G馬県、朝日沼。昨年のスカイラインの開通で、かっこうのドライブスポットと化した景勝地である。
陽光もうららかな春の一日。ウルトラ警備隊の友里アンヌ隊員は、非番を利用して親友の水木早苗とともに
楽しいドライブを楽しんでいた。
だが突然、ブレーキをかけてもいないのに、アンヌの運転する車が急停車した。「キャッ!」
エンジンが止まったわけではない。車が、どうしても前に進まないのだ。いくらアクセルをふかしても
車輪は空回りし、車体は目に見えない力で引っ張られるかのように、徐々に、徐々に後退してゆく。
「な、何なのアンヌ!?」
「わ、わからないわ。・・・く、車が宙に浮いてる!・・・ダメ! 引っ張られるッ!・・・キャアッ!!」
朝日沼の湖面が泡立ち、真っ黒な兜のような巨大な物体が、ゆっくりと水面に浮き上がってきた。
巨大な兜は湖岸に近づき、側面のハッチのようなものがパックリと口を開いた。
アンヌの運転する車は宙に浮いたまま、ハッチの中へと吸い込まれてゆく。
「・・・た、助けて! 助けてダンッ!!」
アンヌが目を覚ましたのは、金属の壁に囲まれた薄暗い空間の中だった。彼女は衣服をすべて剥ぎ取られ、
床に直立した手術台のようなものに全裸のまま、両手両足をX字形に拡げた状態で固定されている。
前方を見ると、やはり直立した手術台に全裸で磔になっている早苗がいる。
「あ、アンヌッ!」彼女はアンヌが目を覚ましたことに気付くと、悲痛な声で彼女の名前を叫んだ。
「早苗っ! 大丈夫!? ・・・ここは? ・・・ここはどこなの!?」
「・・・わからない・・・もうイヤッ!・・・早く、早くおうちに返して!!」
その時、フフフフ・・・と妖しく笑いながら、一人の女が物影から姿を現わした。
助けて! と叫ぼうとして、アンヌは思わず言葉を飲み込んだ。みごとなボディラインを露わにした、
長身で冷たい美貌のその女は、頭部を除いた全身が、なめらかな銀色でくまなく覆われていた。
それは一見、銀色の全身タイツのようにも見えるが、あまりにも皮膚に密着し過ぎている。
アンヌはすぐに、それが全身タイツではなく、まぎれもない彼女の皮膚そのものであることに気付いた。
女は妖しい笑みを浮かべたまま、アンヌと早苗の方を交互に見つめた。そしてアンヌの方に向き直り、
機械を思わせる無機的な声でこう告げた。
「うるとら警備隊隊員、友里あんぬ。オ前ハ、我々ぼーぐ星人ニヨッテ選バレタ、光栄ナ人間ダ。オ前ハ
コレカラ我々ノ仲間トナリ、うるとら警備隊隊員トシテノ立場ヲ使ッテ、我々ノタメニ働イテモラウ。」
ボーグ星人? 相手が宇宙からの侵略者だと知ったアンヌは、銀色の女をキッと睨みつけ、怒りを込めて叫んだ。
「冗談じゃないわ! 誰があなたたちの言いなりになるものですか!!」
銀色の女は妖しく微笑むと、こう答えた。
「無駄ダ。今カラオ前ハ、我々ぼーぐ星人ト同ジ身体ニナッテモラウ。我々ノ身体ヲ形作ッテイル液体金属ヲ
オ前ノ全身ニ注入シ、全身ヲ機械細胞ニ置キ換エテ、さいぼーぐトシテ生マレ変ワッテモラウノダ。」
アンヌの顔から、血の気が引いた。「な、何ですって!」
アンヌの心臓が、バクバクと激しく脈打った。サイボーグ!? この宇宙人は、わたしをサイボーグに改造する
って言うの? ・・・そんな・・・そんなことってありえるの!? 嘘よ! 嘘だわ! 誰か、誰か嘘だって言って!!
銀色の女は、早苗の方を指差した。「アノ女ハ、オ前ヲ改造スルタメノ実験さんぷるダ。マズ、アノ女デ
地球人ノ改造てすとヲ行イ、ソノ後デ、オ前ヲ我々ぼーぐ星人ノ仲間ニフサワシイ身体ニ改造スル。」
「い、イヤアーッ!!」その言葉を聞いて早苗が絶叫した。銀色の女は、両手両足を拘束リングに固定されたまま
激しく身体をくねらせて抵抗する早苗の方に向き直り、手を彼女の方に向けてスッと伸ばした。
「改造手術ヲ開始スル。」
すると、早苗が固定されている手術台の背後から、両側に巨大な扉のような機械がせり出してきた。ちょうど
手術台をすっぽりと覆い隠せるような形の、蓋状の扉であった。銀色に輝く扉の内面には、明滅する奇怪な
幾何学的文様が浮かび上がり、無数の針や銀色の触手アームがせわしなく蠢いていた。
「・・・い、いや!・・・いやッ!・・・」
扉がゆっくりと、内側に向かって閉じ始めた。手術台に縛りつけられた早苗を、すっぽりと覆いつくすように。
早苗は半狂乱になって叫んだ。髪を振り乱し、激しくもがきながら、あらん限りの声で絶叫した。
「い、イヤだ! ヤダぁーッ!! やめて! 助けて! お願い! やだ! いやだ! 助けて!アンヌーッ!!」
「さなえ! さなえーッ!!」
扉が完全に閉じて泣き叫ぶ早苗の姿を飲み込むと、扉の隙間からまばゆい光が閃いた。
「ギャアアーーーッ!!」早苗の凄まじい悲鳴が周囲に轟いた。
「早苗ッ! 早苗えッ!!」アンヌは必死で親友の名を呼んだが、答える者はいない。
扉を閉ざした手術台は光を明滅させ、チキチキチキ、ウィンウィンウィン、と不気味な音を立て続ける。
恐怖のあまり、アンヌの頭は真っ白になった。心臓は早鐘のように脈打ち、全身はガクガクと激しく痙攣した。
太股を暖かい液体が流れてゆくのを感じた。思わず失禁してしまったらしい。
アンヌのその様子を、銀色の女は不敵な笑みを浮かべながら眺めていた。
長い時が流れた。おそらく、実際には30分ほどしか経っていなかったに違いない。手術台の音が止み、
明滅する光がとだえた、やがて、手術台の蓋がゆっくりと開き始めた。
手術台には、縛りつけられたままの早苗がいた。だが彼女の身体は、銀色の女と同じ、全身光り輝く銀色の
ボディに包まれていた。決して衣服ではない。それが生まれ変わった早苗の、新しい皮膚であった。
ロケットのように前方に張り出した乳房の先端には、銀色の乳首がきらめいている。
産毛ひとつ生えていない股間、銀色に輝くなめらかな恥丘の中央には、縦にくっきりと割れ目が走っている。
早苗はうつむいていた顔を上げた。その顔は無表情だったが、目が一瞬、真っ赤な光を放った。
「・・・ああ・・・早苗・・・早苗・・・」
早苗は両手両足首に力を入れて、拘束リングを引きちぎり、ハイヒール状に変形した足をそっと床に下ろした。
「水木早苗。オ前ハ今、さいぼーぐトシテノ新タナ命ヲ得タ。我々ぼーぐ星人ト同ジ身体ニナレテ、嬉シイカ?」
銀色の女の問いに、早苗はゆっくりと頷いた。
早苗は銀色に輝く自らの肉体を誇らしげにかすがえす見つめ、そして妖しい笑みを浮かべた。
銀色の女が指先を上げて、無言で早苗に指示を下した。
早苗はその空間の片隅にある、小さな箱の方に向き直った。早苗の目がキラリ!と輝くと同時に、真っ赤な
怪光線が彼女の目から一直線にほとばしり出て、標的の箱を一瞬で焼き尽くした。
アンヌはそれを見て、親友が既に人間ではなくなってしまったことを悟った。絶望で心が真っ暗に染まってゆく。
「・・・早苗・・・可哀想な早苗・・・わたしと一緒だったばっかりに・・・」アンヌの頬をポロポロと伝って流れる。
銀色の女が、アンヌの方を振り返った。
「実験ハ成功シタ。今度ハあんぬ、オ前ガさいぼーぐトシテ生マレ変ワル番ダ。」
はっと我に返ったアンヌの背後から、ぐおんぐおんと音を立てて、金属の扉がせり出してきた。
アンヌは恐怖にかられて絶叫した。「い、嫌ッ! やめて! 助けて! ダン! ダンーーッ!!」
両手両足を拘束しているリングを外そうと必死にもがいたが、金属製のリングは人間の力ではびくともしない。
嫌だ嫌だ。サイボーグなんて嫌だ。サイボーグになんてなりたくない。助けて! 誰か助けて!
不気味な幾何学模様を明滅させながら、銀色の扉がアンヌに覆い被さろうと迫ってくる。
せわしなく蠢めく銀色の無数の針と触手アームが、アンヌの視界いっぱいに飛び込んでくる。
「やめてぇーーーッ! イヤあーーーッ!!」
扉が無情にも閉じ、つんざくようなアンヌの叫びがこだました。
扉が閉じ、視界が闇に閉ざされるとともに、アンヌは自分の身体におぞましいものが触れるのを感じた。
首筋や脇の下、肱や膝の裏側など、身体の柔らかい部分に、太い針がブスリ、と突き刺された。
そして、銀色にギラギラと輝く奇怪な液体が、アンヌの血管にドクリドクリと注ぎ込まれてきた。
その凄まじい不快感に、アンヌは思わず絶叫した。「ギャアアアーーーッ!!」
その液体は、ボーグ星人の身体を形作っているのと同じ、生命を持った液体金属であった。
ボーグ星人は、地球の生命体とはまったく異なる生命形態を持っていた。ボーグ星に海のように拡がる銀色の
液体は、進化の偶然で生命を持つことになった液体状の金属であった。その液体が異星人の残した機械に充満し、
それを動かすことで活動することを覚えた。機械は自己進化を遂げ、知能を獲得し、文明を築くにいたった。
それは生物と機械の中間的な存在、自然発生的なサイボーグであった。
人間の形状をしたもの。乗り物の形状をしたもの。そして都市の形状をしたもの。どれも液体金属によって
活動するボーグ星人が取る、さまざまな姿であった。地球人の姿を摸した銀色の女も、兜のような宇宙船も、
そしてアンヌを改造しようとしている手術台も、みなボーグ星人の異なる形態にしか過ぎなかった。
その液体金属が、アンヌをボーグ星人と同じ身体にするために、彼女の体内に注ぎ込まれてゆくのだ。
液体金属は血流に乗ってアンヌの全身を駆け巡り、やがて身体のいたるところへと染み込んでいった。
そして、アンヌの細胞ひとつひとつに入り込み、それを金属細胞へと変えてゆく。
とほうもない量の液状の金属が、アンヌの身体に次々と注ぎ込まれ、彼女の肉体を徐々に侵してゆく。
苦痛に激しく絶叫するアンヌの口が、突然、うねうねと蠢く触手アームによって塞がれた。触手アームは
蠕動しながら、アンヌの喉の奥へとズブズブと侵入してゆく。口だけではない。鼻の穴に、肛門に、そして
全身の穴という穴に、無数の触手アームがうねりながら潜り込んでゆく。
「・・・む・・・むぐう・・・ん!・・・ん!」
アンヌは半狂乱になってもがいた。やがて、ひときわ太い巨大な触手アームがアンヌの股間に狙いを定め、
まさぐりあてた処女の肉孔に自らの先端部をぐい、と押し当てた。
《あ・・・い、嫌ッ! やめてッ!・・・あ!・・・あ!・・・あ!》
巨大な触手アームが、汚れを知らぬアンヌの肉の孔を目がけて、ぐいぐいと侵入を開始した。
《イヤッ!・・・い、痛いッ!・・・痛い痛い!・・・やめて・・・・アッ!!》
触手アームはアンヌの処女膜を引き裂き、未だ何ものも受け入れたことがない神聖な場所に分け入ってゆく。
《ああっ・・・もうだめ・・・はあっ・・・はあっ・・・ああっ・・・ああっ・・・》
膣の最奥部に達すると、触手アームはその蠢く表面から無数の針を伸ばし、アンヌの身体で一番敏感な部分、
ピンク色の粘膜を突き刺して、その内部へと侵入を開始した。爆発的な苦痛がアンヌを襲った。
《いやああああッ!!!》
見開いたアンヌの瞳に、無数の針が容赦なくブスリと刺し込まれた。続いて全身の毛穴に、無数の細い針が
プスッ、プスッ!と差し込まれた。
凄まじい苦痛と不快感に、アンヌは激しく身をよじらせた。だが全身に侵入した無数の針は、皮膚の奥深く
どんどんと侵入し、体内奥深い場所でその先端の微細アームを拡げ、アンヌの肉体を内部から、ゆっくりと
こねくり回し始めた。液体金属に犯されたアンヌの全身の組織を、サイボーグとして造り変えるためだ。
《・・・いやあああああッ!!・・・うぐッ!》
アンヌの身体内部に、大きな変化が起こっていた。身体内部に侵入した無数の微細アームが、液体金属を
誘導して、彼女の肉体をまったく別のものへと作り替えようとしているのだ。
液体金属に侵されて金属細胞となったアンヌの全身の組織が、サイボーグの機械組織へと再編成されてゆく。
全身の筋肉組織が、金属繊維の束へと造り変えられる。骨格が、金属製のフレームへと造り変えられる。
神経繊維は電導ケーブルに、関節はギアとシャフトに、心臓は動力炉に、消化器はエネルギージェネレーターに、
それぞれ変貌してゆく。全身の皮膚は銀色に輝くメタルスキンに変わり、髪の毛は金属繊維の束になる。
瞳は電子カメラ、耳や鼻は好感度センサーに、それぞれ置き換えられてゆく。
身体の機械化が進むにつれて、アンヌの全身を襲っていた苦痛と不快感は、至高の快楽へと変わっていった。
改造されてゆく快楽に、アンヌの意識はどっぷりと漬されていた。もはや正気を維持することはできなかった。
彼女の脳は絶え間なく押し寄せる凄まじい快楽の嵐の中で翻弄され、考える力をすっかり失ってしまっていた。
アンヌはケダモノのようにうめいては、さらなる快楽を求め、半狂乱になって身体をくねらせた。
《ああッ・・・ああ・・・うう・・・ああん・・・あッ・・・ああッ・・・》
そしてついに、アンヌの脳を、液体金属が侵し始めた。薄れゆく意識の中で、アンヌは自分の意識が
別のものに書き換えられようとしていることを悟り、ふと我にかえって最後の悲痛な抵抗を試みた。
《ダメよ・・・ダメ・・・このままじゃ、わたしがわたしでなくなっちゃう!・・・正気を保たなきゃ!・・・ダメッ!》
だが抵抗しようとすると。彼女の脳に苦痛の嵐が走った。抵抗を緩めると、とたんに快楽の波が満ちてくる。
抵抗すれば抵抗するほど、意識が圧迫され、締め付けるような苦痛が増してゆく。
《・・・ダメ!・・・ダメよ!・・・わたしは、わたしは人間なんだから!・・・わたしは・・・ああっ・・・もう・・・ダメ・・・》
やがて抵抗も虚しく、アンヌの意識は押し寄せる快楽の海の中に飲み込まれていった。
何もない、白紙のような状態がしばらく続いた。
アンヌの脳は完全に、金属細胞で形作られた電子頭脳に置き換えられていた。脳だけではない。彼女の全身に、
生身の部分はもはやどこにも存在していなかった。アンヌの全身は100%、完全な機械組織へと造り変えられて
しまったのだ。彼女はもはや人間ではなく、アンヌの姿と記憶と人格を持った、完璧なサイボーグであった。
そして、ゆっくりと、アンヌの新しい意識が目を覚ました。
《・・・わたし・・・わたしはどうしたんだろう?
・・・私は友里アンヌ。ウルトラ警備隊の隊員。20歳の女の子よ。
・・・でも、何かが違う・・・何かが変わってしまった。何だろう?
・・・そう、思い出したわ! ・・・わたしはボーグ星人につかまって、早苗と一緒に無理やり改造されたんだ。
・・・わたしはもう、人間じゃなくなった。そう、今のわたしは、サイボーグ。ボーグ星人と同じ身体なの。
・・・何だろうこの気持ち? 悲しいの? 人間じゃなくなって悲しいの、アンヌ?
・・・いいえ、違うわ。この、この身体にみなぎる力! 嬉しい! 嬉しいのよ! サイボーグになれて幸せなの!
・・・わたしはもう地球人じゃない! ボーグ星人の仲間なのよ! これからわたしは、ボーグ星のために働くの!
・・・私は・・・私は友里アンヌ。ボーグ星人に改造されて生まれ変わった、サイボーグの女の子!》
手術台の扉がゆっくりと開き、生まれ変わったアンヌがその姿を現わした。
アンヌはゆっくりとその顔を上げた。電子カメラに置き換わった目が、鋭い赤い光をらんらんと放った。
拘束リングを引きちぎり、彼女はハイヒール状に変形した足をゆっくりと床に下ろした。そして、アンヌは
自分の生まれ変わった新しい肉体を、歓喜と誇りに満ちたまなざしで確かめるように眺めわたした。
アンヌのボディは、銀色の女や水木早苗と同じ、銀色に美しく輝くなめらかな皮膚で覆いつくされていた。
指には爪もなく、腹部には臍もなかった。頭部こそ、改造される前のアンヌと一見変わりがなかったが、
よく見るとその肌には産毛も、皺も、毛穴もなく、マネキン人形のようになめらかな皮膚で一面覆われていた。
胸の豊満なふくらみは前に向かってロケットのようにそそり立ち、細くくびれた腰、引き締まった尻は、
女らしいなまめかしい魅力を発散している。そして下腹部にこんもりとふくらんだ、つるりとした銀色に輝く
恥丘の中心には、細い縦の割れ目がくっきりと刻まれていた。
だがそのセクシーなボディの内部は、無数のギアや電子回路が絶え間なく蠢く、機械の群れであった。
銀色の女が指でうながした。目の前に標的がある。アンヌは標的をキッ!と見据えた。彼女の目から真っ赤な
怪光線がほとばしり出て、標的を一瞬で焼き払った。
「友里あんぬ、オ前ハ今、新シイ生命ヲ与エラレ、我々ぼーぐ星人ト同ジ身体に生まマレ変ワッタ。
オ前ハモウ、人間デハナイ。永遠ノ生命ヲ持ツ、さいぼーぐニナッタノダ。ドウダ、嬉シイダロウ?」
アンヌは妖しく微笑み、銀色の女の言葉に満足げにゆっくりと頷いた。
「ヨロシイ。オ前ハコレカラ我々ガ与エタさいぼーぐトシテノ力ト、うるとら警備隊隊員トシテノ立場ヲ
ふるニ使ッテ、我々ぼーぐ星人ノ地球侵略ノ尖兵トシテ働クノダ。サア、行ケ!」
アンヌは、脱がされたまま片隅に放りだされていた、ウルトラ警備隊の制服を手に取った。そして下着も
着けないまま、銀色のボディの上に直接制服をまとった。黒い手袋をしっかりと嵌めて、銀色の皮膚を隠した。
ボーグ星人の円盤が朝日沼の湖岸に浮きあがった。ハッチが開き、サイボーグに生まれ変わった友里アンヌは
改造された誇りを胸に、何事もなかったかのように森に向かって歩きだした。
「お疲れ様です!」「よォ、お疲れさん!」
日課であるポインターでの巡回から基地に帰ってきた、ウルトラ警備隊のモロボシ・ダン隊員が、守衛室の
警備員に明るく声を掛けた。
「ダン隊員、アイスコーヒーがあるんですが、いかがですか?」「うん。いただくとしよう。」
ダンは中央監視室の中に入り、一面に並んだ監視モニターの群れを何気なく見つめながら、守衛に手渡された
缶コーヒーをグイグイと飲み干した。だが、あるモニターに一瞬映った映像を、ダンの目は見逃さなかった。
「おい! さっきのは何だ!?」「えっ?」「それだ! そのモニターだ!」「ここは動力室ですが、何か?」
「その機械の影を、黒い影が走るのが見えたんだ。至急、記録ビデオを確認してくれ!」
ビデオを分析した結果、60分の1秒というほんの短い間、真っ黒な影が動力室の中を駆けているのが確認された。
ダンのM78星雲人としての超感覚は、人間の目では捉えられない侵入者の姿を捕えていたのだ。
訝しんだダンがソガ隊員とともに動力炉をくまなく調べた結果、配管の陰に超小型のプレート爆弾が仕掛け
られているのが発見された。地球防衛軍基地を軽く吹き飛ばすことができる、高性能の時限爆弾であった。
事態を重く見たキリヤマ隊長の命令で、基地のあちこちに超感度センサーが仕掛けられ、ウルトラ警備隊の
隊員たちが24時間体制の警備についた。そして・・・
「緊急警報! 24番ブロックに侵入者発見! ダン隊員が侵入者を追い詰めた模様! 全隊員は至急急行せよ!」
逃げ場のない武器倉庫の隅に、怪しい黒い影を追い詰めたダンのまわりに、ウルトラ警備隊の面々が次々と
詰めかけてきた。フルハシ隊員が、黒い影にサーチライトの鋭い光を向けた。
「やいやい! 侵入者! 神妙にして大人しく出てこい!」
黒い影は、あきらめたようにゆっくりと、その姿をサーチライトに晒した。そこに現われた意外な姿を見て、
全員思わず息を飲んだ。
「アンヌ隊員!」「まさか、アンヌが!?」「な、なんだその身体は!?」
アンヌの全身は、ボディラインもあらわな、光を反射しない黒い全身タイツのようなもので覆われていた。
だがそれが衣裳ではなく、まぎれもないアンヌ本人の皮膚だということに、じきに全員が気付いた。
アンヌは手に、動力炉に仕掛けられたのと同じ、プレート爆弾を握り締めていた。
「爆弾を仕掛けたのが、まさか、アンヌ隊員だったとは・・・」「気でも狂ったのか、アンヌ隊員!?」
フルハシ隊員が震える声で叫んだ。「わ、わかった! お前、ア、アンヌ隊員の偽者だろう!」
その言葉を聞いて、アンヌはクスリ、と笑みを浮かべた。そして、黒いボディを見せつけるように手を広げて
くるりと一回転し、隊員たちに向かって誇らしげにこう叫んだ。
「いいえ。わたしは本物の友里アンヌよ。ただし、わたしはもう人間じゃないの。ボーグ星人に捕えられて
改造され、サイボーグとして生まれ変わったの!」
「何ィ!?」その言葉に、隊員たちは残らず強いショックを受けた。
「午前6時、この基地は大爆発を起こすわ。地球はあと数時間で、我々ボーグ星人のものになるのよ!」
「アンヌ隊員、正気に返れ!」ソガ隊員が銃を構えた。その時、アンヌの目が赤く輝き、怪光線がほとばしって
ソガの銃を叩き落とした。「うわッ!」
隊員たちがひるんだ一瞬の隙を突いて、アンヌは人間業とは思えないような速さでジャンプし、連続前転飛びで
隊員たちの頭上を飛び越えて兵器庫の入口へと達した。
入り口をくぐり抜けようとしたとたん、アンヌの目の前で鉄格子が閉まった。行く手を塞がれたアンヌは
不敵な笑みを浮かべ、そのままゆっくりと鉄格子に向かって進んだ。アンヌの身体が不自然に歪み、
グニャグニャになって鉄格子の隙間をくぐり抜けた。液体金属の特性を生かし、身体を形作るパーツを
最小の形に変化させて、細い隙間をくぐれる姿に変身したのだ。アンヌは悠々と鉄格子を通り抜けると、
隊員たちの方を振り向いてニコリ、と笑い、そして目にも止まらぬスピードで逃走した。
「待て!」「待つんだアンヌ!」隊員たちがあわててアンヌの後を追う中、ダンはこっそり物影にかくれて
ウルトラアイを取り出し、そして目に装着した。「デュワ!」
電算機室の前まで来ると、アンヌは歩みを緩めた。立ち止まり、目を閉じて両手を胸の前でクロスさせると
真っ黒だった全身がたちまち、元の輝く銀色に戻った。隠密モードを解除したのだ。
アンヌは電算機室の中に入り、手にした最後のプレート爆弾をセットする場所を、慎重に探した。その時!
『待てアンヌ。正気に戻るんだ。』
制止したのはウルトラセブンだった。アンヌはキッ!と振り向き、セブンめがけて赤い怪光線を放った。
壁が焼けこげ、煙が立ち上った。セブンはすばやくアンヌに接近し、手刀を振るおうとしたが、アンヌの
振り上げた腕に阻まれた。アンヌはそのまま、凄まじい速さでセブンに肱撃と回し蹴りのコンボを放つ。
『やめろアンヌ。君を傷付けたくはない!』「邪魔をしないで! ウルトラセブン!」
アンヌの身体を掴もうと腕を伸ばしたセブンの上を飛び越えて背後に回り、アンヌは倒立したままセブンの首を
両脚ではさんで力いっぱい投げ飛ばし、壁に叩きつけた。部屋全体が激しく揺れ、壁が大きくへこんだ。
アンヌはニヤリと笑い、腰をついたセブンめがけて怪光線を放った。だが、セブンはすばやく両腕を広げ、
ウルトラバリアーで怪光線を防いだ。ひるんだアンヌめがけて、セブンはエメリューム光線を放った。
「ウッ!」アンヌの脇腹が火花を飛ばし、大きく開いた傷口から銀色の液体がボトボトと流れ落ちた。
苦痛に顔を歪めて膝をついたアンヌの前に駆け寄ったセブンは、両手を前に掲げてアンヌに向けた。
『ヤアーーッ!』セブンの両手から不思議な波動がほとばしり、アンヌの全身を包みこんだ。
「あッ!・・・ウウッ!・・・力が・・・抜けてゆく・・・」
セブンのエネルギー吸引フィールドですっかりエネルギーを奪われたアンヌは、その場にバタリと倒れた。
「セブン! 無事か!? アンヌ隊員はどうした!?」
息を切らせたソガ隊員が駆け寄ってきた。セブンはアンヌの身体を両腕で優しく抱え上げた。
アンヌの脇腹の傷口からは電線やギアがのぞき、銀色の液体がトロトロとこぼれ落ちている。
『見ての通り。アンヌは無事だ。爆弾もここにはない。さあソガ隊員。アンヌを早く医者に見せてやってくれ。』
「どうだアマギ隊員。アンヌ隊員の容体は?」
基地内に仕掛けられた爆弾の処理を終えたキリヤマが、メディカルルームに入ってくるなり、心配そうに尋ねた。
「いやあ、ひどいもんですよ。ちょっとこれを見て下さい。」
アマギがキリヤマに見せたのは、アンヌの全身の超音波スキャンデータであった。
「アンヌ隊員の全身は、ほぼ100%、完全に機械化されています。機械といっても、血液の代わりに銀色の
液体が流れるという、未知のテクノロジーですよ。アンヌ隊員は完全にサイボーグにされています。」
「・・・全身が機械、ってことは、アンヌ隊員そっくりに作られたアンドロイドじゃないのか?」
「いえ違います。これは彼女の身体を形作っている、機械細胞の顕微鏡写真です。ご覧の通り、人間の細胞の
痕跡を残しています。金属化したDNAを分析した結果、間違いなくアンヌ隊員のものと一致しました。」
「そうか・・・」キリヤマは暗い表情で溜め息をついた。「何とかして、元の人間に戻してやれないのか?」
「・・・残念ですが、現代の地球人の医学では、どうすることもできません。」
アマギも悲しそうにうつむいた。メディカルルームのベッドに横たえられたアンヌの肉体は、微動だにしない
まま、銀色のマネキン人形のように美しく輝いている。
「・・・いったい、アンヌ隊員はいつ、ボーグ星人に改造されたんでしょうか?」
「アンヌは、昨日は非番だった。確か・・・友人とG馬県の朝日沼に行くとか言っていたな・・・そうか、よし!!」
キリヤマが勢いよく立ち上がった。
「ボーグ星人の基地は、朝日沼の近くにある可能性が高い! さっそく調査だ!」
ウルトラ警備隊のメンバーを乗せたウルトラホーク1号と3号は、朝日沼の上空に達した。3号に搭載された
熱源感知器が、朝日沼の湖底に潜む、巨大な兜状の物体をキャッチした。
「あれだ! 間違いない。フルハシ、熱ミサイルを発射しろ!」「了解!!」
ホーク1号から投下された熱ミサイルは、朝日沼の水を一瞬にして干上がらせた。そしてもうもうと立ち上る
蒸気の中に、真っ黒な兜型の宇宙船の姿があらわになった。「よし! 現われたぞ!」
キリヤマが怒気を荒げて叫んだ。「アンヌの仇だ! フルハシ、マグネチック7投下!」
ホーク1号から投下された新型爆弾の群れは、兜型円盤の表面にピッタリとへばり付いた。「爆破!!」
凄まじい爆音が周囲を揺るがせ、円盤は炎を上げて破裂した。
「・・・オノレ、ウルトラ警備隊メ!」
湖岸の森の中に立っていた銀色の女が、急いで円盤の方に駆け寄る。女は、円盤の裂け目からドロドロと
流れ出す銀色の液体の方に手を広げ、不思議な波動を放った。すると、銀色の液体が宙を舞って銀色の女の
周囲に集まり、その身体を包み込んだ。女の全身はまばゆい光に包まれ、そして、少しずつ巨大化を始めた。
「フッフッフッフ・・・!」
ウルトラ警備隊の目の前に、銀色の巨人が出現した。西洋の甲冑のような装甲で全身を覆われた、異形の巨人だ。
これこそが、銀色の女を中心に液体金属が集まって生まれた、ボーグ星人の戦闘形態なのであった。
ボーグ星人は、両手を胸の前で揃え、兜にあたる部分の中央の隙間からまばゆいビームを発した。
「うわああッ!」「き、緊急着陸!」
ホーク1号が火を噴き、ダン、アマギ、フルハシを乗せたまま地上に落下する。
1号は不様に地上を滑走し、岩に激突して停止した。気を失ったフルハシたちの横を駆け抜け、ホークの外に
飛び出したダンは、ウルトラアイを装着した。「デュワッッ!」
その頃、地球防衛軍のメディカルルームに、厳重な警備の目をくぐり抜けて侵入した人影があった。
銀色に輝くボディを持ったその女は、目から発する怪光線でメディカルルームの医師たちを次々と焼き殺し、
ベッドの上に横たえられたアンヌの方に近づいた。
「アンヌ。助けに来たわ。」
サイボーグ化された水木早苗は、ロケットのように張り出した自分の乳房にそっと両手を当てた。
乳首から黄色いビームが放たれ、傷口が大きく開いたアンヌの脇腹に照射される。すると、みるみるうちに
アンヌの脇腹の傷は塞がり、美しい銀色の肌に戻った。
早苗はかがみ込んで、股間から細長いカプセルのようなものを引き出した。そして、横たわったアンヌの
両脚をそっと広げ、露わになった股間の中心部、割れ目の下端に開いた小さな孔を目がけて、長さ15センチ、
太さ3センチほどのカプセルを、ギュッ!と押し込んだ。
とたんにカプセルがまばゆく光り輝き、静止したままのアンヌの、開いた瞳が、真っ赤に妖しく輝いた。
改造されたアンヌの膣孔、奥深くまで挿入されたそのカプセルは、エネルギー供給用のパックであった。
アンヌは意識を取り戻し、上体をゆっくりと起こした。「・・・ありがとう、早苗」
「早く行きましょうアンヌ。わたしたちの円盤が今、大変なことになっているわ。」
『ダーッ!』ウルトラセブンが、ボーグ星人を勢いよくはね飛ばして出現した。
勢いよく地面に倒れたボーグ星人は、あわてて起き上がり、セブンめがけてビームを放った。
セブンはウルトラバリアーでそれを防ぎ、お返しにエメリューム光線を放った。だがボーグ星人の装甲は
エメリューム光線の直撃を受けてもびくともしない。
「フッフッフッフ・・・!」
女の声で不敵に笑いながら、ボーグ星人はひらりと浮遊し、セブンの目の前に迫った。両者はがっぷりと
組み合い、激しくもみ合った。ボーグ星人の怪力が、少しずつセブンを圧倒してゆく。
『デヤーッ!』ボーグ星人の力を逆に利用し、セブンは柔道の投げ技の要領で星人を払い除けた。
地面をゴロゴロと転がり、起き上がろうとするボーグ星人の隙をついて、セブンはアイスラッガーを放った。
狙うは、装甲がいちばん弱いボーグ星人の首筋だ。光の刃と化したアイスラッガーは、ボーグ星人の首を
見事に切り落とした。ドーン! という音を立ててボーグ星人の頭部が地上に落下し、切り口から銀色の
液体が泡を吹きながらドボドボドボ、とあふれ出した。そして、星人の身体は地面に勢いよく倒れた。
「・・・どうやら遅かったようね。」防衛軍本部から朝日沼まで超音速で駆けてきたアンヌと早苗は、戦闘形態の
ボーグ星人が倒されたのを確認すると、急いで兜型の円盤のもとに駆け寄った。
白い煙を上げる円盤の内部からは、銀色の液体の残りがまだトロトロと流れ出している。
アンヌと早苗は、お互いを見つめ、そして頷き合った。アンヌが早苗の方に手を掲げる。不思議な波動が
ほとばしり出て、早苗の身体は空気が抜けた人形のようにしぼみ、銀色の液体と化した。そして宙を舞って
アンヌの周りを回り始めた。アンヌは円盤の方に向き直り、波動を放って残った銀色の液体をかき集めた。
アンヌの周囲を回る銀色の波は、アンヌの身体を包み込み、やがてまばゆいばかりの光を放った。
ボーグ星人にとどめを差したセブンは、膝をつき、ハァハァと肩で息をした。かなりエネルギーを消耗して
しまったようだ。ようやく呼吸を整えたセブンが、ゆっくりと立ち上がろうとしたその時。セブンの視界は
何ものかによって遮られた。
「はっ!」
何者かが、セブンの頭部を太股で挟んで、逆むきの肩車のようにまたがっているのだ。セブンの顔面を覆って
視界を奪っているのは、その何者かの下腹部だった。そいつは腰を勢いよくねじってセブンの首をひねり、
自分から背中の方に倒れていった。つられて前方に倒れるセブン。そいつは両手を地面につくと、太股で
セブンの首をはさんだまま倒立後転し、セブンの身体を遠くへ勢いよく投げ飛ばした。
「やーっ!」
地面に激しく叩きつけられ、悶絶するセブン。起き上がったセブンの視界に飛び込んできたのは、なんと、
巨大な女性のシルエットだった。
「我々ボーグ星人の敵、ウルトラセブン。今からわたしがあなたを殺す!」
それは、身長40メートルの高さに巨大化した、アンヌであった。愛らしいアンヌの頭部はそのままに、
全身はボーグ星人の甲冑によく似た、銀色の装甲で覆われていた。ただし、ボーグ星人の甲冑が装甲を
身にまとっているような感じであったのに対し、アンヌの全身を包む装甲は身にまとうのではなく、
女性の華奢なボディがそのまま甲冑化したかのように見えた。女性の美しいボディラインを露わにした
その姿は、北欧神話の戦乙女ワルキューレの鎧を思わせた。それは、アンヌの新たなボディであった。
ボーグ星人の身体を形作る液体金属が、アンヌの身体をコアにして成長し、アンヌを巨大なボーグ星人と
同等の存在に変えたのだ。アンヌはもう、地球に飛来したボーグ星人の群体、そのものと化していた。
『やめろアンヌ。きみとは闘いたくない。』
「いいえ、ウルトラセブン。わたしはもう地球人のアンヌじゃない。完全なボーグ星人なの。ボーグ星の
名誉と未来のために、わたしはあなたを、殺す!」
「やーっ!」
ボーグ星人化したアンヌは、セブンめがけて怒濤のラッシュを繰り広げた。身軽なボディを生かして
アンヌは側転を繰り返しながらセブンの背後に回り、首筋の一点をめがけて的確な攻撃を加える。
『やめろ! アンヌ! 正気に返るんだ! 君はボーグ星人じゃない! 地球人だ!』
「いいえ。わたしは改造されたの。もう地球人じゃない! わたしは、ボーグ星人アンヌ!」
首の激痛に耐え切れず、思わず膝をつくセブン。アンヌは宙返りして今度はセブンの前方に回り、額の
ビームランプめがけて目から赤い怪光線を放った。
『グワッ!!』煙を上げるビームランプ。視力を失い、激痛で狂ったように首を振るセブン。
アンヌは妖しい笑みを浮かべると、自分のふくよかな乳房に、両手をそっとあてがった。装甲の表面に
同心円状の模様が刻まれた乳房から、まばゆいリング状の光線が矢継ぎ早に放たれた。
リングはセブンの両手にからまり、その動きを封じた。さらに別のリングが両足首に次々とからまり、
セブンは地面に倒れたまま身動きが取れなくなった。
『やめろ! やめるんだアンヌ! 正気に返れ! 君はまだ、地球人だ!』
「いいえセブン。わたしはボーグ星人よ。」
ボーグ星人となったアンヌは、にこやかな笑みを浮かべながら、両腕を宙に高く上げた。
銀色に輝く華奢なアンヌの腕が、徐々に変形し、鋭い刃状になった。
ボーグ星人アンヌは、激しく悶えるセブンにゆっくりと近づいた。そして、天使のような笑みを浮かべた。
「さようなら、セブン。」
アンヌ、いやボーグ星人は、セブンの胸をめがけて、両手の刃を勢いよく突き刺した。
(おわり)