【ビヨンドコロニー】色恋アムロ、メタルギアをゆく【スナッチャー】

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1ノタコン
Big Shell Revil

「アムロ、頼みがあるんだ」
しばらく姿を見せなかったカツが突然現れ、そう言った。
アムロは顔をしかめた。カツの頼みにはろくなものがない。
「断る。レアだかなんだか知らんが、よくわからんモノのために
全米を駆けずり回るのは、もう・・・・・・」
「そうじゃないよ。妹のことなんだ」
「妹?」
2通常の名無しさんの3倍:03/01/19 18:37 ID:???

         .!.  !     , '"  ̄ `_ 、
           .|  .!  ./    ((.´ヽ'.ヽ
         l.  | /      ‐*.- ヽ
         |  | ,'   ___'`=''__.l
         !  ! i -<_______,`ゝ
         ! .l/  〈.  -=・=- -=・=-}-、
           l  !{   }      ,ハ    !f/
           l  !ヽ._ ノ    ,‘,,-,,',   .!ノ
           ! .!  i.ヽ.  ,'"-===-'; |
         .l. !  /\ \;; `''';;;'''´;/
          .| |,/ヽ、`ヽ、`ー''ー'i´
       ,. -! !,'ニ二.`ヽ 、` ー ' {` ー- 、__
    ,. ´  ,l |/ニ二`、   `ヽ、、| ヽヽ {  ` ー、
   / ⌒`ヽ l !' ー'ヽ、    ノノ ヽ、_ \V/   ヽ
  /        ! .|    i ` ー 、 〃    `丶、/ .⌒ ヽ
. / '  ̄   .! .|ヽ  | ヽ  `´、       `丶、  .ヽ
/ / 二 .rー} .|,...、 .!  ヽ  ヽ` 、       ` .、⌒ヽ
 // 三 ,f`-i .!| {          ヽ  ヽ          ` ヽヽ.
 {{    fヽ二二:}         ヽ   ` 、         ヽ
 | { 〃i {ヽ.二二:}   ┌、/´| |´ヽヽl´| i´ヽ ` 、       ` }
 ヽヽ ヽ `ー '    | 、v/l.! !.i 、ヽ.| .! ! 、ヽ|ヽ ` 、    〃
3通常の名無しさんの3倍:03/01/19 18:37 ID:???
どうしたんだアムロ?アムロ?アム―――――ロ!?
4ノタコン:03/01/19 18:41 ID:???
「うん。キッカって言って…」
カツはいつになく真剣な様子で語り始めた。
長らく音信不通だった義理の妹の消息がつかめたという。
NY海沖の会場除染施設「サイド3」でシステムプログラマをしているらしい。
アムロはその名に引っかかった。
「ちょっと待て「サイド3」といえば・・・」
5ノタコン:03/01/19 18:47 ID:???
「そう。例の噂、聞いてるだろ」
最近「サイド3」では職員の事故死が相次いで
いることで話題になっていた。
連続殺人、集団"うつ"病、果ては「サイド3」には悪魔がいる、
という噂まで流れている。今や
「サイド3」はスペースノイドのシンボルではなく、
タブロイド紙のネタ配給源となっていた。
「キッカが心配なんだ。様子を見に行ってくれないか?」
6ノタコン:03/01/19 18:51 ID:???
アムロは手を振った。
「警察にでも頼め」
「動いてくれる訳ないだろ」
「僕なら動くとでも?」
「そうじゃなくて、最近犯罪者組織同士の抗争が激化してるだろ?
連邦警察はそっちに手いっぱいでこっちになんかかまってくれないよ」
「俺ならかまうとでも!?」」
7ノタコン:03/01/19 18:55 ID:???
「胸騒ぎがするんだ。頼むよ!」
「自分で行け」
「そんなこと言わずに」
「嫌だ!!」

6時間後、アムロは「サイド3」のヘリポートに降り立っていた。
そこでアムロが見たものは、施設を制圧してゆく武装集団の姿だった。
アムロはコンテナに身を隠した。無線機からカツが呼びかけてくる。
「……テロかな?」
8ノタコン:03/01/19 19:01 ID:???
「わからないよ。だが少々危険な状況なのは確かだ。
お前のカンが当たったな」
「嬉しくないよ。キッカは大丈夫かな……」
「だといいが。この屋上のザク(MS-06)も連中が?」
アムロはヘリポートに駐機されているザクを横目で見ながら言った。
カツが答える。
「それは違うよ。三日前、海兵隊の演習中にトラブルを起こして
不時着したものらしい」
アムロはうなずいた。
「とりあえず事態の把握が先決だ。今から内部に潜入する」
9ノタコン:03/01/19 19:04 ID:???
「わかった。気を付けて。あ、それと……」
「なんだ?」
「キッカを見つけても僕のことには触れないでほしいんだ」
「どうして?」
「うん……長い間会ってないし……いきなりこんな状況でっていうのも……」
カツは口ごもった。何か複雑な事情があるのだろう。
アムロは了承し、「サイド3」内部へと向かった。
10ノタコン:03/01/19 19:06 ID:???
『 Big Shell Revil 』

TO BE CONTINUED...
ここはサイド3。Eエリア・24バンチ「タイガーバウム」だ。
目の前にザクが止めてある。
「こんなものに乗る奴は人間じゃないんだ。」

潜入するのにMSはいらない。戦闘ポッド(RB-79)だけで充分だ。
かさばる物はいらない。双眼鏡、生態センサー、前世紀のUSP銃のレプリカ。
(これは欠かせないよ…?)
もちろん胃に隠しておいた。
CIGS.....。
---Big Shell Revil-----------------
『サイド・3』は正体不明の武装集団に占領されていた。
キッカの身が気がかりだ。
彼女はどこにいるのだろうか。
敵発見、増援を送れ―――
了解―――

アステロイド訛りの鼻につく言葉は恐怖感を増大させる。
アムロは素早く港のコンテナに身を隠した。
…が様子がおかしい。
「他に誰かが……?」
武装集団はあさっての方向に気を取られているらしい。
「助かる、こんなに嬉しい事はない」
アムロは額の汗を拭った。半刻後、アムロは自分を呪う事になる。
廃棄した筈の戦闘ポッドを牽いて、偵察用ザク(MS-06E)が入港して来たのだ。
生態センサーはこの港のMSが有人でない事を物語ってくれる。
「潜入は知られてもそれが侵入だとは分かりはしないさ」
階段は下に伸びている。幸い、場所がら警戒は薄く宇宙線洗浄もうまくいった。
同時にコロニーに重力が発生し、敵の警戒領域が減りリスクも高まる。
アムロは荷物集積所を後にした…。
---Big Shell Revil-----------------
15ノタコン:03/01/19 20:55 ID:???
Dエリア(14バンチ)―Eエリア(タイガーバウム)間の
連絡港に出たアムロは気配を感じ、物陰に身を隠した。
足音と共に話し声が聞こえてくる。
男の声が言う。
「逃げた女は?」
別の男の声が答える。
「Cエリア(9バンチ)で見失ったらしい」
女?キッカのことだろうか。アムロは耳を澄ました。
「見失った?そりゃヤバイな」
16ノタコン:03/01/19 21:00 ID:???
「ヤバイのか?」
「詳しくは聞いてねぇが、アレを取り返すのに必要らしい。
つまりあのクソガキを捕まえないことには俺たちもヤバイってことさ」
アムロは男達が話す姿をうかがった。
装備は軍隊並だが、物腰からして軍人とは思えない。
話は続く。
「それと聞いてるか?さっき港で……」
「ああ、『サイド・3』の悪魔だな」
17ノタコン:03/01/19 21:03 ID:???
「俺達が回収に来たとあれば、奴は必ず出てくるだろう。
見つけ次第……」
「ケツを蹴り飛ばす」
「いや、それじゃ足りない。殺すんだ。奴はこっちの人間を三人も
殺している……」
男達は話しながら遠ざかっていった。アムロはカツを無線で呼び出した。
カツが声を荒げる。
「その『逃げた女』ってのがキッカに違いないよ!」
18ノタコン:03/01/19 21:06 ID:???
「奴らは『サイド・3』の悪魔に仲間を殺されたとか言っていた……
どういうことだと思う?」
「わからないよ。そんなことよりCエリア(9バンチ)に向かってくれ。キッカが……」
カツの言う通り、今はキッカを助けることが第一だろう。
アムロはCエリア(9バンチ)に向かう事にした。
19ノタコン:03/01/19 21:07 ID:???
『 Big Shell Revil 』vol.2

TO BE CONTINUED...
宇宙港――
一息付く間も無く、アムロは妙な光景を目の当たりにする。
「個人所有のコロニーでこの兵士の数は異常だ…」
多くの艦が着艦されている中にも、生態センサーは確実に反応する。
哨戒中の兵―MSから出てきた所を見るとそうだろう―が
何か連絡を取り合っているのをアムロは素手で背後から殴り飛ばした。
「連邦兵にしては変だな…パス…それにドックタグすら持っていない」
足を掴み兵を上下されるも銃以外何も持ってはいないようだった。
「いたぞ!直ちに救援を遅れ!!」
見張りがいたらしかった。やはり民間にしては警備が厚過ぎる…。
もはや一刻の猶予も無かった。

…後にムサイと呼ばれる軽巡洋艦の中にアムロの姿はあった。
USPの跳弾の音は兵士の気を引き付けるのに充分だ。
宇宙の戦艦は多次元格納。メンテ用途のハッチが隠れるのにはうってつけだ。
「僕が一番、うまく銃を使えるんだ」
---Big Shell Revil vol.2----------------
『サイド・3』は正体不明の武装集団に占領されていた。
キッカの身が気がかりだ。
彼女はどこにいるのだろうか。
彼女はCエリア(9バンチ)のどこかに逃げ込んだという。
サイド3・Dエリア14バンチは軍事工場があると言う噂はアムロでも知っている。
ここで日夜MSが生産されているのだろうか。
炎の匂いが染み付いて、むせる。これは職業病みたいな物だろう。
(そういえば僕は正規の兵士じゃなかったな……)
用も無いのでさっさとスルーしたいところだ。
Cエリア(9バンチ)―Dエリア(14バンチ)ライン上。
アムロは油断していた。
「…監視カメラか!」
USPで破壊するも、時既に遅し。
雪崩れ込む兵。非常用マトックで内側の壁がこじ開けられた。
上下が確定しているこのタイプの艦は格納庫の位置くらい決まっている…!
「わるいが…このまま突っ切らせてもらう」
FF-4空間機動戦闘機(トリアーエズ)を奪取したアムロは9バンチへと急ぐのだった。
Cエリア9バンチは観光コロニーで有名なスポットだ。
いつもは人で賑わうこのコロニーも今は何故か空いていた。
追手もいない。空間機動戦闘機はここでおさらばだ。
「足が付くのだけは避けないとな」
---Big Shell Revil vol.2----------------
26ノタコン:03/01/19 22:33 ID:???
アムロは食料庫の中でしゃがみこんでいる
女にゆっくりとちかづいた。
「キッカ、だな?」
「誰?なんで私の名前を!?」
キッカを落ち着かせるように、アムロは言った。
「安心しろ。僕は味方だ。助けに来た」
「……味方?」
「そうだ」
「助けに?」
「ああ」
27ノタコン:03/01/19 22:36 ID:???
「……ホントに?」
「ホントだ」
アムロは言ったが、キッカはまだ疑わしげな目つきで
こちらを見ている。
「……そんなに信用できない人間に見えるのか?」
「あなたの家、親ないの?」
アムロは反論しようとしたが、先にキッカがしゃべりだした。
「まあいいわ。で、あなたはどうして私を助けてくれるの?」
自分のことには触れないでいてほしい、というカツの言葉を
アムロは思い出した。
「……それは言えない」
28ノタコン:03/01/19 22:52 ID:???
「……どうして?」
「言えないからだ」
キッカはアムロを上から下まで見回した。
納得はしてないが、もう警戒もしていないようだ。
「……ヒーローの押し売りなんて聞いたことないけど
悪い人じゃなさそうね……あなた、名前は?」
「ニュータイプ」
突然キッカは立ち上がり、アムロの耳を引っ張った。
「もしもし?コトバワカリマスカ?私はなんて名前ですか?って聞いてるの。
名前聞かれてニックネーム答える人いる?」
キッカは手を離し、アムロの目を覗き込んだ。
「本名は?」
29ノタコン:03/01/19 22:53 ID:???
「捨てた」
「はぁ?」
「僕の世界では必要とされないものだ」
キッカは軽く顔をしかめた。
「んー……悪い人じゃなさそうだけど、なんかちょっと
変な人みたいね……まあいいか。じゃあ……?ニュータイプ?」
「……アムロと呼んでくれ」
アムロはため息を吐いた。この娘と話すと妙に疲れる。
「意外と細かいとこ、こだわるのね……じゃあアムロ?あなた……」
アムロはキッカを遮った。
「そろそろ僕にも質問させてくれ」
30ノタコン:03/01/19 22:59 ID:???
キッカは不機嫌に口をすぼめた。
「・……いいけど?」
「どうして連中は君を探してるんだ?」
「私が可愛いからじゃない?」
言葉を返せないでいるアムロに、キッカは少しがっかりしたようだった。
「……もしくは私がパスコードを変えてコンピュータシステムをロックしたせいかも」
「どういうことだ?」
キッカが言うには、この『サイド・3』を占拠した連中がコンピュータシステムを
使って何かしようとしているのを見たと言う。そして見張りの隙をついて
逃げ出した後、システムに変更を加え、奴等がつかえないようにしたらしい。
「時間稼ぎになるし、嫌がらせにもなると思ったから」
31ノタコン:03/01/19 23:04 ID:???
後者の比重の方が高そうだとアムロには思えた。
「で、奴等は何をしようとしてるんだ?」
「知るもんですか」
「『サイド・3』の悪魔とやらが関係しているのか?」
「なんですって?」
キッカが大袈裟に驚く。
「奴等は『サイド・3』の悪魔に仲間を殺されたと言っていた。
『サイド・3』の悪魔とは一体何者なんだ?」
キッカがアムロをすごく嫌そうな顔で睨み付けてきた。
「……なぜそんな目で見る?」
32ノタコン:03/01/19 23:12 ID:???
「だって『サイド・3』の悪魔だなんて、ばかばかしい」
手をひらひらと振る。
「いい?確かに、この一ヶ月で三人も亡くなってるのは事実よ。始めに
二人が相次いで行方不明になって、その直後に赴任して来た人もすぐに・……
でもそれは全部事故なの!それを幼稚な『伝説』と結びつけて……」
「『伝説』?『サイド・3』の悪魔の話は前からあったと?」
「そう。昔、息子さんが死んでショックを受けた職員が自殺しようとしたんだけど、
死にきれずに大怪我を負ったそのままの姿で住み着いてるとか、そんな話……」
瞳が一瞬震えたような気がしたが、キッカはすぐに明るい声をだした。
「ほら、その手の怪我めいた話ってこういう場所にはつきものでしょ?
……誰もいないはずの区画で人影を見たとかいう人もいるけど、私は
職員がサボってただけだと思ってる」
「だが……」
33ノタコン:03/01/19 23:18 ID:???
「思ってるんだってば!!」
キッカがムキになる。
「落ち着け。僕もそんなお化け話信じちゃいない」
「そうよね?」
キッカはほっとしたような笑みを浮かべた。
「ああ。だが可能性を検討しておきたい。この施設に
部外者が入り込む事は可能なのか?」
キッカは少し考えて答えた。
「……『サイド・3』は自動化が進んでいてほとんど無人区画なの。
だから可能だとは思うわ。だけど……」
突然食堂の扉が開いた。怒号と共に敵が室内になだれ込んでくる。
34ノタコン:03/01/19 23:18 ID:???
「思ってるんだってば!!」
キッカがムキになる。
「落ち着け。僕もそんなお化け話信じちゃいない」
「そうよね?」
キッカはほっとしたような笑みを浮かべた。
「ああ。だが可能性を検討しておきたい。この施設に
部外者が入り込む事は可能なのか?」
キッカは少し考えて答えた。
「……『サイド・3』は自動化が進んでいてほとんど無人区画なの。
だから可能だとは思うわ。だけど……」
突然食堂の扉が開いた。
35ノタコン:03/01/19 23:20 ID:???
長話をしすぎたらしい。
アムロは舌打ちと共にUSPを抜き、叫んだ。
「キッカ、下がってろ!」
36ノタコン:03/01/19 23:20 ID:???
『 Big Shell Revil 』vol.3

TO BE CONTINUED...
37ノタコン/ ◆UYdK..EGO. :03/01/19 23:23 ID:???
---Big Shell Revil vol.2----------------
『サイド・3』は正体不明の武装集団に占領されていた。
キッカの身が気がかりだ。
彼女はどこにいるのだろうか。
彼女はCエリア(9バンチ)のどこかに逃げ込んだという。
---Big Shell Revil vol.3----------------
キッカの無事を確認したのもつかの間、
気がつくと俺達は敵に包囲されていた。なだれ込んでくる
敵兵達。キッカを守るためには奴らを全て倒さなければならない。
アムロは部が悪かった。しかし……
「悪いけど、キッカは奴らにとっても重要だよ……」
兵はキッカに銃を向けられない。そこを利用すべきなのかもしれない。
生憎ここは狭い部屋だ。
滅多な武器は使い物にならない。
40ノタコン:03/01/19 23:44 ID:???
突入してきた敵は全て倒した。アムロは銃を収め、
しゃがみ込んだキッカに近づいた。肩に手を置いて声をかける。
「キッカ、大丈夫か?」
「ええ……」
キッカはうつむいたまま答えた。アムロの目を見ようとはしない。
「キッカ?」
「……知り合ってまだ10分とたっていないけど、あなたについて
わかったことが一つあるわ。」
「なんだ?」
41ノタコン:03/01/19 23:50 ID:???
「あいつらと一緒。暴力が得意」
強気を装っているがその声は震えていた。
アムロは諭した。
「殺らなければ殺られる。これが俺の生きてきた世界、そして君が今いる場所だ。
生き残りたければ強くなれ」
キッカが顔を上げた。
「……もう一つわかったわ。自分を正当化するのも得意」
しかしアムロを見上げてキッカは気づいた。
べったりついた返り血。戦闘に疲弊した顔。全身の怪我。
キッカは目を伏せた。それらは全てキッカを守るために負った傷だと悟った。
「……ごめんなさい」
42ノタコン:03/01/20 00:01 ID:???
キッカはレーションをアムロに差し出した。
「これ……」
「気にするな。なんてことはない」
アムロは言った。
「話の途中だったな。他の人質は?」
「サイド3「14バンチ」中央棟の一階に集められてる。まだ誰も危害を
加えられてないみたいだけど……」
キッカは口ごももった。あくまでも『まだ』に過ぎないということだろう。
「わかった。何とかしよう。君はここに……」
「待って!14バンチ中央棟には行けないの」
「なに?」
43ノタコン:03/01/20 00:07 ID:???
「Dエリア「14バンチ」にあるシェル1シェル2連絡橋への扉を
ロックしたの。カードを使っても開けられない」
「どうすればいい?」
「Bエリア「3バンチ(マハル)」のノードにアクセスして、パスコードを
入れればいいわ」
キッカは16桁の英数字を口にした。アムロはうなずいた。
「わかった」
キッカがおどろく。
「メモとかしなくていいの?」
「僕の世界ではメモはしない」
44ノタコン:03/01/20 00:13 ID:???
アムロはパスコードを復唱してみせた。キッカが感心する。
「あなたって暗記も得意なんだ」
「Bエリア「3バンチ」だったな。君はここにいろ。僕が行く」
「でも……」
「任せておけ。『お使い』も得意だ」
「わかった。これを持っていって。予備のセキュリティカード。
Bエリア「3バンチ」へ行くのに必要なの。私はもう1枚自分の持ってるから」
アムロはキッカからカードを受け取った。
「すぐに戻ってくる。何があってもドアを開けるな。音も立てるなよ」
キッカはうなずいて食料庫の扉を閉めた。
45ノタコン:03/01/20 00:14 ID:???
『 Big Shell Revil 』vol.4

TO BE CONTINUED...
46山崎渉:03/01/20 14:46 ID:???
(^^)エヘヘ
47通常の名無しさんの3倍:03/01/20 15:40 ID:???
ほとんど一人かよ!
---Big Shell Revil vol.4----------------
人質が捕らわれているサイド3・エリア2へ行くには、
サイド3・エリア1-サイド3・エリア2連絡港の扉を開けなけれ
ばならないとキッカは騙る。そのためには、
Bエリア・3バンチ(マハル)のノードにアクセスすればいいらしい。
Cエリア9バンチは観光コロニーである。
本来なら賑わっている筈のこのコロニーの様子がおかしい。
(罠……違うな。どうもキナ臭い匂いがする)
キッカの隠れている食料庫を後にする。
ここから3バンチまでは直ぐだ。急ぐ事は無い。
トイレに入って落ち着くとでもしよう。
スイッチを押しても水が流れないのでアムロは便器を破壊した。
「ちゃんと流せられれば…どうと言う事は無い」
…便器の中には催眠銃M9と敵が持っていた物と同じ型の銃が入っていた。
何故か中が空洞になっており、隠し窓が付随していたのだった。
「奴ら、こうやって武器を密輸していたのか」
アムロは敵の銃らしき物を手に持って観察する。
(敵兵が持っている銃は銃と言うには余りにお粗末な…
しかし、見た事も無い…。)
アムロの思う所―唯一の正規ライセンスである―地球連邦製とは
明らかに違う物だった。
(シリアルナンバーは……削られている……)
Bエリア3バンチ-Cエリア9バンチ連絡港――
ここを通るのは楽だ。監視の為の宇宙「ブイ」
とでも呼ぶべき物は漂っている……が、それにさえ、
見付からなければいい。
観光の設備としての作業用ポッド、警備ポッド、非常用ポッド…
全てRB-79(ボール)の亜種であるが操作性も互換らしい。
アムロはそれを拝借する事になった。
地平線、海、空。
模式的に作られたものだが「地球の匂いがする」風景がそこに有る。
「ここが宇宙だって事、忘れちゃうよ」
---Big Shell Revil vol.4----------------
52ノタコン:03/01/20 19:09 ID:???
アムロはノードへアクセスした。
キッカから教えられたパスコードを入力する。
しばしの間をおいてサイド3・エリア1-サイド3・エリア2連絡港の
扉が開放された旨のメッセージが表示された。アムロが
Cエリア「9バンチ(マハル)」へ引き返そうとしたその時、
どこかのスピーカーから声が聞こえてきた。構内放送のようだ。
「……『サイド・3』の悪魔に告ぐ。女から渡されたコントロールキー
を使ってシステムロックを解除しろ。今から15分以内だ。さもなくば
女の命はない。繰り返す……」
53ノタコン:03/01/20 19:12 ID:???
声は流れ続けた。
背中に冷たいものが走る。女とはキッカのことに違いない。
敵に捕らわれたのか?だがコントロールキーとは何だ?
アムロはカツを無線で呼び出した。カツが取り乱す。
「キッカが!?君は一体……!?」
「落ち着いてくれ。今はどうやってキッカを助け出すか考えなければ……」
「……わかったよ」
「奴らの言うコントロールキーとは、このキッカから渡された……」
54ノタコン:03/01/20 19:18 ID:???
「いいや、それはセキュリティカードだ。ドアを開けるためだけのものだよ。
コントロールキーは『サイド・3』のシステム管理者だけが持っている認証鍵で
文字どおり鍵型の指紋認証……要するにそれがなければ『サイド・3』の
コンピュータシステムを変更できないっていうものだ。システムロックを
解除するにはコントロールキーがないと……」
「さっきのパスコードで操作することは出来ないのか?」
「無理だ。パスコードで入れるのはレベル3までで、それよりも上のアクセス権を
得るにはコントロールキーが必須なんだ」
「詳しいな」
「そんなことより、キッカからは他に何も渡されてないのかい?」
55ノタコン:03/01/20 19:23 ID:???
「ああ。奴等は一体何を勘違いしてるんだ?」
「……キッカがテロリストに嘘を教えたのかもしれない」
「本物の『サイド・3』に渡したという可能性もあるな」
「それはないだろうね」
カツが即答した。アムロが聞き返す。
「なぜそう言い切れる?」
「君だって、そんな奴がいるとは信じてないだろう?
そんなことよりキッカだ!」
「そうだな。だがキッカがどこに捕らわれているか、わからなければ……」
「そうだ!それならわかると思うよ!!」
56ノタコン:03/01/20 19:31 ID:???
「なに?」
「キッカは自分のカードを持ってるって言ってただろ?『サイド・3』の
セキュリティカードは、無線識別技術、RFIDを採用してるんだ。
RFIDはICチップと無線データ送信機能を備えていて、無線読取装置が
認識できる範囲にあるIDを検出することが出来る。『サイド・3』は
リアルタイムで全てのカードデータを統合管理してるんだけど、それは
レベル3でアクセス可能なんだ!」
カツが早口でまくしたてる。アムロは聞いた。
「……つまり?」
「つまり、ノードを使えばキッカがどの脚部にいるか」わかるってことさ!
アムロ、さっきのパスコードでノードにアクセスしてみてくれ」
アムロはカツの言う通りにノードを操作した。幾つかの手順を経た後、
ディスプレイ上のFエリア「29バンチ」が点滅を始めた。
「キッカはFエリア「29バンチ」だ。アムロ、Fエリアに向かってくれ!」
57ノタコン:03/01/20 19:31 ID:???
『 Big Shell Revil 』vol.5

TO BE CONTINUED...
---Big Shell Revil vol.5----------------
俺がBエリア(3バンチ・マハル)へ向かっている間に
キッカが捕らえられてしまった。だがカツの協力で
キッカはFエリアのどこかにいることが判明する。
何としてもキッカを救出しなければならない。
何も、問題は無い。だが、Fエリア(29バンチ)へ行くとすれば、
今迄来た道を引き返さなくてはならない――
「……きっと、大丈夫さ……?」
カツが答える。心配しているのだろうか。
無線を通す彼の息遣いは…荒い。
「心配するな。それよりも…」
非常用に改修されたポッド(ボール)は意外と快適だった。
エアコンさえ付いていればどうと言うことは無い。
「戦いが終わったらぐっすり眠れるって言う保証はあるのかい?」
Cエリア(9バンチ)に、やはりキッカは居なかった。
こうなっては「イヤガオウ」にも悪い予感が増大してしまうものだ。
彼是している内に、黒服に見付かってしまった。
ここには食料庫がある。隠れるにはうってつけだ。
やり過ごしたら用はもう無い。
丁度、カタパルトで艦が出航しようとしていた。
これに便乗させてもらうことにした。
「まるで小判ザメみたいだな」
ここはDエリア(14バンチ)……
カツは調べ物でもしていたらしい。今まで回線は開いてこなかった。
「そこは厳重な警備なのかい?」
「ああ」
「軍事工場があるって噂……」
「そうだな。正規の工場ならこんな所には立てられない。
ましてやスペースノイドに武装を嫌う「地球側」の線はない」
空気が独特なのである。そして…厳重すぎる。
(下見はここまでだ。厄介被るのはゴメンだ)
タイガーバウム24バンチには、続々とコンテナが増殖中だった。
機動巡洋艦(ザンジバルから)荷物が運び込まれている様だ。
「これは…ビーム用か?」
アムロは箱を開けて驚愕した。
これは個人で扱うには余りにも余計な…『重金属』。
「何故…?彼らにそんな技術は無い筈だ」
63ノタコン:03/01/21 22:42 ID:???
アムロはFエリア「29バンチ」への扉をくぐった。
キッカはこのFエリアのどこかに捕らわれているはずだ。
ここからはより慎重にいかねばならない。
敵に発見されれば、奴等は容赦なくキッカを殺すだろう。
敵に見つかることなくキッカを探し出さなければならない。
(ここは武器庫…なのか…!)
Fエリア「29バンチ」に潜入は、できた。
がしかし、アムロは髑髏印のはいったコンテナの数に圧倒された。
武器、弾薬、MS用の薬莢。油に塗れたラベルを拭ってみると、
アルファベットが下から、浮き上がって来る。
「『[ZIMMAD]』…聞かないな?」
鍵は、掛かっていない。
「クレイモア……こんなものまで……」
「アムロ、キッカを早く」
「鼓膜が破れるかと思ったよ、そう焦るなカツ。
ここは警戒が厳重なんだ。それに、すぐみつけるさ」
アムロはとびきりの大きい、赤い扉に目を付けた。
---Big Shell Revil vol.5----------------
65ノタコン:03/01/21 22:49 ID:???
アムロはキッカを見つけた。
「キッカ!」
キッカはしゃがみこんだまま、顔を上げた。
「遅かったじゃない!」
ふくれっ面をしてみせる。怪我はないようだ。
「悪かった。『コントロールキー』を探すのに
手間取ってな」
アムロの皮肉に、キッカはへろっと舌を出す。
「ああ、あれね……いい時間稼ぎになったでしょ?」
全く悪びれた様子は無い。カツの推測通り、奴等に
嘘をついたということなのだろう。
アムロはキッカを咎めた。
「どうしてあんな危険なことを?一つ間違ったら……」
66ノタコン:03/01/21 22:52 ID:???
「あいつらの好きにさせるのは嫌だったから。
それに、信じてたし」
「何を?」
「ちゃんと助けに来てくれるって」
アムロは首を振った。
「そういう問題じゃないだろう。とにかくああいう危険なマネは……」
「わかってる。それより聞きたくない?奴等が何を探してるのか、
わかったの」

「なんだ?」
「麻薬よ」
67ノタコン:03/01/21 23:04 ID:???
キッカは捕らわれながら見張りから聞き出したという話を語った。
『サイド・3』を占拠している武装集団はスペースノイド系
犯罪組織の構成員らしい。組織は職員の何人かを抱き込み、
『サイド・3』を麻薬密輸の中継地として利用していた。
夜間に宇宙海上の密輸船から小型艇で『サイド・3』へ麻薬を搬入し、、
施設からの搬出物に紛れて国内に持ち込む。近年強化されている
港での摘発をかいくぐるための手口だったという。
68ノタコン:03/01/21 23:10 ID:???
そして…
69ノタコン:03/01/21 23:23 ID:???
一ヶ月前、約600kg、末端価格にして700万ドル以上に及ぶ
大量の超硬スチール合金が運び込まれた。そして次の日、
組織の手引きをしていた職員二人が相次いで事故死。
組織は即刻調査のために組織の人間を
派遣したが、その人物も到着後間もなく事故で死んだ。
組織の幹部達はこの事実を、近年超硬スチール合金を
巡って対立していた別の犯罪組織による合金強奪と
判断し、その奪回のために武装集団を投入した、
というのが顛末だと言う。
アムロは聞いた。
「つまり、『サイド・3』の悪魔とは……」
70ノタコン:03/01/21 23:24 ID:???
キッカはなぜかうれしそうに微笑んだ。
「そう。お化けなんかじゃない。『条約違反の物』を横取りするために
『サイド・3』へ入り込んだ対立組織の殺し屋だったってこと」
「……ということは、君は奴等に、僕が組織の殺し屋だと言った
ってことだな?」
「ま、まあいいじゃない、過ぎたことは……」
アムロはそれ以上追求するのはやめて、別の疑問を口にした。
「で、それだけ大量の『条約違反の物』がこの『サイド・3』のどこにあるんだ?」
キッカがかぶりを振る。
「見当もつかない。ちっとも気がつかなかったもの。今でも信じられない……」
71ノタコン:03/01/21 23:29 ID:???
アムロも首をひねった。他の職員に知られないように、数百キロにも及ぶ
『条約違反の物』を隠し続けることが可能なのだろうか。
だが考え込んでいる時間はなさそうだった。今だ多くの人質が
捕らわれたままになっている。彼らを助け出さねばならない。
アムロはキッカに確認した。
「人質はサイド3「14バンチ」中央棟だったな?」
「ええ……」
キッカは立ち上がろうとしてよろけた。足元がふらついている。
「大丈夫か?」
72ノタコン:03/01/21 23:39 ID:???
「うん、ちょっと……実は奴等に何か打たれたの。
今度は逃げられないようにって……多分鎮静剤か何かだと思うけど
・……お陰で足が……」
キッカがまたバランスを崩す。アムロはキッカを支えた。
こんな状態になりながらも敵から情報を収集し、その上悪態を
つくことを忘れない。芯の強いところは義理の兄とよく似ていた。
「もう充分だ。君は隠れていろ」
「いいえ。連れて言って」
「だが……」
73ノタコン:03/01/21 23:40 ID:???
キッカはまっすぐアムロを見つめた。
「あなたには二回も助けてもらったわ。今度は私が手助けしたい。
きっと役に立つから……お願い!」
結局アムロは折れた。サイド3「14バンチ」中央棟へは
Dエリア14バンチを渡ればいい。二人はDエリアへ向かうことにした。
74ノタコン:03/01/21 23:40 ID:???
『 Big Shell Revil 』vol.6

TO BE CONTINUED...
75通常の名無しさんの3倍:03/01/22 20:07 ID:???
ノタガンガレ
76通常の名無しさんの3倍:03/01/22 20:32 ID:???
そろそろ中ボス級の敵が登場するころか?
---Big Shell Revil vol.5----------------
キッカは何とか無事だった。だがまだ多くの
職員がサイド3「14バンチ」中央棟に捕らわれている。
人質を救出するため僕とキッカはDエリアから
「14バンチ」中央棟へ向かう事にした。
予想以上に、骨が折れた。
何にせよ、キッカを連れていかなければ、ならない。
「死んでも僕には恩給でないんでしょ」
キッカが怪訝そうな顔でアムロを見ている。
この状態では無防備だ。いくら誘爆の危険性もあるのだろう。
そして大好きな箱にも隠れられないと来た。
これでは狙って下れとでも言ってる様なものだった。
アムロは皮手袋を口で剥ぎ、五指を差し出す。
「……独り言さ」
「……たな」
「どうしたの?」

「僕が乗ってきたボールは一人乗りなんだ」
キッカは…何か思い出したような顔を見せた。
なんでも、捕らわれた時、敵兵が何か落としていったという。
「!、それはカードキーじゃないか」
「解ったら一緒に船探してよ」
物は直ぐ見つかった。こんな辺境に単独で停めてある
輸送機(テンプテーション)といえばそうそう無い。
80ノタコン:03/01/22 22:59 ID:???
アムロとキッカはEエリア26バンチ(タイガーバウム)に到着した。
敵の姿はない。ただベルトコンベアの移動音だけが響いている。
流れ続ける荷物を目にしたキッカが突然声を上げた。
「わかった!」
「どうしたんだ?」
「わかったの。奴等がどこに『条約違反の物』を隠していたのか」
キッカはノードに近づくとすぐさま操作を始めた。
「一体……」
「ちょっと待ってて」
81ノタコン:03/01/22 23:11 ID:???
しばらくするとベルトコンベアからコンテナが吐き出されて来た。
キッカがそれを開け、中に入っていた浄水設備のスペアパーツと
思しき器具類を放り出す。その下には白い粉の入ったビニール袋が
ぎっしり詰め込まれていた
「これ一つじゃないわよ」
キッカの言葉を裏付けるように、次々とコンテナが運び込まれてくる。
「どんなにうまく隠しても、一ヶ所に置いておけば必ず誰かに見つかる。
だからどこにも行きつかずに『サイド・3』中を周回する荷物をいくつも
設定して、その中に『条約違反の物』を隠していたのよ」
「だから奴等はコンピュータシステムに拘っていたのか……」
82ノタコン:03/01/22 23:13 ID:???
感心するアムロを傍目にキッカはまたノードをいじっていた。
携帯端末(PDA)を取り出してノードに接続する。
「今度は何をしてるんだ?」
「うん。ちょっと気になるものを見つけたの。
……これは……」
その時、ベルトコンベアの後ろから人影が現れた。敵だ。
敵は二人の姿を認めるなり駆け去った。アムロは
すぐにその後を追おうとしたが、キッカにその手を掴まれた。
「待って!」
「離せ!仲間を呼ばれるぞ!」
「わかってる。だから待つの!」
83ノタコン:03/01/22 23:17 ID:???
キッカはノードをすごい速さで操作し始めた。
「一体何をする気だ?」
「このまま逃げてもすぐに追いつかれちゃう。……だから……」
間もなく扉の外から大勢が集結する気配が流れてきた。
足音、指示を飛ばす声、遊底を滑らせる音。アムロはまだ
ノードにかじりついているキッカへ叫んだ。
「キッカ!」
キッカがノードから離れる。
「これでなんとか。さあ、逃げましょう!DE(14バンチ-24バンチ)連絡港よ!!」
扉が開いた。
84ノタコン:03/01/22 23:48 ID:???
---Big Shell Revil vol.5 chapter2---------------
『条約違反の物』の隠し場所を見つけた僕達だったが
敵に発見され包囲されてしまう。次から次へと現れる敵兵達。
だが奴等の囲みを突破し、必ずキッカと共に
DE(14バンチ-24バンチ)連絡港へ脱出してみせる。
………雨のような弾丸が飛び散る。
アムロはその中でも…キッカを守らねばならない。
アムロの指がトリガーを引くたびに、武装兵士は項垂れていく…。
「きゃあ」
キッカは頭を抱え、震えている様だが…そんな余裕は、無い。
薬莢が飛び散り、閃光が走る。耳の横を掠める弾がアムロの闘志を付けた。
(僕が焦ってるだと!?僕は冷静だ!)
クレイモアだ。設置して、物陰で……待つ。
絶叫する兵士。センサーが作動したのだ。今のうちだ……
アムロは港へ急いだ。
---Big Shell Revil vol.5 ---------------
86ノタコン:03/01/23 00:00 ID:???
二人はなんとかEエリア「タイガーバウム」からDE(14バンチ-24バンチ)連絡港へ
抜け出した。アムロはキッカを背後にかばい、Eエリアを振り返った。
後方を警戒する。奴等はすぐに追ってくるだろう。銃把へ新しい弾薬を叩き込み、
Dエリア(14バンチ)へ急ぐようキッカをうながす。だがキッカはのんびりと答えた。
「そんなに急がなくても大丈夫だと思うな」
しばらく待ったがEエリア港のドアが開くことはなかった。
閉じた扉の向こう側からドアを叩く音と喧騒が聞こえてくる。アムロはキッカを見た。
「君が何かやったのか?」
87ノタコン:03/01/23 00:11 ID:???
「ノードを使って、私達が脱出したらEエリアの扉全てが閉鎖されるように設定したの。
あの人達、もうどこへも行けないわ」
キッカは胸を張った。Cエリア(9バンチ)でアムロに助けられた時の経験が
ヒントになっているという。Dエリア(14バンチ)に入る。アムロはあたりを見回したが、
ここにも敵の姿は見えない。奴等はEエリアに総動員をかけたようだった。
おそらくEエリア以外のサイド・3脚部に残っている敵はわずかだろう。
人質を解放するのも難しいことではなさそうだ。
二人はDエリアを抜け、サイド・3エリア1-サイド・3エリア2連絡港に出た。
ここにも敵の姿はない。キッカが得意げに微笑む。
「言ったでしょ、大丈夫だって。役に立った?」
「上出来だ」
88ノタコン:03/01/23 00:15 ID:???
アムロはうなずきながら、キッカがノードに携帯端末(PDA)を
つなげていたことを思い出した。
「そういえば他に何かしてたな」
「そうそう、忘れるところだった」
キッカは携帯端末(PDA)を取り出した。
「ベルトコンベアを操作してた時、貨物制御設定ファイルの近くに
変な隠しファイルがあるのを見つけたの。で、ダウンロードしてきたんだけど……」
携帯端末(PDA)にファイルが表示される。
89ノタコン:03/01/23 00:26 ID:???
ファイルは最初に事故死した職員、つまり『条約違反の物』密輸の手引きをしていた
職員の手記のようなものだった。
それによると、彼が密輸に協力していたのは、妻子を人質に取られていたからだったという。
だが一年前、既に妻子が逃亡を図った末に殺されていたことを知った。彼は絶望した。
死のうと考えた。だが思い直した。ただ死ぬわけにはいかない。復習を果たさなければならない。
奴等に出来るだけ多くの血を流させてやらなければならない。
彼は一年かけて計画を完成させた。
90ノタコン:03/01/23 00:29 ID:???
それは、自分が対立組織に殺され『条約違反の物』を奪われたと見せ掛けて、組織同士を
抗争させ共倒れさせるという謀略だった。対立組織が『条約違反の物』を狙っていると
言う偽情報を充分に流した後、彼は行方不明になった振りをした。直後に自分の
お目付け役として組織から派遣されていた男をクレーンで押し潰し、その後、
組織が調査のために送り込んできた男も海へ突き落とした。思惑通り、
アステロイドベルトでは組織同士の抗争が始まった。もう思い残すことはない。
これから妻子の元にいく。最後に、これを読んでいる人間に対して、もしよければ
殺された妻子のために祈ってやってほしい、と綴ってファイルは終っている。
その日付は三日前だった。アムロは携帯端末(PDA)から目を上げた。
「……つまり『サイド・3』の悪魔は死んでいる、と?」
91ノタコン:03/01/23 00:47 ID:???
キッカも驚きは隠せない様子だった。
「そういうことになるわね……実はもう一つファイルを取ってきたんだけど……」
アムロの耳がかすかな飛来音を捉えた。とっさにキッカを抱きかかえる。
爆発。爆風がアムロをキッカもろとも床に叩き付ける。
キッカがアムロの腕の中でうめいた。
「何!?」
轟音と爆風が頬を叩く。連絡港の中空、ゆらめく陽炎の向こうにザク(MS-06)が
滞空していた。
キッカがそう全とつぶやく。
「そういえば、Eエリア(タイガーバウム)から出られるモノが一つあったっけ……」
92ノタコン:03/01/23 00:56 ID:???
機銃掃射が襲いかかる。二人はDエリア(14バンチ)への入り口まで…小型艇で…駆け戻った。
「どうするの?」
「やるしかないな」
「どうやって?」
「これから考える」
「そんな!」
声を上げるキッカを、アムロは有無を言わせず小型艇からDエリア港の扉の向こうに突き飛ばした。
「何するの?」
「そこからこちらには来るな。決してだ」
「でも!」
「一つくらいは言うことを聞いてくれ」
アムロは笑ってみせた。
「約束したんだ。君をちゃんと連れてかえるとな」
「え!?」
93ノタコン:03/01/23 01:01 ID:???
扉が閉まった。
バーニアの羽音が近づいてくるのが聞こえる。カツのFF-4(TORIARES)だ。
「アムロ、これを使うんだ!」
カツが操縦席から箱を投げて寄越した。
宇宙用スティンガーだ。これで何とか勝負になるかもしれない。
アムロはザク(MS-06)へ向き直った。
94ノタコン:03/01/23 01:03 ID:???
『 Big Shell Revil 』vol.6(Realy)

TO BE CONTINUED...
ザクのモノアイ型カメラがアムロの小型艇を捕らえた。
マニピュレーターが本来の用途で動く様は、
アムロの危機感を募らせるだけだ。
そして…拳の打音だけが操縦席を走る。
(何て旧式なんだ……音声合成も無いじゃないか……)
蛇行しながらマニュアルの偏光ペーパーを捲っても
戦闘用の情報は無い。
瞬間、モニターのレーダーが赤い残像を残した。
相対速度で弱まってるとはいえ、バズーカの衝撃は凄まじい。
「こうなったら…やるっきゃない」
コクピットを開放し、スティンガーが火を噴いた……が、
「うわあああああ」
錐揉み回転するアムロの小型艇。それはコロニーの羽に
ちょうど、刺さるようにして止まった。
煙がもうもうと操縦席に込み上げてくる。
(リコイルかよ)
96保守:03/01/23 20:08 ID:???
これからの展開に期待
---Big Shell Revil vol.6(Realy)----------------
颯爽と迫り来るMSの影……。
どうでもいいような……全てを忘れてしまいたい衝動。
いくらMSには小型のマシンガンでも薬莢に当たっただけでも死んでしまう…
音が無い、それが感覚を研ぎ澄まし……思考が大局的(マクロ)になる。
ザクは体当たりをして来た。コロニーの羽にめりこんだMSに、
アムロはスティンガーを打ち込んだ。

同時に、FF-4戦闘機が何かを飛ばして来る。
「カツか!」
頭が吹き飛んだザクに貼り付くそれは……トリモチ。
そして……コロニーが揺れた。
「なんだ」
アムロが足場にしていたコロニーの羽が動いたのだ。
段取りを踏むようにザクが14バンチとその羽の間に挟まれていく過程は、
ゆっくりと、それで不思議な光景……。
メリメリと聴こえたかどうか……敵MSは沈黙した。
(キッカなのか……?誘爆し無かったからいいようなものだな)
妙だな…アムロは思う所あって、ヘルメットの集音機の音量を上げる。
今や不恰好になった小型艇の無線から、雑音と共になにか聞こえてくるような気がした。
「…ロ、…い!」
ふと、足場に何かシルエットが……これはザクの手だ!!
「アムロ、危ない!!」
轟音と共に煙にあたりが包まれた。……ような気がした……

アムロはFF-4の狭い艇内にいた。カツの鼻歌が五月蝿い。
脱いだヘルメットにべっとりと汗が染着いているのが見える。
「ぞっとしないな……」
「どうだい?僕の特製スティンガーは」
カツの微妙な笑いがガラス越しにアムロに理解できた。
……アムロは結果、カートゥーンで見られるペラペラにならなくて済んだ。
崩れ落ちるザク……その過程の鍵は、スティンガーの初弾、一発目……
「赤外線追尾が付いているなら最初に言っとくものだ」
---Big Shell Revil vol.6(Realy)----------------
101ノタコン:03/01/23 21:04 ID:???
制御を失ったザク(MS-06)はサイド3「14バンチ」の
下部に激突した。それを見届けたアムロはDエリア「14バンチ」
への入り口まで戻り、扉を開けた。
今にも泣き出しそうなキッカの顔が覗く。
「終わったぞ」
「遅い!」
「悪かった」
「大丈夫?怪我は?」
「ああ、なんてことはない」
アムロとキッカは人質となっていた『サイド・3』の職員たちを
解放し、奪回した『サイド・3』の回線で連邦に通報した。
すぐに連邦軍がやってくるだろう。敵は相変わらずEエリア(24バンチ)
に閉じ込められている。二人は増援の到着をIエリアの宇宙港で待つことにした。
「そういえば、さっき言いかけた『もう一つのファイル』というのは?」
「そうそう、組織とつるんでた職員の個人ディレクトリを漁ったんだけど、
最初に死んだ人、つまり例の手記を書いた人から暗号化されたファイルが見つかって。
で、ダウンロードしてみたんだけど……」
102ノタコン:03/01/23 21:08 ID:???
キッカは携帯端末(PDA)を操作した。
液晶画面にファイルが表示される。
それは『条約違反の物』密輸に関する組織への報告書だった。
提出前の下書きのようだったが、日付、数量、その他詳細な密輸の記録と
今後の計画が記述されている。
それによると、彼は『サイド・3』が『条約違反の物』密輸に使われていることを、
キッカが感づいていると考えていたらしい。
「え?私ちっとも気づいてなかったけど」
キッカが自身たっぷりに言う。
「だがそうはおもわれてなかったようだな」
「知性的に見えすぎるのも考えものね」
「人を見る目がなかったんだろうな」
103ノタコン:03/01/23 21:12 ID:???
キッカが何か言おうとしたが、その前にアムロはファイルの続きを表示した。
そこにはキッカに告発される前に彼女を始末するつもりだと書かれていた。
「そんな!」
キッカが思わず声を上げる。
「何か危ない目にあったか?」
「いいえ、何にも……ちょっと貸して」
キッカは携帯端末(PDA)をいじり始めた。
「このファイルの日付……彼が行方不明になる前日になってる……」
「君を殺す前に誰かに殺されたと?」
「わからないけど……そうかも」
「ではさっきの手記はどうなる?
104ノタコン:03/01/23 21:21 ID:???
キッカはしばらく考え込んでから言った。
「……でっちあげかもしれない……あの手記、置かれ方が不自然だった。
いかにも発見してくれって感じで……」
二人は考え込んだ。確かに記述内容の細かさから言って報告書の方に
信憑性がある。だとすると、誰が組織とつながっている職員達を殺したのか。
あの手記を偽造し、システムの中に隠したのは誰なのか……。
やがてキッカがぽつりとつぶやいた。
「……私、聞いたことある。『サイド・3』の悪魔……息子さんは『条約違反の物』で
死んだって……」
キッカが憶測を口にする。息子の死にショックを受けて自殺を図った職員。
彼は死ぬことが出来ずに『サイド・3』を徘徊する怪人となった。その心には
いまも消えない『条約違反の物』に対する怒りがある。ある日、『サイド・3』が
『条約違反の物』密輸に利用されていることを知り……。
「そんなこと、あるわけないよね!」
キッカは笑おうとしたようだが、口元をひきつらせるだけに終わった。
105ノタコン:03/01/23 21:26 ID:???

宇宙戦闘機の羽音が聞こえてきた。キッカが宙空を仰ぐ。
「連邦?」
FF-4が姿を現した。その黒い機影を見てキッカは首を傾げた。
「……違うみたい」
キッカはFF-4を見上げた。
「あれは俺の迎えだ」
操縦席の窓からカツの顔が覗いている。
その目には緊張と恐れと共に、何か覚悟のようなものが見えた。
「どうやら君の迎えでもあるようだな」
「え?」
「すぐにわかる」
FF-4は降下を始めた。風が強くなる。キッカは髪を抑えた。
キッカがさらに近づく。キッカは操縦席の人影を認めた。息を呑む。
もう一度目を凝らす。立ち尽くす。涙がこぼれる。
着陸したFF-4の回転翼が止まるのを待たず、キッカは兄の元へ駆け出した。

107ノタコン:03/01/23 21:29 ID:???
『 Big Shell Revil 』vol.7

TO BE CONTINUED...
108ノタコン:03/01/23 21:35 ID:???
If then end if...?



Big Shell Revil
109ノタコン:03/01/23 21:38 ID:???
PLAY TIME / 10:48:50
SAVE / 11TIMES
CONTINUE / 26TIMES
ALERT MODE/ 16TIMES
PERSONS / 63KILLED
RATIONS / 28USED
110通常の名無しさんの3倍:03/01/23 22:59 ID:???
怪人が誰か気になる
111通常の名無しさんの3倍:03/01/24 16:14 ID:???
という訳で保守
112(^^)エヘヘ:03/01/24 21:41 ID:???
again
113山崎渉:03/01/24 23:18 ID:???
(^^; 
114通常の名無しさんの3倍:03/01/25 00:30 ID:???
サイボーグ忍者の声優が死んだのだけはゆるせない。
もっと生きれクソが。冥福祈ってやる。
115通常の名無しさんの3倍:03/01/25 00:33 ID:MA4PMx3R
スナッチャーのバウンティハンターが死んだのだけはゆるせない。
もっと生きれクソが。冥福祈ってやる
116通常の名無しさんの3倍:03/01/25 00:47 ID:???
>>115
ランダム・ハジルね。
スペル逆にしただけの人。
117通常の名無しさんの3倍:03/01/25 00:48 ID:I1U0kvmM
新ビックリマンのベリー・オズが死んだんだのだけはゆるせない。
もっと生きれクソが。冥福祈ってやる
118通常の名無しさんの3倍:03/01/25 09:17 ID:???
塩沢兼人死んだの?
119通常の名無しさんの3倍:03/01/25 21:16 ID:???
レイズナーのル・カインが死んだのだけはゆるせない。
もっと生きれクソが。冥福祈ってやる
120ノタコン:03/01/25 21:33 ID:???
Confidential Le-gandam


暴風が荒れ狂う。豪雨が叩き付ける。
川面がうねる。漆黒に塗り込めたボートは木の葉のように翻弄される。
アムロはボートの中から顔を上げた。嵐に混じってヘリの羽音が聞こえる。
やがて三機の黒いヘリが前方のタンカーへ接近していくのが見えた。
アムロはつぶやいた。
「遅かったか……」
121通常の名無しさんの3倍:03/01/26 11:10 ID:TS/7yftA
>>118
おそっ!
自宅の階段で転んで脳挫傷と言う、実に馬鹿馬鹿しい(失礼)終わり方。
タイムマシン持ってたら警告しに行ってやる。
122通常の名無しさんの3倍
EMPS乗りのレッドウッドが死んだのだけはゆるせない。
もっと生きれクソが。冥福祈ってやる