空腹に耐えられ
なかったというのが本音のところだが、オデロからいえば生きるためには何だって
やらねばならないと信じていたし、げんに無人だとおもっていたのが、住人のウッ
ソがあらわれると命がけの駆け引きをやった。このウッソの家での出会いが、最初
のホワイトアークメンバーの出会いの場所となる(中略)
オデロ・ヘンリークやウッソ・エヴィンをはじめとして、この当時、地球には多く
の不法居住者がおり、事実特別区といえるウーイッグに住んでいない者の多くはお
おかたが不法居住者であり、夜間には見つからぬように明かりを消してひそかに住
んでいるというのがほとんどであった。ウーイッグに住むことができるのは財力の
ある者だけなのである。
450狂女の怪(城の怪):03/03/28 21:02 ID:???
そのウッソの家の前を双眼鏡で覗くと、Vが敵に奪われている。Vだけでなく
イエロージャケット部隊のパイロットが乗っているであろうゾロも3機、確認
できた。助けるしかねえかな、とオデロはスージィやウォレンに言った。
相手の一方は、イエロージャケットのパイロットである。一方はゾロをなんとかすれば
いい。オデロは一計を案じ、駆け出した。
パイロットを家からおびき出すため、羊の群れをスージィが上に乗り駆けさせて、挑発した。
案の定、パイロットはウッソの家から出てきた。ウォレンはあらかじめ仕掛けておいたロープ
を引っ張り、パイロットをころばせた。
(機会(しお)だ)
と、オデロはそのあたりでひろってきた棍棒をかまえパイロットへ振りおろし、あらためて家の
影に隠れようとしたが、木にぶつかり痛がった。まずパイロット一人をたおし、有利になった状態
であらためてもう一人を・・・ということであった。
もう一人のパイロットが出てきて、倒れている味方のパイロットを見ておどろいた。ふとみると、
目の前に棍棒がトントンと地面をたたいて、たおれた。
その隙をついて、パイロットに体当たりしたオデロの形相はすさまじく勢いのあるものであったが、
やはり少年の力不足は否めず、逆に蹴られ、殴られてしまった。
その背後に、ウッソが飛びつき、しばらくもがいていたが、投げ飛ばされて銃を突きつけられた。
451狂女の怪(城の怪):03/03/28 21:23 ID:???
銃をつきつけるパイロットの隙をうかがうオデロだが、そのチャンスは
遠くからきた。止められなくなったスージィの乗る羊の群れが突進してきたのだ。
その羊の群れはパイロットを突き飛ばし、スージィもおとされたが、ウッソは持ち前
のスペシャルぶりで避けた。
パイロットはこの意外すぎる動物の出現で、不意をつかれた。オデロは銃を奪って突きつけ、
小屋へ入るように指示した。が、いつまでも幸運がつづくわけではない。やがてMSの効果
音がきこえ、それを阻止すべくウッソは駆け出してゾロに乗り、オリファーのコアファイター
を援護した。Vとゾロのサーベルの切り結びのなか、ウッソは返せ、僕の機体をと叫び、
オリファーに事情を説明したが、説明するのも難しいほど錯綜としていて、こうなってしまって
としかいえない。
クロノクル中尉の乗るVはビームサーベルをかまえ、態勢をととのえて、いきおいよくビームサーベル
を振るってウッソの搭乗するゾロの両脚を斬りおとした。もはやウッソはもたないと判断した
オリファーはコアファイターのバルカンでVの片脚を破壊し、機体が安定しないと判断したクロノクルは
脚部を外そうとするが、やり方がわからない。一方のゾロのウッソ、マニュアル!出ろ!と叫ぶや
いなや、マニュアルがポンと画面にあらわれている。スペシャルの異能性、おそるべしというところ
だろうか。
452狂女の怪(城の怪):03/03/28 21:40 ID:???
「動くなよ}!本当に縛っちゃうぞ」
小屋のなかでべスパ側についた(とオデロはおもっている)カテジナを見たとき、
頭のなかでなにかがはじけたようなあざやかさで目の前の女の白い肌が目についた。
これはどういう女なんだ、とオデロはあらためて思い、さらにもう一度、シャクティ
のつくったシチューを口にしながらカテジナの顔を見つめた。見て、おもわずこわく
なったほどの身勝手振りと苛立ちを感じたのは、どういうわけだろう。狂女ではないか、
ともおもった。
ウォレンの問いに答えながら、オデロはウッソの安否を気遣っている。
トイレから戻ったカテジナは小屋に入ると同時に、
「ここに来たのはクロノクル中尉の判断なのよ」と言い放った。
オデロはその言い方が気にくわない。自分たちよりも敵側を弁護している
かのように感じられるからである。
453狂女の怪(城の怪):03/03/28 21:50 ID:???
オデロは窓から遠くをうかがった。Vの脚が片方やられているのがわかった。
確認したと同時に銃を持って小屋から飛び出し、Vのコクピットを出てゾロに
乗り移ろうとするクロノクルを狙撃した。カテジナはオデロをおさえた。必死
じゃないか、それみろ、この女はべスパに鞍替えして、あの赤毛のパイロット
の女に成りはてている。オデロはそう感じたであろう。スパイという言葉を聞
いて信じれるほど、おれはあんたのことを信じちゃいない。
ゾロのライフルがオデロにむけられた。焼き殺すと脅しをかけるクロノクルに対し、
「撃てよ」
オデロは少々うろたえながら言った。ここでビームライフルをつかえば、捕虜にし
たカテジナだって、焼き殺されるんだろと言い返すと、クロノクルは「子供め!」
とののしりながら躊躇した。
454狂女の怪(城の怪):03/03/28 21:56 ID:???
「人間を信じるってのは言うのはさ、結果を見せてもらってのことなんだよ!カテジナさん」
と、言い放ってウォレンのあとを追ったが、いやどうせおれの言うことなどわかるはずがない、
とおもいかえした。おれやスージィ、ウォレン、ウッソのことを本気で心配しているんなら、
あの赤毛のパイロットをかばったり、下手なうそなどつくはずがない。カテジナには目がないのか。
455狂女の怪(城の怪):03/03/28 22:29 ID:???
「ウッソのやつ、スペースコロニーにあがってきたの初めてなのによ」
「オデロ君」
「な、なに?」
「他人の能力に嫉妬するのはやめなさいな。みっともないわよ」
(−エ、エリシャさん)
ムっとして「わかってるよ」とオデロは言ったが、その言葉が真実性を帯びて
いる以上、個人的な不快さでしかない。
「僕がウッソのことで気にしているのはさ、戦闘でも穴あけでも集中しすぎてオタク
的すぎないかってことさ」
オデロは、知恵が機敏にまわるほうではなかった。エリシャは諭すかのようにやさしい
口調で、−あの子はそういう子じゃないわ。シャクティや畑仕事の好きな普通の男の子
よ、と言い、オデロの腕をにぎって「オデロさんだって勉強すればいいのよ」と言った。
(なるほど・・・そうだよな・・・)
と、オデロは納得したが、その言葉よりもエリシャににぎられていること自体に、動揺した。
恥ずかしがるように病気のマルチナをおろしにいった。
話題をかえよう。
ユダヤ系についてである。
ユダヤ系という言葉が、サイド6ほど、そのスペースノイドの商業・金融・外交
能力を語るときに重味をもってくる土地はない。
「やはり、ユダヤ系でしょうなあ」
と、Tさんもいう。「リーア人」という、サイド6に関するいい書物が出ている。
筆者はMという人で、私の学校のころの友人である。やはりサイド6的商才のユダヤ
系淵源説をとっている。勝手に引用させてもらうと「ユダヤ系が多く、金銭に対する
感覚が鋭敏で、そして計数観念の極度に発達していたサイド6、通称リーア人が」と
いったふうになっている。サイド6・スペースノイドの「利口な頭」というものが、
どこから出てきたのか、やはり旧世紀、地球各地にいたユダヤ系であるというところ
にもってゆくのがいちばん安定した落ちつきぐあいなのだろう。
457通常の名無しさんの3倍:03/03/29 15:25 ID:gaP9urRw
保守
458通常の名無しさんの3倍:03/03/29 19:28 ID:gaP9urRw
保守
459通常の名無しさんの3倍:03/03/30 01:04 ID:???
最近、保守要員減っていませんかね
ーエグム・NSPとみれば密告せよ。
という連邦政府の布令が地球圏のすみずみにまでいきわたっているが,とくに
反連邦運動のさかんなサイド2とロンド・ベル隊の本部がおかれているサイド
1・ロンデニオンではとくにその点がきびしい。
「ロンデニオンに入るには、連邦軍総司令部の最下層まで忍びこむほどの用心
が要る」
と、反地球連邦組織ではいわれていた。
「ネオジオンに勝たねばならぬ」
と、バウアーはいった。勝つためのロンド・ベル隊結成である(中略)
「勝つか負けるか、すべて君たちの能力と精神にかかっている」
と、バウアーはロンデニオンにて居並ぶロンド・ベルの士官たちにいった。
敵であるネオジオン軍はハマーンの残党、一年戦争以来の公国軍系将兵、反
連邦組織メンバーをあわせたスペースノイド連合軍といっていい存在である。
実際の戦力は連邦主力艦隊におよばず、ロンド・ベルよりもはるかに劣るであろう
と推察されるが、どこに隠し玉をもっているかわからない。その隠し玉というべき
ものに、
「NT専用MS、巨大MA」
というジオン伝統の遠隔攻撃可能な機体に搭乗するニュータイプ部隊の存在があった。
その養成は連邦軍の技術にくらべて洗練されており、グリプス戦役時、いわゆるティターンズ
が存在していたときに連邦軍は数多くのニュータイプ研究所(通称、ニタ研。知られているところ
に日本のムラサメ研究所、北米・クラークヒル湖畔にあるオーガスタ研究所などが有名である)
でフォウやロザミア・バダム、ゲーツ・キャパなどの強化人間を養成したが、いずれも精神的
にきわめて不安定で、薬物投与による副作用はしばしば戦闘に影響し、100%の力を結局は
ひきだせなかった。
462さいたま24 ◆Rd65zWZMaI :03/03/30 11:05 ID:hQ67/s7w
 人がいる。背丈は5尺8寸ほどであろうか。眼光はするどく、そのくせ笑うとその眼の鋭さがいやらしさに変わる。
髪は特徴のある銀髪であった。お調子者で、口だけ達者、人から「軟弱もの」とさえ言われたことがあった。


おそらくグリプス戦役、第一次ネオジオン抗争時に投入された強化人間よりも
はるかに安定したニュータイプ部隊が組織されているはずであり、懸念すべき
ところであった(中略)
いまひとつネオジオンとの致命的な差は、ネオジオンには先に記述したニュータイプ
部隊のほかに本場の戦争のプロ集団というべきジオン残党の生き残り(ダンジダン派など)
が参戦しているであろうということであった。かれらは旧エゥーゴ系将兵よりも練度も士気
も高く、その鬼神のごとき蛮勇ぶりは先の大戦で連邦がさんざん苦渋をなめさせられている。
この実戦仕込みのネオジオン軍に対し、ロンド・ベル隊はまったくの「少数精鋭」部隊であると
いえる。ティターンズの二の舞をさけるために戦力はごく少数にとどめられ、数すくなくなった
エゥーゴ系将兵とバウアーのテコ入れによる装備の充実と資金捻出によってなんとか戦える部隊
にはなっているものの、未知数の能力を有している敵に対する不安が解消されたわけではない。
464さいたま24 ◆Rd65zWZMaI :03/03/30 11:13 ID:hQ67/s7w
サイド7の歴史を語るには、まず、人類の宇宙開発の歴史をひもとかねばならない。
コロニーという地球に変わる第二の大地が登場したのは、人類の長い宇宙開発の歴史からみればごく最近のできごとなのである。
しかし、人類の宇宙開発の歴史を一から述べるのは過去の新聞の政治欄を読むの同様退屈なことなのでここでは省く。
そのロンド・ベルも軍事には素人のバウアーの政治的影響力の拡大という
思惑も入っている、きわめて政治的な色合いの面も有している存在で、いわば
ティターンズを創設したジャミトフ・ハイマン(スペースノイドからは「汚れた
大政治屋」と侮蔑されているが)の先例からとった、ジョン・バウアーの私設部隊
といってもいい部隊である。むろん単なる抑止力と温存主義を取るだけの部隊では
ない。バウアーはそれを持ち前の政治力と野心で実用品に仕上げてゆくつもりであ
った。
だからこそシャアのスウィート・ウォーター占拠宣言後、バウアーはアムロ・レイ
大尉の設計したνガンダムを完成させるべく、アナハイムのフォン・ブラウン工場
を確保し、建造費も(非合法ではあるが)捻出したのである。
466:03/03/30 11:31 ID:???
>>464
新しい書き手さんだ。
イイ書き出しですね。できれば元ネタ書いてください。
アニメーション史において、すぐれた原作者やシナリオ・ライター、
従来のやり方とはまったくちがうアプローチを試みた人物は諸所に
無数に出たが、業界をくつがえすほどのアニメーションを完成させ
つくりあげた才能のもちぬしは富野と宮崎ぐらいしか出ていないこと
をみれば、このアニメーション製作の才能が人間の才能のなかで稀有な
ものであることを知ることができるだろう。富野の場合は、富野という
存在を引っ張りだした虫プロ、いまや神の領域にあるといっていい手塚
治虫のほうにより大きな評価をあたえるべきであろうし、宮崎の場合も
かれのパートナーというべき高畑勲と、作品を支え続けた故・近藤喜文
と、久石譲の存在もかかすことのできない存在であろう。
当然、これだけ圧倒的な艦隊戦力を有している連邦軍・ロンド・ベル隊
が勝つ、とみていいのだが、生活のためにやむをえず連邦軍に入ったスペース
ノイドは、戦意という点では空洞にちかい。
ーなぜロンド・ベルはネオジオンをいじめねばならないのか。
という、ネオジオンとおなじサイドレベルにおいての同情心がどのスペースノ
イドにも濃厚にある。次いで、ネオジオンに対して奮戦してもかれらの利益に
はならない。さらにこの戦争の戦費はスペースノイド負担であるというのが、
連邦政府成立以来の伝統であり、いまもまったくかわらない。たださえどの
サイド政庁もスペースノイドも窮乏しているというのに、ロンド・ベルが連邦
政府のためのみにやる戦争にかりだされて無用の被害をうけるのはかなわない。
いまひとつはまず連邦政府内部の改革がまずもって急務であるのにティターンズ
のごとく身勝手な暴力的手段に訴えるという安易な手段に訴えるのはますます泥沼
にはまっていくだけではないのか。
4691:03/03/30 12:13 ID:???
保守よろしくお願いします。
470通常の名無しさんの3倍:03/03/30 12:47 ID:???
お昼の保守
471通常の名無しさんの3倍:03/03/30 17:01 ID:/FOT1UOT
保守
(ロンド・ベルには、フィフス・ルナ阻止はとうてい無理だろう)
と、バウアーはみている(中略)
ー無用の損害を出すな。小惑星落下はすでに想定して手をうった。
という意味のことを、バウアーは前線のブライト・ノア大佐に通信にて伝え、極力
戦力を温存するようにとあらためて訓令した。
(なまなかなやり方で勝てる相手ではない)
と、バウアーはみている(略)
ーネオジオンきっての精強。
総帥シャア・アズナブル自ら指揮するネオジオン艦隊が、スウィート・ウォーター
を発進したのは、3月3日である。

フィフス・ルナを護衛しつつネオジオン艦隊がきた。ロンド・ベル隊にとって
本格的な艦隊戦が展開され、RGM−89ジェガンとAMS−119ギラ・ドーガ
の主力量産型MS同士の戦闘があちこちで激突した。ネオジオン軍の強化人間ギュ
ネイ・ガスもMSN−03ヤクト・ドーガで参戦し、ファンネルによるオールレンジ
攻撃で無数の火花を小惑星のうえでさかせたが、このオールレンジ攻撃をかわしたパ
イロットがいたことを筆者は最近知った。しかも搭乗機はジェガンであるという。
パイロットの名は、ユウ・カジマ。階級はなんと大佐である。かれの履歴については
ここでは大きくはずれてしまうので述べないが、あのアムロ・レイとシミュレータで
はあるが戦い、勝った経験をもっている唯一のパイロットである(これだけでも凄まじいことだが)
ところが筆者を悩ませるもととなっているのが、かれの資料はきわめて数がすくなく、
力量や正確な戦歴が曖昧であるということである。かれは無口であったらしく、ほと
んど、日常であっても口をひらくことはなかったという珍しいタイプの人で、かれ自身
も劇的な体験を経験したのにもかかわらず、自伝はおろか語ることすらしなかった。
事実、ヤクト・ドーガとユウのジェガンが接触したことについても最近では疑問視されて
いるのだが、ギュネイの記録にただ一機の量産型MS(ジェガンをさす)を落とせず、あ
ろうことかその一機は自分をあわよくば追い込むかのようなエース振りを発揮したという
記述があり、このことを信じるならば、フィフス・ルナで接触したMSジェガンに搭乗して
いたパイロットはユウ・カジマ大佐であるということが推察できる要因にはなる。ちなみに
ユウの搭乗したジェガンはかれの専用機で、独自のチューンナップがほどこされていたという
説もあるが、よくわからない。
戦いはなんとか五分五分であったが、ネオジオン軍エース・レズン・
シュナイダーのギラ・ドーガ隊の奮戦と、ギュネイの搭乗するヤクト・
ドーガにてこずり、リ・ガズィのアムロ・レイ大尉が意外にもその力を
発揮できなかったことが災いし、ついでフィフス・ルナの核パルス・エ
ンジンに火がつき、地球へと加速しはじめた。
アムロはコクピット内で嘆息したが、こんなZガンダムの量産型程度の
機体ではとうてい無理というものであろう。νガンダムがこのとき完成
されていればこうはならなかったにちがいない。
ここでアムロは、赤いMSに乗ったシャアと激闘を演じる。シャアの赤
い重MSササビーに対しアムロは性能の劣るリ・ガズィでほぼ互角の戦
闘をしたが、なぜかシャアはサザビーのファンネルを本格的につかおう
とせず、単純な白兵戦で仕留めようとした。リ・ガズィとササビーのビ
ームサーベルの斬り結びがおこなわれるなか、数年ぶりにかわされる両
者の言い争いが再現された。
戦闘がしばらくつづいたのちアムロは離脱、自分にかまわずにと言っている
ギュネイに対しシャアは、被弾している機体では戦えまい、帰還するぞと言い
レウルーラへとってかえした。
降下したフィフス・ルナはチベットのラサへと落下、その炎は大地を焼いた。
シャアの第一段階の作戦は成功をおさめた。
475:03/03/30 23:22 ID:???
そろそろ寝ます。
476通常の名無しさんの3倍:03/03/31 21:32 ID:???
そろそろ危なそうなので
477:03/03/31 22:12 ID:???
暇ないので明日の夜書きます。
478通常の名無しさんの3倍:03/04/01 02:04 ID:???
保全
479通常の名無しさんの3倍:03/04/01 09:02 ID:MBitbRWa
age
480通常の名無しさんの3倍:03/04/01 17:41 ID:???
保守あげ
その後しばらくクロノクル指揮下のモトラッド艦隊主力は息をひそめた。
地球浄化(クリーン)作戦の最終段階の根幹たる、エンジェル・ハイロゥの護衛艦隊をつ
とめるべく宇宙にあがっており、別働艦隊たるピピニーデン指揮下のラステオ
艦隊はクロノクルの主力艦隊とはべつに、あらたに艦隊を任されたタシロ・ヴァゴ
大佐の指揮下でリガ・ミリティア攻撃の任務につくことになった。エンジェル・
ハイロゥの起動まであとわずかである。
対するリガ・ミリティアの主力たるリーンホースjr、ブースター付きの
ホワイトアークとMS部隊は宇宙にあがった。ラゲーンで猛威をふるった
ザンネックの妨害がウッソやマーベットたちに焦りをあたえた。鈴の音と
ともに宇宙のむこうから放たれてくる赤いビームのひかりがV2やホワイト
アークのそばを通りぬける。その鈴の音はザンネックに乗るパイロットの
こちらに引き込もうとする誘いの音であるのか。
そのパイロットは、ファラ・グリフォン中佐である。かつて独断でリガ・ミリ
ティアの指導者、オイ・ニュング伯爵を独断でギロチンにかけ、その罪を上官
であるタシロ・ヴァゴ大佐にとがめられ宇宙漂流の罪に処せられた女性士官で
ある。しかし彼女は3日にわたる宇宙漂流のせいですっかり性格がこわれて(豹変
したといったほうがいいのだろうか)おり、そのこわれた矢先に彼女を再利用しよ
うというタシロ・ヴァゴの姑息な手口によって再度登用され、現在新型重MSザンネック
のパイロットとしてウッソたちのまえに立ちはだかっている。元々性格が強気で、
悪くいえばきつい性格に、よりいっそう「こわれたあと」は拍車がかかったかのようで、
鈴をつけているのもギロチンの家系がつけなければならない(ならばなぜ最初からつけて
いなかったのかと疑問がのこるが)のと、ザンネックの共振に必要不可欠であるということ
らしい。いわば鈴の音を仲介として強化人間のごとき感知と技量を発揮できるということで
あろうか。

ザンネックに気がついたウッソはV2の光の翼を全開にして「盾にして
戦ってください」と新シュラク隊メンバー、ミリエラとフランチェスカ・
オハラ(通称フラニー)に言った。この二人も、先にカイラスギリー戦闘
で散ったジュンコや地球でのマヘリアらと同じく美人パイロットではあるが、
どこか影がうすいように感じられる。
ザンネックは狙いをV2にさだめるべくザンネックキャノンをかまえ、粒子
加速器をフル稼働させた。巨大なエネルギーが蓄積されるそのMSに
V2の光の翼を盾にしてリガ・ミリティアのMS部隊は一斉にビームライフル
の閃光を繰り出した。
狂気の一撃がV2にむけてはなたれた。蓄積されたエネルギーがザンネックより
解き放たれ、その赤い光は円状になってリガ・ミリティアのMS部隊をつつみ消
そうとしたが、機転をきかせたウッソはV2の光の翼をフルに展開、壁にして赤い
光の一撃をかき消し、そのまま機体を水平にかたむけて一本の剣のごとくザンネック
を光の翼で撃破しようとしたが、ザンネックがつづけて放ったビームで反れた。
間隙をぬうかのようにウッソはV2を近づけようとするが、敵もなかなか素早い。
あっという間に離脱していった。
戦闘をおえたリガ・ミリティア部隊はハイランドに入ろうとしている。
窓辺からハイランドをみたウッソはおどろいた。軍艦がいる。連邦軍のMS
部隊がいる。戦艦クラスの艦艇もあった。すすんでゆくリーンホースjrが
通ったすぐそばに、連邦軍提督ムバラク・スターン大将搭乗の連邦宇宙艦隊
旗艦ジャンヌ・ダルクがあった。この戦艦にリーンホースjrは接舷するのである。
ウッソはジン・ジャハナムがついに連邦主力艦隊をうごかすことに成功した
んだと推測すると同時に、本物のジン・ジャハナムはいったいどのような人物
なのであろうかと、ジャンヌ・ダルクの艦橋を見つつ強くおもった。
ここでウッソはジン・ジャハナムの正体が父・ハンゲルグであったという
ことを知るのだが、意外にも父は淡白であった。いや、この時点では少なく
とも淡白ではない。涙を流し、ウッソに対してわび、そうしたうえでの自分の
立場をきちんと説明はしてはいる。だがどうもひっかかるのはウッソに対する
他人行儀のような態度だ。俗説にハンゲルグとウッソは実の親子ではないという
説もあるのだが、それならばあの淡白さも充分に理解できる。のだが、なまじ
知恵のある人間というのは自らの才能を信じすぎ、またすぐれた才能を持つもの
に対しては嫉妬や警戒の感情が湧くものである。ウッソへの警戒心がなかったとは
いえまい。
現状をくつがえすべくハンゲルグはリガ・ミリティア創設の一員として、また打倒
ザンスカールのために、正規軍たる連邦軍を動かすべく奔走した。
が、このハンゲルグの説得と艦隊支援の要請に対し、連邦正規軍は冷淡であった。
関心がなかったといったほうが語弊がなくていい。
「出せない」
というのが、その返事であった。ハンゲルグが接触した提督ムバラク・
スターン自体、非主流派であり、その直卒の艦隊も旧式で、新型など
存在しないといっていいほどの戦力しかないし、練度の点でも士気の
点でもひくく、とうてい戦える軍隊といえるものではなかった。
「出せない」
というのは、むろんそれが出撃したとしても勝てるだけの装備をもった
艦隊ではないという事実から出された言葉にすぎない。だがムバラクは
唯一といってもいい理解者ドイエル・グリム中将とともに決断をした。
ハンゲルグの才能がすぐれているといえるのは、これほどの困難な状態
でこれほどの大部隊を動かしえたという才智の部分であろう。
ところがムバラクはザンスカール主力たる第一艦隊(通称、ムッターマ・
ズガン艦隊)に匹敵しうるほどの艦隊戦力と高性能MSをもっていない。
旗艦の名は旧世紀、17歳のとき神の啓示をうけて自ら剣をとり、
祖国フランスのために戦った聖女ジャンヌ・ダルクを冠しているが、ムバラク
自身、この戦争を英仏戦争のごとき反攻戦と捉えていた部分と、もう一つかれの
壮烈な意気込みをあらわすものであろう。この一戦を自分の有終の美を飾る有意義な
一戦にしたいという欲求をもっていたとおもわれる。


487通常の名無しさんの3倍:03/04/02 21:32 ID:???
保守
488通常の名無しさんの3倍:03/04/03 14:23 ID:???
保守アゲ
489会戦(坂の上の雲(五)):03/04/03 14:43 ID:???
ソロモンの宇宙攻撃軍総司令ドズル・ザビ中将は専守防衛のため、連邦軍の
実情を知ろうとした。ルナツーに集結しつつあるティアンム主力艦隊の編成
・戦力・作戦目標、そして量産に成功した連邦軍MS・GMの機数について
つかもうとしたが、電波妨害がはげしく、なかなか詳細がつかめない。
その連邦軍のなかで別働隊として動いている木馬の存在はあなどれないもの
としてうつったが、ティアンム主力艦隊との決戦を前にして多数の戦力を木
馬にあてるわけにもいかない。
490会戦(坂の上の雲(五)):03/04/03 14:52 ID:???
「白い悪魔をのせたあの木馬を撃破しなければならない」
ということは、ジオン公国軍人ならばたれにでもわかる。宇宙攻撃軍
参謀長ラコック大佐がそれを主張し、
「コンスコン閣下にそれをやってもらうのはいかがでしょう」
といったとき、豪放磊落(らいらく)なドズルは、即座に、
「模範的な戦術だな」と、両眼をかがやかせて採用した。公国軍少将
コンスコン自身はそれほど有能というわけでもないが、軍政畑での才
腕とルウムにおける奮戦ぶりをドズルは高く買っており、また中立サ
イドでの戦闘になるが、そのことについてもコンスコンならば適確な
対処ができると判断した。
MSという機動部隊の用兵については、公国軍人はかれら自身が歴史
上はじめて運用したということで、連邦軍側よりもはるかに習熟して
おり、この運用に際しては問題があろうはずがない。いくら常勝の木
馬と白い悪魔とはいえ、ドズル自身、よもや負けるはずがないとおも
っていた。
491:03/04/03 14:55 ID:???
私事ですが家の新築のために引っ越すことになりますた。
そこではネットができないので、あと2、3ヶ月くらいしか書き込みが
できなくなります。
引き移るまえに一応のケリをつけておきたいとは思いますが。
この日、3月12日、α・アジールのクェスとともにギュネイは小惑星
アクシズから専用のヤクト・ドーガで出撃している。
迫りくるミサイル群を一掃、シャアを守ろうとやっきになるクェスのα
・アジールの前に先行してきたロンド・ベルの白いMS・νガンダムの
姿がみえた。自分に立ちふさがる壁のような圧迫を感じたクェスはギュ
ネイのあれはνガンダムだ!手ごわいぞという注意もきかずに、α・ア
ジールの下部のスラスター・ユニットを切り離して突進、腰に装着され
ているファンネルを放出してνガンダムをしとめようとした。
ファンネルのオールレンジ攻撃はクェスの予想に反してことごとくかわ
され、逆にビームライフルで撃ち落とされるファンネルもあった。その
神速といっていいほどの反応速度と命中精度は、νガンダムのパイロッ
ト、アムロ・レイだからこそできることであろう。
493通常の名無しさんの3倍:03/04/03 15:07 ID:3G+ooS8R
回避したνガンダムはα・アジールに接近、クェスは自分のオールレンジ
攻撃がかわされたことが信じられないまま、とにかく撃ち落そうとハイメ
ガビームを放ち、ついで有線サイコミュ式メガアーム砲を乱射したが一発
も命中しない。と、νガンダムの方向に機体をむけた途端、背中にミサイ
ルらしき一撃をうけた。α・アジールを振り向かせると、大量のロンド・
ベル隊の量産型MSがベースジャバーに乗りつつ迫ってきていた。たくさ
んの標的の出現が、クェスをハイにさせた。
得意げになって有線サイコミュ式メガアーム砲を四方に放ち、いくつもの
光がα・アジールのまわりで巻きおこった。
後方にいたギュネイはクェスによびかけた。絶好のチャンスがやってきた
のだ。雑魚はかまうなとのギュネイの一言に反応し、クェスはα・アジー
ルをνガンダムのほうへ向けた。ギュネイの思惑どおりギラ・ドーガ部隊
がνガンダムの前面にとりつき、それを撃破しようとするνガンダムへギ
ュネイはヤクト・ドーガのファンネルを放出、それの対応に追われるνガ
ンダムの背後にα・アジールのファンネルが迫った。理想的な挟撃になっ
た。ギュネイは今度こそνガンダムをやれると確信した。
だが。
三方からの敵に敏感に反応したアムロのνガンダムはフィン・ファンネルを
使ってIフィールドを形成、ビームバリアにおおわれたνガンダムをしつこ
く攻撃するファンネルたちであったが、バリアは頑丈でつらぬくことさえで
きなかった。
ファンネルでは無理だと判断したクェスはα・アジールのハイメガビームを
放ってνガンダムをおおっているビームバリアの膜をやぶったが、再度フィ
ン・ファンネルはIフィールドを形成し、異常なほどの持続力でなおもνガ
ンダムを守っている。その力はサイコ・フレームの力なのであろうか。
有線サイコミュ式メガアーム砲で撃破しようとするクェスのα・アジール
のすきをついて、νガンダムのビームライフルがα・アジールの背後をと
らえた。ギュネイはとっさにヤクト・ドーガのビームアサルトライフルを
撃ちだしてνガンダムの狙いをはずさせたが、このとき、アムロはνガン
ダムの武装の一部(ニューハイパーバズーカとシールド)を外して宇宙に
ながし、ヤクト・ドーガに搭乗するギュネイの気をひかせた。一瞬、ギュ
ネイは混乱した。なにをする気なのだとおもった。
そのとき思いもよらぬ方向からνガンダムのビームライフルの一撃がきて
、ヤクト・ドーガに命中、ギュネイはわけがわからぬまま宇宙に散った。
ギュネイの不幸は、クェスという少女と縁をもってしまったことにある
のか、それとも強化人間として、シャアに都合よく利用されてしまった
ところにあるのか。
「クェスを殺したくなければ、大佐と合流するまで離れるんじゃない」
と、アクシズに向かう前、先のレウルーラ出撃前のナナイの言葉がめぐ
りめぐってギュネイのクェス守りを徹底させた。その任務はギュネイの
本音のとおり、忠実に果たされたのか、どうか。
498:03/04/03 15:36 ID:???
一旦きりあげます。また夜にでも。
499通常の名無しさん:03/04/03 15:58 ID:bd/67S24
「少女守り(壁女(めかけ)守りより) 」は圧巻でした。
司馬遼太郎の文体でガンダムの世界が見事に描かれています。
クエス、ギュネイ、アムロの戦いが脳内で映像化されます。
心理描写も見事です。あの激しい戦闘を枯淡とした文章でかける文才は
尋常一様でないものを感じます。
500通常の名無しさんの3倍:03/04/03 21:24 ID:???
500ゲト
保守
501通常の名無しさんの3倍:03/04/03 22:25 ID:???
>>494-497
うわーっ、完璧だ。職人の方お見事。
502:03/04/03 23:16 ID:???
>>499
>圧巻でした。
どうもありがとうございます。ここまで褒めていただけるとは・・・
逆シャアの映像を見ながら描いてたのですが、元ネタよりもはるかに長い
文章になってしまって。
>脳内で映像化されます。
嬉しい一言ですね。
>心理描写
これなんですが、正直難しいです。前スレでのカテジナの描写でもそうなのです
が、一面ではつかめない部分を文体で表現するのは、やりがいがある反面、大変
だったりします。

キッズVガン最終回は圧倒されました。長編「べスパの青年将校」もそろそろケリ
をつけたいと考えてます。

さて、クロノクルに「見下げ果てた先輩だ!」と罵られてしまったラステオ
艦隊司令ピピニーデンはリガ・ミリティアと共同戦線を張る連邦宇宙艦隊を
つぶすべく、ルペ・シノ大尉の搭乗するMSブルッケリングの部隊をハイラ
ンドにむかわせた。それに対しリガ・ミリティアと連邦艦隊の連合軍は抗戦
の準備をととのえた。リーンホースjrと旗艦ジャンヌ・ダルクをはじめと
した連合軍艦隊の威容は充分すぎるほどである。性能をのぞいて、ではある
が。
襲来してくる敵部隊に対し、V2のロングレンジ用メガ・ビームキャノンの
一撃が放たれたのをかわぎりに戦闘が開始された。だが、連邦軍はやはり頼
りにならない。南天に侵入してくる敵部隊に対しての警戒が厳重でなく、ル
ぺ・シノ指揮下の敵MSブルッケリング隊の侵入を許してしまう結果となっ
た。ルペ・シノは大将を沈めれば艦隊は沈黙させられると考え、連邦艦隊旗
艦ジャンヌ・ダルクへ強襲をかけたが、V2の妨害で攻撃がはずれた。
これほどの大艦隊が集結しているとは思いもよらなかったルペ・シノ大尉で
あったが、やはり並のエースではない。動きにまったく乱れのないままV2
をタイヤでくぎ付けにして死角をとらえ、「もらったよ坊や!」とビームサ
ーベルをかまえて突きおろしたが異能のスペシャル少年ウッソは軽々とこれ
をかわし、逆にルペ・シノのブルッケリングの、両腕を形成したビームサーベ
ルで斬りおとすという離れわざをやってのけた。
両腕を斬られたルペ・シノのMSブルッケリングは撤退していったが、この
戦闘をジャンヌ・ダルクの艦橋でながめていたハンゲルグは驚嘆した。正直
人ではないと思ったのかもしれない。偉大な戦力です、というかれの言葉が
ひっかかる要素であるのだが、事実マシーンとでも思ったのかもしれない。
だが隣にすわっているムバラクはそんなハンゲルグの態度をよそよそしいと
感じたのか、もっと優しくなってやってください、そうしませんと、あの才
能、発揮されませぬぞと苦言を呈した。ムバラクはニュータイプと呼ばれて
いた無数の少年・少女たちの悲しみの系譜を知っていたのだろう。
この時代、ニュータイプという言葉はすでに過去の言葉となっていたのだが、
老提督ムバラクにとっては、目の前の少年ウッソの働きはかつてエスパーで
あると見当違いの誤解をされていたニュータイプの在りようそのものであっ
た。理解を示すことが真の開花へとつながる。そのことの重要性を知ってい
たというだけでも、ムバラク・スターンがいかに稀有な将帥であるかがわか
るであろう。本来ならば父親が示すべき姿勢を、老人が示しているという時
点で、ちょっとおかしいと思うべきなのであるが。
当のウッソは張りきっていた。スペシャルといってもまだ13歳である。子
供らしい気持ちはまだ十分にあるのだ。父を意識する気持ちが少年を奮起さ
せた。
一方、ピピニーデン指揮下のラステオ艦隊は第一次防衛ラインを連邦艦隊・
MSジャベリン部隊に突破されつつあった。ピピニーデンは後方に待機した
まま動かないでいるシュバッテンに座上するタシロ・ヴァゴ大佐に不審を抱
いた。我々だけを消耗させて、一人だけ漁夫の利を占めようという魂胆か。
一策を思いついたピピニーデンはラステオ艦隊を第二次防衛ラインにまで後
退させるようにと指示を出した。同時に目くらましのための機雷を撒くよう
にとつけ加えた。妙に小さな戦術だけには長けている男である。
ウッソたちは追撃を中止し、一時的ではあるが休息にはいった。
後退したピピニーデンは、その暗い室内で、タシロ・ヴァゴ大佐との
映像通信をかわしていた。ズガン派の士官であるピピニーデンとして
は、タシロ・ヴァゴの存在は正直、邪魔でしかない。先にギロチンに
かけられ、あやうく天に召されるかのような状況にまで追い込まれた
この映像通信にうつっているきわめて政治軍人的な狡猾佐官に苛立ち
を感じているとき、背後であの女の声がひびいた。ドレスを着ている
が、ラテンらしき血が彼女をそうさせるのだろうか。
援護は得られないという返答をかえされたピピニーデンは、自分を盾
にして漁夫の利を占めるつもりだという考えをあらためてタシロに対
してつよめた。
女、ルペ・シノ大尉はピピニーデンを利用しようとしている。彼女は現在
の状況を把握するためだけに、色じかけで探りをいれにきたのだ。ピピニ
ーデンがそのことに気づいていたかはわからない。
エンジェル・ハイロゥの図面映像をみせられたルペ・シノはピピニーデン
にあたしたちでもコントロールできるよねえと、けしかけるかのような言
葉をはいた。ふたりは野心を抱いた。高潔な軍人は偉くなるほどその高潔
さは薄れてゆくものだが、この二人とて例外ではなかった。
シュバッテンの位置まで艦隊を後退させ、強引にタシロ・ヴァゴを戦場
に巻き込む。出てくるであろうザンネックに対してはルペ・シノがこれ
をうしろからでも沈める。
陰謀らしきものをかわす二人だったが、ルペ・シノはあくまで自分のみ
の栄達を考えている。彼女にとってはピピニーデンも俗物(ふるい表現
ではあるが)に過ぎないし、男の好みも年下にかぎられているのである。
このピピニーデンとルペ・シノの局面を救うべき陰謀が開始されたのは、
6月12日のことであり、ラステオ艦隊と新規に配備されているMAビ
ルケナウの性能は、たしかに戦局を変えるかもしれない力を秘めてはい
た。
この日の戦いでは、新シュラク隊のフランチェスカ・オハラの機体が
撃墜されている。フランチェスカ、通称フラニーは自分の力の至らな
さを実感するとともに、撃墜されたVガンダムヘキサがもっていたメ
ガ・ビームシールドをウッソに渡そうとおもったが、呼吸がくるしく
なり流れていったところをオデロにひろわれた。このシールドがルペ
・シノの運命を決することになる。
メガ・ビームライフルの一撃で敵艦を一隻沈めたウッソのV2にルペ
・シノのブルッケリングが襲いかかった。「おっぱいを噛んだかりは
返してもらうからね!」と強烈すぎる台詞とともにまっさきにメガ・
ビームライフルを破壊、アインラッド(タイヤ)を分離して四方から
V2を撃破しようと目論んだ。
分離されたアインラッドはV2をとらえるだろうとおもっていたルペ・
シノであったが、いとも簡単にアインラッドはV2のビームサーベルに
よって破壊された。
ラステオ艦隊は一番艦が被弾、戦列より後退した。ピピニーデンは策が
あたったとよろこび、自らもピピニーデンサーカスの腕を存分に振るう
べくビルケナウで出撃する決意をかため、艦橋をはなれた。
後方のシュバッテン艦橋ではザンネックのパイロット・ファラがタシロ
をけしかけていたが、タシロはピピニーデンの力を最後まで利用しきる
までは手出しはむしろ無駄だという態度をくずさない。
ラステオ艦隊を押しこみつつある状況をみたジャンヌ・ダルクのムバラク
は素直にウッソの働きあってのことだとみたが、ハンゲルグはそれを否定
するかのように敵が後退し、後方部隊との合流をはかるだけでしょうと言
った。そんな冷たい態度にムバラクは鼻じろんだ。子は親を超えて成長す
るもの、子がかわいいと思うからこそ子の成長もまた親の喜びであるはず
なのに、なぜ強すぎる子を見るのは辛いものです、別人のようでなどとひ
どいことをいうのか。情がなさすぎるではないか。
指揮下のパイロットたちに指示をあたえて、ルペ・シノは光の翼をひろげて
迫るウッソのV2にふたたび攻撃をかけた。指示どおりに二機のMSはウッ
ソのV2を挟み、身動きをとれなくした。見事、成功したとみたルペ・シノ
は残骸を押しつつV2に猛進した。もがくウッソのV2は片方のMSをひっ
ぺがすが、もう片方のMSとアインラッドからはなれられない。ライフルの
射撃(正確ではないが)でなんとかはなれたV2であったが、すぐそばにルペ・
シノのブルッケリングが迫ってきた。残骸を推してすすむルペ・シノはついに
本音を叫んだ。
「それでこそといいたいが、もうあたしの胸のなかで眠りなさい」
独占欲がつよすぎる。ウッソの眼前に、ルペ・シノの全裸がうつしだされた。
その全裸にウッソ、一瞬だが動かなくなった。
残骸をぶつけながらルペ・シノは情熱的に夢をウッソに語った。彼女は
ウッソがおそろしくなるくらいにウッソを「モノに」しようとしていた。
浄化された純粋本能を有する年下の少年・・・これほどルペ・シノの好み
にあった男の子がいようか。浄化された清らかで無垢なものを渇望している
そのルペ・シノの姿をみて、ウッソは拒否反応をしめした。少年にとっては
迷惑であったろう。
ブルッケリングを蹴飛ばし、残骸とともに突き飛ばした。フラニーがつかって
いたシールドがウッソのV2に手渡された。ユカの手によるものだろうか。
ユカの機体をふりきったルペ・シノは「だから!あたしの胸のなかで、あたし
のものにおなり!」と再びしつこくウッソに迫ってきた。ラテン系の女性は過剰
なほどに情熱的で、あつい。


ウッソはメガ・ビームシールドを点火させ、ルペ・シノのブルッケリング
をシールドにくぎ付けにさせた。上に翔びビームサーベルを突き刺して、
「ぼ、僕はあなたの夢にはなれませんよ!僕はだれの道具でもないんです!」
と涙をにじませながら叫んだ。ルペ・シノのブルッケリングは大破し、すぐに
でも爆発してしまいかねない状態となった。ところが、なにをどう勘違いした
のかルペ・シノのブルッケリングは憑かれたようにV2をあとにしてとび、ま
っすぐに発艦したラステオ艦隊旗艦へと戻っていったのである。

MAビルケナウの出撃準備はととのっていた。搭乗するピピニーデンが
ヘルメットをつけていないことを懸念したメカニックマンが再度ヘル
ットをつけてくれるように頼んだが、ピピニーデンはパイロットスーツ
さえ邪魔なのだ、怪我をするつもりはないと軽快にはねつけた。これも
かれの不幸の要因となったようだ。
ふとピピニーデンが前方をみると、こちらに流れてくる損傷したとおもわ
れるMSがみえた。すぐルペ・シノのブルッケリングだと気づいた。
そのブルッケリングはもう限界をこえ、コクピット部分が煙を巻き上げている。
激突をさけるべくピピニーデンはビルケナウを発進させようとしたが、その
発進を阻止するかのようにルペ・シノのブルッケリングはまるでビルケナウを
抱くかのようにその前面をおさえつけた。このあやしすぎるルペ・シノの行為は
ウッソのV2をビルケナウに撃たせまいとしてしたことなのか、それとも心中す
べき相手を前髪の垂れたアルベオ・ピピニーデンにしたことによるためか、よく
わからない。が、ピピニーデンにとっては大いなる不幸になった。
このビルケナウを巻き込んだブルッケリングの爆発はラステオ艦隊旗艦をもつつみ
こみ、宇宙に壮絶なひかりをともした。ピピニーデン・サーカスの異名をもって知られた
このエースパイロットは、作戦参謀として遂行させた卑劣きわまりない人質作戦以来、ま
るで運がつきたかのようにむなしく消えさった。
514:03/04/04 02:43 ID:???
ふう・・・・長くなりすぎました。寝ます。
515通常の名無しさんの3倍:03/04/04 15:43 ID:???
おいおい…凄まじすぎるな…
516通常の名無しさんの3倍:03/04/04 19:38 ID:vko3ni/e
復活の1を希望して



保守
517通常の名無しさんの3倍:03/04/04 19:55 ID:???
某スレでSS書いてるものですが、この文の質、量ともに本当に凄いと思います。
あと、僅かでこの名人芸が読めなくなるのは非常に悲しいです・・・
518:03/04/04 23:31 ID:???
新居が完成すればまた復活できますので。ざっと半年くらいかかるのかな。
>>516
そういって頂けると嬉しいです。
>>517
書き手さんですか。僕の場合はオリジナルではないので、完全に自分のSS
といえるものではないですからね。
某スレというと、シャア板じゃないのかな?(文芸板?)
517さんのSS、読んでみたいなと言ってみたり・・・
>名人芸
ただ、滑稽さは書けても高度な笑いの描写ができないので、名人とまではいかない
と思ってたりします。文体で笑わせるってのは、とても凄いことだと書いてて思い
ますた。

2ヶ月くらいはカキコできますので。スレを補完しよう。
余談ながら、この稿は、いわば主題として、富野由悠季というひとりの人間
における内面よりも、むしろその存在がそのまわりにあたえた戦慄、興奮、期待感、
反撥といったふうの外面を描いてゆこうとしている。
すでに以下のことははるか以前に触れたが、繰りかえすと、ガンダムヒット前の富野
は絵コンテ千本切りや名作劇場演出(母をたずねて三千里など)といった、いわばアニメ
業界内におけるすぐれたスタッフ(職人というべきか)でしかなかった。それが、ガンダム
ヒット後、総監督という位置にあったことから誇大にもてはやされ、ファン自身のカリスマ
を求める気運とともに、業界全体を覆うほどの巨大な存在になった。
その業界内での、ロボット・アニメでの世間像が巨大すぎるということは、その人間の実体
そのものでは、決してありえない。
富野というのは、多分に神経質すぎるほどの細やかさと生真面目さを有し、本人もアニメなど
という総天然色の紙芝居と揶揄されていた代物よりも映画監督を志していたこともあり、
事実映画という道をあゆめなかった、理系志望だったのが文系へ切り替えざるをえなかったと
いう、いままでに経てきた経験(コンプレックス)を反骨精神として、アニメーションという多分に二次元
の、虚構の世界に「本物らしい」ドラマを再現するという手法を持ち込み、ザンボット・ダイターン
での実験を経て、ガンダムを成功させた。


しかしながら、ガンダムのヒットはかれだけの力ではなく、キャラクター
デザインの安彦、メカニカルデザインの大河原、シナリオライターの星山、
松崎、山本、荒木、美術の中村、音楽の渡辺、そして日本サンライズ初代
社長岸本吉功といったすぐれたスタッフが結集したからこそのヒットであり
かれだけの力とは決していえないのだが、あたかもアニメーション界における
天才的カリスマとしてその実像を膨らませられ、みるみるアニメ界の巨人に
されてゆき、ついにファンの間で神のごとく膨張させられてしまったという
のは、多分に時勢というものの魔術といっていい。
余談をつづける。
要するにガンダムヒット後の80年代初頭、富野は並みのカリスマ扱いではなく、
今でこそ宮崎駿が世間的名監督の座についているが、巨匠、いやそれ以上の存在
となっていた。子供向け番組というレッテルを貼られ続け、それらを見ている肩身
の狭いファンたちの不満が、ガンダムを作り出した富野を担ぎ上げることによって
アニメーションは決して子供向けではない、映画以上のメディアとなれる立派な産業
媒体なんだという風潮をよび、当の富野自身もそういう巨匠的存在になっている自分
を意識するようになっていた。
だが、ガンダムにつづくほどのヒット作品を、富野はうちだせなかった。これは富野
ではなく、手塚や宮崎であったとしてもできる芸当ではなかっただろうが、世間(とくに
業界内部)はそうは受け取らなかった。
あれほどのヒットをとばしたほどの富野がヒットを飛ばすことができない、ということで、
ガンダムの栄光を再び!パート2を、という気分が、アニメ業界内部(日本サンライズ(当時))
をはじめとして出版社やバンダイなど)にあらわれた。その気分は業界内部だけでなく、全国
のファンレベルにおいてあまねく存在している(もちろん、すべてのファンがパート2をのぞんだ
のではない。当時のアニメーションは現在の萌えアニメ路線やパート2路線が当たり前の時代と
ちがって、オリジナル路線が当たり前であった。それはたとえ漫画原作であったとしても、娯楽性
をそなえた良作が生み出された事実をみてもわかることである)
522:03/04/05 00:30 ID:???
寝ます。
523通常の名無しさんの3倍:03/04/05 08:11 ID:???
今日は一部地域をのぞき種がお休みなので少しは大丈夫かな
524通常の名無しさんの3倍:03/04/05 21:59 ID:???
保守
525通常の名無しさんの3倍:03/04/05 22:41 ID:???
ここは、元の小説と題材の要素が噛み合った
ナイスな文のあるインターネットですね。
526通常の名無しさんの3倍:03/04/06 15:29 ID:DDHSd3zQ
保守
527通常の名無しさんの3倍:03/04/06 15:59 ID:???
凄いな…自己満足もここまでやりきると一つの芸だ。
528通常の名無しさんの3倍:03/04/06 17:38 ID:DDHSd3zQ
保守
529通常の名無しさんの3倍:03/04/07 01:49 ID:???
保守and  ブルッケング
530:03/04/07 17:47 ID:???
モデムの調子が悪くてアクセスできませんでした・・・
皆さん、保守ありがとうございます。
当時、このカサレリアのあたりは土壌がよくかつ作物が育ちやすく、しかも紅葉
や雪景色が絶景だったことから、ウーイッグなどの東欧市民に愛され、秋にはそ
の風景を賞(め)でに来る者が多い。おそらく田園もひらかれていたのであろう。
ところで人々が「ニュータイプ」という言葉を完全に過去のものとしていたころ、
このカサレリアに小屋を結んで閑居している老女があった。
老女のとし、128歳である。
名は、シャクティ・カリンといった。晩年、「シャクティ対話」という書物を残
した人物だが、0142年、宇宙戦国時代の真っ只中にサイド1でうまれたとい
うから、驚くにたえた高齢であった。
しかもただの閲歴(えつれき)ではなく、現在でも崇敬の対象となっている女王
マリア・ピァ・アーモニアのじつの娘で、べスパの将校として著名なクロノクル・
アシャーのめいであり、いろいろな要因で非公式ながらカサレリアにスペシャル
の代名詞となっているウッソとともに生活を営んでいた。
ザンスカール戦争になりゆきで参加せざるをえなくなり、あやうく命を失い
かけるほどの経験をし、戦争終盤のエンジェル・ハイロゥ攻防においては自
ら人々の救済のためリングの中心で祈りをささげ、戦後カルルマン・ドゥガー
トゥスの養母となり、のち、共同生活を営んでいたウッソの妻になり、それ
以来、ずっとこのカサレリアでの生活をつづけているという
この老女は0272年、130歳で死んだ。ところが死ぬ二年前の春、ウーイッグ
の市長がシャクティのうわさをきき、これこそ生きた歴史である、として使用人を
やって聞き書をとらせた。
使用人がシャクティを訪問しておどろいたのは、シャクティの容貌はやっと70前
後の若さであったことである。歯も耳も壮者とかわらなかった。
ただ足だけが多少不自由そうで、歩くたびに腰をしゃくるようなしぐさをした。
その後、使用人はシャクティが死ぬまで2年間かよいつめて、いまの原稿用紙にす
れば百枚ほどの聞き書をとった。それがいまに残る「シャクティ・カリン対話」で
ある。
内容は、シャクティが生きた一世紀あまりの時代の見聞をあつめたものだが、
おもに11歳のときに経験した戦争体験がほぼ中心となっている。
そのほかに、じつの子同然ともいえるカルルマン・ドゥガートゥスのことや、
彼女の日々の生活形態(おもに洗濯・育児・農作業・食事・ひなげしの花の
育て方や、彼女が口ずさんでいた子守唄らしき事柄など)のこまごまとした
談話もある。かと思えば、
「夫(ウッソ)は無筆同然の悪筆に候」
などと愉快な口述もある。シャクティはいう、「夫はことパソコンの腕に関
しては有能であったが、その反面、手書きの文字はABCも満足にカタチを
成しておりませぬ。自然、サインもきたなかった」−ウッソ・エヴィンの死
後、数十余年も経ているころの話だ。
亡き夫のことをそこまでいわなくてもよさそうなものだが、人間128歳まで
生きれば、世間に遠慮も会釈もなくなるのであろう。
余談だが、「対話」には無数の色ばなしがある。それもシャクティ自身のこと
ではなく、もっぱら夫のウッソのことについて述べたことであり、これも遠慮
がない。
「予、一代に、夫ウッソのおねえさん好きの光景を幾度も見たり」
彼女が見た夫ウッソの好きなおねえさん第一号は、ウッソのノートパソコンの
フォルダをひらいたときによくわかった、という。
ウーイッグに住んでいたカテジナ・ルースのことを指していることは間違いない。
ウッソのカテジナに対する執拗なメール送信は多くの信憑性ある資料にものって
おり(スペシャル少年は同時にストーカー少年であったという事実もわりあい有
力説として実証されている)のちのMS戦における二人のやりとりからも、それ
は十分にうかがえる。
534:03/04/07 18:15 ID:???
一旦切りあげます。
そのほかにも、美人女性パイロットが多かったとされる「シュラク隊の面々」
(有名なところにジュンコ・マヘリア・ペギー・コニー・ユカなどがいる)べ
スパの女性士官ファラ、ルペ・シノ、レンダ、カリンガといった面々のことが
色ばなしには出てくる。ここであげた女性は戦争時においてかかわった女性ば
かりであるが、なぜかウッソは年下や同世代の女性がそばにいたにもかかわら
ず、まったく好意を示した気配すらないのである。
それどころか、ウッソの「おねえさん好き」は生涯変わることがなかったと、
「対話」には記録されている。しかも肢体すぐれ、スタイルのいい女性ばかり
を好んだとある。よほどあついものを感じさせたのだろうか。
だがこのような色ばなしは多数のニュータイプたちにとってはよくある話で、
あのアムロ・レイにも多数の女性(シャアにはおよばないが)とのうわさがあ
ったといわれており、べつに不思議というほどのものでもない。ただ、趣向が
偏っているだけである。
このシャクティ・カリンは、ウッソより二歳年下である。ウッソの死後
半世紀生きのびたが、そのながい生涯のあいだで、ウッソ・エヴィンと
ともに暮らし、実際にふれ合った。そのスペシャルとよばれた人物との
日々が、この「対話」の大部分をしめている。
以上、ながながとシャクティのことを紹介してきたのは、いまではアイマイ
になっている伝説のスペシャル少年ウッソ・エヴィンの映像を決定するのに、
このシャクティ・カリンの「実録」が最も信頼できるとおもったからである。
537通常の名無しさんの3倍:03/04/08 18:29 ID:???
保守
538通常の名無しさんの3倍:03/04/08 22:58 ID:???
ほすっとな
しかしウッソに従来のエースの定義があてはまらないからといって、かれの不世出
の力量をうんぬんできない。ここにウッソと同時代人である、二つの年下である
シャクティ・カリンを出したのは、シャクティがかつて軍事宗教国家ともいうべき
ザンスカール帝国女王マリアの娘であり、この戦争に参加した多くの人々と関連性
のある人物だからである。しかもウッソも、そのウッソに倒された彼女のおじクロ
ノクルも、育て子のカルルマン・ドゥガートゥスもすべて過去の人になっているこ
の時代では、たれに遠慮をすることもなかった。
その評は十分に信憑するに足るとみていい。
ーで、老女は、筆記者の使用人に、
「予はザンスカール帝国大尉クロノクル・アシャーのめいにて、彼(か)
の思想も知りしなり。わが夫はウッソ・エヴィンといふ者なり。自己に
パイロット術を錬磨して名人他。おじにくらぶれば、チェスにていえば
即チェック・メイトとなるほどにウッソ強し」
即チェック・メイトと、ウッソの位置を女王の弟にして彼女のおじクロ
ノクル・アシャーの上位においている。
ところで、シャクティも、−
「ウッソは、パイロット能力だけでなく、歴史学・その他雑学にいたる
までの幅ひろい知識・絵画・機械いじりなど諸芸に長じていた」といっ
ている(最近の研究ではハッカーにも長じていたといわれているが、こ
れについてはふれられていない)
事実、ウッソは絵画・メカニックマンとしてもすぐれた才能をもつ人物
で、残っている作品の数も多い。いま重要美術品に指定されているもの
に、あらゆる要素に対応する多機能を発揮することができるハロ(なんと
主人の心理も読むことができるという)風景画として残されている「北海」
(海岸に無数に散らばる魚のホネと、汚染された空が描かれている)要塞
砲にとりつく全裸の女性パイロットの美しい肢体を描きだした「瞬時」など
などをみても、なまなかな職人ができる芸当ではない(中略)
従ってこれほどのスペシャルは、史上最年少の少年パイロット・ウッソしか
いなかった。あたりまえのことだろう。
542:03/04/08 23:52 ID:???
また明日書きます。
543通常の名無しさんの3倍:03/04/09 03:24 ID:???
御疲れ様です。がんばってください。
544通常の名無しさんの3倍:03/04/09 21:29 ID:???
ペースが落ちないのは凄すぎです
ララァはむしろシャアよりも相手のニュータイプをえらんだ(かとシャアは思えた
かのように)死んだ。ガンダムのビームサーベルに貫かれ、永眠した日(これは
正確ではないかもしれないが)がちょうど終戦協定締結の数日前であったが、
シャアにはそれに関する記憶はなかった。宇宙世紀0079・12月30日の自分
を思い出すにつけ、国家の、ひいては戦争行為などは、個人の人生にとって世に数
すくない理解者の存在に比すればはるかに卑小なものではないかと、奇妙な感動を
もって考える。同時に、その国家たるジオン公国に関する、いわゆる父の仇討ちと
いう復讐を自分の生涯の目的としてきたことに、舌を噛み切りたいほどの虚しさを
覚えた。この虚しさはかれが上官たるキシリア・ザビ少将と会談したときに、ふと
ガルマを罠にはめたときに覚えた虚しさをキシリアに洩らした述懐である(中略)
ララァの死はかれにとって大きな打撃であったが、それだけではなかった。悲しみ
のほかに別な掻き傷を、かれの胸の内壁に残した。傷跡それ自体は生涯癒えた形跡
はなく、その怒りの矛先は、ララァを殺したあのアムロ・レイにむけられることに
なったのである。
546:03/04/09 21:35 ID:???
>>543
ありがとうございます。朗読すると頭に入るようで、寝る前に読んでたり
します(ヘンな香具師かも・・・・)
短編がネタにしやすいですね。
>>544
作品が多いですからね。長編よりも短編がやりやすいです。
読みにくいのはご勘弁を。
明確な目的をもって歩んでいたシャアの前半生は、ドズルによって軍籍を剥奪され
その浪人的境涯に落ちていたときに、カバスで出会った少女と会い、人類の革新・
ニュータイプへと開花させることが真実の達成すべき目的であると悟ってより方向
性が変化した。が、正しくは、かれの在りようすべてを受けいれてくれた最愛のラ
ラァの死をもってかれの後半生が始まったと云わなければならぬ。それほど、ララ
ァがあの宇宙空間で、ほとんど出会ったことがないはずであるガンダムのパイロット
と思いを通じあい、一瞬で理解しえたことは、シャアにとって名状の仕様のない驚愕
であった。
あの敵パイロットの共感によるララァの幸せそうな姿を、シャアは記憶の網膜を剥ぎ
とっても忘れることができぬ。目をつぶれば、闇のなかにあのララァと敵パイロット
のふれあいがらんとして光ってくる。それはララァのすべてがわかっているつもりで
いた一見万能すぎるかにみえる男が、ララァの側からすれば肝心なところが大佐には
おわかりでないという、なにかを激しく渇望している目であった。
ララァの内部に突如、いっぴきの粗毛のあら立つケモノが這入りこんだと
しか思えなかった。自分が求めていた優しさというものを、アムロ・レイ
という敵パイロットに見出したララァの目からいえば、シャアもやはり欠
陥のある、男性らしい男でしかなかったのだろう。そのララァが「許して
いた」愛すべき仮面貴公子はにわかにゲルググを駆って、ララァの搭乗す
るエルメスと、アムロの搭乗するガンダムの間に割り込もうとした。その
とき、ララァは今まで従順だった姿勢をすててシャアに反対する姿勢をと
った。「大佐、いけません!!」これはなんの意味なのか、シャアは執拗
に考えている。詮ないことであろうが、あのなんでも受け入れ、うなずいて
くれたララァが、向かってきた敵との接触によって示した自分への反逆が、
彼には耐えきれぬ悲しみになっている。
ララァが自分にあらがうことは、天地が覆るとも有りえぬことと思ってきた。
如何なるニュータイプ同士の意識が、如何なる因によって触発されたものか。
そのニュータイプ同士の共感が、なぜララァを心から愛している自分とではな
く、あのまるで他人ともいえるアムロ・レイと共感しえたのか。
シャアは、ララァとのあまりにも短すぎるふれあいの日々を振り返ってみた。
それは他人からすれば拍子ぬけするほど波瀾のない日々の連続であった。最初
の出会いから波瀾がなかった。すんなりと、気がついたときには落ち着いている
自分がそこにいた。
そのどの部分をきりとってみても、ララァは自分との生活に満足し、自分のすべて
を愛し尽くしてくれた穏やかな歴史であったとしか思えぬ。自分もまた、ララァの
愛情に恥じるような行為は濠末(ごうまつ)もなかったように思われる。世のいか
なる良人が数十年の歳月を振り返ってみても、これ程のことが言い切れるであろう
かとシャアはむしろ自分を誇らしくさえ思えるのである。
そう思い至ると、ララァにとどめをさした最後の一撃、・・・アルテイシアの
乱入とあわせてさまざまな不幸の要因が積み重なったあの一撃、あえてあのパイ
ロットの悪意と思いたい。いや印象としてはそれ以上のどす黒い不快さがあった。
その要因が積み重なった不幸な結末を招いたのは、あのアムロ・レイであろう。
アムロ・レイというガンダムのパイロットがいなければ、ララァはあのような非
業の死を遂げることはなかった。そのアムロを殺さねばならぬと彼は思う。それ
は二度とあらわれることのないかけがえなき人をうしなった革新主義者としての
自分の責任ですらあろうと(中略)
かれは、思念のなかのアムロにむかってあざけって問いかける。ふん、貴様は、
真実のニュータイプではないのか?ならばなぜ殺した!革新を成したはずの者が
その革新をひろげるであろう女性を殺すなどと、そんな阻害行為を成すはずがない。
貴様には守るべきものもない。己の成すべき道も知らぬ愚か者だ。私は貴様を許す
ことができない。だがな、ただ一つ、私とともに同じみちを歩むというのなら、考え
てやってもいい。その勇気ある決断をするだけの度量が貴様にあればな!
思念のなかのアムロに問いかけるたびに、アムロはシャアの目の前で、みるみる巨大
な黒い姿をひろげてくるようであった。
ジオン・ズム・ダイクンとその思想集団は、サイド3をもってコントリズム
実践の根拠地とさだめた。まず、この地をもって連邦政府に不満をもってい
る人々にあらたな考えを伝えねばならぬ。これ以上、移転を繰り返すのは、
スペースノイドたちの自分たちへの不審につながることになろう。
それに、地球からもっとも遠いこの円筒の内壁が密集する大地は、ダイクン
とかれの集団の目に安堵と将来への期待感を覚えしめた。
「この大地は、地球にくらべてあやういほど不安定な環境だ。このサイド
に住むスペースノイドは、一体、不満をまとめうるほどの主義主張をもって
いるのであろうか。思想を知らなければ、それは現状に対する奴隷の状態を
意識せぬまま一生を過ごさせてしまう結果となってしまう。革新を経ずして
一生を過ごせる大地こそ、地球というものであろう。それを尊重すべき考えに
変わるためには、不安定な大地に住むことによる革新が不可欠だ。われわれは
ようやく運動を実践しえる地を得た」
ダイクンの目がうるんでいる。左右も、ただ黙ってサイド3の内部をながめな
がら、指導者のことばにうなずいていた。
由来、膚骨を刺す自然の中にこそ、すぐれた神はうまれるものである。
宇宙というあたらしい環境にニュータイプ思想が生まれたのは、偶然で
はなかった。コロニーの回転がとまれば重力なき環境で人は死に、水も
空気も買わなければ生きていけないというコロニーという人類の第二の
故郷にあってこそ、不遇環境をもつがゆえの苦悩を解決しうる相互理解
の共感・究極の境地たるニュータイプ思想がうまれたのであろう(中略)
人間の肉体を虐めない所に神は育たない。あたりまえのように空気があり、
あたりまえのように風と水と重力がある豊穣な地球に住み、いのちを愉悦
しつつ生涯を送れる者に、ニュータイプ思想や誤解なく理解しあえる考え
にどれほどの必要性を持とう。
地球にはまた旧世紀以来の思想や宗教はある。しかし、それは理解の解放
に必要な考えではなく、彼等の現実の欲望をさらに充足させるための生活
の友人ともいうべき考えである。少なくとも、宇宙空間に住むスペースノイド
たちからみれば、エゴむきだしな、導びゆく対象の限定された、非妥協性に
富んだ生活の思想や宗教であった。これら旧世紀からのしがらみから抜けきる
ことのできなかった多数のアースノイドたちは、ジオン・ズム・ダイクン以来
の革新の思想を最後まで理解しようとする姿勢すら示さなかった。
その風土的な忘却ぶりの徹底は、ニュータイプという言葉すら「過去の遺物」
として葬られ、スペシャルというエスパーに逆戻りしたかのような呼称になって
しまったことからでもわかる。地球のひとびとには、結局、スペースノイドの意思
はとどかなかった。
ラステオ艦隊は消滅したが、シュバッテンを旗艦とするタシロの艦隊と、エンジェル・
ハイロゥを包むかのように重厚な布陣をしているムッターマ・ズガンの主力艦隊
は健在である。エンジェル・ハイロゥの建造に疑問を抱くムバラクとハンゲルグに
対し、ウッソは直感ではあるが推論をいった。その言葉にかさねて疑惑を抱くハンゲル
グであったが、ウッソもまた、父のあまりの他人ぶりの態度に不審を抱くのだった。
エンジェル・ハイロゥ近辺に展開するリガ・ミリティアと連邦艦隊の連合軍は、ザンスカール
主力艦隊を排除すべく行動を開始した。
この戦闘でウッソは、再度ファラ搭乗のザンネックと交戦している。巨大なザンネックキャノン
の一撃を撃ちはなって接触、その渦中、ウッソを油断させるためか、生身でV2に迫り、騙まし討ち
しようとするがあえなく失敗、ザンネックに戻ったファラはあろうことかザンネックに同乗して
いたキル・ダンドン少尉を撃ち殺し、「お前はメッチェの代わりにもならん」と、かつて副官
としてウマが合っていた今は亡き士官の名を言い、ヘルメットを脱いでふたたびザンネックを起動
させた。
シールドをザンネックの一撃で破壊されたV2を仕留めるのは今だ。
そう思ったファラのザンネックがうごいたとき、あちこちから連邦軍
の主力MS部隊の攻撃がきた。この隙をついてリーンホースjrに戻
ったウッソは、ブーツを大量に射出してくれるように要請し、その打
ち出されたブーツの群れとともにザンネックに向かった。かつてラゲーン
基地からホワイトアークに強襲攻撃をかけたマチス・ワーカー大尉の
戦法を再現しようというのだ。
鈴の音の鳴りひびくほうへウッソのV2はむかう。それを待ち構えていた
ファラのザンネックの赤い光がV2に放たれたが、V2は光の翼を展開し
て阻止した。自らのV2にザンネックを集中させているなか、ブーツの群
れはビームを放ちながらザンネックに襲いかかる。ブーツの一つが、ザン
ネックに命中し、円盤が破壊された。その間隙をぬうかのようにV2が踊り
出て、ビームサーベルを振るいザンネックキャノンを持っている腕を斬り
落とし、ついでビームライフルの連続射撃を浴びせた。
「とどめを刺さないと、いつまでもギロチンの鈴は鳴るよ!」
一言とともにファラはポッドで脱出、ザンネックはついに撃破された。
ザンネック撃破と歩調をあわせるように、タシロ艦隊が攻勢をかけてきた。
その勢いにのまれるかのように、ホワイトアークはエンジェル・ハイロゥの
空域に流されてゆく。
苛烈なビームの応酬が、連合軍とザンスカール艦隊との間でかわされた。
さて、ファラはポッドをシュバッテンに近づけ、帰還した。帰還したファラに
タシロは陰謀を語った。かれの思惑どおり、リガ・ミリティアの艦隊をエンジェル・
ハイロゥの近くへと引きずりだした、カガチとズガンはさぞ肝を冷やしているだろう
と。
ファラはただ嘲笑に似た笑いを高々とあげるのみであった。
流されたホワイトアークのメンバーは、近衛将校に案内されて(騙して)
エンジェル・ハイロゥのなかに入っている(中略)
ここでシャクティは、マリアに会おうと、近衛師団将校キスハールを説得して
連れていってもらっている。キスハールはシャクティの指示通りエンジェル・
ハイロゥにむかうが、部下のカリンガと接触してしまう。カリンガはファラの
あらぬ吹込みによって逆上、キスハールの意図もわからないまま両者は部下と
上官の、しかも結婚と「子供を生んでくれ」という将来を誓った仲であるにも
かかわらず、戦端をひらいてしまう。
まさかキスハールが乗っているとも知らず、カリンガは搭乗するMSリグ・シャッコー
(近衛師団用カスタム機)のビームライフルを乱射、キスハールは反撃するわけにも
いかないために回避をつづけていたが、逆にこの回避運動がカリンガをさらに誤解さ
せた。しびれをきらしたのか、試作MSゲンガオゾに搭乗しているファラは、マルチ
プル・ビームランチャーをウッソたちのMS部隊に斉射した。
カリンガは明らかに誤解をしているが、普通、捕虜になったパイロットを前線に出して
くるはずがないのだから、この誤解は当然といえよう。いくらウッソが言ったところで
信じてもらえるはずがない。V2は割り込んできたファラのゲンガオゾと交戦、
この間にカリンガのリグ・シャッコーは、本人が乗っているキスハールのリグ・
シャッコーにふたたび接触した。
メタル・ウィップでビームを払いながらキスハールはなんとか自分と姫様が
この機体に乗っているのだということをカリンガに伝えようとするが、
カリンガは、
「そのMSは、私の愛した人のものだ!!それを汚させはしない!!!」
と、さらに勢いを増してキスハールのリグ・シャッコーを落とそうと猛撃
した。
悲劇は重なるものである。ミノフスキー粒子の干渉下では、無線は聞こえない
のだ。だがキスハールは可能性を信じていた。自分が育て、腕を叩き込んだ
教え子がカリンガなのである。わかるはずだ、自分の動きが。わからないはずが
ない。なぜなら、愛情と同時に、お互いがお互いを求めているのだから。
万が一を考えたのだろうか、キスハールはコクピットをひらいてシャクティを射出、
危害がおよばないようにしたが、この行為もますますカリンガを逆上させた。
近衛師団においては、ダミーに頼ることは無能者のすることであるとされている。
敵はよほど子供じみたやつか、卑怯者にちがいない。カリンガはあまりにも一途すぎた。
サイド2出身者はえてしてこういう性質の人間が多いようだが、カリンガも例外ではない。
宇宙を流れてゆく叫ぶシャクティの横を、カリンガのリグ・シャッコーがビームサーベルを
かまえてつっ込んでゆく。
「子供が大人のように汚れるなど!!!」
カリンガはキスハールのリグ・シャッコーに突撃した。返せ、私のキスハールを!
と。
ふと、搭乗していたパイロットの姿がみえた。あれは、キスハールではないのか。
が、気づくのがあまりのも遅すぎた。二機のリグ・シャッコーはビームサーベルを
お互いの機体に刺し入れ、不幸にもコクピット付近が貫かれたことが二人のいのちを
縮めることになった。
二人は結婚後の幸せな家庭を夢見つつ、エンジェル・ハイロゥをウェディング・ケーキ
に見立てながら、リグ・シャッコーの爆発に巻き込まれて、死んだ。その抱き合ったまま
の二人の遺体は、運命なのだろうか、エンジェル・ハイロゥがその波動を照らすはずの地球
へと流れていった。
シャクティは絶叫した。なぜ、愛し合う二人が殺し合いをしなくてはならないのか。
動転しているシャクティの身体を、ゲンガオゾが掴んだ。よくよく考えれば、死神ともいえる
存在であろう。ファラのゲンガオゾは、鈴の音を鳴らしながらエンジェル・ハイロゥに
帰投していった。
タシロは新たなるシンボルの利用価値をあらためて感じ、積極的にシャクティ
を利用しようと考えるようになった。だが「シンボルが欲しいのなら演じもし
ましょう。でもその前に、私をアドラステアか、エンジェル・ハイロゥに連れて
ゆきなさい」と毅然としてシャクティが言ったとき、タシロは内心シャクティに
対して危惧をおぼえた。並みの器量ならば、こんなことはいわない。
苛立ちの衝動を、タシロと共にファラもおさえていた。
キスハールとカリンガの悲劇が、シャクティにある行動を決意させたのであろう。
平和的にことをおさめる「祈り」という行動へ、と。
シャクティは、タシロに指示しファラのゲンガオゾでクロノクルの艦隊
へとむかい、クロノクル・アシャー大尉とじかに会った。
シャクティとクロノクルはお互いの考えを述べたが口論となり、隙をついて
シャクティは腰に付いていた拳銃をクロノクルより抜きとり、「おかしいですよ」
と叫んで、撃った。一撃はクロノクルの肩に命中、その光景をみたカテジナはと
っさにシャクティから拳銃をうばい、逆に突きつけ、自分の本音を一方的に目の前
の小娘にまくしたてた。カテジナはいつも一方的だ。
ところが、クロノクルを殺そうとしたこの小娘を、クロノクルは殺すなという。この
とき、カテジナはクロノクルについての不満が去来したことであろう。かれに強引に
連れてこられて以来、カテジナはクロノクルを一流の軍人、いや、自分にとって最高
の魅力溢れる強い男に育てようとした。クロノクルの経歴をながめるに、クロノクル
ほどその性格が軍人らしい男はなく、同時にクロノクルほど軍人としての勇敢さや才能
の乏しい男もめずらしい。
それにクロノクルほど不運につきまとわれている男もめずらしいであろう。
ーわたしが感じているクロノクルの魅力も、こういう優しさにあるのかもしれない。
と、カテジナはおもったかどうか(中略)
つねにあぶなげな、つねにうすい磁器のようにすぐこわれるかのような不幸を背負って
いるクロノクルに、真実希望と栄光、己の幸福を見出していたのかどうか。いや、見い
出していた、という言葉は適切ではなかろう。カテジナはクロノクルに対し、男らしく
なれるで「あろう」という希望と期待を強引にかぶせていた。弱い男を強引に強い男に
仕立て、自分にとって都合のいい白馬の王子様のような偶像を再現しようとした。
だがいつまでたってもクロノクルは優柔不断で、かれの生来のものたる優しさを捨てきれない
でいる。
もしカテジナが連れ去られる前に、いやそのときにクロノクルの性格を
知っていたのなら、彼女は決してクロノクルには連れ去られてゆくことを
拒否したであろうし、クロノクルの元にもいなかったであろう。
彼女はこの男の本音を知らなかった。
シャクティを送り届けたファラはゲンガオゾを駆りV2と戦端をひらくべく
前進した。それと平行してシュバッテンのタシロはエンジェル・ハイロゥへ
と後退してゆく。艦長が意見したが、タシロは意にも介さなかった。
かれの胸中には、己の政治的陰謀を実践しようという肚しかない。戦場での
勇者は所詮は匹夫の勇でしかなく、最終的には政治的勝利がすべてを決する。
「私は・・・正気だよ」自信に溢れている。
ファラとウッソは戦いを交え、タシロ艦隊の一隻の戦艦が、マーベットの機転を
きかした機体の体当たり攻撃(マーベットは離脱している)で沈んだ。が、
タシロのシュバッテンは、活動を開始しつつあるエンジェル・ハイロゥへと
接弦しつつあった。当のマリアとカガチは知るよしもなかったし、クロノクルでさ
え、タシロの陰謀を予測しえたかどうか。
タシロを玉座のまえでむかえたカガチは不審を抱きながら椅子にすわった。ギロチン
へかけたのは芝居で、むしろ優遇してエンジェル・ハイロゥの防備につかせたのに、
道化とは何事か、と喋り終えたところで、タシロは黙れと言わんばかりに拳銃を突きつけた。
カガチはなおも反論するが、タシロは「キールームへご案内していただこうか」と脅し、
なかばカガチを人質にとりながら、部下のべスパ将校を内部に入れつつドアを開けさせた。
タシロはキールームに祈りながらその姿をたたえているマリアをみて、政治軍人らしい野心と
欲望を増大させた。カガチなどと、科学者を自称している老人の思うままにマリアを利用されて
はたまらない。マリアは私がコントロールする、こんな巨大要塞など潰してしまうほうがどれほど
楽だろうか。
このとき、エンジェル・ハイロゥから放出されていた光が消えたのをシャクティは目撃している。
ようやくクロノクルも異変に気づいた。シュバッテンに乗るタシロがあやしいと踏んだクロノクル
は、エンジェル・ハイロゥに艦を接弦するように艦長に指示した。シャクティも同時に連れてゆく
ことにした。

564:03/04/10 03:05 ID:???
1stの再放送を見つつ、寝ます。
565外郭新興部隊(花神(下)):03/04/10 15:19 ID:???
軍事は政治の下にあり、政治の意志のもとでうごく。絶対民主制を掲げる連邦
政府伝統の方針といっていい。
アデナウアー、バウアーらがおそれていることは、一年戦争以来の英雄たるブ
ライトが、戦勝の栄光とそのいきおいに乗って政治の世界に土足で踏み込んで
くることであった。軍内部での武勲を背景にしているためにそれらの発言力が
大きくなり、しまいには武力でもってかつてのティターンズのごとく議会にお
どしをかけ、軍閥政治を将来してしまうおそれがある。
バウアーはそれをおそれている。
(まさかブライトがそうなることはあるまいが)
とは思うものの、警戒している(中略)
アドミラルの栄光は、連邦では成立しない。いや、させてはならないので
ある。
566外郭新興部隊(花神(下)):03/04/10 15:29 ID:???
「私は決して英雄豪傑ではない」
と、バウアーは自らの派閥議員ストアスト(フロンティア・サイド動乱
時の連邦政府高官)にいったことがある。サイド6出身の官僚(会計
監査局)であるカムラン・ブルームが、かつてバウアーをみて、そのあ
とひどく興奮して、
ー私ははじめて英雄豪傑という者をみました。
と、ひとに語ったというが、それがまわりまわってバウアーの耳に入った。
バウアーはそれについて、ストアストにむかって否定したのである。
567通常の名無しさんの3倍:03/04/10 15:29 ID:TH9MXSyu
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568外郭新興部隊(花神(下)):03/04/10 21:34 ID:???
この時期のネオジオンは、事実上の運営者(執政というべきか)というべきホルスト・
ハーネスとカイザス・M・バイヤーの才覚と、ネオジオン総帥のシャア・アズナブルの
度量でからくも保(も)っているようなものであった。
が、バウアーは、
「ホルストは奸物」としか規定していない。ネオジオン再興の手びきをしたカイザスより
もはるかにホルストの力量のほうが上回っている。
「シャアはホルストにおどらされている。アデナウアーですらシャアの使い走りとなり、ホル
ストの言いなりになるかのようにネオジオンを利させてしまっている」
バウアーはこの奇妙な提携関係を断たないかぎり、ネオジオンのばっこを制御すること
ができないと考えた。制御できないどころか、日に日にさかんになってゆく反連邦政府運動
を鎮静化させるためには、シビリアン・コントロールには反するかもしれないが、総司令官
ブライト・ノア大佐に一任し、武力を発動して強引に鎮静化させるしか手はない。
「ネオジオンのシャアを鎮静せしめれば、地球圏は鎮静する。各サイド諸勢力のごときはそのあと
多少は抵抗するにしても、やがてはみずからの両手をみずから縛って連邦政府に服するにちがいな
い。要は、シャアである」
569外郭新興部隊(花神(下)):03/04/10 21:57 ID:???
バウアーは終始考える風情をしていたが、やがて、
「その公金は、νガンダムの費用に廻そう」
といったから、ストアストはおどろいた。バウアーは一語一語ゆっくりと、
「νガンダムはすぐにでも、明日にでも完成させなければならない。今は非常時
ゆえ、流用もやむをえん。税金など、後日いくらでも集められる」
といった。ストアストはなくなく公金に手をつけることになった。
ストアストというのは、バウアー引退後、異様な大風呂敷屋としてフロンティア・
サイド動乱ごろまでの連邦政界の内外にすわりつづけるが、この人物の特徴は、およそ
観念論にうごかされない現実主義者であったことである。ただし、その現実認識はあく
までかれの思考のおよぶ範囲までであったが。

570通常の名無しさんの3倍:03/04/11 01:48 ID:???
いつもいつももつかれさまです。
571通常の名無しさんの3倍:03/04/11 15:33 ID:???
疲れを癒すより、ただ保守とかくより、少しでも感想を書いたほうが職人さんは嬉しいとおもわれ。

バウアーに惚れた、とだけかいとこう。
5721:03/04/11 22:35 ID:???
>>571
なによりも嬉しい一言、ありがとうございます。
>>570
土日の保守もよろしくです。

やっぱりオチがないと感想のしようがないですよね。
573外郭新興部隊(花神(下)):03/04/11 23:03 ID:???
かれはバウアーの派閥に属していた議員のくせに「革新」思想(ストアストは
決して自分からはニュータイプという言葉を口にしなかった)をきらい、むし
ろのろっていた(中略)
そういうかれの現実主義的立場をさらにつよくしていたのは、この大風呂敷屋
がマネー勘定にかけては天才的なかんをもっていたことであった。かれの財政
論は財政学的素養をもっていなかったが、いきなり結論がわかるという点で、
天才的なところがあったといっていい。
そういうストアストが、ジョン・バウアーという人物をみて最大級に感心して
しまったのは、共産主義的な議員体質を持ち合わせている政治家が多い中で、
懐のひろい大度量と、旧世紀の米国政治家のような経営者の色合いを持ち合わ
せているという点で、いわば巨大な利益誘導をおこなえる器量をもつ者が連邦
政府にはきわめてまれで、それだけにストアストの感動は大きかったにちがい
ない。
ストアストはのちにその「回顧録」で語っている。
「ジョン・バウアーは、胆気豪勇、言行俊警(しゅんけい)、また開明進歩の
主義を持し、とくに時勢認識についてもっとも鋭敏で、かのティターンズなど
とは比べものにならぬほどの良識な特務部隊を組織し、わが連邦政府の軍制に
多大なる影響をあたえるところこれあり、当時の英雄豪傑として、ほとんどそ
のたぐいまれなりし者」
というのだが、この最大級のほめ方には多少の説明がいる。
574外郭新興部隊(花神(下)):03/04/11 23:14 ID:???
ストアストという人物はシャア・アズナブルがまるで空気のようにしか
見えなかったというそういう種類の目をもっている。ストアストはシャア
をはじめてみたとき(といってもじかに両者は会ったわけではないが)か
らその最後にいたるまで一個の無能人としてしかみていなかった。
ストアストの目は、具体的事物としての人間存在しか見えないらしい。だ
からであろうか、かれの回顧録にはブライトへの賞賛は多少なりとも記述
からうかがえるが、アムロ・レイに対する賞賛は、ない(ないというか、
意図的に避けているかのようにもおもえる)そういう点になると、シャア
とネオジオンの欠点を正確に分析し、アデナウアー失脚と武力発動の認可
をくもなくやってのけてしまうこの「ジョン・バウアー」のほうが、「当
時の英雄豪傑のなかでの最高」としてかれの目には映ったのである。
575外郭新興部隊(花神(下)):03/04/11 23:22 ID:???
当時連邦政府・中枢機構内部にあっては、当人同士の面識は事実ないが、まわり
の政治家たちの目からみれば、ネオジオン総帥として専用MSササビーで前線に
出ているシャア・アズナブルと遠く政府内部にいて情勢をみているジョン・バウアー
とは二大巨頭のように屹立(きつりつ)し、たがいに抗争し、息をひそめてまわり
がそれを見ている、という観があった。
576外郭新興部隊(花神(下)):03/04/11 23:42 ID:???
しかしながらストアストのバウアーに対する最大級の賛辞があたっていなくも
ない。財政難の、しかもハマーン・カーンのおこした叛乱がまだ生々しい傷あと
を残している時期に現実論をもって対処しようとすることは、反連邦運動家や反対
派閥からの陰謀・暗殺にあう可能性はおおきく、それについてバウアーがいささか
もロンド・ベルを組織するという主張をくずすことがなかったというのは、やはり
凄みがある。
バウアーがストアストに命じて公金を横流しするようにしたいきさつは、ストアスト
にいわせれば、
「わしがバウアーにすすんで工面した」
ということになる。
バウアーが、ネオジオンの主力MSよりも劣るジェガンやリ・ガズィなどの整備費に
あるだけの金をまわすよりも、アムロ・レイ大尉がのどから手が出るほどに欲しがっ
ているνガンダムをいち早く完成させるほうが、ロンド・ベルを勝利にみちびき、あの
総帥という立場をわすれて戦場に出たがっているシャアすらも倒せるという点できわ
めて有利だ、といった。バウアーはかつてアムロ・レイとの会談の際に、シャアは指導者
でありながら自ら戦場に出てくる、私との決着をつけたがっているのです、という発言を
聞いており、その発言をヒントにνガンダム完成を急がせる要素としたとも考えられる。
シャアをアムロに撃たせればいとも簡単に乱は鎮められる。ジェガンタイプを大量に量産
するよりも、より確実に勝てるではないか。
577外郭新興部隊(花神(下)):03/04/11 23:53 ID:???
ストアストはバウアーに自分が抱いていた二、三の質問を発した。
「シャア・アズナブルが信頼をおいているアドミラル・ライルの統率するネオジオン
主力艦隊はどうするのです?」
「宇宙に消えゆくのみ」
と、バウアーはいった。シャアを倒し、バックボーンをおさえている奸物ホルストを
駆逐しさえすれば、あとは簡単に一掃できる。新鋭戦艦レウルーラと新鋭巡洋艦ムサカ
といえども、もはや大艦巨砲主義の時代ではなく、話にもならない。自然崩壊するだろう、
という意味である。
「νガンダムが完成するまでの対ネオジオン戦はいかがするのです?」
「アムロ・レイ大尉にはリ・ガズィで奮迅してもらうしかない。戦術については詳しいことは
ブライト・ノア大佐の助言をもとに考え、手配をするつもりだ」
と、バウアーはいった。
578外郭新興部隊(花神(下)):03/04/12 00:07 ID:???
この時期、ロンド・ベル隊のMSはジェガンが配備されていたが、連邦宇宙軍
主力「88艦隊」の場合は「抑止力」という程度の認識だったため、旧式のGM
Vをもって主力MSとしている。
他のサイドに駐留する連邦艦隊のMSはじつに粗末で、グリプス戦役時のGMU
やネモなどを主力としている艦隊もある。
バウアーは、ロンド・ベルの戦力でシャアの寒冷化作戦は食い止められるとおもって
いたが、やはり一抹の不安は残る。
クロノクル・アシャーという性格はそういう帝国の法制や法制的組織をたとえ
頭脳で理解できても、かれの過剰な、異様なほどにつよい従者としての情念は
それらに対して無感覚であり、かれがマリアをおもうときはつねにマリアと自分
であり、そういう肉体的情念のなかでしか女王マリア・ピァ・アーモニアのこ
とをおもえなかった。クロノクルは、つねにマリアの従者として存在し、マリア
の意志たる母系社会の樹立をなさんがために生きていた。
マリアも、それを感じた。
ークロノクルはちょっとおかしい。
とも、この聡明なザンスカール帝国女王はおもったであろう。女王は、人の、とくに
男性の在りようがわかりすぎるほどに理解できるあたまをもっていた(中略)
女王におけるその教祖としての感覚のなかでもクロノクル・アシャーの映像は言いがたい
慈愛をもって映っていたであろう。
少年のころ羸弱(るいじゃく)な性格であったクロノクルはその郷里サイド
1・アルバニアンで犬猫に石をなげることを強要され、それができず、侮辱
をうけた。かれはおさないころは動物の流血死体を正視することもできない
少年であった。
伝記作家たちはその性格の羸弱さをかれは意思力によって克服したとし、ザン
スカール戦後の作家たちはその性格のそこに偏執狂的なものを潜在させている
とした。
タシロのシュバッテンがエンジェル・ハイロゥに入ったと同時に、エンジェル・
ハイロゥ自体の起動がストップしてしまった。
(女王マリアに異変があったのか)
と、クロノクルはおもった。クロノクルは過去のどの戦場でも大事な切所にさし
かかると、運がなかったり、遅れたり、MSを奪われたり、他人の予期せぬ干渉
がはいったりして、どこか失策(しくじり)の多い運の男であった。
このときも、それに似ていた。
この日、つまり0153年6月20日、タシロ・ヴァゴ大佐は、クーデターを決行、
カガチの本音を暴露させ、エンジェル・ハイロゥの危険性をマリアに脅しをもって
説いた。
エンジェル・ハイロゥに艦を接弦させたクロノクルは、まったくこの事態を知らなかった。
クロノクルのこのときの不幸は、キールームに入ったと同時に予感していた不足の事態が
現実に起きていたことであった。
とっさに拳銃をかまえて「銃を捨てろ」とタシロに言い放つクロノクルであったが、タシロは
人質にしていたカガチをつきとばし、女王マリアに銃をつきつけ、人質にとった。
582通常の名無しさんの3倍:03/04/12 01:07 ID:???
>>581
×不足の自体
○不測の事態
うっかり、ですね。
「司令みずからがこんなことをする覚悟・・・なまじではないのだ!」
とタシロが高らかに言うと、クロノクルの顔色はたれの目にもわかるほど
に青ざめた。
蒼白になった状態で必死に苛立ちを抑えつけながらクロノクルはやむなく
タシロの命に従わざるをえず、手を出すなとキールームの兵士たちに指示
せざるをえなかった(中略)
シュバッテンとの接弦部の隔壁が閉じられるとき、反射的にシャクティを助けた
クロノクルは狼狽が静まり、落ち着いていたが、傷心がすぐに癒えたわけではな
い。
クロノクルはこのときにいたって、
ー女王にもしものことがあれば自分はこの世に生きる理由がない。
と確信をもっておもったのだろう。そう強く思いこむことによってかれ
はこの地の底へ落ちてゆくような失落の思いから自分をわずかに救いだ
すことができた。殉ずる方法しかかれにはなかった。かれはかつてマリア
が自分より先に死ぬことを思ったことがなく、この案を以前から用意して
いたわけではなかった。
585:03/04/12 01:18 ID:???
>>582
サンクス。前も間違いがあったっけ。
しかしいまとなっておもうと、そのことは以前から一途に考えつづけて
きたようでもあり、ひょっとすると遠いむかしからそれをそう思いつづ
けることによって自分のなにかを支えつづけてきたようにもおもわれた。
いずれにせよ、この場ですぐ思いついたというわけではなさそうだが、マ
リアに殉ずるということがかれの人生最後の選択肢としてうかびあがった
ことはたしかであった。
女王マリア・ピァ・アーモニアが崩御されたのは、この月22日のこと
であり、死因となった直接の原因は射殺であるが、マリア自身が死を望
んだ部分も少なからずあった。少年ウッソを呼び寄せ、自らが招いてし
まった業を自らの死によって浄化しようとした。昇天の見届け人はクロ
ノクルではなく、ウッソであった。ウッソはV2のビームライフルでマ
リアの遺体を焼き、きれいに後始末をした。
女王崩御の知らせをアドラステア艦橋にて聞いたクロノクルはいてもたって
もいられず、MSリグ・コンティオに搭乗し出撃しようとした。そのクロノ
クルを、副官的立場になっているカテジナ・ルース少尉がとめた。
カテジナは、「今タシロの尻拭いをされても司令のお力を示すことにはなり
ませんが」と出撃を諌めた。
クロノクルは、少々沈黙し、さらにカテジナの話をきいていたが、
(自分の本心を、やはりカテジナは気づいていない)
と、クロノクルは安堵するような複雑な心情でおもった。クロノクルは自分
の本音についてはかたく、しかも完璧な形式をもって殉じたいとおもってい
たために、カテジナへはまったく本音を漏らさなかった。漏らせばカテジナ
はかならず反対するだろうし、しれぬどころかカテジナはトチ狂って自分の
手におえなくなるくらい暴走するかもしれず、このためかえって事が混乱し、
おもわぬ障害やしくじりができるかもしれない。
漏らさずに、機会がくれば決行しようとおもっていた。
エンジェル・ハイロゥは地球に降下をはじめた。アドラステアよりリグ・
コンティオで出撃したクロノクルは、リガ・ミリティアと連邦の連合軍艦隊
のなかで突出してくる戦艦をみつけ、それが特攻を仕掛けるつもりだと
知るや、ムバラク座上の旗艦ジャンヌ・ダルクの艦橋を破壊した。
目標のリーンホースjrを発見したクロノクルは、搭乗MSリグ・コンティオ
のヴァリアブル・ビームランチャーの照準をリーンホースjrの艦橋に合わせたが、
不意にカテジナの自分を呼ぶ声がきこえ、うろたえた隙にオデロのガンブラスター
がつっ込んできて、ビームの照準がはずれた。放たれたエネルギーはリーンホースjr
の左舷ブロックに被弾、沈めることはできなかった。カテジナが気になるクロノクルは
後方からやってきた味方のコンティオがオデロとトマーシュのガンブラスターと混戦に
なっている隙に捨て台詞を残して離脱した。
ところが予期せぬことがおこった。リーンホースjrが特攻をモトラッド
艦隊に仕掛けたのである。わめくだけの存在であったジン・ジャハナム(影武者)
とロメロ・オーティス・レオニード、そして艦長ロベルト・ゴメス大尉が
戦局を打開すべく打った最後の手段が功を奏し、モトラッド艦隊はリーンホース
jr一隻のために消滅してしまった。
クロノクルはまたもや運にめぐまれていない。後方にて指揮を取るムッターマ・ズガン
はこの帳尻をどうあわせるのだ!と激怒したが、もしクロノクルが出撃せずにアドラステア
で指揮を執っていればこうは被害が拡大しなかったかもしれないし、カテジナの呼ぶ声に反応
せずにリーンホースjrにくっついていれば、特攻を阻止できたであろう。
エンジェル・ハイロゥはなおもその力をつよめ、あたたかき波動が空域全体にふりそそいだ。
V2を発見したクロノクルは、自分の行く手をことごとく阻んできた憎き
相手にリグ・コンティオのヴァリアブル・ビームランチャーの一撃を浴びせた。
怨念のこもった一撃は、V2のアサルトパーツとシールドを破壊、V2の
ビームライフルの反撃も軽々とかわし、左肩に装備されているショット・クロー
のビーム攻撃でV2のライフルを切断した。
サーベルを抜いてV2は反撃、おかえしといわんばかりにリグ・コンティオのヴァリア
ブル・ビームランチャーを焼き切った。
ウッソとクロノクル、両者の機体と言葉がはげしく飛びかう。ウッソはクロノクルにカテジナを
変えてしまったのはあなただとなじるが、クロノクルは彼女の望んだことだと冷静に受けながし、
子供の出る幕ではないと大人の論理をふりかざした。
その両者の間に、割って入ってきたMSがある。シュラク隊最後の生き残り、コニー・フランシス
である。だがその参戦を邪魔するかのように、憎悪に似たメガ・ビームの連続射撃と同時に高らかな
女の声がひびいた。

撃破されゆくVガンヘキサのなかで、コニーは女の嘲りにも似た声を
きいた。
ークロノクルとウッソの戦いに、他人を入れはしない。
とカテジナ、さらに己の本心をむき出しにしつつ、
「二人の男が、あたしをかけて戦っているんだ。邪魔はさせないんだよ!!!」
言い終わると同時に搭乗するゴトラタンのメガ・ビームキャノンを撃ちはなち、
最大限の憎しみをこめてコニーのVガンヘキサを撃墜した。カテジナは独善的に
なっていた。本能を最大限にまで高めていたものは何だったのであろうか。思い込み
のつよすぎる女ほどこわいものはないのかもしれない。狂気であった。
カテジナの手のひらのうえで、ウッソとクロノクルは争いをつづけた。だがこれは
カテジナの一方的な思い込みにすぎない。彼女は自分が二人を支配していると思い、
つよくそう信じすぎていた。このカテジナの行動は、彼女が極端に思い込みのはげし
すぎる性格がそうさせているのであろう。このことが、彼女ののちの運命をきめること
になった。
エンジェル・ハイロゥ上空で両者は激闘を演じた。分離しゆくエンジェル・
ハイロゥの空域のなかで、
「クロノクル!あなたの弱さがカテジナさんを迷わせたのが、まだわからないんですか!」
ウッソは叫んだ。V2のサーベルを振り払い、苛立ちを抑えられないままクロノクルは
リグ・コンティオを駆り、さらに攻撃をつよめた。その両者を上から眺めるカテジナ。
本気であった。カテジナは本気で両者が自分をとり合っているのだと錯覚した。しかし
矛盾するかもしれないが、最終的な勝者となるべき相手はクロノクルであろうという過剰な
期待をかけていたりもする。カテジナは年下の、しかも純粋なガキ臭さをのこしている少年
という存在が大嫌いであった。ウッソへの復讐、と簡単に割り切るわけにもいかないであろ
う。彼女が大人のりっぱな男に固執するがゆえに、年下が嫌いになったとみてもいい。しかし
ここまでやってのけるカテジナの行動はともかく恐ろしすぎる。
クロノクルにチャンスがきた。雪原に倒れかけたV2に隙ができ、サーベルをもってとどめを
刺そうとするクロノクルであったが、またまたオデロの邪魔がはいった。
V2に蹴り飛ばされたリグ・コンティオのなかで、クロノクルはようやくウッソとシャクティ
の意図に気がついた。
「全てがわかったウッソ・エヴィン!キールームのシャクティとともに、
我らを排除しようという魂胆!」
だから!私にもみえる!とクロノクルは悟ったかのようにふたたびV2の
ウッソに苛烈な攻撃を仕掛けたが、V2の形成した光の翼で機体を斬られ、
さらにウッソの一言とともに、V2の長大なビームサーベルの形成で機体を
寸断され、勝負は決まった。
大破したリグ・コンティオは崩壊しゆくエンジェル・ハイロゥの各ブロック
をころがりながら落ちてゆく。カテジナがクロノクル!と叫ぶが、もう手遅れ
であった。その落ちゆくなかで、クロノクルはマリアに殉じようとおもった。
だがひとかどの可能性を最後まですてなかった。姉のマリアが自分を助けてくれる
のではないかと。
意識が昇天しゆくなかでクロノクルはたしかに自分が一番意識していた姉のマリアの
姿をみた。意識のなかのマリアは確かに手をひろげ、クロノクルを包みこむかのような
姿勢を示してはいた、が、その慈愛に満ちた姿は本当にクロノクルを救済しようとする
意図であったのか、どうか。
かれは安堵したかのように正直な気持ちを、意識のなかのマリアに言った。
カテジナは最後までわからなかったであろうこのクロノクルの本音は、かれの
死と同時に、かれ自身が満足するかたちではき出された。最後までクロノクルは
マリアへの純粋すぎる姿勢をくずさず、思いを一途につらぬいた。
「マリア姉さん・・・・」
恍惚に浸りつつ、クロノクルはその頭をエンジェル・ハイロゥのブロックにぶつけ、
首の骨を折ることによってその死を一瞬で完結させている。

生前のクロノクルは、最後まで不遇感を持ちつづけていたらしい。

 女王の弟にされてしまって、カガチなどとも戦わなければならなく
 なった、この私の苦しみが!!!

クロノクル自身、自分の一生を暗い不遇なものとして感じていたらしいが、
これはどうであろう。
596:03/04/12 03:54 ID:???
ようやく完結。寝ます。
597通常の名無しさんの3倍:03/04/12 04:00 ID:???
御疲れ様です。あとでじっくりと読ませていただきます。
凄すぎる。
598通常の名無しさんの3倍:03/04/12 20:13 ID:???
保守age。自分は>>274が好きさ
599通常の名無しさんの3倍:03/04/12 22:24 ID:???
保守。 べスパの青年将校完結お疲れ様でした。
600さい玉24 ◆Rd65zWZMaI :03/04/12 23:25 ID:j2Ghu6x5
すごいけど、このエネルギーをもっと違うところに使ったら?
601通常の名無しさんの3倍:03/04/12 23:26 ID:9GSh2LRl
もう印税しか収入がありません。どなたか私の本を買って下さい。おながいします。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-keywords=%E7%A0%A7%E5%A4%A7%E8%94%B5&bq=1/ref=sr_aps_all_b/250-9652970-1377828
602:03/04/12 23:58 ID:???
>>597
凄まじく時間がかかりました。
上手くいきましたでしょうか?
>>599
ありがとうございます。本編を見ながら書くのが一番再現しやすいですね。
>>600
?違うところに使えとは?オリジナル小説でも書いてみたらということなのかな?


603会戦(坂の上の雲(五)):03/04/13 00:35 ID:???
このたった一隻で陽動任務につく第十三独立戦隊の勇猛さは、驚嘆すべきもの
であった。
シャア大佐座上の機動巡洋艦ザンジバルは、本格的な艦隊砲撃戦をホワイトベース
に対して試みたが、出撃させていたMAビグロをガンダムに撃破され、木馬そのも
のを沈めることはできなかった。この艦隊戦のあと、ビグロのパイロット・トクワン
少尉の仇を討つべくデミトリー曹長が独断でザクレロに乗り出撃し、白い悪魔たる
ガンダムにすぐさま撃破された。実用テスト前に放棄されたとはいえこれほどの火力
を有するザクレロをなぜあえて各個撃破されるかのような使い方をしたのか、よくわ
からない。
604さい玉24 ◆Rd65zWZMaI :03/04/13 00:44 ID:st64e66q
602
そうです。もったいないですよ。がんばってください。
605猛将(坂の上の雲(五)):03/04/13 01:15 ID:???
「青い巨星」
と、地球連邦軍から赤い彗星とともに恐れられていたランバ・ラル大尉は、ゲリラ
部隊指揮官であり、白兵戦闘・工作にもすぐれた第一線の指揮官であった。それを
ドズルは信頼し、ザビ家とは因縁の関係(かれの父はジオン・ダイクンの側近である
ジンバ・ラル)でありながら相談相手とし、とくに開戦後、ブリティッシュ作戦時に
おけるコロニー工作部隊の指揮官を任せるにあたって、広大な権限をあたえている。
第一次ブリティッシュ作戦において、サイド2・8バンチコロニー「アイランド・イ
フィッシュ」の工作を指揮、それをいち早く完成させたのは、この人物であった(中略)
戦術家・作戦家といわれるひとびとは、第一線の猛将たりえない場合が多いが、ランバ・
ラルは渾身が第一線の砲火のなかで将兵をまとめて死地におもむかしめる軍人としてでき
あがっており、このためかれはつねに前線に居ることを希望し、陣頭に立った。
6061:03/04/13 01:23 ID:???
>>604
なるほど。オリジナルSSか。いいかもしれませんね。
素養はありそうだし、いけるかも。
やってみようかな。
6071:03/04/13 01:25 ID:???
335さん、お疲れさまです。HP更新されてましたね。
大量に書き込んでしまったんで、苦労をかけると思いますが、よろしくお願いします。
608通常の名無しさんの3倍:03/04/13 12:03 ID:???
保守しときます。
609:03/04/13 20:35 ID:???
>>1
どんなジャンルでオリジナルSSを書かれるかわかりませんが、良くも悪くもこのスレ
での印象が強いので、少し心配です。
司馬氏流の文体(というかこのスレでの方法論)に引きずられないように気を付けて
ガソバッテください。
6101:03/04/13 22:05 ID:???
>>609
このスレでの書き方が、一番好きな書き方ですけどね。
ネタ師としては一流ではないんで、それほど凄いSSにはならないかも・・・
文芸板なんかで練習でもしようかとは思ってますが、しばらくはスレの補完に
集中しようかと思ってます。
611外郭新興部隊(花神(下)):03/04/13 23:36 ID:???
「しかしアクシズが万が一地球に落下でもしたら大変なことになりますな」
とストアストがいうと、バウアーはかぶりをふった。
「落ちません」
「落ちないという保障があるのですか」
「すべて考えてある」
と、バウアーは、その秘策ばかりはいかに相手がストアストでも洩らさなか
った。ストアストはバウアーの顔つきと態度をみてその言葉を信じた。
612外郭新興部隊(花神(下)):03/04/14 00:10 ID:???
たいていは、バウアーはチェスをやる。
相手はたれでもいいのである。バウアー自身がチェスをしたいと思えば、
チェス盤の前ですわっていればいい(中略)
バウアーのまえにすわる者があると、バウアーは無言で駒をもち、盤の
うえに置く。バウアーのチェスはとびきりへたで、定跡さえ知らなかった。
勝負はたいていバウアーの負けであった。
「あの弱さで、ネオジオンに勝てるのか」
と悪意をこめてささやく反対派閥勢力もあり、バウアーに好意をもっている
者は、いやチェスと戦争はちがうのだ、と弁護したりもした。
ある者がチェスをしつつ、
「なぜそのようにお弱くてチェスをなされるのです」
ときくと、バウアーは盤面をみつつ、
ー左様。心気を休めんがためです。
と、答えた。
613外郭新興部隊(花神(下)):03/04/14 00:16 ID:???
連邦政府中枢機構におけるバウアーはたしかに心労していた。かれのほか
にネオジオンの脅威を理解しようとする者がおらず、反対派閥の巨頭とも
いえるアデナウアーのような男が、それぞれ愚劣すぎるくらいの楽観論と
和平工作を推進しようとしており、アースノイドの危機や地球の危機など
を説いても、いっこうに理解し対処しようとする者はいなかった。
614通常の名無しさんの3倍:03/04/14 00:54 ID:GrnTRTGA
軍師二人age
615外郭新興部隊(花神(下)):03/04/14 01:09 ID:???
バウアーは軍人社会とは当然無縁であったから、一年戦争時からシャアとの接触
は直接的にはなく(ダカール演説の際にかれの姿をみたことがあるが)、シャアが
ネオジオン総帥の立場となってあらわれてからこの人物を把握した。
ネオジオン総帥時代のシャアは同時代のひとびと(特にスペースノイド)に期待され
支持された英雄的人物といっていいが、バウアーにかぎってはシャアの影響力には不導体
であった。
(このダイクンの遺児は叛乱をおこすだろう)
と、バウアーはアムロ・レイから影響をうける前に思いこんだ形跡があり(当時の文献に
よっては、ダカール演説時においてのクワトロ・バジーナのころに叛乱を推測していたと
いう記録もある)それがひるがえって考えるとバウアーの歴史的役割であった。
バウアーはシャアが経た動乱期とはほとんど無縁で、第一次ネオジオン抗争時に下地はあった
ようだが突如台頭した。バウアーがなすべきことは、ジオン公国より徐々に貯蔵された革命・
ニュータイプ思想といったエネルギーを、政治的・軍事的手段によってそのエネルギーを
従来の連邦政府体制のなかに取りこんで秩序安定をはかり、その安定を普及するしごとであり、
もし粛清という正義とはちがう鎮静化させる行為というものが一つの正義であるとすれば、
(バウアーはそうおもっていた)地球圏のすみずみにその一定の秩序安定をはかる役目であった。
616通常の名無しさんの3倍:03/04/14 01:35 ID:???
このスレ面白いし楽しいなあ
司馬遼太郎読んだことないのにすごい読みたくなりますた
明日なんか買ってきます
617外郭新興部隊(花神(下)):03/04/14 01:36 ID:???
そのバウアーのとらわれることのすくない目からみれば、シャア・アズナブル
の影響下で生死を誓っているハマーンの残党や旧ジオン公国系軍人というもの
がいかにも奇異であり、えたいのしれぬ恐怖的存在として映ったのであろう。
さらにこの当時の旧公国系軍人はジオン関連の英雄ぶりで動いた。旧公国系軍人
の潜在意識は、
「連邦のモグラどもよりダイクンの後継者たるシャア・アズナブル総帥のほうが
比べるべくもなく上だ」
ということがあり、ザビ家による公国制布告以来そうでありいわばスペースコロニー
群のなかでは隠然としてかれらのいるサイド3は一独立国の精神をもち、それが先の
大戦においてはサイド3・ジオン公国は敗北したとはいえ、その系譜は根強くある。
いわば公国成立時代からの独立精神のエネルギーが旧ジオン公国系軍人らにあって、
バウアーのみるところ、このエネルギーはハマーンがほろびてからもおとろえることは
なく今だにつづいているとみたのである。
げんにつづいている。
ところがこの独立精神の波及効果はバウアーの予想をはるかに飛びこえるかたちで、
全スペースノイドへと浸透してゆくことになり、このことはバウアーが予想しえたか
どうかはわからない。
618金髪女性兵(牛黄加持より):03/04/14 01:55 ID:???
金髪さんというのは、ジオン・ダイクンの娘(公的には秘密)で、セイラ・
マスという。父が暗殺され兄のキャスバルとともにその身を側近のジンバ・ラル
に連れられ、地球に亡命した。本名はアルテイシア・ソム・ダイクンという。
医者のタマゴとしてサイド7にいたが、サイド7がジオン軍の急襲を受けた際
にホワイトベースに乗った。
金髪さんと呼称されるのは、単純に金髪の白人女性が珍しいからであろう。
アムロは、セイラが艦内でオペレーターをつとめるころから意識していた。
意識しているどころではない。
619金髪女性兵(牛黄加持より):03/04/14 02:06 ID:???
まだ少年らしい青くささを残していたアムロは、ほどなく艦内のなかで、
リュウやカイなどの他のクルーから、自慰の方法を教わった(中略)
他のクルーたちは、
「ただひたすらに女を想え」
と教える。自慰は、その想念のなかの女にむかっておこなわれるのである(中略)
アムロは、幼なじみであり日々の自分の生活に密着しすぎていたフラウ・ボウを
えらばず、数度艦内で話をかわしその魅惑的な声をきいた金髪さんこと「セイラさん」
を自分の対象とした。きれいなお姉さんのセイラの像は次第にアムロの想念のなか
で成熟し、ついにある戦闘終了後の日、セイラの肢体は完成した。
620金髪女性兵(牛黄加持より):03/04/14 02:22 ID:???
パソコンのそばに身を投げ、股をひらき、くわっと目をあげてセイラをみた。
しかしそこには本物のセイラはおらず、パソコンに取りこんだセイラの画像が
あった。相変わらずアムロは暗い部屋のなかにいた。そばにフラウのもってきて
くれたサンドイッチのおかれた皿がころがっており、飲み残しのドリンクがこぼれ
ていた。
ありようはアムロの体が、動かなかったのだ。手足がぶるぶるとふるえて硬直し、
体がパソコンのそばに貼りついたまま、想念の中のアムロだけが、ドアをあけ、シャ
ワールームで浴びているセイラを見、ベッドに這い、セイラの身体に身を投げて、たけ
だけしく頭をあげたにすぎなかった。
現実のアムロは、むなしくパソコンの前に伏していた。からだの内部から生温かいもの
が湧きはじめ、やがて膨張し、体外へ溢出した(中略)
アムロは、力なく部屋を出てセイラの部屋の方角をみた。
今の時間帯なれば思い描いたどおりの肢体を寝巻きにつつんで眠りについている姿こそ
セイラであるはずであった。
621金髪女性兵(牛黄加持より):03/04/14 02:45 ID:???
アムロはいそいで部屋にもどった。自分の部屋にもどって、用紙にコピー
した画像をもってきた。
ガンダムのコクピットにすわりかきはじめたのだ。もともと、密室たる自分の
部屋で観賞すべきものではあるまい。体温でぬくもったガンダムのコクピット
のなかで観賞すべきものであった。見ながらアムロの皮膚はほのかに汗ばみ、
肉はゆるみ、筋は溶け、血は駘蕩としてときになまぐさく湧いた(中略)
その画像を写した一枚のなかに、うつくしい金髪をたたえ、上半身に下着だけ
をつけたセイラが、かたちのいいラインをたたえて立ちつつ、微笑していた。
唇のなかに歯までみえた。歯を濡らす唾液まで感じとれた。
画像は、ほかの写したものよりもはるかにつたない。横からうつした代物である
ため、全体のプロポーションがわかりにくく、足元までうつっていなかったが、
その正面ではない不均衡さが、かえってなまなましい情念をにじみ出していた。
拙劣な姿態は、なにざまにも変容した。いまにもアムロのくびに腕をからませて
愛撫を待とうとするがごとくであった。アムロは次第に膨張し、一枚のコピーの
うえに溢出し、やがてそれが終わりにむかうころには、コクピットのなかでここ
ろよい虚脱のなかにあった。
このダカールの変からティターンズの事実上の崩壊とそれを加速するエゥーゴ
の反撃が開始されるのだが、その史的意義を説くのが本篇の目的ではない。
ただ、暗殺という政治行為は、史上進歩的な結局を生んだことは絶無といって
いいが、この変だけは、例外といえる。シャアの叛乱にいたるまでの、一連の
(エゥーゴをふくめた)スペースノイド側の武力蜂起を肯定するとすれば、そ
の機運が一気に加速したのはダカールの変からである。撃たれたブレックス・
フォーラは、その史上稀有といってもいい清廉な革命家の歴史的役割を、不運
ではあるが撃たれたことによって果たした。
スペースノイド側の希望の星であったエゥーゴは、数人の暗殺者にブレックスを
撃たれその偉大な指導者を失ったことによって、反ティターンズの推進者を躍動
させ、そのエネルギーがティターンズ崩壊を早めたといえる(中略)
歴史はブレックスに犬死をさせていない。


623:03/04/14 03:06 ID:???
そろそろ寝ます。
624通常の名無しさんの3倍:03/04/14 17:58 ID:???
>623
いつもいつもお疲れ様です。
流し読みが勿体無いので後からゆっくり読ませて頂きます。
625通常の名無しさんの3倍:03/04/14 23:47 ID:???
保守アゲしときます。
626会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 00:12 ID:???
ジオン公国側から「木馬」と呼称され恐れられている第十三独立戦隊はなおその
陽動任務を続行しつつあったが、この日、12月4日、シャア・アズナブル大佐
座上のザンジバルから、木馬を挟撃するべく、近辺の艦隊へ通信がとんでいる(中略)
「キャメル・パトロール艦隊」
というのが、それであった。艦隊司令は、かつてシャアが少佐であったころ、副官をつとめて
いたドレン公国軍大尉である。
「ドレンは、よく私の意を酌み、一見粗野であるが実戦仕込みの熟練指揮官であった。
なによりも部下の心をつかむことに長け、クルーたちの圧倒的な支持をうけていたが、この点
は私などよりもよっぽど優れていた」
と、シャアはネオジオン時代、実戦指揮官が極度に不足している現状を憂いながら、よく語った。
第十三独立戦隊がたった一隻のホワイトベースと搭載MSのみであったのに対し、ドレンの戦力
は三隻のムサイ級軽巡洋艦と6機のMSリック・ドムを持ち、性能は低いが、戦力的には有利で
あった。だがドレンにすれば、ザクよりもはるかに上回る戦力をあたえられている以上、やって
やれないことはなく、関係がきわめて良好であったシャアの要請ならばこそそんなかつての上官
の意に沿う結果を出してみたいとも思えたのである。
さらにはキャメル艦隊の位置がちょうど木馬の頭をおさえられる位置にあることも重要であろう。



627会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 00:32 ID:???
キャメル・パトロール艦隊、点描。
かれらの最終目標は、未知数の能力を秘め、常勝を重ねつづけている
連邦軍最強ともいっていいMS・ガンダムを撃破し、木馬を沈めるこ
とにある(中略)
ドレンは指揮下のキャメル艦隊に最大戦速で木馬に向かうようにとの指示
を出した。同じころシャア大佐のザンジバルも3分遅れで接触が可能となり
つつあったが、シャアの胸中には懸念がある。先にジャブローで出会ったアル
テイシアのことであった。地球連邦軍の制服を着ていたアルテイシアが、あの
木馬に乗っているとすれば・・・・
と思ったがすぐにその考えをすてた。ありえない、いやありえないと思わなければ
雑念が出、勝てる戦いも勝てなくなるというものだ。古来戦術を狂わせてきたものは
余計な雑念であり、その余計な思慮や懸念に足をとられ、当然勝てるべき戦いが敗退
におわった先例をシャアは知っていた。
628会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 00:42 ID:???
ドレンは、前線部隊の指揮官としてすぐれたところがあった。
「ばぁか。指揮官がまっさきにノーマルスーツを着られるかよ」
と、部下の助言にしたがわず、兵士たちへの士気の影響を考えノーマル
スーツを着用しなかったことである。要は、木馬に対する勢いを保てれ
ばよい。常勝をかさねてきている木馬を敵とする以上、その木馬に怯える
兵士も当然出てくる。ドレンは毅然とした態度をしめすことによって必ず
勝つという信念を艦隊将兵に意識させたのである。
629会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 00:58 ID:???
このリュウの代わりにホワイトベースへ補充されたあけっぴろげで楽天的
な連邦軍中尉は、軽薄な印象があるが腕は相当すぐれており、女性心理も
わかる側面をもっていた。
「どうもご夫人のお尻につくってのは僕のシュミじゃないんでね」
と、ホワイトベースよりコアブースターで発進したスレッガー中尉はやや
功を焦ったのか、ビームをまっさきに敵MS部隊に対して放った(中略)
スレッガーの戦端のひらき方はまずかった。ガンキャノン搭乗のカイがなじる
もののもはや遅い。コアブースターのメガ粒子砲の攻撃は当然はずれ、そのお
返しといわんばかりにMS−09Rリック・ドムのジャイアントバズーカの一弾
が飛んできた。
630会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 01:17 ID:???
各機は散開し、カイはあわてるなと自分をおさえつつガンキャノンのビーム
ライフルを撃ったが、手ごたえがない。スカート付きは左右に分かれたとみ
たカイはハヤト・セイラ・スレッガーに下の空域へむかうように指示を出し
た。一方のスカート付きMSに対しカイのガンキャノンのビームライフルの
一撃が命中したが、その光をぬって他のスカート付きが飛びこんでくる。
敵もなかなかの熟練パイロットなのか、一瞬のうちにジャイアント・バズーカ
がガンキャノンに命中、そのカイの行動を迂闊だと思いつつハヤトも応戦する
がいっこうにスカート付きは撃ちおとせない。
ハヤトの背後からセイラがおどり出てビームを放ち、その一撃がスカート付き
MS、リック・ドムの一機を撃破した。
一方のリック・ドム隊は木馬にとりついていた。ミライの操鑑はよほど凄まじい
のか、ほとんど傷ひとつつけられることのないままスカート付きの攻撃に対し回
避運動を見事にやってのけている。
ブライトに任せられたミライは冷静に戦況を読もうとした。爆発がなり響いたあと
ミライはまるで先がみえたかのように面舵をとり、キャメル艦隊からの艦砲射撃を
すべて回避した。
631会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 01:33 ID:???
ドレンのキャメル艦隊は各艦それぞれ木馬に対し艦砲射撃をくわえていたが、
偶然にも木馬のメガ粒子砲の砲撃が、左翼のムサイ級軽巡トクメルの砲塔に
命中した。ブライトはふたたび指示を徹底させた。機関を狙え、そうすれば
確実に敵艦は沈黙させられる、と。
ドレンは木馬に取りついているリック・ドム二機を後退させるようにとの命を
発し、健在であるスワメル・旗艦キャメルで木馬をしとめるべく艦砲射撃を執拗に
木馬におこなった(中略)
リック・ドム二機は命令に従い後退、全砲塔をフル稼働して艦砲射撃を繰り広げる
キャメル艦隊は徐々に木馬を包囲下で殲滅しえるところにまできていた。
この時点でのドレンは、まるで演習の指導をしているように沈着であった。
632会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 01:44 ID:???
部下のひとりがドレンに情報をつたえたが、戦闘中なので当然聞こえにくい。
ドレンが聞き返すと、部下は大声で「ガンダムがいないそうです!!!」と
耳元で叫んだ。ドレンはしごく冷静にキャメル艦橋から一機のリック・ドム
をみた。
話が、やや反れるが、クランシーはこのときのキャメル艦隊に配属されていた
MSパイロットのなかでは上々の能力をもつMSパイロットであった。
ただこのとき、リック・ドムで手合図をしながらドレンにガンダムが見当たらない
と伝えたのだが、かれは不運であった。
一瞬の静止がクランシーの運命を決めたのかクランシーのリック・ドムはキャメル
艦橋付近にて撃破された。
633会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 01:53 ID:???
爆風の衝撃をうけつつドレンは、
(そ、そんなはずはない・・・・ガンダムはいるはずだ・・・どこだ、どこなんだ)
と、不安がドレンをかすめた(中略)
艦橋の部下がおどろいてドレンの名を叫んだ。
ーゼロ方向から接近するものがあります。高熱源体接近!
という報告にドレンはなお不安と焦りをおぼえた。
ミサイルか?と疑問を感じたドレンであったが、本艦が目標ではない
という部下の報告をきいて、ようやく敵の意図がわかった。狙いはスワメルか!
とキャメル艦橋からスワメルをみたドレンの目に、ビームエネルギーで焼かれる
僚艦スワメルの姿がうつった。
634会戦(坂の上の雲(五)):03/04/15 02:03 ID:???
ドレンはようやくガンダムを確認できた。
(ガ、ガンダムだ。あ、あの白い悪魔(ヤツ)だ)
と、ふと上をみあげた。その光の線をえがいて翔んでくる白いMSは
スワメルを沈めたあとまっすぐにキャメル・パトロール艦隊旗艦キャメル
へとすすんできた。
一機のリック・ドムが懸命になって白いMSに反撃をしたが、白いMSは
意にも介せずビームライフルを射ち、その一撃は100%正確にキャメル
艦橋に命中、ドレンはその衝撃で艦橋内のガラスに叩きつけられながら旗艦
キャメルとともに消滅、キャメル艦隊は完全に敗北した。
635:03/04/15 02:22 ID:???
>>624
やっぱり本編映像を見ながらだと書きやすいですね。
616さん(遅レスでしょうか?)
坂の上の雲はぜひ読んでほしいです。1stはこれを元ネタとして書いてる場合
が多いんで。
幕末なら燃えよ剣・王城の護衛者なんかもいいですよ。

ふと思ったのですが、このスレ見てくださってる方ってどれくらいの世代なんでしょう?
やっぱり1st世代が多いのかな?
636通常の名無しさんの3倍:03/04/15 15:23 ID:???
私は大学生です。シバリョウタロウは結構読んでます。
だけど、ここの1さんのようにガンダムネタに変えるのは無理です。。スゴイですね〜
63720代す。:03/04/15 21:46 ID:???
>>635
モツカレー。
久々に坂の上の雲読み直したくなったですよ。
この本には工房のころは中毒みたいになってたからなあ・・・。

1stは再放送で年代的には一応Z以降になるんだが見出したのは
これまた再放送という罠。
638通常の名無しさんの3倍:03/04/15 21:53 ID:GZdO1Nux
このスレのネタを、キャラ別にまとめてHPにしようと思ったんですけど
勝手に、HPに載せて作っても良いんですか?
http://www.geocities.co.jp/Bookend/9555/

一応、サンプル版をつくって見ましたので、ご覧ください。
639:03/04/15 22:51 ID:???
>>636
前スレを見てもらうとわかると思うんですけど、試行錯誤重ねてます。
歴史上の人物と重ねるとわりとやりやすいんですよ(アムロ=桂小五郎、シャア=秋山好古とか)
>>637
ありがとうございます。坂の上の雲は僕もベスト3に入るくらい好きですね。
>再放送世代
なるほど。なら1st・Zがいいかな。取り上げるキャラもある程度知ってる作品の
キャラじゃないとね。参考にします。

誰かSSの挿絵描いてくれないかな。
640:03/04/15 22:58 ID:???
>>638
おお、もう一人HP作成者が!
著作権とかはどうなんでしょうね。権利は書き手にあると思うから、要望は
出させていただきますよ。
ttp://f12.aaacafe.ne.jp/~ryotaro/
先にこちらのネタを集めたHPを335さんに作っていただいたんだけど・・・・
両方あってもいいもんだろうか(僕はかまいませんが)
「感心だな」
と、この日、シロッコはとくにサラをほめた。並みのパイロットなら知らず、
候補生ながらここまで正確に物事をこなしてみせるのはサラ・ザビアロフ曹長
だけだろうとシロッコはおもった。
「そうでしょうか」
サラはうれしそうにいった。シロッコはサラの正確すぎる戦闘報告や返答をきい
ているとき、ああ熱い情熱と安堵を感じる、というのである。サラというこのいつ
までも少女っぽいニュータイプ候補生は、そのことばを正直によろこんでいる。
「わたくしには格別、自分が器用だとは思えませんけど」
「うん」
まあそうだとも思う。サラは器用なうまれつきというものではない。
ただ最初にジェリドのもとに配属されたとき、サラは同僚のシドレを
Zガンダムによって撃墜されその衝撃で独断撤退をした。その戦闘後、
ーサラ、なれる自信はあるか。
と、サラに問いかけた。戦場の鼓動を感じ、実戦の流れを読めなければ
それは即死につながる。ご命令ならば・・・・努力しますと答えるサラに、
「ああ・・・それでいいんだ。サラ、君ならば必ずできる。楽しみにしている
よ」とシロッコはいうのである。サラは一途だから本気でそれをまもり、毎回、
実戦で功績をあげようと一念をこめて努力している。それが他の者の技量には
ない一種のさわやかさをシロッコにあたえるのだろう。
「船乗りめ」
と、シロッコはガディ・キンゼー少佐のことをいつもそうよんでいる。ガディは
ティターンズ屈指の名艦長で、宇宙世紀でも指折りの船乗りである。
「いいやつだ」
そのようにほめてもいた。シロッコがあるときジュピトリス艦内でティターンズ
の人物を論じたとき、
「もしあの船乗りがジオン公国にでも生まれ出ていれば造作もなく将官にまで昇り
つめたことだろう」
とも言い、すぐ言葉を変えて、
「いや、だめだな」
ともいった。「船乗りはプロフェッショナルに徹しすぎて野心や覇気がなさすぎる」
というのである。道を極めるテクニックにはすぐれているが、政治に関心がなく、トップ
にのぼりつめてやろうという意思すら欠けている。ガディにはそういうものがなかった。
644ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :03/04/16 00:24 ID:???
つまらん。
645通常の名無しさんの3倍:03/04/16 00:26 ID:???
失せろ屑コテ。
646通常の名無しさんの3倍:03/04/16 20:22 ID:???
>>643
ガディー少佐が出てきて嬉しいです。
そういえばガディーさんはヤザンを囮に使うという信じられない作戦を行いましたね。
ある意味では命知らずですね。
647:03/04/16 21:52 ID:???
ガディ少佐の有能ぶりは、戦術スレをみて凄さを実感しました。
ジャマイカンがいかに目の上のタンコブだったかがよくわかりますね(ノモンハンの
状況に似ているかも)
よほど胆力がすわっているんでしょうね。
648通常の名無しさんの3倍:03/04/16 22:50 ID:???
継之助の奥さんがサラか…
違和感ないのがスゴい。
ーシロッコ大尉の肚(はら)の底がわからない。
というのが、ティターンズ士官の大方の観測であり、事実、シロッコはたれにも
もらさない。
ただシロッコは総帥ジャミトフ・ハイマン大将らのまえで、
「ティターンズの天下はわずか数年、それが反乱軍として認知されるという不逞きわま
る事態でもティターンズの存在あって地球圏は保たれているということを現実にしめす
ことができなければ、どうにもならない。なんのために地球至上主義を唱え、残党たち
を駆逐してきたのか、後世の者に哂(わら)われるだろう」
といっているが、問題はその現実に対するしめしかたであった。
アクシズを利用してエゥーゴを撃たせるのか、両者ともども独力で撃つのか、その点シロッコ
は総帥ジャミトフやバスクの面前では肚を秘して語らなかった。
しかし、自らの将来を形成しうるための軍備は充実させている。ジュピトリスには自分が設計
した屈指のMS群もある。ヤザンのような荒くれ者も御してある。
現在のシロッコからみれば当然、目の前にいる暑苦しいゴーグル野郎は愚劣にも正攻法的な殴り
こみで現状を変えようと推察できるし、総帥ジャミトフは現在の立場のくるしさからやや慎重な
態度をとるであろう。
ふとみると、意外にも成熟した女である。サラともマウアーともちがう感じで、
しかもパイロットスーツに隠されてはいるがその感度のよさそうな肢体を肉感的
に感じることができ、なによりも自分を見る怯えとも気負いともみえる目がいい。
(これは美人だ)
と、シロッコは、先に男たちから品のない身体検査をうけたスパイ、レコア・ロンド
をみておもった。つい、虐めたくなったのは、かれのサディスティックな性がはたら
いたからだろう。容赦なく本気で頬を張り飛ばした。だが目の前の女はよほど打たれ
強いのかなおも自分を強く見据えてくる。この態度にシロッコはますます目の前の女
をモノにしたくなった(中略)
思いきってジュピトリスに潜入してくるとはなんと気丈な女であることだろう。
「大胆だな。あの女、好きになりそうだ」
シロッコは、感心した。あれほどなぶられたにもかかわらず、なお女性の武器を駆使
してやってのける女もほとんどいないだろうし、なによりもそこまでする必要などどこ
にもないのだ。ではなぜ男のように気負い、働いてみせようとするのか。おそらく依存
する相手がおらず、いたとしてもその男はあの女に冷たいか、相当の辱めを女にあたえた
にちがいない。女性として生まれ出たのに女性らしい喜びを得ることのないままにいるな
どとは、なんという悲しさであろう。
しかしアグリッパの認識ではミーム・ミドガルド大尉は影であっても、ミドガルド
自身にとっては自分自身が人間であることに変わりがない。
(わしは、人間なのだ)
と、ミドガルドはずっしりとおもっている。
(わしほどえらい者はこの世にいないのではないか)
ともおもっていた。
652ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :03/04/17 00:39 ID:???
言い回しが稚拙。つまらん。
653通常の名無しさんの3倍:03/04/17 01:21 ID:???
コテハン寝れ
654通常の名無しさんの3倍:03/04/17 01:49 ID:???
>>652
コテハン名乗るならもっと気の利いたこと言えよ。
芸がない。
655通常の名無しさんの3倍:03/04/17 07:44 ID:???
>652
ミライならミライらしく、「つまらん。」以外は言うな。
656アニメじゃない:03/04/17 20:44 ID:KiUucRyl
「アニメではない、と申されるか」
「左様、アニメではない。これは本当のことだ」
由悠季は静かに続けた。
「昨夜遅く、皆が寝静まったであろう時分、私が自室の窓から空を見上げていると、
そこにとても凄い物を見たのです」
どっ、と周囲に笑いがおこった。そこにいる大人達のだれも、由悠季の言葉など信じていない
というふうであった。
「富野さん、それは」
――テレビの見過ぎであろう、という声すらあがった。由悠季は神妙な面持ちでそれを聞いている。
(おれは絶対に、嘘は言っておらん)
という自信が、この男にはあった。

常識でいえば、大人達の言い分が正しい。むしろ由悠希の言葉が異常であった。
しかし常識という眼鏡もまた万能ではない。すくなくとも、富野由悠季という世界を
覗き見ることは、この眼鏡には不可能といえた。
かれに言わせれば、ここにいる大人達はみな、遠いむかしに夢を忘れてしまった
「古い地球人」
ということになるであろう。
「この素敵な世界はアニメではない。断じて現実です」
「不思議なことをおっしゃる。これがアニメでない筈が――」
「アニメではない」
由悠季は一同を睨めまわし、本当のことだ、とねんを押した。反論は赦さぬ、という
強い意思がそこにはある。
そのいきおいにのまれ、一座はしん、と静まりかえった。
657通常の名無しさんの3倍:03/04/17 21:51 ID:???
お見事
6581:03/04/17 22:21 ID:???
>>656
これ、すごくツボです(w
なによりも発想と着眼点が素晴らしい。
>常識という眼鏡もまた万能ではない。
>富野由悠季という世界を覗き見ることは、この眼鏡には不可能といえた。
上手い!
659通常の名無しさんの3倍:03/04/17 22:30 ID:???
>>656
やってくれるな!! あんた最高だ!
660総帥(翔ぶが如く(三)):03/04/17 23:03 ID:???
ギレンは新国家の設計について彼自身の構想をもっていた。その構想は学生の
空想論や傍観者流の夢のような意見ではなく、ほぼ現実的に着実に実行できる
ところの堅牢な実施案である。ただここではギレンの戦争勝利後の新国家案に
ついて好悪はさておく。
かれは自らの構想を実現したいために権力を欲した。それも、強烈に欲した。
強烈に欲したというのは、それだけ自分の構想を実現したい欲求がつよかった
ということである。
新しい国家・体制の設計案をもった人物は、一区切りとなる第二次ネオジオン
抗争にかけての沸騰期さえ、数人しか出なかった(中略)
一年戦争から第二次ネオジオン抗争にかけての権力の座にいた者としては、シャア・
アズナブルとジャミトフ・ハイマン、ブレックス・フォーラにハマーン・カーン、
それとギレン・ザビだけである(多少の例外もあるが、ここではオーソドックスな人
物をとりあげてみたい)
シャアのニュータイプ覚醒案は朝日に匂うような観はあるが、しかし当の本人自身が
初志貫徹といった執着をみせていないという点と、詳細がよくわからず、かれ本人も
はたしてニュータイプであるのか?という説もいまだ論議の的となっている以上、曖昧
模糊としており、はっきりとした輪郭がみえてこないものである。ジャミトフの場合は、
シャアやギレンなどよりも黒幕的な立場で一大軍閥を政府内で育てあげ、その重心は地球
至上主義、アースノイド主義に傾きすぎているようでもあり、さらにはかれの真意とされる
「徹底的に戦争行為・環境汚染を拡大することによって地球経済を破壊し、地球を死の星と
なるくらいにまで追い込んだあとに、重力に魂を引かれた人々を宇宙へ上げること」(ただ
しフリーメーソン信者であるという仮定にたった場合の説である)を達成するためには手段
を選ばないという非情さと保守的気質といった負の部分は他の人物にくらべ鮮明なようである。
661総帥(翔ぶが如く(三)):03/04/17 23:22 ID:???
ブレックスは元連邦議員出身ということもあって、この中ではもっとも民衆意識
を強くもち、また連邦政府内部の改革方針といった定義でいくならば、ギレンや
ジャミトフとはすこし色合いがちがうかもしれない。だが人格的にも公の意識と
してもふさわしい指導者であったことはまちがいない。
ハマーンはシャアが人類の革新を謳う際にジオン・ダイクンを拠りどころとした
のと同じように、彼女はザビ家の独裁制樹立をその拠りどころとした。最強の女帝
といった側面のつよいハマーンはたしかにニュータイプといえるだけの力を発揮し
てはいたが、目指す方向性がギレンの目指すような独裁であったのと、シャアに対する
愛憎がつよすぎたことが尾をひいたことなどから、女傑としての執念をみせつけただけの
結末におわっている。
662総帥(翔ぶが如く(三)):03/04/17 23:44 ID:???
ギレンの場合には、モデルがあった。多分に旧世紀の独逸第三帝国・ソビエト連邦
的国家風のもので、すべての国家的価値を自らの手足となりうる官僚組織によって
やろうとする。さらにはその価値の保護も育成も官僚組織(ザビ家一統による
一族独裁をかれが選択したとは到底おもえない)がおこない、これらの構成メンバー
は(ヒトラーにとって宣伝相ゲッベルスがかかせない存在だったように)主として
デラーズをはじめとした親衛隊とギレン派の高級官僚が中心となる。
旧世紀から多くの自由主義者・民権論者からファシズム・専制独裁とののしられる
傾向がギレンの発想の基本のなかにあった。
ただかれがヒトラーとちがうのは、ヒトラー自身が伍長あがりのいわば軍事にそれ
ほど精通していないのに対してかれは公国軍大将というれっきとした将官であり(ただし
軍令部門よりも軍政部門からの昇進であるが)革命運動への参加経験と機動兵器・MS
開発と配備運用に最初から入れこんで、自らミノフスキー博士のスカウトや技術者の
抜擢などに奔走、その履歴はヒトラーよりも豊富である。
徹底的な軍事独裁による人類の管理運営・将来の安寧策という手法は、のちに小型になり
つつもジャミトフ・ハイマンに間接的に相続される。
663ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :03/04/18 00:47 ID:???
つまらん。
664通常の名無しさんの3倍:03/04/18 02:17 ID:???
そうかな。俺は好きだけど。

まあ、嗜好は人それぞれなので、好きと言う人もいれば、
そうでないと言う人もいても当然と言えば、まあ当然なのだが。

つまらん、と言う人が出てきたと言う事は、それだけこのスレッドの
読者が増えていると言う証左でもある。

自分的にはとても好きなので、これからも楽しみにしております。
665通常の名無しさんの3倍:03/04/18 02:21 ID:VGRcCZFr
>664サン
ミライは放置で。
666通常の名無しさんの3倍:03/04/18 02:22 ID:???
>665

了解!!
667:03/04/18 19:29 ID:???
お、重い・・・
グリプス動乱にいたるまでのアクシズ・ネオジオンは、われわれがいまふりかえって
も、奇跡の勢力というほかない。連邦軍によるジオン最終防衛ライン・ア・バオア・クー
陥落後、残党となった多数の公国軍将兵たちはデギン派の側近マハラジャ・カーンに
従ってアクシズにむかう者たちと、それを不服としたデラーズらに従い、地球圏に潜伏
して好機を待つそのどちらかの道を選択せざるを得ない状況となった。そのなかにはアクシズ
行きを望みながらも拒絶され、地球圏にのこざるを得なくなった部隊もまた多数あった。
この年、宇宙世紀0083がもっとも重要な年になるのは、一年戦争に
おける勝利の立役者たる地球連邦軍が、象徴たるMS・ガンダムを核弾頭
ごと強奪され、ソロモン海において発射され主力艦艇をことごとく喪失、
それ以上に致命的なことは、一年戦争時におけるジオン主力艦隊をはるかに
下回る寡少戦力でコロニー落としを成功させてしまったという事柄が巨大
すぎる惨禍として起きてしまったからであろう。
ところがこの「デラーズ紛争」が衝撃をみせていた宇宙世紀0083、アクシズ
・ネオジオンの事実上の指導者であるハマーン・カーンという先覚的指導者は、
こんな寒いところなどいたくないと思いつつ、徐々にその力と技術力を蓄積し、
一大勢力としてジオン残党を形成していた。
ハマーンという少女は先の公国軍将兵と艦隊をまとめてアクシズにたどりついたあと、
唯一の拠り所というべきミネバ・ラオ・ザビ公女とその母ゼナを補佐していたマハラジャ・
カーンのじつの娘である。ハマーンの姉はドズルの愛妾であり、妹はのちに親善大使として
その名をのこすが、マハラジャは当初、おさなすぎるハマーンよりも、人望あつく、力量も
十分にある旧ジオン公国軍大佐シャア・アズナブルを自らの後継者としていたが、シャアが
固辞し、自分は補佐役としてつくしたい、ミネバ様の代行者となるべき指導者はマハラジャ殿
の娘たる節目よきハマーンがよろしかろうというかれの一言から、当時わずか16歳でハマーン
が公女ミネバの摂政として指導者の立場に就くことになった。
ハマーンが摂政に就任するまえ、ジオン残党たちは窮乏のなかで、かれらの柱
ともいうべきザビ家の血をひくミネバとゼナを拠り所として火星と木星のあいだ
にある小惑星帯に到着、その小惑星アクシズを逃亡の地として地球圏に帰還する
までのあいだ、じつに数年間におよぶ生活をした。
だが三万人にもおよぶ人々を収容する施設はアクシズにはなかった。資源採掘基地
としての存在でしかなかったアクシズで生活を営むためには、独力で居住ブロックを
建造するしかない。数年かけてかれらは居住ブロック「モウサ」をアクシズにつくり
あげた。
モウサの建造と同時に、ほそぼそとMSの開発もおこなわれた。マハラジャとハマーン
はいずれ帰還するであろう地球圏にてジオンの存在を誇示するべく、ジオン残党の装備を
「最新式技術とMS」でかためておくべく準備していたのである(中略)
かれらは引き連れてきたジオン系技術者をあつめて次世代MS開発部と材料開発部門を
発足させ、この技術部門を中心に、地球連邦軍をはるかに上回るMS部隊と艦隊を備えよう
とした。
しかもはっきりとした開発企業の支援もなく、また地球連邦が一年戦争
後MS開発をほぼアナハイム・エレクトロニクスにまかせたような、「支援
媒体」を持たずにである。財源の裏づけも当然ない。すべては旧公国系列の
人々によっておこなわれた(中略)
アクシズ・ネオジオンの最大の傑作は、史上最高の装甲材質といえるガンダリウム・
γの開発と可変量産型MS・ガザCをつくりあげたことであろう。
連邦軍最強のMS・ガンダムの装甲につかわれていたのが、ルナチタニウム製合金と
よばれるものである。のちにガンダリウム合金と呼称されたこの装甲材質は、月面に
産するチタニウムを原材料とし、高い耐熱性と耐蝕性、すぐれた放射性絶縁性と硬度
をもち、くわえて軽量でもあるという当時としては最高級の装甲材質であり、事実連邦
軍系MSの装甲には(ジム系ですら)チタン系合金がつかわれており、この材質使用を
して連邦軍勝利の要因とする史家もいる。
ところがこのガンダリウム合金はコストダウンが困難で量産にはまったく
むいておらず、レアメタルも大量に必要とするだけでなく精錬技術が特殊で
コストも高いために、一年戦争後の連邦系主力量産型MSの装甲にはチタン系
とセラミック系の複合材を利用して装甲とする場合が多かったのだが、ジオン
残党たちにとって「ガンダム」という名前はまさに脅威そのものであった。
ガンダムを上回る合金を開発することが、次世代MS開発に必要不可欠である
という認識は当然のごとくかれらの頭にあった。
そのガンダリウム合金を仮想敵として、技術部門があらたな合金を開発したのは
宇宙世紀0083・9月のことであった。初期のルナ・チタニウム製をガンダリウム・
α、さらにガンダリウム・βを経て開発されたこの合金は、ガンダリウム・γと名づけ
られた。
最新鋭合金・ガンダリウム・γ開発の効果が、のちのエゥーゴの戦力構成に多大な影響
をあたえることになるが、この合金は以前の合金にくらべ低コストでもあり、量産型に
も使用が可能であるという点で、一挙にMS開発は急速的にすすんでゆくことになる。
そのガンダリウム・γを用いた量産型MSが、アクシズの傑作量産機といえるガザCで
ある。
AMXー003ガザCは、作業用シリーズとして開発され、アステロイド・
ベルトにおけるアクシズの開発作業、球形の居住ブロック・モウサの建造に
運用されていたガザA、ガザBを基本として、攻撃能力をプラスした量産型
MSである。
この驚嘆すべき特徴は、可変機構という当時としては破格の能力をそなえたMS
であるにもかかわらず、きわめて低コストで(一説には製造費もハイザックやネモ
よりも安いという話もある)操縦性も簡易で初心者でも操縦でき、量産性も効率が
よく、しかも艦艇搭載と発艦が簡単にでき、修理も容易であり、そういうことども
を総合すれば、この時期のアクシズ・ネオジオンは地球圏(よりも遠くにアクシズは
位置しているが)におけるもっとも先取的な勢力といえるであろう(中略)
さらに地球圏帰還のための準備としてアクシズそのものに核パルスを装着、巨大移動惑星
としての機能をもたせた。
さらにニュータイプ専用MS・MA開発の分野にまで手をのばし、それらの実験と強化人間
の育成をおこない、ついにはビットをこえる遠隔攻撃端末ファンネルとそれを搭載したMS
キュベレイ(エルメスをMA化するコンセプトにてつくられた)を自前でつくりあげた。いったい
どこにそれだけの開発をするだけの財源があったのかという疑問も湧くが、とにかくそれだけ
の装備と技術をわずか数年でつくりあげたことは賞賛に値するであろう。
674:03/04/18 21:07 ID:???
土日の保守よろしくお願いします。
675通常の名無しさんの3倍:03/04/18 21:37 ID:???
胆嚢いたしました。紀行もの大好きでつ。田村高広氏のナレーションで読んでまつ。
676通常の名無しさんの3倍:03/04/18 22:33 ID:fOM+CkyA
レビル将軍(燃えよ剣下巻 大鳥圭介P273)
「とにかく、連邦軍の兵力と人数においてはジオンにまけておりません。しかし
ながら、これを統率する人物がない」
「レビル将軍がいる」
ある高官がいった。が、横で当のレビルは、無愛想にだまっている。
「その案も出ました。この中で実戦を指揮した経験者はレビル将軍だけですから。
しかしレビル将軍はかたく辞退される」
「どういうわけです」
「わたしは」
レビルはにがっぽくいった。
「ルウムで敗けている」
「いや、あれは連邦軍全体が敗けているのです。あなただけが敗けたのではない」
「それにMSに敗けた、と将軍はおっしゃられているが、それを学ばれたレビル
将軍こそ、連邦軍を統率すべきでしょう」


続き誰か書いて

677通常の名無しさんの3倍:03/04/19 02:52 ID:???
このスレ凄いな。>>1が全部書いてるのかな?
改めて、ガンダムの世界観を構築・補完材料にもなって、読み応えがいい。
678通常の名無しさんの3倍:03/04/19 18:59 ID:???
土曜なんで保守
679通常の名無しさんの3倍:03/04/19 19:12 ID:???
>>677
大半は1氏が書いているようですが、ときどき別の方も書いているようです。
近いところでは>>676とか>>656などは1氏と別の方と思われます。

……職人さんたち何人ぐらいいらっしゃるんでしょうね?
680通常の名無しさんの3倍:03/04/19 19:18 ID:FrJAwqE6
え?ガサCの装甲ってガンダリウム・γだったの?
681:03/04/19 21:18 ID:???
皆さん、保守ありがとうございます。昼間・夕方は書き込みできないんで。
>>675
紀行文がお気に入りなのですね。ネタを考えておきましょう。
やはり語りは田村高広氏がいいですね。音楽をつけるとしたら富田勲氏でしょうか。
>>680
メディアワークスのZガンダム・データコレクションの資料を基として書きました。
この資料ではガンダリウム合金製だとありましたので。
682:03/04/19 21:40 ID:???
656さんのセンスに見習わないといけないな。
>>676
今燃えよ剣(下)を見てみましたが、ページは297ページからですね。
土方=レビルとすると、大鳥はゴップかライヤー、格は低いでしょうが
カラスかコーウェンでもいいかもしれませんね。考えときます。
683公王の家(覇王の家より):03/04/19 21:44 ID:???
この男は、その生涯においてしばしば絶対面に出くわした。そのとき、元来冷静
な性格のもちぬしとおもわれているこの男が、人変わりしたほどに取り乱し、目も
頭も誨乱(かいらん)して形相まで変わった。そのことはデギンの性格の奇妙さと
いわれた。
684公王の家(覇王の家より):03/04/19 21:54 ID:???
デギンはすでに少壮の身で老熟した外貌をもっていたし、げんに晩年老獪
といわれた。しかし人間の性格のふしぎさは、一筋や二筋の糸で織られて
いるものではないらしい。デギンの立場を考えると、かれはジオン・ダイ
クンの家来ではない。ダイクンはかれのあるじではなく同志であった。
それもあまりにも理想主義的な部分の多かった同志であった。
デギンはダイクン本人よりも、ダイクンのまわりにつどう人々に敵視され、
3男サスロをテロで失ってしまうという手痛いダメージをうけている。
そのダイクン派のトップたるジオン・ダイクン本人との関係は微妙であると
はいえ、初めてこの天性の革新主義者と出会って以来十数年、何度も共和国
崩壊という危機に見舞われながらもダイクンとの歩調をあわせ、まもりつづ
けた。
そのほうが得であるため彼はそれを守ったというのは、ダイクンの思想と理
想が結果として全スペースノイドにうけつがれたという、そういう結果論か
らみた見方であろう。
デギンという男の持続力には、損得の計算を越えたにぶい、しかし堅牢な情
念というものがその性格の底にあるにちがいなかった。
685公王の家(覇王の家より):03/04/19 22:13 ID:???
デギンは元来が自衛心のつよい性格で、かれはサイド3の郷土をまもることだ
けにその能力のかぎりをつくしてきた。サイド3を防衛するためには抑止力と
しての軍事力を強化して連邦政府に対抗する必要性を過剰に感じて、共和国樹立
と同時に発足させていた国防隊を独断で国軍に昇格させた。この昇格にはかれの
子・ギレン・ザビが深くかかわっているともいわれ、事実このときを境にデギンは
ダイクンの路線とはちがう方向性をゆくことになる。
キシリアはデギン・ソド・ザビの長女である。兄ギレンとの年齢差は11
歳、ドズルとは4歳、母はデギンの正妻ではないが、美人のほまれが高か
ったといわれる(中略)
彼女はドズルとはちがい、その人間的な味わいを伝えるような逸話は皆無
といっていいほどにすくない。
しかし、創設された突撃機動軍の参謀・パイロットたちからみれば、ザビ家一門
の将官である彼女は特別なひとであった。いわば、
「紅一点」の女性司令である。自然、情緒的なドズルの宇宙攻撃軍とは当然、色合い
がちがい、政治的な士官たちや技術士官たちがつどった。
突撃機動軍の士官はマ・クベだけではない。士官学校首席のキリング中佐やトワニング
大佐も突撃機動軍参謀としてキシリアの配下にいる(中略)
マ・クベは、キシリアに接近した。
この間、逸話がある。
ろくな逸話ではない。
「マ・クベは、キシリア少将と密通している」
というのである。むろん、まずあり得ない話だが、過剰ともいえるキシリアの
マ・クベに対するかばい方をみると、あながちありえないとも断言できない。
だが、信憑性のある資料はすくない。
「ランバ・ラルこそ、武人の典型だ」
とその死後、数百年の時代を通じてスペースノイド社会から慕われた。
これほどの人気があるのはよほどのことであった。
本来、ランバ・ラルは、
「ジオン・ダイクン派」に属し、連邦に猛威をふるった指揮官なのである。
連邦には当然はばからねばならぬ名前ながら、アースノイドからもあつく
慕われている。
689山崎渉:03/04/19 22:44 ID:???
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
690ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :03/04/19 23:53 ID:???
つまらん。
691山崎渉:03/04/20 00:04 ID:???
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
692山崎渉:03/04/20 01:54 ID:???
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
693通常の名無しさんの3倍:03/04/20 05:21 ID:???
惜しい。せっかく三人に潰されてるんだからマチルダさんならよかった
694山崎渉:03/04/20 06:58 ID:???
(^^)
695通常の名無しさんの3倍:03/04/20 11:42 ID:???
>>693
三連星か(w
最初わからなかったよ。
696通常の名無しさんの3倍:03/04/20 14:53 ID:DKPuYWl/
保守
697通常の名無しさんの3倍:03/04/20 14:54 ID:???
自由民主
698通常の名無しさんの3倍:03/04/20 21:36 ID:???
保守
ー車だ・・・あの車・・・・ララァ・・・
ガンダムに乗るアムロに、目の前を走ってゆく一台の車がみえた。
確かめようと、ガンダムを前進させる(中略)
が、その背後に、赤いMS・ゲルググに乗ったシャアがじりじりと迫った。
一歩、進んだ。
一方、アムロは車に乗っているのがララァであると確信し、さらにRX−78
ガンダムを歩ませる。
さらに近く、さらにMS−14S・シャア専用ゲルググが岩上に降り立ち、ビ
ームライフルをかまえて静かに照準をガンダムに合わせた。
アムロは、背後に敵の気配を感じた。
シャアのゲルググが撃つ。だが放たれたビームはかわされ、それをみたシャア
はゲルググを瞬時にひそませた。
(シャアがしかけたのか)
それとも別の敵か、とアムロはガンダムのビームサーベルを形成しつつとまどった。
ガンダムの反応をみたシャアは、相手のパイロットがニュータイプへと
覚醒しつつあることを見抜いたが、まだ確証がつかめない。
シャアはゲルググのビームライフルを撃ち、様子をみたが、予想どおり
敵の反応ははやかった。
本物のニュータイプであるかのように。
アムロはこの機をのがさなかった。
ガンダムのビームサーベルを振るって斬りこんだ。
シャアのゲルググがひく。
あとは、アムロらしい俊敏苛烈な攻撃がはじまり、シャアに息もつか
せない(中略)
シャアは岩壁にかくれながらゲルググのビームライフルを連射するが、
まったく命中せず、ライフルの弾のないアムロのガンダムは接近戦を挑
もうとするが、崩れおちる岩石に阻まれてシャアのゲルググを確認でき
ない。
シャアは岩壁のうえでガンダムを見ている。
正確なはずの射撃をことごとくはずすとは、よほどのニュータイプであ
るにちがいない。
ようやく視界がよくなったガンダムの背に、ゲルググのビームライフル
の閃光がはしり、背のランドセルをかすめた。
おそらく双方、気のとおくなるような緊張を保っていたであろう。
いきなりアムロは、
「やあァ」
と、ガンダムを飛翔させた。
操縦に自信ができている。
(シャア、よめたよ)
アムロはそう確信している(中略)
ビームサーベルをさす構えで、シャアのゲルググに一直線におちていった。
電光のような疾(はや)さでビームサーベルをゲルググの右腕に突きさした。
ゲルググのビームライフルがとんだ。
くるりと着地してゲルググに向きなおるや、ビームサーベルを斬りつける。そ
のサーベルをうけとめ、逆にガンダムのコクピット付近にケリを入れるゲルグ
グ。
ーやられはせんぞ。
と、ことさらに両者がんばっているような風景であった(中略)
アムロがしかけてくれば、シャアは裏をかくように反撃してくる。が、ここで
アムロは自らの弱点に気がついた。ガンダムの反応速度が、あまりにもおそい
のである。
ところが、ガンダムを突くべくビームナギナタをのばしたゲルググ、一瞬にし
てナギナタを払われ、ガンダムのビームサーベルを当てられた。
ならし運転もしないで使ったことが、不運となった。
シャアのゲルググは急速離脱を決意、それを追おうとするアムロのガンダム、
先ほどの損傷とエネルギーの消耗でパワーがあがらず、断念せざるをえなかった。
離脱したシャアは相手をだますためゲルググが爆発したというカモフラージュ
の爆発をおこなった。
ちょっとした、工作テクニックである。
巻きおこった爆発をみたアムロは、はっとした。
が、すぐ思いなおした。
(まさか・・・あのシャアが)
やられるはずがない。が、ゲルググもガンダム以上に損傷しているはず
だ。もしかして・・・と思いたい部分も多々あった。
704だれか:03/04/20 23:06 ID:s8TyiacA
萌えよ剣、乗せで
アナベル・ガトーを土方で。しかも五稜郭戦で美を斉してくれ!
白昼に竜が蛇行するを見たが如く、連邦の心胆を寒からしめてくれ。
俺がやりたいが詳細設定を知らんから、ry)
705:03/04/20 23:09 ID:???
また明日にでも。
706ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :03/04/21 00:11 ID:???
つまらん。
707通常の名無しさんの3倍:03/04/21 03:05 ID:???
ミライさん、また明日。おやすみなさい。
708山崎渉 ◆yGAhoNiShI :03/04/21 13:00 ID:???
|    あなた達は愚行の数々を繰り広げる低脳で無知で強欲な生物です(^^;   . |
|     しかしこのFLASHを見ればきっと神は御救いになられるでしょう(^^)     |
\      (^^) http://f2.aaacafe.ne.jp/~eagle/flash/flash.htm (^^)        /
  \                                            /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   ∧_∧
                   (  ^^ )
            (っ)    ,,,,l ` γ l,,,,,
             \ \/~~.... |。  ~~ヽ
               \,,/ |   |。田}}\ \
                    |   |。  |  ヽ_ヽ
              _    |   |。  |   ゝつ
             |\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
   ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
 <      山  崎  !   山  崎  !   山  崎  !   >
  ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
    、        、        、       、        、
  /っノ      /っノ      /っノ     /っノ      /っノ
 / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧ / /  ∧_∧
 \\(    )\\(    )\\(    )\\(    )\\(    )
709通常の名無しさんの3倍:03/04/21 18:30 ID:???
保守しときます
ときどきの時間内で政治や経済の状勢を分析した本というのは、すぐ鮮度が落ちる。
しかし落ちきってしまうと、別なおもしろ味も出てくる。私がまだ少年とも青年とも
言い切れない、ちょうど学生時代に古本屋で買った本に、
「サイドは生存し得るか」
というすごい題の本がある。H氏とA氏という二人のアースノイド記者がスペースコ
ロニー群、サイドの内部状勢と抑圧を分析した本で、当時のサイド問題をあつかった
本としては、精密さにおいてちょっと類がすくないかもしれない。
原題も訳題どおりCan Side Survive?で、サイドは生きのびれるかということであ
り、しかもこの本の視点は基本的には生きのびれない、としている。というよりもサ
イドをすでに宇宙に横たわっている巨大な死体であるとみて、諸勢力のうちのどの勢
力がサイドを牛耳り、殲滅できるかということを論じている。歴史時間を忘れてこの
本を読んでいるかぎり、なるほどサイドは生存できないという気になってくる。それ
ほどに、論旨が精密である。
711:03/04/22 06:13 ID:???
>>704
燃えよ剣(ガトー=土方)のラストは前スレで書かれていましたけど、
書かれていない部分でしたら、かまいませんが。
712通常の名無しさんの3倍:03/04/22 08:28 ID:zy1P0qWE
>771
探したけど、みつかんない。
1,2どっちにある?
713:03/04/22 08:41 ID:???
>>712
http://comic.2ch.net/shar/kako/1036/10362/1036247225.html
ここの144-152-153にありました。
しかし現実にはサイドは堂々と生存しているのである。だけでなく、人類社会
におけるもっともいきいきとした第二の故郷として、さまざまな諸勢力に能動的
な影響をあたえつつあるし、また国家を、従来当たり前すぎてとらえることのす
くなかった住民とその生活環境の不安定さから生まれ出てくるあたらしい概念・
理想の形態を育てる大地という意味で、人類史上、もっとも革新的な国家として、
全人類が自国や自分たちの勢力を考えるばあいの尺度として存在しつつある。
この本の題名も趣旨も、歴史にまったくうらぎられてしまったわけで、これを別
の問題にひきうつすと、物事を見ることがいかに困難かがわかるし、さらにいえ
ば、歴史はわずか数年単位でさまざまに変転する、ということがよくわかる。
この本はティターンズ成立後ほどない宇宙世紀0084に刊行され、宇宙世紀
0088の事実上のティターンズ崩壊によって無価値になった(もちろん、連邦
政府体制がつづいているこんにち、直接的な弾圧者はいなくなったとはいえ、半
植民地であることには変わりがないため、いまもこの本の提議はつづいていると
みたほうが正しいのかもしれない)
あの時代のサイドの内外状勢を考える場合、こういう見方も評論家として十分成
立しえた、ということが、たとえば個人の一生で、晩年、若いころのことをふり
かえって、
「私は当時、ひとにこういわれたものでした」というように、当時の状態の説明
としての価値をもつのである。もっとも予言の著者としては、決して名誉なこと
ではないが。
年表風にいえばこの年の6月に連邦議会において地球圏の現状維持が発表され、
その趣旨のもとに各サイド再編成の方向が決定された。翌年7月に連邦政府公認
のもと30バンチ事件が勃発し、その2年後の3月2日にグリーンノア襲撃事件
が発生(のちにグリプス戦役と呼称されることとなる)以後、地球圏での戦争は
とどまることなくひろがり、やがてシャアの叛乱までその被害はひろがってゆく。
この本はそういう年に出た。だから、当然なことだが、組織のおぼえの悪いもの
ではない。サイドに対するティターンズの侵略を正当として、
「神秘的な礼拝と迷信に富むティターンズが、今日、国際上の政治・外交問題に
おいて、地球圏第一の苛烈なる現実主義者であることは、まことに奇妙なことで
ある」
と、本書はいう。この本の二人の著者の視点も、適者生存ということである。
「感傷を排して歴史を通読すれば、勢力同志の間にも適者生存の残酷かつ非人間
的な法則が支配していることが確信される」と言い、宇宙におけるその適者はテ
ィターンズだというのである。この点、著者は、怠け者と弱者を悪と見がちな米国
系アースノイドらしく、またさらに、ティターンズを適者だとしてサイドに対する
適者的行為を是認することによって、連邦政府のーサイドに対するより一層の適者
になれというー覚醒を求めようとしているのではないかとおもわれる箇所が随所に
ある。

またティターンズについての把握は、
「ティターンズは静止していることができない」
と、いう。この本の本質指摘は、歴史が変貌してしまったはずのー諸
勢力からみればすこしも変貌していないようであるがーいまの連邦正
規軍にも十分以上に通用する。
静止できない組織だということについて筆者は、
「静止していることはティターンズにとって死を意味するからである。
ティターンズがかれらが守護しまもろうとしているアースノイドを、最後
まで生きのびさせてゆく唯一の手段は、増えすぎた人口を民主的手段と崇高
な理念のもとに「整理」し、またその正統的手段を行使することによって
多くの労働者とその労働者のみでなく多数のアースノイドの生活を保障する
ことができる道を」
大方言いたいことはわかるであろうが、食料や資源に限界がある以上、その
限られた環境のなかで人が生きのびてゆくためにはできる限り不要な存在を
排除して未来を切りひらいてゆくことがもっとも大事なことである、そのた
めのティターンズである、という意味のようである。
念のため、「・・・・道を」からの文章を紹介しておく。「・・・道を
切りひらくために、今日のティターンズの立場を理解し、その方針に賛同
し、連邦政府人民として、われわれが次の、そのまた次の世代まで繁栄でき
るようにすることを考え、行なってゆくことである。
この文章を読むとき、この本はサイドに対する予言でははずれた。しかし
ティターンズというアースノイドにとって期待するべきであろう本質把握で
は、多分に期待も入っていると思われるが、ある程度の的を得た推察をして
いる。
著者は、しかしティターンズは冒険に乗りだすことによって、この人類の
永遠の課題ともいえる生存の危機を乗りこえるだろうという意味のことを
書いている。ティターンズのこの部分に関するかぎり著者の予言はあたっ
た。著者の本が刊行された数年後に、ティターンズはグリプス戦役という
救いがたい冒険に乗りだすのである。
719伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 10:55 ID:???
バーニィはちがっていた。かれは、この一戦に、自分のすべてを賭けていた。
搭乗者のその気迫が、MS−06FZ・ザクU改の全身からほとばしっている。
ザクU改にひをいれ、レバーを両手で握りしめた。空はまぶしすぎるほどに
あおい。
720伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 11:03 ID:???
コロニーの外壁をすべりながらすすみ、さらに加速をかけるころ、バーニィ
の仕掛けてあったワナの一つが煙を噴き出し森に蔓延しはじめた。
その森へむかって必死にアルが駆ける。少年は真実を知っていた。いっこく
も早く、バーニィにこのことを知らさなければならない。
721伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 11:10 ID:???
(来た)
バーニィはザクU改のモノアイで、降りてくるRX−78NT1・ガンダム
アレックスをみた。パイロットは当然わからないが、その青いガンダムの
姿は、あきらかにミーシャのMS−18Eケンプファーがしとめられなか
ったものであった。
722伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 11:17 ID:???
(いまにみよ)
バーニィは、自分に微笑みかけた。自分自身が疑問にしていたパイロット
としての技量が、この一戦によって明らかになるのだ。
着地したアレックスはケンプファーを葬った90mmガトリング・ガンを
即座に放ってきた。
バーニィのザクU改は射撃をかわしながら飛翔し、アレックスに背をむけ
て森のほうへむかった。
723伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 11:28 ID:???
不審におもったアレックスのパイロットはバーニィのザクU改を追撃して
きたが、よもや向かうさきに、ワナが張りめぐらされているなどとは、気
づきもしない。
「よし。いい子だ」
アレックスが追ってくることを確認したバーニィはさらにバーニアを噴か
せて森へ飛翔した。
アレックスのパイロットへ司令部から引きかえすように命令がきたが、パ
イロットはさきに市街地で戦い、それによって被害が出た前例をもう一度
繰り返したくはなかった。被害をおよぼさない無人地帯なら被害を出さず
に戦える。そう考えたパイロットは上官の命を無視してアレックスを飛翔
させ、ザクを追撃した。
724伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 11:43 ID:???
森に入ったアレックスは煙の立ちこめるなか、のぼってゆくザクの姿を
みた。バーニィは警戒しつつ様子をうかがっている。ガトリング・ガン
の射撃がきた。それをかわし、森のなかに隠れザクU改のヒートホーク
を炎熱させる。
ワナのスイッチを持った。
一方、アルは煙のなかの森を駆け回っていた。何度もバーニィの名を呼
ぶがとどかない。
アルがそばにいることなどまったく知らないバーニィ、ワナのスイッチ
を押した。
アルのそばで、ワナが一気にふくらんだ。
勢いとともに風船はふくらみ、そのあらたに出現したものを敵とみたアレ
ックスは、形成されたサンタクロースの風船にむかって、ガトリング・ガン
を乱射した。
アルはなおもバーニィにむかって叫ぶが、射撃の効果音に消されてきこえない。

725伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 11:48 ID:???
さらにもう一つ風船がふくらみ、反射的にアレックスはガトリング・ガン
をもう一つの標的にむけて乱射したが、ようやくこの風船が敵のワナであ
ることに気がついたときにはもう遅かった。
(やった。しかし戦いはこれからだ)
726伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 12:05 ID:???
万を持していたバーニィのザクU改は、炎熱化させておいたヒートホーク
をもち、まるで山つなみの崩れおちるように、一挙に駆けおり、最大源に
振り下ろした。
アレックスは反射的にガトリング・ガンをむけ、むかってきたザクに対し
てありったけの弾を撃ち込んだ。
その弾丸はコクピット内のバーニィの額を撃ちぬいたが、振り下ろされた
ヒートホークはアレックスの腕に装着されているガトリング・ガンの部分
を斬りおろし、さらに力をこめてヒートホークを振り上げ、アレックスの
本体を斬った。アレックスのパイロットの腕から血が噴き出し、悲鳴をあ
げた。
頭が血だらけになっていたが、バーニィはなおも執念をみせた。なおもア
レックスを撃破するべくヒートホークをもち、攻撃をしかける。アレック
スもビームサーベルを形成しそれに立ち向かう。
アルはなおも叫んだ。しかしバーニィにはとどかない。
727伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 12:29 ID:???
数度の斬り結びのあと、バーニィのザクU改はアレックスに体当たりし、
その衝撃で両機は斜面をずり落ちていった。
追いかけるアル。しかし足をひっかけてころんだ。
導火線にひっかかった両機は爆風に巻かれさらに損傷した。爆風の勢い
に飲まれてアルも真っ黒になりながら斜面をころがってゆく。
後退し体制を整えようとするアレックスをバーニィはなおも追う。すで
に瀕死にちかい状態になりながらも。
ヒートホークを炎熱化させる。そして・・・。
両機の白兵戦闘のあいだへ、アルが必死になって走ってゆく。
バーニィのザクU改のヒートホークが振り下ろされる。その渾身の力を
こめた一撃は、アレックスの頭部を見事に斬りおとした。が、同時に
バーニィの命もつきていた。アレックスのビームサーベルがザクU改の
コクピットを直撃したのである。
アルは本物の戦闘をみた。目の前でみた。と同時に直感し、すぐに巻き
おこった爆風に吹き飛ばされた。
ふと気がついたときには、バーニィのザクU改は黒い煙を巻きあげ、燃え
さかる炎のなかでその大破した姿をさらしていた。
アルの目から涙があふれた。高ぶってくる感情を抑えきれなかった。ひた
すらに悲しかった。この悲しみはテレビでみた戦争や母親のミチコや担任
からしかられた悲しみとは全然違う。
少年は本物の戦争がどういう結果をもたらすかということを、目の前の現
実から今日、知ったのである。かけがえのない人の死をもって。
728通常の名無しさんの3倍:03/04/22 12:34 ID:???
バーニィ…
729伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 12:57 ID:???
バーニィが、その生涯において、死力をつくしてパイロット能力を吐き出した
のは、このアレックスとの戦闘以外にはなかった。なるほどザクであれだけの
打撃をあたえることができたが、その戦っているアレックスのパイロットがア
ルにとってもバーニィにとっても大事なクリスであったとは、なんという皮肉
であろう。
アルにとっては冗談ですまされることではない。二重の衝撃が少年をおそい、
その現実にアルはふたたび失神した。

宇宙世紀0080、戦争は終結した。
新学期のまえ、アルはバーニィから受け取ったディスクをみている。もう一つ、
バーニィの証言と証拠の品であるテープもそばにあった。
バーニィはこのディスクのなかで、自分の本心を語っている。そしてもっとも
大事なことは、自分が死んでも相手を恨んだりしないでくれ、かれらだって自分
のおもったことをやっているだけなんだ、無理かもしれないけど、他人を恨んだり
自分を責めたりしないでくれ、という言葉があることだ。バーニィはアルにもっと
も大事なことを伝えようとした。アルは涙をこらえつつ見ていたが、最後の「クリス
によろしくな」という一言をきいたとき、こらえきれなくなり、泣いた。
バーニィは幸せだったのだろうか。相手がクリスと知らないまま戦って本望だったの
だろうか。
730伍長の夢(戦雲の夢):03/04/22 13:14 ID:???
いや、本望であったと思いたい。でなければバーニィの挙は無駄でしかない。
しかしアルは思うのだ。もしあのとき自分の声がとどいていたら・・・もし
核攻撃をしようとする艦隊が撃破されたことをバーニィが知っていたら・・・

新学期の朝。いつもと変わらない日常。いつもと同じように準備し、朝ごはんを
食べ、学校にゆく。
変化はない。いつものように帽子をかぶって出かける。その帽子にはあのマークが
ついていた。そのアルの様子に、落ち着きが出てきたという父親。
家を出てすぐクリスの呼ぶ声がきこえた。内心動揺するアル。視線は負傷した腕に
いってしまう。クリスは事実を知らない。知っているのはぼくだけだ。
バーニィにもよろしく言っておいてね、と言うクリスにアルは顔をそむけながら、
「うん。バーニィもさ・・・・きっと残念がると思うよ」涙をこらえながら言った。
その様子にクリスはお姉さんらしい姿勢で、アルの頬にキスをした。おわかれだった。

ふたたび、少年の日常ははじまる。かけがえのない記憶もまた色褪せはしないだろう。
7311:03/04/22 13:43 ID:???
チョト疲れますた。
732城をとる話:03/04/22 21:52 ID:???
「おまえ様はどこのどなたじゃ」
自動小銃をならして声高にたずねた。
エレカ上の兵隊崩れていの男はその質問に答えず
「スゥイートウォーターでは、男の入用が多いそうな」
といった。
「その、ご入用の男よ」
風が、サングラスを吹き抜けていく。男はその風になぶ
られながら、雑踏するコロニーを興ありげに眺めている。
733城をとる話2:03/04/22 21:57 ID:???
スゥイートウォーターは、人口125万のコロニーで、反地球
連邦政府活動の重鎮である。
その、スゥイートウォーターが、世間のうわさではジオン残
党と呼応して、地球連邦軍のスペースノイド狩り部隊、ティ
ターンズを討つと言う。
「ブレックス准将は男じゃな」
734城をとる話2:03/04/22 22:13 ID:???
と兵隊はいった。
ブレックス・フォーラ准将は連邦宇宙軍の所属で、
いまは反地球連邦政府活動のリーダーである。
ギレン.ザビ亡き後、ジャミトフは横暴を極め
て天下を簒奪しようとしている。それを阻止し
て義戦の旗を揚げようとするブレックスの小気
味いい戦支度を、男はよほど気に入っているら
しい。
「何しろ、ジャミトフは255万人の兵力じゃ
。政府与党に協力者もおおい。それを宇宙から
怒って噛みついて見せようというのだから、
ブレックスはなみなみの度胸の男ではない」
とこの兵隊は言う。

エアロックの向こうは宇宙港である。方々か
らきたジャンク屋が、宇宙港の軒先を借り、
床の上にザクマシンガン、モビルスーツ、
ノーマルスーツ、自動小銃などを並べて売り
たてている。

スゥイートウォーターでは、4箇所に義勇兵
受け付け案内所を設け、軍用ネットを開き、M
S乗りを集めていることは天下にかくれもない。


735城をとる話3:03/04/22 22:28 ID:???
この兵隊も、MS乗り召集のうわさを聞いてやってきた一人
であろう、と衛兵は思い
「仕官のお望みをお持ちならば、ヘンケン・ベッケナ−中佐
の所に参られるが良かろう」
といった。
が、兵隊はその好意を無視し、うなずきもせず、ウォン・リ
ー氏のホテルはどこか、と別なことをたずねた。
「ウォン・リー?」
アナハイム・エレクトロニクスの重役である。ホテルは、ル
ートイン・スゥイートウォーター。
「ウォン・リーとはどのようなご縁故か?」
「まぁ・・理解者じゃな」
「それはそうと、お手前の名前をまだうかがっておらぬ。エ
レカを降りて名乗られよ」
「クワトロ・バジーナ」


「ニナ」
と言おうとしたが、その声が口をついて出たときは別の言葉になっていた。
「アレがコロニーさ。(中略)アレが落ちるとき、私の生涯も終るのだろう」

背後が、しんとした。

ニナの心臓の音まで聞こえるようであった。
「来ては、いけなかったでしょうか?」
「ニナ」
と言おうとしたが、その声が口をついて出たときは別の言葉になっていた。
「アレがコロニーさ。(中略)アレが落ちるとき、私の生涯も終るのだろう」

背後が、しんとした。

ニナの心臓の音まで聞こえるようであった。
「来ては、いけなかったでしょうか?」
738736:03/04/22 22:51 ID:???
2重カキコっ
739城をとる話4:03/04/22 23:18 ID:???
「人がまいったと?」
とウォン・リーは大きな顔をを部下の方に捻じ曲げ、マウスを止めた。ウォンは、ホテルに
まで仕事を満ちこんでいる。

「なんと言う仁だ」
「それが」
部下は当惑下に
「ただ、小惑星から来た、と申せ、とおおせあるのみにて名は申されませぬ」
「どんな男だ」。

「背がたこうございます。眉間に傷があり、唇は薄く目つきは尋常ではござりませぬ
しかし、笑うと多少の愛嬌はござりまするな」
「赤い袖なし軍服を羽織っておらなんだか」
「「あ、いかにも」
「口元にサングラスをぶら下げていなかったか?」
「ようごそんじで」
「ジオン軍では国中第一の変物と言われた男じゃ。貴人を遇するごとく丁重に会釈して会議室に通せ」
「なんと言うお名前にござりまする」
「俺の推測に間違いがなければ、シャア・アズナブルという男だ。ひどいお天気モノさ」
740城をとる話5:03/04/22 23:30 ID:???
かつてギレン・ザビが健在なころ、シャアはジオン軍に所属していた。そのころ
「赤い彗星」と言われたくらいに赤色が好きで、軍服から携帯ストラップ、モビ
ルスーツにいたるまで真紅のもの用い、連邦軍にまで「赤い奴」
でとおっていた男である。ウォンは、当時サイド3の営業本部長であったことも
あり、多少の親交はあった。
741ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :03/04/22 23:42 ID:???
量はあるけどさ…つまらん。
742:03/04/23 02:11 ID:???
ウォン・リーの過去にそういう経歴があったとは驚き。
>>734
ティターンズ将兵が255万人・・・・
劇中で見るかぎりそんなにいるとは思えないけど、まあ宇宙世紀だし。
「お言葉だが」
と、レビルは一座を見まわした。
「私は本来陸軍が専門で艦隊戦闘はほとんど経験がない、これが資格を欠く
第一。つぎに、サイド5駐留艦隊、および連邦陸軍は私もよく知っているし
ことに陸上師団のほとんどは私が指導したからよく知っている。しかし他の
海軍、宇宙軍の主力艦隊についてはまったく知らない。だから総指揮はこと
わる」
「いや、もう将軍が来られる前に、ここで将軍を推そうと一決したのだ。こ
ういっている間にも時刻は過ぎる。承知してもらいたい」
と、ゴップ提督がいった。
やむなく、というかたちで、レビルはうけた。
先の一週間戦争・ルウム戦役における功労者ティアンム中将は副司令官の立場
となり、主力艦隊再建までレビルの補佐をすることになった。むろん、ジオン
に勝つためのMS開発も怠ることなくすすめてゆく方針である。
744通常の名無しさんの3倍:03/04/23 15:30 ID:???
保守。

スレ読む>原作(司馬)読む>原作(アニメ)>原作(小説)>ログ溜まってる(;´Д`)ハァハァ
幾ら時間があっても足りないw
745通常の名無しさんの3倍:03/04/23 23:56 ID:???
司馬御大ネタ、つきませんなぁ
こんどは、他の方でもやってみましょうか?
外国作家でギャビン・ライアルか、んじゃなか
ったらジャック・ヒギンズ御大ならなんとか・・
なるかな?
このスレ荒らしたくないんで、新しくスレ建て
たいんだがいかに?
746通常の名無しさんの3倍:03/04/24 01:03 ID:???
>>745
ほかの作家を取り上げる事に関して以前荒れたので
別スレ建ててこっちにはリンクでも張って下さい。
ホントにまた荒れんぞ。
747通常の名無しさんの3倍:03/04/24 12:44 ID:???
現在750スレ。
そろそろ圧縮来そうなので保守。
機会があれば、ネタの一つ位は書きたいし。
748:03/04/24 16:03 ID:???
>>744
これは書き手としては嬉しいですね。堪能して下さい。
>>745
司馬氏関連の作家(半藤氏とか)なら書いてもいいかと思ってますが、
その他の作家さんはお任せするかたちになりそうです。
別スレは保守くらいしか協力できないかもしれませんが。
749通常の名無しさんの3倍:03/04/24 22:33 ID:???
保守アゲしときます
750坂の上の雲:03/04/24 22:52 ID:???
                 -― ̄ ̄ ` ―--  _         
            , ´  ......... . .   ,   ~  ̄" ー _
          _/...........::::::::::::::::: : : :/ ,r:::::::::::.:::::::::.:: :::.........` 、   
         , ´ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::: : ,ヘ ::::::::::::::::::::::: : ヽ
      ,/:::;;;;;;;| : ::::::::::::::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::: ● ::::::::::::::::: : : :,/
     と,-‐ ´ ̄: ::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く
    (´__  : : :;;:::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::`(::::::::: ,ヘ:::::::::::::::::::::: ヽ
         ̄ ̄`ヾ_::::::::::::::::::::::し :::::::::::;::::::::: :●::::::::::::::::::::::: : : :_> ...
            ,_  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: `' __:::::::::-‐ ´
          (__  ̄~" __ , --‐一~ ̄

                「あしはもうねむるぞな。」
                 ’ ’
人間は、胃の腑の容量という点では懸絶した個人差というものはないが、
大脳に仕込まれた性的な欲望の機能には個人差がはなはだしいといわ
れる。ウッディはなみはずれた健啖家ではあったが、好色ということはな
かった。連邦士官の伝統には女遊びということがあり、この一事について
は開放的な仲間文化をもっていた。ウッディについていえば、まさか不犯
ではなかったろうが、そうおもえるほどにこのことにさほどの関心を示さな
かったという証言がわりあいある。


ギレンの外貌は、ほおはむだな贅肉すらついておらず、眼はねむったように
ほそく、表情のうごきはすくない。ひどく冷徹な印象をあたえるのだが、事実
おろかとはほど遠い。
「あれは馬鹿だ」
といっているのは、デギンくらいのものである。ギレンの側近たちは、
(そうではない。おそろしいほど物事に聡(さと)いおひとだ)
と、みていた。権門そだちでありながら、人との触れ合いや周旋、IQ240と
いう常人をはるかにこえる頭脳をもっており、普通の常識では理解できない。
デギンは、このギレンをきらっていた。
いつのほどからきらいはじめたのか、デギンにもよくわからない。おそらく、
15、6の育ちざかりになってからであろう。
急におとなの顔になる時期、
(これは)
と、デギンは興ざめしたことがある。いささかも自分に似たところがなかった。
それがみるみる成長して18、9で異常なほど背がのび、だけでなく普通なら
考えもしないような国家政策まで考えみずから提言し、実行し、詳細な設計
案を自分に提示してくる。さらにそのほとんどが的を得た正確さをもっている
のをみて、いよいよ興をさまし、
「ばけものじゃな」
とおもった。と思うだけでなく、ギレンのつめたすぎる目がデギンに無用の威
圧感をあたえ、それがしだいに嫌悪になった。
「あいつの冷酷な目とでかすぎる体をみると、はきけをもよおす」
と、左右にも平気でいった。その陰口が、ギレンの耳にも入る。
(父上は、わたしを好いておらぬ)
と敏感に感じた。他の兄弟たちと同座しているときなど、父のデギンの態度が、
まるでちがうのである。自然、ギレンもデギンを嫌うようになった。
754通常の名無しさんの3倍:03/04/25 19:13 ID:???
初めて来ました。司馬先生大好きです。また来ます。
755通常の名無しさんの3倍:03/04/25 22:36 ID:???
保守します。
シバ「第一次ネオジオン抗争に入ってからのジョン・バウアーの出現という
のは、暗いジャミトフのトンネルの中から出てくるんですね。そして軍閥政
治屋としてシャアの叛乱を鎮めたあとに民政宰相を気取って福祉政策な
どをやりました。これは戦後としては非常に効果のあることだったらしいで
すね。それで世の中が一年戦争以前の体制でも風穴があいたような開放
感・印象をあたえたんですね。もちろん、辺境のサイドには恩恵はありませ
んけれども。しかしジョン・バウアーその人は政治家としては問題が多いで
すね。しかし世間の受け取り方は、ダイクン以来の思想は消え、連邦政府
体制があたらしくなって復活したという感じだったんじゃないんでしょうか」
ヤマザキ「(中略)ストアストとか、かれの派閥にいた議員政治家が引っ張
ってゆく。しかしバウアーの思想とはほど遠い政治体制になってしまうのは、
バウアーだけの罪ではないけれども、連邦政府そのものの呪縛や制度の
弊害があり、その影響が強すぎて実情にあった政治ができない」
シバ「そうそう」
ヤマザキ「バウアーは稀有といってもいい革新政治家といっていいのかもしれませんね。
軍閥政治屋という揶揄もそれが今は必要だ、でなければ滅びるという観点に立っているか
れにとっては姑息な批判に聞こえたでしょうし(中略)
そのバウアーの大規模な政治政策を派手にやったりしたのがストアストですが」
シバ「ただバウアーは、主導権を握るためになるべく古くから仕度をしていましたね。非常
に派手な手を打って、最新鋭MSを揃えたり、いまの政党政治家とは比べ物にならぬくら
いの事業や政策をやった。たとえばアナハイムの工場を確保したり、マスメディアを有効利
用するために自ら関係者と密接な関係をもったり、新聞社とも手を組んで反ネオジオン運動
のキャンペーンを展開させたりしてるでしょう。またかなり前から、資金源として月企業やビッ
ク・ウェリントン社らをつかまえますね。政治家は金で動くもので、代議士は血ぶくれした獣と
同じですから、これに生肉を与えなきゃいけないということも全部知っているわけです。
おまけにジョン・バウアーにとって世の中でいちばん、というより生理的にまで嫌いなのがジャ
ミトフ・ハイマンだったそうです。かれのやり方を模倣している部分もたくさんあるし、ジャミトフ
自らが出演した対談番組「私の一年戦争」の演出や番組内容に指示を入れたり、ジャミトフに
プラスになるように方向付けした前歴があるにもかかわらず、です。
ジャミトフがティターンズ総帥として絶頂期にある頃、連邦議会もほとんどがティターンズ寄り
になっているころに、彼はジャミトフをたずねてますね。そしてジャミトフの歓心を買うような話
をしている。ところが帰ってから、「あの成り上がりめ」といったそうですね。何といってもジョン・
バウアーは大企業のいいとこの資本家の出ですから、ジャミトフの老年になってからの立身
出世ぶりがやりきれなかったろうと思うんです」
シバ「ただジョン・バウアーという人がはたして民意のもとに行動していたと結論
付けるのはとても難しいし、かといって功績がないとは決していえないため、はた
してどう評価していいのか判断に迷いますが。たとえばロンド・ベル設立とそのロ
ンド・ベルのコントロールに最後まで成功しえた人物であるし、同時に大規模な流
用(公金)の先例や派閥政治をやった人といえるし、議員が財閥や大企業の走狗
にしかすぎなくなるという体質を本格的にひらいた人でもあるようですね」
ヤマザキ「(中略)ジョン・バウアーという人は、政府を守り、現体制を守り、そして
自分の政権を維持するために人気をとらなきゃならない。民衆の立場に立つとい
うことから、アデナウアーがくどいほどブライトらに言っていた福祉政策をやるで
しょう。これはアースノイドにとっては、あまりよくない刺激だったようですね。スペ
ースノイドもその対象とするということで物議をかもし出し、多くの反対意見が議会
内で出た。それで対象が反連邦色のつよいコロニーは論外とするということで、また
スウィート・ウォーターを中心として反撥や暴動が起こった」
ヤマザキ「そのあとはどうでしょうか。宇宙世紀0100年後の連邦政治家は、
語るに足る人はほとんどいないですよね。ストアストにしても、ザンスカール
のカガチさんにしても」
シバ「カガチは科学者としての側面が強いですしね。ただ、エンジェル・ハイロゥの
一件は木星公社の意向もかかっているんで、カガチよりもその背後にいる勢力の
影響なくしては本質は見えないでしょう」
760原作者を考える(対談集):03/04/26 01:10 ID:???
シバ「その作品の親玉は総監督・富野由悠季で、これはどうも濃厚な人格です
なあ。エネルギッシュで、細かすぎて、好色で、上昇欲も強い。好色という点で
は、アニメーション業界の中では最右翼に入るんじゃないですか。もっとも、非
常に哲学的なことの好きな人ですから、好色も哲学になるんです(中略)
かれの男女観は、徐々に男はひたすら女性に許され続けており、それゆえ女
を不幸にするのは男の甘えであるという考えになってゆくという見方にシフトし、
男女の優しさだけではどうにもならない世を変えるべき存在は、自分に素直で
素顔をさらけだすことができる男と、男にひきずられないしっかりとした女の子供
に期待するしかないという観点から、純粋本能たる子供に期待している節がある。
たとえば、男女が抱き合い子供を宿すのは当然の本能で、それすなわち種を残す
人間の本能的・必然的本能であって、たとえ異星人同士であっても敵同士であって
も矛盾はない。やがて出産をし、その子供がもっとも正しき姿として業を乗りこえる
ことのできない旧人類にかわる存在としてあたらしい営みを築いてゆく。
だからこそ殺伐とした果てしない戦争を繰り広げ、その終局となるべき、最後に残る
存在がほとんど無垢な子供や女性ばかりなのは、男よりも女に期待する、それ以上
に赤子に期待するという見方・願望をもっているからだろうと思います」
761:03/04/26 01:12 ID:???
>>754
楽しんでくださいね。司馬さんは僕もファンです。
矛盾があったらなんでも書き込んでください。

明日・あさっての保守がチョト心配だ。スレ数が気になる。
私はイデオロギーというものを、たとえば体質的に酒を好まないという程度
においてそれを好まないが、ところが伝説巨人イデオンには酒臭がにおっ
ている。大胆にいえば富野イデオロギーのフィルムであるといえるのかも
しれない。すくなくとも、「無敵超人ザンボット3」や「機動戦士ガンダム」にく
らべてきわだってイデオンを特徴づけるものは、「みんな、星になってしまえ」
という台詞に代表されるような全員死による浄化救済である。
私ごとからいうと、中学時代、へんにエヴァの影響がイデオンにあるという
ことを耳にし、「伝説巨人イデオン劇場版・接触編・発動編」をレンタルビデ
オ店で借りてきて、見ているところを父親からヘンな目でみられた。こんな
アブナイ最後など危険すぎる、というひとことをきいて、飛び上がるほどの
期待をもち、最後まで見続けたが、当然ながら接触編はテレビシリーズを
見たことがない(金銭的余裕もなく、近くのレンタル屋にもない状態では見
ようとしても無理がある)ために難解すぎてさっぱりわからず、子供ごころ
に暗すぎると感じて、投げ出してしまった。
こんどは「ダンバイン」を借りてみたが、なんだか言葉のやりとりが露骨す
ぎてあまりはまれなかった(あの時代に堂々とジャップという台詞を書かせ、
放映してしまう富野の度量は相当なものだと思うが)そうこうしているうちに
テレビシリーズのイデオンと中島紳介氏が著した解析書を読むにいたって、
この作品の気分はある程度理解できた。この書物が出たことはまだ一連の
エヴァブームの余韻があったころであった。私の周りではエヴァ劇場版二部
構成はイデオンがもとだという話もあり、それなりにイデオンに至るつながりは
あった。
764通常の名無しさんの3倍:03/04/26 11:20 ID:???
また寄らせていただきます。
765通常の名無しさんの3倍:03/04/26 13:23 ID:???
お昼休みの時間に読み切れませんでした…また来ます。
766通常の名無しさんの3倍:03/04/26 13:46 ID:???
お昼休みの時間に読み切れませんでした…また来ます。
767通常の名無しさんの3倍:03/04/26 19:37 ID:???
ニコルが死んだので祭りの予感。
こっちは一週遅れなので、本編見たら
鴨川銭取橋で書いてみるかな…
768通常の名無しさんの3倍:03/04/26 21:55 ID:???
そろそろあげときます

>>762-763
エヴァの時中学生ですか……年取ったな俺も。
7691:03/04/26 23:25 ID:???
ここんとこ多忙です・・・・明日早いんで、また明日書きます。
>>764-766
楽しんでくださいね。
>>767
血風録ですね。楽しみに待ってます。
>>768
直撃世代に当たります。リアルタイムで見てました(しかも朝(地方だったんで))
シバ「マ・クベは、やっぱり勝てると思っていましたよ。圧倒的な勢いでレビルを
やっつけることができるということを、会戦のおそらく数日前までは確信していた
でしょうね」
マツモト「オデッサの事前の形勢は、レビルの側からいえば、これは絶対わが方
の勝ちであると確信していた。オデッサ作戦というのは、ある意味でレビルが仕掛
けたので、それくらいにちゃんと戦略も作戦計画もできていたのですから。これは
もう疑いなくレビルは地球連邦軍の勝利を確信していた。しかもそれは科学的な確
信に近かったと思いますね」
シバ「三連星やエルランへの工作など諸条件を総合すれば、マ・クベ指揮下
のジオン突撃機動軍の勝ちなんですよ。レビル方はおそらくあの時点では敗
退せざるをえんでしょう(中略)」
マツモト「オデッサ作戦が始まるまえは、たしかにジュダックを通じたエルラン
中将への工作や連邦陸軍主力はほとんどが61式戦車部隊なので、守る分
には非常に有利なんです。政略的な部分が多いですが。
ところが肝心の防衛意識が、マ・クベ本人にとってはとても希薄で、むしろ敗
れてもかまわないのではないかという気持ちを強く抱いているところです。
中には戦意がひくい士官も少なくなかった(中略)
それでいて青い巨星よりも三連星のほうを過大評価して、新型重MSドムを
あたえてしまっている。こうした誤判断や政略的要素を期待している分、これ
は正直堂々と雌雄を決しようという意思がマ・クベにはない。だから総合的な
面で判断をしても正確な見方は出てこないと思うんです」
シバ「バウアーは、どうにも小説になりようのない人物でしょう。何というか、
ここでもって人間をつかむという柄が、どこにも見いだせない感じであって、
だから、平凡といえばこれほど平凡な人間はいないのです。
小説になりにくいからかえって小説にしてみようと思った気持ちもあります
けれども、それよりも、もうちょっと自分を刺激していたのは、ハマーン戦死
後すぐの時期にジョン・バウアー、つまりロンド・ベル創設者が出てくるんだ
なという、そういう不思議さの方で、表舞台に立たされたジョン・バウアーに
とっては、ほんとうはあまりいい気持ちではなかったろう、と思います」
773:03/04/27 00:18 ID:???
つい書いてしまいました。明日の保守よろしく。
774通常の名無しさんの3倍:03/04/27 16:55 ID:???
保守
775通常の名無しさんの3倍:03/04/27 17:05 ID:???
別に保守入れなくても、落ちないよ・・・。
独断でアーガマヘ奇襲をしかけたとき、アーガマから、可変MSの出来そこない
の機体がとびだして、ヤザンのギャプランの前にふさがった。見るからに中途半
端なMSである。足蹴りをかまして突き飛ばし、執拗に追いかける。
「同じ変形MSでも、こっちの能力はちがう」
ピッタリと背後にくっついてビームを放つ。相手が不慣れであることは、動きをみ
ればわかる(中略)
ヤザンは知るよしもないが、追いかける可変MSメタスのパイロットの名は、「ファ」
軍曹という。この少女がのちに模範的看護婦長として月都市でその名を不動のも
のとしたファ・ユイリィである。当時17歳であった。
(自分の失敗を棚にあげて・・・・)
ジャマイカンは、エリート参謀を自負しすぎているからこそ、自分よりも才能の
溢れる人間に複雑な腹立ちを覚えるのだろう。
(あの野郎が優秀なら、この俺を冷遇はすまいし、グラナダへのコロニー落と
しも見事にやってのけただろう。ジャマイカンはいままで、甘い汁を吸いすぎた)
しかもいまは優遇の極にある。バスク大佐も総帥ジャミトフ・ハイマン大将も、
ジャマイカンだけは特別扱いし、作戦参謀としては特権をあたえ、好きなように
させすぎている。上層部からこれほどの優遇をうけているジャマイカンが、これ
以後討伐を続行したところでうまくやれるはずはない。
(殺(や)るか)
と、ヤザン・ゲーブル大尉が決意したのは、この日の出撃前のことである。
漂流していたグワジン級大型戦艦の艦内で、ヤザンのギャプランは不覚にも
不意撃ちをくらい、片腕をZガンダムのビームサーベルで斬られた。
艦内から離脱したヤザンのギャプランはまっすぐにジャマイカンのアレキサン
ドリアへとむかう。
背後から追撃してくるのは、カミーユのZガンダムである。もう一機はGディフェ
ンサーに乗るカツ、これはエマ中尉のマークUと合体している状態である。
(このままで終わらせるつもりはないんだよ)
不敵な笑みをもらしながら、モニターに映っている敵MSの姿をみる。いい子だ、
ちゃんとついてきてくれている。
(来た)
ヤザンは自らのギャプランを、アレキサンドリア艦橋のブリッジのまえに
静止させ、敵MSの出方をうかがった。
ギャプランへむけて、エマはスーパーガンダム(Gディフェンサーとマーク
Uとの合体時のMS名)のロングレンジライフルをかまえる。
撃てよ、ガンダム。ヤザンの役回りは、敵がビームを放てばそれでしまい
である。この近距離なら素人ですら外すことはない。
「エマさん」
とカミーユがZガンダムごしに声をかけたとき、照準が合い、合うと同時に
スーパーガンダムのロングレンジライフルの閃光がはなたれた。
ジャマイカンは、まだおのれの運命がヤザンごときに弄ばれていることすら
知らずにいる。
閃光を確認したヤザンはすばやくギャプランを回避させた(略)
ついに栄光むなしく、この瞬間が驕りたかぶっていた作戦参謀の最後の
姿となった。
「うおぉぉぉぉー!ぎゃあぁぁぁぁ!」
声が沸きあがると同時に、必死に逃げ出そうと閃光に背をむけたジャマイカン
を、閃光がつつんだ。
ブリッジのガラスが、宇宙にはじけとんだ。
ヤザンはギャプランのコクピット内で、ジャマイカンが消えゆくのを満足げに
みた。ここは戦場だからな、と思い、不慮の事態は起こりうるものだ、それに
対処しておくのが本当に優秀な参謀というものだと、あちこちにむなしくビーム
を撃ちつづけている重巡アレキサンドリアをみてあらためて思った。
781:03/04/28 01:15 ID:???
そろそろ寝ます。
782通常の名無しさんの3倍:03/04/28 02:04 ID:???
お疲れ様です。ゆっくり味わいながらよませてもらいます。
783通常の名無しさんの3倍:03/04/28 17:15 ID:???
仕事に空きができたので読ませていただきます。深いです…。
ブラン・ブルターク少佐は、これ以前から、すでに眼中ティターンズの威光
などは、虫ほどにもおもっていなかった。
司令室で、部下からの報告をきき、
「もういい。あくまでもやつらは邪魔をするか。アウドムラに太平洋を渡らせ
て、ニューギニアの戦力のみでアウドムラをしとめるつもりだ。ティターンズ
の新参者に獲物をかすめとられてたまるか」
颯爽といってのけた。
部屋へ入ろうとしていたベン・ウッダー大尉は、このときほどブルターク連邦
軍少佐をえらいやつだと思ったことはない。同時に、ブラン・ブルターク少佐
によって、猫のようにおとなしくなってしまった女強化人間やアウドムラへの
適格すぎる作戦をみて、
(ティターンズもカラバもおそるるに足らず)
と、腹の底からおもった。ベン・ウッダー大尉は、上官のブルターク少佐と同
然、ティターンズ参謀や士官たちのような理想も思想ももたぬ男だが、かれ
の反ティターンズ、反エゥーゴは、思想から来ず、以前より高まってきている
スペースノイドどもの叛乱運動や、上官のブルターク少佐の毅然とした職業
軍人らしいプロ意識からの影響によって身にしみて知った。それだけに、ただ
の高級参謀がもっている観念論よりもつよい。
785:03/04/28 21:14 ID:???
>深いです。
嬉しい一言です。掘りさげた描写を目指してますが、なかなか難しいですね。
5月4日、ズガン艦隊とリガミリティア艦隊との攻防戦がおこなわれたこの日、
マリアの行方が知れなかった。
マリアは弟のクロノクルとともに、長い間はなれ離れになっていたじつの娘シャ
クティとの再会を果たしていたのである。このときの光景は、クロノクルの秘書
をつとめていたカテジナ・ルースによって撮られ、ザンスカール国民にシャクティ
はマリアの娘であるということが後日記録公開によって知らされている。
この5月の中頃になると、地球浄化(クリーン)作戦の前段階を成すべき
モトラッド艦隊がマリアの弟クロノクル大尉を総司令官として地球に出撃、
カガチはその浄化(クリーン)作戦の総仕上げたるエンジェル・ハイロゥ完成
と運用、その準備段階のため、敵の目をあざむかねばならぬ必要からこ
のような大がかりな攻撃を実施した。
しかし連邦側やリガ・ミリティア側もやられっぱなしになっていたわけではなく、
すでに連邦軍内における右派として厄介者扱いになっていた老提督ムバラク・
スターン大将がリガ・ミリティア指導者の一人であるハンゲルグ・エヴィンのたび
重なる説得と要請によって重い腰をあげ、ハイランド付近に旧式揃いながら主力
艦隊を多数集結させ、ラー・カイラム級戦艦(旗艦)ジャンヌ・ダルクを中心に、クラ
ップ級巡洋艦、サラミス改級巡洋艦やRGM−122ジャベリンを擁しつつ、サイド2
のザンスカール帝国軍と対立するかたちとなっている。
宇宙に、二つの大艦隊が並立している、といっていい。カガチとムッターマらのザン
スカール帝国は、宗教色が濃厚な女王マリアとそれを指示するマリア主義集団と
国民、ネーミングセンスが異様な新型MSと新鋭艦による宇宙艦隊をもっているが、
ハイランド付近に駐屯するムバラクとジン・ジャハナムの艦隊は、劣勢きわまりない
艦船と、士気だけは異常にたかいMS部隊と、しかも本格的に実戦につかえる部隊
がリガ・ミリティアの艦隊戦力とMS部隊しかないというどこからみても不利としかお
もえない状況であった。
しかもムバラク指揮下の連邦艦隊将兵には実戦経験が極度に不足している。
カガチは、戦端をひらきすぐにでも目の前の連合軍艦隊をつぶしてしまい
たかった。ムバラクとリガ・ミリティアの艦隊戦力をつぶさぬかぎり、かれの
構想する人類浄化は成就しないであろう。が、盟友ムッターマ・ズガン大将
はともかく、利用するためにあえて許して幕下にくわえてあるタシロ・ヴァゴ
大佐の力をある程度削いでおかなければ、戦後どうなるかわからない。
そこで体よく消耗させる必要があった。
連合軍艦隊の前面にタシロ指揮下の艦隊を展開させ、最前線で戦わせる
のである。
老獪な思惑といっていい。名目も十分にある。エンジェル・ハイロゥ守備は
べスパの将校にとってきわめて名誉なことであり、大挙して来襲してくるで
あろうクズどもを掃除することは、女王マリア様の御宸襟を安んじ奉る行為
であり、その行為はザンスカールにとっても全人類にとっても清浄な行為で
ある。
当然、このように「玉」たるマリアを持ち出されてはさすがのタシロも不平をと
なえるわけにはいかない。
789通常の名無しさんの3倍:03/04/29 12:57 ID:???
休日出勤させられたのに仕事が全く来ないのでこれを読んでいます。私事で
恐縮ですが当方30代なので初代ネタが嬉しいですね。
Zももちろん好きですが。
7901:03/04/29 21:19 ID:???
>>789
>初代ネタが嬉しいですね。
わかりました。考えておきましょう。

押さえどころは初代とZと。
一方、ホワイトベースと接触をしようとしていたワッケイン部隊である。いちはやく
テキサス空域で先んじて敵艦を発見したのは、マゼラン級戦艦「ゴルテウス」で
あった。
「ゴルテウス」は、もう一つ運がよかった。というのは、敵のジオン艦隊もホワイト
ベースとの戦闘を続行中でそちらに気をとられていたのだが、ワッケインのゴル
テウスだけが、遊撃軍として敵艦隊を撃滅できる状況になっていたのである。
そのマゼラン級戦艦ゴルテウスはいち早く重巡チベを発見、艦長ワッケイン大佐
は、先制攻撃をしかけることができた。
ゴルテウスが砲撃をはじめた。そのうちのメガ粒子砲の一撃が重巡チベにあたっ
て艦体をつらぬき、装甲ともども人員を吹っとばした。
負けじと、重巡チベの艦長バロム大佐も主砲をマゼラン級戦艦にむけて発射、艦砲
射撃がくりひろげられた。
が、その戦闘はマ・クベがひきいてきたテキサス空域にいるジオン艦隊のもとで確認
され、味方をたすけるべくチベ艦長デラミンは全艦隊に該当地点にむかうようにとの
指示を発した。
ホワイトベースも、坐してそれを見ているわけではなかった。
ブライトはセイラのGファイターを発艦させ、ジョブ・ジョンにガンキャノンを準備させて
離脱しようとするジオン艦隊を追撃、艦隊戦に突入した。
重巡チベ、軽巡ムサイにGファイター一機がつっ込んでいった。あっというまにムサイが
沈められ、ブライトの一令のもと撃ちだされたミサイル群とビーム攻撃の波がチベをのみ
込みテキサス空域の敵艦隊は撃破された。
ゴルテウスは、全砲門を重巡チベにむけて撃ちはなち、その射撃は重巡チベの
あちこちを被弾させた。
バロムは、なお艦橋でねばっていた。
しかし、敵艦の射撃は正確で、もはや逆転ののぞみもない。
ついにゴルテウスの一撃が、バロムの身体をつらぬいた。
駄目か・・・悔恨の言葉とともに、バロム座上の重巡チベはテキサスに沈んだ(中略)
「よーし。180度回頭。ホワイトベースと接近する」
敵艦撃沈を確認したワッケインは、自信に満ち溢れた顔でブライトとの接触をいそいだ。
「公国軍将校」としてのエギーユ・デラーズも「優性人類生存説」の愛読者
で、信者であるあまり、挙措や言動、日々の日常生活や文書まで総帥ギレン
にまねた。
かれがデラーズ・フリートをおこすことについての正義は、「優性人類生存説」
における昂揚のなかから著者ギレンの意志をつぎジオンの精神を実現すると
いうところにあった(中略)
正義という多分にサーベルと血のにおいのする自己貫徹的精神は、善とか善
人とべつの世界に属している。筆者などは善人になれなくてもできるだけ無害
な存在として生きたいとねがっているが、正義という電球が脳の中に輝いてし
まった人間は、極端に殉教者になるか、極端に加害者にならざるをえない。
正義の反対概念は邪義であり、邪義を斃(たお)さないかぎりは、自己の正義
が成立しようもないからである。
ヴォルフガング・ワッケインについては軍人という通念だけが世間にまかり
とおっていたが、教授は蔵書をみるうちにそれだけでは律しきれぬものを感
じた。
教授はその後、ワッケインについての概刊の伝記・書簡集を読むうちに、
この人物が単なる武人ではなく「宇宙世紀のすぐれたRussisant(リユシザン)
の一人」として見ることの重要さに気づいた。この瞬間にヴォルフガング・
ワッケインという一個の詩人が誕生したといっていい。
「庵野はおのれの好き勝手でやっていることで、あの男はそれでいいだろう」
庵野のみの問題や庵野個人の問題ですむのならいい、しかし自分はああいう
エヴァという電脳的な、生きているキャラクターで成されるドラマとはほどとおい、
まるでカルテのような作品をつくらせるために仕事をしてきたんじゃない、僕が
考えていたのはそういうことじゃない、エヴァのような作品を出さない、出させな
いために僕はいままで自分の作品を世に出してきたんだ、といった。
「おれの作風を見事に利用しやがった」
と、富野はエヴァブームのころ何度も言いつづけたが、このちょうどガーゼィの
翼(OVA)がつくられるころ、かれはインタビュアーや雑誌の記者や高橋良輔(ボト
ムズの監督。富野と並ぶサンライズの大御所)ら相手をとわず言ってまわった。
庵野めはまちがった学び方をした、あいつはおれの現実的作風を根本的に無視し
てこの俺の作劇方法を表面だけまなび、あろうことがエヴァの原点を「ウルトラマン
とガンダムなんです」と堂々と商業誌で吐いてしまっている、そういう見えすいたセン
ズリ的小細工を見ぬけぬ俺だとおもっているのか。
796通常の名無しさんの3倍:03/05/01 04:19 ID:r4AOSglW
保守
797通常の名無しさんの3倍:03/05/01 09:51 ID:???
保守しとこう
イデオンは、「ガンダムと並んで打ち切りになった」という現実からもわかる
ように、本来、一般にアニメーションで実現すべき内容では到底なく、総監督
は、イデオンのデザインを渡されたときから、終始一貫して己のテーマを変え
ようとせず、タブーといわれていた血の描写や生首、ここまでするのかといわ
んばかりに劇中人物を追い詰めてゆくのは、そのSF的テーマを貫く趣旨ゆえで
あろう。
事実私も、富野作品ではガンダムと並んですっきりと(語弊のある言い方では
あるが)ケリをつけてしまった「伝説巨人イデオン」の方法論を富野の作劇方
法であるとして、一時期みていた節があり、ひらきなおっていえばイデオンは、
そういう総監督富野の「個性が噴出した」ともいえる作品なのである。
バッフ・クラン軍人ギジェ・ザラルがかつて敵として争っていたソロシップ
にたどり着き無限力発現をみたいとソロシップクルーの一員となるシーンなど
は、まことに富野の描く「情けない男」の描写が冴えていていい。
私どものようなエヴァ直撃世代よりも前の、「明るいイデオン」のムーブメント
(劇場版の宣伝活動イベント)に参加したひとなら、そのリアリティ溢れる雰囲気
をおぼえておられるにちがいなく、あの第一次アニメブームの真っ只中のころには
ガンダムとともにこのイデオンのドラマ性がファンたちの心をゆさぶった。
要するに伝説巨人イデオンを理解するには、そのオオモトとなっている総監督・原作
者富野の思想・演出論や方法論、もしくは無限力の発現に必要な要素と「イデ」のな
んたるかを知らねばならず、言葉を変えていえば、そういうテレビアニメーションと
いう制約多きなかで、あえて並みのSF実写映画を越えかねないテーマ性と作劇方法を
持ちこんだその結果が、イデオンを通じての富野の方向性と、その発現とともにキャラ
クターたちが全裸の魂となって還ってゆくといういままでたれもやることがなかった
ラストへと結びついたといえる。
801通常の名無しさんの3倍:03/05/01 21:18 ID:???

>>798-800

エヴァ世代のトミノ評論としても興味深く読ませていただきました。

ところで、現在容量458KBですが次スレはどのあたりで立てますか?
このままだと950超える前に512KB超えそうですが……。
8021:03/05/01 22:35 ID:???
>>801
前にもカキコしましたが、ネットができるのが7月までなのです。
迷ってるんですけど、とりあえず次スレは保留し、半年後に復帰したところで
あらためて次スレを立てようかと考えてます。
2ヶ月では次スレを埋めることはできないだろうし、1000までいかないのに
立ててももったいないかなと。

まだ迷ってるんで、次スレに関してはみなさんの意見をうかがいたいです。
それと、次スレのタイトルなんですけど、どなたかよいスレタイを考えてくれる
とありがたいです。どうもいいスレタイが浮かばないので、よろしくお願いします。
ージオン公国軍
ということばを、この時期、地球出身者で構成されるティターンズ将兵たちは
毛嫌いするほどにきらった。「きゃつらは正規軍ではない。女狐めが私心をはさ
んで勝手に残党どもの幼女をかついでいるだけである」という考えであった。
敵は、アステロイド・ベルトからくる。このため、敵を、
ー流浪の残党集団
とよんだ。シロッコも、アステロイド・ベルトからくるあたらしい勢力のことを
残党どもとよんでいる。
とにかく今後の態勢だけはととのえねばならぬとおもった。
シロッコは独断でハマーンとの会見をし、それを餌にしてジャミトフ・ハイマン
をつり上げるべくジュピトリスからPMX−003ジ・オを発進させた。もちろ
ん、手なずけることに成功しつつあるレコア・ロンドも同行させてある。
会見場所であるハマーンのグワダン艦内でシロッコはジャミトフと会った。ジャ
ミトフは、
ーゼダンの門が落ちたとき、お前の姿をみなかったな。
と皮肉をいった(中略)
ジャミトフ・ハイマンという政治屋は、普通の意味では大政治家といっていい器量
をもっていた。人物眼も、政略の才もあった。シロッコはジャミトフによって地球圏
へと召還され、つぎつぎに厚遇してバスクとならぶほどの権威をあたえられたのだが、こ
のときの場合は「政治屋」としての自負を強烈にもっているジャミトフはシロッコに
対してやや懐疑の念をもっていた。しかし結局は己の才覚でコントロールできるだろ
うという結末におちついてしまうあたりにジャミトフ・ハイマンという男の不覚があ
ったとみていい(中略)
とにかく、多少の言葉をかわしたあと、
「まあいい」
と返答され、シロッコはだまった。同時に扉がひらき、黒衣に身をつつんだ女狐があ
らわれた。その自信に溢れる姿をみたジャミトフは、
「青酸ガスの準備がよほど遅れているとみえるな、ハマーン」
と、露骨な皮肉を吐いた。だがハマーンは威にも介しない。

805通常の名無しさんの3倍:03/05/02 14:29 ID:???
>>802
そうですか・・半年後ですか。残念です。
大変ですね。スレタイ自分も考えてみます。
「引力に魂をひかれたティターンズなど、おそれるにたらん」
と、ジャミトフにハマーンは悠然と言いはなった。
ー大した鼻息だ。私に組する最後の機会をあたえてやろうと思ったのだがな。
と、ジャミトフは返答をかえす。
「そちらこそ私につけばいいものを。お前はどうなのだ?シロッコ」
シロッコへハマーンは振った。
「地球の引力に魂を引かれた人間が、宇宙の民を率いていけないという君の
意見は正しい」
と、シロッコは答えた。露骨に顔を歪めるジャミトフの心中は手に取るように
シロッコにはわかっている。一応の誠意はみせておかねばならない。
「しかし私は、ジャミトフ閣下に忠誠を誓っている。この自分の血でな」
シロッコはそういうと、ふところに手をいれた。拳銃を取り出し、ハマーンに
銃口をむける。ジャミトフへ、しいてはのちに掌握せねばならぬティターンズ
将兵へのカモフラージュのために、演技をしてみせねばならないのだ。
残党の頭目ハマーンを自分は殺そうとしてみせた。だが、おもわぬ手違いで総帥
閣下がハマーンの手によってあえない最後をとげてしまった。そういう政治的政略
を本物の正義へと仕立てるための演技であったが、シロッコがまったく意図してい
ないところから、その人物はきた。
扉がひらくと同時に、クワトロの銃撃がシロッコの肩を撃ちぬいた。そのシロッコ
の危機を感じたサラは搭乗しているPMX−002ボリノーク・サマーンの腕部ビーム
ガンを会談部屋の方向へむけて撃った。
艦内にいたカミーユがまったく理解できないまま、ボリノーク・サマーンの腕部ビーム
が会談部屋をつらぬいた。もしサラをともにグワダンへ連れてこなかったなら、シロッコ
の命はジャミトフ、ハマーンとともにクワトロに消されていたことだろう。シロッコの見込んで
いた強化人間の少女はかれの危機をすくった。
ボリノーク・サマーンを飛び出したサラは銃声をきいておどろいた。もしや、パプティマス様が。
動揺をおさえきれないまま会談場所へむかうと、負傷した肩をおさえながら出てくるシロッコの
姿を発見した。サラは安堵した。このシロッコの態度が演技であるとも知らずに。
シロッコはサラに、ジャミトフ閣下がやられたと伝え、すぐにグワダンより脱出すると言い、格納庫へ
とむかった。

グワダンを脱出したシロッコはジ・オの回線をひらいた。よびかけるのは
シロッコである。
シロッコは自ら手をくだした張本人であるにもかかわらずごく自然に言い放った。
「聞こえるか。全ティターンズ艦隊」
と、シロッコは、深刻な事態がおこったということをティターンズにむけて演説し
はじめた。「これは、総帥ジャミトフ・ハイマン閣下の遺言である。ジャミトフ閣
下は、ハマーン・カーンの手によって暗殺された。ただちにグワダンを叩け。これ
は閣下の弔い合戦である!」
といった。
その言葉につづくかのように、ティターンズとアクシズが戦闘を開始した(中略)
当のジャミトフ暗殺の張本人とされてしまったハマーンは敵の目をひくべくキュベレイ
で戦闘中のグワダンを発進した。ハマーン出撃を確認したシロッコはレコア・サラに
狙いはハマーンのキュベレイのみだと言い、全力でジ・オを砲火うずまくグワダン近辺
へとむかわせた。その後ろにサラとレコアがつづく。
元エゥーゴで現在シロッコのジュピトリス内でかれのMSをあたえられているレコア・
ロンドは、寝返り者だとガディに揶揄されたこともあったが、齢(とし)は見た目より
もずっと若い23歳でしかない。少女のころからゲリラ活動をとおして戦場ですごして
きた彼女は、一般の女性が経験する女の幸せというものを思春期にあまり経験せずに今日
まできた。およそ幸せというのがどのようなものであるかがよくわからないまま、エゥーゴ
にいた頃はクワトロと付き合ったりもしたが、満たされるほどの幸福を彼女はまったく感じる
ことができなかったばかりか、クワトロ本人もレコアに対して冷たすぎた。

彼女はひたむきなほどに自分に素直で、およそ型に縛られることがなかったばかりか、
女性にしてははっきりとしたセックス観をもっていた。居場所という言葉をレコアは
よくカミーユやファに対して口にしているが、要は安息の場所・安息できる男が欲しか
ったのであろう。レコアが理想としていた男は、ただ単に抱くことがうまく、調子のいい
ことをいってのけるだけのカッコイイ男ではなく、彼女の心をつかみ、その琴線に直接的な
手触りでふれてくれる男性であり、事実クワトロとの行為は、身体の触れ合いでしかなかっ
たことを、パラス・アテネのコクピットからシロッコの搭乗するジ・オをじっと見ているレ
コアは実感しているのである。
シロッコと出会ってその言葉や行為を見、かわしたとき、レコアはかつてジャブローでうけ
た思い出したくもない古傷が癒えてゆくような、そんな心地よさを感じることができた。そ
の安らぎは、レコアがようやく得ることができた「居場所」であったとレコアは信じている。
そのかけがえのない居場所をまもるためにレコアは今、パラス・アテネを駆り、戦うのだ。
散開したレコアは狙いをハマーンのキュベレイへとメガビーム砲をかまえ
た。かまえて撃とうとした瞬間、片腕が撃破された。レコアにはまったく
わからない。
もう一方のサラも、あらぬ方向からボリノーク・サマーンの片腕をやられて
いた。しかしシロッコはハマーンの手口をみぬいている。
すぐに反応し、ジ・オの機体を神技のごとく回避してのけた。
(ついに本気をだしてきたか)
とおもったが、手をぬいて勝てる相手でもなく、木星帰り特有のニュータイプ
能力で、ファンネルのうごく先を読み、ビームライフルの銃口をむけ撃ち落した。
ハマーンはいよいよ己の力を発揮し、すさまじいプレッシャーをシロッコにむけて
くわえた。負けじとシロッコも怨念にも似た思念を放出して対抗する。
Zガンダムで戦場を駆けていたカミーユもその圧倒的な力を感じることができた。
ジ・オとキュベレイは強大なエネルギーを放出しながら静止している。レコアには
まったく理解できないことであったが、サラは察していた。そこにつっ込んでくる
機体が一機。カツのGディフェンサーだということはサラは瞬時にわかった。ビーム
砲の狙いはパプティマス様のジ・オにむけられている。防がなければパプティマス様が
あぶない。
思ったのと同時に、サラはボリノーク・サマーンをうごかしていた。放たれたビームは
コクピットに直撃した。カツにとってはまったく予期していなかったことだろう。ボリノ
ーク・サマーンが爆発すると同時に、シロッコとハマーンは我にかえった。
(貴様か!サラをやったのは!)
シロッコは、ハマーンとの戦闘に全神経を集中させていたあまり、サラの
ことを放っておいたことにどうしようもない怒りをおぼえ、不愉快であった。
なぜサラを殺したのか、とおもった。
怒りにまかせてGディフェンサーを血祭りにあげるべく激進したが、かれの
目の前にサラの亡霊があわられ、なんと自分を殺した張本人たるパイロット
に優しい言葉をなげかけ、頭を抱き、逃げてと言うのである。なんというこ
とであろう。サラは相手のパイロットを、自分がそのパイロットに殺されて
も悔いもしなければ、慈愛すらしめすのか。
(サラはまちがっている。私はサラをまちがわせたこいつを殺さねばならない)
と思いかえした。ビームライフルの狙いをGディフェンサーにあわせる。ところ
が、目の前にレコアのパラス・アテネがとびだしてきた。自分でGディフェンサー
を葬ってシロッコにこたえようとしたのか、それともGディフェンサーのパイロット
であるカツをかばおうとしたのか、おそらくそのどちらの要素もレコアにはあったの
であろう。
(それにしてもこれは計算違いだな)
と、シロッコはおもった。Zガンダムが駆けつけてくるのと同じくして
エゥーゴのMS部隊が来て、さらに背後から死んだと思っていたクワトロ
の百式がビームを放ちながらこちらの空域へむかってくるのをみて、かれ
はジュピトリスへの帰還を決意した(中略)
(いかん。サラのことをまだひきずっている)
帰還中、シロッコはおもった。失ってはじめてわかったが、そういう感傷
にふける自分はシロッコからすれば女々しき精神であると思えるために、
このような事態でも鉄のように鋼のように鋭利で動じない態度でいなけれ
ばならない。自分の傑作MSはあの小僧の手によって失われてしまったが、
これからが正念場だとシロッコはおもっていた。
814通常の名無しさんの3倍:03/05/02 22:40 ID:XKB9/UwJ
ギレンザビに天才が持ついやらしさを感じつつ

保守
シロッコはジュピトリスへと戻ると、
「ハマーンとの談判は決裂した。諸君、さわぐことなく、わが命あるまで待機せよ」
と簡単にそのことを言い渡し、そのあと一室に入って通信回線をひらいた。通信先は
かつて自分がつかったことのある、今はむさくるしいゴーグル野郎が座上している大型
戦艦ドゴス・ギアである。この艦にはティターンズのなかでも生え抜きのMS部隊が搭載
されており、隊長はヤザン・ゲーブル大尉であった(中略)
「ヤザン大尉」
シロッコは映像通信先の士官に、画面上から要請した。
「ああ、すまない。ヤザン大尉を呼んでくれ」
といった。ヤザンが、誘われるようにして画面先にあらわれた。痩せ型で下あご
が岩のようにがんじょうそうな、みるからにしんの強そうな男である。
ー話がある。内密の話だ。
と、シロッコは真剣な面持ちでヤザンにむかって語りかけ、
「非常の事態になった」
と、グワダン艦内でおきた事件とこれからのティターンズの展望を話し、
「ジャミトフ閣下のことはもう知っていると思うが、要するにこれからのことだ。
ここまで事態が切迫してきた以上、もはや誰かがティターンズを掌握し、残党ども
とエゥーゴを討つ以外に手はない」
といった。シロッコにすればこの虎狼のような荒くれ者をなっとくさせ、政戦とも
に今後協力させてゆかねばどうにもならないと思っている。
ーただ一つ、勝つための手段がある。
といった。
「どんな手だ」
「わたしのもとへ、ドゴス・ギアのMS部隊をもってヤザン大尉がジュピトリス
へくることだ」
それ以外にない。要するにバスク陣営からこちらへ組せよということであった。
「足下のもとへか?」
ヤザン・ゲーブルは、画面先のシロッコへ目をみはった。シロッコのジュピトリス
へ自分のMS部隊をねこそぎもってゆく、それと同時に目障りのバスクを消し、
ティターンズの実権をこのパプティマス・シロッコのもとへ移行をする、それ以外
に現状を変える術はない、とシロッコはいうのである。
「左様」
シロッコの面貌に決意がみなぎっていた。ヤザンが諾(うん)といえばこの場でシロ
ッコの野望は一歩完成に近づく。
(この男は、本気だ)
ティターンズ掌握のために、である(中略)
(よし。賭けてみるか)
と、ヤザンがおもったのは、バスクなどという無能のもとにいるよりも
よっぽど立身の可能性があり、シロッコ以外にたよる存在がいないとい
う現実からの判断であった。そのことは画面先のシロッコのこの毅然と
した態度がなによりも雄弁に物語っている。
「わかった」
と、ヤザンはするどい目をぎらつかせながらいった。
「すべて了解した。いまは是非もない。おれは足下のもとに組みしよう」
ヤザンは、シロッコに協力することを誓った。
シロッコは謝し、すぐにバスクを葬るための策をヤザンに説明しはじめた。
この瞬間からかれの決戦への行動がはじまったといっていいであろう。ジュピ
トリスのMS部隊がドゴス・ギアを背後より襲う。ゴーグル野郎は新しい強化
人間のテストにかかりきりになるであろう、その襲撃のさいにはレコア・ロンド
をもって撃たせることとしている。ヤザン大尉は体よくこの挙を傍観しておいて
いただきたい。と詳細を話し、
「見事葬ったあとは全力をあげてエゥーゴと残党どもを倒す」
と、戦いへの決意をのべ、さらにヤザンとの回線を切ったあと全ジュピトリスクルー
に布告すべくブリッジにむかった。
818:03/05/03 11:51 ID:???
>>805
復帰は1月ごろになるんじゃないかと思われます。いろいろ物入りな時期だし。
スレタイ、よろしくです。

816、チョト失敗しますた。
今日、明日の保守よろしく。


819通常の名無しさんの3倍:03/05/05 16:35 ID:xGX/7+Mt
とりあえず緊急浮上させます。
鯖落ちのドサクサに紛れて落ちて欲しくはないので。
シロッコは、敵味方の戦力の測定をした。敵はエゥーゴとジオンを僭称する残党
集団であり、質はエゥーゴ、残党集団は数はそれなりに揃っている。
「しかし、アーガマとハマーンの主力のほかはすべて烏合の衆だ。かれらにティターンズ
を圧倒する力などない」
と、質で評価しようとした。
味方は、ジュピトリスを中核としたシロッコ直卒の精鋭部隊である。そのほか巡洋艦アレキ
サンドリアのガディ・キンゼー少佐の部隊、ヤザンのMS隊にチャン・ヤーをはじめとした
生え抜きの船乗りたちを有し、あと残党集団も独自のうごきをみせており、これらのうごき
によっては、コロニーレーザー争奪は三つ巴の様相を呈する。
が、火力は敵よりもはるかにすぐれており、とくに量産型マークUともいえるRMS−154
バーザムはエゥーゴの主力量産型MS・MSA−003ネモを上回る性能をもち、また大量の
MSマラサイの配備によって機体数からもエゥーゴを上回っており、それにコロニーレーザー
を包み込むように取り囲んでいるいまの状況で死力をつくして戦えばたとえ思わぬ打撃をうけ
ようとも負けるようなことはあるまい。
「要は、敵を絶望のふちにまでたたきおとしてしまうことである」
と、シロッコはおもった。
戦争は、単に戦争であってはならない。
大いなる政治構想と目的が必要であろう。それには全ティターンズ
をあげて死闘し、死闘のかぎりをつくし、残党どもとエゥーゴを完膚なきまでに
たたきのめし、エゥーゴと残党どもへの信頼を失墜させることであった。
この戦いを、おそらく全スペースノイドやアースノイド、ルナリアンらは注目す
るであろう。その勢力の代表はアナハイムと連邦政府そのものであった。一大企
業アナハイム・エレクトロニクスは親エゥーゴ的傾向をもち、連邦政府は現在こ
そエゥーゴ寄りであるが、かつては積極的なティターンズ支持であった。この勢
力をふくめた各支持勢力をひきこんで最終的にはティターンズ支持勢力とし、そ
の支持基盤を根こそぎこちらのものにするためには戦勝が不可欠である。
「この一戦で勝利さえできればたとえ後世、叛乱部隊、違憲行為と一時的に記録
されたとしてもその汚名を拭うことができる」
と、シロッコはおもった。

(たとえ勝利をあげることができなくても)
と、シロッコは、この戦争の意義について考えつづけた。
ー美にはなる。
ということであった(中略)
「美ヲ済(ナ)ス」それが木星圏にて覚醒をとげたニュータイプとしての道
である、とシロッコはおもっている。
ー考えてもみよ。
と、シロッコはおもう。いまこの宇宙の大変動期にあたり、オールドタイプ
や道をあやまったニュータイプの成りそこないがことごとくエゥーゴの空論
や残党どもの旧世紀的な陳腐すぎる独裁体制に身をまかし、打算に走り、あ
らそって新時代をひらくというおもいこみをもって革新者をよそおい、理解
をわすれ、革新者の道をわすれ、やるべきことをやらなかったならば、後世
はどうなるのであろう。
ーそれが人類の革新たるニュータイプが成したことか。
と、おもうにちがいない。その程度のものがニュータイプかとおもうであろ
う。知己を後世にもとめようとするシロッコは、いまからの行動はすべて「後
世」という観客のまえでふるまう行動でなければならないとおもった。
さらにまた。
ニュータイプとはなにか、ということを、時勢に奢ったエゥーゴや残党どもに
知らしめてやらねばならないと考えている。机上の空論のような理想におぼれた
あげく、相手を虫けらのように思うに至っている残党どもやエゥーゴの連中に、
ズタズタにされた虫けらというものが、どのような性根をもち、どのような力を
発揮するものかをとくと思いしめてやらねばならない。
ブライト・ノア中佐のアーガマは、アクシズの軌道修正に成功したあと激闘を
展開しているグリプス2の空域へと全力でむかっていた(中略)
まず、戦力が圧倒的にすくないエゥーゴとしてはアーガマ参戦なくして勝つこ
となど不可能にちかい。が、先のメールシュトローム作戦で奪取に成功したコロ
ニーレーザーを護衛するラーディッシュ以下のエゥーゴ艦隊はティターンズ、ア
クシズ双方を相手にせねばならぬため、思うように戦局の打開がはかれず苦戦し
つづけていた。
「とても艦隊戦ができるような、十分な戦力などどこにもなかった」
と、ブライト・ノアは後年語っている。
ブライトにとって期待すべき存在は、亡きブレックス准将の数すくない
理解者であった男である。
その指揮官は、ブライトと同じ一年戦争以来の連邦軍属であるヘンケン・
ベッケナーである。
ヘンケン・ベッケナー、階級は中佐。
たたき上げの軍人で、はやくから宇宙において前線勤務をし、一年戦争に
おいてはフジ級巡洋艦スルガ艦長としてア・バオア・クー会戦に参加、のち
ブレックス・フォーラ准将をたすけて反地球連邦政府組織エゥーゴの重要
メンバーになった。連邦軍属であったという点でも、ブライトとは仲がいい(中略)
ヘンケン・ベッケナーというのは軍人としては優秀な船乗りで、豪快な性格と
戦場の空気や統率を熟知しているという点で有能な人物であったが、ただ一つ
女性への接し方をしらず、また普段のかれからは想像することすらできないほ
どの可愛らしさをもち、それがクルーたちにとっては愛敬として好印象をあた
えたのだが、好意を寄せていたエマ・シーン中尉に対しては上手くいかないこ
とばかりであった。
エマは、ヘンケンからの正直すぎる言葉と真正面からのアプローチに困惑して
いたようだが、エマははたしてヘンケンに好意を抱いていたのかというと、ヘン
ケンにはすこし気の毒だが、それほどの熱意はなかったのではないかとも思える。
エマは恋愛よりも「仕事」を重視する女性であった。
「君が赤ちゃんを産めんようにでもなったら・・」というヘンケンの台詞があるが
それに当惑しているエマをみるかぎり、好きな男性というよりは「尊敬すべき上官
です」といったほうが妥当ではないのか(しかしこんな言葉を口にするヘンケンは
本当に愚直すぎる男ではある)
むろん、これは筆者の推測にすぎないが。

ヘンケン・ベッケナーは、不吉な予感を感じモニターを凝視した。
(マークUが・・・)
よくみると被弾しているようにみえる。苦戦しているようだ。このエマの危機
が、ラーディッシュ艦長ヘンケンにとって最後の行動をさせうる要因となった。
「ラーディッシュ前進!目標はマークUだ!」
と、ヘンケンは迷いながらもクルーたちの声にうごかされついに決断した。
マークUはもはや満身創痍である。ヤザンのハンブラビの猛攻撃に、エマのマー
クUの片腕が撃破され、これで終わりだと意気込むヤザンのハンブラビを覆うかの
ようにヘンケン座上のラーディッシュがすすんできて、隕石のうえに乗っている
エマのマークUをかばった。そのヘンケンの行為をエマは無茶です、撃沈されてし
まいますとつたえたが、ヘンケンは本気でエマの盾となる覚悟でいた。
エマ中尉が無事ならばそれでよかった。自分が心から愛した女性をかばって死ぬこと
ほど、ロマンに満ちた男子の行動はないであろう。
マークUの盾となった戦艦ラーディッシュの砲門は、ヤザンの搭乗するRX−139・
ハンブラビめがけて一斉にひらかれた。しかし一発もハンブラビに命中せず、たくみに
回避しつつヤザンのハンブラビがラーディッシュに迫りくる。勝利の女神は
ヤザンに微笑みかけていた。
エマの叫びと同時に、ハンブラビが連続して放ったビームがラーディッシュ艦橋をつら
ぬき、ヘルメットを吹き飛ばされたヘンケンは空気漏れのつづく艦橋で、必死でマーク
Uのうつっているモニターをさがした。ようやくマークUが無事であることを確認した
ヘンケンは安堵したかのように事きれた。
エマは言葉をうしなった。目の前で、ラーディッシュがしずんでゆく。しかし犠牲者は
これだけではなかった。
もう一人の犠牲者は、専用の可変MS・NRXー055バウンド・ドッグ搭乗の
ジェリド・メサ中尉である。その執拗な攻撃は、カミーユのZガンダムに取りつき、
怨念にも似た憎悪をむきだしにし、とりついている。果てしなくつづいてきたカミーユと
ジェリドの口論も、ついに終わるときがきたのか、カミーユはZガンダムのビームライフル
を瞬時に連続して撃ちだし、その二発目のビームの勢いにジェリドのバウンド・ドッグ
は吹っ飛ばされ、不幸にも沈みゆくラーディッシュのもとへとまっさかさまにとんで
いったのだ。最後の台詞すら明確なかたちでのこせず、遺恨を抱いたままジェリドは
ラーディッシュの撃沈に巻き込まれて宇宙の塵となった。
このとき、シロッコは泣き叫びながら宇宙にビームを撃ちはなつカミーユの存在
を感じている。不愉快であった。
「生の感情丸出しで戦うなど、これでは人に品性を求めるなど絶望的だ。やはり
人はよりよく導かれねばならん。指導する絶対者が必要だ」
傍らにいたレコア・ロンドが問う。「この戦いが終われば、人は変わるのでしょうか」
「変えるのだよ。それをやるのはレコア、君かもしれない」
完全に帰服しているのがよくわかる。ならばよりいっそう、自分を慕う目の前の女
にも働いてもらわねば。
「ともに、戦おう」そう言ってから自らの専用機、「神の意志」PMX−003ジ・オ
に乗り込むべくとんだ。レコアも、PMX−001パラス・アテネにとぶ。
レコアは完全にシロッコのものとなっている。
このMSは、シロッコ自らが設計した重MSで、全宇宙でただ一機しかないMS
であり、いわば最強のニュータイプ専用機ともいえるMSであった。最高レベル
のMS設計能力をシロッコは有していたが、試作したMSのうちPMX−002
ボリノーク・サマーンはサラの死とともにうしなわれており、いまはレコアの
パラス・アテネとこのジ・オが残るのみである。
「ジ・オ」という名は、シロッコがつけた。このMSは見た目は大型だが、性能
といい、加速性といい、性能面でこれにおよぶ機体はないとシロッコは自負している。
アクシズは、シロッコのジュピトリスを目標にした。残党どもと呼称されて
いるアクシズ・ジオンがもっている膨大な量産型MS・ガザCが、ハマーン
のキュベレイ指揮のもとになだれのごとく出撃した。
ジ・オのビームが、ガザCを撃墜した。シロッコが迫ってくる、敏感に感じ
とったハマーンはジ・オとパラス・アテネをあいだを駆けぬけた。それを追う
レコアのパラス・アテネ。
シロッコは眼前に迫りくるガザCの蜂のごとき群れをみた。しかしつぎの瞬間
に巨大なビームエネルギーがガザCを包みこみ、つぎつぎに爆発し、機体の破
片が散って、すさまじい光景が展開された。
これはエゥーゴの攻撃だ、ということは、シャアが来たのか。ハマーンがまず
感づいたのと同じく、シロッコも気がついていた。感情丸出しの少年と、地に
堕ちるであろう輝き失せた彗星の登場である。
829:03/05/05 23:03 ID:???
疲れたのでまた明日にでも。
830通常の名無しさんの3倍:03/05/05 23:11 ID:???
ひそかに>>745に期待するROM
831通常の名無しさんの3倍:03/05/06 12:53 ID:???
保守あげ
832通常の名無しさんの3倍:03/05/06 13:19 ID:???
何だか、富野の文体に似ている要素が無くも無い気がする
しかし、言うまでもなく富野は圧倒的な悪文だと言う点が決定的に違う(w
百式のメガ・バズーカランチャーがキュベレイのファンネルですぐ撃破され、
「そんな子供だましのようなMSで、このジ・オと対等に戦えると思っているのか!シャア!」
と百式のビームライフルの射撃をかわしつつ、言いはなち、かるくあしらいつつ、
ビームライフルを撃ち、わざと相手の神経を逆撫でするように百式の機体スレスレに
ビームをかすめさせる。百式のクワトロ(シャアというべきであろうが)は焦りを
かくせない。
敵MS・百式をなめるかのように、ジ・オのモノアイがにぶくひかった。機体の機動性
にくらべると、その輝きはあまりにも鈍重である。
シロッコはまっさきにエゥーゴの切り札となっているコロニーレーザー
の機能をうしなわせるためジ・オをむかわせた。
このいつ発射されてもおかしくない巨大コロニー砲内での戦闘は、シロッコ
にとっても緊張をかくせなかった(中略)
この男は、
「シャアは臆している。シャアは臆している」
と思い、悠然とコロニーレーザーの一部分をビームサーベルで切断した。
発射筒の一つが、爆発した。潰させはすまいとシャアの百式、ジ・オを
追う。シロッコにいわせれば、
「無駄なことを。まだ本気で私とハマーンが倒せるとでもおもっているのか」
という思いがあった。
やがて敵の百式が、なにも知らずに接近してきたところを、
死ににきたか!シャア!
と、発射筒の影からいきおいよく飛びだしビームライフルでなぐり
つけて、百式を突き飛ばした。さらにビームライフルを即座に放つが、
一発目ははずれ、二発目が百式の脚の裏をかすめた。さらにシャアの不幸
がかさなる。キュベレイがビームサーベルを振るって百式のビームライフル
を持つ腕を軽快に斬りおとし、斬られたビームライフルを持つ腕ががむなしく
虚空にビームを撃ち上げるとともに、ツキのなさすぎるシャアの百式はあろう
ことか発射筒の部分に機体をのめりこませてしまった。破片が百式の全身に
まみれる。
連携しているわけでもないのにハマーンと共同戦線を張っているおかしさはシロッコ
にとって笑止なことではあったが、それはいい。今はこの、傲慢をきわめつくして今日
の事態を招いた張本人、シャア・アズナブルを倒すことだ。よくよく考えればおかしい
ことだ。なぜクワトロなどという偽名を今だにもちいているのであろう。やはりこの男
も、地球の引力に魂をしばられているオールドタイプにすぎないのだ。
「道を誤ったのだよ!貴様のようなニュータイプの成りそこないは、粛清される運命なのだ!
わかるか!」
ジ・オのビームライフルをはなつ。ビームは百式の片脚を撃ちぬいた。だがシャアはなおも
あきらめないのか、
「まだだ!まだ終わらんよ!」
と、落日の英雄にありがちな捨て台詞をのこしてコロニーレーザーの奥へととんでいった。
乗り捨ててある百式の姿と、奥へむかおうとするハマーンのキュベレイをみたシロッコは、
「自らの手でシャアをやろうというのか。面白い女だな」
と、自らも座興を楽しむべくジ・オを降りることにした。
836通常の名無しさんの3倍:03/05/06 23:37 ID:???
>>1さん頑張って(^^)/~~
Zも終盤だな。
劇場がその座興の舞台となった。むろん、役者はそろっている。その
主演男優はまぎれもない、クワトロ・バジーナこと、シャア・アズナブル
であった。
ハマーンはスポット・ライトを中心にいるシャアにむけてなにやら喋って
いる。どうやら含むところがあるようだが、と思ったところを、両者に名指し
で呼ばれて、シロッコは含み笑いをした。芝居もなにも、こんな陳腐すぎる
芝居にくらべれば、私のほうが数段すぐれている。
「私は歴史の立会人にすぎんから、そうも見えるか。が、シャアよりは冷静だ」
よき場所にそろったものだ。ここで主演男優の仮面を剥いでおかねばならぬ。一見
すぐれた人物のようにみえるシャアが、じつは無責任なただの卑怯者だと後世に
記憶させるために。
ところがシロッコの意図とはちがい、シャアのほうはしごく冷静であった。この赤い
彗星とよばれ、ブレックスの後継者とされたこの貴公子は、平静を装っていたのでは
なく、しんから冷静な態度でいた。
「私が冷静でないだと?」
「そうだよ。貴様はその手に世界を欲しがっている」
黙っているシャアの姿を観客席から見下ろしながら、シロッコはシャアの本音をあばき
だした。自分が勝者となれば、この場面は永久に歴史に記憶され、シャアは卑怯者・偽善者
のレッテルを貼られつづける。シロッコは戦後の自分を夢想できるほどの余裕をもっていた
のだが、当のシャアには焦りなどはなかった。それをいうなら、貴様とてそうだろう、ハマーン
とてそうだろう。およそ実力者がそれを思わぬなど、ありえぬ。野心が行動の原動力となり、人を
あつめる。この言葉はそっくりそのまま、自分にも当てはまるのだ。それに気がついていない貴様
こそ、足元がみえていない愚かものではないか。
シャアのすごさは、汗すら表面に出していないところであった。これほど、
自分の弱点をつかれても平然としていられる男はまれであろう。
ハマーンはまだシャアに執着している。これほどシャアに執着するとは、もしや
シャアに捨てられた女なのか、とシロッコはおもった。
およそ愛情と憎悪は紙一重ともいえる。愛がふかいほど、憎しみもつよくなる。愛憎
という言葉がそれである。シロッコのおもうところ、女ほどその愛憎のつよい生き物
もおるまい。愛情と同じくらいの憎しみをぶつけることは、自分の気持ちを正確に相手
に表現することなのだ。自分は間違っていない、相手が間違っていたのだ、その間違い
を正したい、なぜなら、自分は本気だったのだから。
シロッコは理由がわかったような気がしたが、つぎの瞬間には内心、冷や汗をおぼえた。
ハマーンがシロッコに銃口をむけたのだ。よもや、私の考えていたことを読んだのか。
「この小うるさい見物人を倒してな」
なんとかしてシャアを引き込みたいような口ぶりだが、そんな純粋なハマーン(シロッコ
からみれば健気な)に冷や水を浴びせるように、主演男優は口をひらく。
「ハマーン。私はただ、世界を誤った方向へもってゆきたくないだけだ」
暗にハマーンを批判しているが、ハマーンも自説をまげる気など到底ない。
「では聞くが、ザビ家を倒し、ティターンズを排除した世界で、お前はいったいなにを
しようというのだ」
銃口をむけているが、殺す気などハマーンにはまったくない。それを見ぬいているから
こそ、シャアも減らず口をたたくのだろうと、シロッコは観察しながら思う。おもしろい
光景だった。
「私が手を下さなくとも、ニュータイプへの覚醒で人類は変わる。そのときを待つ」
言い終えて、浮かんでいる銃をとろうとした主演男優に、ハマーンは銃を放つ。
威嚇でしかないところがおもしろい。負傷させてもいいのに、それをあえてしないの
である。甘いとシロッコはおもった。だから男の道を歩もうとする女は失敗する。
「私に同調してくれなければ排除するまでだ」
シロッコのほうに視線をむけて、
「そのうえでザビ家を再興させる。それがわかりやすく、人に道を示すことになる」
「また同じ過ちを繰り返すと気づかんのか!!」
「世界の都合というものを洞察できない男は、排除すべきだ」
シロッコは拍手を送りたい気持ちになった。素晴らしいではないか。感動的ではないか。
今までみたどんな人間関係、どんな演劇やテレビドラマでも再現されたことのない、
わかりやすすぎる愛憎劇が目の前で繰り広げられている。面白いではないか、健気で
はないか、かつて愛し合った男女がたがいの主義主張のちがいから決裂し、いまは敵対
し、しかも女のほうはなおも相手に是正をせまり、男は自らに執着するゆえにこれをあし
らう。まったく噛みあわない二人、これはよきドラマだ。
(高視聴率まちがいなしだな)
もしテレビで放映されれば確実だ、とシロッコは考えていたのだが、とある一声が劇場に
こだまし、一瞬でシロッコは不愉快になった。劇場に銃をむけてあらわれたこの人物が、
シロッコの運命を決めてしまうなどと、シロッコ自身予想することすらできなかったであ
ろう。
840:03/05/07 00:34 ID:???
明日早いんで、一旦切り上げます。疲れますた。
>>832
御大の小説は本当に読みにくいですね・・・・
読み返そうとおもいましたが、諦めてしまいました。
>>836
クライマックス近し。創作部分がほとんどを占めてます。
その一言が嬉しいです。やる気が出ます。
841通常の名無しさんの3倍:03/05/07 00:55 ID:???
>>1
力作だ。何がすごいって話の筋が破綻なく成立してるし(w
842通常の名無しさんの3倍:03/05/07 01:13 ID:???
       (  _,, -''"      ',             __.__       ____
   ハ   ( l         ',____,、      (:::} l l l ,}      /      \
   ハ   ( .',         ト───‐'      l::l ̄ ̄l     l        │
   ハ   (  .',         |              l::|二二l     |  ハ 面  .|
       ( /ィ         h         , '´ ̄ ̄ ̄`ヽ   |  ハ 白 │
⌒⌒⌒ヽ(⌒ヽ/ ',         l.l         ,'  r──―‐tl.   |  ハ い │
        ̄   ',       fllJ.        { r' ー-、ノ ,r‐l    |  ! ぞ │
            ヾ     ル'ノ |ll       ,-l l ´~~ ‐ l~`ト,.  l        |
             〉vw'レハノ   l.lll       ヽl l ',   ,_ ! ,'ノ   ヽ  ____/
             l_,,, =====、_ !'lll       .ハ. l  r'"__゙,,`l|     )ノ
          _,,ノ※※※※※`ー,,,       / lヽノ ´'ー'´ハ
       -‐'"´ ヽ※※※※※_,, -''"`''ー-、 _,へ,_', ヽ,,二,,/ .l
              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       `''ー-、 l      ト、へ
843通常の名無しさんの3倍:03/05/07 05:16 ID:???
1さんマンセー!
ここはシャア板1の良スレじゃあ!
保守age
844通常の名無しさんの3倍:03/05/07 05:25 ID:???
うるせぇよ>1
845通常の名無しさんの3倍:03/05/07 05:58 ID:???
 ゴメンよ、このスレの力作小説? は司馬調を完コピ? して
富野文体をリライトしてるの?
 つまり、司馬さんの文章をそのまま借用しているのか
司馬さん的な文体で語ってるだけなのか
 司馬小説を読んでないオレには、イマイチそこが分からない。
846:03/05/07 19:40 ID:???
>>845
まず、SSに関してですが完全なオリジナルというわけではないです。
ですが元の文体をコピーしてそのまま引用しているというわけでもないです。
定義がしにくいですけど、司馬さん的な語り方・自分の解釈・引用部分を当てはめた
(総合?)SSだと思ってください。
富野小説に似ているということですけど、言われてから気がつきました。ほとんど意識
してなかったんで。
>>843
チョト褒めすぎかも。
>>841
シロッコを観客の立場においてみました。最後がくどくなったかな。
劇場にあらわれたもう一人の俳優に、すさまじいプレッシャーを感じたのだ。
ハマーンもそれを感じている。シャアがみると、その俳優ーカミーユ・ビダンー
は全身から赤い、強烈な波動を放出しているのがわかった。
ハマーンを狙撃したあと、カミーユは喋りはじめた。
(主役交代か。しかし、なんとも気に食わぬ少年だ)
観客席の影に隠れながらシロッコはおもう。銃を取り出して様子をうかがった。
「本当に排除しなければならないのは、地球の重力に魂を引かれた人間たちだろ!
けど、そのために大勢の人間が死ぬなんて、間違ってる!!」
シャアはカミーユの背後にまわり、銃をかまえている。悪意をもった見方をするならば、
万が一のときはカミーユを盾にして・・・という考えもあったかもしれない。
あらたな主役の主張に反撥する観客。
「愚劣なことをいう」
「生の感情を出すようでは俗人を動かすことはできても、我々には通じんな」
主役がかえす。
「人の心を大事にしない世を世界をつくって、なんになるんだ!!」
これだから自分がニュータイプだと思いこんでいるヤツはこまる。演技をするならもっと
高度な演技をするべきだ。これでは評価のしようもない。愚かしいと思うシロッコであった
が、つい芝居がかかった反論を口にしてしまった。
「天才の足を引っ張ることしかできなかった俗人どもになにができた!つねに世の中を動か
してきたのは、一握りの天才だ」
癖が出てしまった。自分が理解できない俗人に対して、シロッコはつねにそうであった。相手
の意見をやりこめてしまう。心底から自分を完全なニュータイプ(天才)だとおもっているシロ
ッコの癖であった。しかし、主役の少年はまだ自分の考えがわからないのか、
「違う!」
と、自分の考えを曲げない。もはや主役を降りたシャアですらとめられなくなっていた。
「ちっぽけな感傷は、世界を破滅に導くだけだ!少年!」
シロッコの誤算は、この自分の本音ともいうべき考えを堂々とカミーユに述べて
しまったところであろう。少年はこのときに、自分が本当に、全能力をかけて倒す
べき敵は、パプティマス・シロッコであると認識した。しかしシロッコはまったく
この生意気な少年を埒外においていた。冷静さをうしない、憎悪が先にたち、カミ
ーユ・ビダンというエゥーゴ最強のニュータイプに対する正確な認識ができていな
かった。
我慢できなくなったシロッコは観客席から身をあらわして舞台のうえの役者たちを
狙撃しようとしたが、立ち上がると同時に劇場の扉がひらき、銃撃がきた。ファ・
ユイリィである。ハマーンもとっさに身を床に伏せた。
(ぬかった。もう一人脇役がいたとは・・・・)
邪魔さえ入らなければあの少年を撃ち殺すこともできただろうに、惜しいことだ。
(だが、まだ劇は幕を降ろしていない。本当の開幕はこれからだ。今はさしずめ、
休憩といったところか)
主演のいなくなった劇場をみてシロッコはおもった。もちろん、すぐ追いかけねば
ならない。
コロニーレーザーを脱出すべく、シャアは破損している百式に乗り込み
すぐにでも外に出ようとしたが、その百式をハマーンのキュベレイが追う。
キュベレイをファのメタスとともに翔びゆくZガンダムが狙撃する。
「構うな!脱出しないと、コロニーレーザーの発射に巻き込まれる」
言い終わると同時に、シロッコのジ・オが猛然とビームライフルを放ってく
る。百式に取りつこうとしたジ・オをZガンダムがさえぎる。
ー勝てる。
という自信が、シロッコを完全に支配していた。相手が子供のような俗人な
らなおさらであろう。そのMS、Zガンダムに乗っているあの生意気な少年
は、信じられないほどに増長していた。ここでケリをつけるのだという。
ニュータイプとしてのものの考え方を知らない。先を見通すだけの目をもたず、
自分の考えのみをかたくなに守りとおして、正義をしめしてくる(中略)
「エゥーゴには真のニュータイプというものがおらぬらしい」
と、シロッコはジ・オに執拗に攻撃をしかけてくるZガンダムをみて、思わず
嘲笑したい気分になった。
もはやエゥーゴは戦線を維持できなくなっていた。アーガマの左舷ブロック
が被弾し、負傷者とシンタ・クムを連れて軍医ハサンがはしる。
発射をしばらく待たせておいたブライトに、トーレスとサエグサが具申した。
今撃たなければ、ターゲットのティターンズ艦隊主力は殲滅できない。密集し
ている今こそチャンスなのだ。
だが、ブライトは待つように指示した。みんながコロニーレーザーから出るま
で待つ。見殺しにはできなかった。
コロニーレーザー内のシロッコは、ジ・オを流れてゆくアレキサンドリア級重巡
のうえに乗り、内部をみた。なんとかして、コロニーレーザーごと爆発させること
はできぬものか。
一方のZガンダムは、ハマーンのキュベレイと戦闘を展開していた。キュベレイの
ファンネルの威力にたじろぐカミーユ。
「これ以上偶然は続かんよ。カミーユ」
Zガンダムをしとめようとしたとき、思わぬビーム攻撃がきた。ファのメタスである。
見事にカミーユのサポート役に徹していた。呼吸はぴったり合っている。
そこへ、シャアの百式がキュベレイを狙撃しながらきた。脱出しろという。
「あなたは、まだやることがあるでしょう。この戦争で・・・戦争で死んでいった人た
ちは世界が救われるとおもったから死んでいったんです。僕もあなたを信じますから」
「君のような若者が命を落として、それで世界が救われるとでもおもっているのか」
シャアなりの信頼をあらわす言葉なのだが、カミーユはこれで満足しえたかどうかは、
わからない。
「新しい時代をつくるのは、老人ではない!!」
かれなりの名調子とともに、三機は脱出した。脱出をモニターで確認したブライトは
コロニーレーザー発射を命じた。サエグサが応じる。
充填された巨大なエネルギーは、アレキサンドリア内のエマの身体を飲みこんでいき
おいよく発射された。
このティターンズの事実上の艦隊総司令ガディ・キンゼー少佐は、さきに
ジャマイカン戦死後におこなわれた対アーガマ戦のとき、ヤザンを囮にし、
ガブスレイのジェリドとマウアーを伏兵として使用し、めざましい作戦展開
をした男である(中略)
実戦部隊総指揮官バスク・オム大佐横死後、シロッコは力量を買っていたガディ
と接触し、
「ガディ少佐。貴官に全ティターンズ艦隊の総指揮をお願いしたい」
と、頭をさげて頼んだ。ガディは船乗りとしての最高の栄誉に、相手がシロッコ
という食わせ者であるにもかかわらず勇躍してこれを受け、いままでどの
ティターンズ指揮官も展開したことのなかった模範的な艦隊戦闘をやってのけた。
もし、コロニーレーザーという切り札がエゥーゴになかったならば、ガディは最大
の名誉と称号を手にしていたであろうが、ツキはエゥーゴのほうへ傾いていた。
あっというまに、ガディはエネルギーにつつまれて、アレキサンドリアとともに消滅した。
ティターンズ艦船がつぎつぎに爆発しはじめた。シロッコがたのみとしていた主力艦隊は
ほぼ消滅した。