ソシエたんはやっぱり萌える人の数→

このエントリーをはてなブックマークに追加
91通常の名無しさんの3倍
一応言っとくが、2話のソシエのセリフだ!いや、3話だ!
92ソシエの復讐-1:02/04/24 20:46 ID:???
「ソシエお嬢さんは、最近料理の修業をしたいと叫んで
手のつけようがない、どうしたらいいだろう?
お嬢さんの作る料理の試食で、私たちは生命の危機に
さらされています。」
お屋敷から、そう相談を受けた僕は、キースに頼んで
パン屋で修行させてはもらう約束をとりつけて、
ソシエお嬢様を、キースのパン屋のパン工場へ
お連れしました。
   
「じゃあ、キース、よろしく」
「え〜、ロラン、もう帰っちゃうの?」
「ソシエお嬢さんは、パン製造の修行にきたのでしょう?
僕がいたら邪魔になりますから。じゃぁ、がんばって」
93ソシエの復讐-2:02/04/24 20:47 ID:???
「え〜い。とりゃ〜」
  
ソシエの声がパン工場に響きます。
  
「だから、お嬢さん、そんなにしたら、パン生地が
痛みます。もっと、こう丁寧に扱わないと。」
  
キースは、最初、基本どおりに、掃除からまかせようと
したのだけれど「え〜、わたし、料理がしたいの!」との
声に負けて、パン生地を加工するところから始めました。
でも、その姿はどうみても、ソシエ操るカプルの踊りのようです。
  
「だって、ゆっくり触っていると、手にくっつくし〜。
とりゃぁ〜」
  
94ソシエの復讐-3:02/04/24 20:47 ID:???
頭を抱えたキースは、何事か隣の職人長と話し合った後、
  
「ソシエお嬢さん、じゃあ、今度はこちらで、
実際に菓子パンに加工してみましょう」
  
「本当? その方が料理修行になる?
そうよね、パン屋をひらくためじゃないものね」
  
素直に応じて、菓子パン加工用の机に向かうソシエ。
  
「あ、お嬢さん、その前におやつにして、一息つきましょう」
  
本当に疲れた様子のキースは、ロランがソシエを送り
届けたときにさしいれてくれた、イポーニャというところ
から送られてきたという、赤福というお菓子と紅茶を
並べるのでした。何でも、イポーニァに交渉に行っている
グエン卿が、「ロランたんへ」というなが〜い手紙と
ともにトラック一台分送ってきたものだとか。
95ソシエの復讐-4:02/04/24 20:48 ID:???
おやつの時間が終わって、ソシエも少し落ち着いたのか、
まじめに菓子パン作りの基礎を学んでいるようです。
でも、そろそろ飽きてきたのでしょうか?
眼が泳いでいます。
職人さんは、その様子を察して、
  
「じゃあ、何か、好きなパンを作ってみましょうか?」
  
ソシエの眼が輝きます。しばし考えこんだあと、
パン生地をこねて、まるく伸ばしだしました。
でも、途中で、何事かを悩んでいるのか、手がとまります。
  
「お嬢さま、普通でいいですよ。私たちだって、
新しい菓子パンを作るときは、試行錯誤をして
一ヶ月ぐらいかかって作るんです」
  
その言葉が耳にはいるか、はいらないかのうちに、
  
「そうよ! これよ!」
  
ソシエの眼が輝いたかと思うと、ソシエは、赤福の
箱に残っていた餡子をパンの中につめはじめました。
キースは頭をかかえています。
職人さんは、あきらめ顔です。
  
「はい! できあがり!」
  
出来上がったパンは、丸い形に、眼と鼻がついて
いました。
96ソシエの復讐-5:02/04/24 20:49 ID:???
パンは、焼く前に発酵させなくてはいけません。
しばらく発酵させて、少し膨らんだソシエのパンは
さっそく焼かれてでてきました。
人のよさそうな顔の形です。
  
「できたー!」
  
焼きたてのパンを取り出してきた職人さんに
すすめられて、ソシエはパンをちぎって口に運びます。
途端に彼女の眼が輝きました。
その反応に、キースたちは驚きます。
  
「おいし〜」
「本当ですか? ソシエお嬢さん。どれどれ」
  
一口ちぎって口に運ぶキース、職人さんたち。
眼の色が変わります。どうやら、本当においしいようです。
職人さんは、今日パンを作り始めたばかりの
ひよっこに、してやられたり、と少し苦い顔です。
97ソシエの復讐-6:02/04/24 20:49 ID:???
「ソシエお嬢さん、これは確かにおいしいです。
改良して、うちの店で売ってもいいですか?」
「いいわよ。でも、デザイン料は安くないわよ」
「……(ただで修行させてあげているのに)
 はい、あまり出せませんが」
「そうね…じゃああと、名前をつけさせて!」
「いいですけど… おいしそうな名前にしてくださいね」
「うーんと、そーねぇ、丸いから丸パン、そのままだなぁ。
月みたいだから、月パン、ちがうなぁ、… そうだ!
ディアナパン!」
「どう関係があるんですか?」
「そろそろ、月と地球の戦後一周年じゃない?
きっといけるわよ」
  
一日中、ソシエのワガママにつきあってきて疲れていた
キースたちは、それを飲むことにしました。
98ソシエの復讐-7:02/04/24 20:50 ID:???
「ディアナさま! 聞かれましたか?
最近、キースのところで売れているパンのこと?」
  
買い物から帰ってきたロランがドアをあけるなり
叫びます。
  
「ええ。新聞の記事で少し読みました。
写真が小さくてどんなパンなのか分からなかった
ですけれど」
「今日、僕、ようやく買ってきたんですよ。
これまでにも買おうとしたんですが、いつも人気で
すぐに売り切れてしまうらしくって」
  
そう言って、ロランはパンのつつみをあけました。
99ソシエの復讐-8:02/04/24 20:50 ID:???
「う〜ん」
  
私は思わず、椅子に崩れおちました。
私は、私は、こんなに丸い顔ではありません!
おまけに、ほっぺた赤いし…
  
「ディアナさま、大丈夫ですか?」
「な、なんとか」
  
ええ、ええ、たしかにパンはおいしかったのです。
でも、その日の夜遅く、私は月のキエルさんと、
ハリーに連絡をとって、そのパンが黒歴史では
「アンパ○マン・パン」と呼ばれていたことを
発見してもらい、月政府からの依頼という形で
名前を変えてもらうことに成功しました。
  
…でも、子供たちの間では、今でも
あの丸いアンの入った顔つきのパンは
「ディアナパン」と呼ばれているみたいです。
日々是鬱鬱。
           ディアナ・ソレル