1 :
33歳 :
1999/10/19(火) 21:17 ガッパは伝道師さんと共に熱海の空に消えた! だが、滅んだわけではない。怪獣映画の 常として、需要さえあればいつでも不死鳥のごとく甦えるのだ! さあ、ガッパファンのみならず、マイナー怪獣映画ファンの若人&オヤジ達よ! 心ゆく まで語ろうではないか!
2 :
33歳 :1999/10/19(火) 21:40
と、いうわけで…今一度ガッパスレッドを立ててみました。 さて、以前のスレッドの最後でちょっと話題にした「ゴルゴ」と「ガッパ」の 関係ですが、ちょっと気になっていくつか手元の資料をあたってみました。 まず、訂正から。私が持っているLDの金子益実氏によるライナーには、「ゴ ルゴ」との関連は言及されていませんでした。 「宇宙船」の1982年秋号の「フラッシュゴードンの思春期」ではゴルゴの スチール、コミックの表紙などの図版が掲載され、「捕らえられた子供を親ゴ ルゴが救いにくるという話は、そのまま、日活ガッパがコピーしてしまった」 とのキャプションが添えられています。なお、この一文は単行本の方では掲載 されていません。 さてさて、ここからが、今日見つけたお話。 なぜかAmazon.comにも売っていた Stuart Galbraith@` "Monsters Are Attacking Tokyo!:The Incredible World of Japanese Fantasy Films"@`Feral House@`ISBN 0-922915-47-4、という半ばファンジンみたいな本に、ガッパの脚本家、山崎厳 氏と中西隆三氏のインタビューが掲載されています。そのなかから興味深い一節 を引用しましょう。 「あなたの作品(ガッパ)は、イギリス映画"ゴルゴ"に影響を受けたのですか?」 山崎 「いや、"ゴルゴ"は観ていませんでした」 と、いうことで、一応脚本家としては「ゴルゴ」との関連を否定していらっしゃ いますね。とはいえ、まあなかなか公式発言として「パクリ」を認めることはな さらないでしょうから、そのあたりの判断は難しいところかと思いますが。 ちなみに、上記の本。意外にしっかりとした取材をしているようなんですが… 取材協力者として名前の挙がっている「フジイ ユカリ」さんと「サカハラ アツシ」さんって誰かご存じ?
3 :
GEO :1999/10/20(水) 00:30
あれ? ガッパスレッドって終わったんじゃないの?と言いつつ、 >33歳さん いやあ、スゴイっすね。ここまで調べられるとは。素直に驚いています。 上記の件は非常に興味深いものです。一応、製作者側からの回答として受け取っても 構わないのではないでしょうか。 しかし33歳さんが疑問に感じられているように、このコメントからガッパはゴルゴ のパクリではないという答えに行き着くのは難しいと思います。このファンジンが日 本人により作られ、広く我々が目にすることが出来れば、また印象は変わってくるの ですが…。 私はおそらくパクリだったのだろうと思います。理由として、広くその話が流布して いる。自分で調べた限り「ゴルゴ」と「ガッパ」のストーリーは激似である、この2 点から判断しました。※参考資料:映画秘宝 あなたの知らない怪獣○秘大百科(笑) インタビューであなたの作品は○○のパクリですかと聞かれて、ハイそうですと答え る映画人は水野晴郎ぐらいでしょうし、映画でメシ食ってきた人間なら、そこでハイ などと答えたら殺されますな、ファンに。昔、深作欣二が「宇宙からのメッセージ」のイ ンタビューでスターウォーズなんか観たことないと答えたことを思い出します。 (多分、本当に観ていないと思う) 只ここで、私が本当に興味を持つ点は、 @ゴルゴは本当にガッパの元ネタか。もしそうであるならば、その経緯は? A世間一般的にガッパはゴルゴのパクリとされているが、それは両作品を見比べての 個人的見解が流布されたものか? もしそうであるならば、誰が初めに文献に掲載し たのか? この2点、特にAの方です。 誤解を招くと面倒なので、私のスタンスを再度、明示します。 >パクリ・元ネタ・パロディ・オマージュ、いろんな言い方がありますが、この行為 >に対する個人の感情が一番のネックだと思います。 >あたしゃ、面白ければ何でもOKですけど。 意見、反論、また情報のある方は提供をお願いします。
4 :
バタリアン2 :1999/10/20(水) 11:35
パクリを言い始めるとキリがないけど、あえて言えば。 特撮に限らず映画のアイデアや小説・物語のシチュエ ーションにおいて基本的ネタと言う物はある程度出尽く している感があり、開祖的な作品の後に出てきた物は なんかしら似通っていく物である、全くのオリジナルな 物というのは数年に一度出るか出ないか位の物で在る意 味、シチュエーションは袋小路に迷い込んだ状態である。 【同時多発説】 先のゴルゴにしても、キングコングや猿人ジョーヤング のシチュユエーションの焼き直しで在ることは間違いな い、ガッパのスタッフががゴルゴを見てなかったとしても キングコングくらいは見たか、知ってるでしょう。 ゴルゴもガッパも未開の土地に居るという伝説の怪物が 文明圏で見せ物にされ都会で暴れると言うキングコング のシチュエーションを持ってきてるのは同じ、物語のラ ストをキングコングと替えることによって新しくしよう とした感じはありますね。 多分ゴルゴはキングコンをガッパはゴジラを意識して違 った物語性を出そうとして親子怪獣という設定を付けた のはなんか判るような気がします。 海を隔てて海外と国内で同時的に似たような物語が発生 してもおかしくはない・・・ (本人はパクッたと思ってるけど)
5 :
IUZO :1999/10/20(水) 22:12
うわー、勝手に終わるなアァーと思ったら、33歳さん、ありがとう。 「1982年の宇宙船」 凄いですね。スターログなんかも持ってるんですかね。 スターウォーズ第一作の公開後は、沢山本が出て楽しい時代だったのを 思い出しました。 ガッパのパクリについてですが(私は見てませんが) 個人的な推測で、バタリアン2さんの意見とも重なりますが、 企画先行みたいな形で製作されて、脚本家、監督に、 「こういう感じで一本つくりたい」 って感じでつくれば、似てくるものなのではないでしょうか。
6 :
33歳 :1999/10/21(木) 08:41
おはようございます。こちらは今日も良い天気です。 >GEOさん 私もGEOさんが指摘されている(2)の項に興味があります。一体誰 が言い出したのか…ここで疑問なのは、「ゴルゴ」が日本でいつ公開 されていたかなんですが、どなたかご存じないですか? >バタ2さん、IUZOさん 以前のスレッドでGEOさんが紹介しておられた「ゴルゴ」のあらすじを 読む限り、「ガッパ」以外の何物でもないように感じたんですけれど、 よくよく考えてみると… 怪獣の親子愛を軸にして話を考えよう なんてなことになると、けっこう「ガッパ」みたいな話を考える人は 多いんじゃないかと思います。 むしろ、スタッフが先に「ゴルゴ」を観ていたら、意図的に違った物 にしていたのではないかという気もしてきました。 >IUZOさん いやー、偏った特撮ファンだったんで、スターログは買っていません。 2年ほど前に大阪の比較的強きの値付けをする古本屋で、揃い4万円 とかいうのを見たときに、思わず手がでそうになりましたけど…
7 :
IUZO :1999/10/22(金) 08:45
あの頃、 「宇宙船」ってスターログを変にライバル視してたような記憶が あるなあ。
8 :
>7 :1999/10/22(金) 16:10
雑誌スレッド、立てちゃいました。
9 :
IUZO :1999/10/23(土) 22:51
こらーっ、 みんな雑誌へいくんじゃなーい。 新しものがりやめーっ。 こっちにも書けーっ。
10 :
33歳 :1999/10/25(月) 19:48
ああ、ガッパの時代ももう終わりなのか…(もともとそんな時代はなかったのか…) ってわけで、いちおう資料的な価値もあるかもしれないので、上記の本"Monsters Are Attacking TOKYO!"からガッパの項目を紹介しておきます。(このインタビュー、 オリジナルなのか、元ネタがあるのか知っている人がいたら教えて下さい) 訳文とか間違ってるかもしれないけど、それはご容赦。 -------------------------------------------------------------------------- 中西 「僕たちは、日活スタジオに脚本家として雇われていた。僕たちはそれぞれ ガッパのあらすじ(treatment)を書くように言われたんだ。僕はガッパを(魚の) カレイみたい怪獣にしてみた。だけど、それでは予算がかかりすぎた。山崎は年に 20本も脚本を書くほど忙しかったんだけど、1967年頃は年に6本ほどだった。 それで、彼が仕事を引き継いで、僕のあらすじを脚本に仕上げたんだ」 山崎 「日活はメジャーな映画会社のひとつだったが、怪獣映画だけは作っていな かった。ゴジラシリーズはすごく成功していたんで、日活は怪獣映画に興味を示し ていた。当時、もし映画が海外に売れたら外貨の獲得につながるっていうことで、 日活は、日本の政策によって政府から制作費がもらえたんだ。で、ガッパは政府か ら制作費を捻出するつもりだったんだ。政府から予算をもらうために、怪獣映画 の大作を書くように頼まれたんだよ。制作費は5億円、普通の日活映画の10倍だ。 政府はそれを全額出してくれた!もちろん、それは(貸してくれるだけだから)返 さなきゃいけない。しかし、当時日活はホテルとかゴルフコースとかいった不動産 を持っていた。日活は赤字経営で、政府から借りた制作費を負債の返済に使ってし まったんだ!急きょ僕たちはもっと低予算で映画を作らなければならなくなった。 まったくうんざりだったよ(笑)」 中西 「プロデューサの児井英生は、国会議員に同級生がいてその政治力のおかげ で制作費を政府から出させることができたんだ」 山崎 「監督の野口晴康はできるかぎり、最初の脚本通りにしようとした」 中西 「彼は撮影がすごく早いんだ。普通は17日で撮ってしまう。だけど、ガッパ には40日ほどかかった。特撮は円谷プロダクションのスタッフによるものだと思う。 日活には特撮を担当するような部署はなかったからね」 山崎 「ガッパの物語は実に壮大なものだったんだが、この過程で、だんだん縮 小されてしまった。いろんな所が削られたよ。洞窟のシーンはみんなスタジオセット で撮影されたし、船は模型を使った。 海外のマーケットに売れるのはゴジラみたいな作品だけだ。だけど、僕たちは、ただ 怪獣が街を壊すだけではつまらないと思った。それで、怪獣の親子の話を入れること にしたんだ。これは話を面白くしてると思うし、観客を映画に引き込む役目も果たして るんじゃないかな。それに、子供達も自分を怪獣の子供に重ね合わせて観ることができ るんじゃないかとも考えたんだ」 「あなた方の作品はイギリス映画『ゴルゴ』に影響を受けたのですか? そして、ガッ パは『ゴジラの息子』に何らかの影響を与えたと思いますか?」 山崎 「いや、『ゴルゴ』は観たことがなかった」 中西 「『ゴジラの息子』については何ともいえないな、どちらが先なんだい?」 「ガッパは1967年の4月、ゴジラの息子は同じ年の12月に公開されてます」 中西 「わからないね。僕たちは他の映画会社の作品のことは全く気にしていなかった。 最初の『ゴジラ』はよくできていたけど、それ以後のシリーズは今ひとつだったね。 ゴジラも他の怪獣もマンガみたいになっていた。 ガッパと『ゴジラの息子』は日本の映画産業が斜陽になってきた頃に作られた映画だ。 日活は結局ロマンポルノ路線を初めるようになって、僕たちは会社を辞めたんだ。 結局日活はちょっと前に倒産してしまったよ」 -----------------------------------------------------------------------------
11 :
IUZO :1999/10/25(月) 21:42
「ガメラ」の時に、伊藤、金子コンビが意識したのは、 「キングコング対ゴジラ」 「サンダ対ガイラ」 ですが、私は「ゴジラ対へドラ」と似た印象を受けました。 強大、凶悪な生物と戦う地球の守護者という感じで・・・・ 怪獣映画は、似てくるものなのでしょう。
12 :
GEO :1999/10/27(水) 16:10
遅くなりましたが、ちょっとカキコします。 引用文を読む限り、ガッパのストーリーは中西氏のオリジナルプロットからということで落ち着き そうです、一応。 ただ過去の文献や伝聞でガッパはゴルゴのパクリ、という情報は既に行き渡った感があり、このパ クリ疑惑についてのマニアの認識を変えることは難しいと思います。 このコメントも意地悪な見方をすれば、これは現場側のものであって、ホントは日活のお偉いさんか らは、ゴルゴの存在を明確にしないでこんな映画を作れという指示は出ていたかもしれませんね。黙 認状態で。あーホント意地悪。 元々映画業界に限らず、パクリパクラレは当たり前(ホントはマズイんでしょうけど)ですし、作品 的に結果オーライであれば、やっぱパクリじゃんと言われることもなかったのですが。マイナー故の 不運としか言いようがありません。 映画がテレビに取って代わられた時代に、映画を作っていた人たちには他社の作品より自分たちが作 る作品の方が重要だったでしょうし、また時代のニーズに合わせれば、似たり寄ったりの作品が出来 てしまうのも仕方がなかったのでは、と今は思います。しかしゴジラの息子までも同時期だったとは。 バタリアン2さんの同時多発説を支持しようかな。 しかしこのガッパはゴルゴのパクリって話はホントどこから始まったのでしょうか。特撮系雑誌で取 り上げて調べてくれたらいいのですが。このスレッドを見ている特撮系ライターさん、興味ありませ んか?
13 :
バタリアン2 :1999/10/27(水) 19:38
ゴルゴのパクリの話はほんと古い話で記憶に間違いがなければマンガ少年別冊 にはもう乗って他と思うけど?(雑誌スレッド参照) だから時期的には第一次アニメブーム時(俺も古いな)にはあったはずですか らそれ以前、映画フアン達の自主上映とかが盛んだったころまでさかのぼると 思うけど。けっこうそんな所からの「ゴルゴと似てる」から一人歩きしたんじ ゃないですか? それとは別で考えられる状況として・・・ 【パクリ説】 素直にパクったと言えない、邦画屋の腐った根性と意地で認めないだけ。 ろくな映画も作れなかったくせにあの時代の映画屋には変なプライドだけ 在る(それが今の邦画衰退を招いたんだけど)だから決して自分がパクっ たとは口が裂けても言わないだろう。日活という映画産業にいた者達にと って海外の作品の情報を得るのは実に容易く、ましてや自社で怪獣映画を作 るのである事前に国内海外を問わず研究参考にするのは本来リサーチの面で は当然の最低限の事であり、もしそれさえやっていないと言うので在れば観 客を舐めきった日活の映画製作の姿勢は最低であろう(潰れて当然)良くも 悪くもこんな事がまかり通ったあの時代は日本映画産業の転換点だったはず なのだがそれに気づかず今になってあわててるんでしょう。 (なんか邦画産業批判になってしまった)
14 :
クズ :1999/10/27(水) 21:19
山崎巌はかつて、新潮社から出した自伝的小説(タイトル失念)で、 日活時代のパクリ常習を告白してます。プロデューサーと、「今度の アキラ(小林旭)の作品の参考にしよう」と、マーロン・ブランドの 「片目のジャック」を見に行く場面もあります(なんの映画になったかは 忘れた) 名作「第三の男」が「霧笛が俺を呼んでいる」になったように、 日活はパクリ王国でした。ですから、「ガッパ」がパクリだとすれば、 素直に認めると思います。よっておそらく、少なくとも山崎にはパクリ 意識は無かった。パクッたとすれば中西やプロデューサーと考えるのが 妥当じゃないでしょうか。
15 :
う〜む :1999/10/27(水) 21:37
ものすごく実のあるスレッドになってるなー この手の話って、「○○だったのではないだろうか?」という 推測だったのが、時間と共に事実として伝わって行っちゃうこ とがよくあるので、改めて検証仕直してみるのは非常に有意義 なことだと思う。 伝聞や孫引きで語られていることを鵜呑みにするのも良くない よな。
16 :
クズ :1999/10/27(水) 21:44
>10 >当時、もし映画が海外に売れたら外貨の獲得につながるっていうことで、 日活は、日本の政策によって政府から製作費がもらえたんだ。 竹中労の「日本映画縦断」に書いてあったのですが、この政府の補助金、 輸出振興に名を借りて、映画界が政府からカネを引き出すためのデキレース だったようです。 >日活は赤字経営で、政府から借りた制作費を負債の返済に使ってしまったんだ! すなわち、最初からこれが目的だったワケ。 ガッパが海外に売れたとはいえ、とうぜん貸しただけのリターンなんてあるわけ ありません。当時の5億ですよ。まともに注ぎ込めば凄まじい超大作ができちゃいます。 こう考えると、けっこう生臭いものがありませんか。 ガッパくん一家も、汚いオトナの談合の産物だったのね。 あと、「児井英生の同級生の国会議員」とは、元衆議院議長の原健三郎の ことじゃないでしょうか。原は一行も書いてないのに、児井がサービスで 「渡り鳥」シリーズに「原作・原健三郎」と入れさせた顛末は、山崎の 小説にあります。こうして、「あの小林旭の映画の原作もやるくだけた 政治家」というイメージを原は手に入れ、自民党に君臨したわけです。
17 :
33歳 :1999/10/27(水) 23:06
おぉ! このスレッドも終息かと思って、とりあえず資料としてアップしてみたんで すが、予想以上の反響でうれしい限りであります。 特に クズ さま、インタビューの内容を補間する情報をありがとうございました。 うーむ、改めて読み返すと、中西氏も山崎氏もけっこうヤバ目のことしゃべってらっ しゃいますねえ。まぁ、30年も前のことだし、外国の半アマチュアの取材というこ ともあったのかもしれません。日本のメジャーなジャーナリズムの取材ならこうはい かなかったかも。 しかし、1967年といったら、私が生まれた次の年なんですよね〜。当時はまだま だ、いろいろとキナ臭かったんですねぇ。 >15さま 確かにおっしゃる通りですね。定説と思われていることでも、1次資料にあたって検 証し直したりすると、新事実とか判明したりして、そのあたりがまた歴史的研究の醍 醐味ではあります。 実は、すごく気になっているのですが、日本で「ゴルゴ」を観た人っていうのはどれ ぐらいいるんでしょうか。御大ハリーハウゼンの「原子怪獣現る」ほどにはメジャー ではないのではないかと思えるのですが…どなたか、日本での公開情報をご存じない ですか?
18 :
名無しさん :
1999/10/29(金) 20:33 今日、そのスジの雑誌を買ったら「来年はガッパリメイク」とか書いてあった。 ほんまかいな。