この先に敵がいる。
そうジオンがいる。
なんと心躍ることか!
巨大なコロニーが愛しき者もろともオーストラリアをえぐったあの日から、彼の心躍らす術はただただ戦いのみだった。
「フォックス・ファングよりRF隊各機へ。これよりジオン陣地強襲をかける!」
「フォックス・アイ了解」
「フォックス・ネイル了解」
「抜かるなよ!」
そう一言叫ぶや、彼は自らの愛機を走らせ。
そして、跳ぶ!
ジムの巨体は夜のしじまを引き裂き、天空へと舞い上がる。
「ジオンのクソどもが!」
眼下に広がる憎むべきジオン軍。
彼は迷うことなく、手元のトリガーを引く。
狙いすらもつけないその一撃は、何かに導かれるように、ジオン軍の陣地の中心部を吹き飛ばした。
彼は高らかに笑った。
そして、迷うことなく彼はジオン軍が野営用に立てたテント群のその中心に思い切りよく着地する。
おそらくこの足下には、バカなジオン兵が大口開けて寝こけていたことだろう。
きっと奴らは自分が死んだことすら気づかず、夜明けとともに地獄で目覚めるだろう。
そして、奴らは夜明けとともに、あがない切れぬその罪を地獄で裁かれる。
「最高だっ!」
と、その時画面中央。
ジムの正面。
一つ目の巨人がゆっくりと大地を踏みしめ立ち上がった。
数多くの戦友の命を無情にも踏みにじったあの憎むべきモビルスーツ・ザク。
ゆっくりと彼はねらいを定め、引き金を引く。
その指に万感の思いを込めて。