おにゃのこが改造されるシーン素体11人目

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263名無しより愛をこめて
エピソード8:「月下の戦い」


操られた人々にビーリングハニーを空中から放射状にばらまき、洗脳を解いていく。
バタバタと倒れた住人達の背後にあるエレベーターを破壊し、真っ直ぐ下へ向かっていく。
降り立ったらすぐにプペロイドが迫りくるが、サキとナギサがそれぞれ武器で蹴散らしていく。
ジュンはプペロイド達を氷漬けにすると、それをユミが斬っていく。割れた氷柱は機械の体を持つ兵士ごと砕けていく。
「みんなを頼むよ!」
ナギサの声に頷き、ユミとジュンは研究所の奥へと進み、間にいるプペロイドを随時倒していった。
やがて牢へと辿り着いて、その前にいるプペロイドを瞬殺する。目の前には友達の姿があるのだ。
「みんな、下がって!」
3回ほどスワンサーベルを振ると、鉄棒が崩れ去る。だが、誰一人動こうとはしていない。
「どうしたの?みんな……早く逃げ……」
そう言ったら、ユミの目の前にいた瑞希が突然槍を出してきた。瞬時に殺気を察知して避けたが、表情が変わった。
というより、変わったのは子供達の方だ。全員がアントマリオンとなり、槍を持っていた。
「みんな改造されてる……」
「…………どうやら、俺らのクラスメートだけじゃないようだ」
他にも捕らえられている人間はみなアントマリオンになった。その数は50人はいるだろう。ユミとジュンは背中合わせになり、周りを見渡す。
見渡す限り大輔と詩音、綾の姿がない。もしや、別に改造されているのだろうか?
とにかく、ここで犠牲者を出したらいけない。先生の望みを叶えるためにも。
「ジュン君………誰も殺さないで………」
もちろんそのつもりだが、ジュンはユミを護るためならば誰かを犠牲にする覚悟でいた。
だか、彼女がそれを望まないし、その優しさこそがユミの強さなのだとわかる。
「努力する」
264ダイレン:2008/06/09(月) 17:36:40 ID:DjNQNDGPO
「やあああッッ!」
一斉に飛びかかってくるアントマリオン達。量産タイプなので戦闘力は自分達のが上だが、数が多い。
殺さないようにと気をつけるあまり、全力では戦えない。それが骸教授の考えだろう。
だが、それはユミだけでないなら問題はない。ジュンは一面を凍らせ、足場を止めた。その間にユミはRHR能力を使用してアントマリオン達を羽で包んでいく。
光によって浄化され、徐々に人間に戻っていく。ホッとするユミとジュン。
「あれ?あたし達……改造され………それにユミちゃん??」
「みんな、訳は後で話すから早く逃げて!」
だが、まだまだ問題がある。プペロイドとソルジャードールが何体かこちらへ向かってきている。
「ユミ、お前は大輔達を探し出して元に戻すんだ!。それまで、俺がみんなを護る!!」
「でも………」
「行け!みんなで帰るんだろ!!」
強い言葉に説得され、ユミはジュンを残してさらに奥へと進む。それを確認したジュンは友と人々を後ろへと下がらせて臨戦態勢を取る。
きっと健一ならばこうしていたはずだ。ただ、ジュンは彼と違うのは一線を越えるのを良しとすることだろうか。
「来いよ化け物共………ただし、手加減はしないがな」
フローズンネイルが生えてきて、彼は部屋の前に氷を張る。少なくとも時間稼ぎにはなる。ジュンはソルジャードール達に向かい、その爪を振るった。


ユミは眼前にいるフンコロガジマリオンを一刀の下に斬り伏せ、RHR能力で人間へと還す。
捕虜室へ行くように言い、さらに奥へと進んでいく。すると、何やら異様な気配を放つ部屋へと入る。
そこには龍人がいた。灰色に染まった鎧からも以前の姿を垣間見ることができる。
「健一君………」
意外な再会にユミは戸惑った。目を視てしまう。あの優しい目ではないが、綺麗な瞳がそこにある。
265ダイレン:2008/06/09(月) 17:38:18 ID:DjNQNDGPO
「また会ったな……女」
その言葉にハッと我に返る。そう、彼はマリオンザインだったのだ。元に戻す事が叶わないと告げられた斃すべき敵の1人。
「……………健一君、あたしと帰ろう……」
それでも諦めきれるものではない。何としても連れて帰りたい。それが自分で決めたことだから。
「お前など知らぬと言ったはずだ。ただ…………」
ザインは言葉を詰まらせた。何と表現すればいいのか。目の前にいる少女は自分を知り、自分は少女を知らないのだから。
「…………お前を見てると、心が震える………」
こんな状況だというのにユミはドキッとしてしまった。なぜなら、それは健一の心の欠片があるのを意味しているからである。
「お前は何者だ?なぜ、私の心を震わせる?」
「そ………それは………」
冷徹なはずの瞳の中に温かさを感じる。ユミはスワンサーベルを降ろし、ザインを見つめた。
歩み寄ろうとすると、天井に衝撃と亀裂が走った。ザインは後ろを向くと、姿を消し始めた。
「待って………」
「……………」
雷の如くその姿は一瞬の光が走ると同時に消えた。ユミが手を伸ばしても、もうそこにザインはいない。
だが、少しだけ希望が膨らんだ。まだ彼に繋がる糸が全て断たれたわけではないのがわかったから。
「………みんなを探さなきゃ……」
今はやらなければならないことがある。とにかく、今助けることの出来る者を助けなくては。
そう思っていると、陰から少女が1人出てきた。擦り切れる直前の黒い服を着ていて、顔はやや痩せている。
「……綾ちゃん?」
「………ユミちゃん……」
すぐに介抱してあげたいが、この場にいるのは不自然だ。もしかしたら洗脳か改造をされているかもしれない。
「一応、この羽に触れて」
大きい羽を1枚手渡す。だが、綾は中々受け取らなかった。
266ダイレン:2008/06/09(月) 17:39:40 ID:DjNQNDGPO
「あたしを疑ってるの?」
「え?そんなんじゃ………!?」
背後から巨大な蛇が迫ってきていた。しかも、水が蛇の型を象っているのだった。
振り向いてスワンサーベルで切り裂くと、ただの水になって周りに飛び散っていく。
そして、ユミはスワンサーベルを背後に向けた。なぜなら今の攻撃は綾が仕掛けたのが確定的だからだ。そして、水の刃をユミに向けていたのがその証拠と言えるだろう。
「やっぱり………改造されて………」
「違うわ……。あたしは自分から望んだの………ユミちゃんど同じ゙になりたかったから……」
「!!?。何を言ってるの………?」
空気中の水分が集まって水となり、綾を囲む。すると蛇を模した姿を見せた。髪はゴーゴンをイメージしているのか、ある程度放射状に伸びているようだ。
「ユミちゃん……これで条件は同じよね」
やっぱり洗脳されている。自分を゙ウイングマリオン゙ではなく、゙ユミ゙と言ったのは罠だったのだろう。
「今、自分をユミと呼んだのは引っ掛けるためと思ってるでしょ?」
「え?」
「本当にあたしは自分から改造………いえ、スネークマリオンになることを望んだわ……。神に近い蛇にね」
神に近い?。確かに水色で透き通ったような美しさを持っている。だが、感じられる気は毒蛇のように禍々しい。
水の刃はまだ形を完全には形成していない。振り回すと鞭のように伸び、ユミはそれを飛んで避ける。
室内であるため、高く飛行できるわけではないが高速移動という点では充分だ。
「洗脳されてないならなんで………どうして!!?」
近づいていく間にも蛇が地面を這うように素早く水の刃はアヤの下へと戻っていく。
「ユミちゃんはあたしの一番の友達だから………だからこそ憎い!!」
水の刃はさらに空気中の水分を集め、やがて長い剣へと変化した。水蛇を宿しだ草薙゙は白き刀と鈍い金属音を鳴らす。
アヤの能力が水を操ることなのは目に見えてわかる。だが、水を凍らせることなく硬化させて剣にしてしまうとは……
267ダイレン:2008/06/09(月) 17:40:48 ID:DjNQNDGPO
入り口ではサキとナギサがプペロイドやソルジャードールを相手に奮闘していた。
サキの前には改造された友人達がいた。ローズマリオン、パピマリオン、さらにはアゲハマリオンやエゾヨツメマリオンも。
「ふふふ………ビーマリオン、今日であなたともおさらばしたいものだわ」
前の自分ならばここで同じ言葉で返しただろう。だが、今のサキは違う。何が大切かを思い出せたから。
「みんな……元に戻してあげるわ……ハアアアァァァッッ!」
指先からビースティンガーを飛ばす。ひらりと避けられ、ローズマリオンの棘の生えた鞭、゙スパイクウィップ゙で槍が取られる。
だがそれを逆に利用して接近し、ローズマリオンへと拳を一撃入れる。槍を取り返すと腹を横にずらす形で突き、後ろに控えるパピマリオンにも飛針を撃つ。
しかし、それは空を進んで壁に刺さった。それは鱗粉の見せた幻であり、本物は他の2人と共にサキを囲んでいた。
「かかったわね!゙トライアングル・エクステーション゙!!」
3方向に散らばった蝶と蛾から鱗粉が巻かれる。サキの体の自由が急に効かなくなり、動かそうとすると痺れが生じてきた。
「これは……麻痺効果……」
「それだけじゃないわ。この鱗粉が巻かれてる間ばモルビーム゙の源が供給し放題なのよ」
鱗粉が一カ所に集まって圧縮され、ビームへと変換される。それがサキへと3方から放たれる。
「うわあああああッッ!!」
連続で放たれる光波にサキは受ける度によろけ、隙間がない攻撃に窮地に立った。
体が麻痺していているとはいえ、無理に体を動かそうにもビームのが先に動きを奪う。
「ハハハハハ!このままなぶり殺してあげるわ!」
虹色の光がサキの身を削っていく。次々と体の皮膚が火傷したように焦げを見せてきていて、見た目からもダメージが判断できる。
268ダイレン:2008/06/09(月) 17:42:04 ID:DjNQNDGPO
「サキさん!」
その状況に気づいたナギサは如意棒でプペロイドを振り払いながら走っていく。
だが、壁を突き破っで何ががナギサに襲いかかってきた。そいつは如意棒を当てても、痛みが感じないかのように突進を続けてナギサを壁へ押しつけた。
ビキビキとヒビが入る壁。ナギサはその毛皮に囲まれたような獣の顔を見る。
「………だ、大輔………」
何ということだ。改造され、洗脳まで受けた大輔が自分を襲うとは………。しかも、熊のソルジャードールに改造されると大輔らしい。
ベアーマリオンと言ったところだろう。だが、自分の手で救えるのならその方が好都合かもしれない。
豪炎球を大輔の胸へ当て、その手が放れた隙に拳をベアーマリオンの腹に入れる。
「グフゥゥゥ………」
「え?」
手応えはあるのに。手応えはあるはずなのに。ベアーマリオンも腕を振り上げ、ナギサを殴り飛ばす。
ナギサはそこで相手の特性に気づいた。相手の攻撃耐え、相手に強大なダメージを与える屈強の身体。それがベアーマリオンに与えられた能力なのだと。
「く………あんたにはお似合いの能力じゃない……ただ真っ直ぐに攻撃的な感じなんて……」
ナギサは如意棒を捨て、気合いを入れた。ググッと力を絞る。やがて超熱球と同じ色のオーラがナギサを覆い始め、彼女自身の力が燃え上がる焔のようになった。
「紅蓮特式・゙炎舞王゙(えんぶおう)」
ベアーマリオンはそのオーラを見て余計に興奮し、再び突進してくる。
両手を前に出し、ナギサはベアーマリオンの掌を掴んで受け止めた。ベアーマリオンは動きを止め、その勢いは完全に相殺されていた。
「!!?」
「うおおりゃああああッツ!!」
両腕を広げ、懐を空かせる。ナギサはめい一杯力を込めて拳をベアーマリオンの胸へ当てる。
269ダイレン:2008/06/09(月) 17:43:18 ID:DjNQNDGPO
「がっ………」
「りゃあああ!!」
左脚で顔を蹴り、もう一撃拳でベアーマリオンを殴る。負けじとベアーマリオンも頭突きでナギサを突き飛ばした。
距離を取ったベアーマリオンは考察した。とりあえず炎舞王は攻撃力を上げて、剛猿に擬態する技らしいことがわかる。
ただそれだけのことで互角なのだ。大輔由来の性格から、闘争本能が湧いてきて抑えられない。
「お前とはとことん闘りたいぜ」
「あたしも………。あんたとはケリ着けなきゃいけないしね」
今はサキを優先するべきなのだが、どうしても闘いたい。己が共に勝ちたいと思う相手だから。


ジュンは氷柱が連なっている中で死闘を繰り広げていた。クラス随一の秀才、柊 詩音が改造されたフォックスマリオンの繰り出す風の刃に苦戦を強いられていた。
「しゃらあ!」
氷がフォックスマリオンへ向けて伸びていく。しかし、彼女から投げられたブーメランが氷柱を細切れにしていく。
普段は眼鏡をかけた生真面目な少女が一転、攻撃的になっている。尻尾を模しだフォックスメッサー゙から繰り出される風刃が氷を切り裂いているのだ。
「詩音……お前みたいなタイプはそんなの似合わないぞ」
「………煩い……」
フォックスメッサーを掴み、ジュンのフローズンネイルとぶつかる。超硬度を持つ氷の爪は切られはしないが、弾く程の強さは持ち合わせていない。
ジュンは敢えて氷柱を砕いて倒壊させる。ガジャンと落ちていく氷の中でフォックスマリオンは冷静だった。
動かなければ自分には当たらないと踏み、その通り彼女には掠りもしなかった。
「こんな小細工であたしを止めようなんて……」
「止まるさ」
崩れた氷を潜り抜け、ジュンはフォックスマリオンの下へ辿り着く。
270ダイレン:2008/06/09(月) 17:45:21 ID:DjNQNDGPO
氷の爪がフォックスマリオンを斬り、態勢を立て直そうとした時に飛び蹴りで後方へ蹴り飛ばす。「悪いが黙ってもらうぞ!」
口に冷気を溜め、フリーズモーメントを吐く。しかし、彼女の目の前で風が作り出した壁が冷気を阻んだ。
「何!?」
「残念……お返しよ」
尻尾を振るとフォックスマリオンの周りにフォックスメッサーが9本浮かぶ。まさに九尾の狐と言ったところだ。
やがて回転していくブーメランはジュンに向かっていく。氷の壁を作ったが、風を纏ったフォックスメッサーに容易く微塵切りにされる。
掠りながらも全てを避けたが、9本がジュンをもう一度取り囲む。
「それは避けてもやがてあなたを追い詰めるカマイタチよ。あたしの゙セシル・リターナ゙からは逃げられない」
氷を張るが切り裂かれて落ちていく。砕けた氷が散り散りになり、照明の光でキラキラと輝いて美しい。
胸や脚の皮膚に食い込み、過ぎては戻ってくる。そして、次には確実に……………。
「終わりね………」
「……終わり?………ああ……そうだな」
氷の破片が七色の光を放ちながらジュンを包み、セシル・リターナとして放たれていたフォックスメッサーが動きを止めた。
「これは………光の膜……」
「氷は光を乱射する……それは時には美しいオーロラとして人々を魅了する………゙クリスタル・リフレクション゙」
3匹の氷狼が光より出てきて、フォックスマリオンに飛びかかった。交差して消えた時、彼女はズタズタに斬られていた。
出血を氷で止め、フォックスマリオンを脇にどける。力としては強い。出来れば戦力として迎えたいが………
(そういえばサキさんも風だったか?だが、サキさんのを見た時は風よりも……影という感じがしたけど……)
ふとジュンは考える。゙影゙の力を持つサキ、゙光゙の力を持つユミ。まだ2人には何か隠された能力があるような気がする。
先日のユミの潜在能力やRHR能力は特にそんな感じを匂わせている。そう、ジュンは考えた。
271ダイレン:2008/06/09(月) 17:46:22 ID:DjNQNDGPO
トライアングル・エクステーションによってサキはボロボロになっていた。麻痺も続き、立つことさえままならない。
「ぐ………」
「いいザマね」
モル・ビームの粒子を溜めている。恐らくトドメを刺すつもりだろう。このままではやられる………。
サキは小さい針に毒を注入し、自分に刺した。゙この作戦゙が上手くいかなければどちらにしろ殺される。
「さあ、死ね!」
3方向からビームが迫る。今までよりもずっと大きい。命中した場所は大きな爆煙が生じた。
「………やった………ビーマリオンを、裏切り者を斃した……」
勝利に浸るパピマリオン。洗脳されているとはいえ、ここまでサキの死を喜んでしまう。

゙ブゥゥゥゥン゙

「これは……まさか………」
音が聞こえた時、3体は羽根ごと体が斬り刻まれた。それは明らかにサキのビースラッシャーから繰り出すソニック・ストーム。
近くにいるローズマリオンは何が起きたか理解に苦しんだ。なぜ鱗粉の支配下で動けるのか。
彼女はサキの右腕に刺してある毒針に気づく。それは紫色から灰色に変わり、サキは針を抜いて棄てた。
「そうか………自分の毒でドーピングを施して無理矢理………」
「おかげで身体への負担は大きいけどね。さて、次はあなたよ」


意外にも重い斬撃を打ち込んでくるアヤ。振り払っても、水を出してユミは流れに圧されてしまう。
あまりに強大な水は洪水のように身を削ることが出来る。ユミは水の恐ろしさを改めて知った。
「ユミちゃん………あたしを認めてよ……あたしがユミちゃんより上だって……」
「うん……認めるから……だから……………きゃっ!」
再び水蛇を出してユミに攻撃を加えた。スワンサーベルでも切り裂ききれずに壁に激突してしまう。
272ダイレン:2008/06/09(月) 17:47:29 ID:DjNQNDGPO
「ふざけないで」
アヤは構えを変えた。草薙に気を溜めて、ユミに向けて振り下ろす。
「水槌(ミズチ)!!」
まるで洪水のような勢いの水を帯びた斬撃が地を這ってユミに迫る。やられるわけにはいかない。
ユミも光をスワンサーベルに気を集約させ、縦に一閃する。
「シャイニング・ハーケン!!」
互いの技がぶつかって相殺しあう。互いに次の一手を考え、煙越しにアヤは言葉をかけてくる。
「ユミちゃんは可愛くて、明るくて、優しくて………あたしの憧れ………」
「………!?。アヤちゃん?」
煙を裂いてアヤは草薙を振る。何とか裁いていってるが、刃と刃が擦り合って火花が散っている。
相当な力と勢いが込められているのである。ようやく切り結ぶ段階にまで至り、ユミとアヤは拮抗する刃越しに顔を合わせる。
「何でもそうよ………。いつもみんなが見てるのはユミちゃん………」
いつだったか放課後、教室に入ろうとすると男子が女子の人気について語っていた。
こっそり聞いていたが、由美と綾を比べるような話題が上がっていた。性格の明暗など、どれにしても自分は由美に劣っている………そう感じさせられた。
「そう………健一君だって、ユミちゃんしか見てない!」
「健一君…………?。アヤちゃん……もしかして………」
少しの油断で押し切られ、草薙の刃を身に受けてしまう。鎧を通して切り口からザブッと血が出てくる。
草薙の刃に付いた血をアヤは指で触れる。赤い血をアヤは舐める。苦い鉄のような味がする。やはり、自分とユミは同じはずなのだから。
「あたし見たわ。ユミちゃんと健一君がキスしたの………」
「!!?」
「しかも身体まで許して…………目の前で凄いもの見せられちゃった……好きな人が親友に盗られちゃうんだもの」
「違う………あれは………健一君とはしてない………」
「抱かれたも同然よ!。ユミちゃんはずるい!!ジュン君が好きなクセに健一君まで………そんなのずるいよ!!」

つづく