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名無しさん@お腹いっぱい。:
570 水先案名無い人 :2008/12/22(月) 23:59:12 ID:vWuvYBMX0
店員も女の子がお金をたいして持っていないことに気づいたらしく、
イチゴが乗っているものの中で一番安いショートケーキを示し、
「これがイチゴが乗ってるやつの中で一番安くて380円なの。
お金は足りるかな?」と問いかけた。
すると、女の子の緊張は最高潮に達したようで、
ポケットの中から必死で小銭を取り出して数え始めた。
俺は心の中で神に祈った。どうか足りてくれ!
「100えんがふたつと・・・50えんと・・・10えんがいち、にい、さん・・・」
俺は心の中で叫んだ。
ああっ!ダメだ!280円しかないっ!!!
店員は申し訳なさそうに
お金が足りないからケーキは買えないという趣旨の説明を女の子にした。
それはそうだろう。店員はどう見ても単なるバイトだ。
勝手に値引いたりしたら雇い主に怒られるだろうし、
女子高生にこの非常事態を大岡越前ばりのお裁きで丸く納めるほどの
人生経験はなくて当然だ。
かといって、赤の他人の俺が女の子のケーキの金を出してやるのも不自然だ。
女の子が自分の金で買ってこそ意味があるのだから。
女の子には買えないことが伝わったらしく、
泣きそうなのを必死で堪えながら、
というより、声こそ出してないが、ほとんど泣いていて、
小銭を握ったままの手で目をこすりながら出て行こうとした。
すると、ろくに前を見てないものだから、
自動ドアのマットにつまづいて転んだ。
その拍子に握っていた小銭が派手な音を立てて店内を転がった。