仮面ライダーバトルロワイヤル THE NEXT Version.7
当スレッドは、「仮面ライダーシリーズに登場するキャラクターでバトルロワイヤルをしてみよう」という趣旨のSSスレです。
企画の性質上、登場人物が敗北・死亡する描写や、残酷な表現が含まれています。
また、二次創作という性質上、本編のネタバレを多く含んでいます。
閲覧の際は、その点をご理解の上でお願いします。
企画の性質を鑑み、このスレはsage進行でお願いします。
また、このスレの話題を他のスレに持ち込んだりしないでください。
■作品の投下と進行について
予約なしでも投下は可能ですが、予約をする場合は、投下までの期限は一週間となります。
申請により、三日間の延長が可能です。
投下後、作品に明らかな問題があると判断されたときは、NG(修正・破棄)が発議されることがあります。
NG発議をする人はレス一行目にそのことを明記し、発議の理由を具体的に述べた上で
以下の議論スレへの誘導を行ってください。
http://riders.sphere.sc/rb/test/read.cgi/rnext/1210423244/l50 ただしNGを発議出来るのは、以下の条件を満たすときに限ります。
1:文章そのものが小説の体をなしていない(日本語として意味が通らない・台本形式等)
2:作品の中に矛盾がある、時間の進行が明らかにおかしい、重要な出来事の描写がない、状態表と本文が一致しないなど、内容的な不備がある
3:原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている
4:前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている(死んだキャラが普通に登場している等)
5:全体のバランスをこわしかねない展開やアイテムが含まれている(ただし、あらかじめ相談の上、住人や他書き手の承認を受けている場合を除きます)
6:企画の基本的なルールを逸脱している場合(予約されているキャラを別の書き手が投下、参加者の追加、制限の無視等)
以上の条件を満たさないNG発議は無効です。
「贔屓キャラが死んだ」「先の構想が潰された」などの主観的な不満は愚痴に過ぎません。
毒吐きスレで存分に吐き出してすっきりしてください。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1182007206/ 投下ルールについて、詳しくは、以下のページを参照してください。
http://www8.atwiki.jp/rnext/pages/36.html
■参加者名簿■
主催者 村上峡児
【初代】2/4
●本郷猛/●一文字隼人/○死神博士/○ゾル大佐
【アマゾン】2/4
○山本大介/●モグラ獣人/○十面鬼ゴルゴス/●立花藤兵衛
【クウガ】4/5
○五代雄介/●一条薫/○ゴ・ガドル・バ/○ゴ・バダー・バ/○ン・ダグバ・ゼバ
【アギト】4/5
○葦原涼/○風谷真魚/○北條透/●水城史朗/○風のエル
【龍騎】4/5
○城戸真司/○東條悟/○香川英行/○手塚海之/●芝浦淳
【555】5/5
○木場勇治/○長田結花/○海堂直也/○北崎/○澤田亜希
【ブレイド】4/5
●剣崎一真/○橘朔也/○金居/○城光/○志村純一
【響鬼】4/4
○日高仁志/○桐矢京介/○和泉伊織/○歌舞鬼
【カブト】4/5
●天道総司/○影山瞬/○乃木怜治/○加賀美新/○風間大介
【電王】3/5
●モモタロス/○ハナ/○桜井侑斗/●デネブ/○牙王
【FIRST・NEXT】4/5
●本郷猛/○一文字隼人/○風見志郎/○三田村晴彦/○緑川あすか
6 :
名無しより愛をこめて:2008/07/07(月) 14:55:39 ID:dVfWVtE40
クソスレ乙
10 :
名無しより愛をこめて:2008/07/08(火) 20:43:24 ID:cNm+QVFi0
※注意
この企画は他のパロロワとは違い、全ての住人に平等ではありません。
筆頭書き手数人による独裁的な企画であり
新たに参加したくとも書き手数人の意図と異なる展開を書いた場合、本スレ、毒吐きにて言われ放題
更に破棄しなければ、書き手の一人「将軍」と言われる◆CIPHER0/kYが管理している議論スレ、チャットに強制連行が待っています。
避難所を読んでもらえば分かりますが、議論スレに連れていかれた場合には罵声、人格攻撃など様々な非道な行いをしてきます。
事実、今日まで数回に渡り、書き手数人による新規書き手弾圧が行われております。
また、ライダーロワ書き手達は読み手を侮辱する発言を頻繁にしており、読み手として参加した場合でも身に覚えのない侮辱を受けます。
>>10 荒らし死ね!
お前みたいなゴミはお前と同じ特撮板のゴミである腐女子やあすむと仲良くしてろよな!
死ねはないだろ。最低なのはお前も同じだ。
13 :
名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 21:36:55 ID:ON7nVnQF0
言えることは住人全てが最低ということだな
スレをまたぎましたが、以上で投下を終わりにします。
首輪に関するフラグの話なので、やはり仮投下の方がよかったでしょうか?
修正箇所等、何かご要望がありましたら遠慮なくお願いします。
15 :
名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 22:57:12 ID:ON7nVnQF0
荒らしの俺が言うのも変だが、この内容だと将軍怒ると思うぞ
16 :
名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 23:10:43 ID:7N/BVBkL0 BE:1525423687-2BP(1)
>>14 投下乙です。
しかし、北條さんは科学者ではないので、ここまでできるか正直疑問です。
ただ、キャラのチョイスが違えば、問題ない話だと思いました。
投下乙です。
北條さんがやけに頭脳派しているよw本編より能力上がっているような印象でした。
首輪関連は正直早いような気もしますが、今度どうとでも取れそうなので。
他の人の指摘もあるようですし、自分からは特に申しません。
>>14 乙です。
他の方も指摘なさっていますが、北條さんのキャラに強烈な違和感が……。
北條さんは科学者ではなく刑事ですので、
普通に考えれば専門的な分析はできないんじゃないでしょうか。
今回のように重要なフラグを進めるのでしたら
後で齟齬が起きるのを避ける為にも、最低限のキャラ把握は必須なのでは……
そういう意味でも、修正が必要ではないかと思います。
細かい問題点を詰めるならば、やはり議論スレ行きでしょうか。
投下乙です。
個人的には、北條さんの能力が少し誇張されているかな、と。
引用ですが
>北條は少しずつ真実に近づいていく喜びを科学者として感じていた。
上であがっている通り北條さんは科学者ではなく、一人の警察官に過ぎないわけで。
前話でも科学的な研究を鬼門、と表現していますし……頭がいいといっても、少なくとも理系分野ではないと思います。
>>14 「さてと……マジで自己嫌悪の塊になりそうっていうかなってるんで寝る。 ああいうのがいるってわかっててスレスレの道を行くべきじゃなかった。もっとまったり仕込むべきだった……orz」
「新ジャンル:将軍」とかいう名前の人が、書き手ロワチャットでこんな事言ってるぞw。
将軍様wwwを悲しませるなよ。もしここの書き手で、止めたらどうするつもりなんだよw。
>>20 他のロワの書き手がいるなかで、特定の書き手についてそう言うことは言わないようにするには、当然だが
ここに書き込むのは筋違い
だが書き込んだ氏には、もう少し周りの目も気にしてほしい。
貴方がチャット内でそういう発言をすると、他のロワの人にまで伝わり、悪い印象を与えてしまう。
毒吐きも用意されているのにチャット内で自分の立場を明らかにして軽い暴言をはくのは、吐かれた氏にとってダメージが大きすぎる。
軽率すぎるよね。
もう少し、自分の立場を考えて発言してほしい。
能力はあるんだからさ。
チャットの内容書くのは大手ロワでも大問題になったことだよな
以後本スレではこの話題は自重して毒吐き行くべき
ここでやる奴は
>>20と同レベルだぞ
すみません。あくまでもV-1システムの開発立案者というだけでしたね。
完全に話の勢いに任せてキャラを履き違えていました。
今から修正を試みますが、基本的には
・キャラ設定が本編からかけ離れている
・首輪関連のフラグを取り去ると話としての存在意義がない
の2点から破棄の方向でお願いします。
>>24 了解しました。
修正作業を試みるということで、断念となった場合は再度報告をお願いします。
修正版を仮投下しました。
キャラ設定の修正になっています。
>>26 修正お疲れ様です。
議論スレに意見を書かせていただきました。
稚拙ながら目を通していただければ幸いです。
>>26 修正乙です。
葦原涼、緑川あすか、澤田亜希、風谷真魚、
和泉伊織、長田結花、五代雄介、城光を予約します。
再修正版を投下しました。
お手数ですが確認をお願いします。
>>20 クラスの最悪の陰口を言っていても、
>>23のような素晴らしい信者にうやむやに
されてしまう、さすがは将軍様
31 :
名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 19:25:50 ID:X+BjNv4C0 BE:572034637-2BP(1)
32 :
名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 19:27:37 ID:tS/WNuC20
さらに今回のように将軍様の意にそわない展開は
気に入るまで修正させるんですね。分かります。
せっかく私たちの要望を取り入れてくれたいい話だったのに残念です。
>>29 修正乙です。
自分も特に問題ないと思います。
首輪の灰化機能とバラの灰化作用、さらに灰化抑制装置の関係性が今後どうなるか期待!
34 :
名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 19:33:09 ID:3/9x6WpBO
感情的になったのが失敗だったな将軍
今回ばかりは誰の目からみてもお前が悪い
まあ
>>20が嘘をついているなら話は別だが
一人の書き手に他の書き手や読み手のいる本スレで粘着するのは止めようぜ
他ロワの書き手やROMがいるチャットで愚痴吐くのと同レベルの行為だから
しばらく将軍氏には書くのは止めてもらったほうがいいかもね。
粘着されてるんだし、本人の精神衛生上よくないだろう。
37 :
名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 21:20:39 ID:o+67hacf0
3010 :やってられない名無しさん:2008/07/10(木) 18:47:27 ID:???0
前に戻すことができる、じゃなくて戻さないとまずいんだよ
こんな序盤であんな早漏フラグたてられたら他に選択はない
3011 :やってられない名無しさん:2008/07/10(木) 18:51:36 ID:???0
今回の指摘にもあるが、考察とかファイルを鵜呑みにしたってのなら問題はないんだよな
そのまま正しかった、でも実は違った、でも済む訳で。
薔薇に毒がある・機械で抑えてるは確定には早いと思う
3012 :やってられない名無しさん:2008/07/10(木) 19:06:10 ID:???o
どうやらファイルを鵜呑みにした展開に修正みたいだね。
でも、灰化を抑える機械って首輪の存在意義を消しかねないだろ。
何を考えて出したのかね?
38 :
名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 21:40:05 ID:Q71460hT0
>>38 単純に考えれば首輪に使ってる花びらのせいではめてる人間が灰化してしまうところを
同じく首輪に使ってる装置が灰化しないように抑えてるといったところか。
だから首輪を外すと灰化を抑制出来なくなってしまうと。
39 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 07:40:49 ID:WRcCl04G0
将軍に逆らった書き手の作品がウィキから省かれてることについて
40 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 07:45:19 ID:z4PkL+7d0
>>10が真実である証拠だよな。
どうせ自分の考えてる首輪の展開にならなかったから叩いてるんだろ。
他人の作品ねじまげて、気にいらない書き手潰してまで参加したいかね?将軍様?
41 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 07:51:32 ID:f+4Ea4Gi0
将軍様から他の書き手や読み手に謝罪が無ければ今回のロワは中止した方がいいと思うんだ。
今日の22時までに謝罪がなかったら実力行使に移るよ。
ウィキがいじられたんで本スレ見に来てびっくり。
しかし首輪の件は、そんなに深刻なものとは思えないけどなぁ。と、一読者からの感想。
>>38が指摘したように首輪に二重の仕掛けがある可能性とかいくらもやりようがある。
つーか、そのほうがいかにもスマブレ主催っぽいし。
43 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:26:14 ID:YobtEmsS0
あと4時間切りましたね。
何が起こるか楽しみです。
>>43 お前も含めた荒らしに言う。
首くくって死ね!
45 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:33:15 ID:Tm/dt5d20
46 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:33:58 ID:wbi+zazp0
47 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:36:18 ID:6l2tz1sa0
>>44 荒らし相手だからって言っていいこと悪いことがある。
このスレはやはり駄目だな。
48 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:37:33 ID:6l2tz1sa0
なかなか、このスレはないことになっていいでしょうか?また、これはそう、今のかもしれない。
49 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:38:38 ID:Xr6chK/w0
とりあえず埋めようか
50 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:41:04 ID:/fHcXOdy0
>>44は黙認出来ないレベルの暴言ですね。
スレ全体に反省してもらう為にタイムリミットを19時に短縮しましょう。
51 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:42:02 ID:/fHcXOdy0
それまでに十分な謝罪がなければ実力行使あるのみ
糞みたいな荒らしに謝る必要などない。いいから消えろ!
53 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 18:49:13 ID:PHJzXkzu0
>>52 それが返事ですか?
ならばこちらもそれに応えるしかありませんね。
時間までは待ちますがね。
>>45 お前みたいな屑ゴミに謝る必要はない。
早く死ねよ。
55 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 19:12:18 ID:UjrDfRgpO
時間です、か
残念ですよ
56 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 19:19:22 ID:O5QCI4Ym0
■参加者名簿■
主催者 村上峡児
【初代】2/4
●本郷猛/●一文字隼人/○死神博士/○ゾル大佐
【アマゾン】2/4
○山本大介/●モグラ獣人/○十面鬼ゴルゴス/●立花藤兵衛
【クウガ】4/5
○五代雄介/●一条薫/○ゴ・ガドル・バ/○ゴ・バダー・バ/○ン・ダグバ・ゼバ
【アギト】4/5
○葦原涼/○風谷真魚/○北條透/●水城史朗/○風のエル
【龍騎】4/5
○城戸真司/○東條悟/○香川英行/○手塚海之/●芝浦淳
【555】5/5
○木場勇治/○長田結花/○海堂直也/○北崎/○澤田亜希
【ブレイド】4/5
●剣崎一真/○橘朔也/○金居/○城光/○志村純一
【響鬼】4/4
○日高仁志/○桐矢京介/○和泉伊織/○歌舞鬼
【カブト】4/5
●天道総司/○影山瞬/○乃木怜治/○加賀美新/○風間大介
【電王】3/5
●モモタロス/○ハナ/○桜井侑斗/●デネブ/○牙王
【FIRST・NEXT】4/5
●本郷猛/○一文字隼人/○風見志郎/○三田村晴彦/○緑川あすか
57 :
名無しより愛をこめて:2008/07/11(金) 19:32:00 ID:RQYD37Z40
※注意
この企画は他のパロロワとは違い、全ての住人に平等ではありません。
筆頭書き手数人による独裁的な企画であり
新たに参加したくとも書き手数人の意図と異なる展開を書いた場合、本スレ、毒吐きにて言われ放題
更に破棄しなければ、書き手の一人「将軍」と言われる◆CIPHER0/kYが管理している議論スレ、チャットに強制連行が待っています。
避難所を読んでもらえば分かりますが、議論スレに連れていかれた場合には罵声、人格攻撃など様々な非道な行いをしてきます。
事実、今日まで数回に渡り、書き手数人による新規書き手弾圧が行われております。
また、ライダーロワ書き手達は読み手を侮辱する発言を頻繁にしており、読み手として参加した場合でも身に覚えのない侮辱を受けます。
>>57 特撮板の害虫め!貴様と同じ特撮板の害虫であるあすむとこのスレの荒らしと一緒に死ね!
トップどうしたの?
60 :
◆RIDERjbYCM :2008/07/11(金) 22:49:28 ID:j1Oh27860
期限にはまだ早いですが、三日間の延長を要請します。
っと、下げ忘れ
>>56 中途半端な参加者名簿が一層中途半端になってるな
64 :
名無しより愛をこめて:2008/07/12(土) 21:36:29 ID:AiD1d2Il0
◆cW9wr8uD4Aも可哀想に。
将軍様に睨まれたからにはもうここには居られまい。
自分の望まない展開を書いた書き手に対して
>ああいうのがいるってわかっててスレスレの道を行くべきじゃなかった。もっとまったり仕込むべきだった……orz
最低な書き手だな。謝罪する素振りも見せない。
神経どうかしてるな。人間としてのまともな心をもってないな。
何でこんな奴が皆から支持されてるんだろう?
やはり類は友を呼ぶのだろうか?
65 :
名無しより愛をこめて:2008/07/12(土) 21:50:54 ID:97PNv6F10
ヒント
書き手チャットの管理人は将軍、比較的身勝手な発言しても注意しにくい
チャットでも将軍に嫌われたら居場所が狭くなる。実際、某氏は肩身狭い
ということは必然的にチャットに出ている書き手はヤツの味方をするしかない
被害妄想激しすぎだろ。
なんだそんなこと言うんだったら確たる厳正な証拠でもあるのか。
やっぱりここは誇大妄想好きが多いな。
どうやったらそこまで捻くれて人を見れるのか意味不明。
だいたいどんな人にだって愚痴を吐きたい心境ぐらいあるだろ。
その愚痴に一々反応するようじゃ……
まあ俺も反応するようじゃ住人としてのスルー力が足りてないな。
連日ageて謝罪がどうのと自演してる人は「俺は嵐だ」って言ってるよ
後は言わなくてもいいよね
68 :
名無しより愛をこめて:2008/07/12(土) 22:15:06 ID:hwp27OwfO
毒吐きがあるのにわざわざチャットで愚痴ったのが問題なんだろ
あそこで愚痴ったらみんな味方してくれて、愚痴吐かれた氏が悪い人になるのが分かっての行動
やることが酷すぎる。
無意識だったとしても一言謝るのが常識じゃないか?
お前が一番分かってるじゃん。毒吐き行けよ
本スレでageて発言したところで説得力皆無だぜ
70 :
名無しより愛をこめて:2008/07/12(土) 22:34:11 ID:7zyzx7+z0
結局、将軍様は何をしても許されるのか。
他の書き手の悪口もたまの愚痴だからいいってか?
だったら俺達の愚痴も許されるべきだろ。
将軍様は最低な書き手だな。
…まぁどれだけ外野がぎゃあぎゃあ騒いでも将軍が凹む事はないと信じてる
72 :
名無しより愛をこめて:2008/07/12(土) 22:39:27 ID:7zyzx7+z0
他の書き手を潰しておいて凹まないならば
もはや人間としての心はないな。
73 :
名無しより愛をこめて:2008/07/12(土) 22:43:36 ID:97PNv6F10
本スレ、毒吐きと違ってチャットは自分の立場を利用しての発言だからな
将軍が他の書き手を潰しにかかった事実は消えない
でも毒さえ信者の巣窟だからな、将軍様は一切、非はない糞味噌言われた氏も
気にしてないだろうなんてキチガイな流れだぜ
み、醜い・・・・
まあ別に保守代わりに吠えてくれてる番犬に指摘してあげる義務もないんだけど、
書き手チャットの管理人は将軍じゃないよ
それっぽいログから類推したのが丸分かりな発言は慎んだほうがいいねえ
いや、どうせ保守代わりだから別に気にせず吠えててくれればいいんだけどw
77 :
名無しより愛をこめて:2008/07/13(日) 09:52:40 ID:0rQpxfT60
俺が荒らしだからって将軍に否がない理由にはなるまい。
他の書き手が自分の思い通りの展開を書かなかったことを
公の場で堂々と批判することが本当に悪いことではないと
思っているのか?
将軍様の意にそぐわない書き手は批判されても仕方ないのか?
これであの書き手が帰ってこなかったら?
それでも将軍に否はないのか?
将軍に逆らったあの書き手が悪いのか?
将軍に非があるとして荒らしに非が無い理由にはなるまい
無意識だったとしても一言謝るのが常識じゃないか?
否じゃなくて非ね
せめて日本に来る前に日本語はマスターしておいてね
79 :
名無しより愛をこめて:2008/07/13(日) 11:14:47 ID:UVfTe1hx0
つまりどっちもどっち。
将軍=荒らし
>>79 ですよねー
いいこと思いついた、今度から馬鹿へのレスは全部これでいこう
>>78 お前みたいな狂信馬鹿が一番糞だな、質問を質問で返すなよ、脱字指南なんて
ほかのことに答えてからにしろよ、そうじゃないなら寝てろカス
>>81 いや、せめて意見を出すなら日本語で出してほしいな。
俺としては意味が分からん日本語で発言されても何の事かさっぱりだしな。
ま、別に吠える奴は勝手に吠えといてもいいんじゃねえか――ただし意味が分かるようにな。
お前は日本で特撮なんて見てないでとっとと崩壊寸前の国に帰れよ、ほんと便利だよな
日本語でOKってなんか日本語が不自由な半島人お前でも上から目線で話せるもんな
84 :
名無しより愛をこめて:2008/07/13(日) 18:25:40 ID:TCmpEY8Z0
じゃあ、改めて聞こう。
他の書き手が自分の思い通りの展開を書かなかったことを
公の場で堂々と批判することが本当に悪いことではないと
思っているのか?
将軍様の意にそぐわない書き手は批判されても仕方ないのか?
これであの書き手が帰ってこなかったら?
それでも将軍に非はないのか?
将軍に逆らったあの書き手が悪いのか?
>他の書き手が自分の思い通りの展開を書かなかったことを
>公の場で堂々と批判することが本当に悪いことではないと
>思っているのか?
本スレならまずいが所詮書き手チャットでのことだ。
>将軍様の意にそぐわない書き手は批判されても仕方ないのか?
フラグ進め過ぎだったからな。他の書き手が不快になっても仕方ない。
>これであの書き手が帰ってこなかったら?
そこまで責任とれるわけないだろ。
作品の批判が嫌なら書き手になんかなるな。
>それでも将軍に非はないのか?
以上の理由から全く考えてない。
>将軍に逆らったあの書き手が悪いのか?
変な話を書いた書き手が悪いに決まってるだろ。
削除されなかっただけでも有り難く思え。
これ以上の議論は議論スレへ。
いいから早く出ていけ。
確かに風当たりは悪いが書きも手読み手も一生懸命なんだからこの荒らしどうこうって話題が一番間違ってると思う。
所詮書き手チャットでのこと?
そこが仲間連中だけのチャットやロワ関係以外のチャット、ロム不可、名前が匿名
だったら分かるが、ある意味、本スレよりもまずい場所だぞ?
毒を吐かれた氏はライダーロワだけでなく他のロワの書き手にも、あの人は問題ありだなと思われてもおかしくない。
氏が荒らしなら全く問題ないが、同じロワの住人に自分の立場が分かる場所で毒を吐いたんだぞ?
あれを名無しがいったならそこまで問題ではない。立場を明らかにしての発言に問題がある。
いつ何処でCI氏がcW氏に毒吐いたんだか
転載されたチャットの内容は自分が焦りすぎたことを嘆いてる様にしか見えん
実際問題今回の話は荒らし除く住民から突っ込みが入った点修正して通ってるじゃん
自己嫌悪を拡大解釈して他書き手叩きと脳内変換する方がどうかしてる
90 :
名無しより愛をこめて:2008/07/13(日) 19:07:47 ID:d8nCkV3o0
>ああいうのがいるってわかっててスレスレの道を行くべきじゃなかった。
>ああいうのがいるってわかってて
「ああいうのがいる」
自分が自己嫌悪に陥ったのは「ああいうの」のせいだと言ってますね。
自分の考えてなかった展開を書く書き手を「ああいうの」と呼び、
自己嫌悪の原因とするのはCI氏がcW氏に毒吐いたのと同じでは?
わかった。
>>89のいう通りだな。調べようもないが
もしチャットで転載されたもの以上の毒と確実に言えるものを
将軍が吐いていたら将軍が悪いと認めるわけでもあるが
転載された分だけみればそうかも知れないが
それ以上の毒を吐いていたらどうするの?
それでも氏は全く悪くないと言うのだろうか?
>>89 だからお前みたいな狂信者ははっきりと名指ししなければ言ってないとかどんだけ
甘い目線なんだよ、あきらかに投下後に”自分の思い通りじゃない”展開に文句たらたら
じゃねーか、行間も読めない屑はわかったような事を言ってないで生涯ROMってろ
修正しなきゃいけないような話を書く方が悪い。
結論としては荒らしの意見なんか聞く意味もない。
お前らが大好きなcW氏とか20分くらいで書き上げるだろ。
まあ、そんないい加減なことやってるから叩かれても仕方ないけど。
兎に角、お前らもまともな書き手になってから意見しろ。
ただ難癖つけるだけじゃ説得力がない。
お前はまともな書き手なのか? 20分で書き上げるといい加減で延長を重ねりゃ良作
なのか? お前が誰よりも説得力がないよ、取りあえず鏡でも見とけよ
・・・・議論はもういい・・・・何でもいいから早く続きを願いたい。
私は純粋に楽しみたいのだ。
志村純一、手塚海之、日高仁志、ン・ダグバ・ゼバ の予約延長願います
>>99 利己的だな。
自分さえ良ければそれでいいのか。
自分さえ良ければ無関係の書き手や住民のことも考えず本スレを荒らして良いんですね、わかります
103 :
名無しより愛をこめて:2008/07/13(日) 20:58:49 ID:uBNc1IJO0
結局、自分さえ良ければ気に入らない書き手に毒を吐くのも構わないでFA?
104 :
名無しより愛をこめて:2008/07/13(日) 21:00:33 ID:uBNc1IJO0
それから予約のルールをいつの間にか変えようとしてるのも策略を感じるな。
気に入らない書き手を締め出したいのかな?
>>100 了解しました。がんばってくださいっ
ここはssを置いて感想を書いてリレー小説を作るだけの場所。
他の場所で起こった事をここで責めるのはお門違いです
age粘着されてる方もそれを分からない筈はありません
age粘着さんはチャットでの事の真偽を確認して下さい
明確に問題があったと言われているのは貴方だけです
大勢の人間との会話に食い違いがありますし、おかしいとは思いませんか?
人を疑う前に自分を疑って下さい。
この言葉をage粘着さんが曲解したり否定したり無視された場合は
スレの皆さん、どうかスルーをお願いします
いや、俺もおかしいと思ったよ。
そうやって他人を犠牲にしてまで、守りたいって感覚が
なんか宗教的というか盲目的なんじゃないかなと思うなぁ。
今回のことで書き手さんが離れていくんじゃないかと思う。
同じIDで話す人間が居ないのは笑い所?
荒らしは荒らしたいだけなんだから話題は何でもいいんしょ
この話題が一番荒れると思って書いてるんだし何言っても「謝罪するニダ」しかかえさねーよ
>>106 文章末、全部思うで締めてんのなww
予約のルール変更について、提案させて頂きました。
お手数ですがご意見がありましたら、議論スレまでお願い致します。
予約なしですが、北條透・乃木怜治を投下します。
乃木の視線に晒された北條は、居心地の悪さに思わず身をすくめた。
どうにも首筋にちりちりとした怖気を感じるのは、相手の殺気があまりに強烈だからに違いない。
正直な所、以前はその手の迷信じみた物言いを本気にしたことはなかったのだが、アンノウンと戦い、アギトと戦い、今また得体の知れない存在と戦うことになってーーーー
まんざら慣用句に過ぎないわけでもなさそうだと思うようになった。
もっとも、妄想じみた考えにとらわれるほど精神が不安定になっているからこそ、そう感じるのかも知れないが。
分析機のコンソールに置かれた赤いバラが視線を誘う。
これが研究所の花壇に咲いていなければ、ケージの中身との比較検討もできず、科学に疎い彼が所見もどきをひねり出すこともできなかっただろう。そうなれば乃木は彼に見切りをつけていたかも知れない。
ある意味彼の命の恩人のようなものだが、その色の毒々しさは彼の心を苛立ててやまない。
北條は深く息をつくと、手元のファイルに目を落とした。
解析結果はとりあえずファイルに挟んであるが、これ以上見ても彼には何も推測がつかない。
*
今の彼は同時に二つのことを成し遂げることを求められている。
一つは、乃木に無能だと見なされないこと。
彼が首輪の解析を進められないと判断すれば、乃木は即座に彼を殺すだろう。相手は未確認生命体と同様、人間に害を成す類の生物だ。役立たずと見なした人間に情けをかけるとは考えられない。
もう一つは、乃木にすべてを知られないこと。
狡兎死して走狗煮らるの諺があるように、もはや手を借りずとも首輪を解除できると判断されれば、自分は処分されるだろう。すぐさま処分されないにしても、盾か交渉材料にされるのが関の山だ。
情報を小出しにして相手の興味を引きつけ、自分に利用価値があることを繰り返し思い出させるーーーー別に難しいことではない。
常々、上層部相手にやっていることと同じだ。出世がかかっているか、命がかかっているかの違いだけで。
そう考えながら、ページを繰る。
問題は、この書類を見ても、彼には『誰にでもわかる情報』以上のことがわからないということだった。
鉱石ラジオくらいなら作れないこともない。むしろコイルに導線を綺麗に巻くことにかけては大抵の人間より上手くやれる自信はある。が、それは才能というよりは性分に由来するものであり、彼が機械について正確に理解出来るということを意味しない。
だからたとえ真実であった所で、この機械が灰化作用をどうこうするという結果だけをレポートに書かれても彼にとってはさしたる価値がない。分析結果をつきあわせてなんだか正しいような気がしてもそれは直感にすぎない。
結局、普段は科捜研が結果に加えて所見を出してくれるから仕事になっているだけなのだ。生物学や化学の知識など通り一辺倒のことしか知らない彼一人では、満足な推理も始まらない。こんな場所でそのことを思い知ることになるとは、屈辱的だ。
とはいえ、そこで諦めるわけにはいかなかった。
中身がわからないなら外側から、つまり機械の来歴から攻めて行けばいい。むしろ真実にたどり着く道が遠い方が時間を稼げる。
彼は立ち上がると、壁の見取り図を確かめた。
「何を探している」
「手がかりですよ」
乃木の誰何をはぐらかし、目的の部屋にむかって歩き出す。
冷たい目をした乃木がそれに続いた。
*
埃っぽい部屋の中には一面無造作に段ボール箱が重ねられている。北條はその中から適当なものを選んで手に取り、伝票を読んだ。
品名欄には「シリンジポンプ」と書かれている。例によって彼の知らない単語だったが、それは問題ではない。
知りたいのはーーーー送り主の住所だ。
施設名とともに印字された住所を地図と引き合わせると、ちょうどここから西にある地域が該当することがわかる。ちょうどそこにある工場に、何か手がかりがあるかも知れない。
彼は乃木を振り返った。
「ちょっと散歩をする気はありませんか?」
「どうした。気がめいって来たか?ならば殺してやってもいいんだぞ」
嘲笑する台詞にも一向に動じないのは、今の彼に自信がある証拠だった。
「水源を見つけ出すには、川の流れをたどるしかありません」
「流れを見つけた、と言うことかな?」
その問いに、言葉ではなく不敵な笑顔で答える。乃木は続けて訊ねた。
「しかしここを移動して、君を助けに誰かが戻って来たらどうなるかな。俺としても、せっかくの獲物を見逃したくはないのだが」
相手は乗った、と北條は確信する。
「誰かが来るとしても、その前に放送が行われる必要があります。そして放送が行われれば、我々のところにも届くはず。でなければ放送の意味がありませんからね」
畳み掛けたのは、自分の優位を固めるためだ。口を挟ませる間も与えず、一気に舌鋒を振るう。
「放送が行われてから、改めてここに戻ってくればいいんです。ここと工場の間には電車が走っている。出遅れることはないでしょう」
乃木がしばし考えるように黙っていたのは最後のプライドだろう。やがて追う行に頷くのを見て、北條は内心ほくそ笑む。
「なるほど。改めて迎え撃つもよし、集まった者たちが殺し合うのを高みの見物と洒落込むのもいい」
言うことがいちいち物騒だが、それを気にしている余裕などはない。北條は今一度地図を確かめ、近くの駅に向かおうと歩き出した。
平常心を保っているように取り繕って入るが、内心は急流の中で飛び石を踏むような恐ろしさもある。一度足を滑らせれば最後、二度と戻れないことは明らかなのだから。
それでも、対岸にーーーーあるいは水源にたどり着かなければならない。それが、今の彼が置かれた状況だった。そのことを、彼はしっかりと意識している。
ただ一つ、彼を急かす流れの底知れぬ深さに関しては、今だ知り得てはいなかったが。
【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【1日目 昼】
【現在地:B-7 研究所】
[時間軸]:43話・サソードに勝利後(カッシスワーム・グラディウス)
[状態]:健康。
[装備]:カードデッキ(王蛇)
[道具]: 携帯電話、その他基本支給品×3(乃木、イブキ、結花)、ゼクトマイザー、トランシーバーC
[思考・状況]
1:首輪解除のため、北條透と仲間の諸君をもう少し泳がせる。
2:ゲームの早期決着。
3:ZECTの諸君に関しては、早めに始末をつける。
【備考】
※ライア・ガイのデッキが健在の為、王蛇のデッキには未契約のカードが2枚存在します。
※ユナイトベントは本編3体の場合しか発動しません。
※変身にかけられた時間制限をほぼ正確に把握しました。
※天道について知っている訳では無いので、「カブトの資格者」が死んだことを知りません。
【北條透@仮面ライダーアギト】
【1日目 昼】
【現在地:B-7 研究所】
[時間軸]:最終話
[状態]:精神的に疲労。 現状に関する若干の恐怖。 主催に対する多大な不安。
[装備]:なし。
[道具]:携帯電話、地図、マグライト、研究所のファイル
[思考・状況]
基本行動方針:無事に帰還し、スマートブレインを摘発する。
以上です。
矛盾点、問題点などあったらご指摘頂ければ幸いです。
予約なしはOKなんですかね?
あまりにも急なので驚きました。
投下乙です。
……ってあれ?北條の状態表が変な所で切れてました。正しくはこちらです。
【北條透@仮面ライダーアギト】
【1日目 昼】
【現在地:B-7 研究所】
[時間軸]:最終話
[状態]:精神的に疲労。 現状に関する若干の恐怖。 主催に対する多大な不安。
[装備]:なし。
[道具]:携帯電話、地図、マグライト、研究所のファイル
[思考・状%8
なんかおかしいーorz
もう一度貼りますね。
【北條透@仮面ライダーアギト】
【1日目 昼】
【現在地:B-7 研究所】
[時間軸]:最終話
[状態]:精神的に疲労。 現状に関する若干の恐怖。 主催に対する多大な不安。
[装備]:なし。
[道具]:携帯電話、地図、マグライト、研究所のファイル
【思考・状況】
基本行動方針:無事に帰還し、スマートブレインを摘発する。
1:スマートブレインの危険性を懸念。
2:乃木をうまくだまくらかし、救出を待つ。
3:工場に向かって実験道具の手がかりを探す。
4:長田結花を保護すべき民間人と認識。
5:友好的な参加者と合流、敵対的な参加者を警戒。
【備考】
※首輪の外見についてはほぼ正確に把握しました。ただし、肌に触れている部分を除きます。
※研究所の設備は基礎的な科学知識さえあれば扱える程度にマニュアル化されているようです。
ただし、あくまで分析結果が自動で出るだけで所見はついてきません。
※ファイルにまとめられた実験資料には、ネズミの灰化実験に
青いバラとケージに取り付けられた装置が関わっていることが明記されていました。
※ファイルの内容の真偽は未確認ですが、北條はとりあえず真実であるという前提で行動しています。
ここまでです。
>>118 現行ガイドラインで予約なしの投下は無問題だったかと。
一応、投下キャラ予約禁止期間もクリアしています。
投下お疲れ様です。
北条さんの命は工場での成果次第・・・!
>>118 予約無しは既に何度かあったかと思います。
投下乙です。
決定打に欠ける二人が工場で何を得るのか期待です。
改めてGJ!!
投下乙です!
新たな目的地を定めた乃木さん&北條さん…
北條さんの不安な気持ちと乃木さんの狡猾さが伝わってきて
ぞくぞくしました!GJ!
124 :
名無しより愛をこめて:2008/07/15(火) 10:30:27 ID:Aasg0cPy0
1シーン書き散らすだけなら次の人に任せた方が良かったような。
一人で首輪フラグ進めるのもまずいし。
とにかくGJ!
tst
投下乙です!
北條さんが何か手がかりをつかめるといいなと思いますね!
乃木さんもいいと思います!GJ!
129 :
名無しより愛をこめて:2008/07/15(火) 22:20:39 ID:Ds2MY8Y40
このスレの存在意義はないな。
予約スレの次は投下スレでも立てたらどうだ?
そうすればこのスレはもう要らないな。
リレー企画といいながら前の書き手の話を潰して進める馬鹿もいるしな。
>>129 クズは黙ってろ!!
面白い企画だから、この板の奴らにも宣伝してやってんだよ
2chを使っているではなくて、使ってやってる。この違いわかるか?
131 :
名無しより愛をこめて:2008/07/15(火) 22:31:50 ID:ul5PUckq0
>>129 この世に生まれたことを謝罪しながら首くくって死ね!
137 :
名無しより愛をこめて:2008/07/16(水) 17:21:27 ID:5uyol/kzO
このスレいらないよな
138 :
名無しより愛をこめて:2008/07/16(水) 18:21:55 ID:v32nB9GZ0
予約スレで予約し、仮投下スレで認められたらWikiに載せる。
このスレがここにある必要はないな。
機能の大半が外部に移転してるくせに2ちゃんのサーバに負担をかける長文投下だけを行うとはな。
運営に喧嘩売ってるとしか思えないな。
>>138 ろくに機能してない運営なんか知ったこっちゃない。
ここでやりたいからやる。それ以上も以下もない。
僕は移転に賛成ですよ。荒らしが来ないしたらば辺りがいいんじゃないかな
できれば本投下も外部板でやりたい。議論に持っていきたいが無理?
そう思うなら持っていけば?
賛成が得られるかは不明だが
失礼します、期限が十時までとなっているのですがまだ最後のあたりが出来上がっておりません。
仕上げと推敲を兼ねて、もう一時間だけもらえないでしょうか?
>>143 執筆おつかれさまです。
期限切れ前に申し出ていただいたことですし、日付け変更前後くらいまでは
延長しても問題ないと思うのですがどうでしょう。
数時間の違いでしたら納得のいくものを読ませていただける方が、私は嬉しいです。
本日予定のもう一つの期限に引っ掛からなければ良いと思います
>>146 了解です。被るとまずいですし◆RIDERjbYCM氏の投下完了後に時間を置いてから投下させていただきます。
投下まだかな?
もう日付変更してるのだが……
遅くなりました、今から投下いたします。
――――一連の出来事は刺激的だったが、それ以上に危険でもあった。
放送局を出た後、香川ら三人はショッピングセンターへ向かって歩き始めた。
理由は単純に、使えそうなものを調達するためだ。香川のデッキが奪われた以上、ライフルだけでは心細い。
先ほどデイパックを漁って見つけられたのは二着の黒い全身タイツに、あとは三枚のカードだけだ。
全身タイツが出てきた時はどうしようかと悩んだが、カードがアンデッドを封印するための――――そのうちの一枚は金居のカードであったのは不幸中の幸いだろうが。
兎も角、それだけでは変身や玉数に制限があり、尚且つそれを使い切ってしまったら身を守る手段がない。故に物が豊富にあるショッピングモールへと向かったのだった。
包丁のような武器はもとより、自転車などの移動手段。あとは医療道具などがあればいうことなしだ。食料も、できることなら確保しておきたい。
ふと、金居が立ち止まって辺りを見回し、やがて一点を見つめる――――その場所は、今から向かおうとしているショッピングモールだった。
何も気づかない香川と侑斗は率直に疑問を口に出す。というのも、二人が一般人並みの聴力しか持たないからだ。
「どうかしましたか?」
「いや、今何かが壊れるような音が……」
「そうか? 俺たちは何も……」
その時だった。目の前の建物から耳を塞ぎたくなる様な轟音と、凄まじい量の砂煙が現れたのは。
何もないところから火は出ない。それと同じように、自然に音や煙が出るわけもなく、中には誰かいる。それもとびきり派手な戦闘をかましているらしい。
即座に顔を見合わせ走り出す。放送局で温存していた体力をここで精一杯発揮したような気がした。
丁度ショッピングモールの側面にあたる場所に辿り着き、そのまま壁伝いに出来るだけ足音を立てずに進む。
もし戦いのどちらかが殺し合いに抗う者ならば見捨てては置けないが、両方が殺し合いに乗っているならば――――
不安な考えを振り払うように、侑斗はゼロノスベルトを握り締める。脳裏に浮かぶのは、あのお節介ばかり焼く、掛け替えのない友の姿。
「デネブ……」
無意識につぶやくと同時に、新たなアクション――――侵入者が現れた。
――FINAL VENT――
聞き覚えがある電子音声に侑斗が、そして一際大きく香川が反応した。出口が近かったこともあってか、今の三人のいる場所からはその発信源がよく見えた。
扉を破って現れた白い怪物と、それに引きずられる鈍い灰色の怪物。忘れもしない、この島に来てから始めて出会った明確な悪――――ドラゴンオルフェノク。
「アイツ……ッ!」
「少し待ってください!」
今にも飛び掛ろうとする侑斗を押さえる香川。だが、彼の目は別の場所に向けられていた。ドラゴンオルフェノクではなく、もう一匹の怪物へ。
爪に引き摺られて行く先には新たな爪を構える、もう一匹の虎。中心部に輝くデッキは、紛れもなく自分がいた世界の物だ。
あの技は自分も見たことが――――いや、自分も受けたことがある。このままならあの爪が高々と体に突き刺さるはずだった。
しかし、ドラゴンオルフェノクは「さも当然のように」怪物の手から抜け出し、元の青年の姿へと戻る。
それを見た虎も同じように変身を解く。鏡のように砕けた仮面に隠された素顔は、紛れもなく長い間見てきた――――狂気に魅入られた教え子だった。
「東條、君……」
「東條……香川さんが言ってた、危険人物か!」
その名前にいち早く侑斗が反応する。金居は少し眉をひそめただけで、特に何も話さなかった。
向こうのほうはこちらに気づいていないのか見向きもしない。寧ろ目に入っていないという方が正しかったかもしれない。
東條は新たなカードデッキを構え、青年も今度は金色のベルトを取り出す。ゼロノスのベルトと似てはいるが、全く別のものだった。
デッキを突き出し、
コードを入力し、
そしてベルトへ装填する。
「変身ッ!!」
二人の口から発せられるのは、この島にいる人間の大半が聞き覚えのある言葉。再び装甲が二人の体を包む。
ベルトから金色の閃光が駆け巡り、背に作られるマントが孤高の王者として風格を見せる――――仮面ライダーオーガ。
犀を模した灰色の仮面と右肩の巨大な角。いかにも頑丈そうな鎧が鉄壁の防御を感じさせる――――仮面ライダーガイ。
もしも装着者が違ったならば、この力は誰かを守るために酷使されたかもしれない。だが、そうはならなかった。
そして二人のライダーは―――片方はいつものように、もう片方は少し違った形で―――悪になった。
「……ここは私が行きます、内部に他の方が居る可能性も考慮して、二人には内部の探索を頼みます。」
「ちょっ、待ってください! 変身もできないのに……」
生身で行こうとする香川を今度は侑斗が制止する。相変わらず金居はだんまりを決め込んでいた。
「変身が出来なくても、彼だけは私が止めないといけないんです。」
「だったら、尚更駄目だ! 今のあなたは冷静になりきれていない!」
「ですが!」
二人の口論にうんざりしたのか、ゆっくりと金居が手を上げる。それは「自分が行く」ということを指し示していた。
「……任せて、大丈夫ですか?」
「ああ、制限も解けた頃合だ、問題ない。」
多少頭が冷えた香川の問いかけに、含み笑いを浮かべながら答えた。しかし侑斗は納得していない様子で金居を見る。
その視線に気づいた金居は、より一層笑みを強くして皮肉を言った。
「まぁ、俺ならいなくなっても悲しみが少ないだろう?」
「ッ! おまええええええッ!!」
一瞬で掴みかかろうとした侑斗を軽くいなし、「冗談だ」と付け加える。もちろん侑斗はそのまま地面に激突した。
「本当に、任せていいのですね?」
「俺を信用しろ。じゃ、香川を頼むぞ、坊や。」
侑斗が言い返す前に金居の姿が軋み、本来の姿、バトルファイトで戦っていたころの姿に戻る。
ギラファノコギリクワガタの始祖――――カテゴリーキング、その名はギラファアンデッド。上級アンデッドの中でもさらに上位に入るアンデッドだ。
「東條君を、頼みます。」
「心配性なんだな、あんたも。」
互いに頷き、それぞれが行くべき場所へと足を進めていく。香川と侑斗の姿が見えなくなったのを見計らって、
「ククク……クハハハハハ!!」
金居は大声で笑い出した。もはやこれは自分に勝てと天が道を指し示しているとさえ思えてくる、それほどまでに上手く行っていた。
東條と同盟を組んだ直後に因縁のある香川との遭遇、さらには誤解の種と成り得る写真の入手に極めつけは早期の東條との合流。
すべてがうまく行き過ぎて恐ろしくなる……その薄ら寒さ、はたまた優越感と満足感のせいか。金居は中から入れ違いに出てくるもう一人の存在に気づかなかった。
◆
155 :
名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 00:27:32 ID:o+im4p8sO
支援
支援
支援
支援
支援
氏は猿さん規制の模様です
PCで代理投下可能な方、仮投下スレの方お願いします
◆
風のエルは困惑しながらも、自分の幸運を神――――或いは主に感謝した。
下水道を通って来たこともあり、敵と出会い体力を消耗することなく制限の時間まで無事に居られたことを。
暗がりから血を求め外に出てみれば、丁度いい具合に数人の人間らがいる場所へと出てこれたことを。
二人は戦闘中、三人の固まりの内二人は建物内へ入っていき残る一人は高笑いを上げている。葉っぱで切ったのだろうか、若干右手の先から血が覗いている。
それを見て、風のエルはまずその男……金居を標的からはずした。既に変身しているのもあるが、緑色の血は見ていて気味が悪い。
ただの人間なら迷わず襲っただろう、しかし今求めているのは赤い血、強き人間の血だ。人外の血はすべて飲み干した後にでも飲めばいい、それこそ気が向けばだが。
戦闘中の方は後で消耗しきった所を襲おう、まずは前菜の二人。気取られぬように窓から入るべきか。
剣を握り締め、音を立てずに窓を開け進入。内部を見回すがそれらしい人影は見えず、しばらく歩き回る。
その内、酷く損傷が激しい所にたどり着く。大方ここで戦闘があったのだろう、そうでもなければこんな壊れ方はしない。
ふと足元に目をやると、デイパックが落ちていた。しかしそれよりも傍らに倒れている人間のほうが興味を引いた。
息をしているところから見るとまだ生きているらしい。風のエルの口元が歪んだ笑みを浮かべる。
意識を失ってさえいればそれほど抵抗されずに血が飲める。男の体に手を伸ばし、そのまま片手でつかみ上げた。
それほど血色のいい顔をしているとはいい難いが、贅沢は言ってられない。首筋に嘴を突き立て、目を瞑る。
――――嗚呼、いただきま……――――
しかしその時、風のエルの食事は思わぬ形で中断されることになる。
「何をしている?」
◆
◆
――STRIKE VENT――
電子音声が名を言い終わる前に、オーガの拳が襲う。ガイの装甲が如何に強固といえど、帝王の力を手にした北崎の前では紙切れ同然だった。
漸く現れたメタルホーンも、大した傷も与えられぬまま角を折られる。だが、残った部分を振り上げて殴りかかった。
「ふふ……遅いよ。」
振り上げた瞬間にがら空きになった胴へ蹴りを叩き込む。歯軋りをする東條とは対照的に、北崎のテンションは留まる事を知らないかのように上がり続ける。
武器らしい武器は使用していないのに何者をも寄せ付けぬパワー、圧倒的なまでに誰よりも速いスピード。正しく王の力と呼ぶにふさわしい。
――――そう、自分は今や王となった。古き者が上に立つ時代はもう必要ない、これからは王がすべての頂点に立つ。
オーガの手が赤い角を捕らえた。ミキミキと耳障りな音を立ててひび割れていく角を前に、北崎は快感に近い物さえ感じた。
――ADVENT――
再び響く電子音声。しかし音源はガイのメタルバイザーではなく、もっと後方からだ。
直後に聞こえた空気の切れる音。咄嗟にミッションメモリーを引き抜き、腰にある剣の柄へと差し込んだ。
――Ready――
何もない場所から現れる黄金の刀身。振り向きざまに自分に迫るものを切り裂いてから、それが幾つもの銃弾だと気づいた。
その剣、オーガストランザーをゆっくりと地面に下ろして、北崎は仮面の中で笑う。
「やっぱり使うんだ、仮面ライダーの力を。」
緑色の牛――――マグナギガに隠れてはいたが、一瞬で中身が誰なのか察しがついた。そもそもあのデッキを渡したのは自分なのだから。
「……。」
ゾルダの装甲で体を包んだ海堂が、返事の代わりに投げたのは……追撃の銃弾だった。今度は切り裂くまでもなく、軽く体を捻るだけで回避する。
一跳びで距離を詰め、ゾルダへと切りかかる。ガイほどではないがゾルダの装甲もそれなりに硬く、尚且つ長い射程距離があるため長距離戦は不利だと判断したのだ。
――GUARD VENT――
しかし、その斬撃はゾルダに届くことはない。マグナギガの腹部を模した盾が出現し、ゾルダの体を包む。
「チィ……」
――Exceed Charge――
柄のスイッチを入れると、刀身が光り輝きながら伸びていく。それこそ天にまで届きそうな勢いでどこまでもどこまでも。それを見たゾルダは思わず目を丸くする。
「……そんなん、ありかよおおおお!?」
「砕け散れえええええ!」
――CONFINE VENT――
「僕を忘れて貰っちゃ困るなぁ。」
刀身が元の姿に戻ったかと思うと、突如右肩と脇腹が爆発する。立ち位置からしてゾルダがやったことでないのは確かだが、ガイも飛び道具を持っていないはず。
ふと視界に何かの影が映った。それは黒く焦げていたが、金属で出来たクワガタの顎だった。
いつの間にかガイの隣に立っている新たな異形。襲い掛からないところを見るとガイの味方のようだが――――いや、よく見るとクワガタに似ている気がする。
「王様に逆らうの? いけないなぁ。」
「王か……俺も一応、王と呼ばれていたものでね。」
そういって、ギラファアンデッドは再びその口元を歪めた。
◆
侑斗たちがそこにたどり着いたのは、半ば必然的なことだった。
元々通路を辿っていけばそこにたどり着くのだし、壁の損傷具合から見ても探りを入れるならそこからだった。
案の定、入ってみれば気絶している青年とそれを掴み――まるで食べようとしているかのように――佇む怪人という若干シュールな図ではあったが。
「何をしている?」
香川がライフルを構えると同時に風のエルが跳ね、侑斗のほうに飛び蹴りを入れる。衝撃で木場が振り落とされるが、目が覚める気配はない。
「グゥッ……」
壁に叩きつけられ、思わず床にデイパックを落としてしまう。香川は目でそれを追うが、何か違和感を感じた。
(デイパックが二つ……彼のでしょうか。)
数秒だけ思案した後、再び現実へと戻される。風のエルがこちらへと飛んできたのだ。ライフルで羽を撃つが回避されてしまう。
目の前で爪が煌き振り下ろされた。しかし香川の皮膚を切り裂く一歩手前で、その進行は止められる。
「香川さん! 彼を連れて早く離れて!」
風のエルを足止めしたのは侑斗だった。香川はすぐさま木場を抱えて、脱兎のごとく部屋の外へと駆け出していく。
それを確認した後、羽交い締めにしていた両腕を引き相手の背中へと突き出す。怯んでいる隙にデイパックへと手を突っ込むが、ベルトの気配はない。
落としたか、という考えが過ぎったがすぐ隣にもう一つのデイパックの姿を見て間違えただけだと気づく。さっと手を引き抜き、自分のデイパックを引き寄せる。
カラン、と何かが零れ落ちる。指でも引っ掛けて中身を落としてしまったのだろう。回収しようと手に取った侑斗の顔が驚愕に染まった。
何故ならそれは――――赤い、ゼロノスカードだったのだから。まだ自分が居たころはこれが必要なかったはず、なのにどうして。
「ウゥァァァァァァァッァァァッッ!!」
獣が唸る様な声を上げ、風のエルが立ち上がる。最早躊躇している余裕はなく、在るのはただこのカードが存在するという事実のみ。
ベルトを装着し、顔の横までカードを掲げて半回転。流れるような動きでベルトに差し込んで、呟く様に。
「変身。」
――ALTAIR FORM――
宙を舞い散る緑色の装甲が一つ一つ鎧を形作り、牛を模した電仮面が滑り込んで変身を完了する。
しかし今回は其れだけに留まらず、カードを引き抜き、赤い面を表にして再びベルトへ差し込んだ。
――ZERO FORM――
電子音声が新たな変化の言葉を紡ぎ、その姿がゆっくりと――――まるで錆が広がるように、赤く染まっていく。
やがて全てが真っ赤に染まり、最後に電仮面が力を誇示するがごとく光輝く。
素早く組み立てたゼロガッシャーを突き立て、風のエルを指差す。それは自分が倒すという意思と意地と、そして決意の現れ。
「最初に言っておく――――錆びても、強い!」
◆
「君、しっかりしなさい!」
「うぅ……?」
香川の呼びかけに、案外早く男は答えた。恐らく先ほどの衝撃で既に意識が戻りかけていたのだろう。
聞きたいことは山ほどあるが、今は重要なことしか聞いている余裕がない。
「私は香川といいます。あなたの名前と殺し合いに乗っているかどうかを聞かせて下さい。」
男は小さな声で木場勇治と答え首を横に振った。殺し合いに乗っていなければ保護だ。
「次の質問です。あなたが持っているあのベルトは変身に使う道具ですね、あれは誰でも使用できますか?」
言った後に、これが自分が先ほど遭遇した場面に似ていることに気づいた。尤も、あれとこれでは随分と差異はあるが。
「……適合できる人じゃないと、変身できません。」
「そうですか、ではあなたは適合しているんですね。」
木場はしばしの沈黙の後、頷く。誰にでもわかる肯定のサインだ。
予測は出来ていたため衝撃は少なかったが、実を言うと誰でも使える物の方がよかった。デッキを持っていない今の自分は、戦力に成り得ない。
その時声が響いた。地の底から響く、禍々しい神の遣いの咆哮が。
「……今のは?」
「あなたを襲っている怪人がいました、今は私の同行者が戦闘中です。」
ここで嘘を言っても意味がないと、本当の事を言った。話し終えるのと、木場がファイズギアを掴むのは同時だった。
携帯を開いてコードを入力、ベルトに差し込んだ。しかし当のベルトは何の反応も見せず。
「ここでは変身制限がかかっています、殺し合いに少しでも平等性を持ち込むためでしょうが。」
軽くため息をついて、木場はベルトを仕舞って再び歩き出した。止めようとした香川の手を取って木場が答える。
「大丈夫です、俺はまだ戦えますから。」
振り返った木場の顔には、馬のような影がダブって見えた。
◆
へルターとスケルターがオーガストランザーを捕らえ、その隙に鋭い蹴りを打ち込む。オーガの装甲の上からとはいえ北崎にもその蹴りの重さは伝わった。
ガイの拳がゾルダを打ち抜く。既に両者ともにアドベントカードを消費して、残るは二、三枚となっていた。
――FINAL VENT――
「俺の……勝ちだぁぁぁぁぁ!!」
現れたマグナギガの背にバイザーを突きつけ、引き金を引く。体の中から様々な弾丸が飛び出し、あたりを焼き尽く――――
――CONFINE VENT――
――――さなかった。マグナギガが消滅したかと思うと、ガイの回し蹴りが飛んでくる。
「カードは一枚だけじゃ、ないってね!」
自分が最初に殺した男の口調を真似ながら続けざまにアッパー、ひじ打ちと続けていく。先ほどはやられるばっかりの東條も、金居がもたらした情報には興奮せざるをえなかった。
曰く、「香川英行はこの建物内に居る」。
生きているという情報だけでもうれしいのに、今こうやって戦っているすぐそばに居るなんて。
無意識のうちに拳にも力が篭り、今の東條はさしずめ水を得た魚のようにも見えた。
――FINAL VENT――
「アハハハハ!!」
笑い声とともに、ガイがメタルゲラスに乗って突進していく。ヘビープレッシャーだ。
もう防ぐ術も避ける体力も残されていない。その角は真っ直ぐゾルダへ向かい、そのカードデッキを打ち砕いた。
「ア……ガ……」
変身が解け、倒れ伏す海堂。この乱戦の中で最初にリタイアしたのは、彼だった。
「何だ、最初に落ちちゃ……ッ!?」
北崎の言葉が途中で淀む。
――ADVENT――
遅れて電子音声。しかし、最早その意味は必要なかった。
「GAAAAAAAAA!!」
既にそれを聞く北崎の体は、メタルゲラスによってどこかへと運ばれていったのだ。
それから程なくして、ガイの装甲が砕け散る。オーガを逃がしたのは、自分の変身制限の時間が迫っていたからだった。
東條は落ちていたへルターを拾い上げ、ギラファの方へと歩み寄る。
「ああ、すまな――――」
その言葉は最後まで声に出されなかった。なぜなら、
「金居さん……あなたも、『ある程度の力を持つ参加者』ですよね。 」
「な、何故……ガアアアッ!!」
東條が振り下ろしたへルターによって、ギラファ……変化のとけた金居の腹部が、切り裂かれていたのだから。
傷口から血が溢れるように出てくる。東條の顔を見ると、やはり彼は笑っていた。
「先生を見つけてくれてありがとうございます……それでは、死んでください。」
「そんな……俺は………負けな…」
まるで糸が切れた人形のように金居は自分の血の中に倒れこむ。緑色の血は生暖かくて少しぬるりとした。
消え行く意識の中で金居は思った――――自分はいったい、どこで選択を誤ったのだろうかと。
頭の中に様々なことが駆け巡る。ダグバの超常的な力を見たこと、東條と手を結んだこと、侑斗や香川と合流したこと――――
(……侑斗とは、誰だったか?)
疑問が脳を掠めた瞬間、首筋に冷たいものが押し当てられたのを感じた。
金居の遺体から首輪を取った東條はバイクに跨り、走り出そうとする。
一度だけショッピングモールを振り向くが、香川は最後と決めたのだからと言い聞かせる。後ろ髪引かれる思いでアクセルを踏み、走り出した。
直後、何か足りないような違和感を感じたが、香川がまだ生きているという興奮がすぐにそれをかき消した。
【G-5 北東部 ショッピングセンター近く】【午前】
【東條悟@仮面ライダー龍騎】
[時間軸]:44話終了後
[状態]:中程度のダメージ。疲労中程度。2時間変身不可(タイガ、ガイ)
[装備]:カードデッキ(タイガ、ガイ)、「凱火」(Valkyrie Rune)
[道具]:基本支給品×2、特殊支給品(未確認)、サバイブ烈火@仮面ライダー龍騎、首輪(芝浦、金居)
[思考・状況]
基本行動方針:全員殺して勝ち残り、名実共に英雄となる
1:『ある程度の力を持つ参加者を一人でも多く間引く』
2:できれば最後の仕上げは先生(香川)にしたい
3:殺した奴の首輪をコレクションするのも面白い。積極的に外す 。
4:木場(名前は知らない)に自分が英雄であることを知らしめる為、自らの手で闘って殺す。
備考
※東條はまだ芝浦の特殊支給品(サバイブ烈火)を確認していません
※東條がどこへ行くかは後続の書き手さんに任せます。
◆
その時、もう一つの戦いも終わろうとしていた。
パーフェクトゼクターの斬撃をかろうじてゼロガッシャーで防ぐ。
足払いで体制を崩させ、顔面めがけて拳を叩き込む。ゼロフォームの力は、アルタイルとは比べ物にならないほどだった。
ゼロガッシャーをサーベルからボウガンへと組み替え、引き金を引く。だがその瞬間、風のエルがパーフェクトゼクターを投げた。
丁度ガッシャーを持つ手にぶつかり、取りこぼしてしまう。その隙に風のエルは近づき、ゼロノスを踏みつけた。
「グゥ……」
息を押しつぶしたような声が漏れるが、今の風のエルにとっては興奮を誘うスパイスでしかなかった。
パーフェクトゼクターを拾い上げ、振り下ろそうとして――――左手首ごと、再び落とした。
「……?」
風のエルが困惑していると、扉の向こうから新たな異形が転がり込んでくる。
馬を模したその異形は、壁に突き刺さった剣――先ほど扉の向こうから投げた――を引き抜く。その姿は、どことなくドラゴンオルフェノクと似通っていた。
「桜井君! その人は味方です!」
姿は見えないが香川の声に間違いない。無言でその異形と顔を見合わせ、頷きあう。
まず異形が走り出し、斜めがけに風のエルの体を切り裂く。突然の衝撃に後退する風のエルに、追い討ちをかけるように攻撃が続く。
蹴り、正拳、ひじ打ち、アッパー。目まぐるしい勢いで放たれたそれらは一つもはずすことなく命中した。
続いてはゼロノス。ベルトからカードを引き抜き、ゼロガッシャーへと差し込む。
――FULL CHARGE――
電子音声が響き、ボウガンの先にエネルギーを集めて、引き金を引いた。緑色のエネルギーが飛び出して風のエルを貫く。
「グァァァァァッ!!」
風のエルが叫び声をあげるが、ゼロノスの攻撃はこれで終わらない。
再びサーベルモードに組みなおし、カードを差し込む。今度は刃の先にエネルギーが集まり、切れ味が増していく。
―― FULL CHARGE ――
「おぉりゃぁぁああああッッ!!」
そのまま、ゼロ距離から風のエルの腹部を切り裂いた。一瞬の間もなくその体は窓ガラスに直撃し、丁度出口から反対側へと飛び出る。
二つの衝撃波に吹き飛ばされた風のエルは、自分が水に落ちる音を感じながら意識を手放した。
【G-5 北東部 ショッピングセンター近く】【午前】
【風のエル@仮面ライダーアギト】
[時間軸]:48話
[状態]:頭部にダメージ。全身に大程度の負傷・行動原理に異常発生。左手首欠損。2時間能力発揮不可。
[装備]:パーフェクトゼクター
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して帰る。 帰還した暁には、主に未知の力を報告。
1:「仲間」を持つ「強き者」を狙う。
2:人を殺すことに、快楽を覚えた。
3:アギトの力、及びそれに似た力を持つ者との戦闘は避ける。
[備考]
※デネブの放送、および第一回放送を聞いていません。
※首輪の制限時間について考え始めました。
「大丈夫ですか?」
「ああ、助かったよ。」
お互いに変身を解いた木場と侑斗は握手を交わした。
これから聞くことはたくさんあるが、まずは例を言うのが道理というものだ。
「どうやら収まったみたいですね。」
扉の影から香川が出てくる。少し埃まみれになっているように見えたのは、気のせいだろうか。
「とりあえず木場さん、あなたのあの変身……聞かせていただけますね?」
「はい、俺は……」
木場が自身の変身、オルフェノクについて話し始めようとした、その時。
「ガアアアッ!!」
部屋の中に、耳を劈くような金居の悲鳴が入ってきた。
◆
男達が居た。
目の前にはある男の遺体。全身が緑色に染まっているが、所々見せる金が本来の色だと主張していた。
切り落とされた首からは生気が感じられず、空ろな眼は何も写さなかった。
一人はいまだ迷っているのか複雑な表情をしていた。
一人はベルトを持った腕を震わせることしか出来なかった。
一人は地に膝を着けて、ただただ後悔していた。
ゆっくりとその体にカードを差し込み手を離す。男が歪み、周りの緑色を巻き込みながらカードの中へと収まっていく。
全てが消えた後――――残ったのはダイヤのキングが刻まれたカードだけだった。
【金居@仮面ライダー剣 封印】
【残り40人】
支援
【G-5 北東部 ショッピングセンター前】【午前】
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-5エリア】
[時間軸]:東條悟に殺害される直前
[状態]:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。
[装備]:神経断裂弾(2発)、シグザウアー SSG-3000
[道具]:煤けた首輪、双眼鏡
[思考・状況]
1:殺し合いの阻止
2:侑斗の生存を優先。
3:北崎(名前は知らない)を倒す。
4:東條、北崎(名前は知らない)、ガドル(名前は知らない)を警戒
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
[備考]
※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※首輪の損傷具合は不明です。
※死者の蘇生に対する制限はスマートブレイン社の詭弁。首輪はそう簡単には外せないと考えています。
【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-5エリア】
[時間軸]:最終回直後
[状態]:深い後悔、強い決意。ハナ、デネブの無事に安堵。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。2時間変身不能(ゼロノス)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、ゼロノスカード6枚(内二枚赤カード)、ラウズカード(封印済み:ダイヤK 空:クラブQ、ジョーカー)
ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
[思考・状況]
1:殺し合いの阻止
2:香川と行動しつつ仲間との合流を目指す
3:自分と同じ顔をした少年(桐矢)への疑問。保護が必要ならそうする。
4:北崎(名前は知らない)、ガドル(名前は知らない)を倒す。
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:金居の死に後悔。木場と情報交換。
[備考]
※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
支援
【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-5エリア】
[時間軸]:39話・巧捜索前
[状態]:全身に中程度の打撲。他人への僅かな不信感。全身に疲労大、背中等に軽い火傷。二時間変身不可(ファイズ、ホースオルフェ)
[装備]:ファイズギア
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:主催者及びスマートブレインの打倒、脱出
1:金居の死に困惑。
2:長田、海堂、加賀美の捜索
3:首輪の解除
4:死神博士、ゴルゴス、牙王、東條(名前は知らない)に警戒 。影山はできれば助けたい。
5:事情を知らない者の前ではできるだけオルフェノク化を使いたくない
※備考
※第一回放送を聞き逃しています。
◆
北崎は憤怒していた。王たる自分に対するあの仕打ちに。
途中でメタルゲラスが消失したのは制限のためと気づいたが、それでも大分元の場所より離れてしまった。
変身も既に解けてしまい、バイクも向こうに放置したままだ。今から戻っても誰も居るまい。
このイライラは――――次に出会う参加者にぶつけよう。王の力は手の内にある。
何人たりとも自分には届かない……だが出来れば仮面ライダーがいい、強いものをさらに強い力でねじ伏せるのは心地がいいものだ。
東條の顔を記憶に刻み込んで北崎は笑った。次に会うときが最後だ、と。
【???】【午前】
【北崎@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:???】
[時間軸]:不明。少なくとも死亡後では無い。
[状態]:全身に疲労。頭部、腹部にダメージ。背部に痛み。オーガ、ドラゴンオルフェノクに2時間変身不可。
[装備]: オーガギア
[道具]:基本支給品一式、不明支給品(0〜1個)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しんだ上での優勝。
1:次にあった奴にイライラをぶつける
2:五代雄介、「仮面ライダー」なる者に興味。
3:桜井侑斗、香川英行とはまた闘いたい。
4:ゾル大佐、橘朔也と会ったら今度はきっちり決着をつけ、揺ぎ無い勝利を手にする。
5:「仮面ライダー」への変身ツールを集めたい。
6:木場勇治はどうせだから自分で倒したい。
※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。
※桐矢京介を桜井侑斗と同一人物と見なしています。
※三田村晴彦の生死に興味を持っていません。
※どこへ向かったかは後続の書き手さんにお任せします。
支援
紫炎
◆
海堂が目を覚ました時、そこには誰も居なかった。
ゾルダのカードデッキを壊され、変身が避けたところまでは覚えている。そこから先はおぼろげにしか覚えていない。
犀、金色のクワガタ、緑色の血、男の絶叫――――じっくり現場を見ては居ないが、海堂にもそれくらい想像できた。
あの犀のライダーは――何故かは知らないが――自分の仲間を殺したのだ。今一度ライダーの外道さが判った気がする。
傍らに放置したあったバイクに凭れ掛かり、空を見上げる。まぶしすぎるくらいに照りつける太陽。しかしこの下では、今も殺し合いが続けられているのだ。
殺された者のために、ライダー達を倒す。それが残された者の、使命だと思ったから。
【G-5 北東部 ショッピングセンター近く】【午前】
【海堂直也@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-5エリア】
[時間軸]:34話前後
[状態] :体の各部に中程度の打撲。激しい怒り、2時間変身不可(スネークオルフェノク)
[装備]:カワサキのZZR−250
[道具]:無し。
[思考・状況]
基本行動方針:「仮面ライダー」を許さない。
1:仮面ライダーを倒す。
2:ライダー(アマゾン、歌舞鬼、オーガ、ガイ)の危険性を伝える。
3:まだ対主催。
※ 澤田の顔はわかりますが名前は知りません。また、真魚の顔は見ていません。
※ モグラ獣人の墓にはガーベラの種が植えられています。
※ 第一回放送は知っている名前がモグラのみ、ということしか頭に入っていません。
※ 変身制限について知りました。
※ゾルダのカードデッキは破壊されました。
支援
以上投下終了です。
タイトルは「裏切りはすぐ傍に」でお願いします。
本スレの規制はまだ消えないようなので、どなたか代理投下お願いします。
仮投下終了。RIDERjbYCM氏投下おつかれさまでした。ID:BmVNcwq/0氏も仮投下おつかれさまでした。
支援
RIDERjbYCM氏お疲れ様でした。
北崎オーガが本領発揮する前につぶされちゃって不完全燃焼なのが今後怖い…
金居は…うん、東條と組んだのが間違いだったんだよ!
そして私はショッカー戦闘員スーツの出番を待ち望むっ
でー…このまま自分の作品投下するのはちょっと読みづらいですよね。
このまま投下しちゃうよりかは時間を置いて投下しようかな、と思うのですがどうでしょうか?
具体的には今日の夕方頃になると思われるのですが
乙です。
まさか金居がここでリタイヤとは……
侑斗も赤カードを使ってしまって、誰から彼の記憶が消えてしまうのか気になるところです。
そして、香川先生とニアミスをした東城がますます狂気に磨きをかけていくのが楽しみです。
私はこのまま投下でも問題ないと思いますが、◆deggScNisI氏の判断に任せます。
それでは夕方頃に投下させていただきます
作品投下乙です
死に際の金居に祐斗の記憶が消えたような描写がありましたが、リタイアしたので影響はないですね
赤カードの効果って1人の記憶が消えるんでしたっけ?
次回以降の戦闘での使用が楽しみです、GJでした!
投下&代理投下乙です!
多人数が入り乱れるバトルシーンに興奮しました!
不完全燃焼の北崎、金居を手に掛けてどんどんヤバくなる東條の危なさにもドキドキします。
いきなり出てきたショッカー戦闘員スーツに吹き、
海堂のオーガトランザーへのリアクションに吹きましたw
…あれはズルい、ズルすぎる!ww
奇しくも侑斗と香川を庇った形になった金居が二人にどんな影響を与えるのか、
木場と合流&赤カード入手でこれからが気になるお話でした!GJ!!
投下はそろそろかな?
ドキがムネムネしてきたw
夕方、だよね…多分。きっとそうだと言い聞かせます。
志村純一、手塚海之、日高仁志、ン・ダグバ・ゼバ 投下します
舗装された道路を道しるべにヒビキは走る。
合流予定の時間は既に迎えている。こりゃ遅刻だな、そう思いつつ目的地へと急ぐ。
生み出された風が道端の草をゆらゆらと揺らし、耳を澄ませば川のせせらぎも聞こえてくる。
(これで日が良ければ気持ちのいいランニングなんだろうけどな…)
空を見上げると雲がいくつか生まれており、日の光に僅かながらの陰りを混ぜる。
このまま崩れてくると降り出すかも知れない。もしも雨が降ると移動も今のように容易には行かなくなるだろう。
なんとなく不吉な物を感じて、ヒビキは速度をあげた。
* * *
しばらく走り見慣れた場所へとたどり着く。間違えようの無い、一文字やハナとの合流場所だ。
見渡せば戦闘の跡がちらほらと見かけられる。しかしそんな物は恐らく他の場所でも見られるものだろう。
目立つ物がないこの場所は危険な参加者に合流地点と悟られる事は無さそうだ、それはいいのだが…
(一文字やハナちゃんはちゃんとこの場所にたどり着けるかな…?)
幸い支給品の携帯電話の機能により自分の場所は大まかには分かるので少なくとも同じエリアまで来る事は問題は無い。
だが一つ一つのエリアは広く、同じエリアですぐ合流。という訳にはいかなそうだ。
(本郷にあすかもこの近くまで来てるといいんだけどな…)
あの時、やるべき事があると言い城戸の支給品を強奪し戦闘に参加した(と思う)あすか。
彼女は狂気に取り付かれていたように思える。その正体がなんなのかはわからないが…。
その彼女を追っていった青年、本郷。もしも彼の説得が上手くいったのなら或いはこの場所に来ているかもしれない。
そんな淡い期待を抱いていたのだが、結局この場所へときたのはヒビキ一人だけであった。
(…大丈夫だ、本郷はバイクに乗って追っていった。少なくとも追いつくことはできたはず。まともに会話できなかったが…彼なら大丈夫のはずだ)
少し頼りなげだが、眼にはしっかりと輝くものがあった本郷。彼なら、大丈夫のはず。それは一文字にも言える。
そう、大丈夫のはずなのだ。だがそれでも不安は募っていく。
この場所でそもそも散り散りに分かれること自体間違いではなかったか?とも思えてくる。
(いかんなぁ、こんな考え方じゃ。こうして不安になるってことは、俺もどっかであいつらを信じていないって事なのかもな…)
支援
頬をぱしぱしと叩き、気持ちを切り替える。これからどうすべきか、まずはそれだ。
といっても選択肢は多くない。今すぐこの場を動き、辺りを探索。或いはしばらくこの場にとどまり、それから探索する。これくらいだろう。
一応今すぐ病院へと一人で向かう、という選択肢もあるがそれでは城戸や風間と別れた意味がなくなってしまう。
(鳴かぬなら…鳴くまで待とうホトトギス、かな?いや、果報は寝て待て?これは違うか)
肩に掛けていたデイパックをおろし、近くの木に背を預ける。
穏やかな風がほんの少しだけ、冷たく感じる。見上げれば、空の雲は薄く広がり、日の光を更に弱めさせていた。
(一雨くるかなぁ…というか、ただ何もせずにぼーっとするのは…今すべき事じゃないな)
幸い休息は十分に取っており体力は有り余っている。そもそも鍛えられた肉体がそう簡単に根を上げる事も無いのだが。
しばらく考えた後に…ヒビキはとりあえず己を鍛える事にした。
* * *
支援
ジャリジャリと音を鳴らしながら、男が二人道路を歩く。
その歩みはどこかぎこちなく、二人が万全な状態では無いことを物語っている。
「志村…さん、大丈夫か?デイパックを持つくらいしか、俺にはできないが…」
引き締まった顔立ちから、強い意志が見て取れる青年…手塚は隣を歩く温和そうな青年を気遣う。
「大丈夫ですよ、手塚さん。これでも怪我には慣れてますし」
気遣われた青年、志村は穏やかな笑顔で手塚の申し入れを断る。
その笑顔は仮の姿。本性は人間と敵対する不死の生物アルビノジョーカー。彼は表立って行動する事は滅多にしない。
表立って行動するよりもこうして優しい隣人を装った方が便利なのだ、戦いというものは。そう志村は心得ている。
そうやって利用できる者は何だろうと利用し、最後に甘い汁を頂戴する。困難だがそれをやり遂げる自信があった。
「それと…志村でいいですよ、手塚さん。その方が僕も呼ばれなれてるもので」
「そう、か?それなら俺も手塚でいい」
「わかりました、手塚さん」
「志村ぁ…まぁ、いいが」
穏やかな笑顔の裏で、志村は冷静に隣を歩く手塚を観察する。
(しかしあぁも簡単に騙されるんだな…橘チーフも城戸に本郷も…こいつも。馬鹿ばっかりだ人間は。
だが馬鹿だからといって慢心すると、またあの時の二の舞だ)
頭の中を駆け巡る緑のライダーとの戦闘。あの時自分は自らの策に慢心し、あろうことか高笑いをしていた。
これからは例え一人であろうともそのような失策は許されない。今こうして無事でいる事は単なる幸運にすぎないのだから。
(俺はもう油断しない。騙して利用して、優勝はイタダキだ。それと…)
隣の手塚にばれないように、ちらりとしまい込まれたKのカードを見つめる。
(Kのカードも、俺の物だ)
慢心しない、そう誓った矢先から志村は穏やかとはまったく対極の黒い笑みを浮かべていた。
それに気づかなかった手塚は注意力が散漫というわけでも、勿論馬鹿というわけでもない。
手塚は別の事柄に集中していたのだ。一点を見つめるその視線に志村も気づき、同じ場所を見つめる。
「「――――」」
お互い言葉を失う。それぞれの頭の中には罠やら?やら、或いは馬鹿等の単語が浮かんでは消えていく。
「スクワット、してますね」
「さっきは腕立てをしていた…」
随分と体格のいい男が、この場でトレーニングをしていた。それも結構なペースで。
支援
支援
「何が目的なんでしょうか」
「…鍛えてるんだろう」
「…そうでしょうね」
不意に歩き出した手塚の手を志村が掴む。
「待ってください、もしかして接触する気ですか?」
「あぁ。周りに誰か隠れている様子もない。それにあのマイペースさは…
ある意味この場でも自分を保っている強い精神力の持ち主とも言える」
それは馬鹿と言いませんか?という言葉をぐっ、と飲み込み志村も同意する。
「そうですね、それに仮におびき寄せる罠だとしても目立たなすぎる…わかりました、いきましょう」
お互い頷くと、スクワットを続ける怪しい男に接触すべく二人は歩き出した。
手塚は頭の中で万が一この殺し合いに乗っていた場合に備えての行動を考え…
志村は手駒になりそうな馬鹿が増えると、喜んでいた。
* * *
近づいて見ると男はようやく二人の存在に気づいたのかゆっくりと顔をあげた。
その顔はいい汗かきましたよ、という笑顔でなんとなく健康飲料水のCMが似合いそうな気がした。
男は手塚の顔を見てほんの少し驚き、そして隣に立つ志村を見て、笑顔を浮かべて話しかけてきた。
「なるほど。二人は乗ってない、わけだな」
よっ、と声を出し男は立ち上がる。
予想通りのマイペースっぷりに多少困惑しつつも手塚が口を開ける。
「確かに、俺達は戦いに乗ってはいない…だが何故そう言い切れる?」
「無防備な所を襲ってこなかったし、少なくとも話は通じると思ってね。丁度腕立てしてたくらいからかな、君達に気付いたのは」
手塚と志村は男の発言に言葉を失う。自分達が見つけた時には、或いはもっと前に既に二人にこの男は気付いていたのだ。
そしてそれでもトレーニングを続けていたのはつまり奇襲されても自分は大丈夫という自信があるわけで…
注意力や実力、それに自分の身を危険に晒せる心の強さ。ほんの少しまであった馬鹿かもしれないという考えは完全に吹き飛んでいた。
手塚よりも先に志村は気を持ち直し、笑顔で手を差し伸べる。
「すごい人ですね…僕の名前は志村です。よろしく…えぇと」
「ヒビキです。よろしく、志村」
シュッ、と右手で敬礼のような動きをした後に、ヒビキは差し出された手を握った。
「俺の名前は手塚だ。よろしく、ヒビキさん」
「おう、よろしくな手塚」
ヒビキは手塚とも握手する。その態度に志村は心の中でほくそ笑む。
(こいつは利用できそうだな…手塚よりは厄介そうだが…)
志村の内心を知ってか知らずか、ヒビキはマイペースにデイパックの中からタオルを取り出し顔に浮かんだ汗を拭いていた。
「そういえば二人に聞きたいんだけど途中で男女のカップル見なかったかな?」
ヒビキの質問に二人が顔を見合わせる。手塚は首を横にふり志村が答えた。
「いえ、僕たちはC−5の方から来たのですが…残念ながらヒビキさんの言うような二人組は見ませんでした」
そっか、と言いつつタオルをデイパックに仕舞い込む。その拍子にペットボトルが一本ころころと転がった。
「おっと…」
「あ、僕が拾いますよ」
ほんの1メートルほど転がったペットボトルを志村が追い、拾い上げる。
「ところで、その二人組とヒビキさんは…」
志村が振り返ると、丁度ヒビキが手塚と志村の間に立っていた。
その顔は温和なままだが、どこか違う。その身にまとう雰囲気が、違っていた。
「ヒビキ、さん?」
ヒビキの行動に手塚が困惑する。何故自分と志村の間に立つのだろうか?まるで自分を守るかのような…
一方の志村もまた困惑する。おかしい、何かがおかしい。このペットボトルはまさか…わざとデイパックから転がせたのか?
「しかし、手塚は似てるな、一文字と。一文字の事なんだ、さっき話した二人の内の一人はさ」
「…また一文字か」
ヒビキの言葉に手塚が苦い顔をする。それほどまでに似ているなら一度顔を合わせて見たい物だ。
志村もまた顔を苦くする。手塚と似ている顔という事は、つまり――
(ヒビキは、俺が危険な男だと気付いている…っ!)
冷や汗が身体をじとっと濡らす。このタイミングで話すという事からも、分かりきっている。
一文字から知らされているのだろう、自分の顔や特徴などを。そしてもしも詳細を教えられているなら、まずい。
(手塚への説明と矛盾が起こる…っ!)
手塚には一文字と自分との戦闘は…自分と似た誰かと一文字が戦い、その途中で自分と、自分と似た誰かが入れ替わった、そのように話した。
だがもしもヒビキが詳細を知っているなら、食い違いが起こる。手塚に話した内容ならば、まず始めに攻撃を受けたのは自分のはずなのだ。
だがあの時攻撃したのは自分から。これはあまりにもおかしすぎる。それにもう一つ…
(変身したら、まずいな)
これは確実にまずい。変身した姿も恐らく一文字は伝えているはず。これをすれば…完全にアウトだろう。
なんとか、なんとか上手く言い包められないだろうか、必死に頭を働かせる。長く沈黙すれば、肯定したも当然だ。
♪
「…どうしたんだ?志村」
「…っ!」
ヒビキが不思議そうな顔でこちらを見つめる。ふざけやがって…そう思って志村は唇を噛み締める。
支援
取り残された手塚はなんとなく不穏な空気と、ヒビキが自分とよく似た男…一文字と知り合いという事から事態を察知する。
「もしかして、志村を疑っているのか?ヒビキさん、それなら安心してくれ。一文字を襲ったのは志村に良く似た誰かなんだ。
その戦いの途中でその志村に似た男と志村が入れ替わり、結果的に志村と一文字は戦ってしまったんだ」
志村は手塚の不用意な発言に顔を苦くしたが、その後のヒビキの反応で思わず笑顔になりかけた。
「…そうなのか?志村」
「…えぇ、一言二言話したと思ったら…僕も決して冷静とはいえない状況でした…一文字さんには、申し訳ないことを」
どちらが先に襲ったか等ははぐらかすように、手塚の発言を肯定する。
本来なら手塚に説明した言い訳をヒビキにもすべきか迷っていたのだ。或いはそれだけで完全に破綻してしまうのだから。
だが手塚のおかげで話は自分の都合の良いほうに進んでくれそうだ。まったく馬鹿様様だと志村は心の中で笑う。
「志村、一つだけ聞きたいんだが、一文字は変身していたか?」
「…いえ、していませんでした。それで素顔を見ることができたのですが…」
そうか、と答えヒビキは黙り込む。何を考えているのだろうか、先ほどの質問の意図は?
志村がその意図に気付く前に、ヒビキが手を差し伸べる。出合った時のように――
「わかった、すまなかったな志村、疑ったりして」
「いえ、あの時僕が冷静になれなかった事がそもそもの間違いだったんです。もう二度と、あんな間違いはしません」
笑顔で志村は握手に応じる。表面も内心も笑っていた。上手く乗り越えることができた、その安堵から。
* * *
(難しいところだな)
笑顔の下でヒビキは悩んでいた。即ち志村を信用するか否かを。
いや、志村が嘘をついている可能性は高い。あくまで可能性だが。
一文字が変身していなかった…そして志村に似た男と戦い、その途中で志村と入れ替わった、という事らしい。
だが疑問が生ずる。つまり一文字はその志村に似た男と変身しないで戦ったのだ。
何故かはわからないが連続して変身する事ができない、その事にヒビキは気付いている。
だから変身を解いて、志村と遭遇してまた変身したという可能性は無いと言える。
変身しないで戦うという事はその志村に似た男もまた変身しなかった、という事のはず。
だがそれならつまり一文字は一方的に押さえつけられるはずの変身をわざわざ行なわずに…
その志村に似た男が逃げ出すまで生身で付き合ったと言う事になる。
つまるところ、一文字は説得しようとしていた、という可能性がある。つまりは冷静。
そんな男が丁度入れ替わった志村と対峙した時にこれまたタイミングよく『よーし変身するぞー』となったというのか。
一応、有り得ない話ではない。怪我をして逃げ出した男を今度は逃がさないために、変身して確実に捕まえるという事も無くはないが…
ポロポロと、ボロが出てくる。だがこれらは全て『一文字が真実を話した』という前提で成り立っている。
考えたくはないが、一文字が嘘をついた可能性もある。あるいはただ単純に無用な事と思い、話さなかっただけか。
もしも前者なら、ハナが危ない。そんな嘘をつく男なら『すまない、ハナを守りきれなかった…』等と自分達には言いつつ裏では…
だがあの別れる時のあの眼。そんな事をする男だとは思えない。思えないが…
後者ならば、まぁまだ納得はいく気はしないでもない。だがそれなら、危険人物とは教えないはずだ。
『混乱しているだけのはずだ、話せばわかるはずだ』と言う筈。途中で変身して、戦ったとしても、
志村と似た男と志村が入れ替わるまで長々と変身せずに付き合った冷静な一文字がいるとするならば、だが。
志村が嘘をついている。これが最もシンプルで分かりやすく納得がいく話だろう。
一文字が嘘をついているのならば殺し合いに乗っているということであり、
それならば何故志村に似た男と戦う際に変身して戦わなかった?という疑問が付きまとう。
限りなく黒に近い志村にそれでも手を出さないのは…これ以上暗躍させないためだ。
(このまま放置させると…とんでもない事になるかもしれない…ここで倒せる、という保障もない。
それに手塚の事も放置できないからな…)
どういうわけか手塚は志村の事をかなり信用しているようだ。とすると今下手に刺激するのはまずいだろう。
ヒビキは志村という爆弾を抱える事を覚悟し、志村を受け入れる事にしたのだった。
* * *
和解したヒビキ、志村、手塚の三人は木の下で休んでいる。
何故わざわざそう大きくもない木の下で休んでいるかと言えば…
「あーあ、ついに降りだしちゃったか…」
ヒビキの危惧した通り、空はこらえ切れずにポタポタと小雨が降り始めたのだった。
だが日の光は雲の隙間から覗いているし、これから晴れていくかもしれない。悪化する可能性も十分あるが。
「風も吹いているしなぁ…多分通り雨だとは思うんだけどな」
「だといいですね…このまま悪化すると厄介ですね」
「なにより、一文字という男と合流するのが難しくなりそうだ」
手塚の言葉にヒビキはポンと手を打った。
「そう、それなのよ。一時的だとは思うんだけど、この雨のせいで二人の足が鈍る事もあるかもしれない。
それに周りの状況を確認しづらいし、もしかしたら合流地点を勘違いするかもしれないわけでさ」
ヒビキとしてはなんとかして一文字、ハナと合流したい。それがこの場所にきたそもそもの目的ではあるわけだし…
(一文字と合流して話していけば…おそらく手塚も志村が嘘をついているという事を信じてくれるはずだ)
手塚を納得させ、志村を拘束する為にも一文字とは合流したい所だった。
「迷い所なんだよねぇ…このままひたすら二人を待つか…或いは雨が降る中で二人を探すか…」
「僕としては、二人を探した方がいいと思います。確かに雨の中で動くのは危険ではありますが…何もしないよりかは」
志村としてはむしろ一文字達と合流するわけにはいかない。この状況なら下手に動く方が合流できる可能性は下がるだろう。
だからこそ動きたいのだ。だが志村の提案にもヒビキは「そうなんだけどなぁ」と適当に相槌を打つだけだ。
(駄目だ、俺の提案は恐らくヒビキは受け入れない…くそっ、やっぱりまだどこかで疑っているのか?)
多少なりとも信じてくれていると思っていたヒビキが自分の言葉を受け入れない事に志村は苛立つ。
もっとも、当のヒビキは志村の事を少しも信頼せず、表には出さないで警戒していたが…
「俺にいい案がある」
黙り込んでいた手塚が口を開き、デイパックから紙とペン、それにライターを取り出す。
「何する気だ?」
ヒビキの質問を無言で返し、手塚はペンの上に何か絵のようなものを描いていく。
描きあがった絵は…何かの記号なのだろうか。見たこともない形だった。
「占いだ。ここを動くべきか、動かないべきか…それを占う。安心しろ、俺の占いは当たる」
妙に自信満々の手塚にヒビキは眼を細めた。ここで占いが出たかぁ、という複雑そうな表情は心の中にしまって。
「雨に濡れるとまずいな…ちょっと囲んでくれ」
手塚の言葉にヒビキと志村は渋々従い、濡れないように紙を守る。その様子に満足したのか、手塚は紙に火を点けた。
雨降る木の下で、大の男3人が燃えていく紙をしゃがんでじっと見つめている。怪しいな、何してるのかな。
火は意思を持っているかのように動き、紙の中央に描かれた絵を真っ先に燃やしていく。何か燃やしてるのかな?
紙が全て燃え尽きると手塚は眉間を手で押さえ込んだ。あれ?見たことある顔かも。
「どうした手塚。占いの結果は?」
ヒビキがただならぬ様子の手塚を心配する。
「…占いの結果は、すぐに、いますぐにこの場を離れるべき。そう出ている」
「随分と強調しますね…手塚さん」
「へぇ、そんなことができるんだ面白いね、リントは」
有り得ぬ4つめの声。ヒビキと志村は飛び上がるように後ろに顔を向け、手塚はどこか観念したような様子で顔を上げた。
「やはり、遅すぎたんだな…俺の占いはやはり当たってしまうのか…」
雨に濡れる事を気にもせず、真っ白な服を着た青年は値踏みするようにそれぞれの顔を見ていく。
「ねぇ…一文字、風見、城戸、志村…誰か知ってる人いない?」
「志村は…僕です。あなたは一体…」
志村が一歩踏み出し、青年の前に立つ。何故だろうか、身体が震える。
「お前の声…どっかで…」
ヒビキは青年の声をどこかで聞いた気がして、考え込む。極最近に聞いた事があるような、そんな気がして。
「…できれば、関わらない方がいい」
手塚は自分の占いを信じ、青年とは関わらないようにヒビキと志村に勧める。どこかその声は震えている。
「…へぇ、君が『仮面ライダー』…君は、僕を笑顔にしてくれるかな?」
青年が、姿を変える。混ざるどころか、全てを飲み込むような白さで全身が包まれた異形の存在。
ン・ダグバ・ゼバ。究極の闇を齎す存在は、仮面ライダーと出会えた喜びに身を震わす。
「あの時の白い奴か!」
ヒビキがその姿を見てようやく声の持ち主を思い出した。何も出来なかった歯がゆい記憶が頭を過ぎる。
「…っ!ダグバァッ!」
手塚はまるで仇を見つけたかのように吼え、ライアのカードデッキをかざす。
「…最悪だ…っ」
志村は小声で思わず愚痴る。目の前の存在。彼こそ自分の策の中心である白い怪物。彼には思う存分暴れてもらいたい。
だから今ここでこうして対峙するのはまずい。かといって見逃す事も見逃される事もなさそうだ。
(なんで俺を指定するんだよっ…!)
拳をわなわなと震わせ、考える。城戸という名前を挙げた点で、何人か思い当たった。
(本郷かっ!もしくは橘か剣崎か!くそっ!チクショウ、どこまで俺の邪魔を!)
ともかくこの場をなんとか凌ぎ切る。
やれるはず、自分も無事で尚且つこの白い怪物ダグバも無事に終るような…そんな結末までなんとか導く。
慢心からなのか…或いは焦りからなのか。志村は自分の策に意固地になり、ダグバと戦う事を決意する。
変身したらヒビキに怪しまれる?構わない。未来の可能性よりも今が大事だ!今は変身すべきだ!
倒すのではなく、逃がすための戦いを。難しいが自分ならやれる。その自信を頼りに――
「やってみせる!」
決意を言葉に出し、意識をハッキリとさせ、グレイブバックルを取り出す。
「「変身っ!!」」
降り注ぐ小雨から現れた虚像が手塚の身体に重なり、その姿を赤紫の鎧に包まれた戦士へと変える。
グレイブバックルにカードをラウズさせ、電子音声が鳴り響くと同時に黄金色に輝く光の板が志村の眼前に現れ、その身体を通過していく。
その身体は王者の気品さえ漂う金色。黄金の騎士と赤紫の戦士が並び立つ。
変身を見届けると、ダグバはゆっくりと歩き出す。それに立ち向かうように黄金の騎士、グレイブがグレイブラウザーを振り上げ、走り出す。
赤紫の戦士、ライアはカードを一枚取り出し、エビルバイザーへと差し込む。
虚空から何かの尻尾を模したような鞭が現れ、それを手にグレイブの後に続く。
二人にワンテンポ遅れたヒビキは懐から音角を取り出し、近くの木を軽く叩く。
キィンと心地よい音が広がるのを見届けると自らの額へとかざす。身体に鬼の力が漲っていく。
「ハァーー……ッ」
ヒビキの身体を炎が螺旋を描いて包み込む。衣服が無くなりその身体が異形な姿へと変わっていく。
「ハッ!!!」
炎を払い。変化した事を確認する。ごつごつとした体。見る者によって赤くも紫にも黒にも…様々な色に見える不思議な色をした姿。
清めの音を叩き鳴らす鬼、仮面ライダー響鬼。
「…なんであの時変身できなかったんだ?」
首を傾げつつ「ま、いっか」と呟き、腰に装着された音撃棒・烈火を両手に持ち、くるりと回す。
「いくぜ白童子!」
グレイブとライアを追い越さんとする勢いで鬼が走り出した。
* * *
「エヤァッ!」
「タァッ!」
グレイブの黄金の剣が正面から、少し横からライアの鞭がダグバに向かってくる。
「…」
ダグバは左手でまるで摘むかのように斬撃を受け止め、右手で虫と同じように鞭を払いのける。
「クッ…」
ギリギリとグレイブが力を込める。その力に押されて少しずつ剣先がダグバの眼前へと迫っていく。
(片手でこれか…!だが、やれないことはない!)
グレイブは内心ホッとしている。もしも自分の予想に反してダグバが弱かった場合『白い怪物』として暴れられるかどうか不安だったのだ。
だがこの力なら大丈夫のはず。あとはいかにして逃がすかだが…
ドスッと鈍い音がして、よろよろとグレイブがダグバから離れる。暇になったダグバの右腕がグレイブの腹に拳を打ち込んだのだ。
強いが、耐えられないわけではない。なんとか上手く誘導を…グレイブは再び剣を掲げる。
「ハァッ!」
響鬼がダグバとグレイブの間に割り込み、音撃棒の連打をダグバの胸へと叩き込む。
ダグバがその威力に押され、後ろに下がる。響鬼は仮面の下で眉をひそめた。
(おかしい、手ごたえがないぞ)
響鬼は追撃はせずに構えたまま、ダグバと距離を開ける。
「何してるんです!一気に畳み掛けないと!」
グレイブがダグバへと突っ込んでいく。その時、響鬼はダグバの眼が光ったような気がして、走るグレイブを咄嗟に弾き飛ばした。
弾き飛ばしたのとほぼ同時に、紅蓮の炎が響鬼の胸を焼き、吹き飛ばした。
「「ヒビキさん!」」
グレイブとライアが叫ぶ。響鬼は音撃棒を軽く振り、無事をアピールした。
無事を確認するとグレイブは再びダグバへと突っ込んでいく。
「借りるぞ!」
ライアがそう叫び、カードを先ほどと同じようにエビルバイザーへと差し込む。
――COPY VENT――
グレイブラウザーが電子音声と共にぶれだし、浮かび上がった虚像がライアの手に移ると実体となり、もう一つのグレイブラウザーが現れた。
ライアは新しく生まれ出でたグレイブラウザーを振り上げ、グレイブと同時にダグバへと切り込む。
ガキィと鈍い音がした。
ダグバが左手でグレイブの剣を、右手でライアの剣を受け止めたのだ。
「このまま押し込むぞ、志村!」
「…っ、えぇ!」
グレイブとしてはこの状況はまずい。ライアは手加減などする訳もなく、間違いなくダグバを仕留めてくるだろう。
なんとかしてダグバと自分が一対一の状況にしなければ…
(…悪く思うなよ、手塚)
* * *
両手で二つの剣を受け止めつつダグバは内心ガッカリとしていた。
(つまんないな…これじゃ僕を笑顔になんて到底無理だね)
そろそろ終らせようかな、そう思い始めた時に感じた違和感。
(どういうつもり?)
グレイブの剣が自分から見て右側…要するにライアの方へと動かそうとしているのだ。
それは見た目にはわからない、実際に受け止めていないとわからない僅かな変化。気付いているのはダグバだけ。
まるで受け流してくださいと言っている様なものだ。どこか、嘗められているような気がした。
* * *
(なんか、やばくねぇか?)
ようやく立ち上がった響鬼はそう感じた。何か、雰囲気が変わったような感覚を。
(いい加減気付け!こうしてるのも楽じゃないんだ!)
グレイブはいつまでも自分の意図に気付かないダグバに内心苛立っていた。
だがようやくその意図を感じ取ったのかダグバはグレイブの剣を力に従うように、ライアの方へと払った。
「ぬぅっ!」
「手塚ぁっ!」
ライアの身体をグレイブの意図的な誤爆の剣が切り裂き、予想外の出来事に響鬼が叫ぶ。
その勢いに不意をつかれたのも相まって、ライアは吹き飛ばされながら変身が解除されていった。
手塚が右腕を抑えて呻く。上腕から溢れるように赤い血液が流れ始めていた。
グレイブは自分の策が上手くいった事と同時に不安を感じた。異様に力が強かったのだ、ダグバの力が。
「…馬鹿にしてるね、君」
吹き飛ばされた手塚を呆けたように見つめるグレイブに冷たく、重い声が突き刺さる。
――違う――
そう感じた。あまりにも違いすぎるプレッシャー。自分はこんな怪物と対峙していたのかという事実を肌で感じ取る。
「うぅわぁっ!」
半ば狂乱気味にグレイブラウザーを振り下ろす。狙いが定まってはいないが、力だけは込められた斬撃を。
簡単に受け止められた。先ほどと同じ展開。だが明らかに違う。
ミシリ、と音がなる。ダグバの左腕で受け止められたグレイブラウザーにヒビが入り悲鳴を上げ始めているのだ。
「…ばけもの…」
「そうだね、ばけものだね。そんなばけもの相手に…リントが手を抜くっていうのは駄目だと思うよ」
静かに、添えるようにダグバの右腕がグレイブへの腹部へと触れる。
グレイブが悲鳴を上げる間もなく、先ほど響鬼に向けた物とは明らかにケタの違う炎が、零距離でグレイブを襲った。
声とも分からぬ声をあげ、グレイブ…いや志村が宙を舞い、落ちた。グレイブバックルも今の衝撃でどこかに弾き飛ばされたようだ。
一部始終を見ていた響鬼は、自分が震えていることに気付く。
「とんでもないのを相手にしてるわけだ…ハハ…」
自分の見立てでは3人で掛かってようやく拮抗か少し有利、そう考えていた。
違っていた。甘すぎた。
死ぬ気で、気力を尽くし、今ここで燃え尽きる。言うなれば死ぬ直前の火事場の馬鹿力の3人で、ようやく五分か…
「ふぅー…」
息を一つ吐き、響鬼は覚悟を決めた。鬼になったからにはいつかはこういう日がくるという事は理解していたからだろうか…
覚悟を決めたと思うと不思議と震えは止まり、体中に熱い力が漲ってきた。それでいて心は水のように穏やかな。
未だ降り続ける小雨では決してこの熱い力を冷ます事はできず、また、心の水に波紋を起こすことも決して無い。
「よっしゃぁ!」
再び響鬼は走り出す。その勢いが衰える事は決して無いだろう。
ゆっくりとダグバは瀕死の志村へと近づいていく。志村はまだうめき声を上げ、震えている。
近づいて、気付いた。志村の口から流れる緑色の液体。それは小雨に流され、志村自身に拭われ、誰も気付く事はなかったはずのもの。
今こうして、冷静に観察できるダグバだからこそ気付けた。緑色の液体。
(だから…?)
この男がリントじゃないから、自分を嘗めていいという理由にはならない。
自分よりも遥かに劣る存在である癖に、まるで自分の方が上位と思い込んでいたこの男は…
「駄目なんだよ…そういう事は」
ゆっくりと右手をかざす。志村はその動きに恐怖したのか、ダグバから離れようと必死にもがいている。
こんな情けない奴に怒りを覚えたのか?とダグバはふと思ってしまった。
切っ掛けがあれば途端に感情は冷めていく。だが冷めた所で、やる事に変わりはない。
「じゃあね…」
そう呟いて右手に力を――
力を放つ直前に何かに縛られる。というよりも、右半身に何か張り付いている。
何か模様の描かれた丸い物。なんだこれは?と疑問に思うダグバの視界に入るのは振りかぶる、鬼。
「音撃打・猛火怒涛の型!!」
――ドドン!――
「はぁ〜っ!」
――ドン!ドン!ドン!――
音撃棒を不規則に叩き込み、連続して清めの音を叩き込んでいく。
清めの音が奏でられるたびに、ダグバの身体が震える。清めの音は多少なりにもダグバに対して効果的であるらしい。
だが響鬼には関係無い。ただ無心に、清めの音を叩き込む、それだけ。
「はぁ〜っ、だぁっ!」
――ドドン!――
両手の音撃棒、阿吽を同時に叩き込み、トドメの一撃が鳴り響く。
その衝撃でダグバは火炎鼓の拘束を振り切り吹き飛ばされていく――
戦線を離脱していた手塚は傷の痛みに呻きつつ、自らのデイパックの元へと歩く。
そして中からマシンガンブレード取り出し、構えていた。いつでも響鬼の援護できるように。
だがその必要も無い事を見届けると構えていたマシンガンブレードを地に下ろした。
ずるずると木に背中を預け座り込む。仇を自分の手で取れなかったことが少しだけ悔しいが、それでも構わない。
再び顔をあげる。恐らく響鬼が志村を介抱しているか、或いはこちらに向けて喜びの意を表しているかもしれない、そう思い顔をあげる。
響鬼はただじっ、とダグバが吹き飛ばされた方を見ていた。その姿に油断はない。
何故だろう。ダグバは倒したはずなのに。何故?
響鬼が見つめる先に、ダグバがゆっくりと立ち上がっていた。
「すごいね…右肩にひび…君、面白いよ」
手塚は目の前の光景を信じられず、マシンガンブレードを構える事すらできない。
何かを拾い上げたダグバと、無言の響鬼をただ眺めていた。
「君なら、僕を笑顔にしてくれるのかな?」
「…さぁな」
響鬼の視線はダグバにではない、ダグバが握る物に注がれていた。
「…あぁ、これ?ちょっと試してみようかなって…リントの力を、ね」
ダグバは青年の姿に戻ると手にしたそれを腰に当て、カードを差し込んだ。
金色の光の板がダグバの身体を通り抜ける。少し前にも見た光景。
違うのはその光に、金色の鎧に包まれていく中身だけ。
響鬼も、地に伏せたままの志村も、少し離れ眺める事しかできない手塚もその光景を眼にしていた。
「…ふぅーん、なんか妙な感じだね」
自分の身体を眺めながらダグバ…いや、グレイブは呟く。
「これは…別の力?そっか、借りて戦ってるんだ……あぁ、そういえば青い仮面ライダーと似てるかも」
グレイブがどこに仕舞っていたか、何枚かカードを取り出し一枚を残して腰横のケースに仕舞いこんだ。
瀕死の志村の眼が見開かれる。
(ラウズカード…っ!あいつがなんで持ってるんだ!)
「えーっと…これを…あれー、どこに入れるんだろう」
グレイブがグレイブラウザーをいじり、カードをラウズしようとしている。当然、響鬼がその隙を逃すわけがない。
「はぁーっ!」
「あっ、ここか」
響鬼が音撃棒を振り上げ、叩き付ける。その動作の間にカードはラウズされ、電子音声が響く。
――TACKLE――
光の固まりが自分を襲ったと、吹き飛ばされた響鬼は感じていた、だがグレイブの体勢と電子音声から体当たりだったのだと気付く。
(それにしたって…初期動作も何も無い所からいきなり…あれかぁ)
ふらふらと立ち上がりタックルを受けた箇所に触れると激痛に呻き声をあげる。
不意打ちという事もあったが、ダグバの手加減されていたとはいえ炎を直撃した箇所だ。痛まない方がおかしい。
…と、傷に触れて気付く。右手に何も握られていないのだ。握られているはずの音撃棒が。
どこだどこだと首を振り音撃棒を探す。しかし見当たらない。
支援
その間にもグレイブは別のカードをラウズする。何が起こるかという期待感を募らせつつ…
――ABSORB――
ピピピとグレイブラウザーに表示された数字が増えたが、特に何も起きる様子はない。
「…ハズレかな」
音撃棒を探しまわる響鬼に向かおうとして…志村がうめき声をあげたのでグレイブはとりあえず先にそちらに近づく事にした。
グイと左手一本で志村の首を掴み持ち上げる。志村は抵抗のつもりかもがいているが、ただ芋虫のように蠢くだけだ。
「ねぇどんな気分?自分の武器でこうしてやられて、どんな気分?」
もしかしたらグレイブはこの時笑顔だったのかもしれない、だがその表情はすぐに曇る。
志村の口が動くのだ。声にはなっていないが、何を言いたいのかわかってしまった。
――ほんきを だせば――
ぶんと志村の身体を放り投げる。その時に志村の身体の一部が当たったのだろうか…
ホルダーに仕舞いこんでいたカードが志村と共に辺りに散らばった。
吹き飛ばされた志村はいやにギラギラした瞳をカッと見開き、大げさに四肢を広げ宙を舞い、地面にめり込んだ。
その全てが演技に見えて…グレイブはカードを回収を後回しにして大股で志村に近づき、グレイブラウザーを振り下ろす。
――ガキィン――
金属と金属がぶつかり合う音が辺りに響く。グレイブの剣は紫色の戦士の剣により、受け止められていた。その姿は――
「…誰?」
グレイブの剣は、予期せぬ剣士に受け止められていた。
* * *
音撃棒を探し回る響鬼。その間にグレイブはこちらへと近づき、途中でどういうわけか志村の元へと近づき、首を持ち上げながら絞めている。
手塚は自分にできることを咄嗟に考え、ライアのデッキを再び小雨へと振りかざす。
しかし何の反応も返さない。何度変身と叫んでも、変わらない。
他にできることといえば響鬼をサポートする事だ、と判断しデイパックの中に埋もれた剣を響鬼に手渡そうと掴む。
と、掴んだ手にまるで待っていたかのように小さな影が手塚の腕にしがみ付いてきた。
「なっ!?」
咄嗟に腕をぶんぶんと振るうが、その影は離れることなくしがみつき、右手に握られた剣へと近づいていく。
冷静に見てみればそれは機械で作られた…ザリガニ?と思ったが今こうして右手をつねっている所を考えるにサソリらしい。
今度は正解だったらしく機械の紫サソリは尻尾と両手のハサミを振り上げ、何かを手塚に伝えようとしている。
よくよく見れば今握り締めている紫の剣とこのサソリはどこか似たような作りに見える。もしかしたら…だが。
手塚は紫サソリ、いやサソードゼクターを掴み、剣の持ち手の収まりが良さそうな所に取り付けようとして…止まる。
「…いいのか?俺で」
左手でもがくサソードゼクターは何も答えない。だが逃げようとしない所を見て、肯定と受け取る。
「…すまん、力を借りる」
今この場で戦える力がまだある事を、手塚は素直に嬉しく思う。
「運命は、俺が守る!変身ッ!」
―――HENSHIN―――
ライアの変身とは違う、細かな粒子が重厚な鎧を作り出し、手塚の身体を覆っていく。
その様子に気付いた響鬼は素直に驚いていた、それと同時に、まだ自分達は戦えるという意思が燃え上がってくる。
「ヒビキさんはトドメを!足止めは俺がやります!」
「手塚…オッケー!任せろ!」
サソードは紫の鎧とオレンジ色に光るチューブをギシギシと軋ませながらグレイブの元へと駆けて行く。
いつのまにか志村は地面に倒れこんでおり、グレイブは黄金の剣を振り上げていた。
間に合え、間に合え…手塚は心で祈るように呟き、その呟きは声になる。
「間に合え!」
――ガキィン――
金属と金属がぶつかり合う音が辺りに響く――
* * *
ギリギリと、グレイブとサソードの鍔迫り合いは続く。
だがサソードは寝そべっており、体勢はあまりにも不利と言える。
あのまま普通に走れば間に合う事はできなかったろう。
サソードは咄嗟に野球のヘッドスライディングのように飛び込み、本当のギリギリでグレイブの剣を受け止めたのだ。
こうして志村も自分も無事な事を素直に喜ぶべきなのだが…
「そっか…君はあの鞭のライダーの方だね。つまんない奴かと思ってたけどそんな切り札があるなんてね」
グレイブはギリギリと力を増し、押し込んでくる。サソードは力でなら負けていない、或いは勝っていたかもしれないが…
体勢が不利な事、手塚が右腕に深い傷を追っている事等、悪い要素が重なり、少しずつではあるが確実に押されていた。
だがサソードにとって今重要なのはほんの少しでも長持ちさせることだ。ともかく時間を――
「手塚、待たせた!」
グレイブの右半身に再び巨大な火炎鼓が現れ、その身を拘束させる。
ようやく音撃棒を探し当てた響鬼が再び清めの音を叩き込まんとグレイブへと迫る。
グレイブが驚き、一瞬緩んだ隙にサソードは転がるように抜け出し、志村を抱えて少しでも遠くへと…歩き出す。
右腕から流れ出す血は決して無視できる度合いではなく、確実に手塚の体力を消耗させていた。
その消耗した状態でギリギリの鍔迫り合いを行い、手塚の身体は限界に間近。
それでも巻き込まれないよう、志村を抱え必死に歩く。
あとほんの数センチ…響鬼は手塚達が安全な距離まで離れるまで、時間にしてほんの数秒だけ、グレイブへの音撃が遅れた。
グレイブはその数秒の間にダメージを最小限に済ませる方法を探し出し、辺りに散らばったラウズカードを目だけで見やる。
(あれなら、あのカードならきっと…)
カードは裏になっていた物も当然あるが、目当てのカードは表になっておりすぐに見つけることができた。
グレイブは自由な左足を地面に叩き付け、その衝撃でラウズカードを宙に浮かせる。
「音撃打・爆裂強打の型ぁっ!!!」
同じく自由な左手で目当てのカードを掴み、すぐさまラウズさせる。身体を包み込むように広がる異質な感覚。
その感覚のさらに上から、強烈な清めの音が繰り出された――
ドォンッ!!
「っ!」
響鬼の両手に伝わる異質の感触。生身の身体相手にこのような手ごたえはありえない。
見ればグレイブはその衝撃に吹き飛ばされ…ていない。拘束された体勢のまま、1メートルほどずれたように動いただけだった。
金色の鎧は光沢を増したかのように輝き、明らかに何かが変わっている。
「青い仮面ライダーも…使ってたなぁ、このカード…ふふ」
グレイブがラウズしたカードは、スペードの7『トリロバイトメタル』。このカードでグレイブのボディを金属に変え硬度を上げた。
清めの音が金属に対して効果が薄いのかどうかはわからないが、結果としてグレイブはほとんどダメージを受けることなくこの場を凌ぎきったのだ。
「せっかくだから…これも使っちゃおう」
必殺の一撃を簡単に受け流され、呆然としている響鬼の前で、散らばったカードを悠々と拾い上げ、その中から3枚のカードをラウズする。
――KICK――
――THUNDER――
――MACH――
――Lightning Sonic――
3体のアンデッドの力がグレイブへと蓄えられ、その身体からは青い稲妻が放電している。
グレイブラウザーを地に刺し、右足を後ろに下げ、両手を広げながらゆっくりと腰を沈める。
「ふふ…ライダーキック」
響鬼へとグレイブは駆け出す。
そして勢いよく飛び上がり、蹴りこむ体勢は緑のリントと同じ構え。
自らに蹴りこんだ3人の仮面ライダーそれぞれのキックをグレイブなりに複合させた物を…響鬼に蹴りこむ。
逃げ切れないと悟った響鬼は咄嗟に両手に持った音撃棒を交差させ、少しでも防御しようとしたが…
折れた音さえ響く事はなく、あっけなく音撃棒は仲良く割れるように折れた。
遮る物が何も無くなったグレイブの右足は響鬼の胸に突き刺さり、衝撃や青い稲妻…全てを注ぎ込み、その身を吹き飛ばした――
先ほどまで手塚が座り込んでいた木の隣の木に、突き刺さるように響木は叩き込まれていた。
意識を失ったかのように前のめりにどしゃりと倒れこむ。泥が跳ね、未だ降り続ける小雨が響鬼を濡らす。
「…壊れちゃったかな?」
変身が解けていない所を見ると恐らくはまだ意識はあるのだろう。だがそれでも響鬼が立ち上がる事はない。
「…ま、今はそれよりも…」
グレイブは地面に突き刺したグレイブラウザーに手をかけ――
「こっちだね」
「っ!」
素早く引き抜き迫ってきていたサソードの刃を受け止める。
「遅いよ。疲れちゃったの?やっぱり君はつまらないね」
「くぅっ!」
事実、サソードは遅かった。体力は消費していたし、慣れない変身の姿というのもある。
だが何よりも鎧のようなものが無駄に重かった。これさえなければまだまともに動けるはずなのだが。
身を守るという意味では頼もしいが攻める事に関して言えば邪魔としか言えない。取れそうな所がまた憎らしい。
しかしそれでもサソードがやるしかなかった。自分しかいないのだから。
本当なら響鬼がやられる前にこうして妨害できればよかったのだろうが…
響鬼の劣勢に気付き、駆け出した時には既にグレイブはキックの体勢に入っていたのだった。
重い体が憎らしい。鎧が脱げれば、もっと早く動ければ…
そんな思いが目を曇らせたのだろうか?グレイブが新たなカードを取り出しラウズする事を見逃してしまったのは。
――MIGHTY――
黄金の光がグレイブラウザーに纏わりつき、発生した重力場の影響でサソードの力がガクンと抜ける。
抵抗の弱くなったサソードをグレイブが乱暴に斬りつける。胸に赤い一文字が描かれ、手塚はその場に前のめりに倒れこんだ。
変身が解除されサソードゼクターは手塚の周りをおろおろと動き回る。その間にも少しずつ、赤い水溜りが手塚を中心に広がっていく。
――サソードゼクターは震えた――
――鎧を脱ぎ去る事も誰よりも早く動く事も自分には可能だったのに――
――その方法を自らの主に伝える事ができず、良いようにやられる主の姿に――
――悔しさともどかしさから、サソードゼクターは人知れず震えた――
グレイブはふと空を見上げた。そろそろ止まないかなぁ、この雨。そんな事を考えて。
もはやこの場には自分に敗れた3人のライダーだけ。少し楽しめたが…本当に少しだ、楽しみ足りない。
どうするか考え…とりあえず自分を嘗めたリントではないライダーを殺そうとグレイブは動こうとして、止まる。
小雨は止み、ほんの少しだけ覗いた晴れ間が、彼を…仮面ライダー響鬼を照らしていた。
「しつこいね…そういうしつこさは嫌いだよ」
グレイブはグレイブラウザーを地面に刺し、杖のようにして両手を乗せる。
響鬼は何も答えず、荒い息を吐きながら短い不恰好な短剣を構えている。
「はぁ…もういいよ。君は結構楽しめたし。そこのライダーも見逃してあげるよ。殺すのは奥のちょっと焦げてるのだけ」
「させない…」
グレイブは大げさに空を見上げ、そしてため息と共に顔を伏せた。
「…じゃ、さようなら」
グレイブはグレイブラウザーを引き抜き、響鬼へと走る。
朦朧とした意識の中で、響鬼は夢を見た。ほんのつかの間の夢を。
* * *
「ヒビキさん」
夢の中で少年が自分の名を呼んでいる。見覚えはないはずなのに、どこかで引っかかる。
「君は…」
少年は答えず、ただ自分を見つめている。知らないはず名前が口からこぼれた。
「たけ…し…猛士…猛士!」
少年が微笑んだような気がした。
「それ、響鬼さんの為に…使ってくれますか?」
「あぁ、ありがたく使わせてもらう、サンキュー!猛士!」
「…はい!」
* * *
「へぇ…本当に…リントの戦士は面白いね」
グレイブの目の前で不思議な事が起こっている。見てくれの悪い短刀が光を発し、刀身が伸びているのだ。
見てくれも引き締まり、赤と銀で構成された刀は素直に美しいと言える。
「…アームド…セイバーだ…」
響鬼自身も驚いている。先ほどの夢が関係しているのだろうか?ただの短刀がこうしてアームドセイバーへと変化している。
超能力や催眠術でも掛けられてるのか、と一瞬疑いたくなるが、そんな次元の話じゃない。
猛士がくれた希望なのだ。猛士の事は知らない。だが、知っている。そんな矛盾。
しかしそれでも尚、繋いでくれた希望なら自分が引き継ぐしかない。
アームドセイバーを口元に寄せ、呟く。
「響鬼、装甲…っ!」
両手でアームドセイバーを構え、流れ出す力を直に感じる。
この場全てを清めるかのような音が鳴り響き、自分の身体を――
――バチッ――
場違いな音が小さく鳴った。
それが自分の首輪から鳴ったものだと響鬼が気付いたとき、アームドセイバーから流れ出す力が自分を弾き飛ばした。
以前にも似たような出来事はあった。初めてアームドセイバーに使おうとしたときに拒まれ、同じように弾き飛ばされた。
だが今の自分はあの時とは違い、更に鍛えられている。なのに、何故?響鬼は呆然と足元に転がるアームドセイバーを見つめている。
――参加者が知りえない首輪の制限に、上位フォームへの制限というものがある――
――クウガのライジングやアメイティへの変身、ギルスのエクシードへの変身等が主な対象だ――
――つまり道具を用いずにより強力な姿へと変身者への制限。それはつまり、響鬼の紅への変身も制限していた――
――響鬼の装甲響鬼への変身を塗装に例えるならば…響鬼という素材はあり、アームドセイバーというトップコートもある――
――だがベースとなるべく響鬼紅が制限され…素材に直接トップコートを施してもそれはすぐに剥がれ落ち、無意味に終るのだ――
――例え話なので剥がれ落ちるという表現を用いたが実際には変身すら行なえずに響鬼は弾き飛ばされた――
顔の変身が解け、身体に漲る鬼の力が弱まっていく事もヒビキは感じていた。
なんだこれは?希望と思い掴んでいった、手繰り寄せていったものは全て無意味に終る。
何から間違えたんだ、俺は?装甲響鬼に変身しようとしたから?あのタックルの時に、音撃棒を落としたから?
さらに遡れば…手塚の占いを聞いて即座に動かなかったから?いや、そもそも俺の決断がもっと早ければ…
どうしてこうなるんだ…熱い力も冷めていき、心の水も津波が起こったかのようにゆらゆらと揺れている。
妙に寒いと思えば、小雨が身体を湿らせ体温を奪っていっていた。変身が解けて全裸になって、晴れたと思った小雨もいつの間にかまた降りだした、か。
ハハ…とヒビキは笑っていた。小雨のせいなのか絶望の涙なのかも判らない水で頬を濡らし、笑っていた。
グレイブ…いや、既にダグバは変身を解いていた…ダグバもまた、小雨に濡れながら笑う。
目の前のあまりにも惨めなリントの姿に、絶望に打ちひしがれ、おまけに全裸だ。笑わない方がおかしい。
その笑みはヒビキとは違い、嘲笑と呼べるが、ヒビキもダグバも気にしない。お互いただ笑っていた。
「ふふ…ねぇ、なんて名前なの?鬼のリント」
「リントぉ…?俺は…俺はヒビキって言うんだ…」
よろしく、と小声で呟き、右手を弱く敬礼のように振る。
「残りは…?志村と…」
「手塚、だ。もう好きにしろよ…」
ハハと笑いながら、ヒビキはちらりと視線を横にずらす。先ほどまで手塚が倒れこんだ近く。
開けっ放しのデイパックには何か銃のような瓢箪のような物が…その近くには赤いカードデッキが泥にまみれて濡れていた。
(あれも同じなんだろうなぁ…)
もしかしたらあれを使えばダグバを倒せるかもしれない、そんな希望。
だがその希望も掴んでしまえば無意味に終るのかもしれない。それならばいっそ…
『響鬼さん』
少年の、猛士の声が聞こえた気がした。ほんの少しだけ熱がこもり、心も落ち着きかける。
(ちょっとちょっとちょっと、どうしちゃったんだよ俺…俺は鬼なんだぞ!人を守るのが鬼の仕事だろ!
それなのにもう好きにしろだの…希望がすぐ絶望に変わるって…おかしいって絶対!
そりゃ…そうなるかもしれないけれど…それでもやらないよりかは!そうだ、仮に変身できなかったとしてもあの銃を使えば!
使い方?銃なら引き金があるはず、それを探し出せれば!)
ようやくヒビキの目に力が戻りはじめる。後はダグバの隙をつけたら、だが…
そのダグバは既に自分に背を向け、歩き始めていた。
「なっ…!?」
ヒビキは迷う。これはチャンスなのか、それとも罠なのか。
迷う間にもダグバは離れていき、手塚の側を何もせずに通過し、振り返る。
「ねぇヒビキ。クウガに伝えて。君の友達の青いライダーの力は僕が大事に使ってあげるって!」
「クウガ…!?」
聞きなれない名前。名簿にも載っていなかったと思う名前。再びヒビキは悩みだす。
再びダグバは背を向け歩き出す。ヒビキは声を上げようとするが、声が出ない。
もしかしたらこのまま全員見逃してくれるのかもしれない、そんな甘い考えのせいで。
今、この状況で変身できれば勝てるかもしれないのに、その希望も、自らの甘い考えへの僅かな執着心で無くなりつつある。
(今を見逃したら…次はない…)
なんとなくそう感じている。動け、動け。冷えた身体に命令し、立ち上がろうとして、再びダグバが振り返る。
「それと…志村が起きたら伝えて。次は本気でやれって。君もリントならね…リントなら…って。ふふ」
そう言い残してピクリとも動かない志村の側を通り過ぎ…いつしかダグバは見えなくなっていた。
ダグバが去ってしばらくの間、ヒビキは動けなかった。小雨がヒビキの身体をずぶ濡れにしていく。
ふと足に痛みを感じ、頭を動かす。紫色の機械のサソリが、脹脛を小さなハサミでつねっていた。
「そうだ!手塚、志村!」
全裸のまま走り出し、志村と手塚の二人を雨が凌げそうな場所まで担いでいく。
疲れきった身体は悲鳴をあげているが、それでも動くしかない。ヒビキはともかくがむしゃらに動いた。
手塚のデイパックの中に救急箱があったのは本当に幸いだった。自分の予備の服や水等を用いて、二人の傷を治療していく。
どこもかしこも不恰好で見た目は非情に悪いが効果は少なくともあるはずだ。
手塚の傷は酷い。応急処置を済ませたとはいえ、胸の横一文字の傷や右腕の傷からの出血が酷く、輸血が可能ならすぐにでもすべき状況だろう。
志村の傷もまた酷い。全身に無数の傷があり、首に残る手の形をした痣も痛々しい。何よりも酷いのが腹部の火傷だ。
もはや炭化しているのでは、とも思えるほど酷く…ダグバの本気での炎の火力を物語っている。
そんな中所々目に付いた鮮やかな緑はなんだろう、と思ったが草の仕業だろうと考え気にしない事にする。
そして最後に、右腕にしっかりと握り締められた何かが気になった。
ヒビキはどうにかこうにかその手を広げ、中身を確認する。グレイブが使っていたカードのようで、ハートのKと描かれていた。
「志村…すまない…すまない…っ」
ぎゅっ、とカードを握り締め、志村に謝罪する。
志村はあの状況になってもそれでも少しでも自分達を助ける為に脅威となるであろうこのカードを密かに奪っていたのだ。
仮に戦いに乗っていたとしたら、こんな行為はしない。ばれればすぐにでも殺されてしまう、危険な行為なのだから。
手塚だってそうだ。傷だらけになっても、それでも希望を信じ、不慣れな姿で戦った。
サソードゼクターがキシキシと動き、手塚の頬や耳をつねっているが、目覚める気配はない。
「俺は…何をしているんだ…」
本来なら守るべき者であるはずなのに、守られてばかりだ。
何のための鬼なのだろうか、自分はなんのために…
再び足元に痛みを感じる。サソードゼクターが足の小指をつねっていた。
「…そうだな、このままじっとしていた所でしょうがない。二人を病院に連れて行くのが俺のやるべき事なんだ。
悩むのはいつだってできる。…ありがとな、紫サソリ」
しゃがみ込んでサソードゼクターを撫でようとすると尻尾とハサミを振り上げ、威嚇された。
「ハハ…まぁ、そう嫌うなよ。お前がいなかったら俺やばかったかもしれないしな…」
よし、とヒビキは立ち上がり。ぱんぱんと頬を叩く。
いつのまにか小雨は再び止んでいた。相変わらず空には雲がいくつか健在でまた振り出すかもしれないが…
「二人は必ず俺が守る。いや、二人だけじゃない。皆、俺が…鬼が守ってみせる!」
ヒビキは決意を新たなに気を引き締める。右手には赤いカードデッキ。そして左手には――
「…移動の前に服着ようか」
――着替えの服。
【日高仁志(響鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北】
[時間軸]:最終回前
[状態]:全身に疲労、顔面に傷、腹部に中度の火傷、背中にダメージ、精神的に疲労、二時間変身不可(響鬼)
[装備]:変身音叉・音角、音撃増幅剣・装甲声刃、カードデッキライア
[道具]:基本支給品一式(着替え1着と元の服を含む)、野点篭(きびだんご1箱つき)、釘数本、不明支給品×1(確認済)折れた音撃棒×2
【思考・状況】
基本行動方針:出来るだけ多くの仲間を守って脱出
1:志村、手塚の治療の為、迂回しつつ急いで病院を目指す。
2:ダグバは放置できない。
3:真司と風間に対する心配。
4:もっと仲間を増やす。
5:あすか、どうしたのかな。
6:手塚と志村は信頼。志村を信頼したから一文字を疑うというわけでは無い。
7:猛士、紫サソリ、ありがとう。
※猛士の剣は音撃増幅剣・装甲声刃に変化しました。
※装甲響鬼に変身するには響鬼紅の制限が解除されないとできません(クウガ、ギルスと同じ制限)
※ン・ダグバ・ゼバを危険人物と認識しました。
※折れた音撃棒は木を使えば多少品質が落ちますが修理が可能です。
※変身制限に疑問を持っています
※志村から一文字(R)と志村に瓜二つな敵が闘っていたという話を聞きましたが信じていません。
【手塚海之@仮面ライダー龍騎】
【一日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北】
[時間軸]:死亡直後
[状態]:胸に一文字の大きな傷。右上腕部に斬撃による傷。全身に疲労とダメージ。二時間変身不可(ライア、サソード)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、マシンガンブレード@仮面ライダーカブト、サソードヤイバー @仮面ライダーカブト、強化マスク
【思考・状況】
基本行動方針:運命を変えないように何としても城戸を守り抜く。
0:気絶中…
1:志村の力を借りて城戸の協力者のグループに参入し城戸の力となる。
2:自分にそっくりな男、一文字(R)への興味。出来れば本郷(R)の死を伝える。
[備考]
※城戸が自分と同じ時間軸から連れてこられたと思っています。
※その為、城戸が死ぬ事は運命を変えられなかったことに相当すると考えています。
※川は下流に向かって流れていきます。
※サソードゼクターに選ばれ、仮面ライダーサソードへと変身できます。
※仮面ライダーサソードのキャストオフ、クロックアップの方法を知りません。
※簡単な応急処置が施されていますが、ちゃんとした治療を行なわないと危険な状態です。
※本郷の言葉から一文字隼人、風見志郎、ハナ、志村純一、クウガ、ダグバの事を知りました。
※放送を聞き逃したため、スマートレディの言った参加者の蘇生に関しては知りません。
※携帯にデータがのこっていたため、死亡者と禁止エリアについては知っています。
※志村から一文字(R)と志村に瓜二つな敵が闘っていたという話を聞き、信じています。
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
【1日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北西】
[時間軸]:47話、クウガアメイジングマイティに勝利後。
[状態]:脇腹に刺し傷、胸部に蹴りによるダメージ、右肩に清めの音によるダメージ、二時間変身不可(戦闘体、グレイブ)
[装備]:グレイブバックル
[道具]:基本支給品×3 ラウズカード(スペードA〜9、ハートQ)、サバイブ『疾風』
【思考・状況】
基本行動方針:究極の闇を齎す。
1: 究極の闇を齎す。
2:強くなったクウガ、龍騎、響鬼、ライア(サソード)と再戦 。
3:『仮面ライダー』と思われる一文字隼人、風見志郎、城戸真司と戦う。
4: 志村は次も本気で来ないのならば容赦しない。
※自身の戦闘能力に制限がかかっていることを何となく把握。
※志村が人間でない事を知りました。
※ハートのKが無くなっている事に気付いていません。
※どこへ向かうかは次の方にお任せします。
* * *
あの時、志村はダグバがラウズカードを使うのを見て、もしかしたら、と思ったのだ。
Kのカードがダグバの持つカードの中にあるかもしれない、無くても使えそうなカードを所持しているのは間違いないはず。
だが自分はまともに動けない身、とするならどうするか?不意を突く事も相手が相手なので難しい…
――ABSORB――
(Qのカード…っ!いや、Qならまだいい。だがKのカードがあるかもしれないんだ…今を逃す手はない!)
自分にできる事は見っとも無く這いずる様に動くか、呻き声をあげることそれだけだ。
これでダグバの注意が引けなければそれでお終いだが…幸か不幸かダグバはその動きに気づき、締め上げるように自分を持ち上げてきた。
この体勢は正直願ってもいない体勢だ。あがくふりをしながらグレイブの腰に掛けられたカードホルダーを蹴り上げ、散らばるようにする。
ここまでは問題ないが、ここから先が難しい。まずダグバが自分を投げ飛ばしてくれるか、これが難しい。
そのためにはダグバを怒らせる必要があるが、いい加減呼吸も苦しくなり考えもまとまらない。
いっそジョーカーへと変身してしまおうか…そんな考えがよぎり、口が自然と動いた。
それがどう動いたのか、自分がどんな言葉を紡ぎ出そうとしたのかは知らないがダグバは自分を投げ飛ばそうとしているらしい。
力を振り絞り、右足でカードホルダーを蹴飛ばし、投げ飛ばされるのと同時にラウズカードも宙に浮かせる。
最後の最後。普通の人間では不可能な、アンデッドだから、ジョーカーだからこその動体視力で宙を舞うカードの絵柄を一枚一枚確認する。
(スペードの2…いらない。スペードの8…悪くは無いが却下。なんだこのカードは?パス。
スペードの9…もう時間がない、ここらで妥協か?あれは…ハートの…!)
多少不自然だろうと疑われようと構いはしない。
志村は両手を広げ、ハートのKへと手を伸ばす。手首を倒し、丁度ダグバの死角になった手の内でKを掴む。
掴んだ。後は地面に転がり込むだけ。指を倒し、Kを決して離さないようにして衝撃に備える。
鈍い衝撃が身体を揺さぶり、意識が朦朧とする。それでも手の内にはカードの…Kの感触。
誰かが近づいてくる気がしたがそれがダグバだとしてもどうしようもない。手塚やヒビキがなんとかしてくれると『信じて』やろう…
志村は新たなKが手に入った喜びで笑顔を浮かべた後に…意識を失った。
【志村純一@仮面ライダー剣・Missing Ace】
【1日目 現時刻:お昼】
【現在地:D-5エリア北】
[時間軸]:剣崎たちに出会う前
[状態]:腹部に重度の火傷、首に絞められた跡、全身に疲労とダメージ、二時間戦闘不可(グレイブ)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ラウズカード(クラブのK、ハートのK)@仮面ライダー剣、蓮華のワイヤー内蔵型指輪@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
基本行動方針:人間を装い優勝する。
0:気絶中…
1:移動して集団に紛れ込む。(市街地に拘らない)
2:橘チーフに合流。
3:『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』『桜井侑斗は危険人物』という情報を流す。
4:ヒビキ、手塚を利用する。一文字とは合流させたくない。
4:誰にも悟られず、かつ安全な状況でならジョーカー化して参加者を殺害。
5:他の参加者の戦力を見極めて利用する。自分の身が危なくなれば彼らを見捨てる。
6:『14』の力復活のために、カテゴリーKのラウズカードを集める。
[備考]
※デネブの放送について(長田が聞いた範囲で)知りました。 また桜井侑斗は危険人物(?)、デネブは生きていると考えています。
※志村は橘から『仮面ライダーブレイド』の存在は聞いていますが、ライダーシステム資格者が『剣崎一真』という事は知りません。
ですが、志村は此処に連れてこられる前に独自に調査を行い、剣崎一真がブレイドであるいう事、彼の顔なども知っています。
※城戸、本郷(R)に『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』『桜井侑斗は危険人物』と話しました。
※『自分の協力者、長田結花が東方の人間に協力を求めるために行った』と城戸と本郷に話してあります。
※長田結花は市街地の方へ向かったと思っています。
※手塚に一文字(R)と闘っていたのは自分ではなく自分に瓜二つな男だと話しました。
※簡単な応急処置が施されていますが、ちゃんとした治療を行なわないと危険な状態です。
以上です。ご指摘よろしくお願いします。
支援してくださった方、代理投下して下さっている方、本当にありがとうございました
----
以上で代理投下終了です。
「希望と絶望と偽りの顔」並びに「枯れぬ策謀」の修正を要求します。
リレー前の話「枯れぬ策謀」において、志村は手塚に一文字やその他の人々に
自分の偽物と一文字が戦っていたという話をさせようとしており、今回投下された話の展開と食い違っています。
これは志村が言っていた話の内容を勘違いしているためだと思われます。
志村を襲ったのは勘違いしていた一文字ではなく、逃げてきた偽物の志村であるということを分かりやすくし、
それを踏まえた修正をすべきです。
TV基準ならギルスは制限以前に時間軸の都合でエクシードになれないのでは?
馬の激情なんかも
投下乙です
RID氏
まさかの金居脱落w狡猾そうなだけにもっと生き延びると思ったのに。
そして侑斗に赤カードとはw今後が楽しみだ。
deg氏
相変わらずダグバTUEEE、そしてサソードキタw
勝てる人いるのかw惚れ惚れする強さだダグバw
前投下とそれなりに時間も空いたので、投下したいと思います。
D-8エリアに佇む薬局は、一言で表せば寂れていた。
南の都市部や、東のジャンクション駅周辺の並びとでも比べてみれば、人気の無さは一目瞭然と言うやつだ。
わざわざこの様な場所を訪れて薬を買っていく人間は多くないだろう。
都市部にてその存在を誇示している病院の周りには、顧客を取り合う複数の薬局が存在しているのだから。
ガラス張りの自動ドアによって外部と隔てられた店内には、山と積まれた市販の薬品や、テレビのコマーシャルで一日一度は目にする様なメーカーの栄養ドリンクが並ぶ。
この店は経営者宅も兼ねていたらしい。店の裏側には一般世帯の住む住宅に見られる基本的な玄関が存在した。
更にその上部を見上げればベランダが存在し、衣服から下着、バスタオルに至るまで洗濯物が干されたままだ。
それらから察すると、経営者には妻――経営者が女性ならば、夫――がいたらしい。
子供も暮らしていた様だ。ワンポイントで飾られた純白の靴下が何組か干されている。
小学生か、中学生か。参加者へ配られた地図にそれらの通うべき建物の名は明記されていないが。
都市部に存在こそするものの小規模故記載されていないだけか、あるいは殺し合いの行われている範囲の外に存在しているのか――
――主を失った薬局の居住区で看病を続けていた緑川あすかと、その看病によって再起した葦原涼には、関係のないことではあった。
◆
時は数十分前に遡る。
不完全である「ギルス」の力を行使した代償で、涼は深い苦しみへと意識を落とした。
それをデルタへの変身で得た力によって担いだのがあすかだ。
デルタは涼を担いだまま店内に入り、営業スペースを越えて居住区へ入る。
直後に目に入った階段を見据え、上り始めると、程なくして二階へと到達した。
階段が軋んだのに僅かな動揺を覚えながらも、テレビの前に設置されたソファを見つけ、涼を横たわらせる。
変身を解除すると、土足のままであることに気付き、急いで靴を脱ぐ。
目に付いた箪笥を手前に引いてタオルを取り出し、涼の額に浮かぶ汗を拭う。
呼吸の落ち着きを確認すると、必要最低限の処置を行った上でキッチンへと向かった。
ガラスのコップを取り出し、濯いだ上で改めて水を注ぐ。
すぐに歩を返すのだが、既に涼はソファに腰を掛け直していた。
「涼、もう大丈夫なの?」
「ああ、何とか……な。 ……すまない、俺が不甲斐ないばっかりに」
視線をあすかから己の右手へと落とした涼。
その姿を見るのが辛くて、あすかもまたコップを置いたテーブルに視線を滑らせた。
「涼……謝るのは私の方よ。 ……私の為なんかにこんな風に苦しんで……」
「言ったろ、すぐに収まるって」
あすかには、涼が見せた笑顔の半分以上が、本心からのものでは無い様に思えるのだ。
無理をしている。こちらに無理をさせまいと。顔色だって悪いままだ。
それを受け入れようとあすかは決意した。そうさせることでこれ以上の無理を彼にさせずに済むのであれば。
「そうだ……お腹、空いてない? ……私は大丈夫だけど、涼は戦ったりしてるし」
涼の顔から笑みが一度失せ、改めて作られた微笑から返答が帰ってくる。
「ここに連れて来られてから、一度食事は取ったんだ。 ……とびきり旨い、カレーをな」
「そう……なら良いんだけど、カレーなんて誰が……あっ」
純粋な好奇心から、あすかはカレーを作ったのが誰かということを聞こうと思った。
聞き始めたところで、疑問が一つ発生。こんな場所でカレーを振舞う様な間柄の人が、何故涼に同行していないのか。
一度言葉を詰まらせて、ようやくその人物がこの場にいない理由を推測することができた。
思い出を振り返る様な、涼のその微笑の意味も。
「あの人が……立花って人が作ってくれた。 だが、立花さんは奴に……殺された……」
微笑すらも吹き飛ばして、涼は拳を握り締める。
その様子を目の当たりにして、あすかは自分を恨めしく思った。
大切な人を奪われた悲しみは、誰よりも分かっていたつもりだったというのに。
言葉を掛ける間もあすかに与えず、涼が立ち上がる。
「俺は、仇を取りに行く。立花さんの様な被害者を、増やさない為にも……」
アンノウン・風のエルの様な巨悪を討つことが、罪の無い一般人を守ることへと昇華されていく。
心に溜めていた決意を言葉として形作る。今度は間が生まれた筈なのに、あすかは涼の眼差しを前に口を開けない。
涼は階段を駆け下りて、出口となる玄関を探す。二、三度辺りを見渡してそれを見つけると、音も気にせず外へと出る。
店前のカブトエクステンダーに座り込み、グリップに引っ掛けられたヘルメットを手に取る。
アクセルを開き、走らせようとするが、エクステンダーに誰かの手が乗せられる。
その重さに振り向くと、今にもあすかが後ろへ乗ろうというところであった。
もはや会話をする必要もなく、お互いを沈黙という形で気遣う二人を乗せてカブトエクステンダーが再び疾走を開始した。
◆
汚れの無い瞳が見渡したこの空間は、澄み切っていた。
たった数秒、「見渡す」という行為の最中だけを切り取れば、風谷真魚はこの場に存在し続けていたいとすら思ったかも知れない。勿論、ただの強がりなのだが。
当然、この場に至るまでの過程が省かれることは無く、彼女が目に、心に焼き付けたいくつかの事実が消え去ることもまた無いだろう。
それらを考慮した途端、「この場にいても良い」などという考えは朽ち果てた。
結局のところ、真魚の存在していたい、いたくないという意思に関わらず、空間は彼女に滞在を強要するのだ。
強要に耐え切れず、「この場から消え去りたい」という思考に走ってもみた。
結果的に現状考えついた「消え去る」方法が命を絶つ、という以外に存在せず、より心苦しい思いをしただけだったのだが。
結局のところ、「死」という選択肢を回避した場合、強がらなくては、押し潰されてしまうと気付いた。
真魚は木にもたれ掛かる男に目を向ける。彼が自分を守ってくれた理由は未だに分からない。
殺し合いを行っているこの場で、何の戦力にもならない存在の面倒を見る――どこにメリットがあるのだろうか。
もしかしたら、それもこの状況に抗う為の彼なりの人間としての強がりかも知れない、と僅かな希望を寄せる。
そしてこう考えた。本当にそうだとしたならば、自分も彼を、彼の場所を守ろう。自らと同様強がっているだけの存在を。
――それもまた、澤田が悪意を秘めているという可能性を否定する為だけの強がりだということに、真魚はまだ気付いていないのだが。
真魚が再び澤田の顔を覗き込む。何度目になるのか本人も意識していない行為だ。
そろそろ声を掛けてみようかと息を一際多く吸ったところで、閉じられていた瞳が素早く見開かれた。
「もう、移動しても大丈夫?」
元々疲弊していたのは澤田の方で、真魚はここまで運んでもらった側だ。拒む理由などありはしない。
真魚が頷いたのを確認すると同時に澤田は背を木から離し、傍らのデイパックに手を引っ掛ける。
設定時間を知らせる目覚まし時計のベルの如き音を振り撒きながら、飛来したダークカブトゼクターが二人の間を飛び回る。
ほんの少しその軌跡を追った後、膝を伸ばして立ち上がると、彼は取り出したカイザドライバーを腰に巻き出した。
移動を再開するにあたり、他の参加者と居合わせた際に先手を取ることができる状態を作るのは重要だ。装着が完了したところで、澤田は西に向けて歩き出す。
東のジャンクション駅周辺は自分達が引き起こした惨状を考えるに、滞在できる環境に無い。
列車の利用を始めた新たな参加者と合う可能性は勿論、先程戦った相手と再会してしまう可能性もある。
澤田には真魚を伴った状態で自分と同等以上の参加者を倒す自信もなければ、先程のライダーとの戦いの際と同様の手段で離脱できるとも思っていなかった。
既に確定した死者の数から、ゲームに乗っている参加者は決して少なくないと判断できる現状、今は無理をするタイミングとは違う。
真魚がいる以上、常に爆弾を抱えているのに等しいのだ。自ら進んで導火線に点火する愚を犯す訳にはいかない。
だからこそ澤田は人気の少ないであろう中央、現在地から西を選択した。
――仮に参加者と鉢合わせても、それは脅威と成り得る存在ではないという確信も持っていた。
第一回放送を終え、各々の参加者が殺し合いに参加させられているということを実感し、それぞれの方針を固めたであろう現状。
この会場――島から脱出しようとする参加者達。彼らはまず自らを縛り付ける枷である首輪を解かなければならない。
首輪の解析解除に必要なのは知能だけではないだろう。然る可き施設でなければ、知識も、技術も活きることはない。解析に取り掛かる者は、そのことを良く理解している筈だ。
そして彼らが選択するであろう施設は、中央に点在する民家や廃墟に非ず。
支援
闘争を望む者、主催者――スマートブレインに抗う者達は、何れも獲物、協力者に成り得る存在を得る為奔走しなければならない。
彼らの照準に定まるべき地点は参加者が現れる、或いは滞在している可能性が高い場所。
則ち――都市部、ジャンクション駅、北部施設……やはり中央には非ず。
結論として、これから向かう地域に参加者が存在する場合、それらは首輪を解析する知恵も、他者を全て滅ぼそうとする狂気も、主催に立ち向かう勇気も持たない……或いは持てない参加者達であろうと推測ができた。
そんな者達を脅威と判断する必要はない……いや、してはならないのだ。
その程度の参加者達を脅威と見なして、この先生き残れるか? 言うまでもなくNOだ。
――もう一度、心に刻め。自ら望んでゲームに参加したことを。
――更に、思い出せ。一人でも多くの敵を自らの手で討たねばならないことを。
――そして、証明しろ。人間の心という呪縛から解き放たれた完全なオルフェノクであることを。
(今は、その時じゃない……)
澤田が数メートル歩いたところで、真魚もまた歩を進め始めた。
真魚は無意識の内に握り締めていたライダーパスを、デイパックの中へ戻す。
マニュアルも付属しておらず、使用用途の一切が不明な物をいつまでも持っていてもどうしようもない。
澤田に見せることもしない。一々余計な考えを増やさせる訳にはいかない、という考えだろう。
真魚の考えを知ることもなく、心の底から這い出して来るかの様に語りかける「完全なオルフェノクである自分」を一蹴した澤田。
彼は気付かない。現状のままでは自分の進路がどの様な結果を向かえるかを。
感情を捨てたオルフェノクではなく、感情に振り回される人間だと証明してしまうことを。
◆
道路沿いに木造のベンチが設置されている。
全部で四つになるそれらは、同じく木造のテーブルを四方から囲み、上部からの過度の光を遮断する屋根と合わせ、一つの休憩所を形成していた。
道には二台のバイクが横に並んで停められており、再度の始動に備えつつも、それぞれ一つずつベンチを利用しながら会話をしている四人の主を見守る。
「青い薔薇って、一体何々ですかね……何に必要なんだろう」
「知るか。まあ、流れから言えば奴が外したがっている首輪に一枚噛んでいるのだろう」
四人共通の疑問点である「青い薔薇」に関して最初に口を開いたのは、五代雄介だった。
交戦時研究所に所在した参加者の中では最も首輪の解除に近かった北條透を得る為に、他の参加者をわざわざ見逃した乃木怜治。
一刻も早く首輪を解除しようという思惑が透けて見える。そんな彼が「放送」、「首輪」と並べて指示に組み入れた「青い薔薇」。
放送は地図に示された都市部の放送塔で行うことができる。首輪は既に命を落とした者から拝借するか、……最悪他の参加者から奪えば良い。
しかし薔薇、それも青となると話は別だろう。通常の薔薇ならば市街地で花屋を見つければ良い話だったのだが。
何れにせよ、わざわざ戻る時間を遅らせる可能性を高めてまで指定してきた以上、薔薇に乃木の目的である首輪解除との関わりを見出せずにはいられない城光だ。
「……ただ私達が、戻って来れない様にするつもりなのかも……」
長田結花は誰にも聞かれない様に呟いたつもりだったのだが、予想に反して周りの三人は一時一句零さず耳に入れてしまった。
敢えて三人とも何かを言ってくることはないが、結花は口を硬く閉じて足元を臨む。
マイナス思考を繰り返している自分が嫌になっているのが分かる。
きっと三人も自分に失望しているのだろう、などと抱え込むものだから、尚更手に負えない。
これ以上雰囲気を悪くする訳にはいかないという局面で、イブキが今度は口を開いた。
「僕があいつを倒せてたら、こんなことにはならなかったんですけどね……」
口調こそ優しく、いつもの様にマイペースな雰囲気を漂わせての発言だが、僅かに違和感がある。
結花をこの状況に追い込んだ責任を背負い込んでいるのだ。
鬼として鍛えてきて、人を守る為の戦闘という面において自信が無いと言えば嘘になる。
それが二度に渡って視界の左に写っている一般人を守りきれず、正面の青年と右側の腕を組んだ女性に助けられることとなった。
本来は自分が行うべきその行動を、同じ様に守るべき人達に行われてしまっている事実に悔しさを滲ませる。
「そんなことありません。俺のせいです。 ……俺が、金の力を使えてたなら……」
「金の力?」
過去の敗北をいつまでも引き摺るつもりなど無い光にとって、前半の部分は必要ない。
気に掛けたのは、後半の部分。「金の力」の方だ。光が知り得る五代の変身した姿は、緑、赤、紫、青。
「敵の敵は味方」という理屈から共同戦線を張った僅かな間に、それらの特徴は掴んでいた。
(銃を使う緑。続く赤は、武器を持たないことからおそらくは肉弾戦仕様。事実飛び蹴りが決め技……
紫は剣を持ち、力に優れている。奴と長時間真っ向から渡り合っていた。青は棒を使い跳躍・瞬発力の強化。
赤、紫、青を踏まえれば緑に純粋な戦闘力は期待できない。武器からして管制能力か? しかし金となると……)
金と聞いて思い浮かんだイメージが、カテゴリーキングの力を使い擬似ジョーカーと化したブレイドの姿。
大剣で持ち、重厚な動きで場を制圧する。暴走したジョーカーを打ち倒す程の戦闘力。
これに及びこそしないが、五代は紫のクウガ――タイタンフォームで似た戦法をとっている。
故に光は五代の言う「金の力」がどの様なものか想像できないでいた。
「はい、少しの時間だけですけど、俺……クウガは電気が走ると今までの色に金が混ざって強くなるんです。でもここじゃ使えないみたいで」
「成る程、底上げと言う訳か。」
光は納得する。確かに五代――クウガは能力をそれぞれ特化させている様に見える割には、それぞれが圧倒的力を誇る、という風には見えなかったからだ。
それこそ前途のタイタンフォームが、ブレイドのキングフォームに劣ると感じた様に。
それぞれに「金の力」を使用した上位互換が存在しているのならば、通常状態の四色はあの能力でも十分だろう。
一つ解決されたところで続く疑問。「何故使用できないのか」。これの解決に関しては多くの時間は掛からなかった。
「……おそらくは、何らかの力で制限されているな」
「どうしてそんなことが分かるんですか?」
五代よりも早くイブキが返した。強化形態が本当に使えない。
もしそうならば、同じくこの島に連れて来られている鬼であるヒビキも苦戦を強いられていると想像ができてしまうからだ。
光は組んでいた腕を解いて、余ったベンチのスペースに置かれたデイパックに手を入れる。
硬質な二枚の、裏側が同じ柄をしたカードを取り出し、反転させて他の三人に表の絵柄を見せた。
「それは……」
「ブレイド……剣崎も本来これらのカードを使うことで、戦闘力を強化できた筈だからだ」
スペードのクイーン、アブソーブカプリコーン。同じくスペードのキング、エボリューションタランチュラ。
ブレイドがキングフォームへと成る為にはこれらのカードを必要とするのは光も承知している。
そして光の知る剣崎はこのカードを保有していた筈なのだ。だが、何故か所有していたのは結花であった。
このことに先程の五代の発言を絡め、戦闘時における強化形態を持つ参加者は、それを妨げられていると結論づける。
「剣崎……」
「あの、少し話を聞いてもらえませんか」
結花の表情が一層険しくなったのを見て、五代が口を開く。
そして話した。葦原涼や城光にして見せた様に。剣崎について、彼の最期について。
―――――――――
「…………話した様に、剣崎さんは他人を襲ったりなんかしていません。一体誰がそんなことを言ったのか、俺に教えてください」
「すいません。名前、聞かなかったんです……」
嘘だ。結花は偽の情報を流した人物の名を知っていた。
志村純一。漆黒の闇が幅を利かす時間帯だった為にハッキリとした状態ではその姿を結花は見ていないが、彼は間違いなく苦しんでいた。
今は話す時じゃない。そう心に誓い、「志村純一」の名を奥に潜めておく。勿論逆の様な状況にこれからなったとしても、志村には五代の名を教えない。
二つの話を聞いただけでは、結花はどちらが正しくてどちらが間違っているか判断のしようがないから。
真に正しく、信頼できる一方が決した時点でその正しい方に話そう、と。
「それで、まずは何から始めますか? 放送、首輪、薔薇……」
「場所が確定している放送に向かうのが定石だろう。奴の様なことを考えた他の参加者とも接触できるかもしれん」
少し時期外れの冷たい風が、辺りを吹きぬけていった。四人が立ち上がり、バイクへと歩み出すのは、それから数十秒後のことだ。
◆
一時間程度歩いてみて、他の参加者との邂逅が一切なかったことは、澤田にとって幸運だったかも知れない。
進路を定めてすぐ、出鼻を挫かれるということだけは避けたかったからだ。
左耳に付けたイヤホンの線を辿る様にして、視線は右耳にその片割れを取り付けてい「た」真魚へと滑る。
ようやく音楽を一人で聴いていたことを実感する澤田。この状態が何分続いていたかは定かではない。
それでも特に反応を示さない辺り、もう真魚はある程度立ち直った様だ。そう、それで良いのだ。
真魚の精神面をケアする必要がなくなり、同行者としての最低限の立ち回りさえ習得すれば、澤田は目的へと大きく前進できる。
その過程・結果が何を起こすというのは別にして、だが。
更に数分後。
しばらくipodへと委ねられていた澤田の聴覚に、唐突だが転機が訪れた。
それまでのものと明らかに異なった様相を呈する楽曲が流れ始めたのだ。
前奏からある程度の予想がつき、歌声が響いてしばらくすると、その曲のジャンルがいわゆる「ヒーロー」の曲だと判断できた。
その曲は澤田に冷えついた心には一切届かないのだが、何故か彼は曲をしばらく止めようとしない。
一番が終わった辺りでようやく曲を止め、ipodをデイパックに戻す。
その様子に気付いた真魚が画面を目で追う。既に一部が隠れて読みきれなかったが、目を細めた結果辛うじて「BLACK」という文字が見て取れた。
曲名の一部だろうか。特に聞きたいとも思わないので、それ以上は何かをする訳ではない。
静かな羽音を立てながら、二人の後方をダークカブトゼクターが舞う。
参加者ではないが、ゼクターもまた主催者であるスマートブレインの被害者と呼んで良いのだろう。
ネイティブによって望まずしてワームへと変化し、マスクドライダーシステムの被験者となり、
ハイパーゼクターの実験を強制され、似た苦しみを背負った少女と共に時空の彼方へ去ったパートナーを、ダークカブトゼクター―― 「彼」 は想う。
突然そのパートナーから時空を越えて引き離されて、彼を生み出したネイティブやZECTとは別の組織によって放り込まれたこの島。何の不幸か幸福か、彼が最初に目にしたのは一人の人間の死だった。
その男は偽りの仮面を纏わされた彼のパートナーと瓜二つで、恐らくは男もまた彼と同じ世界から来たのだろう。
驚くべきことに、男に使役されていた赤のゼクターは、彼の採用型――いわば、兄弟の様なものだったからだ。
実力も意思も覚悟も信念も勝っていた筈の男は、対峙した灰の異形の力を持つ青年が生み出した偶発的な罠によって敗れたのだ。
ベルトを得た青年に、赤の兄弟が手を貸すことは無かった。当然だろう、絶対的信頼を寄せていた主の命を奪ったのだから。
しかし彼は兄弟とは違った。青年へと興味を持ち、その様子をしばらくの間探る。
彼は知る由も無かったが、青年――澤田亜希が異形の力を手にした経歴も、彼のパートナーに近かったのだ。
そうして彼は、澤田が接触した一人の少女を手に掛けなかったのを見終わると同時に決意した。
――この男の行く末を見てみよう、と。
同胞――ガタックゼクターの主が、真魚を庇う澤田の姿に男の影を見ず、そのまま攻撃を行おうとしたならば、おそらく彼はその時点で力を貸していただろう。
結果的に多少遅くはなったものの、彼は澤田へと力を貸すことになった。
後悔はない。彼…ダークカブトゼクターは、前方を歩く二人の男女の生き様から、帰りを待つパートナー達の行くべき道を垣間見るのみだ。
二人と一機の視界がやや開けた。その百メートル程先に、小屋の姿が認められた。
◆
澤田達が目にした小屋の出入り口は、彼ら見える面の反対側に存在していた。
故に、玄関前へ停められたカブトエクステンダーの存在には気付かない。
そしてエクステンダーの存在は、小屋の中に彼らとは異なった男女が内在していることを示していた。
葦原涼と緑川あすか。改めて二人でエクステンダーに乗り込み、風のエルを打倒する為疾走していた彼らもまた、この小屋を見つけたのだ。
涼からすれば、放送の前に「未確認生命体と戦っている」と話した五代雄介が彼を看病してくれた場所でもある。
だからこそ涼は一度足を止め、この小屋に立ち寄ったのだ。勿論既に五代はこの場を後にしている。
――五代は無事だろうか? 涼は自問するが、すぐに良答を自分へと行う。
(人間でもアンノウンを追い払って、俺を助けてくれた程の男だ、死ぬ筈が無い……)
自分でも安心したことで、意識が遠のいていくのを感じる。
気絶などとは違う、純粋な疲れを鎮める為の、戦士の休息。
「涼!? ……そうね、戦ってれば、どんな強くっても疲れちゃうわよね……」
あすかは涼を起こそうとはしない。それが自分にできる最高の協力だと思ったから。
ほんの少しだけ、嵐の前の安らぎを。これから、どんな戦いが待ち受けているのかは分からないのだから。
邪魔をしない様別の部屋に移り、窓の外を見る。視界に写らない太陽が存在を主張すべく、あすかの瞳に広がる景色を照らしている。
その範囲内に、識別できないものが存在しなくなる程に――だからこそ、彼女は気付いてしまった。
「あれは………………っ!!」
横に並び、ゆっくりとこの小屋へと向かってくる一組の男女。
この殺し合いの中で、何とかここまで生き抜いてきた二人の若年者。
涼の理想通り、彼らのようなか弱い存在は守ろう――本来ならあすかはそう思考していた筈だ。
それは叶わない。帽子を深く被った青年が腰に巻いていてしまったから。
あすかの持つそれに良く似た、機械的なそのベルトを。
否応無しにあすかの中で燻っていた毒が滲み出る。瞳は狂気に染まり、腕は放置されていたデルタドライバーへ迷わず伸びた。
本来あの二人組の様な形で克彦の横にいる筈だった。何故自分はそうしていないのか。
どうして克彦を殺した男や偽者が生きているのか。再燃したそれらの怒りを、受け皿と化したギアは吸い取る。
デルタギアを意識したが故に、涼を守りたいという純粋な気持ちすら狂心へ転化させられた。
あすかは迷わず小屋の外へと出る。それを止めるべき男は、彼女の気遣いに甘えたまま目を覚まさない。
直後。狂戦士へと墜ち掛けている女は、小屋の間近に迫っていた二人と相対することとなった。
◆
「……」
澤田が警戒態勢をとる。おそらくは眼前の小屋、彼からは臨むことのできない百八十度反対に配置されているであろう出入口から出現したと思われる女に対して。
顔を見遣る。その両目は、間違いなく自分を狙っているのだと判断できる程に狂気へと染まっていた。
原因は何か――腰に取り付けられた、ベルトの形状をした凶器の存在一つで、澤田は全ての説明を行うことが可能だと気付く。
デルタギア。オルフェノクの王を守る為に生み出された最初のベルトだ。使用ウエポンや拡張性においては後続のカイザ、ファイズに劣るが、単純スペックならば上記の二つを凌駕している。
人間には使用自体不可能のファイズギア、使用は可能だが変身解除後、灰化によって身を滅ぼさせるカイザギア。
これらと違い、デルタギアは人間でも使用可能に加え、使用に伴い死に至る副作用が埋伏している訳でもない。
日頃から戦っているとは到底思えぬ、澤田達からも一般人の様にしか見えない女性が使用していたとしても違和感はないのだ。
腰に巻き付けたデルタドライバーを起動させる為、狂気に己を染めた女性――緑川あすかはデルタフォンを右手に握り締める。
そのベルトに翻弄され命を落とした過去の同胞達――流星塾生の何人かの顔を思い出しながら、澤田もまたカイザフォンを迷わず取り出した。反対の手では真魚を後ろに下がらせる。
例え女だろうがただの人間だろうが、先に戦闘態勢を見せたのはあすかの方だ。澤田に容赦の必要は――もっとも、相手に戦意が無くても参加者である以上行動は変わらないが――何一つない。
右手で押さえたリボルバー式の携帯を左手で回転させ、コード入力の為のボタン群を出現させる。
続けざまにコードを叩き込もうとしたところで、一瞬澤田がたじろぐ。ほんの一瞬、右手首から先が感覚を失った為だ。
続けてカイザフォンが弾き飛ばされる。これらの現象の原因が、あすかの左手から放たれた赤い電撃だと気付く。デルタの力に溺れた者が得る特典だ。
表立つ痛覚こそ無いが、澤田は文字通り威嚇された形となった。
「大人しくしてちょうだい……貴方達は危険。ここで死んでもらうわ」
澤田は、自分達が標的になった訳を理解した。
勿論、表面的な理由は既に分かっている。ベルトが与えし力に潜む毒――デモンズ・スレートに犯されているのだと。
問題はその先にある。
今まで幾人もの塾生――デルタに溺れし者達を葬ってきた澤田。その彼が見た限りでは、あすかの毒され方はかなりのものだ。
だがこの島に到着して半日と経っていない。二時間の変身制限を踏まえた場合、仮にデルタギアが初期支給だったとしても、変身回数は最大でも片手で数える程度。
しかし他者との遭遇回数が少なかったり、途中でギアを入手した可能性を考えれば、実際の使用回数はそれ以下とも見積もれる。
つまりは直接的な変身以外で、デルタの毒を広げた何かが別に存在している。
そしてそれが、自分と真魚が同行している現状だと澤田は判断したのだ。
あすかの狂気に見え隠れする瞳の奥の何かには、間違いなく澤田や真魚を純粋に羨む気持ちが間違いなく顕在した。
毒に濡れた今となっては、もはや嫉妬の念を引き立てるスパイスとしてしか機能しないのだが。
しかし狂った理由を推測したことと、止めることはイコールではない。それこそ口にした殺害を達成しなければ、あすかは落ち着かないだろう。
澤田は唇を噛み締めた。カイザフォンは既に弾かれ、ダークカブトのベルトはデイパックの中、残りの支給品も扱えるものでなく。かと言ってここでオルフェノク化する訳にもいかないのだ。
頼りは真魚の持つ銃だが、澤田がそれを要求するより早くあすかは握り締めたデルタフォンを口元へと添える。
336 :
名無しより愛をこめて:2008/07/18(金) 00:09:22 ID:xs0wtaR00
規制にかかったとのことです
「変身……………………………………どういうこと?」
「真魚ちゃん、銃を貸して」
あすかが慌てふためき始めた瞬間、澤田が対象を指定して静かに呟いた。
真魚がデイパックへと白く細い腕を突っ込み、あすかが澤田の意図を理解する。
「変身!! ……何で、何でなのよ!」
同一人物の連続変身へと設けられた二時間の制限時間。
本来そのシステムによって利を得ることが可能だった筈の一般人だったあすかが、このルールに縛られるのは皮肉だ。
後数分、この局面へ移行するのが遅れていれば話は違った方向へ進んでいただろう。
真魚がコルト・パイソンを取り出す。現在の装弾数は最大値の六発である。
あすかもこれを黙って見ている訳にはいかない。変身を諦め、電撃を再び放つ体勢に入る。狙いは「女から銃を受け取った後の男」だ。
澤田もまた相手の狙いを読むが、対処法が無い。撃つ為には受け取らねばならないのだ。真魚へと手を動かしながら必死に思案するが――――
発砲音と共に、二つの思考が停止する。一つは思考継続が不可能となった為。もう一つは思考継続の必要が無くなった為。
男の真正面に位置していた一人の女は、向かって右、左の胸を撃ち抜かれ、その場に仰向けで倒れこんだ。
男の左側に位置したもう一人の女は、右人差し指を引鉄に添えていた。
数十メートル離れた場所で安らぎに身を任せていた男は、未だ目覚めない。
情事の結果を把握し終えた男は、冷ややかに呟いてみせた。
(ただの人間の癖に、行き過ぎた力を持つからこうなるんだよ……)
「克…………彦……の……………為………に……も……ほん…ご……う………と……に…せ……ものを…………り……ょ…………う……」
緑川あすかが意識をブラックアウトさせる寸前、最後にどの人物の顔を見たのかは、誰にも分からない。
◆
五代がバイクを止めたのは、前方を疾走していた竜巻の、後部座席に乗り込んでいた結花が頭を突然抱え、それに合わせてイブキが停車を行ったのに合わせての好意だ。
素早くバイクを降り、光と共に竜巻へと駆け寄る。
「どうしたんですか!?」
「銃声…………が……」
他の三人が聞き取れなかった銃声を結花が捉えたのは、五感が高まったオルフェノクだと言うのに加え、彼女がここに来る前の状況から発砲を心底恐れていたから。
今にも泣き出しそうな結花をイブキが必死で宥め、直後光が片膝を付きながら結花に顔を近づけて尋ねた。
「方角は?」
「………………あっち……です」
俯いたまま結花が指刺す方向へ一同が向き直る。五代がハッとした表情で口を開く。
「このすぐ近くにある小屋は、あの方向でした」
「何故そんなことを知っている?」
「研究所に行く前、俺はそこで傷ついた人を看病していたんです」
「本当なら、誰かがいてもおかしくは無いですよね」
イブキの言葉を聞いて、結花の言葉を信じる方向で話が固まる。
光は五代からファムのデッキを受け取ると、結花に向かって差し出した。
「そこへ行けば戦闘になる可能性もある。持っておけ」
「………………」
首を横に振る訳でも、言葉で拒否している訳でも無いが、その姿にはハッキリと拒絶の意思が示されていた。
光は説得を続けようともせず、すぐに立ち上がる。態度が癇に障ったのだ。
「イブキ、結花を頼む」
「光さん?」
思わず五代が光に詰め寄る。この状況でチームを分けるのは、余りにも危険すぎると感じている。
光は険しい表情を歪めることなく返した。
「そいつは誰が見ても連れて行ける状況ではない。かといって銃声を放置するか? それはお前が一番嫌う展開だろう」
五代は返さない。確かに放置する訳にはいかない上、この状態で結花を戦闘に成り得る場所へと連れて行くのは危険すぎる。
意を決して光の背を追いバイクへと向かい、シートに跨る。
笑顔をイブキと結花に向け、サムズアップしながら話しかけた。
「必ず……戻りますから。何かあったら、連絡してください」
始動したバイクを見守りながら、イブキは考える。今はただ、結花を落ち着かせることが自分のするべきことだと。
◆
屋外故に充満はしないが、それでも血の、鉄の匂いは真魚を追い詰めるのに十分な威力を誇っていた。
声にもならない状態でしゃがんで泣き続ける。ぽろぽろと流れ落ちた涙は、死人の服を濡らしても血を薄くはしない。
澤田はただ真魚の背中を擦り、落ち着かせようと試みる。
未だに小屋の中で眠り続ける涼と、その存在に気付かない澤田の姿は、きっとこの島における神である主催者からすれば、さぞ滑稽に映ることだろう。
それでも、複数の強烈な音を絡みつかせているバイクの接近には、澤田も十分気付くことができた。
この惨状を拝まれることだけは阻止する。辺りに落ちていたカイザフォンを拾い上げるが、すぐにドライバーと共にそこへ落とした。
その物音に反応した真魚が見守る中で、澤田は血塗られたデルタドライバーを引き剥がし、腰に巻きつける。
次いで握り締められたままのデルタフォンも奪い取り、真魚に動かないよう伝えた上でバイクの接近方向へと向かう。
出入り口の方面だったことが幸いし、真魚達は死角となる。
到着したバイクから五代と光が降りるのと同時に、デルタフォンへ音声入力。
「変身」
――Standing by――
そして二人が口を開くよりも早く、右腰のムーバーと連結させる。
―――Complete―――
高出力の白銀が体を覆い、澤田を変化させる。
銃を連想させるフォルムを形成したデルタムーバーを取り外したところで、五代が状況を整理し終え、光の前へ立った。
デルタの右手が口元へ、五代の両手か腰へ、それぞれ向かい――
「ファイア」
「変身ッ!!」
――Burst Mode――
デルタムーバーからビームが連射され、左腰で両手を重ねた五代を襲う。
着弾音、小規模の爆発、散る火花。これらの事象が攻撃失敗をデルタに伝える結果となった。
生身の人間にビームを発射してこの様なことは発生しない。
案の定そこには、銀の鎧を紫のラインで縁取った戦士クウガが顕在していた。
「チッ…………」
「変身」
更に響く戦闘規模拡大を示す単語。城光が白のデッキをバイクのミラーに翳し、出現したバックルへとノーアクションで差し込んだ。
虚像が重なり、ファムへの変身が完了するのに合わせ、デルタは跳躍した。状況不利であろうと、ここで負ける訳にはいかないのだから。
クウガとファムがそれぞれの剣を構え、迎撃の構えをとり――――
◆
涼が目を覚まして最初に気付いたのが、火花が散る際に発生したけたたましい着弾音。
これが自分を起こしたものなのだろう。続けて、辺りを見回す。
ようやく守ると決めた対象――あすかが、部屋にいないことに気付く。
小屋の中に居れば自分を起こす筈だと判断し、外にいると結論を出したので、すぐに起き上がり、他の部屋へは向かわずに出入り口へ向かう。
玄関を僅かに開けた涼の目に映った光景は、彼の怒りを爆発させるのに十分なものだった。
以前雑誌で何度も目にしていた紫の未確認生命体第四号と、それに協力する白い鎧を纏った存在が、あすかの変身した姿であるデルタと交戦していたのだ。
形勢は百人中百人がデルタの劣勢と評するだろう。涼の両拳が握り締められる。
「やはりお前も……アギトと同じなのか……変身!!」
ドアを蹴飛ばす音に反応し、三人のライダーが揃って小屋のドアへ視線を伸ばした。
現れた緑のライダーは、止まることを知らない勢いで戦場へと己を駆り出す。
正に「怒涛」とでも表現すれば良いだろうか。
ギルスは構えをとったデルタの横を通り過ぎ、ファムの振るうバイザーを片腕で弾く。
狙いはただ一人。亜紀を手に掛けた外道、アギトに良く似た顔つきをした紫の戦士。
「ウォォォォォォォ!!」
鈍重な動きのクウガ・タイタンフォームが袈裟掛けにタイタンソードを振るうよりも早く懐へ飛び込んで右拳で一撃。
怯まないと判断して左拳をボディへと叩き込み、両脚で踏ん張って後方へステップ。
斬撃が空振りしたのを見て間髪置かず、咆哮と共に伸長した両腕のギルスクロウが鎧に傷をつけた。
体勢を立て直したファムが再びバイザーで切り掛かるが、ギルスはクロウを交差させてガード。
「逃げろ! 早く!!」
デルタへの言葉だ。澤田としてみれば、自分がギルスに守られる理由がない。
しかしこの好意は甘んじて受けるべきだろう。このライダーは強い。
いくら不慣れとは言え、デルタに変身した彼を押していた二人のライダーを圧倒しているのだ。
デルタはミッションメモリーをムーバーにセット、音声認識無しで射撃を行いながら後退する。
「支援などせず早く退け」と言わんばかりの勢いでギルスが猛攻を開始。
クロウで二度、X字を描く様にファムへ仕掛けると、反撃が来るよりも早く押し蹴りを放つ。
入れ違いに再前進してきたクウガにも蹴りかかる。その勢いは正に天をも突き抜けるものだ。
ギルスの蹴りを受けて転げまわる中で、光はこの戦局に確かな違和感を感じた。
デルタの目的が読めないのだ。小屋を守る様に立ち塞がったかと思えば、飛び出てきたギルスに後を任せて、簡単に撤退する。
回転を止めて立ち上がったと同時に、ふとギルス出現時のデルタを光は思い浮かべる。
彼女自身や五代とそっくりだった挙動。想定外の存在に対する驚愕の反応だ。
(………………まさか……)
しばらく立ちすくみながら、ファムの仮面の下で仮定を巡らせる。
先程まではデルタの防衛目標はギルスであったと考えていた光だが、考えを改めた。
(奴の狙いは――――)
「光さん!!」
ハッ、とした顔でクウガを見遣る。ギルスの猛攻は未だクウガのタイタンアーマーを切り刻んでいた。
しえん
ハッ、とした顔でクウガを見遣る。ギルスの猛攻は未だクウガのタイタンアーマーを切り刻んでいた。
事前に確認したマニュアル通りに、カードをデッキから抜き取り、バイザーに差し込むことで読み込ませる。
――SWORD VENT――
飛来した薙刀をキャッチ、ファムがギルスに突撃する。クウガをキックで数メートル吹き飛ばした勢いをそのまま引き継いだギルスの右爪を一方の刃で受け止めた。
追撃が走るよりも早く反対の刃で思い切り斬り上げると、激しい火花と共にギルスが尻餅を着く形で転倒する。威嚇を継続しながら、首だけをクウガに向けて叫ぶ。
「あの白い奴を追え!! おそらく、本命がいる」
クウガが頷いたのを確認して、直ぐに視線を戻すが――直後の衝撃で、ギルスへと向けられたそれは歪むことになる。
僅か二、三秒目を離しただけで――光は己が油断を嘆きつつも、蹴り込まれた腹部を庇う様に薙刀を構え直した。
その一方で、小屋を見据えながら立ち上がったクウガの腰部、アークルが緑に輝く。
「超変身!!」
感覚能力が大幅に強化される緑のクウガ、ペガサスフォームへと姿を変え、精神統一へ行動を移行。
デルタが戦線を離脱してからまだ二、三分。そう遠くには逃げていないとの判断から、正確な場所を把握しようとする。
「………………ハッ! 光さん、小屋の裏に……クッ!!」
小屋の裏に人の気配を感じたことを伝え始めた次の瞬間には、地面を蹴ると同時にフォームをドラゴンへとクウガは変えていた。突如放たれた光弾が地面に突き刺さる。
跳躍の結果ファム達から離れることになり、ファムはギルスと、クウガは光弾を撃った張本人、十字架から伸びた光剣を構えたライダー――カイザとそれぞれ相対する。
しえん
◆
ドラゴンロッドとカイザブレイガンが交錯し、火花が爆ぜた。しばらく二つの得物は拮抗していたが、やがてブレイガンがロッドを押し込み始める。
このまま正面から押し合えばクウガに勝ち目はない。通常時に加えパワーで劣るドラゴンフォームでは、ブレイガンの侵略を遅延させるので精一杯なのだ。
しかしそれは正面からのぶつかり合いに限った話。一度体勢を整えれば、単純な手数で勝るクウガにも勝機はある。
それを実践する為に、ブレイガンに押し込まれていたロッドを思い切って手前に引き込む。
カイザがバランスを崩した隙に、反動で前へ進んだロッドの柄が向かって左の腰を打つ。
そこから始まった蹴りを織り交ぜながらの連撃に対して、カイザは攻撃を受け流すことに徹している。
これこそ、澤田がデルタからカイザに変身を切り替えた理由だ。
デルタのまま交戦を継続して変身が解けた場合、おそらくはデルタの装着者を間違えているであろうギルスに牙を向かれるのは確実。
それを回避する為に真魚の元へ戻り、デルタギアを放置した上で澤田はカイザへと転身、別人として再度介入する。
後にギルスが拝むのはデルタギアと共に沈黙するあすかであり、防衛対象を失った怒りはデルタを攻撃したライダー達へ向くのだ。
またカイザへの転身によって澤田の変身時期はこの場の四人で最後となり、時間制限の恩恵を得ることができ、状況次第では残りのライダーを殲滅できるのだ。
クウガの残り時間は約五分。先程の紫に比べて一撃一撃が軽い青相手ならば決して時間を稼ぐのは難しくない。
一方のクウガは、現状を打破しようともタイタンフォームへ変身を行う訳にいかない。
タイタンではカイザの放った光弾が回避できないのだ。明らかに一撃必殺を狙った奇襲時の光弾を。
一撃の恐怖というものを、グロンギ達との戦いからクウガは誰よりも理解している。
故に疑う。博打を打つことができない。安全策を取る。ライジングフォームによる力押しが不可能という状況の生み出した弊害だろうか。
焦りが生んだ攻撃は、受ける側も防ぐのが容易に成り易い。
「おりやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
明らかに手数で勝っていた筈なのに、単調な単発の突き攻撃への切り替え。
――EXCEED CHARGE――
カイザはブレイガンをチャージし、光剣を一層輝かせる。
突きを剣の腹で受け止めながら、剣先を滑らせて腹部へとエネルギーの余力を叩き込んだ。
しえん age
◆
「五代!!」
クウガへの怒りを強く見せるギルスを懸命に足止めしていたファムの声が、今までで一番大きなものになる。
すぐにでも救援に行かねばならない。しかしギルスの気迫も、簡単に止められるものではないことだと戦闘の中で把握している。
悔しいが、ここは退くのがベターだと判断。温存していた一枚のカードを迷わずベントインする。
――FINAL VENT――
小屋の窓から出現したブランウイング。
ファムのファイナルベント「ミスティースラッシュ」は本来、ブランウイングが遠方から吹き飛ばした対象をウイングスラッシャーで切りつけるものだ。
しかしブランウイングの狙いは遠方のカイザではない。踵の爪を伸長し、今にもファムに襲い掛かろうとしていたギルスの方だった。
ギルスを突風で吹き飛ばさせ、すぐに鏡へ戻る様指示すると、バイクに跨って少し離れた位置のカイザへと突進する。
アクセルを全開にして突っ込んできたバイクの接近に、カイザが思わずクウガへの止めを取りやめる。
「これに乗って、急いでこの場から離れろ」
「離れろって、光さんはどうするんですか」
「何度も言わせるな。……私にも考えの一つ位ある……銃だけは借りるぞ。合流場所へ向かって走れ」
「逃がさない」
カイザが切り掛かろうとするのを、ウイングスラッシャーの鮮やかな一薙ぎで遮ると、その隙に変身を解いた五代がバイクで離脱。
――ADVENT――
再度出現したブランウイングの足を掴み飛翔。クウガの語った「小屋の裏」を上空から見下ろす。
そこで目にした光景に、光は息を呑んだ。そこにいたのは二人の女。
方や体育座りで俯きながら沈黙し、方や服を赤く染めて仰向けに倒れている。一考の余地すらない。
おそらく先程のライダーは沈黙している少女を守ろうとしていたのだろう。
353 :
名無しより愛をこめて:2008/07/18(金) 00:34:50 ID:w3vyAwTM0
age になってなかった
「…………」
ファムがコルト・パイソンの引鉄を引く。銃弾が襲ったのは真魚から五メートル程離れた地点だ。
吹き飛ばされたギルスはファムの射撃の意図をそのタイミングで理解することはできず、カイザは全力で真魚の元へ走った。
カイザが真魚の傍らから上空を見上げた時、既にブランウイングは飛び去っていた。
グズグズしている訳にも行かない。緑のライダー――ギルスが現れるより早く離脱しなければならない。
「澤田君…………?」
「立って、真魚ちゃん。話は後で聞くから。 ……早く!」
デイパックと真魚を連れて、澤田は形振り構わず全力で場を離脱した。
【澤田亜希@仮面ライダー555】
【一日目 午前】
【現在地 D-7から移動中】
[時間軸]:34話・真理再生前
[状態]:大程度の疲労。体の各部に打撲。 うたた寝中。 カイザに二時間変身不能。
[装備]:カイザギア(全装備付属)
[道具]:基本支給品、通話発信可能な携帯電話、不明支給品×3(本人確認済み)
ライダーベルト+ダークカブトゼクター、ディスクアニマル(アカネタカ)
iPod(動画再生機能付き) ファイズアクセル
[思考・状況]
基本行動方針:参加者を皆殺しにして自分が完全なオルフェノクであることを証明する。
1:風谷真魚を守る。あくまで、最後に自分の手で殺すために。
2:他の参加者を殺す。
3:なるべくオルフェノク態で戦う事を避ける。そのために一つでも多く変身装備が欲しい。
4:一刻も早くこの場を離れる。
[備考]
※ダークカブトに資格者として認められました。ベルトはカブトのものを流用しています。
※能力制限等のルールについて、あらかじめ大まかに知らされています。
※澤田の携帯電話は特別仕様のため、通話の発信機能が生きています。
現在の所、通話可能な相手は主催者(村上社長・スマートレディ)のみです
【風谷真魚@仮面ライダーアギト】
【一日目 午前】
【現在地 D-7から移動中】
[時間軸]:31話・サイコキネシス発現後
[状態]:健康。激しく動揺。強い自己嫌悪。
[装備]:コルトパイソンA@クウガ(装弾数5/6、マグナム用神経断裂弾)
[道具]:基本支給品一式x2(真魚・天道)
ライダーパス、首輪(天道)
特殊効果弾セット(マグナム用神経断裂弾54、ライフル用神経断裂弾20、
ランチャー用非殺傷ゴム弾5、ランチャー用催涙弾5、ランチャー用発煙弾5、ランチャー用対バリケード弾5)
[思考・状況]
1:澤田についていく。離れたくない。
2:人殺しをした自分が憎い。
3:自分の能力と支給品の銃を嫌悪。
4:怪物だらけのこの世界に対する恐怖。
5:帰りたい。でも、どこに帰ればいい……?
[備考]
※制限もしくは心理的な理由で超能力が不完全にしか発揮できません。
現状では、サイコメトリーで読めるのは断片的なイメージだけです。
※以下のように事実を誤解しています。
サイコメトリーで見えた灰色のモンスターの正体は天道=カブト。
灰色の怪物(海堂)と赤い怪物(モグラ)は殺し合いに乗っている。
青いライダー(ガタック・ライダーフォーム)に変身して自分を守ったのは澤田。
加賀美(名前は知らない)は自分がサイコキネシスで殺した。
※澤田、真魚の移動先は次の書き手さんにお任せします
◆
疾走するバイクの上空へ、ブランウイングが到着したのはそれから間もなくのことだ。
五代がバイクを止めたところで、ブランウイングが突如姿を消す。
「何っ?」
突然の事象に対応が出きず、無様な体勢でファムが地面に落ち、次いで変身が解ける。
五代はバイクから降りるとうっすらと笑みを浮かべて、光に手を差し伸べる。
「本当に、無事で良かったです」
「ああ……結花達はどうした?」
本来ならばここで帰りを待っている筈だった男女一名ずつとバイク一台が姿を消している。
光は鬼気迫る勢いでデイパックからトランシーバーを取ると、連絡を入れる。この距離なら研究所と繋がることはないだろう。
「イブキ、今どこにいる?」
「ちょっと結花ちゃんを落ち着かせようと思って、竜巻で走ってます。すぐに戻りますから、安心してください」
「オイ、何を…………」
しえん
【城光@仮面ライダー剣】
【1日目 午前】
【現在地:D-7 小屋から西の道路】
[時間軸]:40話、トライアルについて知った後
[状態]:膝などに軽い擦り傷。腹部に裂傷(中程度:応急手当済み)。ファムに二時間変身不能
[装備]:カードデッキ(ファム)
[道具]:基本支給品・トランシーバーA・ラウズカード(スペードQ/K)
[思考・状況]
基本行動方針:このゲームから脱出し、金居とは正統なバトルファイトで決着をつける。
1:北條奪還のため、まずは『青いバラ』『首輪』の入手、『放送』の指令を遂行。
2:他の参加者とは必要以上に関わる気はない。邪魔ならば排除するが基本的に放置。
3:イブキと結花を回収する
4:剣崎の死、北條の言葉、乃木との戦闘から首輪制限下における単独行動の危険性を認識。
5:五代の態度に苛立ちつつ、僅かに興味。
※以下の様に考えています
・青い薔薇は首輪と関係がある
・ライダーの強化フォームはなんらかの制限が掛かっている。
【五代雄介@仮面ライダークウガ】
【1日目 午前】
【現在地:D-7 小屋から西の道路】
[時間軸]:33話「連携」終了後
[状態]:全身打撲、負傷度大(応急手当済み)、疲労中程度。小程度の動揺。 クウガに二時間変身不能
[装備]:警棒@現実、コルトパイソン(残弾数6/6:マグナム用通常弾)、カードデッキ(ファム)
[道具]:警察手帳(一条薫)、ホンダ・XR250(バイク@現実)
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に殺し合いを止め、みんなの笑顔を守る
1:北條を救出するために、乃木の命令を可能な限りで遂行する。
2:イブキ・結花の探索
3:白い未確認生命体(アルビノジョーカー)、ダグバを倒す。
4:金のクウガになれなかったことに疑問。
5:長田結花の剣崎への誤解を解き、彼女の笑顔も守りたい。
※第四回放送まで、ライジングフォームには変身不能
※ペガサスフォームの超感覚の効果エリアは1マス以内のみです。また、射撃範囲は数百メートル以内に限られます。
※ドラゴン、ペガサス、タイタンフォームには変身可能。ただし物質変換できるものは鉄の棒、拳銃など「現実に即したもの」のみで、サソードヤイバーやドレイクグリップなどは変換不能。
※葦原涼の「未確認生命体事件」の終結を聞き、時間軸のずれに疑問を持ちました。
※葦原涼の名前及びギルスの変身能力について知りません。
361 :
しえん:2008/07/18(金) 00:37:47 ID:w3vyAwTM0
【和泉伊織(威吹鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 午前】
【現在地:D-6 道路】
[時間軸]:35話付近
[状態]:多数箇所に負傷、腹部に裂傷(小程度)。左肩を打撲。
[装備]:変身鬼笛・音笛、音撃管・烈風、陰陽環 、ディスクアニマル(アサギワシ)
[道具]:携帯電話、北條のデイパック(地図・マグライトを除く基本支給品)、「竜巻」(HONDA Shadow750)
[思考・状況]
基本行動方針:戦いを止める。
1:長田結花を庇護対象の未成年者と認識。安全を確保する。
2:結花に気分転換をさせる
3:北條を心配。でもいきなり指令って?
4:デネブって人、どこにいったんだ?
5:友好的な参加者と合流。
6:あの怪人(バダー)、バイク好きなんだな。
※備考
※陰陽環の式神(火の鳥)は使用者から数メートルの距離までしか飛べません。また殺傷性能が低く制限されています。
※なぜか変身しても服が消えません。
※乃木の言葉から、長田結花が何らかの秘密を抱えているかもしれないと考えています。
【長田結花@仮面ライダー555】
【1日目 午前】
【現在地:C-7 研究所南の交差点】
[時間軸]本編第41話終了直後(武装警官を一掃する直前)
[状態]小程度の負傷、人間への不信感(軽度)
[装備]無し
[道具]ライダーブレス(ケタロス:資格者不明)、トランシーバーB
[思考・状況]
基本行動方針:木場、海堂と合流する
1:「人間ではない」城光に若干の好意。「人間」の「警官」北條には強い警戒心。
2:イブキや他の人間に嫌われたくない。オルフェノクであることは極力隠す。
3:指令なんて、どうしたら……?
※イブキ・結花・城光・五代の間で、ある程度の共通見解が生まれました。
敵対的:風のエル、「白い怪物」、乃木怜治、橘朔也(優先的に排除)
友好的:風谷真魚、日高仁志、桐矢京介、木場勇治、海堂直也
要注意:金居、桜井侑斗、葦原涼(警戒)
ただし剣崎一真に関する認識には齟齬があり、友好的な相手に対する方針も統一されていません。
◆
ギルスの変身を解かれながらも、涼は小屋の裏へと走った。
突然上空へ逃げた白のライダーは何故あの様な場所を撃ったのか。
牽制ならば自分か割り込んできた黒のライダーを打つべきだった筈なのに。
今回は逃がしたが、涼にあすかを襲った白のライダーと四号を許すつもりはない。次こそは必ず倒す。
そこまで冷静になったところで、ようやく自分が戦ったのはあすかの為だったと思い出す。
その瞬間の直後、彼は小屋の裏へと到達した。
「あ………あ…………あ…ああ」
涼の目元には涙が浮かび、思わずその場に力なく座り込む。
あの白いライダーがこの場所を撃った理由。こういうことだったのか。
隠れていたあすかを撃つ為に。戦闘力を失った彼女に止めを刺す為に。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その様子を草陰で眺めていたホッパーゼクターは確信する。この男は、相棒となるに相応しいだけの地獄を見たのではないか、と。
365 :
しえん:2008/07/18(金) 00:39:28 ID:w3vyAwTM0
【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【1日目 朝】
【現在地:D-7 小屋周辺】
[時間軸]:第27話 死亡後
[状態]: 全身負傷(中)、疲労(大)、2時間変身不可(ギルス)
腕部に小程度の裂傷、変身の後遺症、仇を討てなかった自分への苛立ち
[装備]:フルフェイスのヘルメット、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト(道路傍に放置)
[道具]:支給品一式、ホッパーゼクターのベルト、デルタギア
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには加担しない。脱出方法を探る。
1:立花を殺した白い怪物(風のエル)、あすかを殺した白いライダー(ファム)未確認生命体4号(クウガ)に怒り。必ず探し出して倒す。
2:立花藤兵衛の最後の言葉どおり、風見の面倒を見る?
3:自分に再び与えられた命で、救える者を救う。戦おうとする参加者には容赦しない。
4:あの黒いライダー(カイザ)は一体……
6:五代雄介の話を聞き、異なる時間軸から連れて来られた可能性を知る。
白い怪物(ダグバ、ジョーカー)を倒す。
7:本郷(R)に対し、すこしすまなく思っている。
※五代の話を聞き、時間軸のずれを知りました(あくまで五代の仮説としての認識です)。
※剣崎一真の死、ダグバの存在、ジョーカーの存在などの情報を五代から得ました。
※ホッパーゼクターが涼を認めました。(資格者にはすぐにでも成り得ます)
※五代雄介=クウガという認識を持っていません。
※カブトエクステンダーはキャストオフできないため武装のほとんどを使えません。
今の所、『カブトの資格者』のみがキャストオフできます。
494 名前:感情 ◆N4mOHcAfck[sage] 投稿日:2008/07/18(金) 00:24:13 ID:???
さるさん規制につき後半はこちらへの投下となりました。
可能な方がいらしたら、お手数ですが代理投下をよろしくお願いいたします。
-----------------------------------------------------------------
代理投下終了
>> ID:b+fSFRkt0
おつかれ〜
読了。
指摘が一つ。
五代と涼は会っており、五代が未確認生命体四号だと話を聞いているので、その辺のアクションがないのが不自然かと。
それはさておき、涼の不幸っぷり炸裂。
あすかを殺した相手を助けたとは夢にも思わない。
チーム五代に誤解を持った彼がどう動くか、楽しみです。
GJ!
乙です。
あすかまでも失うとは、さすが葦原さんだ、関わった女が死んでいく……
そして、ついに自分で人を殺してしまった真魚ちゃん。
アギトの面々はかなりやばいことになってしまった。
>>369 完全に読み違いでした、申し訳ありません。
明日中にはその部分について修正を行います。
投下乙です。ただ、涼の描写に違和感を覚えました。
涼は泣き叫ぶ描写などは本編でもなく、悲しみにじっと堪えるタイプ
に思えます。
少しキャラクターと剥離してるのではないか?と感じますのでその辺の描写を再考頂ければ
幸いです。
>>323の
>スペードのクイーン、アブソーブカプリコーン。同じくスペードのキング、エボリューションタランチュラ。
スペードのキングはエボリューションコーカサスだったはずでは
まぁ何かしらの修正が出てくるのはいいんだけどさ
de氏はそろそろ現状を認識すべきだと思うんだ
感想の数でわかると思うけど正直つまらないんだよね。まぁどうせ後で同情の感想がつくんだろうけど
それに修正要求出てるのに今だに音沙汰無しだしさ
その間予約できないんだよ?他の書き手の方に迷惑だとは思いませんか?
拘束期間も他の書き手の方に比べて明らかに長いし、そろそろ退場すべきかと
>>372-
>>373 本当に粗が目立つ……
そこも合わせて修正します
>>303 確かに曖昧で分かりにくい台詞でしたね。すみません。
後程、志村が志村偽物に襲われたことがはっきりと伝わる言い回しに修正しておきます。
>>376 いや、私が完全に勘違いしておりました。申し訳ない…
該当部分を修正次第一時投下スレにあげさせてもらいます。申し訳ありませんでした
de氏の場合破棄なされたほうがよいかもしれませんよ
毒吐きの話をこちらに持ってきて申し訳ないがあなたの作品は住民に歓迎されてるとは言えません
破棄なされた以降参加しない、というのが一番かと
このスレには主力書き手と呼べる方が複数います。荒らしにも崩されることの無い方々ですがそんな人が崩されるとしたら駄作の話です
以前起きたチャット転載のせいでそういった駄作へのフラストレーションを発散できず内に溜め込むしかない、するとどうなるか
主力書き手が崩れ、残った駄作書き手が当然まとめられるわけもなくこのスレはおしまいです
そうなる前にどうか、de氏には手を引いてもらいたいのです。悪い稲は取りのぞかなければ邪魔になるだけなのですから
嫌がる気持ちはわかります。ですがde氏は複数投下していますしこのスレを愛してくださってるのは明白
だからこそ、手を引いてもらいたい。あなたならわかってくれると信じています
この意見がスレの総意とは言いません。ただ、少なくともこのような意見はある、そう認識してください
うーん、おれは結構de氏の話結構好きなんだけどな。
なんか最近ケンカばかりで少しつまんないな・・・
>>379 もともとこのスレには煽りがいるので、本気にする必要はないかと。
指摘部分の話を修正してもらえば、de氏の話は充分通しでしょう。
修正・一部差し替え案を仮投下スレに投下しました。
何か問題点等ありましたら議論スレにお願いします。
>>378 お前、何様だよ。
書き手を装った荒らしだと思いたいが、もし書き手だったら、お前こそ二度と書き込むな。
先日自分が投下した「裏切りはすぐ傍に」ですが、いくつかの問題点と修正点が見つかったので修正したいと思います。
つきましては、該当キャラパートを少しの間凍結していただきたいのですが、よろしいでしょうか?
>>384 ええとですね……指摘や修正要求、もしくは議論すべき点が特に上がっていないのに、
投下した本人が凍結を申請するのは正直、まずいと思います。
まず、本投下とは本来「これ以上修正のない、完全版」が原則であること。
第三者視点で問題点が明るみになったときには凍結・修正の流れになりますが、
これは本来起こるべきではない事態、例外の状況です。
実際に修正の手続きが頻繁に行われているからといって、
「あとで修正すればいい」という考えで本スレに投下することを黙認してしまうのは、
根本的なルールを台無しにしてしまいます。
修正が必要な場合を考えるなら、仮投下スレがあるわけですしね。
もう一つの問題点として、「作者の自主凍結」を許可してしまうと
事実上「予約期間が無制限になってしまう」ということがあります。
これは予約システム本来の意義、「他の書き手さんに一時の猶予をお願いする」という目的を
完全に無にしてしまうため、危険です。
もちろん、悪意のある使い方もできますしね。
というわけで、さしあたり修正要求が上がらない以上は、
書き手さんは何もすべきでないと思います。
本スレに投下する時は、その作品によって起きるどんな帰結も背負うつもりで投下してください。
そして、自分が投下した作品に自信を持ってください。
なにより、他の書き手を信頼してください。
私から申し上げたいことは、以上です。
>>385 むう、言われてみればその通りですね、軽率でした。
上記の修正云々は撤回します。お騒がせしてすみませんでした。
要は第三者が問題点を指摘すればいいわけだ
書き手が投下後できるのは破棄だけで
投下します
降り注ぐ雨が二人の行く手を遮っていた。
雨の中、気絶した一文字を担ぎながら、ハナは目的地へと到着した。
予想以上に遅れたことへの代償か。
目の前に広がるのは荒れ果てた戦場の跡だった。
「…遅かったみたいだな」
「一文字さん!?起きてたんですか?」
「ついさっきな…」
ハナから降りた一文字は辺りを今一度見渡す。
「誰かがここで待ってたヒビキたちを襲ったのかもな」
「そんな…」
何も出来ずに立ち尽くすハナに一文字は語る。
「これ以上ここにいるのは危険だ。行こう…」
「はい…」
【一文字隼人@仮面ライダーTHE FIRST】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:D-5】
[時間軸]:FIRST終了後。
[状態]:全身に強い衝撃、リジェクションによる負荷と苦しみ
[装備]:特殊マスク
[道具]:基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出
1:頑張れよ、本郷。
2:出来る限り、戦闘は避け状況を把握する。
3:後ほど本郷、及びあすかとの合流。
4:俺や本郷と同じ名前……偽者か、それとも?
5:余裕があれば首輪を回収に行く。
6:ハナに興味。
[備考]
※死神博士の事を自分を改造した老紳士だと思っています。
※FIRST終了後の参戦のため、風見志郎の存在を知りません。
※変身解除の原因が、自身のリジェクション(改造手術による後遺症)によるものだと考えています。
※首輪について:
金属製のフレームに吸音用の穴と紅いダイオードが一つ。詳細不明。
さほど重くなく、表面にはスマートブレインのロゴがプリントされている。
無理に外そうとしたり禁止エリアに入ると起動、装着者は灰になる。
※自分が戦った高笑いの男(志村)は戦いに乗っている、また策謀を巡らせている可能性を考えています。
【ハナ@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:D-5】
[時間軸]:劇場版・千姫と入れ替わっている時
[状態]:疲労ある程度回復、悲しみと強い決意
[装備]:冥府の斧@仮面ライダーアギト、カードデッキ(ナイト)
[道具]:支給品一式、洗濯ばさみ、紙でっぽう、戦国時代の衣装、ミニカー7台
【思考・状況】
基本行動方針:脱出する
1:一文字と行動。後ほどヒビキたちと合流。
2:仲間を探して一緒に脱出する
3:イマジンに対する自分の感情が理解出来ない
4:牙王、影山瞬、死神博士、ゴルゴス、仮面ライダーグレイブ(志村の名前は知りません)に気をつける
5:モモタロスの分まで戦う
6:本郷猛は敵? 味方?
以上です
みじかっ!
とりあえず投下乙
投下お疲れ様です、も必要ないですかね?
どういう意図で投下をしたのでしょうか?
>>3のテンプレに抵触するほど、内容がありませんが。
この話を通しにするのは納得がいきません。
これに異議がある場合は、議論スレを通してください。
>>393 別に、テンプレには抵触せんだろ。
とはいえ、なんでこんな話を投下したのか、意味わからんのは確かだな。
>>388-390については、私も
>>393さんの破棄要請に同意します。
正直、まとまりも意味もない、かつリレー上の意義もない散文は小説とは言えません。
これ以上は議論スレでやりましょう。
別に問題ないと思う
ただ短いだけで破棄要請は酷いだろ
俺も破棄は酷いと思う。
短いのは確かだが内容に問題があるわけじゃないし別にいいだろ。
前に似たような荒らしがいたからって過敏に反応しすぎ。
それこそ荒らしにつけこまれかねない。
内容も無しのこんな作品通す方が問題だろ
本スレにはIDを変えた自演が出ることがわかっていますので、
この件についてはお手数ですが議論スレの方でお願いします。
短くても内容があればいいだろうが、残念ながらこれはどう見ても内容がないよう
ハナと一文字が集合場所に着きました、以上
これからの行動方針も特に具体的なものが無く、リレーしやすさを考えての事かもしれませんがそれだったらそもそも次の書き手さんがこの到着のシーンから書けばいい事
今のだとリレー小説の中でほとんど意味を持たないものになっていると思います。
文章力的には問題はないと思うので、修正申請をして次の行動方針をもう少し具体的にだす等してみてはどうでしょうか?
あと内容に問題が無いと言う人には内容が無いんだからそりゃ直接的な問題は出ないだろと言いたい
えーと、今回の投下の是非は議論スレ行きの様なので別件を。
先日の◆RIDER氏の投下作品において、風のエルがパーフェクトゼクターを持った
左手首を欠損した描写があり、状態表にもその記述があるにも関わらず、
同装備欄にパーフェクトゼクターが残ったままです。
これがミスなら現在の所在、そうでないならどのようにしてエルが再装備したのかを、
追加描写してもらう必要があると思います。
よってその部分のみ修正を要求します。
ちょっと前にはマーダーがマーダー殺したって理由で破棄させたのに、ステルス殺して対主催強化するだけの話は通るんだ。
不思議!
不思議でもなんでもない
エルは無差別+移動の不備がないという実に便利なマーダー
そんなマーダーを序盤に消すなんてどうかしてる
要するに書き手の都合だ
貴重なステルスが勿体ないのも事実だが
なんど言うがあれは別に破棄させたというよりは作者が流れを見て自主的に破棄したんだ。
矛盾点を修正して次からもっとロワの事を十分に考えて書けばよかったものを。
別に擁護する気は全くないが、今更か。
議論スレで議論するまでもない。
内容が希薄、あまりにも短い作品がNG対象だとも
1シーンだけの作品の投下がNG対象だともどこにも書いてはいない。
短いからという理由だけで小説ではないと判断するのもおかしい。
だから今回の破棄要求は受け付けない。無効とすべき。
この意見に不服があるなら「混沌」を通すべきではなかったし、
次スレ以降から内容が希薄、あまりにも短い作品は
NG対象とハッキリ書くことを要求する。
>>405 論点が違います。
「混沌」は正式な破棄・修正要求が出されておりません。
翻るに今回はNG発議ルール上の1、
>ただしNGを発議出来るのは、以下の条件を満たすときに限ります。
>1:文章そのものが小説の体をなしていない
に則って議論スレにて発議された正式な破棄要求です。
従って書き手氏には議論スレにおける釈明の義務が生じます。
議論スレにて無回答であれば、破棄要求が受諾されたとみなさざるを得ません。
また要求されるのは結構ですが、それに関しても議論スレにてお願いいたします。
こうして荒れたライダーロワはアニロワ2ndと同じ道を辿っていくのさ
予約・感想はしたらば、投下のみ本スレ
文章そのものが小説の体をなしていない
これって誰が判断するの? 俺は通しても問題がないと思うが
気に入るか気に入らないか
突き詰めればそれだけじゃないかな
>>408 誰が判断するか→住民
通しても問題ない→議論スレで言え
まあこの問題は議論スレでやるとしてロワ本編の事についてでも話そうぜ。
俺は最近姿を見ない、顔が十個あるキャラが気になるんだが。
>>414 俺は奴こそがこのロワ最強のステルスマーダーだと思うw
後橘さんも最近見ないな…頑張れば首輪外せそうなんだがw
>>415 ゾル大佐も居るし確かに橘さんは輝きそうだよな。
しかし橘さんはそれよりもまず今の勘違いをなんとかしないとw
>>416 橘さんがこれから立ち直れるのかっていうのも見所な気がするw
でも、バーチャルと確信してしまった人間がリアルだと気づく方法があるんだろうか?
逆なら、雲の動きや水の動きが変とかで気づくことがありえるかもしれないけど。
カラミソがBGMとして流れ始めると同時に気付きます
ちょカラミソってwん?そういえば不明支給品は確かまだ残ってたな……。
木野さんがいれば目を覚まさせてくれたろうにな
ゾル大佐に期待する他あるまいw
みんなそんなに橘さん好きかw
自分も好きだw
かっこいいマーダーということで、自分は死神博士に期待してるんだぜ
博士も良いよなw影山がどう導かれるのかも楽しみだ
女性陣では、ハナタロスの活躍に期待でしょう
…せめて、とーちゃんよりは、長生きしてねw
影山か、あいつのキャラ結構好きだな・・・
だが主人公は三田村だ!誰が何と言おうと三田村だ!
うん!一向にスルーしてくれて構わない!!
対応が遅れました。
>>401 仮投下スレに問題の部分を修正して投下しました。
また、それにあわせて前後の戦闘描写も加筆しましたので、また問題点等あったらお願いします。
対応が遅れに遅れ申し訳ない。一時投下スレに修正稿を投下しました。
修正内容
*志村、一文字関連の私自身の勘違い部分を修正
◆cW9wr8uD4A氏の内容と矛盾がないよう気をつけたのですが…抜けている所があったらそちらも直ちに修正します。
一連の勘違い、及び修正に時間が掛かった事をお詫びします。申し訳ありませんでした。
両者とも修正おつかれさまです。
特に問題はないかと。
修正作業が遅すぎると思います
時間が掛かるなら最低限作業中ということくらいは伝えて欲しいものです
他の書き手に迷惑をかけていることをちゃんと認識しているのか怪しいものですね
特にde氏は他の書き手さんとの作品の矛盾。
ちゃんと読んでるんですか?リレー企画に参加しているのになんとも情けない
あなたはやはりお止めになるべきでは?
>>430は言いがかりですので、以下スルーでお願いします。
お二方修正お疲れ様でした。
御二方共に、修正お疲れ様でした。
お二方共、修正お疲れ様でした。特に問題はないと思います。
これからも頑張ってください!
修正お疲れ様ですお二方様!
これからもがんばって欲しいです!
436 :
名無しより愛をこめて:2008/07/20(日) 23:53:21 ID:9sKABmnb0
, -‐-、 , -─- 、._
./ V `‐- 、 ふざけるなっ・・・・!
/ \
./ \ ふざけるなふざけるなっ・・・・!
/ /vヘ ヽ、
. l /、 -\ l\ .i, l 読み手野郎っ・・・・!
| /、..\ ‐--\|-'\|\l`、 l
| /. \..\__ ,/./\l\| まだ貶めるってのか!
| __ /____\.__| |./____」.
| ./‐ヽ┼| ==== ̄ | ̄ ̄| ̄==== | オレたちみたいな苦労者逆さにふって
. | |.|-、|..| | ( o | ̄ ̄|. o ) .|
. | |.|‐、| |..\__ ` ‐u-__ イ: lヽ_ u-‐' ,ノ まだ意見するってのかよっ!
. | |.l_(.|.|  ̄ ̄ l::: l  ̄ ̄ |
| ヽ-'/l /___/ l_::: _l l.___ヽ.| いい加減にしろよ いい加減その・・・・・・
| / l / / , -- 、.``‐-‐'´_____ l
│ ./ ::l. / /- 、__ ̄ ̄ ̄ __l/.l 読み手様って考え捨てろよっ・・・・!
. /| ./. :::l. |______ ̄ ̄ ̄ _/ .|
/ :::::| / ::::l \_  ̄`Y´ ̄ / .| 降りるぞっ・・・・・・・・!
. / ::::::::::::|. / ::::l  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |\
:|::::::::::::::::::::|/ :::::l. l. l l. TTT l l.__,l:l:::::: あんまり無茶言うと
|:::::::::::::::::::::|\ ::::: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l ̄:::::::::|::::
::::::::::::::::::::::| \ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::/|:::::::::::::::|:: オレたちは皆 降りるっ・・・・・・!
しかしこのロワは良くマーダーが話題に出るな。
魅力的なキャラが一杯居るんだからたまには対主催キャラが話題に出てもいいはずだw
城戸は今回生き残れるかが気になるぜ……本郷の死にどういう反応を示すのかも。
438 :
名無しより愛をこめて:2008/07/21(月) 11:05:12 ID:8Wta6RA8O
晒しアゲ
俺は歌舞鬼が一番気になってたりする。
二人の子供拾った歌舞鬼が、他のチームと合流したらどうなるのかって凄い気になる
あれ?3人じゃなかったっけ?
アマゾンを子供と数えるかどうかで変わるなw
俺は葦原さんが生き残れるのかが一番気になる。
時間軸の関係で、変身するたびに衰弱していく体で強化フォームもなし……
ホッパーになれば解決だろ
444 :
名無しより愛をこめて:2008/07/22(火) 07:05:37 ID:iDOihPR1O
どうでもいい
445 :
名無しより愛をこめて:2008/07/22(火) 07:29:22 ID:iDOihPR1O
どうでもいい
自分は五代に期待。色んな人に色々託されててちょっと心配でもあるけどw
確かに五代は遭遇した人物も多いし、一条さん関連で侑斗や香川さん、北崎までも知ってるからなぁ。
ダグバとも戦ったし今のところ凄い目立ってる印象がある。
ファム変身とかもw
五代は多方面にフラグ展開してるよな。
あの面子と立て続けに戦って生きてこれただけでも奇跡だがw
やっぱ五代が主役って感じがしますかね、今回のロワは。
前回の巧に位置するような感じの。
対抗馬は風見社長かな?ライダーに目覚めるかどうか楽しみ。
あと加賀美、FIRST一文字辺りも気になりますね。
主役とか言い出すのは死亡フラグでしかないと思うぜ
目立ってるのは確かだけどw
加賀見はお供のデネブ死んじゃったし、これからどうなるかなー。
あのコンビは結構好きだったから悲しかったぜ……。
>>451 確かにデネブの志望によってどう動くかってのも気になるな…
僕は五代の注目も分かるが最近忘れられてた加賀美も注目してほしいな。
大人の余裕のヒビキさんもお忘れなく
まあ、こうしてみたら、自分の子供みたいな世代の平成組と一緒になって、
困惑するWライダーを見てみたかったなあ、って気もする。
年齢的には、ヒビキさんが主役ライダーの中では一番年上なんだな。
454 :
名無しより愛をこめて:2008/07/23(水) 04:45:04 ID:AcnHZcLY0
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??????? ??????????? 一筆入魂!
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455 :
名無しより愛をこめて:2008/07/23(水) 04:45:55 ID:AcnHZcLY0
. .- :.:‐:.:‐.-. .
__ .イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`.:..、
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. L.:.:i.:.:.:.:.:.:i :.:.:.:.|:.:.:.:. | :.:.:.:.| :.:.:l:.:.:.:.:.:| :.:.i:.:.i
|:.:.:.:..:il :.:.:.:.l::i:.:.:.:|j.:.:.:.:ll:.:.:.l:.i:.:.:.:.| :.:.|:.:.|
. └‐┬ij_:.:..:.:|エ:.:.」i_:.:.:_lL:.:エト.:.:.:|:.:.イ:.:.|
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|:.:.:.:.:| ヒzソ ヒzソ .l .:.:.:.:.l::..|
|:.:.:.;小 :.:.:. _ _ :.:.: 小.:.:.|:.|:..:l
i .:.:.:.:i:i:`: . イ:..|:.:.:.:|:.|:.:.|
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. |:i:.| :.:リ ィ ´ ` iト.:|:.:.:.:|.:| :.:.!
l |:.l:.:.:l:.l l |:.:.|`ヽ::.:l:.:.:.i
| |:.| :.:l:.| i |:.:.| '.:.l:.:.:.i
|:.|:.| i:.l:.| | ──--── |:.:.| i:.:i:.:.::i
何かまたage集団が…
特撮はほんとに疲れるな
ここ数日のように雑談してりゃ何の問題にもならんよ
予約されている書き手の皆様、投下楽しみにしております!
459 :
名無しより愛をこめて:2008/07/23(水) 15:25:31 ID:AcnHZcLY0
/ / / / | |:l ヽ:、:. ヽ \
/ /| /∨ /〃/√/ / / / .:| l :|:|::. |lハ:::: ヽ::ト\_
,' |// /// / /.../ .::i .:/| |! :|ハ::|l:::}l::::. |、:!
,゙ ー=´イ 〃 .:l :l.::/ l |.;;|:⊥|_l_リ }:|!:::}::::|::| j:|
l | /:{ .::|.:|::l /|':|::|:l:! l{:‐`マ十|::::}:/}::| j!
| ..::::/⌒:| .:::|::l:| / ! |:{_;!__{__ー{, ノ:从ソ ノリ
│ .....::::::::://´r | ::::|::l:l.{ |{`''、_ノ_,~` {((
,..ィイム:::::::::::::::::{〈_ ((\:::l::l:|::| ヾ \
/ \ミミヘ::::::::::::::::\_‐\_V|::l:|::| >
/ ..::::V少ヘ:::::::::::::::::::;}`ー、ヘ\::|! r ´
/ ..:::::::/ ∨::::::::N/ ヽ|:::トト、 _、_┘
..:::::::::::/ }:::ljハ| |:::l::| `'ー-こ) ´ r '
.:::::::::::::/ レ'! ∧ |:::l::|ヽ、 !
.:::::::::::::::;i |: \\|:::l::| _>- 、_ ノ
.::::::::::::::::::i j;/ /⌒>\!::l::|/_\ |::::l{ _ __
::::::::::::::::::| 〃,.r==ヘ::::く ヾヘ:\三、\|:::f| / ̄ ̄ ̄\\___ _
:::::::::::::::::| //二ニヽ \::ヽ :::\:::{\三、\l/ __ \\/\/ヽ _〉
::::::::::::::::| /〃、-─‐ヾミー≧}、_!:.ヾ}:::{;\z/''"´ `丶、 \\_廴 /
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460 :
名無しより愛をこめて:2008/07/23(水) 15:27:18 ID:AcnHZcLY0
: : : : : Λ ヽ : : : / : : : : : : : : : : : : : : :\ : : : ',
: : : : : /:,ハ } : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : i
: : : : : : : : :},.イ: : /. : : : : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : :\l
: : : : : : : :/ /: / : : : : : : : : : : : : : : ', : : : : : : : 、:ヽ
: : : : : : :/ノ: : / : : : : : : :/ : : : /: j: l: : l: ', : 、 : : : ヽ: :',
!: : : : : ,'、 : : ,' ,': : : : : : / /: : /: /j: !: : }斗‐‐',: : : !: i: :l
',: : : : :l : `ー! !: : : : : :/_厶∠∠.//l: :,ハ,ニ=ァ'i: :l :l: :}:lノ
: '、 : : l:\_ r{ {: : : : : :{´{=_;;云ァァ' ,ノノ 仂jイ}/: /:/ //
: : ヽ: :lヽ : :{ ヾ\ : ‐=f壬辷'丿; ゚ー〈ノ/ノイ´
: : :',:ヽl : \\ |\: {´¨''¬'"´ ` ``}: :l : :i:l バ カ ば っ か
: : : ',: :ヽ: : :`7`T|: : l`ー ヽヽヽ (_ア ,.イ: :.:l : :i l
: : : :.',: : :ヽ : {{ 「゙|: : |、ヽ、_ ,.イ: :l : :.l : :i l
: : : : :'、: : :ヽrく '、: '、\ `T¬ーrく: :! : !.:.:.:l : :i: l
: : : : : ヽ : : : ヽ \ヽ :ヽ \,ハ. ヽハ: : :| : :.l : :i: |
連続の予約があって待ち遠しいです!
書き手さんがんばってください!
ヽ. | | i | / ___,/
i ,┤ | / i | // ̄,,,,,,,,, /
| /,...| | / // // ,,-、 `/
・ 死 | i 个i ' i i_ i─ii/ . ・ ラ
・ | | .i | iii;;;;,,,, i i ,;-──,,,,,;;;;;;;''''''''iii┬─'''''__. `i |─/ . ・
・ に .| | | | iii;;;;;;;;;;`─-;;,,,, |i |,,|,,,,,,;;;;'''´--''''''''''i ̄ .|  ̄ ̄ .| i / ・ デ
・ | | .i ヽ, |  ̄●/''|´` ''|'''''i ● ノ | lllll| / ・
・ お | .i .| |´i i_____/ i .| `--──'''',,;; | lllll| i ・ ィ
・ | | | | i,,,, / | i___,,,;;;;,,,,,,,,_ | ノ | ・
っ .|_ i .i i ,,,,,,./ | ,--─i'''''i ̄::::i | . ・ ッ
| .| L| .,,,;;;;;''''' i `---------─'''' .| |::::: | | . ・
た |ノ i i | ,,;;''' |''' ,,,; i i " | .・ ツ
| `、ヽ. i ,=-''' --;;,,, iii''' | | <
> `i\ `''''´ ,,,,,,,,,,,,,,,,, `i ii''' \\_,,,;;| め
| , ' | ;;ii'''' _,,,,,,,,,,''''iiiiii | \_二|
ノ / i iii| |i _) iiii;; |i | i
___ イ / | ,,ii,,  ̄ ̄ iii |i i:: ヽ.,
/ ::i:: ,,/ /
蟹は…蟹のデッキは出ないのだろうか…
ただでさえ飽和気味言われてた状況で増やすのは大変だぜ
上手く理由付けしないと時期が時期だけに「なんで今まで使わなかったんだ」ってなるし
更に蟹デッキは特別なカードが入ってる訳でもないしあんま美味しくない
ネタ以外に使い道がない
酷い言われようだなw
まぁ、否定は出来ないけどwww
確かに蟹は人間もライダーとしてもネタキャラだったからなw
まだアイテムが少なかった頃に出てれば変な方向に進んだんだろうな、それを配られた奴って。
うーん、残念。
467 :
名無しより愛をこめて:2008/07/25(金) 14:20:42 ID:xvG9jcGp0
/ .:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::.ヽ
/ .:.:.:.:.:./ .: .:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::',
./ .:.:.:.:.:./.:./ ., __,.:.::,.__.,..:, .:.::/,_:_:.:.:. 、 、rく⌒ヽ:',
,′ .,...,.:;.;/ .:/"´ /.::/ //:/.::::/.:ハ.:.:.:`、ヽヽヘヘ 〉!
,′ .:.:l.:::i::|:|:,.イ.::::,イ:::/ //:,イ:::::/:/ ',.:.:.ミミミ.::l::!V,.イ:|
N :l.:.::l.:::i::|:|:l/l:_/.l::/ //:/ 1::/:/_ _,,`ヾミミヽ」.:!レイ:::!
Nl .::l.:::i.:|:N¨l/ニl/=l/z、、 |/l/ ,. ィ'"´`ヾ:ハ!1 1::!
`トトt、:i::|:| イ¨テ成_゙′ ,.ィイ乏〒`> リハ/ .i |:1
|.::|`_い ゝ --‐ ' ` ー-‐' !_ノ .:i |:1
|.::| .:.:l::ハ : j,:イ .:!. |1
|.::| .:.:l.:小 _.;:. ハ:リ .:i. リ
|.:.| .:::l.:::lハ _ .._ /.:::,′ .::i !
l.:.l .::::i.:::|:.:.:.ヽ ´ ‐ ` ,.イ.:::::{ .::i !
l.:.l .::::i.:::|:.:.:.:.:.:.>、 ,.イ:i::::i.:::::', .:::i !
ト、! .:.:::i.:::|.:.:.:.,「 ミゝ.‐-‐ <.┘.:::i::::::.', .::i !
,..-‐┴'ヾ.::::i.:::|ツ` :、 I I ,.小i.:::::::', .::L_|
.イ⌒ヽ ト、iハ:! ゝ、 I I ,. ィ ``ヽ7´ ̄ ̄``77ヽ
一度蟹デッキ使った作品投下されたけどボツだったね・・・
>>468 ああ、石ころでカードデッキが割れちゃったやつだな。
流石蟹というべきかなんというかw
カード少ないといえばファムもだよね
まあ、蟹よりは戦闘能力高いし、女性用ってあたりがネタ度アップにつながるなw
五代ファムには爆笑してたぜ
ファムのガードベントって美穂だから綺麗だけど男が使うって思うとちょっとうーんってかんじだよね。
まぁ、それでもネタにはなるからいいと思うけど。
毎回中の人が変わるファム
地味にゾルダと並び現時点使用者最多ツールか?
そうだよなぁ…今更蟹が出てもあれか
響鬼勢がボルキャンサーを化け蟹と勘違いするぐらいしかネタがないか
蟹よりはベルデの方が使い道ありそうだw
>>474 見た目のインパクトはあるし、契約モンスター(名前わすれた)の能力で奇襲仕掛けられるし、スペックは蟹の倍はあると思う
>>475 モンスターの名前はバイオグリーザだよ!
忘れないであげてwww
477 :
名無しより愛をこめて:2008/07/26(土) 12:42:28 ID:ErZ+dba8O
東幹久
478 :
名無しより愛をこめて:2008/07/26(土) 12:43:27 ID:ErZ+dba8O
スライムナイトが仲間にならない
死神博士、影山瞬 、風間大介、城戸真司投下します
「死神博士、少しお話が……」
影山の声が死神にかかる。白髪の老人に、黒いマントを羽織る死神博士は用意した紅茶を一口飲んで、影山に振り返った。
病院の一室、受付ロビーの並んでいるプラスチック製の椅子は座り心地がいいとはいえないが、それでも疲れを取るには充分である。
死神はここに合流する予定のヒビキを始め、風間らの仲間なる人物をロビーで影山と共に待つ。
襲撃者がいれば、ご丁寧に入り口から進入するとも思えないが、合流する連中はここを必ず通る。
だからこそ、ここは見張りに最適な場所なのだ。死神の目的、ヒビキたちとの接点を作る、という一点において。
彼らと交代で仮眠をとることに決め、こうして影山といる。
城戸たちとの情報を整理しようとしていた死神の思考を中断する結果となったが、影山の表情を見るに何か重大なことを気づいた様子が伺えた。
影山自身にはあまり期待でいないが、ZECTなる組織の技術には興味がある。
ZECTの技術についての情報か期待をして、影山を促した。
「いってみろ」
「はい。風間に支給されたハイパーゼクターについてです」
「ふむ……」
影山の幼い印象を抱いてしまう顔を見つめ、期待していた答えが返ってきたことに内心ほくそ笑む。
黒い高級そうなスーツとは不釣合いの印象を持つ影山の器にふさわしく、表情は緊張していた。
「はい。風間が持っているハイパーゼクターは、我らZECTの開発した新たなゼクターです。
機密のために詳しくは聞かされなかったのですが……何でもその力は時間を超越するとか」
「ほう、時間を」
機密保持のために聞かされていないということは、影山が信用できないのか、聞かされる地位にないのか。
仮面ライダーとしての力があるため、前者、あるいは両方である可能性が高い。
それはさておき、時間を超越する力、ということに聞き覚えがある。
牙王から聞かされた、『時の列車』である。
「ふむ、ご苦労だった。何か他に気づいたことがあるなら、また報告するがいい」
「はい! もちろんですよ!! 任せてください!!」
適当に相槌を打ちつつ、死神は調子に乗りやすい影山を醒めた目つきで見つめる。
機嫌よく離れていく影山を思考の隅に追いやり、改めてハイパーゼクターと牙王のいう『時の列車』について考える。
時間軸……周りとは自分の常識が大きくかけ離れていることはもちろん気づいている。
牙王のコンビニや、さまざまな機能を持つ小型電話。
明らかに自分たちがいた時代にない機能だ。影山、牙王、城戸、風間と話をしたところ、それぞれ2000年代出身という情報を聞き出した。
もっとも、牙王から聞いた『時の列車』の存在を考えれば自分たちをさまざまな時代から集めることが可能だろう。
そして、影山よりたった今入った情報、『ハイパーゼクター』について思考をまわす。
影山の情報は『時を超越』することが可能だということだ。そのようなアイテムが簡単に支給されたことに疑問を持つ。
もっとも、『時を超越』する能力は自分達の身体能力、変身能力に課せられたと同じように制限によって使えないのだろう。
これらを使い物にするには、まず制限を解除しなければならない。
制限自体は、改造されてリミッターがつけられた事実があれば死神は即見破っている。
そして、人間である影山のように制限がかかっているものもいた。
変身アイテムに手を加えた、と考えるにはその手のアイテムが多すぎる。
影山や影山と最初に組んでいた男、自分に支給されたカードデッキや牙王のマスターパス、技術も出自も違うそれらのアイテムに手を加えるのに、どれほどの時と手間が必要か科学者の死神は理解している。
何より、それらに手を加えて弱体化するより、手駒にして使った方が効率がいい。
となれば、一括で参加者に制限を加えるもの。
(首輪か……)
身体を灰化するだけでなく、身体能力を制限する。
重要な機能を目に入るところに置くスマートブレインに死神は呆れるが、同時に解除の道が極めて困難だと知る。
参加者に本郷や自分がいる。ショッカーの科学者やIQ600を越える天才を参加しても解除されないという自信。
その自信があるからこそ、自分たちを参加者と選んだのだろう。
首輪を解除しかねない自分たちが参加させら手理由は何通りか考えられる。
たとえばスマートブレインが自分たちを侮っているか。
(いや、それはない)
この殺し合いに参加させる際に、人選は厳選するはずだ。少なくとも、自分が主催者ならそうした。
それに、『侮ってくれている』に期待するなど、宝くじに当選することを視野に入れて高級マンションを購入するようなものだ。
科学者である自分がするべきことではない。
(なら、この首輪が解析不可能なのか……)
すべての機能を通常ではありえない技術を積み込み、並みの科学者では理解ができない構造という可能性を考慮してみる。
この世界に来てさまざまな未知の技術に出会った今では、ありえなくもないと唸る。
だが、解除となると話は別だ。首輪を外すなら、現物を手に入れて分解すればある程度道は開ける。
何も首輪に詰め込まれた技術を100%理解する必要はない。
外れない首輪を作るなど、死神を前にしては無理としか言いようがなかった。
死神はショッカーの誇る科学者だ。未知の技術だろうが、そんなものは無視して『外す』ことに一点集中して首輪の構造を理解することはできる。
(考えるに、首輪の解除は可能……)
そう、首輪を外すだけなら、決して不可能ではないだろう。
つまり、この制限と離れることもできるのだ。
そこで、先ほどの疑問が蘇る。
なぜ、ハイパーゼクターを支給したのかということ。
制限が解け、条件がそろうのなら一人でノーリスクで脱出する参加者がいないとも限らない。
参加者を逃がすなど、企画者であるスマートブレインからすれば痛手だ。
そういう事態を避ける方法は三つ。
一つは逃げた参加者を追撃する手段をスマートブレイン側が保持しているということだ。
ハイパーゼクターを解析し、時を超える能力を持っているゆえに、ハイパーゼクターを用なしと判断して純粋に殺し合いの道具として支給した。
どの道、ハイパーゼクターを手に入れて『時を超越』する能力を使える条件を整えてもスマートブレインを倒さねば参加者に安息の時は来ない。
つまり、スマートブレインはハイパーゼクターを手に入れた参加者が向かってくることを計算に入れている。
この線は妥当だろう。
二つ目は時を越えることが、この島に限り『時を超越』する能力を行えない可能性。
自空間を移動する門のような存在があるなら―― 事実、時の列車はパスと列車を通してしか時間移動できないと聞いた ――その門たる存在をスマートブレインが握っている。
ハイパーゼクターも能力を行使するなら、その門を通る必要があり、抑えるのはそこだけでいい。
もっとも、時の門などの仮説に意味はない。単純に時間移動の手段をすべてスマートブレインに握られている。
その可能性の考慮だ。
そして三つ目は、制限が決して解けないものだという可能性だ。
首輪を外すことは、先ほどの思考で確認したとおり、可能だと死神は推察している。
つまり、その上で制限が解けないということは、
(首輪を外すこと自体が罠)
という可能性が高くなる。最悪の結論が死神に訪れた。
首輪が外れないようにスマートブレインは厳重に警戒をしているはずだ。
首輪を外せば死体が灰化する、も首輪を解析させないための一手にすぎない。
幾重にも首輪を分解できないようにする手を仕掛けて、それでも解除した結果残ったのが罠という絶望を突きつける。
たとえば、首輪を解除した瞬間、バトルロワイアルのルールを無視して、スマートブレインが大部隊を投入してこないとも限らない。
あるいは、首輪を解除した参加者を確認した瞬間、ミサイルの雨をこの島に撃ち込みかねない。
あるいは、首輪が外れた瞬間、上空から強力な毒ガスをばら撒くのかもしれない。
(つまり、スマートブレインの目的を探り、大人数の首輪を同時に解除できる状況にならない限り、首輪を外すのはむしろ自殺行為というわけか)
辿り着いた結論に、死神は忌々しげに顔をしかめる。
スマートブレインがどれほどの規模の組織を持っているかは知らないが、もしショッカー並みの組織力を持つなら厄介だ。
首輪を解除した瞬間、殺し合いを放棄して上にあげた手段をもってして現メンバーを全滅、同じバトルロワイアルを他のメンバーで繰り返すであろう。
つまり、死神は首輪の解析を進めると同時に、スマートブレインの目的を探り、集団を結成し、叩き潰さねばならない。
そのためには必要な手がある。
(本郷猛、そして一文字隼人と同盟を組まねばならまい)
きりきりと胃が痛むが、死神はどうにか堪える。思考するだけで泥を吐きそうな気分になるのに、実際目の前にすればこれ以上の苦痛が生まれるだろう。
だが、そう贅沢は言っていられない。
実際、両名にあったことがある城戸や風間がいる。
容姿の説明をしようとした二人を遮り、見張りを買って出たのはダブルライダーとの同盟を持ち込むためでもある。
現状では正直、死神に戦力が足りない。
制限が厄介な現状、たとえ宿敵でも力を借りたい。何より、一番戦力を把握でいるのはダブルライダーだ。そうなると、連携を組みやすいのはゾル大佐かダブルライダーかである。
何より、二人……特に本郷猛の持つ『カリスマ』を死神は期待した。
スマートブレインとの決着は集団を結成できなければ厳しい。
その点、本郷なら立花藤兵衛や多くの協力者を得て、アンチショッカー同盟に見込まれ、ショッカーを裏切ってから僅か数ヶ月で日本だけでなく、世界にも仮面ライダーの名を轟かせたほどのカリスマがある。
結成した大集団が烏合の衆では困るのだ。仮面ライダーに力を持たせるのはなるべく避けたいが、贅沢は言っていられない。
それに、奇妙な話だが同盟を確約した時、こちらの約束を守る確信があるのはダブルライダーなのだ。
他のライダーおよび人間はバトルロワイヤルの恐怖にいつ気が触れるか信用が置けない。
いつ約束を反故にして襲い掛かるか気が気ではない。
精神の強固さと、誠実さ両方に信頼が置けるのはよりにもよって宿敵のダブルライダーだ。
たとえ一時的であっても、手を組まざるを得ない。
(いずれ本郷猛と組む日に備えて、影山のような戦力を増やしていかねばな。そう、この死神が指揮するショッカーライダー部隊を!!)
大きな組織を待つのは派閥による争い。
ショッカーとて例外ではない。死神にとっては未来の話だが、ショッカーがゲルショッカーへと代変わりした際、旧ショッカーの怪人および戦闘員は始末している。
これはショッカーを一枚岩にするための、手段である。もっとも、乱暴な手段であるが。
それはともかく、死神が本郷と組むにあたってしなければならないのは己の味方を増やすこと。
影山は既に丸め込んでいる。残り二人、風間と真司に本郷は警戒を呼びかけるだろう。
(それだけは避けなくてはな)
本郷の声をも退ける『信頼』が彼らとの間に必要だと、死神は悟った。
(そして、牙王の言っていた時の列車。あやつはどこかに時の列車……神の列車といっていたな。
それがあると考えていたが……ないだろう)
もし時の列車があるとしても、スマートブレインの手元以外には考えられない。
時の列車は殺し合いを破綻させることができる最大の武器だ。
牙王から聞いた限り、ハイパーゼクター以上に都合のいい性能を持つ時の列車を奴らが放っておくとは考えにくい。
時の列車の行方は、スマートブレインが奪ったのか、もしくは……
(破壊だな。持ち主ごと。牙王によれば、神の列車を持つ牙王とゼロライナーと呼ばれる列車の持ち主はここにいる。
時の列車の持ち主が三人の内二人がそろっているのに、たった一人仲間外れになるのはおかしい。
だが、現実にデンライナーと呼ばれる列車の持ち主は呼ばれていない。
ならば、答えは一つ。デンライナーの持ち主、そやつは殺されている)
死神の冷酷な思考がそう結論付ける。
他にも根拠はあった。風間と真司の仲間ハナの存在である。
ハナなる人物はデンライナーの乗員であった。彼女と同じく、モモタロスという第一回放送前に死んだ男もそうだ。
つまり、スマートブレインは『時を超越できる列車』からその乗員を『いつの間にか』連れ出したのである。
時の列車の干渉を上回る干渉能力を持つ組織が、時の列車を見逃しておくと見るのは難しい。
おそらく時の列車は破壊、およびスマートブレインの手駒として保管のどちらかだろう。
そして、この殺し合いに参加者としてもれたということなら、最初の見せしめの二人のライダーと同じく、始末された。
そう見るのが自然だ。
(デンライナーなる時の列車の運行人による手助けは期待できないな。まあ、我らショッカーの幹部は助けを求める柄ではないから、どうでもよいが)
デンライナーを始め、時の列車を戦力としてみるのはおろかな行為だ。
死神はそう結論つけて、立ち上がる。
「どこに行くんですか?」
「影山。ワシは風間と城戸に話がある。お前にはここの見張りの引継ぎを任ずる」
「あいつらのところにですか?」
「そう不快な顔をするでない。我々は生き残らねばならぬ。
そのためにハイパーゼクターの解析は必須。少し貸してもらうよう交渉してこよう」
「……そういうことなら」
影山が少し不服そうに了承するが、死神は気づかない振りをして踵を返す。
ハイパーゼクターもそうだが、風間や真司といった男たちがどの程度戦力になるのか、見極めるために。
□
「……まったく馬鹿げている」
風間はベッドに腰をかけながら、いびきをたてて眠る真司を見つめ、ため息を吐いた。
窓を見ると空はどこまでも青く、もし変身で空を飛ぶことができるのなら気持ちいいだろうなと感想をいだいた。
首にかかる鉄の感触を感じ、風間はもう一度ため息を吐く。
風間は真司の暢気さに呆れ、死神とか言う明らかに怪しい雰囲気の老人の言葉を信じる人のよさにさらに呆れていた。
最初であった時からやかましく、お人好しだと感じていた相手だが、ここまでとは。
結構厄介な相手と組んだものだと風間は思う。
もともと風間は影山と組んでいる死神を前にして、別れることを提案するつもりだった。
ゴンを人質にするような卑怯者と組む怪しげな老人を信用する気など、風間にはない。
その風間の思惑を超えてとりあえず一緒になったのは目の前でいびきをかいている真司が大きい。
曰く、『仲間は少しでも多いほうがいい』『俺たちがまず信頼を示さないで、仲間を増やせない』とか。
お人好しにふさわしい多彩な意見で押し切られてしまった。流されている現状は非常にまずい。
かといって真司を一人にして出て行くほど冷血漢ではない。
何より、ハナはここに来る。
影山のような奴と合流することになるのは仕方ないとしても、接触する機会は減らしてやりたい。
影山は全女性の毒だ。ハナを近づけるわけにはいかない。
「いてっ!」
そう思考している風間の前で、真司がベッドから転げ落ち、目を覚ます。
どこまでも暢気な真司に対して、風間は毒気を抜かれた。
コンコン、とドアからノック音が聞こえてくる。
死神の入る許可を求める声を聞き、特に断る理由のない風間は承知する。
「どうしました? もう見張りの交代ですか?」
「いいや、少し二人に話があってな」
「どうぞ、死神さん。本郷さんの知り合いの方の話なら、大歓迎ですよ。あ、お茶入れましょうか?」
「先ほど紅茶を飲んできた。城戸くん、気を使わなくて結構だ」
「あ、そうっすか」
和やかな会話をするごく普通の青年と怪しげな老人。シュールな組み合わせに風間は頭痛が起きる。
少なくとも常識人を自負する自分としては、見ていてため息しか出ない。
「ところで、先ほどの情報交換の際に君たちの持ち物で興味をもってな」
「へえ、何にです?」
「銀色のカブトムシを模したアイテムがあっただろう。あれは影山曰く、ハイパーゼクターというアイテムらしい」
「ほう、影山がね。と、いうことはこれはZECTの開発したアイテムだということでしょうか?」
「そのようだ。その能力が特殊なのだ。そう、影山から伝えによると、時を超える能力を持つという」
「時を越える……クロックアップの応用でしょうか……?」
「分からない。しかし、その技術を調べることはワシにも君たちにも充分利益がある行為だと思うが?」
いいながら、死神は首輪を指差した。風間はすぐに察しが付き、疑問符を頭に浮かばせている真司を突っついて耳打ちする。
支援
おそらく、死神は首輪の解析をするため、未知の技術を調べたいということなのだろうと。
声に出さなかったのは、何らかの手段で監視されていることを示している。
耳打ちを終えて、風間は死神を見つめる。果たして、信頼に足る人物かどうか?
影山と一緒に行動しているところを見ると、信用できるとはいい難い。怪しげな風貌も不信に一役買っている。
簡単にハイパーゼクターを渡していいのか?
風間の答えはでなかった。
「いいっすよ。どんどん借りていってください」
「ちょっと、勝手に……」
「いいじゃないか。こいつを何とかするためだぜ。死神さんは本郷さんの知り合いだって言うんだから、信用できるって」
「あなたという人は……」
風間は頭痛を抑えるような仕草をしながら、真司を見つめる。
真司の瞳に自分が正しいと確信している人間の色があった。
その態度に誰かを思い出す。騒がしい、天道の傍にいるあの男。
風間は加賀美新を、真司に重ねた。この手の人間のあしらい方は心得ているはずだが、死神と出会ってからは真司のペースだ。
自分の本領発揮できる相手、女性もいないことだとやや自棄になりながら、風間は死神にハイパーゼクターを差し出す。
「好きにしてください。ただし、私たちの手助けもしてもらいますよ」
「ふふふ、当然だ。我々は同志なのだからな」
風間はこれ見よがしに首輪を指差した。
死神が頷き返し、離れていくのを見つめ、盛大にため息をつく。
その原因は……
「やっぱり死神さん、貫禄あるよな。年の功……なんてな」
どこまでも能天気であった。
□
真司と風間がいる一室から移動をし、死神は一人黙考する。
容易にハイパーゼクターが手に入ったのはありがたいが、死神に逆に不安が訪れる。
(あやつ……城戸真司は期待できないな……)
冷酷な評価を死神はくだす。風間はまあ、合格点だといってもいい。
それほど頭がよさそうに見えないのは二人とも一緒だが、賢すぎると死神の障害となるゆえ、そこは構わない。
むしろ影山や風間のような凡庸な人間の方が扱う側としてはありがたい。
そこそこの思考が回り、それでいて腕が立つ。
駒としてはちょうどいい。
問題は、逆に考えが足りない真司のような人物だ
真司は死神から見れば、おろかすぎる。風間や影山なら矮小な疑心を持って黙する場面でも盲目的に人を信じ、口にする。
こちらの仕草で察せず、風間の耳打ちで目を輝かせた瞬間、死神は真司を切り捨てる覚悟を決めた。
善良すぎる。こちらに引き込もうとも、周りを信じすぎるゆえ扱いにくい。
真司はこちらの言葉を容易に信じるように、悪意を持って近づく者の言葉も信じるであろう。
一人にさせるならのたれ死ねばいいが、集団として紛れ込んでいるとなると厄介だ。
こちらの集団が崩壊する隙を作りかねない。
(戦いのドサクサにまぎれて殺し、首輪を確保する。その程度の使い道しか見えぬな)
死神の冷徹な判断が降りる。
何事もすぎたるは及ばざる如し。信頼は必要だか、だれかれ構わず信頼しすぎる奴は要らない。
彼の行く道は常に、屍が築かれていた。
【死神博士@仮面ライダー(初代)】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-4 病院】
【時間軸】:一号に勝利後。
【状態】:若干疲労、擦り傷程度の傷多数
【装備】:鞭
【道具】:基本支給品一式、デスイマジンの鎌@仮面ライダー電王、ハイパーゼクター
【思考・状況】
基本行動方針:打倒本郷、及び一文字(保留)。この殺し合いをショッカーの実験場と化す。
1:ダブルライダーと一時休戦をする。
2:集団を結成し、スマートブレインに対抗する。
3:影山、風間を利用して戦いを有利に進める。
4:首輪を外す方法を研究する。その為にも研究施設へ向かう。首輪のサンプルが欲しい。
5:未知のライダーシステムおよびハイパーゼクターの技術を可能な限り把握する。
6:影山をショッカーライダーとして導く……?
7:利用できそうな人物を集める、障害となりうるのであらば排除。
8:真司はいずれ切り捨てる。
※一文字隼人(R)の事を一文字隼人(O)だとは信じていません。
また、第一回放送で呼ばれた一文字隼人(O)は一文字隼人(R)だと思っています。
※流れ星は一戦闘に六発まで使用可、威力はバイクがあれば割と余裕に回避できる程度。
尚、キック殺しは問題なく使えます。
※変身解除の原因が、何らかの抑止力からではないかと推測しています。
※風間と城戸の所持品、カブト世界、 龍騎世界について把握しました。
※ハイパーゼクターはジョウント移動及び飛行が不可能になっています。マニュアルはありません。
【考察まとめ】
1.首輪の100%解析は不可だが、解除することは可能。
2.首輪を外せるのは罠で、タイミングが重要。
3.時空を超越して逃げても、追跡される。
4.会場に時の列車はない。あるとしてもスマートブレインの手の中。
5.ガオウから聞いた、デンライナーの持ち主は干渉を避けるために既に死んでいる可能性が高い。
【影山瞬@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-4 病院】
【時間軸:33話・天道司令官就任後】
【状態】:全身に若干の疲労。背中に軽い裂傷。
【装備】:ザビーゼクター、ブレス
【道具】:支給品一式×2、ラウズカード(◆J)、不明支給品0〜2(確認済)
【思考・状況】
基本行動方針:生き残り、脱出する。
1:取り敢えず死神博士に協力する。
2:天道総司を倒した参加者、牙王は自分の手で倒す。
3:自分に使用可能な武器・変身ツールの確保。
4:木場とは出来れば会いたくない……。
5:仲間を集める。
※午前1時過ぎの時点でG-2のガソリンスタンドに乗り物はありませんでした。
※不明支給品は彼に戦力として見なされていません。
※風間と城戸の所持品、龍騎世界について把握しました。
【風間大介@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地G-4 病院】
[時間軸]:ゴンと別れた後
[状態]:鼻痛(鼻血は止まっています)
[装備]:ドレイクグリップ、ドレイクゼクター
[道具]:支給品一式、オロナミンC2本(ぬるめ)
【思考・状況】
基本行動方針:戦いはなるべく回避し、できるだけ早く脱出する。
1:都市部の探索。仲間との合流。
2:協力者を集める(女性優先)
3:謎のゼクターについて調べる。
4:あすかがどうなったのか心配。
5:移動車両を探す。
6:影山瞬に気をつける
※変身制限に疑問を持っています。
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-4 病院】
[時間軸]:劇場版、レイドラグーンへの特攻直前
[状態]:全身に軽度の痛み、芝浦の死に悲しみ
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:支給品一式
【思考・状況】
基本行動方針:早期に殺し合いを止めた上でのスマートブレイン打倒
1:仲間を集めて主催者打倒 。
2:金色の仮面ライダー(グレイブ)に注意する。茶髪の男?まさか…?
3:本郷ともできれば再度合流したい。
4:志村の後を追い、長田結花との合流を目指すついでに話を紐解く。
5:手塚に似てるなぁー。
[備考]
※不信感を多少持ちましたが、志村をまだ信用しています。
※名簿に手塚、芝浦、東條、香川の名前がある事から、スマートブレインが死者蘇生の技術を持っていると考えています。
※連続変身出来なかった事に疑問を感じています。
※志村について話していません。
※カブト世界について把握しました。
[共通備考]
※死神博士を除く三人は互いに所持品、行動方針、出身世界程度の情報交換をしました。
投下終了。
タイトルは 恐怖!死神ショッカーライダー大部隊結成作戦!! です。
指摘感想お待ちしております。
投下乙です!
死神博士の頭脳が冴え渡るー!格好いいです!
首輪や時の列車に関する考察、流石としか言いようが無いですね。
しかしいやいやながら手を組むと決めたダブルライダーはもう……
それと真司がやばいw
風間・影山の二人もこれからどう絡んでいくか楽しみです!GJ!!
投下乙です!
苦悩の末にダブルライダーとの共闘を決意した死神。
残念なことにそのダブルライダーは既になく……
早くも戦力外の烙印を押された真司、
ハイパーゼクターを手放した大介の今後にも不安が立ち込めてますね。
そして首輪に関する死神の考察が非常に緊迫感溢れるものでした。
確かにスマブレは普通に首輪外そうが島毎殲滅しそうで困るw
GJ!!
乙です。
死神博士、ダブルライダーはもういないよ!
そうなると何とかゾル大佐に会わなければ……
しかしそこにはへんな勘違いをした橘さんが。
なんだか不安になってきた……
投下乙!
死神博士の考察が凄いなぁ……思わず対主催者として一番期待出来てしまうw
確かに首輪を直ぐに外しても必ずしも解決にはならないよなぁ。
そしてすっかり子分になった影山と、即効で切られた城戸に笑ってしまったw
彼らが今後死神と決別するか、ショッカーライダーとなるかも気になるw
GJ!!
投下乙です。
流石死神博士だと言いたいが、本郷は2人とも死んでる状態なんだよなー
橘さんがまたエライことしそうだ。
しかし良太郎やっぱ死んでるのかね?
ロワに参加してないキャラまで勝手に殺すのはやめてほしいなぁ。
なんか意味無いじゃん、そういうの。
ま、死神博士がそう考えてるってだけだからいんじゃね?
実際書かれる事もないだろうし。
ちゅうかデンライナーの持ち主ってオーナーじゃね?
一キャラの考察に何をw
侑斗ガオウに加えハナとモモがいるのに良太郎が参加してないのを
第三者が不信に感じるのは別段おかしくないし
安心しろよ、良太郎は今頃のんきに高校野球でもしてるさw
>>514 暢気じゃねえよ、ニコガクなめんな
…あんま台詞ないけどなw
良太郎ニコガクではあんまり目立たないんだよね・・・
もはやメビウスのほうが
お前らが王様のブランチを見たことはよくわかったからその辺にしとけ
519 :
名無しより愛をこめて:2008/07/27(日) 16:40:11 ID:g7hC/e9j0
27時間テレビおもしろい
wikiの雑談掲示板内、仮投下スレの方に作品を仮投下させていただきました。
矛盾点、誤字脱字などありましたらご指摘の方お願いいたします。
>>520 仮投下乙です。特に問題はないかと。
感想は本投下時に
仮投下を行わせていただきました。
指摘等ありましたらお願いします。
523 :
名無しより愛をこめて:2008/07/29(火) 17:56:25 ID:AT4/M9MC0
はぐれメタルでねぇ
524 :
名無しより愛をこめて:2008/07/29(火) 19:46:55 ID:lG/wTGM00
朝の11時に投下とかw
厨房は夏休み真っ盛りのようで羨ましいよw
仮投下をさせて頂きました。
いろいろと緊張しまくりです。
指摘などありましたら、どうかよろしくお願いします。
>>526 投下乙です!
特に問題はないと思います。
感想は本投下時にさせていただきます。
楽しみにお待ちしております!
528 :
名無しより愛をこめて:2008/07/30(水) 21:34:26 ID:Ggx0NY4f0
将軍に睨まれた書き手は帰ってこないな
香川英行、桜井侑斗、木場勇治、海堂直也、十面鬼ゴルゴス
投下いたします。
パステルカラーで塗られたショッピングセンターの壁。
所々が抉れ、または焼け焦げて、今しがた刻まれたばかりの戦いのしるしも生々しい。
出入り口付近に嵌められた大きな窓ガラスは軒並み割れており、尖った先端を鋭く光らせて、荒廃した雰囲気を漂わせている。
その中の三人の人影。中年の男が一人。若い男が二人。皆一様に憔悴を顔に浮かべていた。
「……桜井君」
始めに口を開いたのは中年の男―――香川だった。
おびただしい量の緑色の血液が、大理石風の床に不気味な模様を描いている。
侑斗は膝をつき、つい先ほどまでここに無残な姿を晒していたかつての仲間が封じ込められたカードを握り締めたまま、気遣う言葉にも答えようと
しない。
深い後悔と無力感に、俯いた顔は色をなくし、手はかすかに震えていた。
香川が侑斗の肩を軽く叩く。侑斗はきつく唇を噛み締めてから、ゆっくりと顔を上げる。
「はい……もう、大丈夫です」
言って立ち上がると、ぐいと香川を見返す。その様子を見て、香川も頷きを返した。
もう二度と、仲間を失いたくない。
自分達を庇い、自分達に想いを託して死んでいった―――一条、金居。
その二人のためにも、仲間を守り、この殺し合いを止めると誓う。
侑斗の胸に灯る決意の炎は、より一層激しさを増した。
手の内のカードをもう一度見つめる。
金居の作意に気付く事が無かったのは、彼にとっては幸運であった。
※※※
その様子を少し後ろで見ている青年―――木場は、金居の死に戸惑い、二人と同じく悲しみを覚える。
しかし、それと同時に彼の心には暖かな感情が広がっていた。
硝子片やコンクリート片が散らばる床に広がる、明らかにヒトのものではない血溜まり。
金色の甲冑のようなその姿をしていた男の死を悼む二人。
死んだ金居という男は、彼らに受け入れられ、信頼されていたのだ。
おぞましい、殺し合いという舞台に放り込まれてなお、自分と同じように、困難に抗う人たちがいた。
自分の考えは間違っていなかった。
その事は、こちらへ来てから人間の悪意にばかり晒されていた木場の心に慰めをもたらした。
「……木場君、と言いましたね? 改めて聞かせてもらえませんか、貴方の事を」
「はい」
桜井と呼ばれた青年が落ち着くのを待って、香川と名乗った男がこちらへ歩み寄る。
木場は頷く。何から話すべきか少し迷ったが、自分がオルフェノクと呼ばれる存在であり、先ほどの姿がそうだと説明した。
「オルフェノクは……元々人間で、一度死ぬ事で覚醒したり、他のオルフェノクに蘇らされたりしてなるんです」
香川も侑斗も、木場の話を真剣に聞いている。
木場もそうだが、彼らが自分たちと同じ世界に属さない事を薄々理解していたのだろう。
そして、スマートブレイン。その単語を木場が口にした途端、二人に緊張が走るのが見て取れた。
木場はちらと、ファイズギアに印されたロゴを見る。
「スマートブレインは、オルフェノクになったものを束ねている組織です。この殺し合いを仕組んだ理由は分からないけれど……」
木場はスマートブレインについて、知りうる事を全て話した。
反抗する自分達のようなオルフェノクを執拗に狙う事、そのために存在する三本のベルトの事。
そして、彼らの前に姿を現した、スマートブレイン社の社長―――村上峡児の正体。
「なるほど……彼もオルフェノク、という事ですか」
「ええ」
「ならば、ここで戦っていた竜のような姿をした怪人、あれもオルフェノクなんですね?」
その姿から木場との相似性を見出した香川が問う。
北崎―――ドラゴンオルフェノク。
スマートブレインの有するオルフェノクの中でも最高の強さを持つ、ラッキークローバーの一葉。
木場は彼と戦った事がある。ここに来る前と、来てから一度。
圧倒的な力。子供じみた振る舞いに滲む凶暴性。
厳しい表情をする香川と侑斗。
「でも、全てのオルフェノクが敵な訳じゃありません。オルフェノクでも、人間の心を持った者がいます。……あの」
香川は首を振る。自分達がやって来た時、北崎と戦っていたのはオルフェノクではなく別の人物だったと言う。
そして―――その人物こそ、香川の探している東條悟であった。
木場は名前こそ知らないものの、香川の語る人物評や変身後の姿を聞いて、海岸で戦ったあの青年だと思い当たる。
その時の様子を伝えると、香川の表情はより一層険しいものになった。
「彼との決着は私が着けなければなりません。それが私の、指導者としての責任です」
重苦しく決意を口にする香川の様子に、木場はまた不安が心を満たして行くのを感じていた。
東條のような危険人物が、自分が気絶した後に乱入してきたのなら、海堂は無事なのだろうか?
青ざめた木場の顔を見て、今度は侑斗が香川に言う。
「香川さん、探しましょう。仲間になってくれると言うんなら、そうするべきです」
侑斗と香川は顔を見合わせて頷いた。
仲間が増えるというのなら、文句は無い。そういった様子だった。
「では、木場君。私たちと共に、殺し合いの阻止をしてくれますね?」
「……はい!」
香川の目を見つめ、不安を打ち消すように力強く応える。心に巣くっていた闇が、僅かに薄らいだような気がした。
※※※
「香川さん、こっちです」
木場が最後に海堂を見たという店内に二人をいざなう。
めいめいがデイパックを抱えて歩きながら、香川は静かに思考を巡らせていた。
木場から得た情報に関してだ。
スマートブレイン社。木場が語るその姿は巨大複合企業に他ならない。
だが、衛星を利用した監視や、島一つバトルロワイアルの舞台にするなど、遥かにその範疇を超えた力を持っている。
香川はデイパックの中から首輪を取り出す。
銀を基調としたそれ。一部こびりついた煤に隠れているものの、スマートブレインの刻印がはっきりと見て取れた。
フレームには一体どういった金属が用いられているのか、大した重さは感じられない。
内部には相当のテクノロジーが詰まっているはずなのだが。
生きた人間を即座に灰化させる事など、その最たるものだ。香川の知るどんな方法を用いても、人体を一瞬で灰に変える事など不可能。
人智を超えた技術を有するスマートブレイン社―――それを束ねている村上なる男の正体―――オルフェノク。
一度死んだ状態から覚醒し蘇る、人類の進化系と呼ばれる存在。
香川は首輪にも、その力が使われているのではないかと推測する。依然、原理はわからないが。
だとしたら、放送で告げられた『死者の蘇生』についても、考えが変わってくる。
スマートブレイン社は死体の一部の欠損も無く、首輪を付けたままならば、死者をオルフェノクの力を使って蘇らせる事ができる。
おそらく、オルフェノクとして。
侑斗と並んで歩く木場を見やりながら思う。
(いずれ一度、オルフェノクについて、彼に詳しく聞かせてもらわなければならないでしょうね……)
そして木場と戦い、このショッピングセンターに姿を現したかつての教え子、東條。
香川の見た東條は、自分をその手に掛けようとした時と変わらず、暗黒を瞳に宿らせていた。
いびつな形に歪められた英雄願望。
東條の持つそれに薄々気付いていながら、止められなかった、正す事が出来なかった。
彼を導く立場にあった自分が今ここでなすべき事だと、香川は心に刻み付ける。
(東條君……あなたは私が止めます、今度こそ、必ず……)
※※※
海堂が目を覚ましたのは、三人がその場を離れた直後だった。
ガイのファイナルベントで少し離れたショッピングセンターの入り口付近まで跳ね飛ばされたため、三人から目視される事はなかったのだ。
バイクにもたれたまま、空を見上げた。若干雲が増えて来たように思えるものの、変わらず降り注ぐ輝く太陽の光に目を細める。
したたかに打ち付けた体がギシギシと痛むが、骨折などはないようだった。
眩しさと疲労感に瞼を閉じると、先ほどの戦いが脳裏に蘇る。
湧き上がる、仮面ライダーへの恐怖、それを凌駕する怒り。憎しみ。
狂ったような笑い声を上げながら突進してくる、犀を模した銀色のライダーと怪物。緑の血、断末魔。
竜のような姿をしたオルフェノクが変身した、黒と金の仮面ライダー。
―――そういえば、変身の仕方がファイズに似ていたような気がする。
「ってそうだ、木場だよッ木場!!」
がばりと跳ね起き、立ち上がる。
気絶した後のことは定かでないが、たしか金のライダーはどこかへ運ばれて行き、銀のライダーは仲間を殺し―――
その後、新たな獲物を探して店内に戻った者が、気絶したままの木場を発見したとしたら?
海堂の背中に冷たい汗が噴き出す。
「オイオイ、まさかやられっちまったんじゃねェだろうなぁ……」
もしそうなら、夢見が悪いとかそんなレベルじゃねーぞ!
慌てて踵を返し、ショッピングセンターへ向かう。
ふと、耳鳴りがしたような気がした。吹き飛ばされた際に頭でも打ったかと思ったが、構っていられない。
「生きてろよ……木場ぁ!」
バイクのミラーの中からこちらを伺う影に気付かず、海堂は駆け出した。
※※※
広大なショッピングセンターの中を、三人は歩く。
観葉植物の鉢植えは薙ぎ倒され、陳列されていた商品が床に撒かれている。
来店する客の購買意欲を誘うための明るさも、清潔感も、いまや見る影も無い。
普段何気なく過ごしている日常の風景に残された、戦いという名の非日常が見るものを陰鬱な気持ちにさせる。
隣を歩く侑斗とふと目が合い、木場は気分を紛らわすためにも何か話がしたいと思った。
ぎこちなくだが、柔らかい笑みを浮かべて礼を述べる。
「助けてくれて、ありがとうございます」
「別にいいさ」
ぶっきらぼうな侑斗の態度に、友人である乾巧が重なった。年のころも、同じぐらいだろうか?
「海堂は素直じゃないけど、ずっと俺達の俺たちの味方でいてくれたんです。きっと力になってくれる。オルフェノクでも―――」
「それこそ関係ない。……変な奴らと付き合うのは慣れてるし」
「変な奴ら?」
侑斗は一瞬決まりの悪そうな顔をしたが、ぽつぽつと話をしてくれた。
元いた世界では、イマジンという存在と戦っていて、その中には自分達に味方をしてくれる奴がいた、と。
そいつがまたお節介のお人好しで、自分を子供扱いばかりしていらない世話を焼いてくると来た。
話しているうちにその時の気持ちを思い出したのか、心底腹立たしげな様子の侑斗を見て木場はほほえましく思う。
「その人も、ここに連れて来られているんですか?」
「ああ」
「早く会えるといいですね」
「別に心配してない。簡単にやられるような奴じゃないしな」
「そうですね、きっと無事ですよ」
またどっかで誰かに飴でも配ってるかもな。
そう言って肩を竦める侑斗と、まだ見ぬデネブという名の相棒に、木場は好感を持つ。
彼の話を聞いていると、自分の理想とする人間とオルフェノクの共存も決して夢などではない。そう思えた。
未だ眠り続ける悪意の種子を、自らの胸に抱えたまま。
「ところで、桜井君……でしたよね? 君は何歳ですか?」
「……19だけど」
「ああ、やっぱり。俺、同じ位の年頃の友人がいるんです。何だか似てるなーと思って」
「……木場、さんは、何歳なんですか?」
「21ですけど、あんまり気にしないでください」
年齢を意識した途端、敬語になった侑斗におかしみを覚え、笑いかける。今度はだいぶ自然な笑顔が出来た。
その時、木場の耳が一つの音を捉える。立ち止まり、辺りを見回すと、香川と侑斗も足を止めた。
「木場……おーい、木場ぁーーー!!」
「海堂!」
ショッピングセンターの入り口付近から聞こえてきた声。見れば、まっすぐ駆け寄ってくるのは探していた海堂その人である。
香川と侑斗にアイコンタクトを取り、木場自身も海堂に向かって走り出す。
そして再会を果たした二人の元に訪れたのは―――
耳をつんざく爆音と、降り注ぐコンクリート片、ガラス。その熱量に弾き飛ばされる。
―――乱入者による、破壊であった。
※※※
十面鬼ゴルゴスは牙王と別れた後、血を求めて市街地を彷徨っていた。
牙王がどうやら北上した様なのと、力を持たず協力者を求める弱者ならば、
市街地に潜んでいるだろうと考えての行動だったが、未だ一人の獲物も見つけられていない。
いい加減苛立ちも限界に達していたが、しばらくすると重かった体が軽くなったような気がして、ゴルゴスは制限が解けたことに気が付く。
これなら、次に遭遇した相手を叩き潰し、その血を啜る事が出来るだろう。
ゴルゴスがショッピングセンターで起こっていた戦闘に気が付いたのは、銃声のためだった。
すぐさま向かおうとしたが、これだけ派手な戦闘をしているならば、そこに居るのは忌々しい仮面ライダーに違いない。
そう思い直し、ゴルゴスは様子見を決め込む。
死神博士は自分たちに制限が掛かっている、と言った。
たとえ相手が誰であろうと、倒す自信はある。だが、今は血を得る事が先決だ。
狙うのは弱者。制限がかかって弱体化した所を襲えば、仮面ライダーであろうと恐れるに足りぬ。
「血さえ得ることが出来れば、俺は誰にも負けん! 待っておれ、牙王、死神、影山……アマゾン!!」
ショッピングセンターから聞こえる戦闘音が収まるのを待って、ゴルゴスは目的地へ向かう。
そうして見つけたのが―――四人の哀れな贄であった。
ゴルゴスはおもむろに体を宙に浮かせると、その体に以前のように力が漲るのを感じた。
久々の狩りに胸が躍る。
積もり積もった鬱憤を加虐の愉悦に変え、ゴルゴスの大岩が火を噴いた。
※※※
それは間違いなく、彼らが今まで目にした中で、最も『異形』であった。
見上げるほどの大岩は血塗られたように赤く、いくつもの人面が埋め込まれており、岩自体も憤怒の表情を形取っている。
その上に生えた人の上半身―――同じく赤く染まった肌。
大きく歪んだ口元からは長く伸びた牙が覗き、まさに悪鬼そのものと言えるような顔を持つ。
そして信じがたいことに、その巨体を宙に浮かばせて、金色に輝く目で彼らを見下ろしているのだ。
『異形』は洞穴から響くような声で、低く笑った。
「ウハハハハハハ!! これはいい、生きの良さそうな餌がこんなに居るとはな!」
岩に埋め込まれた顔たちが一斉に笑い出す。あまりにも異様な、怖気のするような眺めである。
唯一、ゴルゴスと交戦した事のある木場が呟く。
※※※
「木場さんっ……!」
「桜井君、出てはいけません!」
香川と侑斗は、ひしゃげた防火扉の後ろで様子を伺っていた。轟音と共に遮られた視界に、侑斗が思わず身を乗り出す。
どうやらあの怪物は木場と因縁があるらしい。激昂した声、ターゲットを木場に絞った事から香川はそう判断する。
木場を失う事は出来れば避けたい、スマートブレイン社の情報を持つ彼は脱出の助けになるはずだ。
香川は今にも飛び出して行きそうな侑斗を見る。
桜井侑斗、脱出のための鍵になりうる『ゼロライナー』のオーナーであり、『ゼロノスベルト』の持ち主―――
香川は一つの決断を下す。
「桜井君、私が囮になります。あの怪物を引き付けますから、木場君たちと逃げてください」
「!? 香川さん、何を言っているんです!」
驚いて香川を見返す侑斗。香川はしっかりと侑斗の目を見て告げた。
「あなたは制限のため変身する事が出来ない。戦うことは不可能です。
それは木場君も同じ……あなたと彼はこの殺し合いを阻止するための鍵になる。逃げてください」
「駄目です! 戦えないのは香川さんも同じだ! そんな事―――」
「いいえ、桜井君」
香川の、眼鏡の奥の瞳が侑斗の体の表面を伝う。その視線はやがて、握り締められたゼロノスベルトにたどり着く。
ゴルゴスは宙に浮かび、半ば晴れかけた土煙の中にうず高く積みあがる瓦礫の中から木場の姿を探していた。
痺れを切らしたように、再び吼える。
「隠れても無駄だ!貴様ら残らず叩き潰して―――ぐぅッ!?」
衝撃に呻く。一閃の光の矢がゴルゴスの背中を射抜いたのだ。
振り向くと、ボウガンのようなものを構えたシルエットが土煙に浮かぶ。
その時、ふいに割れた窓から一陣の風が吹き込み、視界を晴らした。
立っていたのは、輝く緑の装甲、牛を模した複眼、レールを思わせる金のラインが胸に走る。
仮面ライダーゼロノス。
時の列車、ゼロライナーを司る仮面ライダー。
「また仮面ライダーか……何人居ても同じだ! この十面鬼ゴルゴスの敵ではないわ!」
新たに標的を定めたゴルゴスが両腕を掲げる。再び大岩の口からエネルギー弾が発射された。
ゼロノスはゼロガッシャーを構え直すと、走りながら無数の光弾をゴルゴスに打ち込んだ。
※※※
「何……!?」
飛び出してきたゼロノスの姿に、瓦礫の影に居た木場は驚きを隠せない。
まさかと思い、手元のファイズフォンを操作してみるが、やはり何も起きない。
では、あの姿は―――
「木場さん!」
「桜井君!? じゃああれはやっぱり……」
現れた侑斗の姿を見て確信する。あれは香川が変身したものだ。ゼロノスのベルトは装着者を選ばないらしい。
「香川さんが怪物を引き付けているうちに木場さんたちと逃げろって」
そう言いながらも、侑斗は納得していない様子だ。目は忙しなくゼロノスの動きを追っている。
ゼロノスは巧くゴルゴスの攻撃を避けているものの、火力や攻撃範囲は圧倒的にあちらが優位。
長く持つとは思えない。
だからと言って、変身できない状態でその身を晒す事は出来ない、それこそ香川の計画を無に帰す事になる。
木場の心は揺れた。ここで言うがままに逃げ出すべきなのか?
自分を信頼し、共に戦おうと言ってくれた人を危険な状況に一人残して?
そして木場は思い当たる。傍らの、本当に信頼できる、自らの仲間の存在を。
「海堂!」
海堂は差し出されたファイズギアと木場の顔を交互に見て、たっぷり十秒は沈黙した後、ようやく口を開いた。
「何、だよ……これ」
「海堂、頼む。今は、今だけは、彼らに力を貸してくれ」
無論、海堂を危険な目に遭わせたくはない。だが、木場には他に思いつく方法などなかった。
※※※
囮になっていると言うあの仮面ライダーを助けるために戦って欲しい。
そう言いたいに違いないのだ、このお人よしは。それなりに長い付き合いだ、木場の思考なんか分かりきっている。
だが、こっちにも都合と言うものがあるのだ。海堂は手をかざし、詰め寄る木場を遮る。
「ちょちょちょちょいまち。いいか、俺様はな、ついさっき仮面ライダーへの復讐を誓ったばっかなんだよ!」
「話は後だ! 今変身できるのは君だけだ、変身してくれ!」
必死に言い募る木場の手に握られているファイズギア。
自分たちのような、裏切り者のオルフェノクを始末するため、スマートブレインに作られたもの。
バトルロワイアルにおいては、参加者を屠るためのツールに他ならない。
それらを用いて変身するのが―――仮面ライダー。
仮面ライダーは、モグラ獣人を殺した。あんなに仮面ライダーを信じていたのに。
仮面ライダーは、スマートブレインの刺客。何人もの仮面ライダーが自分達を襲ってきた。
仮面ライダーは、………正義の、ヒーロー。
『アマゾンは……仮面ライダーなんだ!』
木場の必死な眼差しに、希望に満ちたモグラのつぶらな瞳がオーバーラップする。
『仮面ライダーってのは何てったってそりゃあ凄いんだ。ゲドンがどんな卑怯な作戦を使ったって絶対に阻止しちまうんだぜ』
『困ってる人は絶対に見捨てないし、助けを求める人がいたらどこへだって飛んでいくんだ』
違う。
その仮面ライダーが、お前を殺したんじゃないか。
仮面ライダーの力で、殺しを楽しんでいる奴らがここにはうようよしてるじゃないか。
怒りと憎しみが海堂の中で膨れ上がる、だがその視線がファイズギアから剥がれる事はない。
それが何故かは海堂には分からない。様々な感情がない交ぜになり、答えを探すが見つけることが出来ない。
再び大きな音がした。思わず目をやると、緑色をした仮面ライダーが間一髪で圧死を免れている所だった。
ギリ、と奥歯を噛み締める。木場が、侑斗が海堂をじっと見つめている。さながら、祈るような眼差しで。
ああ、そうか。
―――こいつらも、仮面ライダーなのか。
「……ッちくしょォ!」
目の前のファイズギアを乱暴に掴み取ると、素早く腰に巻き付ける。
ファイズフォンを開き、コードを入力。5・5・5、enter。
---Standing by---
鳴り響く電子音。それは幸い戦闘の音に紛れて、敵に感づかれる可能性はない。
---Complete---
(仮面ライダーっちゅーのは……一体何なんだよッ!!)
ギアから現れた眩く輝く赤の光線が体を駆け巡るのを感じながら、海堂―――ファイズは、ゴルゴスに向かって駆け出した。
※※※
自分がゼロノスに変身できるかどうかは一種の賭けであった。
木場の持つファイズギアは、カードデッキとは違い、限られた人物しか装着資格を得られない。
ならば、ゼロノスベルトは?
侑斗は自分以外が使用した事はないと言った。
以前からその可能性は考えてはいたものの、ゼロノスベルト自体の原理は不明。
回数が限られていると言う事もあり、気軽に試してみるという考えにはなれなかった。
―――もし試すとしても、こんなギリギリの状況では御免被りたかったが。
高らかにゼロノスの死を宣言するゴルゴス。
ゼロノスもゼロガッシャーを構え直す。こうなっては、多少危険でも真っ向から戦わざるを得ない。
その時目の前を横切った影―――黄色い双眸、赤い光。
「ッラァァアアアアア!!!」
掛け声と共にゼロノスへ急降下するゴルゴスを蹴り飛ばす。僅かに軌道が逸れ、大岩は床を砕くに留まった。
その姿に木場の持っていたファイズギアを認めると、ゼロノス、香川の脳裏に一つの可能性が閃く。
(木場君の仲間……たしか彼もオルフェノクだと言っていましたね……)
傍らに立ち、ファイティングポーズを取るファイズを見る。自分を助けるために、木場が彼にベルトを託したのだろう。
怨嗟の声を上げながら再び浮上を始めるゴルゴスから距離を取る。
(ならば一緒に戦ってもらいましょう……いざとなれば、“盾”にも出来る)
可能性を守るための決意。一見非情ではあるものの、狂った教え子との差異は明確。
それは“盾”としての役割を、等しく自分自身にも課しているという事だった。
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター内】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。ゼロノスに変身中。
【装備】:ゼロノスベルト
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:侑斗と木場を逃がすために目の前の怪人と戦う。二人を生かすためならファイズを盾にする事も厭わない。
2:東條は必ず自分が止める。
3:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※死者の蘇生に対する制限について、オルフェノク化させる事で蘇生が可能なのではと思いはじめました。
【海堂直也@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター内】
【時間軸】:34話前後
【状態】 :体の各部に中程度の打撲。激しい怒りと戸惑い、ファイズに変身中。二時間変身不可(スネークオルフェノク)
【装備】:ファイズギア
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:「仮面ライダー」を許さない。
1:目の前の怪人を倒す。
2:ライダー(アマゾン、歌舞鬼、オーガ、ガイ)の危険性を伝える。
3:「仮面ライダー」ってのは一体何なんだよ!
4:まだ対主催。
【備考】
※ 澤田の顔はわかりますが名前は知りません。また、真魚の顔は見ていません。
※ モグラ獣人の墓にはガーベラの種が植えられています。
※ 第一回放送は知っている名前がモグラのみ、ということしか頭に入っていません。
※ 変身制限について知りました。
※ゾルダのカードデッキは破壊されました。ミラーモンスターの扱いについては、後続の書き手さんにおまかせします。
【十面鬼ゴルゴス@仮面ライダーアマゾン】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター内】
【時間軸】:本編13話前後
【状態】:全身に軽い疲労、軽微なダメージ。能力発揮中
【装備】:ガガの腕輪
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)
【思考・状況】
基本行動方針:打倒仮面ライダーアマゾン、主催者への報復
1:目の前の仮面ライダー(ゼロノス・ファイズ)を殺し、血を吸う。
2:アマゾンを見つけ次第殺す。腕輪を奪う。
3:牙王、死神博士、影山は最終的に殺し、血を吸う。
【備考】
※岩石の9つある顔のうち一つが潰されました。
※能力制限について思い当たりました。
※※※
轟音を背に受けて、木場と侑斗が振り返った。
言うとおりにその場を離れたものの、香川と海堂、お互いの大切な仲間を残していては足も鈍る。
二人共、すぐにでも助けに戻りたいのだ。
だが、今の自分たちに変身能力は無い―――二人の心は、強い無力感に苛まれていた。
ショッピングセンターからほんの十数メートルばかり離れた場所、煉瓦で舗装された歩道に立ちつくす。
「桜井君」
背後を睨みつけている侑斗の拳はきつく握り締められ、心のうちを表しているようだ。
「心配なのはわかる。だけど、香川さんを信じて待とう。俺たちに今出来るのはそれだけだ」
木場が言って肩を叩くと、侑斗は小さく頷いた。
説得する木場の表情も硬い。本当に、自分に出来る事はないのだろうか。
そんな木場の迷いを察したのか、侑斗は一瞬のためらいの後、預けられた香川のデイパックからライフルを掴み出した。
まさか、と木場が顔を上げる。
「桜井君!?」
「すみません、木場さん。やっぱり俺は戻ります!」
侑斗は、金居に後を任せてあの場を去った事を今でも悔やんでいた。
いけ好かない奴ではあったが、無残な最期の姿を思うと胸が塞がれる思いがする。
もう二度と、誰かを失いたくない。
強い決意が、侑斗を突き動かした。
「待つんだ、桜井君!」
駆け出した侑斗の後を慌てて木場が追う。
その拍子に、持っていたデイパックを取り落とし、中身が地面に散乱した。
アルミ製のコーヒーカップが、がらんがらん、と音を立てて転がる。
人の気配の無い、うつろな街に響く音の大きさに、荷物を無視して追跡を続けようとした木場の足が一瞬止まる。
足元にひらりと、掌を広げたほどのサイズの紙―――写真が舞い落ちた。
一体何が写っているのか。それを見止めた木場に衝撃が走る。思わずそれを拾い上げ、まじまじと見つめてしまう。
俯瞰から撮影された、銃を構える男。周囲が薄暗いにも関わらず、フラッシュも焚かずに撮影したのか、その姿は不明瞭だ。
写っている男が香川であるという事はすぐに分かった。
何故銃を構えているのかはわからない、相手は写真に写っていない。おそらく敵だろう。
木場にはそんな事はどうでもよかった。
―――彼らは、信頼し合い、共に現状の打開を目指し戦っていたのではなかったのか?
どうしてデイパックの中にこのような写真が入っているのか、その目的は何か。
考えたくない、分かりたくもない。
一度信じると口にしたのだから、そうするべきだ。
それなのに、一度走り出した思考は留まることを知らず、木場の心を黒く染めていく。
残された悪意が芽を吹き出す。
胸騒ぎに、手にした写真を握り締め、木場は侑斗を追うべく再び走り出した―――。
【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター周辺】
【時間軸】:最終回直後
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。一時間半変身不能(ゼロノス)
【装備】:神経断裂弾(2発)、シグザウアー SSG-3000
【道具】:基本支給品×2、ゼロノスカード五枚(内一枚赤カード)、ラウズカード三枚(ダイヤK・ブランク二枚)
ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
煤けた首輪、双眼鏡
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:香川を助けるべくショッピングセンターへ戻る。
2:香川、木場と行動しつつ仲間との合流を目指す。
3:自分と同じ顔をした少年(桐矢)への疑問。保護が必要ならそうする。
4:ガドル、風のエル(名前は知らない)、北崎を倒す。
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:金居の死に後悔。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※首輪の損傷具合は不明です。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:G-6・ショッピングセンター周辺】
【時間軸】:39話・巧捜索前
【状態】:全身に中程度の打撲。他人への僅かな不信感。全身に疲労大、背中等に軽い火傷。一時間半変身不可(ファイズ、ホースオルフェ)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×2、コーヒーセット、デジタル一眼レフ(CFカード)、望遠レンズ
Lサイズの写真(香川の発砲シーン)
【思考・状況】
基本行動方針:主催者及びスマートブレインの打倒、脱出
1:侑斗を信頼。追って止める。
2:写真に動揺。
3:海堂、香川を心配。
4:死神博士、ゴルゴス、牙王、風のエル(名前は知らない)、東條を警戒 。影山はできれば助けたい。
5:事情を知らない者の前ではできるだけオルフェノク化を使いたくない。
【備考】
※香川から東條との確執を知り、侑斗から電王世界のおおまかな知識を得ました。
また、第一回放送の内容も二人から知りました。
602 名前:Weak and powerless ◆yFvLIBbl9I[sage] 投稿日:2008/07/30(水) 23:22:10 ID:???
規制によりこちらに投下させていただきました。
以上で投下終了です。支援&代理投下してくださった方ありがとうございました!
ご指摘・ご感想お待ちしております。
------------------------------------------------------------------------
代理投下終了。
読了
投下乙。
教授の蘇生についての考察がお見事。
海堂を盾として使うことを決めたのが黒いですが、赤カードが不吉ですね。
侑斗の支援がどう動くか。
GJ!
投下お疲れ様です!
予測できなかった展開で、楽しみながら読めました。
合理的な正義と狂った正義の対比が個人的に気に入りました。
木場さん…また流されて誤解を深めていくのかな…w
GJです!
自分も投下準備が整いましたが、前投下とのタイムラグはどれくらいあった方がいいですかね?
>>572 三十分あればいいかと
今なら問題はないのでは?
>>573 教えていただいて有難うございます。
それでは橘朔也、ゾル大佐、牙王。
投下します。
「まずまず…といったところか」
F-4北部、整地された道とは離れた野原で、体の調子を確かめながら一人の男が呟いた。
辺りの景色は所々が焦土と化しており、図らずとも戦闘の跡を匂わせる。
他の場所と比べて僅かに窪んで見えるのは、相当な衝撃がその地に舞い降りた証拠だろう。
その中心部で、無骨な顔立ちをした男――牙王は、休息を取っていた。
激しい動きをしたせいで腹が減ったという理由もあるが、何よりは体のダメージが決して無視できないレベルであったからである。
それに加えて、今はカードデッキもベルトも使えない状態。
下手に動き回ろうものなら、戦闘になったときに圧倒的に不利だ。
以上の事を鑑み、まずは体力の回復と制限解除を待つことにした。
それがどれほど退屈であるか、わかっていながら。
「ふん、そろそろいいだろう」
太陽が先ほどよりかなり上に昇っている。
再変身にどれほどの時間が必要かはわからないが、これだけ時間がたっているならいけるだろう。
そう踏んで、牙王は腰を上げた。
食い散らかした食料を足で跳ね除け、辺りを見回しつつ思考する。
――どこへ向かうべきか。
先ほど自分と戦闘した男、あれくらいの獲物をみすみす逃したくはない。
純粋な力の競り合いで負けるなど、考えもしなかったことだ。
あのまま全力で続けていたら、恐らく久しぶりに楽しめる、いい勝負になっただろう。無論、負けるつもりは毛頭無いが。
しかし、と考える。
妙なモンスターに連れられ、高速で戦線を離脱したヤツを探し出す方法はあるのだろうか。
ただでさえ制限を気にし、体力の回復にもかなりの「時間」を使った跡である。
「誰でもいい…とっとと喰らわんと気が済まん」
自分にとって、もっとも嫌う暇を持て余したのだ。
相手を選んでいる余裕など、今の自分にはない。
となると――あの男との戦闘前に見えた、あの二人を追ってみるとしよう。
そう考え、二人が逃げたであろう方角に歩を進める。
あれから相当経ってはいるが、他にあてはない。
言葉通り、獲物を求めた獣のように、牙王は歩き始めた。
###############
少し白みがかっていた空は青みを帯び、澄んだ色に満ちていた。
上で威勢を放つ太陽も、心なしかいつもより輝いて見える。
足で草を踏みしめるたび、青臭い匂いが鼻を刺激する。
目の前の川は、周りの状況などまるで関係なく、穏やかに流れ続けた。
橘とゾル大佐は、そんな風景の中で休憩していた。
「少し休まないか?このまま当ても無く進む訳にもいかないし…何より疲れた」
きっかけは、橘がそう提案したからである。
制限のかかった状況でよく言えたものだと、呆れ半ばで少し関心し、ゾル大佐はそれを受け入れた。
確かに先ほど襲われたばかりであったが、同胞の援護もあり、追撃の様子はない。
ならば敵に遭遇する危険を冒して動き回るのは、せめて制限が解けてからの方がいいだろう。
少しづつ回復してはいるが、砲撃による痛みも相当なものだ。
今は休んだほうがいい。
そう考えた上での結論である。
(しかし…制限は変身におるものだけではないようだな。忌々しい)
改造人間である自分なら、この程度の負傷なら問題ないはずだ。
にも関わらず、いつもより治癒が遅い。これでは一般人と大して変わらないだろう。
他にどのような落とし穴があるかわからない。
状況は思ったより深刻だ。やはりもっとよく考えて、動くほうがいいだろう。
「橘、これからの基本的な方針だが―――」
隣でもの難しい顔をしている橘に声をかける。
この男、人間にしては相当頭が切れる方のようだ。
自分一人で考えるより、二人で話し合った方がより良い結論を導き出せるだろう。
そう思ったのだが…
「橘?」
横に座る男は、相変わらず難しい顔で考え事をしている。
ゾル大佐の言葉も耳に入らず、聞き流しているようだ。
(この男…)
橘の態度に、ゾル大佐は思わず眉を顰める。
先ほど市街地から離れる折にも、このような態度を取っていた。
周りが見えぬ程大事なことを考えているのかも知れないが、それにしても酷い。
目の前の状況がまったく理解できていないと言えるほど、上の空なのだ。
「橘!!貴様いい加減にせんか!!」
怒号が響き渡る。それでも、周りに気を使った声量だったのだが。
突然真横から届いた叱咤の声で、橘はびくりと身を竦める。
そして我に返ったような顔で、ゾル大佐を見返した。
「あ、あぁ…すまない大佐。ちょっと考え事をしててな…」
「ほう…考え事と申すか」
橘の言葉を復唱し、ゾル大佐は立ち上がる。
腕を組みつつ、橘を見下ろす形で言葉を紡いだ。
「私の言葉を無視できるほど、大事な考え事なのだな?話してみろ」
体勢もあり、かなりの威圧感がゾル大佐にはあった。
そのため、橘も少し萎縮する。
これは明らかに怒っている。
確かに、自分の態度はまずかった。大佐が怒るのも当然だろう。
橘は、失敗した、と思う。
擬似人格とはいえ、対策を考えられない間は普通に接するべきだった。
しかも、自分に対する質問も急所を突かれた形である。
(どうする?下手に隠すのもまずいな…)
橘は、自分があまり嘘をつくのが得意ではない事をわかっていた。
普通の人よりは上手いのかも知れないが、目の前の男には恐らく通じないだろう。
普段も隠し事がばれたりしたが、まさかこんな状況でもやってしまうとは。
橘は、心の中で苦笑いをする。
「どうした。答えられぬか」
ゾル大佐は、黙ったままの橘に返事を促す。
未だ俯いて一言も発さないということは、迷っているのだろう。
それだけ重要な考え事だったのだと、ゾル大佐は確信する。
(内容はどうあれ、聞いておくべきだな)
このままうやむやにしても、橘はまた同じミスを繰り返すかも知れない。
いや、そもそも隠し事を抱えたままの男と共に行動すること自体、危険だ。
自分を討つ計画を立てているかも知れない、と考えさせられたこともあるのだ。
こんな挙動不審では足手まといにしかならないというのもあるが。
(もし話さないようなら…始末するしかないな)
戦力を削がれるのは惜しいが、自分が死んでしまっては元も子もない。
そう思い、気取られないよう、いつでも殺せるように体勢を整える。
と、その時。
「実は…この殺し合いの場に対する、一つの考えが浮かんだんだ」
だんまりだった橘がようやく口を開いた。
そのため、ゾル大佐も構えを解く。
思ったよりも実になる情報かも知れない。
内容にほんの少し興味を抱き、質問する。
「どういうことだ?」
「この、主催者が用意したフィールド…仮想空間のものじゃないのかと思うんだ」
肝心の部分である、ここだけを敢えて話す。
それを前提にした、ゾル大佐という存在への推測、フェイクである参加者の数などは隠したまま。
橘にとっては、一種の賭けだった。
内通者であるゾル大佐にこれを話せば、もしかしたら殺されるかも知れない。
真実に気づいたものに対して、何らかの処遇があると考えるのは当たり前のことだ。
しかし、話さなければどのみち殺されていただろう。
この男―――擬似人格は、恐らくそういう性格…いや、設定だ。
腹を括り、少し曖昧に状況を把握しかけてる、ということにする。
後はこれが吉と出るか凶と出るかだが…
当のゾル大佐は、突然出てきた余りに突飛な話に首を傾げていた。
「仮想空間…?夢の中のようなもの、と言いたいのか?」
「あぁ、そうだ」
自分の疑問に、まるで当然だとも言いたげな返答が来る。
余計に訳が分からなくなってきた。なぜ、この男はこれほどの自信を持って言えるのだろうか。
何か確信に足る判断材料があったとしか思えないが…
今まで殆ど共に行動してきたが、そのようなものは無かったはずである。
少なくとも、自分の視点では。
「橘、なぜそう思う?」
未来から来たこの男には、違うのかも知れない。
容易に確信出来るというのなら、それなりの理由があるのだろう。
だが、返って来た答えは、あまりに稚拙すぎた。
「でなければ、説明がつかない。少なくとも、現実には不可能としか思えない技術が使われているしな」
半分は嘘だった。もう少し噛み砕いて説明すれば、ゾル大佐が内通者だと言わざるを得ない。
だから、今は敢えてこういう言い方を選ぶ。
橘はそうする事で、自分のゾル大佐に関する推測を隠そうとした。
しかし…
「橘…失望したぞ。もう少し使える奴だと思ったのだがな…」
「な、何!?」
諦観さえ漂う顔で、ゾル大佐は橘を見下していた。
橘は、どういう事か図りかねていた。
なぜ、こんな反応を取るのか?何か説明にまずい部分があったのか?
焦りを感じ、橘は立ち上がる。
「どういう意味だ」
なるべく冷静を装いながら、ゾル大佐に問いかけた。
呆れた顔のまま、ゾル大佐は答えた。
「自分の理に合わぬ出来事は全て、夢の世界のもの、か…。便利な脳みそをしているな、貴様は」
顔色一つ変えずに言われ、橘は腹が立った。
先ほどの説明ではそう思われても仕方がないのだが、頭に血が上った状態でそれが分かる筈もない。
「馬鹿にするな!他にもちゃんと考えた上で、出した結論だ!!」
「他に考察があるのだな?」
橘は、その言葉で一瞬にして頭が冷えた。
と同時に、血の気が引く思いをした。
(この男…俺が何か隠しているのを知っていて…!?)
やられた、と思った。
大佐という階級は伊達ではなかった。この男、人の上に立つものとしての洞察力は、確かなもののようだ。
主導権を完全に握られた。
(俺では、適わない…)
そう思い、顔を伏せて橘は地面を見つめる。
話すか話さないか。恐らく、もう選択肢はないだろう。
だが、もし殺されるとしてもただでやられはしない。
そう覚悟を決めて、目の前の男を内通者だと暴いてやろうとした時だった。
――full charge――
一つの電子音声が、そう遠くない場所から聞こえた気がした。
###############
「橘、伏せろ!!」
突然、ゾル大佐がそう叫びながら覆いかぶさって来た。
何事か、と思考する前に、金色の光が真上を通り過ぎた。
ソレはそのまま高速で右から左に滑り、空中に浮かび上がると、何かに合体する形で収まった。
ゾル大佐が上から退き、急いで立ち上がった橘が目にしたものは、一度自分達を襲った男だった。
鰐のような仮面に、胸と両肩の牙が特徴的な外見を象っている。
銅を基調とした輝くような装甲は、太陽の光を受けて少し白く見えた。
先ほど飛ばした金色の物体―――剣の切っ先は、しっかり固定されているらしく、それで肩をぽんぽんと叩いていた。
「よう…また会ったな」
何気ない言葉が、自分達を威嚇しているようにも聞こえた。
得体の知れない悪寒が、全身に走る。
体中から滲み出ている雰囲気は、只それだけでもプレッシャーを与えていた。
橘は、さながら、蛇に睨まれた蛙のような気分になった。
「貴様…我々を追ってきたのか?」
「さぁな」
ゾル大佐の言葉を、さらりと牙王が受け流す。
その態度が示すものは、こちらと話すつもりは一切ないということ。
それは、ゾル大佐のみならず、橘でさえも認識できるものである。
恐らく、先ほどの攻撃も牽制などという生易しいものではないのだろう。
相手は戦闘意欲に呑まれた獣。交渉は不可。そう判断すると同時に、ゾル大佐は戦闘態勢を取る。
すると、牙王が急に動きを止める。
別に阻止してもよかったのだが、どうせ殺すなら少しでも楽しませてもらいたい。
牙王は、そう考えて敢えて猶予を与えたのだ。
(なめられたものよ!)
心中、相手を毒づき、ゾル大佐は吠えた。
「うぉぉぉぉぉオオオオオン!!」
空気を震わすような声が辺りに響き渡り、ゾル大佐の体が変化していく。
流れるような黄金の毛が全身を多い、牙と爪が雄雄しく伸びる。
腰に自らの信仰する組織の紋章の付いたベルトを纏い、黄金狼男は現れた。
二本の足でしっかりと大地を掴み、黄金狼男は相手を睨みつける。
仮面の下で、牙王もまた、品定めをするかのように、黄金狼男を見据えていた。
###############
そんな状況のなかで、橘は一人立ち尽くしていた。
今起こった状況に、まだ頭が追いついていなかったのだ。
(どういう事だ?まさかあいつもゾル大佐の呼び寄せた始末者か?)
多分、そうなのだろう。ここの会場の仕組みに気づいた者が出た以上、その者を放っておくはずがない。
だが、まだ不可解な点がある。
なぜ、直接自分を始末しないのだろうか。
(なぜわざわざ大佐と対峙する?これも演技か?いや…)
どうせ殺すのなら、今更自分の前で演技をする必要性があるとは思えなかった。
では、周りにいるかも知れない参加者への配慮?
それも違う。呼び寄せる事が出来るのなら、周りの状況の把握ぐらいは容易いはずだ。
つまり、誰も見ていないタイミングで行動に移す。それがもっとも手っ取り早いはずである。
それでなくとも、大佐の追求は完璧なものだった。
襲撃が偶発的でない限り、あのような絶妙な中断は主催にとって不利でしかない。
(…何がいったいどうなっている…!)
自分の立てた仮説に、絡めとられる。
状況を把握できない焦りから、思考がますます深くなる。
―――何か重大なことを見落としている気がする―――
そんな違和感が体中を駆け抜けるが、答えにはたどり着けなかった。
(くそ!何か変だ…まるで…根本的なところが…)
橘のなかで、今までの自分を見直すために、重要な事に考えが辿り着きそうな時、
「橘!何をぼさっとしている!!」
ゾル大佐の大声で思考が中断する。
我に返り、前を向くと、少し離れた位置で黄金狼男が叫んでいた。
どうやらまた、彼の呼びかけを無視してしまっていたらしい。
慌ててバックルを取り出し、変身しようとして―――
「がはっ!」
―――蹴り飛ばされた。
#######################
睨み合いの均衡を破り、二人が互いの距離を一気に詰めた時、牙王が飛び込んだのは橘の方向だった。
こちらを狙ってくるとばかり思っていた黄金狼男は、大きく体勢を崩す。
(殺しやすい方から討つつもりか!?)
それが正解かどうかは分からないが、そんなことはどうでもいい。
ともかく、橘の逃げる隙を作らねばならない。
相当接近されたにも関わらず、あの男は何故か微動だにしないのだ。
激しい憤りを感じつつ、指から弾丸を発射する。
飛び道具があるとは予測出来なかった牙王は、背中に幾つか直撃を受け、少々もたつく。
その際に注意を促したのだが、余りにも遅かった。
橘が行動に移るよりも早く、牙王の飛び蹴りが炸裂する。
無理な体勢からの攻撃であるが故に大した威力はないだろうが、それで十分だったようだ。
まともに受けた橘は、大きく吹き飛び、木に背中をしたたか打ちつけた。
そのまま下に落ち、頭を落として黙り込んだ。
「うつけ者が!一体なにをやっているのだ!」
思わず口に出し、吹き飛ばされた橘に駆け寄ろうとする。
今は戦力が少しでも欲しい状況だ。叩き起こしてでも役には立ってもらうつもりだった。
しかし牙王が振り返り、こちらに対して始めて構えらしいものを見せた。
黄金狼男は急ブレーキをかけ、バックステップを踏む。
直後、最後に踏み込んだ位置に鋭い斬撃が走る。
牙王が剣を降り抜いた瞬間、顎に向かって拳を放つ。
が、空いてるほうの手で力任せに弾かれる。
「何っ!」
黄金狼男は意表を突かれ、声を上げる。
しっかりと腰を入れたはずの拳が、剣を振った直後の相手に防がれたのだ。
驚きを隠せるはずもない。
そのまま牙王は、弾いた手を引き、同時に静止していた剣を薙ぐ。
合わせて黄金狼男も身を引くが、リーチも相まって間に合わない。
「くっ!」
一閃。火花を散らしつつ、剣が通り過ぎる。
胸元を掠り、痛みが走った。
が、黄金狼男もただで引くには至らない。
弾かれた腕を、下がると同時に引き、牙王の側面を引き裂いた。
「チッ…!」
横っ腹に入り、牙王も声を漏らす。
致命傷には程遠いが、いい当たりなのは間違い無い。
同時に距離を取り、出方を伺う。
「まだだ…お預けをされた分、もっと楽しませてもらわないとなぁ」
囁くようでいて、ハッキリと耳に届く声で牙王が言う。
待たされた分、漸くありつけた戦闘という食事は、相当の快感を牙王にもたらせた。
更に、手ごたえのある相手に会い、徐々に高まってきたテンションにより、牙王のコンディションは最高と言えるものに近くなっていた。
「ふん、思ったよりはやるな。だがここまでだ」
傷の深さを確かめつつ、黄金狼男が呟く。
この程度の傷なら問題ない。だが別の部分で不安があった。
敵が眼前にいる以上、虚勢を張るより他はないのだが、体調は万全とは言えなかった。
直前までの橘との化かし合い、さらに橘の不手際による戦力の低下は、精神を大いに消耗させた。
ストレスにより、動きに粗が目立つ。
戦闘にも、いつもの集中力が働かない。
自覚出来ているからこそ、余計に焦り始めた。
(このままだとジリ貧だな。やはりあやつをどうにかして加担させねば…)
ちら、と横目で橘を見やる。
先ほどの体勢のまま、動いていないようだ。
脳震盪でも起こしたのかも知れない。
しかし、起こすのは容易なはずだ。
一連の出来事をみる限り、あの程度では深く失神するはずはないと、黄金狼男は断定していた。
勘の要素も含むが、修羅場を潜り抜けて来た自分の判断を信じてそう考えた。
放っておいてもじき目覚めるだろう。
それほど、奴の眠りは浅い。
だが…
(通してはくれんだろうな、恐らく)
相手はどうにも掴みづらい男だったが、敵が増えるのをただで見逃しはしないだろう。
それどころか、隙を突いて橘を殺しにかかる可能性もある。
今橘に死なれては困る。そう黄金狼男は考える。
何か隠しているのは確実だが、あの男にはまだまだ利用価値がある。
それに――今だけとはいえ――自分の部下をみすみす殺されるのは、軍人としての誇りが許さない。
(まったく、世話のやける男よ…!)
とにかく、目を覚ますまで時間を稼ぐしかないだろう。
そう決めて、黄金狼男は目線を牙王に戻す。
牙王はゆっくりと間合いを詰めてきており、もうニ・三歩も歩けば互いの射程に入るだろう。
そこで牙王は足を止め、無言で剣を構える。
黄金狼男もゆっくりと、ファイティングポーズを取る。
数秒の後―――互いに足の力を入れ、地面が爆ぜた。
#####################
「……うっ……」
腹と背中に鈍痛を感じつつ、橘は目を覚ます。
少し霞む頭で、たった今起こした自分の失態を理解する。
(失神していたのか?俺は…)
突き飛ばされた後、視界が真っ白になったところまでは覚えている。
だが、気づいたら自分は座り込んでいた。
この場面転換では、そうとしか考えられない。
未だぼんやりした意識に喝を入れるため、頭を振る。
顔を上げると、目の前に金色の体毛が映った。
驚き、視線を上にやると、自分に背中を向けて、牙王と対峙する黄金狼男が見えた。
「た、大佐!?」
橘が、驚愕した声を上げる。
黄金狼男は、その声に反応し、僅かに後ろを振り向く。
「ようやく目を覚ましたか…この大うつけが…」
息を荒げて、黄金狼男は答えた。
体のあちこちには切り傷が目立ち、ベルトも中心部が砕けていた。
左腕で抑えている右肩からは、とめどなく血が流れ出している。
まさに満身創痍といった風体で、立っているのもやっとだろう。
橘が立ち上がり、向こう側を見ると、牙王が黙ってこちらを見ていた。
どうやら、自分が気絶してから、少なくとも何分かは経っているらしい。
橘はそう考え、浮かび上がった疑問を、堪えきれず黄金狼男にぶつける。
「大佐…もしかして、俺を庇って…?」
「とっとと変身せんか!来るぞ!」
返事らしい返事は来ず、またもや叱咤を受ける。
橘は黄金狼男から視線を牙王に移す。
牙王は、パスのようなものを指先だけで、頭上に構えていた。
危険を感じ、橘はポケットからカテゴリーエースのカードとバックルを取り出すが―――
「遅い」
――full charge――
牙王がパスをこぼれ落とす。
パスがベルトを通過した瞬間、フリーエネルギーがチャージされ、剣先に伝わる。
剣――ガオウガッシャーの先端が回転し、金色の軌跡を残しながら分離した。
残った柄を横なぎに振ると、それに合わせて剣先も螺旋を描きながら、高速で移動した。
目の前の獲物を全て喰らい尽くすために。
(オリハルコンゲートで…だめだ!間に合わない!)
迫り来る剣先を前に、橘は考える。
相手の言葉どおり、全てが遅かったようだ。
だが、と橘は思う。
これは仮想空間なのだから、脱落するだけなのではないか。
これでここから抜けれらるのなら、そのあと現実から連れてこられているであろう参加者たちを、救い出すほうが建設的だろう。
少しも抵抗出来なかったのは残念だが、借りは現実で返してやる。
そう結論づけ、回避を諦めた次の瞬間だった。
「うお!?」
何かに突き飛ばされ、地面を転がる。
ひじを突いて自分の立っていた場所をみると、そこに黄金狼男がいた。
黄金狼男は自分の無事を確認すると、どこかやり遂げた顔をしているように見えた。
そして、そのまま――胴体を、閃光に貫ぬかれた。
####################
オーラソードは黄金狼男を切り裂いた後、一度上空に舞い上がり、急降下を始めるべく一瞬動きを止めた。
狙いは、たった今難を逃れたばかりの男、橘。
牙王は一撃で決めるべく、思い切り柄を振り下ろした。
「ぬぅ、おおおおおお!!」
だが、突然の銃撃により、狙いは大きく外れる。
まだ動けたらしい、黄金狼男によるものだった。
剣先は軌道を大きく逸らし、水しぶきを上げながら川に突き刺さる。
胸に受けた集中射撃により、牙王が膝を突くと同時に、ガオウガッシャーに剣先が戻る。
そして、黄金狼男も、ゆっくりと地面に倒れ伏した。
「お、おい!しっかりしろ!!」
その光景をみた橘が、黄金狼男に駆け寄る。
上体を抱き起こし、傷を確認する。
胴体の中心部には見事に風穴が空き、血と火花が辺りに激しく飛び散っていた。
最早演技も何もあったものではない。明らかに致命傷だ。
「大佐、なぜ俺を庇ったんだ!なぜだ!!」
橘は悲痛な顔で、虫の息と化している黄金狼男に呼びかける。
誰かが自分を助け、その代わりとして死のうとしてしまっている。
例え相手が擬似人格でも、その事実は橘には重く圧し掛かっていた。
「自分の部下も守れずに…何が、軍人か…」
息も絶え絶えに、黄金狼男が応える。
その言葉を聞き、橘は自分の愚かさを理解した。
(この男は、作られた命なんかじゃない!むしろ、俺なんかよりずっと立派な…)
軍人だった。目の前の男は、紛れも無い生身の軍人。
根拠など存在しない。ただ、自分がそう信じたいだけかも知れない。
それでも、橘は確信する。
そう、考えてみれば簡単なことだったのだ。
コンビニや携帯電話を知らないという振る舞い。
過去からやってきたという、改造人間。
怪しすぎるのだ。普通、こういう事はばれないようにしなければ意味が無い。
こんな人物と共に行動すれば、疑わない方がむしろおかしいだろう。
もしここが確かに仮想空間なら、そんな人物を見張りにやっても何のメリットも無いはずである。
(なぜ、こんな事に気づかなかったのだろうか…)
―――自分の理に合わぬ出来事は全て、夢の世界のもの、か…―――
ほんの少し前に言われた言葉が、フラッシュバックする。
そして、自分がいかにこの状況に大して真剣に応対してなかったのか、思い知らされた。
(…すべて、俺の現実逃避だったのか…)
自分の愚考が、目の前の男を死に追いやっている。
そう気づいた途端、橘は自己嫌悪でどうしようもなくなった。
「大佐…俺は、馬鹿だ…!俺は…現実逃避をしていただけでなく、あんたを疑って…!」
震える声で橘が呟く。
体力の低下で変身が解け、元の姿に戻ったゾル大佐が、橘を見据えて、口を動かした。
「逆…だな」
「え?」
言葉の意味がわからず、橘は思わず聞き返す。
「貴様は…優秀すぎるのだ。もう、少し…馬鹿になったほうがよい」
橘は、衝撃に目を見開く。
脳裏に、いつかの光景が鮮明に映し出された。
自分の先輩であり、嫉妬から自分を襲った男。
元BARDO隊員・桐生 豪。
真剣勝負の後、アンデッドにより命を落とした彼が、自分を責める橘に向けた遺言。
奇しくも、ゾル大佐の言葉は、その遺言に酷似していた。
ふと、後ろで物音がした。
ゾル大佐が振り返ると、牙王がゆっくりと立ち上がるところだった。
少し、肩で息をしているが、目立った外傷は無いようだ。
「効いたぜ…今の弾はな」
胸をはたき、牙王が囁いた。
杖代わりにしていた剣を一度振り、二人に歩み寄る。
「橘…ここは退け…!」
ゾル大佐が、視線を下に向けている橘に声をかける。
おそらく、迷いのあるこやつでは、自分と同じ轍を踏むだろう。
ならせっかく拾ってやった命、無駄されては困る。
ここは逃げ延びてもらわねばならん。そう思ったのだ。
しかし、橘は首を振る。
ゾル大佐が怒声を上げる暇も無く、勢いよく立ち上がり、後ろを向く。
その瞳は、真っ直ぐに牙王を捕らえていた。
「俺の責任は…俺自身が取る!!」
大佐を見捨てて逃げるなど、今までの自分が生み出した責任を放棄するも同義。
そんな事をするくらいなら、死んだほうがましだ。
(この男を…倒す!)
決意を胸に秘め、チェンジスタッグのカードをバックルに押し込む。
バックルの横から無数のカードが流れ出て、橘の腰に巻きつく。
一週すると、一つ一つが完全に結合し、ベルトが出現した。
体を横に向け、腰に右手を当て、左腕を斜め上に突き上げる。
「変身!!」
―― TURN UP ――
掛け声とともに、右腕を前方に回転させ、左腕はガッツポーズを取る。
回転させた右腕でバックルを引き、チェンジスタッグが反転すると、オリハルコンゲートが現れた。
「うぉぉぉぉぉぉおおお!」
叫び声と共に、ゲートを潜る。
紅い装甲が体を包み、右手に銃が現れる。
顔は、決して砕けはしない意思を表した、ダイヤとクワガタをモチーフとした仮面に覆われる。
全てを食らう牙を撃ち崩すために―――仮面ライダーギャレンが、走り出した。
#######################
降り注ぐような銃弾を、牙王が剣で弾く。
そのまま一気に距離をつめ、袈裟懸けに切り払う。
だが、剣先は空を切り、ギャレンは牙王の視界から消える。
避けた先を突き止める前に、上からの連続する射撃に居場所を悟らされる。
飛び上がり、牙王の真後ろに着地する前に、連射で牽制をされたのだ。
ギャレンが着地する。体勢を整えるより早く、牙王が振り向きざまに剣を振るった。
右肩の装甲に直撃し、いとも簡単に切り裂かれる。
(相当の馬鹿力だな…だが!)
斬られた反動で体を回転させ、連撃を避ける。
牙王の腹に蹴りを喰らわせ、ギャレンが後ろに下がった。
だがギャレンが退いた距離よりも深く踏み込み、牙王が真上から剣を振り下ろす。
派手な土煙を上げ、剣先が地面にめり込んだ。
牙王は、今の一撃で仕留めたと思った。
だが――
「がっ!」
避けずに懐に飛び込み、装甲の薄い部分にギャレンが銃を突き刺す。
そのままゼロ距離で連射を叩き込んだ。
激しい連打の音と共に、牙王の体が折れ曲がる。
そのままの体勢でラウズカードを取り出し、勝負を決めにかかる。
しかし、牙王の右足から繰り出された蹴りが横腹に入り、中断される。
「調子にのるなよ!」
側転で何とか転倒を免れたギャレンに、牙王が突撃してくる。
剣を片手に持ち替え、牙王は縦・横と剣を振るが、いずれも紙一重でかわされた。
だが、そこまでは予測済み。
ギャレンが避けた方向に自由な左手でアッパー気味の拳を打ち込む。
クリーンヒット。ギャレンは体を回転させながら、宙を舞う。
「終わりだ」
牙王は腰に力を入れ、落ちたところを真っ二つに叩き斬ろうと深く構えた。
――Bullet――
だが、妙な電子音声と共に、先ほどよりも威力の高い銃弾に襲われた。
ギャレンも飛ばされることを予測し、カードを抜いていたのだ。
先ほどまで両手で振っていた剣を、片手で扱った理由。
それを即座に理解するのは、ギャレンにとって容易なものだった。
ノーガードだった牙王はまともに銃弾を受け、体をよろつかせる。
着地したギャレンは、一瞬で距離を詰めた。
ラウザーを腰に収め、右拳を牙王の左頬に打ち込み、そのまま振りぬく。
続けて左拳で、右拳を打つ。
往復で揺さぶられ、牙王がたたらを踏む。
そのまま追撃を加えようとするが、ギャレンの腹に衝撃が来る。
見ると、牙王の膝が腹に突き刺さっていた。ギャレンも追撃叶わず後ろにふらつく。
「とっとと喰われちまえよ…楽になるぜ…!」
ギャレンの耳に牙王の声が届くと同時に、牙王の激しい連撃が来る。
右・上・斜め上・左・右・下。
型も何もなく、ただ力任せに、鋭く振り回される。
まるで一種の暴風のように、牙王はギャレンを押し込んでいた。
銃で受けるか避けるかを繰り返すギャレンを、牙王は容赦なく追い詰める。
「とどめだ!」
隙を見せたところに、牙王が渾身の力を込めて剣を振る。
――UPPER――
またもや、電子音声と同時に牙王は不意を喰らう。
防戦一方に見せかけ、大振りの一撃がくるのをギャレンは待っていた。
膝蹴りを受けた直後に抜いたカードを用意して。
顎にまともに入った一撃は、牙王を無様に吹き飛ばした。
空中で受身を取り、牙王は下を見やる。
――DROP――
一つ目のカードがスラッシュされる。
ギャレンはまだカードを用意している。牙王は、相手が勝負を決めるつもりだと悟る。
――FIRE――
二つ目のカードがスラッシュされる。
持っていたガオウガッシャーを投げ飛ばし妨害するが、いとも簡単に避けられる。
――GEMINI――
三つ目のカードがスラッシュされる。
牙王が着地し、先ほど投げたガオウガッシャーを拾うと同時に振りぬくが、ギャレンは後方に飛び去り、避けると同時に距離を取った。
――BURNING DIVIDE――
カードコンボ発生。
カードの紋章が背後に浮かび上がり、ギャレンに飛び込んでゆく。
同時に足のつま先に火がともり、ギャレンは跳躍する。
「おおおおおおおおおおおお!!」
牙王は太陽を背に、飛び込んでくるギャレンが、二人に増えたように見えた。
だが、錯覚ではなかった。ギャレンは、確かに分身していた。
「大佐ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
自分の責任を、全て自分で負うという証。
心に再び灯った、消して過ちを繰り返さないという、志しを秘めた炎。
そして散り行く運命であろう者に贈る、魂の叫び。
全てを込めた全身全霊の蹴りは、牙王を遥か遠くに吹き飛ばした。
その、餞と呼ぶには余りにも荒々しい一連の所業は―――
「よくやった、橘…」
―――確かに、伝わった。
#################
変身を解き、まだ息のあるゾル大佐に、橘は駆け寄った。
「大佐…俺は…」
「もう、何も言うな」
ゾル大佐は、少しずつ血の気が無くなっていく顔で言った。
相当つらいはずだが、そんな素振りは一切見せない。
改めて、凄い男だと橘は思う。
もし自分があんな勘違いをしていなければ、こんなことにはならなかっただろう。
そう思うと、とても胸が痛い。
「橘よ…一つ、頼みがある…」
ゾル大佐が途切れ途切れで言葉を紡ぐ。
もう長くはないのだろう。橘は、必死に聞き届けようと、耳を傾ける。
「あぁ…なんだ、大佐」
「死神博士、という男に…伝言を、頼む」
そう言うと、ゾル大佐は深く息を吸い込む。
橘は、自分が酷い顔をしているのを自覚しつつ、懸命に大佐の一挙一動を見守る。
「ショッカーを…後を、任せた。そう伝えてくれ」
橘は、何度も頷く。嗚咽で声が出せそうにないため、そうするより他になかった。
それを見て、ゾル大佐は満足そうに微笑を漏らす。
そして、突然立ち上がる。
「大佐!無理はよせ!」
橘が静止するが、ゾル大佐は意に介さない。
最後の力を振り絞り、地面をしっかり踏みしめて歩く。
「このまま朽ちて死ぬのは御免であるからな…最後は、美事に散らせてくれ」
言葉の指す意味は理解出来なかったが、何か拘りがあるのだろう。
橘は溢れる涙をぬぐい、しっかりとゾル大佐を見つめる。
ゾル大佐もまた振り返り、橘を見つめ返す。
ゾル大佐は足を綺麗に揃え、両手をしっかり腰に当て、橘に向かって叫ぶ。
「橘!回れ、右!」
橘は突然の事に目を丸くするが、すぐに顔を引き締め、言われたとおり、後ろを向く。
「そのまま、進め!決して振り返るな!」
命令通り、歩き始める。道中、置きっぱなしだったデイパックを拾いながら。
その時、大佐の分が無かったと気付いたのは、後になってからだった。
無言で橘は、前だけを見て歩く。
後ろで、大佐が敬礼をしているのは、何故だか気づいていた。
橘が見えなくなった瞬間、ゾル大佐は崩れ落ちる。
足に力が入らない。体の力が抜けていき、死期を悟る。
(ふん…自分の誇りを守るためとはいえ、少々らしくなかったな…)
絶対に生き残るつもりだったのだが、部下を守るためとはいえ命を落としてしまうとは。
自分もどうやらその程度の男だったらしい。
だが、何故だかゾル大佐の心は充実感で溢れていた。
死ぬ直前にこんな思いが出来るのは、ある意味幸福なのかもしれない。
ゾル大佐は、膝をついたまま、両手を大きく空に広げた。
「ショッカー軍団、バンザァァァァイ!!」
叫ぶと同時に内部から火花が一際大きく散り、大爆発を引き起こした。
その轟音は青空に響き渡り、彼が命を捧げた、地獄の軍団まで届いたように思えた。
#######################
橘は、ゾル大佐と来た道を、今までの自分を振り返りながら、進んでいた。
償いなんて言えないかも知れない。だが、大佐の分まで絶対に生き延びる。
そう心に決め、橘は歩き続ける。
後ろで何かが聞こえた気がしたが、決して振り返らなかった。
【ゾル大佐@仮面ライダー(初代) 死亡】
【橘朔也@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:E-4エリア南部から移動中】
【時間軸】:Missing Ace世界(スパイダーUD封印直後)
【状態】:悲しみ。顔・背中・腹部に打撲。 ギャレンに2時間変身不能。生きる決意
【装備】:ギャレンバックル
【道具】:基本支給品一式、ラウズカード(スペードJ、ダイヤ1〜6、9)、レトルトカレー、特殊支給品×?
【思考・状況】
基本行動方針:主催者を打倒する為、勝ち残る。
1:とりあえず市街地から離れる?
2:ゾル大佐への責任を取る。
3:死神博士にゾル大佐の遺言を伝える。
備考
※自分の勘違いを見直しました。仮想現実と考えるのはやめることにしています。
※牙王の生死を確認していませんが、死んだものと考えてます。
#####################
全身に感じる倦怠感を無視し、牙王は歩いていた。
何もないところでただ黙っているより、歩いているほうが気が紛れるからだ。
ただ黙って過ごすのは一度経験している。
あれではむしろ判断力が悪くなるだけだと判断し、牙王は痛む体に鞭を打ち進んでいた。
あの時、紅いライダーが放った蹴りをガオウガッシャーで防いだはいいが、衝撃に耐え切れず折れてしまっていた。
さらに、貫通してきた脚は胸の装甲に接触すると、見事にそこを砕き、ダメージを深刻なものとした。
剣も装甲もどうせ次変身するときには直っているのだからどうでもいい。
だが、あそこまでやられるとは予想外だった。
この様子だと、骨の一本や二本は持っていかれてるのかも知れない。
「あいつ、まさか…」
ゼロ距離で撃ったときも、空中から集中射撃を行ったときも、全て同じ部分に当たっていた。
最後の蹴りも、恐らくそこにぶち当たったのだろう。
狙ってやったとしたら、恐ろしい腕前だ。
「…面白い。次は必ず殺してやる…」
重い体を引きずり、牙王は呟く。
あの狼は恐らく仕留めたが、紅いヤツにはしてやられた。
橘と呼ばれていたその男の、顔と名前をしっかりと頭に刻み込む。
また機会があれば、今度こそ喰らうつもりでかかる。
二つ分の荷物を握り締める。
あの時、飛ばされた方向に、橘とゾル大佐が置いていたデイパックがあった。
装甲に持ち手が絡め取られ、その内の一つが偶然ついて来たのだ。
荷物が増えるのは億劫だが、中にある食料は大して消費されていない。
どうせだからと貰って行き、ただ思うままに牙王は進む。
行くあてもなく、それでいいとさえ思いつつ。
【牙王@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻: 朝】
【現在地:D-4エリア北部】
【時間軸】:最終決戦前。
【状態】:全身打撲、疲労、あばら一本骨折、ガオウに2時間変身不可。
【装備】:ガオウベルト
【道具】:マスターパス、基本支給品一式×2、ランダム支給品1~3(未確認)、リュウガのデッキ、コンビニから持ってきた大量の飲食料(少量消費)、特殊支給品×?
【思考・状況】
基本行動方針:全て喰らい尽くした上で優勝
1:適当に歩き回り、参加者を喰らう。最終的にゴルゴス、死神、影山も喰う。
2:一文字、ハナ、加賀美新、風間大介、天道総司を倒したと思われる参加者を喰らう
3:機会があれば煩わしい首輪を外す。
4:ガオウライナーを取り戻して村上も喰う。
5:紅いライダー(ギャレン)にまた会った時に借りを返す。
※会場のどこかに時の列車(予想ではガオウライナー)が隠されていると推測しています。
※何処へ向かうかは次の人にお任せします。
※木場の生存には未だ気づいていません
※ゾル大佐のデイパックを偶然奪いました。
※ゾル大佐の遺体は跡形も無くなりました。爆心地に首輪ぐらいは残っているかも知れません。
627 : ◆FMWmYHfUMY :sage :2008/07/31(木) 00:40:48 ID:???
長くなりましたが、これで投下終了です。
規制で書き込めなくなったので、こちらに投下させて頂きました。
支援・代理投下感謝します!お疲れ様でした!
感想や指摘、お待ちしております!
628 : ◆FMWmYHfUMY :sage :2008/07/31(木) 00:41:21 ID:???
あ、タイトル忘れてた…
「牙と軍人と輝く青年」でお願いしますorz
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以上で代理投下終了です。
ゾルさん…死んでまったがね…
あーん!ゾル様が死んだー!(ry
…不遇すぎる。あまりにも不遇すぎる。
投下乙&GJ!
ゾル大佐のかっこよさに全俺が泣いた!!
橘さんも気付いてくれて安心…は、まだ出来ないけどw
投下乙です!
橘さん覚醒キター!強敵牙王を撃退してかっこよかったです!
それと同じ位ゾル大佐もかっこよかった…軍人魂を見た!
橘さんはこれからどう動くのか、遺言通りに死神博士を探すのか?
牙王様もまだまだ元気ですし、気が抜けませんね。
燃えました、GJです!次の作品も楽しみにしてます!
投下&仮投下乙です。
ゾル大佐の死に様に敬礼!
覚醒、バーニング、ショッカーへの忠誠を叫んで散り逝くゾル大佐、振り返らず進む橘さん、
全てが燃えました。かっこよかった。GJ!です。
投下乙!
輝いている橘さんに見事な死に様のゾル大佐。
両者のキャラへの愛が溢れて、とても燃えました。
GJ!
初めてでよく分かりませんがここに投下していいんですよね?
「これは酷い・・・」
二人の目に映るのは荒れ果てた工場。闘いでも繰り広げられたのか見る影もない。
激しく損傷した作業機械は屑鉄と化していた。
「こんなところに本当に望む物があるのかね?」
乃木はつまらなさそうにそれら残骸を蹴散らして工場内を歩いている。
「まあ、もう少し見てみませんと」
よく見ると床には注射器などが所々に散乱している。この工場では医療用器具を製造していたのだろうか?
「・・・これは!」
北條は慌てて瓦礫を掻き分けて潰れたダンボール箱を引っ張り出した。
それは先ほども研究所で見たシリンジポンプのものだ。
中に残されていたのは一つの見慣れないとても小さな器具。
注射器が付いているようにも見えるがとにかくやたらと小さい。片手で隠すことさえ可能なほどだ。
「これが・・・そうですか・・・」
「何か分かったのか?」
「まだ推測の域を出ません。決め手に欠けますね・・・」
北條はダンボールを引っ掻き回して一冊のパンフレットを見つける。
「それは?」
「資料としては使えるかもしれませんね」
シリンジポンプについてのパンフレットを真剣に見つめて考察を進める北條。
乃木はその様子を差すような眼差しで見つめていた。
【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【1日目 昼】
【現在地:A-6 工場】
[時間軸]:43話・サソードに勝利後(カッシスワーム・グラディウス)
[状態]:健康。
[装備]:カードデッキ(王蛇)
[道具]: 携帯電話、その他基本支給品×3(乃木、イブキ、結花)、ゼクトマイザー、トランシーバーC
[思考・状況]
1:首輪解除のため、北條透と仲間の諸君をもう少し泳がせる。
2:ゲームの早期決着。
3:ZECTの諸君に関しては、早めに始末をつける。
【備考】
※ライア・ガイのデッキが健在の為、王蛇のデッキには未契約のカードが2枚存在します。
※ユナイトベントは本編3体の場合しか発動しません。
※変身にかけられた時間制限をほぼ正確に把握しました。
※天道について知っている訳では無いので、「カブトの資格者」が死んだことを知りません。
【北條透@仮面ライダーアギト】
【1日目 昼】
【現在地:A-6 工場】
[時間軸]:最終話
[状態]:精神的に疲労。 現状に関する若干の恐怖。 主催に対する多大な不安。
[装備]:なし。
[道具]:携帯電話、地図、マグライト、研究所のファイル、超小型シリンジポンプ
【思考・状況】
基本行動方針:無事に帰還し、スマートブレインを摘発する。
1:スマートブレインの危険性を懸念。
2:乃木をうまくだまくらかし、救出を待つ。
3:青い薔薇、実験道具、首輪の解析を進める。
4:長田結花を保護すべき民間人と認識。
5:友好的な参加者と合流、敵対的な参加者を警戒。
【備考】
※首輪の外見についてはほぼ正確に把握しました。ただし、肌に触れている部分を除きます。
※研究所の設備は基礎的な科学知識さえあれば扱える程度にマニュアル化されているようです。
ただし、あくまで分析結果が自動で出るだけで所見はついてきません。
※ファイルにまとめられた実験資料には、ネズミの灰化実験に
青いバラとケージに取り付けられた装置が関わっているという結論のみが明記されていました。
バラには灰化作用、装置にはその抑止力があるそうです。
※ファイルの内容の真偽は未確認ですが、北條はとりあえず真実であるという前提で行動しています。
※シリンジポンプが静脈注射に用いられる医療器具だと理解しました。
以上で終わります
初書き手による予約なしの投下…
…釣りですか?
>>619 何がしたいのかよく分かりません。
>>3のテンプレに則り、破棄を要請します。
異議があるなら議論スレまでお願いします。
624 :
名無しより愛をこめて:2008/07/31(木) 21:27:16 ID:v8fURlF70
まともな文章も書けないやつは書くな
ジャンプレーベルにでもいけ!
625 :
名無しより愛をこめて:2008/07/31(木) 21:39:42 ID:OsmpSDoQ0
お前ら最低だな。一方的に荒らしと決めつけて破棄かよ。
そんなに馴れ合いしたきゃ2ちゃんから出てけよ。
短かかったら小説にならないなら将軍様に逆らって消されたあの人の作品全て消したらどうだ?
626 :
名無しより愛をこめて:2008/07/31(木) 21:48:41 ID:Wzbk1/yU0
始めに言っておく。
俺は貴様らのような馬鹿ではない。
今回のロワを潰し得る重大な欠陥を知っている。
ヒントは「ハナの変身」
貴様らが態度を改めなければこのロワを潰す。
明日の朝までに心から謝罪し、以後同じ過ちを繰り返さないと誓え。
627 :
名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 00:40:35 ID:xd0MzkMJ0
____
/ \
/ ─ ─ \ 「俺は貴様らのような馬鹿ではない。
/ (●) (●) \ 今回のロワを潰し得る重大な欠陥を知っている。」?
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/⌒ ⌒\ ホジホジ
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ <で?
| mj |ー'´ |
\ 〈__ノ /
ノ ノ
関・係・ないから γ⌒))⌒) )) 関係ないから
ヾ __(((⌒ヽ / ⊃__ ゞ
/⌒ ⌒⊂_ ヽ彡 / / ⌒ ⌒\
(⌒ミ(⌒ヽ∩/( ⌒) (⌒) |(⌒γ⌒)( ⌒) (⌒) \ ∩⌒)彡⌒)
ヽ ノ| :::⌒(__人__)⌒ ::| 彡_ノ :::⌒(__人__)⌒ 〃/ ノ
\ \ )┬-| / ミ ミ |r┬( / / ))
(((⌒ (((⌒ )、 ヽ_ `ー‐' ,/ / ≡ 彡 _`ー‐' /( ⌒)ミ⌒)
\ \ / / /
そういやムシキングみたいに仮面ライダーもカードダスのゲームが稼働するらしい、まあバイオライダー、ハイパーカブト、555アクセルフォームが最強だろ
629 :
名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 03:31:57 ID:EV1C4Zsu0
なついあつ
630 :
名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 08:04:04 ID:v/s41nGp0
正義の味方で殺し合いとか見てらんない
631 :
名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 08:07:24 ID:rRNMjjC+0
さて、貴様ら馬鹿にも分かるように丁寧に分かりやすく説明しなければならないな。
まず。将軍様の「クローズドサーキット」より
「古びた柱時計が午前五時を告げる。」とある。
この後10分間の戦闘があったからこの時点でよくても午前5時10分。
次に将軍様に追い出された書き手の「激闘の始まり」では
「クローズドサーキット」のメンバーが3〜4エリア離れた場所の本郷、城戸、ダグバと
合流している。しかも午前6時の放送が始まる前にだ。
ここでの10分間の戦闘後に放送直前となったことを考えると
風間大介 ハナ 緑川あすか 日高仁志の4人は「徒歩」で「12〜16km」を「30分弱」で移動したことになる。
会話して、移動車両を探しながら、時速30kmで30分間歩く一般人が存在するとでも?
632 :
名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 08:09:37 ID:rRNMjjC+0
つまり、激闘の始まり以降リレーした作品は全て
3:前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている(死んだキャラが普通に登場している等)
4:作品の中に矛盾がある、時間の進行が明らかにおかしい、重要な出来事の描写がない、状態表と本文が一致しないなど、内容的な不備がある
に該当する駄作です。
633 :
名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 10:21:01 ID:rRNMjjC+0
以上の理由から「激闘の始まり」以降の作品全てに破棄要求をします。
これ以上は議論スレでお願いします。
本当に遅くなって申し訳ない…
風見志郎、加賀美新、ゴ・バダー・バ 投下します
駅ホームから立ち上がる煙を背に風見は歩く。その後ろを加賀美が追う。
二人の間に会話は無く、カツカツと歩く音だけが流れていく。
お互い会話をまったくしたくない、というわけではない。
加賀美は風見の気がほんの少しでも変われば、そう思えば言葉を交わしたい。
言葉だけで変わるとは思えないが、それでもやれる事はやりたかった。だが切っ掛けが無い。
風見は加賀美の持つ知りえる情報はできれば手に入れたい。多すぎて困るという事はないのだから。
だが下手な言葉を交わせば情が湧くのは間違いない。情報だけ手に入るような、そんな切っ掛けが欲しい。
それでも尚、会話が無いのはお互いが会話を切望してはいないからだ。
加賀美は会話が無くとも行動して示すつもりだし風見も情報が手に入らなくとも構わないと考えていた。
結果的に男二人は無言で歩く。風見が先を行き、加賀美がその後を追って…
駅から抜け、辺りに密集する建物の路地裏へと風見は入っていく。
「…なんだこれ」
後を追って路地裏に入り込んだ加賀美が目にした赤い、何か。
「見て分かりませんか?これは…」
加賀美の疑問に答えるように風見は赤い何かをチラッと見てから振り向き…
「バイクです」
「これがバイクかよ…」
トカゲか何かを模したボディに大きな翼。そして全身を包む朱色。二つのタイヤがかろうじてバイクという事を証明している。
風見は駅襲撃の際に赤きバイク、ジャングラーを路地裏に隠していた。
キーを差し込み、捻る。主の帰還を祝うかのようにジャングラーの緑の目がボウッと光る。
路地裏から抜け、さっそくジャングラーに跨ろうとする風見を加賀美が制する。
「なんのつもりですか?」
「俺には足がない。バイクで逃げられたら俺には追う手段がないからな…」
キッと睨んでいた風見は明らかに嫌味な笑顔で――
「後ろに乗ればいいじゃないですか」
それに対し加賀美は巨大なリアウイングを指差し――
「乗れると思うか?乗れると!」
ムッとした表情のまま加賀美は右ハンドルを掴む。
風見は肩をすくめ、左ハンドルを掴み、ジャングラーを二人で押す形で歩き出す。
「案外できるんじゃないですか?」
「…風間が強引に逃げるつもりなら俺も強引に乗り込むだろうけどな」
はぁ、と軽いため息が一つ漏れる。
「…馬鹿ですね」
「あぁ、俺は馬鹿だ」
ゆっくりとした動きでジャングラーは動いていく。
* * *
再び会話が途切れるがそれもほんのつかの間の事。
「しかし、変わったバイクだよな。マシンゼクトロンっぽい面影はあるけど…」
少なくとも無視される事はないと踏んだ加賀美はジャングラーを手掛かりに言葉を続ける。
決して無駄な行為では無いと自分に言い聞かせながら。
しかし風見は特に反応する事も無く黙々と歩くのみ。
それに気分を悪くしている場合ではない、ここで再び途切れてしまうと次にいつチャンスが訪れるか、そもそも次があるかどうかも怪しい。
「パッと見だとバイクっていうよりは大きなゼクターだよな、これ」
「…ゼクター?」
風見がようやく加賀美へと顔を向ける。先ほどのマシンゼクトロンは話し方からバイクだろう、ではゼクターとは?そんな好奇心で。
「あぁ。まぁ何ゼクターかって聞かれたら答えづらいけど…」
無言で風見は話を聞くがゼクターの謎は解けない。ゼクターとは何だ?まぁ知らなくても問題はなさそうだが。
ゼクター…と風見が小声で呟くとカションカションと独特の音を鳴らして機械のバッタがどこからか現れ、風見の肩に乗り移る。
どういうわけかわからないが力となってくれているこのバッタ。このバッタがもしや加賀美の言うゼクターなのだろうか?
風見がホッパーゼクターを見つめゼクター、と呟くとホッパーゼクターはそれに答えるかのようにカションと音を鳴らした。
「風間…そのゼクターは何だ?ドレイクゼクターはどうしたんだよ?」
加賀美が驚きの表情で風見を見つめる。
どうやら『風間』はドレイクゼクターという物を使うらしい、とりあえずは風見は話を合わせる。
「ドレイクゼクターは何故かありませんでした。代わりに支給されたのがこの…」
とりあえず加賀美はこのゼクターの事を知らないらしい、とすれば仮に名前が違っていても問題はないはず。
バッタ、そのイメージで思い浮かぶ名前は一つしかない。
「ホッパーゼクターです」
ホッパー。本郷猛、一文字隼人…そして自分。バッタをモチーフにした改造人間達の総称。
同じバッタの姿をしたこの機械にホッパーの名を付けるのは悪い気分ではない。
ホッパーゼクターもその名を気に入ったのか肩の上で跳ねている。
「しかし、何だって風間には支給しなかったんだ?俺にはちゃんと支給されていたのに」
「…貴方には支給されたのですか?貴方のゼクターが」
加賀美がゼクターを使う保障はないが、今までの流れから考えれば使うと判断するのが妥当だろう。
仮に違っていてもどうとでも誤魔化せる。
「あぁ、ガタックゼクターがちゃんと支給された。にしても、妙だよな。なんで風間にだけ」
「他の参加者に支給されていればいいのですが…」
「仮に他の参加者に支給したとしても、意味があるのか?」
歩みを止め、お互いに見合わせる。
「他の参加者に支給しても、無意味と言いたいのですか?」
「だってそうだろ?ゼクターに選ばれない限り変身する事はできないんだ。それに風間がこうして目の前にいるって事は
仮にドレイクゼクターが他の参加者に支給されたとしても選ばれる事はまず、ないと思う」
「…つまり例外があるのですか?」
「あぁ、ゼクターが見限って、別の資格者を選ぶ可能性はある」
現にザビーゼクターは矢車、自分、影山と転々と移っていった。他のゼクターにも当てはまるのか確証はないが可能性はあるだろう。
(お前も…俺以外を選んだりするのか?)
加賀美はそっとベルトに触れ、心の中でガタックゼクターに問いかける。
その声が聞こえたのだろうか?ガタックゼクターが空から飛来し、加賀美の肩に止まる。
ガチガチとハサミを開閉する仕草は何かを語りかけているようにも見えた。
風見は加賀美の肩に止まるガタックゼクターと腰に巻かれた銀のベルトを交互に見る。
(ゼクターは多少条件があるが、誰でも使えるというわけか…)
奪う事ができればもしかしたら自分にも使うことができるかもしれない、そう考えて。
しかし今の自分の状態はお世辞にも良いとは言えない。ナノマシンが身体の修復を進めてはいるがその動きは異状に遅い。
それになにより、加賀美に手を掛ける時は決着を付ける時だ。今はどう考えてもその時では無い――
ふと何かが気になり加賀美のベルトを凝視する。細部は違うがほぼ同じ物をほんの少し前に見た、気がする。
ロータリーで対峙した…あの少年のベルトだ。そういえばカブト虫のような物を用いて変身していた。
あれもやはりゼクターの一種なのだろうか?確認してみるのも悪くはないかもしれない。
「そういえば…先ほどカブトを見ましたね」
「…嘘だろ?」
「嘘、とは?」
風見が加賀美の顔を見ると…驚いてますと張り紙を張るよりも判りやすい驚きの表情を浮かべていた。
「だって、天道は…死んだって…」
「そういえば、そうでしたね」
風見は天道の事等知りはしない。だが今は話に付き合って、悲しい顔を浮かべてやる。
加賀美の方を見て見ると必死に何かを考えているようだった。
「どうしたんですか?」
「カブトはいる、天道は死んでいる。誰でも変身できるよう細工されて、天道にはカブトゼクターが支給されなかった?
それとも、天道は実は生きているとか?」
「天道が負け、カブトゼクターを誰かに奪われた…そう考えるのが一番自然だとは思いますが?」
首を横に振り加賀美は風見の言葉を否定する。
「天道が、カブトが負けるなんて考えられない。それこそカブトゼクターが支給されなかったとか…
或いは突然不意打ちを…いや、それもヒョイって避けそうだよな、あいつは」
「そんなに天道はすごかったのですか?」
今度は力強く縦に振り肯定する。風見の小さなため息を皮切りに加賀美は語りだす。
「あいつは悔しいけどすごい奴だ。何でも全部自分の思い通りになるって考えてて、実際そうなって、というかそうさせる奴で。
正直天道が死んだなんて信じられないし、風間が見たカブトが実は天道なんじゃって、そんな考えさえ浮かんじまうくらい…」
でも天道は死んだ、と風見は心の中で呟く。あくまで想像だが、天道は見せしめに近い方法で殺されたのではないか?
天道を知る者に、これ以上は無いと思えるほどの絶望の種を植えるために。
もしも仮に天道が本当は生きていながら死んだと放送されたならば、それはつまるところ天道は主催者に早々にして勝ったと言えるだろう。
そんな危険な人物を参加させるだろうか?有り得る筈は無い。天道は主催者に勝ることは決して無く、どのような形であれ負けたのだ。
放送で嘘を吐く必要も無いだろう。全てが真実であり、そうでなければ…戦う意味が無い。
例えどこまで疑惑に溢れようとも、それが真実と妄信し優勝する。それが自分がちはるにできる、唯一の事なのだから。
そう、全てが真実で…放送も全てが真実、それなら…
――間違っても首輪を外してあげよう、なんて考えちゃ……だめですよ――
何故放送であのような事を言うのか?調べられたらまずいのか?外そうと思えば、外せるのか?この首輪は。
いや、既にいるのだ。外そうと考える参加者が、この戦いから脱出する為の第一歩を踏み出そうとする者が。
そうでなければわざわざ放送で首輪の事を話したりはしないはず。
もしも脱出者が出た場合…この戦いはどうなるのだ?逃げ出しちゃった人はいますが気にせず頑張りましょう、とでもなるのか?
続行か、中断か?その時になってみなければ分からない事だ。だが、もしも優勝の保障がされなくなった場合、自分は…ただの道化だ。
その可能性がほんの少しでもあるのならば…少しでも不安を感じるなら――
「風間、何をするつもりだ!」
風見はジャングラーに跨り、右ハンドルを握る加賀美の手をどかそうと力を入れる。
「放しなさい」
「どうしたんだ急に!訳を言え!」
「訳を言った所で放すつもりはないのでしょう?素直に放さないのであれば…」
デイパックから取り出されたデンガッシャーを加賀美の首筋に当てる。
つーっと垂れる血が加賀美の思考を加速させていく。
どういう訳か見当もつかないが風間は何か焦るようにどこかを目指そうとしている。
その先に待つのは間違いなく、戦い。なんとしても止めなくてはならない。
バイクをあえて解放し、ガタックに変身して力ずくで押さえつける、これが一番確実かもしれない。
だが制限があるらしいこの状況下で簡単に変身していくのはまずいという予感がある。何か別の手段は…
悩む加賀美の耳にガタンゴトンと聞きなれた音が聞こえてくる。
その音の正体にすぐにピンとくる――
「そうだ、どこかに向かうっていうなら電車を利用するのはどうだ?
風間だって多少なりとも疲れてるんだろう?バイクだと常に周りに気を配りながらでないと移動はできない!
その点電車での移動なら休みながら確実に移動できるはずだ!」
「結局の所、あなたが私から離れたくないからでしょう?」
「あぁそうだよ!悪いか!お前が戦うっていうなら、俺は絶対に止めてみせる!」
しばらく睨み合いが続いたが、やがて風見の方が折れジャングラーから降りる。
「…止められませんよ、あなたには」
そんな言葉を呟いて、風見は加賀美と共に駅へと引き返していく――
* * *
651 :
◇deggScNisI(代理) :2008/08/01(金) 11:10:54 ID:DuncU2za0
「いや、風間さ」
駅内部に戻り、デネブの眠る場所をなんとも言えぬ表情で通り過ぎ、ホームで電車を待って数十分。
ようやく来た電車に乗り込む加賀美と風間と、ジャングラー。
「…何か?」
「…何でも無い」
貴重な移動手段なのだから手放すわけにはいかないのはわかるが、電車の中にバイクというのは違和感丸出しだ。
ジャングラーを固定させると風見は手すりに寄りかかり、じっと目をつぶる。
加賀美も風見とさほど離れていない座席に腰を下ろし、一息つく。
簡素なメロディーが流れ終わるとドアが閉まり、電車はゆっくりと動き出す。
二人が乗り込んだのは大学方面へと北上していく路線。
加賀美はてっきり人が集まりそうなショッピングセンターを目指すものと考えていたからこれには面食らった。
(風間の奴…何考えてるんだ?)
目を閉じ、電車の揺れに身を任せる風見の顔からは何もわからない。
やはり何か間違えてしまったのではないか、強引にでもやはり止めるべきだったのでは?
顔を落とす加賀美の目にふと、ジャングラーが目に入る。
(鍵、差しっぱなしじゃないか…)
再び風見の顔を見る。じっと目をつむるその姿は寝ているようにも見える。
(悪く思うなよ…)
音を立てないようにゆっくりと立ち上がり、差し込まれたままの鍵を引き抜き、懐に仕舞いこむ。
これで少なくともジャングラーを自由に扱う事はできないはずだ。罪悪感が加賀美を襲うが、手段は選んでいられない。
風見は気付く様子も無く目をつぶったままだ。
(で、結局風間はどこに向かうつもりなんだ?)
座り込んだ加賀美はこの電車の行く先をぼんやりと案じていた――
* * *
バダーは畦道を走らせながら唇をゆがませる。
さきほどの男といいこのバイクの元々の持ち主といい…獲物に対して困る事はなさそうだ。
そしてその獲物はどれも、強い。一筋縄ではいかない相手なだけに轢き殺せた時の快感は想像するだけで身震いする。
他にはいないのか?他の獲物は。もっともっとと子供が親にせがむ様に、純粋にバダーは獲物を求めてバイクを走らせる。
ある程度走らせると整備された道路が目に入る。道路に進入していくと徐々にハリケーンが本来の速度を取り戻していく。
自由に走り回るハリケーン。自分の愛用のバイクであるバギブソンとは違う新鮮さがそこにはあった。
道沿いにずっと進んでいくと少しずつ人工的な建物が増え、施設が近い事を悟る。
少し速度を落とし、地図を確認しながら進んでいく。途中で男の死体を見かけたがデイパックも近くになさそうなので大した価値は無いと判断し、先を進む。
しばらく走らせると目的の場所を探し当てる事ができた。やれる内にやっておくべきなのだ、こういうことは。
コインをピンと弾きながら、バダーはハリケーンに給油する。少しずつハリケーンに生気が戻っていく、そんな錯覚さえ覚えてしまう。
給油を終え、次の行き先を考えていたバダーに僅かながら聞こえる駆動音。
「でんしゃ、か」
ハリケーンに跨り、駅へと走り出す。電車はここまで来る途中にも走る様子は見てきたし珍しいとは思わない。
だがマップにも載っている様な大型の駅周辺になら或いは獲物がいるのではないか?そんな期待を込めてバダーはハリケーンを走らせた。
しかしほんの少しだけ、遅れた。駅に近づいた時には既に電車は動き始めていた。
チッ、と舌打ちし目を凝らす。もし乗客がいるのならば或いは見つけることができるかもしれない。
しかし駅から動き出す電車は北上する物と南下する物の二つ。それらを交互に見やるのだ。とても細部までは見ていられない。
だがかろうじて、北上する路線の電車に人影が見えた、そんな気はした。だが北上する道は元来た道を戻る事になり、新たな獲物を見つられる可能性は低い。
期待できるのは電車に乗り込んでいる、かもしれない獲物に少し前に対峙したのほほんとした男くらいだろう。
だが、南下した所で新たな獲物を見つけられる保障も無い、それならば。
実際の所はバダーはそこまで考える前に既にハリケーンを北上する電車へと向けていた。
獲物らしき者がいるのならば、そちらを追う。
獰猛な狩人はもしかしたら匂いを感じたのかもしれない、獲物の匂いを。
加速していく電車に追いつき、並走する。品定めするかのようにゆっくりと電車の様子を窺う。
後ろから一両ずつ、順々に。ほとんど前を見ないでも安定した走りが可能なのはやはりバダーだから、と言うしかないのかもしれない。
そして遂に見つける。ドアの窓からほんの少しだけ見える獲物の影。
獲物を見つけたのならば、後は捉えるだけだ。バダーは加速し、電車を追い越していく。
少し前に通った道だ。何があるかは当然記憶している。バダーは目当ての場所で右折し、止まる。
カンカンカンカンという音と赤い光が点灯し、遮断機が下りてくる。踏み切り、だ。
エンジンを唸らせタイミングを窺う。まだ遠い、あと少しあと少し。驚くほどの集中力で、バダーはその時を待つ。
今
ハリケーンを急発進させ、赤いマフラーを棚引かせ、踏み切りへと加速していく。
踏み切り内に電車が入り、通過していく。バダーは構わず加速し、飛び上がる――
* * *
突然の轟音に風見と加賀美は驚き、招かれざる侵入者を睨みつける。
ハリケーンの突撃によって開かれた大穴から風が容赦なく入り込み、バダーのマフラーをバサバサと揺らした。
「何だ、お前は…」
「そのバイクは…!」
加賀美は非常識すぎる乗り込みをしてきたバダーを警戒し、風見は自分の愛車が目の前にあるという事実に驚いていた。
「ほう、またあったな」
バダーは久々の再会に胸を躍らせる。
本来なら彼らは初対面である。だが加賀美が風間と風見を勘違いしたように、バダーも同じように勘違いしていた。
「そのバイクは私の物です。返してもらいますよ」
「ふん、やってみろ」
会話が成立していたのは勘違いしていたにしては、出来すぎだが。
バダーはハリケーンのエンジンを吹かし、ジャングラーの存在に気付く。
「…それは、バイクか」
「これも、私の「これは俺のだ!」…はい?」
風見の返答を遮り加賀美が前に出る。右手にジャングラーの鍵を持って。
「いつの間に…」
「悪い、ちょっと借りる」
「ふたりか…こうつごう、だ」
話は終わりだ、と告げるかのようにバダーはハリケーンを走らせる。
狭い車内を破壊するほどの轟音と共にバダーが二人に迫る。
加賀美はジャングラーを起動させ立ち向かう。
二台のバイクが通れるスペース等車内にあるわけ…厳密に言えば無くは無かったがジャングラーでは無理な相談であった。
ハリケーンとジャングラーが衝突し、ギリギリと鍔迫り合いのように押し合う。
バダーが前輪を持ち上げ、仕掛けてくるが加賀美もそれに合わせるように前輪を持ち上げ対抗する。
空中で前輪同士がぶつかり合い、火花を散らした。
らちが明かないと判断した加賀美はジャングラーを加速させる為に少しだけ引くがそこをバダーに衝かれた。
前輪を支点にハリケーンを半回転させ、後輪でジャングラー共々加賀美を弾き飛ばす。
「いっつ!」
ジャングラーから弾き飛ばされた加賀美は座席の手すりに頭をぶつけ呻く。
バダーが加賀美を押し潰そうとハリケーンの矛先を向けるが、その眼前に風見のとび蹴りが炸裂する。
不意をつかれ、バダーは思わずハンドルを放し床に転がる。
変身していないのにライダー顔負けのキックを放った風見はそのままハリケーンに跨り、発進させる。
「ま、待つんだ!風間!」
加賀美が頭を抑えながら立ち上がり、風間を止めようとする。
「言ったでしょう。あなたには私は止められない、と」
風間は大穴を利用し、バダーが入ってきたのと同じように車内から抜け出す。
着地した際に生じた強い衝撃を凌ぎ、走り続ける電車を見つめる。
開けられた大穴から加賀美が身を乗り出し、何か叫んでいるが電車はお構いなしに進んでいき、結局何と叫んでいたのか風見には分からなかった。
「さて…」
携帯を取り出し自分の現在位置を確認する。どうやらC−9にいるようだ。
悩み所かもしれない。
風見は脱出派の意図をつぶすつもりで研究所を目指す事にしていた。施設さえ破壊すれば首輪を解除するのはより困難になるはずだから。
だがそれも加賀美の協力があっての事。協力してくれるかどうかは微妙だったが少なくとも戦闘になれば戦力になるだろう、と期待はしていた。
その協力が得られない状況で単身研究所に侵入し、破壊できるだろうか?
放送の口ぶりから考えると、研究所内で首輪の解析をしている者は間違いなくいるはず。
返り討ちに遭う可能性は有り得る。だが研究所襲撃を遅らせると無駄に敵を研究所に集めてしまう事になるかもしれない。
様子を見るべきか、一気に突入すべきだろうか?
久々に味わう愛車の上で風見は一人、決断を迫られていた。
【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】
【1日目 昼】
【現在地:C-9 】
【時間軸:】THE NEXT中盤・CHIHARU失踪の真実を知った直後
【状態】: 疲労回復、全身打撲、中。両腕、腹部にダメージ大。
【装備】:ハリケーン 、ホッパーゼクター+ゼクトバックルB、デンガッシャー
【道具】:不明支給品(未確認)0〜3。基本支給品×2セット、ピンクの腕時計、FOX-7+起爆装置(残り4)
【思考・状況】
1:殺し合いに勝ち残り、優勝してちはるに普通の生を送らせる。
2:ショッカーに対する忠誠心への揺らぎ。
3:葦原涼が死んでいなかったことに驚きと僅かな安堵。
4:研究所施設を破壊し、脱出派の意図をつぶす or 破壊は後回しにし、様子見にする。
5:いずれあの男(加賀美)と決着を付ける。
【備考】
※モモタロスの死を受け止め、何か複雑な心境です。
※ホッパーゼクターを扱えます。
※FOX-7は基本的に、起爆装置を使った時にのみ爆発します。爆発の規模は使った量に比例します。
起爆装置は全携帯が内蔵している専用アプリに起爆装置のコードを打ち込んで操作するもの。
スイッチ式と時限式の両方の使い方ができます。
* * *
「風間の奴…くそっ!」
加賀美は床に倒れたままのジャングラーを起こし、風間のように車内から飛び出そうとするが――
バダーがジャングラーの前に立ち、妨害する。
「どけっ!見失う前に追わないと…」
「そいつをよこせ」
風を切るような回し蹴りが加賀美の顔面に迫るが、すんでの所でジャングラーから飛び降り事なきを得る。
バダーは悠々とジャングラーを起こし…鍵が無い事に気付く。
「探し物は、これかな?」
加賀美が右手に持った鍵をチラチラと揺らす。だがバダーに焦る様子は無い。
バダーは右手を突き出し、ゆっくりと横に動かす。奇妙な音と共に異質な姿へと変化していく。
脅威のライダー、ゴ・バダー・バ の本来の姿。見た目で共有しているのは赤いマフラーくらいか。
「なっ、ワームなのか!?」
バダーは加賀美を無視し左肘の装飾品をジャングラーの鍵穴に差し込む。
が、バダーが望んだ変化は訪れず、ジャングラーは無反応のまま電車に揺られていた。
「…いまいましい」
ジャングラーから降り、加賀美を睨みつける。その睨みに臆する事無く加賀美は睨み返し――右手を突き上げる。
「いくぞ!ガタックゼクター!」
今の今まで加賀美の肩に止まっていたガタックゼクターはようやく出番か、とでも言うように身を震わせ、加賀美の右手に納まる。
「変身!」
電子音声が発せられ、マスクドフォームのアーマーが生成され、加賀美を戦いの神へと変えていく。
両拳を振り上げ、機械的に走り続ける車両の中、バダーと対峙する。
「カギをよこせ」
「断る!俺は風間を止めなきゃいけないんだ!邪魔をするなら、容赦はしない!」
両肩のガタックバルカンが火を噴き、イオンビーム光弾を連射する。
通常よりも威力、弾数ともに制限されているが狭い車内という状況のおかげで効果を…上げない。
強靭な脚力を生かし、壁や天井を地の如く扱いバダーは縦横無尽に跳び回る。
素早い動きに光弾の弾幕もついていけず、ダメージを与える事ができない。
勢いをさらにつけたバダーはドロップキックをガタックの顔面へと打ち込む。
バダーは身体を回転させ、足から床に着地し、地を這うような跳躍で後ろに吹き飛ばされたガタックを追う。
倒れこむ寸前のガタックの足首に接近したバダーが強烈な足払いで追い討ちをかける。
「ボソラグ(ノロマが)」
バダーが再び跳躍し、仰向けに倒れこんだガタックの顔面を踵で踏み付ける。
バキリと甲高い音が鳴り、バダーは勝負が決した事を確信する。
否
バキリという音はガタックの身体全体から鳴り響き…
「キャストオフ!」
――CAST OFF――
アーマーの破片が股下からバダーを襲う。
身体に食い込んだ破片に悶絶しながらバダーは転がっていく。
それを見ながらガタックがゆっくりと身体を起こし、雄々しき二本の角も起き上がる。
――Change Stag Beetle――
「うぉぉぉっ!」
ガタックはなんとか起き上がろうとするバダーにエルボースタンプを豪快に背中に打ち込み、起き上がらせない。
そのままバダーの背中に座り込み、顎をしっかりと掴んで反り上げる。
体勢のせいでバダーの振り回される腕はガタックにダメージを与えない、このままいけばバダーの背骨や腰骨が破壊されるだろう。
だがこのままで終るはずもなく。自由な両足を反り上げ、ガタックの胴体を挟み込む。
強靭な脚力による胴締めはガタックの力を確実に弱め、バダーは顎のホールドから脱出した。
そのまま振り下ろすようにガタックの身体ごと両足を下ろし、後頭部を強打させる。
「あぐぅっ!」
変身前にも同じ場所を強打していたガタックにこの一撃はかなり効いたらしくしばらく立ち上がることができない。
支援
バダーは再度跳躍し、杭打ち機のように何度も何度もガタックの身体を踏み付けていく。
踏み付けるたびにガタックの身体が震える。何かを掴むかのように伸ばされた腕は少しずつ力を失っていく。
トドメの一撃を振り下ろすため、バダーは跳躍し、狙いをガタックの頭部に定め、急降下。
「クロック、アップ!」
――CLOCK UP――
ガタックの周りを包む時間がゆっくりとした進みになる。
窓から見える景色はゆっくりと進んでいき、バダーはパラシュートでも付けたかのようにゆっくりと降りてくる。
その間にガタックは身体をゴロゴロと転がし、バダーから距離を稼ぎだす。
――PUT ON――
両肩のガタックバルカンのみを元に戻し、構え…時が元に戻る。
――CLOCK OVER――
バダーからみれば突然ガタックが残像のみを残して移動し、着地して無防備な自分を
いつのまにか装備していた両肩のバルカンで撃ち抜くという理不尽極まりない状況だ。
ほとんどの光弾を喰らい、身体の所々が痛々しく焼けている。
――CAST OFF――
ガタックバルカンが吹き飛ばされ、その下に隠された二本の聖剣が姿を現す。
ガタックが両肩のプラスカリバー、マイナスカリバーを掲げ、合体させる。
――Rider Catting――
鋏がバダーの胴体を挟み込み、イオンエネルギーを流し込む事によって完成するガタックの必殺技の一つだ。
だがバダーはその挟み込む瞬間に飛び上がり、鋏の上に悠然と立っていた。
「嘘だろ!?」
行き場を失ったイオンエネルギーを両足に纏いながらバダーは驚きで硬直状態のガタックを蹴り上げる。
「ふんっ」
落ちてくるガタックを残りのイオンエネルギーと共に回し蹴りで吹き飛ばし、膝をつく。
ゴロゴロと転がったガタックはふらふらしつつもなんとか立ち上がり、両拳を構え、バダーを睨みつける。
バダーもそれに答えるように肩で息をしながら立ち上がり…側に転がっていたダブルカリバーを拾い上げる。
ダブルカリバーを解体し、プラスカリバーだけをガタックに投げつけ、マイナスカリバーを構えた。
ガタックもプラスカリバーを受け止め、対抗するように構える。
ゆらゆらと電車に揺られながら、ガタックとバダーは互いに機を窺う。
お互いかなり消耗し、もう長く戦闘することは不可能だ。お互いが、お互いを理解していた。
ガタン、と電車が大きく左に傾く。それを合図にガタックとバダーはそれぞれの得物を――投げつけた。
バダーはマイナスカリバーを投げつけると同時に膝を抱え、縦に回転しながら跳躍する。
ガタックはプラスカリバーを投げつけると同時に身体を横に捻り、横に回転しながら立ち向かう。
投げつけたお互いの得物がガシャンと音を立てて床に落ちる――
バダーはまるでバネを解放するかのように身体を引き伸ばす。
ガタックと目が合った。
右足を突き出し、蹴りこむ。脅威のライダーとしての誇りをのせて。
1、2、3とスイッチを順番に押し、ゼクターホーンを起き上がらせる。
バダーと目が合った。
ゼクターホーンを倒しこみ、蹴りこむ。戦いの神としての意地をのせて。
形は違うが二人の技はまさに…
――Rider Kick――
* * *
永遠にも一瞬にも思えるエネルギーのぶつかり合いの果てに、二人は吹き飛ばされた。
衝撃で変身の解けた加賀美はバダーの姿を探すが見当たらない。
だがバダーが侵入してきた時に開けた穴の縁に肌色の何かが見えた。
バダーも加賀美と同じく衝撃に吹き飛ばされ、変身が解けていた。
穴の外は目まぐるしいほど景色が変わり、少なくとも生身のまま飛び出せば無事では済まない事を物語る。
縁を掴む手が離れてしまえば自分は死ぬ、そういう状況にも関わらずバダーの表情は普段のままだった。
加賀美は躊躇う。ここで手を差し出し、助け上げる事は間違いなのでは?
この男はワーム…じゃないにしても人間とは明らかに敵対している生命体だ。
それならばいっそ…そう考えている間にバダーの手が離れた。
瞬間、無意識の内に加賀美はバダーの手を掴み、間一髪でバダーの身体が地面と衝突する事は無かった。
だがバダーの身体は未だ車外に放り出されており、加賀美が手を離せば、バダーは死ぬ。
その状況でバダーが笑っていたのが、加賀美の神経を逆撫でした。
「馬鹿野郎っ!」
大声で叫び、どこにそんな力が残っていたのか不思議なほどの勢いで、バダーを車内に引きずり込む事に成功した。
肩で息をし、もはやどう足掻いても動けないという加賀美の胴体をバダーが軽く蹴りこむ。
加賀美の懐から一つの鍵が転がり落ち、バダーはそれを拾い上げるとジャングラーの元へと歩いていく。
待て、そう口にしたいが言葉にならない。口から漏れるのは熱い吐息だけ。
「ババババジャスバ、リント(なかなかやるな、リント)」
バダーは加賀美にそう言い残し、ジャングラーに乗って車外へと飛び出し何処へと走り去っていった。
残された加賀美は床の上で大の字で寝転がり、酸素を少しでも吸い込もうと大きな呼吸を続ける。
電車のスピードは徐々に緩まっていき、停車駅が近い事を加賀美に伝えていた――
【ゴ・バダー・バ@仮面ライダークウガ】
【時間軸:ゲゲル実行中(31-32話)】
【1日目 昼】
【現在地】C-7 道路
【状態】全身にダメージ、背中や腕部等に多少の火傷、右足にダメージ、グロンギ体に2時間変身不能
【装備】ジャングラー@仮面ライダーアマゾン
【道具】基本支給品 車両配置図 ラウズカード(ダイヤの7・8・10) ライダーブレス(コーカサス)
【思考・状況】
基本行動方針:リントではなく自分の「ゲゲル」を完遂する。
1:クウガ、イブキ、ガタック、ドレイクはいずれ自分で倒す。
2:(スマートブレイン勢力も含めた)「ライダー」の探索と殺害。
3:グロンギ族に遭遇しても、このゲゲルを終え、ゲリザギバス・ゲゲルを続行する為に殺す。
※バダーは「乗り物に乗った敵を轢き殺す」ことにこだわっています。
選択の余地がある状況ならば、上の条件に合わない相手は殺せる場合でも無視するかもしれません。
※「10分の変身継続時間」についての制限にはほぼ把握しましたが、
「2時間の変身不能時間」についてはまだ完全には把握していません。
※用意されたすべてのバイクが出そろったため、車両配置図は詳細地図としての価値以外なくなりました。
※風見志郎の事を風間大介だと勘違いしています
【加賀美新@仮面ライダーカブト】
【1日目 昼】
【現在地:B-7 研究所駅停車予定の電車内】
[時間軸]:34話終了後辺り
[状態]:激しい疲労と痛み、脇腹に刺し傷、頭部に打撲、肩に裂傷、背中に複数の打撲、右足にダメージ
強い怒りと悲しみ。ガタックに2時間変身不能
[装備]:ガタックゼクター、ライダーベルト(ガタック)
[道具]:基本支給品一式 ラウズカード(ダイヤQ、クラブ6、ハート6)不明支給品(確認済み)2個。
[思考・状況]
1:他の仲間、特に桜井侑斗と合流する。
2:危険人物である澤田と真魚、バダー(名前は知りません)を倒す。
3:風間(風見)を探しだしたい。
4:風間(風見)といずれは戦うことへの迷い。出来れば戦いたくない。
[備考]
※デネブが森林内で勝手に集めた食材がデイパックに入っています。新鮮です。
※首輪の制限について知りません。
※友好的であろう人物と要注意人物について、以下の見解と対策を立てています
味方:桜井侑斗(優先的に合流)
友好的:風間大介、影山瞬、モモタロス、ハナ(可能な限り速やかに合流)
要注意:牙王、澤田、真魚、バダー(警戒)
※風間大介(実際には風見志郎)が戦いに乗っていることを知りました。
648 名前: ◆deggScNisI[sage] 投稿日:2008/08/01(金) 11:04:27 ID:???
投下終了。仮投下してくださった方、支援してくださった方ありがとうございました。
それと今まで数々のご迷惑をかけ、本当に、申し訳ございませんでした。
-----------------------------------------------------------------
代理投下終了
>>672 投下乙です。加賀美と風見、ガタックとバダー、ジャングラーとハリケーン
といった、それぞれの立ち位置からくる対比が非常に面白かったと思います。
風見や加賀美は今後研究所絡みにどう関わっていくのか…非常に楽しみになりました、GJ!
投下&代理投下乙です!
加賀美のまっすぐさと風見の揺れる思い、脅威のバダー。
それぞれがとても魅力的に書かれていて面白かったです。
しかし、電車内でのバイクファイトとは!意外性があって驚きました。
それも緊迫感が有ってナイスでした。三者三様、これからどうなるのか気になります。
GJでした!
675 :
名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 17:31:25 ID:v/s41nGp0
/: : : : : : : : : : : : :/三/ `ヽ三三三三三三三三三ハ
∧: : : : : : : : : : _/三/ _,. - ソ三三三三ニニ三三三l
/: : : : : : : : : _/.三/ /ィ´ ィニ=-、._ ノ三三三=/ ̄`ヽ三三ニl
. /三三三ニニ=ニ='´´ _,./ /三=r─--、``ヽ.三ニ{ /´ \ヽ三三|
ヽ三l ̄ ̄ ̄´ /三ニ/ ,; ヽ.三、| \_) ヽ}三ニ!
ヽ|/ ̄`` 、 ./三ニ/___ ∨ハ\\ ll.三ニ|
f/^\__ ヽ 、ィ´三三=ノィtッ ̄フ !三ハ L `〉 !.三ニ!
|l=-、三三三7| 、\三ニ∠= ´ ´ ∨三、 | ノ j´三ニj
ヽ| \三三ニl ζ`ーニ≠、 ∨三!´ |´ ̄`\
ヽ_ r-―'tッ´ヽ.! f´ \ `` ヽ、 .!三ハ __.ノ \___
ヽ  ̄ ̄ / l | ヽ \ ∨_/ ´ \二フ`ヽ
ヽ / | ! | \ `´/ 弋/
ヽ l | | ' \ ノ! . /
ヽ ! `! ‐-- / リ l、 /
ヽ 1 ` _,.- / | 、 /
\ `ー-' _ニ──ヽ / / ヽ./
ヽ / ̄ __/ / / /
\ ` ̄ ̄ ̄´ / / /
\ ヽ_ノ⌒``ヽ=' ./ ≠´
\ / /
投下乙です。
加賀美VSバダーの緊張感溢れるバトル、不敵なバダーが魅力的でした。
愛車を取り戻した風見はこれからどう動くのか、今後が楽しみになりました。
面白かったです。GJ!
投下乙です。
電車内でのバトルとは意外な発想。
結末も加賀美らしい、実にお人好しな、かつ皮肉でした。
ハリケーンを手に入れた風見の修羅の道が切ない。
GJ!
ただいまより、◆N4mOHcAfck氏の代理投下を行います。
「……………………」
H-5――市街地の一角にてその存在を誇示する港エリア。
一部を除き昏睡状態へと追い込まれた参加者達をこの島へと連行した船が、僅かの間だが停泊したのもここである。
ゲームのステージとして定められた範囲の中央付近を流れる大抵の河川はここへと辿り着き、海へと流れ込む。
ショッピングセンター付近を流れるそれも例外ではない。
そんな港の隅で、力無く座り込む左手を欠いた異形の姿があった。
人類にとって脅威と成り得る「アギト」の芽を刈り取る為に暗躍する、神からの使者「アンノウン」。
その中でも最上位に位置する「エルロード」にあって、「風」を司る存在。
それこそが異形――風のエルである。
もっとも――風の如く天を舞う地位にあったその威厳も、今となっては文字通り地に落ちたと言っても語弊は無いだろう。
手首から先を失った左手からは、今となっても血が少量ながらポタポタと音を立て地面に流れ落ちている。
本来全ての参加者へと平等に支給されている筈のデイパックは彼の周辺には存在しておらず、代わりに黄金の剣が右腕に握られているだけだ。
左手首の切断――風のエルの主が愛し、恐れるただの人間であれば、早急に処置をしなければならないレベルの負傷と言える。
いや、彼が人外の異形であっても、切断という事象に加えて、複数要因の関わり方次第では即死に至ったのは間違いない。
風のエルがこうして「生存」という名の二文字を掴んでいるのは、「彼の意識を何が支配していたか」という問題に起因していたと見るのが最良だろうか。
◆
風のエルがこの港へと流されたのは、言うまでも無く彼が川へと投げ出されたからだ。
まず、風のエルは何処からその川へ投げ出されたのか。そして、そこでどの様な事態に彼は関与していたのか。
ショッピングセンター。店内外合わせて彼を除いても七人の参加者が犇めき合ったこの建造物内で、彼もまた交戦に入っている。
店内三名の参加者の内、殿として風のエルに立ち塞がった人間の変身した仮面ライダー、ゼロノス。
そのゼロノスを追い詰めたエルの左手首を狩った、人間で無ければ、アギトでも無いエルから見て正体不明の異形、ホースオルフェノク。
左手首を切断された時点でエルが力尽きなかったのは、それら敵対参加者への闘争心が精神や思考のほぼ全域を支配していたからだろう。
戦意を持っていなければ、そこで終わっていたかも知れない。
しかし、それで傷が治まるなどということは決してない。継続された戦闘の最中も、エルは出血を続けていたのだから。
やがてエルはゼロノスの連続攻撃によって、腹部を深々と切り裂かれる結果を迎えた。
更なる痛覚に伴って発生した出血は、いかに強靭な精神を持った存在にであろうと「絶望」の二文字を叩き付けるのに十分な効果を秘めていたであろう。
その様な状況において、何故エルが「絶望」や「死」に魂を売らず、「生」をその身に宿したままでいることができたのか――
「ククク……なるほど、な」
エルは微苦笑を浮かべながら、左手首の断面を見やる。
黒に近い赤で血塗られたその部位は、天高く昇った太陽の光を明るく照り返す白を基調としたボディと鮮やかなコントラストをなすのに一役買っている。
その、血――そこにエルの生存の訳が示されていた。
そう、誰もが「絶望」「敗北」「脱落」「死亡」といった言葉を脳裏へ浮かべるべき場面で、彼は「歓喜」していたのだ。
激痛に悶え叫んだ裏で、血に飢えるモンスターと既に化していたエルは心からの喜びに身を支配させて。
川へと落ちて意識を手放すその瞬間まで、己が血を啜る時を心待ちにしていたのだ。
その執念に身を任せていたから、今こうして笑みを浮かべている。風のエルはそう判断した。
一連の思考整理によって、風のエルはようやく現在の己が立場を把握し終えた訳だ。
左手の出血は既に止まっている。制限されているとはいえ、これも常軌を逸した者のなせる技だろう。
「これも、悪くは……ないな」
口元に左手を這わせながら、エルは不敵に感想を漏らす。
ホース・オルフェノクによって左手首を撥ねられ、ゼロノス・ゼロフォームに腹部を切り裂かれたあの時まで、エルは一つの事実を忘却の海から引き上げずにいたのだ。
「仲間」こそ、この地においては持たない風のエルだが、彼もまた「強き者」だということを。
意識を手放す直前までは、ただ新たな血を得た事実が思考回路を支配し、彼を生存に導いた。
そして今、彼自身の血でコーティングされた左手首は、風のエルの想像を超えた濃厚さと、甘味を錯覚させている。
まだ生きている人外の自分でこれなのだ。
何処までも上を目指し、慕うべき主へと集団で抗おうと立ち上がる人間や、それに近い存在が息絶えた際に残す血液とはどれほどの物なのだろうか。
欲しい。
確かめたい。
本当の絆、真実の強さを。
そして理解したい。
近付くためにも。
主が人間共に抱く恐怖、愛情の意味を。
その為にするべきことは何か――
答えとなるべき選択は唯一つ。「戦うこと」だ。
最早エルの欲求は、敵を傷つけるだけでは満たすに至らない。
殺さなければ始まらないのだ。欲求も確認も、理解も接近も、全て他者を殺さなければ成し得ない。
邪魔なのは全力の発揮に歯止めを掛ける正体不明の制限。
大体の間隔こそ分かるが、今現在はどの程度の時間が最後の戦闘から経過しているのか。
制限の掛かる時間帯では、エルの持つ優位性は失われ、人間達と大差無い存在まで自身は落ちぶれる。
その危険性から目を背けない程度には冷静になっている風のエルは、右の握力を強めながら立ち上がった。
制限が掛かっている時の自分は、人間と大差がない。
全力を出せる状態でも、傷ついた今の自分と互角かそれ以上に戦える参加者が複数存在している。
今のエルはそれら突きつけられた現実を否定することをしない。
実の所、否定する必要がない、が正しいか――
本人は気付いていないが、今の彼は遂行することができるのだ。
「敵集団が迎撃態勢を整える前に遠距離から大火力による奇襲」や、「なんらかのトラブルで混乱に陥った集団の中心に切り込み、白兵戦で殲滅」といったミッションを。
パーフェクト・ゼクター。エルが右手に携える黄金の剣は、例え持ち主が首輪の制限を受けていようと、単体で前途のミッションを両立させるポテンシャルを秘めている。
……もっとも、見かけはただの大振りな剣でしかなく、マニュアル無しでその事実を認識するのには運を必要とするが。
参加者においてパーフェクト・ゼクターの性能を知る者はゲーム開始当初二人のみで、今となっては唯一人だ。
エルがその力の片鱗に触れることが出来たのは、偶然の産物としか表現のしようがないだろう。
パーフェクト・ゼクターの柄に設けられた赤、黄、青、紫の計四色にそれぞれ塗られた四つのボタン。その中の何れかを押すことで、電子音声が鳴り響き、トリガーを引くことで発光、力を発揮する。
エルは無我夢中で行っていた、ショッピングセンター内での使用手順に誤りがないか、確認を開始。
まずはボタンを押す。握り直した結果親指が引っ掛かったという理由から、正面から見た場合左下に位置することとなる紫色を押す。
「……これは違う、という訳だ」
反応が、無い。黄色や青色も押して見たが、やはり同様の結果が生み出された。
ここでエルは、赤色こそが前回使用したボタンだと確信を持つ。
「正解」と思われる残された赤のボタンを押すという用意されたテンプレート的な考えよりも、剣について詳しく知りたいという欲求が勝った為か、風のエルは左腕でグリップを抱え込み右手先で刀身に触れ始める。
弄ってみるが、水に流されて何処かが故障した、とは違うらしい。ならばやはり赤い――
――GUN MODE――
突然の物音に、思わずエルは硬直を見せた。
それは戦闘中であれば即命失に繋がり、危険人物との邂逅中であれば、間違いなく隙を突かれるであろうことが容易に推測出来るほど、分かりやすいリアクションだ。
心中で己の油断を叱り飛ばすと同時に、双眼は一つの事実を受け入れる。左腕から開放されたグリップが、折れ曲がっている――
注意深く観察せずとも、「曲がるべくして曲がった」ことを推察するのは容易い。曲がった部分を戻すと、再び元の通り大刀の出で立ちが出現。
しかし、「曲がるべくして曲がった」のならば必ず理由が存在する。風のエルは変化した外見からそれを導くことを即座に決定し、再度の形状変化を求めた。
グリップが曲がった姿は、人間達の用いる射撃武器「銃」をどこと無く連想させ、トリガーは剣状だった先刻に比べて明らかに存在感を増している。
そうは言うものの、完全に剣として成立していて、あれだけの威力を誇ったものが折れ曲がっただけで銃として利用できるものなのだろうか? 風のエルは自問を余儀無くされる。
銃に見られるトリガーは、引いたところでエネルギーを刀身に纏わせるだけだ。パーフェクト・ゼクターが先の交戦で纏った輝きからも、風のエルは剣の腹から離れ出る気配を感じられなかった。
実際問題、剣として利用するだけでも十分な成果が挙げられるだろう。エルはそれを良しとしないのだが。
主が恐れる人間の技術が何処まで発展しているのか――それを確かめたいと思う。
現状エルが知るパーフェクト・ゼクターの情報は、以下の三点。
・グリップの変化で「ソード」「ガン」というモードにそれぞれ切り替わる。
・「ソード」の状態において、ボタン入力→トリガーを引く、という行程を踏むことで刀身が光で強化される。
・「ソード」の状態では黄・青・紫のボタンは反応しない。
エルは迷わず、先程の三色に輝くボタンを力任せに押し込んだ。
先程これらが反応しなかったのは、「ソード」ではなく「ガン」に対応しているからではないか、という見解が根拠だ。
今度こそ、という思いが先行したものの、やはり結果は変化を見せない。
続けて指は赤のボタンへと駆けた。他三つが共通して「間違い」なら、無試行とはいえおそらくは「ソード」の「正解」もまた共通している筈――
――KABUTO POWER――
当たりだ。安堵が一時的にエルの体を駆け巡る。続けて、視界をフル活用しながら周囲を探索。
もしパーフェクト・ゼクターが射撃兵装と化したのであるならば、闇雲に空へ先端を向けて撃つ訳にはいかない。
威力を確認するのに適した、手頃な的が欲しいと考えるのは道理だ。
そしてその希望は、頑丈に閉じられた扉を持つ小倉庫という形で叶うことになる。一度己の手で開けようと試みるが、全く開く気配が感じられず。
待機音が鳴り響く中で、ゆっくりと銃口として機能するであろう先端を倉庫の扉に向け距離を広げていくエル。
右手でしっかりと握ったグリップのトリガーに指を引っ掛け、左腕の間接周辺を抑えとして狙いを定め。
――Hyper Cannon――
トリガーを引く音、「ハイパーキャノン」と技名を公表する電子音声、以前は刀身の全体を纏っていたエネルギーが先端に集中する音。
それら三様の音色全てが次の瞬間向かうのは、頑強な倉庫の扉だ。
爆発。エルの視界の正面に位置した扉が一瞬見えなくなり、次の瞬間にはその残骸がまるで、紙吹雪の様に舞う。その外観が段々と遠くなっていった様に思えたのは、反動で思わず後ずさってしまった為だろう。
刹那、爆発、炸裂、倉庫内の物音――組み合わさった奇妙な複合音が空気を震わせ、最短ルートでエルの聴覚を捉えた。
倉庫が想定以上に頑丈だった為か、完全に破壊とはいかなかった。それでも対人戦では十分過ぎる威力、射程を備えているのは明白である。
更に、喜ばしい知らせが脳内に舞い込むのをエルは把握した。
エル自身の力は未だ使用可能な状況に戻っていないのを肌で感じるのに対し、最期の能力行使時期が重なっていた筈のパーフェクト・ゼクターは使用が可能――
この事実から能力制限が個人個人に掛けられているものとエルは確信を持つ。
詰まる所、能力が制限されていようとパーフェクト・ゼクターの行使には何の問題も存在しない。
勿論接近戦は、体の強度が強制劣化させられている制限状態の場合リスクが伴うが、先程の砲撃を駆使した戦いならばそれをもカバーできる。
エルは中破した倉庫へと歩を進めた。厳しい目つきを崩してはいない。が、内心ではほくそ笑んでいる。
材質不明の頑強「だった」扉の破片を踏みしめ、窓の存在しない薄暗い室内へと入り込む。
そうは言っても、パーフェクト・ゼクターの黄金が目立つ程度には光が入り込んでいる。
扉を突破した閃光は、向かい側の壁は破壊出来なかったらしい。跡が付いているものの、そこまでだ。
ただ黙々とひしげたケース群や、衝撃でバランスが崩れて中身を飛び散らせながら崩れたダンボールをその目に捉えるエル。
大方、島外から島内の各施設へ輸送される品々の保管庫、とでも言うべきだったのだろうか。
転がってきた小瓶を右足で蹴り払うと、既に皹の入っていたそれは簡単に音を立て割れる。
その過程を眺めていたエルは、他にも似た瓶が多数散乱していることに気付く。
更に――――灰。既に蓋が開けられていたいくつかの瓶の付近に、灰がある。密閉されていた為か、山となった形は崩れていない。
ここで死んだ参加者がいたのだろうか? エルは一瞬頭を捻るが、直に思考からそれを排除する。
これからの戦いに役立つ様なものは確認されず、灰などあったところで弱者が脱落したことを示すに過ぎないのだ。
「人間も、ここまで来たか……」
改めてパーフェクト・ゼクターを臨むエル。この人間の技術結晶は、狂気に染まった神の御使いに何を拝ませるのか? それは彼の望む、人間の血だけが知ることだ。
【H-5 港】【昼】
【風のエル@仮面ライダーアギト】
[時間軸]:48話
[状態]:頭部にダメージ。全身に大程度の負傷・行動原理に異常発生。左手首欠損。十分間能力発揮不可。
[装備]:パーフェクトゼクター
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して帰る。 帰還した暁には、主に未知の力を報告。
1:「仲間」を持つ「強き者」を殺す。容赦する気はない。
2:人を殺すことに、快楽を覚えた。
3:人間の血から、主の人間へ抱く感情の一端を知りたい。
4:パーフェクトゼクター(名前は知らない)を有効活用したい。
[備考]
※デネブの放送、および第一回放送を聞いていません。
※首輪の制限時間に大体の目星を付け始めました。
※ショッピングセンター内に風のエルの左手首が落ちています。
※パーフェクトゼクターの使用法を理解しました。
以上、代理投下終了です。
投下、代理投下乙です。
エルの戦力が向上し、ますます大暴れが期待できそうです。
原作では一話怪人程度の出演のエルのキャラ立ても見事。
GJ!
投下、代理投下おつかれさまです。
エルの狂気がどんどん溢れていくのが見てて楽しい…っ!
GJです!
投下乙です!
ハイパーキャノンを覚えて戦力強化されたエル……!これは惨劇の予感!
段々と思考が危なくなっていくエルが恐ろしい良繋ぎでした。
そして港の灰とは一体……?
NEXT版だとホッパーVersion 3なんだしトンボよりもバッタ寄りなんじゃね?
投下&代理投下乙です!
敗戦を重ねているエルですが、ここに来て強力な武器を手に入れましたね!
狂気に取り付かれ殺人衝動を膨らませていく様子にゾクゾクします。
これからの活躍に期待です!GJ!!
風のエルが冷静過ぎませんか?
既に獣の様な精神になっていると思ってたんですが。
パーフェクトゼクターを持つだけでも、ちょっと違和感がありましたが、分析となるかなりの違和感があります。
>>696 同感です。
よって
4:前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている(心境変化が激しすぎる。唐突)
修正、破棄を要求します。
これ以上は議論スレで。
>>696 パーファクトゼクターは前回拾っています。
それに、どう狂っているかは書き手の裁量であります。
なにより、仮投下時に矛盾以外の指摘はマナー違反です。
よって、この指及び
>>697は無効することを提案します。
>>698 >仮投下時
ここは本スレです。ここに投下された以上は本投下ですし、それに対して要求が出された以上
ここでそのような発言をすること自体マナー違反です。
意見があるなら議論スレに行くべきです。
ルールを守る為にルールで戦ってりゃ世話は無いな。
荒らしは3rdスレでも作って、そこで荒らし同士仲良くしたら?
「blood」についての修正議論ですが、修正の必要なしというご意見多数につき
本投下のままで採用となりましたことをご報告申し上げます。
なお、このところ本スレでNG発議があっても議論スレで話し合いが始まらないケースが続きましたので
テンプレートにもあるNG発議の際に必要となる「議論スレへの誘導」を、より具体的に
「議論スレURLの明記と、議論スレへの論点をまとめた書き込み」と定めたいと思っています。
すでに議論スレに出た意見では、この線で異論は出ていませんが
他にご提案のある方は出来るだけ早く議論スレの方にご意見をお願い致します。
ところで今回の件に関して一つ、追加の報告がございます。
すでに議論スレでまとまった議論にしつこく食い下がるwillcomユーザーの方がいらしたことは
以前から議論スレをご覧になっていた方はご存知かと思います。
今回の状況を見てホストを確認したところ、willcomの方は上記の方を除いても
何人かいらっしゃることが判明しました。
名無しで主に意義を唱えられる方と◆.dVdJr06fs氏、そして◆cW9wr8uD4A氏です。
前回までのスクリプトではブラウザや携帯機種は取得していなかったのですが、
新しく移転した避難所ではその情報も取得しています。
その結果、名無しの方と◆.dVdJr06fs氏、および◆cW9wr8uD4A氏は
みなwillcomをご利用になっているだけでなく
全く同じ機種の携帯をご利用になっていることがわかりました。
なお、この機種はスマートフォンであり、この機種を使ってホストの変動するwillcomから2chなどに書き込むと
末尾が0で頻繁にIDが変動することも付記しておきます。
(続きます)
ところで、◆cW9wr8uD4A氏はPCからも避難所に書き込まれています。
今回、書き手さんご本人以外で「小さなもの」の破棄に唯一反対された方、および
NG発議者以外で唯一「blood」の修正に同意された方のホストが
◆cW9wr8uD4A氏がPCから書き込まれた時のホストと一致しました。
つまり、携帯機種のわからない以前のwillcomの方を除いても以下のようになります。
1:willcomかつ特定の携帯機種(スマートフォン)を使っている方
・「リング・オブ・ローズ」の修正に肯定的意見を出した方(議論スレ
>>141,144,145)
・◆.dVdJr06fs氏
・◆cW9wr8uD4A氏
・「当スレ
>>697(議論スレ
>>195)」および意義に賛成なさる方(議論スレ
>>204を除く。下参照)
2:PCからおなじホストで書き込んでいる方
・◆cW9wr8uD4A氏
・議論スレで「小さなもの」を問題なしとされた方(議論スレ
>>184)
・議論スレで「blood」が要修正というご意見の方(議論スレ
>>204)
このような状況ですので、簡単に何をどうアク禁と言うわけにもいきません。
できればまずこの件について◆cW9wr8uD4A氏のご説明を頂き、
その上で住人の皆さんの判断を仰ぎたいと思うのですが、いかがでしょうか。
なお、この件につきましては通常の議論と同様、
◆cW9wr8uD4A氏には48時間以内に議論スレでのお返事をお願い致します。
また、その後の皆様のご意見も含め、この件に関する議論はすべて議論スレをご利用ください。
本スレでの発言は状況を鑑み、荒らしと見なされて考慮から除外されますのでご理解頂きたく。
報告は以上です。
本当にお疲れ様でした。
では、反応を待つとしましょうか。
707 :
名無しより愛をこめて:2008/08/04(月) 05:37:07 ID:RVeZfojt0
282 :1/3:2008/07/31(木) 10:53:09 0
長い上に痛いです、申し訳ないです。
3年前に「真実の愛に目覚めた」と言って、プリンちゃんの元へ家出し、
離婚した元旦那から復縁要求のメールがパソコンに届いていた。
「(元旦那)です。プリンちゃんとの真実の愛は偽りの愛でした、ごめんなさい。
もうすぐ、プリンちゃんとは離婚します、目が覚めるとあっという間に冷めました。
プリンちゃんは一緒に居て分かったことなのですが、彼女は完璧主義者でした。
女として、嫁として完璧過ぎた・・・完璧すぎると今度は疲れてきてしまうんだね。
(私)がだらけてる、という意味でなはいよ、力を抜いてリラックス出来る
笑顔を、家庭を君が支えてくれたって事に気がついたんだ。
君は妻として嫁といして、素晴らしい人だと分かりました。
来月になったら、一人身に戻れます。
お金は前みたいにない、苦労をかけるかもしれない。
でも、前みたいに幸せな新婚夫婦をもう一度、やらないかい?
(私)には、酷い事をしたとわかっています。
もう一度、夫婦2人、優しさに溢れた家庭に戻らないか?
もし、このメールが君の瞳に届いたなら、是非前向きに考えて欲しい。」
長い文章省略したら、こんな感じの内容に・・・どこまで自分勝手な男なんだ。
完璧なプリンちゃんと末永く幸せにやって、こっちに係わってこなきゃいいのに。
というか、随分な言われように腹が立った、完璧主義な女で嫌がられるプリン、
その正反対の私、アホは自分の楽な方に楽な方に流れようとしてるだけじゃないか。
こっちはこっちで半年前に再婚してるし、アホと接触する気もない、むしろ嫌。
どうしようかなーと思ったんだけど、暑くてムシャクシャしてたのでついやってしまった
708 :
名無しより愛をこめて:2008/08/04(月) 05:39:06 ID:RVeZfojt0
2 名前: 公共放送名無しさん 投稿日: 2006/11/26(日) 01:34:56.77 ID:4XLeFI5t
A:煙草吸ってもよろしいですか?
B:どうぞ。ところで一日に何本くらいお吸いに?
A:ふた箱くらいですね。
B:喫煙年数はどれくらいですか?
A:30年くらいですね。
B:なるほど。あそこにベンツが停まってますね。
A:停まってますね。
B:もしあなたが煙草を吸わなければ、あれくらい買えたんですよ。
A:あれは私のベンツですけど。
3 名前: 公共放送名無しさん [sage] 投稿日: 2006/11/26(日) 01:36:37.55 ID:oRnUvIra
B:あれがもう一台買えたわけですよ。
4 名前: 公共放送名無しさん 投稿日: 2006/11/26(日) 01:37:33.07 ID:NfCR39ul
>>3 引き下がれよw
709 :
名無しより愛をこめて:2008/08/04(月) 05:44:09 ID:RVeZfojt0
ある日、泣き声がしゃくに障ったので妹を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
5年後、些細なけんかで友達を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
10年後、酔った勢いで孕ませてしまった女を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
15年後、嫌な上司を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
20年後、介護が必要になった母が邪魔なので殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていなかった
次の日も、次の日も死体はそのままだった
>>698 おいおい、俺は
>>696だけどいきなりケンカ腰だねぇ?
ここは、仮投下じゃなく本投下じゃないのか?
矛盾以外の指摘はマナー違反って言ってるけど、
>>697と俺は無関係だよ。
あっちは指摘かもしれんが、俺のは只の感想だよ。
只の感想にそんなに過剰反応されると、なにか疚しい事でもあるんじゃねえか?
って、勘繰りたくもなるよ。
それから、このスレを建てた人かその取り巻きかはしらねえけど、ここは、誰もが閲覧出来るし、誰もが書き込める場だよ。
一部の人間が、組んで他の人間を排除する様な態度はやめてくれ。
そんな、気持は一切無いと思ってるかも知れないけど、傍目にはそう見えるから。
スレは、建てた人の物って訳じゃないんだよ。
また、荒らし扱いされるんだろうな。
句読点の付け方くらいちょっとは考えて書き込めよな
>>712>>713 何を言いたいかは分かるだろ?
そんな返ししかできないって事は、内容的には反論できないって事か?
715 :
名無しより愛をこめて:2008/08/05(火) 09:03:05 ID:hSb5xr450
>>714 willcomさんご苦労様です
こっちはいいから議論スレに書き込んでくださいよw
実質的に崩壊したな、おめでとうw
いい加減うぜえよ
荒らす奴等は勝手にライダーロワ3でも建てて、そっちいけ!
719 :
名無しより愛をこめて:2008/08/06(水) 16:53:49 ID:tKWqausQ0
没ネタ一覧
モモタロスの死後に残された砂。
モモタロスの分まで闘うことを決意したハナはその砂をモモタロスォードに具現化し、固く握り締める。
死の間際。侑斗は時の運行とデネブをよろしく頼みながら、ゼロライナーのオーナー権限をベルトと共に託す。
乃木の力は強大。特に技コピーは無敵に思えた。
しかし、音撃の清らかな音までは邪悪な心を持つものには決して真似出来なかった。
極めつけはゼロノスの必殺技。
通常の必殺技をコピーさせたところを二連続フルチャージで迎撃した。
首輪のフラグ以外で考えてたのはこんなところかな。
首輪の考えは皆と合わなかったみたいだしね。
でも、これだけは一つ。
青い薔薇の灰化作用はオルフェノクには効かないんだから、オルフェノクをこのロワに参加させるには首輪に薔薇を仕込むだけでは不十分。
オルフェノクの力を弱める何らかの働きが必要で、それが他の参加者に能力制限がかかる理由と一致している。
その働きをもった薬に薔薇の花を浸したものがあって…
なんて考えていたのが懐かしい今日この頃。
没ネタ、ね。
どうやら真性の電王厨だったみたいだな。
最初から電王贔屓の展開をやらかすために自作自演してたわけか。
で、今更没ネタをご披露くださるってのは、
住人が泣いて慰留するほどの傑作だと思ってるからだろうね。
ネタの善し悪し以前にあんなキンクリだらけの雑文でやられちゃ感動も何もないがな。
721 :
名無しより愛をこめて:2008/08/06(水) 21:14:08 ID:ntaAAliH0
個人の没ネタ一つにそんなにいちゃもんつける方もどうかと思うけどな
723 :
名無しより愛をこめて:2008/08/07(木) 02:07:35 ID:TtWAExmw0
プキウィキ
>>720 なんでそんなに喧嘩腰なんだろうね?
自分の意見が無く、発言内容よりも発言者によって態度かえてんだろうな。
どうせ、仲間がいないと自分の意見も言えない馬鹿なんだから、だまってろって。
他ロワの話で申し訳ありませんが、告知させていただきます。
ttp://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1218024286/ >>721の方に建てられた、上記の「新ライダーバトルロワイヤル」スレで、新たなバトルロワイヤルが始動しようとしています。
元はライダーロワ2アンチが建てたスレですが、そこから住人達で話し合い、現在は「特撮ロワ」という形で話が進んでいます。
勿論自分も最初は荒らしが建てたスレだと思っていましたが、ここで新たなロワを始めようとしている住人は、
ライダーロワをきっかけにしている人が多く、出来ることなら他のロワとも仲良くやっていきたいと思っています。
良ければまだここを知らない他の住人の方々にも参加してもらえればなと思い、告知させて頂きました。
現在の議論は、下記の3つです。
1.バトルロワイヤルの方針
ライダー限定派
特撮全体派
平成ライダー限定派
平成特撮全体派
現状では「平成特撮全般」という案が多数で、最も有力です。
しかし特撮と言っても幅が広いので、近年のスーパーヒーロータイム・ウルトラマン・ビーファイター系
などを主な参加者にするという流れです。
2.参加者の選考
次に、このロワの参加者を投票で決めなければなりません。
恐らくは1の議論が終わり次第、投票で選出されるという形になるものかと。
3.ルールに関しての議論
現在でもいくつかのルールは議論されていますが、まだ完成には程遠いものです。
参加者を選考すると同時に、ロワのルールも議論していければなと思っています。
以上の点に関して、議論中です。
興味のある方は、どうか議論にご参加下さい。
>>726 ここのテンプレを無断拝借してるんなら、他ロワにそういう話題を持ち出す事自体が
マナー違反なのはわかるよな?
悪いがそういう事だ
どうでもいいじゃないか
桜井侑斗、香川英行、木場勇治、海堂直也、十面鬼ゴルゴス投下します。
―― EXCEED CHARGE ――
ブティックやCD専門店の並ぶショッピングセンターにて、男性の無機質な電子音が響く。
電子音と共に赤い閃光を引きつれて、黒い影が駆ける。
黄のバイザーと赤いラインを持つ黒い強化スーツの仮面ライダー。
ファイズは道路を駆けて、空に浮かぶ赤い異形の怪人へと跳躍した。
「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ベルトよりチャージされたエネルギーは拳のパンチングマシン、ファイズショットに届き破壊の衝撃を生み出す。
ファイズに変身した海堂は、そのまま赤い異形、ゴルゴスへとグランインパクトを振り下ろした。
「甘いわ!!」
ファイズのグランインパクトをゴルゴスは両腕で受け止め、鬼のような形相でファイズの仮面を睨みつける。
下半身の岩に生える十面の人の顔。うち一つは潰され、九つとなった顔面から炎が吹き出た。
「ぐっ、あちちち、熱っちー」
「そのまま焼け死ねい!!」
殴った反動で地面に落ちていくファイズに向けて、ゴルゴスは炎を浴びせ続けた。
―― FULL CHARGE ――
電子音と共にゴルゴスの巨体を閃光が貫く。
光の矢を撃ち放った緑のライダーは落ちるファイズを受け止め、ゴルゴスの正面に立った。
「私を忘れてもらっては困りますね」
黄金の列車のレールを模したラインを持つ緑のライダー、仮面ライダーゼロノスとして香川は立ち向かう。
彼の信念を持って、侑斗を生かすために。
「触んじゃねー」
ファイズは乱暴にゼロノスの腕を跳ね除け、しっかりと地面を踏みしめる。
明らかな拒絶の態度に、ゼロノスは仮面の下で怪訝な表情を浮かべた。
「あなたは木場くんの知人ではないのですか? 彼と私たちは協力体制にあります。
戦う際に力をあわせるのは妥当だと判断しますが」
「うるせー! てめーは仮面ライダーなんだろ? 俺は仮面ライダーを認めねえ!!」
ファイズはゼロノスに背を向けたまま、ゴルゴスへと駆けていく。
ゼロノスは冷静に思考しながら、ファイズ……いや、海堂の仮面ライダーへの嫌悪の原因を探る。
ゼロガッシャー・ボウガンモードでゴルゴスを牽制し、神崎が引き起こしたライダーバトルを思い起こした。
あの時ライダーバトルを遂行する意思を持っていたライダーは十一人。
当時集めた情報によれば、手塚や城戸といった例外を除けばそれぞれ己がエゴでライダーバトルに乗ったのだ。
悲しいことに、教え子の東條も含めて。
もしも海堂が今まで出会ったのが神崎の選んだ仮面ライダーのような相手なら、彼の不信感も理解できる。
(つまり、彼を盾として扱うには、仮面ライダーへの不信を拭い去るのが先ということですね)
ゼロガッシャーを組みかえて大剣とし、剣先をゴルゴスへと向ける。
まずはゼロノスの力がゴルゴスにどの程度通じるか計る必要があった。
(場合によっては、桜井くんが使ったゼロフォームになる必要もありますからね)
ゼロノスは再度ゴルゴスに攻撃を仕掛けようとするファイズに合わせて、斬りつけるべく街灯を蹴って跳躍の距離を稼いだ。
ファイズに集中していたゴルゴスは、ゼロノスの接近に対する反応に遅れている。
距離が後数メートルの時点で気づいたが、もう遅い。
「はあぁっ!!」
ゼロノスはゼロガッシャーを横凪に振るう。ゴルゴスの下半身の岩に横一文字の傷が走った。
傷の浅さにゴルゴスの頑強さを確かめ、続けて迫る火炎弾をゼロノスは両腕を交差して身体を庇う。
身体の炎を冷静に消し止め、ゴルゴスの力が並でないことを悟る。
(やはり、使うべきですね)
視線を一瞬ゴルゴスに向けると、ファイズのほうを相手にしているのが見える。
圧倒的力に翻弄されているファイズを冷静に観察しながら、ベルトのゼロノスカードを取り出し裏返す。
侑斗がそうしたようにまた、ゼロノスとなった香川も赤い面が表になったゼロノスカードをベルトに差し込む。
―― CHARGE AND UP ――
雪のごとく淡く赤い光がゼロノスの身体を赤く染め上げていく。
仮面ライダーゼロノス・ゼロフォームとなった香川は、ゆっくりと銃口をゴルゴスへと向けた。
「こざかしい!!」
ゴルゴスは自身の身体を焼く光線を睨みつけて、忌々しげに吐く。
先ほどは緑だった仮面ライダーは赤と変わっていた。地を走るファイズともども、倒せばいい。
ゴルゴスの力は、自他とも認めるほど強い。押し切る。以前、ファイズとは戦っている。
別のライダーが傍にいるとはいえ、二人の仮面ライダー程度相手にできることは既に経験済みだ。
ゴルゴスはそのまま身体を浮かせた。
巨体を活かした突撃で吹き飛ばす。ゴルゴスが猛スピードでゼロノスへと向かってきた。
「む……」
「死ねぇぇぇぇい!」
轟音が響き、空気が震えた。ゼロノスはゴルゴスの突進に、
「なにぃ!!」
「何とか、受け止めることができたようですね」
吹き飛ばされず、純粋な腕力で止めた。一瞬ゴルゴスは焦るが、すぐに余裕を取り戻す。
なぜなら、身動きが取れないのは相手も同じ。ゴルゴスは嘲るように高笑いを続ける。
「ぐわっはっはっは! だが、キサマも身動きが取れない!」
「ええ、一人なら愚策だったでしょう。一人なら……ね」
ゼロノスの瞳が怪しく輝く。ゴルゴスはゼロノスの言葉の意味を悟り、首を回した。
―― EXCEED CHAGE ――
ゴルゴスの本能に怖気が走る。反応が遅かったことに気づいたのだ。
赤い光がゴルゴスの視界に入る。三角錐の赤いクリスタルのようなエネルギーがゴルゴスの身体を縛り付けた。
顔の一つが潰されたあの技が迫る。ゴルゴスはどうにか身を捻り、クリムゾンスマッシュの打点をずらした。
「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドリル状のエネルギーをまとい、ファイズが赤い閃光となってゴルゴスの岩と化した下半身を貫いた。
φのギリシャ文字が空中に浮かび、ゴルゴスの身体を炎が纏う。
それでも、ゴルゴスの瞳は死んでいない。
「ぬうぁぁぁぁぁぁ!」
咆哮と共に炎とφのギリシャ文字を砕き、ゴルゴスは眼下のファイズとゼロノスを睨みつけた。
鬼のような形相が憤怒によって、さらに赤く染まる。
「キサマら……覚悟はいいな。血を一滴も残さず、殺してくれる……!!」
ゴルゴスの岩に宿る九人の顔から砲撃が始まる。
爆発に翻弄される二人の仮面ライダーを見下ろしながら、ゴルゴスは怒りに任せたままただ破壊を続けた。
□
ショッピングセンターを抜け、廃墟に隠れたファイズとゼロノス。
ようやく二人きりになれたとゼロノスは物陰から牽制しながら、同じようにフォンブラスターで牽制するファイズに話しかける。
「そろそろ私たちに協力をする気になりましたか?」
「だから言っているだろ。俺は仮面ライダーが大嫌いだって!」
「あなたが仮面ライダーを嫌うということは、相応の人物に出会ったのだと推察します。
しかし、私たちもあなた方オルフェノクの中の危険人物と出会っております」
「おめー、なにがいいたいっちゅーんだよ!」
「あなた方オルフェノクの中に、人間の心を保っているように、我々仮面ライダーの中にも英雄的行為を志す者もおります。
いかがですか? 私たちとの共闘、そう悪い提案ではないはずですが?」
「うるせー! あいつは……あいつは…………」
気落ちするファイズの様子を見て、ゼロノスはショックが大きいことを悟る。
ゼロガッシャーの引き金を引きながら、ゼロノスはファイズに視線を一瞬だけ向けた。
「そうやって、駄々をこねるだけで、あなたは仮面ライダーに無念を晴らせると思っているのですか?」
「んだと!」
「私はスマートブレインを打倒し、多くの人たちを救い出します。私の命は、そのための捨石にすぎません」
ゼロノスの言葉に、ファイズが顔を上げる。
確かな覚悟を感じ取ったのか、ファイズが押し黙った。
「あなたはスマートブレインを倒したくはありませんか?」
ゼロノスの言葉にファイズは沈黙したままだった。
わざとらしく、ゼロノスはため息をついて、呆れている様子を演出する。
「そうですか……あなたの気持ちは、ここで駄々をこねる程度にしか過ぎないのでしょうね」
ゼロノスが告げ終えた瞬間、胸倉が掴まれる。明らかに怒りを示すファイズの視線を、涼しげに受け流した。
「もういっぺん言ってみろ……」
「何度も言う必要など、ありません。そろそろ出ましょう。
もし、あなたがスマートブレインを打倒する、という気持ちが本気なら……戦うというのなら、私が囮として出て行きます。
その結果生まれる隙をつくのもいいでしょう」
「俺が出なかったら、どうする気だ!」
「その時は……私が死ぬだけです。結局はその程度の器、ということなのでしょう」
「そういう問題かっちゅーの!」
「……とはいえ、私は死にたくはありません。期待していますよ?」
ゼロノスはもう言うことはないと物陰から飛び出し、光弾でゴルゴスの身体を射抜く。
別に、死ぬつもりはまったくない。ファイズこと海堂を試しているのだ。
今後、侑斗を守り抜く盾として相応しいか。ここで怯むのなら、用はない。この場で文字通り、ゴルゴスの攻撃を受け止める盾として使う。
だが、覚悟を示し、飛び出してくるのなら……今後必要な戦力とする。
これはゼロノスの命をチップにした賭けではない。海堂の価値を計る瞬間なのだ。
ゼロノスは後方のファイズの気配を気にする。できれば、後者のほう、必要な戦力がありがたい。
前者の使い捨ての盾は一度しか使えないが、後者なら仲間意識を持たせれば何度でも盾として使えるからだ。
冷徹ともいえる思考。それこそが香川の考える英雄の理論。
凡人の倫理はそこにはない。ただスマートブレインを潰し、ライダーバトルと似たこの祭りを終わらせる。
鉄のように硬く、氷のように冷たい覚悟があった。
□
「はあ、はあ、はあ……」
あちこちに被害が広がるショッピング街を抜けて、侑斗は赤い空を浮かぶ怪人、ゴルゴスを見つけた。
肩にかけたまま持ってきたライフルを向けて、スコープを覗き込む。
一条は自分たちを守るために命を落とした。金居は自分が信用せずに命を落とした。
二人分の命が重い。だからこそ、侑斗は覚悟を持ってライフルの銃口を向ける。
下は攻撃を受けるゼロノスが入る。香川が赤のカードを使っていることを確認して、自分の記憶が消えることも覚悟する。
香川には赤カードを使うことによって、誰かが侑斗に関しての記憶を失うことを知らない。
単純に、戦力の底上げとしか認識していないからこそ、使ったのであろう。
自分の記憶を誰かが忘れることに心が痛みを訴える。だが、仕方ないと侑斗は思う。
このバトルロワイアルを潰し、誰かを救うためなのだ。
だから、侑斗は引き金を引く。ゴルゴスの気を引いて、フルチャージの一撃を打ち込む隙を作るために。
侑斗の全身に反動が響き、弾はゴルゴスを掠めた。
ゆっくりと、赤い異形がこちらを向く。
「桜井くん! なぜこちらに来たのですか!?」
「今です! 香川さん!!」
言い終えて、侑斗の地面が爆ぜる。この隙に攻撃してくれ。
侑斗は祈るが、身体が突き飛ばされて砲撃の衝撃から免れた。
「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
侑斗の視界に、吹飛んでいく木場が眼に入る。
また誰か、自分のせいで犠牲になったのだろうか?
侑斗は悔しげにうつむいて、自分に、ゴルゴスに向けて怒った。
□
ファイズは遠のいていくゼロノスの背中を見届けて拳をギュッ、と握った。
(わかんねえ……わかんねえよ……モグラ……)
子供のように純真な瞳を向けるモグラの姿を思い出す。
海堂が最初に出会った仲間。仮面ライダーを正義の味方だと本当に思っていた姿。
無残に、仮面ライダーに首を落とされたモグラの姿と、正義の仮面ライダーを語る姿を交互に思い出す。
『うわ〜すごいんだな、かいどーは。俺、尊敬しちゃうよ〜』
『困ってる人は絶対に見捨てないし、助けを求める人がいたらどこへだって飛んでいくんだ』
(わかんねえけどよ……)
うなだれているファイズの耳に、銃声が聞こえ現場へと顔を向ける。
若い茶髪の青年と、海堂もよく知る木場勇治が姿を見せた。ゼロノスが明らかに驚いた態度をとっている。
と、言うことは彼等はこの危険な地域に駆けつけてきたのだ。
「あの……馬鹿!!」
ファイズが怒声を上げて地面を蹴る。ゴルゴスが力をためて、岩石に刻まれた九つの顔がうごめいた。
「キサマらから殺してやる! 死ねえ!!」
ゴルゴスの下半身の顔面岩が輝いたと思った瞬間、侑斗の周囲が爆発する。
侑斗を庇った木場を見て、思わずファイズは駆けた。手を必死に伸ばすが、距離は圧倒的に開いている。
そのまま木場が川へと落ちるのを、黙ってみていることしかできなかった。
ボチャン、と派手な音がファイズの耳に入る。わなわなと震えた拳を握り、地面を跳躍した。
「俺様はここだ! ゲドンの獣人野郎!!」
別に、ゴルゴスの容姿をモグラから聞いたわけではない。
だが、モグラを苦しめ、仮面ライダーが戦う相手としての名を叫ぶ。
それは、海堂直哉が始めて行う、仮面ライダーとしての戦いであった。
ファイズの脚のポインターから三角錐の赤いエネルギーが降り注ぐ。
ゴルゴスは両腕を交差して、受け止めた。身体が固定されるが、無理やりはじき返す。
そのつもりなのだろう。ファイズはそれを知りながら、エネルギーの内部へと右脚を向けながら飛び込む。
「おらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「小癪な!!」
クリムゾンスマッシュの衝撃と、ゴルゴスの怪力が拮抗する。
押し込むように全身に力を入れるファイズは、この技が通ることを必死で祈った。
(なあ、モグラ……仮面ライダーって、ゲドンの獣人を倒すんだろ? 困っている奴を助けるんだろ?)
ファイズは心の中で、既に死んでしまった仲間に声をかける。
胸がじくじくと、できたばかりの傷口を抉り返すように痛む。
されど、モグラの純真な願いに答えるように、ファイズの蹴りが少しずつ押し進む。
(だったらよ……俺がなってやるよ。俺が…………)
ファイズが気合を込めた瞬間、クリムゾンスマッシュのドリル状のエネルギーが深く突き進む。
ガリガリとゴルゴスの強固な皮膚が削れていった。
「俺が、仮面ライダーになってやる! モグラを殺した奴のような仮面ライダーじゃねえ!!
俺様は、困ってる人は絶対に見捨てないし、助けを求める人がいたらどこへだって飛んでいく。そんな仮面ライダーになってやる!!」
ファイズの宣言と共に、身体が閃光と化してゴルゴムの身体にめり込む。
その光は赤いゴルゴスを……
「ぬるいわ!!」
貫かず。ファイズは天高く舞い上がった。
ゴルゴスの高笑いが響く。余裕の表情。しかし、ファイズの右腕はファイズフォンのエンターキーを押し込んでいる。
―― EXCEED CHARGE ――
再び鳴る電子音。赤いエネルギーを引きつれて、再びファイズショットを構えた腕を振り上げる。
かつて、乾巧も取った戦術を、海堂は知らず選択する。目的は……
「落ちやがれぇぇぇぇぇぇ!!」
「ぬぅ……おおおおおぉぉぉぉぉ!!」
クリムゾンスマッシュのダメージが残るゴルゴスに、グランインパクトの衝撃が炸裂した。
ゴルゴスの全身が大きく震え、滞空していた巨体が力を失って地面へと落ちる。
―― FULL CHARGE ――
「なに!」
「へへ……俺様の狙い通りだぜ……」
電子音が轟いた位置には、ゼロノスがエネルギーを溜めている刃を構えていた。
ダメージが残るゴルゴスはなすがままだ。
「よくやりました。私の計画通りです」
ゼロノスは冷静に、エネルギーを宿す大剣を横凪に振るう。
稲妻のごとくほとばしるエネルギーが横一文字に走り、ゴルゴスを貫いた。
□
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」
ゴルゴスは気合を込めると同時に、再び天へと舞い上がる。
ゼロノスとファイズがまだ余力のあるゴルゴスに驚愕の視線を送っているのを見届け、鬼のような形相を向けた。
「やるな……ここは一旦引いてやるが、次こそはキサマらの血を一滴も残さず飲み干してやる!!」
胸に横一文字に走る、血が滴る傷口を押さえながら、ゴルゴスはすばやくその場を離れる。
ファイズが反応しようとしているが、ゼロノスが押しとどめた。
理由は分からないゴルゴスは、己の力に恐れたのだと考えながら突き進む。
怒りの形相に、ガガの腕輪に一瞬視線を向けて、忌々しげに牙を剥く。
(クソッ……俺が生き残るには、ギギの腕輪が必要なようだな……。アマゾンを探し出して、殺してやる!)
ゴルゴスの怒りは止まらない。
空を駆け、復讐を胸に移動して行った。
そしてゴルゴスは、己がデイバックを落としていったことに気づいていなかった。
□
「なんで止めたんだよ?」
ゼロノスの斬撃で紐が千切れたデイバックを拾い、ファイズは疑問をぶつけた。
ゼロノスが答える前に、答えがやってくる。ゼロノスの変身が解除され、白衣の中年、香川が姿を見せた。
「変身には制限がかっていて、私たちは十分しか戦えません。あなたは後二分強時間が残っていますが……深追いは禁物です」
「そーかい」
ファイズは戦っている最中に変身が解けたことを思い出した。
そういうことかと納得したまま、首を軽く鳴らす。
「一応、周囲の警戒を引き続きお願いします。桜井くん、怪我はありま……」
香川の声を中断するように、周囲が再び爆発する。
またもや、ゴルゴスが戻ったのかと考えるが、ファイズは十分の制限を思い出し、それはないと判断する。
視線を向けた先には、緑のロボットのようなモンスター、マグナギガが砲身をファイズに向けていた。
「ここは一旦退きますよ」
「……いや、俺が残る」
「な、お前!」
ファイズの言葉に侑斗が反応するが、ファイズは鬱陶し気に手を振った。
とっとと行け、と言外に告げて、マグナギガの正面に立つ。まだ、モグラに誓った仮面ライダーの仕事は終えていない。
「木場を頼むわ。あいつ、俺様がいないと何にもできない奴だからな。
せめて、俺様と合流するまで頼む。な?」
「そんなふざけた頼み、聞けるか! そのベルトを貸せ! 俺があいつを倒……」
「それは無理です。桜井くん、このベルトをつけるには、条件があるのですから」
香川の言葉に、侑斗はうつむいて歯を食いしばる。ファイズはその様子を邪魔そうに見つめながら、二人を守るように立つ。
その背中に、確かな覚悟があった。
「安心しろ。俺様は、正義の味方…………」
それはある未来の話だ。照夫という少年がいた。
海堂が助けた少年だ。施設に預けられて少年はいじめられ、偶然それを目撃した未来の海堂が助けることとなる。
その時と同じく、ファイズは右腕を左方向にまっすぐ伸ばし、天を介して反対方向へと向ける。
腰に止めていた左腕と交代するように右腕を引き、左腕を右方向へとまっすぐ伸ばした。
そのポーズは、偶然にも『仮面ライダー1号』の変身ポーズと酷似していた。
「『仮面ライダー』だからな!」
ファイズの、海堂の宣言が響く。満身創痍なその身でも、決して戦いの意志を曲げない。
いや、本当は逃げ出したかった。いつものようにお調子者らしく、去りたかった。
それでも、胸に宿る重さが逃げることを許さない。
(これいいんだよな? モグラ……)
海堂の祈りが、天に眠るモグラへと向けて呟かれた。
「……海堂さん、でしたよね?」
「ああ? 早く行けっちゅーに」
「……私たちは木場くんを探して、北へと向かいます。その後動物園と向かいますので、そこでお会いしましょう」
「へいへい。覚えておくよ」
ファイズは言い捨てて、マグナギガへと向かった。香川はその場にある、デイバックをすべて持つ。
ゴルゴスと木場が落とした物も、もっていく。何が役に立つかは、分からないからだ。
香川は後ろ髪を引かれるような思いをしているであろう、侑斗を無理やり引っ張って地面を蹴る。
それにしても、ファイズ及び海堂は仲間に欲しい逸材だ。
戦い慣れしたその動き。ファイズとしての力。仲間を守る正義感。
いずれも侑斗を守る盾として申し分ない。
(ここは生き延びてくださいよ。我々が、スマートブレインを打倒するために……)
香川のメガネの縁が光る。
その肩に、ライフルを担いで。それもすべて、侑斗を、ゼロライナーの道を守るために。
□
川から上がった木場は、どうにか身体を起こして近くの木へと背を向ける。
大きくため息をついたと同時に、重くなったまぶたを閉じる。
傷ついた身体は休憩を欲していた。
木場勇治に睡魔が訪れる。
(海堂……無事かな……? 桜井くん……)
どこか、乾巧を髣髴させる、出会ったばかりの青年を思い、木場の意識が闇へと落ちる。
やがて沈黙が訪れた。
風が穏やかに木場の髪をなで、静かに揺らす。
その一時だけ、凄惨な戦いから隔離されたような空間が形成された。
□
「らあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ファイズは気合一閃。猛打をマグナギガの胸部へと繰り出す。
ミラーモンスターでも特に装甲の厚いマグナギガを相手では、拳を痛めるだけだった。
「いってぇ〜」
ひりひり痛む手を振りながら、ファイズは正面で胸部の装甲を展開するマグナギガを目撃する。
ミサイルが並んだ火薬庫を前に、背筋に悪寒が走った。
「ちぃっ!」
ファイズがジグザクに走り、迫るミサイルをどうにか避ける。
爆風と衝撃が届くが、ひたすら無視してファイズは怪我で痛む身体に鞭を打って進む。
―― EXCEED CHARGE ――
エネルギーを携えた拳をマグナギガの頭を殴打する。
たたらを踏んで後退するマグナギガの、閉じそうになる火薬庫に向けてすばやくファイズフォンの106キーを押した。
―― Burst Mode ――
赤い光弾の三連射を火薬庫に撃ち込む。
盛大な爆発と共に、要塞のような強固な雰囲気を持つマグナギガが、初めて揺らいだ。
(しゃっあ! 決めるぜ!)
ファイズの変身時間は残り少ない。おまけに、マグナギガの身体に粒子があがり、鏡へと向かおうとしている。
逃がしてたまるか。そう思考するファイズに、マグナギガは後退しながら右腕の砲口を向けてきた。
あれを食らえばまずい。ファイズはとっさに判断して、地面を蹴って跳躍する。
マグナギガの砲弾が放たれた。同時に、ファイズフォンのエンターキーを押し終える。
―― EXCEED CHARGE ――
向けた右足から放たれる赤い光が、ギガランチャーの砲弾とぶつかり、迫り勝つ。
鏡の世界へと逃げようとしたマグナギガを、赤い光が三角錐の形を展開して押しとどめる。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ファイズのクリムゾンスマッシュが、焼け焦げた胸部を後方の割れたショーウィンドウごと貫いた。
息も荒く膝と右手を地面につけるファイズの背中で、マグナギガがφの一文字と共に、青い炎を吹き上げて灰となる。
その灰もやがては粒子となり、消えていった。
「どうだ……ちくしょう! モグラ、俺は……勝ったぞー!!」
ファイズの変身が解けた海堂は、勝利の雄たけびをあげる。
ただ単純に勝った事実に酔い、死んだ仲間を思う。ある意味、お調子者の彼らしかった。
同時に仲間思いの、見捨てようとして見捨てきれない、彼らしくもあった。
「……へ……。木場、今俺様が駆けつけて……やる…………って、あれ……?」
歩みを進めようとした海堂が、ふらりと膝を崩した。
疲労がたまりすぎて、一歩も動けないらしい。立ち上がろうとする意思とは反対に、海堂はそのまま倒れ伏す。
やがて、海堂から寝息が聞こえてきた。
風が爽やかに吹き、勝利の美酒に酔いしれる戦士へを祝福するように、髪を優しく撫でた。
□
木場を探して侑斗は走る。香川は念を入れて、周囲を警戒するように何度か呼びかけていたが、聞いている余裕はなかった。
侑斗の必死な態度に呆れたのだろうか。
香川はライフルを構えながら、周囲を警戒して進んでいる。侑斗は香川には何度感謝してもし足りないと思いながら、川原を走り続けた。
侑斗は今まで出会った人たちのことを思う。
一条薫、金居。いずれも自分のせいで死んでしまった人たちだ。
ゼロノスの力をうまく使っていれば、死ぬことはなかったはずだ。
侑斗の脳裏に浮かぶのは、戦うことを楽しそうに語る北崎や、ギリギリでしか食いつけなかったガドル、そしてゼロフォームでようやく撃退した鳥の怪人。
いずれも侑斗は名を知らない。ただ殺人者を取り逃がした。その意識がある。
負け続け、人を犠牲にし続けたのは、侑斗自身が弱いせいだ。少なくとも、彼自身はそう思っている。
そして、自分たちを助けるためにあの場に残ったファイズと化した男。
彼の願い、木場勇治を救うために侑斗は駆ける。最も……
(俺のことは覚えちゃいないだろうがな)
香川より返された、ゼロノスベルトを見つめる。仕方のないことだとは言え、香川は赤カードを使った。
しかし、香川も海堂も、侑斗のことを忘れた形跡がない。と、なると木場が侑斗の記憶を失った。
そう考えるのが自然だ。
「見つからない……」
かれこれ、一時間以上は探している。ゼロノスの制限も解けているかどうか、ギリギリの時間だ。
新たに増えた荷物を抱えて、侑斗はひたすら前を見て歩く。
やがて、気を背にこちらを見つめている人影を見つけた。
木場勇治。
立ち上がってこちらを見つめている。侑斗は無事を喜び、駆け寄ろうとした。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
木場の顔にホースオルフェノクの顔が影となって浮かぶ。
水が崩れるような音と共に、木場の身体が揺らいでホースオルフェノクへとなる。
突然のことで驚いた侑斗が反応する間もなく、ホースオルフェノクは侑斗の傍を通り抜けた。
侑斗が振り返ると、ライフルを真っ二つに斬られ、衝撃で川へと落ちる香川が見える。
侑斗はあまりに不可解な展開に、呆気にとられた。
時は木場が目覚めたころ、五分ほど前に遡る。
仲間と合流しなければ、と考えた木場の胸元から、一枚の写真がひらりと落ちた。
香川がライフルを構えている姿。
無謀な侑斗を止める時に、目撃した一枚の写真だ。
そんな木場に、侑斗が視界に入る。赤カードの影響を受けた彼は、胸に宿る感情のままにホースオルフェノクへと変えた。
(あのままでは、桜井くんが撃たれる!)
『彼ら』の不幸は四つ。
一つ目は、香川が赤カードの弊害を知らなかったこと。
赤いカードは記憶をさび付かせた、代償を持って始めて使える力だ。
誰も傷つけない、何も失わせない、その覚悟持った侑斗が得た力だった。
二つ目は、侑斗が己の記憶が失う、と思い込んでいたこと。
ゼロノスベルトは侑斗以外が使う機会がなかった。
ゆえに、赤いカードは侑斗の記憶しか奪わない。他の者が変身した際に、侑斗でなく変身者が記憶が消える、ということを経験していなかった。
三つ目は、金居の遺産。
もともと彼が疑心をばら撒き、不要になった香川と侑斗を労力を少なく始末するための手段。
持ち主を失った罠が、香川の記憶を失った木場へと渡ってしまった。
四つ目は、香川が周囲を警戒していたゆえ、携えていたライフルが、偶然銃口を侑斗に向けてしまい、それを木場が目撃してしまったこと。
香川は木場と会話を果たしている。彼が味方であるゆえ、ライフルの銃口の向きなど気にしていなかった。
とはいえ、さすがに味方に長時間向ける気はない。数秒、銃口が侑斗に向かっていた。その事実が、香川の記憶を失った木場を突き動かした。
そう、侑斗を守るために。
「よかった……無事で」
変身をとき、安堵した表情で木場は侑斗に振り返る。
その瞬間、頬が強打され尻餅をついた。いきなりのことで、木場は驚愕に満ちた視線を侑斗へと向ける。
「何が……無事でだよ! 香川さんにいきなり斬りかかってきやがって……おかしくなったのかよ!」
「俺は、君を守ろうとしたんだ! 君が撃たれないように……」
木場は状況を説明するが、侑斗の表情はますます険しくなっていく。
説明すれば分かってもらえる。そう考えて次々と言葉を重ねるが、届いていないことを実感する。
焦る木場は、胸元から例の写真を取り出した。これを見れば理解してもらえる。
希望に縋るように侑斗へと突きつけた。
「これを見てくれ! あの人はライフルを発砲したことがあるんだ。今回君に銃口が向きそうになっていた。
きっと君を撃とうと狙っていたんだ……信じてくれ! 桜井くん……!!」
木場が思いを吐き出しきった刹那、再度侑斗の拳が木場の身体を吹き飛ばした。
信じてもらえない。絶望が木場に訪れる。
「…………行けよ……」
「……俺は、人を守るために……この力を……」
「うるさい! お前の声なんて、化け物の声なんて聞きたくない! 行け!!」
侑斗はこいつはくれてやる、とデイバックを一つ投げつけて、背を向ける。
香川を、ライフルを向けた男を捜すと告げられて、木場は弱々しくデイバックを取った。
侑斗が信じてくれない。自分を化け物だと見ている。
ハンマーで殴られたようなショックを受けて、木場はふらふらとその場をあとにした。
侑斗は怒りに燃えるまま、香川を探すために川を辿っていった。
まるで木場が香川のことを綺麗さっぱり忘れたような態度に怒り、所詮は北崎と同じ化け物だと心の中で罵る。
(……香川さんを、忘れたような……?)
そういえば、侑斗自身を木場は忘れていなかった。ゼロフォームへとなった香川を思い出し、不可解だった一つの事実が侑斗の中でつながる。
赤いカードによって引き起こされた悲劇だと気づいた時、侑斗は木場がいた地点へと走っていった。
辿り着いた現場で、息も荒く周囲を探すが、木場の姿は見えない。
(俺のせいじゃないか……)
赤カードの弊害を香川に伝えていれば、こんなことは起きなかった。
ゼロノスベルトを香川に貸さなければ、こうはならなかった。
自分が香川の記憶を、木場が失うことをに気づいていれば、こうはならなかった。
『うるさい! お前の声なんて、化け物の声なんて聞きたくない! 行け!!』
蘇るのは、自分が言った拒絶の言葉。人の心を抉る罵倒。
侑斗の胸に後悔が押し寄せる。
「全部……俺のせいじゃないか…………。う……く……」
侑斗は今度は声に出して呻く。涙は流さない。
ただ、己の過ちを無限に悔い続けた。
□
(私としたことが、見誤りましたか……)
香川は川より上がり、疲労した全身を引きずって目の前に見えるホテルへと向かう。
身体を休めるのに相応しい場所へとやってこれたのは幸いだ。
(誠実な青年だと思っていたのですが、よもやこのバトルロワイアルで人を殺すことを決意していたとは。
桜井くんには、ゼロノスベルトを返していたのであの場は何とかなるでしょう)
赤カードの弊害を知らない香川にとって、木場は突如襲ってきた殺人者としか判断しようがなかった。
殺人者としては不可解な点も見えたが、不意打ちを狙っていたと考えれば納得できないこともない。
(やはり、オルフェノクは敵と見るのが正しいのでしょうね。あの、海堂という青年を除いて)
同じオルフェノク、という餌に釣られ、木場に騙されているのだろう。
香川はそう結論付けて、目を細める。静かな決意がそこにはあった。
(彼ら、海堂くんと桜井くんに再会する前に、済ませておかねばならないことができましたね。
そう、木場勇治なる青年の抹殺。騙す人間が消えれば、騙された人間は害を受けない。
変身道具も武器も今はありませんが、私にはこの知能がある。木場勇治、覚悟してください。あなたは私が始末します)
このバトルロワイアルを潰すために。
香川は口の中で呟いて、ホテルへと入っていった。
□
「つう……俺様、ひょっとして寝ていたのか……?」
海堂が呟いて、身体を見下ろした。節々が痛み各所に傷がある。
痛みに顔をしかめながらも、海堂の顔は晴々としている。
「なあ…………モグラ。俺は出会った仮面ライダーたちは最悪だと思う。復讐を誓うのも、しょうがないだろ? けど、俺様は決めたぜ」
海堂は拳を振り上げて、太陽と固めた拳を重ね合わせる。
死んだ仲間に示すように。
「正しい仮面ライダーになってやる! 間違っている仮面ライダーをちぎっては投げ、ちぎっては投げて、マシな仮面ライダーとして戦ってやるぜ!」
だから見ていてくれ。心の中で呟いて、海堂は立ち上がる。
そういえばと、香川が言っていた合流場所を思い出した。
(しょうがねえな。あいつらは俺様がいないとなーんにも出来ねえんだからな。俺様が何とかしてやるぜ。待っていな!)
満面の笑顔を浮かべた海堂は、傍から見ると仲間と合流でいるのが嬉しくてしょうがないように見えた。
たとえ、その内面が否定していても。
彼が向かう先に仲間はいない。それでも、海堂は希望を胸に進み続けた。
新たな決意、仮面ライダーとなることを決めて。
「うう……俺は……」
木場は力なく歩き続け、当てもなく彷徨い続ける。
海堂と合流することも考えたが、彼が現在どこにいたのかは知らない。
それに、侑斗に『化け物』と呼ばれたことが悲しくてたまらなかった。
両親を、恋人を、すべてを失ったあの日を思い出す。
木場は人を憎しみで殺してしまった。だからこそ、人を殺すことをやめさせたいと決意した。
けれども、誰も彼も『人間』は木場を、オルフェノクを拒む。
またも、闇がささやいた。オルフェノクとなった日に、木場の中で蠢く憎しみが蘇る。
人を殺すことこそが、オルフェノクになった者の運命という声を、木場自身の心が生み出した。
木場の持つデイバックの中身が少し覗く。
それは、侑斗が間違えて渡したゴルゴスのデイバック。
支給品は人間の形をしておらず、オルフェノクでもないゴルゴスには無用の長物だったもの。
天のベルト、サイガドライバーとトンファーエッジが、木場を闇に誘うように、妖しく蠢いた。
木場勇治と海堂直哉。
彼らは未来にて、互いに真反対の道を歩みことになる。
二人がそれぞれの未来において、バトルロワイアルでも同じ結末をたどるのか、ファイズとサイガのベルトしか知らなかった。
【十面鬼ゴルゴス@仮面ライダーアマゾン】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:G-6・駐車場】
【時間軸】:本編13話前後
【状態】:胸に一文字の傷。全身打撲。ダメージ大。疲労大。三十分戦闘不可。
【装備】:ガガの腕輪
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:打倒仮面ライダーアマゾン、主催者への報復
1:いずれ仮面ライダー(ゼロノス・ファイズ)を殺し、血を吸う。
2:アマゾンを見つけ次第殺す。腕輪を奪う。
3:牙王、死神博士、影山は最終的に殺し、血を吸う。
【備考】
※岩石の9つある顔のうち一つが潰されました。
※能力制限について思い当たりました。
【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:E-6・中部ホテル前】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。三十分変身不可(ゼロノス)
【装備】:なし
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:木場勇治の抹殺。そのために身体を休め、英気を養う。
2:木場勇治を抹殺後、海堂及び侑斗と合流。
3:東條は必ず自分が止める。
4:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※死者の蘇生に対する制限について、オルフェノク化させる事で蘇生が可能なのではと思いはじめました。
【海堂直也@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:G-6・北部道路】
【時間軸】:34話前後
【状態】:身体の各部に大程度の打撲、怪我。疲労大。激しい怒りと決意。三十分変身不可(ファイズ、スネークオルフェノク)
【装備】:ファイズギア
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:モグラのために「正義の仮面ライダー」となる。
1:木場たちと合流のため、動物園へ向かう。
2:ライダー(アマゾン、歌舞鬼、オーガ、ガイ)の危険性を伝える。
3:危険な仮面ライダーを倒す(殺さない)
【備考】
※ 澤田の顔はわかりますが名前は知りません。また、真魚の顔は見ていません。
※ モグラ獣人の墓にはガーベラの種が植えられています。
※ 第一回放送は知っている名前がモグラのみ、ということしか頭に入っていません。
※ 変身制限について知りました。
※ゾルダのカードデッキは破壊されました。マグナギガも倒されました。
【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:F-6・北土手】
【時間軸】:最終回直後
【状態】:深い後悔、強い決意、激しい自己嫌悪。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。
【装備】:神経断裂弾(1発)、ゼロノスベルト
【道具】:基本支給品×2、ゼロノスカード五枚(内一枚赤カード)、ラウズカード三枚(ダイヤK・ブランク二枚)
ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
煤けた首輪、双眼鏡、コーヒーセット、デジタル一眼レフ(CFカード)、望遠レンズ
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:木場に謝りたい。
2:香川、木場、海堂との合流。
3:自分と同じ顔をした少年(桐矢)への疑問。保護が必要ならそうする。
4:ガドル、風のエル(名前は知らない)、北崎を倒す。
5:五代雄介に一条薫の死を伝える。
6:金居の死に後悔。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※首輪の損傷具合は不明です。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※シグザウアー SSG-3000は破壊されました。
【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:E-6・南部道路】
【時間軸】:39話・巧捜索前
【状態】:全身に中程度の打撲。他人への不信感。全身に疲労大、背中等に軽い火傷。二時間変身不可(ホースオルフェノク)
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×1、Lサイズの写真(香川の発砲シーン)、サイガギア、トンファーエッジ
【思考・状況】
基本行動方針:???
1:侑斗に絶望。他人に不信感。
2:香川の危険を伝える。
3:海堂を心配。
4:死神博士、ゴルゴス、牙王、風のエル(名前は知らない)、東條を警戒。影山はできれば助けたい。
5:事情を知らない者の前ではできるだけオルフェノク化を使いたくない。
【備考】
※香川から東條との確執を知り、侑斗から電王世界のおおまかな知識を得ました。
また、第一回放送の内容も二人から知りました。
※香川を赤カードの影響で忘れてしまいました。
投下終了。
タイトルは「零れ落ちる闇」です。
指摘、感想お待ちしております。支援感謝します。
自分で間違い発見。
>海堂直哉
直也にwiki収録された際に直して起きます。
投下乙です。
木場……どこまで落ちれば気が済むんだ……
そして天のベルト・サイガ登場w高スペックだが木場がどうなるか。
誤解が絡み合って皆が予期せぬ方へ……波乱の予感。
唯一の救いは海堂が幾分前向きになった事か、GJでした。
投下乙です!
香川ゼロノスと海堂ファイズの共戦!教授のクールさと海堂の熱さがとても格好良かったです!
海堂の「正義の仮面ライダー」になるという決意にも燃えました!
そして赤カードの弊害が思わぬ所に……!木場は教授の事を忘れて誤解するし、
教授はオルフェノクを危険視しだすし、同じ志を持つにも関わらず対立してしまう
皆が切ないですが、サイガのベルトの登場がこれからの波乱を思わせて大変楽しみです!
GJでした!!
投下乙です!
まさか木場さんが暴走(違)するとは…
赤カード恐るべしですね!
これからどう転がるか楽しみです!GJ!
保守
791 :
名無しより愛をこめて:2008/08/12(火) 15:29:24 ID:8/1d+kb10
__ .イl. , -- ミ 、 ,ィ
/ `く. l/ , - 、: .` ==、___/ノ!
ヘ , ' . : . \l //: : :、:、: . .__ : : ´/ィ
.∧ .イ: / /: :__!{ム___ヽ:、: : : :--‐: ´:/イ
∧ /. ヽ| { {/ ,.ィ l ,{ `\、: :‐--‐: : ! .ィ
V .∧ i、iゝ_j ヽヽ==彡' ノ i `=r 、_`===彡'′
.∨ .∧ 丶三. //: ト:l _三. r ィfヾ:.:.、ヽi: : : : :/
V .∧ 、z‐彡': :/ l|イ ゚ , ノ | f:.l:.:.:.、:.ヽ:.\: :ニ=‐'′
∨ ∧ `¨Z イ ノ' ‐彡' | l:.:.、:.:.:.ヽ:.:ヽ:.V_,,
∨ ∧ ハ ヘ , i〉ゝ:.:',:.:.:.:l:.:.:.l:.:|
. ∨ ∧ ィ: ゝヘ __ }:.:.:l:.:.:.:l:.:.:.l:.:|
∨ ∧/: l: : l ヘ /一'{ }:.:.:l:.:.:.:l:.:.:.|:.|
∨ .∧ : l: : :ゝ .\ 〈、___j} ,|:.:.:.`:.:.:.:.:.:.:.:l、
__/:∨ .∧ | : : ヽヽ \ ` ニニ´ j|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./: \
<: : : ∨ ∧l: : : : \\\ 〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;': : :\_
: : : 、: : ∨ ∧: : : : : ` 、`_`ニニ.||:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ム: : : : \__
、: : : \: ∨ ∧ : : : : r‐ 、| | |ニ||:.:.:.:.:.:.:.://:ヽ: : : : : : `丶
、\: : : \ ∨ ∧: : : : : ⌒ヽ.| | ゝ:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.\: : : : : : :
悲惨すぐる・・・・これで城戸や加賀美みたいなお人よしにまで化け物呼ばわりされたらもう目も当てられないな>木場
やっぱりロワはこういうキャラが出てこないとな
794 :
名無しより愛をこめて:2008/08/14(木) 12:26:31 ID:9KTN017i0
まとめサイトで作品を見ていてふと思ったんだが
ヒビキさんの服ってあとどれくらい残ってるんだろう
まあヒビキさんなら、いざとなったら葉っぱとか
デイパックを改造したものとかでも気にしなそうだけどさw
状態表によれば後3回変身したら終了だなw
まあ民家やショッピングセンターから現地調達も可能だけどw
>>795 デイパック着てるヒビキさん想像して吹いたww
これからどんどん戦いがシビアになっていって服の確保とか
大変になるんだろうけど、葉っぱ一枚だけは勘弁してほしい。
ビジュアル的に。
やはり変身する前に脱ぐのが一番経済的か・・・
敵の前でまず全裸になるヒーローってある意味最低だなwww
葉隠覚悟っぽいなwww
確かにwww
諸事情で遅くなりましたが、これより投下します。
――空を仰いだ双眼に飛び込んで来た日光の強さに、橘朔也はポケットから思わず黒光りするサングラスを再び取り出した。
ゾル大佐との余りに辛い別れから一時間超。僅かな時間ながら彼と歩んで来た道程を橘が一心に引き返してきたのは、彼の「回れ右」から続く最後の号令を守ると共に、取り返しのつかない過ちを侵した自分と明確に袂を分かちたい、という願望があったからだ。
G-4エリアの住宅街を通過しながら、G-3エリアの端にある住宅…いや、住宅跡を橘は臨む。
橘が現空間を「仮想現実」と判断したこの地も、戦闘の痕を色濃く残しており、彼に一息つくことを許さない。
それを感じ取ったからだろうか――瓦礫に向けられていた両目が、ふと西へ滑る。影が視界の外から、隅へ、やがては中央へ。過程を通して、視覚はそれを「塔」と呼ばれる、或いはそれに準ずる建造物と認識した。
「大佐……あなたが残してくれたこの命、俺は決して無駄にしない。絶対に生き抜いて、戦いを止めて見せる……」
そう遠くは無いと判断し、「塔」へ向けて移動を開始。勿論、周囲への警戒も怠らない。変身に詳細不明の制限が掛けられている以上、戦闘は何としても回避しなければならないという考えだ。
彼に犬死にすることは許されない。それを自覚している――させてもらったからには、戦い抜かなければならないのだから――
◆
「放送局…………か」
言葉ではこう言い表したが、「塔」が放送局の一部であるという予想を俺は予めつけていた。G-3の一角から視界に捉えられる範囲で、塔が存在して違和感が無い施設は放送局をおいて他には存在していない。
入口の向かい側にはご丁寧なことに駅が設置されている。てっきり水族館、ジャンクション、大学のみに駅が存在し、電車で繋いでいるものとばかり考えていただけに、嬉しい誤算だ。
水族館とこの地点の距離を考慮する。早くも潰されたF-7――禁止エリアとの間にも駅が存在することは容易に推測できる。発着時間さえ把握しておけば、有事の際に役立つのは間違いない。
俺は次の瞬間に、心做しか軽くなった両足を振り上げて、駅の時刻表を確認する為駆け出していた。目的の達成には二分も要さない。百秒も経った頃には余勢を駆り、放送局の入口へと向けられた爪先の姿があった。
いつに無く自動ドアの開閉が遅く感じるのは――俺が平常時より速く動いているからか? ……だとすれば、それは何故なのだろうか? 疑問は短時間の間に連鎖し、俺の意識へと解答を求める。
危うく両肩とデイパックを引っ掛けてしまうのではないかというタイミングでくぐり抜けると同時に、安堵が全身を駆け抜ける。……成る程、これか――
この感覚を欲していたのだ、と俺はようやく自覚した。大佐との別れを終えてから、単独行動の危険性をより強く感じ始めている。 しかし……無意識とはいえ、安直に施設の内外を境界線として緊張を解いた自分に嫌気がさす。
もしも他の参加者がこのロビーに居て、それが危険人物だったなら――。
……考えたくも無い結果が待っていたであろうことは想像に難くない。幸いにも気配は感じられず、今回ばかりは自分の運に感謝せざるを得ないだろう。
一瞬の安息に別れを告げつつ、ギャレンバックルにカテゴリー・エースをセットする。バックルと自身の態度で、形だけでも臨戦態勢にあることを示しておく……気配を絶って潜伏している参加者の存在を否定不可能な現状、牽制にはなる。
本当ならレバーを引きたいところだが、制限でオリハルコン・ゲートが出現しない様な事態に陥れば、本末転倒も良いところだ。丸腰です、と証明するに等しい。
体裁を整えたところで、ロビー隅に佇むソファに腰掛ける。仮想現実という考えに変わって、これから俺は何を指針とすべきか……決定しなければならない。
この角度は室内に対する死角が実質0で、過剰な警戒を避けて思考するのにはうってつけだ。
荷物を開く。まずは腹ごしらえ。準備に時間を要するレトルトカレーはパスし、支給品の乾パンを頬張ることにする。腹が減っては軍はできぬと言われる様に、空腹で活動は出来ない。
思考という行為は、俺と主催者との戦いが幕を開けることを意味する。高望みはしないが、出来るだけコンディションを整えた方が良いに越したことはないだろう。
それでも、俺はかみ砕かれたそれらが喉を通る度に、どうしようも無く物足りなくなる。保存性を優先した非常食を食べる者の宿命か……。
近隣にコンビニがあることを知っているだけに、尚更そう感じてしまう。
必死で自制をしながら、引き続き食事を続け、それと両立可能な行動を開始する。
左手を遣わした先は先程同様荷物入れだ。ペットボトル一本と四つ折になった地図を取り出し、テーブル上に広げる。
更にサングラスを外すと、鮮やかになった視界に対して反射的に瞬いた自身に、俺は頬を膨らませたままで苦笑した――。
◆
まずは、俺が現状知り得る参加者達の敵味方を判断する。
他の参加者達との接触は、今後細心の注意を払う必要があるからだ。ゾル大佐の様に頼れる存在ならばともかく、数時間前の俺みたいな奴と組む状況になれば――
――おそらく俺は、大佐と同じ道を進むことになるだろう。当然、状況がそれを許さないのは理解しているつもりだが……。
大佐を除いて最初に遭遇した参加者は四人。
約四十年前――もっとも、俺の世界の四十年前かは不明だが――に大佐が所属していた、詳細不明の組織「ショッカー」と対立する「仮面ライダー」、本郷猛に一文字隼人。これが四人の内、一人目と二人目だ。
「大佐」という階級が存在する規模の組織に二人で対抗していたというのだから、その実力は指折りなのだろうと推測される。少なくとも俺が敵う相手ではない。
更に敵である大佐の言葉を素直に受け入れ撤退したことを垣間見るに、対話が通用する相手だとも判断可能だ。接触を図る価値は十分にある……のだが、その前に一つ気になる点が残っている。
本郷、一文字の名が俺や大佐の名簿にはそれぞれ二人分ずつ記載されていたのだ。印刷ミスか? ……いや、違う。
こんな催しの為に、変身を制限する未知のテクノロジーを使用した首輪や、再新鋭の偵察衛星、ライダーに似た外見の私兵、異なる時代への干渉、揚句の果てには島一つを用意する組織がそんなミスを起こすとは考えにくい。
順当に行けば、大佐の言う通り同姓同名の別人と考えるのが一番説明を付けやすいか。その場合次の問題は、「放送で名前を呼ばれた一文字隼人」はどちらなのか――。
大佐は彼の知らない一文字の方だと断言していたが、彼の持つ先入観を廃除して考えた場合、俺は間違ってもそう言い切れ無い。……むしろ、死んだのは「仮面ライダー」である一文字なのではないか、とすら考える。
そう思わせる要素が事実存在していた。ライダー二人の撤退に同行したあの青年――大佐に続き遭遇した四人の内、三人目だ。
彼は四人目である金居――カテゴリー・キングに殺され掛けていた。……それも、「丘から突き落とす」などという回りくどいやり方で、だ。
少なくとも俺の時代のアンデッド――白いジョーカーの出現に伴う再解放で現れた奴ならば、その場で容赦無く殺していただろう。
つまり、あのカテゴリー・キングは全アンデッド封印が完了した2004年以前の時期から召喚されたと見るのが妥当という訳だ。
そして当時の奴は、俺の知る限り無駄な殺しは行わない。アンデッドが複数体参加している以上、主催者のルールに則って勝ち残ろうともしないだろう。
一人帰ったとして、もう一体のアンデッドが掟破りの死を迎えた結果、バトルファイトがどう動くか――予想は不可能なのだから。
そのカテゴリー・キングが手に掛けようとした青年なら、危険人物だとしても不思議ではない。
オマケに戦闘を行っていたライダー達は、俺同様戦闘後に変身制限が掛かっていた筈であり、戦闘の疲労と合わせて考慮すれば、あの時点では一般人にも対抗手段はある。
ただその場合、新たな疑問がいくつか生まれるのだが。最たるものは「より深く疲弊していた本郷は何故死ななかったのか」という疑問。これに俺は納得のいく答えを出せないでいる。
故に、この結論は次の放送で新たな死者が発表まで先送りにする。とりあえずは「本郷、一文字、金居とはコンタクトをとる余地有り」という確定事項のみを頭に叩き込む。
……次に出会ったのはゾル大佐を手に掛けたあのライダーに、男女一名ずつの二人組だった。
「喰ってやる」などと語っていた男の変身したライダーは、変身プロセスを見た限りではBOARDのライダーシステムに近い。変身自体は個人の能力ではなく、ベルト固有の機能と見るべきか。
(ベルトを奪えば、無力化が可能かも知れないが……再会しないのが理想だな……)
生死の確認はしていないが、出来ることならば勝利したという結果であって欲しい。
もう一度戦っても、俺はおそらく勝てないだろう。それ程までの強さや威圧感を兼ね備えており、対話の余地は皆無と言って良いだろう。
対して、それに対抗したライダーだが……どうやら俺の認識に存在する「仮面ライダー」とは完全に別物らしい。
音声を発しない腰のベルト、肉体のみの限定的な「変身」、ギャレンやブレイドに近い複眼をあしらったマスク。
ゾル大佐は彼を「仮面ライダー」と呼ぶと共に、その存在に驚愕していた節がある。姿こそは大佐の知るショッカーのライダーでありながら、その存在に疑問を抱かざるを得ない。
となれば、やはり時間軸の違いか。1971年以前に消失した、もしくはゾル大佐の死亡後に開発された、など可能性は多岐に渡る。
ショッカーが開発したのであれば、その時期次第で協力体制を結べるかも知れない。「ゾル大佐」「死神博士」という二つの名前は、大きな武器になると見て間違いない。
そして、同行していた少女。あの状況で変身しなかったということは、純粋な一般人か、単に制限が掛かっていただけなのか……判断の材料が足りない。正に同行者次第か――。
これら島内で遭遇した参加者達に、既に面識を持っている志村と城光。城に関しては金居と同様の対応で問題ないだろう。
志村は……心配する必要もないだろう。禍木や三輪の、剣崎の意思を継いで戦ってくれる筈だ。最も信頼出来ると言っても過言では無い。
◆
無性に喉が渇く。いつの間にか、飲み込み終えていた乾パンが原因か。渇きを潤すには、水を飲むしかない。
未だ未開閉のペットボトル。右手で掴むと、透き通った液体が静かに、次第に大きく波をうつ。
その様子は、必死で島から抜け出そうと足掻く俺達参加者の様だ。
さしずめ水を封じ込めるボトルキャップ及び容器は、首輪と禁止エリアに例えられるか。そしてボトルの開け閉めを意のままにすることが出来る俺は、主催者といったところだ。
栓が開かなければ、中身はそこに居座るしか無い。俺達もそうだ。首輪や禁止エリアの問題を解決出来なければ、島に留まるしか……それも、時間の経過と共に命は危険に曝されていくというのに。
窮地を脱するには、参加者、首輪、主催者とは異なる第四の要素を用いるべきだろう。……「水の入ったペットボトル」で例えるならば、水と栓の間に存在する少量の空気。
この島にも、必ずある。脱出の鍵となる、何らかの要素が。実際に存在していると認識できる材料がある。
――間違っても首輪を外してあげよう、なんて考えちゃ……駄目ですよ
首輪を外すのに最も有効な手立ては、言うまでもなく実物を調べることだろう。……そして、実物を最も容易に、手を汚さず入手する手段は、死者から拝借することだ。主催者はそれをするな、と牽制を仕掛けている。
これが「調べられると困る」のか、「調べて貰わないと困る」のかは分からない。確実なのは、前者ならその時点で調べようとした者が、後者なら誘いに乗って調べようとする者が存在することだ。
そして首輪を調査するには、幾つか不可欠な条件がある。
「知恵」と「技術」……二つの要素が重ならなければ、調査を進めるのは不可能だ。それを理解している知恵者が向かうのは、技術を携えた施設だろう。
――研究所、大学。単純に考えればこれらの施設が該当する。何れも列車の路線近く、会場北部と共通点も多い。
遅いかな?支援
支援
支援
今後の行動方針として、俺はこれらの施設へ――――向かわない。
理由は――二つある。
一つ、危険過ぎる。……この戦い、全ての参加者が脱出を願っている訳では無い。先程の思考通り、殺し合いを楽しむ明らかな外道が存在している。
最後の一人となって、スマートブレインの技術を利用しようとする者も参加しているかも知れない。
彼らにとって都合が悪いのは、この催しが中止になること。少し頭を使えば、それを企てる者が研究所等に集まることは簡単に読み取れる。読み取られれば、連中は行動に移すだろう。
敵が進んで集まってくれるのだ、襲わない道理は……無い。そんな場所へ俺が一人で向かうのは、リスクが大きすぎる。
二つ、北部に位置していること。テーブル上に広げられた地図を見た限り、指定された会場の南と西は海で、東もジャンクションから南東は海。
0時の時点で禁止エリアへ侵入――会場外へ出た禍木と三輪を襲った尖兵達は、北部に配置されていると見て間違いない。
首輪の効果で灰化する運命にあった二人を何故襲いに来たのかは分からないが、あの様な敵が控える地域に、長居はしたくないというのが本音だ。
ならば……俺はどう行動するべきなのか? 決まっている。協力者を増やせば良いのだ。
北部における問題点も、信頼に足る仲間が複数存在していれば解決される。
今は戦力の拡張と、安全な拠点を見つけ出すことに全力を傾けることにする。妥協は許されない。
ラウズカードの収集も急務だ。スペードのカテゴリージャックを他人が所持していた以上、参加者を除く全てのアンデッドがカードに封印され、島に存在している可能性もある。
思い返せば、ゾル大佐は何を支給されたのだろうか。携帯を始めとする共通の道具しか見ていない気がする。もしかしたらカードの一枚や二枚、持っていたかも知れないのだが……。
◆
橘は静かにデイパックを開く。既に見飽きた感のある基本支給品を次々と取り出してはテーブルに並べ、奥に潜む何かを取り出そうとする。
今になるまで個別の支給品を確認していなかったのは、ある意味では彼らしいと言えるかも知れない。
半日経ってようやく迎えた対面の時だが、橘は思わず溜息を漏らした。使い道が分からないのだ。
長方形の形をした支給品はいくら弄っても動くことはなく、かといってマニュアルが用意されている訳でもない。
……数十分使い方を模索するが、一向に答えには辿り着けず、橘はストレスを募らせるばかりだ。
気付けば時計の針が二本重なろうかという所まで近づいている。橘は悟った――放送が、近いのだと。
【橘朔也@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:昼(放送直前)】
【現在地:G-3 放送局ロビー】
【時間軸】:Missing Ace世界(スパイダーUD封印直後)
【状態】:悲しみ。顔・背中・腹部に打撲。生きる決意
【装備】:ギャレンバックル
【道具】:基本支給品一式、ラウズカード(スペードJ、ダイヤ1〜6、9)、レトルトカレー、ファイズブラスター
【思考・状況】
基本行動方針:ゾル大佐への責任をとり、主催者を打倒する為、生き残る。
1:信頼できる協力者、拠点に成り得る地点、ラウズカードの捜索。
2:北部(研究所・大学)には準備が整うまで近づかない。
3:死神博士にゾル大佐の遺言を伝える。
備考
※自分の勘違いを見直しました。仮想現実と考えるのはやめることにしています。
※牙王の生死を確認していませんが、基本的には死んだものとして考えてます。
※自身の知り得る参加者について以下の様に位置づけています。(※付きは名前を知りません)
味方(積極的に合流):志村純一
不明(接触の余地有):本郷猛、一文字隼人、金居、城光、死神博士、※一文字隼人(R)、※ハナ
危険(接触は避ける):※東條悟、※牙王
支援
代理投下終了です。
投下&代理投下乙です!
橘さん格好いいよ橘さん
投下乙!
橘さんが……まともな考察をしている……だと?
冗談はさておき、丁寧な描写で冷静な橘さんが描かれていて楽しめました!
本来の能力を取り戻しつつある橘さんが今後対主催の星になれるかどうか……w
乙です。
本郷猛、一文字隼人、金居はすでに亡く、
志村のことを心から信頼しているのは気になるが、
やっとまともな考えを持てるようになった橘さんに期待。
投下&代理投下乙です!!
バーニング大佐から今回にかけて、遂に橘さん始まったな、という印象ですw
食事しながら考察したり、志村に絶大な信頼を寄せている辺りが実に橘さんだw
他の首輪解除候補に比べて出遅れたけど、これなら巻き返しも期待できそう。
GJ!!
投下&代理投下乙です!
橘さんクールでかっこいい…!
大佐の意思を継いで戦いの阻止のために頑張ってくれる事を期待!
これからどんな出会いがあるか、支給品のファイズブラスターも気になりますね!
GJ!!
821 :
名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 23:12:41 ID:qjCZoLIjO
つまらない
三人称から意味も無く一人称へ変わったのはおかしくないですか?
それから、複雑な言い回しが好きな様ですが、ちょっと日本語的におかしい所もありましたし、もう少し簡潔に描写しては?
823 :
名無しより愛をこめて:2008/08/17(日) 12:48:39 ID:B5HJJheW0
824 :
名無しより愛をこめて:2008/08/17(日) 15:51:35 ID:B5HJJheW0
825 :
名無しより愛をこめて:2008/08/17(日) 16:02:14 ID:Hh1eIalJO
難しそうな言葉並べてればうまいように見えるだろ。
それぐらい見逃してやれ
読み手様乙です
827 :
名無しより愛をこめて:2008/08/17(日) 18:46:42 ID:Hh1eIalJO
ライダーパンチです
828 :
名無しより愛をこめて:2008/08/17(日) 20:07:06 ID:XehswqRw0
超つまらんわここのSS
信者や身内で盛り上がってるだけなんだな
面白いと思うSSスレへどうぞ
特板には色々あるから好きに選べるよ
身内での盛り上がりを否定してる時点でSSスレに、2chに向いてないけど
>>825 感想言ってるだけなのに、俺までアラシに思われるだろうが。
アラシをしたいなら、他人に乗っからないで、一人でやってくれよ。
ごめんなさい、遅くなりました。7時以降って言って10時前です。本当に申し訳ありません
歌舞鬼、山本大介、三田村晴彦、桐矢京介、北崎 投下します
歌舞鬼がたんたんと食事の用意を進める。
用意といっても食卓代わりになりそうな物を適当にあしらえるだけのものであったが。
「さて…ここで大事な質問をしなきゃならねぇ」
歌舞鬼が食卓に手を乗せ、成り行きを見守っていた3人―アマゾン、京介、晴彦―を見渡す。
「京介、晴彦。おめぇら飯あるか?」
問い掛けられた二人の少年は驚愕とも呆れともとれるような表情を浮かべ、蚊帳の外の野生児は首を傾げた。
「歌舞鬼さん、当てもないのに食事にしようとか言ったんですか?」
「いやー、まぁ当てはあるにはあるんだ。水だけ支給ってのはおかしいだろ?多分…京介や晴彦には食べ物がちゃんと支給されてんじゃねぇかな。
俺やアマゾンにはどういうわけか支給されてなかったって話でな」
京介と晴彦がお互いの顔を見合わせ、京介が首を横に振る。食料は逃げる際に落としてしまっていた。
頼みの綱の晴彦が自分のデイパックを漁り、缶詰を二つ取り出した。
「…これしかないな」
これでは4人分の食事としては少ないだろう事は明らかだ。二人は肩を落とす。
歌舞鬼も両手を広げ、ちょっと呆れた様子で――
「おいおい、晴彦。まさかその銀の塊食うつもりじゃねぇよな?」
少年二人は再びその表情を曇らせる。この人は何を言っているのだろう、お互いの目がそう語っていた。
京介が恐る恐る歌舞鬼に尋ねる。
「歌舞鬼さん、これ缶詰って言うんですけど…ご存知ですよね?」
「かん…づめ…?」
聞き慣れない言葉に歌舞鬼は首を傾げ、様子を見ていたアマゾンも真似をするように首を傾げた。
「これは缶詰って言って中に食べ物が入ってるんですよ。…多分、歌舞鬼さんやアマゾンさんにも支給されてますよ」
「いやー、確かにあるにはあったが。こんな物の中に食べ物、ねぇ…」
未だ半信半疑の歌舞鬼は食卓から離れ、自分とアマゾンのデイパックを漁って支給された缶詰を取り出す。
「信じられねぇな」
取り出した4つの缶詰をお手玉しながら運び、食卓の上に並べる。並べられた6つの缶詰はラベルがそれぞれ異なり見た目はなんとなく豪華だ。
「で、これをどうするんだ?」
「上についてるリングに指をかけて引き上げるんですよ。見ててください」
京介はカンパンの缶詰を手に取り、ゆっくりとフタを開けていく。
日の光に照らされたカンパンは鮮やかなオレンジ色をしていた。
「はっはぁ…こんな便利なもんがあるのか。すげぇな」
「他の缶詰は、とりあえず保留しますか。一度に大量に消費するよりかは…」
残りの缶詰を京介が仕舞いこもうとするがその前にアマゾンが缶詰を手に取り、フタを開けていた。
「あぁ、アマゾンさん!駄目じゃないですか!」
「…ガウ」
開きかけた缶詰に鼻を近づけ、アマゾンが顔をしかめたその隙に京介が缶詰を取り上げた。
「そっちの中身は何なんだ?」
カンパンをモソモソと食べながら歌舞鬼が京介の手元を覗き込む。
派手な黄色に怪しいインド人が描かれたそれは、サバカレー。
歌舞鬼は未知なる食べ物に興味を示し、アマゾンは独特の匂いを嫌って敬遠し、
京介と晴彦はカンパンとサバカレーという組み合わせにげんなりしていた。
* * *
「まぁ、食べながらでいいんだけどよ」
歌舞鬼の言葉に京介と晴彦が反応する。
アマゾンはというとカンパンの中に含まれていた飴を大層気に入ったようで今も口の中で転がしている。
「いつまでもここでじっとしてるって訳にもいかねぇだろ?ねぐらにするにゃここはあまりにも無用心だ」
「それなら…俺は市街地に行ってみたいです。人が集まる所ならもしかしたらヒビキさんがいるかも」
言い終えると京介は再びカンパンに手を伸ばす。随分と空腹だったらしい。
「んー…まぁヒビキを探すっていうのも悪くはねぇんだけどな…俺もまぁ会いたいっちゃ会いたい所だし。晴彦はどうだ?」
晴彦としては本音を言えば市街地に向かいたくなかった。
本郷猛や一文字隼人…或いは動物園で出会った女や緑のライダーに変身した男。出会いたくない人間は多い。
それに怯えてここでじっとしているという選択をするつもりはなかったが出会う可能性が高そうな市街地は…
しかし歌舞鬼や、特に京介が会いたがっている男がいるというのならそれを邪魔する気にはなれない。
晴彦は黙って首を横に振った。もしも本郷達と出会ってしまったらその時はその時だ、と半ばヤケクソ気味に心を決めた。
「うし、じゃぁ食べ終えたら市街地に向かって…少しでも安全そうな場所、それからヒビキを探す。これでいいな?」
歌舞鬼の言葉に―会話に参加こそしなかったが話は聞いていたアマゾンも含めた―3人は頷いた。
朝の陽射しは少しずつ強くなり、4人を見守っているかのように輝いていた。
* * *
食事を終えた4人は荷物を手早くまとめ、動き出した。
しかしその歩みはさほど速くはない。歌舞鬼とアマゾンだけならば他の参加者よりも速く移動する事はできただろうが…
怪我人にお世辞にも運動能力が高いとは言えない少年を連れているのだ。自然とその移動はゆっくりとしたものになる。
「ま、のんびり行こうや」
今こうして誰とも遭遇する事無く移動できている事が幸運なのだ。その幸運がいつまで続くかわからないが。
ゆっくりと、しかし確実に4人は進んでいく。
物音が聞こえてきたのはそろそろショッピングセンターが遠目に見えてくる、そんな時だった。
音を聞き取ったのは先頭を行く歌舞鬼とアマゾンだけのようで、京介と晴彦は突然足を止めた二人を不思議に思っていた。
「…引き返すか」
「ど、どうしたんですか歌舞鬼さん!?」
突然踵を返そうとする歌舞鬼に京介が驚きの言葉をあげる。晴彦も言葉にはしないが思いは同じらしい。
「…俺達が今向かってる場所でゴタゴタやってるみてぇだ。わざわざ巻き込まれる必要はねぇよ」
「ゴタゴタって…」
先ほどよりも大きな爆発とも、何かが崩壊するようにも取れる音が今度は少年二人にも聞こえた。
離れているのにこれだけの音が聞こえるということはそれなりの規模の戦闘らしい、危険なのは間違いないだろう。
少年二人はそれならば仕方が無い、といった様子で歌舞鬼と同じように今来た道を戻ろうとしたが――
「おい、アマゾン。いくぞ」
ただ一人アマゾンだけは戻ろうとしなかった。いや、それどころか戦闘が行なわれているショッピングセンターへ向かおうとしていた。
「待て待て待てっ!」
慌てて歌舞鬼がその肩を押さえ、振り向かせる。アマゾンの目には何故止める、という疑問が浮かんでいるのが見て取れた。
「おい、いいか。わざわざ危険なとこに向かう必要はねぇって。そんなのは…」
放っておけ、そう言葉を続けようとしたができなかった。歌舞鬼もわかっているからだ。
わざわざ危険な所に向かうのは混ざりたい狂人か、或いは…誰かを守れる人間だ。
そして自分は人を守る存在の鬼だ。本来ならばいの一番に向かわなければならないだろう。
だが自分には守らなければならない者が既にいる。それをわざわざ危険な目には…
(いや、これは言い訳か)
歌舞鬼はほんの少しだけ自己嫌悪した。他人などどうでもいい、そう見捨てられる非情さが歌舞鬼の鬼としての使命を妨害しているのだ。
ただ子供だけは…そんな思いがあるのは事実だがそれを言い訳にしかけていた事に、自己嫌悪。
アマゾンはそんな歌舞鬼の事を知ってか知らずか、静止の手を振り解きショッピングセンターへと向かおうとする。
「だから待てっての!」
今度は手を掴み、歩みを止めさせる。アマゾンの顔が苛立ちからか少し歪んだ。
ああ、と歌舞鬼は理解する。子供のような心を持っているがアマゾンの本質は鬼、戦士なのだと。
誰かが危険な目にあっているのなら見捨てる事無く、自分の身を挺して守る。そんな本質が今頃になって見えてきた。
ある意味自分よりも鬼らしいと思える。いくら止めても言う事を聞かず、いずれは飛び出していくだろう。
だがそれはさせられない。ならばやる事は一つ。
「アマゾン、俺が行く。お前はここで京介と晴彦を守ってやっててくれ」
歌舞鬼はアマゾンの力を信頼していないわけではない。
戦い慣れすればそれこそ敵はいないのでは、それほどの強さをアマゾンは秘めている。
だが戦士としてはあまりにも心が幼すぎる。怒りに我を忘れ力だけを行使してしまう、そんなアマゾンの危うさを歌舞鬼は既に見ている。
ここで単独で行動させるのはあまりにも危険な行為だ。それに何より守ると決めた男だ、そうそう危険な目にはあわせられない。
アマゾンの肩をポンポンと叩き、静めさせる。納得したのだろうか、アマゾンは力強く頷いた。
「すぐに帰ってくるからよ。まぁ万が一…」
―しばらく待っても帰ってこなかったらその時は引き返せ―という言葉は飲み込んだ。
「万が一お腹が空いて缶詰を開けたら、俺の分は残しておいてくれよ?」
そう言って歌舞鬼は駆け出した。アマゾンと少年二人はその背中が見えなくなるまで見つめていた。
* * *
丘を駆け抜け、見たことも無いような建物が辺りに建ち並ぶ。
今更ながら歌舞鬼はここは自分の知っている世界ではない事を実感した。
(まぁわけ分からんカラクリに缶詰だもんなぁ、当然っちゃぁ当然だが)
しばらく続いていた爆発音は少しずつ遠ざかっているように聞こえる。どうやら移動しながら戦っているようだ。
歌舞鬼がショッピングセンターについた時その場に残っていたのは建物の残骸や煙ばかりで肝心の戦闘を行なっている者の姿はなかった。
だが音だけは耳に届く。それほど遠くない所で未だに戦闘が繰り広げられているらしい。
(とりあえず様子だけ見に行くか…このペースだと間に合うかどうか微妙なとこだな)
ショッピングセンターの探索をほどほどに切り上げた歌舞鬼は再び駆け出そうとして、視線に気付く。
ゆっくりと振り向くと、少年のようなあどけなさがまだ残る青年がじっと見つめていた。
声も掛けずただじっと見つめていた青年。彼は敵なのか味方なのか、歌舞鬼には判断できずにいた。
青年はしばらくこちらを見つめていたがやがて自分の両手を何度か見つめた後に肩を落とし、踵を返した。
「ま、待ってくれ!」
何故引き止めたのか歌舞鬼にもわからないが、少なくとも敵ではないのでは、そんな気がした。
青年は気だるそうに振り向き、しばらく考えたそぶりを見せた後にこちらへとゆっくりと歩き出した。
ある程度まで近づくと歩みを止めた。
「君は、ここで何をしてるの?」
「俺もそれを聞きたい所なんだがな…俺はまぁ、野次馬よ野次馬。近くでゴタゴタしてるみたいだからな」
「ふぅん…戦いを止めるとか言わないんだ?」
それは歌舞鬼にも悩みどころではあった。仮に戦いに間に合った所でどうするつもりだったのだろうか?
危険だと判断すればトドメを刺すというのもあるが、
もしもアマゾンのような戦士であったならば…協力を申し入れるつもりだったのか?
実際それは悪い話ではない。協力できればそれだけ京介達を守るのがより確実になるのだから。
「まぁ、少なくとも止めるつもりはないな。加わるのも気が進まないが。で、おたくは?」
「僕も似たようなものだけど…探し物もあるかな」
青年…北崎がわざわざショッピングセンターまで戻ってきたのは放置してしまったバイクの為だ。
あるとないとでは随分な差がある。なんとか回収しようと戻ってくる途中で爆発や打撃音等が聞こえた次第だ。
「ふぅ…でも誰かが持ってっちゃったみたい。酷いよね、僕のなのに…」
話は終わりだとでも言うように北崎はその場を離れようとする。
歌舞鬼は悩んだ。少なくとも戦いに乗ってはいなさそうな青年…北崎と今別れるのはまずいのでは?
こうして冷静に話せる機会はそうないだろう、そういう意味ではこれは貴重な機会なのかもしれない。
不安はある。戦いに乗っていないと思える根拠はあくまで自分を不意打ちしてこなかったからというあまりにも薄い根拠だ。
「…そうだ、そういえば君は一人なの?」
北崎が振り向き、悩める歌舞鬼に問い掛ける。
「あぁ、一人だ。それがどうかしたか?」
わざわざ京介達の存在を明かす必要は無い。歌舞鬼は平然と嘘を吐いた。
「それならついて行っていいかな?やっぱり一人じゃ寂しくてさ…」
意外な言葉に面食らう。一人じゃ寂しいからとは、なんとも可愛いものだ。歌舞鬼の緊張の糸が緩んだ。
こいつなら大丈夫だろう、そう思えたのだ。
実際の所は違う。北崎は当初、歌舞鬼を殺そうと思っていた。イライラを発散させるために力の限り蹂躙しようと思っていた。
だが変身できない。いくら身体に力を込めようともオルフェノクの力が漲らないのだ。
これも制限の一種なのだと把握し、制限が解けるまでの時間をどうしようかと考え…歌舞鬼と行動する事を思いつく。
せっかく出会えた新たな獲物を逃がす手はない。制限が解け次第殺してやろう、そう決めて。
「あぁ、別にいいぜ。そうと決まれば…」
歌舞鬼の言葉は盛大な爆発音で途切れる。断続的に続いていた爆発音が遂に止んだ。どうやら決着がついたらしい。
様子を見てくるのもいいが場所もハッキリとはしていないので無駄に時間を食ってしまうかもしれない。
帰りが遅くなると京介達を心配させてしまうだろう。その前に戻る必要がある。
「あー、まぁついて来てきてくれ、俺は人を護る事が仕事の『鬼』、歌舞鬼だ。よろしくな」
「僕はね…北崎。よろしくね、歌舞鬼君…」
「君付けは、やめてくれ」
自己紹介をしつつ歌舞鬼は北崎を連れて京介達の隠れている場所まで歩き出す。
背後で北崎が微笑んでいた事など知る由も無かった。
* * *
京介達はじっと身を潜め、歌舞鬼の帰りを待っていた。
守りを任されたアマゾンは辺りを警戒するように歩いている。
遠くで聞こえる一際大きな爆発音を最後に聞こえなくなり、戦闘が終った事を示していた。
「そろそろ帰ってくるのかな…歌舞鬼さん…」
京介がそんな事を呟き、晴彦が曖昧な相槌を打っているとアマゾンが何かを見つけ、立ち止まる。
「…アマゾンさん?」
アマゾンは目を見開き、口からは荒い呼吸を吐いて身を屈める。歌舞鬼以外の誰かがきたのだろうか?
京介はそっと辺りを見渡すが人影は見当たらない。だが空に赤い何かが見えた。
それが何かはわからない。だがアマゾンの視線はその空に浮かぶ赤い何かをじっと見つめている。
「ケケーッ!」
奇声を発しながらアマゾンは身体一つで突然駆け出した。突然の出来事に京介も晴彦も対応する事ができない。
いや、仮に咄嗟に反応できたとしてもすぐに離されただろう。それほどまでにアマゾンの駆ける速度は速い。
何が起こったのかさっぱりわからない、歌舞鬼が帰ってきたらどう言えばいいのだろうか、そんな事を考え京介は頭を抱えた。
空に見えた赤い何かは既に見えなくなっていた。見えないところまで移動したのか地上に降りて行ったのか、わかるはずもない。
* * *
アマゾンが駆け出してからしばらくして、ガサガサと京介達の近くのしげみが揺れた。
一瞬警戒するがそこから覗かせた顔を見てほっと胸を撫で下ろす。
「歌舞鬼さん!」
「ただいまーっと、いい子にしてたかー?」
今まで座り込んでいた晴彦も立ち上がり、歌舞鬼の帰りを歓迎しようとしたが…
「あ…!」
歌舞鬼の後ろから現れた青年が声をあげた。いや、それはひょっとすると自分の声だったのかもしれない。
晴彦が何を言う前に青年…北崎は晴彦のもとへと駆け出す。
ちらりと京介の事を横目で見るが京介の方は見知らぬ青年に目を白黒させていた。
なんとなく感じが違う気がした。噛み付いてくるかと期待したのだがそのような行動に出そうにはなかった。
ともかく北崎の遊びの矛先は今は晴彦へと向けられていた。
逃げるように晴彦も駆け出す。多少なりとも回復した体力を使い切るかのように走る。
北崎は「待って青沼君」と叫びながらその後を追い、走った。
「何なんだあいつら突然!?ともかく追うぜ!…ってアマゾンはどうした?」
突然追いかけっこを始めた二人を追おうとして歌舞鬼はアマゾンの不在に気がついた。
その言葉にまるで悪戯が見つかり、親に叱られる子供のように縮こまりながら京介が答えた。
「そ、それが…何かを見つけたかとおもったら突然駆け出していっちゃって…ごめんなさい!俺、全然動けなくて!」
「マジかよ…」
京介の言葉に愕然とする。アマゾンは人を守る戦士こそが本質だと、そう信じ託したのだが…
我を忘れてしまうほどの怒りを覚えてしまったのか、それともアマゾンの本質がもしかしたら戦士ではないのか?
どちらなのか歌舞鬼にはわからないが、アマゾンが既にいないということだけが変わらない現実だった。
「とりあえずアマゾンは後回しだ…二人の後を追うぞ」
「は、はい!」
歌舞鬼はアマゾンと晴彦のデイパックも背負い込み、二人の後を追って駆け出す。京介も置いていかれないように必死に駆け出した。
二人の事も気がかりだが歌舞鬼は何よりもアマゾンが何事も無く戻ってきてくれる事を願っていた。
* * *
荒い呼吸を吐きながら後ろを振り向く。その間も足を止める事はなく、晴彦は走っていた。
夢でも幻でもなく、あの青年が自分を追ってきていた。何故歌舞鬼と共にあの青年が現れたのだろうか?
歌舞鬼は青年を無害と考え連れて来たのだろうか?だとしたら危険性を事前に話していなかった自分が悪い事になる。
再び振り向くと青年は「待って青沼君」と叫んでいた。
誰だ青沼って?そんな疑問が晴彦の足並みを狂わせ、あろうことか転倒してしまった。
立ち上がろうとする背中に誰かが圧し掛かる。誰かなんて見なくても分かる事だった。
晴彦の首をグイ、と北崎が締め上げる。
「久しぶり…元気そうで何よりだね…」
「ガッ…アッ!」
ゆっくりと確実に締め上げられていく。必死に振りほどこうともがくが北崎の力は強く、逃げられない。
「お願いがあるんだけど…聞いてくれる?それとも、死ぬ?」
締め上げられながらも晴彦は必死に頷く。この状況で要求を拒む事などできようがなかった。
「うんうん…何、別に難しい事じゃないよ。ただ僕とは初対面、それだけ言いたかったんだ。良いよね?僕と君とは初対面…」
顔を赤くさせながら頷く。逆らう事など、できやしない。
晴彦の回答に満足したのか北崎は腕を放し、立ち上がる。解放された晴彦はゴホゴホと咳をしながらも必死に酸素を求めた。
ようやく呼吸が整ってきた所で歌舞鬼と京介が現れた。
「おい、二人とも何があったんだ?」
訳が分からない歌舞鬼に対し北崎が軽く答える。
「ごめんごめん、僕の友達かと思って嬉しくて駆け寄ったら驚かせちゃったみたいでさ…ごめんね?」
勿論嘘だ。青沼という男は確かにいるが晴彦とは似ても似つかない赤の他人だ。
反応を促すように膝をついている晴彦の肩に手を乗せるとビクッと震えた。
「そ、そうなんです。いきなり近寄られてビックリしちゃって…ハハ…」
妙な饒舌で晴彦が北崎の言葉を肯定する。明らかに先ほどまでとは異なる雰囲気に歌舞鬼だけでなく京介も眉をしかめた。
「三田村さん…大丈夫ですか?」
晴彦の肩に乗せられた北崎の手に力がこもる。
「だ、大丈夫…大丈夫だから…」
力に怯え、屈服する姿はどこかラッキークローバーの琢磨の姿を彷彿とさせて…北崎の心を楽しませた。
(戦ったらつまらないけど…こうして玩具代わりになると案外面白いんだね…)
再び力を込めると晴彦が小さく呻き声をあげた。それと同じくらいの小さな声で、北崎は笑った。
「さて…これからどうしようか?」
立ち尽くす歌舞鬼と京介に笑顔で問い掛ける。北崎を縛る枷が解かれる時は、近い。
【歌舞鬼@劇場版仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:F-6南西エリア】
[時間軸]:響鬼との一騎打ちに破れヒトツミに食われた後
[状態]:健康
[装備]:変身音叉・音角、音撃棒・烈翠
[道具]:基本支給品×3(ペットボトル1本捨て)、歌舞鬼専用地図、音撃三角・烈節@響鬼、GK―06ユニコーン@アギト、ルール説明の紙芝居、不明支給品(0〜1個)
【思考・状況】
基本行動方針:子供は護る。
1:三田村、桐矢、北崎と行動する。
2:三田村、北崎の態度が何か変だ。
3:アマゾンが心配。
4:俺はこの状況下で、何がしたい?
5:響鬼と決着をつけてみるのもいいが、とりあえずまずは合流?
【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:F-6南西エリア】
[時間軸]36話、あきらに声を掛けた帰り
[状態]:やや疲労、軽い擦り傷。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(食料紛失) ラウズカード(スペードの10、クラブの10)
【思考・状況】
基本行動方針:生き残る
1:歌舞鬼、北崎、三田村と共に行動する。
2:激しい恐怖(特にダグバ・ゾルダに対して)
3:三田村、北崎の態度が何か変だ。
4:アマゾンが心配。
5:響鬼が助けてくれることへの僅かな期待。
【備考】
※自分を助けてくれた男性(水城)の生存の可能性は低いと予想
※食料は移動中に紛失しました。
【三田村晴彦@仮面ライダー THE FIRST】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:F-6南西エリア】
[時間軸]:原作での死亡直前から
[状態]:全身に中度の疲労、胸に強い痛み、北崎に対する恐怖
[装備]:特殊マスク、鞭
[道具]:基本支給品・不明支給品×1
【思考・状況】
基本行動方針:彼女を救いたい。
1:望みを叶える為にも、バトルロワイヤルに生き残るしかない。
2:生き残るために今は北崎に逆らわない。
3:生き残る為に歌舞鬼、北崎、桐矢と共に行動する。
4:いざとなれば迷わない……はず。
【備考】
※変身制限がある事をなんとなく把握しました(正確な時間等は不明)
【北崎@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:F-6南西エリア】
[時間軸]:不明。少なくとも死亡後では無い。
[状態]:全身に疲労。頭部、腹部にダメージ。背部に痛み。オーガ、ドラゴンオルフェノクに30分変身不可。
[装備]: オーガギア
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しんだ上での優勝。
1:制限が解け次第、歌舞鬼と遊ぶ。
2:五代雄介、「仮面ライダー」なる者に興味。
3:桜井侑斗、香川英行とはまた闘いたい。
4:ゾル大佐、橘朔也と会ったら今度はきっちり決着をつけ、揺ぎ無い勝利を手にする。
5:「仮面ライダー」への変身ツールを集めたい。
6:木場勇治はどうせだから自分で倒したい。
7:三田村晴彦は面白い。玩具的な意味で。
※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。
※桐矢京介を桜井侑斗と同一人物かどうかほんの少し疑問。
* * *
五感をフルに活用し、素早く移動しながら辺りを探る。
赤い奴はしばらく浮かんでいたが突然力を失ったように地上に降りていき、その姿を見失った。
だが近くにいるのは間違いない。必ず見つけ、仇をとる。
遂に見つけた名も知らぬ宿敵を目にしてアマゾンが理性を保つ事等できるはずもなく…
バゴーや、ジャングルの仲間達への復讐に燃える男は、戦士ではなく――自由な草原に解き放たれた一匹の獰猛な獣であった。
【山本大介@仮面ライダーアマゾン】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:G-6北エリア】
[時間軸]:アマゾン本編1話終了後
[状態]:健康、激しい怒り
[装備]:ギギの腕輪、コンドラー
[道具]:無し
【思考・状況】
基本行動方針:十面鬼(名前は知らない)を殺す。
1:近くにいるはずの十面鬼を探し出す。
【備考】
※言葉は人と会話をしていけば自然と覚えます。
※コンドラーはナイフやロープ代わりになります。
※ギギの腕輪を奪われるとアマゾンは死にます。
※第一回放送をまるで聞いていません。
以上で代理投下を終了します。
投下乙です!!
北崎さんwwwwwまさかの擬似ステルスとは……
制限解除されたらどうなるのか想像するのも恐ろしい。
地味にゴルゴス追撃に入ったアマゾンにも期待!!
ただ一つ気になるのは、ここまでのショッピングセンター回を見返した限りでは、
北崎のバイクはあのまま放置されていたみたいですが……こちらの間違いなら申し訳ありません。
869 :
名無しより愛をこめて:2008/08/19(火) 14:20:46 ID:ekDXHqw10 BE:490315436-2BP(1)
投下乙
北崎さんがこのパーティに加わるとはw
アマゾンは一人、どこに行く!
放送後が怖いグループですが、面白く転がりそうです。
GJ!
投下乙です!
歌舞鬼さんの子供への優しさが裏目に出ましたねw北崎さんおっかねー!
脅される晴彦カワイソス。事が起こった際の京介のリアクションも楽しみです。
アマゾンは単身ゴルゴスを追って離脱!ですが、そちらの決着も気になります!
GJ!
投下乙!
楽しそうなところが怖いな北崎。
そしてカンパンとサバカレーw
GJ!
872 :
名無しより愛をこめて:2008/08/19(火) 15:14:52 ID:NEjwkpvoO
へた
投下乙です!
北崎さん、怖いよ怖いよw
とんでもない相手と正体を知りながら共に行動する事になった晴彦が不憫でしたw
アマゾンはいよいよゴルゴスと対決か?!
それぞれの今後の展開が楽しみです。GJ!!
875 :
名無しより愛をこめて:2008/08/19(火) 18:21:46
株 ID:ekDXHqw10 BE:953389875-2BP(1)
投下&代理投下乙!
まさか北崎が潜り込むとはwこれは予想外www
一人離脱したアマゾンは果たして幸運だったのかもこれから次第で目が離せない!
あと、北崎に怯える三田村がとても可哀想で思わず同情してしまう……w
GJ!!
>>874 スレ立て乙です!
青沼の事よく覚えてなくて
へ〜あのナマケモノオルフェノクも中の人がウェンツだったんだ
と納得した俺orz
>>877 お前は俺か
いきなり言われて「え?青沼だったっけ!?」って驚いてしまったw
879 :
名無しより愛をこめて:2008/08/20(水) 20:44:13 ID:Tke4jN0d0
青沼の役者はウエンツじゃない
それは知ってるw