平成歴代ライダー総出演の特別編

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206平成ライダーグランプリ(第10コーナー・5)
突然、巨獣たちと自分との間に割って入り急停車した新たなマシンに驚き
クウガはとっさに、ゴウラムへの精神波による指示を止めた。

そのマシン――ブルースペイダーから降りたブレイドは、
自分を凝視してくるクウガのまなざしを一瞬、真っ直ぐに見返した後
暴れ続ける二大巨獣の方へと向き直った。

――アレを止めるつもりだ。

方法はいざ知らず、瞬時にしてブレイドの意図を見抜いたクウガは
思わず制止の声を上げようとした。しかし。

「……黙って見ていろ」

いつの間にか隣に並んで停止していたもう1人――カリスが、諭すようにささやく。
そのぶっきらぼうな言葉の影に潜む、絶対の確信めいたなにかが
クウガの声を奪う。

そんな中。

「橘さん……。俺に、力を貸してください!」

ブレイドは、祈るような言葉とともに
一枚のカードを取り出し空にかざした。
207平成ライダーグランプリ(第10コーナー・6):2008/12/23(火) 18:54:03 ID:mVqdUIqm0
ブレイドが取り出したカード。それは、
日本海に消えたギャレンが形見のように撒き散らしていった数枚のうちのひとつ、
ハートの7「ロックトータス」である。

任意の対象を石化するというこのカードの能力をもってすれば、
荒れ狂う巨獣をも安全な巨大オブジェ、単なる風変わりな障害物と化すことができる。

空間自体を停止させる「タイム」を使ったのではコース全体を塞ぐ不可視の壁を作ってしまうに等しく、
またライダー達が全員通過するまでだけ対象を止めておけばいいだけの現状においては
このカードの選択がベストだと、剣崎は判断したのだ。

だが、問題は残る。

「――どっちを止めるつもりだ」

テレパシーのような不思議なエコーのかかった声で、カリスが問い掛ける。

止めるべき対象は、2体。
そもそもどちらが先に暴れ出したのかすら知らない剣崎らからすれば、
片方の静止と同時に自由になったもう片方が、ライダーたちや観客を襲い始める危険性は
けして無視することはできなかった。
208平成ライダーグランプリ(第10コーナー・7):2008/12/23(火) 18:55:12 ID:mVqdUIqm0
手持ちのカードは一枚。そして相手は2体。
この困難な選択を前に、剣崎は束の間、激しい逡巡を覚えた。

だが、やるしかない。
後続集団が今にも追いついて来ようとしている――つまり全滅しようとしているこの状況下では、
残された時間は余りにも少なすぎた。

決然と顔をあげ、叫ぶ。
「俺は……あいつの方を止める!!」

剣崎の直感が選んだターゲットは、キャッスルドランであった。

2体のうちでより巨大な方を静止させれば、
もう片一方もそれに激突、大破して止まるだろう。
運転席に人影のない白い暴走ユンボと、そもそも人間など乗っていそうにもない城型ドラゴン相手では
もとより、操縦者の身の危険を考慮する必要もない。

意を決したブレイドが、カードをラウザーに通そうとしたそのとき

イクサーの破壊がどのような大惨事を引き起こすかを知る唯一の男、
未来から帰って来たハイパーカブト=天道総司は



ゼクト救護班がコース脇に設置した仮設テントの中で
人類史上もっとも完璧なケガ人として、優雅に寝息を立てていた。