歴代ライダー主人公が兄弟だったら24

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「ん〜…」
  うつむいてしまった俺を前に、愛理さんは先ほどとは逆向きに首をかしげてから、
「助けたかったから、助けたんだと思いますよ。オーズさん」
「え?」
「みんなに怖い思いをしてほしくなかったから、自分にできることをやったんじゃないでしょうか」
 愛理さんは、挽いた粉をドリッパーへ移しながら、ゆっくりと言う。
「きっと、オーズさんは、助けた人には笑顔でいてほしいと思ってますよ。…自分が苦しくても、助けた人が笑顔でいてくれ
れば、うれしいって」
「え、だって、知らない人間相手なのに」
 そんな、カミサマやホトケサマじゃあるまいに、と言いかけて顔をあげた俺は、愛理さんの微笑を思いっきり真正面から
見てしまった。き、綺麗すぎて言葉が止まってしまう。
「今、できることを。だそうですよ。この前言ってました」 
「へ?だ、誰が?」
「オーズさんは、自分の腕が届く範囲でできることを頑張ってるんです。だから、貴方も助かったことにもっと素直に喜んで
いいんじゃないでしょうか。その気持ちがきっと」
 愛理さんは、俺から視線を外して、店のインテリアの望遠鏡を見て言った。
「 "The past should give us hope." 」
「ぱ、ぱす…え?」
「過去が希望をくれる。…オーズさんの希望の星のひとつになるんじゃないかって、思います」
 そして俺に視線を戻すと、とびきりの笑顔になってコーヒーカップをカウンターに置いた。
「はいどうぞ。うちのコーヒー、いい仕事しますよ。ゆっくりくつろいでくださいね」

「それにしても愛理さん」
 …後半は、噛み合ってるんだかいないんだかわからない会話を終えて、それでも理不尽なほどの自己嫌悪感が消えたことに
ほっとしながらコーヒーを半分飲み終えた俺は、ちょっとからかい混じりに愛理さんに声をかけた。
「はい?」
「なんか、ずいぶん詳しいんですね、『オーズ』の心理。ひょっとして、知り合いとか?……なーんて」
「あらあ」
 愛理さんは焙煎前のコーヒー豆を手に、にっこり笑って答えた。
「弟なんです」

 俺は口に含んでいたコーヒーを吹き出した。











ぎゃー。2/3の題名が抜けました。お目汚しすみませんでした…