歴代ライダー主人公が兄弟だったら24

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むしゃくしゃしてやった。反省はしていない。
フィリップは家庭の事情でライダー家に引き取られているor翔太郎の相棒なのでルームシェア的に押しかけているということで(ミカベルのロケットボムみたいな感じ?)

人々も街も寝静まる深夜、良太郎は人が入っているトイレの前に立って嬉しそうに、にこにこと笑っていた。
「えへへ、「お兄ちゃん」か・・・」
トイレの中から、フィリップが
「僕が出てくるまで待っていてくれたまえ、「お兄ちゃん」。勝手に戻らないでくれたまえよ?」
と、どこか棒調子で話しかけてきた。


きっかけは、その日の夜に家族で見ていたホームドラマ。
内容自体は平凡だが、家族の温かみを重点的に表現しているドラマなので仲の良い人間関係がこれでもかというほどに描かれている。
一番じっと見入っていたフィリップは
「理解できないね。翔太郎、あの兄弟はどうしてどこへ行くにもずっと一緒について歩いているんだい?」
と不思議そうに尋ねた。
「お使いに行くときは、二人で一緒に魚屋と八百屋に行くんじゃなくて兄が八百屋、弟が魚屋と分担した方が効率がいいじゃないか。物を運ぶ時も、一人で十分運べる重さの物を二人で運んでいる。
夜にトイレに行く時なんて、弟が兄にわざわざ付いてきてもらう理由がわからないよ」
「ん?そりゃあ・・・」
ドラマを「ハードボイルド目線」として斜に構えて見ていた翔太郎だったが、フィリップの実家の中の事情を知っている翔太郎はフィリップが「仲の良い家族」とは無縁の生活を送っていたことを思い出して
「弟がいつまでもガキだからだろ」と言おうとした言葉をしまいこんだ。
言葉の切れ目をつなぐように、総司が言葉を続ける。
「おばあちゃんが言っていた・・・兄弟の絆は強い。そして友情の結びつきも強い。ならば兄弟で友人である者達の結びつきは誰にも断ち切れないほど強いと。だからあの兄弟も常に一緒に行動する。効率など二の次だ」
「なるほど。君たちもそうなのかい?だとしたら羨ましいね」
フィリップがわずかながらに肩を落とした事に気がついた空気の破壊者、士は
「お前がやりたいことは大体わかった」
と言うと立ち上がり、居間からどこかへ行ってしまった。
「彼は一体どうしたんだい?」
フィリップはそう言って総司に答えを求めたが、総司は今回は「さあ」と言うのみであった。
6922/4 :2011/07/22(金) 01:09:38.12 ID:drReRzyl0
「おい士、お前は俺をドラ(ピー)んか何かと勘違いしてないか…?」
「お前にそこまでの愛嬌を求めるわけないだろ、巧。スマートブレイン社なら機能のいいセルフタイマーが付いたカメラくらい作っているだろ。さっさともらってきて出せ」
「あんたに出すカメラはない」
「そうか。ならお前を欠席者枠にするぞ、いいな」
「はぁ?」


ドラマが終わってから広い客間に集められたフィリップと兄弟たちは、兄弟を集めた張本人である士に「一体何がしたいのか」と尋ねた。
「写真を撮るんだ。・・・巧がな」
「いやいや、意味がわからないんだが」
士は状況がさっぱり分かっていない巧にトイカメラを押しつけると、「ほら、ちゃんと集まれ」と兄弟たちをまとめる。
フィリップは一人「なるほど、これが奇行か」と呟いた。
「巧、何をぼーっとしているんだ。早く撮れ」
「・・・」
パシャリ。
もはや突っ込むのもアホらしい・・・と諦めた巧は、黙ってシャッターを切った。
「もういいだろ」とだけ言うと、カメラを投げて士に返す。
士は巧からカメラを受け取ると、
「ありがとう巧。すまない、こんなわがままに付き合わせてしまって」
と、しおらしく言ってみせた。
「げっ」と動揺する巧の間の抜けた表情を、パシャリ。
「おい、何するんだよ!」
「じきに分かる」
直接の被害者である巧以外は、士の性格がもう嫌というくらいには分かっていたので「ドンマイ、巧」くらいに思っている。
ただ、ヒビキだけが「楽しみだねぇ」と笑っていた。
6933/4:2011/07/22(金) 01:10:30.71 ID:drReRzyl0
数日後、朝食のために兄弟とフィリップが席についていたテーブルに遅れてついた士は一枚の写真を取り出した。
そして、その写真をフィリップの目の前に投げて渡す。
「士、これは何だい?」
「この前の写真だ」
写真には、鮮明に映った兄弟とフィリップ、右上には丸く切り取られた巧の写真が貼られていた(この写真はピンボケしていた)
写真をのぞきこんだ兄弟たちの中で背の高い一真が
「これって、この前みんなで撮った写真だよね?ずいぶん撮るの上手じゃん、巧」
と一番に口を開いた。
「本当だ、巧、才能あるかもよ!」(サムズアップ)
「やっぱり、士兄さんが写真を撮るとピンボケしちゃうんだね・・・あっ、巧兄さん、大丈夫だよ。僕なんて顔がみんなの陰に隠れちゃってるし・・・」
「士も、もっともっと写真の腕を鍛えてみたらどう?弟に負けちゃうなんて、俺だったら悔しくてしょうがなくなっちゃう」
「ねえねえ、こうして見るとフィリップって意外と背が高かったんだね」
みんながわいわいと写真をのぞき込む中で置いていかれつつあるフィリップに、士が声をかけた。
「覚えているか?お前が兄弟の絆を羨ましがった日のことだ。・・・兄弟なんて、こんなバカバカしいようなこと、そろって映った写真一枚でここまで大騒ぎするようなバカの集まりだ。
羨ましがるほどのことでもない。だが・・・お前はこの写真に一緒に写ってどう思った?」
「そうだね、他人と一緒の写真に写ったのは初めてだから嬉しいかな」
「こんな写真に喜べるならばお前も、このバカ共の仲間だ」
「どういうことだい?士」
士のクサい言い回しに鳥肌を立てた翔太郎は、思わず叫んでいた。
「フィリップ、こいつらはお前も、同じように弟として扱っているってことだよ!言わせんな恥ずかしい」
翔太郎の声に、部屋がシンと静まり返った。
少し間をおいてから、たたみかけるような声。
「そういうこと。気づいていなかったの?」
「2000の技のひとつ、絆結び!」(全力のサムズアップ!)
「あらためてよろしく、フィリップ!」
「俺たちはもう種族までいろいろな事になってるしさ、血のつながりなんて大したことじゃないって!俺なんてジョーカーどころかオンドゥル星人まで言われてるしorz」
「フィリップが嫌じゃ無かったらだけど、俺はフィリップが弟だったら嬉しいかな〜」
「おばあちゃんが言ってた・・・血は水より濃い、だが、それがどうしたと」
「俺が海外に行ってた時も血のつながらない兄弟っていうのはいたけど、だからこその仲の良さを見たら俺も羨ましかったんだ」
「ねえ、フィリップは僕達と兄弟は嫌?」
「俺は世界の破壊者だ。世の中の常識なども破壊してやる」
「今更気付いたのか・・・?」
「あ、あの、僕、弟ができたのは初めてだから嬉しかったんだ」
やれやれ、という様子で翔太郎も口を開く。
「まあ、俺とお前は兄弟とかそういうものの前に相棒同士だったから正直ピンとこねぇが・・・まあ、そういうことだ」
フィリップは言葉にこそ出さないが顔を輝かせ、そして、照れ隠しや不器用ながらフィリップなりの馴染み方をこめて言った。
「翔太郎も僕の兄だというのかい?冗談はやめたまえ。他の兄さんはともかく」
「おい!」と不満そうな翔太郎以外全員の笑いが響く。

そうしてライダー家ではしばらくの間、今まで孤独を生きた末っ子を取り合うライダーバトル未遂の出来事が繰り広げられた。
フィリップのお宝である「兄弟全員の集合写真」を盗みに入った海東?ファングメモリに齧られて逃げた。
6944/4 おわり:2011/07/22(金) 01:11:58.88 ID:drReRzyl0
そうして話は冒頭に戻る。
「待たせたね、「お兄ちゃん」。おや」
ドアを開けたフィリップの視線の先には、「ごき」げんよう、おひさし「ぶり」。
「あ、フィリップ。終わった?」
「「お兄ちゃん」!ドラマの兄弟のように僕を助けたまえ!そこにGがいる!」
「え? ! およぉぉ!」
騒ぎを聞きつけた翔太郎は二階から下りてきながら「なんだ?」と、面倒そうに呟くと「なんだ、ただのゴキブリか」と言うとキッチンへ歩いて行った。
「待って!兄さん!」
「翔太郎、君は自分の弟を見捨てる気なのかい!?」
翔太郎は何も言わずにキッチンから出てきた。手にはゴ(ピー)ェット。
「任せろ!」
そう言って翔太郎は淡々とGを処理する。良太郎とフィリップはもがくGをよけるのに精一杯だった。
そして、良太郎が本棚につまずく。今日は軽く模様替えをしたので、家具の配置に慣れていなかったのだ。
「およぉぉおお!!」
ドサドサーッ!と、倒れた本棚の本は机の上の花瓶を倒し、花瓶の水が本を濡らす。フィリップが本を救おうとした傍らで本棚が電気ケーブルに引っ掛かり、
電気ケーブルが壁掛けを倒す。壁掛けは巻き込んだ時計と共に派手な音を立てて落ちてきた。

翌日。良太郎・フィリップ・翔太郎は正座をしてヒビキに叱られた。
「あのね、事情はわかるんだけどうちん家には会社とかで働いている兄弟もいるでしょ?あの子たちは社会に責任を持って仕事をしているわけ。
で、体調管理も仕事のうちなの。分かるよね。だからちゃんと眠らなくちゃいけないの。
だから、静かにしてあげないと。自分のせいで家族が会社に怒られるのかかわいそうでしょ?ほら、フィリップも何が楽しいのか知らないけどニヤニヤ笑わない!」
「ごめんなさい、「ヒビキお兄ちゃん」」
言いながら、フィリップは家族の温かみを確かに感じていた。


昨日の鬱憤をネタにして昇華しようとしたらあさっての方向へ行ってしまった。ナヅェダ。フィーちゃんが幸せになるならいいけどさ!
まだ半分くらい見てない話があるから調べながら書いていたらこんな時間だよ!orz
自分で書いた響鬼兄さんのセリフが自分にも刺さるよ!lllorz
695名無しより愛をこめて:2011/07/22(金) 01:16:41.96 ID:drReRzyl0
キャラが違っていたら私の責任だ。だから私は謝る。
696名無しより愛をこめて:2011/07/22(金) 01:27:49.48 ID:drReRzyl0
×今まで孤独を生きた末っ子を取り合うライダーバトル未遂の出来事
○今まで孤独を生きた末っ子を取り合う兄によるライダーバトル未遂の出来事

もう寝るわ。おやすみ