■知識自慢!上の奴よりマニアックな事を書こう!■

このエントリーをはてなブックマークに追加
744文殊王
「スパイダーズ2」
(2001年/97分/アメリカ)
A級戦犯製作総指揮:アヴィ・レーナー、ダニー・ディムボート、トレヴァー・ショート
監督:サム・ファースティンバーグ
原案:ボアズ・デヴィッドソン
脚本:スティーヴン・ブルックス
特殊メイク・アニマトロニクス:KNBイフェクト・グループ
デジタルFX:スコット・コールター

評価(5つ星):斬り捨て御免!!

ジェイソン・アレクサンドラ夫妻は、ヨットクルーズを楽しんでいたが、嵐に遭い遭難した所を、タンカーに救助される。しかし、そのタンカーはマッドサイエンティストの実験場で、人類にあらゆる病気への抵抗力を持たせる為に蜘蛛の遺伝子を導入する研究(ハァ!?)の前段階として、人体に巨大蜘蛛の卵を産みつけさせる研究(ハァ!?)が行われていた。タイトルは「スパイダーズ」(参照)の2となっていますし、同じ会社の作品ですが、物語の繋がりはありません。

これに比べれば前作は傑作、とまで断言できるほどつまらない作品。とにかく主演モンスターたる巨大蜘蛛がなかなか活躍せず(顔出しはする)、やる事といえば乗組員を怪しんだ主人公夫婦による探偵ごっこ。初めから分かりきっている事の謎解きをダラダラと見せられても面白くも何ともありません。実際この謎解きは物語にほとんど関与せず、アレクサンドラが配電盤をいじった事で、なし崩し的に話はパニック物になってしまいます。そのパニック描写も蜘蛛が誰彼かまわず、人を殺しまくる(映像的カタルシスも皆無)もので、展開に少しでも捻り加えようという意思がまったく感じられません。

それでもモンスター映画としての見所があれば救いがありますが、1と違い町で暴れる巨大蜘蛛などといったものはなく、ひたすら船の上で話が展開されますし、そもそもVFX・SFXのクオリティーの低さが尋常ではないのでそんなものがあったとしても見所にはなり得ません。VFX・SFXのレベルはどんなものかといいますと、蜘蛛のCGIはアニメートが酷く動きがギクシャクしている(ブラーがかかっている分「ガメラ2」の群体レギオンにたかられるガメラのCGIよりはマシ。か?)、CGIによる船の沈没は浮力0としか形容のしようが無いアニメート、海面での合成では平常時の海に適当なマットラインで切ったオブジェクトを下手なコラの様に張りつけたもの、海上の人物のアップではロングでの海の色と違い海面が水色でプールである事がバレバレ、そして船の沈没の水中視点でのSFXは水槽の中のプラモに歩子っと穴が空いたような最低レベルのミニチュアワーク、などなど散々列挙しましたが、これでもまだ視覚逆効果の数々が残っています。

ここまで多種多様の手法を用い、ありとあらゆる視覚逆効果を実現している本作は非凡な駄作と言えます。666mの超巨大怪獣とウルトラマンの絡みでウルトラマンが十数cmに見えてしまったり(参照)、戦隊の予算でハリウッドの大作でもやらないような大スペクタクルをやろうとして見事に玉砕したり(参照)、といった視覚逆効果作品など勝負になりませんし、私が至高の視覚逆効果と褒め称えたレプティリカス(参照)でさえ本作の前には児戯にも等しいと言えます。

これが実現できたのは、(低予算作品を結構見ている私が)良く知らないどころか一度も聞いた事の無いVFXスタジオがVFXを担当しているというだけでなく、彼らにかなり高いハードルを課したという事にもよるのでしょう。これが後一年早く作られていたら、まず間違いなく20世紀最凶最悪の視覚逆効果作品となった事でしょう。そんなわけで、ほぼ受賞は決定していますが、本作を今年の日本あぼーんでミー視覚逆効果賞にノミネートする事にいたします。

それはそうと、この作品の予算っていくらくらいなのでしょうかね。スタッフにやたらと、何とかスキー・何とかノフといったロシア系の名前の人が多いですし、同じB級モンスター映画といっても「ヴァイラス」(参照)あたりとは(無論下に)桁一つ違うんじゃないかと思われます。が、資料が無いので実際どうなのかは不明です。では--------------------------------------------------------------------------------