仮面ライダー剣アンチスレ

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285名無しより愛をこめて
今日はあたしがおにーちゃんにご飯作ってあげる!」
土曜日も終わりに近づく頃。傾きかけた夕日を背に、樹花はすでに
愛用のハートエプロンも三角巾も装備して、笑顔で言い放った。右
手にノート、左手には買い出してきた材料の入った袋。瞳にはキラ
キラと、初めてのお使いに出る子供のような輝き。例え今日の夕飯
の献立が既に決まっていて、更にその材料が冷蔵庫の中で一部下ご
しらえを終え、その出番を今か今かとまっていたとしても、愛しい
妹のその姿の前では無価値に等しい。本当に大切なものを、見失っ
てはならないとおばあちゃんも云っていた。
286名無しより愛をこめて:2009/04/19(日) 04:03:46 ID:gUpEcwcs0
「はいっあーん」
本日のメニューはオムライス……らしきもの、とグリーンサラダに
オニオンスープ。
チキンライスは若干炒めすぎで、肝心の卵に至っては完全に焦げて
いる。焼く際に破れた箇所はケチャップで描かれたハートによって
誤魔化されている、が。
「おいしい?」
まずいはずがないのだ。
287名無しより愛をこめて:2009/04/19(日) 04:04:40 ID:gUpEcwcs0
がっしゃんがっしゃん音を立てながら、それでも楽しそうに作られ
た料理達は、技法的にはまだまだだがそれでも練習をしたのだろう
。きちんと卵を泡立てる際の注意点などの基本は抑えられている。
総司が作るそれには及ばないものの、普段使われている隠し味もい
くつかは見抜いて使用するなど試行錯誤の末の一品だ。あとは慣れ
の問題だろう。
「ああ…だがまだまだ、発展途上だな」
台所の惨状にはあえて触れまい。総司の手にかかれば一時間もすれ
ば元に戻る。
「ん〜〜〜料理の道はきびっしー!」
そういいながらも、樹花は楽しそうに自分の分の料理を口にした。
288名無しより愛をこめて:2009/04/19(日) 04:06:15 ID:gUpEcwcs0
テーブルの上が綺麗に片付いた後、総司に「そのまま待機!」と告
げた樹花は一人パタパタとスリッパを鳴らして台所に引っ込んだ。
「次はデザートでーす!」
「デザートまであるのか」
もちろん、と明るい声で答え、ひょいと再登場する。
「じゃーんっ」
 片手にプリン・ア・ラ・モード。もう片手にスプーン。そしてそ
れを運ぶ樹花の姿は――
「……こっちがメインディッシュじゃないのか?」
 いわゆる、裸エプロンと呼ばれるそれで。
 ふふふー、といたずらっこのように笑いながらテーブルにプリン
を置く。