おにゃのこが改造されるシーン素体10人目

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381ダイレン
エピソード4:「愛を伝えに」


廃工場で轟音が鳴り響く。一般的知識を持つ者ならば、機材が倒れたか不良が何かしているのだと認知するだろう。
それは今回の件は通じない。そこでは異形の者達が、常識では考えられない戦闘を繰り広げているからだ。
「環!あんた、いい加減にしなよ!」
俊敏な動きにナギサは翻弄されていた。元は運動音痴だった環が、鹿のDNAが混ざったガゼルマリオンと化している。
飛びかかって蹴りを繰り出し、再び距離を取って蹴りを繰り出す。ヒットアンドアウェイによって決定的ダメージを与えられていない。
「裏切り者のエイプマリオン、貴様もここで死ね!」
角を象った槍を取り出し、ナギサへ向ける。勢いに任せて突き出してくる。
矛先がナギサの体を貫いた。しかし、ナギサが炎へと変わって槍を伝ってガゼルマリオンに燃え移っていく。
「嘘………何なのこれ……」
炎がガゼルマリオンを飲み込み、やがて戦闘不能になるまで燃えていた。
ガゼルマリオンが倒れたのを確認すると、ナギサは天井から降りてきた。もちろん、刺された形跡などはない。
「炎の幻、これが紅蓮三式・空蝉よ」
高熱で蜃気楼を生み出し、あたかもそこにいるかのように見せかける技。
威力こそ一式にも劣るが、戦略性・応用性に長けている技と言えるだろう。
「さて、ユミじゃないと戻せないから、あたしはここまでね」

廃工場から少し離れてる河原。ここでは蟹型のシザースマリオンに改造された秀斗がユミに襲いかかっていた。
「このハサミで貴様の翼を切り刻んでやる!」
ここで起きた釣り人の切断死体事件はこいつの仕業なのだ。自我が封じられてるとはいえ、友達を殺人者となっているのはユミの胸を痛ませる。
382ダイレン:2008/05/19(月) 01:30:57 ID:tBxd6j7ZO
スワンサーベルと腕となる鋏の生体武器・シザースパンツァーが刃を擦り合わせる。
火花が散り、両者はその切り結びを何度も繰り返す。位置を変えている内に川の中へと戦地を変える。
シザースマリオンは川に潜り、姿を消した。ユミは周辺を見渡すが本体は愚か気配がない。
「………どこに………!!?」
後ろから水しぶきが上がり、慌ててスワンサーベルで斬る。しかし、手応えは感じられない。
急に気配を感じたが、その時には遅かった。シザースマリオンはその直後に後ろからユミを川へと引きずり込んだ。
「いや……翼が……がばば……」
翼は濡れ、水を飲んでしまってユミは窮地に追い込まれた。シザースパンツァーで胴体わ鋏まれ、キリキリと食い込んでいく。
改造人間としての肉体の強靱さは人間の武器に対しては強力だが、同じ改造人間としては少し硬い皮膚程度。
(このままじゃ真っ二つだわ………)
ユミば泳ぐ゙イメージをして、その形状を変えていく。イルカのような姿に変わり、尾でシザースマリオンを叩いて抜け出した。
「……形態を変えた?そんなのありかよ………」
溶解液を泡に変換したをシザースバブルを吐いてユミを狙うが、イルカの泳ぎを会得した彼女は難なく避ける。
それは超音波によって相手の位置と行動を察知、次いでは予見することで触れられずに泳げるからだ。
「秀斗君、少し痛いけど……」
腕を前に固定し、超音波を一点に凝縮する。それをシザースマリオンに向け、誘導するための光を同時に作り出した。
「オーシャンズパルス!」
放たれた光線はシザースバブルを突き破ってシザースマリオンを川から地上まで運んだ。
「うわあああああ!!」
地面に叩きつけられたシザースマリオンは行動を停止し、ウイングモードへと変わったユミによって秀斗へと戻された。
383ダイレン:2008/05/19(月) 01:32:29 ID:tBxd6j7ZO
直に環も光の羽毛に包まれて元の姿へと戻る。由美と渚も人間の姿へ戻り、2人の救助のために通報した。
数十分後に2人は警察に保護され、その様子を陰から確認した由美達はこっそりと帰路に就いた。
ソルジャードールだった時の記憶は継承されるが、口止めをしといたので大丈夫だとは思えるが。
「しっかし、2人同時なんて……よっぽどあたし達を倒したいんだね」
「そうだね。環ちゃんも秀斗君も無事で何よりだったけど……」
渚から六本木ヒルズに新しい研究所があるのを聞いたが、戦力的にまだまだ不足しているので強行突入は出来ない。
改造された友達を治していくか、仲間にして纏めて救出するか。どちらも難しいことに変わりはないのだが。
「じゃあ、あたし帰るね。また明日」
それぞれが家の方向へ歩み出し、戦士は少女へと変わる。時間は20時36分。前なら風呂に入っていた時間だっただろう。


「ただいま………」
「由美!!。こんなに遅くまでどこ行ってたの!?」
家に入った途端、翔子は入り口まで駆けつけてきた。由美は驚きはしたが、相談していたパターン1を使うこととした。
「連絡網来てないかな?友達がまた2人見つかったんだよ!。警察署に入れないのはわかってたけど、渚ちゃんと話しがはずんちゃって……」
苦し紛れとはいえ、正直に話して母親を気絶させるよりはマシだろう。由美は靴を脱いで上がろうとする。
すると、翔子は由美を抱擁して頭を撫でてくる。とても優しく、温かい手で。
「由美………友達が心配なのはわかるわ……。でも、あなたがまたどこかへ行ってしまうと思ったら……辛いのよ」
うっすらと涙を浮かべている母親を見て、とても申し訳ない気持ちになった。
「ごめんなさい………」
384ダイレン:2008/05/19(月) 01:33:49 ID:tBxd6j7ZO
「由美、疲れたでしょ?お風呂に早く入りなさい。5月はまだ冷えるから、湯冷めしないようにね」
祖母がリビングから出てきて、優しい口調で入浴を勧める。由美も同意して手洗いとうがいをしたらすぐに向かう。

下着を脱ぎ、風呂場へと歩を進める。シャワーで体を少し温めると、ゆっくりと浴槽に浸かっていく。
湯気が立ち上る湯船の中で考えさせられる。当たり前と思っていた家族の自分への愛情の深さを思い知らされる。
(みんな……そうなんだよね。まだ捕まってるみんなだって……)
それぞれに家族がいて、それぞれの温かさがそこにはある。何より安心感が自然に持てるのだ。
(待っててね……あたしが必ず……)


゙バンッ!!゙

拳を壁に突き立てる。紗希はシャワーを浴びながら、今日殺したハリネズミマリオンを思い出していた。
彼女は菱木 雅。中学生の時に自分を慕ってくれていた後輩なのだ。彼女は純真で、ショートヘアーが似合う活発的な子だった。
そう、由美に似ている。雰囲気が似ているのだ。死ぬ間際に言い放った台詞、

゙先輩……どうし………゙

何もわからなかったんだと思う。何も知らなかったんだと思う。そんな子を自分は殺した。それは、助ける気持ちなんて全くない。
紗希は自分の中で葛藤をしている。ディソルバーとしての゙サギ、彼女らの友達としての゙紗希゙。
いくら探しても答えは出ない。紗希はバスルームから出ると窓を開けて涼んだ。
「私………間違ってないよね?」
彼女はしばらくして窓を閉めようとすると気配を感じた。それほど遠くではない。
さっきの戦いが終わってからそれほど経ってはいないが、゙ディソルバー゙として放っておけない。
「そうよ……私は目の前の敵を倒すだけ…………。変身!」
羽が生え始め、体もミツバチを形状へと変わり始める。窓から飛び立ち、住宅地から少し離れた森の中へ急行する。
385ダイレン:2008/05/19(月) 01:35:10 ID:tBxd6j7ZO
森を上空から見下ろしたサキは唖然とした。半径200mに雪………いや、氷が張っていたのだ。
降り立ち、見渡すとそれがわかる。プペロイドが20体程氷漬けにされていたのだ。中には身体を寸断されて凍っている奴も少なくない。
「いったい………何があったの?」
これほどの力を要しているということは戦闘特化タイプだろう。氷の溶解度から時間はそれほど経ってはいないだろう。まだ近くにいるかもしれない。

゙ガルル……゙


「!!?」
野犬か何かの鳴き声と共にサキは体を真横へ移動させた。案の定、今いた場所には白い光線が飛んできて、着弾したらその場は凍ってしまっていた。
「冷気?しかもこんな強力……ハッ!」
見上げると、月に重なって狼のような生き物が飛びかかってきていた。サキはビースティンガーを撃つが、冷気を浴びて崩壊してしまう。
さらに、鋭利な爪を剥き出しにした狼型のソルジャードールと思われる者はサキを狙った。
ソルジャードールは正確にこちらを狙ってくる。月が出てるとは言っても森の中である。光も僅かであるのに位置を捉えるとは手強い。
「………追っ手か?」
「??。何を言っているの?あなたこそ、私を狙って来たんじゃないの?」
男ではあるが、まだまだ太い声の女性に近いくらいに声質が幼い。由美のクラスメートだろうか?
それならば自分が目的ではないだろうが、積極的に攻めて来てもいいはずである。
「俺は会わなくちゃならない子がいるんだ………今、やられるわけには行かない……」
「まさか……洗脳を受けてないで……………!!?」
プペロイドが30体ほど近づいてきている。サキと狼のソルジャードールはお互いに敵意がないのを察したので素早くその場を後にした。
386ダイレン:2008/05/19(月) 01:37:06 ID:tBxd6j7ZO
日曜日となり、由美は渚の家を訪れていた。一刻も早く全員の救出を果たすための作戦会議をするためである。
「一番は、あいつらの基地がわかってるからアジトに殴り込みすることね」
「でも、あたし達だけじゃ勝てないし……」
「由美の言ってた、洗脳されてない蜂のソルジャードールの力を借りるとかは?」
それは考えたが、どうもそういう気にはなれない。もしかしたら、誰か殺してしまうかもしれない。
「……駄目だと思う」
真央の救出以来会ってないが、出来れば説得して協力してもらいたい。とはいえ、彼女は冷えきった心を持っている。
今は1人ずつ救うしかないが、真央や秀斗のように人を殺めてしまう可能性も決して低くない。
「てか、あいつらの目的って何なんだろ?。改造人間なんて生み出して、洗脳までして……」
「アメリカの艦隊を壊滅させたみたいだし、人類を滅ぼす気かな?」
どちらも答えが見つからない中、由美と渚は家を出た。何でも、こんな時だからこそ外でアイスでも食べたいらしい。


商店街に買いに行くと、向かってる方向からフラフラめいた歩き方をしている少年を見つける。
彼は自分達と同年代と思われた。だが、それはやがて確信へと変わった。
「じゅ……純……」
先に気がついたのは渚だった。肩を押さえながら歩いていた風間 純は先に脱出した少女達を見て急いで駆け寄った。
なぜここにいるかよりも、今こうして会えたことを喜んだ。
「純君、大丈夫?」
「由美………渚……良かった……」


純は渚にジュースを奢って貰い、一気に飲み干した。よほど喉が渇いていたのだろう。
家族への連絡は自分がなぜここにいるかの説明をしてからだと、純は頑なに言った。
387ダイレン:2008/05/19(月) 01:38:18 ID:tBxd6j7ZO
―16時間前―


骸はイラついていた。中々ユミとサキ、加えてナギサを倒せないことに。業を煮やした骸は戦闘特化タイプを主流にすることに決めた。
「風間 純、出ろ」
ギロッと睨んだ瞳は決意に満ちている。絶対に思い通りにはならないと。女子の檻からは鈴木 奈々が選ばれていた。
純を見て駆け寄ろうとしたようだったが、プペロイドに止められて骸の下へ連行されていく。
「貴様らをこれから改造する……」
「いや……あたし、あんな化け物になりたくない……助けて!助けて!」
誰もが同じ反応をする。奈々はショートボブの髪が揺れるほどに首を動かして抵抗する。
純はそれを見て辛かったが、我慢するしかない。少なくとも゙その時゙までは。
「やるんじゃ」
マリオンラーヴァが起動し、鋼鉄の触手が奈々の服を裂いて絡め捕る。
「いやアアアァァッッーーーーー!!」
取り込まれた奈々は内部で体を動かそうとするが、強い力に逆らえずになされるがままに体を揺らす。
小さい乳房がピクピクと震え、熱い何かが体を駆け巡り、意識を飛ばされる。
触手が解かれ、マリオンラーヴァが開封されると蔦を生やした少女が現れた。
「ふむ………蔦か……プラントマリオンと名付けよう」
「ありがとうございます。ヘルマリオンのために力を存分に働かせたいと思います」
変わり果てた友人を見て純はビクッとした。これが奈々か、と。かつて4年生の時に告白されたが、断った事がある。
とはいえ、合格組に選ばれるだけあって可愛い部類だ。
「小僧、次は貴様じゃ」
黙ってマリオンラーヴァの前に立つ純。取り込まれたらすぐに口に仕込ませていた石の欠片を吐き出した。


「それで異物があると判断したマリオンラーヴァは、俺を洗脳の前に除外したんだよ」
ということは改造はされてると言うことだろう。なんととんでもない賭けをするものだと思ってしまう。
388ダイレン:2008/05/19(月) 01:40:58 ID:tBxd6j7ZO
「それで……あんたは何に改造されたわけ?」
「俺は………!?。来たぞ……」
商店街の真ん中なので、由美達以外は逃げ出している。プラントマリオンは蔦を伸ばして、3人を狙い、避けると座っていたベンチが破壊された。
「奈々ちゃん?」
「かっ!そんなカスじゃないわ!あたしはプラントマリオン!」
鞭のように振り回す蔦を渚は変身して如意棒に絡ませる。すると、由美と純も力を解放し始める。
「変身!」
「………変身……」
翼を展開するユミと、毛皮を纏ったジュン。ナギサは狼という頼もしい仲間を得て嬉しい気持ちになった。
「ナギサ……そのまま抑えてろよ……ウルフクロー」
爪を引き出し、プラントマリオンを一度引っ掻く。火花が散り、冷気を口に溜める。
「フリーズモーメント!!」
瞬間凍結の名の通り、脚を全て凍らせる。そこへユミがスワンサーベルに光を宿して切りかかってきた。
「シャイニングハーケン!!」
直接斬りつけ、光る斬撃はプラントマリオンを後方まで吹き飛ばした。もちろん、殺さない程度ではある。
苦しそうな表情をしているが、ユミはすぐにRHR能力を使って奈々に戻した。
「……にしても、氷とは便利だな〜」
ナギサはウルフマリオンからの変身を解いた純に羨ましいような感じで話しかけてきた。
「お前ら、早く変身を解けよ。人が来るぞ」
そう言われて慌てて元の姿へと戻る。由美と渚は離れた場所へ行き、警察へ通報した。
警察が到着すると、2人は保護された。警官の中には猛もいて、純を確認すると近づいた。
「純君、無事でよかった」
「おじさん……奈々は大丈夫ですか?」
「ああ。病院に搬送したが、身体的に問題はないようだ」
この時お互いに思っていたことは同じだった。奈々は裸体で倒れ、所々に傷を負いながらも布のような服とはいえ着ていた純。
両者の違いはどこから来たか……。一方はそれを疑い、一方はそれを誤魔化そうと模索している。
389ダイレン:2008/05/19(月) 01:44:14 ID:tBxd6j7ZO
「(いや………今は……)お母さんが今来るよ」
ヘルマリオンの事はすでに警察内に知れ渡っているようなので、聴取はすぐに終わったので楽だった。


翌日、詳しい検査をするという奈々は来なかったが純は言った通り登校してきた。
休み時間に彼はクラスのメンバーに今の状況を話した。ここにいるメンバーは無闇に口外はしないし、しようとする者はいない。
とにかく決して絶望的でないこと、希望があるということ、自分達が戦っていくということ。
放課後には3人で作戦会議をする。戦う時はなるべく2人以上で戦うことや、それぞれの特性の活かし方などを語った。
「純君は凄いな……何でもわかってるみたい……」
それはとても説得力に満ちていて、由美も渚も納得以外にない。渚と別れた後、由美は疑問に思っていたことを聞くことにした。
「そういえば、なんで改造を許したの?」
「あそこで脱走するには改造される必要があった。じゃなきゃ捕まるだけだしな……それに、自分の力で護りたかったんだ……」
「え?」
振り向いた純は由美と真っ直ぐに向き合った。夕陽に照らされた彼の顔は格好良く見える。
「お前を俺の力で護りたかったんだよ……」
「あたしを………どうして?」
夕陽のせいか顔が赤く見える。だが、それは本当だと知ることとなる。
「……だから……」
「え?」
「俺は……お前が好きだから……。幼稚園の頃からずっと……」


戦闘シーンを何回もリプレイして視聴しているヘイル。舐めていた飴は既に溶けてなくなっている。
落ち着かない彼女は何となく腕を振り、その風圧で近くにある機材を破壊してしまった。が、特に気にしてはいない。
「光る刀……白い翼……やっぱおもすろい……遊んでみたいなぁ」

つづく