では、
(富野監督の病気について一通り書かれている)
・・・本当に元気がなかったのだろうが、それでも、金銭の事が想像でき、
サンライズもサンライズだ。相談の一つでもしにきてくれたって
いいじゃないかと思いもした。
この思い込みというのは危険な事で、自己に埋没する。
(あいつらに俺の存在を知らせなければ年は越せない。だいたいガンダムは
俺が作った物だ。C権(版権?)があろうがなかろうが、それだって
分散管理していて、一人で管理している奴なんかいないんだから、ゲームが
出たんならその印税を回してくれたっていいじゃないか)
(ガンダムゲームが糞ゲーというのから、結構いいものになったという噂
ぐらいはしっているんだ!なのに売れるが勝ちで、ゲームになったガンダムが
オリジナルだと思ってる!)
(オリジナルだというのなら、ガンダムという名は使うなよ!シャアも駄目、
ジオンもギレンだって駄目だ!ララァやライラを勝手に動かして
もらっては困る!)
(そういう固有名詞を使いながら、ゲームデザイナーやプロダクションは
ゲーム発のオリジナルだという!サンライズも創通エージェンシーの
サラリーマンたちも、クリエーターでもないのに、ゲームの内容を
管理できると思ってる!)
(いや連中は、商品管理だけであってララァやアムロ、ハロがどのように
扱われているかという事は考えていない。そういう心配はしないんだ)
(そういう連中に鉄槌をくわえて僕がいるという事を伝えなければならない!)
そう考え込むと妄想は驀進する。
鉄槌をあたえるための現実行動を計画する。
犯罪者になりたくないから、経営者を殺す事はやめる。となれば銀座まで
行って創通エージェンシーのビルに火を付けるか?サンライズが僕に
とっての直接のターゲットに思えるから、上井草の駅前からサンライズの
抗議のビラを貼る。これはいいアイデアだと思えた。
どのような物を書くか考え、当たり前の物ではインパクトがないから、
スキャンダラスなものがいいだろうと深夜、塾考する。
猥褻な物がいい!それも僕が得意なSM物だ!
こういうロジックは、本当にすばらしい考えだと思える。
(このようなポスターを百枚も貼られた原因を、君たちは考えなければ
ならない、というようなメッセージをそえる!)
さいわい自宅にはコピー機があるから、コンビニでコピーする危険を
冒す必要がない。犯人はわからない。当然、富野のメッセージというのは
わからせる必要があるから名前は書く。ここで妄想は破綻しているのだが、
計画を塾考し続け、このプランの完璧さを確認する。
これが世間に露見しても、まさかそんな馬鹿な事を富野がやるわけない、
という論拠を発見するのだ。僕はマスコミのインタビューで、
「ガンダムの原作者が、そういう事をやる必要がありますか?僕はそれなりの
支払いをサンライズから受けているのですから」
これでバレないと確信する。これが犯罪者のロジックなのだ。
バンダイの関連ビルのある界隈にも貼らなければならないのだが、どのくらい
の枚数が必要なのだろうか、とか、猥褻画といってもガンダムをからめる
SM的なのは、これはやめる。卑しいと感じるからだ。
そのように感じる事は結構あるので、また日を変えて検討する。推敲は必要
だと踏みとどまるのは、狂っていない自己の自覚を喚起するためである。
・・・・・
ここまで逝ってしまった富野が∀まで戻ってくるまでを記した
「∀の癒し」はハルキ文庫で出版されています。ぜひ買って読もう!