司馬遼太郎著「コロニーを行く」(二)

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1通常の名無しさんの3倍
ニュータイプの一生というのは、ときに襲ってくる、しがらみに魂を縛られたオールドタイプとのあくなき戦いといってもいい。
前スレ
http://ebi.2ch.net/shar/kako/1003/10037/1003725924.html
2通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:28 ID:???
名スレ復活の予感
3通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:28 ID:???
大年寄り
4通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:30 ID:???
コーディネーターにしてくれ
5:02/11/02 23:31 ID:???
良スレだったので復活させてみました。
6通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:31 ID:???
司馬遼太郎は、最後の将軍と最初のエッセイしか読んでない
7通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:32 ID:???
歴史もんのほかにアメリカ素描もってるよ俺
8通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:33 ID:???
おー懐かしい
好きだったんだよな
9通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:33 ID:???
前スレ知らないんだけどどんなスレ?
10通常の名無しさんの3倍:02/11/02 23:46 ID:???
司馬遼以外にも対応しやがれ( ゚Д゚)モルァ!
世の中にはまだまだ多くの書き手が居るのだ
11ソーラ・レイ砲:02/11/02 23:50 ID:???
「なぜ撃たせぬのか」アサクラにはわからない。
が、公国軍総帥のギレン・ザビには、精緻な計画がある。連邦艦隊を宇宙に散らばらせぬよう一瞬のもとに粉砕する好機を狙っていた。その好機がきた。
総司令部から総帥自らの通信が入った。「ソーラ・レイ、スタンバイ!」
と、開発責任者アサクラ技術大佐に命じた。
すでに照準はゲルドルバ宙域に設定されていた。点火した。
轟発し、巨大な閃光が宇宙空間を駆け抜け翔び、レビル主力艦隊とグレートデギンの接触点に命中し、一瞬のうちに四散するのが見えた。
アサクラの役目は終わった。
12:02/11/02 23:52 ID:???
>>10
それなら総合スレということで、他の作家の作品もありということにしましょうか。
13秘事:02/11/03 00:29 ID:???
さて、挿話の続きである。つまり、ガルマ騒動。
高官からの報を聞いたギレンは、公王デギンの前で「父上、ガルマの死はザビ家一統の問題だけではございません。ザビ家末代の沽券に関わる問題であり、あれは国民にとっても人気のあった者。
けなげにも連邦軍と死闘を演じ、それに殉じたガルマの死は無駄にはできません。されば国葬をご裁可くださりまするよう・・・」と自ら弁じた。
デギンは、ぎょろりと目をむいた。目ばかりが動き、唇がうごかない。
沈黙している。この男が黙ると、一種の凄気が室内に漂うようであった。が、眼前のギレンは微動だにしない。
公王こと、デギン・ソド・ザビは、公王となってからめっきり老いこんだ。皮膚の衰えが尋常でなく、なにか、からだの深い場所に病気をもちはじめているのではないかとおもわれる色つやの悪さであった。
そのくせ、大きな眼だけが、やや黄味をおびてぎょろぎょろとうごくのである。
デギンの覇気も壮気も肉体のあらゆる部分から蒸発し去って眼だけに凝集してしまっているようであった。
「ギレン・・・・わしはただ・・ガルマの死を・・・」
とデギンはあえて眼をつぶりながら言った。体中に怒りがこもっている。ギレンがいかに総帥とはいえ、子である分際を忘れて父にそのような要求をするとは、なんという増上慢であろう。しかもギレンは、デギンがガルマを溺愛していたということを
百も承知のうえでこう要求してきているのである。
14通常の名無しさんの3倍:02/11/03 01:28 ID:???
ミネバにはわからなかった。
「亡き父上は、ご若年のころから勇猛果敢、戦場を叱咤し、多大なる武功を得、空しくもソロモンで果てられたが、その人格と人望、勇気は
古今に比類なしときいている。しかしわたしは・・」
それほどのことをまだなしたわけではない、というと、侍女は、いいえ、なされたのでございます、と断定した。
ミネバ様はザビ家血統のご遺産を継承なさる、という大仕事がおありで、このことはお父上の創業と同じくらい大きな仕事で
ございます。
「継承することがか?」
「それと次の世へお渡しなさることも」と侍女は言うが、ミネバにはそれが仕事であるとはどうしても思いにくい。
父上やザビ家一統の遺産、つまり「ザビ家」を継承していくということは、要するにミネバが生きていればいいという
それだけのことになるのではないか。
ただ生きていればいいということが、それだけの大仕事なのか。
「どうなのだ?」
と、ミネバが問い詰めるようにしていったが、聡明な侍女は、この答え難い質問に対しては沈黙する以外に
賢明な方法はないと思い、だまっていた。

15坂の上の雲・あとがきより:02/11/03 11:09 ID:???
少年の頃の私は、冨野のZガンダムをはじめて見たとき、見つづけることが苦痛なほどの暗さを感じた。
鍵をかけられ出ることができない密室に閉じ込められたような感じであり、いまおもえばその暗さは当時の冨野が
感じつづけていた無理解な上層部や大人への苛立ちや怒りというものかもしれなかった。
このZガンダムの主人公のモデルは、後に冨野が語っているように精神崩壊をきたしたカミーユ・クローデルが
モデルとなっており、女性であった彼女をあえて男性にして、冨野は作劇をした。
カミ―ユ・ビダンはグリーンオアシスのコロニー学校の秀才で、その業績はホモアビス優勝・ジュニアモビルスーツ
大会優勝と輝かしいものである。やがてマークU強奪に端を発する戦争勃発で、彼は自らガンダムを強奪・ティターンズを脅迫をしてエゥーゴに参加した。
主人公は元々軍人になるつもりはなく、ただ日常や家庭のいらだちから参加したにすぎないのだが、しかしその性格は常にエキセントリックで
つねに懐疑的でとくに独裁や軍人社会というものに疑問をもっていた。かれはある強化された女性パイロットと恋仲になるが、その恋は失われた。
最初の出会いは好調であったといえるが、彼女自身がティターンズから離れるという決断ができず、また彼もそんな彼女の行き方を是認してしまうような
優しさが強すぎたために不幸な結末となってしまった。
この作品は全編を通じ、まるで深海の水圧をおもわせるような、どのように尾ひれをあがかせてもこの重秩序から抜け出しようのない暗さにおおわれている。
げんに主人公は終盤、今までの多数のひとびとの思念と繊細すぎる感情が尾を引き、自らを破綻させてしまう。
ZZの復活という救いがあるのだが、ZZ自身冨野が見限っているかのような節があったので、関連付けるのは適切ではないと思われる。
14・15歳という肉体が成長していく時期に、「Zガンダム」のようなアニメーションを見ることはつらかった。自分の人生にも(それが二次元の世界であったとしても)自分が属している国家という
環境にも前途に輝きを感じなければ少年期の精神の重心が保てないような気がするのだが、
この作品はそのころの私に絶望を教えた。
16通常の名無しさんの3倍:02/11/03 11:34 ID:dfQWz3aZ
メール欄か名前欄に元ネタを書いてくれ
17元ネタ:02/11/03 11:40 ID:???
>>11
「アームストロング砲」終盤
>>13
「国盗り物語」息子義竜に道三が苛立ちを覚えるとこ。
>>14
「城塞」秀頼が宮内卿局に問う。
18会戦(坂の上の雲):02/11/03 23:08 ID:???
ドズルは多大に増強されて攻め込んできた連邦軍とよく戦ったが、しかしながらドズルの作戦構想を
ギレンは消極的に裏切った。というのは、ドズルにすれば彼がソロモンで連邦軍ティアンム艦隊をひきつけて叩く上で、新型モビルスーツ
ゲルググをもって圧倒し撃破をするか、打ち合わせにはないがグラナダのキシリア支援の艦隊をもって攻撃をすればた易く連邦主力艦隊はことごとく
戦力を喪失し、ミリタリーバランスは再びジオンへと傾くはずであったが、ア・バオア・クー決戦を想定していたギレンはあえてゲルググを温存して送らず、キシリアもまた早期に援軍
を出さなかったのである。それをギレンがしなかったのは、
「それをもし為して大勝を収めることはあってはならぬである。ドズルはあくまでジオンの先兵であり、連邦軍を消耗させるだけの価値があればよい。」
という理由であり、このことはふつうの国家にあっては信じ難い理由であったが、しかしながら専制国家の指導者というのは、多分に
部下の功績が自分自身の功績として評価されるよう計算して自分の行動を決定する。
チン「ジャミトフというのは組織作りじゃないですね。バイ菌みたいに入って行って、それを自分のものにしていく。そんなのが連邦軍の実権を盗ってしまうんですからね。だから
   ジャミトフはいわば連邦軍の中にいるわけですよ。最後は地球圏全体を乗っ取ろうと思い出したらしいね。だからアクシズと結んだりなんかしたりして、結局殺されるのはそういうことが
   原因だと思いますけどね。
   でも、誰よりも勘は働くわけですよ。どこへいけば一番出世できるのか」
シバ「いろんなのがいるわけだけれども、それを何らかの形で系列化していったんやろね。ジャミトフの場合は、やくざの親玉みたいなものかな」
チン「そこの舎弟になって、だんだん上がっていく。ジャミトフの経歴をずっと調べてみると
   みんな子分として入っていくんですよ。いつの間にか上司や親分を失脚させるか殺してそこを取っていく。30バンチ事件なんかを加えると
   ずいぶん殺しているんですね。恐らく彼は、最後は地球圏全体を乗っ取ろうと思ったのと違いますか」
シバ「そこまで行くのが当たり前やろね」
チン「ジオン戦術の変形に30バンチ事件があるでしょう。確かグリプス戦役が始まる2年前です。サイド1の指導者がスペースノイドを集めて
   連邦政府に対し反政府運動をやるわけですけど、そこに連邦政府から要請されたティターンズの指揮官であるバスクが、悪名名高いG3を使って
   コロニーにいる住民まるごと大量虐殺してしまう。
   これは今の資料では、バスクの独断でやったことになってますけど、はたして独断でやったものか、よくわからない」
 〜中略〜
シバ「その話を大きな話に持っていくと、要するに連邦の特務機関であるティターンズというものをきちっと調べないと、宇宙世紀はわからないということですね。
   それも宇宙世紀00何年における作戦参謀らはだれという名前じゃないんだね。だれがやっても同じことをする権能と機能みたいなものがある。それが魔物みたいになってる。
   それが事件を起こす。あらゆることをやった。それは全部非合法なんだけど、後追いで正当化されていく。
   そういうものをきちっとしないとわからないですね」
   
21通常の名無しさんの3倍:02/11/04 08:08 ID:9atroENN
age

前の職人さんはもう来ないのかなぁ
結果からいうと、シナプスは紛争後、ジャブローにおいて軍法会議にかけられ、死刑を宣告された。
しかも軍法会議以前に軍籍をむしりとられていた。
連邦軍提督ジーン・コリニーと准将ジャミトフ・ハイマンは、コロニー阻止を目的としていながら、それを達成できなかったというかたちの
バスクに対しては寛大どころか優遇すらしたが、エイパー・シナプスに対しては峻烈で、この二人自ら法廷に臨んだほどである。
三号機のパイロット、コウ・ウラキも懲役の刑に処せられたが、GPシリーズ登録抹消に伴い、罪状も消滅するという形で釈放された。
法廷ではシナプスはおとなしくなかった。かれは連邦軍の腐敗を衝き、勝つための真剣な準備や注意がほとんどなされておらず、自身の強襲揚陸艦アルビオンは棄てられたも同然であった、と
主張した。
法廷では「なぜ命令違反を犯してまでガンダム3号機を勝手に強奪し、使用したのか」ということに論点がおかれたが
しかし現場の状況は逼迫しており、止めなければ地球そのものが多大なる災厄を蒙る、そのコロニーを止める唯一のこされた手があの命令違反なのであり
それ以外に選択の余地がない状況の中で、余裕などあろうはずがなかった。
ジャミトフ自身が理解すらできないのは、一年戦争時代ではレビルであった。あの飛躍から飛躍へはばたいてゆく発想、行動は
うまれついたものではないか。
ーそれに輪をかけたような男だ。
と、ジャミトフはブレックスを見ている。
自然、にが手であった。というより、不快ですらあった。さらにあの元議員出身という卑賤さ。
「あれはどうにもならない」
と、ジャミトフは密かに思っていた。
(この褐色の娼婦をー)
と、シャアはからだの芯のうずくようなおもいでララァの褐色の首筋を見つめー抱き
参らせたい、と思った。
これもあざやかな本心であり、シャアにあってはアルテイシアへの愛情とすこしも矛盾せぬ。
むしろ実の妹であるアルテイシアへの想いが、この欲望をかきたてた。
シャアは不幸なほどに少女好きであり、その好みは年上の、およそいう通りにならない女にはなく、少女にあった。
少女こそ、この元名家出身の男の情念をかきたてた。
その少女も、やっかいなことにあちこちの少女というわけにはいかない。
25通常の名無しさんの3倍:02/11/04 22:21 ID:nn8lmdS3
ガンダム好き=司馬先生好きの構図は成立するのか?
この時代のスペースノイドは、連邦政府をもって全コロニーサイドへの搾取と殖民政策の総本山と見、新たに創設された
残党狩り部隊「ロンド・ベル」をその尖兵であるとみていた。
それを地球丸ごと殲滅しようとするシャアのネオジオンを支持することは、スペースノイドの自立・コロニー防衛のためで
あると信じ、全てのスペースノイドのためである以上、かつての革命家ジオン・ダイクンの遺児であった
シャア・アズナブルという貴種に祈ったのは、当然の感情であるかもしれなかった。

〜坂の上の雲「抜錨より」
27通常の名無しさんの3倍:02/11/04 22:33 ID:???
>>25
歴史という共通点があると思われ。
どちらも群像劇だし。
28通常の名無しさんの3倍:02/11/04 22:42 ID:???
ヤパーリナレーターは田村高廣サンでやってほすぃですね
と、種のほうも重みのあるナレーター使って欲しい…三石さんだと軽すぎる…
29通常の名無しさんの3倍:02/11/04 22:43 ID:???
サイド7の港からエレベータを降り、連邦の駐屯基地へと入った。
そこはアムロ・レイが駆るガンダムが初めて立った場所だという。
今は数基のGMが立つその地を眺めながら、先の大戦で闘った
少年の勇姿に思いをはせる。
GMの頭頂部を見上げながらかつてここも戦場であったのだという
現実と出会った。あぁ、少年よ、その時の君の心はいかばかりか。

〜コロニーを行く(サイド7・2章より)
もともと地球連邦というのは、情報によって浮上している地球帝国であるといえるであろう。
伝統的な外交方針として、各サイドを操作するにあたって「勢力均衡」を原則とした。
宇宙における一サイドのみが強大になることを恐れ、その可能性が生まれた場合はすばやく手をうち、その
サイドから被害を蒙るべき他のサイドを影に陽に支援してきた。
31:02/11/04 22:52 ID:???
>>28
種は題材にすらしたくない・・・・・・
Vガンからかな、冨野の作品もナレーションが女性になってきたのは。
キンゲも書いてみようかな。
32通常の名無しさんの3倍:02/11/04 22:57 ID:???
>>31
Vは予告のみシャクティで、劇中のナレーションは激シブの中田穣治
むしろ予告の内容(口調)をキャラクターと統一してるから違和感はない
参謀次官アデナウアーは、とても権謀術数の外交には適きそうにない顔つきー謹直で小心者のようなーで
シャアやホルストらに対いあうや、椅子から腰を浮かせるようにして、
「本日私はロンデニオンにて、長い間交渉をするつもりは毛頭ない。その結果としてのアクシズ譲渡です。誤解のないよう繰り返し
ますが、この件は私だけの独断ではない。連邦政府全体の代表として、和平を成立しに来ているのだと思っていただきたい」
といった。ホルストは承知しましたと頷いたあと、
「(中略)私はあなたがたの誠意に対し、連邦・ネオジオン双方の恒久的平和のために、和平協定を締結するべきだとの結論に達し、そのあと、
隣に座られている総帥と協議した結果、つぎのような結論を得ました」
結論とは、ネオジオンは金塊の代金でもって小惑星アクシズを買い取る、というのである。
{中略}
代金である金塊の受け渡しは、会計監査局のカムラン検察官の手により入念にチェックされ、その場で連邦側へと渡った。
「総帥、如何(いかん)」
と、アデナウアーはシャアの目を探るようにしてみつめた。
シャアはすぐ即答をすれば侮られるだけだと思い、頭をわずかに下げてアデナウアーに感謝の意をゆっくりと述べた。
「それでは」
といい、席を立った。

34:02/11/04 23:29 ID:???
>>32
そうだったね、スマソ。
冨野はそういうキャスティングや作品のイメージ作りが上手いからなあ。
個人的にはZの小杉十郎太がよかったりする。

そういやWも大塚明夫だったな、今思い出したけど。
35逃げのクワトロ:02/11/05 00:24 ID:???
「死んだかもしれませぬ」ガザCに搭乗していたアクシズのパイロットがいった。
「たしかに、百式の残骸が・・・」
ハマーンは考えた。じつをいうと百式自体は全て破壊しつくされたわけではなく、
胴体部分は無事であったろうことはハマーンも予測はできた。クワトロことシャアはおそらく
死亡したと思わせるためにあえて爆発に巻き込まれたというように装ったのであろう。
あの男の知恵なら、やりかねない。
(生きてらっしゃるんやろか)
シャアとはそういう男だ。
「私は自分自身の終わる様など考えたことはない」とかつてこの男はハマーンには珍しく
自慢したことがある。
「もし終わる様が本当にきなはったなら、どげんなさるおつもりどすえ?」
「逃げることさ」
36開戦(播磨灘物語より):02/11/05 20:59 ID:???
このあと、ジオン軍によって行われるサイド殲滅戦というのは、もはや戦争という既成の印象から外れたものであった。
ジオン軍のおびただしい数のモビルスーツ・ザクが洪水のようにサイド2に満ち満ちて、敵という存在は点でしかない。
(これは・・・・なんということだ)
と、シロー・アマダもスペースノイドだけに、各コロニー群が人類の宇宙進出以来はじめて経験する得体のしれない機体の
氾濫にあきれる思いだった。
フロンティアサイドの時代よりおよそ60数年前、ジオン公国が突出した。
コントリズムという、人類の革新の思想を提唱したジオン・ダイクンのあとに、補佐役であったデギンが公王制
を布いてその独裁を手段とし、一方で従来の戦争形態を一変させるMSという機動兵器を開発し、世に名高い一年戦争序盤で
華々しい戦果を挙げたものの、物量で優る連邦に敗れた。
しかしながら、スペースノイドであるハウゼリーには、これらジオンの行動が自然の感情として当然のように理解でき、
それにひきかえ、地味ながらも地球連邦で、根回しと派閥勢力の取り込みという民主活動を自分に要求している父がやけに田舎者の
のように感じられた。
「父上。ジオン公国の総帥ギレン・ザビとその父・公王デギンは全ての権力を掌握し、サイド3をまとめて、連邦政府に対し
独立戦争を挑みました。同じスペースノイドであるのに、何ゆえ父上は回りくどく、連邦を利するかのような戦略をお取りになられるのです」
どうもそんな議論を吹っかけたらしい。
ハウゼリーの父マイッツァ―はユーモアの感覚のゆたかな人だったから、若さ故の主張をする息子がおかしかったらしく
「ハウゼリー、我がロナ家はザビ家とは違うよ」
ともいわれず、ただ微笑(わら)って、かれが退出したあと、側近を呼び、
「こまったものだな。ハウゼリーにロナ家のとるべき道をよく教えておいてくれ」
といわれたという。
こういう挿話は、関係者が内々喋ったことをたれかが又聞きして書いているだけのことで、
資料性というほどのものでもないが、しかし状況として大いにありうる。
事実、妻のナディアをあの小男に盗られ、そのことから逃避するかのように、感情を押し殺すため自らにマスクをつけたその日から
カロッゾはもとのあの気の小さな、冴えない学者のようなひとに対して神経質になっているカロッゾではなくなりはじめていた。
「私は私的な感情を捨て、ロナ家の興隆を達成するため邁進する覚悟である」
ということを日常言い、言うだけでなく全身で誇示しはじめた。
出自を正せば成り上がりとはいえ、れっきとした貴族であるロナ家のなかでは
この立場の弱いマイッツァーの婿は、自分は決して弱い男ではない、自分はロナ家の総領として相応しいのだというその心事を
大いに顕示することでしか、自分の情けなさを救い出す方法がなかった。
そのくせ、ロナ家の一門やクロスボーンの将たちーあるいは逃げた妻ーからは
自分は弱いから仮面をつけてひたかくしにしていると見られていることを、この男は敏感に
感じつづけていた。
(いつか必ず、我が野望を達してみせる)
とおもった。
39通常の名無しさんの3倍:02/11/06 02:57 ID:???
う〜ん、前作のような傑作期待age
40通常の名無しさんの3倍:02/11/06 17:18 ID:+fvvi+Iy
おー、このスレ復活してたのか
期待あげ
41宇宙へ(坂の上の雲):02/11/07 00:08 ID:???
「第十三独立艦隊」といわれるホワイトベースの苦難の航海は、まだ大気圏上空で
ジオン軍のキャメル・パトロール艦隊を撃破したばかりであった。
ジャブローからソロモンへ、連邦主力艦隊とは別ルートをとり「オトリ」任務を遂行する、
この明らかに厄介者扱いという不遇さのなかで、能力のそれぞれ違う乗組員(クルー)を引っ張って、
この苦労人の艦長、ブライト・ノアは挑もうとしているのである。思うだけでも気が遠くなるような
事業であった。
「ジオンとそのMSをぜんぶ宇宙(そら)に沈めてしまえるなら、この苦難も、一つ一つが宝石のように
かがやかしい記憶になるのだが」
と、乗組員たちはおもった。
しかし200名ほどの乗組員のうち、確乎とした必勝の見通しをもっている者はいなかった。
というより、それが軍隊の自然であるかもしれなかった。
ドズル指揮下の宇宙攻撃軍においても、その士卒の全員が必勝を確信しているわけではない。
確信しているとすれば、よほど無智か、常人でない精神体質の持ち主であろう。
ただ、連邦政府という、多分に旧世紀的な国家形態である絶対権力が、ブライトをも含めて、
料理長のタムラなどに至るまで、陽動というオトリ任務に従事するよう命じられているだけである。
それだけがすべてであった。乗組員たちはそれに服するしかなく、服さねば軍法による死か自由拘束が
あるのみである。
42女運(戦雲の夢より):02/11/07 01:13 ID:???
「わたくしがきっと尽くしてさしあげますわ」
「それは礼を言わねばなるまい」
「お悪い癖でございますこと」
「うん?」
「そのお口のお効きざまでございます。いけませんわ。それではせっかくの女の気持ちがはぐらかされてしまいます。
たとえうそでも、まじめに申し上げているときは、まじめに答えてくださらないと」
「うそでもよろしいのか」
「よいとはもうしあげておりませぬ」
「難しいことを仰られる」
「ええ、難しゅうございますわ。なぜアズナブル様がおなごのご運がわるいのかと、このひとつき、わたくしはじっと考えておりましたもの」
「こわいむすめだ。そんなつもりで私をひとつきも眺めていたのか」
ハマーンは答えず、
「あの、ちょっとお尋ねいたしますけど、わたくしを摂政に推薦されたアズナブル様は、わたくしの主と考えてもよろしゅうございますでしょうか?」
「うむ・・・・まあ、好きにするがいい」
「家臣ならば、アズナブル様のいけないところをお諌めするのが勤めだときいております。でございますから、
わたくしはアズナブル様にお諌め申し上げます」
「なんとでも言われるがよかろう」
と言いながら、シャアは、なんとうるさい小娘だろうとおもった。
ハマーンはシャアにまっすぐな視線をあてて、
「わたくしは」
と言いかけて、しばらく声をのみ、やがて、
「大好き」
といった。
「なに」
「大好きでございますわ」
「私を驚かせないでいただきたい。いくら数年間たっているとはいえ、なぜ私を好きになる必要があるのだ」
「それがいけませぬ。わたくしは大まじめでございますもの。おなごがまじめに申していますときは、アズナブル様もまじめにお答えなさらなければ
いけませぬ。たとえうそでも、おなごのまじめさに応えてくだされば、女はそれのみにすがって2世でも3世でもおとこのためにつくすもので
ございますわ」
「わたしにはそれがかつてなかったと言いたいのか」
43女運(戦雲の夢より):02/11/07 01:29 ID:???
「手厳しいことをいう」
「でも、ララァ・スンだけは別でございますね」
「ララァ?」
シャアはおどろいて、
「なぜその名を知っているのか」
「キグナンからうかがいました。ララァだけはほかの方々とちがい、アズナブル様のなにもかにもを知りぬいて、
そのうえで賢くアズナブル様を愛されたのでございましょう」
「そういえばー」
が、シャアは口をつぐんだ。ハマーンの会話とまったく関係はないのだが、ハマーンは、口ぶりから声、顔まで、アルテイシアに似ていると思ったのである。
「なんでございましょう」
「(髪型をアルテイシアのようにさせれば、あるいはもっと似るやも・・・)いや、なんでもない」
「アズナブル様はすぐそれでございますから、厭」
「厭でも私はかまわない」
「あの、わたくしにはお願いがあるのでございますけれど」
「なんだ」
「でも、いま申し上げるのは厭でございます」
「手のかかる娘だな」
44通常の名無しさんの3倍:02/11/07 20:21 ID:???
age
45ちよ父専用 ◆bO3s0KMEoc :02/11/07 20:29 ID:???
萌え、いや「燃えよ剣」なんかはやりやすいと思うんだが・・・ガイシュツ?
46露の宇宙(飛ぶが如く):02/11/07 20:42 ID:???
が、アムロは単なるパイロットではなかった。敵の命を断つことに正義を感じ
はするものの、敵と交感することにも、つよい関心と自然な才能を持っていた。
ニュータイプたちの多くがアムロを好む。そのことはアムロの本来のものというべき
ニュータイプの心と、ニュータイプであるがために人格のリズムが自意識過剰に
なっていることと、さらに右のような電波というものが理由になっていたであろう。
47情念(翔ぶが如くより):02/11/07 22:40 ID:???
「地球はアースノイドの聖地」
という、呪術的なことばを連呼することによって、ティターンズは軍内部の思想統一を企てた。
もっとも、この頃のティターンズにはもはや思想といえるほどのものはなかったために、
彼等は自軍が行っていた教育内容ーつまりティターンズへの絶対的忠誠心と、地球出身者およびアースノイドの
絶対的優位性ーを全地球規模にまで広げ、かつかれら将校階級は全連邦国民を地球至上主義に染めることによって
野望統一を図ろうという方向を発見し、その実現に熱中した。
対外的差別問題が国内問題にむかって魔術化していくという一例であるといえる。
アナベル・ガト―のフォン・ブラウン退去は、あざやかな演劇的情景をもっている。
かれには妻はない。愛人がいた。
二ナ・パープルトンといった。あるいは似た音だが、その狡猾さから紫豚とも酷評されたという。
アナハイム・エレクトロニクス社員だが、これについては後に述べる。
49通常の名無しさんの3倍:02/11/08 18:13 ID:???
50通常の名無しさんの3倍:02/11/09 15:07 ID:???
司馬ほしゅ
51通常の名無しさんの3倍:02/11/09 16:21 ID:???
52通常の名無しさんの3倍:02/11/10 00:34 ID:???
age
53通常の名無しさんの3倍:02/11/10 07:49 ID:4AeR6NoO
おお、懐かしいスレタイですね。
ちょうど一年前あたりでした、あの頃はよく前スレに投稿していたものです。
通勤電車の中で司馬遼太郎を毎日読み返していました。
もう自分ではネタもないので書けないのですが、職人さんがんがれ!
54通常の名無しさんの3倍:02/11/10 07:55 ID:4AeR6NoO
ああっと、せっかくだから感想を。
>>14.22.37.38
あたりは特にいいですね。司馬風に歴史を語るのが第1なので、
本当に司馬先生がこの歴史の風景を書いたら、みたいな感じになってていて
とてもすばらしいと思います。
55通常の名無しさんの3倍:02/11/10 12:32 ID:???
保守
56通常の名無しさんの3倍:02/11/10 13:08 ID:???
571:02/11/10 14:12 ID:???
おお!まだ保守されてたか!よかった。
>>54
反応がなかったので、あまり面白くないのかなーと思いましたが・・・・
ありがとうございます。
特にグリプス関連が書きやすいかなと、書いてみて実感しました。
ネタを考えないとな・・・・
これら連邦軍残存艦隊の動きに対するキシリアのジオン軍司令部の鈍感さはおどろくべきものであった。
「たとえ総帥が戦死されようとも、現状の戦局は一変はすまい」
という態度で終始していたように思える。
「ソーラ・レイの一撃とレビルのおらぬ連邦軍など形骸同然」
という侮りが唯一の理由だったのであろう。
この態度はギレンを謀殺したキシリアが最初からとりつづけたもので、その参謀
トワニングによって、速やかに指揮権がキシリアに移行していた司令部幕僚のほとんどが
「そのとおりだろう」
と、彼等もまたそう信じた。
戦術家が、自由であるべき想像力を一個の固定観念でみずからしばりつける(たとえばジオングに不慣れなシャアを
過大に評価したりする)ということはもっとも警戒すべきことであったが、キシリア自身の目的がギレン誅殺にあり目の前の
戦場は二の次であると見ていたためなのか、それともキシリアを含めた突撃機動軍の政略的志向が露骨に出たためなのか
あとから考えても彼等一団が共有したこの固定概念の存在は不思議なほどである。
59巨魁(歳月より):02/11/10 14:50 ID:???
ギレン・ザビのたたずまいについては、公王デギンの側近で、のちにアクシズの指導者となる
ハマーン・カーンの父にあたるマハラジャ・カーンが、
「あたかもアステロイドベルトに浮かぶ巨石の如し」
といっている。ちなみにマハラジャはかつてのジオン・ダイクンの革命事業に参加、公国成立後は
おもにサイド3などの行政に関わり、そのザビ家との密接なつながりのなかでギレンを知った。
マハラジャはいう。
「総帥ギレン・ザビは渾身これ政治家である。およそ政治家に必要である冷血の多きこと、私はいまだあのような総帥の
ような男をみたことがない。総帥の顔色を臨み、その風采を仰ぐことは私自身、デギン公が感じられたような畏怖の観を最後まで
捨て去ることができなかったが、その荘厳さはアステロイドに浮かぶ巨大な隕石のような印象をおぼえた。平時口数は希なほど少ない
が、一旦弁舌を振るいだすと、言動から動作、顔つきまでが一変し、聴衆は総帥の演説に酔わざるを得ない。
そんな雰囲気をもっていたお人であった」
ギレンが官邸にいるかいないか、官邸内の静けさでたれでもわかったという。
ギレンは毎朝、ぴったりの刻限で官邸に入る。官邸の玄関で降り、その靴音が廊下に響きはじめると
今まで談笑していた吏僚たちはあわててそれをやめ、官邸内は深山幽谷のようにしずまりかえったといわれる。
ギレンは、ちがっている。かれもまた根本律法(憲法のこと)については関心がふかく
革命事業に参加しているときもとくにその点に注意をはらい、旧世紀や宇宙世紀の法律や政治体制、その指導層
などをくまなく調べあげ、公国制移行後、これらの総まとめの意味などをこめて
「優勢人類生存説」というギレン自らの著書となる書物を出したほどであり、無関心であったわけでは
なかった。
が、もはや民主制ではどうにもならないとみた。
ギレンにすれば、自由だ人権だ大衆政治参加は普遍だ、これらの理屈はわかりすぎるほどにわかりきっている。
かつての旧世紀、人類は核の驚異や暴走したファシズムに対するアンチテーゼとして、普遍性を伴った民主を選択したにもかかわらず、
その崇高な理念は、現在の地球連邦政府ではまったく生かされていない。
むしろ人々が毛嫌いしてきたであろう、旧世紀のスターリン体制ともいうべき「共産理念体制」が絶対民主制
という理念を隠れ蓑にして、生かされ続けている。
もし人類、すなわちスペースノイドがアースノイドと同じような、平和と自由を享受する日を少しでも早く来させるためには
一時的な方便ともいうべき「正しき専制独裁」を選択し、腐敗の温床たる連邦を正してこそ、
人類の未来と繁栄は約束されるのである、としている。
「連邦のGMなど、人形だと思え!」
と、かれはつねに言い、将兵から恐怖心を除こうとした。かれの部下はかなり少数である。
それにひきかえ、連邦軍は5倍以上かとおもわれるほどの大部隊で要塞下の傘の部分を侵攻しつつあり、
しかもボールの支援火力は侮れぬほどに果断なく撃ち込まれている。
ブレニフ・オグスは大佐であるとはいえ、その力量と信頼性は他の公国軍士官のなかではずば抜けて高い。
かれは、学徒動員という中途の訓練・経験不足から来るパイロットたちが多分に持っている、恐怖心が巻き起こる現象を
恐れた。
「やつら連邦兵はマニュアル重視である証拠に、同じ動作を繰り返して殺されにきている」
と、かれはいった。
要するに一年戦争の勝利が、連邦政府およびアースノイドを調子狂いにさせたとしかおもえない。
なにしろ、調子狂いはア・バオア―・クー陥落後の終戦講和交渉からはじまっていた。
講和において、連邦側は強硬だった。もはやサイド3・ジオンに継戦能力がないことを知って
いたし、政府内部に「派閥抗争」という状態にありつつも、物量の面では戦争を長期化させてジオンそのものを
破滅させることも不可能ではなかった。

そしてしばらくのちのことになるが、ティターンズ成立後、「大群衆」が登場する。
今までも小規模ながらデモや抗議運動はあったのだが、しかしれっきとしたスペースノイドの自治権要求という当然の
主義・主張に集まった大群衆としては、サイド1・30バンチのデモ大会というのは宇宙世紀はじまって以来のことではないだろうか。
連邦政府(事実上はティターンズ政府ともいえるが)の調子狂いはエスカレートした。
大群衆の叫びは「自分達とアースノイドに平等な権利を与えよ」というものであった。
自由と民主制の旗頭たる政府は要求を呑むべし、と叫んだ。
ついに参集者は膨大なものとなり、連邦政府も無視できなくなった。
しかしあろうことか、政府は残党狩り専門部隊であったティターンズに「暴徒」の
鎮圧を要請、まもなくティターンズはサイド1・30バンチにG3という、南極条約で禁止されていた毒ガス
を用いて、全てのデモ行動に参加した人々のみならず、コロニーごと大量虐殺をした。
私はこの30バンチ事件こそ、来るべき悲劇のグリプス戦役の前哨戦であると考えている。
連邦政府の鬼胎というべき負の部分が、デラーズの蜂起を巧妙に利用して成立した「ティターンズ」に蓄電されて、
以下の大災厄の原因になったように思えてならない。
63通常の名無しさんの3倍:02/11/10 21:31 ID:qplcUCG7
age
ブレックスはナマ身の革命家としては、革命に必要な陰謀の感覚をもたず、戦術には頓着せず、さまざまな
意見を用いたが、武力を用いた改革については、充分な手を打ち、その養成にも周到な準備をした。
彼は連邦議員出身という政治家としての立場と、妻子を失った身でありながらきわめてあかるい人格を武器にし、
反ティターンズ勢力をつくりあげていった。
ブレックスは端正な風貌と、透明度の高い人柄をもっていた。私欲がなく、権力への執着さえ乏しかった。
かといって隠者や狂者といった風をもたず、十分な平衡感覚をもち、このためダカールでの運命の一撃で倒れるまで
様々な運動を展開しながら、つねに陽気だった。いまブレックスの生涯をふりかえってみても、にごりというものが
みられない。
ふとブレックスについて書いてしまったのは、この稿を書く前に「グリプス戦録」上巻を読んだせいである。
この本にブレックスも登場する。作者は、ブレックスを滑稽な失敗者、処女のような空想家、脚もとを見ない
ドン・キホーテ、あるいはドタバタ喜劇の役者としてとらえている。
見様によってはそういう面があるものの、なんだか強力な乾燥機にかけられた剥製のようで、ブレックスが
可哀想である。すくなくとも生物としての湿度をもたされていない。
湿度とは、かれらを動かしていた危機意識といえる。スペースノイドは地球連邦のために圧迫され
、かつ政府の対サイドへの植民地体制がより強烈な搾取体制に変わるかもしれないという恐怖感覚を当時のスペースノイドたちは共有していた。
「グリプス戦録」ではそのことについての記述もあるが、高熱のなかにある当時の病的なコロニーサイドの体温
までは伝わって来にくい。このことは、著者がアースノイドだからとはいいたくないが、すくなくとも後世という、
乾いた場所に居すぎるせいではあるまいか。
「勝った」
ということの判断基準の一つに、その軍隊が作戦目的を達成しえたかどうか
ということがある。それを尺度にすれば、このア・バオア・クー会戦で連邦軍は確かに勝ったが、
しかし完全に勝利したとはいいがたい。なぜならば総司令のレビルはもはやなく、前日の12月30日のソーラ・レイ
の一撃で連邦主力艦隊はことごとく消えてしまったからである。
翌日の残存艦隊糾合により、かろうじて勝利は収めたものの、とある連邦軍提督が復命書に書いているように
「攻撃力の著しき欠乏」によって、これ以上の継戦能力は連邦側にももはやない。
(なぜあの婦人(ひと)が自分のような者を好くか)
という理由も、おぼろげながらわかる。ナディアの男に対する好みにはあざやかなくせがあり、
家というしがらみにしばられた従順な夫のような男よりも、市井の世間事に長けた、およそ貴族という階級とは
縁のない男に対して評価があまい。
男の遠まわしな言い草をもっとも嫌い、間接的な表現よりも直線的で実直、たとえその相手が不器用で失敗をしたとしても
彼女はむしろ自分への真摯な愛情さえあればその失敗すらも美徳とする風があった。
マイッツァ―はあるとき二、三の彼女と親しい従者を「無精(粗放)者である」という理由で追放しようとしたが
彼女はそれを耳にし、かれらのためにしきりにわびを入れ、ついにそのままの地位でとどめおくことに成功している。
シオはその点で、自分のような男がナディアから好感を持たれている理由がわかるような気がした。

ーこの好意に、なにか返礼したい。
とシオはおもった。この場合、名門ロナ家の一族であるナディアとの関係をつよくしておくことは
ロナ家の身近に使えているシオにとってこれほど重要なことはない。
が、なにを贈るべきかにシオは困じた。彼女はもともと物欲には満たされるほど満たされているだろうし、いまの身分にあっては
なにを贈られてもさほど嬉しくないであろう。思案のあげく、シオはとある花屋で見た
黒百合はどうであろうと思い立った。
これほど珍奇で、偶然を感じさせる花はないかもしれない。
奇しくもナディアの娘セシリーがカロッゾこと鉄仮面に宇宙の彼方まで放り出された際、探索をするシーブックの感知に重要な役割を
果たすという偶然があるからである(娘の場合は百合であったが)

ときをうつさず、ナディアの部屋に入り、その部屋に黒百合をおいた。
「これが」
黒百合か・・・・とナディアはつぶやいたまましばらく声が出ず、うなじを伸びるだけ伸ばして花に見入った。
黒い、というよりも厳密には暗紫色をしている。しかし想像した漆黒の花弁よりもその自然な色のほうがランプの明かり
のなかでは冴えざえとして黒かった。
やがてナディアはその華奢なからだをたえまなく動かして自分のよろこびを表現しはじめた。
「シオ・フェアチャイルドのやさしさよ」
と、彼女は声をあげた。

マイッツァ―はその後注意して観察していると、なるほど少女期を脱しはじめたセシリーはすこしずつ変わり
はじめ、顔つきまでが凛呼としてきている。挙措に威厳があり、ロナ家の他の一門のたとえばカロッゾやナディア、ドレルとは
明らかに別種の人物になろうとしていた。婿のカロッゾは確かに才能はあろうがあくまで婿であり、
血縁のナディアはロナ家の血筋に泥を塗り、MSパイロットとしての技量はあるドレルにしても
一流といえるほどのものではなく普通の出来であった。
このうち、ベラ・ロナと名を変えた(マイッツァ―にすれば「戻った」)セシリーのみはクロスボーン全体の指揮統率・スペースノイドに対し好イメージを
与えうるアイドルとなれそうであった。
戦場においても技量があるのならば、その血筋と容姿、指導力によって士卒の端々まで服させることも可能であろうし、
しかも「高貴なる義務」を遂行すべき人物が一門であるのならばなおさらよい。セシリーにはその器量があるとマイッツァ―はみた。
ついにしびれをきらした鉄仮面は、狼狽しながらもセシリーに対し、
「ナディアと同じように見下すとは!つくづく女というのは、御し難い生き物だな!」
と、たわごとのように叫んだ。カロッゾは非常手段をとった。恫喝である。
自らラフレシアのコクピットを出、セシリーのビギナ・ギナのハッチをこじ開け、セシリーに向かい
自らの激怒振りを示すが如く、コクピットからセシリーを宇宙へ放り出したのである。
シーブックに対しては、これがなによりの効果があった。F91のシーブックは、驚き、怒り、その感情をあらわに
して、実の娘に対して非道な振る舞いをした鉄仮面のラフレシアに向かった。
それが鉄仮面の最後となった。F91を分身させ、ラフレシアの攻撃をたくみにかわすシーブックは、その鉄仮面の
コクピットに一撃を与えた。鉄仮面は化け物かと叫んで、死んだ。
〜中略〜
セシリーの恋人たるこの青年は、彼女の父親たるカロッゾをつぶすだけの役割を、果たす結果となった。
70通常の名無しさんの3倍:02/11/11 01:40 ID:???
スゴイね。
(よくつとめたな)
マイッツァ―は部屋に戻ったあと、ハウゼリーの生涯を思い、ふたたび涙をあふれさせた。もはやハウゼリーは
この世には戻ることはない。できればかわってやりたい、そんな思いがマイッツァ―の胸中に満ちた。
息子は自由と平等を実現するために行動をした、その報いが、これだ。やりきれるものではないであろう。
マイッツァ―の心に、連邦への憤りが芽生えていた。誰しもが憶える、スペースノイドたる者なら是が非でも味わわねばならぬ
自由という理念の壁、絶対民主主義という壁の前に、ハウゼリーは倒れたのである。
ハウゼリーの死後、彼に敵対する連邦議員や派閥勢力などは、
ースペースノイドごときが、根回しや政治工作という愚劣なことをやるから、天罰が下ったのだ。
としきりに悪口した。やはり連邦議員のひとりで、「ニューヤーク日記」の書き手である某議員は、ハウゼリー暗殺の数日後に
「頭目ハウゼリーが死んだ。その財産が公開されたが、なんとも莫大な財産と富を蓄えていたようであり、その数は知れない。その限りなき財産も、
法的な処置があって、全て連邦政府に接収された。まあ、もともとの暗殺の原因が「私腹を肥やしている」ことからおこった今回の結果
なのだから同情の余地もない。さこそ命が惜しかっただろうなあ。浅猿浅猿(あさましあさまし)」
とある。ハウゼリーは貪欲家ではなく、むしろその財を放じるほうであった。浅猿しいのはむしろ、
かれの在世中、自らの公金流用は棚に上げてかれだけを不当に糾弾し続けたかれらのほうであっただろう。

この偉大な政治家の死で、ロナ家にさしつづけた陽ざしが急に冷え冷えとしはじめたようにおもった。
事実、この日から数年後、ナディアの出奔やカロッゾの独走などで家中の結束にヒビが入りつつあるときに、
ロナ家に仕える古い者たちは、
ーかのお方が生きておわせば。
とほとんど繰り言のようにささやきあった。
「准将から話は聞いた」
と、ウォン・リーはいった。ウォンはわりと肝の太い男だが、この日は慎重な面持ちで問うている。
「クワトロ大尉が自らリック・ディアスで参加するということだが、成功する見込みはどの程度か」
「先行して単身で偵察し、その結果次第で乗り込んでガンダムを奪う。まあ、この新型があれば、可能なはずです」
「なるほど、自身はあるようだな」
「相手はまさかグリーンノアに襲撃はすまいとたかをくくっているはず。そこをつけば上手くいく。それと、アーガマの支援もな」
「ともかく」
と、クワトロがいった。
「このまま手をこまねいていれば、ティターンズは増長し、悲劇はもっと大きくなる。一年もたてば宇宙にいるティターンズの戦力はもっと増えているでしょう。
最悪の事態、連邦軍の指揮権が委譲されるというシナリオも考えられなくはない。そのとき立ち上がっても手遅れです。今ならなんとか互角にやれる。作戦の了解を、
願います」
73:02/11/11 02:40 ID:???
>>70
強引にロナ家の人々を書いてみましたが、なかなか書きにくい・・・・
ネタ考えます。
74通常の名無しさんの3倍:02/11/11 04:45 ID:???
懐かしい・・・伝説の名スレ(・∀・)フカーツ!!
民族には、ごく土俗の感情としてナショナリズムというものがある。
ときによってこの言葉は、国家主義という意味につかわれたり、国民主義あるいは
民族主義の意味でつかわれたりするが、要するに民族がもっている決して高級ではないが
ごく自然な感情ーたとえば自分の町を愛して隣町をののしったり、スウィート・ウォーターを
愛してその悪口を言われると腹をたてたり、といったふうの土くさい感情ーのことであろう。
侵略はそれを刺激する。侵略とは単に他民族の土地に踏み込むという物理的な行為ではなく、
その民族のそういう心のなかへ土足で踏み込むという、きわめて精神的な衝撃をいう。
ところが、宇宙世紀がはじまって以来、管理者の意識でコロニーサイドを見てきたアースノイドたちは、
「スペースノイドにはナショナリズムはない」
とみた。そのために軽蔑した。
されるほうにとってはわりに合わない話だが、そもそもジオン独立戦争勃発までの宇宙における各サイドの
状況というのは多分に植民地といっても過言ではなく、同じ連邦政府の一員でありながら当然のように
格差がつけられるのは、お互いが対等でない以上、当然といっていい。
ジオンは独裁国家となり、目下、MSザクの開発成功によりジオン公国は伸張期にあるが
そういうサイド3の現実を他のスペースノイドたちは、
「サイド3では国家が軍隊を持っているのではなく、軍隊が国家をもっている」
と、冷笑した。
ーMSの数が足らん。
と、ドズルはおもった。足らぬどころか圧倒的に不足していた。敵は宙域を埋め尽くす
かのような大量のGMとボールであり、数倍はあろうかと思われる宇宙艦艇をそなえている。
それが、わが方がワッケイン指揮下の連邦陽動艦隊に応戦をしているところへ、サイド1の方角から
突如撃ち込まれてきたソーラ・システムの照射を皮切りに、攻撃をはじめた。
すさまじいビーム・ミサイルの応酬がソロモンに満ち、自軍のリックドム、高機動型ザクなどの
MSもつぎつぎに撃破されていった。
ドズルは、かわっていた。
大のコーヒー党であったことである。ブラックである。司令室で副官のラコックが入れたコーヒーを
上手そうに飲みはじめた。
ーいくさの折りのコーヒーの味というのは、妙なものだな。
と、戦場を写すモニターを見ながらいった。どういう味がするのか、それは説明しない。
彼は序盤、一週間戦争のルウムの激戦のさなかでもそうであったが、連邦艦隊の怒涛のような砲攻撃のなかで
コーヒーを飲んだ。激戦になるとかならず飲む。このときも自ら専用のザクで出撃したが、その前にも景気づけで飲んだ。
飲んで勇気をつけるというのではない。この大男が酒を戦場で飲まない理由は、酒よりも感情が鎮静化するかららしい。
コーヒーを飲むことによってあたりまえの自分を維持することができる。
78通常の名無しさんの3倍:02/11/11 22:53 ID:???
79湖畔(関ヶ原・下巻):02/11/12 01:16 ID:???
〜中略〜
「残念ながら、ハマーンには知恵がありすぎました」
と、シャアはいった。
「知恵はあるが、その知恵を結局は自己の独裁へと向けてしまった。私とは違い、自分に自信がありすぎた故の
結末であると思ってくれれば幸いです」
「シャアも人がわるい。お前がハマーンを受け入れてやればよかったのではないのか」
少女は、シャアを蔑むように見た。シャアは怒らず、遠目で笑いながら「いかにも悪い」とうなずいた。
「わたしも悪いが、ハマーン・カーン自身にも罪はある。ミネバ様を道化にしようとなされた」
シャアのいうハマーンの罪とは、ザビ家独裁を前提とした人類の革新というやり方を指しているのだろう。
「ハマーンがわたしを利用しようとしていたとは思いたくない」
と、あくまでハマーンをかばいながら、
「なら、いったいどうすればスペースノイド全体を救えるのだ」
「方法はないわけではない」
と、シャアは少女に自らの構想を語り始めた。かれがいままでに経験してきたことをまとめると、
旧体制的な独裁や自由主義的政治運動などというものはかたちのないものであり、全ての人類のみちをひらくという
原動力には決してなりえない。
シャアのいおうとするところでは、ザビ家はもはや世を担ってゆく魅力がなくなっている。ハマーンは自己の政治構想の源
とするためにやむなくザビ家の貴種たるミネバを担いだのではなく、本心から戦後の体制もこのままの体制を続けようとした。
すべての無理はそこにある、とシャアは言いたかったが、しかし沈黙した。かわりに、
「皮肉なことだが、ハマーンはいい先例を示してくれたのです」
といった。ただ一つ、独裁権力の正当化のやり方を広く喧伝せしめた。あの一挙は、故ギレンやザビ家一統、その父
マハラジャへのなによりもの馳走となったであろう。滅びゆく運命にあったアクシズをまとめあげ、その力をもって地球圏
を一時的ながら掌握した。グレミーの裏切りや、様々な誤算もあったろうが、女性という立場でありながらここまでやってのけた
点からいえば、ハマーンは十分に成功した、とシャアはいうのである。

80通常の名無しさんの3倍:02/11/12 11:19 ID:???
このスレ見てると気分が和む。
もっとも、シャアが大人の女と情交(まじわ)りたくないのは理由があった。大人の、しかも自立しているように見える
女にはなんの情欲もおこらなかったのだ。
(女は、年下だ)
と考えていた。年上ではない。それがシャアの信仰のようなものであった。
だからこそ、カバスで出会った褐色の少女に、慄えるような魅惑を感じた。こういう性欲の型を
もった男も少なかろう。
82通常の名無しさんの3倍:02/11/12 20:47 ID:rJPUfvko
アムロ逝くぜよ
フロンティアサイドのロナ家の宮廷で、祖父と孫娘の対面がおこなわれた。上段に座っているマイッツァ―
という祖父は、セシリーには幼い頃のかすかな記憶しかない。
「おお、わしがそなたの祖父ぞ。さあもっと近う」
と、大声でさしまねき、セシリーが遠慮して動かずにいると、マイッツァ―はみずから降りてきて
セシリーの肩に触れた。マイッツァ―の、本心からの喜びの表現であった。いったいどこの世界に、孫との対面を
喜ばぬ家族がいるというのであろう。この場合がそうであった。
「ベラ。今日からロナ家の一員として励んでくれ。よく学び、健全な精神を尊ぶのだ。期待しているぞ」
といった。セシリーはおもわず涙ぐみそうになった。彼女の直感でいえば、まるで機械人形のような実父よりもこの
祖父のほうがはるかに人らしいにおいをもっていた。
名はベラ・ロナ。正確にはもとに戻ったといってもいいのかもしれない。
「ベラが戻ってきた。これでロナ家も安泰だ」
と、マイッツァ―はいった。
「ドレルは、母違いだがそなたの弟である。仲良くせねばならん」
と、カロッゾはいった。だが仮面から発せられる声は、電子音のような擬似的なものとしかセシリーには
おもえない。そのまるで感情のない声を、セシリーはなんど聞いたことであろう。
ー弟である。
といわれても、かすかに幼い頃の記憶があるだけで、セシリーにはそのような実感はおこらない。ドレルとは母親が違い、
共に暮らしていたわけではないためほとんど他人といっていいし、第一、どこに姉と弟という直接の共通点があるというのだろう。
弟の方も、それほどセシリーに対して好意を寄せているとは思えなかった。あくまでお爺様お気に入りの「アイドル」という印象しか
なかったかのように思える。
ちなみにマイッツァ―は無用の殺戮を好まず、ジェノサイドなど愚の骨頂であるとした。
クロスボーン設立の際にも、G3や核などを用いることは硬く厳禁し、生物兵器なども非道である
として軽蔑し、その実験をしようとすることさえ、関心すらも示さなかった。
が、己の趣向を実現させてやろうと気負うカロッゾは影ながらマイッツァ―の望むことの反対を
企て、新たに建造した新鋭艦ザムス・ガルで殺戮兵器の実験をはじめた。
というより彼はこの殺戮兵器の実験が、自分の野望に合う、とても興味のある、面白きものであることを
認識した。血がほとばしり、人が残酷に切断されるのである。もちろん、再現映像は本物ではないが、
この兵器が具現化されれば、どれだけ人類は整理できるだろうか・・・思い立ったカロッゾは自らバグと名づけた
この兵器の開発を指令した。
そのバグの再現映像を開発チームのスタッフと何度も見、そのなかのスタッフが絶叫したり、卒倒したりすると、
カロッゾは大いに自尊心を満足させ、
ー気の小さい奴だ。これしきの映像で。
と、痩せたからだをゆすり、痛快に笑い、いよいよ好んだ。自分こそは勇者であるとおもった。
86出会い(燃えよ剣):02/11/12 22:17 ID:???
「美しいものが嫌いな人がいるのかしら?それが年老いて死んでいくのを見るのは
悲しいことではなくて?」
アムロは遠い眼をして、
「そ、そりゃあ・・・そうですけど、僕の聞きたいことはそういうことじゃなくて・・・」
「・・・やんだわ」
「?」
「きれいな目をしているのね」
と、ララァはなにげなくいった。べつに数年後、自分とのもつれ合いでシャアと激しく争うことになる
この少年の運命を読んだわけではない。
ところが、アムロの運命は、このララァとの出会いがもとでひどく変転することになった。
結果的には不幸な結末となるが。
87通常の名無しさんの3倍:02/11/12 22:37 ID:???
>>79
いいね
88通常の名無しさんの3倍:02/11/13 09:05 ID:???
良スレあげ
89通常の名無しさんの3倍:02/11/13 21:45 ID:d8NBUqHo
age
いずれにせよ、ドズルはこのソロモン攻防戦で戦死し、事実上ドズル指揮下の
宇宙攻撃軍はことごとく総帥ギレンの指揮下に入ることとなり、結果としてギレンは成功した。
かれはこの連邦軍を漸減させるという効果に満足していたことは確かである。
ただジオン本国の国民感情が、崇敬の対象となっていたドズルの死に動揺をきたし、将来に不安を
抱かせる結果となったため、ギレンにとってその点だけがわずらわしかった。しかしかれは、
「連邦艦隊をソーラ・レイにて打撃を与え、その残存艦隊をア・バオア・クーにて、一挙に潰滅させる」
という最終的な成功可能案をもちつづけていたため、ドズルの戦死に動揺した様子はまったく見られない。
ただこのギレンのア・バオア・クー決戦案については敵であるレビルもそれをそのように推測し、このまま戦い
が長期化すれば、いつあのような巨大MAを投入してくるか予想だにつかない現状にあったし、なによりも
まだジオンの一角を崩したにすぎないと強く感じていたのは、ほかならぬレビル本人であった。
星一号作戦計画は、すでにソロモン戦以前に、かれの手もとにおいて成案になっていた。
いずれにせよ、ドズルはこのソロモン攻防戦で戦死し、事実上ドズル指揮下の
宇宙攻撃軍はことごとく総帥ギレンの指揮下に入ることとなり、結果としてギレンは成功した。
かれはこの連邦軍を漸減させるという効果に満足していたことは確かである。
ただジオン本国の国民感情が、崇敬の対象となっていたドズルの死に動揺をきたし、将来に不安を
抱かせる結果となったため、ギレンにとってその点だけがわずらわしかった。しかしかれは、
「連邦艦隊をソーラ・レイにて打撃を与え、その残存艦隊をア・バオア・クーにて、一挙に潰滅させる」
という最終的な成功可能案をもちつづけていたため、ドズルの戦死に動揺した様子はまったく見られない。
ただこのギレンのア・バオア・クー決戦案については敵であるレビルもそれをそのように推測し、このまま戦い
が長期化すれば、いつあのような巨大MAを投入してくるか予想だにつかない現状にあったし、なによりも
まだジオンの一角を崩したにすぎないと強く感じていたのは、ほかならぬレビル本人であった。
星一号作戦計画は、すでにソロモン戦以前に、かれの手もとにおいて成案になっていた。
ワイアット大将。グリーン・ワイアットはコンペイトウ観艦式における駐留艦隊総司令の立場にあった。
かれはジャブローの参謀本部の評価では、図上演習に長けた秀才であったが、実戦の名将であるには、事態を
つねに楽観的に見すぎる傾向があり、その上連邦将官にありがちな自己中心的な思考と態度を堅持し、
攻防のなかで泥をかぶって挺身するようなたちの軍人とは一線を画していた。
新造戦艦バーミングガムで初めてコンペイトウ鎮守府に入港したときも、かれは手をあげて、かつて
ソロモン海と呼ばれたこの宙域を示しながら、
「ジオンのクズどもは勇敢ではなかった。驕慢な無駄事をしたにすぎない」
と、自分たちをさんざんに苦しめたジオンに対して酷評をした。かれにとっては連邦対ジオンの
本格的なMS同士の宇宙戦闘が展開されたこの場所に立ってもなお、深刻な感情がおこらないようであった。
93:02/11/13 23:35 ID:???
いかん。二重カキコになってしまった。
スマソ。
戦争というのは国家がやる血みどろの賭博であるとするなら、将軍というのは
その賭博を代行する血の勝負師であらねばならない。
当然、天性、勝負運のついた男でなければならない。
レビルはその点、あくまでもついていない男であった。最初の会戦では捕虜となり、きわどいところで脱出は
したものの、連邦軍反攻計画遂行のためにあらゆる苦労をし、いざ軌道に乗せたかと思いきや、
彼に非協力的な態度を取るジャブローの提督たちとの折衝・軋轢が待ち構えていた。
シャア大佐の副官マリガンが士気をしらべるためにザンジバルに搭乗した元ジオン地上軍
一部隊を訪ね、数人のパイロットをつかまえて問答すると、その彼等全てが、
「愉快であります」
と同一表現をつかった。かれらにいわせると、いままで重力の井戸のなかで押し潰されるかのように
戦ってきたが、これからはあの宇宙で戦えるのである。これほど楽なことはない、というのである。
地球の重力というものが、ジオン兵たちのあいだでも、いかに憂鬱で暗澹たるものであったかがわかる。
戦争状態になっているとはいえ、殺人は殺人である。ふつうなら気も動転し、すくむか、後悔するか、
いわば尋常(ただ)ならぬ心理と行動におちるはずだが、この男は(なんだ人を撃ち殺すのはこれほど容易なものか。
さればおれも下っ端の兵士で終わるよりも、指揮官ずれになって名をあげてやろう)
とおもった。確かに軍人という稼業は殺しが主体なのだから、致し方ない面はあるものの、なにかおぞましい気配を
筆者は感じるのである。
憎悪や野望のほうが、より行動的なものだ。とくに、この男の場合、いったん思い込んだりするだけで、
すぐに行為に訴え、なにをしでかすか見当もつかない。思慮がなくなる。異常な行動力を発揮する。
「あのヤザンという馬鹿を」と思った男がある。
「用うべし」
そう思ったのはパプティマス・シロッコ。木星帰りの男である。知恵者である。
智者とは愚者をたくみにつかう者をいう。このニュータイプは、ティターンズはおろか地球圏全体を自らの
掌中におさめようとしていた。そのために知力のかぎりをつくし、ティターンズの軍人たちを懐柔し、さまざまの
工作をしていた。その工作は奇麗事に彩られた陰謀といってよく、その知恵は奸智といっていい。
「あのヤザン・ゲーブルこそ」
と、シロッコは自ら搭乗するドゴス・ギア艦橋にて、強化人間であるサラ・ザビアロフに語りかけた。
サラという少女は、白い肌と、凛とした眼を持ち、戦略判断はまだまだだが、パイロット技量はなかなかというような
少女で、背が小さい。
「サラは感じるか。どうか」
と、シロッコはいつもの口調で問うた。
「パプティマス様の御眼力の通りだと推察します」
と、サラはシロッコにむかって瞳をあげながらいった。
ティターンズのエース・ヤザンといえば、軍内部のなかでも荒々しさで通っている男であり、
戦場では愛機ハンブラビを駆って野獣のように突撃し、その技量はことごとく一流である。
が、シロッコはこのヤザンがもっている長所を、用うべし、といったのではない。その無智、狂気、無思慮、怒りっぽさ、
軽はずみを、「用うべし」といった。
98通常の名無しさんの3倍:02/11/14 18:34 ID:???
しみじみ保守
99人参(燃えよ剣〜壬生菜):02/11/14 21:58 ID:???
みな、食堂でめしを食っている。どの膳部にも、ニンジンがついていた。
どこにでも、ある野菜である。
色はオレンジに似、調理に際してもカリーなどほとんどの料理にマッチし、噛めば独特の
味がするものである。
ーうまい。
と何度もそれを食堂のおっさんに頼んでお代わりしたのは、モンシア中尉である。コウはそういうモンシアを
軽蔑した。
ーさすが新鋭艦アルビオンだ。ここへきてしみじみ、俺は田舎もんだって思う。
と何度もいった。コウは、モンシアがおそらく大好きであろうニンジンは、自分の膳部から遠ざけて箸も
つけなかった。
(こんなののどこが上手いってんだ。こんな曖昧な味のする野菜が食えるもんか!)
むろん、コウの真底(しんぞこ)は、モンシアへの嫌悪ではない。ニンジンへの嫌悪である。
100通常の名無しさんの3倍:02/11/14 22:01 ID:cb3MICjo
ゆn
101一騎討ち(燃えよ剣):02/11/14 22:28 ID:???
アムロがMSザクを撃破するためにビームサーベルを抜き斬り込もうとしたそのとき、
不意に地面からヒートロッドの一撃がきた。
あやうく足を斬られそうになるのを回避してふりむいたときは、すでにガンダムは、ビームサーベルを
下段にかまえて警戒している。
(・・・・・・・グフ・・・・)
アムロは神経を尖らせた。太陽がある。その下で、敵MSグフはしずかにヒートサーベルを抜いた。
(あの敵、出来る)
と思ったのは、グフはサーベルを構えながら、静かに待ちの姿勢を取り、こちらの出方を待つ構えに出た
からである。やはり凄腕のパイロットであることが窺えた。
〜中略〜
一気にアムロのガンダムが駆けた。
右手にサーベル、左手にはシールドを構えて、ガンダムはグフに迫り、至近距離にてシールドを上段にして防ぐ
格好をとり、宙に跳んだ。
グフはサーベルを振り下ろしたが、そこにガンダムの姿はない。
飛翔したガンダムはすぐさま着地、狼狽するグフにすばやく踏み込み、白刃をうならせてサーベルを握るグフ
の両手を一気に斬りおろした。
コクピットも、ビームサーベルによって斬られた。
だがアムロは驚いた。グフに乗っていたパイロットが、酒場で会ったあのランバ・ラルであることに気がついたからである。
シバ「ジャミトフの敵であって、しかしジャミトフという現実を計算せざるを得なかった
ブレックスの苦しみというのはあるでしょう。まあ地球サイドとコロニーサイドの間で、連邦政府を理解した、
つまり鋭く本質を見たスペースノイドはいたわけです。ブレックスやヘンケン、ウォン・リーもそうだし、
さっき名前の出た人(エマやブライトなど)は、深浅の度合いはあっても、本質はよく見ている。一方、
アースノイドというのは当時たくさんの理解者がいたと思うんだけど、元々ティターンズがああだから誰も言い出せないし、
そんな雰囲気があれば即弾圧ですからね。シャアのダカール演説まで待たなければならない。でもそれだけじゃない、
アースノイドは特権階級だからスペースノイドの立場にはなりにくいんだろうね。なって考えれば簡単にわかることなんだけど。
MS部隊長は最強を謳われたニュータイプのアムロ・レイであり、アムロは一年戦争の頃、
民間人でありながら連邦軍のMSガンダムを操縦、否応なく戦争に参加させられながらも名だたる
ジオンのエースとMSを撃破、とくにア・バオア・クー会戦ではライバルであるシャア・アズナブル搭乗のジオングと
激烈な死闘を演じ、その存在は「連邦の白い悪魔」と呼ばれ恐れられた人物であることは、すでに述べた。
かれの搭乗するディジェとカラバのMS部隊は、ダカールで演説をしたクワトロ大尉の護衛の任務のあとに、
かねてより計画されていたティターンズの拠点・キリマンジャロ基地への攻撃に参加している。
104総帥(翔ぶが如く・廟堂):02/11/15 14:30 ID:???
ギレンには人間としてのおもしろみは、皆目なかった。人が他人を敬愛する場合、
その人物の弱点の部分をむしろそれが人間味であるとして惹かれたりするが、ギレンには
まるでそれがないようであり、たとえば酒でも女でも失敗することがなく、道楽というのも
あったのかどうか。
婦人のことについても、ギレンには話題がない。しいていえばセシリア・アイリーンという
秘書を持っていたことぐらいだろうか。
ある時、戦線報告のためドズルがシン・マツナガとともに総帥のギレンを訪ねたことがある。
ギレンは奥で書き物をしていたためセシリアがドズルとマツナガを待たせた。それも長時間待たせた。
ドズルは別に怒らなかったが、おそらくギレンを奥からよぶ手だったのか、
「兄貴はあの謹厳な顔をして、夜はどういう顔つきでセシリアと同衾(どうきん)するんだろうな」
という意味のことを、くすくす笑いながら傍らにいるマツナガに言った。
すると突然、ギレンが部屋へ入ってきた。ドズルはそのあまりのタイミングのよさに驚き、冷や汗をかいた。
焦りながら兄貴・・・・と叫んだドズルを見て、ギレンは苦笑しつついきなり本論に入ったという。
茨の園のなかのデラーズ・フリートのジオン残党たちは、ほとんど発狂に似た昂揚感をもっていた。ジオンの
精神(正確にはザビ家の精神)の正統な後継者であることに他のスペースノイドとくらべても
比べものにならないほど強い公国軍人的自負心を持っていたデラーズ・フリートは、サイド3・ジオン共和国が
締結した和平などは偽りであるとして、いまだ戦争は続いているという認識で一致団結していた。
〜中略〜
デラーズにすれば、ジオンのためであるといわれても、現在のサイド3の政権そのものが気に入らないのである。
今のジオン共和国は、デラーズら公国軍の将兵が、ルウムで大規模な会戦を演じ、重力の井戸たる地球に降下し、アメリカや
アフリカ、アジア地区などと転戦し、オデッサにおいて難戦し、宇宙における決戦のために死に物狂いでシャトルをあげて脱出、
ソロモンで新鋭の連邦艦隊と交戦し、ア・バオア・クーであれほど激闘を演じた多数の者達を裏切り、
一方的な終戦協定を締結した売国奴たちの国家である。その偽善国家など愚の骨頂であると見、自分達こそ
偉大なる総帥・ギレンの意志を体現する者であるという自負を強烈にもっていた。

106通常の名無しさんの3倍:02/11/15 23:09 ID:???
正直このスレは凄いと思う。
107通常の名無しさんの3倍:02/11/15 23:25 ID:51bwvrU+
下がりすぎなのでage
 だからこそナディアを手ずから育て、ゆくゆくは君とともにコスモ・バビロニア建設の理念に
邁進させるつもりであったが、自らの非は認めねばならんのかもしれん。ナディアがああなったのは
私にも責任があるからだ。これは運命というものかもしれん、押し付けがましいことだが、君の方から
ナディアを説得してはくれまいか。
と、繰り返しダイレクトメールの主題に力を入れている。
が、カロッゾにはとうてい出来ないことであった。読み終わって、
「お義父様は私に夫としての義務をしろとおっしゃるが、自分はお義父様の実の娘たるナディアに強制
できる立場ではないし、ああしろとはいえない」
と、複雑な表情でいった。言った相手は、彼が推進しているラフレシア計画の一員である
ジレ・クリューガーである。ジレはカロッゾの立場に同情し、しばらく考える表情をしていたが、
「これは、責任転嫁ではありますまいか」
とジレはマイッツァ―の真意を疑いながら言った。わかっている、とカロッゾはふだんの彼らしくもなく
癇高くいった。
その程度の理解力など大学院の秀才であったこの婿にもある。しかしどうしようもない苛立ちが自分を責め立てているのは
マイッツァ―の致し方なかった部分や、自分の立場というのを理解しようとせずにいる妻のナディアであろう。
仕事、しきたり、責務、とつねに冷ややかに自分を責めていた妻も、本当のところはあなた自身に思ったほどの
魅力がないだけなのよという本心があったのではないか。そうにちがいない。
そうだからこそ、ナディアは自分のもとへ帰ることをせず、奔放な生き方をしているのだ。
しかしそれは間違いである、とカロッゾは思った。そんな期待外れの感情など、結婚する前に処理しておくべき
問題であろう。
(私はロナ家の一員となるべく、常に努力をしてきた男だぞ)
カロッゾはそう信じてきた。だからこそ、潤沢な資金と環境を与えてくれた義父への恩に奉ずるために
日々の研究はかかさなかったし、義兄とも仲良くつとめ、そつのないように真面目にやってきたのである。
その苦労や努力をナディアは知らない。
夫婦とはいえ、ただの男と女である。他人と捉えてもおかしくはない。
ナディアの方こそよくわかっていないのに、よくも責められるものだ、と
内心おもったが、カロッゾはさすがに口にはしかね、だまっていた。最後に、
ーいったい、私はどうすればよいのか。
と小声でジレにきいた。だが、ジレとしてもことはロナ家のプライベートに属するものであるためか、
ナディア様の件はしばらくおいておいたほうがよろしかろうと存じます。この上はマイッツァ―様の理念を
達成されるべく邁進することが肝要でございましょう、と直接の即答を避けつついった。

「ハウゼリーはゆくゆくわしの跡目を継がねばならん。よく物に慣れよ」
と言い、マイッツァ―は、このころすでに中央政界でその名を轟かせていた兄の
エンゲイストに、ハウゼリーの政治家としての教育を頼んだ。エンゲイストは手をとるように
して政治家としての心構えややり方を教授し、派閥形成に伴う政治家・資金工作、情報捜査やマスメディア
戦略、自己の私生活から大衆の人気取りなど、こまごまとしたことまで教えた。
ハウゼリーはよき生徒であった。終始つつしみぶかい態度でそれを聞き、実際の政治活動で見ならい、
選挙運動などをさせると、諸事過不足なくエンゲイストの教えたとおりに演じた。
ばかりでなく政治学科出身というその才知と容姿をもって自らを宣伝していくという「英雄」に似た才質を
もっていることをエンゲイストは知った。
(これは、おそるべき政治家になるやもしれん)
とおもった。
111話のくずかご(余話として):02/11/16 01:50 ID:???
どういうエースパイロットでも、負けるときは負ける。
戦闘というのは元来そういうものであり、絶対強というのはありえないとされている。
そのときどきの体のぐあいや、敵MSの性能、あるいは相手やこちらの出方によって一瞬
のうちに勝負が構成されるから、当然かもしれない。
が、百年の一度くらいは絶対強に近いエースが出る。名手や名人といっても戦闘記録と
いうのは信憑性が薄いものだが、その記録のあきらかなもののうち、一年戦争の時期の宇宙世紀に限って
いえば、撃墜数トップを誇るテネス・A・ユング連邦軍少佐がその稀有の記録をつくっている。

どうも稀有の記録ですねえ、と十年ほど前、このユング少佐の血縁で、今は連邦軍に所属しておられる
MSパイロットのR氏にいって、話題をさそいだそうとしたことがある。そうですね、とR氏はうなずいたが、
冴えない。やがて、ユング少佐の記録には劣るんですが、総合的な技量の面でもっと凄いのがいたんですがね、ほら、
シャアの反乱で行方不明になったあの人ですよ、といった。
「一年戦争では同じ連邦軍に所属していました」
名前ですか、聞かなくてもご存知でしょう、アムロ・レイですよ、とR氏はアムロがいかに強かったかということを
老パイロットにはめずらしく情熱的に語りはじめた。

〜連邦のエースーアムロ・レイの事歴
112ジャブローの護衛者:02/11/16 14:38 ID:???
「本来なら、連邦軍だけで済まされるべきところなのだがな・・・」
と、連邦軍提督ジーン・コリニーはいった。
「しかし、これほど脆弱な軍もない」
コリニーはデラーズ紛争以来、自軍である連邦宇宙軍の無能、怠惰、危機感に対する批評がつねに
辛辣だった。事実、連邦軍が勇猛な軍団であれば、あれほどの惨禍を受けるまでもなく頭目のエギーユ・
デラーズのジオン残党を事前に揉み潰していたであろう。
「やはり、ティターンズに任せようか」
コリニーは眼前にいるティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマンに問うた。
113ジャブローの護衛者:02/11/16 14:57 ID:???
彼等は同じ仲間うちの連邦軍に対してですら、偏見という感情で見、場合によっては修正し、恫喝し、その
力量を誇示した。人は戦慄し、秩序はめだって維持された。
ジャミトフはいよいよ安堵し、ティターンズ指揮官たちはこの特務部隊の増強に力を入れた。
元ティターンズパイロットでのちにエゥーゴへと寝返りをしたエマ・シーンの日記には、この
ティターンズの幹部のことが書かれている。引用すると、
〜ジャマイカン・ダニンガンという人は偏見の塊で、強引な作戦と独善振りが露骨に出ていた。
バスク・オムという指揮官はあくまでヤクザのような軍人に見え、しかも粗野で、梟暴の者のよし。この人物は、
ブライトキャプテンもその対象とされたように、配下の者が自分の気に入らぬことをすると、死ぬほど殴り
つけることもある。
114ジャブローの護衛者:02/11/16 15:09 ID:???
このティターンズが奮迅すればするほど、ジャミトフの世間像が奇妙に歪んできた。
最初はジオンの残党狩りという名目で、いわばこれ以上の惨禍を防ぐことを目的として設立された組織で
あったのが、その残党狩りや一階級上の扱いという特権が拡大していくにつれ、世評は一変した。ただし、あくまで
表面的には反対勢力はなかったが、水面下では反政府運動が徐々に進行しつつある。
「ジャミトフはアースノイド以外を根絶やしにするつもりなのだ」
と噂された。とくにスペースノイド出身の連邦下士官やアナハイム・エレクトロニクスなどの
月企業連体などはそう見、それ以外の角度からジャミトフを見ようとしなくなった。
彼等はティターンズをこのままにはしてはおけまいと、ブレックス・フォーラ准将が提唱する
エゥーゴの準備にとりかかった。
115通常の名無しさんの3倍:02/11/17 01:07 ID:PB2/QV5t
age
良スレ。
116通常の名無しさんの3倍:02/11/17 01:11 ID:???
ガノタの一生というのは、ときに襲ってくる、しがらみに魂を縛られたパト厨、マクロス厨、ダンバイン厨、
ナデ厨、エヴァ厨、ジージェネ厨、スパ厨とのあくなき戦いといってもいい。

ただ、彼ら自身も何かしらの厨に所属していることは明白である。
117通常の名無しさんの3倍:02/11/17 01:11 ID:???
すげぇ・・こいつら単体でも神なのに。

神 々 の 住 む ス レ に 認 定

恨みを長く蔵しないという点で、地球圏でもっとも類似しているのはアースノイドではあるまいか。
たとえば、かれらはジオンの独立戦争の原因や、宇宙世紀0085の頃のティターンズ勢力がスペースノイドを
排斥し、圧迫したことを、ひょっとするとおぼえていないのかもしれない。
119:02/11/17 02:26 ID:???
日曜は忙しいのであまり書けないかもしれません。
また頑張って書いていきますので。
>>116
烈しく同意。

120邪念(関ヶ原・国抜け):02/11/17 03:03 ID:???
元ジオン突撃機動軍所属のシーマ・ガラハウ中佐。
この女には特異な嗅覚があるらしい。自ら指揮下の海兵部隊を率いて、デラーズの茨の園に向いながら、この女は、
(デラーズももう終いだねえ)
と思いつづけていた。もはや地球連邦の大勢は揺るぎはしないだろう。
(なにしろ連邦艦隊はデラーズの残党の10倍以上。たとえあの計画が成功したとしても、いずれは余力のある連邦が
勝つことは、火を見るよりも明らか。寄らば大樹の影というじゃないか。あのお人に近付いておかなきゃいけないねえ)
デラーズとは違い、キシリアの派閥に属する者である。
もとをただせば傭兵扱いの身であったといっていいかもしれない。彼女は一年戦争初期の一週間戦争の
コロニー毒ガス攻撃の際、人格を破綻させてしまったという話もあるが、よくわからない。
121邪念(関ヶ原・国抜け):02/11/17 03:15 ID:???
なにしろシーマは歴戦の古豪である。その力量はさすがに無視できず、ギレン・ザビの派閥に属するデラーズ
は個人的な感情を捨て、同じ残党の同志としてシーマに一部の艦隊を任せてある。
いまでこそデラーズ・フリートの幹部として落ち着きはらってはいるが、物心ついたときから
様々な人間関係や社会のなかでたくみに泳ぎまわり、大勢力の側につきつつ自分のささやかな独立をまもるのに汲々
としてきた身だ。その点、アナベル・ガトーのような正統のパイロット士官あがりではない。
(あたしは、自分の腕と頭脳(あたま)で自分の飯を食ってきたんだ)
という自負もある。ガトーのような忠義心とはまったく無縁だが、戦争という世の中で生き残った処世術とこすっ
からい世間智があり、時勢をすばやく見ぬく感覚も、ほとんど動物的なまでに鋭敏だった。
122燃えよビームサーベル:02/11/17 16:20 ID:CLAIt8B9
アムロ・レイら、第13独立部隊は宇宙にもどった。自然筆者も、ここから稿をあら
ためて、「めぐりあい宇宙編」とする。
おそらくアムロ・レイの生涯にとってももっともその本領を発揮したのは、この時期
であったろう。
歴史は、1年戦争という沸騰点において、シャア・アズナブル、アムロ・レイという
奇妙な人物(ニュータイプ)を生んだが、かれらが、歴史にどういう寄与をしたか、
わたしにはわからない。
123通常の名無しさんの3倍:02/11/17 22:26 ID:???
オレは司馬氏の作品じゃあ
燃えよ剣か血風録、あと峠と人斬り以蔵位しか理解できないけど、
なんかこのスレ(・∀・)イイ!!
124通常の名無しさんの3倍:02/11/17 23:07 ID:???
神スレの予感…と。
            ∧_∧
     ∧_∧  (´<_` ;)珍しくジサクジエンではないな兄者。 
     ( ´_ゝ`) /   ⌒i
    /   \     | |
    /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
  __(__ニつ/  FMV  / .| .|____
      \/____/ (u ⊃
125:02/11/17 23:28 ID:???
神スレ・・・・・なんと、ありがたいことです。
立ててよかったなあ。
126脅迫状(関ヶ原・挑戦):02/11/17 23:51 ID:???
この三行が、脅迫状である。意味は、
「追加だが、もしこの要求が受け入れられないというのなら、小僧の両親の命はもはやないと思うべし」
というもので、ガンダムマークUを返さない場合、こちらとしても非常の措置をとらねばならない、ということである。

ブレックスは、アーガマのブリッジで、ティターンズの使者エマ・シーンから「返答は即答で」という要求をうけたあと、書状をひらき、
黙読したが、怒りともつかぬ震えがからだの奥底からおこってくるのをおさえることができずに、
「自分はいままで数々の手紙を読んだことがあるが、この齢になるまでこれほど破廉恥な手紙をみたことも聞いたこともない」
と、つぶやいた。エマはなにやら理解できぬ面持ちでいる。書状を読んだヘンケンとクワトロも、苛立ちを抑えつつ、「カミ―ユの両親を殺すと書いてある」とエマにいった。
127通常の名無しさんの3倍:02/11/18 00:16 ID:???
>燃えよビームサーベル

ワラタヨ
アムロは、連邦政府より危険分子としての疑いから、生涯を監禁状態で過ごさねばならない。そう
運命付けられている。
(飼いごろしだな)
そう思うことがある。その生活費は政府から支給される。ただ自由ではないから、自然と使い道も限られ、
軍役につくこともないから、連邦軍に対してなんの発言権もない。自然、執事やメイドも、かつてのニュータイプを
腫れ物のようにして警戒し、影ながら恐れていた。
(腑抜けになりそうだよ)
と生来ヒッキ―体質があるこの男は、われながらそう思うことが多々ある。生きていることだけが、一生の仕事の
ようなものなのだ。
かれにとっては部下は規律の中の囚人であり、囚人どもが行儀よく仕事に励んでいるかどうかを
スパイ同然の方法で見張ることが教育であった。かれは女性士官に対しても同様であった。
その士官の報告を水ももらさず聞き、少しでも粗相があると、誰の前でも大声で叱った。徹底した規律者であった。
かれは一年戦争でジオン軍の捕虜となり、そのおりに視力を喪失したといわれる。そのため、ジオン残党はもとより
スペースノイドに対しては軽蔑と屈辱しか感じなかった。
あるとき、グリプスにおけるガンダムマークUの訓練について、当時連邦軍中佐であったブライト・ノアが具申をした際、この軍人というより
暴力団のボスというほうが似合うであろうこの男は、いきなりブライトを殴りつけて、
「一般将校は黙っていろ」と憤りながらいった。さらにつづく。
「このグリプスはおそれ多くもティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマン大将が、残党狩りを早期に解決するため精魂をこめて
建造した宇宙要塞である」そして、
「しかるをなんぞや、この根拠地たるグリプスにおいて、階級がはるかに下である貴様に「非難」されようとは、まことに不敬極まりなきことである。
さらにひるがえっていえば、ティターンズは正規の連邦軍とはまったくやり方が違う。このような初歩的なことなど、赤子でもわかる理屈であるにもかかわらず、
そのような物言いをするとは、自分ひとりに対する不面目ならず、わがティターンズの恥辱であり、ティターンズの恥辱であるということは、
総帥ジャミトフ・ハイマン閣下への侮辱と受け取られてもおかしくはあるまい」
と、説諭した。この愚にもつかぬ形式論理はティターンズ全体の将官に伝染相続され、ティターンズにあっては伍長にいたるまでこの種の論理を駆使して兵を叱責し、
みずからの権威をうちたてる風習ができた。
130通常の名無しさんの3倍:02/11/18 02:14 ID:???
いい職人さんがいますね。
手塚治虫の場合は、漫画の神様ということはさることながら、テレビアニメという当時不可能とされた
週アニメ製作を自ら虫プロダクションを設立することによって克服し、スタッフや環境を整えたという点で
テレビアニメーション史において始祖的な神の位置が明快すぎるほどに明快だが、手塚の死後の世間・一般社会に
おいては神の位置に宮崎駿がついた。この知名度と動く爽快さ・ダイナミズムと王道物語の内容を打ち出す作風により、
宮崎の影響力はスタジオジブリとともにいよいよ大きくなっている(ただ日本テレビという宣伝効果というウマ味や、
松任谷由美などの世間に認知されているアーティストを用いた主題歌などで、上手くあてているという捉え方もできなくもないが)
宮崎と富野の明暗の差は、二人とも同世代で、同じクリエイターであるにもかかわらず、ただ、この一点だけが明暗をわけたといえる。
わかりやすい宮崎の作風・わかりにくい富野の作風ということである。
132:02/11/18 02:33 ID:???
なんか富野御大より宮崎を称える文章になっちゃったよ・・・・
>>131失敗。
133後始末(燃えよ剣):02/11/18 21:10 ID:???
すでに連邦政府では数日前に、30バンチ事件の報道がすんでいる。
原因は、報道管制をうけ、公式発表において「激発性の伝染病が流行したため」と発表された。
(ティターンズの兵士の中には、ジオン残党がやったのではないか、と憶測するものもいた)
しかし、なにもかも済んだことである。済んだ、ということは、ティターンズの兵士・将校の生活にあっては、
完全な過去であった。将校や兵士のたれもが、きのうのことを振り返る習性はもたなかった。みな、その日を、
必死に暮らしている。
134無名さん:02/11/18 21:42 ID:???
>>125 いえいえ、どういたしまして…と。
            ∧_∧
     ∧_∧  (´<_` ;)兄者…腐ったミカンでも食べたのか? 
     ( ´_ゝ`) /   ⌒i荒らしも煽りも自作自演もしないとは。
    /   \     | |
    /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
  __(__ニつ/  FMV  / .| .|____
      \/____/ (u ⊃
135ジョブ某覚書:02/11/18 21:48 ID:lng3rEKD
このところ書斎で妙に気になっている人物がいる。
ジョブ・ジョン
という名なのである。
一年戦争後、戦争中より連邦MSの量産を委託されていたメーカー、アナハイム・エレクトロニクス社は、ジオン共和国のジオニック社を吸収合併することでMS開発メーカーの筆頭に躍り出た。
この会社はコロニー建設から兵器製造まで扱う地球圏屈指の大企業で、事実、一年戦争以前から連邦軍への兵器供給では1、2を争う軍需メーカーとしての側面を持っていた。
戦争期間中は、おもに量産型MSの製造を委託されていたが、MSの持つ可能性をいち早く察し、高い技術力をもつジオニック社を
吸収することで、他の企業に先行しようと考えたのである。事実、その後、アナハイム社は最大のMS開発企業となっていった。
ジョブ・ジョンはそういうところに名前が出てくる。資料は「アナハイム・エレクトロニクス社史」である。しかしジョブが何者なのかはわからない。
シャアの反乱以後、ジョブの名はひどく影が薄くアナハイムの資料からほとんど消えたも同然の名前になってゆく。
彼の名はそういう時期とかさなりあいつつも他の分野の資料に散見しはじめている。サナリィ(海軍戦略研究所)であった。
かれはそこへ転身した。F90シリーズ計画の資料のなかにもかれの名前があり、F90の各種オプションA,D,S,M,Hの開発に奔走し、
さらには連邦軍に工作して次期主力MSの制式採用を受け、サナリィがついにはアナハイムを抜き去ってゆく過程においてジョブジョンの
名が数多く出てくる。晩年、技術貢献者として連邦名誉議員に選出された。筆者が手もとにもっているかれの肖像写真は金モールのついた
議員の礼服をよそおったものであり、ふちなしの近眼鏡をかけ、白い口ひげをたくわえている。
ジョブ・ジョンについてはその程度の知識しか筆者になかったが、その後、意外なことに気づいた。
ジョブは、一年戦争時代、連邦軍の兵士であったということである。
――ジョブ・ジョンとは、ホワイトベースのあのジョブ・ジョンではないか。
ということであった。
136閨夜(燃えよ剣):02/11/18 22:15 ID:???
「厭。あきれています。わたくしは本当に大佐が心の底から愛してくださっているのかと
思っていたのに、ベッドで待っていたお方は、昔の女の寝言をつぶやくシャア・アズナブルという
途方もないダメ男でした」
「言うな!」
シャアはなんとか、寝言からそらそうとした。
ナナイを引き寄せようとした。この男の常套手段である。
ナナイは身をよじった。
「厭。厭でございます」
「わるかった」
とは、シャアはいわない。
ただ、犯すことを急ぎたかった。体を合わせてしまえば、寝言のことなどすぐに忘れてしまう
だろう。シャアは早く、この眼の前にいる作戦士官を、自分のおんなに戻してしまいたかった。
「寝よう」
ベッドへひきずりあげた。
「初めての夜のときにもどるんだ。私は、ナナイだけを愛している」
機嫌をとるようにいった。
「そんなの、でも・・・」
「でも?」
「ひっかかります。もう厭でございます」
それでもナナイの抵抗は次第に弱いものとなったが、なお、体が固い。
(妙だな)
と思う疑問が、なおシャアの脳裏にかすかにある。ナナイのどこかが、しっかりと閉じているような
印象なのである。
最初のときは、もっと清雅な女だった。それがスウィート・ウォーターに潜伏していたころの
シャアの気に入っていた。だが、寝言を聞いてからのナナイはまるで本性が出たようだ。
これは予定外だ、今までナナイにはどんなことをしても許してもらっていたのだが、これはどうしたわけ
だろう。
(まあいい。体をみればわかるはずだ)
シャアの手の動きが、優しくなった。そのなだらかな動きと強張るようなシャアの声が、
ナナイのからだ全体にくわわりはじめた。
137通常の名無しさんの3倍:02/11/18 22:35 ID:???
>昔の女の寝言をつぶやくシャア・アズナブルという
途方もないダメ男でした

ひでェ…(w 
138ある閨夜(燃えよ剣):02/11/18 22:41 ID:???
そのことが、済んだ。アムロは、ベルトーチカに背をむけてすわりなおしている。
ベルトーチカは背後で、身づくろいをしている様子であった。
(満たされすぎだ・・・)
アムロは、きれいに掃除されている床に眼を落した。自分に対し、なんともやりきれぬ気持であった。
(こんな状態が幸せなのか)
自分に、問いかける。
せっかくベルトーチカという同じ境遇の女性と恋仲になったというのに、ある程度仲が進行したあとの気持ち
がこんなものとは、なんといううそ寒いことだ。
かつてアムロは、マチルダさんに代表されるお姉さんにあこがれていた。情事は年上でなければならぬとおもって
いた。だから、ホワイトベースのころは金髪さんを恋うた。フラウには処理の対象でしかみていなかった。
このお互いが共通の体験を持ち合わせているという、極めて好条件な関係であるというのに、逆にそのことが
こんなにも重くのしかかっているなどとは。
ベルトーチカも、みじめである。犯されるようにしてアムロの体重を受け入れつつも、その行為のなかに、アムロの
思いと自分の思いというのを敏感に感じ取ってしまった。
その感じとり方は、関係を褪せさせるものだ。
(男女の仲を維持し、やっていくためには同類のタイプではだめだ。あたしもアムロも別のひととくっつかなくては
いけないのかも)
同じ境遇だったからこそ、アムロと自分は同じ性質の人間なのである。
(しあわせなはずなのにね)
二人の気持ちは、整理しはじめられていた。
139通常の名無しさんの3倍:02/11/19 18:05 ID:z0TAchRl
一旦age
140通常の名無しさんの3倍:02/11/19 18:11 ID:???
よくあげた
あっぱれ
141通常の名無しさんの3倍:02/11/19 18:22 ID:???
よううしおっれも♪
age
142通常の名無しさんの3倍:02/11/19 18:24 ID:???
>>141
あげすぎである
143通常の名無しさんの3倍:02/11/19 18:33 ID:???
そのとうり
その夜、亡霊を見た。11月12日の夜、23:20だった。
ガトーはニナをカリウスに託し、ノイエ・ジールのコクピットにいた。
ふと気配に気づき、コクピットから降りた。目をこらして、かれらを見た。(中略)
が、いまこのコロニーの中に居る。亡霊たちは、壁に背をあずけたり、
床にあぐらをかいたり、寝そべったりしていた。
みな、一年戦争時の軍服を身につけて、のんきそうな表情をしていた。
エギーユ・デラーズが、瓦礫に腰をかけている。
アダムスキーが寝ころんでひじ枕をし、こちらを見ていた。その横に、
アフリカでビームで死んだノイエン・ビッターが、あいかわらず砂漠焼けした顔で
ぼんやりワインを飲んでガトーを見ている。グラードルが、部屋の隅で指揮をしていた。
そのほか、何人の同志がいたか。
(どうやら、私は疲れているらしい)
ガトーは、ノイエ・ジールのふもとに背をあずけて、そう思った。
12日に入ってからガトーはほとんど休まずずっとノイエ・ジールを駆って
打って出ては、進出してくる連邦軍をたたきつづけてきた。
激戦の時がつづいた。コロニーのなかにいる幻影はそのせいだろうと思った。
「どうなされました」
ガトーは、デラーズにいった。デラーズは無言で微笑った。ガトーはアダムスキーの方に眼をやった。
「アダムスキー、相変わらず行儀がよくないな」
「疲れていますからね」と、アダムスキーはくるくるした眼で言った。
「お前も疲れているのか」 ガトーがおどろくと、アダムスキーは沈黙した。
照明はとどかないが、微笑している様子である。
みな、疲れている。ガトーは思った。思えば、一年戦争後、ジオン首脳部がなお
偸安怠惰の生活を送っているとき、崩れ行くスペースノイドの自治権を要求する「星の屑」を
ここにいるこれだけの人数のデラーズ・フリートでささえてきた。
それが歴史にどれほどの役に立ったかは、いまとなってはガトーにもよくわからない。
亡魄となっても、疲れは残るものらしい。
ガトーはそんなことをぼんやり考えている。
145通常の名無しさんの3倍:02/11/19 19:20 ID:???
>144
うう、一番好きなシーンだよ、それ……
146通常の名無しさんの3倍:02/11/19 21:00 ID:He622KlR
ルウムの戦い・その3
もはや戦闘でなく、虐殺であった。
レビルはなおアナンケを疾駆して指揮していたが、のちにルナ2司令官になるワッケ
インに発信した言葉がのちのちまで伝わっている。
「ワッケイン君」と、レビルはいった。
「どうやらこれからの戦闘は、セイバーフィッシュでも61式戦車でもないようだ」
が、レビル、絶望の言葉ではなかった。
今度はMSで戦ってやろう、という希望に満ちた言葉だった。

147義経(文庫版上巻353頁より):02/11/19 21:05 ID:???
 サイド3のズムシティの本営では、
 ――すでにソロモンは連邦軍旗で包囲されている。
という情報が刻々入っている。ザビ家は、決戦すべきかどうかを決すべきであった。しかし総帥のギレンの腹は決まっていた。
極秘にしていたが、ソロモン放棄を決意している。それ以外に、良策はない。
 ゆらい、ソロモンほど守るに不利な戦略条件の宙域はないであろう。小惑星とはいえ、
小惑星の裾の下部が金平糖状になっており、この下部の裾を守るだけで一個師団や二個師団の兵では足りない。
それに上、左、右といずれも暗礁群は寛闊で、険阻と言うような宙域はなく、篭城に適さなかった。
かつこの要塞にドズルの妻と娘がおり、包囲された場合、脱出に窮する。窮したドズルや女官は
敵に通ずるであろう。戦術上、ソロモン防衛は不可能といっていい。
ニナは常にたれかに「思考力」をあずけていた。
ガトーにあずけ、コウにあずけた。
そこに矛盾を感じなかった。
なぜならば、ニナの見るところ、どちらも、
いいおとこ
だったからである。
思った。全ては、アイナ様のためにやるのだ、と。
「面白い人生であった… だが! 負けんッ!」
Ez−8のビームサーベルがきらめき、逆(さかしま)に垂れた。
バルカンを撃ちながらノリスは、目を見はり、その切尖が近づいてくるのをみた。
やがて、それが胸に吸いこまれ、すべてが終った。
150萎えよ種(燃えよ剣):02/11/19 22:20 ID:???
この新作は、富野がバンダイに献言したことだ。
─ぜひ新作を。
というとバンダイはこの時ばかりはよろこんだ。
富野がガンダムを好いていないことはバンダイの苦の種になっていたのである。
その富野がキンゲの制作費の為に「ガンダムSEED」という新作を認め、
福田津己男に任せるという。
──プラモ100万個売るぞ!
と言ったほどだ。
──バカジャネーノ
と、富野は無表情で言った。
「ガンダムの新作」とは名前のブランドは上等だが、実質は、
バンダイ個人の、801狙い、厨設定、1stの模倣、プラモのプロモ、といったもので中身がない。
いやもっと重要なことは、この響きの悪い作品にはガノタの求める富野節がないことである。
富野節は、ダイターン3─ガンダム─イデオン─キングゲイナー、という流れになる。
現今(キンゲ)の言葉で言えば、機動戦士ガンダムSEEDは、恥を知りなさいであり、本筋ではないのである。

151司馬傑作選:02/11/20 01:20 ID:OMRECBTt
これは後日の話だが。
……後年、春の平和な日、ルナツーのしかるべき場所で、連邦軍の老いた将軍達が、
いまははるかな過去になったルウムのことどもを追想しあった。
自然、話は一つところにゆく。ジオン艦隊の前面で、彼らレビル艦隊が
わなにかかった鳥のように羽交いをばたばたさせてほとんど壊滅寸前におち入ったさいのことである。
「いやさ、おそろしきはシャア・アズナブルであったわ」
とひとりがいった。シャアが、赤いザクを駆って「1隻2隻」と連邦艦を沈めていた姿がいまに目に
灼き付いて離れぬ、という有名な話は、このときに出た。
みな同感し、あのときのシャアのMSはどうであったかという話題になった。
「真っ赤なザク、頭部には飾りが3本ある、ヒートホークももっていない。ショルダーは柿色だった」
とひとりがいうと、
「ヒートホークはもっていなかったが、しかしライフルでなくマシンガンであった」
と、他の一人が異説を立てた。さらにいやいやグフに乗っていたという者もあり、持っている武器も
人によって記憶がまちまちであった。
ちょうどルナツーには、かってジオン軍に属していたものがおり、その者があのときシャアの隊に属して
いたことを一同思い出し、そのものをよびにやって当日のシャアの武装を聞いた。
赤いザクに乗っていたというほか、たれの記憶もことごとくちがっていた。
まず頭部には飾りは一本。通常のアンテナで、特に他の指揮官機と違いはない。
それに武装はバズーカ、全身真っ赤であり、エンブレムなどは特になかった。
「さてもはずかしきことかな」
と老将軍達は戦闘を知らぬ青年士官達をかえりみて苦笑し、
「若者達よ、この臆病をおわらいあるな。あの切所をいまおもいだしても身の毛が
よだつおもいでござる。おそれのあまり敵MSの武装を見定めるどころか、
顔ももたげることさえ出来なんだ証拠じゃ」
と言った。

152ガトー戦死(燃えよ剣):02/11/20 02:49 ID:???
ガトーはもはや白兵突撃以外に手がないとみた。幸い、敵の左翼からの射撃が不活発なのをみて、兵をふりかえった。
「私は連邦の旗艦へゆく。おそらく再びアクシズには帰るまい。世に生き飽きた者だけはついてこい」
と通信すると、その声にひきよせられるようにして、ザク隊、リックドム隊からも兵が駆けつけてきてたちまち2百機になり、
そのまま隊列も組まずに敵の左翼へ吶喊を開始した。
ノイエ・ジールは、敵艦の頭上を飛びこえ飛びこえして片手斬りで左右に薙ぎ倒しつつ進んだ。
鬼としかいいようがない。
そこへ連邦軍の予備隊が駆けつけて左翼隊の崩れがかろうじて支えられるや、逆にデラーズ・フリートは崩れ立った。
これ以上は、進めない。
が、ただ一機、ガトーだけがゆく。悠々と硝煙のなかを進んでいる。
それを諸隊が追おうとしたが、連邦軍の壁に押しまくられて一歩も進めない。
みな、茫然とガトーのノイエ・ジールを見送ったデラーズ・フリートだけでなく、射撃している連邦軍の将士も、
自軍の中を悠然と通過してゆくノイエ・ジールの姿に何かしら気圧されるおもいがして、たれも近づかず、銃口をむけることさえ忘れた。
ガトーは、ゆく。
ついに連邦の旗艦の傍まできたとき、大気圏のほうから加速してきた増援の連邦軍部隊が、
この見慣れぬモビルアーマーを見とがめ、仕官が進み出て、
「いずれへ参られる」
と、通信回線を開いた。
153ガトー戦死(燃えよ剣):02/11/20 02:50 ID:???
「旗艦へゆく」
ガトーはむろん、単機で斬りこむつもりであった。
「所属は何と申される」
連邦軍の仕官は、あるいは独立部隊の新型でもあるのかとおもったのである。
「名か」
ガトーはちょっと考えた。しかしジオン軍大佐とはどういうわけか名乗りたくはなかった。
「デラーズ・フリート大佐」
といったとき、連邦軍は宇宙の闇に竜が蛇行するのを見たほどに仰天した。
ガトーは、駒を進めはじめた。
仕官は、ジムを散開させ射撃用意をさせた上で、なおもきいた。
「旗艦に参られるとはどういうご用件か。降伏の軍使ならば作法があるはず」
「降伏?」
ガトーはノイエ・ジールの歩度をゆるめない。
「いま言ったはずだ。デラーズ・フリート大佐が旗艦に用ありとすれば、星の屑作戦の遂行だけだ」
あっ、と全軍射撃姿勢をとった。
ガトーはノイエ・ジールを加速させその頭上を跳躍した。
が、ノイエ・ジールが再び連邦艦に突っ込んだとき、コクピットの中のガトーの体はすさまじい音をたてて闇に吸い込まれていった
なおも怖れて、みな、近づかなかった。
が、ノイエ・ジールのコクピットが血で濡れていることに気づいたとき、はじめて連邦軍のパイロットたちはこの敵将が死体になっていることを知った。
ガトーは、死んだ。
154通常の名無しさんの3倍:02/11/20 17:23 ID:hgXK3Gmq
落ちかけてる!age!!!!
1551:02/11/20 17:44 ID:???
前スレの職人さんが戻ってきたみたいですね。
ガトーいいなあ。
個人的には>>147が好きですかね。
会戦の場合、MS・MAの性能差は絶対にちかい。高性能な機体にはそれに相応した
巨大な火力があり、さらに装甲もあつく、これに対し、量産型MS(たとえばGMやボールなど)が
ちっぽけなライフルやキャノン砲でもっていかにむらがって挑みかかっても、勝負にはならない。
「ビグザム」
の出現は、それであった。本体重量1021、2tの威力は、GMやボールなどの量産機がいかに
戦術の妙をつくしてもどうにもならない。必要な戦術はただ一つしかなかった。
逃げることであった。 
名将というのは、士気を一変させて集団の奇蹟をとげる者をいうのであろう。
連邦軍大将レビルが、まさにそうであった。かれはジオンより奇蹟の生還を遂げたあとあらためて連邦
軍総司令官となり、この将軍の帰還と着任により、くじけていた連邦軍将兵たちは前途に希望をもった。
この時期、
「レビル老将軍」
という愉快な唄が、将兵たちのあいだではやった。作者は戦車兵で、61式戦車の乗員があつまって酒(ウイスキー)を
飲むときはきまってこの合唱になった。
ーレビルのいうとおりに動いておれば、地球連邦は勝てる。
という信念が、士官よりも下士官やパイロットたちの層にみなぎった。レビルが宇宙戦闘・陸上戦闘にかけては名将で
あるということよりも、この叩き上げの総司令官は、まるでパイロットの親分のような気分のもちぬしであり、
げんにかれはジャブローの快適オフィスにいるよりも、自分の感覚と筋肉ををたよりにあちこちの前線司令部
へとびまわっては司令以下に適切な指示や命令をあたえ、その実行をきびしく監督し、その
身うごきはどの将兵やパイロットたちよりもはげしかった。
ジオンは、全地球圏数十億といわれるスペースノイドを救う道は、
「ニュータイプ以外にない」
とみた。
単なる選民的進化論とみてやるべきではないであろう。このことはジオンにとって政策論ではなく、思想論としてみてやるべきであった。
ジオンはあくまでも宇宙主義者で、アースノイドの次元のひくい利己的精神ではかれの考える革新はできないとおもっていた。
むしろコロニー自治権を獲得してゆく過程においてニュータイプに革新することによってのみスペースノイドを地球連邦のなかに屹立
せしめられるとおもっていた。このあたりジオンの考えは革命的論理性からいえば計算性にとぼしく、多分に夢想的であった。
しかしジオンはこの場合冷静な理性より豊かな感情――直感力――でとらえた。
エゥーゴに参加するためとはいえ、かつて恋仲(ハマーン自身はそう信じている)でありながら自分を
見捨てて逃げたクワトロ・バジーナと名乗っているシャア・アズナブルにアクシズで再びまみえたとき、
ハマーンは冷静でいられなかったに違いない。シャアは正直、ハマーンという小娘(むすめ)には興味
がまったくなかった。しかしハマーンには意趣があり、キュベレイでシャアの百式と対したときや、自分が
本気で愛したかつての男に未練があるかのような口をたたいたりするところなどをみると、よほど根深かった
ようにおもえる。
このハマーン・カーンをみつつ、クワトロと名乗っていたシャアはなにをおもったか、そのことをあれこれと
想像すると、その夜、私は容易にねむれなかった。
160最後の公女(最後の将軍):02/11/20 20:58 ID:???
ゼナの聡明と美貌は、サイド3でも定評があり、そのことがザビ家にもきこえていた。
ドズルはこの妻をよろこび、
「美貌にはかけがえがある。聡明にはかけがえがない。この妻によってねがわくは英児をうみたい」
としたが、なかなか一児すら誕生させることができなかった。
〜中略〜
ほどなくゼナの腹から女児がうまれた。
ミネバと名づけられた。
「ようやくにして得た我が子。わしの武勇の血と、ゼナの聡明さと美しさを受け継いだ我が愛娘(むすめ)よ」
ドズルは、こころからゼナに抱かれているミネバをみてそういった。
その後、ミネバは母のゼナ亡きあと、アクシズの代理指導者といえるマハラジャによって政治的価値が
高騰した。そのマハラジャ亡きあとシャアの推薦で摂政に就任したマハラジャの娘、ハマーン・カーンが
このミネバを擁し、
ーミネバ・ラオ・ザビ公女こそ、ザビ家の正統なる後継者にまします。
とし、その保護者として自分が立つことをザビ家の重臣および公国軍将官に対して宣言した。
ミネバの保護者、ということはザビ家の遺産(アクシズや残党将兵など)のすべての管理者ということにもなる
であろう。ハマーンは自分の政権取りを合法化するためにミネバをその道具につかったといえる。
162奇妙なりバスク(幕末より):02/11/20 23:23 ID:???
ゴーグル鋭しという当のバスクはその後、連邦軍内の各部署をまわったあと、准将ジャミトフの
部屋に入った。
これまでジャブローで、ゴップ(今はコリニーが継承している)派の策士として連邦軍財政部門に幅をきかしている
主従同然の関係であるジャミトフ・ハイマンと、数夜語りつづけるうちに、たがいが抱いている正義という名の
陰謀を実践してみようとの結論に到達した。
「この賊徒どもの叛乱を利用しよう」
というのだ。(中略)
この二人が考えた密謀とは、この叛乱を利用して連邦軍の威信を失墜させ、かつ敵対派閥に属するコーウェンの
一派を巧妙に追い落とし、それによって生じるであろう「強い連邦政府」を実現するための軍事組織をつくりだし、
多数の力あるアースノイドのパイロットや将校をスペースノイド憎しの気分でまとめあげ、一挙に気運とともに
コロニーサイドと残党どもを根絶やしにし、つづいて連邦政府、ひいては地球圏そのものを乗っ取るというのである。
宇宙世紀史上、最も壮大な想像力に富んだ陰謀がここにはじまった。
「おもしろいですな」
バスクはいきなりゴーグルをはずした。
「む、その醜態を私にさらすことに意味があるのか?」
「見てくだされ。この憎しみの傷跡があるかぎり、閣下、ひいては私の意志は必ず実現します。いや、むしろ
この傷こそが、自分の決意をゆるぎないものにしてくれたのです」
「うむ・・・なるほどな・・・」
163危険分子(幕末より):02/11/20 23:50 ID:???
アムロはなお、シャイアンにいた。
この間、エゥーゴとティターンズをめぐる情勢はきわめて悪化している。
起死回生を狙うエゥーゴは、80機におよぶMS隊をティターンズの拠点・ジャブローに降下
させ、敵MS部隊と交戦したが、すでにティターンズはジャブローを引き払っており、しかも条約違反の
核爆弾を起動させたため、エゥーゴはクワトロ大尉以下ことごとく脱出せざるを得ない結末となり、
損害を出しただけの無駄足におわった。
それだけではない。宇宙ではジオン共和国より旧ア・バオア・クー要塞を譲渡されたティターンズが、
要塞の改修に力をいれはじめ、かつ総帥ジャミトフ自身が要塞グリプスを訪れるなど、着々とティターンズの
戦力強化がすすんでいた。
その間、アムロはシャイアンにいる。
かつて一年戦争で白い悪魔といわれ、ジオンはおろか味方の将兵まで畏怖せしめられたアムロが、豪邸住まいと
怠惰な遊びの日々を送っているということは、ほとんど政府の統制下にあるため知られていない。
(アムロさん、どうしたっていうんだ?)
フラウとともにシャイアンに逃げ延びていたカツは堂々とアムロに問うのである。臆病者とおもった。
多くのスペースノイドがティターンズと戦い、死闘を繰り広げ、まさに地球圏全体が危機にあるとき、血の通った
男なら命を賭してでも、エゥーゴに参加するだろう。道中の危険など、かえりみる余裕がないはずだ。
(あれが・・・僕たちや母さんにとってアムロさんはヒーローだったのに・・・)
と思った。事実カツには、アムロのいうことが弱腰にしか聞こえない。
ー腑抜けにもなるさ。
と、正直アムロは思ったにちがいない。7年間という監禁生活を否応にも受け入れているうちに、
それそのものが目的のようになってしまい、ついに本然の客気や志を喪うもののようであった。
164危険分子(幕末より):02/11/21 00:05 ID:???
フラウ・コバヤシは、サイド7出身で、本名はフラウ・ボウ。一年戦争でジオンのザクによりサイド7
が襲撃された際、家族をすべて失った。
サイド7のころ、家はアムロの家の隣でフラウはよく同年代のアムロの世話を焼いていた。
が、グリプス戦役を主題とする今回の話では、あまり関係がない。
彼女は一年戦争終結後、同じホワイトベースクルーだったハヤト・コバヤシと結婚、その際、自分が
ホワイトベースで面倒をみていたカツ・レツ・キッカをひきとり、養子とした。
この頃、ようやくにしてハヤトとの間に子供ができた。
ハヤトとのなれそめは、ソロモン会戦の際、負傷したハヤトを看病した際、母性本能が働いたせいであるが、
アムロへの情愛も、まったくは否定できまい。
ザビ家に代表される王家やロナ家という貴族などは、歴史という本来過ぎてしまったもの、つまり
空なるものを実なるものとして仮に成立させ、それを利権化し、法制化してやっと存在した奇妙な
稼業なのである。そのためにはマリア・ピァ・アーモニアは「権門の出のれっきとした女王」で
なければならず、単なる町の占い師の出身であっては、サイド2ザンスカール帝国の女王として臣民
に臨むことはできず、マリアを拾い上げたカガチにしても、マリア主義を実践するだけの権力確立はできにくい
のである。
〜中略〜
こうはいうが、私はその虚像が、虚像だからいけないというのではない。人間の社会のシンは、
ひょっとすると大いなる虚構でできているのかもしれず、人間の精神がもっとも昂揚するものは
虚構であるかもしれない。
ザンスカール帝国における女王マリアという虚実の存在がーそれも実像よりも虚像のほうがーどれほどサイド2の
スペースノイドを鼓舞しているかわからない。
マリアは女王になった。
女王ではあるが、実際の権力はカガチがにぎっている。もちろん、そんなマリアの素性は
権力というもので覆い隠されているため、カガチらの読み通り、ザンスカールの臣民たちは
マリア主義を唱える女王を、崇拝し、信じた。
〜中略〜
マリア・ピァ・アーモニアは占い師であったといわれる。サイド2に伝わる女王伝説では、
れっきとした権門の出で、ロナ家のような貴族の末裔であったということになっているが
明らかでなく、おそらく真実ではないであろう。

167通常の名無しさんの3倍:02/11/21 01:59 ID:???
歴史と視点は俺も読んだな。
168燃えろ剣ラストより。:02/11/21 21:56 ID:???
カリウスの来訪は劇的だったらしい。
雨中、ホームレスの風体でサイド3ズムシティはずれ
セガール村のアナベル家の門前に立った。
当時、アクシズ艦隊に収容されたデラーズフリート兵の
詮議がやかましいという風評があったので、こういう姿で忍んできたのだろう。
「ビデオレターを拝ませてください」といい、通してやると、
「少佐。───」と呼びかけたきり、一時間ほど突っぷして泣いていたという。
(中略)
のち家郷を出、第二次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)で戦死した、ということは既述した。
ガトーの狂気が、この若者に乗りうつって、ついに星の屑の物狂いがおさまらなかったのかもしれない。
ニナ。
地球で死んだ。それ以外はわからない。0084年の4月頃、
北米のオークリー基地にニナの死体を引き渡した若い軍人がいる。
警備兵が死体との関係をたずねると、若者は滲みとおるような微笑をうかべた。
が、なにもいわなかった。コウであろう。
この年の初夏は穀倉地帯に灰が舞う事が多かった。
その日も、あるいはこの基地のフェンスの周りに枯れた小麦が舞っていたように思われる。
169通常の名無しさんの3倍:02/11/21 22:34 ID:ee2T+lEv
期待age
170通常の名無しさんの3倍:02/11/22 08:01 ID:???
>168
×燃えろ
○燃えよ
1711:02/11/22 11:09 ID:???
>>168
イイですね。
シャアはのちに、ネオジオン総帥として地球寒冷化を宣言してから、このアクシズで再びアムロ・レイと
戦うという運命をもつ。
シャアはグリプス戦役の主力部隊崩壊という状況の中でブレックス死後のエゥーゴを見限った。
成りゆきで見限ったのではなく、積極的に民主運動を展開しながら、なんら効果を出すことができない現状と、根源たる地球
そのものを叩かねばいけないのではないかという結論に達したからである。
このシャアの粛清行動にいたる行為のなかに、シャアの感情の根を見ることができるであろう。
かれはブレックスに対しては敬意と好意ををもっていたが、アナハイムをはじめとした出資者連中に対しては好意も感傷も
もっていなかったように思える。
むしろ悪意をもっていたのではないか。
(シャア・アズナブルがいるじゃないか)
カイ・シデンはハヤト・コバヤシに、かれにとってはかつての仲間であるこのカラバの指揮官に、
手紙でもって諭した。
シャアはいうまでもなく尋常人ではない、かの人ほど大勢のおもむくところを知る人はなく、
かの人ほど戦略・戦術に通じている人もなく、かの人ほど謀慮深遠にして人の上に立てる器量
もないだろう、手紙にはそう書いてある。
(たしかにシャアは器量はずば抜けている・・・しかしシャアという人は必要とあれば火中に飛びこみ、
身を焦がして灰になるというところがない・・・カイめ、大尉をよく読んでいる)
と、ハヤトはおもった。
174父と子(国盗り物語三巻):02/11/22 12:21 ID:???
「ギレンはちかごろ増上慢がつのって、もはやわしの手にもおえぬ。もはやどうにもなるまい」
「しかし・・・・」
まがりなりにもジオン公国の公王ではありませぬか、と側近がいおうとすると、デギンはおさえ、
「わしには考えがある。しばらく待て」
といった。
このときデギンが側近にいった「考えがある」という言葉は、たちまちサイド3一円を走り、ズム・シティの
官邸にいたギレンの耳にも入った。この男の耳に入ったときには、
「公王さまは、独断で自ら強権を発動し、連邦軍総司令官レビルと交渉を開始するおつもりらしゅうござりまする」
という言葉で伝えられた。ギレンはきくなり、
(さもあろう)
と、おもった。実権を息子に奪われている今、戦後のザビ家の体制が生き残るためには、余力のあるうちに講和を結ぶのが
得策である。今のうちに和平をするという魂胆は、当然あの父ならばおこしそうである。
ギレンはむろん、今の現状は確実に挽回可能だと考えている。和平など無用だ。
(いっそ)
とおもった。簡単なことである。実験台にすればいいのだ。レビル艦隊ともども消滅させれば、きたるべき決戦
での勝利はたやすい。だが、自ら手をくだしたあと、手順をまちがえば国中の信望を失うだろう。

175父と子(国盗り物語三巻):02/11/22 12:40 ID:???
思いあまって、ひそかにエギーユ・デラーズをよび、相談した。デラーズはギレンの親衛隊長とも
いえる男で、現在は公国軍大佐、ザビ家一門以外ではじめてグワジン級大型戦艦を受領した経歴もあり、
その忠誠心は無類といっていい人物である。
このいわばギレンの憲兵といっていい男が、ギレンからザビ家一門にもいえぬ密事をうちあけられたとき、
しばらく考える風情をしていたが、やがて思い決したような表情で口をひらき、ギレンの思案していたことと
ほとんど一致する内容を、主たるギレンに吐いた。
この一言で、ギレンの運命は方向付けられたといっていいだろう。
「公国の実権は閣下のもとにあります。その閣下の認可なくして、独断で和平を強行しようとする者は、
たとえじつの父君であろうとも、不義のそしりはまぬがれませぬ」
と、エギーユ・デラーズ大佐はいったのである。
「むしろこの挙は喜ぶべきでありましょう。会談をもつであろうレビル艦隊は静止したまま動かなくなる。
これほどの好機を父君はつくってくだされた。むしろ、お父君に感謝すべきでありましょう。
これは正しき義挙にございます。ためらうことはないかと」
「うむ・・・デラーズの言やよし。私もそう考えていたところだ」
と、ギレンは喜色をうかべて、デギンの独断先行を利用するため、待つこととした。
連邦軍の軍事増強、大観艦式といった挑発的示威的行動が、政府に対しての自立を勝ち取ろうとしていた
スペースノイドたちをして、
(うかうかすると、サイド3そのものがつぶされてしまう)
という危機感をもった。
対外的な危機感こそ、その国におもわぬ指導者を生みあげるものだ。(中略)
乾天下で雨を待つような気持ちが通じたのか、強硬的軍事路線を行こうとする独裁国家が、
サイド3に成立した。
177(坂の上の雲4巻・黄塵):02/11/22 21:46 ID:???
ルウムの大会戦がせまっている。
会戦というのはほぼ予定された戦場において、両軍それぞれができるだけ多くの人数と
火力を集中し、ほぼ想像のつく期日を期して大衝突をおこない、それによって戦いそのもの
の運命を決する戦争形式のことで、そういう意味では、このきたるべきルウム大会戦は、
宇宙世紀史上はじまって以来もっとも大規模な艦隊戦のひとつになるであろう。



アイリッシュコロニーは、ジャブローへの落下コースにのっている。
多数の連邦艦隊に必死で防戦するジオン軍に対して、連邦軍は執拗にコロニーを
ジャブローに落とさせまいとしていた。
これまでの心理的重圧感もあって、ティアンムの両眼は、最初から血走っていた。
かれがいかにこのコロニー阻止に必死だったかといえば、彼の旗艦であるマゼラン級
戦艦が急航に急航をかさね、ついに後続のサラミス級をひきはなしてしまったことでも
わかる。かれは自分の旗艦だけでも敵中にとびこみ、火ぶたを切るつもりであった。
このときの殿艦はサラミス級であったが、サラミスはだいぶひきはなされた。
はるか前方には噂にきくジオン軍のザクという機体が護衛するアイリッシュコロニーがある。
多数の連邦艦があちこちから攻撃をはじめた。
ティアンムは、戦艦マゼラン級の艦橋にいる。モニターで敵影を見つめていた参謀のひとりが、
「大きいですなあ」
と、想像以上にコロニーの球体が大きいということをいった。ティアンムは吐き捨てるように、
「あんなバカでかいものがジャブローに落ちてみろ。もはや地球はおわりだ」
と、いった。この連邦宇宙軍の提督たちのなかでは出色といわれたこの男は、阻止限界点は越えさせぬぞ
という気迫を全身から満ち溢れさせている。
敵は反撃しているが、なによりもコロニーの守備と、艦隊攻撃を同時におこなわねばならないため、
むしろ攻撃をやりすごして早く落下点にもっていきたいという気分があると、ティアンムは読んだ。
ティアンムはつけどころだとおもった。なによりも、敵の数はこちらよりすくない。
ティアンムはなによりも、コロニー阻止が至上命題であるという旨をつたえ、全艦隊に損害をかえりみず
コロニーに打撃を与えよと命じた。
「できるだけ早急にだ」
と、ドズルは要求した。工作時間はみじかいほどよい。より迅速に仕上げなければ、それだけ
損害は大きくなり、完勝にはほど遠くなる。
「連邦軍がどれほど、勇猛でも、わが腕をもってすればた易いことです」
と、ランバ・ラル大尉は請けおった。
180通常の名無しさんの3倍:02/11/22 22:54 ID:???
>>177-178
なんか「凄み」があるな…
敵のザクはくまなく動き回り、そのつど連邦艦艇をしずめていった。
ジオン側はなんとか守備と攻撃を両立させようとしている。だがコロニーの破損はとどまることはない。
作戦が完遂できねばジオンは連邦を屈せしめることはできず、モビルスーツのパイロットたちはこの至上命題を
背中に背負いつつ、劣勢でありながらなんとかしのいでいるといった状態であった。
この敵の状況に連邦軍が乗れなかったのは、ミノフスキー粒子のせいである。正確なレーダー射撃が不可能になって
しまったために、大量のトリアーエズによる集中砲火か、遠距離の射撃手による「腕と力量次第の」主砲命中しか
攻撃をする方法がないため、確実に勝ちを狙うということができない。
撃沈はまぬがれているとはいえ、ティアンムの旗艦や他の連邦主力艦・サラミス級は多大な打撃をうけ、
もはや軍艦として廃品同然の艦もある。上甲板はザクのライフルですっかりこわされ、中甲板の砲郭はほとんど
破壊され、近くには核の放射能が舞っていた。
敵中に深く入り込んでいたティアンムの旗艦も、上中下の甲板の防御物がことごとく破壊され、満足につかえる主砲は
三門だけとなっていた。将校の半数が戦死した。
それでも、アイリッシュコロニーはジオンの目論見どおり、予定落下コースをすすんでいるのである。
これほどの巨大な球体を破壊することは不可能だとしても、せめて軌道を修正することだけはしなければならぬ。
もし地球に落着すれば、計り知れない惨禍を生むことは必然だからである。
ティアンムはあきらめずに、戦闘可能な艦艇を糾合し、再度の攻撃を下令した。
だが、ティアンムの決死の軌道修正は実を結ぶことはなかった。
「阻止限界点を・・・・超えました」
ティアンムは落胆した。しかし、まだ天は連邦を見放してはいなかった。
度重なる連邦艦隊の攻撃に大きく破損していたコロニーは、大気圏突入の衝撃で崩壊、その
球体はアラビア半島上空で四散してしまったのである。バラバラになったコロニーは、ジャブロー
ではなく、北米とオーストラリアに落着、こうしてジオンのブリティッシュ作戦は失敗におわった。
ときに一月十日のことであった。
182通常の名無しさんの3倍:02/11/23 01:00 ID:???
ここの職人さんは凄いな。
折れもやってみようとしてるけど中々上手くいかない・・・
パオロ・カシアスという人物は、
「戦のにおいがわかる」
といわれていた。叩き上げの軍人できた男だけにかんがするどく、そのかんに
よって刻々変化する敵の状況や敵の心理がよくわかった。
統率力という点でも、名人にちかい。かれは「後備兵」といわれて友軍からばかに
されている部隊の士卒に自信と誇りをもたせようとした。(中略)
が、敵は前よりも機動性にすぐれた機体を配備してきたらしく、戦いはおもうようにはすすまない。
新型MSをはさんで、コンスコンの指揮する艦隊が前面にいる。
「潮時(しお)だな」
と、パオロはいった。若い参謀は、もうしばらく様子をみてから、戦術転換をはかったほうが
いいと思われますが、というと、
「敵のあの機体、優れてはいるが、数はあきらかに少ない。もし後退すれば、敵はしたりとみて、
一撃離脱をしようとあのザクを突撃させてくるだろう。それよりもトリアーエズを用いて、砲撃とセットに
して一つずつ叩いたほうがより確実だ」
とパオロはいう。一対一でやろうとするから、余計な犠牲がでるのだ。敵の一体に対し、複数攻撃で臨めば
やれぬ道理はない。このあたりは、先の一週間戦争での経験が貴重なものとなっている。


突撃軌道軍の司令キシリア・ザビ少将はかねがね配下のマ・クベ少佐から、
「MSというのは凡庸なパイロットの手にかかっては人形と同様である。すぐれたエース
パイロットを得てはじめてその奇襲が成立し、戦況を回転せしめる奇蹟を生むものだ」
ということをきいていた。キシリアの手もとに、黒い三連星のザク部隊があった。
(いまこそつかうべきときではないか)
とキシリアはおもい、すぐそれをレビル艦攻撃として使用すべく発進せしめた。
185:02/11/23 01:41 ID:???
>>182
置き換えてみればいいかと思いますが、なかなか難しいですね。
(特にアムロなどは書きにくいです。部隊指揮官なら人物の置き換えができますが)
好きな小説でないと、背景がわかりにくかったりするし。

〜(今後、この戦争を、どう戦うのか)
と、大損傷をうけた現場での艦長たちはぼう然とするおもいであった。

坂の上の雲からの引用ですが、この文を変えてみてはどうでしょう?
わりと置き換えやすいと思いますが。
186通常の名無しさんの3倍:02/11/23 01:50 ID:???
どなたか前スレみたく元ネタまとめてくれ〜
1871:02/11/23 14:14 ID:???
>>177
坂の上の雲(四)遼陽大会戦冒頭
>>178
坂の上の雲(四)ロシアウラジオ艦隊を追撃・撃沈しようとする上村艦隊
>>179
坂の上の雲(四)遼陽決戦に際し、ロシア総司令官クロパトキンが野戦築城工事をすすめるアレクサンドロフ少将に
訪ねる。
>>181
上村艦隊、ウラジオ艦隊を破損させたが、撃沈できなかった。が、ウラジオ艦隊、事実上消滅。
>>183
第一軍黒木軍指揮下の梅沢道治旅団長の描写
>>184
ロシア軍の攻勢に対し、閉院宮騎兵旅団を投入しようとする黒木軍参謀藤井茂太。

188陽動任務(斬殺より):02/11/23 14:43 ID:???
このブライトでさえ、ジャブローの参謀本部会議に出頭して宇宙における作戦
について説明をきいたとき、
「ホワイトベース一艦のみですか」
と、心外な顔をした。たった一隻でジオン軍最強の集団がこもるソロモンに対し、陽動作戦を
しろというのはどういうことであろう。ブライトが沈黙していると、ジャブローの
提督たちのなかでにわかに顔をあげたものがいた。モグラと揶揄されているゴップ大将であった。
ブライトを見すえながら、
「難しいかね」
といった。とんでもない、という顔をブライトがすると、ゴップはうなずき、
「そのたった一艦を、今まで君自身が動かしてきた。これがなりよりの証明になろう。われわれとしてはその幸運は、
どこの誰に対しても、如何なく発揮してくれるものと信じているのでね」
といった。一隻の艦(ふね)で十倍はあろうかというジオン部隊を牽制するという魔法の成算を、ゴップ自身は
どの程度に信じていたかはわからないが、ジャブローにおける参謀本部の首脳たちはまずーできるのではないかーと
その点、たかをくくっていた。たかをくくる理由は十分にあった。
彼等が抱いていた戦略ーともいうべきーのたねは、連邦艦隊主力の損害を、ホワイトベースが
肩代わりする役割というべきものであったろう。

189通常の名無しさんの3倍:02/11/23 17:32 ID:pd+GQadw
こういったあたり、ageというよりほかない。
190燃えよ剣(大暗転より):02/11/23 22:53 ID:???
AMX-002 NEUE ZIEL、76.6m、403.5t
ガトー自身すでに何人の人間を殺してきたか、数もおぼえていない。
「これはMAだ」
といった。ガトーの口ぶりの熱っぽさは、相手はカリウスと見ていない。
自分にいいきかせているような様子であった
「カリウス、見てくれ。これはMAである」
「MAですね」
仕方なく、微笑した。
「MAとは、技術者が、人を殺す目的のためにのみ作ったものだ。
MAの性格、目的というのは、単純明快なものだ。
戦術書とおなじく、敵を破る、という思想だけのものである」
「はぁ」
「しかし見ろ、この単純の美しさを。MAは、MAは美人よりもうつくしい。
美人は見ていても心はひきしまらぬが、MAの美しさは粛然として男子の鉄腸をひきしめる。
目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。
デラーズ・フリートは、節義にのみ生きるべきである」
(なるほどそれをいいたかったのか)
カリウスは微笑をつづけている。
「そうだろう、カリウス」
「私もそう思います」
これだけは、はっきりとうなずいた。
「カリウスもそう思ってくれるか」
「しかしガトー少佐」
と、カリウスはちょっとだまってから、
「デラーズ・フリートはこの先、どうなるのでしょう」
「どうなる?」
ガトーは、からからと笑った。
191燃えよ剣(大暗転より):02/11/23 22:54 ID:???
「どうなる、とは漢の思案ではない。婦女子のいうことだ。
おとことは、どうする、ということ以外に思案はないぞ」
「古代の兵法家曰く」
ガトーは口ぶりをかえて
「その侵掠すること火のごとく、その疾きこと風のごとく、その動くこと雷震のごとし」
ガトーはあくまでもデラーズ・フリートのために戦うつもりである。
デラーズがどうしようと、ガトーの知ったことではない。
ガトーは乱世に生まれた。乱世に死ぬ
(男子の本懐ではないか)
「なあ、カリウス、私は、世の中がどうなろうとも、たとえデラーズ・フリートがぜんぶ敗れ、
降伏して、最後の一人になろうとも、私はやる」
事実こののちアナベル・ガトーは、デラーズ・フリート、諸方でことごとく降伏、
もしくはアクシズ艦隊と合流しようとしているとき
たった一人のデラーズ・フリートととして残り、最後まで戦うのである。
これはさらにこの物語ののちの展開にゆずるであろう。
「私が、・・・・・・・・・・・カリウス」
ガトーはさらに語りつづけた。
「こんにちにいたるまで、ジオン公国再興と称して幾多の人間を殺してきた、
またこの海で散っていった同胞は・・・・・・・・それらが、なんのために死んだかということになる。
彼らは男子としてりっぱに死んだ。私がここでぐらついては、冥土でかれらに合わせる顔があるか」
「男の一生というものは」
と、ガトーはさらにいう。
「美しさをつくるためのものだ、自分の。そう信じている」
「私も」
と、カリウスはあかるくいった。
「命のあるかぎり、ガトー少佐に、ついてゆきます」
192陽動任務(斬殺より):02/11/23 23:25 ID:???
>>190-191
>粛然として男子の鉄腸をひきしめる
>男の一生というものは・・・美しさをつくるためのものだ。

震えがきました(w
傑作だ。
193:02/11/23 23:26 ID:???
いかん。間違えたよ。
>192訂正。
194セダン(風神)の門:02/11/23 23:38 ID:nCQwpEDE
「デギン公王は、どのようにおなりあそばしたでございましょう」
「死んだろう」
シャアは、乾いた声でいった。
「ギレンは、?」
「死んだにちがいない」
これも、つめたくいった。
「キシリアは、」
「おそらく死んでいる。ランバ・ラルも黒い三連星も何万の兵士も、あの護り甲斐の
ないザビ家のためにしんだ。いずれも、すさまじきばかりの死にざまで死んだが、
どの者もいまごろ冥土で後悔はしていまい。自分の男の一生をこれほどの戦闘で飾
ことができたからだ」
「キャスバル兄さんはこれからどうなされまする」
「私か」
シャアはだまった。答えようにも思案がなかったのである。そのとき、セイラは、
足もとの暗さにの倒れている兵士に蹴つまずいた。
シャアが兵士のヘルメットを外すと、口を開いた。
「…キシリア閣下が脱出される…護衛にと思いましたが残念です…大佐なら…」
「安心しろ貴様にかわってキシリア殿は必ずお守りしてみせる」
「ありがとうございます…」
兵士は、うれしそうに息をひきとった。
「しかしー」
と、アムロは愚痴をこぼすようにベルトーチカに言うのだ。
「俺は七年間という間、監禁生活を享受させられていたんだ。すぐに復帰できるわけがない。
軽蔑しているんだろう、僕を」
「私はそれほど鈍くはないわ。眠りからさめていないだけ。アムロ・レイはまだ長い眠りから
覚めていないのよ。だから、今までは休養であったと思って、目を覚ませばいいじゃない。昔とおんなじに
なればいいのよ」
面妖な可愛さを強烈に感じる瞬間だった。
(はて)
とアムロは思うのだ。
(ベルはまるでセイラさんに似ているじゃないか)
そう思うと、愛撫という言葉で自分を試そうとしているベルトーチカの姿が、
かつての頃にダブるようで、気恥ずかしい思いがした。
愛撫といえば、夜、ふしどの中のベルトーチカは尋常なものではなかった。金髪の
白人女性というものはこれほど赤裸々なものかと思うほど、ベルトーチカは放恣に
アムロの愛撫を受け、自らも与えた。いや、愛撫というのは適切な言葉ではなかろう。
ベルトーチカの悦楽は、男の愛撫をうけるというよりも、彼女自身がアムロに言った
言葉どおり、ひとり狂舞しつつかつ相手に貪婪に自分の手で悦楽の波をあたえ、また
掻き寄せるというたぐいのもので、言葉と行為はイコールであるということを、
ベルトーチカは悦楽のなかに実践していた。それだけにアムロはベルトーチカに惹かれて
いったといえる。ベルトーチカによって、今まで身体の奥底にねむっていた「男らしさ」
を本能的にアムロは覚醒させることができた。


以下、点景を点々と識(しる)していきたい。
とはいえ、脳裏の光景は光彩茫々としてなにごとも見えにくく、
書くべきこともなさそうな気がする。
シャアとその徒の死は(正確には行方不明だが)、ジオン・ダイクンの提唱
以来の一つのエネルギーの終焉であったであろう。そのエネルギーというのは
ニュータイプという言葉が軸となっただけでなく、ひょっとすると、旧世紀の
人類の頃からひきつがれてきているなにごとかであったかもしれない。
結局はロンド・ベルを中心とした連邦政府が勝ち、シャアがほろぶることに
よって各サイドのスペースノイド一般の怨根や反乱への気勢は消滅したかにみえた。
連邦政府とその権力はほとんど絶対化するかのような勢いになった。(中略)
シャアとその徒が敗滅させられたことについての反作用は、のちにブライト・ノア
の長男、ハサウェイが参加したテロ組織、マフティーの行動によって再現させられる。
198通常の名無しさんの3倍:02/11/24 10:39 ID:gRIeFhlm
やっぱり、坂の上の雲が書きやすい気がするよ
艦隊戦とか要塞攻略戦とか、対専制主義とか、官僚主義批判とか。
あと、新兵器の重要性のくだりとか。
199通常の名無しさんの3倍:02/11/24 19:49 ID:eZ02OzN/
age
200通常の名無しさんの3倍:02/11/24 19:55 ID:???
「やった!200ゲットだ!」などと喜んだ。というのはうそである。
暗い狂喜を覚えた。キリバンとはこうもくだらぬものか。
1000も踏めばただのレスではないか。
「戦争の現実主義者」というのが、この場合、ドズルのほうであった。
かれにいわせれば大挙ジャブローやルナツーから押し寄せてくる連邦艦隊こそ
連邦軍のすべてである。これを砕けば、地球連邦軍そのものがほろび、連邦は
宇宙における継戦能力をうしなうのだ、ということであり、それをたたくのは
ソロモンをおいてほかにない、という。
ところが議論というものは議論によって旋回するらしい。ギレンによれば、
「ドズルこそ非現実主義者である。やつはソロモンという限定された空域しか
見ていない。やつはかつてのルウムをソロモンで再現するために利己的な作戦
にジオン軍全体をひきずりこもうとしている」
というのである。

202通常の名無しさんの3倍:02/11/25 07:35 ID:???
age
かれは木星帰りである。スペースノイドそのものである。いわば、ジオン式の
強化人間とすこしもかわらないではないか。
ーシロッコ・・・確かなのですか。
とバスクがいったのは、ここである。
ーたしかだ。
とジャミトフがいったのは、シロッコの技量・統率力のことだ。才能に溢れている。
恐ろしいほどある。
204通常の名無しさんの3倍:02/11/26 07:56 ID:NflOceyV
ネタが浮かばないので取り合えずage
205通常の名無しさんの3倍:02/11/26 08:15 ID:???
あまりに高難度で見てるしかないスレ
206通常の名無しさんの3倍:02/11/26 14:40 ID:???
けどこのスレは凄いですよ!カテジナさん!
207ヤッサバの運命(燃えよ剣・剣の運命):02/11/26 20:33 ID:Ou7lC5YO
ヤッサバは現実から消えてやった。エイファを連れながら、
ウルグスクの頃に聞いた謡曲で「本当かい?」の一節を陽気に謡いはじめた。
象じゃなくて羊だよと言われた。
雪原は、東にまっすぐに伸び、その道の果てを
しらじらとしたこおりのこおりの膜がさえぎっている。シベリアの永久凍土である。
ヤッサバの陽曲(※)は、つづく。
やがて、とぎれた。
一体のゴレームが、ヤッサバ達の真正面に、いたのである。
ヤッサバは、そのまま走っていた。
狙いがはずれていたため、かすかに回避はできたが、出番がなくなった。
ヤッサバは動かず、ヤッサバ信者も動けなかった。
(中略)
ヤッサバ、それでもSEEDより多くシャア板住民にネタにされたというから、
最終話までレギュラーだったらヤッサバはどれほどの働きをしたかわからない。

※謡曲より陽曲のが合いそうなので。

208通常の名無しさんの3倍:02/11/26 21:39 ID:LsKXHV3L
シーマは、どう思ったか。それはわからない。
ただデラーズに明確にわかったことは、シーマは11月12日、
コロニーが限界点を超えようとしたとき、まるで予定したかのように、
「予定外の事は起こるもの」と言い出したことである。
シーマは、故あれば寝返った。
この女にすれば、あるいはジオン全てに叫びたかったのではないか。
「このシーマを、サイド3でぬくぬくとうずくうもりながら利用し、あごで扱いたいのか」
シーマは、ついに首領以下、デラーズフリートの兵を支配したことになる。
彼らは次々に戦死し、首領エギーユ・デラーズは射殺。
宇宙暦0083 11月13日、地球付近で特攻したガトーの最期は
MSや戦艦を何体も道連れにして
月からの追撃部隊ですら目をみはるほどのみごとさであった。
が、その因を作ったシーマは、知らない。
なぜならばこの悪名高きシーマ艦隊の長だけはGP03の長槍を受け、
ガトーの特攻のころは分子レベルに溶けたシーマが、
地球付近の暗礁宙域を漂っていたからである。
209208:02/11/26 22:22 ID:???
スマソ。元ネタは人斬り以蔵のラスト。
2101:02/11/26 22:59 ID:???
キンゲを題材にするのも悪くないですね。
時間がないので明日書きます。それまで保守よろしくです。

211通常の名無しさんの3倍:02/11/26 23:02 ID:???
∀もちょっとキボンヌ
ディアナ・カウンターは、にわかに出現した。かつて地球上にあわられたどの軍隊
よりも、技術的にも、組織的にも近代的で壮大なこの勢力は、ほんの一瞬でーつまり
ミリシャの戦闘機群に対しビームによる反撃をしたポゥ少尉搭乗のウォドム、プチ機械
人形などーの一連の破壊行動を展開しながら、忽然と(ミリシャ側からいえば)地球に
あらわれた。
ミリシャの組織・運用すらまだ不十分なまま、グエンらははあわただしく対処せねばなら
なかった。
これがさまざまなひずみを、地球側の人々にあたえた。遺跡からあらわれた機械人形(∀)
は、ロランやソシエがまったく理解できないままビームライフルによる反撃をしてしまったし、
混乱と破壊のなかでキエル・ソシエの母親は精神が崩壊し、その父は悲劇にも命を落とすこと
となった。

数年前、友人ととりとめもない話を肴に酒を飲んでいた。話は主としてサンライズ
製作のガンダムのことで、現実のことではない。友人は寡黙な人である。
ときどき吐く言葉は十分に体温がこもっていて、考えぬかれている。そのひとが、
不意に杯をおいて、
「ガンダムは結局、黒歴史の繰り返しですね。本質はあれほど黒歴史を否定しながら、
その繰り返しに終始している」
といった。前後がなんの話だったか。私はこの友人が20年も業界内で制作進行を
やっているベテランスタッフであることを忘れていた。何か、物の破壊音を伴った
ようなこの言葉をきいたとき、私はアニメーション創生からかわっていないオリジナル
作品軽視を濃厚に感じたが、しかし友人はそれ以上はいわず、話題を他のことに移した。
「敵はロゴ・ダウの船一隻、こちらの重機動メカはその数十倍、いやそれ以上あろう」
ドバは必死に説く。
「だが相手はあの巨人、とうてい簡単には勝利はできまい。これまでさんざん言って
きたが、巨人はこの全宇宙の中で最大の存在であり、性能はケタ違いだ。これが息の
根をとめ参らせるのは、このガンド・ロワ」
ドバは目前に浮かぶ、巨大要塞砲というべき巨大メカを指差した。
オーメ財団総帥・ギンドロとの協力によって開発された決戦兵器である。その質量は
軽くイデオンを凌駕するであろう。
「ガンド・ロワ」
ドバが、何度、怒号したか。ガンド・ロワの射線上へ、巨人をひきずりださねばならぬ。
逃避行を続けているロゴ・ダウの船(ソロシップ)をジグ・マック、ガンガ・ルブなどで
包囲下におき、ジョングで直接白兵戦をしかける。かならず勝てる。ガンド・ロワの
超新星攻撃がそれを勝たせてくれる。そのかわり味方としては、崩れても崩れても新手
を投入する覚悟が必要であろう。
「多くのサムライ達を血の海に沈める御覚悟、この一事だけが、バッフ・クラン族の御運
をひらかせ参らせる唯一の道でござる」
今後の我々の運命がどう分岐するか、それは私の作戦の成否如何にかかっている、とドバは
バイラル・ジンで自ら指揮統率をする長女ハルルにくどいように伝えた。


215通常の名無しさんの3倍:02/11/28 02:09 ID:???
保守
216通常の名無しさんの3倍:02/11/28 18:32 ID:???
 そういうハマーンでも、地球の公転軌道に近づいたときばかりは、遠いサイド3をのぞん
で渾身に壮気が満ちた。
 地球の引力圏に入ればすでに、人の住めない宇宙の果てではない。
 人類の文明の中心ともいうべき地球に近い。はるか遠方には、未だ人類を潤す地球そのも
のもある。サイド3はそのはずれにあり、月を 含む地球圏こそ古来人類が作り上げ、覇を
争ってきた文明の大空間といっていい。要するにサイド3は、人類の住まう地球圏の分割線
をなしているのである。
(木星は大きすぎる。真にミュータイプが住まうところというのは、このサイド3のことだ)
 とハマーンは思っている。
(中略)
 ハマーンとその軍は、そのまっただ中に踏みいりつつある。
ロランは黙った。
(きらいだ・・・・でも・・・)
こう云いきりたい気持ちもあるが、云い切ればおそらくこの元ジオンパイロット
だった目の前の男は、ますます贖罪の気持ちをつよくしてしまうに違いない。
この奇妙な居住生活ー直接血がつながっていないのに、本当の家族のような暮らしを
つづけている現状は、ドアン自身の義務感の現れとはいえ、ロランからすれば複雑な
感情にならざるをえない。
「いずれ子供たちにも本当のことを伝えねばならない。ロランはもうわかる年齢だと思った
から、本当のことを言った。だがー」
ククルス・ドアンは立ち上がって、海岸にあるザクTを指差した。
「これをみてくれ」
かつて一週間戦争、ルウム戦役、地球降下作戦でドアンが搭乗した機体である。
今はマシンガンを外した状態でただ一機、その巨体をたたえている。
「世界を血で染めた俺のMSだ。俺はジオン兵として戦争に参加して以来、コロニー落とし
の作戦に参加し、ルウムで多数の敵戦闘機と艦艇に打撃を与え、そして子供達の故郷を襲い
・・・・人間として大事な、もっともやってはいけない殺人という行為に、はじめて理性の
ブレーキがかかるまで、敵兵器を破壊し、数え切れないほどの敵兵や民間人を殺した。この手
を見てくれ。この手が再びMSのレバーを握れば、たった今でも周りのすべてを殺しつくすこと
ができる。俺はこの悪業を、悪業と思わずにきてしまった。だからー」
ドアンはロランと向かいあった。
「だから、手遅れかもしれないが罪の償いをしたい。そうでもしなければ俺は生きてはいけない。
今はか弱い存在であっても、それを育て、守っていけば、かならず立派に成人することができる。
あの子たちが大人になり、一人で自活していけるまで、俺は責任を持つ必要があるんだ」
ロランは、ふしぎな気持ちで、ドアンの顔をみた。この、戦争で人を殺すことを生業としていた
男が、はじめて人間らしい感情をもって、自分はあの子たちを守る、そのためならどんな苦労も
厭わないつもりだ、真実の親のような、そんな大切な感情を抱いて暮らしていたということを
ロランは今日、知らされたのである。
ゲルドルバ宙域に位置するレビル艦隊はグレート・デギンと接触した。
将兵たちが砲側から離れ、和平交渉のために将官たちがあわだたしく動いて
いる。レビルは艦橋からグレート・デギンを見、そばにいた連邦軍将官がレビル
に声をかけた。
「間違いなく、デギン公王ご自身のようです」
「うむ、そのようだな・・・」
というと、デギンのほうも同じような対応をしていたようである。両者とも笑みを
返した。この和平が成立すれば、戦争は終わる。ほとんどの将兵はそう思った。
そのとき天地が裂けたかとおもわれるほどの轟音がおこり、閃光が走り、甲板が
大きくかしぎ、艦艇が消滅する音がひびいた。すべてが同時だった。レビルは爆風
のために飛ばされ、閃光(ひかり)の中に消え去った。

アムロが叫びおわったあと、ホワイトベースのモニターに写されているレビル艦隊は
ほぼ潰滅しているといっていい有様であった。アムロは自分の予想が皮肉にも的中して
しまったことに大きく落胆し、その場へうなだれた。
アムロは同時代のあらゆるひとびとから、
「最強のニュータイプ」
とか、連邦の白い悪魔などといわれた。しかし本来はどうなのであろう。
考える材料が二つある。ひとつは、世間一般でいう軍人社会というものに
彼自身、いい感情をもっていなかったということだろう。本来、人殺しを
稼業とする軍人の精神や思考とはおよそかけ離れた人物であった。だから
こそ、日常の彼には優しい面がおおい。
いまひとつは、かれがサイド7でおくった少年のころ、ひとびとはかれから
およそ軍人を想像しなかった、いや、想像すらできなかった。おだやかで
親切な少年であり、機械マニアであったにすぎない。それが、なりゆきでV
作戦の機密・ガンダムを操縦し、戦場に本人の意思とは無関係に出撃させら
れた。だが戦争が終わるや、連邦政府はかれを危険分子として監禁、囚人の
ような生活を強制させるようになる。
余談になるが、ギレンは優秀な官僚組織を構成すれば国政はそれで足りるという
思想をもち、このためすべてが機密主義で、国政の枢要部分を閣外に洩らすこと
をしない。つまりは連邦政府の政治家たちがいうような人民という観念がギレン
には希薄で、政策決定の場に人民の意志を反映したりすることは無用と考えてい
た。
このギレンのいわゆる「一門独裁」の形態は、間接的にジャミトフが継承した。
ジャミトフ・ハイマンという執拗な性格をもった男は、エゥーゴの指導者
であるブレックス・フォーラのような民衆を基礎に置いた政治哲学ももた
なかったが、しかしデラーズ紛争ののち、軍部と官僚の世界に着々とティ
ターンズ勢力を扶植し、ついに連邦政府そのものを掌中におさめるという
、異常な権力者として肥大するにいたる。
シャアの成功の大きさは、ほとんど奇術師の演出かと思えるほどに、
信じ難いほどのものだった。
かれの揮下のネオジオン艦隊はほんの少数にすぎないのみか、それを
隠すためにダミーで補っている。これに対し地球連邦軍は、主力の88
艦隊の戦力は能力的にはやや劣るものの、新鋭のエース部隊であるロンド・
ベル隊を擁している。連邦政府が断固たる決意さえもてば、シャアのネオ
ジオン艦隊をつぶすのは容易であったにちがいない。
が、地球連邦は一年戦争以前から国家的秩序がゆるんで、先の第一次ネオ
ジオン戦争の痛手から完全には立ち直っておらず、うかつに戦争をやれば
今以上に消耗することがわかりきっていた(官僚たちの保身という色も強いが)
連邦政府は、折れた。連邦側の代表であるアデナウアーが連邦議会に送った
報告書によると、この交渉において連邦サイドが折れた理由として、アクシズ
を譲渡しなければ、シャアはコロニー潰しをかける、ということがあげられている。
しかし「譲渡金」については連邦政府の望んでいた範囲内にとどめた、と
いうことも述べ、これを連邦側の交渉の成功であるとし、自画自賛している。
ただ報告書の最後に、
「ワガ自活ノ計ハ、一日モ緩(ゆるがせ)二スベカラザルモノナリ」
としているのは、本音であろう。連邦の福祉政策を充実せねばどうにもならぬ、
このたびの譲渡金はそれにあてるべきである、という意味を言外にふくめている。
しかしアデナウアーはこの時期にいたっても重大なことに気付いていない。
譲渡したアクシズを運搬するという規定について、その運搬作業をネオジオンに
任せるという処置をしたことである。
ネオジオン代表のホルストに「わが艦隊の将兵に、失業手当も出せない現状でして・・」
と泣きつかれたのに対して、アデナウアーはこれを了解してしまった。
了解してしまうことによって連邦政府はアクシズをどんなようにも使って
下さって結構ですということを運用まるごと一任してしまったことになる。
一国の外務次官としては信じ難いほどの怠慢といっていい。
225:02/11/30 00:17 ID:???
ネタ考えるため、一旦ageときます。
226通常の名無しさんの3倍:02/11/30 03:30 ID:???
お疲れ様です。
「フィル少佐は、今回の地球帰還作戦に際して強硬な行動をとった」
と、ハリー大尉はいう。
強硬な行動とは、直接の戦端を開いたポゥ少尉をそのまま現職に留めただけでなく、
なんとおおげさにもヒゲのMSを捕獲する挙に出たのである。
女王ディアナの意志を都合よく解釈して、よかれとおもい、威圧的行動に訴えている。
無論、平和を望むディアナの思いとはかけはなれている。
ーさて、今日の会談・・・思うように事が運べばよいが。
と、ハリーは心中思っているが、事態はムーンレイス・ミリシャ両勢力をおもわぬ
方向へと突き進ませていくことになる。
アジ大佐は温厚な人物であり、ディアナ・カウンターの地球帰還作戦の先発指揮官
として最初に地球へ降下することになる。とりわけ器量優れた人物ではなかったが、
一種の人徳があった。
だがフィルの気質にもあるように、ほとんどのディアナ・カウンターの将兵は強硬派
揃いであるといっていい中で、かれの気質は非常に稀なものであった。
アジはディアナの意思を汲み、粘り強く2年間サンベルトをムーンレイスに提供して
くれるよう、グエンと交渉を重ねたが、
「冗談じゃない。提供するべき土地などあろうはずがなかろう。一方的すぎる」
と、グエンはあくまで硬化した態度を崩そうとはしなかった(中略)
ミリシャ側に対するムーンレイスの要求は先に述べたとおりである。
だが、イングレッサだけでなく、当時のアメリア大陸の各領には、ムーンレイス
のような統一された近代国家が成立しておらず、とうてい交渉事などで事態を
決めることができる状況ではない。
しかしディアナ・カウンター側の事情もあるのか、期限が一ヶ月以上切れているにも
かかわらず、強引に地球への降下をしてきたのである。



第二次帰還船団到着ののち、ハリー大尉はフィル少佐を呼んで詰問している。
「勝手にウァッド部隊をひきつれてくるとは、命令違反ではないのですか」
と、ハリー。
「抑止の部隊です」
フィルはさりげなく答えた。傍らで聞いていたアジ大佐は大いに不満をおぼえた。
独断的だな、といった。
「いいかね、この行為は私への裏切りととられてもおかしくないのだよ」
「閣下。おことばですが」
フィルはまゆをひそめた。
「あくまでも抑止力にすぎません。ディアナ様がこの地球に降りられるまでに、
どのような蛮族たちの攻撃があるかわかりません。備えあれば憂いなしという故事
もあります。かれらが手をださない、いや、ださせないための部隊であったのですが・・・
彼等は仕掛けてきました。私の読みは当たったのです」
ハリー大尉とアジ大佐はそれ以上口をはさまなかった。
230通常の名無しさんの3倍:02/11/30 20:36 ID:???
保護    
シバ「それの悪というものに、連邦宇宙軍まで染まるわけやね、そういう毒の中にいるから。
人事の行き来があるから、それは同時に各地の連邦勢力すら染める。
「スペースノイドなんて、下等な存在だぜ」というたかをくくった思想で縛られていくうちに
人道悪そのものになって腐敗してしまってる。そしてそのままグリプス戦役までいってしまう。
宇宙における拠点にするために、旧サイド7の空域にあったグリーンノアをそうして
占領するでしょう。あの意識はそのまま地球圏を支配しているんだね。どうもデラーズ・フ
リートの叛乱以降のティターンズの参謀懸章吊ってたやつはおっかなびっくりの艦隊と将兵を
したがえて、地球はおろか各地のコロニー群すら支配しているつもりだったんじゃないかな。
あれは連邦政府という政体でもなければ、方便ではあるけどもナショナリズムの濃厚なジオン
公国の機構とも違う。これらの政体は国民を支配しながらも、いろんなものを吸収して政権を
安定させてゆくでしょう。人々の目にみえない独裁を布いたのは、ティターンズだけだね。
まあもともと、連邦上層部の腐敗要因から生み出された鬼胎そのものでもあるけど・・・
コロニーサイドを腐らせるとき同時に自分達も腐るということがわからない。

こうした腐敗の継承者を、皮肉にもロナ家のクロスボーン・バンガード
の頃にはほとんどというほど連邦の中枢にいて、流れってのは止まっていない
なと思うね。つまりそのはね返りというものは、旧世紀のソビエト体制とか、
共産主義とか、あるいはもっと以前の、最も悪の部分と接触した感じってものは
グリプス以後の連邦の政権の体質にどれだけ濃厚に食い込んでるか(中略)
もうそれがシャアの反乱後には、目も当てられぬくらいにアースノイド重視、いや
正確にはエリートさん重視のみになっていく。ジオン共和国も自治権を奪われるし、
植民地状態に逆戻りしちゃったわけだ(中略)
チン「しかしね、そういう立派な機関が情報集めていったらわかりそうなものだけどね。
ジャミトフとかジャマイカンがどういう人間か。スペースノイドのなかに入っていけば
すぐわかることが、報告されてないどころか、わかるのはもっと後。あるいは報告されても・・
シバ「化外の民だっていう扱いでしょう。ミュータントのいう事など、人の言葉じゃないと
いうところがある。ジェリドやカクリコンはおろか、ライラっていう連邦の士官すら
「そんなはずはない。ジオン残党の理屈に騙されているんだ」とかいって、先入観で情報を
握り潰すようにちゃんとできてしまっている。


 ただこの兵器の最大の欠陥は、戦争が出来ないことであった。ジオンのMSに対する防御力も攻撃力もないにひとしかった。
防御力と攻撃力がない機械を兵器とはいえないという点では先代のトリアーエズと同様で、鋼板がとびきり丸く、大砲が戦車の主砲をすこし改良しただけの(つまりメガ粒子砲ではない)したがって貫徹力のにぶい砲であった。
ボールは宇宙暦0079年に完成し、同年には各宇宙艦隊に配備されたが、同時代のどのジオンMSと戦っても負ける兵器であった。

良スレage
234通常の名無しさんの3倍:02/12/01 00:33 ID:???
∀ネタウレスィ
ディアナ・ソレルは月からくる。
ソレイユで降下してくる。
しかし入植地として要求していたサンベルトの件はまだミリシャ側ともつれている
ため、交渉のためにボストニア城に入られる。
∀よりお姿を拝見したロラン・セアックは心のそこからときめきを覚えた。ムーンレイス
の女王自らのお越しである。もっともビシニティの人々はその程度の話題には馴れている
はずだが、これほど人々が騒いだのは、予想していた人物とよほどかけ離れた慈愛溢れる
人物にうつったからだろう。
236:02/12/01 02:18 ID:???
>>234
やっとディアナ様を題材に書くことができそうです。しばらく待ってて下さい。
今日はもう寝ます。
237通常の名無しさんの3倍:02/12/01 14:03 ID:???
>>227->>229
違和感ない・・
すごいですね
238通常の名無しさんの3倍:02/12/01 21:04 ID:???
対談ものシリーズも (・∀・)イイ!!
>213 のあとがきは富野と安彦の対談と脳内で補間。
239:02/12/01 22:27 ID:???
>>237
そうですか!よかった。
実は劇場版を見ただけなんです(汗)テレビシリーズも見てからかなり
経ってるから、整合性がどうかなと・・・(資料も見てなかったりする)
くぐってから書くことにします。
崖下はマグマである。∀を突き落とそうとコレンの機体がのしかかっている。
コレンは自分がいかにガンダムというMSにコケにされたということを、散々
ロランに喚き散らした。そのとき、洞窟のむこうに隠れているはずのディアナが姿を
あらわし、コレンの機体にむかって叫んだ。コレンはあわててコクピットから
腰をあげた。声のさきには、女王ディアナ・ソレルがいる!
突然の出来事にうろたえた。
(なんだって、ガンダムちゃんを始末できるってときに、女王陛下が出てくるんだ)
と、コレンはおのれの不運に苛立つ思いがした。それほどにのどの奥の粘膜が
ひりつき、動悸がうった。
気持ちがおちつかない。うろたえているのは、コレンだけであった。
違う意味で、ロランもおどろいてはいたが。
「ディアナ様・・・なんという・・」
と、月の女王が映し出されている画面にむかって手を伸ばした。自分の
なかにある敬意と愛情に似た気持ちが、そうさせずにはいられなかったのだ。
そのあたりが、17歳とはいえ、少年の青臭さが抜けきれていないところで
あったろう。
が、伸ばしても本物のディアナ・ソレルに触れられるわけではない。
ロランにとって女王ディアナをじかに見る機会がようやく成立した。
その瞳は情熱的に輝いて、画面上のディアナをとらえている。えりくびが
きわだって細く、白い皮膚は透きとおるようであり、血の色がにおいたつ
ようである。髪はかがやくような金色をしており、両眼は蒼く、唇に
小さな緊張が溜まっている。余裕があるのか、それともはじめて地球の大地
を踏みしめた感情を維持しようと力んでいるのかもしれない。
それはいい。
ロランにとって、いまは至福の瞬間であった。


シバ「ティターンズの場合は、幕僚という言葉は、非常に悪いイメージが浮かぶの
ですよね。特務部隊ティターンズの組織っていうのは何かといったら、あれは全部が
絶対民主制の先兵なんですね。大将であっても大佐幕僚であっても、民主制の遂行者と
いう意味では同じなわけだ。
つまり連邦政府というのは、普遍性のある主義をとっている政体であるということにな
ってるから、その人類の普遍性たる基本理念、民主制をバックにもつかれらは、本部たる
連邦正規軍よりも崇高な理念を奉じているんだという意識をもつようになり、かれらを
魔物みたいな存在に仕上げていくもとになるわけですね。ジャマイカン程度の少佐
が、出先の将官クラスの連邦将校をどなりつけたりするようなことができるわけなんだ
けど、あの現象は旧世紀にはいくらでもあった類でね。
デラーズ紛争の前から、レビルの抵抗勢力として上層部を掌握していた
ゴップとコリニーが、ティターンズの下地をつくっておいたようなものですからね」
〜中略〜
チン「だからティターンズは陰謀的な活動をもっとも好むってのは、引き継いでいるわけだ、
上層部の体質というのを」
シバ「デラーズ紛争まではレビルの遺産というべきコーウェンら開明将官がいたおかげで、
連邦軍もまだ自制心があった。ところが核搭載がデラーズに告発され、名声が地に落ちた
矢先に一斉にコーウェンらは切られる。もっぱら策謀で翻弄されたわけだ。
謀略っていうのは、人間として卑しむべき行為だけれども、現実を計算して
皆が納得するような結果が出せるなら、許されてしまうということがある。
しかし、軍内部やアースノイドに対しては冷静に計算しているのに、30バンチ事件や
ブレックス暗殺、カミ―ユの両親を人質をとってそれを殺してしまうみたいなのになる
と大人の感覚さえなくなって、子供みたいな愚行をやる」
フォウと顔をあわせるのは、スードリのシャトルのブースターで宇宙へ帰って以来、
数ヶ月ぶりだ。敵同士でありながら、あれ以来、二人が戦場でまみえる機会はほとんど
なかった。
が、カミ―ユは、それを思い出すことさえ顔の赤くなるような記憶をフォウと共有しあ
っていた。カミ―ユが17歳、フォウが16歳だった。
あのホンコンシティ屋上での二人の行為は、おそらく運命が仲立ちしたのだろう。

カミ
連れられてフォウの部屋に入ったとき、カミ―ユの中から少年の純粋さが
消えて、男がいた。男はフォウを気遣いながらも好奇心旺盛な目でみつめていた。
〜中略〜
「どうしたの?カミーユ」
フォウは、長身で姿のいい女である。16歳とは思えない美しさだった。声に
艶があり、色は白く、雰囲気からにじみ出る魅惑的な甘いものをカミ―ユは
感じるのである。小さな顔をすこし微笑ませると、ひどく男好きのする顔になった。
そのフォウの微笑が頬に張り付いたままになった。どこも見ずに大きく目を見開いた
まま放心したように唇をあけた。
ふたりとも声をださなかった。ふたりが気がついたときには、どちらもソファの上に
膝立ちしたまま、ひどく不器用な姿勢で抱き合っていた。
フォウは、いま思い出してもおどろくほど大胆だった。相手がカミ―ユだからという
安堵感もあったのかもしれない。手をカミ―ユのズボンの中に入れた。
フォウの指がカミ―ユの股間で動いた。カミ―ユは目がくらみそうになった。
いつのまにかカミ―ユの手も、フォウの股を割ろうともがいた。
フォウは、わずかに、膝をひらいてみせ、カミ―ユの手が、フォウのその場所に
触れて濡れはじめたとき、カミ―ユは体中があつくなった。
「ああ」
と、声を立てた。カミ―ユの体に、ひさびさに成人の波がこようとしている。
「カミ―ユ、お願い、静かにして・・・・」


246:02/12/02 01:06 ID:???
>>244ちょっと失敗。いかんなあ。
247通常の名無しさんの3倍:02/12/02 06:03 ID:???
井上ひさし絶賛
248通常の名無しさんの3倍:02/12/02 20:09 ID:Z26LbcII
どれもいいけど、俺は司馬も陳も好きだから、対談集特にイイ!!!
職人さんに感謝!
249:02/12/02 23:38 ID:???
>>247
そうだ!井上ひさしを忘れてた。今度書いてみよう。
一流であるはずのMSパイロットがMSそのものを一介の少年に奪われて
しまうというのは、ほとんど例がない。技量そのものが未熟だったためか、
相手がウッソ・エヴィンという子供であったため油断したためか、どうであ
ろう(中略)
「地球の空気を嫌う」ようになったのも、彼の異常なまでの潔癖症の現れで
あるようであった。この当時、地球の環境汚染はおよそ深刻なまでに悪化し
ていたのだが、リガ・ミリティアをはじめとした地球在住者たちやベスパの将校
たちは、その空気に慣れているのか、さほど気にするほどでもなかった。
クロノクルは露骨にそれを嫌い、日常つねにマスクを付け、埃を吸うことなど汚らわしくてかなわん
と、子供っぽいほどのむきな語気でいった。
クロノクルにとって、敗北を続けたりMSを奪われたりすることは女王
マリアへの罪であり、その罪をつねに意識しつづけることによって、ちょうど
封建時代の女帝と騎士の関係のような、そういう直接的な手ざわりで女王マリア
の存在を意識し、意識するだけでなく体のなかで感ずるようになったのであろう。
ザンスカール帝国の人々にとっては女王マリアは宰相フォンセ・カガチの
教えるがごとく女神さまであり、多分に宗教的な、観念のなかでの存在であったが、
クロノクル・アシャー中尉のばあいは、じつの姉という直接の血縁にあたる君主で
あった。
252:02/12/03 00:22 ID:???
キッズステーション、Vガン放映にちなんでVネタを書いてみました。
テテスの体が浮いた。岩角をはなれ、岩肌づたいに体を浮かせながら、ロランの
前まできた。
「女を先に裸にして、恥をかかせる気かい」挑発している。
「テテスさん」といったときには、湯の中でロランの腕がテテスの腰を掻き寄せていた。
「かかせる気なんか、毛頭ありませんよ」
ロランは、テテスの唇を吸った。
(甘い)
なんとあまいものか。ロランは女の唇を吸うのははじめてであった。
ロランは、右腕を沈めてテテスの豊かな股間にふれた。湯の中でもそれと知れる
ほどに濡れている。
「テテスさん、ここ、なんていうんですか」
と、ロランは恥じらいながらささやいた。
「ののさまっていうのさ」
「僕はまだ、このののさまっていうとこの内部(なか)を知らないけど、それほどに
いいものなんですか」
「へえ〜そうなの。あんたみたいな男だったら、沢山(たんと)な女のののさまを存じて
いると思ったのに」(中略)
「それじゃ、見ちゃいますよ。動かないでください」
「厭よ」
といったが、臥かされてしまっている。真昼間のために、テテスの裸形がよく見えた。
耐えがたいほどに盛り上がった胸の隆起が、鳩尾で落ち、ふたたびなだらかに起伏して、
あわあわと下降して股間へ落ちている。









「これがののさまか」
「もういいかい」といったが、ロランはテテスの体に一指も触れていないのだ。
テテスは呪縛にかかったように、ロランの行動を快感とともにまっている。
「なるほど、これがののさまなのか」
ロランはみつめたまま、飽きもやらない。
「見てるだけなのかい。それなら湯につからせてよ」
「寒いんですか」
「当たり前のことを聞くんじゃないよ」
以外に涼やかな眼である。およそ自分を欲望の対象とはしていない、そんな
印象をうけた。
(この子・・・可愛いじゃないか)好色ではない。本心から生真面目さがな
ければ、無邪気さを感じることは決してない。
(ムーンレイスのパイロットだね)
と思ったときに、ロランの体が動き、やがてテテスのほうを向いた。
(どうするんだい)
期待がある。が、ロランは一言呟いて立った。
「僕・・・・あがります」
そう言い、温泉を出た。

シバ「人から聞いたことだから確かなことではないんだけれども、いまでも
ラサの大学のスペースノイドを研究している学生にいろいろきいて、ジオン
ダイクンの著書や、ブレックスの連邦議会演説文を知っているかといったら、
あまり知らなかったそうだね」
チン「さあ、それはどうかなあ」
シバ「つまりね、連邦政府にとって各サイドのスペースノイド研究という
ものは、国費を投じてやるほどの分野ではないなって感じでしょう」
シバ「サイド6でも、カムランに代表されるような白人優位がある。サイド3でも、
気分として白人優位があったのかもしれないけど、要するにジョン・バウアーみたいな
人はいくらでも採用されていた(笑)それが地球サイドに目を向けると、ジオン公国の
残党が戦争自体できるはずもない小数勢力で決起して、連邦軍がじつは脆弱だったって
のを満天下に曝してしまった時期にアースノイドの主権を回復せよという排他的気運が
本格的におこる。
コロニー落としをされるまでは地球は宇宙そのものだとおおらかに思っていたわけです
からね。つまり文化的な意識が中心だった。これは当然のことですわね(中略)
チン「歴史はそこから教訓を取り出すべきもので、そこへ戻っちゃなんにもならないと
思う。戻りたいような魅力のある時代が、本当にあるだろうか?僕はなかったと信じるね」
シバ「僕がアースノイドであっても、心からそう思う。住民にとっていい時代などはなかった」
〜野心家・パプティマス・シロッコのこと
シバ「木星帰りの男で有名な、シロッコのことを少し話さないといかんですな」
チン「シロッコという人は、ユーモアもあって、感性も豊かで、女性に惚れられる
要因があるんですよ。顔もわりといいし、二重で射抜くようなあの視線がね。
あれが曲者なんだ(笑)」
シバ「英雄とか梟雄という、ああいう連中はどこかに魅力がないとだめなようですね。
そういう部分にひとびとが食いつく。私の覚えてるホログラフィーというのは、つねに
彼が好んで着ていた、白い服装のやつ、じつにすがすがしい印象を人に与える
感じで、りりしい感じなんだな。かれは輸送船ジュピトリスの幕僚上がりですね」
チン「そうです。エリートコースを歩んでいたようですが」

シバ「ティターンズが連邦軍より指揮権を委譲されたあとに、戦艦ドゴス・ギアを
与えられて、いっぱしの司令官をやっているよね。それからだんだん勢力拡大を
謀っていくんだけど、もともと政治的野心があったんだね」
チン「この人、階級は大尉なのに、ジャミトフの直接の子分のような扱いをうけるんですよ」
シバ「ジャミトフとしても、かれの力量は無視できなかったということやな」
260通常の3倍の司馬:02/12/03 10:25 ID:???
好い文章こそ癒しですなぁ、と、お茶をすすり。
シバ「そこまでやられたコロニー側に立つと、逆にアースノイドや地球の本質
がよくわかり、コロニーサイドは、さらには今後地球はどうなっていくか、予見
できるわけだろうな。まあ、同じ連邦軍士官でそれがわかったのはブレックスの
パートナーだったヘンケン・ベッケナ―。僕はヘンケンとその周りの人々が好き
です。それから近い人では元ホワイトベースクルーで、一年戦争後にジャーナリスト
になったカイ・シデン。この人は直接的に関わったわけではないけど(中略)
チン「のちにシャアのダカール演説につながる基礎をつくったというのは、かなり
重要ですね。現在の地球圏を考える上でもね」
シバ「そう思いますね。つまり、連邦政府はきちんとした民主政策を全宇宙的な政策と
してやるのか、それとも既得権益を擁護し、地球を汚染で食いつぶす今の現状をこのまま
続けるのか、いまは分かれ道だ。ブレックスという人は非常に気の優しい人ですから、
連邦政府に対して恫喝しているんじゃなく、好意をもって地球圏、人類の運命はこれで
決まるぞといっているんですね。すでにそのとき、ブレックスはすでに弱きコロニー
サイドの、弱き代表ではないわけですよ。エゥーゴによる行動が正しいということを信じ
ていたし、同時に地球圏全体の立場から、人類はどうするんだ、このまま続けていったら
つぶれるぞということを、言葉は強いけれどもほんとうに人類のために言ってるんでね。
同時にそれが普遍的な問題なんですね。だから、かれが期待し、またその意思を引き継い
でいるシャアの演説はきっといまでも高い評価受けてると思うけどね」

国家レベルでいえば、地球連邦には、抜き難い悪癖がある。他の何一つ連邦
的条件をもたないコロニーに、
「連邦政府のようになれ」
と、本気で勧めてまわることである。このおかげで、半独立状態をうばわれた
ジオン共和国(サイド3)は二度とジオン公国のような活力のある国家として
再生することは不可能になったし、また神権的な宗教国家に変貌するサイドも
あらわれるなど、様々な国家形態が混在するコロニー群ができあがってしまった。
以上は、散歩中のとりとめもない感想にすぎない。
シャアの反乱は、6年後にくる。その間も、おびただしい数のパイロットや人間たちが
、宇宙に命をすてた。が、アムロは最後の最後までシャアと激闘を演じ、ニュータイプ
としての名声を残したまま、行方不明となった。とうの連邦政府からは最後まで不遇な扱い
のままであった。厚遇などかれの生涯には無縁だった。
不遇とは、ニュータイプの存在そのものを、ついに連邦政府は理解しえなかったということ
であろう。ロンド・ベル設立以前より、一パイロットに終始したアムロは、戦場でその才能を
如何なく発揮したが、数々の戦争をくぐり抜けながらも生き得たというのは、アムロの才能
というべきであろう。
ロンド・ベル設立以後のアムロの日々は、ネオジオン総帥シャア・アズナブルに対し、
地球そのものの防衛をすることに多くの精力をさかれた(中略)
アムロには、ニュータイプの本能ともいうべき、感傷にふける夜が多かったようである。
が、アムロも全能ではない。
宇宙世紀0093・3月12日、齢29である。これほど最強のニュータイプの名を
ほしいままにしたアムロも、アクシズの落下にともなうオーロラの波からはついに逃げ切る
ことができなかった。が、死んだかどうかは定かではない。


シャアは世間から消えたように沈黙してしまっている。
連邦政府にも、その消息がほとんどきこえてこない。シャアに同情する多くの
スペースノイドや旧ジオン軍人、各サイドの宇宙寄りの官僚たちが、シャアに
関するあらゆる情報をシャット・アウトして、寸部の漏れもなく日々が過ぎてゆく。
このため、連邦の査察団が調査をしても、シャアの消息やネオジオンの動きをほとんど
というほどつかむことができない。
「シャアは何を考え、何をしているのか」
という話題が、ラサの参謀本部でも、マスメディアなどのあいだでも、ひそかにささ
やかれていたが、結論は推測を出ない。ときにとほうもない噂がとび出しては、ひとびと
に信じられたりした。
ロンド・ベル隊のアムロ・レイ大尉が推測したところでは、
「シャアは決してあのまま朽ちるつもりではない。数年のうちにかならず
反乱をおこす」
ということであった。この推測は当然であるかもしれない。
今だ情勢をうかがっているハマーンの残党ともいうべきネオジオンの将兵たちや
不遇をかこっている官僚たちや企業家を糾合すれば、シャアが大義のもと反乱に
出ることはたやすいことだからである。
さらには、一方、スウィート・ウォーターや各サイド群で囂々(ごうごう)と不平を
鳴らしつづけている反連邦運動家たちは、シャアの決起を渇いた者が水を欲するよう
にして待ち望んでいた。
「シャア・アズナブルはかならず立つ」
かれらはそう確信し、言いさざめいている。シャアが立たずしてスペースノイドは救わ
れないという気分がみなぎりはじめたし、それらの願望が、断定的な情報のかたちを
とって流れていた。

シャアは一年戦争のころに人類の革新なくして平和なし、ということをララァ
を通じて悟った。そのただ一つの目的のために思いをこらし、恐れもせず、わき見
もしなかった。
だが、エゥーゴはもはやない。しかし、シャアがララァやブレックスと分かり合い、
悟った人類全体をニュータイプへ革新させる構想は、すこしも遂げられていない。
シャアはそのためにスウィート・ウォーターへ潜伏したのだが、その「人類の革新
のための一挙」をシャアがなお考えているとすれば、かれはなお活火山であるはず
だった。
人間というのは日常世界のベルト・コンベアの上に載せておくと他の生物同様、
いかにもしおらしい。しかしひとたびー戦争や革命などでーカテジナ・ルースの
ようにまかりまちがうと何をしでかすかわからないバケモノ性をもっている。
バケモノは一面では戦慄的だが、一面ではとほうもなく雄大である。
日常生活にあってその戦慄にあこがれる体質の人は好戦的ドスの利いた(たとえば
ジェリド・メサのような)野心家や精神の上での愛国者になり、雄大にあこがれる
体質の人(シャア・アズナブルのような)は焦がれるような革命願望者になるので
あろう。
268ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/05 00:02 ID:???
つまらん。
269通常の名無しさんの3倍:02/12/05 00:04 ID:rQW1UU1w
hk
270通常の名無しさんの3倍:02/12/05 00:11 ID:???
おもしろい。
ていうか、この作者は凄いぞ。
この時期に、カテジナ・ルースが登場する。
彼女が公式に連邦政府より居住が認められているウーイッグの町に住んでいる
ことはすでにのべた。ウーイッグは不幸にも、ベスパの戦闘部隊イエロージャケ
ットにとって、リガ・ミリティア殲滅のための標的となっていた町であった。
〜中略〜
しかしそれにしても、カテジナが、私はベスパのMSパイロットになります、と
いうことが十分には理解できない。彼女をもし小説に書くとすれば(書くつもりは
ないが)私は迷うにちがいない。
272ミライ ◆0g8ZFKZMGk :02/12/05 00:15 ID:???
つまらん。
273通常の名無しさんの3倍:02/12/05 00:21 ID:rD85VXuS
「竜馬がゆく」で何か作ってください。
以上のように考えると、カテジナがひたすら人殺しをしてゆくという精神
はよほど異常なことだということがわかる。
その人道的にも異常なことをあえてやったのは、自分に幸せをもたらしてくれる
はずのクロノクルとウッソが期待するほどの男ではなかったこととおそらく
無関係ではあるまい。むろん逆に、自ら不幸のどん底に向っているのだから
戦いをやめてもとの生活に戻ればいいじゃないかという発想もありえるが、
この場合、戦闘行為に訴えているのは、自分が固執したクロノクルへの、男らしく
あってほしいという啓発、ウッソに対する少年ゆえの理解力のなさなど、様々な
要因が考えられるが、基本的には彼女の性格に帰結する問題であるにちがいない。
戦乱というこういう場合の諸条件のなかで、ひたすら自己の幸福のみを追求し続け
ていくということが、とくに女性の例だからこそ露骨なまでに濃厚に出てくるように
おもえる。
275:02/12/05 00:26 ID:???
>>273
竜馬がゆく、まだ読破してないのです。
しばらくお待ちください。ネタを考えますので。
276通常の名無しさんの3倍:02/12/05 00:28 ID:???
んじゃ俺もリク。
新撰組血風録でひとつ。お願い。
このスレお気に入りです。
あとは性格と固執が行動を決定すればよい。
彼女はむごいまでにシュラク隊などのウッソのまわりの人々を殺戮していくが、
そんな彼女が最後までこだわったクロノクルは、かつて自分をくどいほど慕っていた
ウッソによって天に還る。
クロノクルを殺したウッソに対する憎悪ははかりしれないものがあったであろう。
もっともごく普通に戦争について考えれば敵を殺す可能性があるということは、
味方も当然敵に殺されることが可能性として充分に考えられることであり、いわば
お互い様ということもいえる。クロノクルの死はあくまでもウッソとの紙一重の技量
の差で敗北した結果であり、それを逆恨みすることは戦争に関わっている以上、都合
のいい身勝手といえる。
それでもなおカテジナはウッソの言葉に耳を貸そうとせず、私に優しくしてくれたのは
クロノクルだけだ、お前は私に優しくなかったと私的な言葉をウッソに叩きつける。
おそらく、己の「業」に最後までとらわれた女性であったことは間違いない。
278:02/12/05 00:43 ID:???
>>276
おお、お気に入りとは・・・・ありがとうございます。
時間がかかるかもしれませんが、書いてみますね。
彼女があるいは弱い男を軽蔑していたために、理想のために戦う強い男を
過剰に求めていたとすれば、以下のようなことが考えられる。
彼女の父親は仕事にうちこみ家庭をこれっぽっちも顧みることがなかった。
その父に愛想をつかし、愛人に走ってしまう母親。しかし父親は己の不能ぶりが
家族をそのような結末に導いたということをはなから理解できず、ウーイッグ
での民間人攻撃がおこなわれている最中でも、ひたすらに自分は正しかったと
いうことに固執しており、それに対してカテジナが心の底から苛立ちと父親に
対する怒りを覚えたという推測をすれば、彼女のクロノクルを求めていく気持ちと
そんな彼女をかつての「ウーイッグのきれいなお姉さん」に戻そうとするウッソ
への強烈な戦闘精神がわりあい容易に理解しうるのである。


結局は、カテジナは生き残ったようだ。
しかしこの生き残りの仕方はどうもルール違反のような感じもするが、
その罪の部分として光と記憶を喪うという背負いがあるため、完全に生き
残ったとはいえないのかもしれない。
それにしても興ざめするほどに強烈な自己への執着心であり、ひるがえって
思うと、誰よりも私は幸せになりたいという強烈な感情が、彼女をしてベスパに
鞍替えさせ、MSのパイロットとなり、またクロノクルの死後、もはや終えても
いいであろうエンジェル・ハイロゥの戦闘をさらに続け、あくまで純真に
迫るウッソをだまし、そしてついには天使としての昇天すら「許されず」地上に
墜された駄天使としてみるほうが、どうやら妥当らしい。



281燃えよ剣より:02/12/05 01:09 ID:???
夜更けとともに、部屋がこごえるように寒くなってきた。
はじめ、ふたりは体を寄せた。ついで、ブランケットをふたえにし、一つのベッドで寝てから、やっと落ちついた。
「はずかしい」
と、最初、ララァがいやがった。素肌のままで寝ることを、である。
「ララァ。私は」
と、シャアはきまじめにいった。
「ララァを、尊敬してきた。私は母の顔を記憶せずに育った子供で、
養父のマスに育てられてきたようなものだが、ララァにはその母の面影があった。
そのことが、ララァに引き寄せられた理由だったのだが、同時にどこか馴染めなくもあった。
しかし知り合う事が深くなるにつれて、ララァはこの宇宙のたれにも似ていない、
私にとってたったひとりの女性であることがわかってきた。.......................私は。」
シャアは、いつになく多弁になっている。
「私は、こう..................、どちらかといえば、いやどう云えばいいかな、
そう、いつの場合でもひとに自分の本音を聞かさないようなところのある人間だったようにおもう。
過去に女も知っている。しかし、男女の痴態というものを知らない。」
「..............そ、それを」
シャアは、幼時にはジオン・ダイクンの嫡子として育てられた男なのだ。ララァは眼をみはった。
「わたくしにせよ、とおっしゃるのでございますか」
「頼む」
シャアは、語調を変えずにいった
「私は二十になる。このとしになって、男女の痴態というものを知らない。」
「それは」
「ララァも存じませぬ」
「それは」
シャアは、ぐっとつまった。
282燃えよ剣より:02/12/05 01:10 ID:???
「そうだが。................しかし、ララァ、私はそんなことをいっていない。
私は、なにも男女の愛の極は、痴戯狂態であるとは思ってはいない。
だが私は、ララァと、なにもかもわすれて裸の男と女になってみたい」
「わたくしには、できそうにありませんけれど」
「二夜ある」
「ええ、二夜も」
「五十年連れ添おうとも、ただの二夜であろうとも、契りの深さにかわりはないとおもいたい。ふた夜のうちには、きっと」
シャアは、言葉をとめた。しばらくだまってから、
「私は、どうやら恥かしいことをいっているようだ。よそう」
といった。
「いいえ」
こんどは、ララァが首をふった。
「ララァは、たったいまから乱心します」
「乱心?」
「ええ」
「そんな」
シャアは、くすっと、笑った。
「お笑いになりましたね」
ララァも、そのくせ忍び笑いを洩らしてしまっている。
「こまったな」
「困りましたわ。覚悟して、ただいまから乱心いたします、と申しあげても、ララァはララァですもの」
とはいったものの、ララァは、自分がおもわず洩らした忍び笑いによって、
心のどこかがパチリと弾けてしまったことに気づいていた


そのハンブラビのパイロットはヤザン・ゲーブルである。ティターンズの
中では荒くれ者の名物男で、そのMS技能の他は大したことはなかったが、
まるで殺人嗜好者のようにMSや艦艇ごと撃ち落すのが好きな男だった。
シロッコもバスクも強烈な一撃をエゥーゴに加えるときには、この男を使った。
284:02/12/05 01:31 ID:???
>>281-282
今日読んだ箇所だ・・・・凄い、はまってる。
池田秀一と藩恵子の声が脳内に浮かびましたよ(w
ぜひともお二人に朗読してもらいたいですね。
285通常の名無しさんの3倍:02/12/05 02:03 ID:???
面白いです
286通常の名無しさんの3倍:02/12/05 02:50 ID:???
カテジナさん、イイ!!
287:02/12/05 11:44 ID:???
一旦ネタ考えるためにageときます。
288通常の名無しさんの3倍:02/12/05 12:21 ID:???
>>283
鍬次郎かよ…(;´Д`)
289ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/05 19:43 ID:???
つまらん。
もっともジャミトフを動かしているものは、ほかにもある。一つはジョン・コーウェン
そのものへの憎しみであった。もう一つはーひょっとするとこれがジャミトフを動かし
ている主なものかもしれなかったがースペースノイドに対する諸問題を解決するため
にかれは自らの手による組織をつくりだそうとしていた。むかし、佐官クラスであった
頃、賭博組合に興味のある若者を勧誘してきてはその組織の規模を広げ、パッとしていな
かった産業をはやらせたのも、かれの功績であった。この野望という名の情熱が、こん
どはおのれの私設部門をつくることにかれはすべてを賭けていた。
それをはばむ者がいる。地球連邦軍中将ジョン・コーウェンである。倒せるかどうか。
コーウェンは少数派閥に属する者とはいえ、その名声と力量は群を抜いており、
スペースノイドにも理解のある数すくない将官であった。
ジャミトフは、待たねばならなかった。
コーウェンの派閥は、軍全体をみてもきわめて少数にすぎない。コーウェン
は開明将校で能力も十分にあったが、ジャブローの参謀本部ではかれはむしろ
警戒され、そのため軍内部で自分の勢力を扶植するといった行動はジャミトフら
抵抗勢力によって阻まれた。
ジャミトフもハムリン(のちのティターンズ中将)も裏工作を得意としている。とくに
ジャミトフは、懐刀のバスクを用いて下士官やパイロットにいたるまでこまかく働きかけ、
連邦軍提督ジーン・コリニーの名で小さな恩を売ったり、ジオン残党の流言を流して軽蔑
するように仕向けたりした。
292ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/05 23:07 ID:???
わざわざageて恥をさらすな。
つまらん。
293(風塵抄・常人の国より):02/12/06 00:00 ID:???
他民族(スペースノイド)というのは、風俗・習慣・歴史を異にしているだけでいか
がわしく、こちらの虫の居所(アースノイド)によっては、魔物のようにみえる。
たれもが固有の感情として、愛国心や民族愛を多量にもっている。それをわざわざ煽って
気化させ、爆発させることで政治的効果をあげたのがギレンやジャミトフに代表される
独裁者であった(中略)
さらにいい社会には奉仕の精神がみなぎっている。
また、精度のよくない他のコロニーや地域のために働きましょう、という精神がその社会
にあれば、いうことがない。
〜中略〜
そういうスペースノイドたちがサイド1で殺された。
殺したのは民主主義もしくは正義体系(イデオロギー)の集団である。
「絶対的正義」という旧世紀より続く幻想が、なお一部で共有されているのは、
おどろくほかない。自分の大脳を絶対という暗箱のなかに閉じ込め、あたえられた
訓言(ドグマ)で世界を見、自分の目で見ようとはしないのである。
絶対というのはこの世にない。宗教(旧世紀の仏教)も科学も相対論的であるため
アースノイドにはわかりにくい概念だが、しいてアースノイド的にいえば、「ダメな
ものはダメ」という姿勢である。相対という、他と話し合える掛け橋を焼き払ってし
まうのである。
絶対的思考には、かならず「敵」が設けられる。概念の上での「敵」を現実に倒した
ときのみ、閃光のように幻想が現実化する。宇宙世紀におこった無差別虐殺のかずかすを
思いうかべている。



294(風塵抄・威張る話より):02/12/06 00:10 ID:???
人はどうして威張りたがるのだろう。
むろんこの世はよくできていて、威張らない人のほうが、はるかに多い。
だからこそ威張る人に希少価値があり、観察にもあたいする。たれかこういう
同好会をつくってほうぼうに見学にゆけばどうだろう。
管理会社であるコロニー公社は、威張る職員が多い。そのため評判は当然わるく
威張る名所として認知されてしまっている。
295だよ、俺は。 ◆i72IgPwvOM :02/12/06 00:12 ID:???
つまらんな。
私どもは、いつの場合も自分の魂をもって相手の魂に話しかけねばならない。
しかし、名刺に刷られた所属会社の社員といきなり話さなければならない場合がある。
その場合、相手が連邦政府の役人のように魂を地球の重力によって縛られてしまって
いては、対応のしようもない。
数日前、私の好きな古株のファンの方にあった。
「いまの日本アニメのファンはいつ全体主義になってもおかしくはありませんね」
と、その人はアニメ・キャラクターのみに熱狂的になっている世代のファンに
ついてなげいた。
私はその通りだと、その危惧に賛成した。
298通常の名無しさんの3倍:02/12/06 01:01 ID:???
>>1
sage進行のほうがよくないか?
299:02/12/06 01:21 ID:???
>>298
そうですね、そうしましょうか。
300通常の名無しさんの3倍:02/12/06 01:28 ID:???

ageてコテ半に荒らされるのは勘弁してほしい。
ここは良いスレだぞ?みんな。
応援しとります。
301ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/06 07:54 ID:???
>>298-300
みえみえの自演。
つまらん。
302だよ、俺は。 ◇sPDAYOT.i6:02/12/06 13:06 ID:???
>>301
哀れだな貴様w
303通常の名無しさんの3倍:02/12/06 14:13 ID:???
ミライ ◆9Z5Tt/2MG2
はなんだかんだ言ってもちゃんとsage進行してる

結構いい香具師かも
304「沖田総司の恋」より:02/12/06 19:06 ID:???
(この平和は、誠に多くの平和の下に勝ち取られた物です──)
何度か、うなずいた。
アルはやりきれなかった。絶句したまま自分でも正体の知れぬ涙が、
まぶたにあふれてきて、あわてて手をやった。
(中略)
クラスメイトのチェイとテルコットが近づいてきて、アルの横にツト足を止めた。
「アル、泣くなよ。戦争はまたすぐ始まるって」
「そうだよ。そしたらさ、薬莢だけじゃなく実弾も拾えるしさ」
と、友は口々に励ました。
戦争が終って悲しんでいる。そういうひとりだとおもったのだろう。
305ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/06 19:29 ID:???
はいはいつまらんよ。
306 ◆Z8FCfLSPic :02/12/06 20:06 ID:???
>>305
おまえの方がつまらんぞ。消えろや暇人(w
307通常の名無しさんの3倍:02/12/06 20:28 ID:???
放置しとけよ
そのジオン公国をはじめとしたスペースノイドたちは、宇宙世紀がはじまって以来、
地球連邦というこの強大な国力をもつ政体に対してすさまじい反骨の精神を抱いて
いた。が、なおも勝利を重ねる連邦の実力を過大評価した。
「主義といい国力といい連邦にはかなわない」
と、各コロニー群に住むスペースノイドたちは思い、もしその連邦を過度に刺激する
ことによって、戦端でも開かれてしまえば、大怪我ですらすまない惨禍を蒙る、という
おそれが、かれらの対連邦観としていきていた。
ところが、デラーズ紛争における不手際は、地球連邦の実体を地球圏全体にさらけだし
た。その戦いぶりのだらしなさ、ジャブローの提督たちの亡国的な怠慢さ、対応力のなさ、
さらにはパイロットたちの連邦政府に対する懐疑や威信への信仰低下などなどは、戦後に
おいてうすうすそれを感じていたサイド側の専門家たちの目にも、意外なほどであった。

309ミライ ◆RKMgwFvN9Y :02/12/06 21:58 ID:???
つまらん。
310通常の名無しさんの3倍:02/12/06 22:51 ID:???
良スレage
311通常の名無しさんの3倍:02/12/06 23:03 ID:???
ヒソーリ終了
「ちょっといいかしら。あの人・・・」
とエマはガソリンスタンドの従業員に話しかけた。
「あの人ですか」従業員は迷惑そうに言った。
「政府からの預かり人で、民間人にばれては、まずい人らしい。エースという
噂がありますがね。名前は知りません」
エースと聞いたがどこから見ても軍人には見えないとエマはおもった。引き締まった
体つきをしているが、みるからに繊細そうな男である。
(どこから見ても・・・・)
噂の軍人とはおもえない。だがこのときの彼女の経験は、のちのエゥーゴ時代に生きて
くることになる(中略)
しばらくして、男がこちらをみた。自然、エマと視線が合った。
「あ、あの・・・・ここに住んでらっしゃるんですか」
とエマは愛想よく話しかけた。
男は用心ぶかい目でじっと見つめていたが、やがてエマの好人物そうな笑顔に、
多少警戒を解いたのか、片頬でちょっと笑ってみせた。それが、エマにはひどく
好印象をあたえる表情であった。
「少し、話しませんか」
「ええ」
男は、車を走らせた。
ジェリド・メサ中尉はパプティマス・シロッコ大尉のように作動性の高い組織をつくる才能と
ニュータイプ能力はなかったが、しかし一流のエースパイロットとしてはなかなかの
玄人であったように思える。かれのやり方は、言動といい選民意識といいひどく狡猾な人格
を想像させて、あまり好意をもてそうにない。たとえばシロッコのほうがまだしも大局的な視野
に立って物事を見、自分自身もある意味で正々堂々としているところもあって勇武の一面や
可愛さとかを感じれば感じられたりするところがあるが、ジェリド中尉の場合はそういうぐあい
ではない。
フォウ殺しでそのことがわかる(もっとも、同情できるところもなくはないが)
314通常の名無しさんの3倍:02/12/06 23:42 ID:R+pvTjn1
lh
315ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/06 23:42 ID:???
つまらん。
316(翔ぶが如く・好転より):02/12/07 00:16 ID:???
そのバウアーが、「ジオンの世は終りました」といわんばかりの態度で、
第一次ネオジオン抗争が終結するとすぐ外郭新興部隊設立の準備をしはじめたのである。
結局は、ティターンズと同じやり方で地球から宇宙を支配していこうという意図が出ている。
そのバウアーがあらたに組織しようとしている外郭新興部隊には、ブライト・ノア大佐や
同じく強力に推進しようとしているニュータイプ、アムロ・レイ大尉の存在がふくまれていた。
その他、精鋭ともいえる人材を集めようとしているのは、
「いずれまたハマーン・カーンのごとき者が興ってくる。その備えのためである」
ということであった。バウアーは先の大戦で計り知れない惨禍をもたらしたハマーンをもって
謀反人の先覚者としてみている(中略)
ハマーン・カーンというのは説明するまでもなく、アクシズ中興の功労者で、意気消沈していた
アクシズを自らの力量とカリスマでまとめあげ、ほどなくアクシズを地球圏に帰還させグリプス戦役
に中途参加、やがて漁夫の利を占めた。彼女はジャミトフ・ハイマン、パプティマス・シロッコ、
クワトロ・バジーナという名だたるティターンズ・エゥーゴ双方を手玉に取り、両者をほぼ
共倒れという形にまで追い込んで、地球圏を一時的ながら掌握した。


317通常の名無しさんの3倍:02/12/07 00:17 ID:???
つまらん。
318通常の名無しさんの3倍:02/12/07 00:18 ID:???
臭いスレageんなカス
319ミライ ◆0g8ZFKZMGk :02/12/07 00:19 ID:???
つまらん。
「ハマーンのようなものを到来させてはならぬ」
とバウアーがひそかに自分の派閥に属する連邦議員やブライトにもらし、とくに
ブライトには外郭新興部隊の司令官になるように要請した。このバウアーの読み方は
バウアー自身軽視していたかたちで実現してしまうことになる。バウアーがアムロらの
助言をもとに創設したこの部隊が、地球にとっても、連邦政府にとっても僥倖となった。


321通常の名無しさんの3倍:02/12/07 00:28 ID:???
このスレつまらないならみなければいい。
俺は面白いと思ってるからみている。
この時期、バウアーはひそかにアムロ・レイ大尉を呼び、
「ロンド・ベルの装備についてだが、どのようなMSの編成にすればいいかね」
と、純軍事的な見解をきいてみた(中略)
第一、政治家であるバウアーには軍事はわからない。数多い連邦議員のなかでも、この
分野に精通した族議員など、いまの連邦政府にはバウアーの派閥にすこしいるくらいである。
バウアーは、アムロのニュータイプに関する部分については理解すらできなかったが、最強の
エースであるというかれの履歴をみて、パイロット以上のものをもっているだろうと読んだ。
アムロは、バウアーの顔を真剣に見ながらつよく返答した。
「勝てるような編成にしなければ、勝てる戦いも勝てなくなる」
「そうだ。君の言いたいことはよくわかる。問題はその方策だ」
と、バウアーがきいた。アムロの答えは簡単であった。
「新鋭のMSジェガンを配備していただきたい。あと、エースパイロット用のカスタム機を用意して
いただければ、確実です」
バウアーは、アムロを見ながらいった。
「GMVではいけないのか」
と、言ったのだが、ここが彼のあまい部分であろう。新型MS・ジェガンの性能と、旧式MS・GMVの
性能の差がどれくらいなのか、政治家であるかれには完全につかむことができない。
しかしながらアムロは必死にバウアーに装備の重要性を説いた。ジェガンタイプのMSすらない状況で、
来るべきシャアの反乱をしずめることなどできはしないであろう。

323通常の名無しさんの3倍:02/12/07 00:53 ID:???
放置しろよ
この頃、連邦軍のほとんどはGMVを標準装備としていたころで、新型のジェガンに
切り替えようなどとは考えもつかなかった。GMVはのちに明らかになるが、ネオジオンの
主力汎用MSギラ・ドーガとは比べ物にならぬくらい性能がひくく、もっぱら大量投入という
かたちでしかつかうことができなかった。つまり、第一次ネオジオン抗争の痛手がまだ
完全に治りきっていない連邦にとっては、多額の費用を投じて主力MSを変える必要性が
どこにもなかった。
第一次ネオジオン抗争が終結したのは宇宙世紀0089である。その終結後、連邦軍は
ろくに戦える状態ですらなかった。艦隊を構成する艦船・MSが不足しているだけでなく、
エゥーゴ系軍人を除く連邦正規軍内の無気力ぶりが全体的な力不足をあらわしていた。
グリプス戦役から続く慢性的な戦闘状態は多数のエースや将校の命をうばい、生き残った
ものはほとんどが戦争自体に対して脱力感を感じている有様であった。
バウアーは、そんな中で己の政治的名声を高める手段として、外郭新興部隊創設を考え、ブライト
をもってその司令官とした。ブライトは一大佐にすぎなかったが、一年戦争以来の名将であるかれを
多数の議員が野心ありと疑うなかで抜擢し、エゥーゴ・カラバ系の力量ある人材をかれの指揮下におかせた。
ブライトはほぼ権限を委任され、部隊編成・人材配置を的確にして、ロンド・ベルの陣容を
整えた。
すでに何度かふれたように宇宙世紀0092・12月13日、ネオジオンは連邦政府
に対し攻撃を示唆したのである。このとき各地のスペースノイドたちはよろこび、
「シャア・アズナブル閣下がついに立たれる」
と、期待した。
ここでいおうとしているのは、そういうことであった。つまり宇宙世紀0092・
12月22日、シャアが「スウィート・ウォーター占拠」ということで揮下の艦艇を
レウルーラを率い、MSギラ・ドーガなどを引き連れてスウィート・ウォーターに入る
という報が四方につたわると、
「シャア総帥が艦隊をひきいてスウィート・ウォーターに入られた。世直しをやるつもりである」
と、各地のスペースコロニー群につたわった。
シャアという存在は、多数のスペースノイドたちのとって「世直し」の象徴として期待されていた
のである。
328ミライ ◆3zTzfgrLPs :02/12/07 01:43 ID:???
つまらん。
329ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/07 01:44 ID:???
つまらん。       
シバ「連邦軍提督の股肱である高官というのは、まあジャミトフですね。そのジャミトフ
という個人が大きな連邦政府の財力を動かして特務部隊をつくるわけで、特務部隊っていう
のは人がいる。その人間のほうは、四捨五入していえばジャミトフと師弟の関係なんだろうね。
艦長さんも、ガディ・キンゼーのような提督も、ジャミトフ先生の弟子であるということに
なるんでしょうね。そうすると、どこから見てもジャミトフのもの、私的なものになるわけですよね。
いまになって考えれば、ティターンズはジャミトフの私兵だったということがわかるんだけども、
当時としちゃ、アースノイドも、いや、あれは連邦政府のものだと思うだろうし、おおかたの
スペースノイドも思ってたろう。しかし実質的には、エゥーゴはジャミトフの私兵と戦ったわけよね。
そうしたら、ジャミトフは、艦艇が一隻でも沈んだら、自分の政治勢力がその分だけ減る。だからできる
だけバスクやガディ・キンゼーに「少数部隊でエゥーゴを殲滅せよ」と相手に有利にさせるようにしむけておいて、
結局華々しくやる頃にはエゥーゴの反攻を招いてしまってるでしょう。まあ、そういうのがティターンズ側から
見たグリプス戦役の本質やと思う」
チン「しかしね、体質的には旧世紀に逆戻りしてるんだけど、アースノイドたちにとっては「新機軸の軍隊」なんですよ。
昔の、旧世紀の軍隊ってのは、おもに金のない庶民の次男坊、三男坊が入って、これらが中核となっていた。だけども
ティターンズは残党狩りの部隊だから、当然仮想敵は自分達よりも少数になる。むしろ旧世紀の軍隊よりも、烏合の衆
の色合いは濃い感じだな。それを宇宙世紀にもってきたのがジャミトフだね」
331ミライ ◆4etoz7nPdA :02/12/07 03:00 ID:???
>>328,329
つまらん。
332通常の名無しさんの3倍:02/12/07 03:44 ID:???
いつも楽しく拝読させていただいています。
書き手の方、ガンガッテください。
333通常の名無しさんの3倍:02/12/07 12:12 ID:???
ふと気になったんだが、作品全てを1が書いてる訳ではないんだよね?
何人くらい職人さんがいるんだろう?
334通常の名無しさんの3倍:02/12/07 12:26 ID:???
一人+αと思われ
335通常の名無しさんの3倍:02/12/07 15:24 ID:???
文章真似るなんてすごい応援カキコ。
336ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/07 18:07 ID:???

寂しい>>1の居るスレ。
337ミライ ◆27sV8qJlMw :02/12/07 19:26 ID:???
つまる
338ミライ ◆4etoz7nPdA :02/12/07 19:46 ID:???
寂しいミライ ◆9Z5Tt/2MG2が粘着するスレ。
339ミライ ◆CkO.oAY1x. :02/12/07 21:12 ID:???
>336-338
おまいら騙りはいけません。
私が本物です。
340ミライ ◆pkIkEz3Tbk :02/12/07 22:01 ID:???
(゚Д゚)ゴルァ!!
341ミライ ◆27sV8qJlMw :02/12/07 22:41 ID:???
>>339
勘弁しろよ糞虫
342名無しさん:02/12/07 23:00 ID:???
>>1
いや、マジ頑張ってください。
自分も駄文を書くので、尊敬しますです。
343ミライ ◆1HsfhjiPbI :02/12/07 23:05 ID:???
>>336-341
騙り(・A・)イクナイ!!
>>1
いや、マジ頑張ってください。
いつも駄文を書くので、つまらんです。
3451:02/12/08 00:05 ID:???
応援どうもです。明日はバイトなんであまり書けないかもしれませんが・・
>>332-335
元の文体がいいのでわりと書きやすいかな(パイロットのネタが書きにくいけど)
見てる限りでは職人さんは3人くらいですかね。
このスレに職人がいるとは思えんが?
職人気どりの>>1発見。
「スウィート・ウォーター決起」
については、それまで総大将としての責任をとろうとしてこなかったシャアもすでに
はらをくくり、覚悟のほぞをかためていた。むろんこれは天も地も一つにして投げ打つ
ような大ばくちになり、ネオジオンはこな微塵に砕けるかもしれない。
が、事態はさしせまっている。
ここでなお慎重に刻を待つというのは空論であり、自滅の道かもしれない。
シャアが、ついに自らトップになって歴史上類をみない大作戦を敢行しようとしている。
もしこのとき、シャアが地球寒冷化作戦にむかって決断しなかったならば、シャア・アズナブル
という名はこれほど巨大な名として後世に残らなかったにちがいない。
つまらん煽り方しかできねぇ奴ならいるけどな。
>344とかな。
一年戦争後のかれは生来のヒッキ―体質を肥大化させ、まだ壮齢でありながら政治の
表面にも出たがらなかった。口をひらけば、
「どうせ、俺など・・」
とつぶやき、眉をひそめながら愚痴のような議論をいうのがくせであった。この愚痴は
彼の性格から起因するものであるが、一年戦争後それがますますエスカレートしていった
ことについては、ニュータイプのありかたについての強い不満がー事実、革新を経た人々が
否応なしに経験せざるをえないようにーその心を病ませていたにちがいない。
アムロは理想主義者であった。そのため一年戦争では連邦的現実に不満を抱き、戦後は
ニュータイプの在りように対して不満を抱かざるをえなかったのだが、そのアムロにとって
むしろ不幸な性格は、前記と矛盾するようだが、現実という壁について、
ーそれは仕方がない。
という、わけ知りに似たようなあきらめがあったことである。アムロの理想主義と同居して
いる現実主義が、アムロをしてシャアの陣営に組みしなかったところであり、同時にかれを
して最後まで連邦サイドに所属せしめた理由であるかもしれなかった。

350踊る彗星(最後の将軍より):02/12/08 00:58 ID:???
が、この日のメラニ―との会談も出資者として強力な発言力があるメラニ―を無視して
物事をすすめることができず、結局は従わざるをえなかった。
クワトロは疲れた。
これほどに奮闘しても、踊っているのはクワトロだけであった。ウォンをはじめとした出資者
たちはエゥーゴのクワトロ大尉を、自分達の利益をもたらしてくれる存在としか見ていなかった
し、同志ともいうべきブライトやヘンケンも、立場はあくまで一軍人であるため完全に理解者・
支援者としては期待することはとうてい難しく、理想を共有しているであろうカミーユは無理を
しすぎていることがわかるために、これ以上かれに負担をかけさせることはかれ自身の危険につな
がってしまうかもしれない。アムロは宇宙にはいない。
クワトロは孤独であった。古来、これほど有能で、これほど出自や容姿がよく、これほど孤独な
人物もいなかったであろう。
しかも時勢はその底流において激しく動きはじめている。クワトロはその孤独な踊りをおどれば
おどるほど、そのつまさきからみるみる砂がくずれてゆくようであった。

351総帥の夜(最後の将軍より):02/12/08 01:12 ID:???
シャアは、夜はかならずナナイに伽(とぎ)をさせた(中略)
戦術士官として、また秘書としても有能なナナイは、まさにシャアにとって世間体を
つくろううえでも、都合よき愛情を発散させるうえでも、寵愛の対象となるにふさわしい
女性だった。その白い肌と、華奢かつ美しいうなじ、いかにもキャリア・ウーマンと
いうべききびきびした性格と、どこかで聞いたことのあるような榊原声は、シャアがときに
感ずる頂点に立つ者のやるせなさを、そのからだ全体でなぐさめてくれた。だがシャアは
ことが終わって寝入ったあと、ふとララァ・スンという寝言を洩らし、ナナイを激怒させた。
つまらんな。
ティターンズに勝ちうるエゥーゴの艦隊をワン・セットそろえるにあたって、まず
象徴となるかつての「木馬」(ホワイトベース)に似た艦艇をアナハイムに注文した。
予算が出資金で賄われるため、ティターンズの戦艦よりも戦闘力は劣るであろうが、
高速で、MS運用の面でも高水準であり、要するにこのアーガマと名づけた新鋭艦を
もって作戦の中核たらんとした。極端にいえば一撃離脱をもって敵艦のむれを襲おう
という考え方であり、その方法で、アーガマをつくった。
MSもそうである。敵は多数のMSをもっているが、クワトロ・バジーナ大尉がもたら
してくれたガンダリウム・γ合金製のMSによって、確実に敵MSを上回る高性能MS
を製造することが可能となり、新たにリック・ディアスと命名されたこの新型MSと、
新造艦アーガマとのセット、そしてモンブラン・クラスの巡洋艦のセットによって
エゥーゴは本格的な武力行使をすることが可能となりつつある。
ブレックスの構想は、見事に具現化されつつある。
戦艦ラーディッシュをアナハイム・エレクトロニクスに注文したのもこの時期であったが、
しかしこの時期すでに資金はつきてしまっており、前渡金を捻出することができず、
ブレックスは苦慮した(中略)
ウォンになにか知恵はないものかと訪ねると、ウォンは事情をききおわってから、
「それは准将、我々としてもこれ以上資金を提供することは困難だ。メラニー会長もグラナダの
企業家たちもいったいどこまでエゥーゴはやってくれるのかと半信半疑でいる。むろん、
事情は百も承知している。私が少しだけ出すが、まずはティターンズの新型MS・ガンダム
マークU奪取に成功してくれなければな。それならば他の企業家も、資金を出そう
という気にもなる」
事実、期間はやや遅れたものの、エゥーゴの有利な作戦展開によりラーディッシュは完成させる
ことができた。

355ミライ ◆9Z5Tt/2MG2 :02/12/08 02:17 ID:???
つまらん。
356だよ、俺は。 ◆i72IgPwvOM :02/12/08 03:05 ID:???
       ∧             ∧
       /.::ヽ           /.:: ヽ
      /.::: ヽ          /.:::: ヽ
      /.:::  ヽ         /.::::  ヽ     このスレは一体
     /.::::::.  ヽ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/.::::::::.  ヽ
    /.:::::::::::                 ヽ       何なのですか         
    /.:::::::::   /        ヽ     ヽ
   /.:::::::   / ‐・‐     ‐・‐\     ヽ
   ヽ.::::::       .::●●            /
    ヽ.:::::      .:::::            /
     ヽ.::::     \__/      /
      ヽ.::::      \/       /
       \.:::::            /
357ミライ ◆0RbUzIT0To :02/12/08 03:20 ID:???
うんこつまった。
358通常の名無しさんの3倍:02/12/08 11:48 ID:???
スレの趣旨すら理解できない香具師がいるとはな。
359通常の名無しさんの3倍:02/12/08 12:12 ID:???
>358
削除依頼したが流せと言われた。
一行レスは削除されんらしい。
360通常の名無しさんの3倍:02/12/08 13:13 ID:???
放置しとけよ
要するに、ロリコンでマザコンでシスコンの救いようの無い男だとハマーンは思った。
小柄で未発達の14歳ハマーンの体をはじめて抱いたとき、「ああ、ロリータはいい」と何度も言い、
「私がアクシズにきたのは、ミネバ様を抱きたかったからだ。
こうしてロリータを食っていると、17歳以上はババアだ、とつい思ってしまう。」と
あどけないほどの高調子でいった。
その夜、ハマーンは、もし自分をババア扱いしたらこの男を殺してやるとおもった。
362通常の名無しさんの3倍:02/12/08 20:35 ID:Iqdi60nE
「燃えよ剣」
下巻の10頁くらいで歳三VS七里の所をアムロとシャアがア・バオア・クーで剣
で戦うことと最後付近でゴンドラチェンコ少将=ドズル、歳三=ガトーで職人さん
にリクエスト
3631:02/12/08 22:30 ID:???
>>361
「17歳以上はババアだ、とつい思ってしまう」
酷すぎ(w でも思ってそうだな、シャアなら。ナナイはどうなるのだろう・・・・
364通常の名無しさんの3倍:02/12/08 22:45 ID:???
>363
>>351によれば、ナナイ相手に毎晩励んでいるそうであります!
アムロとシャアはア・バオア・クー内で対峙した。一歩づつ歩みよるたびにお互いの
動悸がするどくなる。
「シャア!貴様!」とアムロはありのままの感情をシャアにぶつけた。
「ほう、白兵戦にも長けているのか」
シャアは落ち着いている。この男の性格によるものだろう。
「その力、ララァが与えてくれたものかもしれんのだ。むしろ感謝すべきだろう。
・・・いや、それよりも、問題なのは」
「貴様がララァを戦いに巻き込んだ!」アムロは先手をとった。
「それが許せないというなら間違いだな、アムロ君。この戦争がなければ、ララァの
ニュータイプへの目覚めはなかった」
「それは貴様の理屈だろう!」
アムロは歯痒い思いで聞いている。自分の頭にララァの声が響いてきそうな気がした。
「アムロ君。私は正しいものの見方を言っているだけだ。私とて木馬とはじめて
戦闘をしたときの状態でとどまっているわけではない。これでも赤い彗星と呼ばれたことの
ある身だ。今までも数え切れないくらいの戦果をあげてきた。だからこそわかることがある。君の
ようなニュータイプは危険すぎる、ゆえに私は君を殺さねばならない」
「それ以上近づくと、撃つぞ」

「シャア・アズナブル、参る」
ツツと進んだ。アムロは身構えた。構えるのは白兵戦用のサーベル。
室内にたてかけられていたものである。
きらり、とシャアが突き入れるサーベルから淡い光りがひかった。かわした。
シャアは上段。アムロは癖のある構えであるが、なにぶん白兵戦闘の経験はすくない(中略)
シャア、間合いをつめた。そのとき、見慣れぬ女性兵士が室内にかけこんできて、
二人にむかって叫んだ。アムロとシャアは驚きをかくせない。
(まずい)
と、アムロはおもった。予期せぬところにセイラさんが来たものである。男同士、正々堂々とシャアとの
決着をつけるつもりでいたのにーアムロは不意をつかれたような気がした(中略)
シャアは踏みこんだ。とびあがった。上段から、電光のようにアムロめがけて突き入れた。
が、その刻、一瞬。
アムロのあたまに、ララァの声がひびいた。両者同時にあたまをヘルメットごしにぶつけ合った。
アムロの突き入れたサーベルの痕が、シャアの額に刻まれた。
「今、ララァが言った。ニュータイプは殺しあう道具では決してないって」
お肌の触れあい会話である。だが、シャアはまだ闘志をすてていない。
「戦場では強力な武器になる。やむを得んことだ」その一言にアムロは苛立った。
「貴様だって!貴様だってニュータイプだろうに」
そのとき大きな爆発がセイラの背後で巻き起こり、三人は爆風で吹き飛ばされた。
同志になれ。その言葉がまだ余韻をふくんだかたちでのこっている。だが、気がついたときには
その場にシャアの姿はなかった。
フォウはカミ―ユにもたれかかり、おとなしくなった。結果からいえば、カミ―ユが
自分の前にあらわれてくれたからこそ、ホンコン・シティでの大事な記憶がフォウに
残ったともいえる。フォウは不思議な少女だった。
ーねえ、カミ―ユ、頼める?
と、カミ―ユの耳もとでささやいたときは、数時間前のティターンズ士官を前にしたあの
ときとは声まで別人のようだった。
ーお願い、キスして。
(フォウ・・・・なんだろう、この引っ張られるような感じは・・)
いままで出会ったどんな女性よりも、彼女には強烈な思念を感じるのだ。こんな感じ
は、いままでにない新鮮なものであった。

フォウは、湯船から出た。
そのあと、ふと夜分ながら化粧をしようとおもい、灯をあかるくして鏡にむかった。
カミ―ユをおもってのことである。
(カミーユ・・・カミーユとわたしとの、新しい思い出・・)
フォウはカミ―ユを最初、気になる存在として近づいた。フォウは戦災孤児であり、
記憶のないまま、ムラサメ研究所に入れられ、強化人間としての教育をうけた。
彼女の男性観は、強化人間である自分を利用するだけの存在としかうつっておらず、ましてや
自分を理解しようとする気持ちなど、男というものは持ち合わせてはいないだろうということが、
無意識のなかにある。
フォウが物心ついたときには、ナミカーなどの教育者の思惑通り、彼女は一般の女性がたどる人生
とはまるでちがった路線を歩ませられており、それはフォウにとっては修正のきくものではなかった。
彼女が焦がれるように求めている「自分らしさ」その解答を研究所は握っている、約束を果たせば記憶を戻してくれる、
とフォウ自身がかたくななまでに信じきっていたために、カミ―ユがマークUで、サイコガンダムに
搭乗するフォウに対し、あれほど彼女に対して手を差し伸べたにもかかわらず、結局は袂を分かれる
かたちとなってしまった。
だが、カミ―ユへの気持ちについては、
(好きだな)
というような想いであっただろうとおもわれる。
チン「グリプス戦役前のジオン残党らの暴動や連邦軍バックランド基地占拠に対する
処置では、ジャミトフは、ティターンズは連邦特務部隊というより、自分の私用軍隊
みたいなものだから、これは損したらいかんと思って、非常に小規模に戦力を出して鎮圧
している。初段階からそういう癖はあったわけだし、逐次投入という愚を改めないから、
結果的にエゥーゴに敗れ、残党どもと罵っていたハマーンらに接収されるわけだ」
シバ「近代的な見方をすれば、ジャミトフというのはどうしようもない「英雄的官吏」、
だから汚職のかたまりみたいなもので、自分で艦隊も持っているし、ガルダ輸送機だって
持っている。ガルダの部隊には連邦正規軍の将校をもらっていましたな」
チン「ブラン少佐などの、陸上基地所属の将校の一部が参加してますな」
シバ「ブラン・ブルダーク少佐は叩き上げの前線指揮官でしたね」
チン「地球を守る義勇兵といってもいいでしょう。俺たちの地球を汚させはしないっていう感じですね」
370:02/12/09 13:38 ID:???
一旦ageときます。
シバ「目が地球の内部内部へ向いている・・・」
チン「それでできるかぎり戦力を保存しておかないと、抑止力として効かないですからね」
シバ「だからグリプス戦役は、ジャミトフの私軍とエゥーゴとの戦いであって、国際的には
グリプス戦役だけれども、内実はそういうことだったとも言えるわね。本拠地のグリプスには
かなりの数の、一年戦争・デラーズ紛争をくぐりぬけてきた勇敢な船乗りたちがいて、軍艦も
アレキサンドリアなんかはエゥーゴの艦艇よりも優秀だった。最初こそハイザックとかマラサイ
ぐらいしかMSを搭載してないですが、終盤はすさまじい性能を備えたMSを配備してるでしょう。
艦隊戦というのは、所詮、装備力ですから、軍の常識からいえば、エゥーゴの負けですよ。
ところが、ティターンズの実戦部隊指揮官のバスクは艦隊保全主義者のジャミトフから訓令を受けており、
かつ敵であるエゥーゴそのものを侮る気質をもっていたから、グリプスに一時引っ込む。ジャミトフもバスクも
ジャマイカンが統率する少数部隊で片付けられるだろうという気が、十分すぎるほどにあったんでしょうね。
ジャマイカンはともかく、指揮下にあるパイロットのマウアーやジェリド、強化人間のサラやヤザンなんて連中は
力量もあって強いわけなんだが、なにぶんにも数が少なすぎたのと、予想外の敵の強力さに次々に撃破されてゆく。
なぜかヤザンはここからいなくならなきゃいけないキャラなのに生き残ってたけど(笑)」
チン「ヤザンはね、ついてるから(笑)強運だけは人一倍、技量も人一倍あるけど」
シバ「あのときにやってしまったジャミトフらの判断は、舞い上がっている状態だからムリないって思うけど、
それはまさに崩壊の序曲だったわけだよね。だからヤザンもあんな運命に(笑)」
372通常の名無しさんの3倍:02/12/09 15:02 ID:???
371 Study! =>
    ・ジェリドはマウアーよりも格下
    ・ヤザンは再格下
    ・サラは強化人間
373通常の名無しさんの3倍:02/12/09 15:06 ID:???
361 Study! =>
   ・ティターンズはジャミトフの私用軍隊みたいなもの
   ・ガルダタイプの輸送機(スードリ?)はティターンズの所有物
374:02/12/09 15:38 ID:???
>>372-373
くぐってみたら間違いがあることに気がつきました。訂正どうもです。
(そのとおりだ)
とわれながら自分をそう思う。狂人であることを、ひそかにみとめていた。
どころか、自分を狂人に仕立てようとしていた。木星には、人を狂人にする要素が
あるのか。
つねに人を行動へと駆り立てている。木星帰りの人物は、つねに自分を主題を燃やし
つづけているかのような感覚がある。この人間の世で、自分のいのちをどう使用するか
、それを考えるのが木星帰りの人間に共通する思考法であり、考えにたどりつけばそれを
つねに燃やしつづけ、つねに行動し、世の危難をみれば断乎として行動しなければならぬ
という、つねに激しい電磁性を帯びたおそるべき者たち、それが木星帰りである。
ーいい先例がいる。
と、シロッコはおもった。木星帰りのよき先例であったシャリア・ブルのことである。
ヘリウム輸送船団とともにサイド3へ帰還したシャリアは、ギレン・ザビのキシリア
監視の密命とともに突撃機動軍に編入され、ニュータイプ専用MAブラウ・ブロ搭乗の
パイロットとなるが、初戦で連邦軍のMS・ガンダムと遭遇、敢闘したものの、撃破された。
かれは自分の使命をニュータイプ全体の平和を樹立するための一人であると、自らの主題を明確化
していた。もっとも、人間の美というものに手きびしいシロッコは、かならずしもこのシャリアを
たたえているわけではない。人の革新・人々の先頭に立って主導していかねばならぬニュータイプで
ありながら、早死にするとはどういうことだ。シロッコにとっては、シャリア・ブルという存在は、
一つの例でしかなかったといえるだろう。
(ー自分が)
という気持ちがある。自分以外に、誰がこの人類全体を救えるというのかという陶酔感と悲壮感が、
この木星で経験をつみ、覚醒したパプティマス・シロッコの信念となっている。自分のいのちを使える
方法と場所を、自分が発見しなければならない。そのことが苛立ちの要因であったのが、今回のティターンズ
への参加によってその可能性が到来した。
376通常の名無しさんの3倍:02/12/10 09:11 ID:???
377ジャブローの護衛者:02/12/11 00:02 ID:???
連邦軍提督コリニーは、ティターンズ総帥ジャミトフから報告されるまでもなく、
くわしく知っていた。
「天誅が、なおやまぬそうだな」
と、コリニーは、いらだたしくいった。事実そうであった。ティターンズが創設され
て以来、しばらくは鳴りをひそめていた残党どもが、ふたたび跳梁を開始しはじめている。
「すこし、手ぬるすぎはしまいか」
という意味の批評を、コリニーは婉曲に言った。
378ジャブローの護衛者:02/12/11 00:14 ID:???
ジオン残党たちは、デラーズを中心として「星の屑作戦」をおこしその作戦完遂
によって、一挙に連邦軍総司令部・ジャブローを潰滅させようと企てていた。
その連邦軍撃滅への道具として、アナベル・ガト―少佐が強奪したガンダム二号機(コード
ネームサイサリス)に搭載されている核と、スペースコロニー一基を用いることとした。
このためシーマ・ガラハウらジオン海兵部隊らを結集し、精力的に星の屑作戦を実行しつつ
あった。
379坊ちゃん(きつね馬より):02/12/11 01:08 ID:???
ところがとうの木馬はまだ撃破していないのである。よくよく考えれば、自分はジオン
地上軍の戦力よりも少数で木馬をあれほど追い詰めてみせ、北米大陸に誘い出しもした。
だが誘い込んで袋の鼠に当然できるところをこのザビ家の末子は、いまだ木馬を持て余し
ている。
(が、表面はいかにも名将という風格をもっている。しかし実体はそうではない)
ともっともよく知っているのは、かれの士官学校時代からの友人シャア・アズナブル少佐で
あった。実体は、兄・姉に似てもにつかぬお山の大将にすぎない。ただ姉のキシリアや、恋仲
であるイセリナに対し、男としての面子をみせたいがために奮闘している。戦線は膠着している。
若さ故の苛立ちもある。自分には才能がある。しかし実績がない。その盲点を、襲来してきた木馬
を撃破することで、一挙にジオン十字勲章ほどの武勲を立てることができる。だがシャアは、
(ガルマにできるくらいなら、とうの昔に私が木馬を沈めているさ)
と、影ながらそうおもっている。
380通常の名無しさんの3倍:02/12/11 02:04 ID:???
good
381通常の名無しさんの3倍:02/12/11 07:54 ID:???
よい

すご
382通常の名無しさんの3倍:02/12/12 00:08 ID:???
                                     .
後世の史家が、
「ロナ家崩壊の要因をつくりだしたのは、ナディア・ロナである」
という意味のことをいったが、多少陰影がちがっている。彼女にとって、ロナ家の
娘として生まれてしまったこと、結婚相手として選んだカロッゾという学者に自分
が感じるほどの魅力がなかったゆえに、みずから新しい男を探し出してゆき、ロナ
家との縁を断ち切ったにすぎない。そこには、どんなときでも、どこまでも「私らしく
ありたい」という胆気に似たようなものがにおい出ている。
彼女の晩年についてはよくわからないが、おそらく最後まで自分らしさを貫いたのであろう。
自分の行動についての悔恨といったようなにおいが、どうもみられない。
(この子は、おもったほどの人物ではなかったかもしれぬ)
マイッツァ―のみるところ、ドレルはパイロットとしての素質は十分であり、
指揮官としての統御もまずくはないが、政治家としての素質や、組織などを
動かしうる総司令としての才能まではないようであった。なるほど貴族として
の教養はある。詩歌にも堪能で、バイオリンも弾き、ダンスも踊れるなど、その
点では宮中でのつきあいに事は欠かない。しかしそれらの教養は宮中でこそ役に
立つが、これからのロナ家を統率していくうえではどれほどの才能が期待できるのか。
(やはりカロッゾをこえる器量を望むのは難しいのやもしれん)
マイッツァ―は亡きハウゼリーが生きておればと後悔をおぼえたが、かといってドレル
に必要以上に期待するのはむしろ愛する孫に対して不憫であるとおもい、だまっていた。
「国家を護らねばならない」
とジャミトフは言いつづけたが、実際にはアースノイドや自分の支持派閥を
まもるためであり、そのためにティターンズへの絶対的忠誠心を国民や議員ら
に要求した。すべてジャミトフが設立までに経験した、スペースノイドらに対する
戦慄と衝撃から出ている(中略)
ジャミトフは創造的才能はなく、従って構想者ではなかった。原型が創造してくれ
たものを、かれは黙々と実行してついに仕上げてしまうのである。
かれの最初の原型は、連邦軍中将でかれの政敵であったジョン・コーウェンであった。
コーウェンの理想は民主制を基本理念とする強い連邦軍の秩序維持というものであった
らしく、これを成立させるために核武装を前提としたガンダム開発計画と、大規模艦艇
建造計画を構想にもち、現に実行した。が、一連のデラーズ紛争に関わる責任問題と、
上官であったコリニー提督によって失脚せしめられ、ジャミトフが階段を数段とびあがる
ようなかっこうでその後継者というべき立場(厳密には超法規的だが)についた。が、
ジャミトフが実現せしめたそれは、コーウェンのもつ開明的な光彩を完全に抹消した
かたちのものであった。

ティターンズ設立後のジャミトフにとって、つぎの原型はジオン公国総帥ギレン・ザビ
であったろう(中略)
ギレンの死からわずか5年ほどでジャミトフがティターンズ総帥として、ギレンの絶対
専制主義を仕上げるとともにギレンすらも考えなかった絶対民主制を建前とした特権集団
をつくるのである(中略)
原型であるギレンは徹底的な国権主義者であったが、その国権主義は将来、連邦政府を屈服
せしめた後の秩序作りのための方便という含みがもたれている形跡もあったが、模倣者の
ジャミトフにはその気分すらなかった。
「兄は、乱臣賊子になるのではないか」
という疑念が、セイラにはあった。人間というのはひとたび国権主義の立場
に立てばときに人格が変質し、おそるべき憂国家に化る場合がある。砂漠の
光景をみて人類滅亡の前兆を予感したり、あるいは民衆の惰弱な風俗が恐ろ
しくなり、思想家を狐疑し、それに悪を感じ、森羅万象の動きがことごとく
「人類の前途に害をもたらすのではないか」というふしぎな衝動を感ずるよう
になる。セイラ・マスは、ダカールでの兄の演説を聞いてその種の「狐疑」を
もった。
388通常の名無しさんの3倍:02/12/12 12:10 ID:???
司馬遼太郎は食わず嫌いだったが、なんだか読みたくなってきた
389通常の名無しさんの3倍:02/12/12 19:12 ID:???
>>388
前半の作品はおすすめだぞ
390通常の名無しさんの3倍:02/12/12 20:18 ID:???
>>388
オレ的には三条蹟乱刃(新撰組血風録に収録)に
峠、燃えよ剣がおすすめ。

特に三条蹟乱刃の井上源三郎はマターリしていてスゴク(・∀・)イイ!!
391通常の名無しさんの3倍:02/12/12 20:29 ID:???
蹟 → 磧 ね。誤字スマソ。
ジェリド・メサ中尉の情熱というのは、かれが特権階級の、それこそ佐官クラス
以上の待遇であったならこのような具合ではなかったかもしれない(中略)
グリプス戦役時に世に出て、特務部隊であるティターンズを強化すべく奮励した
多くのパイロットたちはジェリドのような壮士の気質をもっている。
エゥーゴへ寝返ったエマ・シーンを襲撃し、時間差攻撃を発案したカクリコン、
その恐るべき狂気と技量でエゥーゴ側を震え上がらせたヤザンなど、全てが独断
先行をするような気質の者たちではないが、多分にそういう気分に溢れていたこと
はまちがいがない。

ジェリド・メサ中尉は、空港でのあのカミ―ユとの一件がなければ、業に
とらわれるかのような空しい死に様をすることはなかったであろう。
「カミ―ユって名前なのに、なんだ男か」
とごく自然にいった彼の気持ちは、この後、カミ―ユの殴打の一撃が食らわされる
ことによって大いに傷つけられた。
元々、ティターンズの一員たるものはスペースノイドへの配慮を気遣う必要もなけ
れば、それを自然体としてするべき倫理綱要などあろうはずもなかった。ジェリド
からすればのんびりと自分たちが特権階級であることの身分を享受しているだけで
よく、この安堵感があるために偏見を口に出したところで相手はこちらがティターンズ
だと知ってすくむか、怯えるか、どちらかであろうと思ったのである。
394通常の名無しさんの3倍:02/12/12 23:56 ID:???
>>388
こういう人が出てくることが、このスレの最大の功績だよなー。
自分もこのスレ読んで「坂の上の雲」全巻買っちゃったよ。伊地知むかつく(今、旅順総攻撃中)。
同じジオン公国軍の士官でいえば、アナベル・ガト―少佐はドズル・ザビ中将に
酷似している。どちらも胆力がある。学問がないが、最も戦好きでしかも巧者で
あり、将士の信望を一身にあつめていた。ドズル・ザビ中将の戦死後、公国軍全体
の士気がにわかに衰え、あれほど早期に終戦協定となった最も主な原因の一つを
つくった。
396:02/12/13 00:24 ID:???
>>388
やはり坂の上の雲・燃えよ剣・関ヶ原がオススメです。幕末ものは外れがないと
思いますよ。
>>394
乃木と伊地知でネタを書きたいと思ってるんですが、該当するキャラはだれだろう?
マリアが地方に巡賜してホテルで風呂などに入ると、あとでごっそりその
残り湯を頂戴しにくる習慣があった。サイド2などのマリア主義の洗礼を
受けていたコロニーではごく普通のことであったらしい。残り湯を飲むのである。
ティーカップでいきなり飲むのか、それとも水筒で汲み、せんをして家へ持って
帰って保存しておくのか、そのあたりのことは知らないが、いずれにせよそれを
飲用すれば難病もなおるという俗信があった。
398通常の名無しさんの3倍:02/12/13 01:30 ID:FJ2DBicr
>>396
 無能な将官は沢山いるけど参謀とセットとなるとなかなか・・・。
399通常の名無しさんの3倍:02/12/13 20:19 ID:mpLgUn2I
リクエスト
「燃えよ剣」下巻243頁、244頁
 近藤=デラーズ、土方=ガトー、慶喜=ミネバ
「風神の門」上巻208頁、209頁
 御宿勘兵衛=デラーズ、家康=デギン、結城秀康=ギレン
よろしく。
400通常の名無しさんの3倍:02/12/13 20:22 ID:???
>>399
思いついたのなら自力で書いたほうが良いと思われ。
いや、煽りではなく。
401通常の名無しさんの3倍:02/12/13 21:40 ID:???
んだ、
シチュは出来てんだし。
402通常の名無しさんの3倍:02/12/13 21:59 ID:mpLgUn2I
シチュは出来ても文才がないものですいません。
403「峠」下巻より:02/12/13 23:42 ID:???
「戦果だけが問題なのでな… 脆すぎるのだ」
とキシリアがトワニングにいった、あのことである。
「総帥がもっと早くニュータイプの存在を信じておられたらな…」というかのじょの感想は、
(このあたりが連邦とのちがいだ)ということであった。
スペースノイドは、共に苦悩し練磨して、文化を築き上げようとする。
MS-05やMS-06がいい例である。MS-05やMS-06というのは、ジオン軍初期のMSであり、単純な道具である。
道具が単純なだけにはじめての者が操縦してもどうにも扱いきれない。
その技術は単に「撃墜数」というよう結果として残るだけでなく、ジオン公国から専用機が送られたりする。
そこにエースパイロットとヒヨッコパイロットにわかれ、その差は地球とサイド3ほどに開く。
要するにMS-05やMS-06もエースパイロット(つまりジオン軍人)の世界のものなのだ。
新米パイロットや学徒兵とのちがいが、まずそこにある。
が、連邦はちがう。連邦にも技術はあるだろうし、その技術の深遠さということもあるだろう。
しかし、彼らは不器用なのか、物の考え方がちがうのか、MSや武器はすべて素人がすぐあつかえるように工夫し、
そのように仕立ててしまう。連邦軍が地球圏やソロモンを攻略したのは、ひとつにはそのようなことにもよるのだろう。
(ガンダムハンマーなど、なかなかの工夫じゃないか)
とキシリアは、いかにも不器用者が考えたようなこの工夫に感心してしまうのである。
しかし、エースパイロットたちはそれを馬鹿にする。どうしても自分達と戦い抜いた
MS-05やMS-06を捨てきれないのである。
(そういう考え方をすてぬかぎり、一事が万事、だめだ)とキシリアは思っている。
404通常の名無しさんの3倍:02/12/14 01:00 ID:???
小説は好きだけど、司馬遼太郎は好きじゃ無かった。つーか読んだ事も読む気もなかった。

でも今日「燃えよ剣」買ってもーた。っちゅーねん。
「新撰組血風録」と迷ったけど。
ルウム大会戦における作戦目標、コロニー落としを成功させるべき部隊は、生え抜きの
工作部隊があてられる。
「よほど勇猛な将がいい」
ということで人選されたのが、大尉ランバ・ラルである。ジオン・ダイクンの側近にして
キャスバルの育ての親といえるジンバ・ラルの息子である。先の一週間戦争でコロニー工作
部隊の指揮をした経験を買われた。軍人としてはエリート・コースを歩んだ秀才とはちがい、
いわば叩き上げの将帥であり、ゲリラ戦や工作など、正規の軍人が不得意とするような分野
に長けており、潮時をはかることもできる天性の素質をもっている。
豪快な男で、部下たちの信頼もあつく、戦争中も動揺したことが一度もない。
サイド5へむかう前、ランバ・ラルは部下達にめずらしく演説をした。
「いまや諸君は、このランバ・ラルとともにジオン公国軍の要たるべき存在である(中略)
それ、サイド3の兵、すすんで作戦を完遂せん。これ空前の壮挙にして前例なき盛時である。
全人類みな耳をそばだててこの作戦を視聴している。諸君、一挙一動もいやしくすべからず」
406通常の名無しさんの3倍:02/12/14 01:28 ID:???
>>404
燃えよ剣読み終わったらきっと買いにいくよ・・オレもそうだった。
407:02/12/14 01:32 ID:???
>>399
リクエスト、しばらくお待ちください。ネタ考えます。
慶喜=ミネバか・・・・




ーもはやどうにもならない。
という気が、ドズル・ザビの参謀長ラコックのあたまを支配しはじめた。
ドズルは旗艦グワジンの艦橋で、苦々しく戦況を見ている(中略)
「残念ですが、これ以上工作部隊護衛に戦力を割くのは、得策ではありません」
と、ラコックは言った。
ドズルは、不満であった。かれにすればルウムにおいてブリティッシュ作戦が完遂
できないとなれば、たださえ完全勝利における講和の可能性をいよいよ薄くすることで
あり、さらにもっと重大なことは、ジャブローが生き残った状態では、連邦は戦争を継続
してくるのではないかということである。この戦争が長期化すれば、ジオン公国はおそらく
勝つことはできないであろう。
だがこれ以上、コロニー落としにこだわっていてはジオン軍そのものがあやうい。ドズルは
決断した。
全艦隊・全将兵に通達したのである。コロニー工作を断念し、連邦艦隊殲滅に尽力せよ、と。
ランバ・ラル大尉指揮下の工作部隊がルウムのコロニーにとりつくと、連邦
艦隊はこれを殲滅せんと多数のミサイルとビームをはなち、膨大なトリア―エズ
を発艦させてきた。彼我の砲声はいんいんとしてルウムの空域にとどろき、閃光
がひかった。
ところが、一週間戦争であれほど有利に作戦を展開してきたジオン公国軍も、護衛部隊
・艦隊攻撃と戦力を割かねばならないために、苦戦を強いられた。
連邦軍も、数の力を利用して執拗に攻めかかってくる。
ー大変ないくさになった。
と、まず青くなったのは、チベ級を旗艦とするコンスコン少将である。おもうように事が
運ばない。はたしてこの二分された状況下で、連邦軍最強のレビル艦隊を殲滅できるのか。
このときのコンスコンの心境としては、コロニー工作よりも、まず前面の敵をさっさと殲滅
しなければならないということであったろう。
70年代、80年代初頭のサンライズというのは面白いが、ガンダムの驚異的ヒット
にあやかった続編を製作しはじめたサンライズのトップたちの頭脳は、サンライズ創生期
のころよりもはるかに硬化していた。ガンダムというネーミングに頼るサンライズのトップ
たちのおろかさというのは、たとえばエルガイム終了のあとの作品について、あるサンライズ
のトップが原作者の冨野由悠季にぶった一言にもあらわれている。この80年代といえば
タカトクの倒産に代表されるような、おもちゃ会社が潰れたり、ロボットアニメが打ち切りに
なるものが出てきたりと、アニメ業界の様相が悪化しはじめているころだが、このサンライズの
お偉いさんは、
「もうガンダムしかだめだよ。他のやつではもううけない。モトがとれないんだよ」
といい、なぜ再びガンダムの続編を製作しなければならないのかと冨野が問うと、
「そりゃ当たり前だろう。君のオリジナル作品がうけなかったからだよ。すなわち、君に
才能がないといっても過言じゃない」
と言い、そこへゆくとガンダムなら知名度もあるしプラモデルも確実に収益が見込める、
だからガンダムをやってほしいんだ、という意味のことを大まじめで冨野に言った。
なんとかの一つおぼえというが、日本の組織はどこへいっても、上の地位についている人間は
硬化し、作品やアニメーション文化などの愛着や維持などというものを見ず、ひたすら金儲け
主義になっていくのは、どんな組織や会社でも同じものらしい。
古代地球に、スペースノイドの定住と共に歩行兵器建造技術がつたわっていたが、
その後、伝承がとぎれた。
アメリア各地の山の中にえたいの知れぬヒゲの巨像があるのを里人たちが見つけるのだが、
黒歴史以後、学者たちから、
「ホワイトドールだろう」
という風にあいまいに片付けられてきた。ちかごろはモビルスーツというあたらしい
視点からホワイトドールを見直そうとするうごきが活発になっている。
古代、ビシニティにどういう集落の歴史があったかはわからないが、もし
スペースノイドがここを拓いて、かれらにモビルスーツをつくる必要があったとすれば、
マウンテンサイクルほど絶好の条件をもっている山はない。
412388:02/12/14 11:48 ID:???
や、皆さん作品推薦ありがとうございます。
言われてみれば『新撰組血風録』だけはちゃんと読んだことがありました。
おもしろかったですよ。
『坂の上の雲』あたりを入手してきます。
413:02/12/14 20:59 ID:???
一旦ageときます
自己肥大といえば、この時期のティターンズ将兵たちは常人ではない。多分に
自己肥大の徒であり、そのことは当然であったかもしれない。ジャミトフらが政治的に
仕立て上げた絶対民主制の推進者という意識と、小規模ながら実施されてきた残党狩り、
その理念を純粋に奉じようとする人々の集まりによって、いよいよ巨大化した(中略)
さらには地球連邦政府という、民衆を根本においた政体を維持し、保障してやって
いるのも、ティターンズ将兵であると信じていたし、げんにそのことはかならずしも
かれらの主観ではなく、実際にそうでもあった。

この男、単に狂人か。
怒りっぽくて、異常に名誉心が強くて、思慮にとぼしく、かっとなれば発作
的に殴り、撃ち殺す。しかも比類なき自信家で、力量は並みのニュータイプを
はるかに上回る。
平和な世なら、典型的な無頼漢でしかなかったであろう。
が、シロッコという曲者は、この男をそれだけの男とは見ていなかった。
「あの男は、ひたすらに純粋なのだ。その純粋さを認め、使うことができるのは、
この私だけだ」
と、自信たっぷりにサラ・ザビアロフにいった。
416少年の変転(おお大砲より):02/12/15 00:53 ID:???
それから、しばらくが経過した。
カミーユはすでにエゥーゴのパイロットになっていた。ばかりか、アングラの
出版物で読んだかつての伝説的ニュータイプ、アムロ・レイの再来とまで言われていた
かれであったが・・・
ー自分の部屋で自らを振り返るときがある。
(おれは。−)
とカミーユは自分におどろいてみせる。そうではないか。グリーンノアで学生の身分
だったときは、こういう境遇の変化は夢にも想像しなかった。いまは、まるで、これが
運命であったかのような錯覚さえもつのである
417通常の名無しさんの3倍:02/12/15 13:31 ID:???
>>408
戦争初期に、グワジンは存在しない。
418通常の名無しさんの3倍:02/12/16 07:50 ID:???
保守
419感覚(おお大砲より):02/12/16 10:19 ID:???
世の中はたぎっていた。
宇宙の情勢が日に日に変わってゆく激流のなかで、ファなどもパイロットの
訓練を積み、自分のあすの運命をひらいてゆこうとしているのだ。
(女が戦場に出過ぎている。これでいいのか)
カミーユは戦争に賭けていこうとする情熱を疎ましく思っているが、今現在
の自分もまた、戦争に参加している時点でそんな情熱を否定できないとおもった。
〜中略〜
「バイオセンサー?」
「ああ、Zに搭載されてる機能さ。ニュータイプの能力を増幅させてくれるんだとさ]
[えっ・・あ、ああ」
どおりで感覚が鋭くなったわけだ。このZガンダムというMSは、マークUよりも
自分に合っている。
にわかにカミーユの記憶の奥から、黒びかりしたサイコガンダムの機体から発せられた
感触が、フォウとのキスの感触を伴って、カミーユの脳裏にうかびあがってきた。
みょうなことだが、Zのコクピットに座っているとき、フォウを強く感じることができる
ようなのである。
頭痛がする、と立ち上がって自室に入ったのは、もしかして、彼女は生きているのかと
おもったからである。

すこし表情を固くして、
「覚えてる?カミーユ」と、フォウはカミーユの唇に自分の人差し指をあてて、
「あのときのこと・・・」といった。
カミーユは、ホンコンシティの夜にしたことと同じことをしようとしたが、つい
悪戯ごころが起きたのか、口づけをすると同時に、フォウのあの場所にやさしく
触れた。そして、
「ああ」
と花のひらく衝動で、あることに気づいたのである。ホンコンにて、強化人間
であるフォウに出会ったとき、神秘的に考えれば、すでにカミーユの生涯の運命は、
この目の前にいるフォウにむすびつけられていたのであろう。しかしカミーユはその
ことを敏感に感じ取っていたから、口には出さなかった。
421通常の名無しさんの3倍:02/12/16 23:21 ID:???
>>419
中略の前と後では話に関連性がないようだが?
何の意図があるのか説明願いたい。
422通常の名無しさんの3倍:02/12/17 11:50 ID:???
保守
4231:02/12/17 21:22 ID:???
>>421
419書きましたが、あれ?連続してないですか?
中略前は出撃前、中略後は戦闘後のつもりで書いたんですけど・・・
リアリズムのロボットアニメーションは、ガンダムからはじまった。
よく知られているように、作品の基本については富野が考え、かつリアル路線という
作品の道筋をひらいた。
「ご都合主義」の呼称で総合されるアニメーション界の諸慣習は、富野が一石を投じる
ことによって革新のみちがひらかれた。すでにヤマトでその萌芽が出始めていたが、いま
までの日本人が生み出したことのなかった新しい産業を成立させた富野は偉大な存在だとしか
おもえない。
425日々(歳月・江戸鎮台より):02/12/17 22:14 ID:???
ジャミトフが欲しているのは、権力である。権力をつかまえなければ、この世
でなにごともできない。たとえば画家が筆を欲するようにジャミトフは権力を
欲している。権力という筆があってはじめて、ジャミトフはこの世の中を画布
にし、思うままの絵をかけるのである。
(わしはかならずそれをつかむ)
と、ジャミトフはおもった。
426通常の名無しさんの3倍:02/12/18 22:44 ID:???
一旦age
427通常の名無しさんの3倍:02/12/19 14:38 ID:???
保守
428通常の名無しさんの3倍:02/12/19 22:20 ID:???
age
429離脱(燃えよ剣399リク):02/12/19 23:23 ID:???
連邦軍がア・バオア・クーを落とすのも時間の問題となっている。
「総帥が戦死さえされなければ・・・・」
とは、デラーズの胸中の思いである。しかし今は一刻、耐え忍ぶべきときである。
「ガトー、ゆくぞ」
デラーズはガトーをともないつつ、急いで残存艦艇を糾合し、空域の離脱を図ろうとした。
同胞を泣く泣く、すてた。
痛恨の思いでいるガトーをなだめつつも、デラーズは襟を正して、
「ジーク・・・ジオン」
と、亡きギレンと、戦争で散っていった多くの公国軍将兵に敬礼した。
目に涙がうかんでいた。他の将兵も同じ気持ちだった。
「我々はアクシズにはゆかぬ。潜伏して刻を待つ」
と、自ら引き連れてきた残存艦艇に通告した。もう、往来のデラーズにもどっている。
艦隊が、動きだした。
シロッコは、人間の世のなかの仕掛けというものに興味をもっている。
剥いてしまえばただの人間にすぎぬものを、それに権威をもたせようと
するばあい、どのような仕掛けが必要か、ということである。
将軍や総帥の権威の仕掛けは、血統と階級、城郭殿舎、それにそれをと
りまくおびただしい家来の数と、さらには権威を権威たらしめる礼儀作法
や儀典というものなどがその仕掛けのかずかずであろう。
もっともシロッコは冷笑主義者(シニク)ではないから、それを笑おうと
はおもわない。人間社会をつくりあげている秩序には、存外そういう仕掛け
が必要であることもみとめているし、現にシロッコも歴とした連邦軍仕官と
してその仕掛けのなかに住んでいる。
(強化人間こそ、その最もたるものだな)
と、シロッコはそのことに興味があった。
もとはといえばどこの兎の骨かわからぬ少女を、このように育てあげる。
薬物などの簡易手段で、並みのパイロット以上の存在を大量につくりだせば
それだけ権力の維持も可能であろうし、自分のような生粋のニュータイプと
合わせて部隊を編成すれば、この宇宙で敵うものなど一人もいなくなるだろう。
ティターンズの権威というものを考えるとき、強化人間を考えるのがもっともわかりやすい。
432通常の名無しさんの3倍:02/12/20 00:05 ID:???
ぬお!…お、おもしろい
こういうバロディ本があれば買ってしまうな
433奇妙なりバスク(幕末より):02/12/20 00:50 ID:???
(おれには天運がついている)
バスクはまじめにそう思った。そういう男であった。自分の器量が万人より
すぐれていることは、かれはたれよりもよく知っていた。その上、公式には
戦争は終結してはいるものの、各地でジオン残党が跳梁跋扈し、アースノイドの
気分のなかに反スペースノイド感情が沸騰して、世はすでに乱れのきざしを
みせはじめている。
(まさか、旧世紀の戦国の世ではないから、覇者などは望めぬが、とにかくおれほどの
男だ、世に驥足(きそく)をのばしてみよう)
それには一介の仕官では、いざ風雲が到来しても、飛び立つ足がかりがない。権門にちか
づく必要がある。
434傷付きイザーク:02/12/20 01:16 ID:???
キラの駆るストライクが旋回させたナイフはデュエルの脇腹にささった。
イザークは叫んだ。怒りからではなく、すさまじい泣き声であった。
根も張りもなく、イザークは、
「痛ぁい、いたぁい」と泣き叫んだ。
とっさに気づかったニコルではあったが、その泣きわめきかたが
あまりにも腑甲斐ないため、ついに粛正を行う決意をした。
本国のイザークママンに通信し、イザークのためにエビグラタンを
差し入れさせた。
なかに、むろん多量の毒薬を粉末にしていれてある。

イザークは母の愛に餓えていた。それを夢中で食った。
ところがこの男の肉体がよほど尋常でないのか、あくる週には
目の傷もろともけろりとしている。
(ああ、このおぱっかが)とニコルは嘆息した。

スマソ。。。
435通常の名無しさんの3倍:02/12/20 08:20 ID:LTKMZVdZ
>>429 もう、往来のデラーズにもどっている。

このくだり、ちょっと変ですね。
でもなかなか面白いですよ。
4361:02/12/20 22:38 ID:???
>>434
種ネタ・・・・
まあ、悪くないけど、元ネタがわからないからなあ・・・
そのころサンライズにつとめている友人が遊びに来て、再びテレビシリーズ
でガンダムをつくるのだという(中略)
脚本を見ると予想していた通り、若者(というより少年・少女)が主役のドラマ
であり、つくづく時代は変わったものだと思ったが、しかし致命的な難点は、
脚本を書いたシナリオライターは、ショタコンで801好きであるということ
であった。本編の放映は、みるからに少年礼賛の空気にあふれており、それに
くっつけていくかたちで中途半端な「エロ」と見せ場のない戦闘シーンがつづいていく
のである。
このシナリオを書いた方を責めるよりも、サンライズの社運を賭けた作品であるなら、
なぜ星山や渡辺由自に匹敵しうるライターをもってこないのかと、苛立ちをおぼえた
が、そもそもこの種という新作ガンダムのスタッフは、すべて初代ガンダムの洗礼を受けて
いるスタッフであるはずであり、それら「アニメで育った」世代は当然のごとく初代をこえる
べき作劇と内容で勝負を挑まねばならぬところを、単純な富野イズムのパクリで終始している
ような観がある。
われわれのような旧世代は、サンライズに棄民視され捨てられたのだろうか。
Wのときも大いに悲嘆したが、まだWは筋があったとおもわれる節もあったし、おろかなエロや
少年愛でごまかすような作劇をしていなかったという点でまだ許せる部分もあったのである。
多少の救いは、キングゲイナーをみることができるという点と、あの安彦良和が評価した「カウボーイ
ビバップ」をつくりだしたスタッフは、まだ健在であるということである。


438通常の名無しさんの3倍:02/12/21 00:19 ID:???
>>436
人斬り以蔵

「いぞう」と「いざーく」?
439通常の名無しさんの3倍:02/12/21 15:09 ID:???
保護     
440アクシズ(最後の将軍より):02/12/21 16:26 ID:???
アクシズが地球圏にむかってうごきだしていることは、クワトロも察していた。
確証にちかい情報を手に入れている。ジオン公国仕官のなかでも、キグナンは
諜報活動にうってつけの人物であり、クワトロの思想を理解している数すくない
配下であった。
キグナンがもたらした一枚の写真をみるかぎり、ハマーン・カーンはザビ家再興
の野望をすててはいない。奇怪なジオンの残党集団が戦争に介入すれば、ますます
泥沼の様相を呈するだろう。
できれば大事件かなにかの口実で、
ーコーウェンを。
と考えつづけている。コーウェンの派閥をきりくずす、ということである。
一年戦争後の連邦軍体制は、強い連邦軍をスローガンとしたコーウェンの
指導力と計画性によって成立している。自然、現体制ではコーウェンの息の
かかった仕官たちが中枢にすわるのも当然かもしれない。
が、ジャミトフはその当然がゆるせなかった。
(このまますてておけば、コーウェンの一派はいよいよはびこる)
とみている。
コーウェンの一派は、たしかに連邦軍の中枢を占めるほどに時流にのって
いるが、ジャミトフの強みは、かれが属する極右派勢力がコーウェンの一派
よりも隠然とした勢力を堅持していることである。





ジャミトフは、ブレックスに対し必要以上の接近をしたことはあまりなかった。
しかし関心だけは強烈なほどにもちつづけてきた。理由はブレックスが文民の出
であったからであろうか。
が、後世のわれわれには、そこにアースノイド対スペースノイドという対立の
図式を見出すことができる(中略)
ブレックスとジャミトフの二人は、その才能とそれへの情熱を他者よりも濃厚に
もっている。このふたりは、このさきの連邦政府体制を設計するということを
自分の専門としてひそかに自負し、さらに共通すべきことは、どちらもちがった
かたちでの将来に対する憂いというものがあったことだろう。
ただかれらの不幸は、連邦政府体制設計というおなじ一点に関心をもちつつも、
ブレックスはスペースノイドをふくめた、公平で差別なき体制をつくりだすことを
至上命題として己に課しており、またアースノイドやジオン残党にまでおよぶ存在を
視野にいれた真実の民主体制樹立を考えている一方、ジャミトフは地球のみの救済を
考え、アースノイドのみを保護の対象とし、つねにその選択は強硬的で、差別意識が
前面に押し出されていた。

すこし余談にふれさせてもらいたい(中略)
連邦政府のこの時期のむごさは、たとえば相手が辺境のスペースノイドでなく、
アースノイドであったとすれば、その外交政略はたとえ同じでも、嗜虐的なにおい
だけはなかったにちがいない。文明社会に頭をもたげてきたスペースノイドたちの
小面憎さというものは、アースノイドの側からみなければわからないものであるに
ちがいない。
チン「ティターンズには、強化人間やニュータイプの力量を超えるようなエースが
数多くいるわけですよ。だからシロッコは、軍を掌握していくためにこのパイロット
たちのシンパであるという面も見せなきゃいけない。そんな一面にレコア・ロンドのような
パイロットが頼もしいとおもってかれについてしまったのではないかな。要因はそれだけでは
ないけど」
シバ「ジャミトフもかれを警戒しながらも、アポロ作戦でかれに指揮をさせている面がありますしね」
チン「シロッコは外交もわりあい上手いんですよ。ジャマイカンとのイザコザもまるくおさめるし、アクシズ
との共闘もみごとに成功させていますし。枚挙にいとまがないくらいに」
シバ「夷を操作するのがうまいんだな」
チン「並のニュータイプではありませんからね」
445議会工作(酔って候より):02/12/22 00:04 ID:???
やがて議会情勢が一変した。いままでティターンズに関するさまざまな疑惑を
追求していた議員たちが手のひらをかえしたように、ブレックスをはじめとした
宇宙寄りの議員たちを糾弾した。すでに連邦議員の大半は、ティターンズの影響下
にある。
その報、アレキサンドリア級重巡「アル・ギザ」で視察中の総帥のもとに達するや、
「ブレックス、敗れたり」
とジャミトフはひざをたたき、ひそかにジャマイカンらをよび、ティターンズ将兵たちによる
極秘命令を指示した。
ブレックス一派の逮捕のためである。

446:02/12/22 00:41 ID:???
もう寝ます。
ネタ偏ってるなあ・・・・広く考えないと。
「グリプス戦役において」
といった人がある。
「精神的にDQNのあまり寿命をちぢめてしまったのがラーディッシュのカツ・コバヤシであり、
気を狂わせてしまったのがアーガマのカミーユ・ビダンである」
というのだが、カミーユは発狂したのではなかった。
しかし精神をしぼりきったあと、戦後のカミーユはそれ以前のカミーユとは別人の観があったのはたしかである。
戦後、カミーユの言うことにはしばしば飛躍があり、日常女霊を信じる人になった。
448通常の名無しさんの3倍:02/12/22 15:37 ID:???
age
449通常の名無しさんの3倍:02/12/22 22:48 ID:eQrrzecT
 慎重文庫最新刊
 MS(馬上)少年過ぐ
第1次ネオジン抗争に出遅れたグレミー・トトの生涯を描く表題作。
バスク・オム率いるティターンズ特殊部隊のスペースノイド虐殺に
材をとる「30バンチ事件」など7編。
450通常の名無しさんの3倍:02/12/22 22:52 ID:eQrrzecT
第1次ネオジン抗争 ×

第1次ネオジオン抗争
451:02/12/23 00:04 ID:???
>>449
面白そうですね。
バウアーにとって幸運だったのは、スペースノイドの「頭目」たるシャア・
アズナブルが危険分子とされていたニュータイプ、アムロ・レイとともに
行方不明となり、一石二鳥の得をしたことであろう。
さらにバウアーの競争相手であるアデナウアー・パラヤが、和平会談とその
後の「イザコザ」で不慮の死を遂げたため、やがて「連邦議会」はバウアーの
ひとり舞台になった。
このシャア・アズナブルという若者は、ザビ家打倒をこころざして軍人となり、
ドズル・ザビ中将の宇宙攻撃軍揮下として、ルウム戦役に参戦、当時ほとんど
常識とさえなっていた大艦巨砲主義の連邦艦隊を赤いMS・ザクで翻弄、不敗神話
を築いていたマゼラン級戦艦五隻を撃沈するという奇跡をとげた。
が、あらたに配備されてきた重MSドムは、新鋭そのものの決戦兵器であった。
「それをランバ・ラル隊などに送れるか」
というのが、オデッサの司令マクベの気分であった。ランバ・ラルの戦術を転換
さえすれば、なにもこれほどの高性能MSを送る必要などどこにもないではないか。
「ジオンにとっては貴重ともいえるドムを、いたずらにゲリラ屋風情のもとに送るなど
しのびない」
という気分であり、ランバ・ラルにかわってドムを与えられた黒い三連星の一人、ガイア
大尉なども、
「あんな野郎に与えちまったら、このドムがかわいそうだぜ」
という言葉すらつかった。

不幸といえるか、シローという男は、この年になるまで女というものをまるで
知らなかった。アイナに触れるのをおそれた。
アイナは、卑賤の出ではない、れっきとしたサイド3の名家の出であるのだが、
しかし経験のないシローにとっては、あまりにもまぶしく映るのだ。むくつけく
振舞って手折りを急ぎ、そのために嫌われはせぬか。
だから、ビームサーベルでつくりだした温泉に入ったときも、アイナの脱衣を盗み見も
しなかったし、手で目をふさいで赤面してしまう有様であった。
嫌われまいと思う一心で接したこと以上に、アイナの方がシローに気があった。だからこそ
将来を誓い合い、二人のみちを模索しようときめたのである。
456通常の名無しさんの3倍:02/12/23 12:06 ID:???
保護   
457通常の名無しさんの3倍:02/12/23 15:18 ID:???
このスレは神の仕業のようだ。
458通常の名無しさんの3倍:02/12/23 23:34 ID:???
近頃落ちかけること多し、気をつけろ 保守
459ヽ(゚-`) 水差し名人 ◆AvoPVzyf5. :02/12/24 02:12 ID:/smnYnIm
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         |    υ    \  |    | |
         |   υ  υ  / ノ ._.| |    いたいのわっちょい
            \            ̄  /
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        ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
        ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
       ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒(⌒⌒ ⌒(⌒⌒)
        ヾ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ⌒)⌒ )(⌒ )⌒ )⌒
         ζ  从 ,:'"'';.     ( ⌒)⌒⌒ ⌒)
          | 从;:;:从  |  ⌒)⌒⌒(⌒ ⌒(⌒⌒
          ;:;;从;:;;:从 从从从从从
.          ;;';,从从从从从从从从从从从
         从从从从从从从从从从从从从从
        从从从从从从从从从从从从从从

ミネバは、このシャア・アズナブルを、じつの父親のような想いで愛していたらしい。
「シャアを・・・地球圏への偵察に出すのか・・・」
と、ミネバはこの赤い彗星を地球圏へやることをハマーンからきいたとき、そうつぶ
やいてしばらく無言をつづけた。シャアがゆくことは、ミネバにとっては数すくない
理解者がまた減るということなのである。あわよくば死ぬ可能性も十分にありえるのだ。
地球圏を刻の彼方のように感じているミネバにとって、それはあまりにも酷なことであった。
アイナは、シローの横顔をそっとみた。
連邦軍人とこのようなことをしているのは、ある意味異様であったが、兄の
ギニアスやユーリなどから聞かされていたイメージとはちがい、まだ童臭を
のこしているその彫りの深い目鼻立ちの翳に、どこかさびしさが溜まっていた。
このシロー・アマダの故郷は、一週間戦争で殲滅させられたサイド2である。それが
故郷をほろぼしたジオンへの復讐をこころに誓っているかのような、そんな胸中の思いが
この少尉にはある。
見つめているうちに、頬に赤みがさしてきた。市井のことなどほとんど知らないサハリン家
の令嬢にとって、目の前にいる直情的で行動的な男はとてつもなく新鮮にうつったのだろう。
夢中でみつめ続けていたことに気がつき、はっと我にかえった。
「どうしたの?」
シローがおどろいて、のぞきこんだ。真剣に心配している顔だった。
「え!?い、いいえ、なんでも」
と見あげると、宇宙にうかぶ地球がとても美しくみえた。
遠くから、ジオンのMS部隊が近づいてきた。四六時中探し回っていた証拠に、
やけにあわてているのが二人にもわかった。
二人は、再会を約束して別れた。
(であるのに、連邦政府はまるで、臆病なオールドタイプそのものだ)
いちいちおびえすぎる。おびえすぎるから、ジャミトフ等はおどしにかかる
のである。おどしの利かぬ相手なら、連中も別な態度で出るだろう。
ー倒せばよい。
と、シロッコはふとおもう。こんな政体を、である。こんな愚劣な政体が
存続するかぎり、ついには人類そのものがほろびてしまうかもしれない。
(おれが、サイド3のジオン公国士官であればきっとそうする)
いわゆる赤い彗星のような存在として畏怖せられていたにちがいない。 
463通常の名無しさんの3倍:02/12/25 02:14 ID:???
保守あげ
ミネバはかぞえて8歳になっている。容貌は秀麗で、人柄は謙虚であり、
おとなしすぎるくらいであった。そのミネバがモルガルテンでの船遊びの際
にシンタとクムとともに笑ったのは、同じ世代の友達がいなかったせいであろう。
人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。
ザビ家最後の公女ミネバ・ラオ・ザビというひとほど、世の期待を
うけつづけてその幼少期と少女期を生きた人物は類がまれであろう。
そのことが、かのじょの主題をなした。
この人物は、ザビ家の直系たるギレンの実の娘ではない。
ザビ家の次男たるドズル・ザビのただ一人の娘としてうまれた。
ドズル・ザビにはのちにミネバの摂政となるハマーン・カーンの姉が
愛妾として仕えていたという関係があるが、公国軍内部ではギレン・ドズル
・キシリア派といった派閥関係が存在しており、いうまでもなくミネバは
ドズルの系列に属するため、のちのアクシズの後継者擁立に際しては少々の血なまぐささが
伴うことになるが、これはあとで述べる。

事実、デギンは、この宇宙世紀はじまって以来の民衆革命家であるジオン・ダイクン
に対し、援助と個人的な交流を惜しげもなくやってきたし、その従順さも、他のひと
からみて、親密同然の関係であった。
が、ジオン・ダイクンの不安はただこの一点、このデギン・ソド・ザビであった。
はたしてかれが自分の死後、キャスバル成人までなお従順で、自分の理想と精神を
引き継いでくれるかどうか。
(わからぬ)
と思ったればこそ、遺言状に次期後継者としてデギンを指名し、それによってデギンを
みずからの思想を貫徹せしめさせるために地位に束縛しようとしたのであろう。
だが、傍らで控えていた側近のジンバ・ラルは、
「皆のもの。わたしを暗殺し、そうけしかけたのはこのデギンである。この男は梟雄である。
ゆめゆめ、油断するなかれ」
と、見守っているひとびとにジオンがそう訴えているのではないかと推測し、そう思うからこそ
残されてゆくキャスバル・レム・ダイクンとアルテイシア・ソム・ダイクンののちの運命を思うと、
いてもたってもいられない心境に陥るのであった。
467通常の名無しさんの3倍:02/12/26 01:31 ID:???
あげとく
468通常の名無しさんの3倍:02/12/26 02:42 ID:qJ/j0Zkk
>>1
(´-`).。oO(池波正太郎や山本周五郎でこういう擦れできるといいな・・・・・・・・・)
4691:02/12/26 16:26 ID:???
>>468
出ると思ってたけど・・・出たか池波正太郎!つっても真田太平記くらいしか
読んだことないけど。
山本周五郎は樅ノ木くらいしか・・・・
考えときますね。
こういう感覚で、もはや絶望的とさえいえる地球を救うなどというのは笑止
であろう。しかし地球連邦やかつてのジオン公国は、コロニー落としや毒ガス、
大規模すぎる戦争を繰り広げた結果、人類の大半は死に絶え、生き残った人々
もまた愚行をくりかえしている。
(それをあらためるにはどうすればよいか)
一つしかない。
この自分がまずティターンズを牛耳り、しかるのちに全人類の指導者として立ち
みちを切り開いていくほかない。しかしたかだか尉官クラスの身の上では、ティターンズ
を掌握することすら現時点では困難であろう。
471通常の名無しさんの3倍:02/12/27 02:32 ID:???
保守
ジャミトフは複雑な性格のもちぬしである。栄達への異常な執着は年少のころ
からのこの男の骨髄をつくりあげていたといってよい。
しかしそういう型の人間によくある、つまり自分を商品のように売ろうという
だけの権謀家でもなかった。ジャミトフは自分の栄達の基礎を実務と政務に置き、
この才能においてはこの男ほど内容の充実した者はいない。
エマもヘンケンも、ティターンズとの最終局面において宇宙へ還った。
かれらは体質として強烈な理想主義をもちつづけるひとたちであったが
ために、現実の運命はきわめて過酷なものとなってしまうのである。
(総帥はたんにアムロ・レイを見返してやりたくて、今回の寒冷化作戦をおもいついたんじゃないのか)
という疑惑から抜けきれない(中略)
大佐はそんなちっぽけなお方じゃないよ、とクェスはいった。ギュネイは腹が立った。
(あんなロリコン野郎よりも、おれを信じてくれればいいのに)
とギュネイは内心思うのだが、しかし強化人間としての自信と自負のつよすぎるギュネイに、クェス
はまったく興味をいだけないでいる。
ライヤーはシローというこの一直線な青年士官を好んでいなかっただけではなく、
第08MS小隊というものをあの一件以来、苦々しくおもっていた節がある。
あろうことか自分たちにとって「敵」でしかないジオン軍のパイロットと通じた
というはなはだ不愉快極まりない出来事をみても、さらに隊長のシロー自身の
ひるみや一貫性のなさなどが加わっていたために、
(こやつは、処罰せねば全体の士気にかかわる)
という気持ちがライヤーにはあった。
「サイサリス・・・開発がアダとなりましたな」
と、冷静な口調でジャミトフはコーウェンにいった。連邦軍の威信と象徴
であったはずのガンダムが奪われさえしなければ・・・と暗に示唆している。
ジャミトフのいうサイサリスとは、南極条約で禁止していたはずの核を搭載して
いたガンダム二号機のことである。それを奪い返すどころかとりかえしのつかない
事態にまで発展してしまった。これは閣下の重大な責任問題となりますぞ、と
ジャミトフは露骨につぶやいた。
それをきいてコーウェンは呼吸をわすれるほどにおどろき、その驚きは怒りに変わった。
(コンペイトウ鎮守府とワイアットの宇宙艦隊は何をしていたのか)
と、叫びたかった。バーミンガムを旗艦とするワイアット指揮下の連邦艦隊はデラーズの
ジオン残党をはるかに上回る戦力をもちながら、その戦力でもってデラーズ・フリートに
対してカスリ傷一つおわせることなく宇宙に沈んでしまったではないか。
ワイアットの連邦艦隊がこの宇宙、ひいては地球圏全体にむかって残したのは、単なる敗戦
の記録ではない。史上空前の不名誉といってもあきたらぬくらいの不手際であり、全宇宙から
侮辱を買っただけではないか。

477通常の名無しさんの3倍:02/12/27 18:26 ID:???
hosyu
478通常の名無しさんの3倍:02/12/27 19:21 ID:???
一旦上げときます
479通常の名無しさんの3倍:02/12/27 20:00 ID:???
爆撃下につき保守
コーウェンは、ガンダム開発計画を推進した人物であるが、しかしかれ自身は
核武装を前提とした開発に関してはむしろ否定的なスタンスをとっていた。
だが、強固な連邦軍の維持と、上層部の承認を得る手段として「やむなく」選択せざるをえなかった。
かれは連邦政府の絶対民主主義を信じていたし、抑止力としての軍拡も是認していた。
それを信じていたがゆえに、今回のワイアットをはじめとした連邦軍将官に対する憤りが
深く、このばあいもほとんど叫びをあげたくなったほどであった。
「連邦の人民の汗と血をもって建造した観艦式参加の宇宙艦隊はいまどこにあるのだ。ワイアット
はその言葉どおりいささかでも連邦軍人の名誉を発揚したか。連邦軍の高級士官の胸には
ふんだんに勲章がぶらさがっていたが、しかしそのような胸の勲章に値する努力や行動をすこし
でもしたか」
と、コーウェンは身動きできない自分にかわって必死にデラーズフリート鎮圧に尽力している
配下のエイパー・シナプス大佐の苦労を思いながらおもった。
そのマリアが崩じたとき、クロノクル・アシャーがちょうど封建騎士が国王に
殉死するような、肉体的にも精神的にもそういう姉に対するシスコン的感情を
あらわにしながら殉死したかのような感があるのは、自分を支え、慕ってくれた
カテジナ・ルースを己の執着ゆえに完全なかたちで愛せなかったということが要因
であるにちがいない。
その姉に対する感情は、宗教者のピュアな透明さを多分にもっているマリアにも察せられた
であろうが、その俗っぽい感情を神秘的なおおらかさと包容力で弟のクロノクルの在りようを
認め、そのおおらかさをクロノクル自身、拡大解釈して劇的に感動し、ますますマリアに対する
崇敬と真摯な愛情を高めていったということがいえるであろう。
この場合、精神主義的な側面をもつクロノクルにとっては、マリア自身の意思はあまり関係がない。
重要なのは、自分がどう「相手を想い、己の幸福を考えるか」という一点だけなのである。
しかし一面、マリア・ピァ・アーモニアは公的な場では神というか、すくなく
とも神聖な非肉体的存在とされていた(中略)
サイド2においてカガチのガチ党やムッターマらが、マリア主義の権威をたてに
とって議会民主制の常識を乗りこえようとし、ついに乗りこえ、ギロチンを駆使した
行為と、それを拡大してゆく過程においてサイド2そのものを掌握することに成功した。
「サイド2にザンスカール帝国を樹立することができたのは、教祖のマリアが女神だったから可能だった」
といわれれば、まったくそのとおりである。カガチらは不可侵の「女神」の大権を逆手にとってサイド2の
質を変えた。マリアが「女神」である以上、批判勢力はそのマリアの背後にあるギロチンの恐怖の前にぐうの
音も出せなかった。
483通常の名無しさんの3倍:02/12/28 04:14 ID:???
あげ
484通常の名無しさんの3倍:02/12/28 20:42 ID:TNy1An5y
司馬遼太郎があの時代の人間だったらやっぱりボールに乗ったのだろうか?
それとも、61式なのか。氏のノモンハンについての著書あったっけ?
485通常の名無しさんの3倍:02/12/28 22:02 ID:???
>>484
むしろザクの、それもやたらコストダウンして真っ当な装備や性能のない奴では?
自分の乗った戦車については「この国のかたち」であったような。
486:02/12/29 01:17 ID:???
>>484
「歴史と視点」で自分の戦車体験を語ってますよ。
これまでも、敵MSの砲火のなかを曲芸師のようにすりぬけてきた(中略)
「俺は無芸な男だがね。パイロット業だけが芸さ」
芸とすれば、宇宙一の芸達者だろう。どういう天才的なエースパイロットでも
アムロの芸にはかなわない。
とっさに、言葉が出なかった。フラウは誰でもするような当たり前の言葉を
発した。
「ねえ、ホワイトベースに戻らないの?みんな心配してるわよ」
みんなと言ったのだが、フラウ自身が一番心配している。
アムロはいじけながら言った。
「なにしにきたんだい」
「・・・・あきれた」
フラウは近寄ろうとしたが、その気配を察したアムロは立ち上がり、コート
をはおいながら砂漠を歩きだした。避けることに関しては妙に勘がいい。手に
負えない少年である。
アムロは歩きながら、なおもついてくるフラウの言葉に反応もせず、ながながと
欠伸をして、プイと横をむいた。
(ほっといてくれよ)
ということらしい。
歴史に「もし」ということが許されるのならば、連邦政府が正式にサイド3の
独立自治を認めていたらアースノイド対スペースノイドの関係は現実の歴史が
たどったような悲惨な不幸がなかったかもしれないというような幻想ももちうる。

490通常の名無しさんの3倍:02/12/29 13:41 ID:???
sage
491通常の名無しさんの3倍:02/12/29 16:01 ID:???
>>485
いや、ザク乗りは帝国陸軍で言えば戦闘機や攻撃機のパイロットだ。
旧式でもなんでもエリートだよ。ザクは戦争の中盤まで最強兵器
だったようだし。

シバさんはせいぜいマゼラアタックだろう。
あのやたらと大きく、意味もなく砲塔が飛ぶデザインを見て、
地球をナメていたザビ家の無謀さを嘆く。で、ガンタンクとか見て
「いいなあ〜」とか思うわけ。
492通常の名無しさんの3倍:02/12/29 21:25 ID:???
保守
493通常の名無しさんの3倍:02/12/30 07:31 ID:???
age
4941:02/12/30 07:45 ID:???
>>491
司馬さんが乗るんだったら61式戦車のほうがサマになってるような気がする。
モデルチェンジしていない、戦えない・戦ったらやられる戦車(チハ車)に
当てはめられるし。
マゼラ・アタックは一応戦えるし。
「いっそ、見限ったらどうだろう」
と、クワトロは思った。見限るとは、エゥーゴを見捨てるということである。
といって、熟慮したあげくの結論をいっているのではなく、現状を打開する策(て)
がないとみているかれの自己保全策ともいうべきものである。
かれは、つねに自分のみ安全な場所にいようとする男であった。そのくせ、
「希望を見出しても、エゴに押しつぶされるだけの現実ならば、刻を待つのも辞さない」
と、執着の続かないかれは強く、そう決意した。
エゥーゴそのものを捨ててしまおう、エゥーゴを人とすれば、人は人であってもすでに死体
である、いや死体とまではゆかぬが、もはや八割かた重体であり、かろうじて「生きつづけている」に
すぎない。その重体患者を生かそうと思えばこそ難渋する。思いを決し、いっそ宇宙に捨つべし。
ティターンズはもはや宇宙を制する力などないだろう、ハマーンが宇宙を制するのもよい。
一時的に渡してやるだけのことだ。窮すれば、、思慮を飛躍させるよりほかない。
これは飛躍であるとおもえ、私は将来のため、人類全体をニュータイプへと開花させるみちを
ひらくためにあえて身をひき、生き延びるのだ、人間というのは、ときには修羅場をくぐらねば
ならぬときがある、いまがそのときだ、−と、クワトロは思った。
497通常の名無しさんの3倍:02/12/30 10:37 ID:???
>>494
機種だけ見ればそう思うが、物量作戦で結局勝った連邦軍に属していては
司馬節が書けないだろうと思ってね。で、ジオンでいちばんしょぼい
兵器はマゼラだろう。まさかキュイに乗せるわけにもいかんし。

あ、ザクタンクという手があったか。ザクタンクの一個小隊を率いて
迷子になる司馬さん。(w
498「木馬忌憚」より:02/12/30 17:19 ID:ljXEXt+C
19歳。
たしかに白目は、ない。
ないが
「関係あるものか」
が、声には出さない。
499通常の名無しさんの3倍:02/12/30 18:06 ID:???
「街道をゆく」の時の司馬は、日本人に馴染み深い史跡の周辺を訪れても
、合戦などの政治的な大事件のことは今更真正面からは取り上げないよ。
武者列伝みたいなものなら、本編でさんざん書いてるから。
みんな長篠の合戦や関が原の話ばかりしてるが、実際には庶民の生活風景
とかを緻密に描写しつつ、否応なくそこへ光や影をおとす政治的大事件にも
言及するというスタイルなんじゃない?

とはいっても、俺にもできない(w あのスタイルを実現するには、まだまだ設定
データが少ないからね。富野の小説よく読んだ人ならできるかも。
500500:02/12/30 20:17 ID:???
500ゲト ズサー
501通常の名無しさんの3倍:02/12/31 02:37 ID:???
sage
5021:02/12/31 08:13 ID:???
今日の夜書きます。
503通常の名無しさんの3倍:02/12/31 19:06 ID:???
待ってます
504通常の名無しさんの3倍:03/01/01 00:42 ID:???
保守あげ
「つまるところ、あの男には百の才智があって、ただ一つの胆力もない。胆力がなければ、
智謀も才気も緒戦は猿知恵になるにすぎない」
と、ハマーンはマシュマーに語っている。
が、シャアはこの軽薄さについて内々にも悔いず、あれほどカミーユに修正されながらも
恥らわなかった。胆力といえばこの点の胆気は見事にすわっており、シャアの行動はシャア
自身がつねに支持し、自分ひとりが支持しているだけでシャアはもう自足してしまっている
ようであった。
これは胆気ではなく別のものであり、いわば生来の性格の「狡さ」から来るものであろう。
クワトロを役者とすればーいや事実すぐれた役者だったがー幕の降りること
のない舞台に立たされていた(中略)
クワトロは事実上のエゥーゴの指導者ともいうべき立場であった。総責任を
負うべき立場であり、ブライトやカミーユたちとともにティターンズ撃滅に
当たらなければならない。しかし相変わらずMSに乗って戦場を疾駆したいと
いう欲求から離れられない。
507通常の名無しさんの3倍:03/01/01 01:40 ID:???
>>1さんと、職人さん方
あけましておめでとうございます。
今年もヨロシクです。
508:03/01/01 01:57 ID:???
>>507
新年あけましておめでとうございます。
こちらこそ、よろしく。

さて、ネタを考えよう。
ライルが天成の軍人であることは、この当時のネオジオン軍内の連中はよく知っていた。
かれは生粋の戦艦(ふな)乗りで、その勇敢さと忠実さはシャアの信頼のおけるところである。
この時期の連邦政府参謀次官は、アデナウアー・パラヤという男である。
娘がいるが、いまは妻よりも愛人のほうに気がある。
べつにすぐれた政治家というほどでもなく、年功序列と派閥を掌握してゆく
ことで徐々に昇進していったにすぎない。
連邦の文官には、才幹のある者がほとんどいない。アデナウアーもすぐれている
とはいえないし、彼と敵対している、外郭新興部隊創設の提唱者であるジョン・バウアー
も、アムロやブライトらの意見を容れたという点だけは評価ができるが、並の存在でしか
ない。
部隊創設に成功したバウアーも、
ーかつてのティターンズの二の舞になるのは絶対に避けねばならぬ。
という意見に押されて、ロンド・ベルの戦力を大幅に制限させられてしまっている。
名だたる戦争をくぐり抜けてきた連邦政府は、ますます増長し、旧世紀
の体制へ逆戻りしていくかのような現象を帯び始めている。その中でバウアー
はまだ理解力はあったが、かれでさえ古い連邦議員の体質から抜け出せなかった
ところをみても、アデナウアーのような凡庸な男が抜擢され要職につくことは
ごく自然のことであるといえる。
いずれにせよ、この困難な時期に、非公式にシャアのネオジオンと和平交渉を成立
させようとする人物が、この程度の人物であった。シャアからすればどこからみても、
「俗物」以外の何者でもなかった。
アデナウアーはこのとき、連邦政府から極秘の訓令を懐ろにしている。
訓令はようするに、金のことに終始した。ネオジオンに対し、
ー金を出せ。それならばアクシズを譲渡してもよい。
というのが交渉の眼目であることは、既定の方針である。宇宙に浮かんでいる
ものは、全て金ヅルになるならしてしまえというような、そんな姑息さに満ちている。
〜中略〜
訓令はいう。
「談判の要領は、賞金を得て、かの要塞を譲渡するにあり」
金をもらってアクシズを譲渡する、これが方針だ、という意味。ただし、文章が続く。
「・・・と雖(いえど)も、初より賞金を欲するの色をあらわすべからず。是、毎(つね)に
論議の柄を我に取らんと欲すればなり」
ごろつきのやり方といっていい。金がほしいというのを顔色に出すな、という。
出せば当然、ネオジオン側にばかにされるということを、さすがに連邦政府は知っていた。
議論をなるべく高い次元に置いて、議論の主導権を握っておけ、というのである。
シャアはこの間、処理方針を私(ひそか)にきめてしまっている。
まず、総帥たる自分がロンデニオンに赴き、アデナウアーの前に姿を
現すことである。アデナウアーにこちらの「誠意」を見せ、信じ込ませる
ためには、自分の出馬以外にないということをシャアは知っていた。
この当時のネオジオン軍はハマーンの残党を糾合したとはいえ、到底連邦政府
との長期戦なぞ望むべくもない状態であり、兵卒は士気旺盛といえども数が足りず、
ギラ・ドーガをはじめとしたMS・宇宙艦艇も足りず、さらには鉱物資源やヘリウムも
十分ではない。とてもジオン公国がやったような戦争はできるはずもなかった。
シャアはそういう、ハマーンの叛乱後数年しか経っていないネオジオン軍の現状をよく
知っていた。だからこそ寒冷化作戦の切り札たるアクシズを奪いとろうとしたのは、
先のフィフス・ルナ買収成功という先例があったからであろう。
その寒冷化作戦はかならず成功できるとかれは信じている。
516通常の名無しさんの3倍:03/01/01 13:05 ID:???
職人様、本年もよろしくお願いすます。
517:03/01/01 23:16 ID:???
>>516
いえいえこちらこそ、よろしくです。
正月はほとんど予定がないので、たくさんネタを書けると思います。
499氏のレスを読んで、御大の小説を読まねばならないなと思いました(厨房の
ときに借りて読んだきり・・・)
買うべきかな。
なによりもシャアにとって頼りになるのは、かれの補佐役でありネオジオン勢力の
形成に尽力した政治家ホルスト・ハーネスであった。
かれは老獪な人物である。容貌は温和なジャミトフに似ているかのようで、声がひくく渋い。
人柄はいかにも温和で篤実そうだが、政治手腕はカイザス・M・バイヤーとともにすぐれて
いる。
519坂本竜馬:03/01/02 00:07 ID:???
ご開帳じゃ
ロンデニオンの空が、隅々まで晴れ渡っている。
この、サイド1のなかでも小規模で旧世紀のロンドンを思わせるような古い街を訪れたとき、
シャアはどのような感傷を抱いたのか、おそらくロンド・ベル隊のアムロ・レイのことをおもった
に相違ないが、資料は沈黙している。

一決した(中略)
あとは、条約の規定通り、ネオジオン将兵によってアクシズをスウィート・ウォーターに
運搬させ、艦隊をルナ2に投降させると見せかければよい。
想いは一途でなくてはならないという、純粋すぎる傾斜がクロノクルにおいてはじまった
のは、姉という存在を意識しはじめたころからであろう。かれは最後にカテジナの前
で自分の本音を口にするのだが、むしろこの傾斜がかれの生きつづけてゆく姿勢を単純
けいれつに支えていたともいえるのではないか。
523通常の名無しさんの3倍:03/01/02 14:54 ID:???
が、これも浅く、逆に空いた腹を突かれ致命傷となった。
「あの壷を- 」
と言ったのかは、わからない。

- ガラスケース下の、台座に埋め込まれたプレートには、「北栄」
とあり、追記の形で、この壷と共に奇妙な運命をたどった男について、博物館らしい、簡潔な文章が刻まれている。

他の骨董品に混じり、筆者の他には足を止める者はない。
524奇妙なりバスク(幕末より):03/01/02 16:30 ID:???
よもや自分を撃とうとするものが背後にしのび寄っているなどとはバスクは予想だに
しない。
このとき、シロッコのジュピトリスから飛び立つ数十機のMSの編隊があった(中略)
そのなかで指揮をしているのがパラス・アテネに搭乗する元エゥーゴパイロット、レコア・ロンド
である。シロッコがついにティターンズ掌握のために動き出した。
ドゴス・ギア艦橋で、バスクは強化人間のロザミア・バダムを出撃させるよう、指示した。
バスクは帽子を脱いで、ゲーツとローレン・ナカモトのコントロールするロザミア・バダムの戦果報告を
待っていた。
かれの神経は、アクシズの進路を変えようとしているエゥーゴに集中している。そのとき、
「た、大佐!!う、うしろから、MSの編隊が!!!」
と、目の前に座っていたローレン・ナカモトが悲痛な叫びをあげた。
「なんだと!?」
「シロッコの部隊です!!!」
シロッコの罠にまんまとはまった格好になった。バスクはヤザンに出撃を命じた。
こうなっては藁をもつかむ思いである。ローレンの制止もきかず、ロザミア・バダムを
コントロールしていたゲーツのバウンド・ドッグを強引にMS部隊阻止にむかわせた。
とたん、レコアのパラス・アテネが腕のビーム砲をかまえながらドゴス・ギアの前に躍り出た。
一撃一撃、徐々に艦橋へとビームを撃ちこんでゆく。そして、バスクが叫びをあげるのと同時に
閃光が走り、ドゴス・ギアの艦橋は四散した。
「へん、バスクの野郎、みたか」
致命的だったのはヤザンの存在だったろう。シロッコにバスクの情報を流しつづけ、出撃命令の際にも
襲いかかるMS編隊を防ごうともせず、傍観し、あろうことかバスクの阻止命令を伝えず、わざと
ドゴス・ギアのMS部隊の出撃をさせなかったのである。
戦場には、戦艦ドゴス・ギアの残骸が無残にのこるのみであった。
レコア・ロンドはシロッコの野望達成の手段として利用され、ヤザンもシロッコに帰服し、ティターンズ
の実権はシロッコに移行することとなった。
バスクは、素朴すぎるほどのわなにかかったことになる。自信家だっただけにかえって油断した。
おそらくかれ自身が不審だったろう。ひとが自分をだますなどとは、夢にもおもっていなかったに
ちがいない。

パプティマス・シロッコという、するどい、傾斜をもった性格の男は、人の世の
原理をもとめているらしい。人の世の原理をもとめているだけでなく、自分の生き方の
原理をもとめているのだろう。
526通常の名無しさんの3倍:03/01/02 21:30 ID:???
朝鮮渡来文化
シロッコはかれ自身、自分を知識主義ではないとおもっている。
ー知識など、生き方のなんの足しにもならない。
という側の信者であった。学問をまなぶにあたっても書物を読もうとせず、
博覧強記を目標ともしなかった。知れば知るほど人間の行動欲や行動の純粋が
衰弱する、という信条をもっている。どこにでもいるあの知識のばけもののような
批評家や学者づれをみよ、とシロッコは平素おもっている。それら、行動精神のない
知識主義者をこの男は、
ー俗人
とよんでいた。
シロッコの知りたいことは、ただ一つであった。原理であった。
歴史や世界はどのような原理でうごいている。己はこの世にどう存在すれば
よいか。どう生きればよいか。それを知りたい。知るにはさまざまの古いこと、
あたらしいこと、新奇なもの、わが好みに叛くもの、などに身を挺して触れ合わねば
ならぬであろう。だからこそ、この木星での過酷な環境に耐えながら生活をしている。
(そういうことだ)
と、シロッコは、その夜、輸送船ジュピトリスの一室に寝ころびながら、おもった。
(おれのおもいにまちがいはない)
そのように決めつけた。
528通常の名無しさんの3倍:03/01/02 21:59 ID:???
>>35
もとネタは「幕末」か?
もとネタも書きこんで欲しい

5291:03/01/02 22:17 ID:???
〜元ネタ
>>22
坂の上の雲(八)ネボガトフより
>>26
翔ぶが如く(四)より
>>35
幕末・逃げの小五郎より
>>96/97
愛染明王(おれは権現に収録)

>>ティターンズを考える
対談・中国を考えるより
530通常の名無しさんの3倍:03/01/02 22:19 ID:???
愛染明王、幕末・逃げの小五郎
読んでネーわ、まずいな俺
531:03/01/02 22:34 ID:???
>>271
〜「ウーイッグのお嬢さん」歴史と視点・豊後の尼御前(カテジナ〜吉岡妙麟尼)
>>481
〜「べスパの青年将校」殉死(クロノクル〜乃木希典)
>>419
〜「感覚・キリマンジャロ再会」おお大砲(人斬り以蔵に収録)カミーユ〜笠塚新次郎 フォウ〜妙

こんなとこです。
ダンジダン・ポジドンは、この時期独力で抵抗をつづけている。ジオン公国軍
のなかでもランバ・ラルと並んで猛将と称され、その力量はザビ家一党も
買っていたほどに力量ある将として、部下から絶大な信頼を受けていた。
かれはジオン独立戦争後、アクシズにゆき刻を待った。そしてハマーンのもとで
大いにその力量を奮った。が、そのハマーンが戦死し、ために拠り所を失ったのだが、
「ジオンの魂はまだ死んではおらん。戦いはまだ続いているのだ」
と、あくまで連邦政府に抵抗を試みていた。
そんな彼の一党の存在に、シャアは目をつけた。連邦政府への一大作戦を決行するに
際して、今現在の戦力では到底心もとなく、なによりもハマーンの残党には勇猛な将兵
たちが多い。それらを糾合できれば、勝利へのみちすじは確実にひらけてくるだろう。
ダンジダン派は、もともと、
「ハマーンの残党集団」
である。このジオン軍のなかでも勇猛果敢な残党集団についてはすでに
何度か触れてきたが、その首領ともいうべきダンジダン・ポジトンにシャアは
接触しようとしている(中略)
ーシャアに加担すべきかどうか。
ということについて、ダンジダンは考え続けている。
ダンジダンは、まず自分の意見をシャアに述べた。
「なぜ貴殿は、ハマーン・カーン様とともに共闘せず、今まで潜伏していたのか」
これは、かれの疑問の一つである。たしかにそうであった。
「その通りだが、ハマーンは自分が権力を握るためにミネバ様を利用した。現にミネバ様
は私を支持し、私に宇宙の安寧を図るよう申し下された」
と、シャアは言い、げんにミネバ様がハマーンの行為を喜んでいたのならば、影武者を立てて
遁走するなどということはしないし、する必要もない。私は最初から、ハマーンの胡散臭さを
見抜いていたからこそ、あえて刻を待ったのだ。現にハマーンは滅び去り、無能なる連邦は今だ
生存している、とシャアはいった。
ダンジダンはなるほどと思ったが、胡散臭さといえばこのシャア・アズナブルとてそうではないか、
ハマーンを摂政に推しているのを俺はこの目でみた。もしや、方便やもしれぬ・・・
次第にダンジダンは雄弁を振るっているシャアの力量を試してみたくなった。
「なるほど・・・そういうことならば考える余地はある。ついては一度、お手合わせ願いたいものだ。
赤い彗星の実力、いささかも衰えていないのならば、このダンジダン、喜んでジオンのために戦う所存」
それを聞いたシャアは内心、
ーさても実直な男は御しやすいものよ。
とおもった。
535通常の名無しさんの3倍:03/01/03 01:43 ID:???
シバ否定論。
サタカ「シャアの評価にしても、元々人類全体を導くためだといいながら、結局
単純な粛清でことを済まそうとする姑息さがみえる。ギレンへの評価にしてもそうで、
方便の粛清をシバは是認しているのだ。あれほど平和を願う人々の希望を描きながら、
独裁者を英雄として描くなど言語道断。
ジャミトフを悪人として書いたのなら、なぜシロッコを悪人として描かなかったのか。
フジサワは市民の視点からジェリドやカミーユを描いている。視点をひとびとの目線まで降ろすべき
なのである」
536燃えよビームサーベル・解説:03/01/03 01:58 ID:???
チン「シバリョウタロウは小説家である。彼にも人物の好みがあり、共鳴する
人物に対しては、もっと長い伝ー叙事詩的ロマンを与えようとした。
アナベル・ガトーとドズル・ザビを、同じ時期に、ならべて書き進めた
気持ちが、よくわかるような気がする。
この二人は典型のなかの典型であり、悲劇的な最後で人生の幕を閉じたことも似ているのだ(中略)
ー列丈夫に非ずんば、たれかよくこれを致さんや!
読み終えて、書かれざるそんな評言が、読者の心に悠然とわきおこるのは、ロマンの成功といわねば
なるまい。

537巨匠二人(シバとマツモト):03/01/03 02:22 ID:???
ハンドウ氏があげている二人の共通点は、現代的な問題意識をもっているという点、
広範囲におよぶ資料解釈の正確さである。では違う点はどこか。
マツモトはMSが大気圏に突入・自ら重力の井戸やアステロイド・ベルト
という環境のきわめて困難な場所に突入してゆくかのような、資料への分け入り方を
するのに対して、シバは宇宙世紀・黒歴史という歴史、宇宙空間という舞台を大づかみに
し、俯瞰するかのように捉える。
マツモトの取り上げる人物は、ホルストやジャミトフ、ティターンズのパイロットやカロッゾ、
、ムラサメ博士、バウアーやゴップなどにいたるまで、策謀多く、権力を多用し、大人という立場を
行使し、およそ正義というものを方便としていたり、金権主義になっているような悪人を取り上げるのも
厭わなかったのに対して、シバはつねにブレックスやブライト、ガトーに代表される「好人物」や颯爽とした
人物・勇気ある毅然とした人物を好み、長編作劇にはかならず思い入れのある主人公を選んだ。
538巨匠二人(シバとマツモト):03/01/03 02:52 ID:???
シバの著書「燃えよビームサーベル」に描かれる主人公アナベル・ガトーの
爽快さは見事なまでにかっこ良い。これを見て分かるように、シバの作品は
志というべきもの、理想とすべきもの、美しきものを描写するテクニックと爽快さ
にあふれているといえる。だからこそ、ソロモンで殉じたドズルや、悪人像が定着していた
シロッコを理想像とともに納得のできる描写として描いたのだといえよう。
マツモトは代表作「プロト・ゼロの焦点」に描かれているような薬物療法による強化人間育成とクローン
技術、「砂の容器」に出てくるゼロシステムの脅威と「戦争を遊びでする子供たち」に対する批判
精神といったその時代時代の暗部を見つめ、描写するということを忘れていないという点だろう。
かれは暗部を描写する作業を通じて、その時代の空気をつかもうとした。その徹底したリアリズムは、
シバが描写を露骨に避けていたフォウへの拷問ともいうべきむごい仕打ちや、片足を失ったシロー・アマダ
のその生活ぶりなどの描写を見ても、伝わりすぎるほどにその場面の壮烈さが伝わってくる。



ニュータイプとは、精神の美であるという。しかもその美は置物の美ではなく、
骨っぷしのたしかな機能美でなければならない、と、そういう意味のことを
シロッコはいった。しかしその美の像が出来上がる土壌というものは、未だ
出来上がっているどころか、むしろ重力の魂に縛られる連中によって阻害されている
有様である。
「この私が、それを切り開いてみせる。それこそが、至上の課題である」
540通常の名無しさんの3倍:03/01/04 01:43 ID:???
ageとく
541:03/01/04 12:30 ID:???
忙しいので今日の夜に書きます。
542通常の名無しさんの3倍:03/01/04 19:00 ID:???
保護     
543木星帰りの男(峠(上)):03/01/05 00:20 ID:???
ー人間など、人間そのものはたかが知れている。
そうシロッコは思っている。ただ、人間のなかには自分として大いに摂取すべき
ものをもっているのがいる。そういう人物に接触し、それを大きに摂取すべきである、
とおもっていた(中略)
そういう、性根である。万事、この男は不逞であり、可愛げがない。
544少年の変転(おお大砲より):03/01/05 01:11 ID:???
ブライト・ノアのテンプテーションがグリーンノアへ入港するというこの日、
カミーユはカラテの授業を病欠を理由にさぼることにした。
「誰が病欠だ!!!」
と怒ったのは、カラテ部の先輩である。病欠を理由に一方的に立ち去ろうとするカミーユを部の主将が止めた。
「どうした?サボる気か?」
「病欠です」というのと同時に平手打ちがとんだ。
「・・すぐ戻ります」といい、カミーユは頬を押さえながら走るように立ち去った。
「あれで病欠かよ」(中略)
(そんなに俺の名を呼ぶなよ!俺がカミーユだって、みんなにバレてしまうだろ!!)
とおもったが、カミーユはリニア・カー内で沈黙していた。苛立ちのためか、つめを噛んだ。いくら名前を
呼ぶなといっても、
「だって、カミーユはカミーユじゃない」
といわれて、ファにウヤムヤにされてしまうのがオチだったからである。


私はつい偶然にも昭和期のアニメブームを多感な時期に経験した。このため、
アニメ新世紀宣言や明るいイデオンをキャッチフレーズにした特番などといった、
明らかにアニメーションの前途に輝きを抱くことができる経験をしたということで、
そのブームののちの世代や、いわゆるエヴァブームの世代のファンからどうやら中州
に入れられている。しかしその立場から提言できることがあるとすれば、このキャラクターが
好きとか、熱狂的にグッズを買い漁る姿というような、マニア的な行為を過ちを繰り返す
ように繰り返すのではなく、まずは現状を認知し、アニメーションの将来を憂い、自ら、
この業界を活性化させてやろう、権利を確立してやろう、なによりも影の文化として収めるべき
ではない、アニメーションはメディアとして確立できうるジャンルである、ということを理解することが
必要であるように思えるのだが、どうだろうか。
「ユウ、覚えているかい?小さい頃のこと・・・」
そうやって花を手に取る姿は、オルファンのクインシィ・イッサーの姿ではなく、
イイ子姉さんそのものであった。
(ん?)
と、ユウはふと思った。
(こんな姉さんの姿、久しぶりだ)
そう思った。どれくらい、あんな優しい姿の姉を見ていなかったことか。だが、肝心の
小さい頃の記憶を、ユウは覚えていない。
その反応を見、ユウの言葉を聞いたクインシィは激怒した。イイ子の姿から従来のクインシィの
姿に戻るや否や、ユウブレンを押しのけて飛び立っていった。
科学者の才能を発揮したいがゆえにオルファンにとりつかれた親父とおふくろ、
そして伊佐美ファミリーを利用しようとするアダルトチルドレン、ジョナサン・グレーン、
兄弟へのつぐないを切実に感じているシラー・グラス、そして姉のクインシィ。
オルファンが浮上すれば、銀河旅行によって至上の幸福を得ることができる、と
彼らは信じきっているのだ。
(あいつらは自分たちのことだけを考えている。オルファンが浮上することで起こる災厄よりも、
自分たちだけが生き残り、幸福になればいいと考えている。馬鹿馬鹿しいのは大人たちだ。
オルファンやそこにいる親父たちのやっていることを軽く考えて、事態を真剣にみつめようとしない。
これが実現してしまったら、人類全体がほろびるかもしれないんだぞ)
ユウは焦っていた。かれからみれば、ノヴィス・ノアの連中は鈍重で、あまりにも対処が遅すぎるように
感じられるのである。感受性のつよすぎるかれには、ヒメのように現実を認知しているような女や、
ラッセのような(お調子者)の意見は論外としか思えないのである。
548番外編(ブレンパワード):03/01/05 03:16 ID:???
慎重文庫刊
「オルファンの夢」
〜グランチャーパイロットとして両親に人生を強いられた少年、ユウ・伊佐美は、カナン・
ギモスとともにプレート回収に出た際、宇都宮ヒメと運命の出会いをする。
17歳、再び出会い、ノヴィス・ノアの一員となるも二転三転、苛立ちと身の置き所のなき
日々のなかで、さまざまな人々と出会い、全てを賭けて、オルファン浮上をくい止めようとするが・・・。
繊細すぎる感受性をもちながら、経験とふれあいを通じて徐々に成長してゆく一人の少年を、鮮やかに
描き出した長編小説。
549通常の名無しさんの3倍:03/01/05 18:53 ID:jkTrJInM
慎重文庫刊
「オデッサ(関ヶ原)」
1年戦争最大の地上戦となった天下分け目の決戦の過程描いて、
レビル・マの権謀の渦中で命運を賭した連邦・ジオン両軍将兵
の人間像を浮き彫りにする。
デラーズはジオン公国軍士官としてギレン・ザビにつかえ、その才能は憲兵・艦隊
運用・統率・作戦立案・戦術講義など、さまざまな方面に能力を発揮した(中略)
ギレンはデラーズを親衛隊長に抜擢、その厚遇ぶりはザビ家一門のみに与えられるグワジン級
大型戦艦を与えられるほどのものであったが、ギレンの死後、デラーズは、
「非業の死を遂げられたギレン閣下の無念、この私が晴らしてご覧にいれましょう」
と一部の艦隊を率いてア・バオア・クー要塞を離脱、公国軍残党を「デラーズ・フリート」と称し
刻を待った。
「私は、偉大なるギレン閣下がこの地球圏を掌握されることこそを望み、そのために自分の忠誠と命を
捧げてきた」
と、のちにデラーズは茨の園にて、帰還してきたアナベル・ガトー少佐にその理由を語った。
「しかし、そのギレン閣下が不逞なるキシリアめに謀殺されたゆえに、私はその武功と忠誠ををささげるべき
お方がいなくなった。あとにのこったキシリアとその幕下、そしてダルシアをはじめとした売国奴どもを満足させる
ために、私が命をすてて戦わねばならぬ義理はどこにあろう」
ふしぎな理屈だが、要は、ギレン以外に主はおらぬということなのであろう。
551:03/01/05 22:16 ID:???
>>399
遅れましたが、書かせていただきました。
これからもリクお待ちしております。
552通常の名無しさんの3倍:03/01/05 22:38 ID:???
伝説のスレをやっと見つけました!

うれしや、うれしや。
こいつぁ正月から縁起がいいねぇ。
553:03/01/05 22:52 ID:???
徐々に書いていく予定です。保全よろしく。
このスレ、伝説化してるのかな?うれしいことですが。
「乱」という、連邦政府が抱きつづけた恐怖の予感は、じつをいえばさしたること
はないともいえる。
ハマーン・カーンとそのアクシズのジオン勢力は、第一次ネオジオン抗争で叩きつぶされた。
そのハマーンの残党たちは四散し、各地で今なお抵抗を続けているが、いずれ鎮圧されること
は誰の目にも予測できた。
むしろ、連邦政府首脳およびアムロ・ブライトらロンド・ベルの人々にとっての懸念は、沈黙を
つづけているシャア・アズナブルという存在であった。この男の号令と根回し、工作如何でいくらでも
反連邦勢力は形成できるし、なによりも彼はかつてコントリズムを提唱した革命家、ジオン・ズム・ダイクンの
実の子であるということが大きかった。
555通常の名無しさんの3倍:03/01/06 00:12 ID:???
ざぁーっと見て特に秀逸だと思ったのが>>190-191かな。正直、震えがきた。
悔しかったのが>>281-282。前スレの時にこの個所をヘンケン-エマで書こうと思ってたが
dat落ちしてたので・・・・

これからも期待してまつ。職人さんマンセー。
作戦の前途に光明がなければ、その軍隊の士気はかならず病的なものになる。
この星の屑作戦の前途にかろうじて薄明かりがみえることを、デラーズらジオン
残党の士官たちは感じ取ってはいた。しかしながら、万一間違うことがあれば、
圧倒的な連邦軍の戦力のまえに簡単に揉みつぶされてしまうであろう。
「自分のみが天才だと信じ、他のものは全て愚人だと考えている自己肥大的性格」
と、かれについてしばしば言われている性格論的な理由にこの重大問題を理由づける
ことは単純すぎるようにも思える。グリーン・ワイアットがたとえ偏執病であっても
履歴の古い連邦軍提督であるからには、ほとんど習性化した措置としてその種の会議
ぐらいは一度か二度はもつにちがいない。
以上のことを考えてゆくと、グリーン・ワイアットははなからデラーズ・フリートそのもの
すら眼中になく、シーマの言葉通り、自分が大々的に動かなくても簡単に揉みつぶせると
おもっていたのであろう。
しかし一軍、惨として声がない。みな、ルウムや先の一週間戦争で嫌というほど
MSザクの銃火を浴びた。ジオン公国軍の機動兵器ザクは、こちらの戦闘機トリアーエズを
はるかに上回る性能と機動性、破壊力を発揮した。蚊トンボのような銃撃と、ミノフスキー
粒子散布下の状態での砲撃では、到底勝つことはできない。
(どうやら戦術体系が一変したらしい)
という実感が、実際に銃火をあびせられてパイロットたちは体で知った。物量で勝っていたからこそ
かろうじて緒戦は優位に保てただけの、そういう今まで知りもしなかった新兵器に対する衝撃が大きかった。
(こちらも、あのザクのようなMSをつくらねばならん)
捕虜になる前、レビルが言った言葉をワッケインは思い出していた。
カロッゾ・ビゲンゾンというのが、ナディアが選んだ相手であった。
要するに、自らクロスボーン・バンガードの指揮官たるべき立場を背負うこの
青年も、もとを正せばただの人のよい、科学者にすぎなかった。婿となり、カロッゾ・
ロナと名を変えた彼は、ロナ家という看板の重みと、その妻が移り気のある、家よりも
個人を重視する女性であるということなどはなから知らぬまま、ロナ家の一員として、
偉大な援助者であるマイッツァーの信頼にこたえるために、尋常ならざる努力をした。いや、
尋常どころではない。
カロッゾという夫がありながら、夫を表面はおろかまったく盛り立てようとはせず、
かつそのために婿であるカロッゾは気にしなくてもよい気配りを自分にしてくれている。
家を立てることこそがロナ家の血筋に生まれた者のつとめであるはずだとあれほど
教えたにも関わらず、他の男へゆき、帰らぬとはどういう心の仕組みか。
(あれは、所詮はあほうか)
マイッツァーは、手のかかる娘を考えるたびに心が暗くなった。マイッツァーは、コスモ
貴族主義を実践すべき自分の血縁が、なぜこのように自分の思惑とはまったくかけ離れた
方向へと向かってしまうのかとかねがね思い続けている。
その少ない血縁のなかで、ハウゼリーのような息子は、自分の理想を汲み、ロナ家の発展の
ために力を注いでくれているというのに、当のナディアめは、私的な路線を進んでいるのである。

561新史・摂政記:03/01/06 03:53 ID:???
(推さねば、アクシズにいるジオン将兵をまとめることなどできはしない)
地球圏の覇権も掌握できぬであろう。
(ザビ家の当主は、幼児でいい)
と、ハマーンはおもっていた。ギレン・ザビの死とともにザビ家の覇権はおわった、
というのがハマーンのひそかな道理であった。その覇権はザビ家の血統がつがねばならぬ
という道理はない。ギレンおよびザビ家一党が地球連邦政府を屈服せしめているならその
覇権は血脈相続せねばならないが、ザビ家がおさえた領土はもはや大半が失われており、
ジオン公国ですら公式には存在していない。存在していない以上、たれがその覇権掌握を
狙おうが問題はないであろう。
ザビ家の相続者は、ザビ家の体面とかつての尊貴性をもっているだけでよく、能力もないのに
今後の地球圏征服の業まで継承すべきではない。それにはザビ家の近臣などよりも、欲のない
幼児であるミネバこそ当主になっているべきである。
562通常の名無しさんの3倍:03/01/06 20:13 ID:???
hogo
563通常の名無しさんの3倍:03/01/06 20:44 ID:???
>>561
元ネタと趣旨がぴったり合っててイイ!
564:03/01/07 01:09 ID:???
時間が欲しい・・・・レポート書かないと。
明日書きますね。
565山崎渉:03/01/07 02:58 ID:???
(^^)
566通常の名無しさんの3倍:03/01/08 00:47 ID:???
一旦あげとく
シャアは同じ過ちを繰り返してばかりいる人類に革新のみちをひらかせるためには、
「根源たる地球を寒冷化によって休ませる以外にない」
と考えた。
単純な粛清論ではない。このことはシャアにとって政策論ではなく、思想論
とみてやるべきであった。
「地球という重力に縛られている人類は、こだわりを捨てられず分かりあうことさえ
できずにいる。ニュータイプへの覚醒なくして人類は平和を分かち合うことなどできる
ものか。オールドタイプのままでは永遠に不幸を重ねてゆくだけではないか」
とおもった。これをおもった瞬間、すでにこの理想主義者は、粛清によってあかるい未来が
ひらけると信じた独裁者と同列の人間になってしまっていたが、このことはシャアは充分に
自覚はあったであろう。だがそういう大義を遂行するという使命感をもっていながら、
このネオジオン総帥たるべき男は、サイコ・フレームの情報をアムロに流し、自ら障害を
つくりだしているのである。
矛盾であった。
569通常の名無しさんの3倍:03/01/08 04:39 ID:???
保護
570通常の名無しさんの3倍:03/01/08 05:56 ID:???
大人になるとシャアがダメ野郎に見えてくる。
571通常の名無しさんの3倍:03/01/08 08:30 ID:???
久しぶりにシャア専板覗いたら、復活してたのか...

 うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ

...いや、失礼。あまりのうれしさに取り乱してしまいました。
前スレ(いや、むしろその兄弟スレ)でも書いてましたが、すごいですなぁ、今回は。

 さて...今会社なんだけど、手元に「新撰組血風録」と「坂の上の雲(五)」が
あるから(コラ
572通常の名無しさんの3倍:03/01/08 21:05 ID:???
>>570
禿同。あんなに憧れたのが幻想みたくに。
逆シャア実はまだ見て無い、というか気分的に見れんのだ。
5731:03/01/08 21:06 ID:???
ん?会社から見てくれてるのかな?
>>571
どうもありがとうございます。前スレで感動して立ててしまいました。
ネタが偏りがちかなと最近感じてます。
ああっと、全部のネタを書いたわけではありませんよ。見る限り職人さんは
自分含めて三人くらいみたいです。
「血風録」は今読んでるとこです。
>>570
Z見直したけど、つくづく感じますね。責任を背負おうとしてないような。
5741:03/01/08 21:15 ID:???
一旦ageときます
とてもとても良スレ
(ーどうもおれは)
根が好色らしい。
目の前に座っているマウアー少尉をみると、マウアーは自分を不審がる
ような目つきでみている。その射抜くような目を見ているだけで、ものにしたく
なってくる。
シバ「いよいよ世界は普遍性を帯びていく。むろん一面では宇宙は逆に国家時代に
なってゆく。ザンスカールのような国家もでてくる。だけど、体制や主義のちがうコロニー
国家ができるということは、アンチテーゼのようなものであり、同時にまた普遍性の広がりを
あらわすものだということなんだ。その原理がわからなかったら、やっぱりアースノイドは自滅する
のと違うかしら。数十年経っても嫌われてる構図が続いているというのはどうもね。
いつでも連邦政府が安心立命できて、いい気持ちになるのは、さっきの話ではないけれど、
扉のあるところでウンチをしたりすることと同じで、地球という名のゆりかごのなかで、赤子のように、
子供のように戯れてる。この状態が一番甘美な状態であるわけだ。地球的回帰っていうけど、
年とったら地球的回帰になる。生まれてから、死ぬまで、過ちに気がつけないわけです。
気がつけばいいんだけども」
シバ「シロッコにしてみれば、ジャミトフという存在はティターンズだけでなく、
地球連邦軍にとっても損失でしかない、そのアースノイドの救世主たる存在がハマーン
という、化外の者に暗殺された、という形をとった。そうやって徐々にティターンズを
牛耳っていくわけね(中略)」
チン「それはシロッコの常套手段でしょう。アポロ作戦でも、サラの心をとっていくのでも
そう。現実的に非常、非道手段でもあえてやってしまう。かといってジャマイカンに対しては
年功序列を重んじるふりをして丸め込む。品性や美意識、俺だけがお前の気持ちを理解しているよ、
これでレコアを寝返らせる。変幻自在の政治的常套手段。
しかし、シロッコの資料はわりあいあるんだよな。全部買うとけっこうかかるんだ、復刻版で。つまり、
ニュータイプのなかでも、この男ほど強烈な才能をもっている男も稀ですから。
こいつをのけたら、グリプス戦役は考えられんですからね。
宇宙に戻ってから、特別のはからいによるものか、タシロ・ヴァゴ大佐より
大尉昇進の命を受けた。タシロ・ヴァゴ大佐はザンスカールの衛星軌道上の艦隊を
統率する身分である(中略)
この昇進の点でも、クロノクル・アシャーの場合にはつねに女王の弟という立場で
考慮されることが多かった。
しばらくして、クロノクルの士官学校における先輩にあたるべきアルベオ・
ピピニーデン大尉がラゲーン基地に着任した(中略)
着任後早々、ピピニーデンは揮下の小隊を率いてリガ・ミリティアの部隊に対し
攻撃を仕掛けている。
戦いがはじまるや、ピピニーデンはVタイプの敵MSの先を読み、部隊を散開させて
伏兵として潜ませ、数の優位を生かした挟撃でVタイプの敵MSを翻弄、あと少しで
撃破できるところを、搭乗パイロットが少年に変わった(この場面もかなり奇異なのだが)
のを契機に、指揮下のMSが反撃により撃破され、地形を逆利用されたあげく、敗北したが、
かなりの痛撃をリガ・ミリティア側にあたえた。
ラゲーンに戻ったピピニーデンはクロノクルのまえで、
「どうだ。ピピニーデンサーカスの腕前、みただろう。やられはしたが、君よりも戦果は
挙げてみせた」
と、いかにも士官学校の先輩らしく誇らしげにいった。ピピニーデンの力量にくらべ、
クロノクルの戦歴には、完全勝利や大戦果ともいうべき勝利をあげるというのがすくないように
おもえる。
581通常の名無しさんの3倍:03/01/09 00:06 ID:???
司馬遼は「カッコイイ男」を描くのが大好きなワケだが、
実際のところガンキャラで司馬遼の眼鏡にかなうカッコイイ男というのは
ほとんどおらんだろうな。
シャアもシロッコもガトーもギレンも男としてのあまりのショボさに
鼻で笑われるだけだろう。
582通常の名無しさんの3倍:03/01/09 00:14 ID:???
>>581
ランバラルで短編はありそうじゃないか?
かれはエンジェル・ハイロゥを軸とする0153年6月の戦闘で、リガ・ミリティアのパイロット
ウッソ・エヴィンによって撃破された。そのかれに最後まで執着しつづけたカテジナ・
ルースは、昇天を許されず、地に堕ちた。その後は知れない。
カテジナ・ルースはもともとはザンスカール側の人間ではない。クロノクルがスペースノイド
であるのに対し、彼女はれっきとしたアースノイドである。
584:03/01/09 00:23 ID:???
もう寝ます。レスは明日しますね。
585通常の名無しさんの3倍:03/01/09 01:48 ID:???
>1氏が構わないと言うのなら仕方ないけど、荒らしに潰された良スレの数々を思うと」
ageないほうがいいと思われ。
586:03/01/09 23:23 ID:???
>>585
荒らしは嫌ですね・・・・
極力sage進行でというのはよくわかるんですけど、スレが落ちてしまうのが心配だったり・・・
それじゃ、sageで行こうかと思います。
587:03/01/09 23:27 ID:???
>>581
短編集に関してはそうでもないかと。
乃木や血風録収録の短編主人公には情けないのもいるし。
長編の場合なら同意ですが。
このとき、スパイとしてリガ・ミリティアの基地に潜入していたのがクロノクル・
アシャー中尉であった。クロノクルは基地内部を詳細にさぐったあと、ラゲーンに
駐留している友軍に信号をおくって居場所をつたえ、その合図に従いゾロをはじめとした
MS部隊が基地を襲撃、その混乱のなかで偶然、崩れ落ちる天井からシャクティを反射的に
庇った。その姿を、地下にいたカテジナ・ルースはみるのである。
カテジナにすれば連れ去られたこと自体、すでに運命というものであると思い込み
はじめていたのかもしれないし、その連れ去った相手であるクロノクルが以外に優しく
凛々しい男だということがわかってきたことも彼女にとってはプラスになった。
そういう経験を、カテジナはした。
その経験があったればこそ、アーティ・ジブラルタルにおけるウッソの執拗な誘いにも
はっきりと拒絶の態度をとり、この時点で彼女の運命はきまりはじめていたともいえるであろう。
べスパのウーイッグ襲撃からかぞえて数十日しか経たないうちの目まぐるしい変化であった。
590:03/01/10 01:34 ID:???
ネタ考えないと。
もう寝ます。
591通常の名無しさんの3倍:03/01/10 01:48 ID:???
sageで書いても保守はできるって。圧縮がなければ1日くらい発言の間があっても大丈夫。
592通常の名無しさんの3倍:03/01/10 22:37 ID:???
坂の上の雲ドラマ化決定記念sage
実のところカミーユはこのティターンズ最強のニュータイプ、パプティマス・シロッコ
との戦闘において全身全霊のちからをしぼってしまった。あとは「みんな」の力を借りて
倒すのみであり、それはかれの限界を超えうるほどーというより破綻してもおかしくないー
というまでに、全エネルギーをZガンダムのバイオセンサーを通じて放出していたのである。
名将ということの絶対の理由は、才能や統率以上に彼が敵よりも幸運に恵まれる
ということであった。悲運の名将というのは論理的にありえない表現であり、名将は
かならず幸運であらねばならなかった。
ただアムロの滑稽であったことは、かれの横にいる白目のない艦長ブライトに稀有の
つきがついているとは思ってもいなかったことである。
595通常の名無しさんの3倍:03/01/11 01:42 ID:???
祝ドラマ化保護。
596通常の名無しさんの3倍:03/01/11 01:45 ID:???
山崎渉に気をつけて!
597通常の名無しさんの3倍:03/01/11 01:48 ID:???
保守
598通常の名無しさんの3倍:03/01/11 21:25 ID:5bu51twa
リクエストします。
燃えよ剣下巻で、山崎ススムが死んで葬式される個所をパオロ館長
同じく下巻でP195くらいで沖田総司が飯が食べなくて叱られる個所
をリュウ・ホセイお願いします。
599通常の名無しさんの3倍:03/01/11 21:43 ID:???
本日は燃料が大量投入されたので保守。
今日紀伊国屋行ったら「城をとる話」なる作品が初文庫化、とかで
レジに置いてありました。
職人さんには「播磨灘物語」やって欲しいです。
地上界よりバイストン・ウェルに召還されてきたトッドには、気負いがある。
バーンに護送されてゆく馬車のなか、目の前にいるショウと男に、
ー俺たちを強引にこの世界に連れてきた連中が、もとの世界へ戻せないはずはない。
と自信ありげに二人に言い、自分がここへ連れてこられたという事実に不信感をもっている
ことを露骨に示した。
ところが日本人ショウ・ザマは自分の意図に反して、まだこの世界のことは何もわからない、
これは夢の出来事かもしれないし、などと一人だけ悟ったかのような態度を見せ、ひどく落ち着いている
ようにトッドにはおもえ、腹が立った。
(所詮は、ジャップでしかないな)
トッドは気負いたっているだけに、ショウの緩やかさにいらだちを覚え、殴りを入れた。
6011:03/01/11 22:07 ID:???
>>598
シチュ上手いですね。リュウは初めてだな、リクは。
考えときますね。
>>599
「城を取る話」どこの文庫ですか?
播磨灘物語ですね。前にクワトロで一つ書きましたが、またネタを考えときます。
シーブックには、今までの主人公たちにくらべ常人である面のほうが多い。ひとの
不幸をみればすぐ同情するし、かれの力で何とか出来るものならお節介なほどに手助け
をしようとする。
かれは自分の友達やセシリーが、男女・性格の差異にかかわらず好きで、ときには感情をあらわ
にして自分の好意をみせようとする。肉親への理解に対してもそうであった。
今までのガンダムの主人公の家庭は破綻しているか、最初からいないかどちらかであったが、
かれは破綻しているわけではなかった。かれは父を尊敬していたし、その父から母親の立場を聞かされ、
その母親のことを理解する・しようとすることができる柔軟さを持ち、妹のリィズの世話もちゃんと焼き、
よき青年としてつとめている。
それらがすべて自分の利益につながるということでそうしているのではなく、根っからの純粋さがあるらしい。

603599:03/01/11 22:42 ID:???
>>602
おぉ、こんな短時間で。
「城をとる話」は光文社文庫だそうです。
Amazon見たら石原裕次郎の依頼で書き下ろしたそうです。
あらすじだけみたらネタに使えそうな話です(w
明日買いに行こう。
ヤーパンの天井について語りたい。
といって、ドームポリスごと「エクソダス」させようとしているので、まだヤーパンに
たどり着いているわけではない。その移動も、無事にヤーパンにまでたどりつけるのか、
と問われれば、軽快には答えられない。
しかし、げんに請負人主導のもと、エクソダスは遂行されている。居住ブロック、
別名「ヤーパンの天井」おごそかな名前をつけたものである。
6051:03/01/11 23:03 ID:???
>>599
ありがとうございます。今金欠なので、バイトの給料日に買いに行こうかと思います。
石原裕次郎か。
個人的にF91が好きなので、読んでたら思いつきました。
女性のシチュが難しいですね・・・・
ホワイトベースが連邦軍総司令部・ジャブローへ降下するためにルナツーを
出航したころ、戦傷者の一人であったパオロ・カシアス中佐が息をひきとった。
先のホワイトベース艦長である。
一年戦争開戦以来の生き残りで優秀な連邦軍人であり、ルウム戦役では劣勢のなか
的確な状況判断と集中砲火で自軍の崩壊を懸命に食い止め、実際にシャアの恐ろしさを
目の前で経験した男である。
サイド7でのジオン軍の襲撃で、機銃を掃射している最中に爆風に巻き込まれ壁に叩きつけられても
なお応急処置で持ちこたえさせたほどの気丈な男だが、もはや手遅れともいうべき重傷をうけており、
ルナツーを襲撃してきたジオン軍との戦闘が終了したあと、惜しまれつつ死んだ。
「・・・・パオロ艦長・・・」
ブライトは、にぎっているパオロの手が急につめたくなったことで、もう目の前にいるのがパオロ・カシアス
でなくなったことを知った。
葬儀は、連邦宇宙軍の慣習による宇宙葬をもってせられた。
607(^^)エヘヘ:03/01/12 23:54 ID:???
age
ティターンズ・エゥーゴ・アクシズの三つ巴の攻防のなか、シャアは全てに失望してわが道を
歩まんと、百式の残骸とともに戦場を離脱した。
それまで、
「赤い彗星」の異名と演説に代表される卓抜した政治手腕で、「シャア・アズナブルあるかぎり
エゥーゴは最終的に勝利を手にするかもしれない」とティターンズ・アクシズ側がその才腕を恐れていた
シャア・アズナブルの変貌が、このときからはじまる。粛清、つまりそれまでこの挙には出るまいとして
己を諌めていた地球へのテロリズム攻撃、「新たなるみち」を開くためには犠牲もやむをえないという
独裁者的見切りかたが、赤い彗星シャア・アズナブルのこれ以後の人生であった。
ジャミトフは法制をつくったり、事務を処理したりする上では、驚嘆すべき能力
をもっていた。連邦の正規将校の多くはジャミトフのような才覚をもっておらず、
自己の金権主義や派閥主義に固執しているあいだに、実務家のジャミトフは小規模的
存在にすぎなかったティターンズを強化し、育成しつつあった。
名文家のジャミトフは、地球圏安定維持の目的で連邦正規軍軍拡を否定し、
「内は以って特務部隊により「残党」を鎮圧し、正規主力は以って対峙の勢を張る」
と書いているが、結果としてその「残党」が誰であったのかということを考えると、
ジャミトフの実務は劇的であったともいえなくもない。
610通常の名無しさんの3倍:03/01/13 22:23 ID:???
保守
「余事だな」
事がすんでしまうと、シロッコはしんぞこからわずらわしくなっている。この
目的主義者は、自分の主題に合う事柄以外はすべて余事なのである。みじかい
一生のうちの何分でも余計のことにわずらわせられたくない。
ギレンの性格には巨大な矛盾があり、ジオン・ダイクンの革命運動に参加した
生粋の革命家でありながら、革命的志向とは逆の秩序主義についても異常なほどの
執着をもっている。かれは、一利ヲ興スハ一害ヲ除クニシカズということを政治上の
モットーとしているように、飛躍を好まず、前進ということについてもきわめて
臆病であり、政治とはそういうものだという強い信念をもっている。キシリアの
提言したニュータイプ部隊設立という飛躍的構想に好意をもつはずがなかった。
613通常の名無しさんの3倍:03/01/13 22:57 ID:???
一旦age
とくに重要なのは、ジャミトフを襲いつづけていた衝撃であった。アースノイド・
スペースノイドともに地球という母なる母星(連邦政府そのものさえ)を愛さなくなっている、むしろ
スペースノイドと僭称している「賊徒」どもはこの人類の生誕地からはなれようとしている、
ということである。
ーあのゴミどもの考える「第二の故郷」の構想にアースノイドは影響されるだろう。ただでさえ
秩序体系を維持している連邦政府は弱いという認識をもたれている。このままでは政府は瓦解し、
ゴミどもの下風に立つ羽目になるやも・・・
という恐怖である。ジャミトフは一年戦争・デラーズ紛争における連邦軍兵士を見た。
その低調な士気、その愛国的情熱の欠如を見た。
「上の連中はやる気がないし、大体、民主制のため・正義のために戦う軍隊っていったって、
命は惜しいよ」
「レビル閣下やティアンム閣下のおられた頃はよかったな。あの頃に比べたら・・・今はもう駄目だ」
「核を逆利用されてズドーン!いざ連邦軍に入ってみるとよくわかるよなあ、民主主義の軍隊ってのは
怠惰な軍隊でしかないってことがさ」
という気分が兵士のなかにあるのも見た。連邦国民は民主主義にのっとって、言論の自由を
行使している。しかし当の連邦国民自身が民主制に懐疑を抱いていることをジャミトフは敏感に察した。
かれらには愛国の感情は普遍的に存在しているが、しかしその感情は結局、
カリスマをもった強い指導者や理念をもつ革命家という「人物」に惹きつけられて
ゆくことを悟った。むしろこの愛国的な連邦国民(むしろアースノイド)は、
本気で地球を守ろうとする指導者があらわれればそれにしたがってともに護ろうと
いう気分をもっていたし、さらにはまず秩序体系を内部改革から変えなくては
連邦政府は何も変わらないと考える層もまた多数いる。ジャミトフはそれらのほとんどを
その目で見、耳できいた。
(この連中は強い政府・強い指導者をもとめている)
と、ジャミトフは考えた。この連中、というのは連邦政府の普遍的理念を「強い体系」で維持したいと
考えるアースノイドのことである。
616通常の名無しさんの3倍:03/01/13 23:52 ID:???
sage
ジャミトフが、ティターンズ設立後、スペースノイドたちによって展開された
軍拡批判や特務部隊規制運動というものを化外の民たちの、維持されるべき普遍性
を乱すものとして認識し、そのことを民主制に対する反逆行動として捉えたという
滑稽さは、滑稽として見過ごせない。
なぜなら、かれは宇宙世紀0085ごろには連邦政府の中枢権力におよぶまでの権勢を
築き上げるとともに、反政府運動を賊徒どもの狂乱事と見、なにごとにおいても徹底的弾圧と
いう高姿勢で臨んだ。
618通常の名無しさんの3倍:03/01/14 00:08 ID:???
前スレ見たく、どこの場面か誰かまとめてくれないだろうか・・・。
最近のものだけでもいいから
6191:03/01/14 00:19 ID:???
>>614/615/617
翔ぶが如く二巻(P35〜)
フランスにて革命運動と皇帝を公然と批判する兵士を見て、衝撃を受ける
山県有朋。
>>612
翔ぶが如く二巻(P290)
大久保の描写
>>608
燃えよ剣(下)(P89)
徳川慶喜の変貌と薩長側の評価
>>604
草原の記〜黒い砂地(カラコルム)赤い英雄(P58)

とりあえず今日はここまで。
もう寝ます。
620通常の名無しさんの3倍:03/01/14 19:08 ID:???
いったん上げてみる
6211:03/01/14 22:54 ID:???
>>602
播磨灘物語(二)(P119〜)
官兵衛の項
>>600
関ヶ原(下)(P171〜)
夜襲を考えていた宇喜多秀家が三成の文官的態度に苛立ちを覚える
>>594
坂の上の雲(八)(P61〜62)
東郷を抜擢した理由を明治帝に説明する山本権兵衛
>>593
坂の上の雲(八)(P60〜61)
天佑を連呼する秋山を山本権兵衛が評して。日露戦で知能をしぼりつくした真之の
描写。
622侮辱(幕末・土佐の夜雨):03/01/14 23:37 ID:???
このとき、バスクが放屁をした、というはなしがある。
いくら特務部隊指揮官とはいえあまりの非礼に連邦正規軍の士官がとがめると、
部屋を出て行こうとしたバスクは正規軍士官に一瞥もくれず、
「屁ではない。糞が咆えたのじゃ」
といった。
(なるほど、バスク大佐の糞が叫(おら)びなさったか)
と、後日、この話をきいてカクリコン・カクーラー中尉は、さすがはバスク大佐
らしいと思った。
ちかごろ下っ端たるべき正規軍将校どもが増長しすぎる。あれらは、糞のようなものだ。
バスク大佐は、連中に口で一喝するよりも、胎中の糞をして一喝せしめたのだろう。
6231:03/01/14 23:52 ID:???
>>588/589
殉死(P104〜)
大久保の国葬にて儀杖兵指揮官を務める乃木希典をはじめて見る静子(このときはお七)
>>622
土佐の夜雨(幕末)(P290〜)
土佐藩参政吉田東洋が郷士那須信吾に対し侮辱をしたことを聞いた岩崎弥太郎
軍中の名物男には、かならずそれにちなんだ唄がある。ヤザン・ゲーブルの唄は、
 エースエースは多けれど
 野獣ゲーブル、一級(いち)エース
といい、一年戦争・グリプス戦役を通じて、連邦軍・ティターンズ内部でうたわれたが、
ちかごろではすこし歌詞がかわった。「エースエースは多けれど」まではおなじだが、
「野獣ゲーブル、ハンブラビ」でむすぶのである。
「ヤザンといえば、ハンブラビ」のイメージが強烈にあったからだろう。この栄光のハンブラビ
を失ってからのヤザンは往年のヤザン・ゲーブル大尉ではなく、まるで別人のような印象がある。
本人はまったく変化していないのだが。
6251
挙げときます。