【ワンダバST】痛すぎる特撮サイト【假特隊】6

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464名無しより愛をこめて
次の日の夕方も、シンイチとショウゾウはママといっしょにおじさんの手品を楽しんだ。
今度はおじさんは、まだ子どもの野良犬をあやして
その野良犬にいろんな動物の鳴き声を出させて操ってみせた。
象、猫、猿、どんな動物の名前がリクエストされても
おじさんがちょいちょいと仔犬の鼻を撫でると、仔犬の口からはその動物の鳴き声が出た。

「すごいすごい! 」

まったくママは「すごい」しか言わないんだな。
シンイチはおじさんの手品に魅入られつつも、ママのそんな反応に肩をすくめていた。
今日は、噂を聞きつけたどこかの大学の、手品研究会のお兄さんも来ていて
しきりにおじさんの手品を観察しながら
「これは高度だぞ」「こんな見せ方は今まで見たことがない」などなど
一人でぶつぶつ呟いては、感心し続けて帰っていった。



「本当、あのおじさんすごいね! 」

その日の夕方の帰り道、ママはまるで子どもみたいな口調でシンイチに話しかけた。

「シンイチは手品好き? 」

「うん、大好きになったよ」

「いいよねぇ。あそこの川原で手品見せてもらってる時間、まるで夢みたいだもんね」

夢か……。
シンイチはその言葉の意味を、夜に眠ってる間に見る夢のことだと受け取った。
そうだね、ふわふわしていて、本当っぽくなくて
終わるとすとんと地面に降りる感覚があって
本当に夢みたいだ、シンイチはそんな風にママの言葉を反芻した。