庵野X富野対談を書きこむすれ

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330通常の名無しさんの3倍
逆シャア話で盛り上ってるので、リアルタイムの富野発言でも。
ニュータイプ1988年4月号の公開直前特集から。

「逆襲のシャア」と言う映画の企画が持ち上がった時から、
主人公をアムロとシャアのふたりにしようと決めてました。
アムロとシャアのふたりで始まって、10年近く引っぱってこれたんだから
ふたりにそれなりのエンディングを用意してあげたかった。
「Zガンダム」の企画が決まった時点で
「ガンダム」を年代記物としてやろうと決意しましたので、
ウソをついてキャラクターの年齢をもとに戻すようなことはしたくなかったのです。
だからこそ、これはシャアとアムロの物語です。
年代物となった時点で、「ガンダムは戦争物じゃないんだ」と、
僕の中で認識しました。
戦争物やロボット物の、まさにロボット物らしい部分が好きだ
…という人にわかってほしいんですが、
「ガンダム」がこのように10年間にわたってテレビシリーズを3本、
映画も新作が作られる状況にあるのはなぜなのか?
…それは「ガンダム」が戦争物じゃないからです。
まさしく、シャアとアムロの物語だったからです。
アニメを見る年代の方たち…ローティーンからハイティーンの方たちが、
このふたりを支持してくれた一番の理由と言うのは、あの年代の持つ
ナチュラルさの現実的な部分の代弁者(アムロ)と
理想を追うものという意味での代弁者(シャア)だったからでしょうね。
(続く)
331通常の名無しさんの3倍:03/01/19 15:06 ID:???
だけど、年代物となった時点で、あのふたりの物語は何作も作れなくなってしまった。
映像と言うのは、作り手の年齢が見えるんですよ。
例えば、「スター・トレック」や「スーパーマン」は、
役者の年齢が非情なまでに見えるでしょう?
だから、同じキャストではこれ以上作れない。
アニメなら出来るんじゃないか―という声もありますが、
これも10年前に予想してましてね。
CV〔キャラクターボイス〕のことを考えたらできない、と僕は決めたんです。
あるサイクルの中で根本から作り直さなければならない。
CVの年を感じないと思う方がいらしたら「逆襲…」を見た後、
一本目のガンダムのビデオをもう一度リプレイしてみてください。
残酷なほど年齢を感じるはずです。
そういう意味で今回の映画は、僕の予想とすごくマッチングしているから、
いい感じに収まった!と言う感触があります。
(続く)
332通常の名無しさんの3倍:03/01/19 15:07 ID:???
「逆襲…」の構図というのは、ほとんど「Z」のままです。
構成論でいうと、旧3部昨でやったことを順々に全部やったのも意識してます。
ハサウェイは本来カツがやるべき役柄ですし、
ヒロインのクェスは「Z」のカミ―ユ・ビダンの映し絵として存在しています。
「Z」までの歴史を、言っちゃえばダイジェストにしたのが今回の映画ですから。
2時間という見やすいパッキングで、
もっとガンダムの世界をいろいろな人に知ってほしかった。
映画3作、旧ガンダム、それにZにあったいいエピソード…
本人が言うのも何ですが、改めて見ると、みんなよく出来てるのよね(笑)。
あのテレビシリーズはとても愛すべき存在だったのが、とてもよくわかる。
そういう要素を全て注ぎ込んで、「逆襲…」はできている。
そういう意味では、「ロボット物だ、アニメだ」といわれるジャンルの中で
「何でこんな普通の映画みたいなことやってるんだろう?」と、
一般の人には不思議に感じられる仕上がりになっている。
幸いにもガンダムには、遡って調べることが可能な過去がある。
一握りでいい。「表現ジャンルや媒体をこう使えばこんなことまで出来るんだ!」
と気がついてくれれば…
ガンダムには歴史がある。歴史って、本当にダテじゃないんです。
そういう意味で、今回「逆襲…」を作ったことは、今後いいように作用すると、
僕は確信しています。
(続く)
333通常の名無しさんの3倍:03/01/19 15:08 ID:???
面白かったYO。
334通常の名無しさんの3倍:03/01/19 15:09 ID:???
最後にクェスについて。
ここ数年気になっていたんですが、「病気の人」が多くなったんじゃないか。
その代表選手としてクェスを描きました。
生きてるんだけど、本当にやるべきこと
(クェスならアムロとシャアの間に割って入るとか)
にかすりもしないで、自分の思いこみだけで暮している人が多すぎます。
若い人だけでなく中年も含めて。
クェスを作ったことで僕なりの現代性を描けたと思います。
時代が持つ病気、憂鬱〔イライラ〕…。
自分の考えを通すのを最優先してて、周囲の人の気持ちを考えない。
でもクェスは、死ぬ間際には、ちゃんとハサウェイを救けようとするんです。
他人の気持ちを考えてる。
人生の最後の3秒間だけ、本当に自立してる。
あれは悲劇だ。
その悲劇がまさにこの映画の基盤〔フォーマット〕になっている。
僕自身が、今、一番他人と会っていてつらく感じる部分を描きました。
「私が!」という我を通している間は、人は決して幸せにはなれないでしょう。
クェスに比べると、アムロもシャアもダサクてオジンよ(笑)。
だけど許せる!(笑)。
これは若い人にも分かってもらえるんじゃないかな。
「逆襲…」にはそのパワーがありますよ。
(了)