「逆襲…」の構図というのは、ほとんど「Z」のままです。
構成論でいうと、旧3部昨でやったことを順々に全部やったのも意識してます。
ハサウェイは本来カツがやるべき役柄ですし、
ヒロインのクェスは「Z」のカミ―ユ・ビダンの映し絵として存在しています。
「Z」までの歴史を、言っちゃえばダイジェストにしたのが今回の映画ですから。
2時間という見やすいパッキングで、
もっとガンダムの世界をいろいろな人に知ってほしかった。
映画3作、旧ガンダム、それにZにあったいいエピソード…
本人が言うのも何ですが、改めて見ると、みんなよく出来てるのよね(笑)。
あのテレビシリーズはとても愛すべき存在だったのが、とてもよくわかる。
そういう要素を全て注ぎ込んで、「逆襲…」はできている。
そういう意味では、「ロボット物だ、アニメだ」といわれるジャンルの中で
「何でこんな普通の映画みたいなことやってるんだろう?」と、
一般の人には不思議に感じられる仕上がりになっている。
幸いにもガンダムには、遡って調べることが可能な過去がある。
一握りでいい。「表現ジャンルや媒体をこう使えばこんなことまで出来るんだ!」
と気がついてくれれば…
ガンダムには歴史がある。歴史って、本当にダテじゃないんです。
そういう意味で、今回「逆襲…」を作ったことは、今後いいように作用すると、
僕は確信しています。
(続く)
面白かったYO。
最後にクェスについて。
ここ数年気になっていたんですが、「病気の人」が多くなったんじゃないか。
その代表選手としてクェスを描きました。
生きてるんだけど、本当にやるべきこと
(クェスならアムロとシャアの間に割って入るとか)
にかすりもしないで、自分の思いこみだけで暮している人が多すぎます。
若い人だけでなく中年も含めて。
クェスを作ったことで僕なりの現代性を描けたと思います。
時代が持つ病気、憂鬱〔イライラ〕…。
自分の考えを通すのを最優先してて、周囲の人の気持ちを考えない。
でもクェスは、死ぬ間際には、ちゃんとハサウェイを救けようとするんです。
他人の気持ちを考えてる。
人生の最後の3秒間だけ、本当に自立してる。
あれは悲劇だ。
その悲劇がまさにこの映画の基盤〔フォーマット〕になっている。
僕自身が、今、一番他人と会っていてつらく感じる部分を描きました。
「私が!」という我を通している間は、人は決して幸せにはなれないでしょう。
クェスに比べると、アムロもシャアもダサクてオジンよ(笑)。
だけど許せる!(笑)。
これは若い人にも分かってもらえるんじゃないかな。
「逆襲…」にはそのパワーがありますよ。
(了)