スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2

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1名無しより愛をこめて
当スレッドは、スーパー戦隊シリーズの登場人物でバトルロワイヤルを行うという企画です。

注意・このスレはあくまで2次創作であり、本編作品等との関連性はありません。
   またスレの性質上ネタバレを多く含んでいます。

  ・投下されるSSの中には、ヒーローの敗北、死亡等の残酷な描写が含まれたものもあります。
   
  
以上の点を注意して、閲覧して下さい。
なお進行はsageでお願いします。
2名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:12:26 ID:dn8npiEU0
うっさいハゲ
3名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:14:25 ID:NmUWAVzF0
青き水の星、地球に刻まれた31の戦いの記憶。
今宵、その中から42人の戦士が選ばれた。
ロンの企みにより、宴に集められた彼らを待っているのは、
希望の明日か、絶望の明日か―――

その行方を知る者は、まだいない

まとめサイト
http://homepage3.nifty.com/w-end/index.htm
したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/10886/

前スレ
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1195463272/

2chパロロワ事典@Wiki
http://www11.atwiki.jp/row/
4名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:16:36 ID:NmUWAVzF0
【参加者】
【ジェットマン】1/1
グレイ○
【カーレンジャー】3/3
シグナルマン○/志乃原菜摘○/陣内恭介○
【メガレンジャー】3/3
並木瞬○/ネジブルー○/早川裕作○ 
【ギンガマン】2/2
剣将ブドー○/ブクラテス○
【ゴーゴーファイブ】3/3
巽マトイ○/ドロップ○/冥王ジルフィーザ○
【タイムレンジャー】3/3
浅見竜也○/シオン○/ドモン○
【ハリケンジャー】4/4
サーガイン○/シュリケンジャー○/日向おぼろ○/フラビージョ○
【アバレンジャー】1/1
仲代壬琴○
【デカレンジャー】4/4
江成仙一○/白鳥スワン○/胡堂小梅○/ドギー・クルーガー○
【マジレンジャー】7/7
小津勇●/小津麗●/小津深雪○/スフィンクス●/ティターン○/バンキュリア○/ヒカル○
【ボウケンジャー】7/7
明石暁○/伊能真墨●/ガイ○/高丘映士○/西堀さくら○/間宮菜月○/最上蒼太○
【ゲキレンジャー】4/4
サンヨ○/真咲美希○/メレ○/理央○
 残り 40名

主催:ロン○
ジョーカー:ウルザード○
5名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:17:31 ID:NmUWAVzF0
訂正
【参加者】
【ジェットマン】1/1
グレイ○
【カーレンジャー】3/3
シグナルマン○/志乃原菜摘○/陣内恭介○
【メガレンジャー】3/3
並木瞬○/ネジブルー○/早川裕作○ 
【ギンガマン】2/2
剣将ブドー○/ブクラテス○
【ゴーゴーファイブ】3/3
巽マトイ○/ドロップ○/冥王ジルフィーザ○
【タイムレンジャー】3/3
浅見竜也○/シオン○/ドモン○
【ハリケンジャー】4/4
サーガイン○/シュリケンジャー○/日向おぼろ○/フラビージョ○
【アバレンジャー】1/1
仲代壬琴○
【デカレンジャー】4/4
江成仙一○/白鳥スワン○/胡堂小梅○/ドギー・クルーガー○
【マジレンジャー】7/7
小津勇●/小津麗●/小津深雪○/スフィンクス●/ティターン○/バンキュリア○/ヒカル○
【ボウケンジャー】7/7
明石暁○/伊能真墨●/ガイ○/高丘映士○/西堀さくら○/間宮菜月○/最上蒼太○
【ゲキレンジャー】4/4
サンヨ○/真咲美希○/メレ○/理央○
 残り 38名

主催:ロン○
ジョーカー:ウルザード○
6名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:22:41 ID:NmUWAVzF0
【ルール】

【スタート時の持ち物】
初期装備は怪人枠は武器装備有り戦隊側はスーツ有りで、変身アイテムを奪われたり、壊されたりしたら、変身不能になる(修理は可能)
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側からデイパックに入った以下の物を支給される。
「食料」 → 複数個のパン(丸2日分程度)
「飲料水」 → 1リットルのペットボトル×2(真水)
「開催場所の地図」 → 禁止エリアを判別するための境界線と座標も記されている。
「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。
「ランダムアイテム」 → 変身アイテム以外のアイテムが1〜3つ入っている。内容はランダム。
「時計」 → 時間確認用
「筆記用具」 → ペンとメモ帳

【スタート】
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
MAPは縦軸A〜J、横軸1〜10で1辺の長さが5qとする。

7名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:23:52 ID:NmUWAVzF0
【能力の制限について】
変身制限時間は10分。解除後2時間変身不可。意志あり支給品についても同様とする(会話は可能)

【放送】
放送は6時間ごとに行われる。放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」
禁止エリアは一度の放送で3区画ずつ(2時間ごとに1区画ずつ)増えていく。

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【書き手のルール】
・書く前に必ず予約すること。投下期限は1週間。
・申請すれば延長も可。ただし、最長3日。
・自己リレーは作品投下後、1週間は禁止。ただし、書き手が豊富な時はなるべく自重しましょう。
・作品投下後の予約は24時間禁止。
・明らかな矛盾点を指摘された場合は修正しましょう
8名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:25:33 ID:NmUWAVzF0
【首輪と禁止エリア】
参加者は全員、ロンによって首輪を取り付けられている。
首輪は、三つの条件で命を奪う。
一つ目の条件は、首輪に過度の衝撃を与える事。衝撃を感知すれば、即座に作動する。
二つ目の条件は、禁止エリアに入る事。足を踏み入れれば、二十秒で作動する。
三つ目の条件は、主催に歯向かった場合、ロンの意思で作動する。

また、参加者には説明されないが、首輪には盗聴機能があり音声・会話は全て記録されている。

【書き手のルール】
・予約禁止事項
 ひとりリレーを防ぐため、投下した書き手は、投下終了から二十四時間一切予約禁止、投下作品に出たキャラは更に百二十時間禁止
・トリップ
 投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 書き手は必ずトリップをつけてください。
・トリップの付け方
 名前欄に#(半角)に続けて適当な文字列を入れて下さい。
 「◆NdQ0UM」(例)のように、文字列に対応したIDが表示されます。
・投下宣言
 投稿段階で被るのを防ぐため、投稿する前には 「投下します」 と宣言をして下さい。
 いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
・キャラクターの参加時間軸
 このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
 最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
・ステータス
 投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。

9名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:26:42 ID:NmUWAVzF0
【ステータス表例】
【キャラクター名】
【○○日目 現時刻】
【現在地】
【時間軸】:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
【状態】:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
【道具】:(変身アイテム、ランタンやパソコン、治療道具・食料といった保有している道具はここ)
【思考・状況】(ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。複数可、書くときは優先順位の高い順に)

【基本ルール十ヶ条】
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)
10名無しより愛をこめて:2008/05/16(金) 12:15:54 ID:l09/ao1cO
まとめ更新乙です!
11名無しより愛をこめて:2008/05/16(金) 19:35:03 ID:YIhLFxSP0
同じく更新+新スレ立て乙です!
12名無しより愛をこめて:2008/05/16(金) 21:56:49 ID:l09/ao1cO
スレ立て乙!です。
13名無しより愛をこめて:2008/05/19(月) 08:06:13 ID:ylLMHuVjO
保守
14名無しより愛をこめて:2008/05/22(木) 19:13:04 ID:eEeXwMQ10
保守
15名無しより愛をこめて:2008/05/23(金) 16:18:51 ID:Lxq1M+wG0
まとめ氏更新お疲れ様です。
16名無しより愛をこめて:2008/05/23(金) 22:11:04 ID:8FwGoEAZ0
保守
17名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 19:20:50 ID:HfiK70k70
              _y〜ーヽ,
             f ̄/^^^ヽ }
             ヽ 〉 _,y 'ーV
             ヾ|., ゚,パ.イ
              ヽ, ,石、l
               ト.ー人_
             _,.ノ| r‐   ⌒ヽ
       ,.へ   ,r''´  ⌒        l
       {三ヽ { 、   i  ,_,  彡i   |
        V三ト、{  ト  ノミ;,"   }、 ,イ
        V三三ト、√       / ヾ  i
         V三三三\   ミ /  ', ミ;
         V三三三三\  /    }  l
          V三三三三三トY    l  l
          |;V三三三三三l    |  ,'
          l三V三三三三}    l ,'
          |三 }三三三三’   ,.ノ .,'
          ||レ三三三三'´     '〜'
          レ三三三'
          /三三ニ/
          V三三/
           ト三三ト、
   ┏┓┏┳┓ |ニト三;∧    ┏━┓┏┓
   ┃┗┻╋┛┏━━━━┓┗━┛┃┃
   ┃┏━┛  ┗━━━━┛┏━━┛┃
   ┗┛         \ト三三l;; ┗━━━┛
              \ト三l
18 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:15:38 ID:AdLXs98T0
遅くなりましたが、、投下致します。
19失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:16:20 ID:AdLXs98T0
 門を潜り抜け、紫の騎士は彼の地へと降り立った。
 紫の騎士の名は魔導騎士ウルザード。だが、その姿はあくまで模倣されたものに過ぎない。
 ヴリル。意思を持たない疑似生命体であるそれこそが今のウルザードの正体である。 
 本来ならヴリルがあるひとつの姿を取り続けることはない。
 ひとつの物の分析、模倣を終えたら、またより高度なモノの分析、模倣を行い、成長を続けていく。
 それがヴリルの存在意義だ。だが、ロンにより、首輪という枷を填められたヴリルはウルザードの姿に固定されていた。
 そして、植えつけられたものは、自分と同じ首輪をした者を抹殺するという本能。
 寄せては返す波も、切り立った岸壁も、ヴリルの興味の対象にはなり得ない。
 やがて、ヴリルは十字架を頂にする建物を眼にするとその歩みを止めた。
 中に首輪をした者がいることを本能的に理解したヴリルはすぐさま木造のドアを開け、中へと入って行く。
 建物の中には一組の男女。女性は祈るように俯き、男性は女性を守るように堂々と立っていた。
 ヴリルに気付いた男性が何事か声を上げる。だが、ヴリルにとっては空気の震えでしかない。
 ヴリルは本能の赴くままに、獣の牙を模した大剣――底皇剣ヘルファングと獣の眼を宿した盾――ジャガンシールドを構え、男性に向かって行った。
 


 深雪が意識を失って数分。ドモンは身動きひとつせず、正面のドアを凝視していた。
 守るべき女性を背にしている。そのシチュエーションがドモンの使命感をどうしようもなく昂らせる。
(ここでいいところを見せれば、深雪さんの好感度は上がる。俺はやるぜ。そして、ここから脱出したら、深雪さんに告白するんだ!)
 ドモンは深雪が子持ちの人妻であることは理解した。今の深雪が自分を息子程度にしか思っていないこともわかった。
 だが、それでも深雪への恋心は衰えたりはしない。いつか必ず恋人として、深雪の隣に並んでやる。
 そのための第一歩、ドモンは深雪を守るという使命を必ず成功させる気でいた。
20失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:16:46 ID:AdLXs98T0
(……来る)
 教会の外に誰か来たのがわかる。敵か味方かはわからない。ただ、どちらにしろ好ましくないのは確かだ。
 敵なら戦わなければならず、味方なら流石に排除する気はないが、深雪との間の邪魔者になる。
(それでも、女性ならいいか。……いかんいかん、俺は深雪さん一筋なんだ)
 そんなことを考えている内に、教会のドアが音を立てて開いた。そして、徐に何者かが教会の中へと入ってくる。
 その闖入者の姿に、ドモンの顔は自然と険しくなる。
 右手に剣を、左手に盾を持ち、紫の鎧を身に纏ったその姿は明らかに戦う者のそれだ。
「お前、殺し合いに乗っているのか?乗ってないなら、とりあえず剣と盾を下ろせ。話はそれからだ」
 ドモンは警告の言葉を発する。だが、ドモンは雰囲気から、交渉の通じる相手ではないと薄々感づいていた。
 いつでも反応できるよう足に力を入れる。瞬間、闖入者――ヴリルはヘルファングとジャガンシールドを構え、ドモンに襲い掛かった。
「やっぱり問答無用かよ!」
 正面から向かってくるヴリルに、ドモンも正面から応じた。
 剣が振り下ろされるより早く、ヴリルの懐に入り、ヘルファングが握られた右腕を取る。そして、身体全体を使って、逆関節に捻った。
「どうだ!」
 ドモンの体重がかかり、軋む関節。あまりの痛さに、ヴリルはヘルファングから手を放し、悲鳴を上げる。
 ――はずだった。
「うぉっ!」
 ヴリルの力は並外れていた。軽々とドモンの身体を引き剥がし、投げ捨てる。
 続いて、ヴリルはウーザフォンを取り出すと、8と書かれたボタンを押す。

―ザザード― 
 
 ウーザフォンに蓄積された魔力により、破壊エネルギーが生成され、呪文と共にドモンへと放たれる。
「うわぁぁっ」
 小規模な爆発が起こり、ドモンの身体を焼き、周りの装飾品を溶かしていく。
「くっ、クロノ……」

―ザザード― ―ザザード― ―ザザード― 
21失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:17:40 ID:AdLXs98T0

「うわっ!」
 次々と間隙なく放たれる破壊エネルギーはタイムイエローに変身する暇さえ与えない。ドモンは身を起こし、防御するのが手一杯だ。
 装着しているプロテクターによりダメージは多少の軽減されているものの、限界に達するのも時間の問題だ。
「くっ、ちくしょー、これまでかよ」
 深まっていく身体の痛みに、ドモンは弱音を漏らす。
 その時、後ろからドサッと音が聞こえた。顔をわずかに回し、後ろを見ると、倒れている深雪の姿があった。
「み、深雪さん」
 おそらく飛ばしていた意識が戻ってきたのだろう。あと数分もすれば、覚醒するに違いない。
(そうだ。俺の後ろには深雪さんがいる。この程度で負けてたまるか!深雪さんは俺が守る!!)
「うぉぉぉっ!!!」
 雄叫びを上げ、ヴリルに突進していくドモン。

―ザザード― ―ザザード― ―ザザード― 

 容赦なく破壊エネルギーが放たれるが、ドモンは一切怯まない。
 先に音を上げたのはヴリル。向かってくるドモンを迎撃するため、ウーザフォンを収め、再び、ヘルファングを手にする。
 だが、それがドモンの狙い。
「はっ」
 横薙ぎ振るわれたヘルファングを跳躍してかわし、ドモンはヴリルの後方へと回りこむ。
 当然、追撃を掛けようと、ヴリルは素早く方向転換を行った。だが、それはドモンが変身するには充分な時間。
「クロノチェンジャー」
 ヴリルが振り向きざまに再びヘルファングを横薙ぎに振るった時、既にドモンはタイムイエローへと姿を変えていた。
 強化された身体能力がヴリルの動きに反応し、タイムイエローはヘルファングが身体に届くより早く、それを肘で打ち払う。
 そして、すぐさま胸へ牽制の一撃を浴びせると、怯んだヴリルの足を掴み、持ち上げた。
「さっきのお返しだ!」
 自分を支点に1回ぐるりと回り、ヴリルの身体を空中高く投げ飛ばす。
 タイムイエローの力に遠心力が付加された投げ飛ばしは、重力を無視したかのように、ヴリルの身体を教会の天井へとめり込ませた。 
「よっしゃあ、今の内にここから脱出だ」
22失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:18:25 ID:AdLXs98T0
 タイムイエローの目的はヴリルを倒すことではなく、深雪を守ること。狭い建物の中での戦闘はいつ深雪に危害を与えるかわからない。
 タイムイエローは追撃よりも、深雪を戦いから遠ざけることを優先した。
 素早く深雪の元へと駆け寄り、彼女の身体を持ち上げる。そして、外へと出ると教会から距離をとるべく走りだす。
「んっ、んんっ」
「!、気がつきましたか深雪さん」
「ドモン……さん?」
 一瞬、深雪は怪訝な顔をするが、それが変身したドモンであることに気付くと、すぐに表情を柔和なものにした。
 だが、変身しているということが何を意味しているのかにも気付くと、表情を引き締める。
「ドモンさん、変身しているということはもしかして?」
「ええ、襲撃を受けました。でも、大丈夫。俺が撃退して……」

―ザザード―

 タイムイエローの言葉を遮るように聞こえてくる呪文。タイムイエローは反射的に飛んだ。
 刹那、今までいた場所に降り注ぐ光線。誰の仕業かなんて考えるまでもない。
「しつこい奴だ、クロノアクセス!」
 深雪を砂浜に下ろすと、クロノチェンジャーから大型バルカン砲――ボルバルカンが召喚する。
「今度はこっちにだって飛び道具はあるんだぜ」
 タイムイエローはそれを迫り来るヴリルに向けて構えた。
 しかし、ヴリルの姿を見ると、深雪は表情を変え、叫びを上げる。
「待って、ドモンさん!撃たないで!その人は勇さんなの!」
「勇さんって……深雪さんの夫の?そんな、どういうことなんですか深雪さん!!」
 深雪の言葉に動揺を隠せないドモン。その隙をヴリルは逃さない。

―ドーザ・ウル・ザザード―

 狼の雄叫びと共に放たれる狼の姿に似た2つの光弾。
「危ない!」
 タイムイエローは自らを盾にその光弾を受ける。
 先程前とは威力が明らかに違うその攻撃は、致命傷とはいかないまでも、クロノスーツを透過して、タイムイエローに激痛を与えた。
「ぐっ、うぁ」
 呻き声を上げ、タイムイエローは膝をつく。
23失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:19:07 ID:AdLXs98T0
「ドモンさん!……マジカ」
 已む得ずマージフォンをヴリルに向けて、凍結の呪文を唱える深雪。だが、マージフォンは何の反応も返さない。
「マジカ!」
 もう一度、呪文を唱えるが結果は一緒だった。
 心を遠くへ飛ばす魔法を使ったことによって、魔法力が限界まで消耗してしまったのだろうか。
(いいえ、そんなはずはないわ。こんなこと魔法が封じられてもいない限り、起こりえない)
 呆ける深雪に向けて、ウーザフォンを向けるヴリル。
「させるか!」
 タイムイエローは気合を入れて立ち上げると、ボルバルカンを発射した。
 放たれた光弾が砂浜を削り、視界を遮る程の砂埃を巻き上がらせる。
「深雪さん、逃げてください。ここは俺が食い止めます!」
 タイムイエローは、深雪がマジマザーと呼称される姿に変身できることは聞いていたが、深雪の様子から一時期の自分と同じように変身できないことを察知していた。
 そして、眼の前の相手が深雪を連れて容易に逃げられる相手ではないことも。
「ドモンさん」
「大丈夫、時間を稼ぐだけです。深雪さんの大切な人を殺したりなんてしません。だから、逃げてください」
 タイムイエローはクロノチェンジャーから両刃剣ツインベクターを召喚し、両手に握る。
(夫が生きてたってことは深雪さんの恋人になるのは流石に無理だな。深雪さんは不貞を働くような人じゃない。だけど……)
 砂埃から掻き分け、振り下ろされたヘルファングを、タイムイエローは受け止めた。
(ここから脱出するまでは、自分の想いを貫く。深雪さんは俺が守る!)
「うぉぉぉぉっ!」
 タイムイエローはヘルファングを受け止めたまま、少しでも深雪から離そうと、ヴリルを押し込んでいく。
「深雪さん、早く!」
 急かされた深雪は、不安そうな表情を浮かべつつも指示に従い、その場から離れていく。
「よし」
 深雪の背中が見えなくなったのを確認し、タイムイエローはヴリルと距離を取った。
 タイムイエローはここで死ぬつもりはない。時間を稼いだら折を見て、逃げるつもりだ。しかし、受けた傷は明らかに自分の方が深い。
 しかも相手を殺さずに戦うとなると、真正面からやり合えば、良くて相打ちといったところだろ。ならば、奇策を用いるしかない。
24失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:20:21 ID:AdLXs98T0
(あの携帯電話だ。あれを壊せば、飛び道具はなくなる。飛び道具さえなければ、逃げる隙も作りやすくなるはずだ)
 狙いは決まった。
 ウーザフォンを使わせるために、タイムイエローは少しずつ間合いを離していく。
(さあさあ、使って来い)
 タイムイエローの狙いを知ってか知らずか、ヴリルはヘルファングを大地へと刺し、ウーザフォンを取り出す。
(来たなぁ)
 タイムイエローはダブルベクターのバーを上げた。ビートアップ。ダブルベクターの攻撃力が高まり、刃が輝いていく。
 この高まったエネルギーを発射する技がベクターハーレー。これでタイムイエローはウーザフォンを狙い撃つつもりだ。
 勝負はヴリルが光弾を放つ時。その隙をタイムイエローは待つ。
 ヴリルがウーザフォンのボタンを押した。

―ウザーラ・ウガロ―

 耳に届いた呪文は初めて聞く呪文だった。そして、ウーザフォンはタイムイエローに向けられていない。
 その呪文が何の呪文か。タイムイエローが疑問に思ったとき、ヴリルはいつの間にか自分の眼の前にいた。
「なに!?」
 驚きの声を上げながらも反射的にツインベクターを振るうタイムイエロー。
 だが、ヴリルはツインベクターが握られた右腕を取ると、身体全体を使って、逆関節に捻った。
「ぐぁぁっ」
 ヴリルの体重がかかり、軋む関節。あまりの痛さに、タイムイエローはツインベクターから手を放し、悲鳴を上げる。
 その悲鳴に満足したのか、ヴリルはあっさりと手を放す。
 体勢を立て直そうとするタイムイエローだったが、すぐさまその胸へヴリルの牽制の一撃が入った。
25失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:20:45 ID:AdLXs98T0
 続けて、タイムイエローの足を掴み、その身体を持ち上げる。
(これはさっき俺が掛けた技と同じ技……)
 首輪という枷により、ウルザードの姿に固定されたといっても、分析と模倣の能力は封じられたわけではない。
 ヴリルは戦いの中で、タイムイエローの能力を分析し、模倣していた。
 そして、ウーザフォンにより発動した呪文、ウザーラ・ウガロ。それは潜在能力を引き出し、身体能力の全てを向上させる呪文。
 今のヴリルはタイムイエローより、力強く、早い。
 ヴリルは自分を支点に1回ぐるりと回ると、タイムイエローの身体を空中高く投げ飛ばす。
 天井という制限があった時と違い、タイムイエローの身体は限界まで高く、高く上がり、やがて、落ちた。
 タイムイエローの身体が生々しい音を立てる。いや、もうタイムイエローではない。変身は解け、彼の姿はドモンへと戻っていた。
「くっ……そ…」
 ドモンの意識がゆっくりと闇に沈んでいく。意識を保とうとしても、より強い力に引き込まれ、逃げることができない。ドモンの瞳にヴリルの姿が映った。
(じ、じか……んかせぎはできた。み……ゆきさんをま…まもれたんだ……くい……はな…い…)
「み……ゆ…き…さん……………すきです」
 意識を失う直前、ドモンが最後に見たのものは今にもヘルファングを振り下ろそうとしているヴリルの姿だった。
26失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:21:28 ID:AdLXs98T0


「待ちなさい!」
 止めを刺すべくヘルファングを振り上げたヴリルに制止の声が掛けられる。
 後ろを振り向くと、逃がしたはずの深雪の姿がそこにはあった。走ってきたのか息が乱れている。
 なぜ戻ってきたのか。そんなことはヴリルにはどうでもいいことだ。ただ本能のままに獲物を抹殺するだけ。
 ヴリルはヘルファングを振るう。一振り、二振り、三振り、ところが紙一重というところでかわされ、空を斬った。
 深雪の体術がそれなりに優れているとはいえ、タイムイエローと比べると雲泥の差だ。能力の強化されたヴリルに捉えられないはずはない。
 そこでヴリルは気づく。深雪が優れているのではなく、自分の能力が衰えていることを。
 ウザーラ・ウガロが発動していない状態と比べても、今の自分の動きは明らかに劣っていた。
 ならばなぜ衰えたのか、ヴリルは分析する。そして、瞬時に答えを出す。
 その答えは――首輪。
「やっぱり、変身だけじゃなくて、能力の全てが封じられるのね」
 分析という行為が生んだわずかな隙。その隙を突き、深雪はヴリルの懐へと入り、その首輪を掴んでいた。
「でも、それでも闇の呪縛転生は解けない……」
 ヴリルは首輪の効果など知らない。そして、深雪の言葉の意味も理解しない。
 ただ、懐に入りながら、言葉を紡ぐという無謀な行為をした深雪に、刃を差し向けた。
「ごめんなさい、勇さん」
 深雪がヴリルの首輪を引いたのと、ヘルファングが深雪の身体を貫いたのはほぼ同時の出来事だった。



 深雪は砂浜に身を横たえ、爆発で頭から肩口にかけてを吹き飛ばされた伴侶の姿を見ていた。
 見ていて胸が痛くなるほどの酷い死骸だ。だが、深雪は眼を背けない。
 何故ならこんな姿にしたのは自分なのだから。死ぬ最後の瞬間まで見続ける責任がある。
 深雪の身体は爆風の衝撃で所々が焼け爛れていた。特に顔は悲惨だ。
 長い髪は焼き切れ、白かった深雪の肌はその全てを黒に変え、例え家族といえども、一目で深雪と判断できない有様だ。
 そして、ヘルファングの一撃は彼女の臓器を傷つけ、致命傷を与えていた。あとわずかで深雪は死ぬ。
 そんな深雪に影が掛かる。顔を向けると、泣き顔をしたドモンがいた。
27失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:22:19 ID:AdLXs98T0
(よかった、生きてたのね)
「深雪さん、どうしてこんなことを。逃げれたはずなのに」
「……ぁぁぃ」
 なんとかしゃべろうとする深雪の唇に耳を寄せる。
 かすかに、本当にかすかにではあるが、深雪の声は、耳に言葉として聞こえてきた。
「私たちは親ですもの。例え、私たちが犠牲になっても子供が守れれば、それでいいんです」
 勇が生きていたことは本当に嬉しかった。どんな姿でも生きていてくれたら、それでいいとさえ思った。
 だが、それでは駄目なのだと、逃げる最中に深雪は気づいたのだ。
 限定された空間にウルザードとなった勇が放たれる。それがどんな結果を生むのか。
 ドモンのように優しい人ほど、攻撃の手を緩め、その命を散らす。勇のために、深雪のために。
 そんなことは勇も、深雪も望まない。だから、この場で勇は葬らなければならなかった。
「深雪さん、そんな……うぅっ、っぁ」
 手で顔を覆い、嗚咽の声を漏らすドモン。次第にその声は手で抑えきれないほどに大きくなってくる。
「っぅっふぅっ、ぁははっ、くくくっ、はははっ、あははは」
(ドモンさん?)
「ばぁ〜っ!」
 ドモンが手を開くと、そこにドモンの顔はなかった。
 その顔は忘れるべくもない。勇を殺した張本人、ロン。
「あなたの行動が不可解だったものですからね。死ぬ前に確かめようと思いまして。しかし、その理由が……くくくっ……木偶人形を命掛けで倒すことだったとは」
 ロンはヴリルの死骸に近寄っていき、懐から銀のケースを取り出すと、指を鳴らした。
 すると、途端にヴリルはゲル状の物体へとその姿を変え、銀色のケースに納まっていく。
 そして、ロンはしっかりと封をすると、愕然としている深雪の顔の前でそれを振った。
「これはヴリルと言います。こいつにはあらゆる物を模倣する能力がありましてね。今回は小津勇をコピーしてもらいました。
 わかりますか、あなたはこんなもののために命を賭けたのです」
28名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 23:22:48 ID:gVa7pC9z0
      
29失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:23:47 ID:AdLXs98T0
 表情は焼け爛れわからないが、眼を見ていると、心が絶望に染まっていくのがわかる。
 それがたまらなく愉快だ。もっともっと愉快になるためにロンは言葉を続ける。
「ああ、でも、安心してください。もうこれは使いませんから。首輪を破壊された時点でヴリルが敗北したのは確かですし、あなたが死ぬのならウルザードを使う必要がありませんからね」
 深雪の耳に顔を近づけ、ロンは止めの言葉を囁いた。
「知ってましたか?もう麗さんはお亡くなりになりました。あなたの勇気は誰一人守れなかったのです。
 ……ヨカッタデスネ」
 ロンは再び笑う。だが、その笑い声はもう深雪の耳には届いていなかった。
 まだ心臓は動いていたが、彼女の心はその身体より先に死んでいた。



 わずかに太陽が昇り、目蓋に覆われた瞳が光を感知する。ドモンはゆっくりと眼を開けた。
 まず彼は自分の左胸に手をやる。心臓は脈動していた。
(生きてる。俺、死んだんじゃなかったのか?) 
「おや、起きましたか」
「お前!」
 太陽を遮ったロンの顔を見て、反射的にドモンは身を起こす。
 位置的にそんなことをすれば、ロンのおでこにぶつかるところだが、ロンはそれを紙一重でかわした。
「おっと、危ないですね。もう少しで当たるところでしたよ」
 飄々と言葉を放つロンに、ドモンは敵意を露にし、殴りかかっていく。
「うりゃああぁ!」
 だが、その拳が当たる直前、ロンは金色の煙となり、すり抜けていった。
 諦めず追撃を行うとするドモンだが、突如、身体に激痛が走る。
「痛ってぇ」
「当たり前ですよ。まだ傷薬は効き始めといったところなんですから。……しかし、もうそこまで動けるようになるとは、ゴキブリ並みのしぶとさですね」
「うるせぇ!」
 そこでドモンは自分の身体を改めて確認した。プロテクターは外され、身体中痛いが、それでも無理して動けないほどではない。
 経験則からいって、死んでもおかしくないほどの重症だったはずだ。それに意識を失う直前に見た光景が正しければ、止めを刺される寸前だったはずだが。
「おい、あいつはどこへ行った」
「あいつ?」
「あいつだよ。紫色した、深雪さんの夫のあいつだ!」
30名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 23:24:43 ID:gVa7pC9z0
            
31失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:25:10 ID:AdLXs98T0
「あぁ〜、小津勇ですね。彼は死にました。彼女に殺されてね」
 ロンは身を翻すと、指を指した。その指の先をドモンが見ると、何か黒いモノが転がっているのが見える。
 あれは何だと、痛みを堪えながら徐々に黒いモノへと近づいていくドモン。
(ま、まさか)
 はっきりと見えてくるにつれ、ドモンの歩みが速くなっていく。身体が悲鳴を上げるが、気にしてはいられない。
 その黒いモノの元へ辿り着いたとき、ドモンは全身の力が抜け、その場へと崩れ落ちた。
「み、深雪さん?嘘だろ」
 黒いモノは人の形をしていた。顔は酷く焼け爛れ、誰かの判別が付かないほどだ。
 だが、わずかに残った白い肌や服の切れ端は深雪のもののように思えた。
「……いや、そんなはずはない。深雪さんは無事逃げ延びたはずだ」
「残念ながら、その死体は小津深雪に間違いありませんよ」
 自分の考えを必死に否定するドモンに、後ろから無慈悲なロンの言葉が掛けられる。
「そんな、そんなぁ。うわぁぁぁっ!」
 大地に顔を埋め、ドモンは泣き崩れる。
「なんで……なんで逃げなかったんだよ、深雪さん。なんで!なんで!なんで!」
「落ち着きなさい。小津深雪がなぜ逃げなかったか、なぜ戻ってきたか、そして、なぜ死んだのか、私が説明しましょう」
 ドモンの叫びが止む。聞く気があると判断したロンは口の端を少しだけ上げると、ゆっくりと語りだした。
「感動的な場面でした。この私でもあやうく涙を流しそうになったほどに。
 あなたを心配して、この場へと戻った小津深雪はある決意を持って、小津勇と対峙しました。
 それは……あなたを救うために小津勇を殺すことです」
 ドモンが息を飲むのが解る。ロンは益々口の端を吊り上げながら、言葉を続けた。
「とはいえ、相手は熟練の騎士。まともに戦っては勝ち目はありません。そこで彼女は首輪を狙ったのです。
 ご存知の通り、この首輪は強制的に外せば爆発します。小津深雪はそこを狙い、そして、その試みは見事に成功しました。
 しかし、彼女も相応のダメージを受け、残念ながら帰らぬ人に」
「深雪さん……」
32失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:25:37 ID:AdLXs98T0
「ドモン、小津深雪はなぜ小津勇を殺すという決断を下したかわかりますか?
 あなたを心配したといっても、小津勇は彼女の夫。普通に考えれば、見知らぬ男の死より、近しい夫の生を望むものです。
 それなのになぜ?」
 ロンは俯くドモンの耳元へ口を持っていくと囁いた。
「わかるでしょう。それは近しい夫より、見知らぬ男の方を愛してしまったからです」
 グラグラとドモンの心が揺れるのがわかる。ロンがわざわざドモンの傷を手当てしたのはこれが目的だ。
「そんな小津深雪の気持ちに応えたくありませんか?私の力をもってすれば、小津深雪の復活は可能です。
 小津深雪の家族が邪魔なら、あなたと一緒に30世紀に連れて行くことだってできますよ?どうですか、小津深雪を妻に娶り、30世紀で幸せに暮らすというのは」 
「うるせぇ……」
「えっ?」
「うるせぇって、言ってんだ!深雪さんはそんなこと望んでねぇ」
 ドモンの眼にもう涙はなかった。その眼に宿っているのは明確な決意。決意を持った眼でロンを厳しく睨みつける。
「やれやれ、まさかそこまで固い意思をお持ちだとは。まあいいでしょ。これを渡しておきます」
 ロンはどこからか、参加者全員に支給されたものと同じ型のディパックを取り出す。
「小津勇に支給される予定だったディパックです。元々、私はこれを届けに来たのですよ。
 ですが、届ける前に小津勇は小津深雪に殺され、小津深雪も死んだ。しかし、あなたは生き残った。
 だから、このディパックはあなたのものです」
 ドモンは無言でディパックを受け取ると、ディパックの中身の確認を行う。
「そのディパックの中にランダムの支給品は入っていません。元々その中に入っていた支給品はもうあなたに使ってしまいました」
 ロンの言う通り、ディパックには共通の支給品の他には説明書しかなかった。その説明書には『気づかず治る傷治し薬』とだけ書かれていた。
「深雪さんの鞄は?」
「さあ。そこら辺に転がっていると思いますが、形見にでもするつもりですか?」
 ドモンはロンの質問には答えず、身を翻し、歩きだした。ロンが制止の声を上げるが、それを無視して歩みを進めていく。
「まあ、私の言ったこと、考えておいてください」
33失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:26:08 ID:AdLXs98T0
 ロンはその言葉を最後にいずこかへ消えた。
「そんなこと、深雪さんが望むわけないだろ」
 吐き捨てるように呟くと、ドモンは深雪のディパックを探す。ロンの言ったとおり、せめてもの形見にと思ったのだ。自分の決意を鈍らせぬように。
(そう深雪さんは俺と夫婦になることなんて望まない。深雪さんの望むことは家族との幸せな生活だ。そこに俺の姿はなくていい)
 ドモンはロンの囁きを聞き、決意していた。優勝し、自分の望みを叶えてもらうことを。
 深雪がどんな気持ちで夫を殺したのかはわからない。だが、そこに相当な決意があったことは確かだ。そして、ドモンはそれに助けられた。
(俺は結局、自分のことしか考えてなかった。深雪さんの気持ちも考えず、ただ自分の想いを告げることしか考えてなかった。
 もし、あの野郎に願いを叶える力が本当にあるなら、俺の命なんてなくなってもいい。深雪さんに幸せになって欲しい。だから、俺は……)
 やがてドモンは放置されていた深雪のディパックを見つけた。
 ドモンはそれをギュッと抱きしめた。



「どうやら成功のようですね」
 ロンは戻った広間でそんなことを呟いた。
 ロンはドモンの本心はどうあれ、彼が優勝を目指すことを確信した。
 なぜなら彼はロンが囁いた後、一切ロンに危害を加えようとしなかったのだから。
 深雪は子のために夫を殺すという極限を見せてくれた。
 今度はドモンがどれほどの極限を見せてくれるか。ロンはそれが楽しみで仕方なかった。

【魔導騎士ウルザード(ヴリル) 回収】
【小津深雪 死亡】
残り37名
34失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:26:38 ID:AdLXs98T0
【名前】ドモン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:Case File20後
[現在地]:J-4海岸 1日目 早朝
[状態]:全身打撲。魔法薬(気づかず治る傷治し薬)の影響で回復中。1時間変身不能。
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:基本支給品一式×2(勇、深雪)
[思考]
基本行動方針:優勝して、深雪に幸せな家庭をプレゼントする。
第一行動方針:?
備考:ドモンのデイパックは燃え尽きました。グラップラー時代のプロテクターはロンに回収されました。変身に制限があることに気が付きました。
35 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:27:22 ID:AdLXs98T0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。
36名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 23:43:13 ID:S/sPvMB/O
超GJ!
なんという熱いバトル、用意された絶望、苦しい二人の思いと決意、瞬きをするのも惜しいほど釘付けになりました。
もう一度惜しみない超GJ!を送りたい!
37名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 00:25:43 ID:XDSZVNDjO
GJです!!
深雪さんの悲壮な思い、ドモンの悲しい決意、
ヴリルの本能で人を殺める恐ろしさ、
そして何より、周到で陰湿なロンの小賢しさ、
全てに圧倒されて、息が苦しくなる程です。
深雪さんの最期は、いかばかりの絶望かと思んばかれて、涙ぐむほどでした。
本当に、言葉を尽くしても足りない程ですが、
改めてGJ!
38名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 00:43:02 ID:h7uXkT2p0
GJ!
熱いバトル……でも欝に落ちる!
ドモンの悲壮な決意、ロンの暗躍、面白かったです。
ああ、深雪さんが切ない。
もう一度GJ!
39名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 00:43:58 ID:v06K6KGR0
美しい人が醜く焼け爛れるってのはきついですが、物語上の必然性でしたね。
さくら姐さんとかもこうしてやられちゃうのかしら?
マジレン勢に何か恨みでもあるのか、ロン…
40名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 01:19:57 ID:XDSZVNDjO
やっぱり、最初に刃向かったのが小津父だから?
それにしても、最初は、ボウケンジャーと同率一位の参加者数だったのに、
いつの間にやら、半数以下に。
41名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 03:31:51 ID:w8qeQaWy0
と、いうか真墨を除けば、マジレン勢しか死んでない。
ヴリルもウルザードになってたからマジレン勢と言えなくもないし。
42名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 22:51:29 ID:XDSZVNDjO
不幸の星の元に、このロワに選ばれたのかもね。マジレン勢。
にしても、これでヒカル先生の守る対象はいなくなっちゃった事になるのか。
不謹慎だけど、放送後がちょっと楽しみ。
43名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 00:27:27 ID:GuCJzmes0
何気に仲間の死に敏感なチーフの反応も気になるがな。
あと、菜月。
44名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 00:48:32 ID:MsIGRaezO
>>43
仲間で親で兄弟みたいな存在だろうしね。真墨。
45名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 01:15:22 ID:5OeUVlvo0
放送時に菜月の側に誰がいるかで、かなり違うよな。
46名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 01:20:51 ID:GuCJzmes0
誰かが死ぬたびに暗示みたいに美希や姐さんにメッセージを送るとかあったら益々陰湿だな、ロンw
一方は早く死ななきゃと思うし、一方はもっと殺さなきゃと思うし。
そういや、放送SSはいろんなキャラをいっぺんに出してもいいもんなのか?
47名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 02:12:56 ID:MsIGRaezO
>>45
今のまま、竜也のそばならいいけど、
もし一人だったり、あまつさえ、ステルスマーダーと一緒だったりしたら、かなり危ういかもね。
>>46
事前に予約を取られていたら、大丈夫だと思いますよ。
48名無しより愛をこめて:2008/05/27(火) 00:30:55 ID:XjYex29kO
議論スレにて、◆eQMz0gert氏からなんら回答が得られない為、回答期限を設けておりましたが、
本日、0時に期限切れと相成りました。
その為、氏の作品は破棄となります。
ご報告が遅れまして、大変申し訳ございません。
49名無しより愛をこめて:2008/05/30(金) 12:58:45 ID:ePV3d3Yg0
前スレで埋めネタ代わりに、リレー感想を行っています。
もし、よろしかったらご参加下さい。
50 ◆MGy4jd.pxY :2008/05/30(金) 21:19:41 ID:t7WgOTZ3O
大変申し訳ありません。
期日に間に合いそうもないので延長をお願い致します。
51名無しより愛をこめて:2008/05/30(金) 22:09:31 ID:hBJ/z2/pO
>>50
了解しました。楽しみにお待ちしております。
52名無しより愛をこめて:2008/05/31(土) 02:51:22 ID:IvxcLJfh0
>>50
リョウカイです。期待しております。
53 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:31:40 ID:kMolMV5m0
投下します
54 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:32:17 ID:kMolMV5m0
仲間と合流する為には、最も人の集まりそうな場所に行く必要がある。
とりあえず都市部へという事になり、北へ向かおうとした、その時だった。
支度を終え立ち上がろうとした小梅が、小さく悲鳴をもらし、その場にうずくまった。
その手は庇うように右足首にあてられている。
「挫いたか?」
訊ねると、痛みに眉を寄せながら頷く。
「ちょっと痛むなーとは思ってたんだけど・・・・・・」
察するに、先程砂に足を取られた時に挫いたという所だろうか。
小梅は顔をしかめながら、バックからペットボトルを取り出すと、足首に宛がった。
ただでさえ砂地は足に負担をかけるというのに、これでは長時間歩かせるのは、不可能に近い。
だが、このままこの場所にいるというのも問題があった。
周りは砂や流木ばかりで、殆ど遮蔽物が無い。
しかも波の音に掻き消され、人の気配を察する事さえ難しい。
これでは的にしてくれと言っているようなものだった。
考え込みながら周囲を見渡すと、少し先に岩陰が見えた。
本来は、あまり動かさない方がいいのだろうが、今はそうも言っていられない。
岩場まで移動する事に決めると、映士は小梅に手を差し伸べた。
55桃色天然娘 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:33:21 ID:kMolMV5m0


移動する際にも一悶着あったが、

「ヤダ、高丘さん。胸触ったー!」
「今の胸か?」
「・・・・・・セクハラで訴えてやるー!!」
「馬鹿な事言ってないでとっとと負ぶされ!」
「バカって言うなー!」

それは、また別の話である。



「これでよしっと」
アンダーシャツの裾を細長く裂き、テーピングの要領で足首に巻きつける。
一連の作業を終え、映士は顔を上げた。
「このままじっとしてれば、朝には少しはマシになってるだろ」
「ありがとう。もう大丈夫だから、高丘さん先に行って」
これじゃ、足手まといだし。そう付け加えると小梅は笑った。
「いいや、俺様も朝までここで休憩だ」
あー、重かった。映士は真向かいに腰を下ろすと、うそぶきながら肩を叩く。
56桃色天然娘 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:34:05 ID:kMolMV5m0
「えー、太ったかな。割と軽い方だと思ってたのに」
「あー、チビな分、嵩は少ないかもな」
「そう、チビな分・・・・・・って何言わせるのよ!」
笑いながら拳を振り上げ、ふと真面目な顔つきになると、小梅は静かにそれを下ろした。
ぎゅっと自分の両手を握り締める。
「仲間の事心配だったりしない?」
映士への気遣いと彼女自身の不安とがないまぜになったような声。
刑事という職務上、陰惨な現場は今までいくつも見てきた。
だが、目の前で繰り広げられたあの光景は、小梅の心に暗い波紋を落としていたのだった。
「俺様の仲間はそんな簡単にくたばったりしねーよ」
ポンと小梅の頭に手をやる。
「あんたの仲間もな。ええと、コドー・・・・・・」
「ウメコでいいよ。ありがとう。そう、だよね」
「ああ」

それからは、とりとめのない話をした。
仲間の事、それぞれの世界の事、敵の事、家族の事・・・・・・
初めのうちは、映士の方が話していたが、だんだん小梅の口数が増え、いつのまにか話す方と聞く方が逆転していた。
しばらくは相槌を打ち、時折、疑問を差し挟んでいた映士も、話がのろけめいてきた頃には、聞き流すようになっていた。
ふと、声が聞こえなくなった事に気が付き、映士が遠くにやっていた意識を戻すと、小梅は岩壁にもたれ静かに眠っていた。
かすかに寝息を立てながら上下する肩に、自分のジャケットを着せ掛けると映士は軽く溜息をついた。これで、朝までは静かに過ごせる。
こんな状況下で眠れるとは、順応力が高いと取るべきか、図太いと取るべきか悩むところだが。
その無防備とも取れる振る舞いは仲間の一人を思わせた。
―――真墨も苦労してんだな―――
心中で呟くと映士は薄く苦笑し、見るともなしに遠くに目をやった。
57桃色天然娘 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:35:13 ID:kMolMV5m0


『・・・・・・・・・・・・す!!』

微かに聞こえてきた声に、映士は沈みかけた意識を無理やり呼び起こした。
未だ、眠り込んでいる小梅を揺り起こす。
「んん、な〜に?あれ、ここどこ?」
「寝ぼけてるな、おい」
目をこすりこすり開くと、小梅は映士に微笑みかけた。
「あ、高丘さん。おはよう」
「映士でいい。いいか、しっかり目覚ましてよく聞けよ。
 こっちに誰か向かって来てるらしいから、様子を見に行く。もし、20分経っても戻らなかったら、一人で逃げろ」
「そんな・・・・・・」
「その足じゃ、とっさの時に逃げられないだろ。心配すんな。俺様はそう簡単にくたばったりしねーよ」
小梅は何か言いたげだったが、映士はあえて遮ると踵を返した。
「・・・・・・いってらっしゃい」
「おう」
後ろ手に手を振り、そのまま岩陰から足を踏み出した。


「さあて、クエスターが出るか、ロンがでるかってとこか?」
58 ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 19:47:52 ID:sSUQWFIqO
大変申し訳ありません。
今日が期限で今から投下しようと思ったのですが、家のパソコンからネットに接続する事ができません。
なんとか日付が変わるまでにとはおもいますが、もし間に合わない場合、お許し頂けるならば、明日正午から一時までのかならず投下いたします。
ですが決まったルール上、予約を破棄した方がよければその意見に従います。
意見をお待ちしております。
59名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 20:10:48 ID:U+7TQt8Q0
>>58
了解しました。投下お待ちしております。

それでは、代理投下を始めます。
60桃色天然娘代理:2008/06/02(月) 20:11:22 ID:U+7TQt8Q0

【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、後は不明(確認済)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:声の正体を探りに行く。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。

【名前】胡堂小梅@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回後
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:右足首を捻挫、手に軽い打撲、砂まみれ
[装備]:SPライセンス、拳銃(シグザウエル)、後は不明(確認済)
[道具]:不明(確認済)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:映士を待つ。
61桃色天然娘代理:2008/06/02(月) 20:11:56 ID:U+7TQt8Q0
103 : ◆Z5wk4/jklI:2008/06/02(月) 19:38:28
最後の最後で規制に引っかかってしまいました。
お願いします。
以上です。
誤字脱字、矛盾などご指摘がありましたら、お願い致します。

代理投下終了します。
62名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 20:13:56 ID:U+7TQt8Q0
読了。
投下乙!
ウメコと映士のやり取りに和みましたw
うん、ウメコはムードメイカーですね。
続きが気になる良つなぎでした。GJ!
63名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 21:24:35 ID:Afzi3F3Z0
真墨を思い出すのが切なくていいですね
既に“くたばっている”ことを知ったとき、映ちゃんはどうするんだろう?
64 ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 21:46:01 ID:EzI7x3/H0
◆Z5wk4/jklI 氏、大変申し訳ありませんでした。
リロードせずに書き込んでしまいました。
本当に申し訳ない。
そしてGJです!
真墨を思い出す映士に涙。
そしてウメコが良いです。
「仲間の事心配だったりしない?」
の台詞はぐっと来ました。

ネットにつながらなかったのは『禁断の壺』のせいだったようです。
もう一度推敲して、一時間後には投下します。
よろしくお願いいたします。




65 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 21:58:22 ID:IrIke/XRO
代理投下&感想ありがとうございます。
>>64
いえいえ、お気になさらずに。投下楽しみにお待ちしております。
66 ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:03:00 ID:EzI7x3/H0
ありがたいお言葉感謝いたします。
いつもながら遅くなりまして申し訳ありません。

ちょっと書き上げるのが苦しいSSでした。
読んで頂ければとても嬉しく思います。
67Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:05:05 ID:EzI7x3/H0
『Trolley problem』


   あなたはトロッコに乗り、ある線路を走っている。
   砂煙を撒き散らし、スピードをぐんぐん上げ走っていく。
   流れる景色にしばし目を奪われた。
   再び前方に視線を戻したあなたの目が、線路の上にいる5人の男達の姿を捕らえた。
   あわててブレーキを掛けたが、スピードは緩まるどころか速さを増し、全く制御が効かない。
   このままでは5人を轢き殺してしまう!
   だが、幸いにも線路には支線が伸びていた。
   あなたは5人を避ける為、トロッコの進路を変えようとした。
   その時……
   支線に立つ人影に気付いた。
   1人の男が支線の上で立ちつくしている。

   このまま線路を突っ走れば、5人を轢き殺す事になる。
   進路を変えて支線へ突っ込めば、1人が死ぬ。

   分岐点は、もう目の前……



68Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:07:11 ID:EzI7x3/H0

‡   


空を飛ぶ鳥の姿もなく、地上を駆ける生物もいない、広大な砂の海。
見渡す限りの砂地が、大きく風紋を織りなす枯れ果てた不毛の地をシュリケンジャーは走り続けた。
その代わり映えしない景色の中、走ること数時間。
長く長く続いた緩やかな砂漣の斜面を登り切った先にあったのは、それまでと同じ砂の海ではなかった。
青々と茂る緑の木々と、月明かりを一杯に受けキラキラと輝く水面が揺れている。
そこは、オアシス。
砂漠という荒野の中で唯一疲れを癒し、安らぎをもたらす場所。
滾々と湧き上がる豊かな水と美しい緑に引き寄せられるように、シュリケンジャーの足が速まった。

オアシスに辿り着いたシュリケンジャーは、不思議な程ほっとした気持ちで緑の木々を眺めた。
遙か昔、行商人たちは半月掛けて砂漠を旅したという。
やっと辿り着いた彼らに、オアシスはきっと同じ安堵を与えた。
とはいえ、同じく砂漠を旅したとて、こちらはたった数時間の旅。
心が疲弊したとはニンジャオブニンジャの名が廃る。
それとも殺し合いの場に駆り出されたのが原因なのか。
どちらにしても修行が足りない。
フッとシュリケンジャーは自嘲じみた笑みを漏らす。
心とは違い、身体に疲れは感じられなかった。
呼吸もさほど乱れてはおらず余力は充分に残っている。
ただ額から吹き出る汗と火照った頬が、ウォーミングアップとしては激しすぎたと訴えているようだった。
栗色のサラサラとしたストレートの前髪を汗が伝う。
汗が瞼を流れる前に、湧水に両手を浸し火照った顔に叩き付けた。
冷たい水が汗と火照りを洗い流す。
すっかり爽快になった顔に曇りのない笑顔が浮かんでいた。
69名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:08:15 ID:U+7TQt8Q0
   
70名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:09:25 ID:U+7TQt8Q0
        
71Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:09:33 ID:EzI7x3/H0
シュリケンジャーはそっと頬に手を当て水面を覗き込む。
漣のおさまった水面が、あどけなさの残る端正な横顔を映した。
笑顔、泣き顔、怒った顔、シュリケンジャーは次々と表情を変え水面に映し確かめた。
変装は完璧だった。

「オーケー、これなら完璧だ」

水面に映るシュリケンジャーの面表はハリケンレッドたる椎名鷹介の顔そのものだ。
鷹介に変装していれば、おぼろと出会ったときの説明もしやすいだろうと考えた。
よって、いつものように口調まで変える必要は無い。
幸いにも広間にハリケンジャー、ゴウライジャーたちの姿は無かった。
ジャカンジャとの最終決戦も近い今、戦力たる彼らがこのバトルロワイヤルに巻き込まれなかったのは、せめてもの救い。
シュリケンジャーにとっても、当面の心配と護るべき対象は日向おぼろただ一人だけで良い。
おぼろを護ることを最優先とし、彼女と首輪を解除し帰還する。
ハリケンジャーたちには帰還するまでの僅かな間、一日か二日か、それまで何とか持ちこたえてさえくれればいい。
そして、その間にシュリケンジャーは自らにもう一つの密命を課すこととした。

『このバトルロワイヤルにおいて一の槍、五の槍の二槍を倒す』

シュリケンジャーはサーガインとフラビージョを人知れずこの場で始末するつもりだった。
ジャカンジャの戦力削減は地球の未来の勝利につながる。

「ミーとおぼろは無事に帰還し、ハリケンジャーたちと共に残りのジャカンジャを打ち倒す。そうと決まれば行動開始だ」

掛け声と共に水上を突っ走った。
口調と同じく、シュリケンジャーの思考は明るく楽観的だった。

72名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:11:00 ID:U+7TQt8Q0
       
73名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:12:00 ID:U+7TQt8Q0
          
74Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:12:31 ID:EzI7x3/H0
‡‡

「助かっ……た、の…ね」

スワンの瞳から自然に涙が零れた。
起き上がり両手でしっかりと、身を護る鎧のように自分の肩を抱いた。
涙がとめどなく流れていた。
零れ落ちる涙の先、スワンの血を吸った黒ずんだ砂が、凄惨な戦いを明瞭に思い出させる。
『怖かった』身体が震え、唇がわなないた。
脳裏に甦る理央の侮蔑を帯びた視線。
理央はスワンに弁明する暇も与えず、話に耳を傾けようともしなかった。
戦いというには余りにも一方的。あれは、まるでリンチ。
憤りと恐怖でスワンは無意識のうちに身を固くしていた。
理央は言った。スワンが人間を燃やしたと……
いいがかりをつけ、不意打ちを食らわせたのか?
それにしては、スワンを糾弾する理央の様子は真に迫っていた。

「違う、違うわ。私は殺し合いになんか、乗っていない。私は、私はただ反撃の狼煙を……
どれもこれも、私には必要ない殺し合いの道具。それをただ壊しただけ」

スワンの思考を遮るように、砂を踏み締める足音がした。
顔をあげると、いつの間に追い越されたのか、ドギー・クルーガーが森へ向かい歩いていた。

「ドギー!」

スワンはドギーの元へ走った。
だが砂に足を取られ、思うように進めない。
数歩も進めずに倒れ込む。
75名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:13:29 ID:U+7TQt8Q0
             
76Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:14:10 ID:EzI7x3/H0
不意にスワンを照らしていた月明かりが翳った。
地に映るは黒獅子の影、理央がすぐ後ろに立っていた。

『お前は殺し合いに乗った』

低く唸るような声がスワンの身体を貫いた。
止めを刺しに戻って来た?恐怖に駆られスワンは、砂を掻き這いつくばり前に進んだ。
今度こそ殺される!起き上がり足を速めた。ドギーの名を呼びながら、痛む体をひきずるように、懸命に走った。
だが走っても走ってもドギーの背中に追い付かない。

「ドギー待って!行かないで」

必死の叫びが届いたのか、ドギーがこちらに振り向いた。
安堵したのはほんの一瞬、すぐに悲しみで表情が歪んだ。
ドギーがスワンに向けたのは凍り付いた視線、凶悪な犯罪者たちに向ける目でスワンを見ていた。
その目が次第に激しい怒りの色を増す。
射ぬかれたようにスワンの足が止まる。

「どうして?どうして、そんな目で私を見るの……お願い、話しを聞いて!」

駆け寄ろうとしたスワンは、後ろから羽交い締めにされた。
理央が耳元で囁いた。

『お前が燃やした人間だ。その罪を償え』

体に巻き付いた腕がプスプス音を立て、溶けだした肉が黒く焦げていく。
服が、皮膚が、爪が、黒い煤となって風に散った。
焼け爛れた顔がスワンに頬ずりした。
スワンの口から絶叫が迸った。
77Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:15:46 ID:EzI7x3/H0

‡‡‡


悪夢から目覚めると白衣が包帯に代わりに体に巻きつけられていた。
スワンの前にいたのは理央でも無く、焼死体でもなくシュリケンジャーと名乗る若い男だった。
事の経緯を優しく訪ねてきた彼に、スワンは殺し合いに乗っていないことを説に訴えた。
シュリケンジャーは、その言葉に耳を傾けてくれた。

「私は警察官よ。それに、ここには仲間だっている。きっとどこかでこそこそ見ているロンに宣戦布告しようと、支給品を燃やして反撃の狼煙をあげただけなの。でも、理央の様子は、本当に怒りに駆られていた」
「それでユーは結局の所、理央をスパイだと思ってるのかい?」
「わからない。理央は私が殺し合いに乗ったと思ってるんでしょうけど……」

シュリケンジャーはスワンに肩を貸し、炎の騎馬まで歩いた。
スワンを後ろに乗せ、まるで自分のバイクのように軽々と操る。

「オーケー。どちらにせよ、本当に参加者の誰かが殺されているのかどうか確かめに行こう」

『どちらにせよ』シュリケンジャーの言葉が胸に引っ掛かった。

78名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:16:10 ID:U+7TQt8Q0
          
79名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:17:55 ID:IrIke/XRO

80Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:19:07 ID:EzI7x3/H0
‡‡‡‡


言葉も出なかった。
理央の言った通り、無残な焼死体がそこにあった。

(きっと、これは悪い夢の続き……)

現実逃避しようとする心を、警察官の誇りが押しとどめる。
シュリケンジャーに肩を借りたまま、焼死体の側へ歩み寄った。
焼死体の側でしゃがみこんだスワンの横で、シュリケンジャーは割れた瓶の破片を手に取り見つめている。
スワンは焼死体を眺めた。
顔を庇ったのか、ボクサーがガードをするような姿勢で死んでいる。
左手には青いメダルの着いたブレスレット。
スワンは腕の間から顔を覗いた。
損傷の酷い下肢や腕に比べ、焼損は少ない。
若く綺麗な女の子。苦悶を浮かべた形相をしているが、知る人が見れば誰だか分かるだろう。
煤が鼻腔内に付着している事から、死後焼却されたものとは考えられなかった。
全体から見て、焼身自殺を図ったのと同じ、炎に包まれることにより吸気中の酸素が欠乏したのが直接の死因。
火に包まれた時に呼吸をしていた、それは生きながら焼かれたことを示す。
いやな汗が背中を伝った。
スワンが反撃の狼煙を上げた時、近くには誰もいなかった。
誰かいたとしても燃え盛る炎に飛び込んだとは考えがたい。

(まさか、人間香水の中身がこの娘?でも、参加者じゃない)

その首には参加者全員に嵌められたはずの首輪が無い。
確かに、殺したのは自分かもしれない。
しかし、この死体は首輪もしておらず、デイバックが残されている訳でもない。
参加者で無ければ、スワンの予想した通り、彼女はロンが用意したスパイ。
その事をシュリケンジャーに伝えようと彼の腕を掴んだ。
硬く力が込められた腕の感触に驚いた。
81名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:19:21 ID:U+7TQt8Q0
        
82Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:21:44 ID:EzI7x3/H0
シュリケンジャーが小さな声で何か呟いた。
琥珀色をした瓶の破片を握り締めたシュリケンジャーの指の隙間から血が滴り落ちる。

「シュリケンジャー?」
「この破片は何だ!ユーはいったい何を燃やしたんだ!!」

あまりの剣幕に唖然とし、すぐに背筋が寒くなった。
シュリケンジャーがスワンを見る目は、理央がスワンに向けた物と同じ。
怒りに臨気を纏いスワンに拳を振り下ろした目と同じだった。
誤解を解かなければ、頭の中はそれでいっぱいだった。

「何って私は、支給品を……キラ・コローネの人間香水を、亡国の炎に。人間で作った悪趣味な香水を投げ入れただけよ」
「ジーザス!なんて事だ。いいかいスワン、人間香水の中身は『人間』なんだ。人間香水には24時間のタイムリミットがある。つまりそれまでに瓶を開けていれば中の人間は解放されたんだ!」
「だって、そんなこと知らなかった……でも、彼女の首元を見て?彼女には首輪が無いでしょう。おそらくロンの刺客よ。うっかり開けてしまえば私が殺されていたかもしれないのよ!」

堪え切れず声を荒げた。
83名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:22:23 ID:U+7TQt8Q0
       
84名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:23:11 ID:KiYUvRQ70

85名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:23:57 ID:U+7TQt8Q0
           
86名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:24:15 ID:KiYUvRQ70
ageてスマソ
87Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:24:38 ID:EzI7x3/H0
シュリケンジャーは大きく息を吐き出し、哀れみを湛えた上目使いでスワンを見た。

「……ユーは、とんでもない勘違いをしている。これはミーの仲間。ハリケンブルー、野乃七海さ」
「あなたの仲間?」
「そう、その焼死体がミーの仲間。キラ・コローネは宇宙忍法香水固めの術で人間を香水にするジャカンジャの中忍。ミーが倒したはずなのに!」


私が罪の無い人間を殺してしまった?
そんなつもりじゃなかった。
知らなかったんだもの。
いいえ、知らないではすまされないわ。
私が殺した。
わたしが殺した。
わたしがころした。
ワタしがコロした。
ワタシガ罪ノ無イ人間ヲ殺シテシッマタ?

「スワンさん?」

名を呼ばれスワンは我に帰った。
スワンさん?
スワンは可笑しかった。どうして犯罪者をさん付けで呼んだりするのだろう。
88名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:26:06 ID:KiYUvRQ70

89名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:26:17 ID:U+7TQt8Q0
        
90名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:26:48 ID:IrIke/XRO
支援
91Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:27:18 ID:EzI7x3/H0
渇いた笑いが漏れた。

「ごめんなさい。私が殺したのよ……」
「誰もそんな事は言っていない」
「いいえ、結果としてはそうだわ。人間香水なんて、名前の意味をよく考えれば簡単に想像は付いた」

顔を強張らせ、後ろへ退いた。
炎の騎馬へまたがりエンジンを掛けた。
咄嗟に身構えたシュリケンジャーを見て、やはり自分は犯罪者なのだと痛感した。

「どこへ?」
「罪は、自分で償うわ……でも、私は皆のために、ドギーのために。首輪を解除して脱出しようと思っただけなの。お願い、それだけはわかって」

シュリケンジャーの姿が見え無くなるまで駆けた。
振動で胃の辺りが酷く痛んだ。
構わずスピードを加速する。
ごめんなさい。
誰に言うわけでもなく、すべて人に向けて思う。
涙で滲んだ視界を、瞼で閉ざした。

衝撃音が森に響いた。

感覚は曖昧だった。
地に叩き付けられた身体よりも、むしろ身体の中、胸の奥が熱く痛かった。
92名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:27:54 ID:U+7TQt8Q0
         
93Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:29:24 ID:EzI7x3/H0
肩で息をしながら、薄汚れた血を吐きながら、SPライセンスをかざし最後のジャッジメントをコールする。

「チーニョ星人、白鳥スワン。殺人の罪でジャッジメント……」

警察官としての誇りは捨てない。
自分のした罪から逃れる事はしない。
抹消処分罪状は殺人罪、宇宙最高裁判所はきっとデリート許可を出す。
命が尽きる前に、ジャッジが降りるはず。
なのに、宇宙最高裁判所からの判決はいくら待っても来ない。
死んで罪を償いたいのに、いつまでも死なせてくれない。

「私には、裁きを受ける権利も無いの?」

白いSPライセンスが暗い闇の色に同化していく。
悪夢と同じく、ただスワンの前には目の眩むような絶望しかなかった。
94名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:30:22 ID:U+7TQt8Q0
          
95Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:30:52 ID:EzI7x3/H0

‡‡‡‡‡

シュリケンジャーはデイバックから取り出した白衣の切れ端で、爛れた七海の顔をそっと隠した。

「七海……あの時、キラ・コローネは倒したはずだったのに……生命の復活か、ロンが広間で言ったのはあながち嘘じゃなかったわけだ」

キラ・コローネを復活し、七海をもう一度香水にした。
人知れず参加者を集め、命までも操る。
とんでもない奴を相手している、そう思うと背中に薄ら寒い物を感じる。

森の奥から衝撃音が聞こえた。
だがシュリケンジャーは振り返ろうともせず、考え倦ねいていた。

ジャカンジャの地球侵攻の理由である『アレ』を出現させるわけにはいかない。
このままおぼろだけを連れて帰ったとして、七海の抜けた穴をどうする。
そうでなくとも、未熟な戦士たち。一人といえども戦力を欠いたままでは、地球の未来が、人類の存亡が危うくなる。
かといって、殺し合いに乗るならば、おぼろを含めた参加者全員を殺さなければならない。
だが最終決戦に、おぼろと七海の二人は絶対に欠かせない。

ならば、シュリケンジャーの選ぶ道は一つ。
殺し合いに乗る。
このバトルロワイヤルに勝ち残り、おぼろと七海を生き返らせ、五体満足で帰還させる。
もし、二人生き返らせるのが無理ならば、アレを消滅させるよう願い、地球を救えば……
二人の死は、無駄にはならない。

顔を捨て名を捨て、影となりて敵を討つ。
それが忍者の定め。
地球を、未来を、御前様を護る為ならば、たとえどんなに誤った選択だとしても、どれほど己の手が血で汚れようとも、使命を全うする。
ニンジャオブニンジャ、シュリケンジャーの選んだ道なのだから。
96名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:32:54 ID:U+7TQt8Q0
    
97Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:33:11 ID:EzI7x3/H0
【名前】白鳥スワン@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:第46話『プロポーズ・パニック』後
[現在地]:B-9森 1日目 黎明
[状態]:2時間変身不可。全身打撲。背中に大ダメージ。内蔵損傷。
[装備]:SPライセンス
[道具]:炎の騎馬、支給品一式
[思考]
基本方針:気絶中


【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:C-10森 1日目 黎明
[状態]:健康。
[装備]:シュリケンボール
[道具]:確認済み
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る。
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。

備考
・シュリケンジャーは変身に制限があることに気付きましたが、具体的な時間は気づいていません。


98名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:34:05 ID:U+7TQt8Q0
      
99Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:36:18 ID:EzI7x3/H0
以上です。

訂正が一つありました。
>>95
誤>>二ンジャオブニンジャ、シュリケンジャーの選んだ道なのだから。


正>>それがニンジャオブニンジャ、シュリケンジャーの選んだ道なのだから。
100名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:38:11 ID:U+7TQt8Q0
投下乙!
殺し合いに乗ったシュリケンジャー……
自分で自分をジャッジメントするスワンさん……
いずれも切なく、かつ上手く運んでおり、面白かったです。
GJ!