岡田斗司夫(以下、岡田と略)さて、マクロス座談会とゆーことですけど、どうやって始めよう?
赤井孝美(以下、赤井と略)庵野先生が言い出しっぺだから、庵野先生に任せましょう。
山賀博之(以下、山賀と略)そうだそうだ、人気アニメーターの庵野君なら出来るぞー。
庵野 ガガーン。
山賀 ガガーンのユパ。
庵野 ガガーンのテトですね。
岡田 今やキングレコードのライナーノートまでお受けになるめじゃーあにめーたーでいらっしゃる。
庵野 うわっ、そのことには触れないでください。
山賀 マクロスの話が始まりませんねー。
赤井 ここは最年長の押しで岡田さん、何か言い始めてください。
岡田(異様に白々しく)ちょーじくうようさいまくろすって、評判いいねー。
庵野 腰が抜けた(笑)。
赤井 えっ、でもマクロスって、××が○○で△△なんだって、評判だぜっ。
庵野 えっ、本当かい。
一同(爆笑)
庵野 やっぱり赤井先生は非道いことをいうのがうまい。
山賀 B型の悪口は怖いですねぇ。
赤井 庵野君、君がこの座談会の企画、出したんだろ?だったら何の話をするのか君が言わなっくちゃ、
マクロスの悪口大会になるだけだよ。
岡田 それも一興(笑)。
庵野 えーつまりですね、マクロスという映画についてどうこう言うというのではなく、
マクロスを取り込む状況が、近頃問題があるのではないかと思うのです。
岡田 たとえば?
庵野 たとえばアニメック9月号の特集とか10月号の座談会とかの、
マクロスの取り上げ方が的外れではないか、ということと、
その的外れをそのまま放置しておくのは良くないのではないかというようなことですね。
岡田和美(斗司夫氏の奥さん・以下、和美と略)でもマクロス自体、しょーもない映画でしょ?
岡田 わっ、びっくりした。お前いつからそこにいたん?
和美 最初から。
山賀 物陰に隠れて悪口を言う機会をうかがっていた。
赤井 さすが、タチの悪い奥さんですね。
庵野 やっぱりB型は怖い。
ウェイター おまたせしました。
庵野 あ、その玉子サンド僕のです。
岡田 ぼくコーラ。
和美 私、アイスコーヒー。
赤井 わたし、ラーメンです。
山賀 コーヒー、取ってください。
岡田 ここ、異様なサ店やなあ。ラーメンがあるのか。
山賀 結構そういうところ、ありますよ。
赤井 いかん、食い物に夢中でまた、マクロスから話がずれた。
和美 ええやん、あんなん。
山賀 それは正しい見方をしていないからです。
あれは映画と言うより、TVシリーズの「超時空要塞マクロス」のプロモーション・フィルムです。
赤井 どんな見方をしても、僕はつまらなかった。
山賀 いや、俺だって特におもしろいと思って弁護しとるんやないぞ。
誰かがこうでも言わんと・・・。
庵野 そんなん、やっとらんから言えるんや。アレに関係してたら、そんなに酷いこと、ばっさり言えんぞ。
山賀 あっ、そんな板野さんみたいな事、言ったらいかんぞ。俺は何でも悪口言うぞ。
庵野 いいな、いいな。うらやましい。
山賀 大体、俺はマクロスの9話をほめるやつがいたら、疑いの目で見る。
全員、一斉に「ミス・マクロス」をほめ出す。
岡田 いかん、話を戻しましょう。
えー、つまり問題なのはアニメ誌等のアニメ・マスコミがマクロスの演出をほめていたり、
映画としてのマクロスをほめているという処にあるわけですな。
庵野 その通り。
山賀 何かまだニュアンスが違っているかもしれませんけど、
とりあえず的外れな評論が多いですね、マクロスに関しては。
和美 的外れな評論、というのはどういう意味?
山賀 えーと、少し例を出してみましょう。あの三浦和義さんという人がいますね。
岡田 何という例や。
和美 タイムリーやね。
赤井 どこが(笑)。
山賀 で、あの三浦さんという人をほめることは出来ますね。
たとえば顔がいいとか、女の人にも評判がいいとか、
何か俳優をやったらいいとか、そういう風にほめれるでしょ。
で、ある雑誌で三浦さんをほめるという企画があったとする。
すると、今言ったような方向でほめるのが普通ですよね。
ところが、アニメックとかOUTのマクロスのほめかたを見てみると、
今の三浦さんの例を使うと、
「三浦さんがロスでやった、あの殺人は人道的にもすばらしく、人間愛あふれる行為だ。」(爆笑)
「特にあの、しらばくれるところなんか、私は涙してしまいました。」
「いや手口がすばらしい。」
なんて言っているのと同じような感じで。
岡田 非道いことを(笑)。
山賀 ちっとも非道くないですよ。現実にそういうほめかたをしているんだから。
ま、そういうほめかたをしていて、頭がクラクラしてくるわけです。
普通、あの人をほめるのには、そのことには触れないよ、というのと同じで・・・。
岡田 マクロスをほめるのなら、少なくとも演出について触れないようにしなければならない・・・。
山賀 その通り。
赤井 内容とか、テーマとか、男女の愛についてとか、そういう話はタブーですよ。
庵野 だから絵がきれいだとか、よく動いているとか言うほめかたをすべきですね。
岡田 そういうほめかたをする事が、アニメ評論家のマクロスに対するライト・スタッフですな。
743 :
かま:03/02/02 23:51 ID:???
207さんは血液型何型よ?
赤井 つまり、東宝の「連合艦隊」という映画をほめるときには、
よくあんな大きな大和の模型を作りましたねとか(爆笑)
バンクの使い方がうまいですねとか、よくあんな面白いキャスト思いつきましたねとか(笑)。
山賀 いや、それでは皮肉になってしまう。
そういうんじゃなくて、マクロスはマクロスで良いところ、いっぱいあるでしょ?
そこにはあまり触れずに、ドラマがないのにドラマをほめてみたり、演出をほめてみたり、
果ては、「映画」としての完成度が高いとほめたりしている。それが的外れだと言いたいわけです。
赤井 でまあ、社会的見地に立つと(笑)いくらファンシー商品とはいえ、マスメディアが青少年相手に・・・。
岡田 アニメ誌はマスメディアとは言い難い。
山賀 マスメディアですよ。本屋で売ってるし、何百万部も出ている。
庵野 印刷している。
赤井 サム・アップやビッグ・トゥモローより歴史がある。
山賀 さすがにGOROには負けるけど。でもメカマガより長い。
それにマイナーだけど自分たちの文化を守ろうと気負っているところがある。
そこんところを買う方もまともに受けすぎているから「がんばれよー」というのがある。
そのアニメ誌上であーいうふうにほめるというのは・・・。
赤井 やっぱり社会的責任でしょ?
マクロス見て、ああ、映画って言うのはこうなのか、
とか演出というのはこういう事を言うのかと思わせるというのは。
だってアニメファンというのはなんだかんだ言ってマジメだし。
和美 他に楽しみがないから(笑)。
赤井 だからその分、アニメ誌には社会的責任がありますよ。
和美 何でアニメ誌ではマクロスが受けるわけ?
あれ、言いたいことはSFじゃなく恋愛な訳でしょ。あの三角関係は古い。
少女漫画だったら4流もいいとこでしょ。
別に宇宙で「タッチ」や「みゆき」やってもしょーがないし、
しても「たんぽぽクレーター」とどっこいどっっこいの意味しかない。
岡田 受ける理由は見当つく。
つまりマクロス見てると、あそこのシーンいいなっとか、このメカいいっ、というように
アニメ編集者的にというか、いいシーン見つけたっと言う見方で見てるやないかなあ。一種の職業病。
山賀 アニメでこんなシーンやったのが凄いという見方かも。
和美 日本でこれをやったのがすごいと「さよならジュピター」ほめても何にもならないでしょう?
そんなの映画の評論じゃない。
赤井 ターゲットとしてアニメだけを全てにとらえると最高に見える。
今までのアニメが目指していた戦闘シーンはマクロスで頂点に達しましたからね。
山賀 そうですね。僕も戦闘シーンを楽しみに見に行きましたからね。
だって27話の戦闘シーン、良かったでしょう?(一同、うなずく)
だから27話みたいにクサいドラマがあろうが、とにかく目や頭にシャッターおろして、
クサいのは入れないぞ、と覚悟を決めていったら、なんとクサいドラマがない。
庵野 そう、マクロスにはドラマがない!(笑)内容はないよう(爆笑)
山賀 ドラマが完全になくなっていた。
あ、うまいことやるな、最初からドラマ性を排除して、この路線でいったのなら、これでマクロスは最強だ、
クサいドラマなくして戦闘シーンばっかりみせるというのは、それなりに楽しめるなあと思っていたんです。
ところが、そう考えてみると、今度は迫力がない!
面白いシーンがそんなになく、27話の方が面白いぐらいだった。
岡田 うん、戦闘シーンは27話の方が面白い。映画の方は、あれの焼き直しやった。
山賀 要するに画面がきれいなだけだというか、
そのほとんどはTVシリーズとは比べ物にならないほどいい美術に助けられたという印象がありました。
で、気になって次の日、もう一度、観に行ったんです。
僕はあれに2800円も使ったんですよ。なんて勉強好きなんでしょう(笑)。
庵野 それは悲劇だ(笑)。
和美 庵野君にそう言われると情けなくなる。
山賀 でまあ、もう一度観たんです。そうしたら判った。ドラマを削ったんじゃなくて、消えたんだあ(爆笑)
その段階で作品的にはどこで失敗したか判ったんですけど、
ところがアニメ誌を読むと又、クラクラして訳がわかんなくなった。
赤井 やっぱり劇場で不特定多数の人に見せるのは間違ってるよ。
岡田 でも観に行った人は不特定多数じゃないでしょ?実際は。
TVシリーズのマクロスを劇場に観に行ったわけでしょ。一種のイベントフィルムと考えるべきだ。
庵野 映画を観に行った人は怒る。マクロスを見に行った人は喜ぶ。
山賀 しかし、あの映画はあれなりに楽しみ方があってマクロスファンのために、
マクロスファンが喜ぶように作ったフィルムならはかるわけ。
でもあらかじめこれはファンのためでなく映画として作りまーす、といっておきながら
見に行くと映画になってない。映画になってないけどそれなりに楽しめる。
で、映画になってないぞーと悪口でも言ってスカッとしようとしてアニメ誌なんか観ると
「あれは映画としてすばらしい」馬鹿にするなー!!(笑)
赤井 ま、ポルノ映画ですよ。
岡田 え?マクロスはポルノ映画?
山賀 いや、ポルノというよりエロ映画です。ポルノというのは、結構芸術的なもんで。
赤井 というよりレモンピープルとかロリコン同人誌のマンガですね。
つまり、そこに至るまでの状況とか過程を省いて、好ましいシチュエーション、
つまりかーいい女の子にスケベをするというのをぽーんと出して、やることやって終わり。
まるっきりそれと同じですよ。
何かでかいのが宇宙にフワフワ浮いて手、中に町がああって、地球がボロボロで、
なんか変なのと戦争していて、中に住んでいる人は平気で第3次、4次産業ばかり繰り返している。
和美 じゃ、ドラマとか、演出というのは何なの?
それ言わないとやっぱり悪口大会にしかならないでしょ。
山賀 あのですね、目的があって、初めて演出があるんです。
方法に対して適しているかどうか、というのが演出で、美しい演出なんかは存在しません。
演出は手段であって、目的ではないんです。
庵野 マクロスでは、客を笑わすのが目的でもなければ、かっこいいメカを見せるのが目的でもない。
赤井 ゼントラ人が50万年の時を越えて心動かされた文化と、
ヒカル、ミサ、ミンメイの三人の恋愛感情がもっと、密接なつながりを持ってないといけないでしょう。
山賀 要するに、極限まで迫ったミクロな、肌触り的な恋愛とかいう感覚と、
極限まで遠ざかったマクロな、50万年という歴史という物でみた文化論との、融合が目的なわけです。
岡田 それ全体をミンメイの歌が体現しなくてはいけない。
庵野 えっ、僕が聞いていたテーマと違うぞ。
山賀・赤井 えー、どんなん、どんなん?
庵野 つまり河森先生が言うには、今回は三角関係をやりたい、
メカはBGMにして下さいというようなことを言われた。
僕の印象で言うとバックにオーケストラがいて、
前でヒカル、ミサ、ミンメイが3人でオペラをやっていて、最後はミンメイのソロになる。
で、後ろで板野さんがタクトを振っていて、僕らがメカを動かしている。
赤井 じゃ、別にマクロスじゃなくても、ゴーバリアンでもゴッドマーズでもいいんじゃないか!
マクロスという昔の枷がある、僕は三角関係がやりたいけど、一応マクロスもたてておきます。以上、終わり!
庵野 で、TVの方にも思い入れがあるから削れないし、
TVとおなじこと、やるわけにもいかないから進宙式の辺りはカットする。
赤井 そんなの監督としての演出意図がない。明白にない。キッパリとない。
和美 何でそれを映画としてほめるの?
岡田 こう考えてみる。今、アニメ文化全体が低調である。
だから受けているマクロスを全アニメ誌でヨイショしよう。
ガンダムよ今、一度、という夢があるんじゃないか?
ナウシカでも良かったけど、徳間、博報堂をほめるわけには行かないし、
放っておいてもアニメージュグランプリは確定。
赤井 いや、そこまでいってないんじゃないですか?
ファンがいます。河森君がいます。スタッフやアニメマスコミがみんないて、
みんな小学3年生だったとします(笑)
みんな学校の帰りにバイオマンやシャイダーの絵本を見て、話をしています。
時々、スカートめくったりしてマセた話もしています。
ところがその中で、特にオマセな河森正治君は新しい遊びを見つけたぞっと、
ダーっと走って本屋に置いてあるプレイボーイをめくって「女のハダカ見てきたぞーっ」と言います。
「うわー、河森君すげー、勇気あるー、大人だー」(笑)
山賀 それを見ていた6年生の新聞部員が感心する」(爆笑)
赤井 ところが、いつもプレイボーイどころか現実の社会にいる大人から見ると、それがどうした。
岡田 これがアナロジーとちごて、極めて現実に近いのが情けない。
山賀 夢だったら良かったのに(笑)
でも、アニメ界の演出家の中では、河森先生は光ってますよ。
でもそれはアニメ界が単に非道すぎるだけだから。
赤井 別にアニメだけしかこの世にないわけじゃない。
岡田 この座談会、原稿に直すときにどうすれば穏便になるのか(笑)。
赤井 あれを劇場にかけて1300円とるという過激なことをしているんだから、
この座談会、ちっとも過激じゃありませんよ!
岡田 あっ、思い出した。マクロスを初めて見たときの殺伐というか、
陰惨な感情はクラッシャー・ジョウを見たときと全く同じだ!
山賀 そうか、マクロスはクラッシャー・ジョウだったのか!
和美 おかげで幻魔大戦がエンターテイメントに見えた。
山賀 この座談会、どうしめくくりますか?
岡田 えーと、よくアニメ誌に書いてあることだけど、
アニメ誌の編集の方々はもっと恋愛なんかして、人生経験を積んで、普通の映画をたくさん見て、
見る目を養った方がいいでしょう。アニメなんかそんなに見なくていいから。
山賀 非道いことを。
アニメック 1984年12月号
乙〜。
しかし酷い言われよう(w
マクロス信者が見たら、どう思うんだろう・・・
個人的には納得してしまった部分も、かなりあるのだが(w
754 :
207:03/02/03 00:05 ID:???
今日はこんなところで。
755 :
207:03/02/03 00:08 ID:???
>753
庵野も山賀もマクロス作った方の側でもあるところが
これがまた面白いなぁと。
ものすごく面白かった。
若き日のガイナのメンツの声って面白いな。
真物のヲタはやっぱスゴイヤ(笑)