図は、猛烈な高波で翻弄されている洞爺丸の車両甲板の状況を再現した図。
生き残った元乗組員からの証言によると、積載されている貨車の台車辺りまで
波が打ち寄せたというから、およそ、1.4mの高さで波が出入りしていたという。
こうなると、機関室、ボイラー室の換気口から海水が容赦なく入り込み、
次第に洞爺丸の安定性を失っていくのだった。
最終的には、循環水ポンプの電動機が冠水したため、ついに左舷主機械が、
そしてまもなく、右舷主機械が潤滑不良で焼き付きを起こして停止してしまった。
左舷の発電機が接地短絡して、激しいスパークを起こし、発電機が止まってしまった。
左発電機の故障で、左エンジンは潤滑不良に陥り、激しく振動しだして、煙を上げて止まってしまった。
「右エンジンは大丈夫か?」と聞いてきたが、そのうち、右エンジンも煙を上げて止まってしまったという。