おにゃのこが改造されるシーン 素体7人目

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20ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU
「グギャァァァァ」
突然頭を抱えて苦しみ始める異形の怪物。
茶色と紫の混じった節だらけの体。
両肩や両脇に生える幾つもの歩肢。
ガッと口を開いた異形の顔からは触覚と牙が生えている。
まさにムカデが巨大化し、人間のような手足を備えたと言っていいような怪物。
それが今頭を抱えてもがき苦しんでいる。

「ウアァァァァ」
「キャァァァァ」
その異形な怪物の周りには、一様に黒い全身タイツや黒いレオタードを纏った少年少女がおり、彼らもまた頭を抱えて苦しんでいた。
「あぐうぅぅぅ」
「げぇぇぇ」
次々と倒れて行く少年少女たち。
口からは泡を吹き、白目を剥いている。
生命活動が停止してしまったのは身動きをしなくなってしまったことからも明らかだ。
21ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:41:21 ID:Cyqqij8/0
「こ、これはどういうことだ?」
眼帯に覆われていない方の目を見開き、ムチを持った軍服姿の男が傍らにいた白衣に白いマスクを被った男を問い詰める。
白いマスクの額にはワシが地球をがっちりと掴み取っているマークがついており、彼が秘密結社“ショッカー”の一員であることを示していた。
「わ、わかりません。催眠音波と洗脳波を組み合わせた発信機は問題ないはず」
必死に首を振って自分のせいではないことを訴える白マスクの男。
「では、なぜこんなことになっているのだ!」
軍服をスマートに着こなした男、ゾル大佐のムチが白マスクの男をしたたかに打ちつける。
「お、お許しを、ゾル大佐」
その言葉が終わるか終わらぬかのうちに、異形の怪物と少年少女たちを映し出していたモニターに光が走り、爆発音とともに映像が切れた。
「ムカデラスが爆発しました」
全身を黒い全身タイツに包み、額にショッカーマークの入った黒いマスクを被った男、ショッカーの戦闘員がコンソールから顔を上げ報告する。
「何! ヌウ・・・実験は失敗だ!」
ゾル大佐が忌々しげに歯噛みする。
彼は中近東で華々しい成果を挙げ、ショッカーの首領より日本支部のてこ入れのために派遣されてきたのだ。
だが、彼の自負とかみ合わない最近の日本支部の成果が彼をいらつかせる。
一端は無論裏切り者仮面ライダーの存在であろう。
しかし、それと同様に日本支部構成員の不甲斐無さも感じている。
早々に何とかしなくてはならないだろう。

『ゾル大佐よ』
壁の高い位置に掲げられたショッカーのワシのマークの中心にグリーンのランプが輝き、重厚な声がアジト内に流れてくる。
「は、ははぁ」
雷に打たれたかのように背筋を伸ばし、ゾル大佐はレリーフに向かって一礼した。
『無様だぞ。早々に原因を究明して作戦を進めるのだ!』
「ハハッ」
頬にたれる一筋の汗を感じながら、ゾル大佐は頭を下げるしかなかった。
22ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:42:48 ID:Cyqqij8/0
******

「それで原因はわかったのか?」
数人の白衣に白マスクの男たちを前に、ゾル大佐は腕組みをして立っていた。
その手に持つムチが小刻みに震えている。
すでに彼はこの連中が原因を突き止めていないことはわかりきっていた。
立て続けに三体のムカデラスが同じように洗脳波発信時の不具合で死んでいたのだ。
それなりに素体選びには時間を掛け、肉体的には優秀なものを選んだにもかかわらずである。
「申し訳ございません。もう少し時間を・・・」
うなだれて肩を震わせながら一縷の望みにすがる男たち。
「わからんというのか!」
ゾル大佐の一喝に男たちは震え上がる。
ショッカーに無能な男、役に立たない人間は不要なのだ。
処分という二文字が彼らの脳裏をよぎる。
「お、お許しを・・・もう少し時間をいただければ必ず原因は・・・」
「時間は充分にやったではないか!」
ゾル大佐がムチを振るう。
彼としてはこの三人の無能者どもを処分することは一向に構わないのだが、かといって三人を始末してしまうとせっかくここまで進めた“ムカデラス怪人教室”計画が一からやり直しになってしまう。
どうしたものか・・・
ゾル大佐も思案に暮れた。
23ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:43:55 ID:Cyqqij8/0
「ゾル大佐」
低くしわがれた声が彼の名を呼んだ。
「む? 何者!」
ゾル大佐はアジトの入り口に現れた人影に身構える。
そこにはいつの間に入ってきたのか、高い襟の着いたマントを羽織った背の高い老人がいたのだ。
「ククク・・・久し振りだな」
「タワノビッチ・・・」
ゾル大佐は現れた老人をそう呼んだ。
この老人こそナチスの技術を用いて人間を改造することに長けた人物であり、一般的には死神博士というあだ名のほうが通りがよい。
「貴様がなぜここに?」
不快感もあらわにゾル大佐はムチを握り締める。
「私の意志ではない。首領のご命令なのだ」
かつかつと足音を響かせてイワン・タワノビッチこと死神博士がゾル大佐のそばに来る。
浮かべた笑みがより一層不気味さを際立たせていた。
「首領がだと?」
『そうだ。わしが呼んだのだ』
ウインウインと明滅するランプ。
重厚な声が周囲を圧する。
『ゾル大佐よ。今のままではムカデラス怪人教室作戦は行なえない。よって作戦のためにも死神博士と協力して問題点を修整するのだ』
「は、はあ・・・」
ゾル大佐は面白くない。
しかし、首領の命令とあれば従わざるを得ない。
これというのも・・・
問題点改良の暁には三人の処分を心に決めるゾル大佐。
24ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:45:32 ID:Cyqqij8/0
「それで、どこが問題だというのだ」
「ククク・・・どうやら君の部下は人間をただ改造すればいいと思っているようだ」
ワイングラスとワインを用意させ、一応の歓迎の挨拶を交わした後、ゾル大佐の放った質問に死神博士はそう答えた。
「どういうことだ?」
「適性を欠いた人間を改造しても結果はついてこない。そういうことだ」
ワイングラスを傾け、中の液体をのどに流し込む死神博士。
「適性?」
「その通り。子供をコントロールしようとする改造人間が子供を知らぬ者を改造したのでは上手く行かぬのが当たり前」
「むう・・・」
なるほど一理ある。
今までのムカデラスに改造した連中は協力な肉体をもってはいたが、独身の男性ばかりで子供に対する扱い方を知らないのは当然だろう。
「だが、では誰を改造するのだ? 肉体の盛りを過ぎた既婚男性か」
「既婚である必要はない。子供というものをよく知る者であればいいのだ。それに、こういった任務には肉体的強靭さよりも精神的強靭さを持つ女性の方が向いている」
死神博士がにやりと笑う。
どうやらすでに改造する素体の目星はつけてあるらしい。
面白くもないことだが、ここは任せるのがよいだろう。
何かあっても責任を取るのは死神博士となるのだから。
ゾル大佐はそう結論付け、自分もワイングラスを傾けた。

******

25ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:46:47 ID:Cyqqij8/0
「先生さよーならー」
元気に手を振って校門を出て行く少年少女たち。
一日が無事に終わった喜びを感じるとともに、また明日の子供たちの笑顔を見る楽しみを思いやる。
もっとも、これからの放課後がまた結構仕事があって大変なのだが、そんな憂鬱も子供たちのにこやかな顔を見れば吹き飛んでしまうのだ。
「気を付けて帰るのよ」
多少大げさに大きく手を振って子供たちを送り出す。
その方が子供たちも彼女が自分たちのことをしっかり見てくれていると思うに違いない。
「やれやれ、今日も無事に帰ってくれたか。一段落ですな」
肩の荷を下ろしたと言わんばかりに、自分の肩を揉みほぐす初老の男性教師。
彼にとっては騒がしい子供たちがいなくなったので多少ホッとしているのかもしれない。
「緒川先生、子供たちがまだ見ていますよ。肩をほぐすのは職員室に戻ってからにしてください」
彼女にそう言われた男性教師は、肩をすくめると無言で玄関を後にする。
年とともに初期の情熱を失ったのだろうが、やはり教師としては子供たちに疲れた顔やいやな顔は見せて欲しくない。
彼女はそれだけはしないように自分を戒め、子供たちときちんと向き合う教師でありたいと常に思っていた。
「匂坂(さきさか)先生、そろそろ職員室へ戻りませんか?」
「先に戻っていてください。私はもう少し生徒を見送りますわ」
彼女は振り向きもせずにそう言うと、校門を出て行く子供たちを目で追って、大きく手を振っていた。
26ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:47:33 ID:Cyqqij8/0
モニターに映し出される一人の女性。
まだ若い。
髪を短く刈り揃えて化粧も薄くしかされてはいないが、やはりその若さは彼女をみずみずしく見せている。
「匂坂礼子。年齢24歳。独身。教師歴2年だが、子供の心を掴むことにかけては天性のものを持っている」
「この女をか? どうもみたところパッとしないようだが」
モニターに映し出される礼子の姿に胡散臭そうなまなざしを向けるゾル大佐。
「まあ、そう言うな。これを見ればわかる」
死神博士が手渡した資料にゾル大佐は目を通す。
その表情がすぐに変わった。
「これは本当か?」
「うむ、私も驚いた。まさかこれほど適性が高いとはな」
死神博士がにやりと笑う。
「確かにこれならば改造人間としても問題あるまい・・・いるものなのだな、自分の能力を眠らせたままの人間というものは」
「うむ。手配はすでに終えた。手術の準備も整っている。後はこの女を拉致するだけだ」
ゾル大佐はうなずいた。
拉致ぐらいはやって見せねばな。
彼は指を鳴らして、拉致作戦の開始を告げた。
27ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:48:19 ID:Cyqqij8/0
「今日も遅くなっちゃったな」
校門を出て近くの駅に向かう匂坂礼子。
小学校教師は何かと雑用も多い。
帰りが遅くなるのも日常茶飯事のことだ。
電車通勤である彼女にとって、あまり遅くなるのは好ましいことではない。
最近は少しお金を節約して安い中古車でも買おうかと考えている礼子だった。

住宅街の人通りの少ない道。
駅前に出ればそれなりにはにぎやかなのだが、このあたりは夜ともなると人気がない。
何となく薄気味悪さを感じ、少し足を速める。
いつもはそうではなかったのだが、今日は何となくそう感じたのだった。
「匂坂礼子だな」
前方の暗がりから声をかけられたとき、礼子の心臓は飛び上がった。
その声が全身を真っ黒な全身タイツで覆った男のものであるということに気が付いた時、今度は別の恐怖が礼子の全身を包み込む。
礼子は無言で立ち止まった。
冷や汗が流れる。
何かされるかもしれないという恐怖が、彼女の口を閉ざしていた。
叫び声をあげれば、その瞬間に殺されてしまうようなそんな気がしたのだ。
礼子は一歩二歩あとずさる。
だが、背後にも気配を感じた時、礼子は逃げ場を失ったことを知った。
「一緒に来てもらおう」
「い、いやぁ・・・むぐっ」
初めて叫び声をあげたときには遅かった。
礼子の口はすぐにふさがれ、続いて腹部に受けた衝撃のため、礼子の意識は闇に飲まれていったのだった。

******

28ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:49:05 ID:Cyqqij8/0
礼子が目覚めたのは肌寒さからだった。
ひんやりとした空気が彼女の肌を撫でて行く。
その冷たさに彼女は気が付いたのだった。
「えっ?」
目を開けた礼子は、すぐに起き上がろうとした。
だが、まったく体を動かせないことに気がつく。
どうやら首と両手両足首が固定されてしまっているらしい。
かろうじて左右に動かせた頭で見える視界から、彼女は自分があろうことか裸で何か円形のベッドのようなものに載せられていることを理解した。
「ど、どういうこと? だ、誰か〜! 助けて〜!」
必死に叫ぶ礼子。
しかし、周囲で明滅する機械類以外に彼女に答えるものはない。
「誰か〜! 誰もいないの〜?」
ガチャガチャと両手両足首の戒めを解こうと動かしてみるが、もとより彼女の力ごときでどうにかなるものではなかった。
29ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:50:29 ID:Cyqqij8/0
「目が、覚めたようだな」
突然声がしたことに礼子は驚いた。
薄暗がりで気が付かなかっただけなのか、それともいつの間にか部屋に入ってきていたのだろうか。
すらっとした長身の初老の男が礼子のそばにやってくる。
襟の高いマントを纏い、白のスーツを着こなしている。
見た目には素敵なおじ様といった感じだが、その表情は不気味さを浮かべており、礼子は背筋に冷たいものを感じた。
「あなたは誰? ここはどこなの?」
「私は死神博士と呼ばれておる。そしてここは全世界を支配するショッカーのアジトだ」
そう自己紹介した男性が不気味に笑う。
「ショッカー?」
聞いた事のない組織だ。
今の日本にそんな組織があるというのだろうか?
「これよりお前はこの死神博士の手によって改造手術を受けるのだ。そして、わがショッカーの世界征服の尖兵として生まれ変わることになる」
礼子の視界ににもう一人の男が入ってくる。
いかつい軍服姿の片目の男だ。
口ひげを生やして鋭い目をしている。
まさに百戦錬磨の軍人というのは彼のような男なのかもしれない。
30ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:51:20 ID:Cyqqij8/0
「改造手術? 尖兵?」
いったい何のことなのか礼子にはさっぱりわからない。
軍人にでもさせられるのか?
それよりも今の礼子には切実な問題があった。
彼女が裸であるということ。
胸も性器も丸見えだということだ。
男たちが好色そうな表情を浮かべていないのがせめてもの救いだったが、それでも恥ずかしいのは変わりがない。
「あの・・・どうか上にかけるものを・・・」
礼子はやむを得ずそう言ってみる。
おそらく彼女を捕らえた彼らが彼女を裸にしたのだろうが、今の彼女には選択の余地がないのだ。
「必要ない。五分後にお前に対する改造手術を開始する」
「そ、そんな・・・」
「先ほどお前には改造手術に耐えられるように予備注射を打っておいた。そろそろ効果がでているはずだ」
死神博士がにやっと笑う。
そう言われると、何となく礼子は体が火照るような感じを感じていた。
「始めろ」
ゾル大佐のムチが振り下ろされ、白衣を着た白マスクの男たちが機器に取り付いて操作を始める。
さまざまな色の光線が礼子の体に照射され始め、手術が始まった。
31ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:52:08 ID:Cyqqij8/0
ショッカーの改造手術は基本的には遺伝子変化による動植物との融合と各種薬剤による組織や骨格の強化、それに付随しての機械埋め込みというものである。
つまり、あくまでも生命体としての融合強化が主であり、機械埋め込みはあくまでも補助強化に過ぎないのだ。
一般的に言う機械埋め込みのサイボーグとはここが違うと言っていいだろう。
礼子は遺伝子を変化融合させるための予備注射を受け、体中の細胞が新たなる遺伝子の取り込みを行なえるようになっている。
そこに変異を人為的に進行させるために浴びせかけられる複数の光線の照射。
これによって遺伝子はまったく別のものとなることが可能になるのだ。
「あああ・・・」
体中を走るむずがゆいような心地よさ。
細胞が新しい生命となるために全力で活動を開始する。
それがある種の快感となって礼子の体を駆け巡るのだ。
「ククク・・・」
死神博士が含み笑いを漏らしながら、特殊ケースに入れられたオオムカデを持ってくる。
いつものことだが、この改造手術を行なう時が彼にとっては一番楽しい時なのだ。
「これは、ある原子力発電所が事故を起こした場所で手に入れたオオムカデだ。見たまえ、美しいだろう?」
礼子はぞっとした。
ゲジゲジもムカデも、とにかく足が多いものと足の無いものは大嫌いなのだ。
「いやぁっ!」
「これをお前に移植するのだ。楽しみだろう」
クククと笑いながら、死神博士は特殊ケースにチューブをつなぐ。
液体がケースに流れ始め、オオムカデはその液体に浸される。
するとすぐにオオムカデは苦しみ始め、やがてどろどろに溶けて液体に混じり合っていった。
32ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:52:54 ID:Cyqqij8/0
「うっ」
礼子の顔が苦痛に歪む。
右腕にチューブが突き立てられたのだ。
「い、いやぁっ」
チューブを流れてくる液体。
それはあのオオムカデを溶かした液体が入っているケースからつながれていた。
毒々しい緑色をした液体は、礼子の恐怖をよそに流れ込んでくる。
右腕に軽い痺れを感じそれが徐々に広がって行く。
「いやぁ〜〜!」
礼子は悲鳴を上げる。
この恐怖の表情こそ死神博士が好むものであることをゾル大佐は知っていた。
であるからこそ、予備注射の効果がでるまで待たざるを得ないとはいえ、わざわざ礼子が意識を回復するのを待ったのだ。
「ふん・・・」
面白くも無さそうに鼻を鳴らすゾル大佐。
改造さえすめばいいのだ。
ゾル大佐は黙って死神博士の後ろ姿を見つめていた。
33ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:53:40 ID:Cyqqij8/0
「あああ・・・」
礼子の体に変化が訪れる。
体中が心地よい火照りに包まれ、じわじわと快楽が高まってくるのだ。
まるで体中を優しく愛撫されているような感じが包み、気持ちがよい。
「な、何で・・・」
「ククク・・・気持ちいいだろう。お前の体は今新たなる生命体への変化を行なっているのだ」
死神博士の言うとおりだった。
礼子の体は徐々に茶褐色を帯び始め、硬い外骨格へと皮膚が変化して行っている。
「あああ・・・うそ・・・うそでしょ・・・」
気持ちよくて体に力が入らない。
まるで宙に浮いているような心地よさだ。
礼子はただただこの快楽に包まれていたかった。
何も考えずに水の中にたゆたう感じ。
それは彼女を再び子宮の中に呼び戻しているのだった。
34ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:54:26 ID:Cyqqij8/0
礼子の体はやがて劇的に変化を始めた。
体表が硬くなり、体節が形作られ、体の両脇に歩肢がにょきにょきと生えて行く。
虚ろな目をした礼子はもはや何も考えられず、黙って体の変化を受け入れて行くしかない。
やがて首から下は完全にムカデと人間が融合したような姿と化した。
茶褐色の体表は硬い外骨格に覆われ、幾つもの節が作られた。
肩から両脇、そして太ももに至るまでの体の横側には、小さなムカデの歩肢がいくつも生えてワサワサと動いている。
両手の先は鉤型の爪が生え、鋭い武器になっている。
両脚はつま先から指が消え、踵は少しとがって伸びてハイヒール状に変化する。
礼子の頭部にも変化が起こる。
額にはくの字型の触角が生え、肩まであったつややかな髪は一つにまとまって背中に伸び、そこで節々が形作られてムカデの体のようになる。
つまり、礼子の頭からはもう一匹のムカデが背中にへばりついたように見えるのだ。
だが、それなりに美しかった礼子の顔はほとんど変化が無かった。
切れ長の目も整った鼻も笑みを浮かべると美しい口元も、ほとんど以前と変わりない。
これは彼女の体がムカデと融合したにもかかわらず、そのシルエット的には女性のラインを維持しており、腰のくびれも胸の膨らみも柔らかい女性のままだったことと合わせて、彼女を異形でありながらも美しく見せていた。
35ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:55:12 ID:Cyqqij8/0
「よし、遺伝子変化と融合は上出来だ。これより補助器官の埋め込みを始める」
死神博士が重々しく宣言し、助手たちに補助心臓や洗脳波発生器などの機械部品を用意させる。
ムカデの改造人間となった礼子の腕からチューブを抜き、代わりに麻酔を注射して礼子の痛覚を遮断する。
死神博士の手にしたメスが光り、ムカデと融合してしまった礼子の腹部を切り裂いた。
毒々しい緑色になった礼子の血が流れ落ちる。
それをものともせずに手早く機械を埋め込んで行く死神博士。
その手腕はやはり神業だ。
わずか数分で補助器官は全て礼子に埋め込まれ、メスで切り裂いた箇所も接着されて細胞同士を結合させる。
傷跡もまったく残らず、手術をしたことすらわからないだろう。
「肉体は終了だ。これより脳改造に取り掛かる」
汗を拭いメスを置く死神博士。
円形の手術台に横たわった礼子はショッカーによってムカデと人間の改造人間になってしまったのだった。
36ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:56:24 ID:Cyqqij8/0
ショッカーの脳改造は洗脳と機械的コントロールチップ埋め込みの混合である。
死神博士は白マスクの男に命じ、埋め込み用のチップを持ってこさせ、その間にリング状の装置をムカデ女となった礼子の頭部に取り付ける。
ぼんやりと虚ろに宙を見ていた礼子は、まったく反応することなくなすがままになっていた。
やがて手渡されたチップを死神博士は礼子の頭部に埋め込むと、洗脳装置のスイッチを入れる。
「んあ・・・」
ピクッと体を震わせる礼子。
その脳裏にショッカーの思考が刷り込まれていく。
「あ・・・ああ・・・」
礼子の意識が書き換えられていく。
人間匂坂礼子ではなく、ショッカーの改造人間としての思考に書き換えられるのだ。
一時的な脳の処理能力の過負荷により、礼子は意識を失ってしまう。
それでも構わずに思考の書き換えは進められ、やがて全てが終了した。
37ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:57:16 ID:Cyqqij8/0
ゆっくりと目覚めるムカデの改造人間。
オリジナルのシルエットをそのままとどめた女性らしい改造人間だ。
茶褐色の体節に覆われたとはいえ、胸の膨らみもお尻の丸さも柔らかいラインをとどめている。
「アフアフアフー」
ムカデの改造人間は一声うなると手術台上で上半身を起こし、しばらく自分の腕や体を眺めていたが、やがてゆっくりと手術台から下りて立ち上がった。
「目覚めたようだなムカデラスよ。いや、お前は女だからムカデリアと言ったところか」
死神博士が不気味な笑みを浮かべ、新たなる自己の芸術品の前に立つ。
「アフアフー・・・ムカ・・・デリア・・・それが私の名前?」
目の前にいる男たちに確認するようにつぶやく礼子、いやムカデリア。
「そうだ。お前はわがショッカーの改造人間ムカデリアなのだ」
ゾル大佐も満足そうにうなずいた。
なるほど死神博士の腕前は一級品だ。
これほど美しい改造人間も例を見ないだろう。
「アフアフー・・・私はムカデリア・・・うふふ・・・私はムカデリア・・・」
ムカデリアの顔に妖しい笑みが浮かぶ。
「ムカデリアよ。ショッカーに忠誠を誓え。そしてムカデリア怪人教室を開くのだ」
「アフアフアフー・・・はい、ゾル大佐。私はショッカーの改造人間ムカデリア。これよりは私の全てをショッカーに捧げ、ショッカーに尽くすことを誓います」
ムカデリアは恭しくワシのレリーフに向かって一礼する。
『うむ、ムカデリアよ、作戦に取り掛かるがよい』
「アフアフー、かしこまりました。ムカデリア怪人教室をこれより開催いたします。うふふふ・・・」
ムカデリアの浮かべた笑みは、かつての慈愛に満ちた女性教師のものとはまったく違うものだった。

******
38ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:58:04 ID:Cyqqij8/0
「さようならー」
「またねー」
「また明日ー」
それぞれの自宅に向かって歩き始める少女たち。
その中の一人天城美奈子も自宅への帰途に着く。
学校が終わった開放感に包まれるとともに、友人と別れる一抹の寂しさも感じてしまう放課後。
でも、そんな思いはすぐに消え去り、おやつと母親の待つ自宅への道に思わずスキップしてしまう。
今日のおやつは何かなぁ・・・
昨日はドーナツだった。
今日はプリンがいいなぁ・・・
そんなことを考えながら歩いていると、自然と足取りも軽くなったのだ。
そういえば今日も匂坂先生はお休みだった・・・
優しい匂坂先生がいないのはとても寂しい。
風邪でも引いたのだろうか?
代わりの大橋先生は口やかましいから嫌い。
早く匂坂先生が戻ってきて欲しいなぁ。
美奈子はそう思う。
39ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 20:59:26 ID:Cyqqij8/0
やがて道は雑木林に続く小道となる。
このあたりは新興住宅地であり、まだまだ空き地や雑木林も多い。
大きな通りもあるのだが、自宅への近道となるこの林の中の小道を美奈子はいつも使っていた。
『アフアフアフー』
突然奇妙な声が聞こえてくる。
「な、何?」
美奈子は驚いた。
静かな林でこんな声が聞こえたのは初めてだったのだ。
「アフアフー、うふふ・・・こんにちは天城さん」
林の木陰から姿を現す人影。
「えっ?」
それは茶褐色の節々に覆われた体をして、両脇に小さなムカデの足をたくさん生やしたムカデのお化けだったのだ。
しかし、そのムカデのお化けは匂坂先生の顔をしてにこやかに笑いかけている。
美奈子は戸惑った。
「さ、匂坂先生?」
「アフアフー、ええ、あなたたちの担任よ」
林の中に立っているムカデのお化けが優しい声で答える。
「先生? どうしてそんな格好をしているの?」
美奈子はそれが一番気になったのだ。
どうしてそんな姿なのかがわかれば、怖がったりしなくていいかもしれないのだ。
「アフアフー、私はショッカーによって生まれ変わったのよ。今の私は匂坂礼子ではなくショッカーの改造人間ムカデリア。そして天城美奈子、あなたは私のムカデリア怪人教室の新入生になるのよ」
40ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2007/05/20(日) 21:00:30 ID:Cyqqij8/0
「ええっ?」
美奈子は驚いた。
あの匂坂先生がどうなってしまったのだろう?
あまりのことに美奈子はとにかくこの場を離れようとする。
だが、振り向いた美奈子の前には全身を黒いタイツのような衣装に包んだ男たちが現れて、その行く手をふさいでしまった。
「キャーッ!」
美奈子は思わず大声で叫び、逃げ出そうと走り出した。
しかし、男たちの手であっという間につかまってしまい、ムカデのお化けの前に連れてこられてしまう。
「アフアフー、心配は要らないわ。すぐにあなたはジュニアショッカーの一員になるのよ」
黒尽くめの男に抱きかかえられた美奈子の目の前で、ムカデのお化けの両脇に生えたムカデの足が小刻みに震え始める。
キーンという耳鳴りがして、美奈子は顔をしかめた。

しかし、耳鳴りはだんだん気にならなくなってくる。
それどころか美奈子はだんだん気持ちよくなって、何も考えられなくなっていく。
「あれ・・・私・・・」
「アフアフー、うふふ・・・さあいらっしゃい。あなたは今日からムカデリア怪人教室の一員よ」
「はい・・・」
ムカデリアの言葉に虚ろにうなずく美奈子。
下ろされた美奈子はもはや逃げようともせずにムカデリアに向かい合う。
「アフアフー、さあ、教室へ行ったらこれに着替えなさい」
美奈子は手渡された衣装を見る。
それは体操の選手が着るような黒いレオタードだった。
「アフアフー、それはジュニアショッカー女子の制服よ。それを着て私の授業を受けるの。そうすればあなたは偉大なるショッカーの女戦闘員となれるわ」
「はい、ムカデリア様」
美奈子は嬉しそうにレオタードを握り締めると、ムカデリアの後について林の中に姿を消した。
未来の女戦闘員となるために・・・