プロジェクトX 〜技術士官達〜

このエントリーをはてなブックマークに追加
352孤高の決闘機 ギャン開発史
9:15  エェェェェェックス・・・!

「次世代MS戦争〜孤高の決闘機 ギャン開発史」

(あのナレーション)

1年戦争末期。ジオン公国は連邦の物量作戦に次第に押され始め、
その制圧範囲を縮小して行く事になった。
連邦の量産MS「GM」は、性能でジオンの傑作機「ザク」を上回り、
「GM」より性能の良い「リックドム」でさえも、集団戦闘時では、
「GM」の組織力と物量の前に思う様に戦果をあげる事が
出来なくなりつつあった。

「ザク」「リックドム」に代わる汎用量産機が必要だ。
しかも、物量をはね返せる高性能機が。

ジオン首脳部は次期主力MSの選定条件として、
1.リックドム・ザク06R以上の運動性
2.ビーム兵器の標準搭載
3.安定した生産性
の3つをジオンMS企業に向けて打診した。

とてもでは無いが、ジオン首脳部でさえ、この条件をクリア出来る企業が
あるとは思えなかった。
無茶は承知だった。無茶が出来なければ、ジオンは確実に負ける。
それを見越しての、この条件提示だった。
しかし、この、無茶な命題に、ジオンの2つの技術者集団が立ち向かった。

「ジオニック」と「ツィマッド」共に「ザク」そして「ドム」
1年戦争のターニングポイントとなる傑作機を生み出した企業だった。
2つの企業は、お互いに影響を受けながら、MS史上に残る傑作機を生み出す事になった。
しかし、それは予想以上に険しい道のりだった・・・
353孤高の決闘機 ギャン開発史:02/03/20 23:14
(あの音楽)

「高性能機の開発〜1機のMSで物量をはね返せ!」
「生き物のように動く機体を〜フィールドモーターの威力」
「白兵戦用としての特化〜ジオン初のビームサーベル」
「ビームが撃てない?〜実弾系武器への転換へのユニークなアイディア」
「コンペティション〜MS-14との競合・・・そして」


ツィマッド社技術主任、K。
ジオン首脳部からの条件提示に、ほくそ笑んだ。

「今度も、ジオニックを出し抜いてみせる」

地上用重MS「ドム」の成功以来、ツィマッドの業績はうなぎ上りだった。
ザク06Fに代わる主力MSの選定に於いて、宇宙用に換装を施したリックドムは
生産性の高さでジオニックのザク06Rを抑えて勝利していた。
しかも、ツィマッドはジオニックに対して決定的なイニシアチブを持っていた。

ジオン首脳部の統合整備計画プロジェクトの一環により、
ジオニックからザクの技術提供を受けていたツィマッドは、独自にミノフスキー
理論によるビームCAPの小型化に成功していた。
更に従来のジオンMSの動力機構として採用されていた流体パルスシステムとは
一線を画した、画期的なシステムの開発に成功していた。
連邦のMSにも採用されていたフィールドモーターとマグネット・コーティングである。
この技術をザクに盛り込んだ。
完成した機体は、従来のザクの性能を大幅に凌駕していた。

MS-11 アクトザクである。
354孤高の決闘機 ギャン開発史:02/03/20 23:19
しかし、ビーム兵器を装備し、抜群の運動性能を持っていた
ザクの完成系と言っても過言では無いアクトザクだが
正式採用を見送られていた。

理由があった。連邦の白い悪魔、ガンダムの出現。

当時ツィマッドは次期主力MSの選定に、このアクトザクを提出する予定だった。
しかしガンダムの出現によって大きく事態は一変した。
戦艦並みの火力を持ったビームライフルの脅威。
ザクを一撃で撃破するこの兵器の出現は、ジオンの技術者を驚愕させた。
そして、ツィマッドの技術陣のMS開発構想を根底から覆すことになった。

リックドムのジェネレーターを流用していたアクトザクのビーム兵器は、明らかに出力不足だった。
自然と、ジオン首脳部の提示した内容の「ビーム兵器」は
ガンダムに準ずるものでなければならないことは暗黙の了解になった。

しかしそれでもツィマッドが、一歩ジオニックをリードしていることは、
明らかな事実だった。

アクトザクで培った技術を、どう次世代機に反映させていくか。
これがツィマッドとKの懸案事項だった。同時に、リックドムに続き、
このコンペティションに勝利出来れば、MSの生産主導権は完全に
ツィマッドにシフトする。


社運をかけた開発が始まった。