2
ちちだせ
☆ チン マチクタビレタ〜
マチクタビレタ〜
☆ チン 〃 Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < 乳だしまだ〜?
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
神降臨待ち
最終話が激しく気になる・・・・
, -―‐- 、
./ ヽ>`ヽ
/ ,..-、,.. ヽ
/ / ) ヽ
/ ./ ' l l
/ /二`ヽ ‐_ | |
./ l ゞゾ r'ノ,'| / みなさん私の上に
/ / | ` (! `゙/ / 乗ってください・・・
/ / ト、 、ーッ // {
/ / | ヽ`´,. イ / |
. | / ノ ゝ |
.|, -―ー '" ; ' ""!^ )
/ , '"^、 `ー-、 _, -ー ! /'|
|' _ミ7ゝ ,. ! / |
|| Y' ::y' : | |
|.| | : : | !
|' ! .'o, | '.o, ! |,/
| ヽ、 ,人 ノ |
! | `゛´ ` ー 'ヽ ノ
i | ヽ、_, '
ヽ、__ ノ /
| / r |
/ i
/ !
/ `丶 ' .|
/ | / !
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| l| i ノ \
| |"~ | \
| | ヽ \
| | ヽ \
| | ヽ \
ー- 、| | (⌒、 |
| | ) (ヽ |
| | / ヽ |
\ 〉 / ( \ヽ /
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/ / \: ト--^^^^^┤ 丿 \\\ \\\
13 :
再録:02/11/12 13:12 ID:???
916 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:02/10/22 23:09 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
「バーニィ・・・どうしてるのかしら。」
地球に下りたクリスはバーニィのことが頭から離れずにいた。
金髪で青い目をした好青年にクリスは完全に恋をしていたのである。
そのせいか、新しく始めた軍の事務の仕事もあまり手につかず、今日も上官に
叱られてクリスはナーバスになっていた。
「会いたいな・・・」
クリスは二階にある自分の部屋の窓から町を眺めながらつぶやいた。
「コン、コン」ドアをノックする音が鳴った。
「なぁに?」クリスは気の無い返事をした。
「パパ・・・何か用?」ドアを開けたのは父だった。
「また、バーニィ君のことかい?」
クリスは既に父と母にバーニィのことを相談していた。父と母はクリスの
良き理解者だったのである。
「うん・・・」クリスは窓の外を見ながら答えた。
「そういえば、来週から三週間の休暇だって?」
「うん・・・」相変わらず気の無い返事である。
(バーニィと一緒なら最高の休暇なのに・・・)クリスは声に出さず思った。
「行っておいで」父はそう言って一枚の紙をわたした。
「何これ・・・・サイド6行きシャトルチケット・・・!」
暗雲に曇っていたクリスの顔がいっきに晴れた。
「パパ!」クリスは思わず父に抱きついた。
「パパ、ありがとう!高かったでしょ?」
「なぁに、お前のためさ、なんてことは無いよ。バーニィ君に会っておいで。」
「うん!ありがとう、パパ!」クリスはさっそく荷造りを始めた。
つづく・・・評判よかったら続編書きます。でも鬱な展開かも。
14 :
再録:02/11/12 13:13 ID:???
923 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:02/10/23 21:56 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
アルとドロシーは二人で歩いていた。今は学校の帰りである。
「ったく、何でついてくんだよ、女と帰ってたら笑われるだろ。」
アルはムスっとした表情で言った。
「別について行ってるワケじゃないわ。方向が同じなだけよ。」
ドロシーはそんなアルの態度を軽く流す。
確かにドロシーの家はアルの家を80m程過ぎた所に在り、方向は同じたった。
もちろん、ドロシーがアルと一緒にいるのはそれだけが理由ではない。
少女はアルに淡い思いを抱いていたのだ。
が、恋愛に無頓着なアルがそんな事に気づくはずも無かった。
「こんなところチェイやテルコットに見られたら大変なんだぞ、まったく。」
「いいじゃない、言わせておけば。」
こんな他愛の無いやりとりをしている間にアルの家に着いてしまった。
「じゃあね、アル」
「ん?ああ」アルは振り向かずに返事をした。
「あ、待って!」ドロシーが突然叫んだ。
「なんだよ?」面倒くさそうにアルが言う。
「あ、あのさぁ・・・その・・・えと・・・。」
ドロシーは下を向きモジモジしている。
「なんだよ?はっきり言えよ、早く帰りたいんだからさ。」
アルが腹を立て始めているのは明らかだった。
「う、うん、あのね、明日私の誕生日会があるの・・・それでね、よかっ」
「アル!!」ドロシーの話の途中で突然女性の声が割り込んできた。
アルが声のした方を見ると髪をなびかせて走ってくるクリスの姿があった。
15 :
再録:02/11/12 13:13 ID:???
924 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:02/10/23 22:00 ID:???
アルが声のした方を見ると髪をなびかせて走ってくるクリスの姿があった。
「クリス?クリスじゃないか!どうしたの?またサイド6に戻ってきたの!?」
さっきまでの表情が嘘のようにアルの表情が輝いていた。
「ううん、休暇でね。一週間くらいこっちにいられるの。」
「なぁんだ・・・残念だな。」アルは肩を落としてしまった。
「あっアルゥ〜ちょっと見ない間に可愛い彼女見つけちゃって、紹介してよ。」
クリスはドロシーを見ながら言った。
「ちっ違うよ!ただの友達!もう、こいつはドロシー、クラスが一緒なんだ。」
アルは即座に否定した。それが少女の心を深く傷つけたとも知らずに。
「そうなの?ゴメンね。私はクリスチーナ・マッケンジー。クリスって呼んでね
アルとは昔から家が隣だったの。よろしくね、ドロシー。」
クリスはそう言ってニコッと微笑んだ。
「・・・私、帰る。」そう言ってドロシーは走り去ってしまった。
「なんだぁ?あいつ。」アルが不思議そうな顔をしていると、
「かわいそうな事しちゃった・・・アル、女の子には優しくしなきゃダメよ。」
クリスは少し切ない表情で言った。
「何が?、まぁいいよ、あいつ学校でもヤな奴なんだ。」
「ところでクリス、サイド6に何しに来たの?こんな所、何にも無いじゃん。」
「え?え〜と、驚かないで聞いてくれる?・・・実は・・・」
アルは何で女は言いたい事をすぐに言わないんだろう、と不思議に思っていた。
(ん?そういえば、あいつ誕生日がどうのって言ってたな・・・ま、いっか。)
「ね〜もったいつけてないでさ、早く教えてよ。」
「え、ええ。実はね・・・・・」
「バーニィに会いに来たの。」
「・・・え?」
つづく・・・どうでした?評判よかったら続編書きます。
16 :
再録:02/11/12 13:14 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
「バーニィに会いに来たの。」
「・・・え?」 アルの顔が一瞬にして青くなった。
そう、クリスは知らない。バーニィがもうこの世にいないことを。
「バ、バーニィに何か用があるの?」
アルは恐る恐る尋ねた、そして最悪のケースを覚悟した。
「う、う〜ん、用ってワケじゃないんだけど、ええと、その・・・。」
(・・・そうね、今ここで適当なこと言ってもそのうち耳に入っちゃうんだし、
言ってもいいか。でも「好きになっちゃった。」って直球でいくのも・・・)
「あっそういえば、バーニィって恋人はいるのかしら?」
クリスなりの変化球であった。
「恋人・・・?あっあぁ、いないんじゃないかな。」
(いないはずだ、ビデオでも何も言ってなかった。恋人がいるなら、「大人に
なったらこのビデオを届けてくれ。」の一言くらいあってもいいはずだ。)
アルは懸命に頭の中で答えを弾き出した。
「本当?良かったぁ〜、そればっかり気になってたのよ。」
クリスは安堵のため息をついた。
「で、でも、どうしてそんなこと訊くの・・・?」
最悪のケース。それがもう目前まで迫っていた。
「え?・・・そうね、正直に言うわ。」
「私ね、バーニィのことが好きなの。優しいあの人のことが好きなの・・・
バットで殴った時も笑って許してくれた・・・あなたを肩車して走っていく
姿も素敵だった・・・地球に下りてからあの人が頭から離れないの・・・」
クリスはアルの目線まで体を下げて言った。その目はわずかに潤んでいた。
「悲劇」
そんな言葉がアルの頭をかすめた。
つづく・・・どうだったでしょうか?評判よかったら続編書きます。
17 :
再録:02/11/12 13:14 ID:???
944 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:02/10/26 00:41 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第4話
突然のクリスの告白。アルは今、放心状態に陥っていた。
「ぁる・・・ァル・・・ねえ、アルッたら!」
クリスに肩を揺さぶられ、ようやく我に帰ることができた。
しかし、正常な思考を持つことなど出来るはずもない。
(クリスが・・・バーニィを・・・?そんな・・・そんな・・・どうして・・)
「ちょっとアル、顔が真っ青よ?・・・具合でも悪いの?」
クリスはアルの額に手を当て、熱を測った。
「・・・熱は無さそうね。・・・ねぇ、バーニィは今どうしてるの?」
さすがにクリスも不審に思ったようである。
(マズイ!!クリスが不審がってる・・・でもどうする?・・・そうだ!
この際バーニィは他のコロニー行ったって事にすれば・・・いや、だめだ、
地球からコロニーに上がってきたくらいだ、きっと追いかける。
じゃあどうすれば・・・本当の事を言うか・・・?)
クリスの一言でアルに思考が蘇った。
「バ、バーニィはね、今は仕事に行ってるんだ。帰りは夜になると思うな。」
本当の事など言えるはずがなかった。
時間の延長、今のアルにはそれしか選択できなかった。
「あっそういえば機械関係の仕事をやってるのよね、会社はどこ?」
とりあえず、その場を収めることは出来たが、直後に第二の試練がアルを襲う。
「か、会社・・・?そ、そんな事、訊いてどうするの・・・?」
「決まってるでしょ?今から会いに行くのよ。」
アルにとっては一番恐れていた答えだった。何とかして考えを変えなければ。
「そ、それはマズイよ、クリス。」
「あら、どうして?」
こんにちは。
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜の作者です。
新スレ立ったんですね、あ〜よかった。
落ちてた時はどうしようかと思いました。
さて、最終回なんですが、もうできてます。
けど、そのまえに1〜9話をUPしてからUPします。楽しみにしててくださいね。
19 :
再録:02/11/12 13:15 ID:???
945 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:02/10/26 00:45 ID:???
クリスが不思議そうな顔をして言った。
「お、男ばっかの職場だし、確か社長さんが大の女嫌いなんだよ。だから、
クリスが会社に行ったらバーニィ怒られちゃって困ると思うなぁ・・・」
我ながら無茶苦茶な理由である。が、今はこのくらいしか思いつかなかった。
「そ、それに家でパーティでもやって驚かせたほうがバーニィも喜ぶと思う
けどなぁ。料理は母さんに作ってもらって・・・。」
後先の事はどうでもよかった。今はクリスを留まらせる事が最優先事項なのだ。
「へ〜それもいいかもね!私そういうの大好きよ!」
なんとかこの場は切り抜ける事ができたようだ。アルは心底ホッとした。
「・・・あれ?でもバーニィの事は、おばさん知らないんじゃなかった?
確か母親が違うのよね?バーニィとアルは。知ってるの?バーニィの事。」
ウソがウソを呼んだ。クリスにはバーニィとアルの関係を異母兄弟という事に
してあったのだ。当然、親はバーニィの事など知らない。
「う、うん・・・クリスが地球に下りた後に皆で話あったんだ・・・その時に
バーニィを母さんに紹介したんだ。始めは母さんも驚いてたけど、今はもう
仲も良いんだよ・・・。」
もう何が何だか解らない、アルの頭は完全に混乱していた。
「へ〜そんな事があったの?確かにおばさん優しい人だもんね。でも嬉しいな、
普通だったら怒っちゃう事も、おばさんは許せる人なのね。バーニィも喜んで
たでしょう?」
クリスはまるで自分の事のように喜んでいた。
「うん・・・そうだね・・・。」
アルは「真実」を話す事を覚悟していた。
クリスと母が会ったらすべては壊れてしまうだろうから。
「じゃぁ、そろそろアルの家に入りましょ。パーティの準備しなくっちゃ。」
「うん・・・今開けるよ。」
「ガチャ・・・」
アルは静かにドアを開けた。
つづく・・・どうでしたか?感想などをよかったら聞かせてください。
20 :
再録:02/11/12 13:15 ID:???
959 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:02/10/28 02:06 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第5話
「ガチャ・・・」
アルは静かにドアを開けた。
「・・・・・・。」
いつもなら元気よく「ただいまぁ。」の一言をかかさないが、今日は違った。
もうダメだという事もよくわかっている。
しかし、あえて破滅の道を急ぐような選択は本能が拒否した。
「こんにちわー!おばさーん!。」
そんなアルのささやかな抵抗はクリスの声によって引き裂かれた。
(あぁあ・・・もう・・ダメだ・・・。)
アルは無意識に目をつぶる。できれば、この場から逃げ出したかった。
「・・・・。」
返事が無い。クリスの声は間違いなく家中に響き渡ったはずである。
「あら?・・・おばさん、留守かしら?。」
クリスは体を傾けて奥を覗きながら言った。
「ダダダダ!!」
アルは物凄い勢いでリビングに向かった。
クリスはビックリしてその場でキョトンとしている。
「ど、どうしたの?、アル。」
リビングには誰もいない。アルは真っ先にテーブルを見た。
何故なら母が外出する時はいつもテーブルに手紙を残しておくからだ。
「母さんは今日、中学の同窓会で遅くなります。オヤツと夕食は冷蔵庫に
入ってます。帰りはたぶん10時頃になると思います。
いい子に留守番しててね。 母さんより。」
21 :
再録:02/11/12 13:15 ID:???
960 名前:通常の名無しさんの3倍 投稿日:02/10/28 02:10 ID:???
奇跡が起きた。
いつもなら十中八九家にいる時間である、が、今日に限っていなかったのだ!
これを奇跡と言わず何を奇跡と言うのか?
そのくらい、アルは舞い上がっていた。神に感謝していた。
(やっっっっったーーーーーー!!。神様ありがとう!!)
結局、時間稼ぎにしかなっていないが、建て直しの時間ができたという意味は
大きかった。そして、この奇跡を最大限生かす選択をアルは迫られていた。
「ねぇ、おばさん留守なの?」
いつのまにか、クリスがアルの後ろにいた。
一瞬、アルはドキッとしたが、平静を装って返事をした。
「う、うん!・・・なんか同窓会で遅くなるって。」
「同窓会?、残念ね、おばさんに会いたかったのにな。」
クリスは少しションボリとした表情を見せた。
「ま、いないならしょうがないわね。アル、材料買いに行きましょ。」
アルは直感的に「マズイ!」と感じた。それは阻止しなければならない。
「い、いや、買い物には僕一人で行くよ。」
今は、少しでも一人になって考える時間が必要だった。
「えぇ?、何言ってるのよ、私も一緒に行くわ。」
「だって、ほら・・・そう!ついでにバーニィに今日家に来るように言わなきゃ
ならないし、ほら社長さん女嫌いって言ったでしょ?それにクリスだって地球
から上がってきたばっかりで疲れてるんじゃない?」
アルの頭は冴え渡っていた。もともと、こういう事は得意である。
「え?う〜ん、そんなに疲れては無いけど、バーニィの事がね・・・
やっぱり、急に会って驚かせたいし・・・そうね、お願いしようかしら。」
クリスは納得したようである。
22 :
再録:02/11/12 13:16 ID:???
「必要なものは紙に書いてくれればいいから。」
とりあえず今は一人になる事が先決である。そう思ってクリスを急がせた。
「そうね・・・生クリームに・・・玉ねぎ・・・ひき肉・・・」
クリスは冷蔵庫を見ながら必要なものをすべて紙に書いた。
「じゃぁ、お願いね。」
「うん、クリスはテレビでも見て待っててよ。」
アルは急いで玄関まで走っていった。
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい。」
勢いよくドアを開け、外に飛び出していった。
「ようし・・・とりあえず必要なものを買って、それから考えよう・・・。」
自転車でスーパーマーケットまで走りながら、アルは四苦八苦していた。
「・・・う〜ん、テレビもおもしろいのやってないなぁ・・・。」
チャンネルをパチパチ変えながらぼやいた。
「アルが帰ってくるまで一時間くらいか・・・ヒマね。・・・そうだ!」
なにか思いついたようである。
「アルの部屋に入っちゃおうっと、何かおもしろいモノがありそうだわ。」
クリスの悪い癖が出てしまったようである。
「黙ってればバレないわよね・・・」
そう思い、二階に上がってドアを開けた。
「へぇ〜これがアルの部屋かぁ〜結構綺麗にしてるじゃない。」
部屋を見渡しながらクリスは言った。
「あっ私の部屋が見える!・・・あっでも今は別の人の部屋か・・・。」
クリスの家は現在、売却して他人の物になっていているのだ。
「少し寂しいな・・・そういえばアルがここからビデオを撮ってたっけ。
懐かしいな・・・あっこれがそのビデオね・・・。」
机の上においてあったビデオを手にとりながら言った。
「あら?ディスクが入ったままだわ。・・・もしかして私も写ってるかも。」
そう思ってビデオからディスクを出した。
「0079 12・24 バーニィ」
>>18 おお、お待ち申し上げておりますた。ここでの
>>1っす。
第5話までは再録したので、6話以降のコピペお願い申し上げます。
そろそろ仕事に戻らないといかんので(笑
最終回お待ちしてますぜ!
ちょっちょとまって!
小説はUPするの待ってください。
修正したいぶぶんもあるので
25 :
作者:02/11/12 13:29 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第1話
「バーニィ・・・・・どうしてるのかしら。」
地球に下りたクリスは、バーニィの事が頭から離れずにいた。
金髪で青い目をした好青年にクリスは完全に恋をしていたのである。
そのせいか、新しく始めた軍の事務の仕事もあまり手につかず、
今日も上官に叱られてクリスはナーバスになっていた。
「会いたいな・・・・・。」
クリスは二階にある自分の部屋の窓から町を眺めながらつぶやいた。
「コン、コン。」
ドアをノックする音が鳴った。
「なぁに?」
クリスは気の無い返事をした。
26 :
作者:02/11/12 13:31 ID:???
「パパ・・・・・何か用?」
ドアを開けたのは父だった。
「また、バーニィ君の事かい?」
クリスは既に父と母にバーニィの事を相談していた。
父と母はクリスの良き理解者だったのである。
「うん・・・・・。」
クリスは窓の外を見ながら答えた。
「そういえば、来週から三週間の休暇だって?」
「うん・・・・・。」
相変わらず気の無い返事である。
(バーニィと一緒なら最高の休暇なのに・・・。)
クリスは声に出さず思った。
「行っておいで。」
父はそう言って一枚の紙を渡した。
「何これ・・・・サイド6行きのシャトルチケット・・・・!」
暗雲に曇っていたクリスの顔がいっきに晴れた。
「パパ!」
クリスは思わず父に抱きついた。
「パパ、ありがとう!高かったでしょ?」
「なぁに、お前のためさ、なんて事は無いよ。バーニィ君に会っておいで。」
「うん!ありがとう、パパ!」
クリスはさっそく荷造りを始めた。
27 :
作者:02/11/12 13:36 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第2話
アルとドロシーは二人で歩いていた。今は学校の帰りである。
「ったく、何でついてくんだよ。女と帰ってたら笑われるだろ。」
アルはムスっとした表情で言った。
「別についていってるワケじゃないわ。方向が同じなだけよ。」
ドロシーはそんなアルの態度を軽く流す。
確かにドロシーの家はアルの家を80m程過ぎた所に在り、方向は同じだった。
もちろん、ドロシーがアルと一緒にいるのはそれだけが理由ではない
少女はアルに淡い思いを抱いていたのだ。
が、恋愛に無頓着なアルがそんな事に気づくはずもなかった。
「こんなとこ、チェイやテルコットに見られたら大変なんだぞ、まったく。」
「いいじゃない、言わせておけば。」
こんな他愛の無いやりとりをしている間に、アルの家に着いてしまった
「じゃあね、アル。」
「ん?ああ。」
アルは振り向かずに返事をした。
「あ、待って!」
ドロシーが突然叫んだ。
28 :
作者:02/11/12 13:37 ID:???
「なんだよ?」
面倒臭そうにアルが言う。
「あ、あのさぁ・・・・・その・・・・えと・・・・。」
ドロシーは下を向きモジモジしている。
「何だよ?はっきり言えよ、早く帰りたいんだからさ。」
アルが腹を立て始めているのは明らかだった。
「う、うん、あのね、明日私の誕生日会があるの・・・それでね、よかっ」
「アル!!」
ドロシーの話の途中で突然女性の声が割り込んできた。
アルは声のした方を見ると髪をなびかせて走ってくるクリスの姿があった。
「クリス?クリスじゃないか!どうしたの?またサイド6に戻ってきたの?」
さっきまでの表情がウソのように、アルの表情が輝いていた。
「ううん、休暇でね。一週間くらいこっちにいられるの。」
「なぁんだ・・・・残念だな。」
アルは肩を落としてしまった。
「あっアルゥ〜ちょっと見ない間に可愛い彼女見つけちゃって、紹介してよ。」
クリスはドロシーを見ながら言った。
「ちっ違うよ!ただの友達!もう、こいつはドロシー、クラスが一緒なんだ。」
アルは即座に否定した。それが少女の心を深く傷つけたとも知らずに。
「そうなの?ゴメンね。私はクリスチーナ・マッケンジー。クリスって呼んでね
アルとは昔から家が隣だったの。よろしくね、ドロシー。」
クリスはそう言ってニコっと微笑んだ。
「・・・・・私、帰る。」
そう言ってドロシーは走り去ってしまった。
29 :
作者:02/11/12 13:39 ID:???
「なんだぁ?あいつ。」
アルが不思議そうな顔をしていると、
「かわいそうな事しちゃった・・・アル、女の子には優しくしなきゃダメよ。」
クリスは少し切ない表情で言った。
「何が?まあいいよ、あいつ学校でもヤな奴なんだ。」
「ところでクリス、サイド6に何しに来たの?こんな所、何にも無いじゃん。」
「え?え〜と、驚かないで聞いてくれる?・・・・実は・・・・。」
アルは何で女は言いたい事をすぐに言わないんだろう、と不思議に思っていた。
(ん?そういえば、あいつ誕生日がどうのて言ってたな・・・・ま、いっか。)
「ね〜もったいつけてないでさ、早く教えてよ。」
「え、ええ。実はね・・・・。」
「バーニィに会いに来たの。」
「・・・・・え?」
30 :
作者:02/11/12 13:42 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第3話
「バーニィに会いに来たの。」
「・・・え?」
アルの顔が一瞬にして青くなった。
そう、クリスは知らない。バーニィがもうこの世にいないことを。
「バ、バーニィに何か用があるの?」
アルは恐る恐る尋ねた、そして最悪のケースを覚悟した。
「う、う〜ん、用ってワケじゃないんだけど、ええと、その・・・。」
(・・・そうね、今ここで適当なこと言ってもそのうち耳に入っちゃうんだし、
言ってもいいか。でも「好きになっちゃった。」って直球でいくのも・・・)
「あっそういえば、バーニィって恋人はいるのかしら?」
クリスなりの変化球であった。
「恋人・・・?あっあぁ、いないんじゃないかな。」
(いないはずだ、ビデオでも何も言ってなかった。恋人がいるなら、「大人に
なったらこのビデオを届けてくれ。」の一言くらいあってもいいはずだ。)
アルは懸命に頭の中で答えを弾き出した。
「本当?良かったぁ〜、そればっかり気になってたのよ。」
クリスは安堵のため息をついた。
「で、でも、どうしてそんなこと訊くの・・・?」
最悪のケース。それがもう目前まで迫っていた。
「え?・・・そうね、正直に言うわ。」
「私ね、バーニィのことが好きなの。優しいあの人のことが好きなの・・・
バットで殴った時も笑って許してくれた・・・あなたを肩車して走っていく
姿も素敵だった・・・地球に下りてからあの人が頭から離れないの・・・」
クリスはアルの目線まで体を下げて言った。その目はわずかに潤んでいた。
「悲劇」
そんな言葉がアルの頭をかすめた。
31 :
作者:02/11/12 13:47 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第4話
突然のクリスの告白。アルは今、放心状態に陥っていた。
「ぁる・・・ァル・・・ねえ、アルッたら!」
クリスに肩を揺さぶられ、ようやく我に帰ることができた。
しかし、正常な思考を持つことなど出来るはずもない。
(クリスが・・・バーニィを・・・?そんな・・・そんな・・・どうして・・)
「ちょっとアル、顔が真っ青よ?・・・具合でも悪いの?」
クリスはアルの額に手を当て、熱を測った。
「・・・熱は無さそうね。・・・ねぇ、バーニィは今どうしてるの?」
さすがにクリスも不審に思ったようである。
(マズイ!!クリスが不審がってる・・・でもどうする?・・・そうだ!
この際バーニィは他のコロニー行ったって事にすれば・・・いや、だめだ、
地球からコロニーに上がってきたくらいだ、きっと追いかける。
じゃあどうすれば・・・本当の事を言うか・・・?)
クリスの一言でアルに思考が蘇った。
「バ、バーニィはね、今は仕事に行ってるんだ。帰りは夜になると思うな。」
本当の事など言えるはずがなかった。
時間の延長、今のアルにはそれしか選択できなかった。
32 :
作者:02/11/12 13:51 ID:???
「あっそういえば機械関係の仕事をやってるのよね、会社はどこ?」
とりあえず、その場を収めることは出来たが、直後に第二の試練がアルを襲う。
「か、会社・・・?そ、そんな事、訊いてどうするの・・・?」
「決まってるでしょ?今から会いに行くのよ。」
アルにとっては一番恐れていた答えだった。何とかして考えを変えなければ。
「そ、それはマズイよ、クリス。」
「あら、どうして?」
クリスが不思議そうな顔をして言った。
「お、男ばっかの職場だし、確か社長さんが大の女嫌いなんだよ。だから、
クリスが会社に行ったらバーニィ怒られちゃって困ると思うなぁ・・・」
我ながら無茶苦茶な理由である。が、今はこのくらいしか思いつかなかった。
「そ、それに家でパーティでもやって驚かせたほうがバーニィも喜ぶと思う
けどなぁ。料理は母さんに作ってもらって・・・。」
後先の事はどうでもよかった。今はクリスを留まらせる事が最優先事項なのだ。
「へ〜それもいいかもね!私そういうの大好きよ!」
なんとかこの場は切り抜ける事ができたようだ。アルは心底ホッとした。
33 :
作者:02/11/12 13:53 ID:???
「・・・あれ?でもバーニィの事は、おばさん知らないんじゃなかった?
確か母親が違うのよね?バーニィとアルは。知ってるの?バーニィの事。」
ウソがウソを呼んだ。クリスにはバーニィとアルの関係を異母兄弟という事に
してあったのだ。当然、親はバーニィの事など知らない。
「う、うん・・・クリスが地球に下りた後に皆で話あったんだ・・・その時に
バーニィを母さんに紹介したんだ。始めは母さんも驚いてたけど、今はもう
仲も良いんだよ・・・。」
もう何が何だか解らない、アルの頭は完全に混乱していた。
「へ〜そんな事があったの?確かにおばさん優しい人だもんね。でも嬉しいな、
普通だったら怒っちゃう事も、おばさんは許せる人なのね。バーニィも喜んで
たでしょう?」
クリスはまるで自分の事のように喜んでいた。
「うん・・・そうだね・・・。」
アルは「真実」を話す事を覚悟していた。
クリスと母が会ったらすべては壊れてしまうだろうから。
「じゃぁ、そろそろアルの家に入りましょ。パーティの準備しなくっちゃ。」
「うん・・・今開けるよ。」
「ガチャ・・・」
アルは静かにドアを開けた。
34 :
作者:02/11/12 14:02 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第5話
「ガチャ・・・」
アルは静かにドアを開けた。
「・・・・・・。」
いつもなら元気よく「ただいまぁ。」の一言をかかさないが、今日は違った。
もうダメだという事もよくわかっている。
しかし、あえて破滅の道を急ぐような選択は本能が拒否した。
「こんにちわー!おばさーん!。」
そんなアルのささやかな抵抗はクリスの声によって引き裂かれた。
(あぁあ・・・もう・・ダメだ・・・。)
アルは無意識に目をつぶる。できれば、この場から逃げ出したかった。
「・・・・。」
返事が無い。クリスの声は間違いなく家中に響き渡ったはずである。
「あら?・・・おばさん、留守かしら?。」
クリスは体を傾けて奥を覗きながら言った。
「ダダダダ!!」
アルは物凄い勢いでリビングに向かった。
クリスはビックリしてその場でキョトンとしている。
「ど、どうしたの?、アル。」
リビングには誰もいない。アルは真っ先にテーブルを見た。
何故なら母が外出する時はいつもテーブルに手紙を残しておくからだ。
「母さんは今日、中学の同窓会で遅くなります。オヤツと夕食は冷蔵庫に
入ってます。帰りはたぶん10時頃になると思います。
いい子に留守番しててね。 母さんより。」
35 :
作者:02/11/12 14:04 ID:???
奇跡が起きた。
いつもなら十中八九家にいる時間である、が、今日に限っていなかったのだ!
これを奇跡と言わず何を奇跡と言うのか?
そのくらい、アルは舞い上がっていた。神に感謝していた。
(やっっっっったーーーーーー!!。神様ありがとう!!)
結局、時間稼ぎにしかなっていないが、建て直しの時間ができたという意味は
大きかった。そして、この奇跡を最大限生かす選択をアルは迫られていた。
「ねぇ、おばさん留守なの?」
いつのまにか、クリスがアルの後ろにいた。
一瞬、アルはドキッとしたが、平静を装って返事をした。
「う、うん!・・・なんか同窓会で遅くなるって。」
「同窓会?、残念ね、おばさんに会いたかったのにな。」
クリスは少しションボリとした表情を見せた。
「ま、いないならしょうがないわね。アル、材料買いに行きましょ。」
アルは直感的に「マズイ!」と感じた。それは阻止しなければならない。
「い、いや、買い物には僕一人で行くよ。」
今は、少しでも一人になって考える時間が必要だった。
「えぇ?、何言ってるのよ、私も一緒に行くわ。」
「だって、ほら・・・そう!ついでにバーニィに今日家に来るように言わなきゃ
ならないし、ほら社長さん女嫌いって言ったでしょ?それにクリスだって地球
から上がってきたばっかりで疲れてるんじゃない?」
アルの頭は冴え渡っていた。もともと、こういう事は得意である。
「え?う〜ん、そんなに疲れては無いけど、バーニィの事がね・・・
やっぱり、急に会って驚かせたいし・・・そうね、お願いしようかしら。」
クリスは納得したようである。
36 :
作者:02/11/12 14:06 ID:???
「必要なものは紙に書いてくれればいいから。」
とりあえず今は一人になる事が先決である。そう思ってクリスを急がせた。
「そうね・・・生クリームに・・・玉ねぎ・・・ひき肉・・・」
クリスは冷蔵庫を見ながら必要なものをすべて紙に書いた。
「じゃぁ、お願いね。」
「うん、クリスはテレビでも見て待っててよ。」
アルは急いで玄関まで走っていった。
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい。」
勢いよくドアを開け、外に飛び出していった。
「ようし・・・とりあえず必要なものを買って、それから考えよう・・・。」
自転車でスーパーマーケットまで走りながら、アルは四苦八苦していた。
37 :
作者:02/11/12 14:08 ID:???
「・・・う〜ん、テレビもおもしろいのやってないなぁ・・・。」
チャンネルをパチパチ変えながらぼやいた。
「アルが帰ってくるまで一時間くらいか・・・ヒマね。・・・そうだ!」
なにか思いついたようである。
「アルの部屋に入っちゃおうっと、何かおもしろいモノがありそうだわ。」
クリスの悪い癖が出てしまったようである。
「黙ってればバレないわよね・・・」
そう思い、二階に上がってドアを開けた。
「へぇ〜これがアルの部屋かぁ〜結構綺麗にしてるじゃない。」
部屋を見渡しながらクリスは言った。
「あっ私の部屋が見える!・・・あっでも今は別の人の部屋か・・・。」
クリスの家は現在、売却して他人の物になっていているのだ。
「少し寂しいな・・・そういえばアルがここからビデオを撮ってたっけ。
懐かしいな・・・あっこれがそのビデオね・・・。」
机の上においてあったビデオを手にとりながら言った。
「あら?ディスクが入ったままだわ。・・・もしかして私も写ってるかも。」
そう思ってビデオからディスクを出した。
「0079 12/24 バーニィ」
「なにかしら・・・・?クリスマスイブとバーニィ?」
クリスは再生ボタンを押した。
38 :
作者:02/11/12 14:19 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第6話
「ふう〜とりあえず必要なものは買ったかな・・・。」
クリスに頼まれたものを買い終えたアルは、自転車に乗り込んだ。
「さて・・・公園にでも行って考えるか・・・。」
考え事はもちろんクリスの事である。
アルは公園に向かって自転車を走らせた。
「キィ!」
自転車のブレーキ音が公園に鳴り響いた。
「よし・・・ここで、これからの事を考えよう・・・。」
そう言ってベンチに腰掛けた。
(考える前に、これまでの事を整理してみよう・・・。
クリスはバーニィに会うために、地球からわざわざサイド6まで来たんだ。
クリスの気持ちは、きっと本当なんだろうな・・・。
でも、もうバーニィはいないんだ。いったい、どうしたらいいんだろう。
「別のコロニーに行った」っていうのは、もうムリだし・・・それに、
クリスならホントに追いかけかねないからなぁ・・・。
・・・ん?そういえば一週間くらいで地球に帰るって言ってたな、よし!
それなら、一週間バーニィは仕事の出張に行ったって事にすれば・・・!)
39 :
作者:02/11/12 14:21 ID:???
「いける!」
アルは確信していた。クリスがバーニィに会えない理由として最適な選択
だと判断したのである。
「後は親の問題だな・・・。」
確かに、いくらアルが策を練ろうとも親とクリスが会ってしまったら、
すべては水泡に帰してしまう。
「クリスと親を会わせない為には、早く地球に帰ってもらうしかないな。」
(う〜ん、クリスがすぐに地球に帰らなきゃならない理由かぁ・・・。
バーニィに会えないからって、さっさと帰るワケないしなぁ。
・・・そうだ・・・おじさんが危篤ってことにすれば・・・クリスなら
飛んで地球に帰るだろうな。コスモメールの偽物を作って家のポストに
入れておけば、それっぽく見えそうだぞ・・・肝心の偽メールは、確か
テルコットの兄ちゃんが郵便局に勤めているから、なんとかなりそうだし、
あの兄ちゃんイタズラ好きだから付き合ってくれそうだ。)
「よぅし、この作戦でいこう。」
アルは郵便局に向かった。
40 :
作者:02/11/12 14:24 ID:???
「ウィィン」
郵便局の自動ドアを開け、アルはテルコットの兄の前に立った。
「テルコットの兄ちゃん!ちょっと頼みがあるんだけど・・・。」
アルはテルコットの兄の顔色を覗きながら言った。
「ん?おお、アルじゃないか。どうしたんだ?」
「ここじゃ、ちょっとアレだからさ。外で話したいんだけど。」
あたりを見渡しながら、小声でアルは喋る。
「外で?まぁ別にいいけどよ・・・」
そう言って二人は外に歩いていった。
「で?なんだよ、頼みって。」
「実はね、コスモメールの偽物を作って欲しいんだ。」
アルはさっぱりした感じで頼んだ。
「コスモメール?そりゃいいけどよ、何に使うんだ?」
「イ・タ・ズ・ラに、決まってんじゃん。」
得意満面の笑みである。
「イタズラかぁ・・・よし!作ってやろう。俺に感謝しろよ。」
「うん!さすが、テルコットの兄者。話がわかるなぁ。」
アルはできるだけ、テルコットの兄を乗せようと必死だった。
「地球経由でいいんだな?・・・ようし、完璧だ。絶対にばれないぜ。」
「さっすがぁ!ありがとう!ホント最高だよ。」
気を変えられたら困るので、できるかぎり持ち上げておく。
「おう。今度、話聞かせろよな。」
「わかってるって。じゃーね。」
アルは文を書くため、郵便局の脇にあるワープロに偽メールを入れた。
41 :
作者:02/11/12 14:26 ID:???
「父さんが危篤です。すぐに帰ってきて。 母より。」
「こんな感じかな?あんまり長く書くとボロがでそうだし・・・。」
実際、偽メールとしては充分すぎるほどの出来だった。
いくらクリスが軍人だといってもこのメールを見破る事は出来ないだろう。
「よし・・・作戦は完璧だ・・・家に帰るか。」
自信に満ち溢れた表情のアルが、自転車をこぎ始めた。
ふと、自転車をこぎながらアルは思った。
(僕のやっている事は本当に正しいのかな?・・・クリスにとっては、
本当のことを言ったほうが、いいんじゃないかな?
今回はゴマかす事が出来ても、クリスはまたサイド6に来るかもしれない。
いない人をいつまでも思い続ける。それは悲しい事だな・・・・)
自己嫌悪に陥ってしまった。
これから一生クリスを騙す事になるのだから、無理もなかった。
「それでもいいさ。真実を言うよりは、ずっといいはずだよ。」
アルは自分に言い聞かせて、自転車のペダルを力いっぱい踏んだ。
人を思いやるウソならついてもいい、と勇気をだして家路を走った。
家では、クリスが床にビデオを落とした瞬間であった。
42 :
作者:02/11/12 14:34 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第7話
家の前に立ったアルは深呼吸をして、これからの作戦の事を考えた。
「さて・・・まずポストから郵便物を取って・・・メールを入れて・・・。」
ポストから夕刊、チラシ等を出し、その中に偽メールを紛れ込ませた。
「よし・・・これをさりげなくクリスに渡すんだ、メール来てたよって。」
(最後に作戦の流れをもう一度復習しよう。
家に入ったら、バーニィは仕事の出張でいなかったと言う。
そして、親が帰ってくる前に偽メールを見せて地球に帰らせる。
・・・よし、大丈夫だな。)
頭の中でこれからの事をイメージしたアルは、覚悟を決めたように歩き始めた。
「ガチャ・・・。」
静かにドア開ける。覗き込むように、顔だけを伸ばした。
(あれ・・・?やけに静かだな。・・・寝ちゃったのかな?)
少し疑問に思ったようだが、深くは考えずそのまま声を出した。
「ただいまぁ!」
「・・・・・・・・・。」
返事が無い。
「あれ?・・・まさか、どっかに行っちゃったのかな、でも靴はあるしな・・・
やっぱり寝ちゃったのか。疲れてたんだろうなぁ。」
アルはそのままリビングに向かった。
「・・・いない?・・・ねぇ、クリス?。」
「トイレかな?・・・違うか・・・まさかシャワー?・・・でもないか。」
一階のどこにも、クリスの姿は無かった。
しかし、靴はあるのだ。この家のどこかにクリスがいるのは確かだった。
43 :
作者:02/11/12 14:38 ID:???
「まさか二階か?・・・僕の部屋にでも入ってるのかな・・・?」
そのまま階段を登ろうとした瞬間、頭にビデオの事がよぎった。
「マズイ!!!」
手に持っていた新聞やチラシ、そして偽メールを撒き散らした。
物凄い勢いで階段を登り始めたアルは、一直線に自分の部屋へ向かった。
「バタン!」
クリスが何をしてるか、などお構いなしにドアを開けた。
そこには床に落ちたビデオ。
窓にたたずむクリスの姿が会った。
(見ら・・・れた?・・・あぁ・・・どうして・・・こんな・・・事に。)
実際、仕方の無いミスだった。クリスが来たのがあまりにも急だったのだ。
しばらく沈黙が続いたが、クリスの問いかけによって、それは破られた。
44 :
作者:02/11/12 14:41 ID:???
「ねぇ・・・アル。」
その声はわずかに震えていた。
「バーニィは・・・本当に今日パーティに・・・来るの・・・?」
クリスはずっと後姿で窓の外を見ていた。
アルにはクリスがどんな表情をしてるいるのか、わからなかった。
「な、なに、言ってるんだよ、クリス・・・く、来るに決まってるじゃない。」
アルはもう、涙声で返す事しか出来ない。
自分が綿密に立てた計画など、どうでもよかった。
今にも壊れてしまいそうなクリスを、ただ支えようと必死だった。
「アル・・・アルはやっぱり、ウソのつけない、いい子ね・・・。」
クリスはアルの方へ歩きながら言った。そして、アルの目線までしゃがんだ。
「ねぇ・・・アル、・・・私に何か隠してる事ない・・・?」
クリスは笑顔で言った。しかし、その笑顔は哀しみに満ち溢れていた。
「私が・・・地球に下りる時もバーニィはいなかった・・・
今日、アルと再会してからも、あなたはずっとソワソワしてたわね。
・・・・・ビデオも・・・見たわ。」
アルは首をゆっくりと横に振った。その目は涙にあふれていた。
「ぎゅ。」
クリスはアルを抱きしめ、言った。
「何か隠してる事があるんだったら、私、アルの口から聞きたいな・・・。」
アルは首筋に暖かいモノが流れるのを感じた。
それは、紛れも無くクリスの涙であった。
「バーニィはね・・・ジオンの・・・・。」
アルは「真実」を話す決意をした。 窓からは夕日が刺し込んでいた。
45 :
作者:02/11/12 14:50 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第8話
「バーニィはね・・・ジオンの・・・。」
アルは「真実」を話す決意をした。
「ジオンの・・・ザクのパイロットだったんだ・・・。」
アルはすべてを話した。
最初のバーニィとの出会い、サイクロプス隊との出会い、傷ついたザクの修理、
そして、最後の作戦。
サイド6を守るために命を賭けたバーニィの戦いを、今初めて人に話した。
「そう・・・わかってはいたわ・・・ビデオで・・・」
クリスは目を逸らして言った。
「クリス・・・やっぱり、僕は死刑・・・かな・・・」
アルは下を向きながら尋ねた。
「いいえ、あなたは悪くないわ・・・もし騒ぎでもしたら、殺されてたわよ。
最後の修理だってサイド6を救うためでしょう?・・・悪くなんかないわ。」
クリスは両手でアルの顔を包みながら答えた。
「でも・・・この事は、誰にも言っちゃダメよ。私達だけの秘密、いいわね?」
「うん・・・わかった・・・。」
アルはクリスの目を見ながら言った。
「そう・・・ねぇアル、私なんだか疲れちゃった・・・一緒に寝ましょう。」
ベッドを下げながら、サラっと言う。
「えぇ!・・・それは・・・うん・・・べ、別にいいけど・・・。」
一瞬ビックリしたが、今のクリスの心境を思うと断る事ができなかった。
46 :
作者:02/11/12 14:53 ID:???
もそもそ、と二人がベッドの中に入る。アルは壁のほうを向いていた。
クリスはアルの後ろから、抱きかかえるようにして横になっていた。
「私ね・・・バーニィが初めて好きになった人だったんだ・・・。」
「・・・・。」
アルは何も答えず、ただ壁のほうを見ていた。
「前にも、ちょっといいなって思った人は何人かいたけど・・・
本気で好きになった人は、バーニィだけよ・・・。」
「・・・・。」
アルはまだ、何も答えない。
「それが・・・どうしてこんな事に・・・ごめんなさい、あなた一人に
つらい思いをさせて・・・ごめんなさい・・・」
クリスはアルの手を握り、体を震わせ、ただ泣いていた。
「・・・・。」
アルは終始無言だった。自分には何もできない事を知っていたからである。
そうしているうちに睡魔に襲われ、アルは寝てしまった。
今日は色々な事が起こり過ぎて、疲労は極限に達していた。
47 :
作者:02/11/12 14:55 ID:???
「あ・・・寝ちゃった・・・何時だ?」
時計の針は八時を指していた。
「う〜ん二時間以上寝ちゃったのか・・・クリス?」
「がば!!」
アルは布団を跳ね飛ばして、部屋を見回した。・・・・・クリスがいない。
「バタン!!」
部屋のドアを開け、家中を探し回った。
「クリスー!おーい、クリス!」
「・・・・・。」
返事が無い。急いで玄関に向かった・・・靴が無い。
「外に・・・出た?・・・マズイ!!」
アルは物凄い勢いで外に出て、自転車に乗り、走り出した。
(クリスの行った場所は大体見当がついてる・・・森だ・・・
バーニィの所に行ったんだ・・・。)
「まさか・・・自殺・・・なんてしないよな・・・。」
アルが「マズイ!!」と思った理由がこれであった。
今のクリスの精神状態では、充分考えられる事だとアルは思っていた。
「と、とにかく急がなきゃ・・・。」
全速力で自転車をこぎ続けるアルの視界に、緑の大きな物体が通った。
「ザク!?・・・そんな・・・どうしてザクが・・・まさか・・・。」
それを目にしたクリスは、連邦の地下基地に走っていた。
48 :
作者:02/11/12 15:10 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
第9話
「ザク!?・・・そんな・・・どうして・・・まさか・・・。」
ジオンがサイド6に襲撃に来る理由など、一つしか考えられなかった。
そう、アレックスである。
「ガ、ガンダムがまだこのコロニーに置いてあるのか・・・?」
アルは急遽進路を変え、連邦の地下基地に自転車を走らせた。
アルの予想どうり、クリスは森へ足を運ぼうとしていた。今は町の中である。
そこに突如、三機のザクが上空を駆け抜けた。
「ジオンの残党・・・!アレックスを奪いに来たんだわ・・・。」
息を切らせながら、クリスはパニックになっている町の中を走り抜ける。
「でも・・・どうして?アレックスは修理した後、連邦のコロニーに
輸送する事になってたはず・・・クッ!連邦議会のやりそうな事ね!」
連邦はサイド6の市長を抱え込んでいた。
メディアをを操作し、警察を押さえ込み、市民に偽りの情報を流していた。
サイド6にある、研究施設、優秀な研究者、そして中立という立場。
どれも連邦にとって魅力的なモノであり、引き下がるワケにはいかなかった。
新兵器の開発にはこれ以上ない、という環境だったのだ。
49 :
作者:02/11/12 15:13 ID:???
「大人しくガンダムタイプを渡せ。さもなくば、コロニーを撃破する。」
ジオンからの通信が連邦に入っていた。
ジオン側にはザクが三機、コロニー破壊には充分すぎる戦力がある。
「待て!サイド6は中立だ、そんな事が許されると思っているのか!?」
「ふざけるな。その中立の立場を利用して、新MSを開発していたのは
貴様ら連邦じゃないか。どうせ市長も連邦の人間だろう?
もうこのコロニーは中立などではない、連邦のコロニーだ。」
これが彼らの正義であった。少なからずとはいえ、一理はあった。
「ぐう・・・・・おのれジオンめ・・・!」
連邦軍少佐の顔が怒りに歪んだ。
「・・・アレックスは最重要機密だ。ジオンに渡すわけにはいかん、応戦だ。」
決意したかのように、少佐が口を開く。
「しかし・・・アレックスのパイロットがいません!
他の兵器ではMSに対抗する事は不可能です。コロニーを撃破されます。」
オペレーターが後ろを向きながら、少佐に答えた。
「ぬう・・・・・どうするか・・・・・。」
「渡してください!」
突然、女性の声がブリッジに響き渡った。
「マッケンジー中尉!?ど、どうしてここに?確か地球に転任したはずでは?」
少佐はクリスが現れた事に、驚きを隠しきれなかった。
「細かい事は後です!とにかく早くアレックスをジオンに渡してください!」
クリスにも何故アレックスがここにあるのか?など聞きたい事は山ほどあった。
しかし、今はそんな事を聞いている状況ではない事も、よくわかっていた。
「何をバカな事を!アレックスは渡せない!それよりもパイロットがいない、
マッケンジー中尉、アレックスで出撃してくれないか?」
アレックスを渡す事など微塵も考えてない少佐は、クリスに出撃を依頼した。
「できません。これ以上サイド6の住民に迷惑はかけられません。」
以前はクリスもどちらかと言えば、少佐の考え方に近い思考をもっていた。
刑事に職務質問された時など、その思考が垣間見える。
しかし今は違う。サイド6救うため、打算など働かなかった。
それはバーニィに教えてもらった事だったのだ。
50 :
作者:02/11/12 15:15 ID:???
「ハァ、ハァ、」
アルは連邦の地下基地に向かうため、町の中を自転車で走っていた。
「止まりなさい!」
突然、バーテンの格好をした老人がアルに声をかけた。
「なんだよ、おじいさん。僕、今急いでるんだ!」
急ブレーキをかけ、老人の前に止まった。
「君、・・・確かアルフレッド君だったね?こんな所で何をしてるんだ?」
「ちょっちょっと待って、おじいさん誰だっけ?」
アルには見覚えない顔だったようだ。
「私かい?私はチャーリー。君の事はバーニィから聞いているよ。」
チャーリー。ピンクエレファントの店主で、シュタイナーの親友。
そして、ジオンのスパイでもある人物。
「え!?おじいさん、バーニィの事知ってるの?」
今の状況ならたいていの返答は無視して進むのだが、
バーニィの事を知っているとなれば話は別だった。
「あぁ、知っているとも。私はジオンのスパイだからね。
他にもシュタイナー、ガルシア、ミーシャも知っているよ。」
「スパイ!?・・・・じゃあ、どうしてザクがサイド6に!?」
ここまで知っているのだ。チャーリーは本物のスパイだと、アルは確信した。
「連邦が懲りずに新MSの開発をしているからさ。ガンダムもまだ残ってる。」
「やっぱり・・・僕、今それを確かめに行こうと思ってたんだ。」
51 :
作者:02/11/12 15:18 ID:???
「無茶をする子だ・・・・・アルフレッド君、今すぐ宇宙船でこのコロニー
から脱出しなさい。奴らはアレックスを渡せば、大人しく引き下がると
言っているが、どう転んでも奴らはサイド6を破壊するつもりだ。」
チャーリーはアルの肩を抱き、真剣な眼差しで言った。
「えぇ!?どういう事!?」
アルは物凄い勢いでチャーリーに食いかかった。
「奴らはサイド6そのモノが邪魔なのさ。今アレックスを奪取しても、
またここで新兵器の開発がされてしまっては意味が無い。
ここで、元を断っとこういう事なのさ・・・・。
戦争はもう終わった事なのに・・・・・バカな奴らだ。」
チャーリーは遠くにいるザクを見ながら言った。
「で、でも・・・チャーリーは逃げないの・・・・?」
不思議そうにアルは尋ねた。
「このコロニーが好きだからな・・・・。とにかく、君は逃げなさい。
今ならまだ間に合うだろう。」
港を指差し、チャーリーはアルに指示した。
「ありがとう・・・・・でもね、逃げる事も一つの生き方だけど、
戦う事も一つの生き方だって、教えてくれた人が二人いるんだ。
きっとクリスは基地にいる。この事を知らせにいかなくちゃ。」
アルは自転車に乗って、もう一度基地に向かい始めた。
「・・・・・シュタイナー、バーニィ、このコロニーはいい所だな。」
チャーリーは空を見上げていた。
52 :
作者:02/11/12 15:21 ID:???
「ねぇ!クリスチーナ・マッケンジーはここに来た!?」
アルは門にいる兵士に話し掛けた。
「マッケンジー中尉?あぁ、さっき走っていったぞ!
そんな事より 早く避難しろ!ここはもうすぐ戦場になるかもしれない!」
「僕はアルフレッド・イズルハ。クリスにどうしても伝えなきゃならない事が
あるんだ!お願い、中に入れて!」
アルは大人に何を言っても、信じてもらえない事を知っていた。
しかし、クリスだったら信じてもらえる。そう信じて、兵士に訴えた。
「・・・・・チッ、ここからシェルターはかなり離れているな・・・・。
しかたない、基地に入れ。マッケンジー中尉に言う事もあるんだろ?」
兵士は門を開けた。
「ありがとう!」
そう言って、凄い勢いでアルはブリッジに向かった。
53 :
作者:02/11/12 15:23 ID:???
「まだそんな事を言うつもりかね!マッケンジー中尉!」
怒りに震えた少佐が怒鳴った。
「誰がなんと言おうと私は絶対に出撃しません。
アレックスを渡せばジオンの連中は引き下がると
言っているんですから、大人しくそれに従うべきです。」
クリスの決意は硬く、テコでも動きそうになかった。
「クリス!」
アルが叫んだ。
「アル!?どうしたの?」
ブリッジが少しザワめく。
「いいから!ちょっと来て!」
無理矢理クリスをブリッジの外に出し、二人だけになったのを確認してから、
チャーリーの事をクリスに説明した。
「本当・・・・・なのね?」
クリスはアルの目を見ながら、言った。
「本当だよ!ザクを倒さなきゃ、このコロニーは壊されちゃう!
クリス、偉い人に説明してよ!」
「わかったわ・・・・・私が何とかする。アルはここで待ってて。」
クリスはブリッジに歩き出した。
54 :
作者:02/11/12 15:26 ID:???
「少佐、クリスチーナ・マッケンジー出撃します。」
敬礼をしながら、クリスは言った。
「おぉ、出撃してくれるか!・・・・しかし、どういう風の吹き回しだね?
それに、さっきの子供は・・・・?」
「・・・・・・・。」
クリスは敬礼したまま、何も答えない。
「・・・・・まぁいい。マッケンジー中尉、出撃だ!」
少佐としても波風は立てたくないので、深くは追求しなかった。
「はっ!了解しました!」
そう言ってクリスはブリッジの外に出た。
55 :
作者:02/11/12 15:30 ID:???
「クリス・・・・・出撃するの?」
ブリッジのドアに隠れて話を聞いていたアルは、恐る恐る尋ねた。
「ええ、でも大丈夫よ。アルはここで待っててね。
・・・・・終わったら、パーティをしましょうね。
私とアルの新しい門出を祝って乾杯よ!せっかく材料も買ったんだし!」
クリスは空元気を出して、最高の笑顔でアルに答えた。
「うん・・・・きっと帰ってきてよ。あんな思いはもうしたくないよ。」
アルの心の底からの願いだった。
「大丈夫よ・・・・必ず帰ってくるわ・・・・。」
クリスはアルを抱きしめ、言った。
そしてアルから離れると、MSデッキに走っていった。
「スタンバイ、出来てる!?」
「いつでもいけます!」
その言葉を聞いてアレックスに乗り込もうとした、その時。
「うぇ、えぇ」
クリスは突然嘔吐した。バーニィの命を奪ってしまった機体に乗る事を、
体が無意識に拒否したのであった。
「ゴホ、ゲホ!・・・・こんな事で・・・・泣き言は言ってられない・・・!」
そう言って、アレックスに乗り込んだ。
「いいですか?直結のレーンがあります。先の襲撃で建設したものです。
これを使えばスムーズに外に出られます。外には三機のザクがいます。
これを撃破して下さい。」
オペレーターの指示を聞き、アレックスを起動させ、レーンの入り口に立った。
(バーニィ・・・・あなたが守ろうとしたサイド6、絶対に守ってみせる!)
「クリスチーナ・マッケンジー、ガンダムアレックス、行きます!」
サイド6の大地に、再びアレックスが立った。
56 :
作者:02/11/12 15:35 ID:???
ふ〜とりあえず1〜9話までUPしました。
ここでアンケートを取りたいと思います。
1〜9話でどれが一番よかったでしょうか?
最終回をちょっと見直してるもんでして・・・・・。
参考にしたいので意見を聞かして下さい。お願いします。
(・∀・)7話にイピョー
保守だ保守!また落ちられたらかなわん
>>56 2ちゃんねる十字勲章ものの武勲だ。偉い。
,. -──- 、
/ , \
. / ,.ィ /ヽ i、 ヽ
i ,イ+|/ ヽl'ヽト、 .i
. i /!r;=. r ;=:.、ヽ l
| l { h;」 h;;} ! | .|
>>1タン、乙&サンクス!
|. } 、 | | 前スレ落した責任はうちにもあるさかい、
| ヽ. ー-‐' | | 気を揉んどったんや。感謝!
| ` 、. ___,. '´| │ >>作者様 お待ちしておりました〜&申し訳ない
| | ト、 } .| .| 5話にイピョーやいび〜ん!
! !!. |i‐ラ'' ´ .| ,ィ | というか、毎回引っ張り方の素晴らしさには
,.ヽ| ヽ! ├‐-、 /|ノノ \リ ビックリさせられてます〜ガンガってください
/ ヽ. ヽ. __..二ニ=- '´):、
>>58 保守サンクス
, ' |' ` ー-------一 '´ ヽ
, ' ヽ.| ヽ あ、コラAA貼り付けた
>>10-11は正座や
/ ヽ.! i
. / {:/| ./ ヽl,/ ゙、
{ ー=k !/  ̄!V. 、 ヽ
\ { | ヽ/ ヽ
. \ │ ー- ニ._」 ‘y=ニ:ー !
\! ___...二{ / シ
}_________,}'´ , ‐'
7-3(44)がツボ
偉そうな事言って人の立てたスレに削除依頼出した癖に落ちたのかよ。
ザマーねえな。ワラ
職人さんはもう一度張り直し御苦労様。
やっぱり第9話。
それまでと比べてクリスが目立ってる。キャラクターの描写も良いです。
(・∀・)マダカナマダカナ
66 :
作者:02/11/13 20:29 ID:oC5ePXml
あげときます。
み、みなさんもう少し待ってください。
いま、自分の納得できるものを書こうと必死にやってるんですが、
ラストがなんとも・・・・・
あとアンケートをもう2〜3人の方にお願いしたいんですが・・・・。
俺も第9話。チャーリー(・∀・)イイッ
68 :
通常の名無しさんの3倍:02/11/13 21:18 ID:eWDy2+Ns
あえて上げで書き込み。作者様ガンガレ
第8話に一票入れておきます。7話からの流れが非常に良いと思います。
アルとクリスの心理描写が絶妙だと思うです。
69 :
通常の名無しさんの3倍:02/11/13 21:30 ID:IjzCLLNh
70 :
通常の名無しさんの3倍:02/11/13 21:47 ID:+8QF231j
第8話が良かったです。欲張りかもしれませんが、
バーニィの階級章というアイテムもどっかで使ってほしー。
第8話が良かったです。欲張りかもしれませんが、
バーニィの階級章というアイテムもどっかで使ってほしー。
第8話が良かったです。欲張りかもしれませんが、
バーニィの階級章というアイテムもどっかで使ってほしー。
ここの
>>1です。一応お役に立てたようで良かった。
実際の所自分が最終回をどうしても読みたかっただけなんだが(笑
>>作者 中途半端なコピペ走らせてご迷惑おかけした、スマソ
アンケートにも答えたい所だけど、一続きの話としてクライマックスを
期待しているので、何話が良かったか聞かれても困るぞ(笑
ここまでつき合ったんだ、あんたなりのラストを見せてくれれば十分です。
ここの
>>1です。一応お役に立てたようで良かった。
実際の所自分が最終回をどうしても読みたかっただけなんだが(笑
>>作者 中途半端なコピペ走らせてご迷惑おかけした、スマソ
アンケートにも答えたい所だけど、一続きの話としてクライマックスを
期待しているので、何話が良かったか聞かれても困るぞ(笑
ここまでつき合ったんだ、あんたなりのラストを見せてくれれば十分です。
うげ二重カキコ 吊ってくる
>>作者様 あなたの書いた物ならおそらくみんな納得するでしょう
これまでのセンスから言ってもね
ところで、前スレあたりでガイシュツかも知れんが、
11月19日に発売されるガンダムAの美樹本マンガ
「エコール・デュ・シエル」の初回版にCDROMが
付属されるんだが、どうやらこれに以前ガンA4号に
掲載されたクリスの絵も収録されてるらしい。
これは買いではないかい?
作者ガンガレ〜!!気長に待ってます。
>>77 俺は初回版は店で見かけたら買うつもり。もちろんクリスのために…。
79 :
通常の名無しさんの3倍:02/11/14 14:48 ID:nkcaCDnN
age
80 :
作者:02/11/15 01:22 ID:???
機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜
最終話
「クリスチーナ・マッケンジー、ガンダムアレックス、行きます!」
サイド6の大地に、再びアレックスが立った。
「ガンダム!?・・・・・作戦は失敗か・・・・。
アニット、ゼック、ガンダムタイプを破壊するぞ、いいな。」
「ロイド隊長!奪取が目的ではないのですか!?」
アニットが隊長に意見した
「バカを言え。我々の戦力では破壊できるかどうかも怪しいもんだ。
いいか、こうなってしまった以上、奪取は不可能だ。破壊に全力を注げ!」
先の大戦でのアムロ・レイの活躍により、
ガンダムの強さはジオンの間では伝説化されていた。
ソロモンの激戦を経験したパイロットにとってガンダムとは死の象徴であり、
ロイドが奪取不可能と判断したのも、ムリはなかった。
「は・・・・了解しました。」
アニットはしぶしぶ隊長の命令を聞いた。
今度こそ1000まで行こう>同志諸兄
改めて、クリスたんハァハァ…
82 :
作者:02/11/15 01:24 ID:???
実際のところ、先にサイド6を標的にされれば、
完全にアウトだとクリスは感じていた。
「奴らが先にサイド6を攻撃し始めれば・・・・・アウトね。
でも、いずれにせよ破壊されるなら僅かな可能性に賭けるしかないわ。」
三機のザクはアレックスを凝視し、しばしの静寂が訪れる。
・・・・・・サイド6を攻撃する気配が無い。
「ありがたいわ・・・・サイド6を狙っていないようね。」
三機のザクを順に見ながらクリスは言った。
「けど・・・・ここで戦うしかないのかしら・・・・町に被害が・・・。」
ここは完全に町の中心である。
ここで戦えば町に被害が出るのは避けられないだろう。
「アニット、ゼック、森へ向かうぞ。」
「了解。」
二人が口をそろえて言った。
「!?・・・・どうして森に!?・・・・罠が張ってあるの?」
先のバーニィとの戦いがクリスの頭にチラつく。
「・・・・・好都合よ。少佐、ザクを追いかけます。」
「・・・・うむ。森での戦いは不利だが、やむをえんな。」
クリスはバーニアを吹かせ、ザクを追いかけた。
83 :
作者:02/11/15 01:26 ID:???
この三機のザクが森へ向かった事には二つ理由があった。
一つ目の理由は、チャーリーの情報である。
事前にサイド6襲撃の報告を受けていたチャーリーは、
ガンダムと戦闘するなら森で闘うのがベスト、という報告をしていたのだ。
もちろん、チャーリーには「町に被害を出さないため」という前提があった。
しかし、こちらの機体性能、カラーリング、数のメリットなどを考慮すれば、
森で戦う事は、確かにベストであった。
そして、二つ目の理由である。
実はこの小隊、サイド6を破壊するつもりなどサラサラなかったのだ。
連邦軍との交渉の際に、「渡さなければサイド6を撃破する。」と言ったのは、
大人しく連邦がガンダムを渡してくれる可能性に賭けたためである。
上層部からは「サイド6を破壊してガンダムを手に入れろ。」という
命令が下されてはいたが、戦争は終わったのである。
そんな事をしても何の意味もない事をロイド達は知っていた。
彼らは彼らなりの信念を持って行動していたのだ。
そしてこの襲撃事件の最大の悲劇は、
チャーリーに小隊の真意が伝わっていない事であった。
チャーリーに伝わっていた報告は「サイド6を破壊してガンダムを奪取せよ。」
という、上層部だけの情報だった。
このすれ違いが、今回の戦闘を引き起こしてしまったのだ。
84 :
作者:02/11/15 01:28 ID:???
「ようし、ここらでいいだろう。アニット、ゼック、散れ!」
「了解!」
森にたどり着いたロイド小隊はアレックスを迎え撃つため、配置についた。
「奴ら・・・・散ったようね・・・・どこから来るか・・・・」
クリスが左のモニターに目をやった、その時。
右方向から突然ザクが襲ってきた。ヒートホークを振り、突っ込んで来る。
「クッ!!」
かろうじてヒートホークを避けたアレックスは反撃に転じるため、
バックステップをするが、間髪いれずにバズーカの直撃をうけた。
「ズダァァァァン!!」
近距離からの奇襲で意識を接近戦に向け、そこからの遠距離射撃。
完全に向こうの作戦にハマってしまったのである。
激しい噴煙に巻かれたアレックスは姿を消した。
85 :
作者:02/11/15 01:29 ID:???
「あぁ、ク、クリス・・・・・。」
その惨状を目撃したアルはいても立ってもいられなくなり、基地を飛び出した。
何故か門に兵士の姿はなく、割と簡単に抜け出す事ができた。
おそらく、戦闘が始まったので基地の中に非難したのだろう。
とにかく、森へ向かおうとアルは自転車にまたがった。
「・・・でも・・・・自転車じゃ森に行くまで30分はかかる・・・・あ!」
なにか思いついたようだ。
急いで20m程離れた民家の前まで行き、ドアを開けた。
・・・・・開いている。ドアも閉めずに非難したようだ。
「ごめんなさい・・・・ちょっと借りるだけだから・・・!」
そう言ってアルは下駄箱の上から車の鍵を取り出した。
(車なんか運転した事ないけど・・・・今は他に車も走ってないし、
たぶん大丈夫だろ。信号も関係ないし。)
鍵穴に鍵を刺し、ドアを開け、運転席に着いた。
「僕が行っても何にもならないけど・・・・・それでも・・・・。」
アル自身、自分が行っても何にもならない事はよく知っていた。
しかし、それでもアルはクリスの元へ向かうのである。
そこに理屈というモノが介入する余地はなかった。
「ズウゥゥン。」
アルはエンジンをかけ、シートベルトをして、サイドブレーキを引き、
アクセルを踏んだ。
「グワァァァン!」
車が急発進をした。
「うわぁ!・・・・これしか踏んでないのにこんなに動くのか・・・。
でも、今ので感覚はつかめたぞ・・・・!」
ハンドルを回し、ゆっくりと路上に出た。
「ようし!信号のない今なら5〜6分もあれば森に着く!!」
そう言って、アルはアクセルを踏んだ。
86 :
作者:02/11/15 01:31 ID:???
「ハァ、ハァ・・・・・やったか?」
奇襲を仕掛けたゼックがヒートホークをかまえながら、
覗き込むようにアレックスを見つめるが、着弾の煙でよく見えない。
「ザシュ!」
突如、噴煙の中からビームサーベルを持ったアレックスの手が伸び、
ザクの胸部を貫いた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
動力を直撃されたゼックのザクは下半身を残し、そこから上は吹き飛んだ。
「ゼックーーーーー!!」
ロイド、アニットの二人が叫ぶ。
そして撃破したはずのアレックスに目をやった。
噴煙は薄くなり、徐々にアレックスの姿が見えてくる。
「ガシャン、ガラン、ガシャ」
アレックスの体から灰色の塊が崩れ落ちる。
そう、アレックスをバズーカの直撃から守ったチョバムアーマーである。
「く・・・・・化け物め・・・・。」
ロイドがモニターを叩きながら言った。
「ちくしょう・・・・よくも、よくもゼックを・・・・許さねえ・・・。」
「いかん!落ち着け、アニット!」
ロイドの静止も聞かず、アニットはヒートホークを持って特攻を仕掛けた。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
「突っ込んできた!?・・・・避ける?・・・・いいえ、撃つ。」
クリスは頭部のバルカンでザクを迎撃しようとした。
「ダダダダダダダダ!!」
・・・・当たらない。
半年以上MSに触っていないクリスは勘を取り戻せずにいた。
「クッ・・・反応がシビアすぎる・・・・なんて扱いずらい機体なの!」
アレックスはもともとアムロ・レイのために開発された機体で、
クリスではその能力の30〜50%程しか引き出せないのだ。
ましてや今の状態では、素人運転手がF1に乗っているようなモノだった。
87 :
作者:02/11/15 01:32 ID:???
「うぉぉぁぁあ!!」
物凄い勢いでヒートホークを斬りつけてくる。
クリスは避けようと左にステップするが、間に合わなかった。
「ズシャァァ!」
コクピットが斬られ、破片がクリスの腕に突き刺さった。
「きゃぁぁぁ!!」
破片が右腕の上腕に深く突き刺さっている。
出血がひどい。動脈をやられたようだ。
「よくも、よくも!ゼックを!」
そのまま体当たりでアレックスを突き飛ばしたアニットは馬乗りになり、
ヒートホークを振り上げた。
「死ねぇえぇぇえええぇぇえ!!」
(今なら当たる!)
「ダダダダダダダダ!!・・・・カチ!」
マウントを取られたクリスは、下から頭部バルカンを思いきり連射した。
結果、紙一重でアレックスの頭部バルカンがザクを打ち抜いた。
コクピットを打ち抜かれたアニットのザクは爆発せず、
そのまま後ろに倒れた。
「弾切れか・・・爆発・・・・したら・・・やばかったわね・・・。」
クリスはアレックスを起こした。
「次で・・・・ラ、ラストね・・・・。」
最後のザクに目をやった。
「え?・・・・視界が暗い・・・・・?」
一瞬、クリスの視界にボヤが広がった
動脈をやられた事により出血多量で意識を失いかけたのだ。
「・・・・マ、マズイわね。もう何分も動けそうもない・・・・。」
88 :
作者:02/11/15 01:34 ID:???
「アニット、ゼック、すまない・・・敵は、ガンダムは必ず撃破する!
ゼック・・・お前はビームサーベルが刺さったまま逝ってくれた。
アニット・・・お前は奴の飛び道具のバルカンを切らした。
奴にもう武器はない!確実にしとめられる!」
「ズダァァン!ダァァァン!ズダン!」
ロイドはバズーカを乱射してヒートホークに持ち替え、特攻してきた。
そのうちの一発を足にもらってしまい、アレックスは倒れ、座り込んだ。
「勝ったぞ!アニット、ゼック!!」
「ズダダダダダダダダダダダ!!」
「カキィ!ガキン!キィン!チュイン!キ、キュン!」
蜂の巣になったロイドのザクはそのまま前のめりに倒れこんだ。
・・・・・武器はまだあったのだ。
そう、あのケンプファーを屠り去った必殺の連撃、ガトリングガン。
普段は腕に隠れているので相手にとっては予測の仕様のない武器である。
「ハァ、ハァ、・・・・・やったわ・・・・。」
クリスは安堵のため息をついた。
89 :
作者:02/11/15 01:36 ID:???
「もうすぐだ・・・・よし、アレックスだ!」
アルは無事に車を運転する事が出来た。
信号も他の車もなければ、アルくらいの子供なら運転できるのである。
「ク、クリスは・・・・アレックスは・・・・・。」
アルは車から降りて、座り込むアレックスの側に駆け寄った。
周りには三機のザクの残骸が転がっており、クリスの勝利を示していた。
その無残なザクの姿を見たアルは、一瞬バーニィの事が頭によぎるが、
素直に喜んだ。
「やったぁ!!クリス!勝ったんだね!お〜い、クリス〜!!」
アルが腕を大きく振りながらクリスに呼びかけた。
「ア・・・・ア・・・・ル・・・・?」
朦朧とする意識の中、気力を振り絞りアルをアレックスの手に乗せ、
コクピットまであげた。
「プシュ。」
コクピットが開き、勢いよくアルが入り込んできた。
「ビチャ」
「さっすがクリス!!ザク三機ともやっ・・・・・!」
アルの顔が一瞬にして引きつった。
コクピットの床に血の水溜りが出来ていたのだ。
「ア・・・・アル・・・ダメじゃない・・・こんなとこに来たら・・・」
クリスは青ざめた顔で、笑顔を見せた。
「サ、サイド6・・・・守れ・・・たわよ・・・・こ、これで・・・
バーニィ・・・・と、も顔向・・・・け出来る・・・・。」
もう、いつ意識を失ってもおかしくない状態であった。
「な、なに言ってんの・・・?も、もうすぐ、救急車もく、来るよ。」
アルは涙を流しながら、懸命にクリスに話し掛けた。
90 :
作者:02/11/15 01:37 ID:???
「ふふ・・・・ありがとう・・・・そ、そう・・・だ・・わ・・・
アル・・・に・・・・これを・・・・あげ・・・・る。」
クリスは震える手で襟首から階級章を取り、アルに渡した。
そして、自らの唇をアルの唇に重ねた。
「ド・・・・・ロシー・・・・・には、内緒・・・・よ。」
最後の気力を使い切ったクリスはドサっとシートに倒れこんだ。
「ね・・・ぇ・・・・ァ・・・ル・・・私・・・が・・・・
ぃなく・・・て・・・も・・・・」
「待ってよ!!一緒に・・・一緒にパーティやる約束したじゃないか!
必ず・・・・必ず帰ってくるって約束したじゃないか!」
大声で泣きながらアルは必死に叫んだ。
「え・・・・?・・・・も・・・・ぅょ・・・く・・・
きこ・・・ぇな・・・・め・・・・もみ・・・ぇな・・・・ぃゎ。」
「待って!!お願い!!待って!!」
冷たいクリスを抱きしめながら、心から叫んだ。
「ゎ・・・わたし・・・・ァルの・・・・こ、と・・・・大好きよ。」
最後の一言だけが力強く発声された。それがクリスの最後の言葉だった。
「僕もだよ!!僕もクリスの事、大好きだよ!!
だから死なないで、クリス!!クリス!!」
「・・・・・・・・。」
もう、アルの悲痛な叫び声はクリスには届かなかった。
(バーニィ・・・・・今いくからね。)
バーニィの笑顔と共に、クリスは息を引き取った。
外では遅すぎたサイレンの音が鳴り響いていた。
91 :
作者:02/11/15 01:39 ID:???
7年後
アルは18歳になっていた。
今日、森に来たのはバーニィとクリスにある報告するためである。
「バーニィ、クリス、今ティターンズっていう組織が暴走を始めてる。
そこでエゥーゴっていう組織が筆頭になってティターンズに対抗
してるんだけど・・・・実はね、今度エゥーゴにパイロットとして
参加する事になったんだ。今日はそれを報告に来た。
だから・・・・しばらくはサイド6には戻って来れない。
お墓の世話はドロシーに頼んどいたからさ・・・・。
ドロシーって言えば・・・・帰ったら・・・・その・・・・・
けっ結婚する約束をしたんだ・・・・へへ。
僕も素直になったというか・・・・クリスの一言、忘れてないよ。
・・・・・じゃあ、もう行くよ。きっと帰ってくる。約束だ。」
それだけ言ってアルは墓から立ち去った。
「アル・・・・もういいの?」
森の入り口で待っていたドロシーが声をかけた。
「ああ。言いたい事は全部言ったよ。」
「そう・・・・必ず・・・・帰ってきて。」
「わかってる。・・・・・約束だ。」
そう言ってドロシーにキスをするとアルは港に向かって歩き出した。
胸には連邦とジオンの階級章が輝いていた。
おわり
92 :
作者:02/11/15 01:45 ID:???
あと書き
皆さん、本当にお待たせしました。
調子に乗ってMSなんか出しちゃったんで、書き上げるのに苦労しました(w
正直に言うとこの作品、処女作なんです。
こんな稚拙な文章に最後まで付き合ってくれた皆さん、
本当にありがとうございます。
皆さんの声援がなければ、とても書ききれなかったとおもいます。
・・・・・やべ、マジ泣きそう(w
長々とやっちゃいましたね。すいません。
ではみなさん、またどこかのスレでお会いしましょう。
作者より
つд`;)チャーリーノバカ
すまない、折角のSSをたかがハァハァで邪魔した…
漏れを虐殺してくれ
凄く良かったよ。クリスの最期(テイウカコロスナヨ~)と
アルの将来のオチがチョイ好みじゃないがね(笑)
しかし良いもの読ませてもらった、ありがとう。
もう厨房の巣だと思っていたシャア板だがまだまだ捨てたものじゃないね。
>>95 確かにこの流れだと「約束は破られる」という法則が働くような。
小説版準拠なら…スマン、漏れハッピーエンド廚だ…
97 :
95:02/11/15 02:15 ID:???
>>96 好みとは違う、ってこと。貶める気はないよ。
これは、これでいいものだ。作者に禿げしく感謝。
いいものを読ませてもらいますた。ありがとう
99 :
通常の名無しさんの3倍:02/11/15 03:37 ID:D/qlZTwj
作者さん、最高だったよ。これ以外の言葉がありません。
本当にお疲れ様でした。ではいつかまたどこかで。
100
-------------------------終了---------------------------
作者様、お疲れ様です。いいもの見させてもらった。感動した!
ガンダム戦記だったらクリスたんエース扱いなのに・・・つд`;)ウワァァァン!
102 :
通常の名無しさんの3倍:02/11/15 07:45 ID:EVJpPFyp
≫作者様
朝からいいもん読ませてもらいました。どうもありがとう。
さて、ちゃんとまとめて保存しておかなくちゃ・・・
作者様にはHPでちゃんとアプして欲しいな。
2chだと読み辛い。
感無量である。
好みの差は人それぞれあるだろうけど、萌えれば萌えるほど
「クリスを死なせる」という選択はしにくいよね。でも哀しいラストだけど、
そも本編でバーニィが非業の死をとげているからこそ、こういうオチも
ありじゃないかと思う。
エゥーゴに入ることが正解かどうかはともかく、アルが戦争をなくすために
努力するという未来像は、0080本編の主旨にあっていると思うよ。
作者さんに最大敬礼。おつかれさまでした!
ご苦労様でした!
またいつか会おう。
結局最後は・・・ウェーン・゚・(´Д⊂)・゚・
乙カレ様でした!
とりあえず、このスレが落ちるのは耐えられないのでage
保守
……次なる職人の降臨はまだか〜?
期待age