「……はぁ。やっぱり来るんじゃなかった……。」
正直に言って、私はここへ来たことに後悔をしていた。
学校からの帰り道、塾に遅れそうだった私はいつもは通らない道を通って家へ帰っていた。
街灯がポツンポツンとだけあり、辺りは薄暗い。
家々も遠い森の中だ。
普段は気味が悪いので通らないが、この森を通るだけで家に帰るまでの時間が15分は縮まる。
塾の先生はとても怖く、下手をすれば女の私でも竹刀で殴られるのだ。
ここを通らない訳にはいかなかった。
でも。
「シャァァァァッ!」
いきなり女の人が奇声をあげながら目の前に現れた。
「危ないっ!!!」
とっさに急ブレーキをかけ、なんとか女の人にぶつからずにはすんだけど、
勢い良く自転車を漕いでいた私は急ブレーキをかけたせいで自転車ごと倒れてしまった。
「痛っ……あっ、危ないじゃない!?急に出てくるなんて……」
「ごめんなさいね、私も急いでいたので。……ってあら、あなたが目的のニンゲンね。」
「目的のニンゲン…………?何言ってるんですか?」
女が発した言葉に私は疑問を抱き、自転車を立て直すのも忘れて女に質問をしていた。
「うん……体も良さそうだし、何よりも純粋なのがいいわ。」
「…………?」
「よしっ、あなた、私についてきなさい。今からあなたを私の従順な僕にしてあげるわ。」
女の言葉、話を聞けば聞くほど彼女がイカれてるとしか私は思えなくなってきた。
もうこれ以上話していると時間がない。
「いえ、お断りします。」
私は急いで自転車を立てて家へ帰ろうとした。
しかし、自転車はいくら力を入れても動かない。
今まで女のほうに気をとられて自転車の方を全く見ていなかったけれど、
見れば、自転車には何かナメクジみたいなものがくっついていた。
そして自転車は私の上に乗るように倒れているので結果として私は全く身動きの取れない状態になってしまった。
「残念。私があなたを逃がすと思う?」
その言葉を聞いた途端、女は鼻と口に何かを当てた。
そして私の意識は暗い底へと墜ちていった。
「……ん?ここは?」
見た感じ、病院という気がした。
しかし、辺りを見回してみると、よく分からない機械や何かの形に模したノズル、
挙句の果てには発光トカゲや巨大イカなどの生物までいた。
そして、私は拘束されていることに気がついた。
洋服は脱がされて、生まれたままの状態になっている。
しばらく逃げ出そうともがいてみたが、手足の枷はぬるぬるするものの、がっちりと手足を絞めつけていて、
逃げ出すことはできなかった。
そうこうしているうちにさっきの気味悪い女が部屋に入ってきた。
手にはナメクジみたいなものを持っている。
「活きのいい女の子ね。やっぱり私の部下にぴったりよ。」
女はそう言うと、手に持ったものを私の大事な場所へあてがった。
ぬるりとしたその感触で私の口からは思わず
「ひゃっ!なっ、何すんの!?」
と言った叫びと言葉が出ていた。
女は平然とした様子で
「何って、これからあなたを私の部下に改造するのよ。別に痛くは無いわ。ただ、とってもキモチイイわよ。」
と言った。
改造?そんなことテレビの中、しかも特撮番組の中だけじゃないの?
私の頭の中にはそんなハテナマークがいっぱい浮かんでいた。
だけど少しだけ分かるのはそんなことは普通じゃないってこと。
それと、家族の元へは二度と帰れないということだった。
「いやっ!やめてよっ!私、改造なんかされたくないぃ!!!」
私は精いっぱいの力を込めて何とか逃げようとしたが、ナメクジが大事なところから少し離れただけだった。
「あらあら、この拘束から逃げるのは無理よ。おとなしく観念して改造されなさい。」
必死の思いで逃げた数センチを女とナメクジは軽々と詰めてしまった。
そして、私の思いもむなしく、女はナメクジを私の大事な場所へ入れた。
「いやぁあぁぁあぁっ!!!気持ち悪い!!出してっ!出してぇっ!!!」
私はめちゃめちゃに動いて何とかこのナメクジを出そうと思ったが、そのぬめぬめする体液で
ナメクジは更に私の体の奥の方、子供ができる大事な場所へと入っていく。
「うぅっ!きっ、きもちっワルイ!あっ!」
どんどん私の体内をナメクジは這いまわっていく。
そのうちに、ナメクジのぬめぬめしたものをだんだんと気持ちよく感じ始めた。
ナメクジが私の中の皮膚を擦って奥へ入っていく……
「ッ!あんっ!やっ、やめっ!きもっちっ、あふっ!わるいっんだからっ!!」
「無理はしなくていいのよ。だってキモチイイんでしょう?だったらその欲望のままによがっちゃいなさいよ。」
私の中で精一杯の抵抗はしているけど、確かに女の言う通りだった。
このナメクジが通ったところがうずうずして仕方がない。
ナメクジに……もっと擦って欲しい……。
でも欲望のままにするということは即ち改造されるということ。
私の心は理性と欲望の狭間で揺れていた。
イイ……すごく……キモチイイ……。
でも!ここで……心を許したら……改造されちゃうの!
だけど改造なんてどうでもいいから……ダメ……だって!
ダメ……だ……め…………イイ……キモチイイ……。
「あっ、あんっ!キモチっイイ!きもちいいのぉ!!」
欲望に身を任せた瞬間、今まで残っていた理性は完全に吹っ飛び、キモチイイという感情しかなくなった。
そして私の中のナメクジは子供ができる場所へとへばりつき、粘膜を通して何かを私の中に流し入れ始めた。
その途端、私の皮膚は徐々に湿り気を帯び始めた。
かかとはピンヒールみたいな形に変化して、頭には触角みたいなものが伸びてきた。
私はそんなことも気にしないでただキモチイイのを感じていた。
「やっとナノマシンが入り始めたわね。」
そう女が言うのも全く聞いていなかった。
数時間が経った後、ほぼ私の体の変化が終わった。
これで私の改造は終わりだ。
女――千夏様が私のところへ寄ってきた。
「これであなたも私の部下ね。これからよろしく。」
「はい、よろしくお願いします、千夏様。」
そう言えば、千夏様に自分の名前を名乗っていないことに気付いた私は、慌ててこう付け加えた。
「私の名前は紗希です。どうぞ、ご自由に私をお使いください。」