Fが部屋を出て行く。
まだ眠っている姉妹たちを起こさないよう静かに。
(さすがは”姉さん”ね)
わたしは薄く目を開け朝食の準備に向かう彼女を見送った。
Fが朝食の準備をし、匂いにつられたAやDが他の姉妹たちを起こし始め
寝起きの悪いBと喧嘩になる。
喧騒の中、Jはシャアを呼びに部屋を離れる。
普段のアムロは自分で起きてくるが、深夜まで研究をした時はたいてい寝坊する。
あと五分してアムロが部屋の前を通らなければ、わたしが起こしにいこう。
そんな朝で始まる一日。
木星までの旅は長く、いつまでも終わることがない。そんな気がしていた。
突然まばゆい光の中に放り出される。
(どこ? ここは・・・。わたしは・・・だれ?)
あまりに眩しすぎて、目が開いているのかどうかすら判らない。
手をかざそうとしたが、体が言うことを聞かない。
いいえ、自分の体があるかどうかもはっきりしない。
「・・・気付いたようだな。お前で二人目だ」
男の声が聞こえた。姿は見えないが近くにいる。
わたしはなんとか首を動かして確認しようとした。
「無理をするな。蘇生したばかりだ」
そ・せ・い? 何のことだろう。
ようやく目が慣れてくる。眩しいはずだ。わたしの顔は強力なライトで照らされている。
「こちらの言うことは判るか?」
わかります。そう答えようとしたが、口が上手く動かない。
「どうやら聞こえてはいるようだな。しばらくじっとしていろ」
命令口調。嫌な男。そう感じた。
そういえば以前にもこんなことがあったような。
そう、あの時は二人だった。
でも、前はもっと優しい感じだった。あの人たちは・・・
どれくらい時間がたったのだろう。ようやく全身の感覚が戻ってくる。
「どうやら大丈夫のようだな。名前はわかるか?」
「・・・な・ま・え。名前?」
「自分の名前を忘れたか」
「・・・プル。プルH」
「プルエイチ? なるほどプルHか。すると他の者も同様にナンバー制だな」
ナンバー? わたしは物じゃない。確かに初めはそうだった。
でもあの人たちは、決してそんな意味でわたしを呼んだわけじゃない。
無礼なことを言った男を確認しようと横を見たわたしは、カプセルの中から上半身を起こしている
少女がいることに気付いた。わたしと同じく薄手の白いワンピースを着ている。
背中まで伸びた髪が印象的だ。そう、ある日突然髪を伸ばし始めた彼女に姉妹たちはみな驚いたものだった。
姉妹? そうだ、わたしには姉妹がいた。一二人の姉妹。彼女は・・・
「気付いたか、プルH」
「なんとかね。あなたこそどうなの、プルI」
そう、プルI。姉妹きっての理論派。いつも自信に溢れていた彼女だったが、今は酷く疲れて見える。
それは蘇生のためだけではないだろう。
「ここは何処?」
「ジュピトリスだ」
じゅぴとりす。地球木星間輸送船ジュピトリス!?
「ジュピトリス4。ジュピトリス級最新艦だそうだ。プルFが聞いたら喜ぶだろうな。
あの娘は木星船団に興味をもっていたから」
「なぜ? 何故わたしたちはジュピトリスに乗っているの!? あくしず・・・。
そうよ! わたしたちはアクシズにいたはずなのに!」
「落ち着け、プルH。私たちのカプセルは木星開発公団に回収されたんだ」
「回収って・・・。わたしたちはアクシズで暮らしていたはずじゃない!」
「だから落ち着け」
「落ち着いてなんかいられない! 説明してよ!」
「記憶が混乱しているみたいだな。忘れたのか? あの事故のことを」
事故! そうだ、あの時二人がわたしたちをにもう一度冷凍睡眠に入るようにって・・・。
アムロとシャアが!
「あの二人はどこにいったの!? アムロとシャアは!」
「落ち着けと言ったろう!」
プルIが叫んだ。だがその声は叫びというには、あまりにか細い。
そうだった。彼女も蘇生したばかりなのに。
プルIはカプセルから下りると、私のほうに歩いてきた。
だけどその足取りは頼りなく、ほとんど倒れこむように私のカプセルに入ってきた。
「回収されたのは十二個のカプセルのみ。つまり私たちだけだ」
「そんな・・・。それじゃアムロたちは」
「アクシズ内部は廃墟だったそうだ」
「それはわたしたちが暮らしていた頃から・・・」
「人が暮らしていた形跡は全く無かったらしい」
「・・・嘘」
そんなはずは無い。アクシズ内はみんなで改造したはずだ。
決して暮らしやすい空間ではなかった。けど・・・
「ガンダムやサザビーも発見されなかった。あったのはグリプス戦役やネオジオン戦争時代の
スクラップだけということだ」
わたしに落ち込んでいる暇は無かった。
次々に蘇生する姉妹たちに事情を説明しなければならなかったのだ。
怒り出すもの、泣き出すもの。反応は様々だったが、みんなショックを受けていることに
代わりは無かった。
いつもだったらFがみんなの面倒を見てくれたのだが、彼女が目覚めたのは最後だった。
代わりにみんなの面倒を見たのは、プルIだった。
いつもの攻撃的ともいえる態度ではなく、まるでFが乗り移ったかのように優しく姉妹たちを
なだめ、そして慰めていた。
十二人全員が蘇生した後、医師たちによる身体検査が行われ、それも終わるとわたしたちは
全員が同じ部屋に入れられた。
部屋はそれなりに大きく、中央にテーブルが一つ。左右の壁には合わせて十二のベッドが
あった。
「三段ベッド・・・っていうんだよね。なんか息苦しそう」
プルLがつぶやいた。不安な時、Lはいつもぬいぐるみを抱いていたが、いまは自分の肩を
抱いているだけだ。そのしぐさはとても不安げに思える。
無言で、しかも不機嫌そうにプルBが入り口正面の壁についているコンソールを操作した。
すると壁だと思っていたスクリーンが起動した。
スクリーン一杯に巨大な惑星が映し出される。
「木星だわ・・・」
本当なら大喜びするはずだったプルFの声は沈んでいる。それでもいくらかは感嘆のこもった声だ。
木星・・・。わたしたちの目的地だった星。
それは突然のことだった。
死んでいると思われていた核ノズルの一つが起動したのだ。
アムロとシャアの決死の作業により噴射を止めることには成功したが、アクシズの軌道は
本来予定していたものから大きくずれることになった。
このままでは木星圏に行くどころか、宇宙の果てまで漂流することになる。
木星へたどり着くためには、再度核ノズルを使い軌道修正しなければならなかった。
シミュレートの結果、軌道修正は可能と判った。
しかし物資がもたない。
もともとアクシズ内の物資は、木星にたとりつくまでぎりぎりの分しか無かった。
アムロの出した結論は、わたしたち十二人をコールドスリープさせることだった。
そうやって物資の消費を最低限に押さえれば、軌道がずれたことによる大幅な
スケジュールの遅延も乗りきることができる。
そう、アムロとシャアは言った。夕食の終わりだった。
だがわたしたちは反対した。
たとえわたしたち全員が眠ったとしても、軌道修正に使うエネルギーのことも考えると
残った二人はとても厳しい状況に置かれることは目に見えていた。
たとえわたしたちが無事木星圏に到着しても、二人が生き残れる確率はほとんど
無いと言ってもよかった。
「二人が死ぬなら、わたしたちも死ぬ」
Kはそうも言った。みんなの意見も同じだった。
もともと二人に助けられたことが奇跡だったのだ。だったら・・・
その言葉を聞いた二人の怒りは凄かった。
それまでにも叱られたことはあったが比べ物にならなかった。
特にアムロの怒りようは普段からは想像もつかないものだった。
「おれたちを信用しないのか。お前たちを残して死ぬものかよ!」
最後にそう言い残すと部屋を立ち去ってしまった。
残ったシャアは厳しい表情を変えることは無く黙り込んでいた。
どれくらいたっだだろう、ようやく口を開いた。
「私たち二人が漂流を始めたときも絶望的状況だったが諦めはしなかった。
君たちを見つけた後もそうだ。厳しいことは何度もあったが、そのたび知恵を絞って
乗り越えてきた。このアクシズ内だってそうだろう? 最初のころとは比べ物にならないほど
快適になった」
部屋を見渡すシャアが、壁に飾られた絵に目を止める。
なにもないと寂しすぎるからと、私たちが飾ったものだ。
「アムロの怒りも当然だ。私たちは君たちに生き抜く努力をすることを教えてきたつもりだ。
どんなに優秀なニュータイプであろうと生きる意思を持たぬものに未来は無い。
さっきの言葉はそれを否定するも同然だった」
「でも大佐。私たちは不安なんです。二人は戦うことだけじゃない。生きることの楽しさを
教えてくれた。もし二人がいなくなったらと考えると・・・」
「Jの言う通りだ。私たちは失うものなどなかったんだ。けど今は違う。二人を失うことが怖い。
怖いんだ!」
珍しくIが感情をあらわにしている。だけど私だって怖い。
クローンという造られたものであるわたしたちには家族はない。気づいた時は戦闘訓練を行っていた。
同じ日の繰り返し。それが当たり前だと思っていた。二人に会うまでは。
「・・・アムロにも聞かせてやりたいよ」
シャアが笑っていた。今まで一度も見た事の無い、本当に嬉しそうな顔。
「私もアムロも戦いの中で生きてきたと言っても過言ではない。戦闘に次ぐ戦闘。
もはやニュータイプというより戦闘マシンといったほうが正しいかもしれない。
そんな私たちが、君たちに生きる楽しさを教えることができるのか。いつも不安だった」
「そんなことないよ! 毎日楽しかったもの!」
「ありがとう、プルA。だがこの旅が終わればさらに楽しいことが待っている。そうだ、君はチョコパフェを
楽しみにしていたではないか」
いつもならチョコパフェの言葉だけで目を輝かせるAも、さすがに今日はまじめなままだった。
「世界は広い。君たちにはアクシズは狭すぎる。多くのものを見、聞き、感じて欲しい。
そのためには私もアムロもどんな努力も惜しまん! いまやそれが我らの希望なのだから」
「その通りだ」
いつのまにかアムロが戻ってきていた。
「そろそろ説得する頃だろうと思ってな」
「ふん。どこから聞いていた?」
「世界は広いのあたりからさ。さすが伊達に何度も大演説をやっただけのことはある」
「茶化すな、アムロ」
「ごめんなさい、アムロ!」
涙ぐみ、アムロの胸に飛び込むプルK。
「いいんだよ。分かってくれればそれでいい」
Kの頭を撫でながらアムロが言った。いつもと同じ優しい目をしながら。
「・・・右上、拡大して」
Eの声でわたしは現実に引き戻された。
「何か面白いものでも見つけたか?」
Bがコンソールを操作すると、段階的に画面が拡大される。
最初は木星の斑点にまぎれて判らなかったそれが次第に姿を現す。
その特徴的なかたちは、たとえ半分になったとはいえ見間違えるものではなかった。
懐かしさにおもわずわたしは呟いてしまう。
「アクシズ・・・」
「アクシズ? あれが?」
Bの疑問ももっともな話だ。わたしたちは漂流前のアクシズしか知らない。
アムロに頼んで宇宙に連れて行ってもらったときも、アクシズから離れたことは
無かった。そのときのアクシズはまさに巨大な岩の壁だったが、今のアクシズは
ただの割れた岩石にしか見えない。
「もう私たちの家では無い・・・か」
いつのまにか横にはプルIがいた。まるで心を読まれたかのようなタイミング。
「私たちの家。Iにしてはめずらしく感傷的な表現ね」
「私も変わった」
「そうね。一番アクシズの暮らしで一番変わったのはあなたかもね」
「それはプルJだろう」
そう言うとIはベッドに腰掛けているJに目をやった。
Jだけは木星にもアクシズにも全く興味を持っていない。
シャアがいないと知った彼女は、まるで抜け殻のようになってしまった。
「脆いな」
「それは酷くない? あの娘にとってそれぐらいシャアは大事だった・・・」
「だったらもう少し信用していてもいいのではないか? 私は信じている。
二人のことを」
そう。わたしたちが眠りに付く前に二人は約束してくれた。
『とびっきりの朝食を準備して待ってる』と。
「わたしたち、これからどうなるのかな」
テーブルに頬杖をつきながらプルCが言った。
「そんなこと、わかるわけないじゃん」
三段ベッドの一番上からDの声がする。
「あっ、いつの間に!」
「早い者勝ちだろ」
「あたしだって、一番上がいいもんねー」
「お馬鹿さんは高いところが好きっていうよねー」
はしごをあがっていくGをAが茶化す。
「言ったな、プルA! 覚悟は出来てるんだろうな!」
「だってホントのことじゃーん」
DとGに追いかけられ、部屋の中を駆け回るA。
「まったくこんな状況でも変わらないわね」
呆れたようにFが苦笑する。
「まあ、しょんぼりしてるよりあっちのほうがいいよ。ところで、さっきの話だけど
あなたはどう思う、プルH?」
ぼんやりAたちのやり取りを眺めていたわたしは、いきなりKに話し掛けられ驚く。
「えっ? さっきの話って?」
「これからどうなるって話」
「ごめんなさい。わたしもこれからのことは思いつかないわ」
「そっか」
「私はこのまま木星船団に入れて欲しいな・・・」
言葉とは裏腹にFの顔はあまり乗り気でない。
「まだ将来を決めるには早いよね」
Kの言葉にうなづくF。いつのまにか追いかっけっこを止めたAたちもしんみりとした顔をしていた。
私たちの運命は、あらぬ方向へと流されて行く。
だけど今、頼れる二人はいない・・・。
リアルタイムでミター!
力作乙だけどこのまま終わってしまうのか?
かなりドキドキ・・・
面白いけど、新スレ移るべきではと思いつつ
ネタ的にここで続けた方がいいような気もするし…。
でももったいないような(;´Д`)アアァ
>>964 これはパラレル世界でのラストと考えてみては。
>>951から分かれて別の次元でのエンディングっつーことで。
新スレではこのまま漂流してもらうことにして…。
だって俺も終わってほしくないし(;´Д`)アアァ
>>953-962 本スレは、新スレたったことだし、パラレルスレを立ててもいいかも・・・・
乱立といわれるかな〜〜〜
12人のプルズの運命は、ジュドー&ルーにつながって行くてものありかも〜
パラレルを立てたら両方廃れるね。きっと。
人の分散は避けられないから(;´Д`)アアァ
アクシズの廊下は暗い。まあ最低限の明かりしか点いていないのだからしょうがない。
エネルギーは貴重だ。気温維持、プラントでの植物育成、その他もろもろ。
需要と供給はいつでも危ういバランスを保っている。すこし指で揺らせば崩壊してしまう天秤。
そんな中でアムロは余剰エネルギーを作っては、いろいろな楽しみを作ってくれる。
温かい食事が毎日食べられるのも、全てアムロのおかげだ。
「少しくらい寝坊したって許してあげないとね」
わたしはアムロの部屋をノックする。まあ形式として。
熟睡してるアムロはノック程度で目を覚ましたりはしない。
「入りますね」
思ったとおり返事はない。今日はどんな起こし方をしようか。
この前は耳元でいきなり囁いたっけ。あのときのアムロの慌てぶりは録画しておきたいくらいだった。
まあ今日はシーツをいきなり剥ぐくらいにしておくかな。どうせ下着姿で寝てるだろうから
たっぷりお説教してあげよう。
「アームロ! 朝ですよ!」
頭までかぶっているシーツを勢いよく持ち上げる。
でもアムロはいなかった。
そこあったのは以前アムロだったもの。
白骨だった。
「大丈夫か? かなりうなされていたが」
上のベッドからIが覗き込んでいる。
全身にべっとりと汗をかいている。不快だ。
「・・・やな夢をみたわ。今は何時?」
「待ってろ、いま確かめる」
そう言うなりIはベッドから降り、ベッドの下の引き出しから時計を取り出す。。
「午前五時四十二分。こういう時、近くに時計が無いと不便だな」
「仕方ないわ、Jが嫌がるから」
時計はもともとテーブルの上にあった。小さく最低限の機能しかないシンプルな時計。
だが時刻のほかに、宇宙暦を表示していたのがいけなかった。
時計には『0098』の文字が表示されていたのだ。
予定では木星到着は宇宙暦0096の予定だった。いくら二人だけとはいえ、アクシズ内の
物資で予定外の二年を過ごせるとはとても思えない。
Jにしてみれば、あの時計は二人に対する死刑宣告のように見えたのだろう。
気持ちは分からなくもない。時は止まることはない。その流れは非情だ。
あの事故の時に嫌というほど思い知らされた。
わたしたちが目覚めてから二週間が経った。
部屋を出してもらえるのは食事と一時間の運動のときだけ。
端末から外部にアクセスもできず、唯一変化のあるものといえばスクリーンに
映し出される船外風景しかない。
「発進が近いみたいね」
飽きもせず映像を眺めていたFが言った。
「なんでわかるのー?」
刺激に飢えているAが話題に飛びつく。
「モビルスーツの動きが活発になってるでしょ。最終チェックをしているんじゃないかしら」
「ほんとだー。なんかきらきらして面白いね」
「どーでもいいよ、そんなこと。早いとこ、ここから開放してほしいよ」
Dが不満の声をあげる。姉妹のなかでも活動派に属するDにとって、今の境遇はかなり堪えるのだろう。
「私たちにも関係あることよ。もしかしたら、このまま地球圏送りになるかもしれないんだから」
「地っ球でも木星でもどこでもいーよぉ! こんなとこに閉じ込められてたら、おかしくなっちゃう!」
「そーだ、そーだ」
同意するG。たしかにみんなが今の境遇には疲れているのは確かだった。
目的もなく、ただ待つだけということがこんなに辛いものとは思わなかった。
だけど発進が近いということは、わたしたちの今後にも少なからぬ影響をあたえるだろう。
それは悪いものかも知れないけれど。
モニターに映るモビルスーツの数が日に日に多くなってゆく。
発進が近いというFの予想は正しいようだ。だけどわたしたちの生活に変化はない。
会話も少なくなってきた。単調な生活は昔の訓練に似ている。嫌な記憶。
暗い過去を思い出さないようアクシズ時代の思い出に浸ろうとしたとき、ドアが開いた。
珍しいことに、そこに立っていたのはいつもと違う男だった。年は20半ばといったところか。
「なんだ運動の時間か」
Gがベッドから飛び降りてくる。
「残念だけど違うよ。君たちの処遇が決まったのさ」
物腰が柔らかで、高圧的な感じが全くない。
「それを早く言ってよ! で、あたしたちはどうなるの!? 木星に残るの? それとも地球?」
「それはこれから会う人が説明してくれるから」
「なんだよ。もったいつけることないじゃん」
不満を言うGだが、興奮は抑えきれないようだ。
「じゃ、いこうか」
男に連れられて、いつもと違う廊下を進む。
「よーやくあの監獄からも開放かあ」
「・・・次はホントに監獄かも」
「やなこというなよ」
EとGの掛け合いを聞くのもなんだか久しぶりの気がする。
「ここだよ」
ふたつほどロックドアをくぐり、ようやく目的地についたらしい。
真っ先にGが、続いてDが部屋に入る。
わたしも部屋に入ろうとしたとき、男の視線に気づいた。
まるでわたしたちを知っているかのような目。
この優しい感じ。アムロに似ている?
部屋の中は暗い。間接照明しか点けられていないためだ。
その明かりも奥まで届いていないため、暗がりの向こうに誰がいるかわからない。
「座ってくれ」
暗闇から声がする。落ち着いた感じを受ける男の声だ。
大きめの半円型テーブルがあり、一二個の椅子が円周にならんでいる。
「全員座ったかね。では始めようか」
ようやく暗闇に目が慣れてくる。どうやら二人いるらしい。
シルエットから両方とも男のようだ。
「君たちの処遇だが、地球送りと決まった」
姉妹の中から落胆の声があがる。予想していたこととはいえ、また船内生活を強いられるのだから。
「今いる部屋をそのまま使ってもらうことになるだろう」
「ええー、個室はもらえないのかよ」
「十二もの個室を簡単に用意できるわけはないだろう。それに乗組員全員に個室が割り当てられている
わけではない」
Gの抗議はあっけなくかわされる。AやDは不満そうだが、まあ当然だろう。
わたしたちは招かれざる客なのだから。
「行動の制限はどうなる」
「完全な自由行動は認められないが、ある程度は緩和されるだろう」
こういう時にIの事務的な対応は頼りになる。
とりあえず監獄のような生活からは開放されると聞いて、みんな安心する。
「もし良かったら、木星ではなく地球に送られる事情を教えてもらえませんか」
「地球連邦はアクシズに強い興味を持っている」
答えてもらえはしないと思っていたプルKの問いだったが、拍子抜けするほど簡単に男は答える。
「もっと詳しく」
Iが先を促す。
「アクシズに興味を持っている連邦が、そこで発見された君たちの引渡しを要求してきた。
木星側に拒む理由はない」
「連邦か・・・」
露骨に嫌な顔をするI。
「どうして連邦はアクシズにこだわるの?」
Cの疑問ももっともだ。アクシズはもはや何の機能も持たないのだから。
「正確にはアクシズに興味があるわけではない。そこにいるかもしれない二人についての
情報を連邦は欲している」
アムロとシャア! 連邦の本当の目的を知ってわたしは愕然とする。
目覚めたばかりのとき、わたしたちは二人が生きていると話してしまった。
「・・・わたしたちがアムロたちが生きてるって話したから?」
Eの問いかけは、わたしたち全員の問いでもあった。
「それもある。だが以前より連邦は二人が生存しているのではないかという疑いを持っていた」
「・・・何故?」
「アクシズは三度軌道を変えている。一度目は金星の重力が影響したとも考えられていた。
だがその後の二回は明らかに核パルスエンジンを使用して軌道変更をかけている。
偶然というには無理があるな」
そうだ、金星でスイングバイをするとき二人は細心の注意を払っていた。
一気にエンジンをふかして軌道を変えようと言ったGに苦笑いしていたのは
そのがさつともいえる意見にでは無かったのかもしれない。
それにしても、あの事故はどこまでわたしたちの運命に付きまとうのだろう!
「・・・どうして、どうして放っておいてくれないの!」
プルJが立ち上がり叫んだ。
「放っておいてくれれば、どこかで静かに暮らしていけるのに! 連邦も木星も、ジオンだって関係なく!」
「落ち着け、J。余計なことをしゃべっても連邦を喜ばせるだけだ」
プルIの言葉を聞き、Jは放心したように椅子に崩れ落ちる。
「・・・アクシズの地球落下を防いだ『力』。連邦が恐れたのはその力がアムロ・レイと
シャア・アズナブルの能力によって引き起こされた可能性があるということだ」
確かに以前アムロもそんなことを言っていた。人々の意思が力になったと。
「実際には信じていないのだろうがな、宇宙移民者の口実にされてはたまらないのだろう。
まあ二人が死んでいれば黙殺したかもしれないが、生きているとなると話は別だ。
ふたりのどちらかでもシンボルにされてはたまらない」
「皮肉だな。アムロ・レイの望んでいたものとはかけ離れている」
いままで黙っていたもう一人がようやく口を開いた。
「このような結果を求めていたわけではあるまいだろうが現実は非情だ。地球圏は今でも
戦乱の渦中にある。ネオジオン残党の跋扈。新たな反連邦組織も続々と誕生している」
それを聞いた寡黙な男は再び黙り込む。
「まるで木星には関係の無い、遠い世界のことを話しているようにも聞こえますね。
あなたがたは木星人というわけですか」
Kが精一杯の皮肉を言う。
「木星とて関係ないわけではない。こうして地球連邦の要請を受け、君たちを地球に送ろう
というのだから」
人身御供というわけだ。結局、わたしたちは道具にすぎないのだろうか。
「まあ確かに他人事のように聞こえたかもしれないな」
もう口を聞くことがないのではと思っていたもう一人が唐突に言った。
なにがおかしいのか、小さく笑っている。
「うん、関係ない。確かにそうだ。死人には関係ない。そうだろ?」
話を振られた男も苦笑する。
「そうだな。木星人の真似事をするのも疲れてきた」
>>969-975 お疲れさん(・∀・)!!
>>967 パラレルスレ立てるのはやめとこうよ。
一応このラストはあくまでこのスレでの一つの終わり方という事で。
乱文スマソ
まあ、なんとなく、落ちが見えてきた用な気もするけど、
私の思ってる落ちだと、プルズの心の癒し方が難しいな〜〜
最後まで、楽しませてくださいね。
979 :
七資産:03/03/10 20:59 ID:???
氏んでます… /(●w●)ヘ川@¬ 白骨状態。
現在蘇生中。他人のssが面白いので徐々に復帰を画策すてます…。
>>969-975さんガムバッてください。
>953-975 (・∀・)イイ!
ちょと落ちてきたので
続きをどしても読みたいので
保守age
981 :
通常の名無しさんの3倍:03/03/10 23:45 ID:/qyxUwLS
さっさっさっ下がりすぎや〜〜〜!!!!
続きを期待してage
部屋の灯かりがともる。奥には忘れられるはずがない二人が立っていた。
少し感じが変わったが間違いない。アムロとシャアだ。
だれもが驚きのため声もだせない。
もう一度会いたい。誰もがそう願っていたはずなのに、実際は動くことすらできない。
もし声をかけたりすれば、二人は蜃気楼のように消えてしまうのではないか。そう思えた。
そんな不思議な緊張状態を破ったのはプルIだった。
「どうした。愛しのシャアが現れたんだ。感動の抱擁をするのがヒロインの務めというものだぞ」
そう言ってKの背中を軽く叩く。
「え、ええ」
魔法が解けたかのように立ちあがり、シャアのもとへ近づくK。
「久しぶりだな、K」
「大佐・・・、大佐ぁ!」
Kがシャアの胸に飛び込む。それを合図として、わたしたちも二人に駆け寄る。
幻じゃない。だけどあの夢のことを思い出したわたしは、おずおずとアムロの頬に触れる。
あの頃に比べて痩せてしまったけど、温かい。懐かしい温かさ。
「どうしたプルH? 本当に死人だとおもったかい?」
「・・・少しやつれましたね」
「本当かい? やっぱりスパムばっかり食べてちゃだめか」
アムロがわたしの目じりをぬぐう。いつのまにかわたしは泣いていた。
「不安にさせて、ごめんな」
「いいです。こうしてもう一度会えたから」
「さて、事情を説明してもらえおう。返答によっては裁判・・・ではすまない」
腕組みをしてプルIが言った。でもその顔は笑いを隠せていない。
当然彼女だって嬉しいはずなのだ。ただIの言うことももっともだ。
「そうだな、何から話せばいいものか」
アムロが考え込む。
「とりあえず何故今まで姿を見せなかったかを聞かせてもらいたい」
「それは私から話そう」
「・・・大佐」
「私とアムロは一応死んだということになっているはずなのでな。公に姿を見せると
いろいろと面倒なことが起こることが予想された。そこで一足先にアクシズを脱出して
なんとか木星公団に潜りこむことにした」
「そんな簡単に潜りこめるものなのか?」
Iが口を挟む。たしかにシャアの口調からは木星への潜入がとても楽なことのような感じを受けた。
実際にはそんなことはないだろう。
「公団内にもネオジオンの息のかかった組織があった。我々は木星圏に入ったころから、ネオジオン軍の
暗号をノイズに見せかけて発信しつづけた。反応してくれるのは友軍のみ・・・のはずだったのだが」
「上手く行かなかったんですか?」
「結果的には同じだったと言っておこう」
Fの質問をはぐらかすシャア。それをみたアムロが苦笑する。
「隠すことでもないだろう。木星公団内のネオジオン組織はすでに無くなっていたのさ。
その代わりに現れたのは木星公団の私設軍だった」
「戦ったの?」
軍と言う言葉に顔をしかめるC。
「ところが驚いたことに木星側から身柄の保護を申し入れてきた。暗号を解読した木星はおれたちが
生き残っていることに気付いていたんだな。連邦がアクシズの調査を依頼してきたことも聞かされた」
「私たちはやっぱり地球に行かなくちゃ駄目ですか?」
一応と言った感じでKが質問する。
「さすがに『何も見つかりませんでした』では連邦も納得しないだろう。木星も連邦に刃向かう気はない
ようだ。だが木星側から監視役として二人の職員を派遣することにした」
「それがおれたちというわけだ」
「ずいぶん親切だね」
無邪気に喜ぶL。解せない話だ。何故木星はそこまで肩入れしてくれるのか。
「私の人徳のなせること。・・・と言いたいが、泳がされているといったところだろう」
憮然とした表情になるシャア。
「木星公団か・・・、なにを考えているんだ?」
アムロも考え込んでいる。
「私たちが地球圏に騒乱を巻き起こすことを期待しているのかもしれんな。
連邦が地球圏の維持に精一杯な状況に追いこみ、木星圏に目を向ける余力を無くすといった所か」
シャアの言葉を聞いて不安そうな表情をするJ。
「死人だと言ったろう。おとなしく墓に眠っているとするさ」
「・・・結婚は人生の墓場」
「シャアと一緒に埋葬されるやつは災難だな。がんばれよ、J!」
「何を言うのよ。G!」
「・・・連邦も木星もジオンだって関係ない」
「あれって愛の告白だよな」
EとGのからかいに顔を赤くするJ。
「なるほどね。でもあんなお芝居を打つ必要があったとは思えないが」
Bが冷たく言い放つ。確かにそうだ。部屋に入ったときに名乗ってくれても、問題は無かったはずだ。
「そうだよ! もっと早く会いに着てくれてもよかったじゃん! わたしたちがどれだけ心配したか・・・」
Aがシャアに詰め寄る。
「そ、それはだな、君たちに接触するチャンスが見つからなかったんだ。どこに連邦軍のスパイが
潜んでいるか分からんしな」
「本当かー? 感動の再会を演出しようとか言い出したんじゃないのかぁ?」
「そ、そんなことはない!」
Dの言葉をむきになって否定するところが怪しい。間違い無く首謀者はこの男だろう。
やはりおしおきが必要らしい。
「・・・地球圏についたらわたしたちはどうなるんだ? 連邦軍に引き渡されるのか」
脱線しそうになった話題をIが修正する。木星が便宜を図ったのはあくまでアムロとシャアのみ。
わたしたちはおまけにすぎない。連邦に引き渡されたらどうなるか。考えたくも無い。
「連邦と接触する前にジュピトリスを離れることにする。幸い、ここに逃げることに関しては
宇宙一の男がいる」
「含みのある物言いだな。まあ任せておけ。二年も準備期間があることだしな。
完璧な計画を立てて見せようではないか」
やけに楽しそうなシャア。大丈夫だろうか。結局どさくさまぎれに逃げるはめになるのでは。
そんな嫌な予感をぬぐうことが出来ない。
「話は終わったかい? こっちの準備は出来たぜ」
ドアが開き、さっきわたしたちを案内してくれた男が入ってくる。
「すまないな、ジュドー」
「いいって、いいって」
アムロにジュドーと呼ばれた男が軽く手をふる。
「準備ってなーに?」
プルAが二人に尋ねる。
「約束したろう。とびっきりの朝食を準備して待ってるって」
「朝食っていう時間でもないけどな」
「確かに」
アムロが苦笑いする。
「ところで例のものは手に入ったかい?」
「例のもの? ああ、チョコパフェのことか。当然」
「チョコパフェ! 食べられるの!?」
ジュドーの言葉を聞いて、Aが目を輝かす。
「チョコパフェ好きか?」
「うん! 食べたこと無いけど大好き!」
「・・・そうか」
ジュドーがAの頭を撫でる。またあの優しい目をしている。
もしかしたらこの人はわたしたちではないプルを知っているのかもしれない。
なんとなくそんな気がした。
「わたし先に行ってるねー」
ジュドーに食事場所を聞いたAは待ちきれないといわんばかりに駆けだしていく。
DやGもAに続いて走り出す。
「全くチョコパフェは逃げやしないって」
あきれたといった顔でBが見送る。
「逃げないかもしれないが、食い尽くされる恐れはあるな」
「ありうる・・・、ごめん! わたしもさっきに行ってる!」
Iの冷静な指摘を受け、慌ててAたちの後を追うB。
それを見てジュドーが笑う。
「ジュドーも食べていくんだろ」
「そうしたいのはやまやまなんだが、仕事がたまっててね。おれみたいな有能な人材は
引く手あまたなのさ。誘ってくれてありがとう、アムロさん」
「そうか。残念だな」
「まあ立ち話するくらいの時間はあるよ」
「アムロ、私は先に行っている。先に行ったプルたちで喧嘩が始まっても困るからな」
「任せるよ。おれはもう少しジュドーと話していく」
「了解だ」
シャアに先導され、続々と姉妹たちが部屋を出て行く。
残ったのはアムロとジュドー、プルI、そしてわたしだけになった。
「元気な子たちだな」
「元気すぎて困るがな」
「分かるよ」
アムロとジュドーが苦笑している。
「しかし驚いたよ。アクシズの探索内容を聞かされるために司令室に入った時は。
死んだはずのアムロ・レイとシャア・アズナブルが立ってるんだから。
カプセルのことを聞いたときほどじゃなかったけどね」
「おれもまさかジュドーに会うとは思わなかった。ブライトから木星船団にいるとは聞いてたけどね」
「ブライトさんは元気かい?」
「元気だったよ。五年前の話だが」
「そうか・・・、そうだよな。まだ艦長やってるのかな」
「たぶんね。おれが生きてるって知ったら驚くだろうな」
「連絡はとらないのかい?」
「連邦の眼もある。難しいだろうな。会ってみたいが・・・」
「そうか・・・」
それっきり沈黙する二人。空気が重くなったのを感じる。
親しい人に会えない悲しみ。ジュピトリスでわたしたちも感じた。
「五年・・・、五年・・・。そうだ! 一つ聞き忘れてた、アムロ!」
沈黙を破ったのはIだった。
「な、なんだい?」
「どうやって二人は生き延びたんだ? 五年も漂流することは不可能だったはずだ」
「なんだ、そのことか。交代でコールドスリープしたのさ」
「なるほど。さらに消耗を押さえて乗り切ったというわけか」
「案外、楽な旅だったよ。静かで研究がはかどったくらいだ」
楽だったわけが無い。やつれたのはアクシズの生活が過酷だったせいだろう。
ただわたしたちを心配させてくないだけなのだ。
一歩間違えば死んでいたかもしれない。
そう考えたわたしは思わずアムロの手を握ってしまう。
するとアムロが優しく握り返してくる。
なにも心配しなくていいんだよ。そんな思いが伝わってきた。
「しかし大変だったんじゃないか? チョコパフェなんて準備するのは」
「なに、こいつさえあれば大抵のものは手に入るのさ」
ジュドーは右手の親指と人差し指でリングをつくり笑う。
「地獄の沙汰も金しだいってことか」
「そういうこと。それにアムロさんには良いものもらったしね」
「良いもの?」
思わず尋ねてしまう。わたしの知る限り、アクシズに高価な品物はなかったはず。
あるとすれば・・・
「ガンダムとサザビーのことかい? もう旧式だろう」
「サザビーって言うのかい、あの赤いモビルスーツ。あいつ良いパーツ使ってたよ。
ばらす手間賃はかかったけど、充分おつりがきた」
「サザビーを売ったのか!? これはシャアには聞かせられないな」
「ガンダムも売るのか?」
Iがつらそうに尋ねる。ガンダムは思い出の詰まったモビルスーツだ。無くなってしまったら寂しい。
サザビーにも思い出はあるが、なんとなくこうなる運命のような気がした。
「そんなことしたらルーのやつが激怒するだろうからな。木星仕様に改造して使わせてもらうよ」
ルーという人が怒らなければ、本当はガンダムも売る気だったのだろうか?
ジュドー、意外にあなどれない男だ。
「ルー? ルー・ルカかい? 仲よくやってるみたいじゃないか」
「ま、切っても切れない腐れ縁ってとこだね」
口ではそんなことをいっても、ジュドーが照れているのは明らかだった。
それを見ているアムロもなんだか嬉しそうだ。
「さてと、そろそろ行くよ」
「引き止めてすまなかったな」
「いいよ。おれも楽しかった」
「シャアに伝えることはあるかい?」
「本当なら百発くらい殴ってやりたいとこなんだが、今日のところはプルたちに免じて許してやるよ。
ただこの子たちを泣かすようなことがあったら、どこにいても探し出してハイメガキャノン打ち込んでやる。
・・・そう伝えといてくれ」
いつシャアはジュドーの恨みを買うようなことをしたのだろうか。
まあ知らぬうちに恨みを買っている可能性はある。
あの男が良かれと思いやることは、どこかずれていることが多い。
「分かった。元気でな」
「アムロさんも! また木星に来たら連絡してよ! あとブライトさんによろしく言っといて!
プルたちも元気で! あんまりアムロさんを困らせるなよ!」
派手に両手を振りながら後ろむきに歩いていくジュドー。角を曲がるまで続けていた。
見た目より子供っぽい行動が目立つ。憎めないタイプの人物ではある。
「行っちゃいましたね」
「ああ」
「ところでアムロとはどういう知り合いだったんだ」
「戦友かな。戦う場所は違っていたけどね」
プルとはどういう関係だったの。そう聞こうと思ったが止めることにした。
わたしはプルH。プルではないのだから。
「さあ、おれたちも食事に行こうか。本当に食べ尽くされているかもしれないぞ」
「そうだな。チョコパフェを食べるチャンスをみすみす逃すのも癪だ」
すました顔のプルI。おもわずからかいたくなる。
「そんなこと言って、案外楽しみでしょうがないんじゃないの?」
「もちろん。Hの分ももらってもいいか?」
「だめに決まってるでしょ」
「仲がいいな、二人とも」
アムロが笑っている。
「そうそう地球圏に着いたら、今度はどこにいくんですか」
なんとなく恥ずかしくなったわたしは話題を変えることにした。
「気が早いなHは。到着まで二年はあるぞ」
「こういうことは早めに決めておいたほうがいいんです」
「私は地球に行ってみたい。地球の雨というものを感じてみたい」
意外なIの言葉。何故地球にこだわるのだろう。
「どうして地球? コロニーでも雨は降るでしょ」
「コロニーは人工的に造られた閉鎖空間だろ。私たちは生まれてからずっとアクシズという
閉鎖空間で暮らしてきた。一度は造られた世界じゃない、自然の世界というものを感じてみたいんだ!」
めずらしく熱っぽく語るI。でもそれを聞いてるうちに、わたしも地球に行ってみたくなった。
「いいよ。地球に行こう」
「本当に、アムロ!」
「久しぶりに地球にいくのも悪くない。その頃には新世紀を迎えてるだろう。きっとお祭り騒ぎだぞ」
目が覚める。みんなの寝息が聞こえる。
テーブルの上の時計を見る。午前七時十三分。
朝食の時間が近い。まもなくみんなおきてくるだろう。
木星を出発して三ヶ月。船内生活は思っていたより快適だ。
船内の行動範囲は制限されているが、実際はほとんどアクシズにいた頃と
変わらない毎日を送っている。
木星までの片道切符が、実は往復切符だった。そんな感じだ。
ちょっと旅行にしては長すぎる気もするが、終わらない旅というのも悪くないかもしれない。
問題なのは船に乗りこむまで行き先が分からないことだ。始めは木星、次は地球。
今度はいったいどこになることやら。なるべく近場にしておいて欲しいものだ。
唯一、残念なことがある。
アムロの部屋に行く途中のセキュリティロックの解除の仕方がわからない。
それはアムロの寝起きをからかうというわたしの楽しみが無くなってしまったことを意味する。
本当に残念だ。早く地球に着かないだろうか。
さ、さ、さ、最高━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
超大作お疲れ様でした!!!
敬礼!!
誰か見れなくなる前にテンプレサイト作ってくれ〜
>>994 テンプレサイトか……誰も作らなかったら作ってもいいよ
996 :
通常の名無しさんの3倍:03/03/11 13:36 ID:fUhYRHco
もうじき・・・・・
結婚出来るかな?
もうすぐ・・・・・
結婚死体!
1000出来るかな
1001 :
1001:
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。