「ドラゴンランス」シリーズの主人公・タニス(作家のタニス・リーのパロディと思われる)は
ヒューマン(人間)とエルフ(妖精)の間に生まれたハーフエルフと呼ばれる種族だった。
たまたま生まれが良かったために不遇の身にはならなかったものの、
ハーフエルフの現実は過酷なものであり、基本的に両方の種族から忌み嫌われる存在だった。
彼は両種族の対立にはうんざりしており、差別や偏見に苦しめられる弱者の気持ちに立ってものを考えるのを常に心がけている。
彼自身も、どちらの種族にも特徴を気付かれないよう日頃身なりに注意している。
(エルフは種族の体質上ヒゲを生やさないため、わざと顎鬚を伸ばしている)
序盤の頃、旅の仲間であるヒューマンのリバーウィンドが何気なく発した差別的発言
(「ハーフエルフという呼び名はあるのに、なぜハーフマンという呼び名はないのだろうか?」)
にタニスは怒り心頭に来たが、パーティーの雰囲気を悪くしたくないため敢えてその言葉を聞かない振りをする。
タニスの一行は他でもない「寄せ集め」のため対立が絶えないが、
彼らのそれぞれが目当てとする名声や報酬は「巨悪に立ち向かう」という一大目的の下に集約され、
その達成ために互いが手を貸し合って戦う関係が成立していった。
仲も良くなければ、差別意識と偏見ばかり抱いている集団がなぜ一緒に協力して戦えるのか?
物語はその疑問点を丁寧に描写し、強い説得力を持たせている。
…今年の彼らは「戦隊という番組だから」というもっともらしい理由で戦っているようにしか見えない。
(ドラゴンランスも原作はゲームだが、ゲームの人気にあぐらをかかず、むしろテコ入れする目的で作られた作品のため
今年の戦隊とは姿勢が根本からして違うのだけは確かと言えるだろう…)