特撮板住人から見放されたディケイドを創り直すスレ

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139?の世界@
「新しい世界か…」
 言って士は子供達の集っているゲームセンターを見る。そこで一際人気の筐体は…ガンバライド。どうやらこの世界での仮面ライダーは、ゲームの中の存在らしい。
 この世界でこそ自分は何をすれば良いのか。そう考えながら、士は夏海、ユウスケと共に写真館へ帰る。その道中、三人とすれ違った長髪の青年。彼もまた、そのゲームセンターへ入っていった。
 先ほどまでガンバライドで遊んでいた子供達が揃って店員に詰め寄っている。どうも筐体が突然故障したようだ。
「ふうん…正義のヒーロー同士を戦わせて楽しむとは、この世界の子供も荒んでるねえ」
 しかし、と長髪の青年は思った。この正義のヒーローを自分の味方につけ、子供達を襲わせれば…
「くく…不幸だろうね。スイッチオーバー!」
 青年は真の姿「サウラー」の姿を現し、ガンバライドの筐体へダイヤを突き刺す。直後、筐体は巨大なモンスターへ変貌した。
 巨大化した電源コードを鞭のように操り、街を破壊するモンスター。
「よし、子供達を不幸に追い込め。『仮面ライダー』を実体化させるのだ!」
 胸の巨大ディスプレイに仮面ライダーの映像が映り、それが三次元へ召喚される、かと思われたが、モンスター=ナケワメーケはその場で膝を折ってしまう。
 考えてみれば、素体のガンバライド筐体は故障したもの。仮面ライダーを操る力は失われていたのだ。ウェスター並の凡ミスに愕然とするサウラー。そこへ士が戻ってきた。
「ライダーがゲームのキャラでもバケモンはいるってか…変身!」
 アタックライド・スラッシュを発動し、ディケイドは敵の電源コードをライドブッカーで寸断する。しかしサウラーは不敵に笑む。
「君が仮面ライダーか。カードで力を発揮する。そして故障した筐体…ナケワメーケ!奴の力を奪え!」
 サウラーに応じ、ナケワメーケは
「タダイマヨミコミデキマセン!」
 という叫びと共に、ディケイドへ光線を浴びせる。大したダメージでもなかったため、戦闘を続行するディケイド。ファイナルアタックライドを装填し、ディメンションキックを繰り出した。
 だが、ディケイドが蹴り破ってゆくカードが途中で消滅してしまう。
140?の世界A:2009/12/05(土) 19:26:08 ID:In+Yhem6O
 これは、ネガの世界と同じ現象だ。だが士は今回、この世界に永住したいなどと思ってはいないはず。なのになぜ?
「ち…スピードで勝負だ!」
 ディケイドのままでは戦えないと踏んだ士は、カメンライド・カブトを装填。しかし、姿はディケイドのままだ。
「カードの機能が止められた…だと?」
「そういう事だね。コイツの素体がカードを読み込めないから、それを利用して君からもカードを読み込む機能を奪わせてもらった」
 モンスターの肩の上で笑う長髪の優男が憎い。せめて奴だけでも、とライドブッカーガンモードの銃口を向けるが、モンスターの光線がディケイドを再び直撃する。
 ついに今あるカードも読み込み不可へ陥り、変身が解除されてしまった。そこへ海東が現れる。
「やあ士、不思議な事に僕のカードが読み込めなくなった。変身できないんだ」
 コイツもか、と焦る士。そんな彼とナケワメーケの間に海東は立ち、士の手を握る。
「士、僕と一緒に死のう!」
「嫌だよ離せ!」
 言ってる間にナケワメーケが目から電撃を放つ。直撃は免れたものの、爆風に弾き飛ばされる二人。
「くく、無様だね仮面ライダー。この世界での君達は、単に子供の玩具。仲間同士戦わされて遊ばれているのさ」
 その言葉が士に突き刺さる。力に溺れて多くのライダーを葬ってきた自分は、刺激を求める子供の玩具と同様。
「単に君自身が戦いたいだけ…他の仮面ライダーを踏みつけて自分の強さを誇りたいだけの、子供じみた下らないプライドさ!」
 言い返せない。カードが無ければ力も発揮できない。その時、ナケワメーケの前に一人の男が立ち塞がった。
「待て、俺が相手だ!変身!」
 ユウスケだ!仮面ライダークウガへ変身し、ナケワメーケの顔面にパンチを入れる。
「く、やれ!」
 再びカード読み込み不可光線を見舞うナケワメーケ。だが、そもそもカードなど使わずに戦力を発揮できるクウガにその武器は意味をなさなかった。
「士に仮面ライダーの資格があるなら、カードが一枚も無くたってお前を倒すのが筋ってもんなんだろうけど…今回は俺が代わる」
 そうナケワメーケに告げるクウガ。
141?の世界B:2009/12/05(土) 19:48:37 ID:In+Yhem6O
「ふん、どうやら僕の指摘は間違っていなかったようじゃないか。彼は…」
「そうだ」
 クウガ=ユウスケは今までになく強い口調。
「士は破壊者だ。色々なライダーがアイツの犠牲になった。だから今、皆の笑顔を奪ってるお前を倒し、罪を少しでも償おうとしてるんだ」
 タイタンフォームへ超変身し、ナケワメーケの電撃に耐えながら士を振り向くクウガ。
「士、一つ一つ、やり直していけば良いだろ」
 そうね、という凛とした声が響き、ナケワメーケの背後に赤い閃光が走った。閃光はそのままナケワメーケに蹴りを入れ、電撃を中断させる。
 ナケワメーケから落下したサウラーが、忌々しげに閃光の主を見る。
「イース…」
 少女の姿は北欧のワルキューレに似ていた。着地した少女の周囲に、嵐が生じる。
「プリキュア・ハピネスハリケーン!」
 清々しい力に形成された嵐は勢いを増し、ナケワメーケの全身を包み込む。
「今よ!」
「ああ!」
 少女が何者かはこの際どうでもいい。クウガはマイティフォームへ戻り、跳躍から回転、雄叫びと共に右足をナケワメーケへ叩き込む。
 幸せのラプソディーと封印の力に耐えきれず、ナケワメーケは四散した。
 いつの間にかサウラーは姿を消していた。少女は赤い鍵を手に、クウガと士へ微笑む。
「どうか旅先でも、皆の笑顔を、皆の幸せを守って。そして罪を償って。私も精一杯頑張るから」
 鍵から生じた閃光に包まれ、少女は姿を消した。その微笑みに、どこか業を背負っている印象を受けるユウスケだった。

 写真館。士も海東もカードの機能は回復していた。しかし、カードを奪ってしまえば何の力も出せない、とユウスケは学習した。
 別に悪用する気はないが、ライバルの弱味を握れたのが嬉しい。
 その時、またもロールが落ち、新たな世界へ突入した事を一同に教えた。
 二人の筋肉質な男が互いを見つめ合っている図。士は呟いた。
「大坊の世界か…」

終わり。