歴代主人公が兄弟だったらpart5【ブラザー】

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604カガリ受難1
「やばい!!デートに遅れる!」
キラはかなりあせっていた。
最近ラクスが忙しくて久しぶりのデートなのである。
それもたったの1時間ショッピングに付き合うだけと言うだけなのだが、学校ではフレイの目が厳しくて
なかなか会話を楽しむ機会がないのだ。
今日は繁華街に出るのでカモフラージュのカガリの変装も隙なく行ってある。
「あと10分?ほんとにギリギリだぁ〜!」
っと曲がり角を曲がった時…


 ド ド   ン ! !

「いったぁ〜…気をつけろこのバカ!」
「ス、スイマセン!あ…カガリ?」
「なんだキラか?へぇ〜、今日は念が入ってるな。」
鏡でも見ているかのような錯覚にカガリは感心したように声を上げた。
キラにはその余裕がなく、カガリにバッグを拾って押し付ける
「あぁ!って、ほんとに時間が無いんだ!ごめん!」
自分のバッグを拾いながらそれだけ言ってまた走り出した。
「…似ているとはよく言われるが、あんなに似てると気味が悪いな…っいてて」
たんこぶを押さえながらカガリもまた目的地に向かって歩きだした。
605カガリ受難2:03/01/17 13:01 ID:???
キラはなんとかラクスが来る前に目的地に着き、車から降りてくるラクスを見つけた。
「ラクス!」
「あら?カガリさん?」
キラはズルリとすべりそうになった。
「ラクス…僕だよ…」
「あらあらあら…今日は一段とそっくりですのね。」
ポンと手を叩いてラクスはにっこり笑った。
「今日は人が多いからね。ちょっと念を入れたんだ」
キラがはにかんだように言う。
もっともそれに念を入れすぎて遅れそうなのだが、それは言わない。
「わたくしが見間違えたぐらいですもの。絶対わかりませんわ。」
「それじゃ行こうか。目当てのアクセサリーがあるんだっけ?」
「そうですの。パールピンクの可愛いブローチがあって、ずっとさがしてたんですの。」
ラクスがキラの腕を取って二人は歩いていった。


カガリは散歩がてらトレーニングジムに行くつもりだったが、天気がいいのでアスランともよく来る公園に
よってから行くことにした。
「あれ〜?キラにいちゃん?」
突然声をかけられて振り返るとオモチャの銃を抱えた10歳ぐらいのの子供が手を振っているのが見えた。
「キラの弟か?」
「あれ?兄ちゃんじゃないの?」
すこししゃがんで目線を合わせてからカガリは自己紹介をした。
「カガリ・ユラ・アスハだ。キラとは同級生だ。」
「アルフレッド・イズルハっていうんだ。アルでいいよ。…こぶできてるよ?」
あぁ〜とうなずいて自己紹介を返したアルがこぶに触ろうとするのをよけながら、カガリはあわてて立ち上がった。
「だ、大丈夫だから。それより今日は行くところがあるから、またな!」
バッグを担ぎなおして、カガリは足早にそこから立ち去った。
「おっかしいなぁ?声も兄ちゃんと同じなんだけど…」
「お〜いアル〜!お前が攻めてこないと戦争にならないじゃないか〜!」
「ゴメーン!!」
考え込んだアルだったが友人の声に呼ばれてまた遊びに夢中になっていった。
606カガリ受難3:03/01/17 13:01 ID:???
顔なじみの係員に手を振りながら、カガリは軽く泳ぐつもりでジムの更衣室にはいった。
(ん?)
ズボンを脱ごうとしてふと違和感に気づく。
(あれ?)
とりあえず今は更衣室には誰もいないが、念のためカガリはトイレに入った。
 ・
 ・
 ・
トイレから出てきたカガリは真っ白な顔色だった。足取りもふらつくような頼りない足取りだ。
「な、な、なんなんだ…」
すでに察しはついておられるであろうが…
キラとカガリはぶつかった際、

      肉  体  が  入  れ  替  わ  っ  て  い  た  の  だ  !

とにかく今のままでは女子更衣室で落ち着いて考え事は出来ない。
自分の荷物を取って更衣室を出る。
「どうされましたか?」
「い、いや急に体調が悪くなったみたいだ…」
「それはいけませんな。タクシーでもお呼びしましょうか?」
「いや、それにはおよばないから…」
といったやり取りを交わしてカガリはジムから出た。
607カガリ受難4:03/01/17 13:02 ID:???
(はぁ〜、こんな事誰にも相談出来ないよなぁ〜)
ため息がでるのを止められない。
(そうだ!)
歩きながら公園に差し掛かった時、カガリは思いついた。
キラを見つけなければ話は進まない>公園にはキラの弟のアルがいる>アルになら秘密を知られてもたぶんマシだろう。
思いついたら行動は早かった。
戦争ごっこをしているアルを拉致した。
「った〜!なにするんだよ!」
「アル!お前を男と見込んで頼みがある!!」
文句を言いかけるアルの両肩をつかんで必死でカガリは頼んだ。
「実はだ、誰にも内緒でキラを探したい!」
アルも聡い少年だ。カガリの必死さはすぐに悟った。
「極秘の任務なんだね?」
「そうだ!それも早ければ早いほどいい!」
「なにがあったの?」
カガリは躊躇したがそれも一瞬だった。
「…実はだキラと私の体が入れ替わったんだ。」
「え〜〜〜!!体がぁ〜…モゴモゴ」
「声が大きい!」
「うっそでしょ〜〜?」
なんとか声を抑えたアルがささやいたが、帰って来た答えはいたって真剣だった。
「…私だって信じたくない。だけどホラ、このコブはキラとぶつかって出来たんだがこの時入れ替わったらしい。」
「まぁいいや!とにかくカガリ姉ちゃんの格好をしたキラ兄ちゃん…アレ?キラ姉ちゃんになるのかな?」
「どっちでもいいから!今日キラはどこへ行ったか知ってるか?」
「今日は買い物に付き合うって言ってたから、多分ロンデニオン・ストリートだよ。ラクス姉ちゃんがよく行くんだって」
「よし!まずそこから探そう!」
こうしてカガリ・アルコンビは行動を開始した。
608カガリ受難5:03/01/17 13:03 ID:???
「…それでどこから探すの?」
「ラクスの行き付けの店はいくつか知っているからそこから当たってみよう。まず三つさきのブティックからだな。」
しかし、入った途端カガリは腕をつかまれた。
「キ〜〜ラ〜〜!」
「ふ、フレイ!?やめろ私はカガリだ!」
一瞬で正体をつかんだカガリは、つかまれた腕を振り払おうとしながら振り返った
「ウソおっしゃい!そう何度も騙されてたまるもんですか!」
オ〜ホッホッホと高笑いをしながらフレイはのたまわった。
「カツラは髪型と色はよく似てるけど本物より髪質が固めだし、服だってカガリは軍の放出品だけどあなたのは
レプリカ、そして何より動かぬ証拠!」
ビッっと出入り口を指差した。
「ウワァーーーン!おまわりさ〜ん!助けて〜!」
アルはすでに巡邏中の警官に助けを求めていた。
「…とにかくあれはキラの弟!カガリはキラの弟とは面識が無いはず!さっさとついてきなさい!」
「やめろ!このバカ!」
ズコーン!!
カガリの放ったフックがフレイの顎を打ち抜いた!
はっきり言ってコーディネーターの筋力とカガリの技量、そして普段のキラにはない遠慮のなさはフレイを一撃で
脳震盪においやった。
「…キラおぼえてなさいよ…」
カガリはダッシュでアルのところへ行き、
「弟がスイマセン!この子虚言癖があるんです!」
とだけ言って警官から引き離し、引きずって行った。
609カガリ受難6:03/01/17 13:04 ID:???
「キラ兄ちゃん、見つからないねぇ」
アルは虚言癖呼ばわりしたお詫び(としておごらせた)のソフトクリーム舐めながらあちこちに目を配っている。
が、カガリは少しソワソワしている。
「カガリ姉ちゃん、どうしたの?」
「いや…」
少し口ごもってから耳打ちをする。

「 な 〜 ん だ ! お し っ こ か ぁ 〜 ! 」

「大声を出すな!!」
自分も十分声が大きい。
そのことに気がついて顔を赤らめ、もう一度耳打ちした。
「そんなことも知らないの?」

「 わ た し だ っ て は じ め て な ん だ ! 」

目立ちまくりである。
姉弟には見えない二人の会話に周囲の目が集まる。
「僕がついててあげようか?」
さすがにアルも恥ずかしくなったらしい。
ヒソヒソと喋る。
「…それもはずかしいんだが…」
「大丈夫だよ、お兄ちゃんのなんて見慣れてるから。」

「 わ た し が は ず か し い ん だ ! こ の バ カ ! 」

もはや周囲からの視線は物理的な力を持ってさえいそうだ…
「あっ!」アルが何かを思いついたように叫んだ。
「女の子の格好してるんだからさ、
   女 の 子 用 ト イ レ に 入 っ た ら い い ん だ よ ! 」

カガリはアルを抱えて脱兎のように逃げ出した…
610カガリ受難7:03/01/17 13:04 ID:???
さて、その一時間ばかり前。
「そろそろ迎えがくる時間だね…」
キラがすこし寂しそうな声をだしたとたん、
「あっそうだわ!」
ラクスがなにか思いついたように声を上げた。
「どうしたの?」
「よいことを思いついたんですの。この後の予定はプロモビデオの撮影なんですけど、クラインカンパニー専用の
リゾート島なんですの。」
「へぇ〜すごいなぁ!」
「で、スタッフ以外は来ませんし、飛行機も3日に一度しか飛ばないんで外部からは人は来られません。ですから
キラ様もご一緒しません?」
「!いいのかい!?」
「もちろんかまいませんわ!」
…キラが体の入れ替わりに気がついたのは帰りの飛行機が飛び立ってからであった…
611カガリ受難8:03/01/17 13:05 ID:???
また別のところでも…
「アルが誘拐されただと!」
ドモンが家に駆け込んでくる。
「あぁ!チェイ君が知らせてくれた!今、シローがそれらしい情報を集めている!」
ドモンに答えて、アムロはロランに聞いた。
「で、身代金はいくらぐらいまで払えそうなんだ?」
「…いろいろ計算しても余裕は300万もないですね…この家を売るならともかく…」
「そりゃあ、絶対マズイよなぁ…」「ジャンクパーツの置き所がなくなっちまうよ…」
ジュドーとガロードが頭を抱える。
プルプルプル
「!、もしもし!あぁシローか!なにかあったのか!」
『巡邏中の警官がアルらしい少年が助けを求めてきたと言ってきた!犯人らしい女性は別の女性を殴り倒したあと、
少年を連れて逃走したらしい!』
「わかった!引き続き頼む」ガシャ
612カガリ受難9:03/01/17 13:05 ID:???
「…アルは大丈夫なんでしょうか…」「縛られたりはしていないようだけどなぁ。」
シーブックとコウである。
「そういえばカミーユ兄さん、キラ兄さんとヒイロ兄さんは?」
と聞いたのはウッソだ。
「カミーユはじっとしていられないって庭で暴れてます。ヒイロは話を聞いた途端に飛び出して行きました。
キラはデートからまだ帰って来ません。」
プルプルプルーガシャ
「もしもし!」
『追加情報だ!犯人は痴女らしい!』

「 「 「 ちちちっ 、 痴 女 〜 〜 〜 ! ! ! 」 」 」 

『何でも路上でアルを連れ込むためにいろいろしてたらしいぞ!』

(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

『あ!まて!どうも女装した男らしい!』
「あ!アムロ兄さんが倒れた!」

((⊂⌒~⊃。Д。)⊃))ピクピク

『とにかく事件性ありと判断して警察では捜査本部を設置することになったから!とにかくあとで!』
613カガリ受難10:03/01/17 13:07 ID:???
…この後、カガリはヒイロと激しい追撃戦を繰り広げたり、学校に立てこもって警察に抵抗したり、
11機のガンダムを相手取って半径数キロに亘って焦土となるような戦いをしたりするのだが、
それはまた別の機会に。

もちろんキラは帰って来た途端兄弟全員から説教を喰らい、カガリにボコボコに殴られ、
しかもフレイにひどい目に会わされたのは言うまでもあるまい…