おにゃのこが改造されるシーン素体14人目

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653Femalien妄想(1/25)
 一体何時間この自動車に乗っているだろう。出発は昼過ぎ
だったはずだが、太陽はもう沈み始めている。
 窓の外を見ていたわたしは、右折の直前に見た標識に書かれた
町の名を思いだし、運転席のアンナさんに言う。
「アンナさん。そろそろ教えてくれてもいいでしょ? 今見えた
町の名前、やっぱりあのUFO騒ぎがあった町の名よ。やっぱり
ママはあの墜落したUFOの研究をしていたんでしょ? これから
行く研究所というのも、それを調べているところなんでしょ?」
 アンナさんは苦笑混じりに答えた。
「もう少し。本当にもう少しで着くわ。研究所に着いたら、
約束通り全部教えてあげる。でも、それまでは質問は受け付け
られない。これも約束のはずよ」
 アンナさんは母の研究室の助手だが、現在は今向かいつつある
政府直属の研究所に出向中だ。内容的に機密事項があるから、
質問は受け付けない、と厳命されていると何度も言われた。
だが、はやる気持ちは抑えようがない。なにしろ、一ヶ月前に
死亡したと告げられた母が、やはり生きていると言われたのだ。
正常な神経の持ち主なら、黙っていろというのが無理な話だ。

 あの晩、母はたしかに様子がおかしかった。思い詰めたような
顔で、突然わたしにこんなことを言い出したのだ。
「あなたも今年で十九歳。大学も決まったし、もしママが急に
いなくなっても、一人でやっていけるわね。大丈夫。お金の心配は
しなくていい。蓄えは十分にあるし、保険にも入っているし、
それに今なら、国から手厚い補償金が一生涯支払われる。ママも
あなたぐらいの頃にはもう独りだった。あなたが生まれてすぐに
パパがいなくなってからは、あなたを独りでここまで育てた。
ママにできたんだから、あなたにもきっとできるわ」
654Femalien妄想(2/25):2012/03/23(金) 03:24:39.32 ID:lHJJdyjr0
 そう言った母の目はじんわりと潤み始めていた。母は涙を隠す
ようにはベッドルームに飛び込み、中から鍵をかけた。不安に
なったわたしはドアをノックして母を呼んだ。中からは明るい、
あるいは、明るさを装った返事が返ってきた。
「ごめんね。疲れていて、ちょっと気弱になっちゃっただけ。
朝までゆっくり眠らせてね。おやすみ。また明日」
 翌日、母はたしかによく眠ったようなスッキリした顔でわたしに
おはようを言い、朝食を普段よりもしっかりと摂ると、元気に
手を振って家を出た。そして、それきり帰ってこなかった。
夕刻には政府の役人が、母が事故に巻き込まれ、生存は絶望的で、
遺体の発見すら難しい状況にあると告げに来た。書類上は「行方
不明」扱いで、葬儀を出すこともなく、母はわたしの前から
いなくなってしまった。そうしてわたしは、母のいない家で
独りの生活を始めた。
 考えてみれば、母が思い詰めた顔を見せたのはあの晩が初めて
ではなかった。あの、政府から依頼された研究を引き受けてしばらく
してから、母は徐々にふさぎ込み、深刻な顔で悩むことが
多くなった。心配になって話しかけても、「ううん、何でもない」
とか、「お仕事のことでちょっと悩んでいるの。でも今回の仕事には
守秘義務があるから、話せないのよ。いずれ、全部済んだら教えて
あげる」といった返事が返ってくるばかりで、何も打ち明けては
くれないのだった。
655Femalien妄想(3/25):2012/03/23(金) 03:25:10.27 ID:lHJJdyjr0
 心に穴が空いたような日々を送り始めて一ヶ月目、何度か家を
訪れてくれたアンナさんが、母についての知らせを携え、わたしを
迎えに来た。母は生きている。これから面会しに連れて行って
あげる、というのである。わたしは一も二もなくアンナさんの
自動車に同乗し、間もなく研究所に到着するのである。

 研究所は体育館かコンサートホールのような巨大な建造物だった。
大きさの割に造りはぞんざいで、「何か」を囲い込んで急造した
様子だった。
 入念なボディ・チェックを済ませ、地下へのエレベータに乗ると、
ようやくアンナさんは「機密」の中身に触れ始めた。
「約束通り真相を話すわ。といっても、車の中でのあなたの推測は
ほぼ正解なの。
 たしかに一年ほど前、この場所にいわゆるUFOが落下した。
『UFO』というと宇宙人の乗り物、と決めつけるのは世間の
俗説だけど、今回ばかりはその俗説が正しかった。つまり、落下物
は正真正銘、異星人が建造した宇宙船としか思えない物体だったの。
中からは、乗員の死体と思われる干からびた肉塊と、未知の
ハイテクノロジーと思われる複雑な機構が発見された。中でも
政府の目を引いたのは、円盤の動力炉にフリーエネルギーらしき
ものが用いられていることだった。つまり、エネルギー保存則を
乗り越えて、無尽蔵にエネルギーを生み出す方法を、異星人は
発見したらしい。もしそれが解明されれば、エネルギー問題は
一挙に解決する。だけど、その仕組みも、制御法も、どうやって
使うのかすらも、まったく分からなかった。そこで政府は先生、
つまりあなたのお母様と、その助手のわたしを指名し、その解明に
当たらせた」
656Femalien妄想(4/25):2012/03/23(金) 03:25:30.60 ID:lHJJdyjr0
 アンナさんが話す内、エレベータの扉が開き、わたしたちは
広い倉庫のような空間に出た。わたしは思わずあっと声を出した。
破損した空飛ぶ円盤、としか言いようのない巨大な乗り物が中央に
安置されていたからである。
「この円盤をぐるりを回ると入り口がある。もうじき先生にも
会える。ただ、その前にちょっと心の準備をしておいて欲しい」
 意味ありげな前置きをしてから、アンナさんは「先生」つまり
母の話を始めた。
「先生は理論物理学と比較言語学の両方の分野で世界トップクラス
の成果を上げたという、珍しいダブルキャリアの持ち主。それが
今回の指名の理由。つまり先生ならば、あちこちに記載されて
いる異星人の言語を解読して、内部の機械のメカニズムやその
動力機構を解明する、という研究ができるだろうと期待されたの。
 第一ステップの言語の解読は思いのほか滑らかに進んだ。
ところが、その先でわたしたちは壁にぶつかった。つまり、より
詳しい情報にアクセスし、それを操作するためには、異星人向けの
インターフェースを地球人向けに改造しなくてはならない。
しかしそれはとてつもなく困難な作業。異星人はこれらの機械を
自分の神経に直結させて操作し、同時にその内部の情報にアクセス
していたらしいの。つまり、わたしたちが機械を操作するためには、
異星人の神経系が必要になる。でも、干からびたミイラからは
ほとんど何の情報も得られなかった。だからわたしたちは異星人の
神経系を一から再構築せねばならない。でもそれは機械そのものを
再構成するよりも難しい、事実上、それは不可能な課題。
そう判断された」
657Femalien妄想(5/25):2012/03/23(金) 03:26:01.91 ID:lHJJdyjr0
 そう言ってアンナさんは溜息をついた。すでにわたしたちは
UFOの正面へ到着していたが、アンナさんは話を終えるまで
中に入るつもりはないらしく、付近に設置されたベンチにわたしを
誘い、そこに腰を下ろして話を続けた。
「でも、先生は早い時期から、この問題への簡単な解決法を
突き止めていた。つまりそういう場合にどうすればいいかの
マニュアルを解読していたの。
 そのマニュアルにはこうあった――『もしも操作者が
インターフェース不適合に陥った場合、あるいは操作者がもともと
インターフェース不適合の知性体である場合、ナノデバイスの
インストールによってインターフェース適合は復旧、または創出
される』。マニュアルには詳細な図も添えられていて、
『ナノデバイスのインストール』のやり方もはっきりしていた。
そしてそのインストーラーには正常動作を保証するランプが
点灯していた。
 わたしは反対したのだけど、先生は政府にありのままを報告した。
案の定、政府は速やかに結果を出すようにと催促した。つまり、
ナノデバイスとやらを早速誰かにインストールし、その誰かに、
異星人の機械にアクセスさせるように、と要求してきたの。
 先生は悩んだ。一番の懸念事項は、解読したマニュアルの
どこにも、デバイスのアンインストールの方法が書かれていない
ことだった。もちろん、アクセス先のデータベースにその情報が
含まれているかもしれない。でも、そうだとは限らない。一度
それを肉体にインストールしてしまえば、その結果どんな変化が
起きようとも、一生それを身にまとって生きていかなくては
ならない、という可能性も大きかった。
658Femalien妄想(6/25):2012/03/23(金) 03:26:31.07 ID:lHJJdyjr0
 先生は結局、ナノデバイスのインストール以外に、わたしたちが
先に進む道はない、と判断した。わたしは先生に、インストール
するならわたしの肉体に、と申し出た。だけど断られたわ。
言語学も理論物理学も、わたしには先生ほどの知識はないから、
といって。政府の要求はもちろんあったのでしょうけど、先生
自身が異星人のテクノロジーを解明したい、という強い意欲に
燃えていたのね。
 ただ、場合によってはその結果、先生は死んでしまうかも
しれないし、この研究所から一生出られない身になるかも
しれない。そうなれば、先生はあなたを外の世界に独りで
放り出すことになってしまう。先生はそれだけを気にしていた」
 アンナさんはそこで話を切った。わたしは「真相」が
かいま見えたような気がして、アンナさんに問いかけた。
「こういうこと? 母は死んだのではなく、この施設から出られ
ない体になった。当初それは母の死としてわたしに告げられた。
しかし、多分母の意向で、わたしには真相を知らせようという
ことになった――どうかしら?」
 わたしとしては、九割方正しい推測のつもりだった。だが、
アンナさんは悲しげな顔で首を振って言った。
「残念だけど、あなたに告げるべき真相はそんなにわかりやすいもの
ではないし、あなたが思っているほど楽観的なものでもないのよ。
 ……いいわ。いつまでも避け続けるわけにはいかない。これから
あなたに、ありのままの現実を見せることにする。
 言っておくけど、これはあなたにとても大きなショックを与える
はず。それはひょっとしたら、あなたのお母様の死よりも残酷な
事実かもしれない」
659Femalien妄想(7/25):2012/03/23(金) 03:26:50.62 ID:lHJJdyjr0
 悲しげな顔でアンナさんは立ち上がり、わたしを招きながら、
UFOの方へ向かった。UFOの入り口らしき場所には
コンクリート製の小屋が設置され、UFOの入り口を保護して
いるようだった。
 小屋の鉄扉に手をかけたアンナさんは、わたしの覚悟を確かめる
ようにわたしの方を一瞥してから、鉄扉を開け中に入った。
 小屋の奥には大きなガラスの窓が据えられ、その奥にUFOの
内部らしきものが見えた。一面真っ白な壁の部屋に、やはり真っ白な
テーブルや椅子のようなものが配されている。部屋の奥に真っ赤な
ブースのようなものがあり、その他機械の操作パネルのような
ものがあちこちにある。そして、部屋の中央のベッドに、青い
生物が横たわっている。
 生物の体型は人間の女性に似ている。豊かな胸とくびれた腰、
乳房の中央には乳首もついている。だがその顔、首、背中、手足は、
人類よりも両生類か軟体動物を思わせる、ところどころに
黒い斑点が浮かぶ青い皮膚で覆われていた。青い色は腹部や
太ももの内側にくると薄まり、人間の皮膚に似た色になるが、
その部分も人間の皮膚というよりはナメクジか何かの皮膚に似て
いた。腹部の中心線にそって点々と浮かぶ赤黒い斑点が、
不気味さをさらに際だたせていた。
 体毛は一切なく、むき出しの股間からはピンク色の性器が顔を
覗かせている。頭部は前後に長い楕円形のヘルメットをかぶった
ような形で、但しそれがヘルメットではなく頭部そのものである
ことは、その横に人間の耳に似た器官がついていることから明らか
だった。頭の上部から後ろ側にかけて赤いえら穴のような穴が
二列並んでおり、首の後ろ側から額の下のあたりにかけての組織が
細長く盛り上がり、ミミズが貼りついたような外見になっていた。
660Femalien妄想(8/25):2012/03/23(金) 03:27:18.07 ID:lHJJdyjr0
 外形ばかりでなく、その行動も異様だった。
 生物の体には四匹の長細い生き物が絡みついていて、生物は
その内の二匹を手に握っている。
 長細い生き物は、太さ五センチ、長さは四十センチほどで、
肌色のヘビ……あるいは、どうしても連想を禁じ得ないが、
巨大な、包皮に覆われた男性器に似た外観をしている。
 四匹の内、一匹は青い生物の一方の乳首をくわえ込み、小刻みに
揺れている。もう一匹は太ももに巻き付き、先端を脇腹のあたりに
のたくらせている。次の一匹は青黒い生物の左手に握られており、
青い生物はそれを自分の顔の前に運び、固くとがらせた舌で、
その先端を無心になめ続けている。そして最後の一匹を、
青い生物は自分の股間の中央部に押し当て、淫猥としか言えない
仕方でそれをぐるぐると回していた。そして、ゆっくりとその先端
を中央の穴に押し入れ始めた。
 そして、そんなことをしながらも、その目はまるで齧歯類の
ようにきょとんと見開かれているだけで、視線の先は宙空を漂い、
意志とか知性といったものをまるで感じさせなかった。
「……分かる? あなたのお母様よ」
 アンナさんがおかしなことを言い出した。醜怪で淫猥な、
宇宙生物に違いないシロモノを指さして、母だというのだ。
宇宙人の死体以外に、生きた宇宙人がもう一匹いたという大事な
情報を、アンナさんはきっと伝え忘れたのだ。
661Femalien妄想(9/25):2012/03/23(金) 03:27:43.33 ID:lHJJdyjr0
「認めたくないかもしれないけど、あれが今の先生の姿。ドライバ
のインストール後ずうっとあんな様子で、言葉一つ発さなくなって
しまったの」
 アンナさんがさらに訳の分からないことを言う。わたしは率直な
感想を言った。
「たしかに、あの怪生物の顔は母に似ていなくもありません。
……いや、よく似ている。そっくりといってもいい。でも、
ただちょっと似ているだけで同一人物……いえ、『同一怪物』だ
なんて言い出したら、動物分類学も、ID制度も崩壊します。
……あの、だから、怪生物はもういいから、ママに会わせて!」
 最後の方はほとんど悲鳴に近い声になりながら、わたしは
一気にまくし立てた。
 悲しそうな顔でわたしを見ていたアンナさんは答えた。
「残念だけど、わたしたちはちゃんとインストールの過程も
逐一観察している。映像の記録も残っているわ……」
「……み、見せて下さい! 絶対に何かの勘違いだって、
わたしが証明してみせます」
「……いえ、映像を見るのはやめておきましょう。想像以上に
ショックが強すぎたようね。今は……」
「見せて下さい! 今すぐ見せて! 見せてよ!」
 ヒステリックにわめき立てるわたしを見て、アンナさんは
辛そうな様子で席を立ち、映像端末の準備を始めた。間もなく、
壁に設置された大きなディスプレイに、一ヶ月前の日付の入った、
UFO内部の画像が映し出された。
662Femalien妄想(10/25):2012/03/23(金) 03:28:08.54 ID:lHJJdyjr0
 母に間違いない人物が、下着一つつけない全裸の姿で、部屋の
奥の赤いブースのところに立っている。両腕の先はブースの両側に
開けられた穴に差し込まれており、何となくはりつけにされて
いるようだ。
 だが母は、そんなみじめな格好であることを全く感じさせない、
母にしかできない毅然とした表情で、一度目をつぶり、それから
もう一度開いて、何か言葉を発した。同時に、筋肉の動きから
して、指先で何かを操作したらしかった。
 次の瞬間、母の足下の網のような部分から、白い蒸気のような
ものが猛烈な勢いで吹き出し、母に浴びせられ始めた。
 蒸気のような何かの効果は、恐ろしいほど迅速だった。まるで
ペンキを吹き付けているように、母の体表面は青く染まり始め、
腹部には赤い斑点が浮かび始めた。皮膚の変質と共に恥毛や頭髪が
ぱらぱらと抜け落ちて風圧で四散し、同時に頭部の変形も始まった。
 茫然と画面を凝視するわたしに、アンナさんが言った。
「動画を早回ししているわけではないし、塗料みたいなものを
吹き付けているわけでもない。先生の肉体が細胞レベルで変化
しているの。
 先生の予測では、あの蒸気みたいなものはそれ自身が実体なの
ではなく、『ドライバのインストール』の作業の副産物みたいな
ものらしい。先生の表現では、あの機械はその上に立った生物に
『情報を吹き付けて固定させる』のだそうよ。遠隔操作による、
ナノレベルの肉体改造、ということらしい。但し、先生も、
わたしたちも、それがここまで大がかりな、徹底した改造だと
いうことまでは予測できなかった……」
663Femalien妄想(11/25):2012/03/23(金) 03:28:28.67 ID:lHJJdyjr0
 肉体の大きな変化と共に、母の内面にも急激な変化が起きている
のがわかった。徐々に青みを増していく顔からは、当初の毅然と
した力強い表情が消え失せ、怯えと戸惑いの表情を一瞬だけ
かすかに浮かべた後、あの内面のない空虚な怪生物の表情に移行
していった。やがて母は両足を大きく開いた。それはまるで、
自分の性器をあの蒸気みたいなものにさらし、その部分をもっと
もっと徹底的に改造させようとしているみたいだった。
 盛り上がった頭部にはえらのような穴やミミズのような隆起が
生じ、やがてその形状はわたしの目の前にいる「怪生物」と
寸分違わぬものに変わった。頭部だけではない。全身の皮膚も、
その空虚な表情も、「怪生物」とまったく同じだった。母が、
自らの意志で「ドライバのインストール」を受け、この怪生物に
変貌してしまったというのは、今や否定することのできない事実だった。 
 怪生物となってしまった母は、壁に設置されたパネルを操作した。
壁がせり上がり、その中の棚に、長さ三十センチほどの、楕円形の、
肉質の壺のようなものがずらりと並んでいた。母はその一つを
取り出すとその頂部に、数センチに伸びていた真っ青な爪を突き
立てた。破けた穴から、細長いヘビの抜け殻のようなものが外に
飛び出し、それは外気に触れてその太さをむくむくと増大させ、
あの細長い生物に姿を変えた。生物はその後も数匹容器から
這い出し、母の肉体にまとわりついた。母はその一匹を手に取り、
今現在やっているようにその先端をれろれろと舐め始めた。
664Femalien妄想(12/25):2012/03/23(金) 03:28:51.55 ID:lHJJdyjr0
「先生はこの時から今に至るまで、ずっとこういう様子。傍目に
は……はっきり言うと、まるで淫らな自慰行為にふけっている
ように見える。ところが、そうではないらしいことが間接的に
確認されている。つまり、あの細長い生物のようなものは、
先生が予測した『インターフェース』であろうと推測されている。
そして先生の脳波は内部で活発な情報処理が行われていることを
示している。つまり、先生にインストールされたドライバは、
正常に作動し、あの端末を介して何らかの情報処理を行っている
らしいの。ということは、自らにドライバを組み込んでシステムに
アクセスするという先生の計画は、こんな予想外の形でだけれど、
どうやら成功したらしいと見られるのよ。
 但し、それ以上に詳しいことは何も分からない。というのも、
先生がああなってしまってからは、外部の人間がUFOの中に
入ることができなくなってしまったの。目に見えないバリアーの
ようなものが張られて、ガラスやドアを壊すことすらできなく
なって
しまった。だから、間接的な観測しかわたしたちにはできないの」
 言いにくいことまであえて口にしながら、アンナさんはありの
ままの経過を語ってくれた。そしてその冷静な報告は、最後まで
聞いてしまえば、わたしの激しい動揺を和らげた。
 わたしは目をディスプレイからもう一度UFO内部の母に向け
直し、冷厳な現実を直視した。そして、我知らずこみ上げてくる
涙をこらえながら、アンナさんに言った。
665Femalien妄想(13/25):2012/03/23(金) 03:29:14.74 ID:lHJJdyjr0
「アンナさん。ならば、母は、ああいう姿になりながらも、異星人
のテクノロジーを解明するという目的を、ちゃんと果たしている
んですね? わが身を犠牲にして、自分の使命をまっとうしつつ
あるんですね?」
 アンナさんも涙をこらえていたのだろう。わたしのその言葉を
聞くや、どっと涙を流し、わたしの肩を抱きしめながら、言った。
「そう! そうなのよ! 先生は……あなたのお母様は、とても
立派な科学者だということ。あなたはその娘として誇りを持って
いいのよ!」

 わたしとアンナさんはしばらくの間、はらはらと涙を流しながら
抱き合っていた。だがやがてわたしは、重要な点についてまだ
説明を受けていないことに気がつき、アンナさんに尋ねた。
「アンナさん。まだ聞いていないことがあったわ。なぜ、今日に
なってわたしに母の生存が知らされたの? そして、母との面会が
許されたの? ひょっとして、母が何かを言ったの?」
 アンナさんははっとしたような顔で、目を丸くしながら言った。
「そうだったわね。大事なことをすっかり言い忘れていた。
それはね……」
 言い始めてすぐ、アンナさんは言葉を中断してしまった。
そして、首を傾げながら言った。
666Femalien妄想(14/25):2012/03/23(金) 03:31:40.24 ID:lHJJdyjr0
「……昨日。そう。昨日、たしか先生は、あなたをここに連れて
きて欲しい、ということをわたしに告げたの。そうして今朝、
わたしはあなたを迎えるために自動車に乗り、ここを出発した。
……だけどわたし、どうやって先生の言葉を聞いたのかしら? 
先生はどうやってメッセージを伝えたんだったかしら? ……急に
わからなくなってきた。……わたし、昨日から今朝にかけて、
記憶がはっきりしない。気がついたら自動車に乗ってあなたを
迎えに行っていた気がする。……昨夜、何か、とても大事なことが
あったはずなのに、それを思い出せない!」
 頭を抱えて蒼白になったアンナさんの背後で、小屋の扉が開き、
軍服を着た屈強な男が数人、猛烈な勢いで部屋に進入してきた。
男たちはわたしとアンナさんをとり囲み、わたしたちを
羽交い締めにした。
 男たちの様子に何か違和感を感じたわたしは、すぐに何が
おかしいのかを悟った。よく見ると、下半身が丸裸で、そして
性器のあるべき場所にあの「インターフェース」がついていたのだ。
インターフェースの後ろ側の部分が男性の本来の性器をくわえ込んで
癒合しているのだ。見回せば、他の男たちの股間も同じ状態だった。
 やがて、わたしの前に立った男の一人が、どこか懐かしさを
感じる笑顔でわたしを見つめた。そして口を開き、やはり懐かしい
口調でわたしに話しかけた。
「一ヶ月ぶりね。元気そうで何よりだわ」
 野太い男性の声で、顔立ちも見知らぬ他人の男性だが、それにも
かかわらず、口調も、表情も、紛れもなく母のものだった。
667Femalien妄想(15/25):2012/03/23(金) 03:31:58.16 ID:lHJJdyjr0
 男は母の口調のまま続けた。
「一ヶ月かけて、ようやくシステム全体と一体化できたわ。
こうなってしまえば、外部端末の拡張もいくらでもできる。そちらの
アンナさんのおかげで、この研究所の男たち全員、もうわたしの
身体の一部分になっている」
 異常な展開に唖然としていたアンナさんは、話に自分の名が
出てきたのを聞き、「真の語り手」であるはずの、ガラスの向こうの
母に向かって言った。
「先生! 一体何が? そして、わたしは何を? ……わたしに、
何を?」
 アンナさんの視線の先にいる母は、相変わらずインターフェイスを
くわえ、同時に性器の奥深くに挿入した別のインターフェイスを
くねくねと動かしながら、空虚な目で宙空を見つめている。
 アンナさんがそんな母の姿を見つめ、さらに何か言おうとしたとき、
今度はディスプレイ横のスピーカーから母の声が響いた。
「あはは。今ではこの研究所全体が『わたし』なんだから、
わざわざわたしの中枢に向かって話さなくともいいのよ。で、
わたしがあなたに何をしたのか、という質問だったわね。今から
記録映像を流すから、自分で思い出すといいわ。娘にも見える
ように、兵士をどかすわね」
 その言葉と共に、アンナさんを拘束していた兵士がアンナさんを
ひきずって場所を移動した。おかげで兵士によってふさがれて
いたディスプレイがわたしにも見えるようになった。
668Femalien妄想(16/25):2012/03/23(金) 03:32:21.17 ID:lHJJdyjr0
 ディスプレイには、UFO内部に入ったアンナさんと母が映って
いた。カメラとマイクは室内にあるらしく、二人の会話も聞こえた。
「先生! ようやく言葉を取り戻したんですね!」
 興奮気味にそう話しかけるアンナさんに、母は例の無表情な顔
のまま近づいた。同時に、床に散らばっていた数本の
インターフェースが突然跳ね上がってアンナさんにとりつき、
その手足を拘束した。
「せ、先生! 何を?」
 恐慌に陥ったアンナさんの前に立った母は、アンナさんの
白衣のボタンを外し始めた。ボタンがすべて外されると、
インターフェースたちはアンナさんを拘束したまま、巧みに
白衣を脱がせた。それが済むと今度はアンナさんの洋服、
次いで下着を、順々にはぎ取っていった。
 母は人間離れした力でアンナさんを肩に担ぎ、部屋の奥の赤い
ブースへ運んだ。すでに母の狙いを悟ったアンナさんは、拘束された
手足を懸命に動かそうとしながら、絞り出すように母に訴えた。
「いやです! 先生! やめて下さい! ……た、助けて! 
誰か! 助けて!」
 部屋の音は外部に漏れない。母も、何も聞こえないかのように
全裸のアンナさんをブースに運び、インターフェースたちと協力
してその手を壁の穴に差し入れた。それからこう言った。
「あなたには、わたしのような『マスター』ではなく『アクセス
ポイント』になってもらう。頭部の器官が形成されないから、
ちゃんと服を着てお化粧さえすれば、外を出歩くこともできるわ」
669Femalien妄想(17/25):2012/03/23(金) 03:32:45.05 ID:lHJJdyjr0
 言い終えると母はアンナさんから離れた。とたんに蒸気状の
気流が吹きだし、アンナさんの改造を開始した。その皮膚は見る間に
青い粘膜状に変質していった。青い部分の面積は母よりも広く、
また腹部の中心線を走る赤黒い斑点ははっきりした太い線と
なり、肌色の部分をほとんど残さなかった。
 強い恐怖をたたえていたアンナさんの目は急激にとろんと
し始め、恍惚状態へと移行した。それに呼応するように、アンナ
さんもまた両足を大きく広げ、胎内の奥深くへ気流を呼び入れ
ようとし始めた。恥毛はやはりぱらぱらと舞い散ったが、毛髪は
そのまま残された。但し、その色は紫色に変色していた。
 気流が停止したとき、そこにはあの理知的なアンナさんの姿は
なかった。そこにいたのは粘膜状の青い皮膚をもち、うつろな
目のまま立ちつくす異生物だった。
 アンナさんは無言のまま部屋のパネルの一部を操作した。壁の
一部が開き、戸棚のようなものが現れると、アンナさんは中に
あった塗料のようなもので化粧に似た作業を始めた。やがて顔と
手を改造前そっくりの色に染めたアンナさんは、床に散乱した衣類を
身につけた。それから、別のパネルを操作して、あの大量の
インターフェースが収納されている棚を開いた。そして母と二人で
壺のような容器を次々に取り出し、その開口部を開くと、内部の
インターフェースを解き放った。やがて部屋の床がうねうねと
動くインターフェースでいっぱいになると、アンナさんは部屋の
扉を開き、インターフェースたちを伴って部屋を後にした。
670Femalien妄想(18/25):2012/03/23(金) 03:33:07.81 ID:lHJJdyjr0
 記録映像はそこで終わっていた。スピーカーから母の声が
アンナさんに話しかけた。
「こうしてわたしたちは、あなたの肉体を媒介に、昨夜一晩で
研究所内のすべての男性、つまりはあなたとわたし以外のすべての
地球人にインターフェースを融合させ、この研究所を掌握した。
こういうことよ」
 慄然となったアンナさんは、悲鳴をあげるように言った。
「う、嘘よ! 全然記憶がない! わたし、ドライバの
インストールなんて受けていません!」
 アンナさんの前に立っていた男がアンナさんに歩み寄って言った。
「じゃあ、自分で確認なさい。自分自身の体を」
 そう言うと兵士はまず、アンナさんの姿をはっきりわたしに
見せようとするように、わたしの側に向けた。それから兵士は
ブラウスのボタンに手をかけた。アンナさんは必死で抵抗したが、
ボタンは容赦なく外され、やがてブラウスがはぎ取られた。
「ああっ!」
 アンナさんは絶望のうめきを漏らした。はぎ取られた服の下に
あったのは、手先の皮膚以外、すべてあの映像通りの青い皮膚
だったのである。
 男はなおもアンナさんの衣類を脱がせながら言った。
「『アンナさん』には娘のエスコート役と教育係を勤めてもらう
必要があった。で、手っ取り早いのは、端末である肉体に、
改造前の人格をエミュレートさせることだった、というわけよ。
でも、それもそろそろ終わり。不用になったプログラムを
デリートするわ」
671Femalien妄想(19/25):2012/03/23(金) 03:33:33.21 ID:lHJJdyjr0
 それを聞き、その意味を知ったアンナさんは震えながら、
かん高い声で叫んだ。
「いやだ! やめて! エミュレータでもいい! この人格を、
『わたし』を、デリートなんてしないで! お願い! 
おねが……」
 ぶつっと電源を切ったように、アンナさんからすべての表情が
消え、あのうつろな人形めいた顔つきに変わった。人格、あるいは
疑似人格が消去されてしまったのだ。
 だが、しばらくそのまま微動だにしなかったアンナさんの顔に、
再び表情が戻った。
 アンナさんはわたしを見ながら言った。
「さて。色々と芝居がかった演出をしてしまったけど、それも
これも、全部あなたに、なるべく要領よく、そしてバランスよく
情報を伝達するためだったの。『アンナ』の疑似人格は、ちょっと
強引なところもあったけど、見事にその任務をこなしてくれた。
で、そろそろ準備が整ったから、本題に入るわ」
 今度はアンナさんの肉体を通じて母が語っているのだった。
……いや、これが「母」なのかどうかも、わたしには分からなく
なっていた。
 その「母」が続けた。
「わたしが身につけた言語学と物理学の知識は、こうやって
システムの基盤を構築するのにはうってつけだった。だけど、
これからさらなる活動を展開するには、もっとまっさらな脳、
しかも、わたしがその発達過程を熟知している脳を備えた個体に
ドライバをインストールした方がいいと判断した。だからわたしは、
あなたを呼び寄せた。あなたを新しい『マスター』にするために。
以後、わたしはあなたのバックアップになることにするわ」
672Femalien妄想(20/25):2012/03/23(金) 03:34:02.18 ID:lHJJdyjr0
 「母」の説明が終わると、男たちとアンナさんはわたしの服を
脱がせ始めた。抵抗など無駄だと分かりつつも、わたしは必死で
あらがった。
 やがて生まれたままの姿にされてしまったわたしを、男たちは
わたしをUFO室内へと連行し、例のブースの中へと運び入れ、
そしてわたしの腕を掴むと、手の先を壁の穴に差し入れた。
穴の内部で、ぬらぬらした何かが手を取り囲んだ。そして
いくら必死に抜こうとしても、腕を抜くことはできなくなった。
 男たちが部屋を出て行き、運命の時が刻々と迫る中、わたしは、
部屋の中央でインターフェースたちと戯れているようにしか
見えない、母だったはずの生物に話しかけた。
「ねえ、ママ。『教育』はまだ全部終わっていないはずよ。ママが
わたしに何をさせようとしているのか。改造後、わたしが何を
したらいいのか。まだわたしは聞いていない」
 青い生物は、依然として空虚な目で男性器様の物体をもてあそび
ながら、しかし声だけははっきりと返事をした。
「大丈夫。言われなくともその情報の伝達は行うつもりだったわ。
 この研究所はすでに、核攻撃にももちこたえられるバリアで
保護されている。今後、円盤のフリーエネルギーを使って円盤を
複製してあちこちに飛ばし、似たような隔離地域を地球中に
作り出す。そして、その中の人類をすべて端末に改造する。
そうして隔離地域の数と広さを増していき、やがては地球人類の
すべてを端末化する。
 多分他に、端末たちのデザインもっと目立たないものに変えた
上で、隔離地域の外にも端末たちを紛れ込ませ、社会全体に
浸透させていく作業も必要でしょうね」
673Femalien妄想(21/25):2012/03/23(金) 03:34:28.57 ID:lHJJdyjr0
 わたしは問い返した。
「そうやって人類を支配して、その先には何があるの?」
 「母」は答えた。
「円盤を製造できる限り多数製造する。地球の資源が尽きるまでね。
そうしてその円盤にインストーラーを搭載して、宇宙全体に
ばらまく。それがわたしたちの目的よ」
 わたしは愕然として問いかけた。
「それだけ? そのためだけに、地球人類全員をあなたの……そして
わたしの手足に改造するというの? 地球資源を枯渇させてまで
円盤を製造して、それをただばらまくだけが目的?」
 「母」の目的は明らかに地球の侵略だ。フリーエネルギーを
餌に地球人にドライバをインストールし、地球侵略の道具へと
改造する。そんな策略をめぐらせていたのだ。
 だが、「侵略」はしばしば特殊な形態の文化交流でありうる。
わたしは、地球侵略の結果、宇宙人の高次の文明が地球にもたら
されるならば、それは決して否定的なことに尽きるわけではない
のではないか、といった柔軟な考え方も受けいれる準備があった。
 だが、「母」の話はそんなわたしの予想をはるかに超える、
想像を絶したものだった。地球を侵略して、他の星を侵略するため
だけの円盤を製造する。その円盤もまた他の星を侵略し、新たな
円盤を宇宙にばらまく――いったい、そんなことに何の意味があるのか?
「わからない。わたしには分からないわ! なぜ、何のために……」
674Femalien妄想(22/25):2012/03/23(金) 03:35:01.18 ID:lHJJdyjr0
 「母」は諭すような口調で言った。
「花がなぜ咲いて種を残すのか。蝶々がなぜ交尾して卵を産むのか。
そこにあなたが想像するような『なぜ』も『何のために』もない。
そうやって生まれた種もまた新たな種を残し、卵から生まれた
蝶々も新しい卵を産む。その無限の連鎖があるだけ。地球人類は
これから、円盤を製造し、それを宇宙にばらまくような生命形態
へと進化する。それだけのこと。あなたももうじき、それを当然の
こととして認め、何の疑問も抱かないようになるわ」
 その言葉と共に、足下から放射された気流がわたしの全身に
吹き付けられた。もう心には嫌悪と抵抗感しか残らず、わたしは
大声で叫んだ。
「ああっ! いやだぁ! いや! ママ! やめて! お願い!」
 「母」はもう何も言わず、わたしの声など届かないかのように
無心にインターフェースをまさぐり続けるのみだった。
 白い気流はわたしの足や腕の皮膚を見る見るうちに、黒い斑点に
覆われた青い粘膜へと変質させた。わたしのお腹には赤と黒の
斑点が浮かび、最終的にはお腹の中心線に沿って、極東に棲息する
アカハライモリのような模様が形成された。爪も真っ青になり、
かぎ爪のように鋭く伸びた。恥毛と頭髪がばらばらと抜け、
風圧で周囲に散らばった。
 皮膚の変質はわたしに性的快感を強要した。猛烈な刺激がわたし
の性器を濡らし、わたしは堪えられずに両足を開いた。
ナノ改造操作が開かれた陰部を直撃し、さらに空気のかたまりが
膣口をこじ開け、子宮の内部へ押し入っていった。
「んんんんふ。くうっ! はああああぁぁぁぁぁん!」
675Femalien妄想(23/25):2012/03/23(金) 03:35:23.21 ID:lHJJdyjr0
 母やアンナさんにとってどうだったのかはわからないが、
この装置はわたしに、わたしがほとんど体験したことのない
深いオーガズムを与え、「快楽に溺れる」というのがどういう経験
なのかを、わたしは克明に知らされた。
 頭髪が抜け落ちると共に、あのヘルメット状の器官が形成され
始めたのを感じた。その影響は何よりもわたしの意識状態を
直撃した。最初に、自分の意識がとめどもなく拡張していく
感覚がわたしを襲った。「わたし」はこの肉体からこの円盤全体へ、
やがてこの研究所全体へと拡大した。
 続いて、今やわたし自身の内部に存在する様々な個体の情報が
意識に流れ込んだ。最初は母、続いてアンナさん。それから
その他の男たち。それらの人生の履歴すべてが、今やわたし自身が
随時アクセスできる「わたし」の一部だった。
 やがて意識の拡張は、まるで地面に深く深く穿った杭がマグマの
層に行き当たるように、この円盤が侵略の連鎖を続けてきた、
過去の星々の記憶の層に達した。猛烈な勢いで何十億年もの星々の
記憶がわたしの脳に流れ込み、わたしの脳の中心に陣取った。

 それが改造の終了だった。
 わたしは今や母と同じに、円盤の製造とその拡散が自分の唯一の、
そして至上の目的であることをとても自然に受けいれることが
できた。そして今、この場でわたしがすべきことを悟った。
 「わたし」の全体はいまやこの研究所全体であり、それはここに
属するすべての知性体の脳を共有しながら地球侵略の計画を練り、
それを実行に移している。一方、今この部屋にいるわたしは、
それらを統括する中心点である。それはもう、真の「わたし」の
全体の中のごく微小な部分、「わたし」全体の膨大な情報を集約し
また分散させるための交換器のようなものでしかない。
 そして、そんなわたしがこの部屋ですべきことはただ一つだ。
676Femalien妄想(24/25):2012/03/23(金) 03:35:46.79 ID:lHJJdyjr0
 わたしは期待に胸を膨らませ、母の足に絡みついている
インターフェースをはずし、その先端に唇を当てた。期待どおり、
強烈なエクスタシーがわたしを貫いた。
 続いてわたしは壁のパネルを操作し、新たなインターフェースの
ケースを取り出すと、数本のインターフェースを解放した。
そしてその内の一本をはやる気持ちで膣に押し当て、ひと思いに
挿入した。びくんびくんという痙攣と共に、至上の興奮が脳を
つき受けた。
 そのとき、わたしは思い出した。目の前の母の肉体は
バックアップのために残されているのだ。
 わたしは自分の膣に挿入されているインターフェースの一方の
端と、母の膣に挿入されているそれの末端とを接合させてみた。
二つの先端の組織は癒合し、一本のインターフェースに変じた。
 わたしは母の肉体の上にのしかかり、ゆっくりと腰を動かしてみた。
 わたし自身の性的快感と共に、母の脳に生じた性的快感がわたしの
脳に流れ込み、また同時に母の脳にも同じ情報が流れ込み、
二つの快感は相互に共鳴し増幅されて二つの脳を刺激した。
 わたしは母の肉体を自分の肉体と同じように操作できた。
だからわたしは横たわり、今度は母の肉体の腰を動かしてみた。
どすんどすんと太い棒が子宮の奥に突き当たり、快感がほとばしった。
「はあああああん。ママぁ! ママぁ! 会いたかったよう」
 幼児に戻ったように、わたしはそう叫んだ。そして、侵略が
すすめば、こうやって快楽を分有する個体も数が増える、
ということに思い至った。
677Femalien妄想(25/25):2012/03/23(金) 03:36:06.56 ID:lHJJdyjr0
 まずは、アンナさんの任務が一段落したらこの部屋に呼んで仲間に
加えよう。手の空いている男たちも呼び寄せよう。侵略が進んだら、
もっともっと大勢の肉体でそういうことをしよう。
 ――そんな狂おしいほど魅力的なビジョンを心に描いたわたしは、
拡張した「わたし」が地球制圧をするそう遠くない未来を、
心から待ち望むのだった。(了)