【ワンダバST】痛すぎる特撮サイト【假特隊】6
それはもちろん、シンイチの目にはあの手品が、とてもいつもテレビで見る手品などと同じではなく
本当の魔法だよと言われれば、素直に信じられてしまうものだったからだ。
「おじさん、もっと大事なことって、どんなこと?」
「それはね……」おじさんは空を見上げた。「本当に大事な人を守るためだったり
故郷へ帰るためだったり、そういうことに使うんだよ」
シンイチはそれを聞いて驚いた。
じゃあ……だったら……。
「だったらダメじゃないかおじさん! いつもみたいに手品を見せていたら
おじさんが故郷へ帰る分が、なくなっちゃうじゃないか! 」
いきなりシンイチが、生真面目な表情で声を荒げたため、おじさんは一瞬は驚いたが
すぐさま笑い、シンイチの頭をなで、また笑った。
「シンイチ君は頭がいいなぁ! きっと学校の成績も良いんだろうね」
笑い事じゃないじゃないか。シンイチはおじさんの手を振り払おうとした。
しかしおじさんは、そのままシンイチの頭をくしゃくしゃなでつづけた。
「心配しなくてもいいんだよ、シンイチ君。
僕にはもう、君と出会ったあの瞬間には、故郷へ帰るだけの力は残っていなかったんだ」
「……え? 」
「さっき言ったろう? 大事な人を助けられなかったって。
結果として僕はあの人を助けてあげることはできなかったけど
でも、僕なりに必死に、あの人を助けようとがんばったんだ。
シンイチ君だって、もしも大事なママやパパが大変なことになったら
じぶんにできるかぎり、必死にがんばるだろう? 」