OVER THE RAINBOW制作委員会Part4

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「ドロシーの看病」1

ベーカリー隊用サムソン改
それはMS運搬用のものとは異なり
台車部分にパン焼き設備や原料倉庫が存在しているため
金属の覆いで四角く囲まれており
傍目にはコンボイのように見えた。

後方警戒任務から一時帰還してきたドロシーは
一旦サムソン改を抜き去り
ワッパを上昇させて相対速度をあわせると
ふんわりと牽引車両の天井に軟着陸させた。

ワッパがフックで天井に固定されたのを確認して
ライダー・ゴーグルと防塵マスクを外す。
息苦しさがなくなる代わりに、砂漠地帯特有の土埃っぽい空気が襲ってきた。
眉を一つしかめさせて、後ろに向かって足を進める。

牽引車両と台車の間の、天井が繋がっていない裂け目を
慎重に飛び越えて、台車に移る。
そこでは沢山の兵士達が身を寄せ合うようにして、座っていた。

台車の天井に申し訳程度で付けられた手すりに
血の滲む包帯を頭に巻いた男が、もたれかかっている。
自動小銃に全身の体重を預けるようにして、男達がうずくまっている。

そんな彼らの顔を見ないように、目を伏せながら
ドロシーは歩みを進めていった。
(続く)
(続き)
「ドロシーの看病」2

ベーカリー隊用サムソン改の台車部分の最後方。
そこにアンは寝かされていた。
座らずに横になっているので、そこだけがポカンと空いてるようにも見える。

眠っているのか、目を閉じているアンにゆっくりと近づいて行く。
隣に座っていた兵士が脇に詰めて、スペースを空けてくれた。
ドロシーはそっと、でも、できる限りの微笑みをその兵士に向ける。
彼はただ黙ってうなづいてくれた。

静かに横たわっているアンの体を、時折車の振動が揺さぶる。
されるがままに揺さぶられているアンの体は、
まるで生気のない人形のようだった。

今はまだ、投薬の時間ではない。包帯の交換の時間でもない。
ただ、ドロシーに時間ができたからだった。
何をするでもなく、ドロシーはアンの顔を見つめる。
栄養剤だけで持たせているので、血色が悪い。
頬もこけてしまった気がする。
(続く)
434電波塔56 ◆gytING3s :01/12/13 02:23
続き、遅くなって。。。しかも上の文ちょっとミスった。。。スマソ。

ので、ギャロップを出すなら、1つの密閉された空間を出すなら、ソコの中でも小さな
モノから段々と大きくなる「社会」を描かなくてはならないと思います。
特に、ギャロップの運転席で私的会話は絶対にしない、もしくは怒られることを描き
だから、影へ引っぱり込んだり、倉庫の隅だけで私的な話しをする。
それこそ夜、テントの中だけで話す。

ようするに「小さな世界内」では「情」や「私」を優先させ、外に出て行くにつれ
「規律」を優先させる(される)を描く。
そして、そんな小さな所では「軍規よりも」「情」が優先される場合もある。
初め見たとき人は「べ隊」を何と見るか?おそらく「大家族(1つ屋根の下?)」
でしょうし、でもその中で、ちゃんと「親しき中にも礼儀有り」や「責任」
「分かり合おうとすること」を描く、でも、最後は諍いも許しあえる所。
でもその「べ隊」もよその隊と合流して一つの軍になればそうではなく
「軍規」が優先される。
初めのべ隊だけの時はマターリでも、話が進むにつれ厳しくなる。
一人のミスが全くの見ず知らずの人間を巻き込むことになれば「べ隊」だけの時
許されていたことでも許されなくなっていく。
家ではワガママOKでも「子供会」でお食事に行ったときワガママは許されない
みたいな。「社会」との関わりが大きくなるにつけ「家」すら「変化」が
求められるコトも描かねばいけないと思います。
なんか。。。まとまらん文だ。ぜんぜん続いてない。。。
(続き)
「ドロシーの看病」3

きびきびと動くアンの象徴ともいえる
短くそろえられた赤い髪は
長く続く撤退戦の移動の中で、
汗と土埃でくすみ、しなびた様に額にかぶさっていた。

いつでも出せるようにと、
胸ポケットにしまっていた白いハンカチを取り出す。
腰に付けた携帯用の水筒を外すと
ドロシーは自分の飲み水を、
ゆっくりとハンカチに染み込ませていった。

なでるようにアンの髪を、ハンカチで拭いていく。
柔らかかった彼女の髪は、何故か硬くなっている気がした。
額にかからないように、左右により分けていく。
砂漠の風がそれを邪魔した。

気が付くと、閉じられたはずのアンの目が開かれていた。
目が合ってしまう。
掛ける言葉が見つからないドロシーに、アンは柔らかく微笑んでくれた。

髪を拭いていたハンカチを両手で力いっぱい握り締めながら、
ドロシーは微笑み返す。
アンは弱々しく腕を上げると、そのまま伸ばして、
ドロシーの頭をそっとなでてくれた。
握り締めていたハンカチが下に落ちる。
アンの微笑が涙で滲んでいた。
(了)