富野って自分が作ってないガンダムも見てるの??

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114通常の名無しさんの3倍
「∀の癒し」の一部を抜粋してみた。
興味が湧いたら買おうね。

ガンダムという名前が付いた作品は、4年前の「ガンダムX」で終息していた。
僕は関知しなかったので詳細は知らないのだが、その作品は、予定のオンエア・
スケジュールを全うすることなく打ち切られた。
僕には、その作品が生まれる前提が悪いのだから、当然の結果にみえた。
その4年前のものが、僕の「機動戦士Vガンダム」である。
その時はバブル経済がはじけた後で、スポンサーのみならず、長年やってきた
僕も虚心に玩具が売れるものを目指すつもりだったのだが、
担当重役は言ったものだ。
「子供は戦艦のようなものが好きなんだよ。あなたにはそれがわかっていない。
戦艦大和みたいなのがでて、カメラがガーッと回り込むような絵は格好良い
じゃないですか。それと、戦隊物的なのもやってほしいな」
戦隊物というのは、バンダイがメインスポンサーになっている作品
「ゴレンジャー」みたいなスタイルをさす。隊員物のことだ。
「ガンダムを5機そろえて出せという事ですか」
「そうだ」
115通常の名無しさんの3倍:02/12/16 20:53 ID:???
その管理職の男は自信のある実績と役職にいたから、職能を発揮してきたのだ。
彼のそういった性格は20年以上前から知っていたので驚きはしなかったが
悔しくはあった。そんな要求を突き付けられるというのは、こちらに力が
ないからである。実績をしめし続けていれば、そんな要求はしてこない。
「なら地上を走る戦艦というのを出しますよ。それでもいいんですか?」
まさかというセリフを僕は吐いてしまったが、いくらなんでもそれには
応じないだろうという僕の甘さもあった。
「いいじゃないですか」
「タイヤはかせますよ。戦艦に」
「やってよ」
それで決定である。スタジオでの会話ではなく、まだ、サンライズがバンダイ
グループの傘下に入るまえのバンダイ本社での会話だ。
作品のチェックをするTV局の担当プロデューサーは、メカニック様はスポンサ
ーのだから注文はつけてこないが、話の内容に付いては、お客さんの代表者と
してチェックさせてもらうと言ってきた。
116通常の名無しさんの3倍:02/12/16 20:54 ID:???
だから、僕は一本一本の話をおもしろくする努力はした。
局から打ち切り話がでるのは困るから、マンガチックなメカ展開には我慢
しながら、話はカルト集団的な背景の中で少年を描くというテーマに細心の
注意を払った。
しかし、これでガンダムを潰すぞ、とも覚悟した。
また、潰れるだろうとも思った。
何本といわず局のプロデューサーにお褒めの言葉をいただきながらも、
画面に散乱するメカニックの無様さには閉口し続けた。
それで僕はノベルスでフラストレーションを吐き出すようなことをした。
これが僕の悪い癖で、その結果TVの仕事ができなくなったのだが、
ガンダムは潰れなかった。
「Vガン」製作の中盤に入って、サンライズのトップから
「来年も同じ放送枠でガンダムをやる事になったので、誰を
総監督にしたらいい?」
「Vガンで、ガンダムは潰れたんだぜ?」
「やるしかないじゃないか・・・他にないんだから・・・」
117通常の名無しさんの3倍:02/12/16 20:54 ID:???
そのトップのしかめつらしい返答に、僕は、今川泰弘くんの演出手法の
元気さを買い、それで、ガンダムをレスキューしてもらおうと考えた。
「どうせやるなら完全なプロレス物にしなければならない。過去の経緯などは
踏まえないものをつくらせろよ。Vガンでメチャメチャにしたんだから、
それはできるはずだ」
そこまで答えた僕は、まだ元気が残っていた。プロダクション経営を考えれば
という正気もあったのだから。
しかし、そのような事を口にする者が、クリエーターであるわけがなかった。
僕は本当に堕落して、生気を吐き出しきっていたのだが、その時には、まだ
その事に気付いていなかった。
・・・・・


バンダイ討ち入りに関してはまた別の記述があるけど、邪魔なら
もうやめます。