オリジナルのウルトラマンを創るスレ【10ワッ!】

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586○シリウス60:2008/02/24(日) 18:11:56 ID:EVLb/raP0
秋山の言うとおり、バルタン星人と思われるそのエイリアンはEDFが考えるバルタン星人とは
微妙に異なる。顔の形状はそのままだが、手にはハサミが存在せず、人間と同じような5本指である。
胴体の形状も少し異なっていた。

「いや、わからんぞ。アレは1960年代に報告された遊星人にそっくりだ。」

「こうは考えられないか? 我々が考えているバルタンは一種のパワードスーツを
装着しているんだ。普段はあれが通常の状態で、戦闘時にはあのハサミを装着した
バルタンになる。」

「合理的な推測だと思います。さすがにあのハサミの手で高度なテクノロジーや、
宇宙船が作れるとは思いません。」

「少なくとも、ガードファイターが捕らえた航空機はエイリアンの物であるということは
証明されたが、あのエイリアンが接近中の艦隊に関係あるかどうか・・。」

瀬戸が話終わる前に、突然遠方で爆音がした。距離は遠い、2キロほど東だ。そのあと奇妙な
発砲音や爆音が断続的に続いた。2人の赤い服を着た男とエイリアンはそちらを注視している。

「なになに? 何がおこっているの?」
587○シリウス61:2008/02/24(日) 18:16:26 ID:EVLb/raP0
瀬戸から見て右側の崖には成川と見城が展開していた。成川は爆音を聞いて驚いた。

「分からない。戦闘音のような気がするけど・・。」

見城にもよく分からないが、あの爆音の発生している地点では、地球人が想像もつかない
ような事態が、起こっていることだけは確かなようだ。

「よし、EDF本部に連絡しよう。野外無線機の準備だ。」

瀬戸は決断した。しかし秋山は躊躇する。

「しかし、この山中まで来たことは命令違反に問われる可能性があります。どう報告
するんですか?」

「住民のクレームを処理して基地へ帰投の途中、不審航空機を見て車で追跡、エイリアンを確認。
でいいだろう。」

「しかし、それでは偽造報告になります。露見すれば瀬戸司令が・・。」

「今は俺の首の心配をしている場合ではない。もし接近する艦隊がバルタン星人のもので
あったら取り返しがつかない状況になる。今は一刻も早くEDFに警戒を促すんだ。」
588○シリウス62:2008/02/24(日) 18:18:47 ID:EVLb/raP0
秋山は説得され、やむなく背中の無線機のアンテナを立てる。右腕に装着しているコントロール
パッドを開き、操作を開始する。

「データリンク接続完了、秘話通話システムに接続しました。ダイヤルすれば通話可能です。」

瀬戸司令は野外デジタル通信機JTA−T3の蓋を開け、中から受話器を取る。しかしこの
行動が、思わぬ事態を発生させた。

エイリアンが右腰に装着していたセンサーパッドのような物が、突然鳴り出したのだ。
エイリアンはパッドを見た。瞬間、エイリアンは何事か大声を上げ、後ろを振り向き瀬戸と
秋山のほうを指差した。

2人の赤い服を着た男は武器を、エイリアンが指差した方向に向ける。

「無線機の電波を・・」

「伏せろ!!」

瀬戸は秋山の頭を抑え、床に伏せる。その刹那、二本の火線が瀬戸と秋山を掠めて通過し、
後ろの樹木に着弾する。衝撃音がして細い樹木ははじけ飛ぶ。

ギリギリでかわし、当たりはしなかったが、秋山は恐怖した。しかし本当の恐怖は
これからだった。
589○シリウス63:2008/02/24(日) 18:20:32 ID:EVLb/raP0
「エルゾ・ギエンゾ・バルジード!」

エイリアンは地球人には理解不能の言語を喋り、右手を左胸に当てる。瞬間、すさまじい発光が
エイリアンを中心に発生する。成川、見城、四方は視界を一時的に失う。

発光が消えた後、その中心点にはエイリアンが立っていた。しかし、形状は大きく異なって
いた。そう、両手形状がハサミに変化し、異界の鎧を装着したあのバルタン星人が現れたのだ。

「バ・・バルタン。司令の推測は当たりのようです!」

「また来るぞ。伏せろ!」

瀬戸と秋山は地面に突っ伏した。そこへさっきとは比べ物にならない太さの火線が
襲いかかってきた。
590○シリウス64:2008/02/24(日) 18:23:19 ID:EVLb/raP0
日本EDF 高度統合作戦群(通称司令部)

8月13日 午前5時30分 オペレーションルーム

オペレーションルームは大混乱に陥っていた。さっきまでマスコミ対応に追われていた保坂は
急いでオペレーションルームに戻ってきた。

「艦隊の現在位置は!?」

「現在月軌道を通過! 加速して地球に向かってきます。あと10分で地球周回軌道。」

「なんてことだっ」

30分前までのオペレーションルームの静けさが嘘のようだ。休憩をとっていた職員も
次々戻ってくる。

30分前までは観測艦隊は、減速しつつ月軌道へ向かっていた。しかし、観測艦隊が
月軌道に到着すると、停止するどころか再び加速してまっすぐに地球に突っ込んできたのだ。

「観測艦隊より通信、全周波数、言語で発信してきます。」

「何っ、テキスト文か?」

「いいえ、映像通信です。いま、モニタに表示します!」

そういうと局員は、オペレーションルームの中心にある大型ディスプレイに観測艦隊の映像通信を
映し出した。まだ始まったばかりなのかノイズが激しい。
591名無しより愛をこめて:2008/02/24(日) 18:23:27 ID:DZHpiK3gO
CM
592○シリウス65:2008/02/24(日) 18:25:21 ID:EVLb/raP0
保坂は背中にゾクッとした感触を感じた。まずい・・とてつもなく嫌な予感がする。

保坂の予感は不幸にも的中した、映像はノイズが激しかったが音声がはっきり聞き取れた。

フォフォフォフォフォフォフォ・・・

そう、あの声だ・・。だれもが1度は聞いたことのある、地の底から響き渡るような、
あの忌々しい声・・。

「バル・・タン・・。」

保坂はその名を呼んだ。それに答えるようにノイズは切れ、鮮明な音声と映像が
映し出された。ディスプレイには大画面であのバルタン星人が映し出された。

「こちらは太陽系方面 制圧任務艦隊。地球に対し降伏を要求する。抵抗する
場合はあらゆる手段をもって排除する。ただちに武装解除せよ!」

この日からバルタンと地球との長い戦いが始まったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第1話 完
第2話 「シリウスから来た巨人」に続く
593名無しより愛をこめて:2008/02/24(日) 19:56:40 ID:DZHpiK3gO
一話に60レスか、すごいな。他の作者もこれくらいやればホンモノかもね
594名無しより愛をこめて:2008/02/24(日) 20:05:48 ID:QyVf2zsz0
スレだと細切れになるから読みにくい。
やっぱこれくらいの大作になるなら、レンタル鯖とかでやってほしい。

サイト立ち上げるの面倒だからって掲示板でやられてもな。
595名無しより愛をこめて:2008/02/24(日) 21:14:41 ID:KVL+uxMc0
登場人物が余りにも多いのも。1話で肝心のウルトラマンが登場していないが、
大丈夫なのか?
596シリウス作者:2008/02/24(日) 21:16:23 ID:EVLb/raP0
ううむ。私もこんなに長くなるとは思わなかった。
メモ帳でこの文章見ると、そんなに長く感じなかったので。
途中で止めるのもなんなので、最後まで上げてみました。

レンタル鯖ですか。まだ鯖借りるほどの量ではないんですが。サイト
立ち上げるはめんどうでは無いのですが、うーむ。やっぱ掲示板では
読みずらいですか。

とりあえずブログでも作ってみましょうかね。
597シリウス作者:2008/02/24(日) 21:55:30 ID:EVLb/raP0
他に何かご意見ありますでしょうか?

2話でウルトラマンは出てきますが、やはり最初に出ないと
つかみ的には駄目ですかね。

ああそれと、591さんCM。アロマブラック吹いた。
598名無しより愛をこめて:2008/02/24(日) 23:15:26 ID:KVL+uxMc0
内容そのものは問題ないと思う。寧ろ今までになく緻密で驚いた。
ただ、この分量で毎回続けていくとやはり途中で読むのがしんどくなる
人もいる気がする。クレームをつけた民間人辺りは削っても問題ない気も。
それと、やはり1話内でウルトラマンは出しといたほうがいいと思う。
戦闘までには至らないとしても、主人公との接触だけでも。
599名無しより愛をこめて:2008/02/25(月) 01:19:05 ID:ULFinsGjO
正直、私はそのしんどくなった読者です。
他の方もおっしゃってますが、例えば農家のオヤジがビール溢す、子供が成人して家を出ていった、という所まで逐一描写する必要はないかと。
やる気は半端なく伝わってくるんですが、描写が細かすぎてテンポを欠いていると思います。
戦闘機の搭載兵器の詳細はキャラクターが固まっていない第一話で語るべき事でしょうか?
考えうる全ての描写を伝える必要はないかと。削れる所は削るべきかと考えます。
600シリウス作者:2008/02/25(月) 19:56:04 ID:x8IKVAQy0
なるほど、問題なのは伝えるべき情報のバランスですね。今回は初回なので
説明しなければならない部分も多くあり、すべてをわかりやすく説明
しようと、情報を詰め込みすぎたと。それにより中だるみが生じ、読者を
飽きさせる結果になったわけですか。

確かに自分も力が入りすぎた、というきらいがあったかと思います。
むしろ細かい設定説明は、10話なら10話の中に平均的に分散した
ほうがいいのか。

実は第2話は、1話でたくさん説明したおかげで、1話よりは
短くなっています。しかし掴みの部分の第1話が読むのに苦痛を
感じるのでは、2話にはつながらないですね。
601シリウス作者:2008/02/25(月) 20:13:38 ID:x8IKVAQy0
突き詰めて考えると、本筋のストーリーライン(怪獣調査隊)と
周辺ストーリーとが同じ濃度で並んでいるため、読む焦点をすべての
文章に配らなくてはならず、読むことに疲れてくるのかも知れない
ですね。

しかし、そこいらの文章の加減が難しいですね。誰にでも分かりやすく
説明しようとすると文章量が増加する。削るとテンポは上がるが、
削りすぎると、分かりにくい部分が出てくる。

ガードファイターの描写ですが、これは現実に存在しない兵器なので、
リアルティを感じさせるために、細かい設定まで書いてみましたが、
第1話のあの部分で導入するのは問題だったかも知れませんね。
第2話にまわしてもよかったかも知れません。

そのへん全体的に推敲が不足してましたね。
602599:2008/02/25(月) 20:23:43 ID:ULFinsGjO
てか、まあ私>>519なのですが、多少キツい事言ってしまったと思いますが、指摘させていただきました。
苦痛と言っても、単に私が我慢性のない人間だからかも知れませんし。
ただ、やっぱ一話毎にカタルシスは欲しいやな、と思いますので。
設定は初っぱなからまとめて伝えるよりも、貯蓄し、話を進めるための道具としてそこから逐一取り出すものかな、と私は考えます。
それもやり過ぎるとご都合主義に堕してしまうので難しいところですが。
とりあえず、話を進めるためには設定、描写双方の面で、情報は取捨選択してから読者へ伝える事が大事かな。
ただ、一つ一つの描写に関して緻密なのは本当なので、特に戦闘シーンに関しちゃわくわくです。
第二話、頑張ってください。

あと、特撮板であれば1レスにもう少し沢山文章書けますよ。
603シリウス作者:2008/02/25(月) 20:30:16 ID:x8IKVAQy0
様々な真摯なアドバイス、忌憚なき意見ありがとうございます。この物語
は1人で書いていたので、これを見た他人がどう感じるか、そこのところ
をどうしても知りたかったのです。

えらく長くなってしまった1話ですが、最後まで読んでいただき、意見も
書いていただき本当に本当にありがとうございます。もう一度作品を
推敲してみます。自分では気づかない視点もあり、新たな構成法を見出す
こともできそうです。

それでもやはり長い作品なので、作品はブログで作っていこうと思います。
新たに作ったら、ブログの宣伝とダイジェスト版のみ掲示板であげ、
本文はブログにあげる。という方法にしようかと思います。

それでは、いつになるかは分かりませんが、また私の作品を読んで
いただければうれしいです。では・・・。
604シリウス作者:2008/02/25(月) 20:46:28 ID:x8IKVAQy0
599さん。
カタルシス、そうですよねぇ。やっぱ1話ごとのカタルシスって
重要なんですよね。

そういう意味では第2話は大半戦闘シーンなので、カタルシス
だらけかも知れません。やはり作品のバランスが悪い(><)。

とりあえず、2話は今の状態のままでブログに上げて、こちらに
リンクを張っておきますね。そんなに時間はかからないかと
思います。(今週の金曜くらい?)

そのあとでゆっくり推敲やら、第3話など作ろうかと思います。
605599:2008/02/25(月) 21:30:42 ID:ULFinsGjO
了解しました。何か追っ払ってしまったようで申し訳ない。
ダイジェスト版だけでも読者の興味は引けると思います。2ちゃんのように本編がぶつ切り連投になる心配もないし。
カタルシスは、そうですね、掴みの部分ではやっぱり欲しいですね。
例えばガイアならクライマックスに戦闘シーンないけど、着地シーンで何かもう全部オッケーでしたし。
第二話は戦闘連発という事で。
今のところ初代マンと同じく紅い球で飛ぶ ってところしかウルトラマンの情報ないですんで、色々期待ができますね。
606ブリッツ作者:2008/02/25(月) 21:44:39 ID:PxVdEL0OO
 (9)
 あれから三日後、ダメージから回復できたエイジは、ジョーと同様、GAPの通り魔退治に協力を申し出た。
 シキとカヲルは快諾し、タイラも渋々ながら承諾した。
 「あの通り魔はツルク星人だ、連中は快楽の為に無差別に人を襲う種族……。」
 エイジの言葉に、ジョーとGAPの一同は消沈した。幸い、夜間の外出禁止令とパトロール強化であれから犠牲者は出ていない。しかし、手強い相手であることには変わりがない。
 「どうしますか?エイジさんの話だと、奴は相当素早しっこいですよ、次に会ったときに逃げられることも……。」
 「いっそのこと、どっかに落し穴でも掘るか?」
 カヲルの言葉にジョーが案を出す。
 「無理だ。連中の跳躍力は10m以上はある。下手に掘っても跳び出られるのがオチだ。」
 エイジは冷静に言った。 「だがワナにかけることには賛成だ。どこかに閉じ込めて、動きを封じればいい。」
 「そんな場所、この村にあるのか?」        シキの言葉を遮るように言ったタイラの一言で、この話し合いは行き詰まってしまった。
607ブリッツ作者:2008/02/25(月) 21:50:32 ID:PxVdEL0OO
 (10)
 その日の午後、カヲルとジョーはタイゾーの店を訪れた。無論、店は閉められており、店先には<弔 慕部村民一同><弔 東部廃品回収業者組合一同>と書かれた花輪が二つ立てられていた。
 「すみません、お忙しいのに……」
 二人にコーヒーを出しながらマリが言った。
 あの夜父を殺された後、明け方まで山中を逃げ惑い、ボロボロの状態で現れたマリだったが、今は大分落ち着いている。
 「この度はご愁傷様です。ですが安心して下さい。お父さんのカタキは、私がかならず取ります!」
 マリの両手を握り締め、頼もしげにジョーが言った。爛々とした眼差しで、マリを真直ぐに見つめている。
 「あ…ありがとうございます。」
 若干ひきながら、マリは笑顔で応えた。
 「でも、本当に大変なのはこれからだね…仕事の方はどうするの?」
 カヲルが尋ねる。
 「うん、とりあえず組合の方に挨拶して、落ち着いてから考えようと思ってるんだけど……」
「そうか…」と言ってカヲルは店内の方を見た。使い古された電子部品や兵器類が所狭しと並んでいる。
 「ん、あれは……」
 カヲルの眼が、直径30p程の円盤状の機械にとまった。店内に移動してそれを手に取る。
 「これ、バリアーメイカーじゃないか。たしかコイツを中心にして、最大で半径200mの範囲まで半球状バリアーを張れるはず……どっから仕入れたんだい?」
 「ああ、それ…西の砂漠の先にある、怪獣に潰されたGAPの基地跡から仕入れたのよ。」
 カヲルの問いにマリが答えた。カヲルはバリアーメイカーをじっと見つめる。
 「おい、どうしたんだよ?」
 ジョーはカヲルに尋ねた。カヲルは顔を上げると言った。
 「ジョーさん、見つかりましたよ、奴を捕まえる方法が!」
608名無しより愛をこめて:2008/02/25(月) 22:12:22 ID:ndoqtsjqO
ブリッツってまだ続いてたの?
609ブリッツ作者:2008/02/25(月) 23:01:48 ID:PxVdEL0OO
 (11)
 「このバリアーメイカーを地面に埋め、その上にツルク星人を引き込んでバリアーを起動させれば、その中に封じ込めることができます。」
 駐在所の中でバリアーメイカー片手に、カヲルが一同に説明をする。確かにツルク星人を封じ込めるには最適な策である。ただ問題は、どうやって引き込むかだった。
 「今考えられるのは、フライヤーとジープ、空・陸両方から追い立てる方法です。」
 カヲルの言葉に、「それしかないだろうな。」とシキが言い、皆も頷く。作戦が決まった。 
 バリアーメイカーは、村外れの原野に埋められた。いつでも作戦を開始できるように、誘導経路の確認とさらなるパトロール強化がされた。
 皆が来るべき日に向けて一致団結した……訳ではなかった。不協和音がここに一人。
 「……今に見てろ。」
 駐在所のデスクにふんぞり返り、外へ出ていったシキの後ろ姿を見ながらタイラはつぶやいた。あの一件以来、タイラの立場はシキに取って替わられてしまった。自業自得だが、シキの下に立たされるのは面白くない。
 いつか思い知らせてやる、と思ったその時、タイラの頭にある考えが浮かんだ。
タイラは外に出ると、周りに人がいないのを確認した。そして裏の倉庫に回るとスコップを手に取り、逃げるように駐在所をあとにした。
 準備は万端。しかし、ツルク星人が現れないまま、一週間が経とうとしていた日のことだった。
610ブリッツ作者:2008/02/26(火) 00:06:32 ID:1yM+KXTdO
 (12)
その日の夜。パトロールはエイジとジョーが当番だった。
 「なあ、ウルトラマンって知ってるか?」
 夜道をチョウチン片手に歩きながら、唐突にジョーがきいた。
 「……いいや。」
 「そうだよな……死んだ親父が言ってたんだけどよ、GAPができるよりもずーっと昔、人間の組織と一緒に、怪獣と戦ってた巨人がいたんだってよ。」
 エイジは黙って聞いた。
 「そいつは一人じゃなくて、仲間の巨人が次から次へと地球にやって来て、人間を守り続けてくれた。ときに自分の身を犠牲にしてまでな…けど、いつの間にやら来なくなって、地球は荒れ放題になっちまったらしい。」
 エイジは黙り込み続けた。
 「なんでウルトラマンは、命かけてまで守ろうした地球を、離れちまったんだろうな?……」
 「……」
 「あぁ、悪い悪い。変なこと聞いちまったな。ヨタ話の一つだと思って忘れてくれ。」
 「いや、いい。あまりに突拍子がなかったもんで……今の話だが、ウルトラマンがいたとして、きっと連中は、地球と人間に見切りを付けてしまったんだろうな。」
 慎重に、言葉を選びながら、エイジはボソリと言った。
 「見切りをつけた、か……ハハッ、違いねえな!」
 ジョーが笑い、エイジも自嘲気味に笑った。
 その時である、エイジは自分達の前方に何かの気配を感じ、ジョーを制して前方を見るようにうながした。
 前方の闇の中に、こちらへ向かってくる、二つの赤い光が小さく見えた。
611ブリッツ作者:2008/02/26(火) 16:51:36 ID:Oyyp9GkF0
 (13)
 「おい、あれ・・・」
 「ああ、ヤツだ。」
 エイジは冷静に応える。赤い光は徐々に歩みを早めて近づいてくる。どうやらチョウチンの灯りを頼りにこちらへ向かっているようだった。
 「・・・もしウルトラマンが見限ったんだとしても、地球は地球人の手で十分に守れる。そのことを証明してやるぜ!」
 そういうとジョーはチョウチンを投げ捨て、担いでいた刀を抜き放った。地面に炎が上がる。
 「ジョー、お前・・・」
 「ヤツは俺が引き付けておく、その隙に連絡頼む!」
 エイジの言葉をさえぎってジョーが言う。
 「・・・分かった。死ぬなよ。」
 「俺を甘く見んな!」
 そういうとジョーは、刀を振りかざしてツルク星人へ向かっていった。エイジはジョーに背中を向けると、駐在所を目指して駆け出した。
 ジョーとツルク星人は激しく刃をぶつけ合う。
 「死にさらせやーっ!」
 ジョーが絶叫する。
 一方エイジは、走りながら指笛を吹いた。すると右手の藪から馬が跳び出してきてエイジと並走する。エイジはそのまま地を蹴って馬に飛び乗る。
 まさに神業といえた。エイジを乗せた馬は、そのまま駐在所へ向かって走り続けた。
 
612名無しより愛をこめて:2008/02/26(火) 17:20:20 ID:1yM+KXTdO
613名無しより愛をこめて:2008/02/26(火) 19:20:43 ID:vEr4cqVGO
長いのが流行り?
614名無しより愛をこめて:2008/02/26(火) 21:23:13 ID:c42Wgb+j0
幾つもの星が煌めく広大な宇宙。 その宇宙の闇を切り裂きながら何者かが地球に向かっていた。

真・ウルトラマンルシファー
第1話 「青き星の輝き」 宇宙邪虫 ザゾーラ登場

休日の街中は平和を疑うことない人々の笑顔に包まれていた。
「ユタカ! 早くしないと映画始まっちゃうよ!」
「…だったらお前も少しは荷物を持てよ…」
ユタカはよろめきながらも多くの荷物を抱えて歩く。 彼女の買い物に付き合わされたのだろう。
「急げっていったって、どうせ荷物一つでも落とせば怒るくせに…」
「何か言った!?」
「いえ、何も…」
そのとき、ユタカの目に一人の青年の姿が映った。 その青年は人混みなど気にもせず、ただただ空を眺めていた。
(何してんだ…あいつ…?)
よそ見していたユタカは思わず人にぶつかり、荷物を落としてしまう。
「あ……」
恐る恐る彼女の方を見るユタカ。
「ユタカァァァ!!」
615名無しより愛をこめて:2008/02/26(火) 21:24:02 ID:c42Wgb+j0
ユタカは怒り狂う彼女から目を逸らし、再び先程の青年に視線を戻そうとしたが、そこには既に誰もいなかった。
その頃、怪しく黒光りした異形の怪獣は人工衛星の並ぶ防衛ラインに達していた。
「こちら、GUYSスペーシー。レジストコード"ザゾーラ"確認。攻撃に入ります」
人工衛星から放たれる幾筋ものレーザー光線。 しかし、ザゾーラはそれをものともせずに突き進む。
再び街中。彼女はまだ機嫌が直っていないらしく、二人の間には不穏な空気が漂う。
「なあ、ミカ。そんな怒るなって。荷物は別に何ともないんだし…」
「気分的に嫌なの!」
(参ったなぁ……)
ユタカはふと、先程の青年のように空を眺める。 一面に広がる真っ青な空。
都会のビル群の上にもこんなにも綺麗な青空があることをユタカは改めて実感した。
しかし、その青空を破るようにして漆黒の怪獣が近づいてきた。
「ミカ! 危ない!!」
「何言って……」
突如飛来した怪獣はいきなり光線を乱射し、ユタカは崩れ落ちるビルの瓦礫でミカを見失った。
「ミカ!?」
ユタカは荷物を放り出し、慌てて辺りを走り回る。
616名無しより愛をこめて:2008/02/26(火) 21:32:15 ID:c42Wgb+j0
時を同じくして、一機の戦闘機が上空に姿を現した。
「一気に片を付けるぞ」
「GIG!」
隊長と思われる人物の指示を受け、大型戦闘機"ガンフェニックス"は二機の小型戦闘機に分離してそれぞれの機体から撃たれたミサイルやレーザーが命中する度にザゾーラは苦しみの声を上げる。
「とどめだ。メテオール解禁!」
各機体は金色の光に包まれると一斉に攻撃を仕掛ける。ザゾーラは爆煙に包まれる。
煙が晴れると、その中からバリアに身を包んだザゾーラが現れた。ザゾーラはバリアを解くと両手の大きなハサミから光線を放つ。
ユタカは瓦礫の山を乗り越えると、倒れている彼女の姿を見つけた。
「ミカ! 大丈夫か!?」
「うん…何とか…」
再開した二人の目の前でガンフェニックスがザゾーラに撃墜されていく。
「GUYSがやられたのか!?」
落ち込むユタカ。
そんな様子を見守る一人の青年。彼の右手には見慣れぬ道具が握られている。
「俺に闘えというのか…?」
道具の中央の水晶玉がそれに答えるように点滅している。青年はその道具"ウルティノーヴ"を空高く掲げる。
ザゾーラの光線がユタカの目の前に迫る。そのとき、光が上り、今、空に青き星が一つ輝いた。
そしてその輝きと同じくらいに蒼い巨人が大地に降り立ち、ユタカの盾となった。
逃げ惑う人々、GUYSクルー、そして、ユタカはその巨人を見て呟いた。
「…青い…ウルトラマン?」
青い巨人"ルシファー"はザゾーラに突進し、パンチ一撃でザゾーラを殴り飛ばす。
ザゾーラは光線を乱射するがルシファーはそれら全てを片手で払いのける。そして頭の角に青い光を集めていく。
向かいくるザゾーラに頭を向けて、溜めた光を全てぶつける。凄まじい威力にザゾーラは粉々に弾け飛んだ。
荒れ果てた街中に一人立つルシファー。人々はその姿を見つめていた。
617名無しより愛をこめて:2008/02/27(水) 20:56:28 ID:iplQfzmRO
つぎは?
618名無しより愛をこめて:2008/02/28(木) 09:27:24 ID:jf9bCyFb0
やはり一エピソードでぶつ切りにして間が空きすぎるのは問題。
前の話を覚えてられない人もいる。
619ブリッツ作者:2008/02/28(木) 20:56:03 ID:hpsbgdr50
(14)
駐在所に到着したエイジは馬から降りると、ツルク星人が現れ、ジョーが足止めのために一人戦っていることを告げた。
「作戦開始だな。シキ、俺はフライヤーで上から追う、アンタは地上から追ってくれ。カヲル、お前は先回りしてバリアーメイカーを起動させるんだ、頼むぞ!」
タイラは矢継ぎ早に言うと、そのまま外へ駆け出した。
「アイツ、妙に張り切ってるな・・・。」
シキはそうつぶやくとタイラに言われたとおり、表へ出てジープの乗り込むと、エイジにも乗るように促した。駐在所の裏手の方からは、けたたましい爆音とともにGAPフライヤーαがゆっくりと垂直上昇していく。
シキとエイジを乗せたジープとタイラの操縦するフライヤーは、ジョーとツルク星人の戦っている現場へ向かった。カヲルは一人、埋設地点へと向かう。
 
「オメェ・・・なかなかやるな。」
十分に間合いを取りながら、ジョーは言った。ジョーとツルク星人は互角の勝負を繰り広げていた。双方とも息が上がっている。
 ツルク星人は両腕の刃を大きく振りかぶり、突きの構えを見せた。それに対して、ジョーは刀を八双に構える。
「けど、そろそろケリつけるぜ・・・言っとくが俺は、テメェみてぇなヤツが一番嫌いなんだよ!」
ジョーが叫んで今にも斬りかかろうとしたそのとき、突然、けたたましい音とともに周囲が明るくなり、上空からライトをつけたGAPフライヤーαがゆっくりと下降してきた。さらに道の向こう側からはジープが近づいてくるのが見えた。
フライヤーはホバリングの体勢をとると、機首の省電力レーザー砲をツルク星人の方へ向けた。分の悪くなったツルク星人はその場を逃げ出す。
「よーし、追うぞ!」
シキはそう叫ぶとジョーもジープに乗せ、追跡を開始した。フライヤーもゆっくりと、ツルク星人を追う。
620名無しより愛をこめて:2008/02/28(木) 22:24:22 ID:8jJLJF+KO
ぶつ切りは週刊誌の連載と思えばよろし
621シリウス作者:2008/02/29(金) 17:55:02 ID:QyTOwwwE0
こんにちわ。やっとブログできました。おもったより早かったかな。
2日で作ったやっつけブログですが、どうぞよろしくです。

全記事表示機能と、文字サイズ調節ボタンも設置しました。
多少でも読みやすくなればいいですが。

第2話は1話より短いです。(作者比3割減)力が抜けていい感じに
なったのかな?

それでは2話ダイジェストあげておきます。ブログに来ていただければ
うれしいです。どうぞよろしく。
6222話 シリウスダイジェスト:2008/02/29(金) 18:04:17 ID:QyTOwwwE0
ウルトラマンシリウス 第2話「シリウスから来た巨人」

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「しかし地球人は簡単には降伏すまい。まずは圧倒的なバルタンテクノロジーを見せつけ、
地球人に衝撃を与える。作戦第1段階を発動せよ!」

いよいよバルタンの地球制圧作戦は始まった。バルタン艦隊各艦はいっせいに行動を
開始する。バルタン艦隊の陣容は以下の通り。

中型機動要塞   バルブロッグ1隻
高速巡航宇宙戦艦 バルクロー 2隻
高速宇宙駆逐艦  バルシード 5隻

これに、艦載機である汎用宇宙戦闘機バルアタッカー・宇宙攻撃機バルクルーザー
・輸送機バルキャリアー等を全力出撃で600機使用することが可能だ。
6232話 シリウスダイジェスト:2008/02/29(金) 18:04:58 ID:QyTOwwwE0
しかし、ウルトラマンは・・・

「ウルトラマンの動向はどうか?」

「はい、M78星雲封鎖任務艦隊からは 動きなし と報告を受けています。我々は
M78星雲に網を張っていますので、ウルトラマンが動けば光の国の場所を特定できる
でしょう。光の国の場所を発見しだい。我が鎖任務艦隊が、集中爆撃する手はずを
整えています。」

「しかし、ウルトラマンも馬鹿ではない。」

「その通りです。ここ5年間、ウルトラマンのM78星雲での活動は報告されて
いません。おそらく移動を控えているのでしょう。結果的に我が封鎖任務艦隊の
目的は達成できているわけです。」

「地球占領までに、地球圏にウルトラマンが到着することは絶対にありません。コマンダー、ディ・オー」

地球にこれまでに無い危機が迫る。はたして地球を救う救世主は現れるか?
6242話 シリウスダイジェスト:2008/02/29(金) 18:07:04 ID:QyTOwwwE0
見城が所属する怪獣調査隊と、バルタンは交戦状態に入った。その最中、見城はがけ崩
れに巻き込まれた。バルタン戦闘員に撃たれる寸前、謎の美女が見城を救った。

そしてその場所には、とても美しい女性が立っていた。黒い瞳、黒い髪、黄金の肌、エ
イリアンであるはずなのに、その特徴は黄色人種の特徴に酷似していた。

顔立ちは、かわいい、というよりは美人タイプだ。プロポーションもかなりよく、身長
は170ぐらいか。額にはなにか金属のようなプレートが張りついていた。さっきのバ
ルタンの戦闘員とよく似た赤い服を着ている。

同じころ、地球へ接近中の謎の生命体をバルタンはキャッチした。

「コマンダー、太陽系別働艦隊から緊急電!」

「どうした?」

「シリウス方面より未確認生命体が太陽系に進入。ウルトラマンの可能性もあり。」

「なんだと!」

「別働艦隊が阻止を試みたものの失敗した模様。バルアタッカー3機損失。高速宇宙駆
逐艦 バルシード中破。」

「そんなバカな・・。シリウス方面にウルトラマンなど・・。」
6252話 シリウスダイジェスト:2008/02/29(金) 18:08:37 ID:QyTOwwwE0
だが見城は謎の美女の正体を確認することもできず、新たな宇宙からの使者を目撃する
ことになる。

南西の方角から強い風が起こり、噴煙をまきちらした。そして見城の肉眼は噴煙の中で
うごめいている物の姿をはっきりと捕らえた。見城は絶句する。

そのものの姿は巨大な人間の形をしていた。銀色と青の皮膚を持ち、顔はのっぺりして
いた。周囲をイオン化した空気で包みながら、その巨人はゆっくりと立ち上がる。

見城の幼い記憶がリアルに蘇った。それは今まで見たこともない巨大生命体であったが
、完全に雰囲気は合致していた。そう、あれは、あれは・・・。

「ウ・・、ウルトラマン・・。」

突如地球に現れたウルトラマン。バルタンとの戦闘が始まる。果たして彼はどんな目的
で飛来したのか、そして見城を助けた美女の正体とは?

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626名無しより愛をこめて:2008/03/01(土) 08:42:30 ID:5Ekf4d4gO
年末は会社(仕事)が忙しくて作者は作品書く暇がないとかいってたけど

今度は年度末だからもっと忙しいんだよね
当然作品なんか書く暇ないよな
627名無しより愛をこめて:2008/03/01(土) 14:48:36 ID:rwiHeVix0
前は年末であろうと、年度末であろうとみんなどんどん
書いてたぜ。
てことはそれらの作者はまともな仕事はしてないのか?
628名無しより愛をこめて:2008/03/01(土) 14:51:52 ID:rwiHeVix0
それよりも、そろそろ512KBの容量オーバーになるぞ
629ブリッツ作者:2008/03/01(土) 16:56:24 ID:lXUgfEqp0
(15)
一同は逃げるツルク星人を空と陸から追う。わき道へ入ろうとするツルク星人をレーザーやGAPランチャーを発射して威嚇しながら追い立て、着実に埋設地点へと誘導していく。
一方、埋設地点の村外れの原野では、カヲルが藪に隠れ、暗闇でも見えるように赤外線ゴーグルを着けて、ツルク星人が追い立てられてくるのを待ち構えていた。右手には起動スイッチが握られている。
やがて、遠くの方からフライヤーのエンジン音と車が走ってくる音が聞こえ、200m程先にある正面の林の中からツルク星人が飛び出してきた。いよいよだ、カヲルはスイッチに親指をかける。
さらに林の中からは、ジープが走り出てきて星人を追う。ツルク星人は真っ直ぐに、カヲルの隠れている藪へ向かって走ってきた。だがまだ起動させられない。
バリアーの展開範囲は20mに設定してある。設置点には目印を立てているのだが、その上を通過したときが勝負だ。ジープは30mほどの距離をとって星人を追い続ける。やがて、星人が目印を通過し、ジープが停車する。
カヲルはスイッチを押した。目印を中心にして、青白い半透明のバリアーが広がる。これで星人はバリアーに閉じ込められるはずだった。
 「やったぜーっ!」
 ジョーが叫んだそのときだった。異変がおこった・・・。
 「・・・なっ!?どうなってんだ!」
 カヲルは動転した。バリアーは設定範囲を大きく超え、60m近くまで広がったのだ。
 当然、シキ、ジョー、エイジの乗るジープもバリアーの中に閉じ込められてしまった。
 「おーい!話が違うじゃねえか!」
 ジョーがカヲルに向かって叫ぶ。だが当のカヲルにも、何がどうなっているのか分からない。バリアーを解除しようとスイッチを切るが、バリアーは消えない。
 故障か?とカヲルが思ったとき、上空からフライヤーの爆音が聞こえてきた。
630名無しより愛をこめて:2008/03/01(土) 17:04:16 ID:5Ekf4d4gO
これだけ長いのが続けばそれもアタリマエか
631ブリッツ作者:2008/03/01(土) 19:00:53 ID:2a8Hj+01O
 (16)
 タイラの乗るフライヤーはゆっくりとバリアーの前へ下降すると、エイジ達の眼前に静止した。
 星人とエイジ達は訳がわからないまま、バリアーの外のフライヤーを見つめた。操縦席のタイラが邪悪な笑みを見せたその時、バリアーが唐突に消えた。
 次の瞬間フライヤーのランチャーから、ロケット弾が立て続けに発射された。星人は慌てて逃げ出すが、行く手にロケット弾が炸裂し、爆風で吹っ飛ばされる。さらにロケット弾の一発が、ジープを目がけて飛んできた。
 「ヤバい、逃げろ!」
 シキが言うのと同時に、一同はジープから飛び降りる。その瞬間、ロケット弾が命中し、ジープは大爆発を起こした。三人は爆発の衝撃で吹き飛ばされる。
 ロケット弾を撃ち尽くしたフライヤーは、間髪入れずにナパーム弾を発射した。辺り一面が炎に包まれる。さながら地獄絵図の様相だった。

 カヲルはなすすべもなく、地面に伏せて爆風を避けることしかできなかった。攻撃が止み、顔を上げて立ち上がったカヲルは絶句した。目の前に広がっていたのは、無数の穴ができ、ガソリン臭い煙が立ちこめる荒涼とした大地だった。
 唖然として立ち尽くすカヲルのもとへ、フライヤーがホバリングしながら着地した。キャノピーを開けてタイラが降り立つ。
 「やっぱりジャンク部品はアテにならんな。」
 先程て同じ笑みをうかべながら、タイラは言い放った。
632名無しより愛をこめて:2008/03/01(土) 19:27:12 ID:5Ekf4d4gO
まもなく満杯
633ブリッツ作者:2008/03/01(土) 20:02:10 ID:2a8Hj+01O
 (17)
 「…バリアーメイカーが故障して、バリアーは消えた。だが奴を逃がすわけにはいかず、俺は止むなくフライヤーで爆殺した。あの三人は……バリアーに閉じ込められた間に、エイリアンに殺された。」
 「そんな…」
 「シキは村を守るために殉職、これで丸く収まる。いいかカヲル、俺たちは村を救った英雄だぜ。」
 「あんた、まさか……小細工を?」
 カヲルの問い掛けに、タイラは無言でほほ笑みかける。カヲルは冷たい眼でタイラを見つめた。
 「そんな目で俺を見るなよ、この手柄を持って本部に返り咲けたら、お前を幹部連中に紹介してやってもいい。黙ってるのが花だぜ。逆らうならお前もここで……」
 そういってタイラが腰のホルスターに手をかけたときだった。カヲルの表情が突然強ばり、そのままその場にしりもちをついたのである。
 呆気にとられたタイラはカヲルの顔を覗き込む。その視線は、タイラの後方に注がれていた。タイラは後ろを振り返る、その瞬間………。

 タイラの体は縦に両断され、真っ二つになって地面に転がった。そこには、右腕の刃を振り下ろし、返り血を浴びて真っ赤になったツルク星人が立っていた。
 「ああああぁーっ!!」
 カヲルは絶叫し、逃げようとしたが、腰が抜けて立つことができない。星人は右腕を大きく振り上げた。
 (もう……ダメだ!)
 カヲルに向かって、刃が振り下ろされた。
634名無しより愛をこめて:2008/03/01(土) 20:10:17 ID:6XkxXZja0
タナカも直接見た事はなかったが、話には聞いていた。ウルトラマンの中でも歴戦の勇士であり、
ウルトラ兄弟達の司令官であり、この地球でも数々の奇跡を起こしているという。
 ウルトラの父が最後に地球に現れたのは、54年前、2006年のクリスマスだ。強敵の前に倒れた
ウルトラマンメビウスを救い、地球の人々に希望を与えたと記録に残っている。

「流石の俺もたまげたし、疑いもした。ウルトラの父を騙る侵略者の罠でないとも限らないしな……
 で、半年間じっくりと連絡を取り合い、ようやく本物のウルトラの父であると確信した」
「それで……ウルトラの父は何と?」
「ビジャス星人の侵略は覚えているな? 貴様が少佐に昇進し、ムーンベース隊長に任命される
 きっかけとなったあの事件だ」
「はい。大元帥があの時の戦功を評価され、私を推挙して下さったと……」
「あの事件を境に地球には再び怪獣がはびこり、異星人の侵略が始まった。ここ数十年は大きな
 事件もなく、防衛軍も平和ボケし始めていたんだが……それはそうと、ここ数年の地球の変化を
 M78星雲の連中も重く見ている。だからウルトラの父が俺達にコンタクトを取ってきたんだよ」

 ウルトラマンが直接地球人にコンタクトしてくる。この一事をとっても、地球人類には一大事だ。
 今までウルトラマンが積極的に地球人と意思疎通を図ってくる事などなかった。一説には、彼らが
地球人と関わる事で、地球人の心にウルトラマンに依存する気持ちが生まれてしまうから、彼らは
積極的なコミュニケーションを避けたのだとも言われている。
 が、それを曲げて彼らの意思を地球人に伝えてきたのだ。この100年の間に、地球人は相当の
信頼を得たと言っていいだろう。

「ウルトラの父はこう言ってきた。地球を愛する同志として、こちらから優秀な戦士達を派遣したい。
 彼らを地球防衛の役に立てて欲しい……とね」
「そ、それは……我々地球人と、ウルトラマンとが手を取り合って戦うという事ですか?」
「ああ、そういう事だ。ウルトラの父は、新たに派遣する4人のウルトラマン達を、地球を護る組織の
 最高のチームで、最高の指揮官に世話して欲しいとも言っていた」
635名無しより愛をこめて
「このディスクには、貴様が指揮する連中のパーソナル・データが収められている。殆どが地球上で
 暮らすためにでっち上げた偽の個人情報だが、全て暗記しておけ」

 ディスクをタナカに手渡すと、アカギ大元帥はまたどっかりとソファに腰掛け、2本目のタバコに火を
つけた。紫煙が立ち上り、換気扇によって続々と屋外へ排出されていく。

「正式な転属命令が出るのと、連中が地球に到着するのは一週間後だ。心の準備をしておきな」

 アカギ大元帥はその言葉をもって会話を打ち切った。
 タナカは、未だに自分の身に起きた出来事を信じきれずにいた。自分の平々凡々な人生からすれば
目も眩むほどの一大サプライズだ。これがドッキリカメラか何かであればまだ気が楽なのだ。
 ともあれ、タナカの運命が急速に加速しだしている事だけは、疑いようもない事実であった。



 ウルトラマンヴァイス。地球人名ミナモト・タケル。
 ウルトラマンヒート。地球人名ナカムラ・アツシ。
 ウルトラマンブライト。地球人名タカヤマ・ジン。
 ウルトラウーマンレイラ。地球人名サエキ・アスカ。
 以上4名が、BEATに新しく創設された特別チームに配属されるM78星雲人達である。
 タナカとアカギ大元帥、そして新チームのスタッフ一同は、M78星雲人達との合流のために、廃棄
されて久しい古い採石場へ集合していた。彼らは体外的には大規模な演習の名目で集まっており、
この採石場ならかなりの広さがあるため違和感を感じられる事もない。
 若きウルトラマン達の到着予定時刻は正午ピッタリのはずだった。
 が、既に予定の時間から30分も経過しているにも関わらず、彼らは現れなかった。