平成歴代ライダー総出演の特別編

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231平成ライダーグランプリ(最終コーナー・1)
「ちっきしょう!! なんなんだよこの城はァ!!」

ドラン内部に突入できずゼロノスが焦りまくっているその頃、
無事に突入を果たしたその未来の義理の弟――に憑依したガラの悪い精神体も、
予想外の事態に直面していた。

飛び込んだ先がいきなり平凡な――バイクで普通に通行できる――廊下だったのは幸いだったのだが、
なぜか

行けど暮らせど全く同じT字路、
右に曲がっても左に曲がっても、また同じT字路に出るのである。
たまに出現する階段を登ってとにかく上層部を目指してはみるものの、
突破までにどれだけの時間がかかるのかは見当もつかず
そもそも城の外から見たサイズや構成と、今走っている内部空間の造りの間で
まったく辻褄が合っていないかのような錯覚さえ覚える。

――どうして廊下で像に変身したガルルが、次の瞬間いきなりドランの口から出てきたの?
――ドランは口を閉じているのに、音也はどこからお城の中に入ったの?

これまで全国の幼い視聴者たちを混乱の坩堝へと叩き込んできた
恐るべきファンガイア建築の魔術が、今、
ゴールを目指すライダー達への最後の障害として立ち塞がっていたのだ。

そう、それは、ひとり電王だけが陥った事態ではなかった。

クウガも、カリスも、ファイズもそしてギルスも
誰もが同様に、このいつ果てるともしれない使い回し地獄を彷徨っていたのである。
232平成ライダーグランプリ(最終コーナー・2):2008/12/31(水) 12:48:32 ID:e5jav5me0
ライダーたちが、それぞれに脱出口を求めて城内を彷徨い続けている、丁度その頃。

「……ねえ、なんか騒がしくない……?」
「たしかに」

ラモンの不安げな声に、力が頷いた。

ドランがどのような激しいアクションを行っても微動だにしない
次元的に外界と隔絶された城内の居室に
本来ありえないはずの、複数の轟音がしばしば轟いて来るのだ。

2人の疑問はもっともだったが、
3人目のアームドモンスター、ガルルこと次狼の関心は、全く別のところにあった。

「どうでもいいだろお……」

力の肩にまたがり、慎重な手つきで新たなトランプ2枚を
記録的な高さまで積み上げてきた、山の頂点にそっと載せる。

「でも……」
「……入ってきたら、遊んでやるだけだ。それまではほっとけ」

更に2枚のカードを手に取り、ふと、驚いたように眉をあげる。
偶然にもそれは、2枚のジョーカーだった。
233平成ライダーグランプリ(最終コーナー・3):2008/12/31(水) 12:49:13 ID:e5jav5me0
「くそっ、このままじゃ、いつまで経ってもラチがあかねえ! どうにかなんねえのか!!」
「どうにか、って言ったって……」

いつものひとり会話を続けながら走る電王だったが、
転機は、思いもかけぬところからもたらされた。

「ねえねえ、ちょっといい?」
「なんだよ、いまそれどころじゃね…」

「……壁、壊してさ。真っ直ぐ進めばいいじゃん」
「「……!!」」

リュウタロスのなにげない提案に、絶句するモモタロスと良太郎。

「てめえ……」
「そ、そうだよリュウタロス! ここ誰かのお城……」

「めずらしく冴えてんじゃねえか、このヤロウ♪」
「え、ちょっとモモタロス!!!???」

『FULL-CHARGE』

眩い真紅の光芒。そして激しい爆音が、廊下に響き渡った。
234平成ライダーグランプリ(最終コーナー・4):2008/12/31(水) 12:49:54 ID:e5jav5me0
停止したキャッスルドランを息を詰めて見守っていた観衆が、
大きなどよめきの声をあげた。

城のてっぺんに位置する窓のステンドグラスを粉砕して、二台のマシンが同時に飛び出してきたのである。

おおかたの予想通り、クウガ、そしてカリスだ。

更に一歩遅れて、ファイズとギルスが続き、
予想外の健闘を続けてきたオルタナティブ・ゼロが最後に飛び出してくる。

もはやここからゴールまでの間には、障害物は無い。

優勝は、この5人のうちの誰かの手に落ちるものと
誰もが確信した、その瞬間であった。


彼方から轟いてきた、猛牛のごとき雄叫びとともに

静止していたはずのキャッスルドランが、地響きを立てて動き始めた。


「要するに! 城に入らなきゃそれでいいんだろ!!」

デネブの必死の妨害に業を煮やしたゼロノスが、ついにゼロライナーを召還。
せっかく固定されていたキャッスルドランを押しながら、ゴール目指して爆走し始めたのだ。
235平成ライダーグランプリ(最終コーナー・5):2008/12/31(水) 12:50:47 ID:e5jav5me0
「しまった!!」

パワードイクサーとキャッスルドランを止めているだけでも手一杯だったところに
三体目の怪獣が現れ仰天したブレイドは、精神集中を途切れさせ2体を解放してしまう。

目が醒めたらいきなり牛型機関車に押されている自分に気がつき
パニック状態のまま連れ去られるドラン。
一方、自由になるや否や無差別破壊活動を再開したパワードイクサーを見て
龍騎サバイブとガタックは、ようやくどっちが本当の敵であるかに気がついた。

「くそっ、こうなったら同時攻撃だ! やれるか!?」
「おう!!」

素早く気持ちを切り替えたガタック=加賀美の呼びかけに、喜んで応じる龍騎=真司。
本来の相棒であるナイト=蓮とは、協力して敵を倒すより同士討ちに明け暮れる機会の方が多かっただけに
「ライダー同士の合体技」には、密かに人一倍の憧れを抱いていたのである。

『FINAL-VENT』
『1.2.3』『PUT-ON』

空中でバイク形態に戻ったドラグランザーが凄まじい勢いで吐き出した火の玉が
マスクドフォームに戻ったガタックの背中を直撃する。
そうして得た爆発的な推進力と自らの全力をこめたキックで、
巨大なハサミと化したエクステンダーの切っ先をパワードイクサーに叩き込むガタック。

その凄まじい威力に耐えかねた路面が巨大なクレーターと化してイクサーを飲み込んだ数秒後、
巨大な青い火柱が立ち上がった。

「「よっしゃあ!!」」

地中深く埋め込んでからの爆発ゆえに、巻き添えを食った死傷者はゼロ。
やるときはやる二人だった。