3 :
名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 00:18:38 ID:u27h7KPwO
復活したんだ
本放送は、
森山隊員が水着になる回がなかったのが残念。
宮崎ロケで一回泳がせとくべきだった。
5 :
ゴロザウルス:2008/05/25(日) 23:04:11 ID:4O9VtSA80
前スレで少し書いていたものです。
新スレを見つけたので投下します。
『怪獣ガチャポンは侵略兵器?』
「おーい。光太郎さーん」
さわやかな天気のある日、光太郎はパトロール中に自分を呼ぶ声を聞きふりかえっった。
すると十数人くらいの小学生が人だかりを作っているのを見つけ、その近くに手を振る健一の姿を見つけると、
笑って近づき、何をしているかを尋ねた。
「ああ、これは怪獣ガチャポンさ」
「怪獣ガチャポン?」
「そう。光太郎さんにも一つあげるよ」
そういって光太郎に一つわけると健一は説明をはじめた。
怪獣ガチャポンはいま健一の学校で流行っていて、放課後になるとこうして集まっているのだという。
一通りの説明を受けた光太郎はガチャガチャのほうにめを向けると、一人で黙々とガチャガチャをまわす子供がいた。
「ところで健一君あそこでずっとガチャガチャを回している子はだれなんだい?」
「ああ秀一君だね。秀一君は転校してきたばかりなんだけどすごくガチャポンについてくわしいんだ。
でも僕らが遊びに誘おうとするといつも断るんだよ。」
「へぇ・・・。あっ、いけない!パトロールの途中だった!それじゃあ健一くん。ガチャポンありがとう。」
光太郎は秀一がなぜいつも一人でいるか不思議に思いながらもあわててパトロールに戻った。
6 :
ゴロザウルス:2008/05/25(日) 23:04:34 ID:4O9VtSA80
「定時連絡がないから何があったのかと思えば道草をくっていただけだとは」
基地に戻った光太郎
は荒垣副隊長に説教を受けていた。
「それで東。お前はパトロール中になにをしていたんだ?」
「はぁ。健一君と偶然会って『怪獣ガチャポン』について説明してもらっていたんです。」
荒垣の質問に対して光太郎は答え、証拠として怪獣を差し出した。
それを見た荒垣は眼を丸くし、怪獣をまじまじと見つめた。
「ほぉ・・。よくできてるな・・・。それはそうとして今後は気をつけろ!」
荒垣の説教から開放された光太郎はほっといきをついて自分の席へ戻った。
「東。おまえも災難だったなあ」
南原隊員が笑いながら光太郎の肩を叩いた。
「まあ自業自得ですから仕方ありませんよ。そういえば南原さん。僕にはあのガチャポンは前にも見た覚えがあるんですけど?」
「おっ。お前もか。さっき見させてもらったけど確かに俺も見覚えがあるんだよな。どこでだろう?」
と南原と光太郎は不思議に思っていると、よこから話をきいていた森山隊員が言った。
「これって前撃墜した宇宙船の残骸から出てきた小型化された怪獣に似てない?」
「そういえば似ているような・・・。まあ関係ないけどな」
と副隊長席の上にある怪獣を見つめながら南原が言った。
7 :
ゴロザウルス:2008/05/25(日) 23:05:37 ID:4O9VtSA80
それから数日後健一は秀一とともに下校していると目の前に見たこともない怪獣ガチャポンが落ちているのを見つけた
秀一は、止める健一をよそにそれを家に持ち帰ってしまった。
光太郎はそのことを健一から聞くと、森山隊員の言っていたことが頭をよぎり、健一と共に秀一の家を尋ねることにした。
だが何度尋ねても秀一は家から出ようしなかった。
それから数日後、秀一は人形がだんだん大きくなっていることに気づいて気味が悪くなり捨てた。
誰に相談していいかわからず、秀一は暗い気分になっていた。
「君は秀一君だね」
突然自分を呼ぶこえがして、秀一が振り返ると、そこには光太郎が立っていた。
少し話さないかと光太郎に言われ、秀一はしぶしぶそれに応じた。
「なあ秀一君、何で君は僕らが家に来ても出てきてくれなかったんだい?
それにどうして君はあんなに怪獣ガチャポンについて詳しいのに誰とも遊ばないんだい?」
ゆっくりと、さとすような光太郎の質問に秀一はおずおずと口を開いた。
「実は僕のうちはすぐ引っ越すんだ。父さんの仕事が忙しいから仕方ないけど
引越しになると転校しなきゃいけないでしょ?だからどんなに仲が良くなっても別れがつらくなるだけだから
誰とも仲良くなりたくなくなったんだ。」
8 :
ゴロザウルス:2008/05/25(日) 23:05:55 ID:4O9VtSA80
「そうだったのか・・・。」
光太郎は視線を落とし、その後秀一に視線を向けて言った。
「確かに別れはつらいかも知れないけどそれはいつか誰でも体験しなきゃいけないことなんだ。
君はそれが少し早かっただけのことだ。それに本当に大切なのは友達と過ごした時間じゃない。
どれだけその友達と触れ合えたかなんだ。別れはその時間の終わりじゃなくて新たなる始まり、
だから別れのときはめいっぱい悲しんで、それを糧に互いに新しい時間に進まなきゃいけないんだ。」
光太郎の言葉を聞き、秀一は何かを感じ、口を開いた。
「ずっと遊びの誘い断ったことみんなに謝らなきゃ・・。」
「それがいいよ。あっそうだ秀一君。君が拾った怪獣の人形はどこだい?
もしかしたらアレは宇宙人の持ってきた怪獣かも知れないんだ!」
光太郎は本来の目的を思い出し、秀一に尋ねた。
「ええっアレは川に投げ捨てちゃたよ!」
と秀一が言うと突如、川から怪獣が飛び出した。
「まずい、秀一君逃げるんだ!」
光太郎はそういうと怪獣−メガザウルスに向かってゆき、ZATガンを放った。
するとバッジが光り、光太郎はタロウへと変身した。
9 :
ゴロザウルス:2008/05/25(日) 23:06:23 ID:4O9VtSA80
メガザウルスにむかってゆき連続でパンチを叩き込んだ。
しかし、メガザウルスはびくともせず、逆に怪力でタロウをなぎ倒した。
接近戦は不利と判断したタロウが距離をとろうとすると、メガザウルスは火炎を吐き、タロウを苦しめる。
危険を示すカラータイマーが鳴り、タロウの限界が近くなっいったその時、
逃げたはずの秀一がメガザウルスへ罵声を浴びせていた。
たしかにメガザウルスは宇宙人の侵略用怪獣だったが秀一と共にいるうちに、
秀一の別れに対する恐怖心を栄養としてより強大になっていた。
秀一は漠然とだがそのことがわかっており、責任を感じたのだ。
その時、タロウは秀一の声に気をとられ、一瞬の隙ができたメガザウルスにストリウム光線を叩き込んだ。
メガザウルスは地に付し、タロウは空へ飛び去っていった。
10 :
ゴロザウルス:2008/05/25(日) 23:06:45 ID:4O9VtSA80
約一週間後、再び引っ越すという秀一を見送りに、光太郎と健一がきていた。
「いろいろありがとう光太郎さん、白鳥。次こそは上手くいくようがんばるよ。」
「そうかがんばれよ君なら大丈夫さ。」
秀一に対して光太郎はそういった。
「そうだ白鳥。せんべつにこれあげるよ。」
そういって秀一は健一に怪獣人形を差し出した。
「ありがとう秀一君。むこうでもがんばってね。」
健一も秀一に別れを告げる。
車に乗り込み去ってゆく秀一を二人は車が見えなくなるまで手を振り続けた。
おわり
おまけ
光太郎がZAT作戦室に入るとなぜかたくさんの怪獣ガチャポンが置いてあった。
不思議思った光太郎が近くにいた北島に尋ねるとそこには光太郎にガチャポンを見せられて以来、
すっかりはまってしまった荒垣副隊長の姿があったという。
11 :
名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 20:18:24 ID:yEiZbFm10
あげ
12 :
名無しより愛をこめて:2008/05/28(水) 19:20:56 ID:ri8vOIV3O
保守
13 :
名無しより愛をこめて:2008/05/29(木) 01:08:58 ID:J20o9Pah0
バサラのツタで緊縛される森山隊員。ハアハア
バサラのツタで緊縛されるウルトラの母。ハアハア
15 :
名無しより愛をこめて:2008/05/31(土) 19:43:40 ID:S1DYxJcbO
あげ
16 :
名無しより愛をこめて:2008/06/03(火) 00:16:07 ID:RoEhTWOHO
保守
>>5〜10 ガチャポンのネタとネーミングはいい。
ただストーリーが少し定番過ぎたかな。
「タロウらしいストーリー」を気にすると、
そうなっちゃうってのはわかるが。
思ったんだけど、レオのツルク星人編が、
もしもタロウだったら…?みたいな話はどうだろう?w
さすがに胴体切りはできないと思うけど
というか、ウルトラシリーズというのは大御所の初代とセブンのエピソードをどう
アレンジするかで展開しつづけてきたから。新シリーズで独自のテイストが
確立されているエピソードは稀。
ところで、このスレがたつたびに出る質問だけど、タロウ以外のウルトラで
書くのはダメ? ダメだったら別にスレを立てる事も考えるけど。
過去スレではレオとか書かれてたしいいんじゃない?
『血を吸う蝶は少女の精』
吸血魔蝶・テフラ 登場
時期的には最終回も近い末期辺り。
まだ冷え込む春先の一時、たまさかうららかな陽が注ぐ何時もの東京一帯。
一戸建ての一軒の庭で名もない主婦が洗濯物を干していると、傍らで遊んでいた幼い娘が
上方を指差した。
一匹の蝶が飛んでいる。
日差しに映えてきらめく虹のように美しい色の翅に、母娘は心和んで笑う。
蝶は、優雅に羽ばたきながら庭に近づいてきた。
突然場面は変わり、小学校から下校中の白鳥健一少年と友人達。
「怪獣用の殺虫剤?」
「そう。というより『殺獣剤』とでもいうのかな?」
アリンドウ事件の際に健一と一緒に事件に介入した友人・としおは答えた。
あの事件では、ビルの新建材を食い荒らす大きな蟻の出現で都内の建造物に被害が出て、建築技師である
としおの父も巻き込まれて難儀した。そこで各方面から技術者が集まって、変異体害虫に対抗するための
薬剤を開発しているという話を、としおは父から聞いたのである。
「まあ、街の中でも油断してるとそこらへんから怪獣が出てくる物騒な世の中だしな」
ゲラン事件で自らの剣技で怪獣ゲランの幼体を退治し、更に親ゲランにも立ち向かった、文武両道で
相変わらずクラスのリーダー格の竜一が、木刀を携えながら嘆息。
「でも、怪獣も同じ地球に生きてる生き物な訳だし・・・無闇に殺していいのかな」
悲しい顔をするのは、キングゼミラ事件で、一週間で寿命で死んでしまうキングゼミラの助命を
ZATに嘆願した、昆虫好きの正一少年。
「といってもなあ」
更に暗い顔をする友人・大介。
「実際に巻き込まれるほうはたまったもんじゃないし・・・」
彼はマシュラ事件で行きがかり上キノコ怪獣マシュラの幼体を食わされる羽目になり、その影響で
頭が大きなキノコの笠と化したキノコ人間になって操られるという数奇な体験をした者の一人である。
ウルトラマンタロウの介入によって元に戻れたものの、簡単に忘れられる恐怖ではない。
友人達の様々な反応の中で健一も考え込んでいたとき。
通りかかった道路に面した森の木々の上から、何かがどさっと落ちてきて、耳障りな鳴き声を上げた。
「こいつは・・・!?」
竜一が真っ先に反応し、反射的に木刀を抜く。
ゲランの幼体。噂をすればとばかりに。
茂みからも数匹這い出してきて、子供達を見て吼える。怯える大介。
「まだ残ってたのか!?」
竜一はゲラン共に挑みかかり、木刀を揮って立ち向かう。彼の剣技は日々のたゆまぬ修練で更に
研ぎ澄まされており、確実にゲランにダメージを与え、何匹かは一撃で息の根を止めている。
しかし、ゲランはまだまだ森から這い出してくる。きりがない。
「くそ・・・!」
健一ととしおが正一や大介を庇っている前で、竜一が息を切らして歯噛みしていると。
「下がりなさい!」
警告のアナウンスと共に大きなバンが数台走ってきて急停車し、中から、白い防護服で全身を覆った
集団が一斉に降りてきた。異様な光景に、子供達はゲランの出現時以上に引く。
一団は子供達を下がらせ、ゲランの群れに向かい、それぞれ背負っていたボンベに繋がれたスプレーから、
白いガスを散布し始めた。
「あれは・・・!」
としおが気付く。
「父さんが言ってた殺獣剤だ!」
その効果はてきめんだった。ゲラン達は忽ち苦しみ始め、ばたばた倒れて悶絶していき、一匹も
生き残らなかった。
「危ないところだったね、君達」
バンから続いて降りてきて健一達を更に引かせたのは、ぼうぼうの白髪に鋭い目つき、曲がった背を
白衣に包んだ見るからに怪しい老人。表情が異様に歪み、子供達は更に警戒。
老人は子供達を安心させるために笑いかけたつもりだったのだが。
殺獣剤『ベノキロン』の開発には、民間の企業だけでなく、宇宙科学警備隊の上部も関与していたが、
本来都市防衛を任されているZATがそれを知らされたのはかなり後になってからだった。鮫島参謀の
承諾はなされており、ベノキロン開発部の活動に対して出来るだけの便宜を図るようにという通達も
寝耳に水同然だった。
ゲラン幼体の生き残りの群れの死骸を分析部に送った後、白衣の老人、ベノキロン開発の中心である
毒島主任はZAT基地の作戦室に出向き、改めて挨拶した。しかし、決して歓迎という空気ではない。
それを意に介する風もなく毒島は語る。
「ライブキング、コスモリキッド、バードン、ケムジラなど、一般人の生活区でこれまでに起きた怪獣
事件による、場合によっては死傷者も出ている被害は決して少なくない。そして、その状況は現在に至っても
さして変わっていない。かつての怪獣は殆どの場合人工密集区の外に出現し、その侵入を防ぐ作戦を行うのが
基本となっていた。しかし、現在は市街地の中心部に怪獣が突然現れるケースが激増し、迎撃に向かう前に
既に被害が出るのを余儀なくされている。これは決して正常な状態ではない」
光太郎や南原や北島は言い返したげだが、朝比奈隊長と荒垣副隊長に視線で抑えられている。
「だが、だからと言って防衛隊の人員を無理に増員して都市内の警戒態勢を強化しようとしたところで
所詮は敵とのいたちごっこだろうし、警備要員が街の目に付くところ中にいるのでは、市民に精神的な
負担を強いることになるだろう。そこでだ。
殺獣剤ベノキロンの生産体制が整った後、民間人各自の自衛手段としてベノキロンを各家庭に配布する予定だ」
北島が目を見張る。
「それは・・・幼体とはいえ怪獣を即座に殺傷できる薬剤を一般に流布させるのは、別の危険を発生させるのでは
ないかと愚考しますが」
「危険というなら、通常の家庭用の殺虫剤や洗浄剤だって人に向ければ充分危険な毒物だ。それとも、
例えば君達ZATの全人員を動員したところで、東京だけに限っても都民一人一人全員の安全を24時間完全に
監視出来るのかね?」
「それは・・・」
「負担を分けられるところは分けたほうが効果的だと思うが、いかがかね?」
と、対話しているところに、事件の通報が入った。
犠牲者が出た。
冒頭で洗濯物を干していた主婦が、全身の血を抜かれて失血死。
遺体がシーツを被されて担架で運ばれていき、残された幼娘が泣き喚きながら同行させられていく。
事件発生の際、悲鳴を聞いて近所の家から出てきた付近住民の目撃談によると、綺麗な色の翅で飛ぶ、
普通よりちょっと大きいサイズの蝶が、細長い管の口を素早く伸ばして主婦の首筋に突き立て、
主婦は抵抗もつかの間、あっという間に青ざめて倒れたという。血を吸われたのであろうことは間違いないと。
その後、蝶は直ぐ飛び去ってしまったという。
急行して現場に立ち合うZAT一同は痛ましさに眉をひそめる。
それだけでなく、光太郎は奇妙な既視感を覚えた。
この手口は以前見たことがある。だが、余り思い出したくない感覚。
その後も同じ手口での犠牲が続けて発生。捜査の続行は当然として、やはりベノキロンを一般家庭に流布させる
べきだという意見が強まることになった。
ZATメンバーだけの作戦室で、荒垣は隊員一同に戒告。
「一応言っておくが、毒島主任は地球侵略を企む宇宙人が地球人に化けたりしてるわけでも何でもないぞ。
彼なりに効果的な防衛計画を考えた上でのことだということは忘れるな」
鮫島参謀はどうか知らんがな、と朝比奈は脇で小声で漏らした。
荒垣「これまでの我々の防衛体制が至らなかったのは確かだ」
北島「それは判るんですが・・・」
南原「しょっぱいなあ・・・」
光太郎「何とかなりませんか、副隊長? 僕がこれまでの倍、いや、三倍でも四倍でも働いて街をパトロール
します。寝るなというなら一睡もしないで」
森山「そんなことは無理だって判り切ってるでしょう、東隊員」
光太郎「しかし・・・」
「まあ、暫く様子を見ようじゃないか」
朝比奈は泰然と構えていた。
毒島配下の部隊はZATと別働して捜査に介入し、発見され始めた吸血蝶を次々と殺獣剤で狩り始めた。
これまでのデータにない未知の存在である吸血蝶に対してもベノキロンは有効で、確実に駆逐されていく。
駆逐活動の途上で、アリンドウやケムジラなどの他に潜伏していた幼体怪獣も成長する前にとどんどん
狩られていく。かつての事件で有害であることが確認されている種なので、特に苦情が出ることもなかった。
毒島隊の抵抗に対し、敵は、思いの他直接的な報復に出ることになる。
郊外の一角にベノキロンの開発工場と研究施設が建てられ、毒島隊はそこを根城にして活動していた。
次々と同胞を狩られた吸血蝶は、その施設に向け、群れをなして攻撃を仕掛けてきた。
「ふん、そのくらい予測済みじゃわい!」
毒島の命で防護服の軍団が出動し、一斉にベノキロンを散布。先行した吸血蝶の群れが退治されていく。
後続の群れは危険と判断したのか、一端後退。
「恐れをなしたか。だが逃がしはせん、ここで一気に殲滅してやる!」
毒島は防護服部隊に追撃を命じ、部隊は更に追い縋る。
と。
逃げるかと思われた蝶の群れは踏み止まり、一箇所に集結し始めた。
そして、細胞レベルで融合して身体を再構成。一体の巨大怪獣・テフラに変貌した。
大きな翅は美しい蝶の翅のままだが、それを生やした本体は、アゲハの幼虫と爬虫類が混ざったような
グロテスクな姿で直立している。体表の色も派手で毒々しい。そんな巨体でずんずんと歩み寄ってくる。
「怯むな! ベノキロンが有効なのは確認されておるのだ、続けて散布しろ!」
部隊は従ってベノキロンを吹き付ける。
だが、巨大怪獣化したテフラは、今度は平然としている。
免疫がついてしまったらしい。
逆に、浴びた殺獣剤のガスを自ら吸収。体内で変質させて鱗粉に変え、翅を羽ばたかせて撒き散らす。
突風と共に虹色の粉が一帯に広がり、それは防護服も無視して部隊に効果を発する。
一瞬呆然とした防護服部隊は、直後、獣のように叫びながらお互いに掴み合っての取っ組み合いを始めた。
何事かと驚いた毒島は、鱗粉の成分をスキャンして分析。
「興奮効果のある幻覚剤・・・お互いが敵に見えているのか!?」
まだ幻覚効果を受けていない部隊を慌てて退かせる。
障害を排したテフラは、争う部隊を尻目にそのまま進撃し、直に体当たりして研究施設の破壊を開始。
「そんな・・・」
愕然とする毒島は、他の研究員達に連れられて施設から逃げ出すしかなかった。
かくして、事態を知らされたZAT漸くの見せ場となる。
地上装備で駆け付けた後、森山がラビットパンダを操作して威力を下げた電撃を発し、取っ組み合う
部隊に電気ショックを与えて正気に戻し、後退させる。
続いて、テフラに対して地上からザットガン掃射での牽制。
撃ちながら野山を走っていた光太郎は、ふと視線を向けた方向を凝視し、目を見張った。
ずっと抱えていた違和感の正体が氷解した。
して欲しくなかったような相変わらずの不快さも拭えない。
山野の一角に、思い切り不自然な存在。
フリルに飾られたドレスを纏った、フランス人形のような幼い少女。
すぐ近くで怪獣が暴れているというのに、全く怯える様子もなく整然と立っている。表情そのものが
乏しい。そして、手に携えている、刃が妙にぎらついている剪定鋏。
手を絶えず動かし、刃をじょきじょきと開閉し続けている。
と、テフラが体を大きく動かした弾みで、少女の背後の絶壁が崩された。落石がそのまま少女に
降り注ぐ。
時間が止まっているような感覚で、その光景を見詰め続ける光太郎。
少女は、死ななかった。
彼女の周囲に、半透明の赤い障壁が球状に展開し、それが全ての落石の衝突を防いでいた。
うっすらと放たれているその赤い光にも、何処かで見た覚えと共に、ちりちりと苛立つような
感覚を刺激される。
だが、そこまで。
怪獣の暴れる轟音に意識を引き戻される。
何時の間にか、少女の姿は影も形もなく消えていた。
一方、テフラはZATの攻撃にも怯むことなく、更に研究施設を蹂躙している。
腕のウルトラバッジが輝き、今は事態の収拾に努めるべきだと自分に言い聞かせる。
バッジを外して掲げる。
「タロウーーーーーッ!!」
光芒と共に、光太郎はウルトラマンタロウに転じた。
テフラはタロウを見止めて敵意を露にし、両者は走り寄って格闘を開始。
序盤は拮抗していたが、タロウのアトミックパンチの連打に次第に押され始めたテフラは、
羽ばたいて飛びながら下がって距離を取る。
タロウが追ってきたところで着地し、あの素早く伸びる口を突き出す。
加速がついて止まれないタロウは体を捻って直撃を交わすが、伸びて通り過ぎた口は背後で曲がって
向きを変え、鞭のようにタロウの首に巻きついた。
締め上げられて苦しむタロウ。
更に長い口はその状態で、タロウのエネルギーをもじわじわと自身に吸収し始める。
じゅるじゅると生々しい音がし、タロウは力が抜けて立っていられなくなり、轟音を立てて膝を付く。
早くもカラータイマーが点滅し始める・・・
だがそこへ、ZATの援護が入った。
遅れ馳せながら荒垣の操縦で飛んできたスカイホエールが、VTOLで滞空しながら、テフラに向けて
火炎放射器で炎を浴びせる。
これは効を奏し、高熱に耐えかねてテフラはもがいて苦しみ出す。
地上からもラビットパンダの高圧電流が放たれ、炎と電撃の双方の熱がテフラを怯ませる。
チャンスと見たタロウは、テフラの口を掴んで渾身の力で引き千切り、自由を取り戻す。
続いて両手から光の刃・タロウカッターを二段連続で放ち、テフラの巨大な翅を左右とも切り落とす。
大ダメージを受けて叫ぶテフラに掴みかかり、頭上に持ち上げ、そのまま地を蹴って上空へ飛び去る。
宇宙に到達したタロウはテフラを虚空に放り出し、とどめのストリウム光線を見舞い、爆破した。
地上で粉砕すると、テフラの体内で変質した猛毒の殺獣剤が広範囲に拡散する恐れがあったためである。
力なく空を見上げ続ける毒島に、後ろからやってきた朝日奈が言う。
「私らは人間なんです。どれだけ気張っても、出来ることと出来ないことがあるんです。
だから、やれることをやれる範囲でするしかないんですわ。無理しないで、ね」
と、まとめに入っとけばいいのかねと呟く。
ともあれ、この一件の後、殺獣剤ベノキロンの大量生産と一般への配布は見送られることとなった。
地上に戻ってきた光太郎は、ZATの下に戻りつつも、まだ後味の悪さを噛み締めていた。
消えてしまった少女・かなえは、別の世界にいた。
見渡す限り真っ赤な空間。物理的には何もなくても、濃縮された悪意とでも言うべき禍々しい
気で満たされており、普通の神経の者なら発狂しかねない。
だがかなえは、その血の様な色の光景、あの人の生き血を吸って咲く鮮やかな赤い花と同じ色を見て、
安らぎさえ感じていた。
捨て子塚の蔦怪獣・バサラがウルトラマンタロウによって倒されても、かなえはその喪失感を埋める
ものを黙々と墓場で探し続けていた。そして案外見付かるもので、街に潜んでいた新たな魔性を
彼女は又手に入れた。そして、前と同じように人の血を集めて食らい、それによって生み出される
美しい色を見せて欲しいと願ったら、魔性はそれに応えてくれた。
最初は捨て子として育ってきた不満を晴らす意図もあったかも知れないが、今やすっかり手段が
目的化し、人の世に悪意を放ち、人を苦しめること自体が楽しくなっていた。
「よくやった」
そんなかなえを讃える者。赤い空から声が響く。
「お前のその生き方、あり方、素晴らしい」
何故そこまで褒められるのかはよく判らないが、かなえは素直に嬉しいと思った。自分がいいと
思うことを、ここまで共感してもらえたのは初めてだった。あの皆から好かれているZATの隊員の若い
男・・・名前さえ覚えていない、どうでもいい・・・は、癇癪を起こしたようにかなえを否定し、
赤い花を取り上げた。だが、今何処かから声を放っているものは、あの男とは違う。
口元に微かに笑みさえ浮かぶ。
「私の下に来るがいい。お前の居場所はこの赤い世界だ。私は今しばらく目覚めのときを待たねば
ならん。一緒にそのときを待とうではないか。美しい花を咲かせるにはじっくり育てることも必要と
言うものだ」
声に誘われ、少女は自ら、赤い闇の奥に埋もれていった。鋏の刃の音を響かせて。
異次元人・ヤプール。タロウの先達たるウルトラマンエースに敗れて肉体を失い、その後怨念の力で
甦って再び地球侵略を狙うも今度はタロウに阻止され、又も敗れたばかりで傷付いて力を失っていた、
邪悪なる存在。
三十数年後、じっくりと熟成させた負のパワーを持って神戸湾より復活、再度猛威を振るう機会を
得、少女の怨念もその負のパワーに加担することになるのだが、タロウ現役時代の基本和み系の
人々は、まだまだその未来を知るよしもない。
遅れ馳せながら、
>>20-29を書いた者です。長くて済みません。
以前のスレでも書かせて頂いていました。
ゴロザウルス様 今回も健筆ご苦労様です。
光太郎とゲストの秀一少年のドラマパートの詳細さは何時もながら流石ですが、
登場怪獣との絡みが弱いというか、タロウと怪獣の描写がいささか薄いというか
余り必然性がない気がしました。秀一の抱える精神的な問題を機軸に怪獣事件が
起きる(危険な事態の予兆を看過するとか、いっそ負の感情によるマイナス
エネルギーで直に怪獣が発生するとか)くらいまで思い切ったほうがいいような気もします。
まあ、人間キャラ、しかも単発ゲストのドラマが主軸で怪獣の扱いがいまいち
適当というのはタロウだけでなく第二期全体の傾向で、製作側もそういうふうに
偏って作っていた部分があるので、ある意味タロウらしい感じですが。
私の作り方はどっちかというとエースに近いですが、初期のタロウは怪獣が結構
ドライに人間を食い殺していた向きもあったので、あえてそっち側で書きました。
乙です
少年ゲスト総出演、剣道大将つええw
ラストの後味の悪さといいまさにかなえちゃんの話だ。序盤の幼獣退治を少年ゲスト達にも
やらせてもよかったかな?その間にかなえちゃんだしたら後半の伏線にもなるし。まあ
これ以上詰め込むと消化不良になるか
自分はお話作りの何たるかに関しては全くの素人なんで聞き流してくれて構わないが
思わず読み入ってしまったので感想書いてしまった。ひょっとして前スレ後半で人喰い
怪獣の話書いた人と同じかな?楽しませて頂きました。
ゴロサウルス氏も乙です。
保守
33 :
名無しより愛をこめて:2008/06/13(金) 18:48:04 ID:LzyzFFwr0
おお、復活してたのか!
今から読みます
34 :
下原正三:2008/06/14(土) 18:57:39 ID:22X9rwkL0
>>31 感想有難うございます。文面でバレるだろうと懸念はしていましたが、
当たりです。今後もあまりタロウ的でない取り越し苦労な話をちょくちょく
やると思いますが、ご容赦を。
バレたので、この際以前のコテハンも名乗っておきます。
35 :
下原正三:2008/06/14(土) 18:59:20 ID:22X9rwkL0
一応他のウルトラもおっけーらしいので、今回はメビウスで。
『円盤生物の大逆襲』
円盤生物・ブニョ、改造ロベルガー軍団 登場
三十ン年越しに怪獣頻出期再び。そんな新時代の地球の守り・CREW GUYSの不死鳥の砦、
フェニックスネスト。
テッペイは凹んでいた。
表向きは何でもないように明るく振舞おうとしているが、何か落胆しているのは明らかだった。
陰で寄り集まる隊員達。
ミライ「どうしたんでしょう、テッペイさん」
リュウ「又家業を継ぐ継がないで揉めてるとか」
ジョージ「いや、きっと恋の悩みだぜ。俺には判る」
マリナ「それはこないだのフェミゴン事件で終わったばかりでしょ」
「あの」
コノミがおずおずと手を上げる。
「あたしがそれとなく聞いてみましょうか?」
それがいいだろうと満場一致。コノミが仕事の合間を窺って尋ねてみる。
テッペイも癒し系のコノミには警戒を解き、事情を話す。
思ったより深刻な内容だった。
「この前の休暇のとき、僕のいた医大で今現役生の後輩に会ったんだ」
36 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:01:20 ID:22X9rwkL0
その後輩が、医学方面への進路を断念した。
これまで熱心に勉強していたのにとテッペイは驚き、訳を問い質す。
曰く、怪獣が頻発するようになって以前の平和を失いつつある地球。そんな状況下で人の命を
救う活動を続けていても、徒労なのではないかと。実家に戻って別の道を探すつもりだという。
もったいない、思い直すことは出来ないのかと説得を試みると、その後輩は思いつめた顔で、
「先輩はGUYSに勤めてるんでしょ? こんな、怪獣が出てきて街を壊して回るような状況は何時まで
続くんですか? いや、そもそも終わるんですか?」
コノミは、こっそり仲間達に事情を話す。
「終わるんですかじゃねえよ」
気を悪くしたのはやはりというか、リュウ。
「幾ら医学で人を救っても怪獣が出てきて殺すからやめるのかよ。じゃあ、幾ら家の中を掃除しても又埃が
たまるからって掃除しねえのかよ!?」
「まあまあ落ち着けアミーゴ」
ジョージがあやす脇で、ミライはブルーになっていた。神戸でタカト少年が山中で怪獣ケルビムに
至近距離で遭遇してトラウマになり、長く立ち直れなかったことを思い出してしまった。
「あの・・・」
又遠慮げに手を上げるコノミ。
「実は・・・あたしも最近、似たようなことが・・・」
保育士志望だった知人が、ほぼ同じ理由で未来に希望を見出せなくなり、進路を変えたという。
リュウ「・・・どいつもこいつもしょっぱなからテンション下げんなよ」
コノミ「・・・ごめんなさい」
マリナ「あんたね、別にコノミが悪いわけじゃないでしょ。けど、こういうことが来るときって、
大抵まとめて来るのよね」
そこへ、
「やあ。何かあったの?」
サコミズ隊長が現れ、五人思い出したように敬礼。
37 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:23:39 ID:22X9rwkL0
話を聞いたサコミズはうーんと考えた後、
「誰でもついうっかり忘れがちだけど、リュウの言う通り、今の地球の危機ってのは本当は地球にいる
皆で考えなくちゃいけない問題なんだよね。誰が悪いって話じゃなく、怪獣の脅威は良くも悪くも
否応なしに平等に皆に降り掛かってくるんだから」
うんうんと頷くリュウ。
「ただ、GUYSの任務として今のところ地球防衛のための仕事一本に集中している、逆に言えば集中『できる』
僕らと違って、民間人の人達は、それ以外の日々の雑務にも追われっぱなしというか、本来そっちが本業
なんだよね」
リュウ「・・・いや・・・しかし、それはそうなんですが」
「余裕を持って地球の未来について考えられるならともかく、その日の生活のための稼ぎだけで精一杯
だったり、子供の面倒とかも見なければならないとかいう状況だったら、つい周りが見えなくなる
人も出てくるよね」
リュウ「ううう・・・」
「勿論、そればっかり言い訳にしていいってわけじゃないけど、誰のせいとか誰の責任って話で目くじらを
立てる前に、相手の立場も考えて冷静に話が出来るようにしたいもんだよね。お互いに」
そんなことのあった後日。
トリヤマ補佐官はぐったりして、マル補佐官秘書にねぎらわれていた。
異次元からの超獣軍団やインペライザー、ロベルガーなど、何者かの意図によるものと思われる怪獣の
襲来は日々激化し、防衛隊側の対応へのマスコミの非難的な取材もそれに伴って激化し、それに対する
釈明と防衛側各方面へのフォローに追われているのである。
様子を見に来たサコミズに随行したミライは、そんなトリヤマを見て、生来の素直な性分から更に
内省的になる。
既に報道陣が帰った後の釈明の場で提示された、これまでの市街地での被害の資料が散らばっている。
その中には、ミライ=ウルトラマンメビウスがディノゾールと初陣を行った際に盾にしたために切断された
ビルや、ハンターナイト・ツルギの光線発射の煽りで破壊されたビルなどの写真もある。
38 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:26:17 ID:22X9rwkL0
「申し訳ありません、補佐官」
「あん?」
机に突っ伏していたトリヤマは、首だけ横にしてどんぐり眼でミライを見る。
「GUYSが、いえ、僕が至らないばかりに」
「あー、気にするこたぁないこたぁない」
以前なら愚痴の一つもこぼしたであろうところで、トリヤマは軽く返した。マリナ辺りが見たら不気味
がりそうな笑顔で。
「責任者は責任取るのが仕事だからね。そーゆーのはわしらに任せて、君達は安心して防衛任務に
専念してくれたまえ」
実はトリヤマは先日、書類整理の段で、過去の防衛隊とその上層の幕僚部との確執についての記述
資料を見出していた。見出してしまった。
具体的に例を幾つか述べると。
GUYSも既に複数回遭遇しているグドンとツインテールの二大怪獣による初の東京襲来、それへの対応策を
巡ってのMATとその上層部との胃が痛くなる軋轢。
その後の防衛隊・TACでは、突如飛来した別天体の地球との衝突の危機に際し、迎撃ミサイルのマニュアル
操作による隊員の特攻を強いた司令官が、こともあろうにTACの隊長に殴られ、更に全隊員からボイコット
されている。
次のZATでも、親子の巨大亀怪獣の東京襲来の際、暴力沙汰こそなかったものの、上司との衝突が
又も発生。
若干時期を置いてのUGM期では、地球の地下に高度な文明圏があることが判明(そんな事実があったのを
知っただけでトリヤマはくらくらしているが)。地上側は会談を図り、もう少しで和平がなるかと
いうところに、未知の地底人に対して恐怖を覚え、パニックを起こした参謀の一人が、よりによって
現場で銃を乱射。会談はおじゃんになり、地底人は地下に姿を消し、その後の詳細は不明。
39 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:27:55 ID:22X9rwkL0
個人的にはパニックを起こした参謀の心情の方が理解できてしまうのが、更なる強迫観念を引き起こす。
写真資料ののっぺらぼうの地底人の顔が脳内でぐるぐる回る。
又、そんな軋轢を起こした幕僚達のその後の顛末について詳細な記載が残っていないのも、トリヤマに
とっては怖すぎる。
「更迭? 更迭なの?」
同じ頃、東京都心。怪獣によって被害を受け、復興中の一角。
建造物は着実に立て直されているが、住民達の感情は正直微妙であり、防衛隊側も特に気を遣っている
場所である。
そんな光景を、ビルの屋上から見下ろす人物。
髪はばさばさで、眉が太く妙に濃い顔。不気味ににやけ、足取りは酔っ払ったようにぐにゃぐにゃしていて、
見るからに怪しい。
男は感慨深げに空を見上げ、
「ブラック指令。貴方の悲願、晴らす機会がやってまいりました」
宇宙のいずこか、外界と遮断された暗い別空間。
「本当に信用できるのか、あの男?」
エンペラ軍四天王の一人・グローザムが不快そうに言う。
「皇帝も俺に任せてくだされば、地球など一気に氷漬けにして制圧してみせようものを!」
「まあ、そういきり立たず。ヤプールが次の仕込をしている間の、念のための次善の策に過ぎませんから」
メフィラス星人は平然と構えている。
「しかし、私は結構期待しているのですがね」
「そうだな。奴の趣向は中々面白い」
デスレムもメフィラスに同意した。
40 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:29:59 ID:22X9rwkL0
ぐにゃぐにゃした男はおもむろにビルから飛び降り、殆ど地に身を沈めるような姿勢で路上に着地した。
降ってきた男に悲鳴を上げた観衆は、彼が無事だったことに更に異様なものを感じて怯える。
「な、何だお前は!?」
誰からともなく投げられた問いに男は満面の笑みで答える。
「宇宙人です」
そして、たちまち巨大に膨れ上がり、姿も変わる。タコかクラゲが擬人化したような緑色の変な怪物に。
その奸智と残忍さを皇帝に見止められて復活させられ、新生円盤生物部隊の指揮を任された、円盤生物なのか
星人なのかいまいちはっきりしない奴、ブニョである。
GUYSへの通報は直ぐに入り、ブニョが街で暴れる現地映像をモニターする一同。
「あああ〜、又苦情が・・・」
たまった心労にダメージが追加されて倒れるトリヤマ、それを咄嗟に支えるマルを尻目に憤るリュウ。
「ちきしょう、わざわざ戦災地で暴れやがって!」
「というより、それが狙いなんでしょう」
断じるテッペイに、隊員達は思わず振り返る。
完全に立ち直ったわけでもないが、のんびり凹んでいられる状況でもないということをテッペイは
判っていた。
「怪獣災害で不安になっている人達の前で暴れることで不安感を更に深くし、地球人の結束を内部から
崩すように仕向ける。堅実な手です」
「卑劣なだけじゃねえか」
「その通りです。いつもなら僕も」
目を剥いてアップになり、
「円盤生物だあ〜〜〜〜〜!!
とやってるところですが、今日はそういう気分でもありません」
・・・どうやらもう大丈夫そうだと仲間達は思った。
41 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:32:10 ID:22X9rwkL0
ミライだけはその空気に飲まれず、マルに氷嚢を頭に乗せられてうなされているトリヤマ、
映像の中で逃げ回る人々の悲痛な表情を見詰め、強い怒りに駆られていた。
「何てことを・・・サコミズ隊長!」
サコミズは頷き、ミサキ総監代行を仲介して内閣からの出動許可を確認した後、
「GUYS、サリー・ゴー!!」
「G・I・G!!」
ミライ、リュウ、ジョージ、マリナの四人がガンフェニックスストライカーで現地へ飛ぶ。
作戦室にコノミ共々留まって状況分析に努めるテッペイだが、
「けど、気になるな」
「何がですか、テッペイ君?」
「敵の円盤生物。派手に出てきた割には、いまいち本気で街を攻撃してる様子がない」
現地組は既に敵前に到着。
楽しそうに笑っているブニョをミライは睨み、
「行っていいですか、リュウさん?」
ガンウィンガー部の前座席に座ったリュウは背を向けたまま、
「俺は何も見てねえ。好きなようにやってこい、ミライ」
ミライは頷き、メビウスブレスを出し、光を発動。
「メビウーーーーース!!!!!」
光は外に飛び出し、ウルトラマンメビウスに結実する。
そんなリュウとミライのやり取りに、ガンローダー部のマリナとジョージは見たことがないはずの
既視感を覚えつつ、
「それにしても、幾らあたし達が既にミライ君の正体を知ってるからって、最初からウルトラマンを
戦術に組み込むのもどうかと思うけど」
「今はそこまで考えてもどうにもならねえ。ミライはただ戦力ってだけじゃねえ、俺達のアミーゴだ!
全力で一緒に戦うだけよ」
「それもそうか」
42 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:34:47 ID:22X9rwkL0
巨大化してもぶにょぶにょよろめいているブニョは、狂気をはらんだ目で睨んでくる。
『出てきたな、ウルトラマンメビウス。さあ、かかってくるがいい』
『言われるまでもない!』
メビウスは正面から突っ込んでいく。
だが、左右から突然襲った衝撃に弾かれ、ブニョに届く前に吹っ飛ばされる。
何事かと見るGUYSの前で、亜空間ステルスで隠れていた不意討ちの主が実体化する。
「ロベルガー!?」
GUYSと一度交戦している新生円盤生物の同型機が二体。変形して怪獣形態になり、地響きを立てて着地。
よく考えたら、まだ全機倒されたわけではない。
『馬鹿め、かかったな!』
復活したブニョには、他の円盤生物を操る能力が与えられていた。あの水晶玉。体内に直接
埋め込まれ、コアとなっている。
二体のロベルガーも改造され、腕が戦闘形態に変型。
かたや、ブラックドームの巨大な鋏。かたや、サタンモアの鋭い嘴。
サタンモア・ロベルガーが高速で突進し、不意討ち直後で動きの鈍ったメビウスに嘴を何度も叩き付けて
ダメージを与える。続いてブラックドーム・ロベルガーの鋏が来る。苦しむメビウス。
フェニックスネストの作戦室で歯噛みするテッペイ。
「しまった・・・僕らを挑発してメビウスをおびき出し、先に叩くのが本命狙いだったのか!」
「メビウスを援護するぜ!」
リュウの号令でガンフェニックスストライカーで敵に攻撃しようとしたとき。
周囲の亜空間に、円盤形態ロベルガーはまだ隠れていた。
次々現れ、ガンフェニックスストライカーを否応なしに空戦に引き付ける。
「くそ・・・!」
43 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:37:18 ID:22X9rwkL0
地上では、二体の改造ロベルガーの同時攻撃で弱ったメビウスが、更にブラックドーム・ロベルガーに
後ろから両腕を鋏で押さえつけられていた。
『ウルトラマンと言ってもちょっと策を講じればこんなもの。メビウス、お前の兄、レオもそうだった。
伝説の超人・キングとやらの訳のわからない横槍さえなければ・・・』
憎憎しげに呟くブニョ。
『お前も同じように、こいつでバラバラにしてくれる!』
電気ノコギリ。しかも今回は等身大でなく、巨大な状態で。
怪獣サイズの手持ちチェーンソーを何処からともなくいきなり取り出し、凶悪な回転音を街に
響かせる。そして、刃を向けてじりじりと迫り・・・
そこへ、火の玉が宙を切って飛んできた。
チェーンソーに直撃し、爆破する。火花が飛び散り、ブニョはあちあちあちと慌てて後ずさる。
『地獄から這い上がってきてもその卑劣さは相変わらずだな、ブニョ』
離れた場所で、エネルギー光球を放った直後のポーズで立っている巨人。
何者かと聞くまでもない。
『レオ・・・ウルトラマン、レオおおおおおッ!!』
両手に火傷を負って煙を上げ、憎悪の叫びを放つブニョ。
メビウスも感極まって叫ぶ。
『レオ兄さん!』
だが、押さえつけられたままのメビウスに注がれるレオの視線は冷たい。
『今そのざまのお前に、兄と呼ばれる言われはない』
『!』
『言ったはずだ。ウルトラ兄弟の名と、地球を守る戦士の資格を手にしたいなら、並み居る敵を
倒して勝ち取れと』
助勢はそこまで。
レオはメビウスから目をそらし、サタンモア・ロベルガーに挑みかかっていく。
上空で円盤ロベルガー隊と交戦しつつ、地上のレオを見て毒づくリュウ。
「・・・やっぱりあいつは気に入らねえ」
44 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:39:55 ID:22X9rwkL0
だが、メビウスのほうには、今の檄で喝が入った。
『判っています・・・今は僕が・・・地球を守るウルトラ戦士!!』
おおおおおと唸りを上げ、全身から光の炎が湧き上がり、バーニングブレイブモードに変わる。
巻き起こった熱にブラックドーム・ロベルガーが巻き込まれ、悲鳴を上げる。
決め技さえも必要なく、光の炎を浴びたブラックドーム・ロベルガーはそれだけで
焼き尽くされて消えた。
これを契機に流れは完全に変わる。
レオは素早く動いて突きかかるサタンモア・ロベルガーを手さばきだけで難なくいなし、
隙を突いてハンドスライサーで敵の武器の両腕を斬り飛ばす。ロベルガーが怯んだところで
ハイジャンプ、そこからのレオキックで、手負いのロベルガーを木っ端微塵に粉砕。
それに負けるかとばかり、
「インビンシブル・フェニックス!!」
上空のガンフェニックスストライカーも炎をまとって突撃。軸線上の円盤ロベルガー隊を
一気に爆砕して殲滅。
そしてメビウスは、胸の炎をメビュームバーストに変えて放ち、ブニョは炎に巻かれて苦しむ。
だが、それだけでは終わらず、
『おのれ・・・それしきでやられるものか!!』
纏わり突いた炎を、突如膨れ上がった身体で吹き払う。
自身も改造を受けたブニョの姿が変貌する。粘液まみれのぶよぶよの身体は硬く角質化し、
そして腹部が弾け、黄色い消化液を散らして何本もの長い触手が飛び出す。
触手群の中心には、シルバーブルーメの口。
『貴様を食らって溶かしつくしてくれるわ、メビウス!』
触手が素早く伸び、メビウスに絡みつく。そして強い力で引き寄せる。
45 :
下原正三:2008/06/14(土) 19:42:34 ID:22X9rwkL0
ずるずると引き摺られながら、メビウスは全く動じていない。
引き寄せる力を、逆に自らの突進に上乗せし、自分を飲み込もうと待っているグロテスクな
口に向け、拳から稲妻を放って構える。その拳に、闘志の発現の炎も収束していく。
ライトニングカウンター・ゼロの発展技、
『バーニングカウンター・ゼロ!!!!!』
拳を突き出して火の玉と化したメビウスは自らシルバーブルーメの口に飛び込み、そのままの
勢いで、ブニョの背を貫いて飛び出した。
胴に大穴が開いたブニョは断末魔の悲鳴を上げ、炎に巻かれて大爆発し、再び地獄へと
引き戻されていった。
ピンチを跳ね返して勝利を収めたメビウスに街の人々は歓声を送り、GUYSの面々も
それを温かく見守る。
「そうだ。人々の不安を払うには、結局お前達が戦って勝ち、希望の未来を見せ続けるしかない。
今はその戦いに専念することだ。そうすれば、いずれ光明も見えてこよう。
頑張れよ、弟よ」
既にレオの姿を解き、行脚僧のいでたちとなったおおとりゲンは、もうやることはないと
ばかりに街から歩み去っていく。
『再度のご指導有難うございました、レオ兄さん』
メビウスはその超視覚で、去っていく兄を見送った。
46 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:19:08 ID:F+qDZrwb0
タロウのが出来たので、申し訳ですが放り込んでおきます。
連投ですが、結構間が空いたので。
『タロウは勇者!?』
邪竜魔導士・マドラ、勇者の鎧・デュラフ 登場
現状から言う。
何時もの東京都内の住宅街から、巨大な竜が出てきた。
東洋系の長い身体の蛇のような竜ではなく、直立恐竜タイプのスタイルに背から大きな
コウモリ羽が生えた、西洋の伝説に出てくる竜。
吼えたけり、家々を踏み砕いて暴れ回る。住民達は無論逃げ回る。
事前状況。
今襲われている街の学区内の小学生の一人・毅少年は、体力がなくて運動は駄目、勉強もいまいちで、
クラスで馬鹿にされていた。
今日もいじけながら一人学校から帰る途中、
「強い力が欲しくないかね?」
人工森林のある公園の木陰から、一人の男に呼び止められた。
黒ずくめの男。とんがった鍔広帽子に長いマントに先の反り返った靴、高い鼻にどじょう髭、
血色の悪い顔でうすら笑っている。あからさまに不審。
正直怖いと毅は思ったが、男の言う『強い力』という言葉に奇妙に惹かれた。
毅は、男の見せる不思議な術、何もない中空から突然品物を取り出したり、空中を歩いたりするという
技を見せられて驚いた。
近寄って種も仕掛けもないことを確認した後、男は、君にもこの魔法の力が使えるようにしてあげようと
言ってきた。
毅は最初迷っていたが、この力が使えれば君を散々馬鹿にした奴らを見返してやれるよと言いくるめられて
押し切られた。
47 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:20:06 ID:F+qDZrwb0
了承とみなし、その代わり自分の頼みも聞いて欲しいと男は言い、毅を森の奥に連れて行く。
この辺で怪しいと近年の子供なら気付くのかも知れないが、毅も含め、この頃の子供はよくも悪くもまだ
そこまで世慣れたりスレたりしていなかったのだろう。又、ほぼ週一で怪獣や宇宙人、それにまつわる怪奇現象が
ひっきりなしに街中で起きる環境下で、感覚が麻痺してしまっていたのかもしれない。
暗い森の奥に連れて来られた毅は、茂みに囲まれた大きな岩があり、それに古びた紙が貼ってあるのを見て取った。
紙には、毅には読めない、何処かの外国のものらしい複雑な文字が模様のように綴られている。
その紙を剥がしてくれ、それだけでいいと男は頼んできた。
そこで漸く毅は何か不吉なものを感じ、やっぱりやめると言って逃げ出そうとしたが、周囲が見えない壁に
何時の間にか覆われていて出られない。黒い男の魔法の力によるもの。
後はもう恐喝であり、このままずっといじめられっ子のままでいたいのかと男に脅され、ただ恐ろしいという
思いで毅は否応なしに紙を剥がした。
魔法の護符によって岩に封じられていたのは、18世紀頃に英国、スコットランド一帯の平和を荒らし回っていた
邪悪な魔法使い・マドラの分身である、巨大な竜であった。
嘘つくなと言われてもこの話ではそうなんだから仕方がない。
分身の竜と共に強大な魔力によって人々を苦しめたマドラだったが、影と対を成し、光も必ず現れるもの。
神聖な力を秘めた時の勇者と呼ばれる存在の出現により、何度もの対決の果てにマドラは追い詰められ、
雌伏して反撃のための力を蓄えるべく、竜共々英国から逃げ出した。そして彼が潜伏する場として選んだのが、
東洋の小国・日本だった。現在のようにRPGも定着しておらず、西洋ヒロイックファンタジーがまだ然程一般的で
なかった日本なら、上手く目を欺く死角となると判断したのである。
実際、ウルトラワールドで何時もと毛色の違う伝説上のモンスターが怪獣役で出てくるときは、殆どの場合、
日本や中国や中近東などのアジア系。
48 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:21:48 ID:F+qDZrwb0
それはともかく、竜を周囲から隠すために自ら封印し(地下に埋めたのではなく、岩を基点とした結界に
隠していた)、同時に強大な魔力の殆ども竜自体に収めたため、魔導士のマドラ自体の魔力は弱まっていたが
(勇者に気付かれないためのやむをえない措置でもあった)、気弱な毅少年をちょっとノせる程度なら充分だった。
悪魔の誘惑に敗れた毅の負の感情を封印解除の切っ掛けとし、邪悪な竜は閑静で平和だった街に解放され、
思う様暴れ始めた。
狂奔の中で立ち尽くして見上げる毅に対し、竜の頭上に乗った魔法使いは高笑いした後、
「さあ、お前との約束も果たそう。お前を馬鹿にして苛めた餓鬼共の名前を言え。わしの魔力で吹き飛ばすなり、
この竜の足で踏み潰してやるなり、望み通りにしてやるぞ」
「違う! 僕はそんなことを望んだんじゃない!」
「嘘をつけ。お前はそいつらを憎いと思ったはずだ」
が、やり取りは中断される。出現した巨竜を何時も通りの怪獣と判断したZATが攻撃しにやってきた。
コンドル1号とスーパースワローが射撃を加えるが、巨竜は全く応えない。やがて、竜の頭部に乗っている
黒い男の姿に違和感を覚える、パイロットの南原と北島。
南原「何だあの男は!?」
北島「如何にもそれっぽい姿だが、まさか・・・」
地上で叫ぶ毅少年を地上部隊の荒垣達が見出したことによって、黒い男が竜を操っていることが伝わる。
北島「信じられん話だが・・・」
南原「まあいいさ。だったら、まずあの男を攻撃だ!」
南原が先陣を切って竜の頭部を狙って銃撃し、北島もそれに続く。
だが、魔法使いは又も魔力の見えない壁を張り、銃弾を寄せ付けない。
逆に、正面に来たコンドルとスワローに向け、竜の口から灰色の煙が吐きかけられる。
煙を浴びた両機は失速し、地上に墜落。が、爆発はしないで建物を崩してスリップして停止。
機体が魔法で石になっている。
中の南原と北島も石の像になって固まっている。
49 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:23:23 ID:F+qDZrwb0
早々と航空戦力を退けられたZATの残存戦力は、挫けずに地上からザットガンで攻撃するが、やはり
効く様子はない。魔法の壁を使うまでもなく素で弾かれている。
このままではジリ貧だと判断し、光太郎は物陰に隠れ、
「タロウーーーーーッ!!!!!」
ウルトラバッジを掲げてタロウに変わる。
「ぬう? 何だ貴様?」
マドラの問いには答えず、タロウはショワーーーーーと叫んで巨竜に肉弾戦を挑む。
打撃を次々叩き込むが、どうも有効打になっている様子がない。
「ええい、うるさい!」
息を切らし始めたタロウに対し、マドラの命令で竜は又も煙を吐く。
タロウは咄嗟に跳んで交わしたが、足に煙がかかってしまった。
足が忽ち石化し、動けなくなる。
立ちんぼうになったままもがくタロウ。
「タロウでもかなわないのか!?」
地上で苦悶する荒垣副隊長の後ろでは、森山隊員が毅少年を宥めて事情を聞いていた。毅は感極まって
泣き、こんなことになるなんて思わなかった、怪獣をけしかけてまで友達に仕返しする気は本当になかったんだと
訴えていた。毅の本意ではないことは森山にも察せた。
「しかし副隊長、どうしたものでしょう」
「うむ・・・」
『普通の攻撃ではどうにもならない』
別の者の声が聞こえ、振り向いた荒垣達は目を剥いた。
長身で精悍なスタイルの西洋の鎧騎士が、住宅街のど真ん中に立っていた。
がしゃがしゃと金属の足音を立てて歩んでくる。
50 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:25:44 ID:F+qDZrwb0
混乱した荒垣は思わずザットガンを撃ち、それは騎士の兜に直撃した。
兜が吹っ飛んで路上に転がる。
兜の取れた後に人の頭がない。
首なしで尚平然と立って動いている鎧に、一同は更に驚愕。
『まあ、落ち着け』
首なし騎士は声を出し、悠然と兜を拾って頭に嵌め直す。
『私の肉体は既に朽ちて失われている。今や、邪悪な魔導士マドラを討ち滅ぼさんという意志だけが
この鎧を突き動かしているのだ』
騎士は日本語で喋ってはいない。意志だけが一同の頭に直接伝わってくる。
『奴が巧妙に身を隠していたため、見付け出すのに時間がかかったが、漸く足取りを突き止めて
この遠国に辿り着いた』
兜が苦戦しているタロウを見上げ、
『この国を守っている勇者は、あの巨人か?』
「まあ・・・そういうことになるが」
『そうか』
騎士は納得すると、何か神々しい雰囲気の眩しい光を発し、その場から消える。
直後、巨竜に追い討ちをかけられんとしていたタロウの身体から、同じ光が発された。
その光にタロウのみならず、マドラも顔を覆って驚く。
「この光は・・・!?」
光が失せたとき、タロウの足は石化が解け、元に戻っていた。
それだけでなく、身体の要所が、金属の鎧で覆われている。
さっき消えた騎士の鎧とそっくり同じディテール。
「やはり、にっくき我が怨敵、勇者デュラフかあッ!?」
憎悪の声を発するマドラ。
かつてマドラをスコットランドから追い出したのは、この鎧の主だった。
タロウの眼前に浮いているデュラフの兜。
タロウの角と頭上の突起が邪魔で、兜だけは被れなかった。
51 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:32:07 ID:F+qDZrwb0
『君は誰だ?』問うタロウ。
『誰でもいい。今はとにかく私と力を合わせろ。私の鎧を纏っていれば奴の魔法攻撃は無効化される。
それだけでなく、奴に対しても有効打が打てるようになる』
タロウは、試しにもう一度拳を竜に放ってみる。
高い音が響き、竜はのけぞって苦しんだ。
「おのれ・・・ならば、わしも本気を出さねばなるまいて!」
竜の頭上のマドラの姿が、真っ黒な靄のように転じ、竜の身体に吸い込まれていく。
分身として身を分けていたマドラは巨竜と一体化し、更に邪悪な気を放って唸る。
かくして、魔法を無効化されたマドラの肉弾攻撃が開始され、その威力も決して魔法攻撃に劣るものではない。
だが、優れた体術で軽くジャンプして攻撃を交わすタロウの技量は、それを上回っていた。
反撃のパンチの連打、そして畳み掛ける上空からのスワローキックで、マドラは忽ち弱らされる。
『今だ。とどめを刺せ』
タロウの腕のキングブレスレットが、本人の意志でなくデュラフの意志によって分離して変形し、
幅広の刃の大きな剣になる。
剣を両手で握ったタロウは、そこまで来ればもう指示されるまでもなく、剣の袈裟懸けの一閃で
竜を真っ二つにする。
マドラの悲鳴と共に巨竜は最後の咆哮の後、光に還元されて消えていった。
「あれ? 俺達何を?」
倒されたマドラの魔力が解け、コンドルとスワローも、中の南原と北島も元に戻った。
それどころか、壊された街さえ元通りになっていた。
52 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:34:11 ID:F+qDZrwb0
『感謝する、異国の勇者よ。お前の力を借りた御蔭で、長年の宿敵との因縁にけりをつけることが出来た』
鎧はタロウの身体から蒸発して消えていく。
『これで私も思い残すことはない。さらばだ』
最後に、宙に浮いていた兜も消えていった。
かくして邪悪な魔導士は滅ぼされた。
以後、毅少年はクラスの輪に溶け込むため、体力と成績を上げようと地道に努力している。
一方、光太郎は、異郷の伝説の勇者という稀有な存在に出会ったことで刺激され、又ぶらりと世界旅行に出るのも
いいかも知れないなどと、空を見上げてぼんやりと思っていた。
53 :
下原正三:2008/06/18(水) 09:41:38 ID:F+qDZrwb0
試しにやってみましたが、その回きりの単発ゲストを出すほうが
余程難しいのを痛感します。
タロウだけでなく、80の「恐れていたレッドキングの復活宣言」も
入ってるかもしれません。
54 :
名無しより愛をこめて:2008/06/18(水) 12:53:53 ID:XAPVm4tiO
なんかタロウぽくないなぁ
80や平成三部作の雰囲気
邪竜魔導士w
誰もタロウにそんな厨二みたいな怪獣期待してねえよw
ほしゅ
58 :
名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 19:47:54 ID:NSpgYQyg0
age
タロウアンチスレかと思ったら違うのかw
保守
61 :
名無しより愛をこめて:2008/07/31(木) 21:37:58 ID:YGv2lzUn0
age
62 :
名無しより愛をこめて:2008/08/05(火) 21:36:40 ID:GLnctu4q0
age
63 :
名無しより愛をこめて:2008/08/12(火) 19:55:34 ID:Urfc70tZ0
保守
hosyu
65 :
名無しより愛をこめて:2008/09/02(火) 12:58:47 ID:y4rzkfG10
SEX
66 :
名無しより愛をこめて:2008/09/04(木) 13:39:35 ID:fGCoCtZ60
ウルトラの父はヤリチンw
67 :
名無しより愛をこめて:2008/09/11(木) 17:25:57 ID:XEhZz6Bz0
ウルトラの母はヤリマンw
68 :
名無しより愛をこめて:2008/09/18(木) 22:17:45 ID:hrI6aBRH0
ちょっと目離した隙に首絞められて殺されるとか
どんだけデンジャラスシティーだよw
: ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:
∧_∧
( ´・ω・`) ∧_∧
/ \ (´Д` ) 死ねよカス
.__| | .| |_ / ヽ
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||\..∧_∧ (⌒\|__./ ./
||. ( ) ~\_____ノ| ∧_∧
/ ヽキモイな \| ( ´_ゝ`) 誰か警察呼べよ
| ヽ \/ ヽ.
| |ヽ、二⌒) / .| | |
.| ヽ \∧_∧ (⌒\|__./ /
僕にも超ウルトラ8兄弟は書ける
70 :
名無しより愛をこめて:2008/09/19(金) 20:09:06 ID:M5qNIFPV0
wow
桃太郎・浦島太郎・金太郎をベースに、話作れないかな?
わざわざ銘打たなくていいけど、
お伽話シリーズとして早くにラインナップされておけば、
タロウにSF性を過大に求めるような声や批評を、
ある程度抑えられた気がするのだが。
72 :
名無しより愛をこめて:2008/09/19(金) 22:57:39 ID:M5qNIFPV0
作れません
>71
どれもレオでやった後じゃないか。
金太郎ベースの話ってどれよ?
金太郎ネタはスレ1の時に確か誰かが書いた
76 :
名無しより愛をこめて:2008/10/05(日) 18:58:14 ID:hD7B6tnI0
最近はやりの汚染大豆使用の転売豆腐だったのか!
77 :
名無しより愛をこめて:2008/10/09(木) 04:29:58 ID:R0I9YX2SO
mZsW+vYf0さん、下原正三さん、Goojob!!
終了