【ワンダバST】痛すぎる特撮サイト【假特隊】6
おじさんの言葉は、シンイチの想像の枠をはるかに超えていた。
ウルトラマンなんて、テレビの世界のお話じゃないか。
だから光の国だって、本当はないんだってことくらい、3年生になれば誰だって知っている。
でも、おじさんがみせてくれたあの手品の数々が、そういうのもありえるのかも、と
シンイチに思わせていた。
「じゃ……じゃあ、おじさんはウルトラマンなの? おじさんはウルトラマンに変身できるの? 」
シンイチが思わずたたみかけると、おじさんは笑顔のまま「うーん」と声に出して困った顔をした。
「僕はテレビのウルトラマンにはなれないな。変身もできないんだ」
「なぁんだ……」
シンイチは、がっかりしたような、安心したような、ふしぎな気持ちになった。
「シンイチ君が信じてくれなくても、信じてくれても、どっちでもいい。
僕は光の国からやってきたんだ。空のかなた、光の国から、とても大事な人と二人でね」
「信じるよ! 僕信じる! 」
信じても信じなくてもいい、おじさんのその言葉が、シンイチには踏絵のように思えた。
今、このおじさんの途方もない話を信じるかどうかが
おじさんが見せてくれた手品を、現実のできごととしてみとめたことにできるか。
そこを、試されている感覚だった。
もしも、いま目の前のおじさんの話を笑い飛ばしたら
あのとき感じた「夢」のような感覚を、二度と味わえないんじゃないか。
いや、どっちでもいいって言ってくれてるけど、もし僕がおじさんの話を信じてあげないと
きっと、自分もおじさんも、大切なものをまたなくしちゃうんじゃないかって
そのときシンイチは感じたのだった。