仮面ライダーディケイドクロスSSスレ

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1名無しより愛をこめて
結構色んな所でディケイドSSを見かけるので専用スレを立ててみました
特撮版だけどアニメやゲームの世界にも寛容に行きましょう
2名無しより愛をこめて:2010/05/19(水) 15:13:56 ID:/Qu+gpa50
>>1乙。
ところでこのスレ、クロスSS以外(ディケイドのみの二次創作SS)は範囲外?
3名無しより愛をこめて:2010/05/19(水) 21:11:30 ID:Gr1mxWtP0
>>2
いえディケイドのSSであればOKです
スレタイはまあディケイドの性質上クロス物が多いからという理由なんで
4名無しより愛をこめて:2010/05/19(水) 21:19:24 ID:0cBcvybi0
期待
5名無しより愛をこめて:2010/05/21(金) 14:41:56 ID:v7HWOI0Q0
ほしゅ。
6名無しより愛をこめて:2010/05/22(土) 02:51:50 ID:QL5nFM0o0
ディケイド本編と同じテンプレで作ると基本的に糞SSになるんで気をつけてね
唯一参考になるのはてつを編くらいか
7名無しより愛をこめて:2010/05/22(土) 06:21:40 ID:1u0vsg/m0
興味はあるがスレ立てした本人が投稿せず他人任せなのは感心しないな
やる気が無いなら軽々しくスレ立てるなよ
8名無しより愛をこめて:2010/05/24(月) 00:05:48 ID:O+TS/chm0
youtubeで公開されている、真・仮面ライダーディケイド製作者のtetuwoblack3氏より、
二次創作の許可を頂いたので、投下する事にします。時期的にはキバ最終回の後、真ディケイドの世界に繋がる話です。
なお、TV版には無かった自作の設定などが少々出てきます。その辺は生暖かい目で見ながら黙認して頂ければ幸いです。
では、投下します。↓
かつて、ファンガイアと呼ばれる異形の怪人達によって支配されていた世界……その世界の空を突如として覆った影、ネオ・ファンガイアの軍勢……。
その軍勢を前に、仮面にその身を潜めた四人の青年達が果敢にも立ち向かっていた。
「未来からの侵略者達よ、貴方達の敗因は、ひとつ……この名護啓介を敵にしたことです。……その生命、神に返しなさい!」
青年達の一人……金の冠に、空を思わせる青を携えた仮面の戦士ライジングイクサ――名護啓介の日の出の光の如き斬光がネオ・ファンガイアの大群を薙ぎ払う。
「グアァァァ……」
悲痛な断末魔と共に、ネオ・ファンガイア達は、文字通り光を浴びた夜行性の吸血鬼の様に塵と化していく……。
「うわぁ〜〜! 未来のパパンが言ってた通り、やっぱり名護さんは最高だぁ♪」
「……たしか、正夫と言ったな? 戦いの最中にそんな軽口を叩いている様では、先が危ういぞ」
「あはっ、ごめんごめん、太牙伯父さん!」
「……伯父さんは止めてくれ」
最も若い雰囲気を持った青年――正夫が、気難しそうな青年――太牙に、すかさずその口調を戒められる……最も、本人は懲りて無い様だが。
「全く、これが未来のキングとは……渡! お前の教育は一体どうなっているんだ?」
一見諭す様な……しかし、確実に怒りを秘めた口振りで、太牙はもうひとりの青年――渡を問い詰めた。
「そ、そんな事言われても……二十二年後の未来の事なんて僕にはまだ分からないし……そ、そもそも本当に正夫が僕の子供かなんて分からないし……」
「あれはどう見ても、お前の父親の駄目な部分『だけ』を寄せ集めた様な顔をしている! それが何よりの証拠だ!」
「ひ、ひどいよぅパパン! 伯父さぁん!」
「き、貴様ら! 痴話喧嘩も大概にしろ!」
ネオ・ファンガイアのうちの一匹が痺れを切らし、渡――キバ・エンペラーフォームと太牙――ダークキバを襲う。
「……ふっ」
不意に正夫――未来のキバが、不敵に笑う。
「行くよ、キバットW世……」
「へへっ、祭りだ祭りだぁ!」
突然の正夫の豹変に、ネオ・ファンガイアは面喰い、立ち竦んだ……怯えていたのだ。正夫……すなわち、キバのその、獲物を狙う目……さしずめ白い肌を見つけたチスイコウモリの様な、ぎらついた瞳に。
「でやぁぁぁぁっ!」
遥か上空へと向かったその瞳が、鎖を解かれた足と共に、音に迫る速さで近づいてくる……避けられない! そう頭に浮かんだ時、獲物の生命は出来損ないの硝子細工の様に弾け、砕かれていた。
「ダークネス・ムーンブレイク……なんてね♪ 僕もちょっとはやるでしょ? パパン、伯父さん?」
唖然とする渡と太牙……だが、すぐに我に返り、
「まぁ……多少は出来るらしいな……」
「うん、すごいや! 正夫」
 正夫に対し、少なからずの賞賛を送る。
「えへへっ♪ でしょ?」
「……だが」
突然正夫と交代するように太牙の表情が、その仮面の下で、険しく変わる……そして、
「ハァッ!」
その手に携えた光の鞭――ジャコーダーを正夫の背後に向け、打ち鳴らす。
「ギャァァッ!」
「ひゃあ!?」
背後から迫っていた、ネオ・ファンガイアの悲鳴が、先ほどの豹変振りからは考えられない様な、情けない正夫の声と共に辺りに響く。
「……油断は大敵だ」
「はぁい……」
思わずしょげる正夫。それによって訪れる沈黙を埋める様に、名護が口を開く。
「ここら一帯のネオ・ファンガイアは掃討出来た様だが……これで終わりなのだろうか?」
「ち、違うよ名護さん! こいつらだけじゃない……まだ、ネオ・ファンガイアを率いている……ファンガイアで言うところのキングがいるんだよ!」
名護の発言に、慌てて正夫が反論する。
「もうキングのおでましか……『ネオ』と付いている割に、現代のファンガイアよりも戦力に劣っている様だな」
太牙は少々拍子抜けした感じで、そう呟いた。
「うぅ……違うんだよ! そいつが段違いに強いんだ!」
『そうだな……確かに、我が軍勢は弱い……実に情け無い事だ』
「で、出たぁ!」
「ッ!? ……誰だ!」
突然の、低い唸りにも似た声と、不気味な程に静かな足音、黒い影……渉はその正体を確かめるべく、声を発する……正夫の怯え方から察するに、この声の主こそ、ネオ・ファンガイアのキングなのだろうか?
「……この声は」
太牙は、その声に妙な……忌々しい懐かしさの様なものを感じていた。
「正体を現しなさい!」
黒い影へ、名護の持つ拳銃――イクサライザーの銃弾が跳ぶ……周囲は閃光に包まれ、黒い影の姿を、素早く照らし出す……。
「!?」
「お前は……!」
その姿は、現代に『キバ』の名を受け継ぐ兄弟……特に、太牙を驚かせるモノであった。
「父……いや、バット……ファンガイア……?」
影の正体は太牙の父――バットファンガイアと、全く瓜二つの姿をしていた。
「そんな……お前は、あの時……」
太牙だけでなく、渡や名護も、驚きを隠せずにいた……これが、ネオ・ファンガイアのキング……その名を冠するに合点のいく存在であると共に、ひとつの疑問が浮かぶ……。
「何故、お前が生きている……?」
恐怖、疑問、怒り……様々な感情が入り混じった顔を仮面に隠し、太牙は問う。
「……私は貴様の言う、バットファンガイアではない……我が兄弟よ……」
「……兄弟?」
「い……一体、何を言ってるんだ?」
発せられた言葉の理解に苦しんでいる渡と太牙に、バットファンガイアは続けた……。
「『いつか俺の息子がお前たちを倒す』……お前達はは聞いた事があるだろう? 紅 渡……登 太牙……それが私の事だ!」
「(そうか……あれは再生したキングの事ではなく……そのままの意味……)」
渡がそう心の中で呟いた瞬間、鮮血の如く紅い波動が四人を襲った。
「ぐっ……うああっ!?」
その力は、以前のキングと同等……いや、純粋な怒りの心が、それを上回るだけの衝撃を生み出していた。
「う……ぐ……な……なんという力だ……」
「く……た、沢山の仲間達が、あいつにやられたんだ……僕だけじゃ……勝てなくて……」
突然我を襲う激痛に驚愕する名護に同意を求める様に、正夫がやるせなさを秘めた口調で呟く。
「人の造りし紛い物とキバの搾りカスには用は無い……私が求めるモノは、憎むべき我が兄弟達の血のみ……」
「な……なるほどな……初めからお前は俺達を求めて、正夫をこの時代に……あえて誘い込んだ……という所か……」
闇の鎧をも貫通させた波動は、太牙の腹部を打ち、相応の痛みを与えていた。
――この痛みに屈してはならない……屈すれば奴につけ込まれる! ……心の中でそう呟きながら、太牙は平常心を保とうとしていた。
「……」
沈黙したまま、身体を支えた右腕を震わせ、立ち上がる渡……彼は太牙の心理を読み取った様に平然とした声で、こう発した。
「――キバット……ザンバットソードを、使う――」
『敵』を睨む冷たい瞳……先の戦いが、数々の辛い別れが、今の渡にこのような影響を与えている事に多少の戸惑いを見せながらも、相棒――キバットバットV世は、その隠された力を解放する……。
「よ……ようし、わかったぜ渡! ウェイクアップ!」
構えた剣は、バットファンガイアと同質にして、なおかつその秘めた思いの違いからなのか、同じ紅でありながら、対にも感じるやさしく強い光を放つ――。
「僕達が兄弟だというのなら、出来れば……戦う事は避けたい。でも、それじゃあ納得してくれないんだろう?」
「無論だ。……お前と登 太牙は、倒すべき……敵」
静かな憎しみを秘め、バットファンガイアが答える……渡はその憎しみを振り払うように続ける。
「昔の僕には、何も無かった……『この世アレルギー』とか言って、世界にある、きたないもの……きれいなものですら拒絶して……でも、今は違う! 仲間達や、この世界を守りたい……だから、お前を倒す」
決意を発し、己を奮い立たせ、魔皇剣・ザンバットソードを構える渡――。
「へへ……よっしゃあ! キバっていくぜ!」
――冷酷なだけではない。やさしさを備え、成長した渡の姿に安堵したキバットが声をあげる。剣は、今までに無いほどの輝きを放っていた。
「僕の……僕と太牙兄さんの弟……お前を倒す。この世界の為に!」
「(この世界の為……か、愚かな……その心に宿った、ファンガイアが持つには眩しすぎる程の光が、世界を滅ぼすとも知らずに……)」
「ならば私も、お前達を倒そう。……我が積年の怨みの為、そして――」
「世界の崩壊を防ぐ為に……」
「行くぞ……ハアッ!」
暗闇を駆け抜ける獣が巻き起こす、一陣の風の如き素早さで打ち込まれる剣……。
「速いな……だが、力は足りない!」
その風を、平然と受け止める、高くそびえ立つ山――バットファンガイア……。
「見せてやろう……これが貴様に足りない、力というものだ!」
バットファンガイアは軽々と剣を弾くと、怯んだ渡めがけ、その爪を振り下ろした。
「ぐあぁぁっ!」
鎧さえも引き裂き、渡の肉体に直接伝わる痛み……渡はたまらず悲鳴を上げる。
「くっ……まだだ!」
――だが、それでもなお立ち上がり、再び剣を掲げる渡……。
十……それとも二十か……わずか数秒の内に、幾つの斬撃が力足りず弾かれたか……それでも渡は一歩も引かず、ただ打ち込み続けた。
「ぬ……うぅ……!」
バットファンガイアが低く唸る……最初、自分の腕は剣を弾いていた……だが、今はどうだ? 次第に渡の振り下ろす剣を、ただ受け止めるだけになりつつある……確実に押され始めているのだ。
「もう少しだ……もう少しで、斬り抜けられる……でやぁぁぁっ!」
僅か……ほんの僅かながら、バットファンガイアは恐怖を感じていた……力の差は歴然……ザンバットソードを持ってしても埋まらない力の差を前にしても、この男は立ち上がり、戦いを続けようとする……父はこの気迫の前に負けたとでもいうのか……。
「ふ……ふざけるな!」
生まつつあった恐怖を払いのけるように、渡の喉をつらぬかんと、その右腕から繰り出される爪――。
「し……しまった!?」
剣を振り上げた瞬間を狙った……いや、自身の恐怖心を否定しようとしたバットファンガイアの防衛本能が繰り出した一撃に、渡は反応出来なかった……。
……終わる。渡が、そう思った時、空を裂く、しなやかな音が聴こえた――。
「――うっ!?」
バットファンガイアが声を上げる……音の正体である、渡にとって見覚えのある光の鞭が、その爪を、その腕を捕らえていたのだ。
「い、今だ……渡!」
「兄さん! ……よし……行くぞ!」
自分を救った光の鞭のその先に確認した、兄・太牙の、痛みをこらえながらも立ち上がる姿を鼓舞とし、渡は再び剣を構えた。
「くっ……調子に乗るなぁ!」
封じられた右腕に代わり、左腕の爪が再び渡を襲う――。
「させるものか……ハァッ!!」
「――何っ!?」
振りかざされた左腕を、名護のイクサカリバーが受け止めた。
「お……おのれ……!」
「ぐっ!? ……渡……い、今の内に、攻撃を!」
想像を超える衝撃に戸惑いながらも、名護は渡へ合図を送る……そして、
「……でやぁぁぁっ!!」
気合と共に繰り出されるザンバットソード……それは完全に無防備となったバットファンガイアの胸を切り裂いた。
「ぐおあぁぁぁっ!」
瞬間、辺りに響く悲鳴しかし……まだ、バットファンガイアは膝をつかなかった。
「ぐ……ど、どうやら……私を倒すには、やはり力が足りなかったようだな……」
紅い波動をまとい、バットファンガイアはそう答えた。
「まさか……このまま僕達と心中するつもりか?」
「ふふふ……」
力を使い果たした渡へ浮かべられた不敵な笑みは、静かにそれを肯定していた。

――まだだよ――

「――ッ!?」
突然聴こえて来た声に驚き、まとっていた紅い波動の増幅が止まった……この声は一体どこから……その主が自身の頭上に迫っている事を感知した時、バットファンガイアは驚きと、戦力外と侮っていたその声の主へ、止めを刺していなかった事に後悔した――。
「これでも……くらえっ!!」
未来のキバ……正夫の繰り出した、渾身のダークネスムーンブレイクが、渡の切り裂いた傷口を更に広げ、巨大な風穴を開けた――。
「ぐ……おっ……あ……あ……」
「し……搾りカスに……やられたみたい……だね……へへ」
押しこらえたような断末魔と、勝利の余韻に浸る僅かな笑み……倒れる敵……そしてその後に広がる、沈黙――。
「……やったね、正夫」
「……うん!」
渡と正夫の、そのやりとりで沈黙が破られ、四人はそれぞれ微笑み合った。
――だが、その微笑みに、不気味な、泣き声にも感じられる笑い声が混じる。
「く……ははっ……ははは……」
――まだ、彼は生きているのだ。
「そんな……なんて、しぶといんだ……」
「……安心しろ……私は、もう立てんさ……」
バットファンガイアは、弱々しい声で、そう言った。
「……ならばその生命、早々に神に返しなさい……!」
せめてもの介錯とばかりに、名護はイクサカリバーをバットファンガイアの首元へそえた。
「さあて……神へ返されるのは……どちらだろうかなぁ……」
バットファンガイアがそう呟くと、四人にとって目を疑うような出来事が起こった――。

――白い――

……世界が、白いのだ。四人を残し、まるで、世界が消えたように白くなっていたのだ。
「こ、これは……一体なにをしたんだ!」
うろたえながらも、渡はバットファンガイアを問い詰めた。
「私は……なにもしてはいない……やったのは、お前さ……紅 渡……」
「僕? ……僕が何をやったって言うんだ!?」
その声に構う事無く、バットファンガイアは言う。
「世界は……ひとつじゃない……連なる九つの平行世界に、強い光が……仮面ライダーの力が満ちた時……全ての世界を繋げる闇が生まれる……」
「仮面ライダー……? それは、キバの力の事か!?」
こくり――と、弱くうなづき、バットファンガイアは更に話を続けた。
「九つの世界にはそれぞれ、我々ファンガイアのように人を襲う怪人と、人を守る仮面ライダーが存在している……私達の世界を除く世界の怪人達はそれぞれの世界のライダーの手によって敗れ去っていた。
 ……そして今、この時を持ってこの世界の怪人もまた、人を守る側……仮面ライダーとなったお前達を除き、全て消えた事となる……」
「一体……何が起きるって言うんだ……?」
「さっきも言っただろう? ……生まれるのさ、全ての世界を繋げる闇が……我らファンガイア……いや、全ての世界の怪人の力をその身に宿して……そして、始まる――」
「ライダー大戦が!」
「ライダー……大戦……」
そこまで語ると、バットファンガイアは、傷をものともせず立ち上がり、渡達を睨みつけた。
「さあ……まずは、過去が消える……」
バットファンガイアの指先が、太牙へ向けられる。
渡達の目が、太牙に向く……その時、驚くべき事が起きていた。
「と……父ちゃん! 身体が……身体が透けてやがるぜ!?」
キバットV世が、驚愕の声を上げた……彼の言う通り、彼の父――キバットU世の姿が、まるでホログラムの様に半透明になっていたのだ。
「……どうした!? キバットU世!」
装着者である太牙もまた、驚きの声を上げる……。
「ぬ……ぅ……い、いかん……か、身体が……消え……」
――U世の姿は、音も無く、消え去ってしまった。
「い……一体何をした!」
鳴り響く太牙の怒号……バットファンガイアはそれを気にする様子も無く、その問いに、淡々と答えた。
「世界の融合が始まる……全ては消え去り、ひとつになる……過去も、現在も、未来も……そして世界も……さあ! 今度は未来が消えるぞ! ……ははははは……!」
――半ば、狂った様な笑い声……その声を残し、彼は消えた。
「未来……――ッ!? 正夫!」
はっと気付いたように、渡は正夫へ目を向けた。
「う、ぐ……こ、怖いよ……パ……パ……」
「ま、正夫……正夫ーーー!!」
そこには、時を同じくして消え去る、正夫の姿があった……。

――そして、今も消える……はは……ははは――

「兄さん! 名護さん!」
「……渡!」
渡の視界から、二人の姿が消え去る……そして、再びあの声が聴こえて来た……。

――さあ、紅 渡……我が怨みを晴らす為に……我が道連れとなれ……――

「……ぐっ! か……身体が動かない!?」
死してなお残るファンガイアの魂が、自分を拘束しているとでも言うのか……世界が消えて行く中、渡は己の消滅を覚悟した……その時――。

――諦めるな――

誰かの声が、胸に響いた。太牙でも、名護でもない……だが、聞き覚えのある声が、確かに聴こえたのだ。

――手を伸ばせ! キバの世界の……仮面ライダー……――

渡は、言われるがままに手を伸ばした。白い光に包まれた世界の中にひとつだけ浮かんだ、赤い輝きに……。

――

「う……ここは……?」
「気が付いたかい……王子様?」
どこか皮肉さを帯びたような声が聴こえて来た……この声の主が、自分を助けてくれたのだろうか……渡は、辺りを見回した。

――暗い……辺りは、そこが上か下かも分からないような……ファンガイアでさえも恐れるかのような完全な闇が広がっていた。
「……勝たなきゃね。僕らが負けると、世界は全てこうなってしまう……」
皮肉っぽい声が、また聴こえた……しかし、辺りは闇……その姿を捉える事は出来なかった。
「この声……あ、貴方が僕を助けてくれたんですか?」
「いや、僕はそんなお人好しじゃないんでね、ただ通りがかっただけさ……それに、これから僕の方が助けてもらう事になる」
「……えっ?」
渡が不思議そうな顔をすると、突然暗闇から……恐らく、声の主の人差し指と思われる物が口元へ現れた。
「しっ……まぁ、理解出来なくてもいい……いや、僕の話を聴いた後で君の胸にでも聴けば大体分かる事だから、とにかく要点だけ、かいつまんで言う事にするよ」
あっけにとられている渡を前に、声の主が続ける。
「――さて、君の世界……キバの世界は、この時間を持って消滅した。理由は多分知ってるよね? 全ての世界から怪人が消滅した事により、全ての世界を繋げる闇が復活してしまった……
 そして僕は、今から君に頼み事をする。……このバックルとカードを、今から始まるちょっとした物語の主人公君に渡してやって欲しい」
突然正体不明のバックルとカードを渡され、渡は困惑した。
「ちょ……ちょっと待って下さ――」
「……ディケイド。君は、この名前を知っているはずだ。消滅する中、通りすがって行った存在達によって新たに生まれた世界で出会った仮面ライダー……。時間も、時空も超えて、君の心に絆として刻まれているはずだ!」
「ディケイド……!?」

――今から僕が新しいキングだ!――

――お前……何のつもりだ?――

――僕が太牙に代わって、新しいキングになる……――

――……本当に、そう思ってんのか?――

――僕がキングになって……兄さんを――

――俺は人を信じる事は出来ない……だが渡は、信じるものの為に戦える! それが王だ……王の資格だ!――

「――ッ!? ……な、何だ……ディケイド? ……僕は、僕は知っている……門矢 士……通りすがりの……仮面ライダー……?」
渡の脳内に、経験した事のない出来事が浮かぶ……いや、これは確かに経験した出来事だ……渡は直感した。……自分は出会っている。今、手渡されたバックルとカードの主に。この世界が消え去る中を通りすがって行った、彼に……。
「ディケイドのカード……持っているはずだよ、君は。……探してごらん」
言われるまま、渡はおもむろにポケットに手を突っ込んだ。
「……これは!?」
渡の手は、赤い身体に、緑の瞳を持つ仮面ライダー……ディケイドの姿を冠したカードを掴んでいた。
「それが、君と彼の絆の証……ライダーカード……彼が、君の姿を冠したカードを手に入れたように、君もまた、彼のカードを手に入れている……それは君と彼とを無意識の内に繋ぎ、世界の融合によって生じる消滅から君を守る……
 そして、そのカードを手に入れた君もまた、あらゆる世界、あらゆる時間を通りすがる事が出来る……」
はぁ……と、渡はため息をついた。……本当に彼の言う通り、大体理解してしまったからだ。
「確かに、僕はかつて出会った……通りすがりの仮面ライダー……士さんに……これは……そうだ、僕が消え去ろうとしていた、あの瞬間に、新たに生まれた世界での記憶だ――」
「そう……消滅しようとしていた世界に、ディケイドが通りすぎた事で、時間が逆行し、新たな歴史が生まれた……」
「でも、それなら何故、僕の世界は消えたままなんです?」
渡が疑問を述べると、声の主はまた、渡の口元に人差し指を持って行き、しっ……とやって答えた。
「もっと強い存在が、世界を通りすがっているのさ。……そいつは、ディケイドを追う様に九つの世界を渡り、融合を促している……だからライダーカードを持つ者以外は、こうして、また消滅してしまうという訳さ」
「このカードが、僕を守っているのか……」
「そういう事……でもね、このままだと君はまた消滅してしまう……この時間において彼は……士はまだ、バックルとカードを貰ってないからね……二千九年・一月・二十五日……今から一週間後に……士の存在する世界で、君がベルトを渡す事になっているから……」
「何故……僕なんです?」
「まぁ、流石にこっちは覚えてないだろうけど、君の世界はディケイドが通りすがる前にも、別の世界と融合しかけた事がある……その時は早急に原因が取り除かれた事と、特異点の力も相まって問題無く修正されたけど」
今度ばかりは声の主の言う事に、全く記憶が無く、渡は困惑した。
「おっと……そんな難しい顔しないでくれよ。とにかく、その時の縁でね、君は時を渡る列車に乗る資格を持ってる。……お調子者の赤鬼君と、身体を共有した事でね。本当は、彼に頼んだ方が良いんだろうけど、
 彼も、彼の相棒も、何かと色々忙しいらしいから……まぁ、前置きはこれくらいにして――」
声の主が、不意に、ぱちんと指を鳴らした。

――何処からともなく、警笛が聴こえる……。

すると、渡の目の前に奇妙な列車が現れた。
「これは……?」
「シルバーライナー……僕のとっておきのお宝さ。……まあ、本当はデンライナーの方がよかったんだけどね……これが、さっき言ってた時を渡る列車……
 君は、ディケイドのライダーカードを使って士の世界に行き、更にシルバーライナーを使ってその世界の一月二十五日に飛ぶ……」
「それは、強制ですか?」
渡の問いに声の主は、ふふんと、はぐらかす様に鼻で笑った。
「お、おい……どうするんだよ渡……」
今まで黙り込んでいたキバットも、とうとうたまらず口を開く。
「……どうするも何も……貴方は僕がどうするか、全て分かっていて、行動しているんですよね?」
「……そうだ。君は必ず士にバックルを届ける……一月二十五日までに士がディケイドにならなければ、君の存在は再び消えてしまうからね」
その時、声の主をシルバーライナーのライトが照らし出した……声の主は、自分より少し年上くらいの青年だった。
渡は、暫くその青年を睨む様にみつめていた……やがて、そのひょうひょうとした態度の中に、強い意志を感じ取った時、渡の心は決まった。
「……一月二十五日……ですね」
「ああ、このパスを使えば行けるはずだ……まあ、一応本物だから問題無い。……頼んだよ……仮面ライダーキバ」
パスを受け取ると、渡は声無く頷き、シルバーライナーへ向かった。
「ひとつ、良いですか?」
列車へ乗る直前になって、渡の歩みが止まった。
「なんだい?」
「……貴方は、誰なんですか?」
「通りすがりの怪盗さ……覚えてくれるとうれしいな」
「じゃあ、覚えておきます……」
 
列車は動き出した……これから起こるだろう、全てを乗せて……。

「渡……これから、どうすんだ?」
「そうだねキバット……まずは、士さんにバックルを届ける。……次に――」
「……次に?」
「……僕と同じ様に、士さんによって再構築された世界が、さっきの人や、アイツ……未来のバットファンガイアが言っていた、世界を繋げる闇によって、また融合された事で、僕の様に闇の中に放り出されてしまった仮面ライダー達がいるはずだ……
 この列車は時を、そしてこのディケイドのライダーカードは世界を越える力を持っている……この二つの力を使って、仲間を集める……」
カードを見つめ、渡は静かに、強く答えた。
「よおし……そんじゃあ、キバっていくぜ!」
渡の意思に呼応するように、キバットもまた、強く答えた――。

――二千九年・一月・二十五日――

――ディケイド……今日がその日です――

物語は、今始まった……。
21名無しより愛をこめて:2010/05/24(月) 00:39:28 ID:O+TS/chm0
ひとまず、以上です。
説明不足な点も多々あるかもしれませんが、一応、こんな感じでキバ〜真ディケイドに繋がる……という一つの妄想です。
もし、まだ読みたいという声があった場合は、続きも書こうと思っています。
その場合は新たにディエンドを主役にし、簡単なプロローグを書いた後でこのSSや、真ディケイド本編とリンクさせるつもりです。
では、稚拙な文でしたが、投下を終了します。
22名無しより愛をこめて:2010/05/24(月) 18:53:38 ID:6fhvCUjJ0
なんだそういうスレだったのか
他のアニメやマンガの世界に行くSSのスレかと思った
23名無しより愛をこめて:2010/05/24(月) 19:18:21 ID:DbgPxHyw0
>>22
そういうのも全部OKらしいぞ。
つまりディケイドに関係していればなんでもアリ。
24名無しより愛をこめて:2010/05/24(月) 21:56:55 ID:6APlnPGh0
>>21
GJ!
25名無しより愛をこめて:2010/05/25(火) 00:03:44 ID:20bwnCFt0
>>21
いいね
期待してる
26名無しより愛をこめて:2010/05/26(水) 18:53:08 ID:xgy63fiY0
>>21
GJ!

さて、自分もいろいろ書いてはいるんだが完成までこのスレがもつかどうか……
27名無しより愛をこめて:2010/05/28(金) 08:24:38 ID:rE86K1uH0
出た出たキチガイド腐れマンコばばあの敗北宣言w 連敗記録更新中w
答えられず完全敗北、負け犬街道まっしぐらw
俺が答えてもおまえは答えたことはない卑怯者w
オウム返ししかできねえ痴呆症w
自信がないから他人に関係なく自分のことは証明することはできず
全部大ウソだと自己証明w ウソつくんじゃねえぞw
親や学校から言われなかったのかよ、この落ちこぼれw
平日の昼間に家事も仕事もしないで絶叫電波レス、触れられねえでやんの
認めやがった、答えられず働いてねえ寄生虫のゴクツブシだと認めやがったw
働けや、無駄飯食いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ただ飯がうまいのかよおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
45歳無職や警察や正直者のお姉さまの証明もできずに大ウソ自己証明wwwwwwwwwwww
他人には証明しろとほざくご都合主義者w
すりかえでおまえが先に証明しろがてめえの十八番だけどなw
なりすまししてるんじゃねえぞ、卑怯者wなにが正直者のお姉さまだw
できねえ無責任ばばあだけどなwできる人間なら他人の稼ぎのただめし食えないしww
恥ずかしくてw働けや寄生虫のゴクツブシwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
↓この後速攻で家事もしないでここ監視してるキチガイばばあがケツまくり敗北宣言

28名無しより愛をこめて:2010/05/28(金) 21:51:27 ID:YbCVdwjJ0
29名無しより愛をこめて:2010/05/31(月) 18:59:27 ID:B4w4pRk90
えっと、質問があるのですが
以前別の場所で投下していたディケイドクロスSSの修正したやつの
投下ってここでは認められるでしょうか?
30名無しより愛をこめて:2010/05/31(月) 19:23:15 ID:o929UAwC0
>>29
過疎ってるしいいんじゃないか?
3129:2010/05/31(月) 19:24:02 ID:B4w4pRk90
分かりました
それでは、いつになるかは分かりませんが修正が終わり次第投下させて頂きます
32名無しより愛をこめて:2010/06/07(月) 17:10:47 ID:TEhtBFhp0
ほしゅ
338:2010/06/09(水) 03:43:43 ID:Yiufy29N0
ひとまず、第二話の前編が書けたので保守がわりにうpします。
……しかしまだ大手を振って見せられる位のボリュームでもないのでうpろだにおいときました。
完全版は、また後日に。
真ディケイド準拠と言いつつ、今回はほぼ完全に作者の勝手な脳内設定におけるリ・イマジ状態のディエンドの世界を書いている為、
本編のディエンドの世界の住人と同名の人物でも性格・役どころが違ったりしています。ご注意下さい。後、微妙にグロいかもしれないです。

ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/121973 パスは半角小文字で namako です。 中二臭いサブタイは気にしないで下さいw

後、漫画版仮面ライダーを知ってると少しは面白い……かもしれないです。
34 ◆z48He6yvZYwp :2010/06/13(日) 01:57:28 ID:59p/0v8E0
ディケイド最終回〜完結編までの間を補間したSSを考えたので投下します。
なお、ライダー大戦の世界に出て来るライダーは全部オリジナルだと仮定しての設定です。
本編↓


ディケイド・・・貴様を倒す!
ディケイド・・・お前は世界の破壊者だ!
ディケイド・・・
ディケイド!!!

「うるせえ!!」
士は思わず叫んでいた。
全身に痛みが走る。
喉はカラカラだ。
その感覚の一つ一つが、これが現実だと士に教えているようであった。

「よぉ・・・起きたか」
飄々とした声が聞こえる。
士がその声の方に目を向けると、そこには火に薪をくべる男がいた。
「お前は・・・」
男は士の方へ顔を向けた。
「俺は、ヒビキ」
「ヒビキ・・・だと?」
35 ◆z48He6yvZYwp :2010/06/13(日) 02:01:11 ID:59p/0v8E0
「まさか、仮面ライダー響鬼・・・か?」
士の問いにヒビキは何も答えなかった。
代わりにヒビキは士の目をじっと見ていた。
「無理してたんだなぁ・・・。身も心もボロボロになってさ」
ヒビキは士にそう言うと、再び火に薪をくべた。
「何の・・・つもりだ?」
士は警戒して、カードを手にした。
そんな士を見ながら、ヒビキはフッと笑った。
「腹・・・減ってないか?」
「あぁ・・・?」
「腹減ってると、カリカリしちまうからな」
「何のつもりだ?」
「まあ、落ち着けよ少年。・・・俺は敵じゃない。今は・・・な」
ヒビキは軽く微笑んだ。
36 ◆z48He6yvZYwp :2010/06/13(日) 02:19:11 ID:59p/0v8E0
その時、新たな人影が見えた。
(仲間か・・・!?)
士は身構えた。

「ヒビキさん、動物はちょっと無理だったけど、とりあえず山の幸みたいなのは採れました」
「おお、そうか。上出来上出来」
「じゃあ、さっそく料理しますね!」
物腰の柔らかそうな青年は、そう言うとどこからか包丁とフライパンを取り出して、調理を始めた。
「あいつも・・・ライダーなのか?」
ここはライダー大戦の世界。
ライダー以外はいない世界。
必然と目の前の青年もライダーか、それに関わる人物であることは分かった。
「そう、見る人間を敵視するな。余裕が無いぞ少年」
ヒビキは士の心情を察すると、諭すように言った。
「仕方ないですよヒビキさん。彼にとって・・・ディケイドにとって僕らは敵なんですから」
そう言うと、青年は士を見てにっこりと笑った。
「俺は津上翔一。こう言った方が分かりやすいかな?仮面ライダーアギト」
37 ◆z48He6yvZYwp :2010/06/13(日) 02:21:55 ID:59p/0v8E0
>>36をちょっと訂正
続きは別の日に投稿します。

その時、新たな人影が見えた。
(仲間か・・・!?)
士は身構えた。

「ヒビキさん、動物はちょっと無理だったけど、とりあえず山の幸みたいなのは採れました」
「おお、そうか。上出来上出来」
「じゃあ、さっそく料理しますね!」
物腰の柔らかそうな青年は、そう言うとどこからか包丁とフライパンを取り出して、調理を始めた。
「あいつも・・・ライダーなのか?」
ここはライダー大戦の世界。
ライダー以外はいない世界。
必然と目の前の青年もライダーか、それに関わる人物であることは分かった。
「そう、見る人間を敵視するな。余裕が無いぞ少年」
ヒビキは士の心情を察すると、諭すように言った。
「仕方ないですよヒビキさん。彼にとって・・・ディケイドにとって俺たちは敵なんですから」
そう言うと、青年は士を見てにっこりと笑った。
「俺は津上翔一。こう言った方が分かりやすいかな?仮面ライダーアギト」
38名無しより愛をこめて:2010/06/21(月) 18:27:25 ID:sJCf7JTs0
39名無しより愛をこめて:2010/06/24(木) 16:27:53 ID:TD3o2jnw0
GJなんだけど続きマダー
40名無しより愛をこめて:2010/07/05(月) 23:08:23 ID:9IlhTA5i0
待とう
41名無しより愛をこめて:2010/07/06(火) 17:42:27 ID:xN2viyiwO
逃亡しました

 ――これは、語られる事の無い、もうひとつの十年紀の物語――
  
「――敵は半獣の吸血鬼に、食屍鬼共……どいつもこいつも半端じゃない……」
 とある山林にそびえる、大きな木造の家……。そこに、熱心に何かの話をしている老人と、それに輪をかけて熱心に話を聴いている子供達がいた。
「そこで、一発――」
 老人が、ぐっ……と拳を握りしめる――。
子供達は、ごくりと唾を飲み込み、老人の、その年齢とは不釣り合いな太い腕を凝視する……。
「――ライダーパンチ!」
老人の拳が、空を斬った。子供達が反射的に、びくっと背筋を震わせる姿を確認すると、老人は、にやりと笑みを浮かべる。
「この老いぼれじゃ、こんなものだが……本物のは、岩をも砕く! こいつを喰らった怪人共は、たまらずのけぞる……そして、怯んだ所にとどめの一撃――」
 老人が、今度は足に力を込める――。
「……ライダーキック!」
先程の拳と同じ要領で、蹴り上げる老人――。

 ――数秒の沈黙――。

 目を丸くしながら見入っている子供達に、優しく微笑みかけると、老人は、次の様に述べた。
「これで怪人共はイチコロ……という訳さ。どうだい、仮面ライダーは、格好良いだろう?」
――わっ、と子供達の歓声が挙がる。
「うん、うん!」
「仮面ライダーカッコイイ!」
「やっぱり、滝じいちゃんの話は面白いや!」
口々に、老人――滝 和也の語った仮面ライダーの物語の感想を述べる子供達。
 当の滝本人は、流石に身振り手振りで話すのに疲れたのか、ふうっ……と、一息つきながら額の汗を拭っていた。
 しかし同時に、喜ぶ子供達の顔に満足気な笑みを浮かべていた。
「この前新聞で読みましたよ。本物の仮面ライダーの活躍……見出しには、『人類の敵、大ショッカーの怪人をまたまた倒す!』……って載ってました」
子供達の中の、年長と思われる十代半ば程の少年が、少し興奮した様に語る。
「ああ……書いてあったなぁ……あいつらは未だ、わしらの為に戦い続けているんだと思ったよ……」
「あいつら……?」
少年は不思議に思った。――何故、滝老人は今、仮面ライダーを親しく呼んだのだろう?
「い、いや……ははは」
滝は鼻の頭を掻きながら、笑ってごまかした。
(別に言っても構わんが……この老いぼれが元・FBI……そして、仮面ライダーの協力者だった……なんて言っても、お前達は冗談だと笑うだけだろうしなぁ……)
滝は頭の中で若き日の思い出を反芻しながら、
「何でも無い。……ちょっと話をしてる間に、なれなれしくなっただけさ……ははは!」
 そうやって、また笑ってごまかした。
「……はぁ」
 少年は、少し腑に落ちない顔をしていた。
「でもさ……」
今度は少年とは別の、少し内気そうな四、五歳くらいの男の子がしゃべり出した。
「……いくら仮面ライダーでも、本当に大ショッカーに勝てるの? もしかすると負けるかも……」
――その言葉を聴いた瞬間、まるで触れてはいけない事に触れてしまったかの様に、他の子供達が騒ぎ出した。
「……お前、何言ってるんだよ!」
「仮面ライダーが負けるはずないだろう?」
「そうだそうだ! 滝じいちゃんの話聴いてなかったのか? 岩だって砕くんだぜ!?」
「あー……お前達、ケンカはやめなさい!」
 滝は困りながら、不器用に子供達を仲裁しようとする……が、子供達は騒ぐのをやめなかった。
「――いい加減にしろ!」
 不意に、怒鳴り声が家中に響く……。瞬間、子供達が、びく付き、押し黙る。
 ――滝の声ではない……さっき、仮面ライダーの新聞記事の話題を出した少年の声だった。
「……なあ、何で仮面ライダーが負けるかもなんて言ったんだい?」
少年は諭す様に、騒ぎの素となった男の子に話しかけた。
「……だって、本当に強いかなんて分かんないんだもん」
その言葉を聴き、思わず身を乗り出そうとした子供達の内の一人を、少年は軽く制止しながら、
「どうして、そう思うんだい?」
 と、問いかけた。
「……だって、仮面ライダーが本当に強かったら……僕達の本当のパパやママは――お兄ちゃんだって、ほんとはそう思ってるんでしょ?」
「あ……」
――男の子の言葉は、少年を初めとした子供だけでなく、滝すらも黙らせてしまった。 ――この家は、孤児院だった。……大ショッカーに親を殺された子供達の……。
「う……うぅ……」
「パパ……ママ……」
悪魔によって植え付けられた過去の記憶を思い出したのか、親を殺された時に物心付いていた子も、そうでない子も……わんわんと泣き出してしまった。
「……」
 ……先程の少年でさえも、塞ぎ込んでしまった。

 ――暗い空気が、孤児院を包んでしまった――。

「……確かに、ひとりじゃ無理さ……無理だった!」
冷たい空気を振り払う様に、滝が力強く口を開いた。
「お前達の父さんや、母さんが亡くなった時……仮面ライダーは、たったの一人や二人だった! ……人々を助けるには限界があった!」
「……けど、けどなぁ……それでもあいつらは! ……人々を助ける事を諦めなかった! ……そうして、強い力を手に入れた」
「強い……力?」
子供達の中の一人が、まぶたを擦り、鼻をすすりながら、滝に問いかけた。
「あぁ! ……仲間……絆っていう、最高の力をな」
「なかま……きずな……」
 先程の男の子が、顔を上げる。
「そうだ……仮面ライダーには、同じくらい強い仲間の仮面ライダーが、十人もいる! 本郷……あ、いや、仮面ライダー本人も合わせて十一人だ! ……もう、お前達の父さんや母さんのような事を繰り返させはしないさ!」
 滝はそう言って子供達を励ました。……しかし問題の男の子は、
「でも……」
 と、未だ塞ぎ込んでいた。
「じゃあ聴くが……新聞には仮面ライダーが大ショッカーの怪人を倒したという記事はあっても、怪人が酷い事をした――という記事は載ってないなぁ……何でだと思う、大樹?」
大樹と呼ばれた男の子は、少し考えてみたが、分からないと言った風に、首を横に振った。
「……仮面ライダーが、負ける事無く、勝ち続けているからだよ。大樹」
年長の少年が、大樹に優しく語りかける。
「そう。……純一の言う通りだ。わしが若かった頃……仮面ライダーがたったの一人だった頃は……マスコミの連中は、全く、金になるもんだからと言って、見てるこっちが嫌になるくらいに、人々が怪人に襲われたって内容のニュースや新聞ばかり流したり配ったりしてた。
 ……それが今はどうだ? 人々が怪人に襲われたって話は聞かないだろう? ここだってTVやラジオどころか、まともな機械のひとつも無い、へんぴな山だが新聞にはそんな事書いてないし、飯の買い出しに行った時も、そんな話は噂にも聞かん」
「あ……」
僅かだが、大樹や他の子供達の表情に明るさが戻った様に見えた。
「ほんと? ……ほんとにじいちゃんの言う通り……もう大ショッカーに襲われてる人っていないの? 純一兄ちゃん」
不安そうに、大樹が年長の少年――純一に小言で問いかける。
「そうだよ。……だから、安心して良いんだ」
純一が優しく返すと、
「そう……この世界の平和は今、十一人の仮面ライダーが守っているんだからな!」
――と、それに続く様に滝が大樹の両肩に手を置き、微笑みかける。
いつしか大樹も、他の子供達も、少しずつだが笑顔を取り戻していた。

 ――ごめんください――

突然、どこからか――子供達の後ろから、静かな……だが、どこか力強さを秘めた男の声が聞こえた。
「――ッ!? お前は……」
滝を驚かせた、その声の主は、男としては少々長い黒髪に、その髪と同じ色のブレザー……そして真紅のマフラーという、いでたちの二十代くらいの青年だった。
「おじさん……誰?」
 一人の子供が、警戒しながら言った。
「あ、あの……この孤児院は、セールスとかは断っているんですが――」
 早々に立ち去ってもらおうと、純一がそれとなく、青年を玄関へ誘導しようとする。
「……いや、良いんだ純一。その人は、押し売りとかじゃない……じいちゃんの、友達さ」
滝はそう言って純一を止めると、
「久しぶりだなぁ……本郷」
――と、感慨深そうに述べた。
その時、滝老人の瞳に、うっすらと涙が――普段、笑う事はあっても、泣くことなど絶対にあり得ない滝の瞳に――浮かんでいたのを、純一や大樹を初めとした子供達は、見逃していなかった。
「あぁ……最後に会って、十年程かな……」
本郷と呼ばれた男は嬉しそうに、だが寂しさも秘めた様な声で相づちを打った。
「この人はな……本郷 猛。じいちゃんの……その、歳の離れた親友さ」
 何故か、少し言葉を選んだ様にどもりながら、滝は子供達に本郷を紹介した。
「よろしく」
本郷は、静かに子供達に挨拶した。
「あ、はい! ……えっと、僕……純一って言います。おじいさんのお知り合いなんですよね。こちらこそよろしくお願いします……ほら、大樹! みんなも挨拶して」
 率先する様に、純一が本郷に挨拶をする。
「……」
 だが、まだ子供達は、本郷に対する警戒を解いていない様だ。
本郷は、苦笑いしながら右腕で自分の頭を掻くと、持っていた荷物をテーブルに置いた。
荷物は、蓋と本体をビニールのテープで固定してある、直径30cm程の円形の金属の缶だった。
珍しい物に対して警戒心が緩んだのか、なんだろう? と、子供達が本郷へ寄って来る。その様子に、本郷が、ふふっ……と笑うと、
「甘いお菓子……好きかな?」
そう言って、缶に貼り付いていたテープを外した。
すると、子供達の鼻先に、缶詰に閉じ込められていた、こんがり焼かれた小麦粉と、甘い砂糖が混ざり合った香りが広がる……。
どうやら本郷が持って来た荷物の正体は、甘いクッキーだった様だ。子供達の胃袋が、きゅっ、と縮む音が聴こえた。その音に気付くと、本郷は、にこっと笑い、
「どうぞ。これは君達の為に持って来た物だからね」
そう言って、子供達にクッキーの缶を差し出した。
「おいおい……結構高そうだが、良いのか本ご――」
滝が、一応の社交辞令として本郷に断りを入れようとしたその時、
「やった、やった! ラッキー!」
「クッキーなんて久しぶり!」
「滝じいちゃんこういうの、あんまり買ってくれないもんね!」
などと、お礼言うよりも速く、クッキーを我先にと食べ始めていた。
「あー、コラコラコラ! お前達、ちゃんと礼を言ってから食べなさい! ……す、すまんな本郷」
慌てて滝が、本郷に謝罪する。
「良いんだ、滝。クッキーは元々、子供達に持って来たんだからさ」
滝は、やれやれ……と、溜め息を吐くと、本郷に一礼し、クッキーを頬張る子供達を見て、口元をゆるませた。
「純一君と、大樹君……だったかな? 君達もどうぞ」
本郷はクッキーを一掴みすると、まだ食べていなかった純一と大樹に差し出した。
「あ、ありがとうございます。……えっと、本郷さん」
「……あ、ありがと」
「……やっぱり、人見知りしてしまうかな?」
その言葉に、大樹は、ぶんぶんと首を激しく横に振り、純一も、
「そ、そんな事ありませんよ! クッキー、とても美味しいです。ありがとうございました!」
――と、慌てながらだが、笑顔で答えた。
「それにしても今更来るたぁ……俺が手紙を送ってから何年だ? ……いや、そもそも今日来るなら来ると言ってくれないと、もてなしも出来んだろう?」
純一は滝の、この発言を聴いて、本郷が滝の友人である事を確信した。
『わし』ではなく、『俺』という一人称……それに何より、自分達に話しかける時よりもずっと、若い頃を思い出したかのような……どこか砕けた喋り方だったからだ。
「……すまない。だが、こっちも暇が取れなくてな」
本郷が、右手を突き出し、ごめん、とジェスチャーする。
「……なんてな。忙しいのは分かってるさ……よく来てくれたな」
「忙しい……って、本郷さんは何か多忙なお仕事をされてるんですか?」
何気なく、純一が質問した。
「あ……あぁ、俺は――」
「純一、聞いて驚け。その人はな、城北大学の博士なんだぞ!」
本郷が返答に困っていると、滝が、どこか茶化した様に純一に言い聞かせた。
「ちょ、ちょっと待て滝……」
「ん? ……あぁ、城北じゃなくて城南大学だったっけか」
「そ、そうじゃなくてだな……俺はまだ博士号は――」
「別に良いだろ。IQ600のお前なら、取ってるのと変わらん」
「――ッ! 博士……IQ600……」
純一の本郷を見る目が、次第に尊敬の眼差しに変わって行くのが分かった。
「は……はは」
その眼差しがあまりに興奮した様子だったので、思わず本郷は、柄にも無い愛想笑いを浮かべてしまった。
「す……凄い! 凄いや! おじいさんの知り合いに博士がいたなんて! ……あ、あの! 僕、純一って言います! ……っと、自己紹介はさっきしましたよね? すみません。
 ……えっと、そうじゃなくて本郷さんは一体、何を研究していらっしゃるんですか? 僕、将来科学者になるのが夢なんです! 出来ればお話を――」
「あ、あぁ……純一君? そ、その――た、滝!」
 興奮気味な純一に少々怯んだのか、本郷は滝に助け舟を渡してもらおうと、必死に訴えかける。
「……おっと! いかんいかん! とっとと飯の準備をしないと。……やれやれ、ここにはガスも電気も無いから、休む暇が無いなぁ……」
 ――どうやら、助け舟は本郷が乗る前に出港時間に差し掛かっていたようだ。
――その後純一は飽きる事無く、畳み掛ける様に本郷に質問を浴びせては無邪気な笑顔を浮かべていた……。

――夜も更けて……――

 ――深夜零時。興奮のあまり、夕食の最中ですら本郷に質問していた純一も流石に疲れ、他の子供達と一緒に寝静まっていた。

 ――

昼の三時頃、滝が子供達に仮面ライダーの話をしていた簡素なリビングには、今は本郷と滝……二人だけがひっそりと存在していた。
「……」
「……」
久方振りに会ったというのに、二人は一言も話してはいない。……もし、第三の視点で見ている者がいたとすれば、青年と老人が柱時計の音を二人して無心に聴き続けている様な、
そんなシュールな光景に見えていたかもしれない。……そう見えるくらい、異様なまでに二人は押し黙っていた。
「……滝」
先に沈黙を破ったのは、本郷だった。
「なんだ? 本郷」
「……俺は、ここに来るのが正直怖かった。老いたお前を……見るのを怖れていた」
本郷は憂いを秘め、そう言った。……滝はただ、『そうか』と呟く。
――本郷 猛は、改造人間である。……その身体は、成長もしなければ、老いる事も無い。……故に本郷――仮面ライダー一号は、時間がもたらす人の生き死にというものに、人一倍敏感な感性を持つようになっていた。
「……だが、風の噂でな……お前の孤児院の話を聞く度……怖さを我慢してでも、お前に会いたくなった」
 また、憂いを秘めた口振りで、本郷が言った。……滝もまた、『そうか』と呟いた。
「……木こりをしながら、身寄りの無い子供達と笑顔を絶やさず暮らす、滝じいさん……そんな噂を聞く度、会いたくてたまらなくなった……。すまなかったな。
 ……大切な人を、時間の中においてきぼりにしたまま、別れを告げる事すら出来なかった馬鹿な男は……その代わりとばかりに、かつての戦友の幸福な今を邪魔しに来てしまった……」
そこまで聴くと滝は、ふう……と溜め息を付き、
「ばあぁ〜〜〜か!」
――と、本郷をののしった。
「ひょっとしたらお前さんは……いや、いつまでも若いお前さんの事だから、俺に会うのが怖いと言いつつ本当は、俺にお前さんの若い姿を見せ付けるのが嫌だったんだろう?」
――その発言に、本郷が、ふたつの感情を抱いて、驚く。……ひとつは、滝の口から放たれた言葉そのもの――確かに自分は、老いた滝を見る事以上に、若い自分の姿を見せつける事を、何より拒んでいた。
 そして、もうひとつ……今、自分をののしった時の、滝の顔つきだ。……歳など、微塵にも感じさせなかった。
 その、歳を感じさせない顔つきと相応に若々しい声で、滝は続けた。
「……けどな、俺はそんなの、気にはしない。まだまだ心はあの日のまま……お前さんと共に戦っていた、本郷 猛の戦友――滝 和也のままなんだからな!」
「……」
「ん? ……どうした、本郷?」
「……悪かった……本当に、すまない……」
――心のどこかにあった本郷の緊張の糸が、ぷつっと切れた。
 ――何だ……未だ、滝 和也は健在じゃないか。……何故今まで会おうとしなかったのか……何故、自分から、こんな素晴らしい友を、時間と共に拒絶していたんだ……――そんな後悔に震え、本郷はうつむいてしまった。
「……本郷」
滝には分かった。――こいつは、今泣いている。
涙を流せないその身体の中で……心で涙を流しているんだ……と。
「……ひとつ、良いか? 本郷」
 無理矢理、話題を変える様に、滝が語りかけた。
「……な、なんだ? 滝」
本郷が、顔を上げる。
「いや……お前のマフラー……ボロボロだなと思ってな」
「……そ、そうか?」
「……全く、困るんだよ。折角俺が格好良く過大評価して子供達にお前の話をしてやってるのに、当の本人が、身だしなみに気を使っていないんじゃなぁ……」
「あ……す、すまない」
「……だからなぁ……ホレッ!」
滝は、まるで準備していたかの様に、本郷の身につけている、ボロボロのマフラーと同じ色のマフラーを差し出した。
「……これは」
「赤いマフラー正義の印……ってな。使ってくれ……子供達の、永遠のヒーロー!」
「ありがとう……滝」
礼を言うと本郷は、早速マフラーを身につけてみせた。
「――よっ! 似合っているぜ! 仮面ライダー一号!」
おだてる様に、滝が――子供達を起こさない様に手加減しながら――拍手をする。
「今日は、来て良かったよ……このマフラー、一生大切にする」
「おっと……誰もやるとは言ってないぞ?」
本郷の鼻先に人差し指を伸ばして、滝は続ける。
「そいつは貸しだ。お前が大ショッカーを倒すまでのな。……どうだ? これで嫌でもお前さんは、歳老いた戦友の顔をもっかい見なきゃならねぇ! ざまあみやがれ! ……ははは!」
子供の様なその言い回しに、本郷は釣られて笑ってしまった。
――全てが終わったら、もう一度ここへ来い。……滝はきっと、そう言いたいのだろう。
「分かった。きっと……きっと返しに来るよ……大ショッカーは、何年かかろうが叩き潰す――」

――俺達、仮面ライダーが……!――

「……本郷……本郷!」
――帽子を深く被った、カメラマン風の身なりの青年が、何処かの荒野にひとりたたずむ、本郷を呼んだ。
「……一文字か」
それまで滝から借りたマフラーを眺めていた本郷は、その呼びかけに答えると、視線を声の主――一文字 隼人の方へ向けた。
「……どうした本郷? 決戦を前に、怖じけづいたか?」
 一文字が、どこか、おちょくる様に言った。
「……あぁ。怖じけづいていた……」
「お、おいおい……」
 本郷がとても素直な返答をした為、思わず一文字は呆れた風に帽子の中に指を突っ込み、頭を掻く。
「だから、勇気を貰っていた。――もうひとりの、仮面ライダーにな」
本郷が、マフラーをひらひらとさせる。
 一文字が、あっ、と気付き、やるせない表情を浮かべ、
「そうか……そういえば今日は、あの人の命日でもあったな――」
そう言って一文字は本郷のマフラーを、眉をひそめながら見つめた。
「このマフラーを借りて、もう十数年……結局俺は、あいつとした二つの約束の内、ひとつを破ってしまった……」
「……本郷」
「全てが終わったら……歳老いたあいつの顔を、また拝みに行く……そう、約束したというのに……」
無意識に、マフラーを握る手の力が強くなる。……本郷の手は、震えていた。
「本郷、あまり気に病むな……」
「分かっているさ……。ふたつの約束の内、ひとつは守れなかった……。だからこそ俺は、俺達は……もうひとつの約束を、守る」
――そう言った瞬間、心優しい青年――本郷 猛の目が、猛き戦士の瞳に変わった。
 一文字は、よし、と、本郷の肩を、ぽんと叩くと、
「……大ショッカーのアジトは、この先だ。他のみんなも集まっている……行こう!」
 そう呟いて、本郷の背中を押した。
「――ああ! そしてこの世界に……平和を取り戻す!」
瞬間、荒野を包み込んでいた砂塵が晴れ、ふたりの目の前に、ふたりと同じく猛き瞳を持った九人の影が現れる……。
 ――そして、更にその奥には――

「行くぞみんな……この荒野の果てに、大ショッカーのアジトがある……。今こそ、全ての決着をつける時だ!」

 ――変身!――

青年達の声が荒野を吹き荒ぶ風に交わった時、十一の異形が静かな歩みを始めた……。
宿敵――大ショッカーのアジトを目指して……。
53>>8:2010/07/07(水) 01:06:15 ID:rlUmOln20
えー……長い間放置して、すみませんでした。(しかも、まだディケイドのディの字も出てないどころか、昭和ライダーの話になっててすみません)
一応、ここから大樹たちの過去に繋がっていく流れになりますので、ご了承下さい。
繰り返しになりますが、GJと言って下さった方々、本当にすみませんでした。
54 ◆z48He6yvZYwp :2010/07/07(水) 09:00:44 ID:mbMJLzu2O
>>37の続きです。

「仮面ライダー…アギト…だと?」
そう聞いて士の脳裏に浮かんだのは、アギトの世界で出会った芦川ショウイチの顔だった。
アギトの力に目覚めたが、それを制御しきれず、愛するものを守るために孤独を選んだ男。
しかし、目の前の優男はそんな芦川ショウイチとは全くの別人に見える。
「俺の顔に何かついてる?」
津上翔一は屈託のない顔で言った。
「いや…何でもない」
「ふうん…そう」
津上翔一は再び料理へと戻った。
ヒビキは士の顔をじっと見た。
「腹、減ってるだろ?」
「…確かに腹は減ってるな」
士は素っ気なく言った。「翔一の料理は美味いぞ」
そんな士を見て、ヒビキはにんまりと笑った。
「出来ましたよ」
暫くすると津上翔一が料理を運んできた。
いい匂いが辺りに広がる。
「じゃあ、食うか」
ヒビキはそっと手を合わせた。翔一、士もそれに続いた。
55 ◆z48He6yvZYwp :2010/07/07(水) 09:02:05 ID:mbMJLzu2O
その時だった。
「見つけたぞ、ディケイド」
冷たい声がその場を突き刺した。
「こんなところにいたか」
「その声は…剣崎一真」闖入して来た声に士は反応した。
剣崎は黒いサングラスの奥に冷たい光をたたえながら、士たちをじっと見ていた。
「やれやれ、飯くらいゆっくり食わせろ」
「響鬼、アギト、何故ディケイドを倒さない?」
剣崎は士の言葉を無視して、ヒビキと翔一の方へ向き直った。
「剣崎。何も戦うだけが全てじゃない」
ヒビキはそう言うと、ゆっくりと立ち上がった。「お前なら分かるんじゃないのか?」
「それとこれとは別だ」
「そうかな?同じじゃないか?」
「始とディケイドは違う!」
剣崎は明らかな苛立ちを見せた。
「剣崎、お前なら分かるはずだろ?世界を敵に回しても、大切な人を守ったお前なら」
翔一もヒビキに続いた。
剣崎は無言でブレイバックルを取り出した。
「言葉で言っても分からないなら…お前たちも始末する!…変身!」
『TURN UP』
剣崎はその姿をブレイド・キングフォームへと変えた。
56 ◆z48He6yvZYwp :2010/07/07(水) 09:05:02 ID:mbMJLzu2O
「翔一…士を連れて逃げろ」
ヒビキはそう言うと、音角を構えた。
「でもヒビキさん1人じゃ!」
「な〜に、やれるところまでやってみるさ」
「!!…分かった。士!行くぞ!」
「お、おい!」
翔一は士の手を引くと、深い闇の中へと消えていった。
それを追おうとする剣崎の行く手をヒビキは遮った。
「仮面ライダー響鬼…。お前では俺には勝てない」
ヒビキを一瞥すると剣崎は吐き捨てるように言った。
ヒビキは剣崎の言葉にも表情一つ変えず、剣崎の顔を見つめている。
「どうかな?俺は常に鍛えてるぜ!」
そう言うと同時にヒビキと剣崎はぶつかり合った。その衝撃にヒビキは思わず後ずさる。
「…っとと、やっぱりこのままじゃ厳しいか…ならば」
ヒビキは構えた。
「響鬼…紅!」
57 ◆z48He6yvZYwp :2010/07/07(水) 09:08:15 ID:mbMJLzu2O
遅くなって申し訳ございません。
PCが規制されたり、プライベートで忙しかったりでなかなか手を着けられず
早一ヶ月振りになってしまいました。
またちょくちょく投下出来たらなと思います。
駄文失礼。
58名無しより愛をこめて:2010/07/08(木) 17:52:38 ID:wh6d1W5B0
永久に規制されてろよ。そのほうが世のためになるぜ
59名無しより愛をこめて:2010/07/09(金) 00:02:15 ID:CaqXV7yz0
どうせ途中までしか考えてないんでしょ?
はやくごめんなさいしたら?
60名無しより愛をこめて:2010/07/09(金) 15:16:58 ID:ytXMSIoe0
正解だな
61名無しより愛をこめて:2010/07/09(金) 16:16:21 ID:qj/3P4IY0
この種のスレで“ごめんなさい”でないのを見たためしがない
62名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 11:31:19 ID:Wf35IMOS0
63名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 18:15:50 ID:O5Ak+PsV0
まぁこのてのSSできちんと完結したのはほとんどないよね。
平成ライダーバイクレースは珍しく数ヶ月後にふらっと戻ってきて完結したけど、
たいがい途中で自然消滅だ。戻ってくるのはかなりのレアケースだ。
64名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 00:10:16 ID:GiqdojqG0
というか、最初のうちは威勢がよくて全40話とか大きな口を叩いて
とりあえず下手糞なのをひとつふたつは書く。
そのうち飽きてきて“ごめんなさい”でいなくなる。
中には、大きな口を叩いといて最初のひとつさえ書けないのもいる。
65名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 09:05:58 ID:gGqNML7a0
だったら何?
面白いと思うものだからみんなに広めたい、それだけ
気に入らないのなら見るのをやめれば済むこと
66名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 20:44:35 ID:GiqdojqG0
広めるというよりも
67名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 21:24:09 ID:2nIrK5Et0
>>65
意気揚々とそれコピペだろwwwと言ってやろうとしたんだけどどこが元ネタか失念した

悔しい
68名無しより愛をこめて:2010/07/12(月) 22:31:34 ID:dNBtcfKF0
とりあえず◆z48He6yvZYwp は
>>57の謝罪文を先に書き込んでから再開すべきじゃなかったか?
そんな常識もわからない人間に「申し訳ございません」とか言われても
上っ面の謝罪だけにしか聞こえない

文章力や話の作り方勉強する前にまず礼儀を勉強し直してこいよ
話はそれからだ
69名無しより愛をこめて:2010/07/13(火) 22:05:32 ID:md6cbOtJ0
そのうち完全消滅する。
70名無しより愛をこめて:2010/07/16(金) 17:58:18 ID:p9tHh5200
けいおん!!編作って
71名無しより愛をこめて:2010/07/16(金) 18:02:11 ID:uHQdwnYf0
あーあー
ようやく復活できたらなんだこの荒れっぷりは……
俺は楽しみにしてる。ゆっくりでいいから仕上げてくれよ?
72名無しより愛をこめて:2010/07/16(金) 18:50:57 ID:MhWlbok30
作者のところのはPCも携帯も永久規制だってさ。
ご愁傷様。
73ダークディケイド:2010/07/16(金) 19:16:08 ID:tURfQMtg0
新作映画が公開予定。

妄想ではなく予告だ。
74名無しより愛をこめて:2010/07/16(金) 19:29:08 ID:D/3QRzHf0
へー
75名無しより愛をこめて:2010/07/20(火) 23:08:46 ID:iIp986id0
ヒビキ紅と剣キングフォームがにらみ合う。
???「ストップだ」
剣崎「お前は」
ヒビキ「仮面ライダーホワイトニューワン」
仮面ライダーホワイトニューワン「この物語は平成ライダー15周年記念にやるんだよ。」
ディケイド「みんな楽しみにまっていてくれよ。」
この物語は序章だ続きは映画館で。
*内容を変更して超電王になる場合もあります
◆z48He6yvZYwp 終わらせてやったぞ感謝しろ。
76名無しより愛をこめて:2010/07/21(水) 01:31:58 ID:LAmOjHGN0
正直粘着が一人貼りついてるだけだからゆっくり書けよ
待ってるからな
77名無しより愛をこめて:2010/07/21(水) 14:54:58 ID:KMpcXrB30
>>58
以降住人が急に厳しくなったもんだからちょっと笑っちゃったよw
俺も読んでるからのんびり続き待ってる。
78名無しより愛をこめて:2010/07/21(水) 19:25:23 ID:SpUMPY2y0
誰からも好かれないよ、気持ちの悪いヲタク小説書いても。
アンカー付けてくれるような書き込みってしたことある?
小学生?
なんか創意工夫できねぇの?
79名無しより愛をこめて:2010/07/22(木) 19:35:51 ID:m7d+9xdQ0
私、一流企業のOL。申し訳ないけどいい歳こいて
特撮見てマジになってる男ってNGだわ。
中でも特にオリジナルヒーロー小説なんか書いてるシロウト
って精神異常者に犯罪者予備軍だから気をつけなさい。
うかつに近寄ってたら危険だわ。
って
女子校のときから先生にずっとそう教わってるの。
80名無しより愛をこめて:2010/07/22(木) 19:58:49 ID:MEyLOH7nO
最近テニプリ読んでるのですがディケイドとクロスしても問題ないと思ってきました

強さ的な意味で
81名無しより愛をこめて:2010/07/22(木) 21:44:33 ID:jzWF3jfX0
>>80
ついにKO制が正式導入されましたしね!
……あれはどこへ向かってるんだ・・・
82名無しより愛をこめて:2010/07/22(木) 21:53:53 ID:HgiDCA/O0
宇宙テニス編かテニスサイボーグ編か魔界テニス編まだかなー
83名無しより愛をこめて:2010/08/02(月) 18:27:37 ID:ee47jIFH0
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1276739531/229

そう思ってるのもオマエだけ。そろそろ1ヶ月だが何もなし
やはり“ごめんなさい”だったんじゃないかよ。
84名無しより愛をこめて:2010/08/02(月) 19:15:50 ID:4Tj2FYOj0
いそがしいんだろ、まぁゆっくり待てよ
85名無しより愛をこめて:2010/08/02(月) 19:31:25 ID:aXPKiBCZ0
商業作家が値段つけて出してる本の続編が出なくて憤慨すんならともかく、
匿名の住人が2ch内でタダで書いてる小説に、
ageでそこまでムキになって叩き続けるのは何でなの
86名無しより愛をこめて:2010/08/02(月) 19:59:24 ID:YJoh8Kqp0
いや違うぞ、規制されて書けないんだよ。

当然すばらしい感動作が出来上がっているさ。

それを読めば特撮に興味の無い人だってハマること間違いなし。

書籍化すればミリオンセラー級だろきっと

実写TV作品化なら常に視聴率40%だぜ。
87名無しより愛をこめて:2010/08/02(月) 20:21:03 ID:ee47jIFH0
まあこれでも読んでろよ、こいつらと同じ道に向かうんだろ?

http://www.unkar.org/read/mamono.2ch.net/sfx/1211798836
88名無しより愛をこめて:2010/08/02(月) 21:36:13 ID:I8i0FVoY0
tesu
89名無しより愛をこめて:2010/08/03(火) 18:22:19 ID:bP2eBBTu0
別にゆっくり待ってればいいじゃんかよ・・・なにあわててるんだお前は
90名無しより愛をこめて:2010/08/04(水) 21:10:41 ID:R3EGKoy20
そう言って出てきたためしがない
91名無しより愛をこめて:2010/08/04(水) 21:25:35 ID:J6QuHYjj0
その時はその時で「あぁ、戻ってこなかったな」でいいじゃんか
なんで戻ってくるかもしれないのにいちいち戻ってきづらくするんだ
92名無しより愛をこめて:2010/08/06(金) 22:35:27 ID:3haNXuFi0
上手な逃げ道を作ろうとしてるな
93名無しより愛をこめて:2010/08/11(水) 00:13:02 ID:dvkTr9hH0
要するに書く気なしと
94名無しより愛をこめて:2010/08/11(水) 10:51:28 ID:G88h0XU00
まあ、お前らのためにここに書いたって何の得にもならないしなwwwwwww
95名無しより愛をこめて:2010/08/11(水) 18:45:47 ID:2vvhkk+oO
ミリオンセラー間違いなしの小説だから本にしないと金にならないわな
96名無しより愛をこめて:2010/08/11(水) 18:58:13 ID:xk+dNMv/P
555−響鬼−龍騎と書いてディケイドを手がけ始めたが、この作品の全容がまるで掴めない。
あきらめてWへ移項しようかな。
97名無しより愛をこめて:2010/08/11(水) 20:16:08 ID:VisVp5Am0
ディケイド「今だ!必殺!戦刃旋風斬りッッ ワオォッ ワオォォッ!」
98名無しより愛をこめて:2010/08/12(木) 22:00:16 ID:YzHAS9NhO
糞小説はチラシの裏が最適だろ
99名無しより愛をこめて:2010/08/17(火) 21:11:56 ID:EHKypOLpO
この作者もただの糞
100名無しより愛をこめて:2010/08/17(火) 23:20:36 ID:pujWAUZ9O
内容や文体から察するにageてんのはほぼ全部同じ奴だよな?
どうせ人いないんだからいちいちageなくていいよ
なんというかもう聞き飽きたし、後は落ちるだけだろ。
101名無しより愛をこめて:2010/08/17(火) 23:39:25 ID:tUGsr34vO
そんな解説も不要だろ
102名無しより愛をこめて:2010/08/18(水) 18:05:12 ID:P9cz+unkO
せっかく書く宣言してるのに落ちたら困るのは作者
103名無しより愛をこめて:2010/08/19(木) 21:14:22 ID:zE6uprHLO
作者としては落ちてくれたほうが有り難いんだろ?
104名無しより愛をこめて:2010/08/20(金) 00:37:49 ID:5P+BLk/cO
まもなくUPされるだろうから待てよ
105名無しより愛をこめて:2010/08/20(金) 01:02:28 ID:mThM5SU/0
全員ageてる携帯……ねぇ、やれやれ
106名無しより愛をこめて:2010/08/20(金) 01:05:19 ID:1NSuROcjO
>>105
そのうち9割はずっと同じ奴の粘着だろうしな…
107名無しより愛をこめて:2010/08/20(金) 10:27:21 ID:3y9y0IK/O
盛り上がってきましたな
108名無しより愛をこめて:2010/08/20(金) 19:42:10 ID:5P+BLk/cO
作者に嘘つきはいないよ
109名無しより愛をこめて:2010/08/20(金) 22:59:28 ID:3y9y0IK/O
町に映画館ができて仮面ライダーの映画が上映されたが、面白くないと不評だったよ。
それ以降そこには人足が遠のいてしまい町には活気がなくなったよ
困った館主は、面白い新作がまもなく公開されるからと宣伝したよ。ところが、いつまでたっても公開されない。
業を煮やした町民が館主を訪れたが、すでに姿をくらました後だったよ
ある日その映画館から出火して大火事になってしまったよ。そこには見物人が多数訪れて町中が盛り上がったとさ。

おしまい
110名無しより愛をこめて:2010/08/22(日) 21:49:26 ID:em3SdbMx0
一応75が終わらせてるじゃないか。
白倉もじったライダーだして序章ってつければライダー的にはどんな終わり方
でも問題ないんじゃね?
111名無しより愛をこめて
ほしゅ。