おにゃのこが改造されるシーン素体11人目

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139ダイレン
エピソード7:「ココロの瞳」

滑空するユミとサキ。人への被害を出さないために近くの雑木林へと移動し、その場で戦いを始めていた。
伸ばしたビースティンガーがユミのいた場所の空を突き、スワンサーベルの軌道を読んで槍先で防ぐ。
「防がれた……?」
「……だけじゃないわよ」
サキは持ち方を変え、鍔迫り合いをしたまま、スワンサーベルごとビースティンガーを回す。スワンサーベルは上空に行き、長針のみが元の位置へと戻ってくる。
「せいっ!」
白い羽の鎧から火花が散る。勝負を短期で決めるつもりか、連突きでユミを攻め立てる。
時折血しぶきも飛び始める。ユミは体を半回転させて槍先を避け、裏拳をサキへ浴びせる。
落下してきたスワンサーベルを掴み取り、そこに構える。体勢を立て直したサキは思った。
なぜもっと攻めない?、と。自分が自我を持っているからか?それとも彼女の優しさか?
どちらにしても舐められているとしか感じれない。きっと彼女はそうでないはずなのに。
「なんで君はそうなの……?。私を迷わせて……苦しめて…………」
ビースティンガーをもう1本出して2本槍をその手に取る。ユミは両手で刀をしっかりと持ち、迎え撃つ準備を整える。
ズキズキと痛む箇所は鎧越しに血を滲ませている。本気で戦っているのだろう。何とか誤魔化して止めれるような相手ではない。
(あたしも本気でやらないと……)
柄を握る力が自然と入る。目の前の人を止めなければ自分も、友達も、もしかしたら既に心を取り戻した渚達さえも殺されるかもしれない。
「サキさん!もうやめてください!!。サキさんのお姉さんや友達もあたしが助けますから!!」
戦わなければいけない。そう思いつつも説得できるのならばその方がいい。
140ダイレン:2008/06/03(火) 18:06:41 ID:8hiZfmJdO
ここにきて今だに理想論を吐くユミが疎ましく感じる。サキは羽根をさらに振動させ、飛行速度を増す。
ユミもまた刃を振り、互いの武器は空を裂いては相手を掠める。
「隙があるわよ!」

ビースティンガーがユミの脇腹へ向かう。食い込もうとする瞬間に右手のみで持ったスワンサーベルをユミは振り上げた。
サキは急いでビースティンガーを放して後退する。しかし、左脇から右肩までを白鳥の刃が一閃して血を流れさせる。
「ぐ………」
サキは少しずつ恐れを感じ始める。羽の鎧に比べれば自分の皮膚は防御力に欠ける。
とはいえ、容易く斬れるような代物ではない。少し触れたら斬られる。そんな刃に畏怖を抱く。
かつ、ユミは自分に比べれば戦闘経験が少ないにも関わらず力を使いこなし始めている。
「まるで、友達を思う気持ちがそうさせているよう………」
だが、友達を思うならばこそ殺さなくてはならない。それが゙ディソルバー゙としての役目………
「あなたも例外じゃないわ」
もう一度ユミに向かっていく。さっきまでとは打って変わって速さによる手数で攻めていく。
ユミは槍を裁くので精一杯だった。このままでは殺られると思い、隙を突いてサキの背後へ回る。
「サキさん!」
「甘いわね!」
羽根の向きを変えてスワンサーベルを弾く。ユミが下を見た瞬間、サキは密着してビースティンガーでユミの首を狙う。
「覚悟!」
「いけない……」
ピジョンバレットを作り出し、至近距離でサキを撃つ。よろけた隙に林の中へ消えた。木陰にいると思い、サキも入っていく。
昼間とはいえ薄暗い雑木林の中でユミの翼はわかりやすい。サキはビースティンガーの発射をいつでも出来る状態にした。
「さあ……出てきなさい……」
141ダイレン:2008/06/03(火) 18:07:47 ID:8hiZfmJdO
゙ブワッ゙

光が奥から見える。サキはビースティンガーを放ち、生えている木々ごと撃ち抜いていく。
すると、一層光が増してきた。木々が失せたからよくわかる。あれは光る球体だ。それがフワフワと浮いているのだ。
「あれは……」

゙ガサッ………゙

「!!?」
真上から猫型のソルジャードールが現れる。それは形態を変えたユミだった。先ほどの光球の正体はこいつの技だったと悟ったが、反撃の間は無かった。
「やああああぁぁァァァッッ !!」
拳が数発飛び、着地すると空中回転しながら蹴りをサキへくらわす。蹴り飛ばされて雑木林から飛び出たサキは体勢を立て直そうと羽根を目一杯振動させる。
それに力を注いでいたが、ユミはその隙間に先ほど見た光る球体を片手に飛びかかってきた。
ビースティンガーを突き出すが避けられ、ユミの手がサキの胸を触る。
「グラムボール!」
「ぐ………きゃああァァァッッッ!!」
エネルギーを乗せたままサキは岩に激突した。立ち上がろうとするが、ウイングマリオンの姿へと戻ったユミが目の前には立っていた。
「何してるの………早く殺しなさいよ!!。……私を………じゃないと私があなたを殺すわよ!あなたの友達もね!」
まるで挑発するような言い方。ユミは地面に刺さっているスワンサーベルを引き抜くと、悲しい目でサキを見つめる。
まただ。哀れむ目でこちらを見ている。気に入らない。
「さあ、殺してみろ!」
ボロボロながらも体を起こし、ビースティンガーを振るう。ダメージが大きいはずなのに、さっき以上の力で打ち込んできていて、振動が大きく伝わってくる。
「う…………」
「ハアアアアッッッ!!」
あまりの強い気迫に押され、ユミは腹部にビースティンガーの一撃を許してしまった。
「かはっ……」
鎧が防いでくれたが、痛みは強がった。サキはフゥッ、フゥッと息を切らしてはユミに叱咤をかける。
142ダイレン:2008/06/03(火) 18:10:11 ID:8hiZfmJdO
「さあ、どうしたの?終わり?早く私を斬りなさいよ……友達を助けられなくなるわよ!」
誘っている?、とユミは思った。戦いをではない。もっと別の何かなのだ。さっきから引っかかっているものがわかり始めてきたユミは口を開いた。
「…………寂しいんですね……」
「え?」
「あなたの攻撃からは悲しさと寂しさが伝わってきます………。まるで、あなたが消えてしまいたいと思う程に………」
゙消えてしまいたい゙。その言葉が出た瞬間、サキはビースティンガーを突き出してきた。それをユミはスワンサーベルで受け止めていく。
「うるさい!あなたに何がわかるの?………私の何が………私ばディソルバー゙!。ソルジャードール全てを殺すために戦ってるのよ!」
゙全てを殺ず。ユミは謎を解いた。なぜサキはさっきから自分に言葉をかけていたか、サキは何を求めていたか。
「やっぱり………てい!」
振り上げたスワンサーベルがビースティンガーを空へと弾き飛ばされる。ユミは力を込め、真上に来た刀を振り下ろした。
「スパークルハーケン!!」
白き光を放ちながら刃はサキの右肩から左脇までを斬った。サキはニヤッと笑いながら倒れ、そのまま意識を失った。


紗希は目を開いた。それは意外な展開だったのだ。自分は死んだはず………そう、ユミに斬られて。だが、傷は治っている。
しかも、ここはさっきまでスパイダーマリオンと戦っていたビルの屋上の上。その証拠に小夜子が気絶した状態であった。
それほど時間は経っていないようだ。程なくして由美がジュースを持って歩いてきた。
「良かった……気がついたんですね」
ポカリを差し出す由美。紗希は状況を飲み込めないでいた。
「どうして……どうして手加減したの?しかも、私を治療して………」
「あなたに死んでほしくなかったんです。あなたは、死を求めていましたから」
143ダイレン:2008/06/03(火) 18:11:20 ID:8hiZfmJdO
紗希は心を見透かされたような感じだった。そう。全てば己の死゙のためであった。由美に叱咤したのも、全ては殺してもらうため。
「あなたは非道い人じゃないはずです。出来れば、あたし達に力を貸してください」
「やめてよ………。私ばディソルバー゙なのよ!ソルジャードールを殺す存在……」
「あなたば紗希さん゙です!。゙ディソルバー゙である前に、紗希さんは紗希さんじゃないですか!!」
「…………!!?。私は………私?」
改造されてからずっと自分に言い聞かせてきた。自分ばソルジャードール゙だと。
戦うだけしか出来ない存在。だから戦おうと決意した。全ては自分の生きる意味を見つけるため………
違う。死にたかった。リンバンパイアマリオンとなったリンを殺してからは特に。
自分は罪深い存在。決して人に戻れない。ならばいっそ、ヘルマリオンと戦い、人間のために死にたい……そう思っていた。
しかし、それは由美の登場で変わった。彼女は自分の選べなかった道を選んだ。それは力があったからかもしれない。
だが、力はただ力。それを使うにも。戦う道を選ぶのもその゙思い゙が必要なのだ。
自分にはない強さ………いや、失ってしまった強さだ。例えRHR能力がなくても由美はこの道を選ぶのではないだろうか?。
「あたしも……先生を殺してしまいました………大好きだった木村先生を………」
「………何よそれ?結局あなたも私と同じね!!。罪人だわ……綺麗事ばかり述べても、現実はそうはいかないのよ!」
感化されて損した。結局は由美も自分と同じ………そう感じるには複雑な感情があった。
「そうかもしれませんね………でも、あたしはそれでも、みんなを助けたいんです。それが先生と……゙あたじが望んでいることだから」
144ダイレン:2008/06/03(火) 18:12:58 ID:8hiZfmJdO
真っ直ぐすぎる。自分の気持ちに正直に………由美の偽りなき言葉に紗希は感銘した。
自分はそうじゃない。勝手に殺す以外の道がないと決めつけて………引き返そうとせずに………
゙野々村 紗希゙としての選択は本当にソルジャードールを殺すことなのか?戦い抜いて死ぬことなのだろうか?
「でも……私はもう友達を何人も殺してるわ………血で汚れた手で今更……」
「それでも、あたし達は選べるはずです。血で汚れても、他の人を血に染めない道を………。きっとそれが…………自分を選ぶっていうことだと思うから」

゙パリィィィン゙

鎖が外れた。紗希の心に巻き付いていた鎖が一斉に断ち切れたのである。
「ん………ここは………?」
小夜子が意識を取り戻した。紗希はそれに気がつくと、すぐに小夜子を抱きしめた。
「紗希……?」
「小夜子…………ごめんね………ごめんね………」
彼女は実に1年振りになる涙を流していた。それは罪に対してでなく、ただ友達が無事だと安心した18歳の少女の、゙紗希゙の涙だった。


その頃、渚と純は健一の家を訪ねていた。健一の母親の理奈は快く迎えてくれた。
だが、そのヘルマリオンの名前を口にした途端に表情は険しくなった。不可抗力とはいえ、純達は自分達の置かれている状況を話した。
「健一は………王の力が目覚めてしまったのね……」
「はい。俺達はどうにか健一を元に戻す方法を考えてるんですが………」
理奈は直樹の妻と同時に優秀な助手でもあった。彼の行った自分達を守るための行動が、多くの人々を苦しめている。
それについては息が詰まる思いだった。少し悩んだが、理奈は全てを話す決意をした。
「11年前………私達がヘルマリオンを脱出した日……仮面ライダー達によってヘルマリオンは一度壊滅したわ……」
145ダイレン:2008/06/03(火) 18:15:15 ID:8hiZfmJdO
直樹が殺され、追いつめられた理奈と赤ん坊の健一。彼女達を救ったのは歴代ライダー達だった。
プロトタイプとなるプペロイドしかいなかった当時のヘルマリオンはライダー達は容易く壊滅させた。
だが大首領は手強く、11人でも手こずった。致命傷を負わせたが、完全に消滅させるには至らなかった。
だから仮面ライダー達は自分達のエネルギーを使って異次元の奥底へ封印した。それにより、仮面ライダー達は変身能力を失ったのである。
「だから仮面ライダーは人類の危機に現れてくれないのね……」
「でも、ヘルマリオンは復活した……いったい誰が?」
「わからないわ……ただ、前のヘルマリオンと脈を受け継いでるのは確実よ……」


純と渚が帰路に着く頃には薄らと暗くなっていた。5月も最後、6時30分を過ぎてもまだ明るい。
「もう1ヶ月も経ったんだね………」
「そうだな」
2人は理奈に言われたことを思い出していた。゙健一を助けで。そう、言われたのだ。
「………肝心の由美がダウンしてるんじゃな………」
「………そんな心配いらないかもな……」
「ん?」
純が指差した方向、そこには笑顔で走ってくる由美がいた。そうだ、きっと彼女が………2人はそう思って由美を迎えた。


町外れにある獅子堂探偵事務所。前の仕事は危なっかしい事件ばっかだったが、最近は落ち着いている。
夕方になってもみさきが帰ってこないので、自分自身で煙草を買う羽目になった。小五郎は自販機にコインを入れようとすると、おつりが出てきた。
故障ではない。返金レバーに指があった。その主は彼の古い友人だった。
「煙草は体に悪い。奥さんに言われてたろ……小五郎」
「猛か?久しぶりだな………2年ぶりか?」
久々に再会した2人。彼らは幼い頃からの親友だった。同じ幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、そして警察へ………。
146ダイレン:2008/06/03(火) 18:18:15 ID:8hiZfmJdO
酒屋に入った2人は自分達だけで話せるように座敷を頼んだ。落ち着いた2人は杯を交わす。
「お前、本当に探偵をやってたんだな……昔ば疾風の銃弾゙って言われた早撃ちの天才が………」
「昔の話だ………」
運ばれてきた唐揚げに箸をつける小五郎。まるで忘却の彼方へと放り込みたいようだ。
「やはり……゙あの事件゙を引きずってるのか?」
「……………何の話だ?」
天才と言われた小五郎が警察を辞めなければならなかった理由、゙ある事件゙。猛は当時の捜査資料とヘルマリオンの資料を見せた。
小五郎は2種の資料を見ている内にある共通点に気づいた。゙あの事件゙に関する人物について書かれていたのである。
「各国の主要都市や軍隊を攻撃した謎の少女………これはおかしいと思わないか?」
酒を飲み、小五郎は資料をファイルに入れる。そして思い出す。1人の少女を犠牲にしだあの事件゙、骸 氷雨を犠牲にした事件を………


よく晴れた次の日、長田はヘルマリオンについての情報を゙上゙へ報告した後にコーヒーを飲んでいた。
猛が小五郎に会いに行ったらしいが、゙あの事件゙の責任を感じて辞めていった彼に言葉は通じるだろうか?
そう思っていると、見覚えがある人物が歩いてくる。
「帆村さん………?」
半ば笑みを浮かべた彼女は長田の机の前に立つと、右手を差し出した。
長田はふと左胸に手を当てるそこには銀色に光る針があった。心臓は確実に貫かれており、血も尋常じゃない量を吐き出した。
「あなた方は知りすぎましたね………我々ヘルマリオンのことを………」
「そ、そうか………。君は彼女の双子の姉………」
どさりと倒れ込んだ長田。紗希と同じ顔をした紗耶に皆騙され、命を落とした。彼女が歩く道には長田と同じく、紗耶に殺された警察庁職員の死体が転がっていた。
「藤宮………獅子堂………お前達に任すぞ……。世界の……明日……」
銃を紗耶に向けたまま、銃弾を撃つことなく長田はその命の灯火を消した。
147ダイレン:2008/06/03(火) 18:19:13 ID:8hiZfmJdO
紗希を加えた由美達は小五郎がいない獅子堂探偵事務所で話し合っていた。今夜、大規模な救出作戦を決行することを。
「私達は戦闘能力が高いわ。より攻撃特化した能力を持ってるから、作戦の成功率は低い訳じゃない」
紗希は子供達に先立って作戦を立案していた。まず、紗希・渚が陽動役に回るということ。
とは言っても、本気でやらなければたちまちやられるだろう。だから本気にならなくてはならない。
「殺さないよう上手くしろってことか……」
純は捕らわれてる5年3組や人々を解放すること。そして、由美はソルジャードールに改造された者を人間に戻すことである。
つまり、由美は戦闘も救助も行わなければならない。それは承知の上だが、相当危険が生じる。
それでもやるしかない。犠牲者を増やさないためにも、みんなを苦しめさせるわけにはいかない。
「決行は今日の夜よ。こちらの行動を変にさらすよりは、早い内にやった方がいいはず」
「そうですね………」
味方が1人増えただけでも心強い。由美達は一同に意を決して、静かに夜を待つことにした。


「いやあああああ!!」
少女の声が聞こえてきた。また改造が始まったと、ホーネットマリオンは涼しい顔で過ごした。
マリオンラーヴァの機械触手がグイグイと幼い少女の体を包み、蝕んでいく。
たまに女性特有の臭いを放つ液が垂れてしまうほどに、少女の性感を刺激している。
改造が終了すると、中からは蟻を模した容姿の少女が出てきた。
「アントマリオンは安上がりでいいのお………」
骸は時計を見た。時刻は深夜0時37分。焼酎を飲み、画面を見る。そう、そろそろなのだ。


由美達は六本木ヒルズの前にいた。本来ならば寝ている時間帯だが、そんな事を言ってる場合ではない。
潜入しようとしたが、その周りには寝ているはずの住民たちが徘徊していたのである。
「気づかれてたわね……でも、作戦内容に影響はないわ」
「行きましょう。………変身!!」
それぞれ光・風・炎・氷を纏い、彼女達は飛び出していった。

つづく