仮面ライダーバトルロワイアル Part4

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1名無しより愛をこめて
ある者は誰かの為の贖罪を。
ある者は不老不死の悲願を。
そしてある者は己の正義を。

互いの信念、願いを賭けて争うライダー、怪人、そして何の力も持たない人間達―――

―――その結末は、遥かに遠い霧の中。

まとめサイト
http://home.att.ne.jp/kiwi/verde/brindex.htm
ライダーロワ用したらば掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9061/

前々スレ:仮面ライダーバトルロワイヤル2
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1170712594
前スレ:仮面ライダーバトルロワイヤル3
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1173979663
避難所:試験投下、修正など書き手がメインに使う場所
http://yy47.60.kg/test/read.cgi/sfxjirou/1168665692/
仮面ライダーバトルロワイアル総合スレ
感想、毒吐き、キャラ紹介、荒れそう(叩かれそう)な話題等、書き手読み手の総合交流所
http://yy47.60.kg/test/read.cgi/sfxjirou/1169859703/

2chパロロワ事典@wiki
http://www11.atwiki.jp/row/
2名無しより愛をこめて:2007/05/09(水) 20:30:09 ID:B1NTiAeV0
―――不幸にして幸運なる参加者達をここに記す。

【555】3/5
○乾巧/○草加雅人/●園田真理/○影山冴子/●北崎
【カブト】4/5
○天道総司/●加賀美新/○日下部ひより/○矢車想/○神代剣
【ブレイド】3/5
●剣崎一真/○橘朔也/○上条睦月/○キング/●伊坂
【龍騎】4/5
○城戸真司/○秋山蓮/○北岡秀一/○浅倉威/●佐野満
【アギト】5/5
○津上翔一/○氷川誠/○小沢澄子○/木野薫○/水のエル
【RX】5/5
○南光太郎/○霞のジョー/○シャドームーン/○グランザイラス/○ジャーク将軍
【響鬼】3/5
○日高仁志/●佐伯栄/●財津原蔵王丸/○安達明日夢/○天美あきら
【ZO&J】3/5
○麻生勝/●瀬川耕司/●望月博士/○ガライ/○ドラス
【ストロンガー】2/5
○城茂/●岬ユリ子/●立花藤兵衛/○ジェネラルシャドウ/●マシーン大元帥
【V3】2/5
●風見志郎/○結城丈二/●珠純子/○ドクトルG/●ヨロイ元帥
【ジョーカー】
○相川始/○リュウガ

残り―――36名
3名無しより愛をこめて:2007/05/09(水) 20:31:03 ID:B1NTiAeV0
ルールは唯一にして絶対―――自分以外は全て敵である。皆殺しにしろ。

【能力の制限について】
超人的なプレイヤーは能力を制限される。 また、超技術の武器についても同様である。
※体術や技術、身体的な能力について:原作でどんなに強くても、現実のスペシャリストレベルまで能力を落とす。
※魔法や超能力等の超常的な能力と超技術の武器について:効果や破壊力を対個人兵器のレベルまで落とす。
不死身もしくはそれに類する能力について:不死身→致命傷を受けにくい、超回復→高い治癒能力
変身制限時間は10分。解除後2時間変身不可。(オルフェノク・上級アンデッドを含む)
トレーラー以外の乗り物は全て使用不可。一般の車などは可。
リモートによる復活は10分のみ。その後カードに戻る。
ディスクアニマルの活動範囲は半径100mまで。
契約モンスターの活動時間は1分。その後2時間は使用不可。
神崎の目的は優勝者の命を捧げての妹の復活(描写あると良いかも)
首輪により能力が制限(別記参照)されている。
変身アイテムの支給は本人以外不可。物理的に可能ならば、一般人が既存の変身アイテムを使うことは可能
(例/明日夢がカイザ等)

【首輪と禁止エリア】
参加者は全員、神崎によって首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、その参加者は死ぬ。
この首輪は参加者の生死を常に判断し、神崎に参加者の生死と現在位置のデータを送っている。
また、参加者には説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は全て筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。
・定期放送で指定した禁止エリア内に、参加者が入ったとき。(首輪が自動で爆発)
・首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
・一週間で、一人も死者が出なかったとき。(全員の首輪が一斉に自動で爆発)
・参加者が、神崎に不利益な行動をとろうとしたとき(神崎本人がスイッチを押すことで、手動の爆発が可能)

【放送】
放送は6時間ごとに行われる。
放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」 禁止エリアは一度の放送で3区画ずつ(2時間ごとに1区画ずつ)増えていく。
4名無しより愛をこめて:2007/05/09(水) 20:31:42 ID:B1NTiAeV0
最後に、このスレについての基本的なルールを告げる。

第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)

―――以上だ。さあ、語るべき言葉を持つ者は書き連ね、持たぬ者は読み進めるがいい。
―――それのみが、この冷酷な世界を動かす力なのだから。


5 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/09(水) 20:56:25 ID:LPssAseO0
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9061/1177078434/26-32

すいません、規制に引っかかってしまいました。
上記を代理投下お願いできないでしょうか?

>>1乙です!
変わりに立ててくれて感謝します!!
6名無しより愛をこめて:2007/05/09(水) 21:08:42 ID:aHjJi/ps0
>>1
乙!
書き手のルールも投下する?
7魔王 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/09(水) 21:17:41 ID:LPssAseO0
無事、投下終了しました。
途中の支援、及びスレ立て感謝します。

誤字、展開の矛盾の指摘をお願いします。

ぎりぎり投下できました……
8名無しより愛をこめて:2007/05/10(木) 22:49:43 ID:b7Ngivls0
―――これは、物語を記す者の為のルールである。

・予約(仮)
 キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
期間:予約当日から1週間。予約期間後は、他の人が投下してもOKです。
途中報告:2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回、進行を報告してください。
予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
また、ひとりリレーを防ぐため、投下した書き手は投下終了から二十四時間一切予約禁止、
投下作品に出たキャラは更に百二十時間禁止
・トリップ
 投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 書き手は必ずトリップをつけてください。
・投下宣言
 投稿段階で被るのを防ぐため、投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
  いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
・キャラクターの参加時間軸
 このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
 最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
・ステータス
 投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。
 テンプレは↓

【キャラクター名】
【○○日目 現時刻】
【現在地】
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
 複数可、書くときは優先順位の高い順に)
9 ◆AppnCvvfGU :2007/05/11(金) 00:08:12 ID:QtCVEac70
TJ9qoWuqvA氏いつもながらGJ!!
堪能させていただきました!!

キャラ紹介リクのあきら、明日夢、ついでにヒビキさん今書いてるんですが
ちょいと仕事が立て込んでて投下遅くなりそうだ。申し訳ない…orz
がんばります。
10名無しより愛をこめて:2007/05/11(金) 08:35:06 ID:8id38iZmO
>>9
楽しみです。
11名無しより愛をこめて:2007/05/11(金) 22:16:24 ID:H2aR1a3h0
>彼が参加者として選んだ、太陽の子と名乗る男が滅ぼした世界の一部だと気がついた。

まーたーおーまーえーかーw
12 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/11(金) 23:26:17 ID:TF1Xm+KQ0
私の予約期限ではありますが、思ったより量が多くなってしまい、現在7割程度です。
本当に申し訳ありませんが、あと1日、お時間をいただけませんでしょうか?
よろしくお願いします。。。
13名無しより愛をこめて:2007/05/11(金) 23:35:40 ID:ycZJQbW10
もちろんOKですよ
14名無しより愛をこめて:2007/05/12(土) 01:11:39 ID:b75J0vTkO
悪気はないとわかってはいるが、光太郎の行動は裏目ばっかだなw

草加をあっさり信用したり、ガタックゼクターを敵と勘違いして脱出の鍵のハイパーゼクターが天道に渡るのを阻止したり。

…てか、そろそろ真剣にカッコいい光太郎見たいわ。
加賀美や橘さんでさえ痺れるほどカッコいいというのに…
15名無しより愛をこめて:2007/05/12(土) 01:33:17 ID:DBS1VAY4O
>加賀美
確かに痺れた。何度見てもイイな、フルフォースは。
個人的ベストバウト!
>橘さん
いつかバーニングディバイドを拝みたいもんだ。
今この活躍っぷりじゃ今後はどれだけカッコ良くなるんだ…

光太郎もロボ、バイオがあるし…これからに期待だなw
16名無しより愛をこめて:2007/05/12(土) 19:14:30 ID:vGN+dXPfO
今、投下待ってる間の暇つぶしにTSUTAYAで2百円で売ってたアギトの劇場版見てるんだけど、小沢真珠が今と全く変わってない事に驚いた。
17名無しより愛をこめて:2007/05/12(土) 20:47:57 ID:ZYxw7q9pO
数年後にオルタナティブと親子やったり夫婦やったりするのも不思議な巡り会わせだな
18 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:01:26 ID:XSRGxKy00
延長の上に超過して、本当にすいませんでした。
ようやく書きあがりましたので、投下いたします。
おとなしく、2SSにしておけばよかったかなorz
19赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:02:45 ID:XSRGxKy00
 鬱蒼と茂った樹海の麓にある白い研究所。その入り口に立つ男がひとり。
 いや、男と呼ぶには少々躊躇われる容姿を彼はしていた。
 赤い宝石のような艶をもつ眼に、物を噛み砕くのに適した強靭な牙。前頭部からは長い触覚が伸び、さながら昆虫のようなフォルムを形作っていた。
 肩と足からは敵を威嚇するかのような棘を生やし、くすんだ鋼のような色をした身体は、その見た目通りに硬質的ながらも生物の柔軟性も備えている。
 そうそれは男と呼ぶより、怪物と呼ばれるのに相応しい容姿をしていた。
 ひとりの人間が究極の生命体を目指し、創造したその怪物の名前はドラスといった。
(お兄ちゃん、今行くよ……)
 研究所のドアを開け、ドラスは中へと入る。
 ドラスがここを訪ねた目的は、ここで休息を取っているであろう麻生勝――ZOを吸収すること。
 同じ創造主の手によって生まれた麻生を吸収することでドラスは一歩神に近づくことができる。
 歩みを進めていく度に、ドラスは気分が高揚していくのを感じていた。尻尾がその起伏を表すかのように自然と蠢く。
(人間なら、差し詰め、恋人に愛を告白しにいこうってシチュエーションかな?)
 目的を果たすために、待ち焦がれていた相手に会うことができる。ドラスの例えは言い得て妙であった。
 やがて、ドラスはある部屋の前で足を止める。
(ここにいるね)
 麻生はこの部屋にいる。なんの根拠もなかったが、ドラスの本能は既に確信を得ていた。
 ドラスはドアのノブに手を掛け、ゆっくりとノブを押した。
20赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:06:03 ID:z1doh2030
「トワァァァ!」
 ドアを開けた瞬間、ドラスに向かって、蹴りの一撃が放たれる。
 ドラスは紙一重でそれを避けると、その一撃の主に向かって、体当たりをかけた。
 よろめいた隙を狙って、ドラスは後方へと下がり、襲撃者との間合いを取る。そして、その姿を確認した。
 黒いアンダースーツに緑色のラインが入った銀色の装甲。赤い複眼を持つその顔からはバッタをモチーフとしていることがわかる。
「やはり来たか、ドラス!」
(お兄ちゃんの声。そうか、それが闇を切り裂くっていうキックホッパーだね)
 その襲撃者から発せられた麻生の声に、ドラスは彼がホッパーゼクターの力によって変身した仮面ライダー、キックホッパーだと理解した。
 同時にドラスは麻生の意図も理解する。
(これじゃあ、お兄ちゃんを取り込むことはできないね)
 ZOへの変身は麻生自身の身体が変化したものだが、キックホッパーへの変身は麻生がスーツを身に纏ったもの。
 取り込もうとしても、キックホッパーの装甲は、堅固な鎧となり麻生の身を守るだろう。
(仕方ない。作戦通り、時間切れを狙うしかないか)
 ドラスの戦略は決まる。一定の間合いをとっての遠距離攻撃。
 首輪によって変身していられる時間が制限されていることはわかっている。キックホッパーだけ例外ということはないだろう。
 ドラスは踵を返すと、ドアを開き、その場からの逃走を試みた。
「逃がすか!」
 部屋を出たドラスをキックホッパーは追う。
(逃がさない。奴はここで倒す)
 麻生はドラスが来ることを予期していた。
 ドラスの目的のひとつは自分を吸収すること。ひとりになれば必ず襲いかかってくると思っていた。
 まだ、マシーン大元帥との戦いで受けた傷は完全に癒えておらず、体調は万全とはいえない。
 だが、ここで決着を着けておかなければ、いずれ誰かを巻き込んでしまうかも知らない。
 もう誰も犠牲者は出させない。
21赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:06:33 ID:z1doh2030
「トォ!」
 強化された両足で、地面を蹴る。加速を受けた身体は宙を翔け、ドラスの前方へと回り込んだ。
 逃げられないことを悟ったのか、ドラスは己のディパックより先端がジグザグという奇妙な刀身をした剣を取り出す。
 キックホッパーもそれに合わせて、構えをとる。
「グァァァァッ」
 先に動いたのはドラスだった。剣を振り上げ、上段から振り下ろす。だが、遅い。
 キックホッパーはそれを避けると、一気に間合いを詰め、ドラスへと拳を打ち込む。
 一発、二発、三発。間合いを広げぬよう拳を打ち込むと同時に前へ前へと進む。
 四発、五発、六発。そして、七発目を打ち込もうとしたとき、突如、キックホッパーの顔面を打撃が襲った。
(これは……尻尾か!)
 ドラスの背中から長く伸びた尻尾が、キックホッパーの顔面をはたく。一瞬、キックホッパーの視界からドラスが外れた。
その隙を狙い、ドラスは剣を水平に構えると、キックホッパーの胸を突く。
 鋼鉄をも切断するその剣は、キックホッパーの装甲を貫き、彼の生身の部分へと迫った。鋭き刃が皮膚を裂き、続けて、肉の味を知ろうとなおも進んでいく。
「ぐっ、させるか!」
キックホッパーは剣の鍔部分を狙って、蹴りを放つ。そして、その勢いを利用して、後方へと飛んだ。
身体から抜き放たれる剣。しかし、その代償は少なくなかった。
 ジグザグになった刀身を持つその剣は、抜き放たれるときに、周りの肉を抉り取り、キックホッパーの鮮血と肉と装甲を飛び散らした。決して傷は浅くない。
 そして、キックホッパーとドラスとの間合いがまた開いてしまっている。
(俺に飛び道具はない。だが、奴には)
 ドラスは再びディパックの中から道具を取り出していた。小型ながらも強力な威力と連射性能を持つ銃。その威力は前回の戦いで実証済みだ。
 案の定、ドラスはそれを構えるとこちらに向かって、引き金を引いた。
 乾いた音が鳴り、無数の銃弾がキックホッパーに降り注ぐ。避けようにも狭い通路に身を隠せる場所はなく、弾き返そうにも、この数ではとても間に合わない。
22赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:07:29 ID:z1doh2030
(そうだ!)
 キックホッパーの脳裏に、マシーン大元帥との戦闘がフラッシュバックする。
 自分に放たれるはずが、真理に向かって放たれた凶弾。そのとき、自分がとった行動は……
「クロックアップ!」

―Clock Up―

 腰のスイッチをスライドさせると、ホッパーゼクターから音声が鳴る。すると、キックホッパーの世界は一変した。
 先程まで捉えるのも困難だった無数の銃弾が、ひとつひとつ視認できるほどの速度にまで落ち、ドラスのわずかな表情の移り変わりもわかるようになる。
 最も人間が他の動物の表情からその感情がわからないように、キックホッパーにはドラスの感情などわかる由もないが。
 キックホッパーは銃弾を全て弾き落とす。そして、再び自分の間合いに戻すため、ドラスへと突撃した。

―Clock Over―

 クロックアップの効果が切れ、世界が正常な時間の流れを取り戻す。
 だが、自分の間合いに戻すには充分だった。既にドラスは間合いの中だ。
 キックホッパーは手刀で銃を叩き落とすと、続けて、拳を頭部へと叩きこむ。再びドラスが尻尾を繰り出してくるが、同じ手は食わない。
 逆に尻尾を掴むと、それを力ずくで引っ張り、浮いたドラスの身体を壁へと叩きつける。
 2度、3度と、何度も何度も壁がへこむまで叩きつける。
「グァァァァ」
 溜まらず悲鳴を上げるドラス。しかし、それでも攻撃の手を緩めるつもりはない。
(ここで、ここでドラスにとどめをさす!)
 真理を失った悲しみ。救えなかった自分への悔やみ。殺し合いに乗った闇への怒り。全ての感情を力に変えて、ドラスへと叩き込む。
「トワァ」
 幾度となく壁に叩きつけられ、ぐったりとしたドラスを放り投げた。
(止めのライダーキックだ)
23赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:08:28 ID:z1doh2030
 キックホッパーはホッパーゼクターへと手をかける。キックホッパーがホッパーゼクターのレバーを上げようとしたとき、子供と機械の無機質な声が混じりあったような声がした。
「オニイ……チャン、オコッテルン……ダ…ネ」
 声を発したのはドラスだった。よろめきながらも、なんとか立ち上がろうとしている。
「ナン……デ、ソンナニ…オコッテイル……ノカナ?ヒョットシテ…………オネエチャンノコトカナ」
 相変わらず表情からドラスの感情は読み取れない。だが、声からはわかる。その声には確かにこちらを侮蔑するかのごとき、ニュアンスが含まれている。
(何を言うつもりだ?……まさか!)
「オネエチャンヲ……『灰』ニシタノハ……ボクダヨ」
「!、………貴様ァ!」
 実際に灰にしたのはオルフェノクである影山冴子であるが、その言葉はキックホッパーに絶大なる効果を表した。
 一瞬にして、キックホッパーの心が怒り一色に染まる。体中の血液が沸騰し、自然と拳が強く握られる。
「ドラス!」
 ホッパーゼクターの脚部、レバーとなった箇所を跳ね上げる。

―Rider Jump―

 一瞬にして脚にエネルギーがチャージされる。その力で地面を蹴り、宙を舞う。続いて、レバーを下げると破壊エネルギーが怒りと共に左脚へと宿った。

―Rider Kick―

 怒りを込めた渾身の蹴り。これが決まれば、ドラスといえども破壊は免れない。だが、破壊されたのはドラスではなかった。
 破壊されたのは……
「うぉぉぉっ」
 破壊されたのはキックホッパーの脚だった。左脚に装備されたアンカージャッキはへし折れ、緑色の装甲は吹き飛び、生身の脚を露出させている。そして、露出された脚は焼け焦げていた。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
「い、一体何が」
 キックホッパーは破壊された瞬間を思い出す。キックホッパーがライダーキックを放った瞬間、ドラスは何かを投げたのだ。
24赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:10:16 ID:z1doh2030
(あれは……首輪か)
 そうドラスが投げたのは、キックホッパーたちが首につけている首輪だった。強力なエネルギーがこもったライダーキックは首輪に当たると一瞬の内に首輪を破壊した。だが、それが命取りだった。
 強力な力で破壊された首輪はその瞬間爆発した。爆発自体は小規模のものだったが、その威力は凄まじく、キックホッパーの装甲を破り、麻生の脚へと致命的な傷を与えた。
唯一、幸いといえるのは脚が吹き飛ばなかったことぐらいだろう。
「くっ、貴様」
 追撃がくる。キックホッパーは壁を背にどうにか立ち上がる。自分もダメージを受けたが、それはドラスも同様。まだ戦える。
 そう思い、キックホッパーは構えを取る。だが、ドラスはディパックをとると背を向ける。
(逃げようというのか?)
 これ以上戦っても無駄だと判断したのだろう。この戦いは痛み分けにして、次に繋げる。それは懸命な判断といえた。
「待て、ドラス!」
 しかし、キックホッパーは逃がすつもりはなかった。
(ここで逃がしてしまっては、また、新たな犠牲者が出ないとも限らない。真理ちゃんのように)
「うぉぉぉぉぉ!」
 気合を込めて、キックホッパーは両の脚で立つ。だが、やはり脚には激痛がはしる。このままではドラスを追うことは出来ない。
(ならば!)
キックホッパーはホッパーゼクターに手をかけると、ベルトから引き抜き、変身を解除した。たちまちキックホッパーから麻生の姿へと戻る。
 そして、すかさず、もうひとつの姿への変身の構えをとった。
「変身」
 麻生の呼びかけに応え、光を放ちながら、身体の細胞が人間から別の生命体への変化を始める。
 肌の色は肌色から緑へ。その眼は黒から赤へ。だが、心は変わらず、白のままで。
 やがて光は収まり、変身が完了する。ドラスの試作体ともいえる姿をしながらも、人の心を持ち続ける生命体。仮面ライダーZO。
 ZO口からクラッシャーと呼ばれる牙が飛び出し、後頭部に空いた気泡から、空気が排出される。ZOが能力の全てを開放した証だ。
 ZOは地面を蹴り、ドラスへと飛び掛かっていった。
25赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:11:20 ID:z1doh2030
 防御を固めようとするドラスの腕を取ると、チョップで破壊し、そのままキックで脚を砕いた。
(思った通りだ)
 キックホッパーと違い、ZOは麻生自身が変化した姿だ。変身することで、麻生の肉体は根本から強化される。ZOの左脚は全快とまではいかないが、歩けるぐらいには回復、強化されていた。
ドラスに吸収される危険性はあるが、もう二度と同じ愚は繰り返さない。
 ZOはドラスを圧倒する。お互いに満身創痍ではあったが、それならば相手より、より有利になる要素を持つ者が勝つ。
「ツヨイネ……オ…ニ…イ…チャン」
 ZOは物が投げられぬようドラスの両腕を破壊し、満足に動けぬよう両足を粉砕、不意打ちが出来ぬよう尻尾も切り取った。
 これでもうドラスは抵抗することが出来ない。剣も銃も握れず、尻尾も扱えない。唯一、レーザーを放つ可能性はあるが、恐らくそれは無理だろう。
 以前、ドラスと戦ったとき、ドラスは自分の変身が解けたのにも関わらず、止めをさすことができなかった。
 恐らくドラスにも首輪の制限というものが掛かっているはずだ。戦い始めて、以前に自分の変身が解けた以上の時間は既に経っている。
(レーザー……?)
 一瞬、ZOは何らかの違和感を覚えた。だが、その思考をドラスの声が遮る。
「デモ……ヒドイ…ヨ………バラバラニスルナンテ……イマノ…オニイチャンノスガタヲ………オネエチャンガミタラ……」
「うるさい!」
 もう挑発には惑わされない。冷静に、そして、確実にキックを決めるだけだ。
 ZOは飛び、キックの体勢に入る。一度、振り上げられた振り子が戻ってくるかのような軌道を描きながら、ZOのライダーキックは放たれた。
 それがドラスの頭部へと命中すると同時に、ZOは数度の細かな蹴りを叩き込む。
 足など、そこに留まる術のないドラスの身体は、ZOに蹴られ、長い通路を吹き飛んでいった。
 長い静寂の後、壁にぶつかる大きな音、それとほぼ同時に爆発音が響き、続いて、瓦礫が落ちる音が聞こえた。
「やったか」
 ZOはドラスの生死を確認するため、瓦礫へと駆け寄る。ドラスの亡骸はその瓦礫に埋もれていた。キックの衝撃のためか、既に頭部もなく、胸部のみが残されていた。
(……これでドラスの手によって犠牲者が出ることはもうない)
26赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:12:26 ID:z1doh2030
 安堵すると同時に、激戦の疲れが襲ってくる。思わずZOは膝を突く。同時に左足に激痛が走った。
(よくこんな傷で戦えたものだ。早く手当てをしないと)
 ZOは壁を伝いながら、自分が休んでいた場所、医務室を目指した。
 程なくして、医務室に辿り着き、腰を下ろす。そして、手当てのためにZOへの変身を解いた。その瞬間、背中を衝撃が襲った。
「………!、ぐはっ」
 その衝撃は麻生の背中を焼き、口から鮮血を吐かせる。
 一体何が?
 麻生は後ろを振り向くと、信じられない者を目撃した。
「ド、ドラス!」
 そこにはドラスが胴体だけの状態で浮いていた。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
 耳障りな独特の笑い声を頭がないというのにドラスは上げる。
「な、何故?」
 問う麻生に、身体を輝かせ、ドラスは再びレーザーを放つ。
「ぐわぁぁっ」
 右腕に続いて、左腕、その次は右足。先程のお返しとばかりにドラスは麻生の四肢を焼いていく。
(そ、そうか。わかったぞ)
 麻生は先程感じた違和感の正体に気付いた。
麻生は四肢を潰されたというのにドラスがレーザーを使わなかったのを麻生は首輪の制限を受けている根拠にしていたが、ドラスは戦いの最中、一回もレーザーを使っていない。
 それだけではない。ドラスは自分自身の力では一切戦おうとしておらず、剣と銃での攻撃に終始していた。
 つまり、ドラスはキックホッパー、ZOを相手にしながら、一回も制限を受ける能力は使っていないのだ。
 能力を使ったのはZOキックを受ける直前から。キックには切り離した頭部を命中させ、浮遊能力で吹っ飛んだように見せかける。
 そして、レーザーで壁を破壊し、さもキックの威力で壊れたかのように見せかけた。
(今思えば、ドラスにしてはあまりにも弱すぎた)
 麻生はドラスの策略に自分が嵌ったことを知る。同時に今の状況がどれだけ絶望的なものなのかも。
(すまない。ヒビキさん、冴子さん、……真理ちゃん)
 絶望的な状況の中、麻生はドラスに向かっていった。
27赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:13:21 ID:z1doh2030
(3分か。結構もったね。さすがお兄ちゃん。あやうく制限時間を切るところだったよ)
 胸部のみとなったドラスの前には、麻生が横たわっていた。
 レーザーによって、身体のあらゆる部分が貫かれ、焼かれている。呼吸も浅く、ぴくりとも動かない。
(お兄ちゃんには苦労したな)
 キックホッパーという力を手に入れた麻生を手に入れるのは並大抵のことではない。
 10分しか自分の能力が発揮できず、その後は2時間もの制限が加わるこの戦いにおいて、自分の2倍の時間戦えるようになったのは大きなアドバンテージだ。
 だが、ドラスだからこそあるアドバンテージもある。それはネオ生命体であること。
 能力制限がされている間は確かに超常的な力は発揮できない。しかし、ネオ生命体であることまで変わるわけではないのだ。
 ドラスの身体のほとんどはそこら辺にある金属で創られた。ようするに木偶のようなものだ。
本体を傷つけられない限り、いくら傷つこうとも死ぬことはない。
 金属で作られた身体はそれなりに強度もあり、銃を撃つ衝撃にも耐えることができる。そして、手足と同じく、尻尾は身体の一部分、制限が加わっても動かすことは可能だ。
(お兄ちゃん。お兄ちゃんの敗因はね、やっぱり人間であることだよ)
 麻生が気付く機会はあった。だが、ドラスを倒そうとするあまり、効率的な行動を取れなかったこと。それが麻生の敗因だった。
(いくよ、お兄ちゃん)
 ドラスの胸部が開き、麻生に向けて光を放つ。それはドラスの本体から発せられる光。
 放たれた光は麻生の身体を包みこみ、麻生の身体を粒子化させる。刹那、無数の粒子となった麻生はドラスの体内へと吸い込まれた。
28名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:13:49 ID:99G2CWyY0
支援
29赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:14:12 ID:z1doh2030
(力がみなぎる)
 身体のうちから外へ、徐々にエネルギーが満ちていく。同時にくすんだ鋼色をしたドラスの身体は血肉が通ったかのように赤く染まっていく。
(これが新しい力……ううっ)
「グゥゥゥゥ」
(なにか……おかしいな)
 進化の途中で、身体が違和感を訴える。まるで魚の骨がのどに刺さったかのような異物感。
(何か僕の身体に取り込めないものがある?)
「グォォォォ!」
 咆哮を上げ、その違和感の原因を力ずくで排出する。胸からふたつ、金属の塊が飛び出してきた。
ひとつはZECTと刻まれたベルト。そして、能力を制限するための首輪。
(僕のじゃないね。お兄ちゃんの首輪か。さすがに取り込むことは無理だったか)
 それらが排出されたことでドラスの進化は完了した。身体は赤く染まり、先程までとは比べものにならない力が身体を支配している。
(これならいけるかも)
 ドラスは周りの金属という金属に語りかける。僕の下に来い。僕の力になれと。
 すると、医務室にある金属の数々は熔解したかのようにただ銀色のみの金属の固まりになり、ドラスに吸い込まれていった。
 たちまちドラスの胸部のみだったドラスの身体からは手が生え、脚が生え、そして、頭部が形成される。
 ドラスの身体は完璧に再生された。
30赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:14:57 ID:z1doh2030
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
(凄いなぁ。たぶん、能力を発揮している状態でしか使えないんだろうけど、完璧に再生できるなんて)
 ドラスは自分の強化された能力に愉悦し、麻生に会おうとしていたとき以上の高揚を得る。
(今度はどれくらい戦えるか試してみたいな。……そうだ。首輪が外れたってことはお兄ちゃん、死んだことになるんだよね。
なら、ここに戻ってくるかも。お兄ちゃんと一緒にいたもうひとりのお兄ちゃん)
 2時間後、ヒビキはドラスの予想通りの行動をとるようになる。


 ヒビキは血まみれの冴子を手近な建物へと運ぶ。誰が冴子を傷つけたのか?
 状況から判断すれば、それはあきらをさらった狼の怪人としか考えられない。
「ちくしょ!」
 思わず壁に拳を叩きつける。自分があの時、一緒に行動していればなんとかなったはずだ。冴子が血まみれになることも、あきらがさらわれることもなかった。
 だが、悔やんでばかりもいられない。今は肩に大怪我を追った冴子の治療が先決だ。
 ヒビキは手近な建物に入ると、研究所を出るとき、念のためと持ってきた応急処置用の道具を使い、冴子の治療を行う。
 包帯を巻き終え、冴子の体力回復を待っていると、たちまち時間は過ぎ、2回目の放送のチャイムが鳴った。
 放送で知らされる死亡者の名前。その最初に呼ばれた男の名前にヒビキは激しく動揺する。
 死亡者の中にあきらと明日夢の名前が含まれていなかったことに多少の安堵を覚える。だが、そんな安堵を吹き飛ばす内容がその放送には含まれていた。
その放送に絶対含まれてはいけない人物の名前が呼ばれたのだ。
「そんな、麻生さん」
 闇を切り裂き、光をもたらすと誓った勇士の名前。つい今まで自分と一緒にいた男の名前だった。
「ヒビキくん」
31名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:15:02 ID:99G2CWyY0
 
32名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:15:38 ID:99G2CWyY0
 
33赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:15:58 ID:z1doh2030
「冴子さん……」
 冴子もその放送を聞いたのだろう。真剣な面持ちでこちらを見つめる。
「聞いたわ、研究所に行きましょう」
「しかし、その傷じゃ」
「へっちゃらよ、こんな傷」
 ヒビキにはそれが強がりだとわかる。冴子の治療をしたのは自分だ。とても大丈夫といえる傷ではない。だが、ヒビキはその好意に甘えることにした。
麻生に一体何が起こったのか。すぐにでも確認したかった。それに冴子をここ置いて行くわけにもいかない。
 放送が何かの間違いであることを祈り、ヒビキはバイクを走らせた。

 それから一時間と経たずにヒビキたちは研究所へと辿り着いた。
早速、ドアを開け、研究所へと入る。
入った瞬間、ヒビキは何か圧迫感のようなものを感じた。邪気ともいうべき、邪悪なるものが発する存在感。
(いる。ここに邪悪な何かが)
 ヒビキは五感を研ぎ澄ませ、通路を進んでいく。
その最中、転がった銃弾、何かが叩きつけられたかのようなへこみ、焦げた壁、そして、瓦礫の山を目撃する。
それらはここで行われた戦いの凄まじさを物語っていた。
(麻生さんはここで誰かと戦ったんだ。しかし、あの麻生さんが敗れたというのか?)
 ヒビキたちは医務室の前に立つ。
(ここにいる)
 敵の強大さにヒビキは身を震わせる。
「冴子さんはここで待っていてください」
34名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:16:07 ID:99G2CWyY0
 
35赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:17:04 ID:z1doh2030
「……そうね、待たせてもらうわ」
 冴子もここの邪気を感じ取ったのだろう。一歩、身を引く。
 ヒビキは懐から音叉を模した変身道具、音角を取り出し、壁を軽く叩く。
――キィィィィン
 音角が鳴り響く。ヒビキはそれをゆっくりと額へ翳した。額に鬼の顔が浮かぶ。
「変身」
 ヒビキの身体を紫の炎が包み込む。
「ううううう、はぁっ!」
 ヒビキが炎を振り払うと、そこには人助けを生業とする鬼、仮面ライダー響鬼が立っていた。
「……っ」
 冴子が息を呑む。鬼となった自分の姿に驚いているのだろう。
「行ってきます。シュッ」
 敬礼に似た響鬼流のサインを冴子に送り、響鬼は医務室へと入っていった。

「待ってたよ、お兄ちゃん」
 響鬼が部屋に入ると、鋼色の魔化網が悠然と立っていた。
(こいつ、話せるのか)
 怪物としかいえない容姿をしていながら、子供のような声で話す魔化網。その奇妙な組み合わせに響鬼は言い知れぬ恐怖を覚える。
「貴様が麻生さんを殺したのか!」
「お兄ちゃん?ううん、僕は殺してないよ。お兄ちゃんは僕と一緒になっただけ。お兄ちゃんは神となる僕と永久に生きていくんだ」
「話にならないな」
 響鬼は腰に携えた音撃棒、烈火を抜き取り、両の腕に構える。
「愚かな人間には理解できないかも知れないね」
「人間は愚かなんかじゃない。そして、人間を守るのが俺の仕事だ」
 睨み合う二人。先に仕掛けたのは響鬼だった。ふたつの音撃棒で素早く連撃を打ち込む。
36名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:17:33 ID:99G2CWyY0
 
37赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:18:34 ID:z1doh2030
「はぁっ!」
 だが、ドラスは左腕で軽々と受け止める。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。効かないよ、お兄ちゃん!」
 お返しとばかりに肥大化した右腕を振るう。
「がっ……」
 骨がきしみ、息が止まる。巨大魔化網に殴られた以上の衝撃が響鬼を襲う。
 その一撃で、響鬼の本能が敵の強大さを理解する。
(これを受け続けるのはやばい)
 響鬼は口を大きく開け、ドラスの顔面に火を吹きかける。怯んだ隙を狙って、自分のペースに持ち込むつもりだった。だが、すぐに自分の考えが甘いことを知る。
 ドラスはまったく怯まない。
「っ……ぐっ」
 ドラスの左手が響鬼の首を捉える。そして、いたぶるように徐々に力を入れていく。
 器官が圧迫され、息が止まる。響鬼は必死に腕を振り解こうとするが、がっちりと首にくい込んだドラスの指は、まるでその形が正しいかのように微塵も動かない。
(音撃…鼓……)
 響鬼はベルトに装着された太鼓状の装備、音撃鼓を右手に取る。そして、それをドラスの左手へと押し付けた。
 たちまち音撃鼓は肥大化し、ドラスの腕へと広がる。
 闇に落ちようとする意識を精神力で保ち、左手に握った音撃棒を叩き付けた。
――ドン!
 太鼓を叩く音が響き、首を拘束するドラスの腕が若干緩まる。
(今……だ)
 二度、三度と音撃棒を打ち込む。六度目で、ついにドラスの腕が首から離れた。
 好機は逃さない。響鬼は右手にも音撃棒を構えると、本格的に音撃を打ち込み始める。
「猛火怒涛の型」
――ドン! ――ドン! ――ドン! ――ドドン!
38名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:18:39 ID:99G2CWyY0
 
39赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:19:19 ID:z1doh2030
 太鼓を敲くかの如く。強く、それでいてしなやかに音撃棒を敲き込む。
「ハァァァァァァァァ、ハッ!」
 気合一閃。ドラスの左腕が粉微塵に吹き飛んだ。
(よし、いける。力は強くとも、音撃が通じるなら魔化網と一緒だ。撹乱して、隙をつくり、音撃を打ち込めば勝てる)
 響鬼は戦いに巧妙を見出す。だが、ドラスはその光明がまやかしだと言わんばかりにあざ笑う。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。そうこなくちゃ。強くなきゃ、実験にならないもんね」
「実験?」
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」
 ドラスが笑い声を上げると、その声に応え、身体が赤く染まっていく。
(俺が紅になるように、パワーアップしたということか)
 赤くなったドラスが左肩を上げると、棚から金属物質が引っ張られる。そして、それは瞬時に形を変え、ドラスの失われた左腕を形作った。
「再生した!?」
「ここからが本番だよ、お兄ちゃん!」
 振り下ろされる右腕。響鬼は音撃棒で防御するが、まるで鉛筆を折るかのたやすくそれをへし折り、脳天を直撃する。
 一瞬、飛びかける意識。それを気合で繋ぎとめる。
「パワーはこんなものか。次はスピードだね」
 ドラスが響鬼の視覚から消える。
(どこだ)
「ここだよ、お兄ちゃん」
 響鬼の後ろから聞こえる声。急いで後ろを振り向くが、響鬼の視界に飛び込んできたのはドラスの左腕。
 反射的に思わず眼を閉じる響鬼。だが、衝撃は顔ではなく、腹に来た。
「これ以上、頭を殴ったら気絶しちゃうかもしれないからね」
 続いて、横から衝撃がくる。拳でも、脚でもない。それはドラスの尻尾から放たれた。
 しかし、威力は充分。響鬼の身体は宙を舞い、棚に叩きつけられる。
(つ、強すぎる)
40赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:20:06 ID:z1doh2030
 ドラスの圧倒的な実力を前に響鬼の心が折れかける。だが、混濁する意識のなか、響鬼は自分に関わる人たちの顔を見た。
 自分と同じく人助けを生業とする鬼の仲間。
(イブキ、トドロキ、ザンキさん、サバキ)
 ここで新たに出会った仲間たち。
(純子さん、草加、秋山、冴子さん、麻生さん)
そして、
(明日夢!あきら!)
 そうだ、ここであきらめるわけにはいかない。残っている鬼は俺ひとりしかいない。俺は明日夢を、あきらを助けなければいけない。
 響鬼は立ち上がる。燃える心を胸に、例えどんな相手だろうともあきらめるわけにはいかないんだ。
「ハァァァァァ!」
 響鬼は身体の隅々に力を行き渡らせ、それを燃料に身体を燃え上がらせるよう念じる。
(奴に対抗するためには紅になるしかない。夏じゃなくとも、心と体を燃え上がらせれば、なれるはずだ)
「ハァァァァァ!」
 しかし、響鬼の願いは虚しくも叶うことはなかった。変わる予兆こそあるものの紅になるにはいたらない。
それは首輪の制限によるものなのだが、紅になれないという事実は燃え上がりかけた響鬼の心を容赦なく消耗させる。
(なんで、なんで、紅になれないんだよ)
 絶望する響鬼に、再び尻尾の一撃が繰り出される。不意を付かれた響鬼は防御することさえ出来ず、まともにその一撃をくらう。
「ぐっ、あっああ」
「お兄ちゃん、何するつもりだったの?……もういいかな、大体自分の力がわかったし、殺しちゃうね」
(くっ、逃げないと)
 迫る死の恐怖に、響鬼は逃げることを選択する。だが、身体が思うように動かない。
(なんとか時間稼ぎを)
 響鬼はあきらより渡されたディスクアニマルのことを思い出す。
 音角を使い、3枚のディスクアニマルの全てに色を与える。
「いけ」
 音角によって、仮初の命を持ったディスクアニマルはCDの形から動物の形に変わっていく。すると、響鬼にとっても予想外のことが起こった。
 鷹、獅子、大猿。3匹のディスクアニマルはそれぞれが模した動物の大きさまで巨大化し、ドラスの前に立ちふさがる。
(聞いたことがある。昔のディスクアニマルは動物の魂を込めることで、巨大化することができると。これはそのディスクアニマルか)
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、面白いね」
41名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:20:10 ID:99G2CWyY0
 
42名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:22:11 ID:99G2CWyY0
 
43名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:22:44 ID:99G2CWyY0
 
44赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:23:08 ID:z1doh2030
 ドラスはディスクアニマルに気を取られている。何にせよ、これはチャンスだ。
 響鬼は一直線に出口であるドアを目指す。だが、響鬼がそのドアを開けるより早く、そのドアは開いた。
 そのドアを開けたのは冴子だった。
自分を助けに来たと思い、冴子に無防備に近づく響鬼。
「冴子さん。駄目だ、ここは危な……」
 一瞬、響鬼は何が起こったのかわからなかった。突如、現れた針状の長い剣が自分の左目を貫いた。
 それをしたのは冴子さん?
「ごめんなさいね。でも、あなたの知り合いはもうふたりしかいないっていうじゃない。あきらにはもう本性が知られちゃったし、明日夢っていう男の子は子供だっていうし……もうあなたに利用価値はないわ」
 灰色の怪人の姿になった冴子の姿を見て、自分が騙されていたことに気付く。同時に自分が結果的にあきらを追い込んだ原因であることも。
「ありがとう、冴子お姉ちゃん。お姉ちゃんのおかげでお兄ちゃんと一緒になることができたよ」
「あら、しゃべれるようになったのね。礼には及ばないわ、ドラスくん」
(こいつらグルか)
 全身から力が抜けていき、床に突っ伏す。見るとディスクアニマルは既に粉々に砕かれ、破片になってしまっている。
(つまり、俺はあきらを窮地に追い込んだだけじゃなく、麻生さんも犠牲にしてしまったってわけか。人助けが鬼の仕事というのに、これじゃとんだ疫病神だ)
 先程と同じように自分に関わる人たちの顔が脳裏に浮かぶ。しかし、もう響鬼に力を与えてくれることはなかった。
(サバキは最後の最後まで戦って、人助けをして死んだんだ。それなのにサバキが命がけで救った純子さんを俺は救うことが出来なかった。
 ザンキさんだって、きっと人助けをして死んだ。それに比べて俺は、騙され、人を助けるどころか、人を窮地に追い込んでばかり。
 結局、俺は誰ひとり救えないまま、死ぬのか。……いや、それもいいかも知れない。中途半端に鍛えた俺が人を助けようとしても、結局、不幸にするだけ。それならここで死ぬ方が一番の人助けだ)
 響鬼の心を絶望の闇が支配する。一切の望みを捨て、生きることすら望まないその心はまさに闇。だが、光が失われたわけではない。

 人助け。

 響鬼の生きる意味ともいうべき、それが心から消えない限り、仮面ライダーである資格は失われない。
45名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:23:50 ID:99G2CWyY0
 
46赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:24:59 ID:z1doh2030
 その証に、響鬼の心に惹きつけられ、一匹の生物が響鬼の手に飛来する。
(ディスクアニマル?いや、これは麻生さんの……)
 ホッパーゼクター。主人を選ぶ、そのゼクターに選ばれたことこそ、その証。
 ドラスと冴子の意識は響鬼から離れていた。手負いの獲物などいつでも殺せると思っているのだろう。
 その隙をついて、響鬼は立ち上がると、床に転がるベルトの元に飛んだ。
(俺は光をもたらすことは出来ない。だが、少しでも光に近づくことが出来れば)
 響鬼はベルトを巻くと、鬼への変身を解除する。それと同時にホッパーゼクターをベルトにはめ込んだ。

―HENSHIN―

 電子音が鳴り響き、ヒビキの身体を銀色の装甲が包んでいく。装甲が形作るのは新たなるライダーの姿。
 キックホッパーと同様の姿をしながら、銀の複眼と装甲を持ち、左脚ではなく、右腕にアンカージャッキーを装備する。その姿の名が、変身が完了すると同時に高らかに鳴り響く。

―Change Punch Hopper―

「キックホッパー?麻生くんのベルトを使って変身したというの?」
「違う。この姿は……パンチホッパー。闇の中でも光を信ずる、仮面ライダーパンチホッパー」
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。そうこなくちゃね、お兄ちゃん」
 好敵手の誕生にドラスはまた笑う。
47名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:25:10 ID:99G2CWyY0
 
48赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:25:36 ID:z1doh2030
 パンチホッパーはそんなドラスに向き合い、ベルトのレバーを上げた。
 
―Rider Jump―

 パンチホッパーは飛んだ。高く、ひたすら高く。パンチホッパーの狙いはドラスでも、冴子でもない。

―Rider Punch―

 強化された拳が天井を突き破る。その勢いのまま、パンチホッパーは天井裏へと入った。
「今はまだお前たちとは戦わない。だが、必ずお前は俺が倒す」

―Clock Up―

 パンチホッパーは加速すると天井裏を通り、その場から去っていった。


「逃がさない」
 追おうと部屋を出ようとする冴子をドラスが止める。
「追わなくてもいいよ、冴子お姉ちゃん。もう時間だから」
 同時に赤かったドラスの身体は通常時の鋼色の姿へと戻る。
「力を発揮できるのは10分だけ。その制限は変わらないんだ。だから、冴子おねえちゃん。首輪を外す方法、早く見つけてね」
 ドラスは自分のディパックの中から首輪を冴子に渡す。恐らく園田真理のものだろう。
49名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:26:23 ID:99G2CWyY0
 
50赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:26:27 ID:z1doh2030
「ありがとう。でも、危なかったわね。あのまま戦いが続いていたら、ヒビキくんに負けてたんじゃない」
 暗に今ならドラスを殺せるという意味も込めて、冴子は言う。だが、ドラスは動揺した様子もなく、言い放つ。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。例え制限があったって、僕が負けることはないよ。だって、僕は神になる究極の生命体なんだから」
聞きようによってはハッタリとも取れるその台詞。だが、冴子はそれが真実だと感じていた。
(この子は本当にそんな状態になっても負けない。この子にはやり遂げるだけの力を秘めている)
 冴子の身体が震える。それはドラスのという存在への恐怖と、それに出会えたことの喜び。
(本当は利用するだけのつもりだったけど、この子なら私に永遠を与えてくれるかも知れない。この子は本当に神になる)
 神に近づくドラス、それに付き従う人間は、他の人間を絶望に染めて、神のそばへと寄り添おうとしていた。

【麻生勝 死亡?】
残り35人
51赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:27:31 ID:z1doh2030
【ドラス@仮面ライダーZO】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地D-6エリア】
[時間軸]:仮面ライダーZOとの戦闘で敗北し死亡した直後
[状態]:健康。
[装備]:怪魔稲妻剣、GM-01改4式(弾数残りわずか)
[道具]:首輪(麻生勝)。配給品一式×3(ドラス、立花藤兵衛、麻生勝)。ラウズカード(ダイヤの4、8。クラブの7。ハートの3、4、7。スペードの4)。拡声器。
[思考・状況]
1:とりあえず休憩。
2:望月博士なしで神になる方法を考える。
3:首輪を外しこの世界を脱出する。
4:首輪の解除のため、冴子を利用する。
5:他の参加者は殺す。ただし、冴子には興味あり。
6:可能ならこの戦いに関する情報を得る。
[備考]
※1:ドラスの首輪は胴体内部のネオ生命体本体に巻かれています。(盗聴機能は生きています)
※2:ドラスはドクトルG、ヨロイ元帥、ジェネラルシャドウ、マシーン大元帥の情報を得ました。
※3:麻生は首輪が外れたため、死亡扱いになりましたが、ドラスの中で生きています。
ただし、ドラスが死ぬと麻生も死にます。
※4:赤ドラス化は能力発揮中のみ使用可能です。通常時は普通のドラスに戻ってしまいます。

【影山冴子@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻: 日中】
【現在地:市街地D-6エリア】
[時間軸]:本編最終話あたり
[状態]:肩にかなりの深さの裂傷。2時間は変身不可。
[装備]:なし
[道具]:首輪(園田真理)。アドベントカード(SEAL)。配給品一式。
[思考・状況]
1:生への執着。ドラスくんなら、自分の望みを叶えてくれる?
2:ドラスくんとの取引にのり、首輪の解除方法を探す。
3:あきらと巧に復讐。
52名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:28:16 ID:99G2CWyY0
 
53赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:28:31 ID:z1doh2030
【日高仁志@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻: 日中】
【現在地:市街地D-6エリア】
[時間軸]:四十一乃巻。明日夢と桐矢を弟子にした後。
[状態]:軽いやけど。左眼に深い傷(失明?)。2時間は鬼、パンチホッパーへの変身不可。
[装備]:音撃鼓。音撃棒×1。変身音叉・音角。ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル。
[道具]:配給品一式。
[思考・状況]
1:麻生の仇をとるため、ドラスの打倒策を練る。
2:人質にとられている少年とあきらを助ける。
3:裁鬼の仇をとる。
4:ゲームから脱出する。
5:知り合い以外の参加者全員に不信感。
[備考]
※1:シャドームーンを魔化魍、もしくは闇に堕ちた鬼だと思っています。
※2:草加達にも若干の疑念が生まれました。
※3:HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません。
※4:あきらを連れ去ったウルフオルフェノクを敵と認識しています。
※5:首輪の制限により、24時間は紅に変身できません。
54赤 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/13(日) 00:31:27 ID:z1doh2030
投下完了。
誤字、脱字、指摘事項、感想があればよろしくお願いします。

見る人大杉に苦しめられました。結構いるみたいですね。
今度からビュアー使います。ごめんなさい。
55名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:39:23 ID:VEWK4Fxl0
投下乙でした!
個人的にヒビキさん好きなんでまさかここで退場!?とハラハラしておりましたが
ここでパンチホッパー出してくるとは…
ドラスの中の麻生は剣擬態の時の剣崎みたいな扱い?
何にしろ今後の麻生がどうなるかも楽しみです

>響鬼は戦いに巧妙を見出す。だが、ドラスはその光明が〜
巧妙→光明ですね
56名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:42:14 ID:99G2CWyY0
◆E1yyNEjdEc氏、投下乙!!

まずは指摘。
第二回放送後の話というのが気になった。
ドラスはZO取り込んだときに自動的に再生にして、全力時間の制限と無関係にして、話を放送直前にしたほうがいいんじゃないかな?

感想は、熱い!
無念にもドラスに負ける麻生が切なかった。
冴子さんのステルス人生が終わったのは残念だけど、凶悪タッグだからむしろ怖さが倍増したような気がする。
響鬼さんもかっこいい姿はお久しぶりです!
もうパンチホッパーに変身するシーンは血液が沸騰しました!
マジでGJ!!
57名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 00:46:23 ID:99G2CWyY0
自分で言って気づいたorz
麻生と戦っているときに全力時間の制限かかっている。
だから時間軸上どうしても話が二回目の放送後になるのか……
どうしよう……
58名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 01:05:41 ID:wUr0HMTmO
話は熱い!GJ!
もしドラスから出てこれたら制限なしか
59名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 02:02:55 ID:KDg8i7QWO
うーむ、相変わらず素晴らしい腕をお持ちで。GJィィィ!!
ただ気になった点が幾つか。
ヒビキはサバキ「さん」と呼びます。それと思考にザンキさんのカタキは含まれていないのでしょうか?orz

話自体は熱くて読み応えのある作品でした。
長さも気にならず、もっと読みたいと感じさえしました!

それにしてもヒビキさんの時代が来た予感wktk
60名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 02:06:39 ID:k/KTZxk5O
投下乙

うーん、展開はすごい面白いけど放送跨ぐのはどうかな?
あきらと明日夢が絶対死なないってことにもなるし…
61名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 02:42:35 ID:KDg8i7QWO
あ、ちょいと質問です。
ひよりの修理能力は壊れた破片の一部でもあれば修理可能なんでしょうか?
それとも破片が全部揃ってないと不可能?
62名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 13:05:03 ID:nLIEq43hO
>>61
一話のバイクとベルト位しか披露してないからどこまでいけるか分からんが全部揃ってないとさすがに無理だろ・・
63名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 15:29:46 ID:jyqwshGT0
俺も質問です。
首輪って警告音のアラームが鳴っちゃうと絶対爆発する?
引きちぎろうとしたけどアラームが鳴ったからやめたとかは無し?
64名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 15:56:08 ID:KDg8i7QWO
便乗。
禁止エリアに入ったら速攻で首輪爆発する?
一分経ったらとかじゃダメかな?
65 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/13(日) 17:04:38 ID:99G2CWyY0
前言撤回。予約を良く見たら放送をまたぐってあるorz
気づいていたら先に第二回放送を投下したのにorz

ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi89725.gif.html

マップ&進行表更新です。

>>61
原作ではどこまであれば修理可能とはありませんでしたが、ロワ内では制限があるので、全部必要ということでいいかと。

>>63
OPでは、引きちぎるときアラームの警告はなかったので、引きちぎる際には鳴らないと思います。

>>64
ライダーロワの首輪は、おそらく原作バトルロワイアルに準じています。
禁止エリアに入ると、アラームが鳴って爆破が自然な流れかと。
一分経ったら爆破は、アニロワでやっているので、避けたいと思います。

新規さんが増えているようで、嬉しい限り。
それでは、第二回放送を投下します。
66第二回放送 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/13(日) 17:05:21 ID:99G2CWyY0
 ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
 再び、死人を知らせるふざけたチャイムが鳴り響く。
 その音を聞いたものの反応はさまざま。
 怒りに歯を食いしばる者、悲しみにくれる者、表情を変えぬ者、どれだけ人が死んだか期待する者、新たな戦いの予感に心を躍らせる者。
 その全ての参加者の気持ちなど関係ないといわんばかりに、左右反転した世界から女が一人、浮かび上がる。
 青いアイシャドーに青い衣装。そしてその声、ひたすらに甘い。
 六時間ぶりに現れた女は、大げさな手振りで全ての参加者へと声をかけ始めた。

『はぁ〜い、良い子のみんな、こ・ん・に・ち・わぁ〜☆
お姉さんと再会できた人は良く頑張りました。投げキッスをプレゼントしちゃいま〜す。チュッ☆
それでは、お姉さんと再会できなかった可哀想な子達を発表しちゃいます。

伊坂さん、加賀美新さん、風見志郎さん、北崎さん、瀬川耕司さん、園田真理さん、マシーン大元帥さん、望月敏郎さん、ヨロイ元帥さん、以上九名でーす。

六時間で九人も死んで、残り三十五人となりました! すごーい!!
神崎さんも大喜び! お姉さんも感動しています!!
さあて、今から皆さんがお待ちかねの、禁止エリアの発表を行いまーす。

一時に市街地G5エリア。三時に遺跡F2エリア。五時に採掘場D10エリアです。

優勝を目指して頑張っている良い子はウッカリしないように気をつけてね☆
そうそう、五時に禁止エリアになるD10エリアに便利な乗り物が放置されています。
ドライブを楽しみたい人は忘れずに寄ってみてね☆
それでは、三回目の放送でまた会いましょうね〜。バーイバーイ☆』

 ピン♪ポン♪パン♪ポン♪
 悪魔の囁きが、僅かな波紋とともに消えていく。
 その放送がもたらすのは悲劇か、反撃の狼煙か。誰にも予測はつかなかった。
67 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/13(日) 17:06:31 ID:99G2CWyY0
投下終了。
意見がある方はお願いします。
68 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/13(日) 17:16:09 ID:99G2CWyY0
しまったorz

>>伊坂さん、加賀美新さん、風見志郎さん、北崎さん、瀬川耕司さん、園田真理さん、マシーン大元帥さん、望月敏郎さん、ヨロイ元帥さん、以上九名でーす。

>>六時間で九人も死んで、残り三十五人となりました! すごーい!!



>>麻生勝 さん、伊坂さん、加賀美新さん、風見志郎さん、北崎さん、瀬川耕司さん、園田真理さん、マシーン大元帥さん、望月敏郎さん、ヨロイ元帥さん、以上十名でーす。

>>六時間で十人も死んで、残り三十四人となりました! すごーい!!

に差し替えてください。ナニヤッテンダorz
69名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 22:03:03 ID:KDg8i7QWO
一分は無理か…確かに仕方ないかも。
せめて30秒は無理かな?ネタを思い付いたんだが…

あ、でも無理なら無理でOKです。
70名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 22:09:42 ID:99G2CWyY0
禁止エリア死亡話を書いたんですが、爆破までのタイムラグは曖昧に書いてます。
首輪は原作バトロワ基準といったんですが、変更した方が面白いというなら、そっちにした方がいいなと思っています。
面白ければ比較的何でもOKなのがライダーロワなんで。

おかげで他パロロワと毛色が違っちゃったかなーと思っていますが。。
71 ◆naAqV94LaU :2007/05/13(日) 22:16:29 ID:KDg8i7QWO
曖昧な表現で構わないなら誤魔化しつつイケるかもです。
望月博士死亡の時間ぐらいと考えるのであれば何とか。

取り敢えず書いてみますね。
乾巧、天美あきら、グランザイラス予約します。
72名無しより愛をこめて:2007/05/13(日) 22:23:14 ID:99G2CWyY0
楽しみにしています!
73 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/14(月) 03:50:11 ID:d8IUKNEP0
ご迷惑おかけしています。
今回の作品は収まりがいいと自分なりに判断し、放送前から放送後まで一貫して書きましたが、
問題があるようでしたら、響鬼への場面転換の箇所で前後編と話を分けたいと思います。
なんにせよスレの総意には従い、修正を行うつもりです。。。

74名無しより愛をこめて:2007/05/14(月) 17:43:51 ID:A5Gm8SZB0
さっき気付いたけど、ディスクアニマルは
鷹じゃなくて鴉ですよ。
75 ◆4wyf44BgsE :2007/05/14(月) 17:46:34 ID:Qn3m0un+O
迷惑なんてとんでもない。
熱い話、超GJですよ!ついに姿を表した赤ドラスのこれからが楽しみです。
自分の拙いSSがすごい良い展開に繋がりうれしいです!
76 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/14(月) 19:26:17 ID:/vcdbPdH0
>>73
個人的には指摘されている細かい部分を修正するだけでいいと思います。
予約の段階での宣言を見落とした自分にも責任はあるわけでorz
放送を先に投下してれば、放送に反応する響鬼さんを変更するだけで問題なかったですし。



草加雅人、城戸真司、秋山蓮、リュウガ、日下部ひより、氷川誠、相川始、ドクトルG、天道総司、結城丈二、シャドームーン
予約します。
77名無しより愛をこめて:2007/05/14(月) 20:59:46 ID:MPr9vJLM0
キター!!!何やら激戦の予感が!!
78名無しより愛をこめて:2007/05/14(月) 21:05:45 ID:YZXDFJVVO
正装着者も知らない間にホッパーゼクター大活躍だな。
あの時点の矢車は本当に知らないんだけど。


>>76
とんでもないメンバー来たな
死人がでるぞ
79名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 15:10:05 ID:q9lecvgW0
どうしよう・・・・・・リュウガの死亡シーンしか思いつかねぇ・・・・・・
80名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 15:38:54 ID:op3IY3FU0
俺はナイトが危ないと思う。
81名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 16:08:16 ID:j00pU4ae0
wktkが止まらんのですが
82名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 17:54:44 ID:xV5TFrr/0
むしろ真司が一番やばいような気がしてきた
83 ◆68nHv.MDYQ :2007/05/15(火) 22:03:40 ID:SC6q+6100
>>54
亀だが乙です

質問
もし光太郎がバイオライダーに変身可能になって、液化したら首輪はどうなるんですか?
84名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 22:28:42 ID:yj25agyW0
それを防ぐための能力制限かと
85名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 23:05:44 ID:WHJvLIxMO
ライダーや怪人、ワームの中でただ一人ただの人間なんだな氷川…
活躍に期待。ていうかぜひともガタックに…!
86名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 23:35:40 ID:BHB9isdhO
明日夢や小沢さんも怪人に見えるかもしれないが
一応、一般人でつ。
87名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 23:42:27 ID:dBy8w99CO
巧、あきら、グランザイラス組のSSを期待してる人は居ないのか?
超ガンガレ
88名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 23:44:32 ID:LW/69l4D0
俺も期待しているぞ!
ガンガレ!!
89名無しより愛をこめて:2007/05/15(火) 23:47:15 ID:riC7pmAy0
下がりすぎたのでageます。
90名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 00:55:21 ID:QYBSpNAS0
>>85
予約メンバーの話じゃないか?
91名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 00:56:41 ID:QYBSpNAS0
>>90アンカー間違い。
>>86です
92 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/16(水) 02:44:40 ID:kzABIPcZ0
まとめサイト更新しました。
SSもご指摘されたことを修正の上、アップしております。

一部自己リレーになりますが、上城睦月、キング、ガライ、ジャーク将軍を予約いたします。
93名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 19:21:39 ID:LguP7Q+I0
>>92
睦月死の予感…
94名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 19:31:20 ID:QYBSpNAS0
>>92
まとめ更新乙です。
新作楽しみにしています。

後報告。
書き手別SSの欄にQj4b9ovE16氏が二人いましたw

95 ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:16:12 ID:OyAckVtv0
まとめ更新お疲れ様です。
完成したので投下します。
96DEAD OR ARIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:18:57 ID:OyAckVtv0
疾風の如く駆け、丘に辿り着いた巧とあきら。
結論から言えば此処に真理の亡骸は無かった。
あきらを樹の陰に隠し、重い身体を引き摺って巧は辺りを組まなく探索する。
誰かに持ち去られたのか?
それとも埋葬されたのか?
何処を探しても、真理の亡骸は見当たらなかった。
見つかったのは爆発の跡。
恐らく仮面ライダーキックホッパーが倒した敵のものだろう。
そして、真理を殺した奴のものでもある。
多きな爆心地を見て、巧の心の中に黒い憎悪が蠢く。
この気持ちに巧自身も気が付く。
だが恨むべき相手はもう居ないのだ。
何を思おうと、無念と形容せねばならない。
真理が死んでしまったこと、仇が死んでしまったこと。
果たして真理はその生涯の幕を閉じる時、幸せに逝けたのだろうか。
巧には知る由も無い。
だが、それでも祈らずにはいられなかった。
「真理…。ゆっくり休んでくれよな。」
その場で手を合わせ、黙祷。
爽やかな風が頬を掠め、金に近い巧の長髪が揺れた。
自分にはまだやる事がある。
真理のところに行くのは、もう少し先だ。
「やっぱ寂しいか?―…ワリィ、一人にさせちまって。」
「―…けどよ。俺のこと、あきらのこと、天道のこと。守ってやってくれ…頼んだぜ。」
暫く何も考えずにその場に立ち竦んだ。
陰鬱な気分は拭い切れない。
だが、それに反して空は快晴である。
なんと憎たらしいことか。
空を見上げた。
「お前は気楽で良いよな。羨ましいぜ。」
誰に言うわけでもなく、そう呟く。
97DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:20:25 ID:OyAckVtv0
答えなど返ってくる訳も無い。
散策は切り上げ、身を翻す。
今一度、空に一瞥くれた後に大きな溜息を吐いて、あきらの下へ歩いて行った。

++

「…乾さん。」
大きく肩を揺らしながら樹に背中を預けるあきら。
あの女にやられた甲の傷、全身に渡る大きなダメージ。
本当ならばこんな所で無理をさせる訳にもいかない筈だ。
此処に辿り着く前に、巧は何度かあきらに問い掛けていた。
町へ戻って治療をするべきだ、と。
真理を埋葬したいというのは巧の我侭だ。
言い方は悪いが、あきらの傷を癒す事が最優先事項だろう。
だが此処へ来たのは、あきらの強い希望でもあった。
恩人である巧の大切な人を葬ってやる事は、自分の傷を癒す事よりも重要だと言うのだ。
その考えには巧も反論の意を唱えた。
だが、あきらは頑なに譲ろうとしなかった。
それに襲われたばかりの市街地に戻るのは危険だ。
誰の眼から見ても明らかである。
ならば、早急に真理を埋葬し、済み次第手当てをするという事で落ち着いたのであった。
「園田さん、埋葬できましたか?」
やがて、あきらが口を開いた。
手の甲を抑えながら、巧の顔を真っ直ぐ見つめる。
顔色が悪い。
当然である。大量に出血し、疲労だって限界に近いだろう。
直ぐに市街地に戻らなければ。
あきらの隣に腰掛けると巧も口を開く。
「…ああ、葬ってきた。」
98DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:21:55 ID:OyAckVtv0
嘘。
言い方が明らかに嘘くさかった。口調は重いし、あきらの眼を直視出来ない。
自分でも嘘が下手だな、と痛感した。
内心、舌打ちする。
肉体的疲労に加え、気まで遣わせてどうするのだ。
嘘だと指摘されれば誤魔化す事は出来ないだろう。
純粋な巧だからこそ、自分を取り繕う事が出来ない。
真理や啓太郎がこの場に居たら笑うだろうか。
「そうですか…。良かったです。」
あきらは短く、そう言った。
巧の嘘は見抜いているだろう。
だが、深くは追求しない。
嘘でも自分に気を遣わせない為に言ったのだ。
ぶっきらぼうだが、巧の性根の真っ直ぐさをあきらは理解していた。
この短い期間、絶望の島で紡がれた確かな絆。
「…ああ。」
巧もまた、短く言葉を返す。
たった一言。
それでも二人の間の重い空気は払拭された。
小さく笑みを零す二人。
青空が二人を照らす。
今思えば、この突き抜けるような快晴も悪く無い。

ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
そして辺りに場違いな程の明るいチャイムが鳴り響いた。
定時放送である。
99DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:23:36 ID:OyAckVtv0
二人の間に齎された温かな空気を掻き消し、何処からとも無く一人の女性が映し出される。
スマートレディ、巧と少なからず因縁を持つ女性である。
困惑する二人を尻目に、特徴のある甲高い声を挙げた。
『はぁ〜い、良い子のみんな、こ・ん・に・ち・わぁ〜☆
お姉さんと再会できた人は良く頑張りました。投げキッスをプレゼントしちゃいま〜す。チュッ☆
それでは、お姉さんと再会できなかった可哀想な子達を発表しちゃいます。

麻生勝さん、伊坂さん、加賀美新さん、風見志郎さん、北崎さん、瀬川耕司さん、園田真理さん、マシーン大元帥さん、望月敏郎さん、ヨロイ元帥さん、以上十名でーす。

六時間で十人も死んで、残り三十四人となりました! すごーい!!
神崎さんも大喜び! お姉さんも感動しています!!
さあて、今から皆さんがお待ちかねの、禁止エリアの発表を行いまーす。

一時に市街地G5エリア。三時に遺跡F2エリア。五時に採掘場D10エリアです。

優勝を目指して頑張っている良い子はウッカリしないように気をつけてね☆
そうそう、五時に禁止エリアになるD10エリアに便利な乗り物が放置されています。
ドライブを楽しみたい人は忘れずに寄ってみてね☆
それでは、三回目の放送でまた会いましょうね〜。バーイバーイ☆』

いつ聞いても勘に触る態度である。
園田真理。死んでしまったのは分かっていた。
勿論それを受け入れているつもりだったし、理解しているつもりでもあった。
だが、やはり頭の中では有りもしない奇跡を望んでいたのかもしれない。
無くなっていた真理の死体も、この目で死に立ち会えなかった事も。
現実味の帯びない巧の幻だったのではないかと、そう思っていたのかもしれない。
「真理…。」
100名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 21:24:03 ID:QYBSpNAS0
 
101DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:24:21 ID:OyAckVtv0
そして、もう一人意外な名前。
北崎である。
戦った事のある巧だからこそ分かる、意外な結末。
認めたくはないが、あれほどの怪物を倒した奴が居る。
正直自分に倒せるかは自信が無い。
聞き間違える筈も無いのだ。奴の名前は嫌でも脳裏に焼きついている。
そして、死んだ。
「アイツを倒した奴が居るのか…。」
北崎を倒した風見はもう絶命している。
巧の思いは杞憂だが、その風見を倒した浅倉は生きているのだ。
この先、慎重に行動するに越した事は無い。
「10人も…酷い…。」
あきらが俯く。
ただでさえ体調が悪いのに、こんな事を聞かされては無理も無い。
巧は羽織っていた上着を掛けてやった。
静かな木陰に二人の溜息だけが響き渡った。
そして巧は思う。
「(草加…お前はどうしてる?)」
まさか自分が利用されてるとは露知らず。
名前が呼ばれなかった男の事を考えていた。

そして、血の匂いに釣られて悪魔が近づいている事を―…二人は知らない。
102名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 21:25:38 ID:QYBSpNAS0
 
103DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:26:12 ID:OyAckVtv0
悪魔は二人を視認出来る程に近付いていた。

++

霞のジョーにやられた傷は未だに痛む。
だが痛む身体を抑えながらも、心には漆黒の憎悪が燃え上がっていた。
眼を凝らせば視認出来るのでは、という位のプレッシャー。
「許さんぞ…!霞のジョー!!」
この俺をコケにした代償は払わせてやる。
貴様の命を以ってな…!
皆殺しだ。この怒りを払拭するにはそれしか無い。
この島に居る奴らを一人残らず嬲り殺してやる。
「俺が最強だという事を証明する為に!」
そう決意を固めて歩くグランザイラス。
その憎しみは、ここに居る参加者の思いと比べても相当蓄積されたものだろう。
しかし相変わらず、禁止エリアと隣合わせで進んでいるのである。
放送を聴いていない彼は、首輪の警告音を聴いても何事か理解出来ないかもしれない。
生と死の隣合わせ。
その極端な思考は、ある意味彼の誇り高い気概故なのだ。
誰も彼を咎められはしない。
己の意思を曲げはしない。
その思いは、この島に居る参加者の悲壮なる決意すら霞むほど。
受けた傷に曲がる背を正し、進む。
そして視界に入った二人の人間の姿。
残虐な笑みが宿る。
足を止め、咆哮。
身体を猛火で包み脆弱な人間目掛けて突撃する。
「ウオオオオオオオオーーッッ!!」
104名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 21:28:19 ID:QYBSpNAS0
 
105DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:28:26 ID:OyAckVtv0
殺す!殺すッ!!

++

「危ない!あきらッ!!」
尋常では無い叫び声に身体を震わせた。
刹那、視界に映る怪物の姿。
陽炎が発生する程の猛火に木々は焼け焦げ、消し炭となる。
グランザイラスの怒りを具現するかの如く雄々しく燃え立ち、通過した一帯は焼け野原となる。
巧は見た事の無い光景に瞳を大きく開かせ、勢い良くあきらを突き飛ばした。
「あッ!」
この非常事態に加減などしていられない。
思い切り突き飛ばし、地面に転がったあきらは傷が痛むのか蹲って其の場から動かない。
―…畜生!なんだってんだ、アイツ!!
間髪入れずにウルフオルフェノクへと変体する巧。
突進するグランザイラスを何とか避け、受身を取った。
「ウアアアアアアッ!!」
通り過ぎ、背後にて背を向けるグランザイラスへ飛び掛る。
だが振り向き様、右腕の鉤爪が巧を捉え巧の腹部を一閃。
「ぐッ!」
与えられた腹部への痛みに表情を歪めるが、構わず腕を振るう。
同じくして鋭い爪を持つウルフオルフェノクは目の前の怪物を倒すべく一撃、二撃と連打。
しかし可笑しい。怯まないのだ。
「…クソォ!ハアアアッ!!」
異変を感じ取る巧。腕を振り上げては降ろす。
一撃、二撃、三撃、四撃…。
106DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:30:13 ID:OyAckVtv0
オルフェノクを圧倒する程の巧の攻撃は、目の前の怪物には全く効いていなかった。
畜生!畜生!!何でだよ…!!
「ウオオオオォォッ!!」
苛立ちを払拭すべく全力で腕を振り上げる。
だが、それを阻止すべく…いや。
児戯を止めるべく、というのが正しいか。
グランザイラスの左腕が巧の腹を抉った。
「―…!!」
盛大に吐血、そして片膝を着いた。
「脆弱な人間が…」
「俺に触れるなァッ!!」
丁度膝元に居る巧の顎を蹴り砕く。
そのまま吹き飛ばされる巧。
今度は受身を取らなかった。
いや、取れなかったのだ。
「貴様らは黙って俺に殺されれば良いのだ。」
激痛を抑えながら立ち上がる巧は口を開く。
「…お前、人間は嫌いか?」
「……貴様、何を言っている。」
「答えろよ。俺が聞いてんだ。」
鋭い眼光。
グランザイラスは言葉を返さない。
この島で出会う人間は何故、こんなにも愚かなのか。
ただでさえ漆黒宿していた憎悪が更に渦巻く。
「答える義理は無い…!貴様はもう死ねッ!!」
再度灯る猛火、そして突撃。
「―…お前が思ってるより、人間は良いモンだぜ?少なくとも…」
「俺達よりずっとな!」
オルフェノク状態を解除し、人間に戻った巧は叫んだ。
自分達の存在すら否定する言葉は悲痛の意思を宿さない。
107DEAD OR ALIVE ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:31:04 ID:OyAckVtv0
絶対的勇気、信念。
そして、嘘偽りの無い真実。
手元に握られたファイズドライバーから発せられる電子音。

5・5・5
―Standing by―

そして天高く掲げ、叫んだ。
「変身!」
巧の意思に呼応すべく唸るファイズドライバー。
腰に巻かれているベルトに挿入され、変身は果たされる。
一切の恐怖を打ち払い、佇む巧の身体を覆うブラッデイストリーム。
勇気の色を宿す真紅の閃光が辺りを包み、再度電子音が唸る。

―Complete―

撓る腕。
「来いッ!」
そして言い放った。
ブチッ!
その言葉でグランザイラスの怒りの沸点は限界を超える。
何かが切れた。
「そんなに死にたいなら…望み通りにしてやる!!」
そのまま勢いに任せ、巧に向かっていく。
猛火の熱気が起こす陽炎が、身を屈めて佇むファイズの身体を揺らした。
ベルトに装着されているファイズフォンを手に取り、開く。
108名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 21:33:08 ID:QYBSpNAS0
 
109名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 21:35:42 ID:QYBSpNAS0
 
110 ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 21:47:18 ID:QVcgqBCvO
人大杉で投下出来ないorz
途中からしたらばに投下しました。

相変わらずの駄文失礼致しました。
111名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 21:51:49 ID:QYBSpNAS0
続きは
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9061/1177078434/34-45
ですね。

GJ!
相変わらず心理描写が丁寧で、巧にのめりこんでしまいました。
切なさとグランザイラスとの激闘楽しませてもらいました。
112代理投下:2007/05/16(水) 21:56:44 ID:QYBSpNAS0
慣れた手つきでボタンを押し、目の前に迫るグランザイラスに向けた。

1・0・3
―Single mode―

銃口から弾丸が発射され、吼える。
横に回転しつつ回避し、体制を整えると間髪入れずに連打。
両手でフォンブラスターを構え撃つ撃つ撃つ!!
行き過ぎ、背中を向けるグランザイラスに限界まで撃ちこむと、やがて弾切れを起こした。
「弾切れか!残弾の数は常に把握するんだったな!!」
ここぞとばかりにほくそ笑み、右腕の鉤爪を振り上げる。
しかし、巧は焦らない。

2・7・9
―Charge―

弾切れを起こしたなら、補充すれば良い。
ただそれだけである。
再び銃口から火花が走る。
怯むグランザイラスの背に回り込み、連射。
止まることの無い銃声が林に響いていた。
「クソ…!貴様ァッ!!」
巧優勢だと思われたが、その時。
あきらが声を張り上げた
「乾さん!」
「心配すんな!お前に手は出させねーよ!」
違うのだ。そうではない。
113代理投下:2007/05/16(水) 21:57:42 ID:QYBSpNAS0
「そっち、禁止エリアですよッ!!」
ドクン。
その言葉に巧は息を呑んだ。
禁止エリア…その恐ろしさを、巧は目の前で体験していた。
吹き飛んだ名も知らぬ男の首。
ここに居る全員に例外無く装着されている首輪。
そして禁止エリアに侵入した者は絶命するのだ。
あの男のように。
「グアアアアアッ!!」
巧の焦りを尻目にグランザイラスが咆哮する。
飛び交う銃弾を払いのけ、怒りで真っ赤に充血した瞳を巧に向ける。
「人間がァ!俺を侮辱するかァァァァッッ!!」
いつの間に弾切れを起こしていたフォンブラスター。
乾いた音が空しく響く。
―…畜生!早く補充を…ッ!!
しかし、そこで巧の思考は吹き飛んだ。
顔面に与えられた激痛と共に。
身体も勢いに任せ、宙を舞う。
そして、冷酷な電子音が鳴った。
ピッ。
確かに自分の首元からだ。
ピッ、ピッ。
114代理投下:2007/05/16(水) 21:59:06 ID:QYBSpNAS0
心臓が跳ね上がる。全身の毛穴が開かんばかりに緊張が走った。
「乾さんッ!」
重い身体を引き摺り駆けてくるあきら。
助け出そうというのか、巧を。
しかし焦りばかりが先行する巧にも、自分がやるべき事は分かっていた。
「来るな!コイツは俺が倒す。心配はいらねーよ!!」
強がり以外の何物でも無い。
声も身体も震えている。ファイズフォンも吹き飛ばされてしまった。
だが、あきらを危険な目に合わせる訳にはいかない。
自分を守るために巻き込んでしまったら本末転倒だ。
ならば、覚悟を決めてやるしかない。
ピッ、ピッ、ピッ。
そして、禁止エリアにグランザイラスも足を踏み入れる。
ピッ。
二つの電子音は重なり合い、不協和音のハーモニーを奏でた。
「殺す…!貴様は嬲り殺しにしてやるッ!!」
冷静な思考を失っているのはグランザイラスも一緒だ。
だが、決定的に違う点がある。
元々、グランザイラスに禁止エリアなど関係ない。
ただ獲物を追い求め、己の欲求を満たすために八つ裂きにする。
それだけである。
115代理投下:2007/05/16(水) 22:01:01 ID:QYBSpNAS0
「ああ、俺も同じ考えだ。今は少しでも時間が惜しいんでな!」
駆けていくファイズとグランザイラス。
振り下ろされた鉤爪をかわし、反動で右フック。
そして間髪入れずに左ストレート。僅かながら間が開いた。
ファイズのコンビネーションが鳩尾を抉る。
度重なるラッシュに、霞のジョーにやられた傷が痛み出したのだ。
「グッ…!」
「どうした、随分辛そうだな!」
隙を逃さずに中段の飛び蹴りが脇腹を打つ。
グランザイラスが痛みに声を挙げた。
トドメ、とアッパーを放ちに掛かるファイズ。
だが、それはグランザイラスの左腕に掴まれ、阻まれた。
「何ッ!?」
そのまま驚異的握力で粉砕しにかかる。
ギチギチと骨が悲鳴を挙げ、身体が痙攣を起こした。
「ぐあああああッ!!」
今にも圧し折られそうな腕。
腹の底から出る悲痛なる叫び。
ファイズでなければ、とっくに折られているだろう。
―…だが、ここで諦める巧では無い。
5tのキック力を持つファイズ、その膝蹴りがグランザイラスの顎を砕いた。
起死回生の一撃。
「へっ、さっきのお返しだぜ…!」
「ギャアアッ!!」
得意げに微笑む巧。悲鳴を挙げるグランザイラス。
直ぐに地面を転げるグランザイラスから距離を取り、落ちていたファイズフォンを拾い上げた。
ピピピピピ。
116名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:01:42 ID:I28KInUDO
支援
117名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:02:10 ID:QYBSpNAS0
気が付けば、電子音の鳴る速さが増している。
その音に現実に戻された。
早急に決着を着けなければ…!
電子音が嫌でも気持ちを焦らせる。
即ちそれは冷静な思考を失うという事にもなるのだが。
腰に装着されているファイズポインターを右足に装着する。
そしてファイズフォンを開き、ENTER。

―Exceed charge―

身を屈め、地面に蹲るグランザイラス目掛け飛び上がる。
「ヤアアアーッッ!!」
空中で一回転、美しい弧を描き、真紅のポイント弾が放たれた。
気合一閃、内に巣食う恐怖を打ち払い叫ぶ。
クリムゾンスマッシュ。
ファイズの必殺技がグランザイラスに襲い掛かった。
ポイント弾に身を包み、必殺必中のキックが地鳴りを起こす。
しかし、グランザイラスもまた痛む身体を抑えながら立ち上がるのだった。
「舐めるな!ゴミがああああッ!!」
右手から放出される火炎放射。
本来なら焔など意にも介さず、キックが打ち消しただろう。
だが巧の身体もまた、限界に来たしていた。
「うああーッ!」
呆気無く吹き飛ばされる巧。
身を焦がす程の熱が身体を蝕んだ。
悶絶しながら地を這うファイズの背中を勢い良く踏みつけるグランザイラス。
118名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:03:02 ID:I28KInUDO
支援
119名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:03:35 ID:I28KInUDO
支援
120名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:03:54 ID:QYBSpNAS0
「ガハッ!」
その衝撃に口から鮮血が零れた。
ピピピピピピピピ!!
そして、高速で響く電子音。
絶体絶命。
横薙ぎに払われた鉤爪が顔を裂く。
甲高い音を鳴らしてファイズの装甲が砕けた。
片面だけ巧の素顔が露になった。
強硬なる意思を宿す瞳は、未だに諦めを知ることは無い。
この絶望的状況下ですら、この男は諦めはしないのだ。
「俺を侮辱した罰だ…!顔を焼いてのた打ち回れ!!」
最早それだけの時間が残されているのかも分からない。
グランザイラスは巧よりも多少時間的猶予がある筈だが。
今にも爆発しそうな首輪、向けられた火炎砲。
打つ手無し。
それでも、それでも。
この化け物にだけは屈する訳にはいかないのだ。
「(畜生…!俺は…ッ!!)」
そして…。

++

ボン!!
爆発が起こった。
121名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:04:37 ID:QYBSpNAS0
制限時間が来たのだ。
巧の首を吹き飛ばし、爆風で鮮血に彩られた生首が舞う。
そして生々しい音を立てて地面に墜落した。
意外にもこの瞬間、巧は冷静だった。
ゆっくりと過ぎていく時間。
スローモーションのように弧を描き、首の無い不気味な自分の身体が視界に入る。
ああ、俺は死んだんだと。
そう確信する。
意外にも惜しくは無い。
元々夢の無い風来坊だったのだ。
守るものも、残してきたものも無い。
いつ死んでも怖くは無かった。
ただ、自分が他人を裏切る事だけ…それだけが怖かった。
空っぽな自分の人生を振り返る。
灰色な世界を、ただ眺めている。
何も無い。つまらない人生だった。
…だが、世界は徐々に彩り始める。
オルフェノクになったこと、真理に出会ったこと、ファイズになったこと。
啓太郎に出会ったこと、草加に出会ったこと。
いつしか巧の世界は温かな純白へと変わっていった。
「…まだまだ、これから色んなことが待ってる。」
首だけであった自分に身体が。
「もっともっと、俺は変わっていきたい。」
確かになっていく口調。
目を覆いたくなるようなことだってあった。
それでも、楽しいことは負けないぐらい沢山あった。
少しずつ変わっていった自分。
成長していった自分。
「俺は死ねない!こんなところじゃな!!」
そして、身体に流れていく真紅の血液。
それは巧をファイズへと変える。
露になった片目に宿る闘志。
122名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:05:55 ID:I28KInUDO
支援
123名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:05:59 ID:QYBSpNAS0
そして高らかに叫んだ。
「俺は生きる!人間として、ファイズとしてッ!!」
「乾さんッ!」
世界は、再び変わった。

++

目が覚める。
首は、ある。
身体も、ある。
未だに鳴り響いている首輪。
今にも爆発しそうだ。
そして、踏みつけられている自分。
夢を見ていたのだろうか?
考えるのは後だ。
今は何とかしないと、いい加減背骨が折れかねない。
この逆境の中、巧の意思は少しも鈍っていなかった。
彼女の声が、巧を呼び覚ましたのだ。
「乾さんを…放せッ!」
鮮やかな音色を奏でる音笛。
それに呼応するように姿を変えるディスクアニマル・アカネダカ。
低空を滑空し、グランザイラスに襲い掛かる。
禁止エリアの外から勇気を振り絞って巧を助けたのだ。
しかし、グランザイラスの前にディスクアニマルなど虫のように非力。
一瞬で破壊されてしまう。
「こんな物が効くか!」
だが、あきらは不敵に笑って見せた。
最初から倒そうなど思ってもいないのだから。
グランザイラスの気を引き付ける、それが出来れば良い。
124名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:06:44 ID:I28KInUDO
支援
125名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:06:57 ID:QYBSpNAS0
「サンキュー、あきら!」
一瞬弱まった隙を突いて巧は再度放つ。
真紅のポイント弾を。
うつ伏せからバックキックの要領でグランザイラスの背中へ。
再び現れたポイント弾が背中を抉り取る。
「お前みたいな奴が居るんだ。人間を守る為に戦う化け物が居たって良い!」
「何!?グアアアアーッ!!」
ダメージで身を捩るグランザイラスは足を退けた。
抑えることの出来ない背中の痛みに、叫び声を挙げながらフラフラと覚束ない足取りで林の奥へ消えていく。
赤い欠片が散り、背中からまるで花火が噴射されているようである。
本来なら、このまま蹴りを放ちたいところだが時間が無い。
ピピピピピピピピピピピピピー!!
一刻の猶予も無いのだ。首輪がそれを告げている。
全力で禁止エリア外へ駆けた。
あきらが居る、その場所へ。
「間に合えーーーーッ!!」
ピーーーーーーッ!!
刹那、鳴り響く一際大きい電子音。
勢い良く飛び込み、転げまわる。
あきらの足元で、身を強張らせ、眼を瞑った。
「(ダメか!?)」
―――……。
爆発しない。
間に合ったのだ。
126名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:08:01 ID:QYBSpNAS0
「…助かった…。」
大の字で寝転びながら安堵の息を吐く巧。
そして変身が解けた。
眩い閃光が辺りを包み、満身創痍の生身へと姿を変える。
「私、約束を守りました。」
身を屈め、巧の顔を覗き込むあきら。
屈託の無い笑顔で言う。
「乾さんの所には行きませんでした。約束は守れてますよね?」
その物言いに思わず噴出してしまう。
心が満たされていくのが分かった。
感謝の念、温かな気持ち。
「…ああ。」
大の字で青空を見上げる。
やはり、この世界は悪くない。
「それとな、あきら。」
「はい?」

「さん付けは止めてくれ。…巧で良い。」
嬉しそうに頷くあきら。
それに釣られて巧も笑って見せた。
絶望の島で繋がれた確かな絆。
二人の笑顔こそが何よりその証である。
127名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:08:45 ID:QYBSpNAS0
【天美あきら@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:森林C-6エリア】
【時間軸】中盤くらい
【状態】全身のダメージ大、腹部と片手の甲に深い裂傷。
【装備】破れたインナー、鬼笛、音撃弦・閻魔
【道具】変身鬼弦(裁鬼)
【思考・状況】
1:巧を信じる。
2:天道さんと合流する。
3:どんな姿でも巧は人間だ。

【乾巧@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:森林C-6エリア】
【時間軸】中盤くらい
【状態】肉体的大ダメージ。特に顎、右腕、背中。
【装備】ファイズドライバー、ファイズフォン 、
【道具】ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰 アイロンを掛けた白いシャツ。
【思考・状況】
1:新たなる決意。
2:この場を離れる。
3:あきらを守る。
4:神崎をぶっ飛ばす。
5:天道と合流する。
※次回変身時には面割れは直っています。

128名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:09:41 ID:QYBSpNAS0
【グランザイラス@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:森林C-5】
[時間軸]:地球到着直後
[状態]:負傷大。特に背中に大ダメージ。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:傷を癒す、強大なる憎しみ。
2:霞のジョー、水のエル、乾巧、天美あきらに復讐。
3:RXを殺す。
4:ジャーク将軍は後回しにする。
※グランザイラスも禁止エリアから脱出できました。
129名無しより愛をこめて:2007/05/16(水) 22:10:58 ID:QYBSpNAS0
代理投下終了です。
130 ◆naAqV94LaU :2007/05/16(水) 22:21:18 ID:QVcgqBCvO
代理投下有難う御座います。非常に助かりました。

今回は自分の中で課題でもあったバトル描写に力を入れました。
もっと熱いバトルを書けるようになりたいなぁorz
131名無しより愛をこめて:2007/05/17(木) 00:27:33 ID:kdeA74qt0
GJ!
一瞬たっくん死んじゃったかと思いましたよ〜
生きててよかった。

もし、二回目があるとすればおそらく良太郎も出ますよね。
電王の変身ってバトロワだとなんかややこしそうな気がするw
132名無しより愛をこめて:2007/05/17(木) 00:54:09 ID:6s7M7oqCO
話はGJ!
だがキック力5トンって事はファイズは攻撃力に関しては制限がかかっていないのか?そこが気になった
133名無しより愛をこめて:2007/05/17(木) 07:05:45 ID:f9mEpvbz0
いいんじゃないか?別に
強い奴ほど制限きついんだし、グランザイラス本気で倒そうと思ったら最低でもRX級(何十t単位)の攻撃力がいるし
グランザイラスは、数tでもダメージきくように制限されてる、555は元がアレだからあんまり制限されてない、ってことで
134名無しより愛をこめて:2007/05/17(木) 07:06:39 ID:f9mEpvbz0
と、いい忘れ
GJ!555vsグランザイラス見事でした!
俺もたっくんしんじゃうかと思ってハラハラした
135 ◆naAqV94LaU :2007/05/17(木) 12:56:39 ID:QgJnwYyXO
感想有難う御座います。やはり皆さんの言葉が一番励みになりますね!

キック力5tのくだりですが、すっかり制限忘れてましたorz

『制限こそ掛かっているものの、元々キック力5tを持つファイズである。凄まじい衝撃がグランザイラスの顎を強打した。』
というような修正で宜しいでしょうか?
あと修正版の投下もしたらばで良いのかな?

>>134
それとグランザイラスの制限ですが、確かに少々強めた方が良いかもしれませんね。
強マーダーとしての性能、カリスマは持ち合わせてるので惜しい気もしますが。

まあこのままだと首輪爆発コース一直線に向かっているような気もしますw
136名無しより愛をこめて:2007/05/17(木) 13:02:10 ID:CxMknFs/0
GJ!
グランザイラスの凶悪さと、巧、あきらコンビの良さが出ていたSSだとおもいました。
既出ですが、ファイズとグランザイラスとの首輪制限を交えたぎりぎりの勝負はどちらかが死ぬのではないかとドキドキさせられました。
ただいくつか指摘事項も。
序盤でいくつか、同じ人物がしゃべっているにも関わらず、「」を分けていた箇所がありました。
また、前半視点の混乱が見えて、ちょっと読みにくかったです。
あと、死亡者リストに麻生の名前があったのに何の反応もなかったのはちょっと変かと。
状態表では麻生を探すともありましたし。
しかし、良質なSSなことは変わりありません。もう一度GJ!
137 ◆naAqV94LaU :2007/05/17(木) 13:17:34 ID:QgJnwYyXO
>麻生
orzナニヤテンダオレハ
本当にすみません…。やはり推敲は幾らやっても足りないぐらいですね。
指摘部分に修正を加えて再び投下したいと思います。

しかし直前に投下されたSSのフラグすら引き継げないんじゃなぁ…オレオワタ\(^O^)/
138 ◆naAqV94LaU :2007/05/17(木) 15:10:57 ID:nn6xBt/D0
避難所に修正版投下してきました。
指摘箇所の他にも色々いじったので、再度読んで貰えたら嬉しいです。

他に修正箇所ありましたらお願いします。
139名無しより愛をこめて:2007/05/17(木) 23:33:27 ID:UvN3cUEe0
修正お疲れ様です。
しかし、修正箇所もうひとつ見つけてしまいました。
読んでいると放送直後の話のようですが、前回の巧とあきらのSSでは11時直前に1回変身しています。
グランザイラスもそれぐらいに戦っていますし、何らかの時間が経った描写が必要になるかと思います。
140 ◆naAqV94LaU :2007/05/18(金) 00:12:02 ID:SUnOTIDMO
ご指摘有難うご座います。
今考えてみれば、確かに無理がありますね…。

放送後の情報確認などで、時間が経った描写を挿入しておきます。

俺のSSはボドボドだ…。笑え、笑えよ…orz
141名無しより愛をこめて:2007/05/18(金) 01:10:56 ID:wtgmOZSH0
>資格者の条件
カブト:我が道を往く俺様タイプ
ザビー:仲間を想うリーダー(パーフェクトハーモニー)
ドレイク:風のように自由を愛する者
サソード:全てにおいて頂点を極めようとする者
ホッパー:地獄から蘇った者
ガタック:前向きで何事も一生懸命な者

と見かけたんだが、公式?
142名無しより愛をこめて:2007/05/18(金) 07:18:04 ID:xY77DJ5+O
>>140
重箱のスミだがもう一つ指摘。
巧は上着を着ていなかったはずでは?
143 ◆naAqV94LaU :2007/05/18(金) 23:15:51 ID:Z8o5L8gp0
避難所に差し替えという形で修正案を投下してきました。
まとめサイトの管理人様、誠に恐縮なのですが修正をお願いします。
お手数掛けてしまって申し訳有りません…。

久々に執筆するとダメだなぁ。
精進します。
144名無しより愛をこめて:2007/05/19(土) 13:18:01 ID:Aus0waR6O
>>141
サソードは誰でも使える
145 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/19(土) 23:54:22 ID:FDlIsu1E0
進行状況報告。
今九割がたできています。
推敲込みで、日曜の夕方辺りに投下できそうです。
ただ容量が大きいorz

ですので、投下のときは支援をお願いします。
146 ◆AppnCvvfGU :2007/05/20(日) 12:28:52 ID:z6V+sFGn0
お待たせしました!!
キャラ紹介、明日夢あきら響鬼の3つしたらばに投下完了。
訂正追加等ありましたらよろしくお願い致します。
147名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 16:31:22 ID:+HJA7wjF0
wktkタイムが近づいて参りました
148 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 16:34:55 ID:jZNxfaKe0
>>146
GJ!
いい感じに紹介されています。特に外見の説明はありがたい。
次は誰を指定しようか、楽しみに考えていますw

今日の六時あたりに投下したいと思います。
それではまた。
149 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:02:54 ID:jZNxfaKe0
草加雅人、城戸真司、秋山蓮、リュウガ、日下部ひより、氷川誠、相川始、ドクトルG、天道総司、結城丈二、シャドームーン
投下します。
150戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:04:43 ID:jZNxfaKe0
 ホテルの受付にて、三人の男が情報を交換していた。
 一人は、癖の強い黒髪、怜悧な眼差しを宿した瞳、長身痩躯、しかし鍛えられた身体を持つ男。
 その名は天道総司。

 もう一人は、白いワイシャツに、黒いロングコートを着た男。
 黒いまとめられた髪に、鼻筋の通った真面目そうな甘いマスクをしている。
 しかし、その瞳には知性と熱さを秘めている。
 彼の名は、結城丈二。

 最後の一人は蠍を模した兜をかぶる、威厳溢れる瞳の口髭を蓄えた男。
 身に纏うのは、デストロンの象徴蠍のマークを施した紅い衣装。
 盾と斧を油断無く傍に置いている。
 戦士の名は、ドクトルG。

 話を続ける三人は、動きを止める。
 二回目の放送が、反射する物体に女を映して告げられたのだ。
 その死者を読み上げる甘い声は、その場にいる人物に怒りをもたらすには充分だった。

(加賀美……)
 肩に止まるガタックゼクターが力を失いうな垂れているように、感じた。
 自分は間に合わなかったのだ。
 天の道を行き、総てを司る男。なのに、たった一人戦友の危機に駆けつけてやれなかった。
(アメンボから人間まで、総てを救うと、お前にも言ったことがあるな)
 元は、別の人間に告げた言葉だ。
 だが、加賀美に向かっても言ったことがある。そのときの彼は呆れていた。
151戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:05:56 ID:jZNxfaKe0
 ……今の、自分のように。
(園田真理、麻生勝。俺はここから脱出できる能力を持つ。だが、たかが首輪のせいで誰も救えなかった。
お婆ちゃん、俺は本当に天の道を行っていいのだろうか?)
 答えを天は、返してくれなかった。


(風見さん……)
 その放送を聞いたときは、何かの間違いだと思った。
 あの風見が、V3が死ぬなんて、ありえないと思った。
 同時に、頭の中でこれが真実であると、冷酷に告げる。
(神崎士郎に風見さんの死を偽装する理由がない。これはおそらく真実だ。
くそっ! 俺に力があれば……ドクトルGを退ける力がっ!!)
 そうすれば、風見と合流し、彼を助けれたかもしれないのにと、後悔が胸を痛ませる。
 この半日、結城は多くの者を喪った。
 彼ら仮面ライダーの父親と言える立花藤兵衛。
 デストロンを裏切ったとき、風見とともに自分を応援し、支えてくれた珠純子。
 このゲームの無常さを訴え、マシーン大元帥に殺されてしまった園田真理。
 彼女が願いを託し、その想いに応えた仮面ライダーキックホッパー、麻生勝。
 そして、共に戦い続け、自分に仮面ライダー四号の名を送った、最高の相棒、風見志郎。
 今の結城丈二は、冷静さを無くし、ただ自分への怒りに震えていた。

「風見志郎が死んだのか」
 ドクトルGが呟き、結城は怒りに頭が沸騰する。
 彼はデストロンの幹部。風見志郎の死を喜ぶのは当然の反応で、予想の範疇。
 だが、自分の想いだけは計算を超えて止まらない。
152戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:06:49 ID:jZNxfaKe0
 風見志郎とともに戦い抜いた十数年は、絆を血を越えた兄弟へと、昇華させていた。
 怒りが顔に出ていたのであろう。天道が肩に手をかける。
 それを払って、右手は静かにライダーマンマスクを取り出そうとした。
「結城丈二、奴が死んで喜ぶのが正しい姿なのだろうが……どうにも素直に喜べん。
奴は、俺の手で殺してやりたかった……」
 ドクトルGは自分たちに背を向け、寂しげに呟いている。
 予想外の言葉に、呆気にとられ頭が冷える。
 天道の顔を見ると、同じ感想らしく、視線が合わさった。
「奴に多くの怪人をぶつけたのに、そう思うのもおかしな話だがな。
デーストロンも、二人になってしまったか……」
 ヨロイ元帥も、放送で呼ばれている事を言っているのだ。
 それは、不幸中の幸いだと思っている。奴の毒牙にかかる人間はもういない。
 右手に持つライダーマンマスクを、元に戻す。今は、戦う必要は無い。
 冷静さを取り戻した結城は、そう判断した。
「それでは、先程の話を再開してもいいか?」
「脱出の算段とやらか。だが、現実にできるのか?」
「この空間は、異次元ではあるが、俺がハイパーゼクターを手に入れれば、時空を超えることができる」
「だが、今は首輪の影響で時空を超える能力が制限されている可能性が高い、そういったな。
それなら、数を減らしていった方が効率は良くないか?」
「ドクトルG、それは暴論だ。天道くんの能力に賭けたほうが、生き残れる確率はグッと高くなる。
首輪の方は俺が何とかする。現物をばらして仕組みを理解さえすれば、解除は可能なはずだ」
「それにだ、神崎士郎の言いなりになって何の得がある?
奴のことだ。願いを叶えさせる気など無く、最後に生き残った人物を自分の手で殺すくらい、やりそうだと思わないか?」
「つまり、どの道生き残るには、神崎士郎を殺さないとならないというわけか。
首輪を解除する算段はついているのか?」
153名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:07:14 ID:Tt9IQXMAO
支援
154名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:09:45 ID:Tt9IQXMAO
しえん
155 ◆AppnCvvfGU :2007/05/20(日) 18:09:55 ID:z6V+sFGn0
支援
156戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:10:20 ID:jZNxfaKe0
「いや、今のところはまったくついていない」
「首輪の解除の算段がついていないだと? それではまったく意味が無いではないか!?」
 ドクトルGが唸るように言うと、天道は紙に文字を書き、自分たちに見せた。
 その間、自分は立ち上がってカーテンを閉め、光を反射する物質にシーツをかぶせる。
『この首輪はおそらく盗聴機がついている。首輪に関する話題は筆談で通すぞ』
 無言で、結城とドクトルGは頷いた。
『盗聴機だと? 何故そう思う?』
『俺と結城が話し合った結論だが、この主催者となるなら、参加者の監視は必須だ。
その手段の一つとして盗聴機が首輪に仕込まれている可能性が高い』
『なら、こうして筆談だけで通せば、密談ができるということか』
『そう甘くは無い。俺と結城は今回の放送で確信したことがある』
『なんだ?』
『神崎士郎は鏡から俺たちを監視できる可能性がある』
『……結城、突飛でもない発想だと、科学者の貴様は思わないのか?』
『最初は半信半疑だった。だから、今回の放送で確かめてみようと思った。
あの放送の女は、鏡から話しかけている。首輪からのホログラムの可能性も考えたが、三人が首輪を向けていない場所にも、あの女が映っていた。
全方位に映すのかとも思ったが、ホログラムを発信できるような装置がついている様子は無い。
となると、結論としては鏡に別世界があって、神崎はそこを行き来することができるということだ。
もっとも、天道くんの時空を超える能力と平行世界の話を聞かなければ思いつきもしなかったが』
「結城、その男を信用するということか?」
 ドクトルGが、敢えて声に出して、自分に確かめるように言う。
 その彼の厳しい視線から真っ向に立ち向かい、重い口を開く。
「ああ、信用できる」
「その男が、仮面ラーイダーである可能性が高いとしてもか?」
157戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:11:28 ID:jZNxfaKe0
 射抜くような視線を、今度は天道に向ける。
 焦りながら結城は天道へ視線を移すと、相変わらず悠然と腕を組む天道がいた。
(しまった。仮面ライダーである可能性が高いことは確かだ。それが無条件に天道くんを信頼してしまった理由でもある。
だが、それはデストロンの一員としては致命的だ。まさかばれてしまったのか?)
 手は汗を握り、再び右手でライダーマンマスクを持つ。
 ゆっくりと、天道の口が開かれた。
「そうだ。俺は仮面ライダーカブト、天道総司だ」
 がたっと音を立て、ドクトルGが立ち上がり、斧を上段に構える。
「待つんだ! ドクトルG!! 天道くんはこの時空から脱出できる唯一の鍵なんだ!」
「それがどうした! 仮面ラーイダーなどと組むなど、俺はゴメンだ!!」
「俺だってそうだ。デストロンと組むなど、本来ならとりたくない手段だ」
「なら……覚悟しろ」
「だが、お婆ちゃんが言っていた。
一見組み合わせの悪い食材と調味料でも、使わなければならない場面があると。
首輪を解除できるなら、デストロンが相手でも手を組む。天の道を行き、総てを司る俺はそれができる」
 その後は、不敵に笑い、無言でドクトルGを見つめているのみだ。
 まるで、お前はどうなのだ?と、挑発するように。
 ドクトルGは、手に持った斧を叩きつけた。
 だが、その刃は天道を斬りつけず、目の前の机を叩き割ったのみである。
「……仮面ラーイダーカブト。貴様と組むのは脱出までだ。それ以降は、俺の手で殺す」
「いいだろう。だが、簡単に殺せると思うな。俺は、最強だぞ」
 男二人の視線が空中でぶつかり、火花を散らす。
 お互い一歩も引かず、ただ闘志を剥き出しにしていた。

 全員が出発の準備を整えている。
158 ◆AppnCvvfGU :2007/05/20(日) 18:12:10 ID:z6V+sFGn0
支援
159名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:12:23 ID:Tt9IQXMAO
しえん
160戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:13:00 ID:jZNxfaKe0
 やがて、天道が結城に話しかけてきた。
「結城、シャドームーンはどうする?」
 突然の問いに、結城は戸惑う。
「俺としては、ここで殺す事を進める」
「……珍しく同意見だ。結城、奴は始末しておけ」
 天道に、ドクトルGが同意を示している。
 その言葉にまた、迷う。
(ここでシャドームーンを殺すのは正しいことなのか? 他に道は無いのか?
風見さん、おやっさん、何が正しいのか、俺に教えてくれ)
 だが答えは返らない。
 天道の先を促すような視線が自分を貫く。
 早く結論を出し、氷川たちと合流しなければならない。
 刹那の葛藤を乗り越え、結城は答えた。
「シャドームーンはここに置いて行こう。彼は襲われなければ、戦いを挑まないはずだ」
 この結論に、二人は呆れを含んだため息をつく。
 現実主義者の二人なら、当然の反応だ。
 それでも、結城はこの決断を変える気は無い。そして、二人にシャドームーンを殺させる気は無い。
 例え、それが間違っているのかもしれないとしても、自分の判断ミスで命を奪うのは嫌なのだ。
「分かった。だが、本当にそれでいいんだな?」
「ああ、何かあったら、俺が責任を取る」
「その言葉、忘れるな」
 言い放たれ、荷物を手にホテルを後にする。
 扉が静かに閉じられ、外の眩しさに目を細める。
161名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:13:12 ID:pbr+Q/9S0
支援
162戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:13:45 ID:jZNxfaKe0
 コンクリートで舗装された道を、三人は進んだ。


(どうにか、丸め込めたな)
 天道は、ドクトルGの物腰を注意深く観察する。
 仮面ライダーと名乗ったのは、彼を怒らせ、冷静さを失わせて挑発に乗りやすくするためだ。
 そして、真理の訴えを聞き、闇を切り裂いて、光をもたらす決意のためでもある。
 怒らせたはずのドクトルGは、もう冷静さを取り戻していた。
 武人としての佇まいは隙が無く、勝つのが容易でないのが伺える。
 それに、黒い化け物との戦いで見せた、カニレーザーとしての戦闘能力の高さ。
 あれとまともにぶつかって、無傷でいられる気がしない。
(我ながら天の道を行くものと思えないほど、弱気な考えだな)
 自嘲し、歩み続ける。
(ひより、どこにいるかは分からないが、必ず見つけ出す。それまで頑張って耐えてくれ。
もっとも、ひよりと合流する前にドクトルGをどうにかしないとな)
 いつものように自信が湧き出て、目の前の道を不敵に見つめる。
 加賀美の死に動揺はしているが、決して表には出さない。
 悲しむことは、いつでもできる。しかし、ひよりを救い、多くの人間を救うには、一分一秒でも無駄にはできない。
 だから、彼は天の道を進み続ける。
 ヒーローとして、存在するために。

 天道は知らない。
 今、探している人物が、ひよりとともにいる事を。
 結城丈二は、氷川の正義感に目が行き、ひよりの存在を天道に伝えるのを失念していたのだ。
 それが、天道の大切な者と知らずに。
163名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:14:25 ID:Tt9IQXMAO
支援
164戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:14:34 ID:jZNxfaKe0
 誰が悪いというわけではない。
 ただの不幸なすれ違い、それだけであった。



 茶髪の整った顔に、スカイブルーのダウンジャケットを着る男を担ぐ者が一人。
 黒い長髪に、誠実そうな、穏やかな顔を苦悶に歪ませている。
 鍛えられた長身は警察官の制服に身を包み、ナイフでそぎ落としたように無駄な肉はついていない。
 彼の名は、氷川誠。いまだに逃げる事を知らない男だった。
 氷川はリュウガをもう一つのベッドへと寝かせる。
 盛大なため息を、疲労感とともに吐き出す。
 やがて放送を告げる甘い声が聞こえる。
 不快感を示す氷川に構わず、響く声で殺し合いを奨励する。
 その様子に、反吐が出そうになった。
 振り向き、リュウガの顔を見つめる。
(あの時、城戸さんが僕とひよりさんを襲ったのはきっと、自分の力を制御できてないからなんだ。
アギトの津上さんと一緒、最初は大きすぎる力を制御できないで襲っただけ、そうに決まっている)
 神崎士郎に立ち向かった、勇敢な姿を思い出す。
 彼は徹底抗戦を掲げていた。その理由も、きっと戦える力を根拠にしているからだろう。
(城戸さんが起きたら、僕たちを助けてくれた男の人がどうなったか、聞きださないと。
……もし殺したというのなら、僕が一緒に彼の罪を背負う)
 氷川が思い出すのは、少女の命をかけた放送。
 力の無い少女の訴えとひよりの奮闘が、自分に力を与えここまで歩ませた。
 最も悲しむことはある。
「仮面ライダーキックホッパー、麻生さん。あなたは死ぬべき人間では無いはずなのに!?」
165戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:15:19 ID:jZNxfaKe0
 放送で知ってしまった、残酷な現実。
 このゲームに抗う者は全てこうなると、脅されているような気がした。
 だが、まだ挫けるわけにはいかなかった。
(麻生さんと再び戦いの無情を訴えたヒビキさんがまだ生きている。彼と合流をしなければ)
 まだ希望は残っている。
 自分は戦わなければならない。
 例え、仮面ライダーでなくても。
(そういえばここに来る途中、コンビニがあった。みんなが目を覚ます前に食料でも調達してこよう)
 扉を開け、外へ飛び出す。
 周りに人がいる気配は無い。
(みなさん。僕はすぐに戻ってきます。ですから、今は安静にしていてください)
 心の中で呟いて、彼は街へ出て行った。



(恵理! 待ってくれ!)
 暗闇の中、一人の男が走っていた。
 短髪に整えられた眉、怜悧な瞳、長身を黒いロングコートに身を包んだ彼の名前は、秋山蓮といった。
 蓮は死にかけのはずの恋人に声をかける。
 しかし、彼女は振り返らず、ただ遠ざかるのみ。
 必死に走るが、一向に距離が縮まらない。
 気の遠くなる時間を、走り続けたころ、ようやく恵理は立ち止まる。
(恵理……)
 呟きながら、彼女の肩を優しく掴む。
 すると、恵理は振り返った。
166名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:15:28 ID:Tt9IQXMAO
支援
167 ◆AppnCvvfGU :2007/05/20(日) 18:15:31 ID:z6V+sFGn0
支援
168名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:16:37 ID:Tt9IQXMAO
支援
169名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:18:13 ID:pbr+Q/9S0
支援
170名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:22:36 ID:Mv0ffHlX0
支援
171 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 18:43:47 ID:Tt9IQXMAO
ただいま一時投下スレにしました。できれば代理投下お願いします。さるさん…
172 ◆AppnCvvfGU :2007/05/20(日) 18:46:39 ID:z6V+sFGn0
代理いきます!!
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こちらを向いてくれたことに、蓮はホッとする。
 久しぶりに、愛する彼女を確認できると思うと、焦りは消えて、喜びが生まれた。
(なっ!)
 しかし、こちらを向いた恵理は、血まみれとなっていた。
(蓮、私の闇を切り裂いて、光をもたらすって、言ったのに……)
 瞬間、彼女は崩れ、泡となり蓮の手をすり抜けていった。
(うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!)

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 シーツを跳ね除け、蓮は跳ね起きた。
 悪夢としか言いようが無い。このゲームに優勝しなければ、夢は現実のものになってしまう。
 痛みに身体が悲鳴をあげる。それを無視して、ベッドから降り立った。
 そして……
「城戸ッ!!」
 傍のベッドで、同じように寝息を立てる男。
 蓮に借金のある人間で、仮面ライダー龍騎、城戸真司。
 起きれば彼は、自分に殺し合いを止めるように訴えるだろう。
 椅子にかけてある、自分のロングコートをとり、思わず飛び出す。
 蓮は、城戸と話をしたくなかった。
(俺は優勝をするんだ! 恵理のために!! 城戸、お前と関わる気は無い!!)
 彼は行く当ても無く、街を駆け抜ける。
 それは、まるで悪夢から逃げるように見えた。

 蓮は知らない。
 傍で眠る男が、城戸真司でない事を。
173名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:47:58 ID:Tt9IQXMAO
支援
そして、城戸真司が近くにいる事を。



「乾さん、怪我の方はどうですか?」
「ああ、もう大丈夫だ」
 気遣うように声をかけるのは、城戸真司。
 リュウガと同じく、長い茶髪に端正な顔、中程度の背丈に、スカイブルーのダウンジャケットを着込んでいる。
 答えたのは、草加雅人。
 城戸と同程度の背丈に、黒いジャケットとジーンズを穿いた、ラフな格好をしている。
 黒髪の下にある、濃い眉毛の下には、狡猾さを隠した、穏やかな瞳があった。
 乾巧と名乗っている彼は、城戸に疑われないよう対応しているのだ。
 ここ、喫茶店で休んでいるのは理由がある。
 草加の怪我の具合を、城戸が気遣ったのだ。
 それに、殺しに向かうなら、ある程度体力を回復させたかった。
「さっきの女はふざけやがって!? 何がまた会いましょうね☆だ!!」
 怒りを示す城戸に表面上同意する。
 なぜなら、今の自分は『乾巧』で、闇を切り裂き、光をもたらす『仮面ライダーファイズ』だからだ。
 他人を騙すなど、得意分野である。
「俺は、間に合わなかったんだな。麻生さん……」
「乾さん……」
 悲痛な声が聞こえ、城戸に見えないように笑みを浮かべる。
 真理を見殺しにした罪人は、死んだのだ。
 喜ばないはずが無い。
 同時に残念に思う気持ちもある。
175名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:49:32 ID:Tt9IQXMAO
支援
(麻生、奴はできれば利用したかった。そして、真理を死なせた事を後悔させ、俺の手で惨たらしく殺したかった)
 だが、死んでしまったのはしょうがない。
 真理を見捨てた罪人は、腐るほどいる。
 そいつらを殺す手段を考えていると、城戸が立ち上がった。
「乾さん、コーヒー入れてきます」
「ああ、ありがとう」
 気分転換をしようと、気遣ったのだろう。城戸が厨房の奥へと消える。
 お人好しの馬鹿めと内心吐き捨ていると、足音がかすかに聞こえ、振り返る。
 外を見ると、秋山蓮の姿を見つけた。身を隠し、様子を伺う。
 必死に何かから逃げるような様子で、こちらに気づく余裕はないようだ。
 やがて、彼はこの場から駆けて行った。
「コーヒーできました」
「ああ、ありがとう」
 礼を言って受け取る。
 草加は今の状況を整理し始める。
(秋山は警察官の制服の男と、あの人間に化けている女と一緒にいたはずだ。
なら、あそこは無力な人間と、怪我を負った化け物がいるだけか)
 コーヒーカップに口をつけ、黒い液体を少量流し込む。
 舌に痺れるような苦味が走り、頭を覚醒させる。
 ミルクや砂糖など、この苦味を薄れさせるものは入れない。
 その行程を二、三度繰り返し、中身の液体を半分ほどにして、城戸へ身体を向ける。
「城戸くん、出発しようか。それで、提案があるんだが、二手に別れないか?」
「……え? なぜ?」
「探し出す効率を高めるためさ。彼らに多くの人を犠牲にさせないために、二手に別れて発見できる確率を高めよう」
「でも、そんな事をしたら乾さんが危ないんじゃ……」
177名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:50:29 ID:Tt9IQXMAO
支援
「危険は承知の上だ。だが、もう一人でも犠牲にするわけにはいかないんだ。
真理が願いを託した、麻生さんのように……」
「乾さん……。俺も、これ以上人が死ぬなんてゴメンです。
だから、乾さんも無茶をしないで下さい。これが守れるなら、二手に別れましょう」
「ああ、約束する。君は向こうを探してくれ。俺はこの方向を行く」
「分かりました。本当に、無茶をしないで下さいね!」
「ああ、必ず再会しよう!!」
 笑顔で、城戸と別れる。
 彼の姿が消えるのを確認すると、先程とは違う種類の笑みを草加は浮かべた。
(城戸、そこに行けば秋山と再会できるぞ。まったく、馬鹿な奴ほど利用しやすい。
騙した甲斐は無いが、これで相打ちをしてくれればありがたいな。
どの道、戦った後ならボロボロのはず。勝ち残ったのが誰にせよ、満身創痍のところを殺す。
俺が乾巧と名乗った事を知っている奴に、長生きをしてもらっては困るからな)
 偽名を名乗った相手は、使い捨ての駒に過ぎない。
 シャドームーンの圧倒的な姿を見て、彼のような強者にぶつけるための手駒を増やす手段。
 そのため、南を置いてきぼりにしたのは少し痛いが、再会すればどうとでも丸めこめ、敵にぶつけれる。
(それにしても……)
 放送の事を考える。真理の死は、あの時に認識した。
 だが、北崎の名が呼ばれているのは、さすがの草加にとっても意外だった。
 このゲームの開始当初なら、自分の手で殺せなかった事実に憤ったかもしれない。
 だが、今は違う。どんな手を使っても、優勝する必要がある。
 北崎が死ぬなら、誰が殺したとしても構わない。今だから、そう考える。
 やがて身を翻し、舗装された道路を進む。
彼の心に、狂気の刃を持って。



「僕たちを助けてくれた、あの人がいない!」
 氷川が民家に戻ったとき、ベッドにいるはずの短髪の青年がいなくなっていた。
 食料を新たに詰めた、デイバックを一瞬取り落としそうになる。
「どこに行ったんだ……」
 荷物を置き、民家を飛び出す。
 彼に礼を言わなければならない。
 そしてもし、ゲームに乗っているなら、命に代えても止めなければならない。
(それが、戦う力の無い、仮面ライダーで無い僕の役目なんだ!)
 無力さなど、何度も噛み締めた。
 氷川が廃墟となった街並みを恐怖せずに進み続けるのは、まだ希望を失っていないからだ。
 目の前で人が死んだ。
 誰も守れなかった。
 理不尽な要求を突きつける強者に、ただ従うだけだった。
 守るべき者に、守ってもらってしまった。
 希望は、銃弾に叩き折られた。
 足は震え、呼吸は荒い。
 それでも、誰かを救うことを、諦めきれない。
 氷川は逃げない男だ。この、絶望しかないゲームにおいても、希望を捨てずにいるのは、そういった彼の性根からだ。

 氷川誠は知らない。
180名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:53:01 ID:Tt9IQXMAO
支援
彼もまた、仮面ライダーの資格がある事を。



 市街地を、隠れるようにして進む男が一人。
 やや小柄な身体、ベージュのコートを着込んでいる。黒い癖の無い豊かな髪に、厳しい眼差しを手元のセンサーへ向けている。
 彼の名は相川始。このゲームの、そしてバトルファイトのジョーカーだ。
 首輪探知機の反応は三つ。常にこの反応から隠れるようにして、屋根伝いに街を進む。
 右手には、ハートのA・チェンジマンティスを持っている。
 動きが止まるのをひたすら待つ。
 その瞬間、カリスへ変身し、上からトルネードを撃ち抜くためだ。
 やがて、センサーの光点が一つ増える。
 動きが、止まった。念のため、数分待つ。
 相変わらず動きは無い。
「変身!」
 カードを腹のバックルへ通す。

 ――Change――

 水飛沫のような、黒い変化が収まると、銀の胸部アーマーにハート型の瞳を持つ、黒い戦士が顕在する。
 変身した驚異的な視力で、目標を見据える。
 人影を目に入れると、僅かにカードを持つ手が震えた。
 人を殺すのが怖い。それは、ヒューマンアンデッドと剣崎から譲り受けた、博愛の精神からもたらされた。
 だが、放送の前に対峙した剣崎の姿を思い出す。
 彼は、自分のために刃を受ける事を、簡単に決意した。
 疑い、殺そうとした、破壊をもたらす化け物でしかない自分を救うために。
熱を帯びていた心が、金属のように冷えていく。
 化け物となり、友を勝者にするため、自らの心を凍らせているのだ。
 最早、カードを持つ手は一分のブレも無い。
 バイザーの溝口に、カードを立てる。視線は、人間へと向けている。
 弓状の武器、カリスアローに一枚のカードを通す。

 ――Tornado――

 小規模の竜巻が、人を殺す殺意を乗せ、放たれた。



「あそこで人影が動かなかったか?」
 天道が呟くと、残り二人は警戒して動きを止める。
 やがて、現れた男に、結城が反応する。
「氷川くん! 無事でよかった!」
 自分の名前を何故知っているのか?という顔をしている。
 徐々に、氷川に驚愕の感情が広がっていった。
「その声は風見志郎! どういうことだ? あなたは放送で呼ばれたんじゃ……」
「それについては謝ることがある。俺の名は結城丈二。
風見志郎の名を名乗ったのは、君を警戒してだ。すまない」
「警戒だと……そんな理由で、僕とひよりさんを騙したのか!!
おかげで、彼女がどんな目に遭ったと思っているんだっ!!」
 ひよりという名に、天道は神速の動きを見せた。
 結城の襟を掴む氷川に、必死の形相で迫る。
「おい! ひよりは今どこにいる!」
「あなたは誰なんですか?」
「俺の名は天道総司。あいつの、ひよりの兄だ!」
 氷川が息を呑み、今度は天道を見つめ返す。
 やがて、天道の腕を強い力で掴んだ。
「ひよりさんのお兄さん、早く彼女に会ってやってください!
彼女は今怪我をしているんです。それに、少し落ち込んでいて……」
「分かった。案内しろ」
「はい、こちらです。でも……」
 氷川が結城とドクトルGを不信の瞳で見つめる。
 彼らをひよりの元へ案内していいのか、迷っているのだろう。
「安心しろ。結城は信用できる」
「あなたがそういうなら……」
 警戒心を完全に解くことはできないようだ。
 だが、結城と一緒にいさせ、自分が解いてやればいい。
(こうも早く、巡り合うとは)
 安心を多く含んだ、ため息を漏らす。
 加賀美の時とは違い、今度は間に合った。
 そう、悲しくも確信した時だった。

「散れ!!」

 今まで黙っていた、ドクトルGが叫んだのは。
184名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:55:18 ID:Tt9IQXMAO
支援
氷川を抱えて、横に飛び退いた。

 竜巻が唸り、コンクリートを砕いて破片を飛び散らせる。
 抉られた道路は、土をむき出しにしている。
「天道さん!」
 氷川の焦りを混ぜた声が聞こえる。
 血まみれの左腕が焼けるように痛む。
 彼を庇った代償だ。
「この程度の痛み、問題はない」
 強がり、正面を睨む。
 やがて、赤いハート型の瞳を持つ、黒衣の鎧の戦士が現れた。
 戦士は、無言で刃を構えている。
 カブトゼクターを手に構える。
 しかし、天道を制するように、眼前には斧が現れた。
「とっとと尻尾巻いて逃げろ」
「どういうつもりだ?」
「フン。ヨロイ元帥も死んで、ここにいるデーストロンは俺と結城の二人のみ。
なら、なんとしてでも生き残って、ここから未知の技術を持ち帰るのが、首領に対する一番の手柄だ。
その技術を活用できる結城と、ここから脱出できる能力を持つ貴様をまだ死なせるわけにはいかない。
だが、勘違いをするな!」
 大声を出して、斧を天道の首筋に当てる。
 咽に冷たい金属の感触が当たる。
 しかし、恐怖に乱れることは無い。
 なぜなら、天の道を行き、総てを司る男だからだ。
 ドクトルGの厳しい眼差しを、真っ向から返す。
186名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 18:57:13 ID:Tt9IQXMAO
しえん
187戦士の掟は天に刻め ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:02:14 ID:jZNxfaKe0
「あくまで、脱出するまでだ! それまで、貴様の首を預けてやる。
分かったな。仮面ラーイダーカブト!」
 天道はカブトゼクターを収め、不敵な笑みを浮かべた。
 その瞳には、強敵を認める色が宿っている。
「言っただろ。俺は最強だとな。お前に倒せるかな?」
「デーストロン幹部を舐めるな。結城、こいつを見張っていろ。すぐに追いつく」
「あ、ああ……」
 結城が肩を貸し、走り出す。
 後ろで仁王立ちをし、黒衣の戦士と対峙するドクトルGを少しだけ振り返って視界に入れる。
(熱さの中に冷静さがある。ああいった奴が一番手ごわい。ドクトルG、敵ながら面白い奴だ。
生き残れば、V3とやらに代わって相手をしてやる。だから……)
「まだ、死ぬなよ」
「フンッ!」
 ドクトルGが鼻を鳴らす。
 天道は笑みを浮かべ、ひよりへ向かって駆け抜ける。
188戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:03:06 ID:jZNxfaKe0



 三人が遠のいていく気配を感じる。
 結城に監視を任せたものの、疑念は完全に溶けたわけではない。
 だが、それと同時に思うところがあった。
(結城は、甘いだけではないのか? ゆえに、ただの駒にすら気にかける。
幹部『候補』であり続けたのは、冷徹になりきれないからかもしれん。
それなら、今までの不可解な行動も説明がつく。まったく、世話の焼ける男だ)
 それはデストロンに身を置く者にとっては、唾棄すべき感情だ。
 帰ったら、鍛えなおす必要があると考える、ドクトルGに敵が迫る。
 黒衣の戦士の刃を盾で受け止め、凄まじい力に押される。
 上手く力が入らないことに、結城が制限について話していた事を思い出した。
 厄介なことだと唸って、敵の腹を蹴り飛ばす。
 突き飛ばされた敵に向かって、盾で姿を隠す。
 泡が吹き出て、自らの身体を作り変えていく。
「アバラ――――!!」
 現れた姿は、紅い衣装そのままに、鋼色の蟹を模した仮面にレーザーの発射口を持つ怪人。
 その名はカニレーザー。デストロンの勇者・ドクトルGの真の姿だ。
 異形といえる姿に、敵は恐れを示さない。
「クックック、この姿を見ても、動揺せずか……」
 自分に勝てる、そう言っているように見え、地面を踏み砕いた。
「いいだろう。このデーストロンの勇者、ドクトルGが相手をしてやる。かかってこい!!」
 斧を向け、雄雄しく叫ぶ。瞳には、ただ敵を映すのみ。
 その威圧感に、風が吹き荒れる。
189名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:04:05 ID:Tt9IQXMAO
支援
190名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:05:11 ID:Tt9IQXMAO
支援
191戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:05:18 ID:jZNxfaKe0
 威風堂々と斧を構えるその姿、まさにデストロンの勇者に相応しかった。



 大通りを駆け抜け、三人は目標の民家を目指す。
 元は歓楽街であったであろう街並みを越え、やがて激闘の痕跡を残す廃墟へ出てくる。
 鉄筋は剥き出しになり、砕けたコンクリートの破片が辺りに散らばっている。
 うどん屋の看板が、焼け焦げながら静かに倒れていた。
 店の上半分は吹き飛んでおり、内装は黒焦げである。
 雑貨ビルは窓ガラスが全て吹き飛んでいる。
 目標は近くなっていた。
 天道の腕から滴り落ちる血が、灰色のコンクリートに血の跡を染み付かせていく。
 致命傷ではないが、すぐにでも手当てをしないと、最悪左腕が使えなくなる可能性がある。
 結城が何度か手当てを提案して、氷川が同意する。
 しかし、天道は頑なに拒む。
「ひよりの元に駆けつけるのが先だ。手当てはその後でいい」
 よほど妹が心配なのだろう。
 大粒の汗が額に浮かんでいるが、涼しげな表情はそのままだ。
 強大とも言える精神力に呆れる。
 しかし、仮面ライダーの多くはやせ我慢をする者が多かった。
 自分もその一人だが、それを忘れてつい微笑む。
 彼は、天道総司は仮面ライダーに相応しい男だと、結城は確信した。
「あそこです。あそこに、ひよりさんはいます」
 氷川に向き、頷く。彼に信頼はしてもらえていない。
 それも当然である。駆けながら聞いた話では、シャドームーンは約束を守ってくれたが、ひよりに無理をさせ、殺戮者二人に襲われたらしい。
 彼が怒るのも無理は無い。自分の判断は、結果的に二人を危険に晒したのだから。
192戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:06:25 ID:jZNxfaKe0
(風見さん、俺は仮面ライダーに相応しいのでしょうか?
俺の判断が、何の罪も無い二人を危険に晒したんです)
 死人は答えない。プルトン爆弾のとき、自分はギリギリのところで助かったが、今回の風見志郎の死は真実だろう。
 風見志郎がいない。襲われたことと、ドクトルGの意外な態度にしばらく抑えていた喪失感が蘇った。
 力の無い自分に、歯噛みをする。
「天道さん、そろそろひよりさんがいる民家が見えてきます!」
 氷川が、嬉しそうに声をかけてくる。
 彼があの場にいる理由は先程聞いた。
 消えた短髪の、黒いロングコートの青年を探していたらしい。
 天道を案内し終わったら、一人でも探しに行くといっていた。
 だが、そうはさせない。探しに向かうのは、自分一人でいい。
 彼を再び危険な目には遭わせたくない。
 そう願っていると、白い民家が見えてきた。
「あそこです! あそこに……」
 彼の言葉は最後まで出なかった。
 代わりに、地面を火花が走り、爆発音がその場で轟く。
 威嚇射撃だろうか? 怪我を負った者はいない。

 ――カシャッ、カシャッ

 聞きなれた、無機質でありながら威厳を持つ、銀の足音が静かな廃墟に響く。
 振り向くと、太陽の光を反射する、銀の光沢を持つ金属で身を包み、黒いベルトの中央には緑の石が埋め込まれていた。
 石と同じ色を持つ両瞳に、黒いクラッシャーが存在する姿は、まるで仮面ライダーのようだった。
 右腕のエルボートリガーは砕け、腹にはドリルによる刺し傷が残ってはいる。
 しかし、多くの催眠時間は、彼に回復の暇を与え、傷はふさがりつつあった。
193名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:06:37 ID:Tt9IQXMAO
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194名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:07:28 ID:Tt9IQXMAO
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195戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:07:35 ID:jZNxfaKe0
「お、お前は……」
 氷川がその姿を認め、呟く。意外な再会に、驚いているのだろう。
「見つけたぞ! 風見志郎!」
 シャドームーンが声をかける。どうやら、自分を探しに来たらしい。
 目的は、見当がついた。
「俺に仕返しをしにきたのか?」
「あのまま負けたままなど、俺の誇りが許さん! 変身しろ、風見志郎!!」
 両拳をあわせて、作り上げた長短二振りの剣を持ち、右手側の長剣を自分に向けた。
 ため息をつき、ライダーマンマスクを取り出す。
 これは、自分の判断ミスだ。
 あの時、天道やドクトルGに言われた通りに殺しておけば、天道や氷川を危険な目に遭わせることは無かった。

 ――その言葉、忘れるな――

 決意できなかったときの、天道の言葉が蘇る。
 忘れるわけが無い。自分が責任を取るため、天道たちに逃げるよう促そうと振り返ると、
「シャドームーン、選手交代だ。俺が相手をする」
 ベルトを巻いた天道が、カブトゼクターを構えて自分たちの前に立ちふさがった。
「な!? 天道くん!」
「ひよりと氷川を頼む。こいつは、俺が倒す」
「その言葉を忘れるなといったのは、君だぞ!」
「ああ、だから氷川とひよりを守って、首輪を解除する手がかりを掴んでくれ。変身!!」
 彼は叫んで、銀のベルトの中央に紅いカブトゼクターをセットする。

 ――HENSIN――

 ベルトから泡のように、銀と紅の金属が精製され、銀の鎧を着込んだ戦士を形成する。
196戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:08:21 ID:jZNxfaKe0
 青い単眼、額にVの字のアンテナ、胸部は赤い銀のアーマーを持つ戦士、仮面ライダーカブト・マスクドフォームが、姿を現した。
「ガタックゼクター。すまないが、しばらく彼らとともにひよりを守ってくれ。
結城、もし俺を見失ったら、一番高いビルの屋上に向かってくれ。四回目の放送までには駆けつける。乾という仮面ライダーファイズもそこに来る」
 ガタックゼクターと呼ばれた機械が頷くような動作をし、自分の肩に止まる。
 その様子を静かに見つめていたシャドームーンが、無言でカブトとの距離を一瞬で詰めた。
 紅い刀身で太陽の光を反射させ、風を唸らせカブトに迫る。
 火花が散るが、シャドームーンの剣はカブトの斧に受け止められていた。
 シャドームーンは左手の剣で突きを入れる。剣の先端を、紙一重でカブトがかわし、敵の腹に蹴りを入れようとしている。
 だが、その蹴りは空振りする。しかし、それは予想通りだと言わんばかりに、カブトは斧を持ち替え、銃のように構えて引き金を引いた。
 銃弾が発射され、シャドームーンが後方に飛び、三発の銃弾を回避する。
 敵は着地し、二人は対峙して睨みあう。
「いいだろう。全力を出せる十分間、今はお前に使ってやる。だが、手負いの状態で俺に勝てるかな?」
 どうやら、天才的な戦闘センスで、シャドームーンは制限に気づいたらしい。
 強大な相手を目の前に、カブトが鼻を鳴らし、天に指をむける姿が眼に入る。
 怪我をものともしないその姿、自分の知る仮面ライダーとダブって見えた。
「太陽に向かって勝つと宣言するとは無謀だな。シャドームーン」
「……貴様も太陽の化身を語るか」
 空気が張り詰め、乾いた風が通る。
 二度目の激突と同時に、結城は氷川を掴んで、民家へと駆け出した。



 リュウガが目を覚ますと、氷川の姿が無かった。
 白い壁で囲まれた、やや広めの民家を見渡す。
 デイバックが五つ置いてある。
197名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:09:02 ID:Tt9IQXMAO
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198名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:10:12 ID:Tt9IQXMAO
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199戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:10:21 ID:jZNxfaKe0
 自分の物と、氷川たちの物なのだろう。
 秋山蓮の姿は見えない。城戸と間違われ、話しかけられる心配は無いと、少し安堵する。
「お前……氷川がどこに行ったか、知らないか?」
 女の声に振り返る。名前は確か、日下部ひよりといったはずだ。
「いや、知らない」
「そうか」
 短いやり取り。二言だけで、会話といえない交わりは終わった。
 沈黙が民家を支配し、やけに重たい空気が流れる。
(氷川とも、似たような感じになったな)
 もともと鏡の世界の存在でしかないリュウガが、人との交流の術を知るわけが無い。
 おまけに、ひよりはこちらを向こうともしない。嫌われたのだろうか?
 ため息とともに重苦しさを吐き出すと、ドアに近いデイバックの口が開いているのが見えた。
 近付いて、パンを二つ取り出し、一つをひよりに放り投げる。
「食っておけ。そろそろ昼も過ぎているだろう」
「僕はいい」
「食わないと、身体が持たないぞ」
「いいと言っているだろ! 放っておいてくれ!」
 急に怒鳴られ、目を白黒させる。
 自棄になっているよなその姿に呆れてしまう。
 理由は知らないが、放って置くわけにも行かず、デイバックを手に近寄る。
「食うんだ。こいつは、おそらく氷川が危険を冒して、俺たちのために調達したものだ。
無駄にするのは、奴の気持ちを踏みにじることになるぞ」
 リュウガにとって、精一杯誠意を込めた説得をする。
 彼女は渋々と受け取ったパンの袋を開け、ゆっくりと食べる。
 その様子に安心し、自分もパンをかじり始める。
200戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:11:09 ID:jZNxfaKe0
 手の平サイズのパンが、一かじり、二かじりと小さくなっていく。
 リュウガが完食したとき、ひよりはまだ半分も食べていなかった。
 またも、沈黙がやってくる。何か話題が無いかと、頭の中を探す。
「そういや、氷川が戻ってくるの遅いな」
「何かあったんだろう。どうせすぐに戻ってくる」
 またも、完全に話が終わってしまった。
 女にしては無愛想な物言いに、自分の事を棚に上げてもう少し愛想を良くできないのかと思う。

(女といえば……神崎優衣は今どうしているのだろう)
 神崎士郎が絡むなら、彼女が関わらないはずが無い。
 自分の産みの親ともいえる彼女を救うため、神崎士郎は例外なくライダーバトルを何度も繰り返している。
 彼女が会いたい友達をかたどって作られた存在。城戸真司の影で、紛い物。
 それが自分だ。しかし、不思議と神崎優衣を嫌う気持ちは無い。むしろ、できるなら彼女の助けになりたいとすら、思っている。
 城戸真司と融合する時に言った、「神崎優衣を救うため」も嘘ではない。
 本気で、彼女を救ってやりたいと、願った。
(まったく、俺は何を考えている。この女と神崎優衣を重ねているのか?
馬鹿らしい。どこも、似たところは無いじゃないか)
 自嘲し、頭を振る。正直、自分の目的を見出せてはいない。
 城戸真司を取り込むとは決めているが、正直その後どうしようかと考え、迷ってしまった。
 もしかして、自分には未来が無いのか?という思いが生まれ始める。
 リュウガは何も持たない。神崎士郎のように救わねばならない妹も、城戸真司のような純粋さも、秋山蓮のような必死さも。
 神崎士郎のいいなりになって、『ジョーカー』を演じているのはそれ以外にすることが無いからだ。
 今までなら、城戸真司を取り込んだ後は、そのまま参加者を減らしていけばよかっただろう。
 実際そう思っていた。だが、リュウガは目の前にいる少女を殺すことができない。
(神崎は何を考えて、こんな娘を参加させたんだ?)
201名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:11:16 ID:Tt9IQXMAO
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202名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:12:04 ID:Tt9IQXMAO
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203戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:12:36 ID:jZNxfaKe0
 奴の考えていることは、相変わらず分からない。
 以前のライダーバトルは戦う力を持つ者しか参加していない。だが、この殺し合いを通して、望月博士や、真理とかいう拡声器を使った女など、戦う力を持たない者も参加している。
 目の前のひよりもそうだ。その事実が、なぜかリュウガの心に漣を立てていた。

 三十分ほど経った時、轟音が轟き、天井の埃が僅かに降ってくる。
 即座に反応して、カーテンを開けて窓から外の様子を伺う。
 いつの間にか、ひよりも傍で外の様子を見ている。
「ッ!! あいつ……天道!」
「知っているのか?」
 リュウガの問いに、ひよりは沈黙を返す。彼女は唇を噛み締め、ドアへ走り出す。
 しかし、傷が痛むのだろう。足を崩して、倒れる。
「おい、無茶をするな」
「離してくれ。あいつを、天道を助けるんだ」
「……なんでそんなに必死になるんだ。自分の怪我も痛むのに」
 それは、ひよりだけに問いかけたわけではない。城戸真司に、麻生に、誰かを助けようとする人々全てに問いかける。
 リュウガは知りたかった。あのとき、氷川やひよりを守るために立ち向かった、自分の感情の名を。
「……だから」
「ん?」
 聞き取れず、彼女に顔を寄せる。すると、一瞬緑色の、異形の姿が浮かんで消えた。
「僕は、化け物だから。あいつの妹である資格が無い化け物だから、せめて誰かを助けたいんだ」
 涙を浮かべ、ひよりが呟いた。消えていくような声に、一人の女性の声が重なる。

 ――お兄ちゃん。ごめんね――

 彼女、神崎優衣は自分の存在を厭い、他の誰かを救うため、兄を救うため、自ら命を断った。
204戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:13:28 ID:jZNxfaKe0
 ひよりも兄を救うため、自分の怪我の具合を無視して戦いに向かおうとしている。
 その姿に、助けになってやりたいと望む自分がいる。これではまるで、城戸真司と変わらない。
 それがやけに、心地よかった。
「いいんだ。今は、休んでいて」
 首筋に手刀を当て、気絶させる。彼女の身体は軽かった。
 暖かな体温を手に、正面を見据える。
「神崎、聞こえているな? 俺は『ジョーカー』をやめる。文句があるなら、オーディンでも爆破でも何でもしろ。相手をしてやる」
 ひよりを抱きかかえ、ドアへ向かう。戦場が近い事を、肌で感じる。
 苦悶の表情を浮かべる彼女に、無意識に優しい表情を浮かべた。
(安心しろ、日下部ひより。俺がお前の兄を助けてやる。
それで、お前の事を化け物呼ばわりするようなら、俺が殴る。本当の化け物は、俺だけだ)
 ドアノブに手をかけ、捻る。開けられたドアの正面には、ちょうど氷川と知らない男がいた。
「城戸さん!」
「状況はある程度掴んでいる。氷川、ひよりを連れて行け」
 ひよりを手渡し、カードデッキを掴もうとして、考え直しオーガドライバーを手に取る。
 ドラグブラッカーの怪我を案じたのだ。
「あのシャドームーンは強い。今は彼女を連れて逃げ出すべきだ」
「あそこで戦っているのはひよりの兄なのだろう? なら、俺が助ける。
すぐに追いつくから、今は離れていろ。いいな」
 真面目そうな男と、氷川に言い放ち、オーガドライバーを腰に巻いて、黒い装飾の携帯を取り出す。
 指で押すエンターコードは0・0・0。スタートボタンとともに、電子音が天に響いた。

 ――Standing By――

 携帯を折りたたみ、地面を蹴って走る。
205名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:14:01 ID:Tt9IQXMAO
支援
206戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:14:51 ID:jZNxfaKe0
 待機音を引き連れ、右腕を上げて彼は叫んだ。

「変身!!」

 ベルトに携帯を差し込み、金のラインがリュウガの胸元で丸を作りながら包む。
 金の光が廃墟を照らし、黒い装甲を形成していく。
 金で縁取りされ、胸と額に紅い宝玉を輝かせ、マントを翻しオーガとなったリュウガは、赤い瞳でシャドームーンを睨みつけた。

 ――Complete――

 ベルトのミッションメモリーを取り出し、オーガストランザーへと装着する。

 ――Ready――

 光が刃を作り上げ、上段に振り上げる。
「うおおぉぉぉぅぅぅ!!」
 雄たけびを上げ、銀の王子へと振り下ろした。
 しかし、傷が痛んで音速の振りが僅かに鈍る。敵は剣を後方に飛び退きながら避け、光線を発射した。
 光が腹を焼いて、火花を散らす。たたらを踏むと、右隣に屈強な戦士が並び立った。
「一瞬、乾が来たかと期待したな」
「誰のことだ? まあいい。とっととひよりのところに行け。こいつは俺が相手してやる」
「いや、俺が相手をする。お前こそひよりを守っていろ」
「左腕を怪我しているのだろ? 動きで分かる」
「お前の方こそ戦ったばかりだろう? 連戦は身体にこたえるようだな」
「どちらでもいい。まとめて相手してやる」
207 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:17:55 ID:Tt9IQXMAO
ふたたびサルさん規制食らいました。
誰か代理投下お願いしますorz
208戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:27:44 ID:sr+y/rb30
 言い争う二人に、シャドームーンが告げた。カブトの口の減らなさに辟易していたオーガは、早くこいつを倒して無理矢理連れて行けばいいと考え、剣を構える。
 並び立つカブトは、カブトゼクターの角を浮かせ、銀のアーマーをせり上がらせた。
「キャストオフ」

 ――Cast Off――

 ゼクターの角を反転させると同時に、アーマーが高速で飛び出し、カブトの顎から角が上がっていく。
 青い単眼を複眼に変え、瞬きながら電子音を発する。

 ――Change Beetle――

 電子音に応えるように、オーガは剣を構えて敵を睨みつける。
 天の道と並び立つ、帝王となった龍。その姿はまさしく、

 ――闇を切り裂いて、光をもたらす――

 仮面ライダーだった。

 リュウガは知らない。
 ひよりと優衣が持ち、彼がひよりを守る事を促した感情の名を。
 それは、『献身』。
 人を思いやり、尽くしてやりたいと願う、心の強さだった。
209戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:29:15 ID:sr+y/rb30
【リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:劇場版登場時期。龍騎との一騎打ちで敗れた後。
[状態]:中程度の負傷。迷いは無い。オーガに変身中。
[装備]:リュウガのカードデッキ。オーガドライバー(オーガストランザー付属)。コンファインベント。
[道具]:なし。
[思考・状況]
1:シャドームーンを倒し、ひよりと天道を再会させる。
2:自分の今の感情の名を知りたい。
3:神崎に反抗。
4:城戸を取り込むかどうかは、保留。
[備考]
※ドラグブラッカーの腹部には斬鬼の雷電斬震の傷があります。
※津上、小沢、木野の情報を得ました。
※第二回放送を聞き逃しています。


【天道総司@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:ハイパーゼクター入手後。
[状態]:中度の疲労、全身に軽い打撲、左腕に重傷。カブトに変身中。
[装備]:カブトゼクター&ベルト。カブトクナイガン。
[道具]:食料など一式。
[思考・状況]
1:シャドームーンを倒す。
2:結城と氷川とひよりを逃がし、後に合流。
3:一刻も早く、乾、あきらと合流する。
4:全てが片付いたら、加賀美を埋葬しに行きたい。
5:ドクトルGが生き残るようであれば、V3に代わって決着をつけてやってもいい。
210名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:29:44 ID:Tt9IQXMAO
支援
211戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:30:26 ID:sr+y/rb30
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:RX27話以降。
[状態]:戦闘中。右腕のエルボートリガー破損。腹にドリルによる刺し傷。しかし、いずれの怪我も問題ない程度に回復。
[装備]:シャドーセイバー
[道具]:なし
[思考・状況]
1:目の前の二人を倒す。
2:風見志郎(結城丈二)に借りを返す。
3:RXを探し出し、決着をつける。
[備考]
※第二回放送を聞き逃しています。



 氷川と結城は、ひよりを連れて廃墟を抜け、やがて団地の並ぶ住宅街へと出てきた。
 振り返ると、戦っている三人の姿は無い。氷川は何の力にもなれない自分に、無力さを噛み締めた。
(僕は何もできない。天道さんとひよりさんを会わせることも、城戸さんの助けになることも。
僕は無力だ。せめてG3さえあれば)
 握る拳が痛い。爪が皮を破り、血がにじみ出る。
「氷川くん。とりあえずどこか落ち着けるところで彼女の怪我を診よう。早く手当てをしないといけない」
 俯いていた顔を上げ、結城を睨みつける。そんなこと、言われなくても分かっていると。
212名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:31:47 ID:Tt9IQXMAO
支援
213戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:32:02 ID:sr+y/rb30
 ゴーストタウンと化した街には、音と人の気配は無い。駐車場を越え、三人は適当な部屋へ向かおうとした。
 青い空がやけに眩しい。忌々しげに太陽を見ていると、青い点が眼に入った。
 いや、あれは……
「危ない!」
 とっさに結城を突き飛ばす。青い虫型メカが高速で迫ってくる。
 身を捻り、自分もかわそうとしたが、メカの爆発に巻き込まれ、壁に身体を叩きつけられた。
「氷川くんッ!!」
 結城の叫び声が聞こえる。パラパラとネックレスが砕け落ち、黒く焦げている身体が眼に入る。
 ああ、間に合わない。そう思考しながら、意識が闇へと落ちる。
 あの機械は以前自分たちを襲ったもの。殺戮者が近くにいて、自分たちを殺そうと狙っている。
 ひよりが危ないと強く思うが、身体に力が入らない。ただ無念しか浮かばず、氷川は意識を手放した。


 氷川が倒れるのが目に見える。爆発するタイミングが早かったため、まだ生きているが、重傷であることは変わらなかった。
 発射されただろう場所を見つめると、黒いジャケットを着た男がいた。
 持っている円盤状の武器を向け、先程の虫型メカを大量に吐き出してくる。肩に止まるガタックゼクターに似た爆弾は、殺意を乗せて襲ってきた。
「ヤー!」
 ライダーマンマスクを掲げ、装着する。青いマスクに、赤い複眼が二つ。触覚が二本存在して、逆Vの字に銀と緑と赤が彩る。
 口元は露になり、怒りの感情をダイレクトに表現していた。全身は黒のスーツに包まれ、胸部は赤のプロテクター、白のグローブとブーツを着用している。
 黄色いマフラーをなびかせ、仮面ライダー四号・ライダーマンが仁王立ちした。
「ネットアーム!」
 カセットアームにより変化した右腕が、ネットを噴出し青いクワガタメカの群れをまとめて取り囲む。
 続けて、もう一つのカセットアームを取り出し、装着した。
「マシンガンアーム」
 薬莢が飛び出し、マシンガン特有の連続的な発射音が住宅街に響いた。
214名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:32:32 ID:Tt9IQXMAO
支援
215戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:32:49 ID:sr+y/rb30
 銃弾は爆弾に穴を穿ち、盛大な爆発音が轟く。
 破片が降る中、降りてきた男と対峙する。
 男は携帯のボタンをいじったかと思うと、先程のオーガの変身過程と同じように待機音を引きつれ回転させて収める。
「変身」

 ――Standing By――
 ――Complete――

 携帯が男のベルトに納められ、黄色いラインが身体を走る。紫の瞳をX状に黄色いラインが角を形作っていた。
 黒銀のアーマーに黒い強化スーツをつけた戦士がライダーマンの目の前に立ちふさがる。
「その姿、天道くんが乾くんから聞いていた、仮面ライダーカイザ、草加雅人か。何故こんな事をする?」
「ほう、乾に会ったのか。クックックック……」
 嫌な笑い方をする。結城は怒りに沸騰する頭の、冷静な部分で思った。
 仮面ライダーにしては、邪気を放ちすぎている。
「君は、あの真理という少女の放送を聞いていたのだろう! 彼女に期待されていただろう! なのに何故!!」
「真理の名をお前たちが口にするな! 真理を見捨てた罪人のお前たちがなァ!」
「罪……人……?」
 怨嗟の降り積もった言葉を向けられ、ライダーマンは胸が痛んだ。
 自分は、仮面ライダーなのに真理を救うことができなかった。その事を怨んで、自分を殺そうと狙ったなら、仕方ないと思う。
 しかし、草加はひよりと氷川をも殺そうとした。罪の無い人を殺されるのを見逃すのは、仮面ライダーとして、許すわけには行かない。
「確かに俺は罪人かもしれない。だが、何の罪の無い人の死を望むのなら、お前は倒す。
カイザ、お前は仮面ライダーではない!」
「ほざけ! 真理さえ生き返れば、どうなったっていい!!」
216名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:33:44 ID:Tt9IQXMAO
支援
217戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:33:56 ID:sr+y/rb30
 カイザがミッションメモリーをカイザブレイガン付け、刃を精製する。

 ――Ready――

 逆手に剣を構え、自分と対峙する。ライダーマンは、悲しみに満ちた表情でカセットアームを取り出した。
「パワー……アーム」
 カイザが駆け出し、剣を上段から振り下ろす。
 パワーアームで受け止め、ふと考えた。
(ガタックゼクターはどこに行ったんだ?)
 しかしそれも、カイザの猛攻に霧となって消える。
 剣を斬り結ぶ音が、辺りに響いた。



 ガタックゼクターは飛ぶ。この辺りにある、加賀美の死体へと。
 ガタックゼクターは鳴いて、泣いていた。ひよりを守るために、自分が出来る最大限の事をしなければならない。
 そのために、新たな資格者を選んでしまった事を、悲しくなった。加賀美を裏切ったような気がして、加賀美の期待に応えたような気がして、相反する二つの感情に、泣いていた。
 高速で飛んで、瞳を瞬かせ、浮かぶ光の軌跡の残像は、涙の無い機械の涙に見えた。
 新しい資格者は、加賀美に負けないくらい絶望に立ち向かっている。その事を嬉しく思いながらも、加賀美にもう会えないのが強調され、悲しかった。
 やがて加賀美の死体が見えてきた。顎で加賀美の銀のベルトをはずし、取ろうとして躊躇する。

 ――もうやめようか。別に、天道は新たな資格者を選べとは言っていない――

 これを外せば、加賀美との繋がりは完全に断ち切られてしまう。それが怖くなった。
 つい、これを持たずに引き返し、ただ援護するだけでいいのでは?と考えてしまう。
218戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:34:42 ID:sr+y/rb30
 弱い考えだ。それは、魅力的なほどに。
 それほどまでに、三十五年前からの結びつきは強かった。
 数瞬の逡巡。やがて、ガタックゼクターはベルトを掴んで、再び飛んだ。
 ひよりを守る。それは、天道と加賀美の共通の願いだ。
 それを無視して、自分の欲望を優先させるようでは、加賀美のパートナーとしては失格だ。
 彼は強かった。例え、強敵に襲われても、友が殺し合いに乗っていても、逃げずに立ち向かい続けた。
 その姿を、相棒の自分が汚すわけにはいかない。
 ガタックゼクターは飛ぶ。来た道を戻って。
 ガタックゼクターは鳴いて、泣いていた。



 ぼんやりとした頭で、手に何か固い感触が当たるのを、氷川は感じた。
(これは何だ?)
 耳元に何かが鳴く音が聞こえる。焦げた皮がバリバリと言いながら剥がれていくのが感じる。
 激痛を感じながらも、思考は霧がかかったようにはっきりしない。
 手探りで感触を確かめると、何かのベルトのようだ。鳴き声が、それを巻けといっているように感じた。
 銀のベルトを腰に巻き、氷川は見えてないが、ベルトの中央が瞬いた。
 身体に力が沸いて出てくる。痛みが幾分和らいだ。これなら、
(僕は、戦える!)
 目を見開き、まだ痛む身体に鞭を打って立ち上がる。
 足は震え、視線は定まらない。それでも、氷川は立ち上がる事をやめない。
 ガタックゼクターが、右腕に収まった。おそらく結城が変身した姿だろう、ライダーマンが押されている。
 彼は、自分たちを守るために戦ってくれた。疑った自分が恥ずかしくなる。
 ひよりが近い。彼女とライダーマンを救うため、氷川はふらつきながら近寄った。
219名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:34:54 ID:Tt9IQXMAO
支援
220名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:35:52 ID:Tt9IQXMAO
支援
221戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:35:58 ID:sr+y/rb30
「やめろ!」


 ライダーマンはカイザの剣を辛うじて受け止めた。
 疾風の四連撃、受け止めるのが精一杯だった。その彼に、カイザは容赦なく蹴り飛ばす。
「どうした? 君は、仮面ライダーなんだろ?」
 馬鹿にしたような呟きに、クッと唸って、ロープアームを取り出す。
「ロープアーム!」
 ロープがカイザの足を掴んで、引き倒す。しかし、転んだカイザは受身を取って、ベルトの携帯を銃に変えて光弾を放った。
「ガッ!」
 ライダーマンが痛みに身を捩じらせている隙に、カイザはロープを切り裂いて、間合いを一瞬で詰める。
 腹に拳を叩き込まれ、身体をくの字に曲げる。その自分の胸に鋭い蹴りが突き刺さり、吹き飛んでコンクリートの壁を砕いて地に伏せる。
「フン。もう終わりか?」
「ま、まだだ……」
「何をそんなに頑張るのかな? こんな化け物を庇ってさ」
 ひよりを指して、カイザが嘲笑する。その言葉に、ライダーマンが疑問を浮かべた。
「化け物?」
「知らなかったのか? その女は人間に化けている化け物だ。仮面ライダーは化け物を守るものなのかな?」
 カイザは咽奥で笑い、ひよりに近寄ってくる。ライダーマンはマシンガンアームを向け、銃弾を放った。
 カイザは横の飛び退いて、銃弾をかわす。
「何をするのかな?」
「彼女の兄に守るように頼まれている。それに、姿形は人を人として証明する手段じゃない」
「じゃあ、何が人を人とするのかな?」
 ライダーマンの心に浮かぶのは、異形の姿に変えられても人を守る事をやめなかった、十人の戦士。
222戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:37:12 ID:sr+y/rb30
 自分たちがいる限り、まだ見ぬ戦士がいる限り、死なせはしない。ライダーマンには意地が残っていた。
「心だ!」
 ライダーマンの答えに、カイザは呆れ、頭を振って剣を構える。
 ひよりを殺して、返す刀で自分を殺すつもりなのだろう。そうはさせない。
 ライダーマンは全身に力を溜める。その時だった。
「やめろ!」
 突如、氷川の声が聞こえたのは。驚き、振り返ると銀のベルトを巻いた彼が、ふらつく身体でカイザを睨みつけている。
 先程より、幾分回復しているようだが、そのことに驚くよりも、まだ動ける状態でないことに気が行く。
「氷川くん! 無理をするな!」
「結城さん。いや、ライダーマン! ここは、無理をする場面です!」
 言い放ち、氷川が左手を腰に当て、ガタックゼクターを掴む右手を前に突き出す。
 徐々に手前に引いていく。ライダーマンは知らないが、その姿は、彼が憧れ、ともに並んで戦った戦士、アギトの変身ポーズだった。
「変身!!」
 叫んで、左手は左腰を叩き、右手はガタックゼクターをベルトの中央へとセットした。

 ――HENSIN――

 カブトと同じく、泡のように青と銀の金属が精製されていく。黒いスーツの上に、銀の鎧を着込んだ、青い仮面ライダー。
 肩に大口径の銃をセットし、赤い瞳にはカイザを映している。
 加賀美新の想いを受け継ぎし戦士、仮面ライダーガタック・マスクドフォームが、氷川の力となって現れた。


 ガタックゼクターは、加賀美の声が聞こえた気がする。
 その声は、優しく彼に礼を言っていた。
 ガタックゼクターは鳴いて、泣いていた。
223名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:37:13 ID:Tt9IQXMAO
支援
224戦士の掟は天に刻め ◇TJ9qoWuqvA:代理:2007/05/20(日) 19:37:57 ID:sr+y/rb30
【草加雅人@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:ファイズ終盤。
[状態]:背中に切り傷。参加者全員への強い憎悪。カイザに変身中。
[装備]:カイザドライバー(カイザブレイガンのみ付属) 、ゼクトマイザー。
[道具]:ファイズアクセル、三人分のデイバック(佐伯、純子、草加)
    ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
    マイザーボマー(ザビー、サソード、ホッパー)
[思考・状況]
1:目の前の三人を殺す。
2:ゲームの参加者の皆殺し。
3:目の前のライダーの変身者が違うことに若干疑問。
4:秋山蓮、城戸真司生き残ったほうを始末する。
5:更に頼れる仲間を集める。
[備考]
※珠純子の死を秋山蓮に擦りつけようと考えています。
※自分のことを乾巧と偽っています。展開に応じて、臨機応変に対応。
※ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。
※目の前の出来事で、青いライダー(加賀美)が死んだ可能性に気づき始めています。
225名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:38:12 ID:Tt9IQXMAO
支援
226名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:39:21 ID:Tt9IQXMAO
支援
227名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:40:07 ID:pbr+Q/9S0
支援
228戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:47:41 ID:jZNxfaKe0

【結城丈二@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:仮面ライダーBLACLRX終了後。
[状態]:若干の負傷。ライダーマンに変身中。
[装備]:カセットアーム
[道具]:トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)、名簿を除くディパックの中身一式
[思考・状況]
1:カイザを倒す。
2:一刻も早く、氷川くんとひよりの手当てをする。
3:天道、及び乾巧と合流する。
4:首輪を外すために必要な情報をもっている人物と首輪と同様のテクノロジーをもつ道具を探す。
5:同一時間軸から連れて来られたわけではないことを理解。ドクトルGを利用することを模索。
229戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:48:29 ID:jZNxfaKe0

【氷川誠@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:全身に重度の火傷。疲労大。ガタックに変身中。
[装備]:拳銃(弾一つ消費)・手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず)
    ガタックゼクター&ベルト。
[道具]:ラウズアブゾーバー、トランシーバー、但し書きが書かれた名簿
    ラウズカード(ダイヤの7と9、クラブの8と9、スペードの3)
    ファイズショット。デザートイーグル.357Magnum(4/9+1)
    デイバック五人分(氷川、ひより、リュウガ、岬、明日夢)
[思考・状況]
1:目の前のカイザを倒す。
2:何としてでも二人を守る。
3:木野薫、天道総司、城戸(リュウガ)、小沢澄子、津上翔一との合流。
4:此処から脱出する。
5:短髪でロングコートの青年を探す。
6:ラウズアブゾーバーを知る人物の捜索。
[備考]
※結城丈二への猜疑心は、かなり和らぎました。
230名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:49:29 ID:Tt9IQXMAO
支援
231名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:51:22 ID:Tt9IQXMAO
支援
232戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:51:28 ID:jZNxfaKe0

【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]: 本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷。気絶中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:気絶中。以下は気絶前の思考。
2:天道を助けたい。
3:天道と戦っていたのはもしかしてシャドームーン?
[備考]
※第二回放送を聞き逃しています。
※フライパンはF-7の道路に放置してあります。



 カニレーザーにカリスアローの光弾を放つ。盾に遮られ、カニレーザーが地響きを立てながら迫る。
 斧が振り下ろされ、辛うじてかわす。電柱が斬られ、斜めに線が入ると轟音を立て、ほこりを舞い上げながら崩れていく。
 力では到底叶わない。しかし、距離をとればホテルでくらったレーザーが発射される。
 なら、勝る素早さで翻弄して、息もつかせぬ連続攻撃を与えるしかない。
 敵が地面を踏み砕き、こちらを睨んで仁王立ちする。
 その様子に、まるで陽炎で風景が歪んだような錯覚をカリスは感じた。それほどまでに、カニレーザーの威圧感は凄まじかった。
 だが、負けるわけにはいかない。自分の肩には天音の命と、剣崎への恩返しがかかっている。
233戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:52:25 ID:jZNxfaKe0
 例え犬と罵られようとも、殺戮を止めるわけにはいかない。カードを構え、カニレーザーの威圧を真っ向から受け止める。
「この俺は負けるわけにはいかない。偉大なるデーストロンの首領のために!」
「俺も、負けるわけにはいかない! この手には、大切な人の命がかかっているんだ!」
「なら、その刃を持って俺に示せ! 同じ信念を掲げていたV3は俺に一蹴りでよろめかせ、一殴りで膝を震わさせていたぞ!
想いを拳に込めて殴りつけろ! 俺はそれを砕いて、デーストロンの偉大さを証明してみせる!!」
 ズン!とカニレーザーが再び地面を踏み砕く。敵の大きさが一回りも二回りも大きくなった気がした。
 だから、カリスはカードを掴む手に総てを注ぎ込む。生半可な気持ちで勝てる相手ではない。
(面白い。古代のバトルファイトでも、ここまで俺を燃え上がらせた戦いは無かった)
 ジョーカーとしての本能が、カニレーザーに反応し、氷の心が炎に変わる。
 仮面の下の素顔は笑っているだろう。
「こい! 小僧!! デーストロンの勇者が、貴様を粉微塵にしてくれるわ!」
「やれるもんなら……やってみろ!!」
 二人の戦士の激突が、空気を震わせ、窓ガラスを衝撃で割る。
 この戦い、意地と意地のぶつかり合いだった。

234名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:52:33 ID:Tt9IQXMAO
支援
235名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:53:58 ID:Tt9IQXMAO
支援
236戦士の掟は天に刻め(後半) ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:54:03 ID:jZNxfaKe0
【ドクトルG@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-6】
[時間軸]:死亡後
[状態]:軽症。V3を失って軽い喪失感。カニレーザーに変身中。
[装備]:斧、盾。
[道具]:トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)
[思考・状況]
1:目の前の敵を殺す。
2:結城丈二に不信感。裏切るような行動を取れば殺す。ただ、甘いだけでは?
3:脱出。もしくはデーストロンのため、絶対に勝ち抜く。
4:天道総司・仮面ラーイダーカブトを脱出までは利用する。その後殺す。
5:それ以外の仮面ラーイダーは皆殺し。
[備考]
※ドクトルGは結城丈二に不信感は持っていますが、デストロンでないとは思っていません。
 単に甘いだけでは?と疑問を持っています。

【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:軽傷。腹部と胸部に切傷。カリスに変身中。
[装備]:ラウズカード(ハートのA、2、5、6)
[道具]:未確認。首輪探知機(レーダー)
[思考・状況]
1:カニレーザーを全身全霊かけて倒す。
2:剣崎を優勝させる。
3:ジェネラルシャドウを含め、このバトルファイトに参加している全員を殺す。
[備考]
※相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。

237Revolution ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:54:49 ID:jZNxfaKe0

 『Jacaranda』と書かれた看板を持つ店の駐車場で、蓮は喘いでいた。
 全力疾走してきた疲れが出ており、デイバックの中の水を咽に押し込む。大きくため息をついて、心臓を落ち着かせる。
 恵理の命はもって数日。それまでにこの戦いに勝利し、新たな命を彼女にもたらせなければならない。
 もう一度、水を口の注ぎ込んだ。迷っている暇は無い。
 どうせ城戸はこの殺し合いの途中で命を落とす。なら、相手をせずにそれ以外を殺せばいい。
 誰かに会いたかった。一人でも殺さねば自分は踏ん切りがつかない。

 ――蓮――

 記憶の中の彼女が微笑み、泣きそうになる。あの笑顔をもう一度みたい。もう一度言葉を交わしたい。
 だが、その願いは叶わない。人殺しとなった自分は、彼女の傍にいる資格は無い。
 それで一向に構わない。世界を敵に回しても彼女を救う覚悟はできている。
 それ以外は、――自分の命でさえ――どうなっても構わなかった。
 草加の言うとおり、自分には冷徹さが足りないのかもしれない。次に出会った奴は何があっても殺そう。
 そう決めて、立ち上がった。

「蓮」

 逃げたはずの声が聞こえ、蓮は振り返る。聞きなれた馬鹿の声の主が、燃料の無い車をはさんで存在していた。
 あの後すぐに目を覚まし、自分を追いかけたのだろうと推測した。結局、こいつからは逃げられない運命らしい。
「お前、この殺し合いに乗ったのか?」
 相変わらずの問いに、城戸を眩しそうに見つめた。こんな特殊な状況でも、こいつは何一つ変わらなかった。
 それが、蓮には尊いものに見えた。
 城戸がそう尋ねるのは、自分たちが襲った誰かから聞いたのだろう。険しい顔をしている。
238名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 19:55:30 ID:Tt9IQXMAO
支援
239Revolution ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 19:56:36 ID:jZNxfaKe0
「ああ、乗った」
「何でだよ! この殺し合いには、ライダーで無い人も巻き込まれているんだぞ!」
「知ったことか。恵理を救うためなら、俺は何だってやる」
「蓮ッ!」
 鋭い声が貫く。城戸は俯きながら、懐から一枚のカードを取り出した。
 サバイブのカード。絵柄は、『疾風』だ。
「手塚が、このサバイブのカードをお前に託したのは人殺しの為じゃない。誰かを助けて欲しいからだろ!
何よりも、お前に!!」
「そいつをお前が持っていたのか。ちょうどいい、渡せ」
「今のお前に渡せない」
「なら、殺して奪い取る!」
 蓮は、蝙蝠の紋章が刻まれたカードデッキを、光を反射する車のボディへ向けた。
 真司は悲痛な表情で、同じように龍の紋章が刻まれたカードデッキを掲げた。
「俺は、お前の事を友達だと思っていた」
「ああ、俺もだ」
 蓮の答えが意外だったのだろう。真司は驚きを示している。
「俺には友と呼べる者がいなかった。これからもできることは無いだろう。だから、お前が最初で最後の友だ」
「お前……」
「だから城戸! 俺はお前を殺して、迷いを断ち切る! この殺し合いに完全に乗って、恵理を救う!!」
 もう、それしかない。決意を胸に、自分の声が思いをぶちまける。
 別れは言った。銀のベルトが腹に装着される。
 瞳は、ただ友を映していた。


(蓮、お前……)
240Revolution ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 20:00:19 ID:jZNxfaKe0
 蓮の心の叫びを聞いて、真司は確信した。
 乾の情報は、間違いだった。
 きっと、不幸なすれ違いが起きて、乾が勘違いしたのだろう。蓮は、純子を殺してはいない。
 だが、今の蓮は過去に恵理の命が危ういと告げられたときと、同じ色の瞳をしていた。追い詰められ、悲しい決意の色の、瞳を。
 何よりも、彼に友と認められた自分が止めなければならない。
 銀のベルトが腹に装着される。瞳はただ、友を映していた。
「蓮、もう一度言う。俺は絶対死なない。一つでも命を奪ったら、お前は後戻りできなくなる」
「同じ言葉を返す。俺はそれを……望んでいるとな!」
 決意は充分。対峙する蓮に応えるため、カードデッキを強く握り締める。


 蓮は身体を捻って、右肘を曲げて拳を握りながら天に向け、コートを翻し左に突き出す。
 真司は右腕をまっすぐに左方向に突き出す。

「変身!!」

 二人のどちらが先に叫んだかは知らない。
 一人は迷いを断ち切るため、一人は友を止めるため、想いを込めて叫ぶ。
 その決着がどうつくのか、Jacarandaは興味深げに見下ろしていた。
241Revolution ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 20:02:21 ID:jZNxfaKe0

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地E-6】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]:全身に軽度の負傷。軽い疲労。ナイトに変身中。
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:配給品一式。
[思考・状況]
1:城戸を殺して、ゲームに完全に乗る。
2:優勝して、恵理を救う。
3:サバイブを奪う。
[備考]
※第二回放送を聞き逃しています。

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地E-6】
[時間軸]:47、8話前後。優衣が消えたことは知っています。
[状態]:健康。龍騎に変身中。
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:サバイブ『疾風』
[思考・状況]
1:蓮を止める。
2:乾(草加)たちと合流。
3:ひとりでも多くの人を助ける。
4:戦いを絶対に止める。
[備考]
※草加を巧、ファイズだと思い込んで全面的に信頼。
※神崎はクライシス帝国と手を組んでいると信じています。
242 ◆AppnCvvfGU :2007/05/20(日) 20:02:30 ID:z6V+sFGn0
支援
243 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/20(日) 20:03:51 ID:jZNxfaKe0
投下終了。
たくさんの支援と、代理投下に感謝しています!!
本当に、ありがとうございます。

誤字や矛盾など、指摘をお願いします。
244名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 20:48:51 ID:0RSXDfOI0
お疲れさん。

言いたいことは山ほどあるがガタックゼクター絡みに泣きそうになった………
ガタック再登場なんて考えてもいなかったが、氷川になら十分資格があると思う
245名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 21:10:03 ID:KeckNSIkO
乙です
246名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 22:03:47 ID:D0KIwz8e0
乙ー。ついに二代目ガタックが誕生か…
同時に四ヶ所でバトルとは、ここはいわゆる正念場w

>俺は『ジョーカー』をやめるぞ、神崎ィィィィィッ!
>ここは、無理をする場面です!
>なら、殺して奪い取る!

ちょwwwwwジョジョにスクライドにロマサガwwwwww
247名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 22:10:15 ID:ct0EU1spO
GJ!
加賀美とガタックゼクターの意志を継いで貰って有難う。
これからの氷川と天道の活躍に期待したい。

同じくパロネタに吹いた人 ノシ
248名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 22:53:57 ID:ar6FNSIS0

ドクトルGカッコイイぜ
多分空気キャラになると思ってただけに、めっちゃカッコイイと思った
249名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 23:30:12 ID:Fb9YVKH1O


>なら、その刃を持って俺に示せ! 同じ信念を掲げていたV3は俺に一蹴りでよろめかせ、一殴りで膝を震わさせていたぞ!
想いを拳に込めて殴りつけろ! 俺はそれを砕いて、デーストロンの偉大さを証明してみせる!!


僅かだが仮面ライダーに影響されて変わった男がまた一人・・
250名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 23:52:07 ID:2XdXKYFL0

一人が投下するには少し長すぎるかとも感じたが…ヤバイなこれは
正義も悪もどいつもこいつもおいしすぎだ
果てしなくGJ!

>天の道と並び立つ、帝王となった龍
装着変身の購入予定が2つ増えました
251名無しより愛をこめて:2007/05/20(日) 23:54:36 ID:FAjmZW8u0
うわあああああああ
どうなるんだこれ!
252名無しより愛をこめて:2007/05/21(月) 03:22:40 ID:L0ul+arg0
仮面ライダークーガーなるものを見たんだが
253 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 06:59:17 ID:1sd6epHn0
DEAD OR ALIVEの修正分、および、戦士の掟は天に刻め分をまとめサイトに更新しました。

>>243
GJ!
様々な集団同士の一大シャッフル。
更に全てをバトルに持っていく手法、面白かったです。
次繋ぐのは大変そうですが。。。

では、私も投下いたします。
254トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:00:47 ID:1sd6epHn0
 彼の眼の前に広がるのは闇ばかりだった。
 彼は闇など望んでいない。されど、闇は彼を放さない。
 一度は闇を切り裂きながらも、再び闇に溺れる彼は光を掴めるのだろうか?

 風にそよぐ、草木の音を聞き、睦月は目覚めた。
 頭が痛い。眼の焦点が定まらないのは寝起きのせいばかりではないだろう。
「俺は一体何を……」
 橘さんの偽者に向かっていったことまでは覚えている。
 だが、その後、自分がどうなって、どうしてこんなところにいるのか、思い出せない。
(北岡さんたちはどこにいったのだろうか?)
「やっと、気がついたみたいだね」
 自分の頭上から掛けられた声に睦月は顔を上げる。生い茂った木々の上にそいつは立っていた。
「お前は……カテゴリーキング!」
 不敵な笑みを浮かべ、こちらを見下ろすのは、自分が封印すべき敵――アンデッド。
 その中でも上級に位置するこいつは、人間に擬態する能力を持っている。
 本来はカブトムシのような姿をしているが、今は自分と同年代ぐらいの青年の姿だ。
 アンデッド時の体色と同じ色をした黄金色の髪と、それとは対照的な銀色のアクセサリー。
 一見すると小柄で、弱そうに見えるが、その細い眼から覗く眼光は獣の鋭さを確かに持っている。
 睦月はキングを睨み付ける。相手がカテゴリーキングとはいえ、怯えてはいられない。
「おいおい、そう構えるなって。僕は戦うつもりはないよ」
「うるさい。お前を封印して、俺はもっと強くなる」
 懐からレンゲルバックルを取り出し、蜘蛛が描かれたクラブのAのカードを装填する。
 バックルから出力される無数のカードがたちまち睦月の腰に絡まり、そのバックルをベルトへと変えた。
 手を額へと翳し、光を遮る。あたかも光を嫌う闇のライダーへと変身することを証明するかのように。
255トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:01:01 ID:1sd6epHn0
「変身」

―Open Up―

 開かれたバックルから放たれる長方形の光。それをくぐり抜けることでレンゲルへの変身は完了する。
 光は自動的に睦月へと向かうとそのまま睦月を……
「うわっ!」
 弾き飛ばした。
「あははっ、なにやってるのお前?も、もしかして、融合係数が下がっちゃったとか?」
 変身に失敗した睦月がよほど愉快だったのだろう。キングは爆笑する。
 その笑い声に睦月は憤慨し、反論した。
「違う。2時間経ってなかっただけだ」
「にじか〜ん?なんだよ、それ。どんな言い訳だよ」
「この首輪のせいで一度変身したら2時間は変身できないんだ!」
 ふと、キングの顔が真剣さを取り戻す。
(そういえば北岡の奴、最初に会ったとき、僕をアンデッドの姿にさせたがってたな。そういう意味があったのか)
 合点がいったのだろう。自分の考えに何度かうなずく。
 そんなキングを睦月は憎々しげににらむと踵を返した。
「おい、どこへいくんだよ」
「カードを探す。そして、強くなってお前を倒してやる」 
 もう話すことはないとばかりに、睦月はそのまま、どんどん歩みを進めていく。
 だが、キングの話はまだ終わっていない。ここからが本題だ。

 自分のゲームに睦月を引き込むための。
 
 キングは木を伝い、睦月の正面に回り込む。
 まだ何か用があるのかと、邪魔そうにキングを見る睦月。逆に、キングは笑みを顔に貼り付けている。 
「どうせカードを探すならゲームしない?」
「ゲーム?」
「そう、ゲーム。宝探しゲームさ」
256トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:02:07 ID:1sd6epHn0
 キングの話をまとめるとこうだ。
 自分は優勝とか、脱出とかには興味がない。だが、参加者に支給されているベルトや珍しいものには興味がある。
 二手に分かれて、ラウズカードや支給品を手に入れ、ある程度、集まったらお互いに必要なものと物々交換をするというものだった。
「ラウズカードは、僕が持っていても意味がないからね。もし僕が見つけることができて、何か珍しいものをレンゲルがもっていたら、トレードしてあげるよ」
「信用すると思っているのか?」
「おいおい、こんなにいい話はないよ。僕は珍しいものが欲しい。君はラウズカードが欲しい。お互いに利害が一致してるじゃないか。
 以前はカリスのカードを提供したりもしただろ?利害が一致していれば、僕は裏切らないよ」
 睦月は考える。今、自分が持っているカードはクラブのA、2、5、6の4枚だけだ。
 剣崎さんでさえ、生き残れなかったこの戦いをたった4枚のラウズカードで生き残ろうとするのはあまりにも無謀だ。それなら。
「わかった。その話、呑んでやる」
「ははっ、それじゃあ早速、1回目のトレード。君が持ってる携帯電話と、これ、交換してあげるよ」
 キングは睦月にディパックを投げつける。
「誰のディパックかは知らないけどさ。山小屋から逃げるとき、適当に持ってきたんだよね。
 僕は食料とかなくても平気だけど、君はないと困るだろ」
 睦月はトレードの代償として、キングに携帯を投げると、早速、ディパックの中身を確認する。
 どうやら自分のものではないらしいが、入っているものは食料品、名簿、地図と、固有の支給品である剣と拘束紐を除いては全て一緒だ。
 いや、ひとつだけ、異なるものがあった。恐らく、これがこのディパックの持ち主の支給品なのだろう。
「鍵?」
 鍵にはGトレーラーと書いたタグが括りつけてある。車のキーのようには見えないが、Gトレーラーと呼ばれるものの鍵なのだろうか? 
257トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:03:36 ID:1sd6epHn0
「あまり良い物は入ってなかったみたいだね。じゃあ、おまけで放送の内容を教えてあげるよ。聞いてないだろ?
 禁止エリアは7時にD7。9時にD5。11時にF8。今、言った時間以降、そのエリアに入ると首輪が爆発するってさ」
 爆発という言葉に、睦月は慌てて、メモをとる。その滑稽な様子にキングは笑みを浮かべつつ、言葉を続ける。
「あと、H10エリアには宝があるっていってたな。とりあえず、そっちに行って見たらいいんじゃない」
「お前の指図は受けない」
「そう。まあ、勝手にするといいけど。それじゃあ、僕はこっちに言ってみるから。3回目の放送までにH3の遺跡付近で待ってるよ」
 軽く手を上げると、キングは西へと去っていった。ひとり残された睦月は地図を広げ、これからの動向を考える。
 地図には先程、急いで書き込んだ禁止エリアの印。ここには絶対に近づいてはいけない。
 次に確認するのは自分の居場所だ。ここは恐らく樹海エリア。だが、自分が今、樹海エリアのどこにいるかまではわからない。
 調べるためには南に下るしかないが、樹海エリアと市街地エリアの間には禁止エリアとなっている場所がふたつもある。
(東に行くしかないか)
 だが、一抹の不安もある。地図では一番端のエリアは切れておらず、延々と続いているように書かれている。
 もし、この地図の範囲を出ると、首輪が爆破される仕掛けになっているとしたら。
 自然と身体に震えが走った。それは死に対する本能的な恐怖。だが、睦月はそれを否定した。
(何を恐れているんだ。俺は最強のライダー。最強のライダーは死など恐れない!)
 睦月は右手につけた腕時計を確認する。現在、9時5分。睦月は東へと歩き出した。


「やっぱり、レンゲルは単純で扱いやすいね」
258トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:08:22 ID:1sd6epHn0
 東へと向かった睦月の背中を見やり、キングはまた、にやりと笑う。
 口では指図は受けないと息巻いていたが、睦月は自分の思い通りに動くしかないのだ。
 禁止エリアのひとつは真っ赤な嘘。7時から禁止エリアになるのはD7エリアではなく、A1エリアだ。
 しかし、その嘘は睦月を南東へと誘導するために必要だった。
 今まで自分たちがいたのはB7エリアといったところだろう。禁止エリアをD7エリアと思い込ませれば、南に進む気はなくなる。
 北は樹海が続くだけ、西は自分が向かった。そうなると睦月は東に、そして、南に進むしかなくなる。
「期待しているよ、レンゲル」
 宝探しゲームの真の目的はこのゲームをぶち壊し、自分が操ること。
 このゲームは面白いが、神崎士郎という人間に支配されていることは気に入らない。
 支給品は戦いを加速させるための道具がほとんどだろう。ならば、それを奪ってしまえば、戦いのスピードは減速する。
 そして、自分が選んだ参加者に支給品を渡し、このゲームのスピードを支配する。
 最終的には時間切れが理想だ。神崎の目的はわからないが、1週間、死亡者が出ないと全員死亡させるとメモには書いてあった。
(じゃあ、1週間決着が着かなかったら、この戦いはどうなるのかな?)
少なくともゲームがぶち壊しになることは予想できる。
 そのためにはレンゲルが必要だ。彼がカテゴリーAに乗っ取られれば、単純な奴を思い通りに操ることは容易い。
(強くしてやるよ、レンゲル。強くなればなるほど、レンゲルは益々力に溺れ、カテゴリーAに支配される) 
 キングは邪悪な笑みを浮かべると、今度こそ本当に西へと向かった。
 この時点では、全てがキングの思い通りに運んでいたといえる。だが、キングにも誤算はあった。
 睦月が向かった先に待ち受ける人物。それは睦月をキングの想像を超えた存在に変えることになる。


「なんだ、これ?」
 睦月は思わず疑問の声を上げる。
259トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:10:47 ID:1sd6epHn0
 敷き詰める木々に苦戦しつつも、睦月はB7エリアから、B10エリアの端へと辿り着いていた。
 そこで睦月は今まで自分が体験したことのない感覚を味わうことになる。
 木々が続いているのは見える。手を伸ばせば、確かにそこに空間は存在していた。
 だが、進めないのだ。壁があるわけでも、向きが変えられているわけでも、幻覚でもない。
 石は投げると、飛んでいき、地面へと落ちる。しかし、離れた地面に落ちたその石はいつの間にか自分の足元にあった。
 地面に印をつけて、歩いても、進んでいるという確かな感触はあるというのに印はまったく動かない。
 まるで自分と一緒に空間そのものが動いているかのように。
 数分の間、なんとか進もうと奮起したが、結果は変わらず、あきらめた睦月は南へと進むことにした。
(ここが東端であるならば、禁止エリアは脱したはずだ)
 
――ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪

(なんだ、この音は?)
 睦月が初めて聞くことになるこの音は、放送を知らせるチャイムの音。
 場にそぐわぬ陽気な声で、死亡者と禁止エリアの発表がなされる。
 伊坂の名に、睦月はわずかに反応したが、実戦では役に立たないカード。すぐに次の禁止エリアの発表に耳を奪われる。
(G5エリアに、F2エリアに、D10エリア!?これから行くところじゃないか。……まあ、5時なら大丈夫か)
 ふたつの情報を得て、睦月は歩みを再開しようとディパックを抱えなおす。しかし、次なる情報は睦月の気を引くには充分な内容だった。

『そうそう、五時に禁止エリアになるD10エリアに便利な乗り物が放置されています。
 ドライブを楽しみたい人は忘れずに寄ってみてね☆ 』

(便利な乗り物………ドライブ………車………Gトレーラー?)
260トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:11:40 ID:1sd6epHn0
 便利な乗り物+ドライブ=車≠Gトレーラーという公式が睦月の頭をよぎった。
 自分が持つGトレーラーと書かれたタグがついた鍵。確証はないが、D10エリアに行く価値は充分にある。
 睦月は走った。自分の公式が間違いでないことを確認するために。木々を掻き分け、丘を下り、採掘場へと歩みを進めた。
「どこだ」
 採掘場に出たということはここがD10エリアであることは間違いないだろう。
 睦月は必死に辺りを捜索する。だが、一向に目標物は見つからない。
 一面を見渡そうと、手近な丘に登ったが、それらしいものは見当たらなかった。
「くそっ、どこにあるんだよ」
 次第にイライラが募り、ムシャクシャしてくる。
「最強のライダーが探してるっていうのに。ちくしょ!」
 八つ当たりに、足元にあった石を蹴り飛ばそうとする。だが、その蹴りは石にかすりもせず、バランスを崩した睦月は丘から滑り落ちた。
「うわぁ」
 一度、勢いがついた身体が、そう簡単に止まるわけもなく、回転しながら一気に最下層まで転がっていく。
 樹海と違い、止める木々がなかったのは不運だったのか、幸運だったのか。
 特に目立った外傷を受けぬまま、平たい地面に辿り着いたことで、ようやく睦月の身体は止まった。
 ただ、ぐるぐるぐるぐると回転したことにより、睦月は平衡感覚を完全に失っていた。
 つまり、
「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」
 吐いた。

 しばらくお待ちください。

 ようやく、平衡感覚を取り戻す睦月。最強のライダーらしからぬ愚行は忘れることにした。
「ここ、怪しいな」
 偶然にも、落下した先にぽっかりと開いた穴を見つける。かなり深そうな洞窟だ。
(偶然手に入れたGトレーラーの鍵。偶然放送された乗り物の位置。そして、偶然見つけた洞窟の入り口。
 今、俺はついている。きっとここにGトレーラーがあるはずだ)
 今しがた嘔吐したことは綺麗さっぱり忘れて、睦月は洞窟を進んでいく。
 洞窟はかなり深く、数分の探検が必要になったが、やがて光ある場所へと辿り着いた。
 天井から吊るされた多数の電灯が照らす広大な空間。その中心には睦月が目的とする1台の車が位置していた。
「これがGトレーラーか」
261トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 07:12:30 ID:1sd6epHn0
 全長4mはあろうかという巨大なトレーラー。青に彩られた車両部には睦月も知っている有名な車メーカーのロゴと桜の大門が埋め込まれている。
 そして、その上部には赤いパトランプが装備されており、警察が作ったことを示していた。
(何時の間にこんなものを作ったんだ?いや、今はそれよりも)
 睦月はGトレーラーに駆け寄り、鍵を取り出す。
「頼むぞ、合ってくれ」
 睦月はサイドドアの鍵穴に鍵を差し込む。そして、ゆっくりと廻した。

――カチリ!

 広大な空間に響く、開錠の音。それと同時に車のエンジンは鳴き声を上げ、パトランプは燦然と輝き、カチリ、カチリと各所で開錠の音がする。
「やった!」
 睦月の心は喜びにつつまれ、思わず口からは歓喜の声が洩れる。だが、それに水を刺すかのように厳かな声が響き渡った。
「ご苦労だったな」
 慌てて睦月は後ろを振り向く。そこには黄金の仮面を被った悠然たる男と礼服のような白いスーツを着た男が立っていた。
 黄金仮面は右手に持った杖で左手をポンポンと叩きながら、睦月に語りかける。
「待っていたぞ。……このGトレーラーとやら、余程、重要な装備らしく、余たちが何をしようとも開けることができなかった。
 だが、開ける手段を持っている者は必ずいるはず。わざわざ放送を使って呼び出したぐらいだからな。
 そこで余たちは待った。このGトレーラーの鍵を持っている者を。……思いの他、早く来てもらって助かったわい。ガライ」
 黄金仮面に従い、ガライと呼ばれた白服の男が前へと出る。
 ガライは右耳につけたイヤリングを弾くと、どこからか発生した煙がガライを包み込み、一瞬にして白きコブラの怪人へと姿を変えた。
 この後の展開は馬鹿でもわかる。
(だが、残念だったな。俺は最強のライダーだ。そうやすやすとはやられはしない)
 睦月は懐からレンゲルバックルとクラブのAのラウズカードを取り出す。
「変身」

―Open Up―

 ベルトとなったバックルから放たれる蜘蛛の絵柄が刻まれた光の板。
 迫ってくる光の板を、今度は悠然と待ち受ける。
(時間は充分とった。もう変身できないということはありえない) 
 光の板が睦月の身体を通り抜ける。光が身体に巻きつき、睦月を人間からライダーの姿へと変えた。
262トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:17:27 ID:1sd6epHn0
「ぬぅ、その姿は。貴様、仮面ライダーか!」
「そうだ。俺は最強のライダー、仮面ライダーレンゲル」
 レンゲルラウザーを構え、見得を切るレンゲル。だが、ガライは気圧された様子もなく、ディパックから武器を選び、手にした。
 3つの剣からガライが選んだのは、音撃弦・烈雷。
 刺すことに特化するため、先端を尖らせ、柄を長くしたそれは、剣というよりも槍といったところだ。
 レンゲルの武器も同じく槍。間合いを考慮した上の選択だろう。
(武器が同じなら、勝負を決めるのは腕の差だ!)
 先制はレンゲル。レンゲルラウザーを中段に構え、切ることよりも突くことを選択する。
 ガライの腹を狙い、思いっきり突く。
「トリャ!」
 気合の入った掛け声を上げ、放った最初の攻撃は、ガライにあっさりとかわされる。しかし、それは想定内だ。
「トリャ!トリャ!トリャ!」
 連続して放たれる突き。ひとつひとつ、ガライはギリギリでかわしていく。
(中々やるな。でも、あと少しだ。何回も撃てば、いつかは必ず当たる。それに!)
 何回目かの突きをかわし、ガライは烈雷を構え、反撃に転じる。ガライが狙ったのは頭。
(来た!)
「3!」
 橘との訓練で鍛えられた動体視力は、ガライの攻撃を難なく見切り、烈雷による一撃をかわす力を与える。
(この程度のスピードなら、俺には絶対に当たらない。そして、今の攻撃で身体ががら空き、カウンターだ!)
 かわすと同時にステップを踏み、懐へと飛び込む。そして、下段から一気に上段へと切り上げた。
 切り裂かれるガライの皮膚。その感触がレンゲルラウザーを通して、レンゲルへと伝わる。
(決まった。なんだこいつ、全然大したことない。いや、俺が強すぎるのか)
 勝敗は決した。レンゲルは止めを刺すため、右腰に装備されたカードケースからクラブの2のラウズカードを抜き去る。

―STAB―

 レンゲルラウザーに通されることで効果を発揮するカード。クラブの2の効果はラウザーの強化。
 これでガライの頭を叩き潰すつもりだ。
「なるほど。そのカード、そうやって使うのか」
「わかったところで、これで終わりだ」
263トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:19:03 ID:1sd6epHn0
 レンゲルは思いっきり、レンゲルラウザーを叩きつけた。

―ドスン!

 大きな音を立て、強化されたレンゲルラウザーがその能力を発揮する。
 その対象は抉れ、欠片と呼ぶにも困難なほど、粉微塵に破壊される。
 ただし、破壊されたのはガライの頭などではなく、
「なにっ!」
 単なる岩であるのだが。
 ガライは頭に当たる瞬間、レンゲルラウザーを烈雷の柄で受けた。そして、烈雷を傾けると、長いその柄を利用して、地面へと攻撃を逸らしたのだ。
 言葉で言うのは簡単だが、初めて使う武器を手に、力を受け流す技巧とタイミングを計る判断力。
 それは同種の武器を扱う『腕』が、ガライが勝っていることを示していた。
「ガライ、いつまで遊んでおる」
「そう言うな。この星の脆弱な生き物をいたぶるのは悪くない」
 ガライは楽しむという感情を得ていた。獲物をいたぶり、嬲り、そんな中、必死で反撃しようとする弱者を強者の力で叩き潰す楽しみを。
 そのためにあえて攻撃を受けてみたりもした。傷の痛みがガライに怒りを与え、その獲物を粉砕する喜びを倍増させてくれる。
 だが、ジャークの言うことももっともだ。そろそろ壊すか。
 ガライは烈雷を振るう。狙いは先程と同じくレンゲルの頭。
(何度来たって)
 レンゲルの動体視力は烈雷の動きをはっきりと掴んでいた。だが、それだけだった。
(は、早い)
 烈雷がレンゲルのマスクを切り裂く。次に狙われたのは腕、その次は腹、その次はふともも。
 次々と放たれる烈雷の斬撃、レンゲルは致命傷こそ避けるが、全ての攻撃はレンゲルの身体を切り裂いていた。
 感知はできている。しかし、今度の斬撃はレンゲルが身体を翻すより先に迫ってくる。
 脳からの命令に身体が追いつかない。
(くそっ!)
 堪らずレンゲルはバックステップで後方へと退避した。
 強者の余裕か、ガライは間合いを詰めず、レンゲルの出方を窺っている。
「武器で負けたって、俺にはまだ切り札がある」
264トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:20:12 ID:1sd6epHn0
 レンゲルの手には2枚のカード、クラブの5と6。敵を蹴り砕くBITEと氷漬けにするBLIZZADEのカード。
 この2枚を同時に使えば、BITEはBLIZZADEのカードで強化され、どんな相手でも粉々に砕く。
 温存しておきたかったが仕方がない。

―BITE― ―BLIZZADE―

―BLIZZADE CLASH―

 コンボ成立。レンゲルラウザーに通されたふたつのカードは同時にレンゲルの力となり、必殺技としてその能力を発動させる。
「はぁ!」
 大地を蹴り、空中へと舞うレンゲル。
 吹雪で相手の眼を眩ませ、凍らせることで動きを封じ、一気に蹴り砕く攻防一体の技。それがレンゲルのブリザードクラッシュだ。
 キックの体勢をとったその足から生まれた吹雪は、ガライへと降り注ぐ。
「無駄だ」
 ガライは烈雷を横に持つと、上段高く構えた。槍投げの体勢だ。
「ふん」
 キックを仕掛けるレンゲル目掛け、烈雷を投げる。回転を加え、ドリルのように相手を穿ち、貫くように。
 それは烈雷の持ち主である斬鬼や轟鬼の投げ方と同じ投げ方。回転が加わった烈雷は吹雪を弾き返し、まっすぐにレンゲルを狙う。
「がぁっ!」
 レンゲルが迫る烈雷に気づいた時にはもう遅かった。回転した烈雷はレンゲルに命中する。
 威力がありすぎたのは幸いだった。
 装甲により、僅かに逸らされた烈雷の軌道はレンゲルを貫くには至らず、装甲をひとしきり削り取った後、空を切って、遥か後方へと飛んでいく。
 しかし、傷は決して浅くはない。レンゲルから強制的に放たれたカテゴリーAの光板はレンゲルを通り、その姿を睦月へと戻してしまった。
「その程度で最強のライダーを名乗るとは片腹痛い。RXはもっと我らクライシスを手こずらせていたぞ」
 倒れた睦月の首筋に触れる刃。ガライはディパックから新たに取り出した剣を睦月の首へと向けた。


「さて、色々しゃべってもらうぞ」
265トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:21:27 ID:1sd6epHn0
 ディパックとレンゲルバックルを取り上げられ、地面へと正座させられる睦月。
 変身を解き、Gトレーラーの調査を始めたガライに変わり、睦月の眼前には黄金仮面――ジャーク将軍が杖を持ち、悠然と佇む。
「反抗的な態度をとるようならば……」
「ひぎゃぁぁぁっ!」
 ジャーク将軍の杖から放たれる電撃が睦月の身体を走る。あまりの激痛に悲鳴が抑えられない。
「このように罰を与える。わかったな」
 睦月は肯くしかなかった。
 それから、睦月は自分が何者なのか。今までどのような戦いを演じてきたのか。そして、このゲームに参加してどんなことがあったのか。その詳細を強制的にしゃべらされる。
 途中、何度か嘘を吐こうとしたが、その度に見破られ、電撃の洗礼を浴びた。
 結局、睦月はその情報の全てを話すしかなかった。
「ふむ、実に興味深い話だ。そちの情報を総合すると面白いことがわかる」
 睦月の情報に得心がいったようだジャーク将軍はクックックッと笑う。
 何が面白いかわからなかったが、睦月にはそんなことはどうでもいい。
 全ての装備は持ち去られ、全ての情報を話した睦月にはもう手札はない。つまり、用なしということだ。
 睦月が出来るのはもう祈ることしかない。眼前の男が気まぐれを見せることを。
「さて、そちの処遇だが……」
 運命の瞬間が来た。ジャーク将軍が次の言葉を繋ぐまでの刹那の時が、睦月には1分にも1時間にも感じられた。
(こんなところで死にたくない)
 だが、どうしようもない。ほぼ確定された『死』の宣告がジャーク将軍の口から紡がれた。
「余と一緒に来るがいい。そちをGトレーラーの運転手として雇おう」
 そう死刑宣告とも言うべき、Gトレーラーの運転手という役を睦月は与えられたのだ。
「えっ?」
 睦月は自分の耳を疑う。
「そちも脱出したかろう。余は脱出を目指しておる。そのためにはそちの力が必要と言っておるのだ」
 意外だった。即刻処刑、良くても人質が精々だと思っていた自分に差し伸べられたのは剣ではなく、救済の手であった。
「一体、どういうつもり」
「これ以上、話すことはない」
 ジャーク将軍は身を翻すとGトレーラーへと入っていく。
 睦月もそれを追い、Gトレーラーへと入った。
「渡してやれ」
「………」
266トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:22:16 ID:1sd6epHn0
 中へ入るとジャークがガライに何事か話している。
 ガライはこちらを冷めた眼で見つめる。とても歓迎しているようには見えない。
 だが、ジャーク将軍の命令だからなのか、ガライは睦月にレンゲルバックルとカードを差し出した。
「これは」
 その中には今まで自分が持っていたクラブのA、2、5、6に加え、クラブの3と4、スペードのJとQ、ダイヤの3とQが入っていた。
「俺の支給品だ。お前なら使えるのだろう?」
 睦月は恐る恐るそれを受け取った。
「!」 
 そのカードを受け取った瞬間、睦月の意識が真っ白に染まる。
 色を取り戻したとき、睦月は別の場所に移動していた。
 そこには一度だけ、行ったことがある。以前、クラブのQとKである城光と嶋さんに会った場所だ。
 だが、そこにいたのは城でも嶋でもなかった。見覚えのない3人の男女。
 ひとりはスーツに眼鏡といういかにも真面目なエリートサラリーマンという感じの男。
 もうひとりの男は、それとは対照的にけばけばしい服装から、短絡的な印象を受けた。
 そして、ノースリーブで胸が大きく、髪の長い、にやけた笑みを浮かべる女。
 3人は睦月に話しかける。
「あなたはバトルファイトを正常な状態に修正しなければいけない。今のバトルファイトを壊し、カリスを取り込んだ憎きジョーカーを排除しなさい」
「ふぉー!まあ、そのためにぃ、同じアンデッドであるよしみだ。俺たちの力を貸しちゃうぜ。俺を舐めやがったブレイドもいないしさ」
「あー、はっはっはっ。あー、はっはっはっ」
 口々に勝手なことを言う3人。だが、不思議と睦月は不快には感じなかった。
 それどころか、その勝手なことを達成しなければいけないとすら思えてしまう。
「……はっ」
 気がつくと、睦月はGトレーラーの中へと戻っていた。
 睦月の手の中にはレンゲルバックルと新たなカード。
「スペードのJ、スペードのQ、ダイヤのQ。どれも上級アンデッドのカード。俺に力を与えてくれるカードだ!」
 睦月の身体には今までとは比べ物にならないほどの力が漲り始めていた。
 だが、睦月は気づかない。その力と比例して、心の闇も膨張を始めていたことを。


「どういうつもりだ。使えない生き物はその場で抹殺か、人質にする予定だったはずだ」
267トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:23:30 ID:1sd6epHn0
 小生意気ではあるが、予想できた質問であったので、答えてやる。
「使えると判断した。我々はGトレーラーの運転は出来ぬだろ?」
 余の言葉でガライは黙る。納得せざる得ない理由だったからだろう。
 だが、余が運転できないと言うのは嘘だ。
 確かに地球の車は運転したことはないが、クライシス帝国にも似たようなものはあった。恐らくほぼ同じ機構であろう。
 しかし、使えると判断したのは嘘ではない。上城睦月の話を聞き、余は使える奴だと判断したのだ。
 奴は仮面ライダーと名乗った。だが、奴の物語の中に出てきた仮面ライダーは4人。どれも知らぬ名前だ。
 逆にRXや他の仮面ライダーの名を出すと奴は知らないと答えた。クライシス帝国のことも知らぬと言う。
 そこで余はひとつの可能性を確認するため、次の質問をした。
「そちは西暦何年から来た?」
 余の予想通り、上城睦月は余が居た年より未来の西暦を答えた。
 以前、RXに過去に進入し、BLACKである奴を抹殺する計画を実行したことがあった。
 後一歩で成功するところであったが、なんとライドロンによって、別の時代から集まった3人のRXに阻止されたのだ。
 それと同じことがこの儀式では行われておる。
 ここに集った参加者たちはそれぞれ別の時間、別の時空から集められたものだ。
 グランザイラスは復活したものと思っていたが、あやつも倒される前の時間軸から連れてこられたのだろう。それならあの過信ぶりもまだ納得がいく。
 そして、その事実は仮面ライダーといえども、利用できる可能性を示している。
(もし、他の仮面ライダーがRXのことを知らなければ、そいつらをRXにぶつけてもいい)
268トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:24:43 ID:1sd6epHn0
 その一人目が上城睦月。本人はカテゴリーAの支配から抜け出したと言ったが、余はそうは思わん。
 言葉の端々に滲む、己こそが最強だという自負。ガライがカードを渡した時、余は確信した。こやつの心には決して消えない闇があると。
 薄っぺらい正義という言葉では覆いきれるほど、強力な闇が。
 それを引き出してやれば、こやつはいい働きをしてくれるであろう。憎き仮面ライダーBLACKRXを倒す刺客としてな。

 彼の眼の前に広がるのは闇ばかりだった。
 彼は闇など望んでいない。されど、闇は彼を放さない。
 一度は闇を切り裂きながらも、再び闇に溺れる彼は光を掴めるのだろうか?

 Gトレーラーは走りだす。絶望と希望、闇と光、両方を乗せて。
269トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:25:57 ID:1sd6epHn0
【上城睦月@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:採掘場D10エリア】
[時間軸]:本編後。
[状態]:背中に大火傷。頭部に打撲。その他、身体に軽傷多数。カテゴリーAに取り込まれかけています。
[装備]:レンゲルバックル。ラウズカード(スペードのJとQ、ダイヤの3とQ、クラブのA〜6)。
[道具]:配給品一式(橘)。Gトレーラー(G3ユニット、GM−01、GG−02、GS−03、GK−06、ガードアクセラー)
[思考・状況]
1:ジャーク将軍に対する畏怖。今は言うことをきく。
2:ラウズカードを集める。そのためにはキングとのゲームに乗る。
3:ジョーカーを倒す。
※睦月は橘を偽者だと思っています。
※睦月はD7が禁止エリアと思っています。A1が禁止エリアと思っていません。
※睦月は無免許でGトレーラーを運転しています。
※橘と戦ったことは忘れています。そのため、ジャーク将軍にもそのときのことは話していません。ただし、何かの拍子に思い出すかも知れません。

【キング@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:樹海B6エリア】
[時間軸]:キングフォーム登場時ぐらい。
[状態]:健康。
[装備]:携帯電話
[道具]:なし
[思考・状況]
1:レンゲルとのゲームのため、ラウズカード探し。
2:この戦いを長引かせる。そのため、支給品を取り上げる。
3:戦いに勝ち残る。まだまだ面白いものも見たい。
4:今は戦うつもりは無い。
5:北岡に興味。しばらくしたら、また会おう。
270トレジャーハンター睦月 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/21(月) 13:30:42 ID:1sd6epHn0
【ガライ@仮面ライダーJ】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:採掘場D10エリア】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]:火傷(中程度。再生中)
[装備]:剣。装甲声刃。音撃弦・烈雷。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:どんな手を使っても生き残る。
2:ジャーク将軍と協力して、首輪を解除する。
3:ついでに生贄を手に入れる。
4:神崎士郎は残酷に壊す。
5:脆弱な生き物と組むのは気に入らない。

【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:採掘場D10エリア】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:健康。
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:不明(グランザイラスにもらったもの。中身は確認済み)ネタばれ地図。首輪。ライダーブレス(コーカサス)。変身鬼弦・音錠。
[思考・状況]
1:Gトレーラーは手に入った。とりあえず禁止エリアから移動。
2:首輪の解析と勝ち残るための仲間探し。
3:上城睦月の闇を引き出す。
4:神崎士郎を殺し、脱出する。
5:RXを殺す。
6:城戸真司を探し、神崎の目的を探る。
7:ライダーマン、結城丈二を支配下に置く。手段は問わない。
※ジャーク将軍は睦月より、ブレイド世界の情報と剣崎、始、橘、キング、伊坂、北岡、リュウガの情報を得ました。
※ネタばれ地図には支給品以外のラウズカードの隠し場所も書かれています。
271名無しより愛をこめて:2007/05/21(月) 13:37:32 ID:3zcYzx7x0
投下乙!!
細かい描写が素晴らしい。
ガライとかジャークの外見をよく知らなかったので外見の描写が特にうれしいよ!!
カードの中の人達のらしい口調、笑ってしまったww

キャラ紹介読んで響鬼にGトレーラー運転させたいと思ったの俺だけか?ww
272名無しより愛をこめて:2007/05/21(月) 16:10:16 ID:2LTHrA200

『世界を駆ける』に軽く触れてたのにちょっと笑っちまったよ
俺RX好きだし、RXの様子を見て、頃合を見て読み専から書き専になろっかな
273名無しより愛をこめて:2007/05/21(月) 20:07:00 ID:5MLAF39n0
投下乙!

黄金仮面の男……この表現は思いつかなかった。
的確かつ、素晴らしい表現だです。
Gトレーラー本格始動。そしてジャークが着々と戦力を整えている様子に吹いたw
ライダー側はどいつもこいつも大変だというのにww
274名無しより愛をこめて:2007/05/21(月) 23:14:06 ID:cBFXKJ5NO
氷川さんと加賀美と城戸の会合を見たかった……
馬鹿正直が三人集まると面白い事になるだろうな…
275名無しより愛をこめて:2007/05/21(月) 23:15:20 ID:1sd6epHn0
死者スレで見れるさ。
276名無しより愛をこめて:2007/05/21(月) 23:18:06 ID:5MLAF39n0
>>275
ちょwww 腹が捩れるwww
277名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 00:09:08 ID:ERnHuWcc0
投下乙
睦月の奴、こりゃまた濃いアンデト達と会っちゃったなw
278名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 06:23:13 ID:DBkqUQTbO
ぼっちゃまがオンドゥルの頂点になる日も遠くはない……
279 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:37:05 ID:VpLhUewX0
まとめサイト更新しました。
続いて、浅倉威、乾巧、天美あきら、グランザイラスを予約します。
と、言いたいところですが、書き終わってしまったので、早速、投下いたします。
280食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:38:49 ID:VpLhUewX0
「イライラするんだよっ!」
 森の中、叫び、暴れる男がいた。手にした金棒で木々を薙ぎ払う。
 男は傷だらけだった。右腕には火傷、身体には無数の青痣、布に包まれた左眼は赤く充血し、もう光を見ていない。
 蛇革のジャケットは所々が破れ、もう服の役割を果たしているとは言い難かった。
 頭髪は紫外線を浴び続けたためか、脱色されており、枯れた草木のような茶色をしている。
 食事も満足にとっていないのだろう、頬はこけ、左右の脇腹からは脂肪が抜け落ちていた。
 その姿は端から見れば、満身創痍。生ける屍と言ってもいいかも知れない。
 だが、彼に残された右眼は死んでなどいない。それどころか、凶悪な光を放ってさえいた。 
 鬼気迫る表情をしながら、金棒を振るう様はまさに鬼のようだった。しかし、彼は鬼ではない。
 彼は蛇。獲物にしのび寄り、いつの間にか獲物の身体を締め付け、頭から丸呑みしてしまう蛇。
 彼にとって、この世界はイライラすることばかりだ。
 戦う爪を、牙を持ちながら、誰も戦おうとしない。誰も傷つけようとしない。
 だが、彼は違う。爪を牙を持っているから、いや、例え爪や牙を持たなくとも、戦い、傷つけ、そして、狩る。
「誰か俺と戦えぇぇぇ!」
281名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 08:39:13 ID:rxDapNeM0
支援
282食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:39:50 ID:VpLhUewX0
 咆哮を上げる男。彼にとっては既に名前など意味は持たない。だが、一応、彼の名前を記しておく。

『浅倉 威』

 それが彼に付けられた固有名詞だった。


 浅倉は因縁の相手である北岡を探し、彷徨っていた。
 いや、少し語弊がある。確かに彼にとって北岡は特別な存在だが、イライラを解消できれば、誰が相手でも構わない。
 彼はイライラを解消する方法をひとつしか知らない。獲物と戦うことだ。
 その獲物は強ければ強いほどいい。彼の最も歯ごたえがある獲物が北岡だというだけ。ただ、それだけだ。
「どこだぁぁぁ!」
 また、金棒を使い、木をなぎ倒す。しかし、今度は倒すだけでは治まらない。倒れ伏した木を叩いて、叩いて、粉々にする。
「うぉぉぉぉぉっ!」
 樹海に木霊する絶叫。その叫びが浅倉自身の記憶を引き出す鍵となった。
「丘だ。丘にいけば、また誰か来るはずだ」
 園田真理が戦いの停止を訴えた丘。
 そこに行けば、北岡と会えたように、また別の獲物と出会えるかも知れない。
 園田真理の訴えは浅倉をイライラさせたが、今、浅倉はわずかに感謝した。
283名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 08:40:09 ID:rxDapNeM0
  
284食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:40:49 ID:VpLhUewX0
 自分のイライラを治める獲物を引き寄せてくれることを。
 
 
 丘へと向かう途中、放送が行われた。
 特に浅倉の気を引く内容ではなかった。キックホッパーが死亡者に含まれていたことをわずかに残念だとは感じたが、死んだ奴に興味はない。
 浅倉が興味をもつのは自分と戦う獲物だけだ。
 浅倉のイライラは丘に近づくに連れて、緩和されていた。それというのも先程から聞こえる破壊音のせいだ。
 いるのだ。丘に自分の獲物となる存在が。
 浅倉がその姿を視認したと同時にその声が届いた。
「俺は生きる!人間として、ファイズとしてッ!!」
「ファイズだと……」
 浅倉の見つめる先には黒のスーツに銀の装甲。そして、血のような赤いラインを身体中に行き渡らせた仮面ライダーの姿があった。
「あれがファイズか」
 どことなく自分がもつデルタに似たそのデザインに浅倉は心惹かれた。
(あいつのベルトとV3から奪った支給品、ファイズブラスターを使えば、もっと戦いが楽しくなるな)
 ファイズに眼を奪われる最中、鳴り響く笛の音。その音に浅倉は聞き覚えがあった。
「この音は」
 左眼が疼く。見ると案の定、自分の左眼を傷つけた真紅の鷹が飛んでいた。
 そして、その真紅の鷹を操るのは見覚えのある女。
「サンキュー、あきら!」
(あきら!あいつがあきらか!!)
 あまりの偶然に浅倉の心は歓喜に包まれる。
 自分を傷つけ、逃げた憎い女が、自分の興味を引いたあきらだったのだ。
 そいつをこれから引き裂けると思うとゾクゾクしてくる。
 浅倉の眼の前にはふたつのメインディッシュ。だが、まだ早い。メインディッシュの前にはオードブルが必要だ。
「何!?グアアアアーッ!!」
「メインディッシュは後だ。まずは……腹ごしらえだ」
285名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 08:41:31 ID:rxDapNeM0
『支援』とは、さるさん規制を緩和する『手段』
286食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:42:37 ID:VpLhUewX0
 彼の眼には背中から火花を散らせ、逃走していくトカゲの姿が見えた。


「許さん、許さんぞ、あいつら……霞のジョーも、鯨と狼の怪人も、あの女も。
 皇帝陛下の直属の俺を、最強怪人である俺を、コケにしおって!
 みんな殺してやる!この俺が!このグランザイラスが!!」
 トカゲが何事か喚いていた。背中に穴を開けている割には生きが良さそうだ。
 浅倉はにやりと残酷な笑みを浮かべる。
「よう、お前」
 浅倉の呼びかけにトカゲは歩みを止め、振り返る。
「なんだ、貴様は」
 ドスの効いた声だ。普通の人間ならその声を聞いただけで震え上がることだろう。だが、浅倉は人間ではない。
 震え上がるどころか、ますます顔を愉悦に染める。
「俺と……遊ぼうぜ」
 浅倉はディパックから金棒を取り出すと、トカゲに叩き付けた。
 だが、それを予期してたかのように、トカゲは素早くかわすと、右腕の電磁ハンマーを逆に叩き付けた。
 ガンと鈍い音が鳴り、浅倉の頭から血がたらりと流れる。
「どの程度かと思えば、その程度の腕で俺に挑むつもりか!」
「……ふふふっ、ははっ、あーはっはっはっ。楽しいな。やはり戦いはこうでないとな」
「狂ったか!」
 笑い出す浅倉に本能的な恐怖を抱いたトカゲは、もう一度、右腕を振り上げる。
 だが、浅倉はもう受ける気はなかった。
 自分の痛みは味わった。今度はこいつの痛みを味わう。
 浅倉は振り上げられた右腕の上腕二頭筋に噛み付いた。
「ウグワァァッ」
 装甲に覆われながらもわずかに残された生身の部分。
 そこを思いっきり噛み付かれたトカゲは、あまりの痛さに悶絶し、必死に振りほどこうと腕を動かす。
 だが、浅倉の歯はがっちりとくい込み、振りほどこうとしても微動だにしない。
287食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:44:03 ID:VpLhUewX0
 左手で浅倉の髪を引っ張っても同じことだった。
「ウギィ!!ヒギャァァ!!!フグワァァ!!!!」
 無様な悲鳴を上げ続けるしかないトカゲから、浅倉はようやく離れる。
 しかし、それはトカゲの抵抗に屈したからではない。食うものがなくなったからだ。
 トカゲの腕の肉は浅倉の歯型を残し、かじりとられていた。
「な、な、な、何なんだお前は!?」
 あまりのことに、先程のドスの効いた低い声からは想像も出来ない程の高い声をトカゲは上げる。
 浅倉はその様子を見て、笑みを一層深くすると、トカゲを押し倒し、今度は右手の指をトカゲの左眼に差し込んだ。
「ウガァッッ……ッ……ッ」
「お前の肉、中々美味いな。その目玉も美味そうだ。俺にくれよ」
 浅倉は差し込んだ指を、その眼の枠に沿って、グルグルと廻した。
 グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、
 グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、
 グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、グルグル、グルグル。
「ッ……ッ……ッ……」
 最早、トカゲは悲鳴さえ紡げない。ただ、その身体を痛さにあわせて、バタバタと動かすだけだ。
 その様子はまるで出来の悪い操り人形のようだ。
「ちっ、イライラするな」
 トカゲの不運はまだ終わらない。サイボーグのため、どんなに痛くても意識は落ちず、なまじ頑丈なだけにその眼はいつまで経っても取れなかった。
 しかし、浅倉の辞書に『諦め』という言葉はない。いつまで経っても取れない現状にイライラするだけ。
 そのイライラが思わぬ効果を引き出す。
「ッ!!!!!」
 突如、トカゲの身体に電流が走った。
 それはデルタギアの装着者に与えられる効果。変身しなくても、スタンガン並みの電流を発生させることができる。
 トカゲにとっては最悪のタイミングでそれは発動した。
 外装はいくら丈夫にしても、その分、内部は弱い。眼に指を突っ込まれ、かき回されることなど、誰が想定する。
 眼から身体中に流れる電流に、トカゲは生物的なもがきから、生理的な痙攣へとその動きを変化させていく。
 やがて、ようやく目玉がトカゲの身体から離れる。
 トカゲにとっては目玉を取られた悲しみよりも、拷問が終わった嬉しさの方が大きかった。
288食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:45:19 ID:VpLhUewX0
 浅倉はその目玉を口に入れる。
 ガリガリと硬質的な音が響く。
「……こっちも中々だ」
 ペッと吐き出される目玉は、全体的にひしゃげ、所々が欠けていた。
 その様子を残った右眼で見たトカゲは、仰向けの身体をうつ伏せに変えると匍匐前進を始めた。
 トカゲらしく、前足と後足を使い、懸命に前へと進む。
 逃げる気なのだ。
 絶対的な捕食者を前にしては、被食者は逃げるしかない。
 だが、既に一部を胃袋に収められたトカゲの速度は絶望的に遅かった。
 トカゲの後ろで金属音が鳴る。
 後ろは振り向けない。後ろでどんなことが行われようとしているのか。見てしまっては、逃げられないと理解してしまう。
 例え、既に身体の半分が蛇に呑み込まれていようとも。

 浅倉は金棒を振り上げると、力を込めて振り下ろした。


 グランザイラスは生きていた。
 右腕の半分を食われ、左眼を失い、背部を金棒で何十回も殴られようとも、グランザイラスは生きていた。
 今のグランザイラスには皇帝直属の怪人という誇りも、最強怪人という自負も、参加者に対する殺意もなかった。
 ただ、生きていることが素直に嬉しかった。
 浅倉は何十回とグランザイラスを殴った後、その場を立ち去っていた。
289食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:47:30 ID:VpLhUewX0
 だが、いつ浅倉が追ってくるとも限らない。少しでも遠くに逃げないと。

――ピピピピピピピピ!!

 どこからか電子音が鳴る。

――ピピピピピピピピピピピピピピピピー!!

 そして、その電子音の刻む音はどんどん早くなっているようだ。

――ピーーーーーーッ!! !!

 この音はどこかで聞いた。どこだったか。そうだ、あれはさっき戦っているときに……

――ボン!!

 グランザイラスの首輪は爆発した。
 グランザイラスには何が起こったのか、一瞬、わからなかった。
 しかし、身体が内側から爆ぜる様を見て、理解した。
 ああっ、俺は死んだのだと。


 突然の爆発音に浅倉は音がした方向を見る。
「なんだぁ?」
 グランザイラスの体内に設置されたメガトン爆弾が爆発した音だ。
 しばらくして、今度は地面に何か落ちたような音がする。
 浅倉が空を見上げると、天から降り注ぐのはグランザイラスの破片。
 浅倉はその破片のひとつを拾い上げ、ディパックに入れた。
290食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:48:26 ID:VpLhUewX0
「生で食っても美味かったが、焼くともっと美味いかも知れんな」
 浅倉は人間ではない。モンスターだ。そんな浅倉にとっては、グランザイラスも所詮『トカゲ』でしかなかった。
「次は奴らだ」
 浅倉の瞳に映る二人。既に次の獲物を蛇は捕らえていた。

【グランザイラス 死亡】
残り34人

【浅倉 威@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海C-6】
[時間軸]:本編終盤辺り。
[状態]:左目負傷、全身に中程度の負傷(打撲、火傷など)、中程度の疲労。腹は満腹。
[装備]:デルタフォン、デルタドライバー。音撃金棒・烈凍。
[道具]:ファイズブラスター。三人分のデイバック(風見、北崎、浅倉)。グランザイラスの破片。
[思考・状況]
1:あきらを殺す。
2:ファイズを奪う。
3:北岡を探して殺す。
291食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 08:49:41 ID:VpLhUewX0
天美あきら@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海C-6】
【時間軸】中盤くらい
【状態】全身のダメージ大、腹部と片手の甲に深い裂傷。
【装備】破れたインナー、鬼笛、音撃弦・閻魔
【道具】変身鬼弦(裁鬼)
【思考・状況】
1:巧を信じる。
2:天道さんと合流する。
3:どんな姿でも巧は人間だ。

【乾巧@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海C-6】
【時間軸】中盤くらい
【状態】肉体的大ダメージ。特に顎、右腕、背中。
【装備】ファイズドライバー、ファイズフォン 、
【道具】ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰 アイロンを掛けた白いシャツ。
【思考・状況】
1:新たなる決意。
2:この場を離れる。
3:あきらを守る。
4:神崎をぶっ飛ばす。
5:天道と合流する。
6:草加とも出来れば合流したい。
※次回変身時には面割れは直っています。
292食物連鎖 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/22(火) 09:04:22 ID:VpLhUewX0
投下完了。
支援感謝。
誤字、脱字、指摘事項、感想がありましたら、よろしくお願いします。
naAqV94LaUさん、色々使わせてもらいました。その点も多謝。。。
293名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 09:07:28 ID:rxDapNeM0
投下乙!
感想は後ほど。
294名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 11:58:55 ID:gNQV+9zwO
GJ!
グランザイラス死んだか…浅倉+禁止エリアチョンボって最強の死亡フラグだもんなぁ。
風見とグランザイラス殺して、浅倉の勢いが止まらんw

>色々使わせてもらった
いえいえ、使って頂いて光栄ですよ。自分のSSから上手く発展させてくれたなぁ、と。
こういうのは素直に嬉しいですw

良作に続いて貰えるならば書き手冥利に尽きるってもんです!
もう一度GJ!そして支援出来ずにすみませんでしたorz
295名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 14:05:05 ID:s2RBK3Yz0
死者が続出する魔の時間帯になりそうな悪寒
296名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 17:40:02 ID:+BMx+GCUO
楽しいし美味いし、幸せそうだな。浅倉。
297名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 19:07:13 ID:PjxzWPkk0
浅倉は変身しなかったの?

298名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 19:23:11 ID:lKYMxp0I0
ちょwwwwメガトン爆弾てww
299名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 20:32:26 ID:rxDapNeM0
GJ!
全力時間制限でグランザイラスが死んだか。
浅倉の行動が怖いw グランザイラスめちゃくちゃ痛そうw
最高です。
300名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 21:08:59 ID:gNQV+9zwO
( 0H0)<300!
301名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 21:15:42 ID:xiNgnkq30
デルタの方が性にあってるんじゃないか浅倉?wwwww
グランザイラスも巧戦で圧倒してただけに気の毒だけどしょーがねーよな……
ありえねえとは思うのに、生身浅倉@雷>制限時間切れてるグランザイラスに違和感が無え
302名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 21:15:56 ID:ZjVB48pS0
特技:トカゲ食いキター!!ww
久々の浅倉の大暴れ読んだ気がする。GJ!!
303名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 21:27:54 ID:gNQV+9zwO
死者スレの影山にホットミルク吹いた
304名無しより愛をこめて:2007/05/22(火) 22:07:37 ID:DBkqUQTbO
そういや、トカゲだな
浅倉リポーターのグルメチェック!
305 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/23(水) 09:13:29 ID:jqjn8xde0
まとめサイト、更新しました。

>>297
浅倉は変身しておりません。
全て生身で行っているため、デルタには変身可能です。

小沢澄子、南光太郎、矢車想、神代剣、相川始、
ドクトルG、天道総司、リュウガ、シャドームーン、結城丈二、
氷川誠、草加雅人、日下部ひより、城戸真司、秋山蓮
を予約いたします。
306名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 10:55:54 ID:8Lnj9VnQ0
ちょっっっっ!!?!?!?
”ヤツ”が乱戦に入ってきたぞーー!!wwww
307名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 12:42:34 ID:zuUYq/t60
始とぼっちゃまってことはまた擬態するのかな?
楽しみ♪
308名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 13:18:21 ID:R49OQB/mO
wktkが止まらん
309名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 13:27:03 ID:CnlsWjC4O
パート別に予約が入ると思ってたのに…ワクワクが止まらないじゃないか!
310名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 15:27:39 ID:2uYuzPrbO
城戸と秋山の戦いが楽しみ
311 ◆mxg3JbY2vk :2007/05/23(水) 18:55:34 ID:QTccb+mG0
>>305
キタキタキタキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッッッッ!!
やっとまともに戦闘する”ヤツ”の姿が見れるかもwwwww
俺もワクワクが止まらんwwwwwwwwwww!
312名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 18:57:50 ID:Ri4go8ah0
多分同時進行で話が進むだけで全員が一堂に集うわけじゃないと思う。
しかし光太郎VSシャドームーンを期待して止まないぜ。
そろそろ真面目で熱い光太郎が見たいよママン。
313名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 20:07:23 ID:RdjgtehB0
何気に天道といまや加賀美の形見でもあるハイパーゼクターが出会うかもしれんな
ガチの死亡フラグだが
314名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 20:07:45 ID:Z4XiIw8Y0
予約にwktk
俺が多人数を予約したらそれを上回る人数で予約する!
そこに痺れる!憧れる!!

自己リレーになりますが、城茂、橘さん、木野薫予約します。
315 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/23(水) 20:08:27 ID:Z4XiIw8Y0
トリップ忘れorz
316名無しより愛をこめて:2007/05/23(水) 23:46:41 ID:GzKwLrSU0
いよいよまともな活躍が、と期待する一方で
奴にはいっそ最後の最後までネタキャラで突っ走ってほしいという気も
317名無しより愛をこめて:2007/05/24(木) 02:38:27 ID:A9a00LG90
さすが、あらゆる意味で話題に事欠かない男
しかし、書き手にとったら扱いにくいキャラなんだろうなーw
318名無しより愛をこめて:2007/05/24(木) 21:06:42 ID:phY5wPrKO
BLACK時代の光太郎はそんなにネタキャラなのか
かなりシリアスな重苦しいストーリーだったと思うんだが
319名無しより愛をこめて:2007/05/24(木) 21:09:53 ID:LmRSj8Vn0
ヒント:ゴルゴム脳 奇蹟のパワー
320名無しより愛をこめて:2007/05/24(木) 23:13:30 ID:GtN+0Lx50
むしろ2ちゃんねるフィルターの影響。
本編見るとここまでお馬鹿ではない。
321名無しより愛をこめて:2007/05/25(金) 01:01:45 ID:JTPoaBL70
しかしRX終盤の敵への暴言の数々はマジぶっちぎりすぎ。
あと、敵幹部とはいえ女性の顔に傷をつけるヒーローなんて、きっとこいつくらいw
322名無しより愛をこめて:2007/05/25(金) 07:29:34 ID:K+eGZ/C50
BLACKの光太郎は、それがらみの話以外(1週完結の話ね)取っ払うと平成ライダーにもなれるくらい暗いし、悩んでる

RX?

   ぶ   っ   ち    き   る    ぜ   ッ   !   !    だけど
323 ◆4wyf44BgsE :2007/05/25(金) 19:09:49 ID:3HkdO3nCO
安達明日夢、霞のジョー、水のエル 予約します。
324名無しより愛をこめて:2007/05/25(金) 19:27:19 ID:OYmNFd9b0
ふぁいおー!
楽しみにしてまっせー
325名無しより愛をこめて:2007/05/25(金) 20:31:52 ID:UyV8pISOO
水のエル…力が制限されてるとはいえ、どんな感じなのだろうか
326名無しより愛をこめて:2007/05/26(土) 00:37:12 ID:7SzfEJgr0
ロワ内ではグランザイラスと互角くらいだっけ?
>水のエル

>>323
たのしみだぁぁ!
327 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 19:57:39 ID:pC40lshB0
橘さん、木野さん、城茂投下します。
328橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 19:58:23 ID:pC40lshB0
 ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
 不快な声とともに告げられるは、死者の名前。
 ギリッと歯噛みをする音を、パーフェクトゼクターは聞いていた。
 己の刃を支える柄が強く握り締められる。改造人間の握力は、並の剣なら砕いていただろう。
 だが伝説のヒヒイロカネの剣、パーフェクトゼクターには何の痛みももたらさなかった。
 むしろ、城茂が伝えるのは心の痛み。放送には彼の探し人、仮面ライダーキックホッパーがいた。
 そして風見志郎の名は、再び彼の心を抉っているだろう。
 鬼の形相を、茂は俯かせると、何かに気づいたらしく視線を移動させる。
「おやっさん!」
 茂の視線の先には初老の男の惨殺死体があった。駆け寄る彼の目に、悲しみと怒りを混ぜた色がある。
 しばらく身体を震わせていたかと思うと、茂は立ち上がり自分を使って穴を掘り始める。
 至宝の剣である自分がスコップの代わりにされるなど、本来なら怒って余りある行為だが、彼の必死な形相を見ると素直に協力をしたくなった。


 盛り上がった土に、パーフェクトゼクターで作った木の板を突き刺す。
 茂は手を合わせ、自分の父親代わりといっていい人物の冥福を祈った。
 誰がこんな事をしたかは分からない。だが、その殺戮者はこの島に必ずいる。
 そいつらから弱者を守る。仮面ライダーは揺るがなかった。
「おやっさん。俺が必ず、仮面ライダーとしてこの殺し合いを止めて光をもたらす。だから風見さんやユリ子と仲良くそっちにいてくれ。
いつか、俺もそっちに逝くから」
 土で薄汚れた黄金の剣を掴む。だが剣の持つ気高さは、一遍の曇りもなかった。
「悪い。でも俺には大切なことなんだ。だから、しばらくは俺に付き合ってくれ」
 短く伝えると、太陽光が反射して、茂に答えたような気がした。
 草を踏みしめ、地面の土を蹴ろうとしたとき、
「ムゥン!」
329橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 19:59:11 ID:pC40lshB0
 緑の影が風となって茂を襲った。身を捻ってかわすと、後ろに存在していた木が砕かれ、轟音を立てて倒れていく。
「てめえ!」
 茂は身を起こし、影の正体を睨みつける。
 影は濃い緑の色を全身に纏っている。
 発達した胸部から腹の筋肉にあわせて、他と比べやや明るい緑色に身体の前面を彩っていた。
 胸の中央には宝石が太陽の光を反射している。
 肘から先は刃が伸びて、抉られた者の運命を簡単に推測させる。
 腹に据えられたベルトは、生物の瞳を模していた。
 顔は身体と同じく濃い緑色の仮面に、下顎はくすんだ銀。
 クラッシャーと角は金色、二つの瞳は血のように赤く、仮面ライダーを見つめる。
 オレンジのマフラーを風になびかせるその男に、茂は怒りを覚えていた。
 自分を襲ったそれは、
「仮面ライダー? 偽者か!?」
「違う。俺は闇を切り裂き、光をもたらす唯一の存在となる、仮面ライダーアギトだ!」
「そうか。それなら、何で俺を襲った?」
「仮面ライダーは俺一人でいい。それ以外の仮面ライダーは俺が殺す!」
 鬼気迫った声が告げられた。男の声には悲壮感がある。
 何らかの事情が彼を狂わせたかもしれない。先程の自分のように。
 だから……
「お前は仮面ライダーじゃない」
「うるさい」
「俺が教えてやる。本当の仮面ライダーをな。
後輩、お前を仮面ライダーに戻してやるから……」
 茂は傍に剣を突き刺し、グローブを脱ぎ捨てる。
 露になったコイルを巻かれた手をむき出しにして構えた。
330橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:00:13 ID:pC40lshB0
「かかってこい! 変……ッ!」
「待ってくれ!」
 男の声に中断され、腕が途中で止まる。
 振り返ると、黒いジャケットの男が背後から現れた。

「その役目、俺に譲ってくれ」
「橘……」
 現れた男の名前に少し驚く。タチバナ、今しがた埋めた男と同じ名をしていた。
 その男が自分に並び、真摯な瞳をこちらに向ける。
「そういうわけにはいかない。俺は殺し合いに乗りかけた。
だからそのけじめとして、あいつを正気に戻す」
「俺は仲間に誓った。彼を仮面ライダーに戻すと!
それに、奴は俺に似ている。守るべきものを守れず、ただ力を求めた俺と!」
 その言葉に驚き、橘の顔を見つめる。真剣な眼差しは嘘を語ってはいない。
 やがて、一つの考えが茂の脳裏をよぎる。
(ああ、こいつらもか)
 ここにいる三人は大切な人を守れなかった。
 その後悔と狂気と力に惑わされ、あるいは自ら手放して、一時期は仮面ライダーを失いかけた二人。仮面ライダーを失っている目の前の男。
 何の因果だと、茂は笑った。
「頼む。この先に居る俺の仲間が殺人鬼に狙われている。彼らの力になってくれ」
「ずるいな。そう頼まれたら、断れないじゃないか」
「……すまない」
「いいさ。俺は仮面ライダーストロンガー、城茂。お前は?」
「仮面ライダーギャレン、橘朔也」
 風が吹き、木々がささやかな祝福を男に送る。仮面ライダーと名乗る彼に迷いはなかった。
331名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:01:33 ID:mTPmwLOmO
支援
332名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:02:22 ID:mTPmwLOmO
支援
333橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:02:47 ID:pC40lshB0
 胸を張って言い切る男に頷き返す。ここはギャレンの出番だ。
「死ぬなよ、ギャレン」
「お前もな、ストロンガー」
 茂は踵を返し、地面を蹴って丘へと目指す。ギャレンの仲間はそこにいるのだろう。
 希望は潰えてはいない。闇を切り裂く仮面ライダーはまだまだいる。
「変身!!」
 戦士の決意が背中より聞こえる。
(風見さん、おやっさん。俺たちは負けません。まだ、仮面ライダーは死んでいませんから!)
 胸を熱くして、城茂は駆け抜ける。
 丘に光が満ちている事を信じて。


 茂の足音が遠のいていく。アナザーアギトを通さんと、睨みつけた。
 アナザーアギトは茂を追いかけず、構えをとる。
 まずは自分を倒すことに決めたらしい。好都合だ。
 ギャレンバックルをかざして、カードが帯状に腹を回って固定する。
 左腕を前に突き出し、右手でバックルの端を掴む。
「変身!!」
 軽く開いていた左手を手前に軽き引きながら握り締める。
 右手を回転させ、端のスイッチを引っ張り、バックルを反転させ、青い光の壁を発生させる。

 ――Turn Up――

 光の先のアナザーアギトを見据え、潜っていった。
 その体躯を赤い強化スーツに纏い、銀の鎧を着込む。
334橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:03:28 ID:pC40lshB0
 ダイヤの意匠は各所に配置されている。
 赤い兜にダイヤのマークを縦で二つに割った銀の仮面をつけた戦士。
 緑の瞳で哀れな男を見つめる彼の名前は、仮面ライダーギャレン。
 人類の自由と平和のため、仲間のために立ち向かう男だ。

 ゆっくりと、ギャレンは歩み続ける。それはアナザーアギトの射程に入っても変わらない。
 やがて構えているだけだったアナザーアギトに変化が起きた。
 空気の壁を破って、音速の拳が突き出された。アギトもかわせなかった必殺の一撃。
 ギャレンを貫かんと迫る。しかし、拳は空を切り、逆に懐にギャレンがもぐりこんでいた。
 赤い拳がアナザーアギトの脳を揺さぶり、よろめかせながら後退させる。
 追撃をするために、ギャレンは地面を蹴る。その彼を迎撃するためだろう、アナザーアギトが蹴りを放つ。
 蹴りが避けられるが、慌てていない。これはフェイントだったのだ。
 右肘を曲げて腕を振りぬく。肘より突き出された刃が太陽の光を反射して、弧を描く。逃げ場は蹴りが断っていた。後退は不可能。
 だがその刃もギャレンを捉えることはなかった。
 ギャレンは突き出された脚を引っ張り、自身は前に突き進むことによって懐に深く入り、身体を刃の射程の内に入れたのだ。
 肘を左手で止め、アナザーアギトの腹に銃を押し付ける。
 引き金が引かれ、火花が飛び散りアナザーアギトが離れていく。
 ギャレンの銃口は動かず、一発、二発、三発とアナザーアギトの発達した筋肉を抉る。
「ハァッ!」
 アナザーアギトが気合を入れ、四発目と五発目を刃で弾き飛ばした。
 ギャレンは微動だにせず、六発目と七発目を銃より放った。
「無駄だ!」
 再び、アナザーアギトが弾こうと腕を上げる。しかし、銃弾は刃の先端を弾いた。
「何のつもりだ?」
 ギャレンは答えず、連射を続けている。やがて、アナザーアギトが焦り始めた。
335名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:04:16 ID:mTPmwLOmO
支援
336名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:05:22 ID:mTPmwLOmO
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337橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:05:42 ID:pC40lshB0
 刃の付け根にひびが入ったのである。
「狙ったのか!?」
 答えは返さない。普通なら、動く標的の武器を狙い続けるなど不可能だろう。
 しかし、ギャレンの装着者は橘朔也。
 射撃の腕は神業を極めている男である。
 かつて、レンゲルとなった桐生に、カードを引き抜き、ラウズするという狙いをつけにくい状況から、一発も外すことなく銃弾を当て続け、必殺技を放ったことがある。
 その彼の腕を持ってすれば動く標的を射抜くなどたやすい。
 アナザーアギトが危険を感じて接近しようとすると、胸が三度爆ぜる。
「この判断力、この強さ! さっきとはまるで別人だ! キサマ、何者だ!」
「仮面ライダーギャレン。それ以上でも、それ以下でもない!」
 再度放たれた銃弾に、ついにアナザーアギトの右肘の刃・バイオクロウが乾いた音をたて、折れた。
 銃口から煙が上がり、そのままアナザーアギトへと近付いていく。
「木野、もうやめろ。そんな事をしても、お前の弟は喜ばない」
「お前に何が分かる! 雅人のことなどを!」
 アナザーアギトは立ち上がり、クラッシャーを開く。
 スゥーっと空気を吸い込む音が聞こえ、腰を落として構えている。
 光を吸い込み、脚に力が満ちていく。それを阻止せんと銃弾を放つが、アナザーアギトは痛みを無視して跳躍を始めた。
「ハッ!」
 だが、ギャレンはその行為に備えていた。
 自分がくらい、この殺し合いで仲間となったアギトの技であるため、対策はたてている。
(睦月、北岡。お前たちの力を借りる!)
 左腕を前に突き出し、中のスイッチを押す。左腕に装着されたひょうたんに似た機械からロープが放たれ、アナザーアギトを木に縛り付けた。
「なに!」
 アナザーアギトから驚きの声が聞こえる。バーニングディバイドを使えない彼の作戦だ。
 正面から打ち合ってはどうしても威力負けをしてしまう。
338橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:06:39 ID:pC40lshB0
 そして、バーニングディバイドでも彼のアナザーキックに対抗できるかは微妙だ。
 それなら、動けなくしてからこちらの技を当てる。そのため隙のできる瞬間を狙ったのだ。
 これは、アギトを相棒にし、アナザーアギトと戦ったギャレンだからできた芸当だ。
 おそらく、今のこの瞬間なら、この作戦を成功させる者は他にはいない。
 ギャレンはGA-04・アンタレスを外し、二枚のカードをラウザーに通す。
 青い光が空中に浮き上がり、身体に吸い込まれる。顔が赤く発光し、電子音が樹海に響く。

 ――Drop――
 ――Fire――
 ――Burning Smash――

「ウオォォォォォォォォォゥォゥッ!!」
 ギャレンが飛び、脚に炎をまとって、オーバーヘッドキックをアナザーアギトに迫らせる。
 だが、アナザーアギトは焦った様子が見えない。
「オオッ!」
 力を溜めた右足を木に叩きつけ、根元が折れる。
 アナザーアギトは木を背負ったまま、身を捻ってギャレンへと木を叩きつけた。
 木と人の身体がぶつかり、骨が折れる嫌な音が響く。銀の仮面の左半分が割れ、破片がパラパラと落ちる。
 ギャレンはその身を空へ躍らせ、

「木野゛オ゛オオオ゛オオオオォ゛ォォォォォォ゛ォォォ!!!!!!」

 ない。大木を叩きつけられ、左腕が折れながらも踏ん張り、炎の蹴りをアナザーアギトに浴びせた。
 アナザーアギトは吹き飛び、やがて勢いよく地面に叩きつけられる。
 木が砕かれアナザーアギトの拘束を解いている。威力を削られたバーニングスマッシュではまだ動けるだろう。
339名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:07:07 ID:mTPmwLOmO
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340名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:08:06 ID:mTPmwLOmO
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341橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:08:15 ID:pC40lshB0
 事実、アナザーアギトはふらつきながらも立ち上がってくる。
 アバラを二、三本折っただろうか。血を吐いて自分の前に立ちはだかる。
「俺は……負けない。雅人、俺が救う!!」
「救いが必要なのはお前だ。木野」
「いらない! 俺は救いなど、報いなどいらない!
必要なのは俺がただ一人の仮面ライダーであること! 俺が闇を切り裂いて光をもたらすことだけだ!」
「闇にとらわれているのはお前だ。俺も、そうだった。
俺にお前の弟の気持ちは分からない。だが、今のお前の気持ちなら分かる。そして、その未来も!」
 口で一枚のカードを取り、銃を横切らせる。

 ――Upper――

 光がギャレンの力になり、銃を捨て右拳を固める。
 目はひたすらアナザーアギトを見据え続けた。

『橘くん』
 一瞬だけ、音も風景も消え、白衣の長い黒髪の女性が微笑む過去の映像が浮かぶ。
『分かっている。小夜子』

 ギャレンは地面を蹴って、数メートルの距離を一瞬で詰める。
 アンデッドの力を込めた拳と、アギトの力を込めた拳が腕を交差させて二人の頬を貫く。
 たたらを踏みながら、踏ん張る。
 最早瞳はお互いしか映していない。
 今度はアナザーアギトが突っ込んでくる。打ち込まれる拳を右手だけで捌き、鳩尾に膝を叩き込んだ。
 身体をくの字に曲げるアナザーアギトに裏拳を放った。
342橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:09:07 ID:pC40lshB0
 しかし、敵の右腕で防がれ、掴まれて投げ飛ばされる。木に叩きつけられ咳き込む。
 左腕の激痛が蘇り始めた。痛みに気を失いそうになるが、それでも立ち上がる。
「なぜだ? なぜ立ち上がる?」
 騙され、力を求めた結果、小夜子を喪い、力を手放そうとして桐生をも亡くしてしまった。
 その自分と、弟を失ったため頑なに人を守ろうとし、彼を案じる仲間をも殺しかねない木野。
 正直、彼と比べるには自分は情けないかもしれない。
 だからこそ、木野を止めるのは自分でありたい。自分に訪れた未来を木野に与えたくない。
 その想いを込め、ギャレン、橘は露になった瞳でアナザーアギトとなった木野を見つめる。
「木野……お前の心はボロボロだ!」
「…………お前は何を言っている?」
「お前は自分の状態に気づいていないだけだ。勝手に自分で自分を追い詰め、周りとともに心を傷つけている。
今のお前は、小夜子を、桐生さんを喪う目になったときの俺と同じ、心がボロボロだ! そう言っている!!」
「黙れ……」
「黙らない。俺のときは仲間のおかげで立ち直った。
だからお前の仲間の俺が止める! 行くぞ!! 木野!!!」
「黙れといっている!!」
 アナザーアギトが怒りに震え、拳をこちらに向けている。
 殺気と怒気がギャレンを襲うが、そよ風のように流して迎撃の準備をする。
 空気が凍り、二人は動きを止める。木の葉がざわめき、太陽がまぶしい光を天から注がせる。
 穏やかな陽気に相応しくない、死合の瞬間が刻一刻と近付く。
 雀が二人の間にある木の枝に止まる。しばらくさえずるが、獣の本能に異様な空気を感じて萎縮する。
 二人の睨み合いに耐えれずに、雀が飛び去る。
 その瞬間、土が飛び散り、二人の戦士が風となって迫る。
 二人は地面にかがみ、ギャレンはデイバックを取って、アナザーアギトは手に取ったものを掌に隠して、進行を再開した。
「ムン!」
343名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:09:20 ID:mTPmwLOmO
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344名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:10:46 ID:mTPmwLOmO
支援
345橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:10:58 ID:pC40lshB0
 アナザーアギトの右手が振られ、ギャレンの右目が焼けるような痛みが走る。
 折れたバイオクロウが片目を奪っていた。
「馬鹿な! なぜ動きが止まらない!!」
 ギャレンの進軍は止まらない。
 呻き声一つ上げずに地面を蹴り続ける。

「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅ!!」

 知らずに叫び、デイバックを投げ捨てる。右手には剣が握られていた。
 アナザーアギトはその剣を左肘のバイオクロウで受け止めた。
 しかし、ギャレンの握る剣はただの剣ではない。ディスカビル家に伝わる、宝剣。
 ひびの入った刃を切り裂き、咽元に刃を迫らせる。
 アナザーアギトは拳を唸らせ、自分を狙ってきた。
 だが、剣の方が早い。この戦い、仮面ライダーギャレンの勝ちだ。
 血飛沫が一本の木を赤に染め上げた。
346橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:11:40 ID:pC40lshB0

「なぜだ? なぜ剣を途中で止めた?」
 アナザーアギトが問いかけてくる。その事実を示すように、刃は紙一重で止められていた。
「言……っただろ……う。木野は……俺の仲……間だと。俺は仲間を……殺さ……ない」
「腹に……腹に穴を開けた俺が仲間だとッ!!」
 アナザーアギトの言葉を肯定するように、ギャレンの銀のアーマーを貫いて拳に血が滴っている。
 一滴、二滴が指を伝い、土に覆われた地面に血の池を作っていく。
「そんな……こと、気……にする……な」
「橘ァァッ!」
 崩れるギャレンを支え、アナザーアギトが叫ぶ。
 その声にギャレンは満足して、一つの事実に気づいた。
(ああ、こういうときに言うんだ)
「木野、お前は……真面目すぎる。もっと馬鹿……になれ」
「橘、待っていろ! 今すぐ治療を……」
「いい……んだ、木野。ただ、頼みがあ……る。北岡と津上に……すまないと伝えて……くれ。
睦月……に、闇に捕らわ……れるなと伝え……てくれ」
 言い終えると同時に、青い光がアナザーアギトを吹き飛ばし、人の姿へと戻った。
 傷口に収まっていた腕を失い、更なる血が流れ出る。橘は血の池に倒れ、体温を失っていく感覚を感じた。
「橘……」
 木野に笑いかけ、口を開く。酷く瞼が重たいが、放っておくわけには行かない。
「これ……は事故……だ。そう……だろう? 木野」
 木野が悲痛な表情をする。表情を変えない男だと思ったが、意外な顔を持っていたらしい。
 木野がいい奴なのは確認した。睦月も、北岡も、津上も、城茂も、ファイズもいる。
 自分が死んでも、代わりに戦ってくれる仲間が、青い空の下にいてくれる。
347名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:11:47 ID:mTPmwLOmO
支援
348名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:12:36 ID:mTPmwLOmO
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349橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:13:19 ID:pC40lshB0
 それが、橘にとっては代えようの無い喜びだ。

 彼は仮面ライダーになって、多くの逆境に出会った。
 恐怖に身体を蝕まれ、戦うことができなくなった。
 敵に騙され、利用された。
 自分の短絡的な思考で、大事な女を喪った。
 仮面ライダーを拒んで、先輩である桐生に叱咤激励された。
 その彼は、自分のために亡くなってしまった。
 正直、碌なことが無い。
 だが、それでも、

「俺は、仮面ライダーになってよかった」

 その言葉が、『橘朔也』の最期の言葉になった。


 冷たくなり、死が訪れた橘を前に、木野は自身への怒りで身体を震わせていた。
「何が最強の称号だ。何が雅人のためだ。俺は雅人の死を理由に、罪の意識から逃げただけじゃないか! 橘……礼を言う」
 彼は穴を掘り始め、死体を抱える。激闘を終えた身体に堪えるが、文句は言えない。
 盛り上がった土を見つめ、隣のような板を探すが見当たらない。
「俺は闇を切り裂き、光をもたらすとしよう。無力な人間だけじゃない。仮面ライダーにもだ!」
 重い身体を引きずって、橘の荷物を回収する。
 これは、津上たちに返さなければならない。
「二度とアギトの力に、仮面ライダーの闇などに飲まれはしない。
闇を受け入れたのが俺の『意思』なら、闇を抜け出したのは橘の『遺志』だ。
俺の心にお前がいる限り、医師の使命を、仮面ライダーの宿命を忘れはしない。橘、お前は俺の『仲間』だ!」
350橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:14:10 ID:pC40lshB0
 墓に告げて背を向ける。振り返りはしない。
 彼は仮面ライダー。罪を背負って戦いに向かいに、丘へ進み続けた。



 白い部屋に、橘はいた。ドアが開き、一人の女性が立っている。
 癖の無い綺麗な長い黒髪の、整えられた顔に笑顔を浮かべている。
 白衣が穏やかさと知性を強調させた佇まいをさせていた。
『お疲れ様。橘くん』
 橘は笑顔で返し、女性の手を握ってドアへ向かった。
 ドアの傍には、いつの間にか表れた男がいた。
『よくやったな。橘』
 白いスーツに厳つい顔の男は、満足気に言葉をかけてくる。
 義手であった右腕は、生身の腕に戻っていた。
 彼に満足だったという頷きをする。
 三人はやがて、光に満ちた部屋へと消えていった。


【橘朔也 死亡】
残り33人
351名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:14:18 ID:mTPmwLOmO
支援
352橘朔也 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:15:07 ID:pC40lshB0

【城茂@仮面ライダーストロンガー】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海B-5】
[時間軸]:デルザー軍団壊滅後
[状態]:胸の辺りに火傷。
[装備]:V3ホッパー、パーフェクトゼクター
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:仲間を探す(丘のメンバー優先)。
2:殺し合いを阻止し、主催者を倒す。
3:明日、ジェネラルシャドウと決着をつける。
4:自分に掛けられた制限を理解する。
※首輪の制限により、24時間はチャージアップすると強制的に変身が解除されます。
※制限により、パーフェクトゼクターは自分で動くことが出来ません。
 パーフェクトゼクターはザビー、ドレイク、サソードが変身中には、各ゼクターを呼び出せません。
 また、ゼクターの優先順位が変身アイテム>パーフェクトゼクターになっています。

【木野薫@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海B-3】
[時間軸]:本編38話あたり
[状態]:辛うじて歩ける。重症(打撲、火傷、刺し傷、骨折など)、疲労(大)、2時間変身不可。
[道具]:救急箱。精密ドライバー。ギャレンバックル。ラウズカード(ダイヤのA、2、5、6)
    ディスカリバー、GA−04・アンタレス。配給品一式×2(睦月、木野)
[思考・状況]
1:橘の遺志を継ぎ、闇を切り裂いて光をもたらす。
2:丘のメンバーと合流。
3:無力な人たちを守る。
4:医師の使命を忘れない。
5:自分の無力さを痛感している。
353 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 20:19:01 ID:mTPmwLOmO
最後でさるさんorz
投下終了です。
誤字、矛盾などの指摘お願いします。
354名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:32:53 ID:UYU9z3LV0
ダディーナザァーン!?
ウゾダ!!ウゾダドンドコドーン!!!!

激しくGJ
355名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 20:44:29 ID:3PX/eYTAO
橘さん……(合掌)

睦月を救えるのは橘さんしかいない!と思っていたが彼の遺志は木野さんへ…

とにかくGJです!!!

橘さんはきっと死者スレでその一流っぷりを発揮してくれるはず…!
356名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 21:49:10 ID:kd/Q7ur40
ダディヤーナサ(ry
超GJ!
木野ギャレンにwktk
やはり「タイトルがフルネーム」は死亡フラグか……
てかIDwww
357名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 21:50:30 ID:WbeOnuqPO
危ない所だったがギリギリのところでショチョオに助けられた…なんて事は無いよな
358 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 22:47:25 ID:pC40lshB0
自分でミス発見orz

>>341
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9061/1177078434/100
に差し替えてください。
359 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/27(日) 22:49:40 ID:pC40lshB0
すいませんorz
またミス発見。

差し替え部を
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9061/1177078434/101
にしてください。
360名無しより愛をこめて:2007/05/27(日) 22:58:38 ID:fJ0PvlekO
( 0W0)喫茶店にようこそ!!

橘さん…(合掌)
361名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 00:02:00 ID:bUiQ/hbuO
追悼してきた。
橘さんは絶対終盤まで生き残ると思ってただけに意外だぜ。

でもやっぱり橘さんは橘さんだったな。
橘さんは熱い男だ。本当にロワ一番だと思う。

巧に続いて面割れ見れると思ってなかったし感動した!
超GJJJJ
362名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 03:15:12 ID:I+pzLXb0O
剣勢はカードの大半が抜き取られて大変だな
橘さん視点だと技が使えないハンデが分かる
363名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 17:54:27 ID:Vi6pdGcWO
ロワには関係ないけど気になったこと
スーパー1の玄界老師(字これだっけ?)が参戦していた場合、その戦闘力はどちらに分類されるか
1.この戦闘力だし一度戦ったら二時間戦闘不可
2.いくら強いといっても能力も何もない普通の人間だし身体能力は現実の達人並みに落とされる(ただし変身してない改造人間より強い)
364名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 18:11:22 ID:LYGHIWAr0
2だろうな。
ただ気をつけないと某ロワの宗一の二の舞になるだろうが。

参考URL
ttp://www11.atwiki.jp/row/pages/219.html

ライダーロワは表現がまちまちな部分はあるが、常時怪人態の奴がやっぱり有利だとは思う。
365 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/28(月) 21:24:44 ID:zRbdhbb40
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/131.gif
進行表更新しました。

ジャーク、ガライ、睦月予約します。
366名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 21:28:14 ID:mdWP1ejO0
投下乙
こんな格好良いボロボロを聞いたのは初めてだ
367名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 21:45:26 ID:O4z8V3VPO
投下乙
俺は信じている!木野さんが、いつか必ず、
バーニングディバイドを完成させてくれると信じて…




合掌…
368名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 22:36:18 ID:R24YDznx0
ダディアナザァーン!
369名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 22:50:47 ID:2Mc04EOo0
>>367
木野はギャレンに変身できないんじゃないのか?
370名無しより愛をこめて:2007/05/28(月) 23:00:24 ID:P7i280SmO
>>369
展開しだいじゃないか?
融合係数って設定かなり曖昧だし。
まあ、変身設定明確なのファイズ連中くらいだしな。
371 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/28(月) 23:52:48 ID:BwXWOkSN0
まとめサイト更新しました。

木野さんと二人きりになった時点でやばいなと思っていましたが、サラバ橘さん。
せめて木野さんが長生きできますように。。。

現在、執筆状況8割。今日中に書き上げて、明日推敲。
締め切りは守れるよう頑張ります。
ただ、ここまでひとりで書いていいのかと思うほど、今回長いです。。。
372名無しより愛をこめて:2007/05/29(火) 00:01:50 ID:ZHuFWD6GO
>>371
気にせずどうぞ…

書きたくてもキャラの特徴が分からないや
373 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/29(火) 01:03:43 ID:PzAR+1+A0
>>371
まとめ更新乙です。
最新作楽しみにしています。

一時間くらい前に投下宣言してくれたら、支援、代理投下ともに準備できると思います。
援護は任せな!
374名無しより愛をこめて:2007/05/29(火) 01:04:31 ID:PzAR+1+A0
トリつけたままだったorz
375 ◆A.IptJ40P. :2007/05/29(火) 22:18:07 ID:qQcrm+a90
木野薫、浅倉威、天美あきら、乾巧、北岡秀一、津上翔一。
予約します。

……今度こそ被ってはいない、筈。
376名無しより愛をこめて:2007/05/29(火) 22:27:39 ID:PzAR+1+A0
まってました。
ただ、城茂がいないのは少し不自然かなと。
まあ、後で辻褄合わせるのもいいのですがw
377 ◆A.IptJ40P. :2007/05/29(火) 22:46:26 ID:qQcrm+a90
……城茂、キングも追加でorz
378 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 00:27:44 ID:ko/pk9ty0
お待たせしております。
なんとか、本文は書き上げました。
あとは状態表の記載と最後の推敲の上、投下いたします。

>>375
またも予想される大混戦。
期待します。

あとはジェネラルシャドウか。。。
379名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 00:40:26 ID:xhv5kU8eO
支援
380名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 00:41:19 ID:xhv5kU8eO
先ばしった
381 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:18:32 ID:ko/pk9ty0
投下します。
382献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:19:14 ID:ko/pk9ty0
 ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
 この戦いが始まって、12時間が過ぎた。二回目の定時放送を告げる鐘の音が鳴り響く。
 鏡の扉から現れるのは青いけばけばしい服を着た女。
 女は甘えるようなぶりっ子ポーズをとると、6時から12時の間に死んだ参加者の名前を紡いだ。

「ああっ、もうムカつくわ!何よ〜この女!」
 放送が終わると、途端に憎まれ口を叩いたのは小沢澄子。
 その性根は容姿に表れ、意志の強い瞳と情の深そうな厚い唇を持った女性だ。
 今はそのウェーブの掛かった茶髪を、動きやすいように後ろにまとめており、活発な印象がそのまま更に大きくなっている。
 当初、来ていた警視庁の制服は、既に上着を脱ぎ捨て、ノースリーブのシャツというカジュアルな格好をしていた。
「小沢さん、静かにしてください。矢車さんが起きてしまいます!」
 注意しておきながら、小沢以上の声量で声を上げた男の名は南光太郎。声に特徴のある男だ。
 ほとんどの若者が染髪をしている昨今、真っ黒な髪と太くしっかりとした眉毛。
 かといって男臭いだけかと問われれば、さわやかさも備え、精悍な顔つきは紛れもなく二枚目の部類に入る顔であった。
 彼は白いジャンバーとスラックスといった格好で、彼の変身するライダーの名とは正反対だ。
「大丈夫。もう起きてる」
 そう言って、ベッドから上半身を起こしたのは矢車想。元仮面ライダーザビー。
 変身を封じられ、傷だらけになった男の身体には包帯が巻かれており、その傷の深さが見て取れる。
 顔も憔悴しきっており、完全回復とは言い難いが、その眼だけは光を取り戻していた。
383名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:19:55 ID:xhv5kU8eO
支援
384献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:20:01 ID:ko/pk9ty0
「それにしても、たった6時間で今度は10人も。小沢さん、南くん、誰か知り合いの人は呼ばれましたか?」
「1人いたわ。ヨロイ元帥。ここへ来て初めて会った男よ。胡散臭くて、ダサくて、最低の奴だったわ」
「俺はいませんでした。だけど、10人も犠牲になるなんて、許さんクライシス!」
 二人の言葉を聞きながら、矢車は1人の男に思いを馳せる。
 加賀美新。矢車と同じZECTの隊員だった男。
(彼なら役に立ってくれるかもと思っていたが)
 三者三様の思いがよぎる。だが、ゆっくりとはしていられない。放送は死亡者だけでなく、休息の終了も告げていたのだ。
 今、小沢、南、矢車の3人はG5エリアにある民家にいた。傷ついた矢車の体調回復のためだ。
 しかし、このG5エリアは13時に禁止エリアになることが確定した。のんびりとしていれば、爆死することになってしまう。
「今はのんびりと考え事をしてる場合じゃないわ」
 言うが早いや小沢は出発の準備を始める。
 その言葉に2人とも異論はなく、続いて、身支度を始めた。
「矢車さんは休んでいて下さい。準備は俺が」
「いや、全快とはいかないが、大分休ませてもらった。これぐらい平気だよ。
 それにしてもここを禁止エリアにしたのは何か意図を感じる」
 偶然と言ってしまえば、それまでだが、神崎は動かず、休み続ける自分たちが邪魔だったのではないか?
 もしこの禁止エリアがランダムに決められているものでないとすれば、そこを禁止エリアにしなければならない理由があるのかも知れない。
「そうね。後でそれはじっくり考えましょう。とりあえず、今はどこに移動するかが先決ね。
 私は城戸くんや乾くんを追って、F7エリアに向かうべきだと思うわ」
 力強く提案する小沢の言葉に、矢車は肯いた。

 一方、その頃、また別の場所で定時放送を耳にした男がいた。
385献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:20:53 ID:ko/pk9ty0
 その男は、戦いの場というのに、白い燕尾服と気品を纏っていた。
 ワームでありながら、ワームを嫌悪し、ワームの存在をなかったことにするために、神に代わって剣を振るう男、神代剣である。
「カ・ガーミン……」
 自分で殺したとはいえ、友が死んだと聞かされるのは改めて心が痛む。
 しかし、その痛みは自分への罰。あえて受け止め、次の戦いに進まなければならない。
 剣は地図を広げる。今、自分が優先すべきは相川始を止めることだ。
 彼と剣崎が行ったノブリス・オブルージュは決して汚してはならないものだ。
 彼が間違いを犯す前になんとしても止めなければならない。それは自分が擬態している剣崎の願いでもある。
「よし、ここに行ってみることにするか」
 数あるエリアの中から剣はひとつを決める。それは数十分後、激闘が行われることになる場所であった。

 そして、時は流れる。


BATTLE1−1:市街地F6エリア

 市街地の一角。
 綺麗に舗装された広い道路に、垂直にそびえ立つ電柱。
 カラフルな店構えの様々な商店が立ち並び、自己主張をしているその区画は、休日ともなれば、多くの人が訪れ、活気あふれる地域になることが予想された。
 つい数分前までは。
「アバラーーー!」
 奇声を上げるのはカニレーザーへの変身を遂げたドクトルG。
 それに対峙するのはカテゴリーAであるカリスの姿を模したジョーカー。
 ふたりの戦いは熾烈を極めていた。
 カニレーザーが斧を振り上げれば、カリスは素早い動きでかわし、カリスがカリスアローを撃てば、カニレーザーは盾で防御した。
 その余波は周りの建物を次々と破壊していき、瓦礫の山へと変貌させていく。
 ふたりとも狙うのはこの膠着状態を打ち砕く決定打。そして、それを可能にするのはお互いの必殺技をおいて他にはない。
 ふたりは互いに相手の隙を窺っていた。
386名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:21:43 ID:xhv5kU8eO
支援
387献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:21:47 ID:ko/pk9ty0
「ハァハァ」
 しかし、この戦い、互角ではなかった。
(このままではまずいな)
 体力をより消耗しているのはカリスの方。
 力はカニレーザーの方が上。そのため、カリスはスピードで撹乱する戦法をとったが、間合いを広げすぎるとレーザーで狙い撃ちにされ、近づきすぎると斧が来る。
 カリスは近くも遠くもない微妙な間合いを計らねばならず、隙を見て攻撃しても鉄壁の盾で全て防がれていた。
 結果、運動量の多い、カリスの体力は徐々に削られていた。体力が減ってくると、ジェネラルシャドウ、ブレイドとの戦いの傷も疼いてくる。
(長期戦は不利。一気に決着を着けるしかないか)
 カリスは右腰につけたカードフォルダーから1枚のカードを取り出した。
 カリスの手元にあるカードはハートの5、キック力を強化するDRILLのカード。
(このカードに賭けるしかあるまい)

―DRILL―

 カリスアローにセットしたラウザーにカードを通す。
 光となったカードはカリスの身体に吸い込まれ、その力をカリスの足へと宿した。
(狙うは……)
 カリスの複眼が狙うべき箇所を特定する。特定した箇所は頭上にあるレーザーの発射部。
(あそこだ!)
 カリスは飛び、前方宙返りを行うと足先をカニレーザーへと向けた。
 そして、キック力を上げるため、足を支点として、ドリルのようにグルグルと回転を始める。
 それはカニレーザーにとって、見覚えのある技だった。
 V3が以前、自分に止めとして放った技、V3きりもみ反転キックにとてもよく似ていた。
 V3とカリスに接点があるわけないと、カニレーザーは理解しながらも、その闘志は否が応でも燃え上がる。
「同じ手はくわぬわ」
 カニレーザーに向けて、一直線に放たれる蹴り。
 カニレーザーは盾に身を隠すと、それを真正面から受け止めた。
 受け止めてもキックの勢いは止まらず、キュルキュルと盾を貫かんとする音が鳴る。
 だが、カニレーザーは盾を貫かれることはないと判断していた。
388名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:21:49 ID:dJXwf/gZ0
支援
389献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:22:47 ID:ko/pk9ty0
(軽い。V3のキックに似てはいるが、キック力は似ても似つかん)
 落胆するカニレーザー。
(所詮は仮面ライダーに及ぶことはない流浪の戦士か。止めをさしてやる)
 『零距離』この位置からのレーザーを浴びればひとたまりもあるまい。
 カニレーザーはカリスを狙い撃ちにするために、盾から顔を出した。
「なに!」
 しかし、それがカリスの狙いだった。
 顔を出したカニレーザーの視線の先にはカリスアローを構え、こちらを狙うカリスの姿があった。
 カニレーザーは油断していた。『零距離』条件は相手も一緒だということを。
「くらえ」
「小癪な!」
 同時に放たれる矢とレーザー。
 眩き閃光が、ふたりを包み込んだ。


BATTLE2−1:市街地F5エリア

 エメラルド色の複眼を持った銀色の戦士、シャドームーンは、特徴がまったく異なる二人の戦士と対峙していた。
 ひとりは青い色の複眼を持ち、銀色の装甲を脱ぎ捨てた、赤の戦士。
 接近戦、遠距離戦療法に対応可能な武器を使いこなし、今も絶妙な間合いで敵の出方を窺う。
 自らを太陽の化身と名乗る天のライダー、仮面ライダーカブト。
 もうひとりは黄金のラインをさながら全身に血を運ぶ血脈のように張り巡らせた、漆黒の戦士。
 エネルギーによって生成された両刃剣を構え、隙なくこちらを見つめる。
 終焉を意味する文字を模した地のライダー、仮面ライダーオーガ。
 シャドームーンは己の瞳に携えた機能、マイティアイでふたりを分析する。
 ライダーマンとの戦いは気が急いてしまい、余裕が油断へとつながった。
 二度とあのような失態を繰り返すつもりはない。
390名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:22:55 ID:xhv5kU8eO
支援
391献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:23:34 ID:ko/pk9ty0
「何!」
 バランスを完璧に崩されたカブトは、為すがままにシャドームーンの正面へと出た。
 背中に走る衝撃。オーガの正拳突きはカブトへと命中する。
 今度はオーガの番。右手のシャドーセイバーも捨て、動揺するオーガの右腕を掴むと、そのまま捻り上げた。
「うぉぉっ!」
 右腕が捻じ切れそうなほど、軋む。
「このまま捻じ切ってやる」
「させん」
 カブトは空いている左拳に渾身の力を込めて、シャドームーンの腹へと打ち込んだ。
「ぬっ」
 回復しかけているとはいえ、ライダーマンに空けられたドリルの傷は完璧には癒えていない。
 負傷した左腕でのパンチとはいえ、シャドームーンにダメージを与えるのには充分だった。
 激痛にシャドームーンの拘束の手が緩む。
「今だ」
 カブトは拘束の手を振り払い、バックジャンプで、シャドームーンとの間合いを取る。
 それを確認したオーガは改めて、シャドームーンに左拳を打ち込む。
 オーガからもシャドームーンの手が離れた。
「くらえ!」
 オーガストランザーを両手にしっかりと握り、逆袈裟に切り上げる。銀色の装甲は切り裂かれ、火花が飛び散った。
「おばあちゃんは言っていた。料理はスピード。下ごしらえが済んだら一気に進め……クロックアップ」

―CLOCK UP―

 ベルトのスイッチをスライドさせることで、静止する世界。 
 前方ではオーガとシャドームーンが切り結んでいる。
392名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:23:40 ID:xhv5kU8eO
支援
393名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:24:04 ID:dJXwf/gZ0
支援
394献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:24:13 ID:ko/pk9ty0
 カブトはシャドームーンへと駆けていき、後ろへと回り込む。

―ONE― ―TWO― ―THREE―

 押されるゼクターのボタン。カブトゼクターの角を戻すことで、脚に破壊エネルギーが蓄積される。
「ライダーキック」

―RIDER KICK―

 シャドームーンを狙っての必殺の回し蹴り。
 これが決まれば、いかにシャドームーンといえども、敗北は免れない。

―CLOCK OVER―

 静止する時は終わり、それと同時にライダーキックは炸裂する。
 ただし、炸裂したのは、
「「何!」」
 カブトとオーガの声がハミングする。
 カブトは自分の攻撃した対象が、シャドームーンでなかったため。オーガはカブトの攻撃した対象が自分だったため。
「予想通りだな」
 シャドームーンは呆けるカブトに手を向けると、シャドービームを発射した。
 一直線に走った閃光は、カブトの左腕に炸裂する。
「ぐっ」
 傷を抉られる痛みに、流石のカブトも苦悶の声を上げた。
「お返しだ。傷を攻撃されるのは痛かろう?」
(こいつ、強い。しかも、強いだけでなく、分析力にも優れている。だが、どうやって俺の位置がわかった?)
 カブトが指摘した通り、それはシャドームーンの優れた分析力の賜物だった。
 カブトがクロックアップを行ったとき、シャドームーンが注目したのは、地面の塵だ。
 クロックアップといえども物理法則の全てを無視するわけではない。人が歩けば、必ず塵は舞い上がる。
395名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:24:56 ID:dJXwf/gZ0
支援
396名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:25:58 ID:xhv5kU8eO
支援
397献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:26:00 ID:ko/pk9ty0
 最初の塵が舞い上がった場所と、次に塵が舞い上がる場所の距離と時間さえ解れば、速度を割り出すことは可能だ。
 そして、オーガと切り結んでいる状態であれば、相手の狙いは背部に限られる。
 後は攻撃してくるであろうタイミングを見計らい、オーガを盾とすればいい。
 制限がなかったら、オーガと切り結んでいなかったら、接近戦を仕掛けてなかったら、様々な要因が重なったからこそ成功し攻略法であったが、逆にそれがカブトを混乱させる。
 カブトには攻略されたという事実のみが圧し掛かっている。
 ましてや相手の実力は自分より上だ。攻略法を解明するには危険が大きすぎる。何より、今は目前に迫ったピンチをなんとかしなければいけない。
「止めだ」
 シャドームーンが手を向ける。今度の狙いは心臓だ。
(ひより)
 発射されるビーム、カブトはカブトゼクターに手をかけると、角を元の状態に戻した。

―PUT ON―

 再び生成されるマスクドフォームの装甲。
 ビームが届くよりも先に造られた装甲はシャドービームを防ぐ。
「ふっ、時間稼ぎか」
 そう単なる時間稼ぎだ。
 シャドービームはマスクドフォームの装甲を貫くことはできなかったが、破壊するにはいたった。
 もう一度、受ければ、今度こそ命はない。
「だが、意味のある時間稼ぎだ」
「うぉぉぉぉっ!」
 迫ってくる雄叫びに、シャドームーンは振り返る。
 それはオーガだ。オーガストランザーを振り上げ、シャドームーンに襲い掛かる。
 シャドームーンは素早く拾い上げたシャドーセイバーで防御する。
「避けろ」
 カブトは再びカブトゼクターの角を上げた。機械音と共に開いていくマスクドフォームの装甲。
「キャストオフ」

―CAST OFF―

 吹き飛ばされた装甲が、シャドームーンとオーガを襲う。
398献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:26:44 ID:ko/pk9ty0
 だが、警告を受けていた二人はそれを軽々と避け、オーガはカブトの元へ、シャドームーンはカブトとは逆の方向へと移動した。

―CHANGE BEETLE―

 上がるカブトの角。カブトは再びライダーフォームへと変化を遂げた。
 三人の体勢は、カブトが一度目のキャストオフを行ったときに戻っていた。
 銀色の戦士に対峙する二人の戦士。だが、先程とは状況が異なっている。
 銀色の戦士は少々のダメージこそ受けたものの、隙なく二人を見つめている。
 一方、二人の戦士は満身創痍。息も荒く、今までの蓄積した疲労が表に出始めている。
 このままでは敗北は必至といえよう。
「タフな奴だ。俺のキックを受けても立ち上がってこれるとはな」
「ふっ、あのキックはお前の必殺技か?だとすると拍子抜けだ。
 割には合わんだろうが、あの時の拳で帳消しにしておいてやる」
 オーガが言っているのは、シャドームーンに捕まり、カブトが受けることになった正拳突きのことだ。
 互いに誤爆し合ったということで水に流そうということだろう。
(意外と几帳面な奴だ)
「バラバラに戦っていては埒が明かん。同時にいくぞ」
 改めて共闘を宣言し、シャドームーンに立ち向かおうとするオーガ。だが、カブトは手を上げ、オーガを制した。
「いや、やめておいた方がいい。今の俺とお前は、梅干と鰻だ」
「?、(´・ω・`)なんだそれは」
 オーガがきょとんとした顔で聞き返す。
「食い合わせだ。料理の世界では合わせてはいけない食材が存在する。
 ひとつひとつは美味くとも、その二つを合わせようとすれば、身体には毒になる。
 今の俺たちはまさにそれだ。無理に合わせても奴には勝てない」
「なら、どうするつもりだ?」
「ひとりで戦えばいい。無理に二人で戦う必要はない」
 天道は右手を天に掲げると、自信満々にそう答えた。


BATTLE3−1:市街地F4エリア

 ライダーマンとカイザの二人はそこに現れた青き鬼神の姿を見つめていた。
399名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:27:16 ID:xhv5kU8eO
支援
400名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:28:18 ID:xhv5kU8eO
支援
401名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:28:35 ID:dJXwf/gZ0
支援
402献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:29:13 ID:ko/pk9ty0
「氷川くん」
「こいつは」
 カイザにとって、それは見覚えのある姿。
 以前、ナイトと一緒に襲い、結果的には返り討ちにあったライダーだ。
 しかし、こいつは以前、少年と一緒に行動していたはずだ。それにあの時は確か『加賀美さん』と呼ばれていた。
(……なるほど。カイザのベルトと同じで、汎用性のあるベルトってところかな。なら、奪えば俺の力にもなってくれるってことだ)
 カイザは逃げることより、戦うことを選択する。
 ライダーマンと比べて、自分の戦力は圧倒的に上。もうひとりの相手も変身したとはいえ、重症を負っていたはずだ。
 勝てない相手ではない。
(真理、すぐに生き返らせてやるからな。全ての罪人の首を切り落として)
 カイザはカイザブレイガンを構えると、ガタックに向かっていった。
 ガタックは向けられた刃を防御しようとするが、動きが鈍い。カイザブレイガンの斬撃を正面から受ける。
「氷川くん!」
「君は怪物のおもりでもしておけ!」
 左手でカイザフォンを取り、瞬時にフォンブラスターへと変形させた。
 それを使い、カイザはひよりを狙い、撃つ。
「何!?」
 突然の銃撃に、ライダーマンはひよりを庇い、身体を盾にして、光弾を受ける。
「ぐはっ」
「女を狙えば、自分から受けに来てくれるのは楽でいいな。……この偽善者め!」

―BUST MODE―

 吐き捨てるように言うと、更にカイザは光弾を撃ち込む。
 ライダーマンはひよりを庇うため、それを受けるしかなかった。
「やめろ」
403名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:29:30 ID:dJXwf/gZ0
支援
404名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:30:19 ID:dJXwf/gZ0
支援
405名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:30:55 ID:xhv5kU8eO
支援
406献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:31:04 ID:ko/pk9ty0
 ガタックの怒りの声に従い、肩に装備されたガタックバルカンが火を噴く。
 しかし、草加に油断はない。それを跳んで避けると、カイザブレイガンでまたも斬る!斬る!斬る!
「その攻撃は学習済みだ。発射する前と発射した後の隙が大きすぎる。君の取り柄は硬さだけ。さっさと死んでくれないかな?」
 止めともいえる強烈な斬撃がガタックを襲う。ガタックの身体は大地へと崩れ落ちた。
(勝てないのか、僕は?)
 氷川は悔しかった。ガタックという力を得ながらも、時間稼ぎにすらならない自分に。
『根性見せなさい!』
 親しき上司の声が聞こえた気がした。
(そうだ。今は根性を見せるべき時、無理をすべき時だ。勝てなくても、せめて足止めだけでもして、ひよりさんたちを守らないと)
 全身の力を振り絞り、氷川は再び立ち上がる。戦いの神、ガタックとして。
『それでいいわ』
(また、声が聞こえた。……これは幻聴じゃない!?)
 見上げた視線の先にいたその声の主は、紛れもない、氷川の上司の姿であった。
「小沢さん!」
「その声は氷川くんね。どうやら、こっちに来て間違いじゃなかったようね」
 小沢の隣には矢車と南の姿。
(あの女は誰だ?何故奴らがここに?)
 突然の闖入者に動揺するカイザ。だが、すぐに冷静さを取り戻すと、策を巡らせる。
(そんなことはどうでもいい。今はこの場をどうするかだ。逃げるか?いや、状況はこちらに有利だ。
 女は知らんが、矢車は戦えるような装備はもっていなかったはずだ。単純バカの南に手出しさえさせなければ、なんとでもなる)
 カイザは心の中で邪悪な笑みを浮かべると、南に話かけた。
「南君、俺です。乾です」
「乾さん、あなたなんですか?すると、その姿がファイズ」
「そうです、南君。それにしても、どうしてここに?いや、今はそんなことより、こいつらを倒す力を貸して下さい。
 こいつらは珠純子さんを殺した秋山蓮の仲間です。そいつは警官の制服を着た男とそいつは緑色の怪物に変身する女です」
 カイザはガタックとひよりを指し、糾弾する。
「嘘を言うな!騙されるな、南!そいつは草加雅人。復讐のために自分を失った殺戮者だ!」
407名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:32:07 ID:xhv5kU8eO
支援
408名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:32:19 ID:dJXwf/gZ0
支援
409献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:32:33 ID:ko/pk9ty0
「……そうは言っても、乾さんの悲しみと怒りは嘘を吐いているようには見えなかった。その人のベルトに付いているクワガタ型のメカも俺を襲ってきた。
 それにあなたは俺のことを知っているようですけど、俺はあなたのことを知らない。いきなり信じろって、言ったて無理な話です」
(しまった、今の南は俺のことを知らないのか)
 ライダーマンは南が自分のことを知らない現状に歯噛みする。
 ただでさえ、不利な状況で、南がカイザについたら、どうしようもなくなる。だが、説得する方法がない。
(ふふっ、もう一押しだな)
 草加が畳み掛けようと、次の言葉を紡ごうとした時、今度はガタックが口を開いた。
「小沢さん、信じてください。ひよりさんは確かに怪人に変身できますが、僕を助けてくれました。結城さんもです。
 ひょっとして、彼は何か誤解しているのかも知れませんが、ひよりさんも、結城さんも僕たちの味方です」
「そうね、私は信じるわ。どう?乾だか、草加だか、知らないけど、話し合わない?」
(それじゃあ、困るんだよ)
 話し合いになったら、自分の嘘がばれてしまう。
 南光太郎にばれるのはいい。馬鹿は何度だって、騙すことができる。
 例え一万回騙されても、馬鹿は一万一回、嘘を信じる。
 だが、障害になるであろう幾人かの聡明な奴らはそうはいかない。嘘を吐いた奴は二度と信じない。
「うるさいなぁ。こいつの知り合いみたいだけど、そんなこと言って、油断させておいて、俺と光太郎くんを殺すつもりじゃないのかい?」
「なっ!あんたね」
「図星みたいだね。光太郎くん、騙されちゃ駄目だよ」
 カイザは親しみを込め、呼び方を南君から、光太郎君へと変える。
 南は沈黙する。どちらを信頼すればいいのか決めかねてるのだ。
(このまま時間切れになっても困るな)
「なら、黙って見ているといい。正義は必ず勝つ。戦いで俺が正しいことを証明してやる」
 両手を広げ、フォンブラスターをライダーマンに、カイザブレイガンをガタックに向ける。
「待て!」
 今まで沈黙を守っていた矢車が突然、声を上げた。
「うっ、ううん。何かな?あんまり長引くと、敵の思う壺なんだけど」
410名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:33:12 ID:dJXwf/gZ0
支援
411名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:33:14 ID:xhv5kU8eO
支援
412献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:33:37 ID:ko/pk9ty0
「すぐ済む。……南くん、変身するんだ」
「「「「えっ!?」」」」
 その場にいる全員の声が重なる。
 顔に表れるのは困惑の色。ただひとり、ほくそ笑むカイザを除いては。


BATTLE4−1:市街地E6エリア

―SWORD VENT―

 機械的な音声と共に剣が手に握られる。
 同時に変身したふたりは、同時に剣を構えると、同時に相手へと向かっていった。
 赤きスーツの龍騎が握るのはドラグセイバー。ドラグレッダーの尻尾を模した青竜刀型の剣。
 黒きスーツのナイトはダークバイザーを握る。武装の召喚を司るナイトの基本装備だ。
 火花を散らし、切り結ばれる、ふたつの剣。
 その剣には互いの想いが宿っていた。
 愛する人を救いたい。友の間違いを止めたい。愛情と友情。それは共に『献身』という名の感情を元とする力だった。
 何度かの鍔迫り合いの後、徐々にナイトが龍騎を押し始める。
 相手を殺すために戦っている者と、相手を止めるために戦っている者とでは、動きに差が出るのは当然だ。更に元より剣術ではナイトの方が上。
 最初から龍騎に勝ち目などなかった。ただし、それがナイトの知る時点の龍騎だったらの話しだ。
「はっ!」
 ナイトがドラグセイバーを狙い、突きを打ち込む。この一撃で剣を落とし、一気に決着を着けるつもりだ。
 ダークバイザーはナイトの思った通りの場所に当たり、龍騎はドラグセイバーを落とした。
 そこまでは予定通り。予定外だったのは、龍騎が怯んだ様子を見せず、突っ込んできたこと。
 龍騎は懐に入ると、無数のボディブローを打ち込む。
 リーチの差。剣を握っての近距離戦はナイトが強くとも、差が本当にわずかの近接戦ではパワーと防御力に長けた龍騎に部がある。
 懐に潜られては剣も満足に振るうことができない。
 戦いは一気に龍騎のペースになった。ナイトは懸命に間合いを広げようとするが、一度縮まった差は中々開かない。
413名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:34:44 ID:dJXwf/gZ0
支援
414名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:34:49 ID:xhv5kU8eO
支援
415献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:34:56 ID:ko/pk9ty0
「とりゃ!」
 龍騎の渾身の力が篭もったアッパーカットがナイトの顎を捉えた。脳が揺らされ倒れ伏すナイト。
 それでようやく龍騎との間合いが開いた。
「はぁ、はぁ、どうやら本気らしいな」
「……ああ、本気だ。俺は本気でお前を止める」
「いい度胸だ」
 ナイトは決心すると、ベルトに装着されたデッキから一枚のカードを取り出した。
「これで心置きなくお前を殺せる」

―FAINAL VENT―

 バイザーに装填されるカード。その時、バイザーより発せられた声はナイトが本気であることを示していた。
「蓮」

―FAINAL VENT―

 龍騎のドラグバイザーからも同様の音声が流れる。龍騎も本気だ。
 鏡より現れるダークウィングとドラグレッダー。
 ダークウィングはナイトの翼となり、ナイトを空高く舞い上がらせた。
 ドラグレッダーは構える龍騎の周辺を舞い、その力を鼓舞する。
「城戸!」
「蓮!」
 マントを全てを貫くドリルにして、落下するナイト。
 それに対抗して、地上より飛び上がり、ドラグレッダーの炎を受け、キックの体勢をとる龍騎。
 お互いの必殺技は空中でぶつかり合い、爆ぜた。


 神代剣は物陰から、一組の真剣勝負の行方を見守っていた。
 自分の目的はみんなを幸せにすること。そのために、このゲームの参加者には一人残らず死んでもらわなければいけない。
 だが、いくら自分の目的を果たすためとはいえ、真剣勝負の邪魔をする気にはならなかった。
 互いがどういう関係かはわからない。復讐か、因縁か、殺し合いに乗っているというだけで、まったくの初対面という可能性もある。
416献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:35:45 ID:ko/pk9ty0
 しかし、どんな理由であれ、命を賭け戦うその姿は剣の心を振るわせ、感動させる。
(思う存分戦うがいい。その勝負を終えた時、今度は俺がお前たちの相手になろう。
 その罪を消すために、神に代わって剣を振るおう)
 神代剣はサソードヤイバーを握り締め、戦いの終着を待った。


BATTLE1−2:市街地F6エリア

「どうやら少し、侮っていたようだな」
 斧と盾を携え、カニレーザーは、倒れ伏すカリスの前に佇む。
 カニレーザーのレーザー光線は、カリスの身体を貫いた。カリスアローの一撃より、レーザーの一撃の方が早かったのだ。
 カリスの胸と背中の装甲はレーザー光線の熱量により、溶け、破壊されている。
 しかし、カニレーザーも無傷というわけにはいかなかった。
 彼の頭上にあるレーザー発射装置はカリスアローの一撃により破壊され、もう使い物にはならない。
「油断の代償か。いや、この男がそれだけ強かったということだろう」
 黒き甲冑の戦士に、カニレーザーは敬意を表する。だが、だからといって、この男をこのまま眠らせるつもりはない。
「首輪をいただくぞ。偉大なるデーストロンのためにな」
 カニレーザーはカリスの身体を蹴り、うつ伏せから仰向けにすると、その首に狙いを定め、斧を振り上げた。
「!」
 斧がカリスの首に届く直前、カニレーザーは手を止め、辺りを警戒する。
(……なんだ、この殺気は)
 突如、自分に向けられた強烈な殺気。歴戦の勇士であるカニレーザーでさえ、気を張っていなければ身震いしてしまいそうだ。
 カニレーザーは辺りを探るが、そのあまりの強さに、四方八方から寄せられているように感じられ、どこから向けられているのか、特定することができない。
「どこだ!一体、どこにいる!」
417名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:35:47 ID:dJXwf/gZ0
支援
418名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:35:59 ID:xhv5kU8eO
支援
419名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:36:30 ID:dJXwf/gZ0
支援
420献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:36:50 ID:ko/pk9ty0
 大声で叫ぶのは恐怖している証。
 頭では理解していても、膨れ上がる恐怖は自ずと虚勢に直結する。
「どこだ!どこだ!!どこだ!!!」
 恐怖するカニレーザーの後方で、その殺気の源たる残忍なる殺戮者はゆっくりと立ち上がった。
 カニレーザーはその気配を察知し、今まで声を張り上げていた口を閉じる。
 見るな。逃げろ。
 恐怖に圧倒された心が警告する。だが、カニレーザーの戦士としての誇りがそれを許さない。
 カニレーザーは殺気の正体を確認するため、振り返った。
 そこに立っていたのは先程、自分が倒したはずの黒き甲冑の戦士。
 胸の装甲に穴を空け、虚空を見て佇むその姿は、さながら、幽鬼のようだった。
 いつの間にか場に充満した殺気はなくなっていた。いや、違う。殺気はひとつの箇所に集まっていた。
 カリスの胸にぽっかりと空いた穴の向こうに。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
 カリスから上がる咆哮。それと共に発せられる緑色の光を帯びた衝撃波。
 カニレーザーは盾を掲げ、身を隠した。
 程なくして襲い掛かる衝撃。じりじりと押されていく身体。
「ぐうっっっ!」
 耐えうる限界が近づく中、歯を食いしばり、限界値を上げる。
 数秒の後、ようやく閃光が消え、それと同時に衝撃も治まる。
(治まったか)
 顔を上げた途端、不意討ちを受けては堪らない。
 カニレーザーはすぐに攻撃に移れるよう斧をしっかりと握り、今度は慎重に顔を盾から出した。
421名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:37:06 ID:xhv5kU8eO
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422献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:37:50 ID:ko/pk9ty0
(いない?)
 その衝撃波の影響を受けて、もはや辺りの建物は全て廃墟と化していた。
 瓦礫の山などかわいい物。ほとんどは粉微塵になり、廃墟というより荒地といったところだ。
(だが、そんなことはどうでもいい。問題は奴がどこにいったか……)
 ガランと音を立て、盾が落ちた。
 手を滑らせたのかと思い、カニレーザーはそれを拾おうとする。
 しかし、拾うことは出来なかった。
 カニレーザーの左手は変わらず盾を握り続けていたのだから。
 落ちたのは盾ではなく、左手だったのだから。
「な、何!?」
 事態を把握するための一瞬の思考。それはそいつにとっては、充分な隙になった。
 カニレーザーの左側から駆けて来る緑色の影。そいつはカニレーザーの懐に入るとその胸を切り裂いた。
「ぐがぁ、……おのれ!」
 力任せに斧を横薙ぎに振るう。
 そいつはあっさりバックステップで避けたが、間合いを離すことはできた。
 そこでようやくカニレーザーは相手の正体を確認する。
 黒と緑の彩られた虫のごとき生体部に、顔と胸に彩られた緑色の結晶。
 左手に鋭き手鎌を持ち、右腕からはその鎌に負けない鋭さを誇る爪を生やしている。
 カニレーザーが注目したのはその胸と腰に巻いたベルト。
 胸には大きな傷があり、緑色の血が流れている。そして、そのベルトは色こそ違うもののカリスが付けていたベルトに酷似していた。
 そうそれはカリスの真の姿。彼の役割と同じ名前を持つ残忍なる殺戮者――ジョーカー。
(こいつが、奴の正体というわけか。抜かったわ、まさか怪人が変身していたとは)
 ドクトルGは自分の甘さを悔いる。自分の甘さ故に失ったレーザーと左手。
 残るは右手とその手に握られた斧、腰に挿した1対の長短剣のみ。
(結城と変わらんな。いや、奴は自分の甘さを享受する覚悟があった。今の俺は奴にすら劣る)
 対して、ジョーカーは胸に傷を負っているものの五体満足な身体に手鎌と爪。衝撃波に加え、カニレーザーの左手を落とした斬撃技と、遠距離でも戦うことが可能だ。
 絶体絶命ともいえる状態。だが、それでもカニレーザーの闘志が消えることはなかった。
423名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:37:54 ID:xhv5kU8eO
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424名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:38:29 ID:dJXwf/gZ0
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425献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:38:43 ID:ko/pk9ty0
(だが、俺は偉大なるデーストロンの勇者、ドクトルG!今、この場で、自分の甘さを克服する!!)
 戦士の誇りが、恐怖に打ち勝つ。カニレーザーは唸るジョーカーの眼を真っ直ぐに見据え、斧を自分の身体とは平行に構えた。
「アバラーー!来るが良い!今度こそ、その首、掻っ切ってくれるわ」
「グルォォォォォ!」
 獣の咆哮を上げ、襲い掛かってくるジョーカー。
 カニレーザーは斧を横に薙ぎ、ジョーカーを迎え撃つ。
 それをジャンプして避けるジョーカー。続いて、空中から手鎌を振るった。
 だが、カニレーザーにとって、それは予想していた通りの攻撃。
 薙いだ斧の勢いのままに身体を回転させ、そのまま、空中にいるジョーカーを狙い、斧を振るった。
「ギェェェェッ!」
 辛うじて左腕の爪で防御する。だが、回転の勢いが付加された斧の勢いは重く、そのままジョーカーを跳ね飛ばした。
(姿形は変わっても戦法は変わっておらん。接近戦ならば俺の方が有利だ)
 跳ね飛ばしたジョーカーを追って、再度、斧を振るう。今度は跳ね飛ばぬよう頭上からの真っ向両断。
 振り下ろされる斧。ジョーカーは手鎌と爪で、斧を挟み込むと、なんとか自分に当たる前にその動きを止めさせた。
 しかし、力はカニレーザーの方が上。そのまま切り裂こうと、右腕に全身の力が込められる。
 ジョーカーの顔面まで、あと5ミリ、4ミリ、3ミリ。
「ウォォォォォォォッ!!!!!」
 雄叫びと共に、再び緑の閃光がジョーカーから発せられる。
 衝撃波。カニレーザーは理解したが、もはや避ける暇などない。そのまま、もう一度、全身の力を右腕に込める。
 ジョーカーの顔面まで、あと2ミリ、1ミリ、0ミリ。
 ジョーカーの顔に斧が到達する。しかし、その瞬間、衝撃波がカニレーザーの身体を襲った。
「ぐわぁぁぁっ!!」
 吹き飛ばされるカニレーザー。
 見えざる衝撃に襲われたカニレーザーの身体は空中高く舞い上がり、カニの甲羅を模した青き装甲が粉々に破壊されていく。
 遂には、防毒マスクを付けていたような怪人の顔から人間の顔へとその姿を戻していった。
 制限によるものではない。ドクトルGの体力は変身した姿を保てないほど、消耗してしまったのだ。
426名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:38:50 ID:xhv5kU8eO
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427名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:39:11 ID:dJXwf/gZ0
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428献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:39:37 ID:ko/pk9ty0
 やがて緑の閃光が治まると、受身も取れずドクトルGは地面に落下していった。
「グルルゥゥゥ!」
 殺戮者の本能か、止めを刺す為に、ドクトルGへと近づくジョーカー。
 ドクトルGはしっかりと握り締めていた斧も離し、眼を閉じて微動だにしない。
 ジョーカーはドクトルGに向けて、鎌を振り下ろした。
「グォォォォ!」
 だが、悲鳴を上げたのはジョーカーだった。ジョーカーの胸に深々と刺さる短剣。
「真似させてもらったぞ。死んだふりをな」
 ドクトルGの手に握られたのは腰に挿していた短剣だ。
 脇差程度の意味しかなく、武人たるドクトルGにとって、大して意味を持たない装備であった。
 しかし、それが決定打となろうとしている。
「使えるものは何でも利用し、講じれる策は全て講じる。それがデーストロンだ!」
 渾身の力が込められた鋭き刃は、胸を抉り、致命的な傷を与えた。


BATTLE2−2:市街地F5エリア

「ひとりで戦うだと?」
 カブトの宣言に、オーガは耳を疑う。だが、人の思惑など自分に解るわけがないと、すぐに思い直す。
「まあいい。なら、とっととひよりのところへ行け。こいつは俺が相手をしてやる」
「ああ、シャドームーンの相手はお前がしろ。だが、俺も相手をする。ただし、お前のな」
「?」
 言っていることがわからない。
 ひよりともコミュニケーションがとりづらかったが、こいつは輪にかけて酷い。
 神崎だって、もうちょっとマシだった。さすが、ひよりの兄だ。
 オーガは妙なところで感心する。
「とにかく、こいつと戦えばいいんだな」
 議論は無駄だと判断し、オーガはシャドームーンへと突っ込んでいった。
「さてと」
 カブトはベルトの脇に手を添える。
429名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:40:16 ID:dJXwf/gZ0
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430名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:40:22 ID:xhv5kU8eO
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431献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:40:37 ID:ko/pk9ty0
「確かに梅干と鰻は食い合わせが悪い。だが、あるイタリア人は鰻と梅干を題材にスパゲティを作った。
 食い合わせが悪いとは知らなかったからだが、その料理は非常に好評だった。
 既成概念に拘るな。最初からないものだと思えば、新たな発想も生まれてくる。……クロックアップ」

―CLOCK UP―

 カブトは加速した。
 シャドームーンはオーガと切り結びながらも、カブトがクロックアップしたことを見逃すことはしなかった。
 同じ手を使ってくるとは思えない。何か打開策を思いついたのだろうか?
 だが、見る限り、ライダーキックと腹への攻撃さえ気をつけていれば、力は自分にはとても及ばない。
(とりあえず、同じ手を使って様子を見るとするか)
 左手でパンチを放つオーガ。シャドームーンはその腕を取って、また、位置を入れ替えるつもりだ。
(遅いな)
 疲労によって、キレの失われたパンチを見切るなど、容易い。
 紙風船をキャッチするような手軽さで、シャドームーンはオーガの左腕を取った。
「!!」
 と思った。突如、加速したオーガの左手はシャドームーンの顔面を捉え、強烈なアッパーカットを叩き込んでいた。
(いきなり軌道が変わった。そして、拳の速度も上がった。どういうことだ?)
「……なるほどな」
 不思議そうに自分の左拳を見つめていたオーガは合点がいったようだ。
 オーガストランザーをホルスターに収め、格闘を開始した。
 シャドームーンの眼には、オーガの動きはスローに見える。いくらパンチを打とうとも、キックを放とうとも、全て見切る自信があった。
 だが、放たれる攻撃の全ては、いきなり軌道が変わり、速度が段違いに上がっていく。
(こいつの動き、今までとはまるで違う)
 オーガの攻撃はシャドームーンに次々と決まっていった。顎に、胸に、肩に、次々と炸裂していく。
 しかし、それでもシャドームーンの冷静さが、崩れることはない。
 ひとつの疑問の答え、それがこの劣勢の謎を解く鍵になることをシャドームーンは見抜いていた。
432名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:41:27 ID:xhv5kU8eO
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433名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:41:39 ID:dJXwf/gZ0
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434献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:41:45 ID:ko/pk9ty0
(奴は何をしている?)
 
―CLOCK OVER―

 その声と共に、度々、カブトの姿を確認することはできるが、またすぐにクロックアップして、その姿を消している。
 だが、一向にカブトの攻撃はシャドームーンには届かない。
 隙を窺っているのか。手を下すまでもないと考えているのか。それとも……
 
―READY―
 
 オーガは再び、オーガストランザーを抜き、ミッションメモリーを挿し入れると、刀身を伸ばす。
「死ね!」
 身体を半身にし、オーガストランザーを平行に構える。突きの構えだ。
 オーガの後ろを見ると、カブトはまた、ベルトの脇に手を添えるところだった。

―CLOCK UP―

 カブトの姿が消えた。同時にオーガは動きだす。それで、シャドームーンは理解した。
(考えたものだ)
「シャドーフラッシュ!」
 シャドームーンのベルトより、眩き光が辺りを照らす。
 シャドームーンの奥の手、相手の行動を一時的に抑制する神秘の光。
 光はカブトの姿を顕にした。カブトはオーガの近くに姿を現す。
「見破ったぞ。……ふん!」
 シャドームーンは大地を蹴り、空中高く飛び上がった。
 シャドームーンの狙いはカブト。シャドームーンは足を抱えるように曲げ、そのまま、一気に解き放った。
435名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:42:25 ID:dJXwf/gZ0
支援
436献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:42:26 ID:ko/pk9ty0
「シャドーキック!」

―EXCEED CHAGE―

 オーガは急ぎ、オーガフォンのエンターキーを押し、オーガストランザーにエネルギーをチャージさせる。
「間に合え!」
 カブトを庇い、強大なエネルギーが加えられて巨大化した刀身を、シャドームーンに向けて、放つ。
 ぶつかるシャドーキックのエネルギーとオーガストランザーのエネルギー。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 吼える二人のライダー。
 今回、その勝負を制したのはシャドームーンだった。
 伸びたオーガストランザーをへし折り、シャドームーンはオーガへと迫る。
(駄目か!?)
「充分だ」
 オーガの心の声が聞こえたかのように、カブトは応える。
「止まった?」
 オーガまで後2メートル、シャドーキックによるオーガストランザーの崩壊が止まった。
 シャドームーンは足より失われていくエネルギーに困惑している。
「そうか」
「10分だ」

―EXCEED CHAGE―

 再び、チャージされ、伸長を始めるオーガストランザー。
 異変を察知したシャドームーンはオーガストランザーを蹴ると、宙返りをし、距離をとった。
 だが、オーガストランザーの伸長は止まらない。
 最大まで太く伸びたオーガストランザーを、オーガはシャドームーンに振り下ろした。
「やめろ」
 決まったと思った瞬間、オーガの耳に、カブトの制止の声が届く。 
「ちっ!」
 訳がわからないオーガだったが、その腕を無理やり右へと逸らす。
437名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:42:39 ID:xhv5kU8eO
支援
438名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:43:19 ID:dJXwf/gZ0
支援
439献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:43:26 ID:ko/pk9ty0
 シャドームーンのわずか1cm横に炸裂するオーガストランザー。
 その破壊力は地表を焼き、道路を破壊した。そして、生まれた衝撃波は、破壊したコンクリートの破片をシャドームーン諸共吹き飛ばした。
 巻き上がる砂塵、視界が塞がられる中、オーガは変身が解けたであろう天道に真意を問う。
「何故止めた?」
「結城丈二は言っていた。シャドームーンは襲われなければ、戦いを挑まないはずだとな。
 それに、シャドームーンはわずかな時間とは言え、ひよりを守っていた。氷川が言うにはな」
「ふん」 
 オーガは黙るしかなかった。
 元々、天道を守り、ひよりと再会させるために始めた戦いだ。無意味な殺戮が目的ではない。
 それにひよりを守っていたという事実はオーガの戦意を削ぐには充分すぎる理由となった。

―カシャ、カシャ

 特徴的な足音が鳴る。
 それは視界が塞がられていても、シャドームーンがそこにいることを示していた。
「まだ、やるのか?」
 オーガは前へ出る。オーガへの変身はあとわずかで解けるが、リュウガへの変身は可能だ。
(できるなら戦いたくないがな)
 警戒するオーガ。沈黙するシャドームーン。ピリピリとした緊張感が場を支配していた。
 しかし、その緊張感をものともしない男は声を発した。
「シャドームーン、お前は何のために戦っている?」
「?」
 またもオーガの頭に浮かぶ疑問符。しかし、今度はその言葉の意味について、真剣に考えることになった。
(俺はひよりを守り、天道と会わせるために戦っている。だが、それは今の話しだ。それが叶えられたなら何のために戦うのだ?)
 困惑するオーガをよそにシャドームーンは言葉を返した。
 しかし、それは問いに対しての答えではなく、自分の用件のみを淡々と伝えただけだった。
「風見志郎に伝えておけ。借りは必ず返す。それまで首を洗って待っていろとな」
440名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:43:44 ID:xhv5kU8eO
支援
441献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:44:21 ID:ko/pk9ty0
 再び、特徴的な足音が鳴る。それは少しずつ遠ざかっていった。
 やがて、砂塵は治まり、視界は良好な状態を取り戻す。
(……まあいい。その答えはまた考えよう。今の自分がやるべきことは決まっている)
 オーガは変身を解くと、天道へと向き直った。
「いくぞ、ひよりが待っている」
「待て」
「ふぅー、まだ何かあるのか?」
 いいかげん天道のオレ様ペースには辟易してきた。
 だが、天道はそんなリュウガの思いに気付いているのか、いないのか、至ってマイペースだった。
 ひよりが向かった方向とは逆の方向を向き、歩き出した。
「おい、そっちは逆方向」
「どうやら向こうも決着がついたようだな」
 天道の視線の先を見ると、そこにはドクトルGの姿があった。 
 リュウガは一目でドクトルGの状態を見抜く。
「遅かったな。苦戦したのか?」
「天道、そいつは……」
「ふっ」
 不適な笑みを浮かべた天道に合わせて、ドクトルGもニヤリと笑う。
 だが、その笑みは一瞬にして壊れた。 
「…………ゴファ」
 ドクトルGの口から大量の赤い血液が溢れ出る。
「ドクトルG」
「来るな!……来るんじゃない」
 駆け寄ろうとする天道をドクトルGは制止する。
 ドクトルGは斧を杖代わりに使い、懸命に立っていようとしている。
(どうやら、眼が曇っていたようだ)
 赤い衣装のせいで判別しづらかったが、その布は全体が赤く染まり、多量の血液が流れ出たことがわかる。
 身体中には大小様々な傷が付けられていたが、特に胸の傷が酷い。
 ここまで来れたのが不思議なほど、深く抉られている。
442名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:44:40 ID:dJXwf/gZ0
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443名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:44:56 ID:xhv5kU8eO
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444献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:45:04 ID:ko/pk9ty0
「ふふっ、俺としたことが抜かったわ。情けないことだ。結城に伝えてくれ。デーストロンの運命はお前に任せるとな。
 絶対に生き残り、偉大なる首領に未知の技術を持ち帰れと」
「わかった。必ず伝える」
「か、仮面ライダーに遺言を頼むことになるとはな。お前は俺が殺すはずだったというのに命拾いしたな」
 ドクトルGの呼吸のリズムが徐々に荒く、それでいて薄くなってくる。もう長くない。
「このドクトルG、ただでは死なん」
 ドクトルGは斧を自らの首へと添えた。
「受け取れ!デーストロン!バンザァァァイ!!!」
 忠義の言葉を上げ、ドクトルGは自分の首を一気に切り落とした。
 派手に血を噴き出させ、崩れ落ちるドクトルGの身体。そして、ポトンと地面へと落ちるドクトルGの首。
 その表情は最後までデストロンへの狂信的な信仰を証明するかのように、恐怖ではなく、喜びに満ち溢れていた。
「ドクトルG……」
 天道はその遺体に駆け寄ると、落ちた首輪を拾う。
「これは有効に使わせてもらう。悪いが墓を作っている暇はない。せめて……」
 天道はドクトルGの顔に触ると、見開いた眼を閉じさせる。
「安らかに眠れ」 
 ドクトルGは忠義のために戦った。
 彼の忠義という精神は献身によく似ている。
 組織のために尽くすか、人のために尽くすか、その違いはあれど、彼はその精神に従って、散っていった。


BATTLE3−2:市街地F4エリア
 
 小沢たちが氷川たちと会うことができたのは、意外にも南光太郎の判断が原因だった。
 小沢は城戸を探すためにF7エリアに向かうことを提案した。
445名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:45:43 ID:dJXwf/gZ0
支援
446献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:45:57 ID:ko/pk9ty0
 だが、南光太郎は引き払わなければならなくなったら、G5エリアからでも見える一番高いビルの屋上で落ち合おうと言った草加雅人の言葉を思い出したのだ。
 南光太郎は小沢に進言し、矢車もそれに同意した。最終的に小沢たちは行き違いになることを防ぐため、北東ではなく、北西に移動することになった。
 その結果、小沢たちは氷川たちと出会うことになる。だが……
「どうした、南くん。君は変身できるのだろう?」
「矢車さん。確かに変身は出来ます。でも、本当に彼らは敵なんですか?」
「ちょっと、あなた何言ってるのよ!氷川くんたちは味方よ!敵はあの黄色い方だわ」
 南の疑問の声を受けても、小沢の非難を受けても矢車の表情は変わらない。ただ、同じ言葉を繰り返すだけ。
「南くん、変身するんだ。俺を信じろ!」
「……わかりました」
 矢車の瞳の奥に何かを見た南は決意した。
「変身」
 太陽をつかむように右腕を上げ、ゆっくりと顔まで下ろす。
 悪を振り払うかのように右腕を払い、立ち向かうことを鼓舞するかのように左腕を立てる。そして、空中へと飛び上がった。
 太陽の力が体内のキングストーンに増幅され、彼のベルト、サンライザーを具現化させる。
 そして、光のエネルギーを南光太郎の全身に行き渡らさせることで、黒き太陽の子が誕生する。
「俺は太陽の子!仮面ライダー、BLACK!アール!!エックス!!!」
「それが君の仮面ライダーとしての姿か。……南くん、乾くんの隣へ」
 矢車の言葉に肯くと、RXはカイザの隣へと跳んだ。
 並び立つカイザとRX。その悪夢とも言える光景にライダーマン、ガタックは気圧される。 
「南くんを俺の隣に来させたってことは、俺のことを信じてくれたって解釈でいいのかな?」
「ああ、信じるさ。だから、あとは南くんに任せて、下がっていろ。変身を解いてな」
447名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:46:00 ID:xhv5kU8eO
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448名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:46:39 ID:dJXwf/gZ0
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449献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:47:26 ID:ko/pk9ty0
「何?」
 疑問の声を上げるカイザを、矢車は正面から見据える。
「変身を解けと言ってるんだ。相手は手負いの3人。後は南くんで充分だからな。……それとも、何か変身を解けない理由でもあるのか?」
「何を言ってるのかな?戦闘中だというのに変身を解けるわけないじゃないか」
 その答えに矢車は笑みを浮かべた。
「俺は矢車想という。49番目の参加者だ。俺は出発するまでの間、全員の顔と名前を覚えた。
 乾くんのことはとても印象に残っているよ。あの状況で神崎に挑みかかるなんて、とてもできることじゃない。
 でも、今の君はあの時と大分印象が違う。あの時の乾くんは炎のようだったが、今の君は氷。まるで別人のようだ」
「お前」
「さあ、どうする?」
 カイザは理解した。矢車は最初から自分を信用などしていないことを。
 RXをわざわざ隣にまで来させたのは、自分を逃がさないためだ。
(まったく、どいつもこいつも。だけど、少し甘いんじゃないかな?)
「乾さん」
「ふふっ、そんな不安そうな声を上げなくてもいいよ。今、変身を解くからさ」
 カイザはカイザブレイガンをホルスターに、フォンブラスターをベルトに収めた。
 RXが安堵のため息を漏らす。
「油断するな、南くん!」
「遅い!」
 カイザはゼクトマイザーを取り出すと、RXに向かって放った。発射された無数の蠍型爆弾がRXにまとわりつく。
「ははっ、次は君たちだ」
 続いて、矢車たちとひよりへとマイザーボマーを発射する。
「危ない!」
 矢車たちに急ぎ駆け寄り、自らの身を盾とするガタック。ひよりの盾にはライダーマンがその身を捧げる。
「やっぱり甘いな、君たちは」
 カイザは踵を返し、その場から逃げていった。
「まずい、逃げられる」
 追おうにもマイザーボマーはしつこくまとわりつき、動くことができない。
 その時、この場で最も熱い男の怒りが爆発した。
(乾巧、いや、草加雅人。許さん!)
「キングストーンフラッシュ!」
450名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:47:33 ID:xhv5kU8eO
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451名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:47:35 ID:dJXwf/gZ0
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452名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:48:17 ID:dJXwf/gZ0
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453名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:48:27 ID:xhv5kU8eO
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454献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:48:32 ID:ko/pk9ty0
 神秘の石、キングストーンより放たれた光がマイザーボマーのエネルギーを奪い、ポロポロと落としていく。
 RXはその全てを無力化したことを確認すると、カイザを追って、走って行った。
 残ったのは矢車、小沢、ひより、ガタック、ライダーマンの5人。
 ライダーマンの負傷は激しく、とても動くことはできない。
 それはガタックも同様だったが、彼の不屈の闘志はまだ休もうとはしていなかった。
「氷川くん、大丈夫か?」
「はい、矢車さん。僕も彼を追います。彼はここで倒さないと、いつか志を同じとする者と戦うことになるかも知れない」
「同感だ。見たところ、君が装着しているその装備はマスクドライダーシステムの新型だ。奴を追うためには……角を上げるんだ氷川くん」 
「角を……上げる?」
 
 逃げるカイザ、それを追うRX。
 だが、RXは一向に追いつけない。姿を見つけてはカイザブレイガンで牽制され、差を広げられる。
 しかし、諦めることを知らないRXに、徐々にカイザはイラついてきた。
(しつこいな。もう時間もない。……仕方ない、戦うかな)
 カイザは歩みを止め、不意討ちのため、身を潜ませようとした。
 その時、舞い起こるのは一陣の風。カイザはその風の行き先に眼を向けた。
 そこには青き鬼神が立っていた。先程までとは違う、身軽そうな姿で。肩にはバルカン砲に代わり、剣を携えて。
 表れたのは仮面ライダーガタック・ライダーフォーム。
「逃がさない」
「その姿で来たってことは、誰かに戦い方を教えてもらったのかな?」
 睨み合う二人。程なくして、RXもその場へと姿を見せた。
「一対二か」
「いや、一対一だ!南さん、こいつは僕に任せてください。こいつは僕が倒します!」
 ガタックは肩のガタックダブルカリバーを取り、構える。
 ガタックの並々ならぬ気迫を感じ取ったのだろうRXは静かに肯くと、身をひいた。
「馬鹿かな?君は。君も、そいつも、みんな馬鹿ばっかりだ」
455名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:49:17 ID:dJXwf/gZ0
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456献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:49:21 ID:ko/pk9ty0
 だが、カイザには好都合だった。ガタックを重症に追い込めば、RXは介抱をせざる得ない。
 ガタックに変身している氷川は満身創痍。それにガタックとは一度戦って、手の内は知り尽くしている。
 負けは絶対にない。
 カイザブレイガンにミッションメモリーをセット、伸びる黄光の刀身。
「「いくぞ」」
 同時に発せられた言葉。ガタックはカイザへと一直線に走った。
 しかし、カイザは動こうとせず、そのまま引き金を引いた。
「うわっ」
 剣で切り結ぶものだと思っていたガタックは避けられず、光弾をくらう。
「馬鹿正直なんだよ、君は。それで俺に勝てるつもりなのかな」
 改めて、ガタックへと向っていくカイザ。彼の頭部目掛けて、カイザブレイガンを振り下ろす。
 間一髪、ガタックはそれを右の剣――プラスカリバーで受けると、左の剣――マイナスカリバーで跳ね上げようとした。
 だが、カイザはそれを察知し、カイザブレイガンを引くと、がら空きになった体に蹴りを打ち込む。
 そして、間合いが開くとカイザフォンをフォンブラスターに変え、カイザブレイガンと同時に光弾を放った。

―CLOCK UP―

「ちっ」
 鳴り響いた音にカイザは舌打ちをする。クロックアップの効果は理解している。
 今、撃った光弾は当たる前に避けられた。だが、慌てることはない。いくら早くても見切れないほどではないのだ。
 そして、ガタックの動きも直線的だった。まっすぐこちらに向かってくる青い影。
「まったく……少しは工夫してくれよ!」
 タイミングを見計らい、カイザブレイガンを切り上げる。
 絶妙のタイミングにスピードのついたガタックは避けることができず、その斬撃をくらうしかなかった。

―CLOCK OVER―

 勢いよく地面に転がるガタック。
(強い)
 ガタックが短い時間で矢車から得た情報はふたつ。
457名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:49:30 ID:xhv5kU8eO
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458名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:49:59 ID:dJXwf/gZ0
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459献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:50:30 ID:ko/pk9ty0
 キャストオフとクロックアップ。ライダーフォームへの変化と高速移動だ。
 だが、そのふたつとも、カイザには通用しているとは言いがたく、ガタックには反撃の手段が思いつかなかった。
 それも無理からぬこと。氷川にとって、ガタックは所詮仮初めの装備。
 戦闘経験では氷川も草加に負けてはいないが、かたや数々の激戦を潜り抜け、癖を知り尽くしている装備と初めて使う装備とでは条件が違いすぎる。
 しかし、氷川は逃げることを知らない。どんな状況でも立ち上がり、相手を真っ直ぐに見据える。
「気に入らないな。その眼……」
「氷川くん!」
 あまりの劣勢にRXは助けに入ろうとする。だが、その行為はカイザに遮られた。
「おいおい、一対一の約束だろ。それとも、仮面ライダーっていうのは約束を破る卑怯者なのかな?」
 助けたいのに助けることができない状況にRXは歯噛みする。だが、その言葉はガタックの心に火を点けた。
「違う!仮面ライダーはみんなに希望を持たらす存在です。僕はこの戦いで何度も仮面ライダーに助けれた、希望をもらいました」
 ガタックの脳裏に浮かぶのは様々な仮面ライダーの姿。斬鬼、ナイト、オーガ、ライダーマン、そして、2人のアギト。
「仮面ライダーは闇を切り裂き、光をもたらす!あなたも仮面ライダーのひとりだったはずです!思い出してください、仮面ライダーだった時の想いを!」
「何かと思えば今度は命乞いかい?気安く真理の言葉を口にするな!!」

―EXCEED CHAGE―

 カイザフォンのENTERキーが押されることにより、カイザブレイガンにエネルギーがチャージされる。
 憤怒したカイザはそのまま、ガタックへと斬りかかって行った。
 その時、氷川の仮面ライダーへの想いが小さな奇跡を起こした。
 斬撃を防ぐために重ねたガタックダブルカリバーはひとつになり、大鋏の形態へと変化する。
 
―RIDER CUTTING―

 鳴り響く電子音。ガタックはカイザブレイガンをそれで受け止める。
「何!?」
「うぉぉぉぉっ!」
 チャージされたカイザブレイガンの刀身とガタックダブルカリバーの間で激しく飛び散る火花。
 へし折られたのはカイザブレイガン。
 氷川はそのままガタックダブルカリバーでカイザの胸を突いた。
460名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:50:43 ID:dJXwf/gZ0
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461名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:51:20 ID:xhv5kU8eO
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462献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:51:35 ID:ko/pk9ty0
「君は……」
 体勢を崩しながらも、カイザはゼクトマイザーを構える。マイザーボマーなら動きを止められる。

―CLOCK UP― 

 しかし、加速したガタックはマイザーボマーが発射されるより早く、ゼクトマイザーを叩き落す。
 そして、そのままガタックダブルカリバーで高速の3連撃を打ち込んだ。
 右袈裟、左袈裟、回転しての横一文字斬り。

―CLOCK OVER―

 クロックアップが終わり、カイザは大地へとゆっくりと崩れ落ちた。
「はぁはぁはぁ」
 ガタックの声から漏れるのは歓喜の声でなく、疲労の吐息。ガタックも膝は折れかけていた。
「やったな!氷川くん」
 いつの間にか、矢車もその場に駆けつけていた。
 ガタックは心配かけまいと、もう一度、全身に力を入れた。
 そして、大丈夫であることをアピールするため、手を上げようとする。
 そのとき、ガタックの後ろで男がゆらりと立ち上がる。
「氷川くん、後ろだ!」
 カイザは唯一残された武器、フォンブラスターをガタックの顔面に構えた。
「死ね」
「RXパンチ!」
 フォンブラスターが放たれる瞬間、RXのパンチが炸裂する。
「もう止めるんだ。勝負はついた」
 しかし、それでもカイザは止まらない。
 既に身体の限界は当に超えている。今のカイザを動かしているのは世界の全てに対する憎悪。
「うるさいな、うるさいな、うるさいな。真理のいない世界なんて意味はないんだよ」
 カイザはガタックとRXへと襲い掛かる。既に冷静さは失われ、がむしゃらにパンチやキックを放つだけ。
 狂気に染まるカイザの瞳。彼に届く声はない。
463名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:51:42 ID:dJXwf/gZ0
支援
464献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:52:17 ID:ko/pk9ty0
「氷川くん!そのゼクターにはボタンのようなものがあるはずだ。それを押すんだ」
「スイッチ……これか」
 カイザの攻撃を避けつつ、ガタックはガタックゼクターの背中にあるボタンを押す。
 すると、機械的な音声が鳴り響いた。

―ONE―

「もう一回だ!」

―TWO―

「もう一回!」

―THREE―

「角を戻せ」
 矢車に言われるがままにボタンを押し、ガタックゼクターの角を通常の状態に戻す。
「させるか!」
 矢車が何をさせようとしているか、思い当たったのだろう。カイザはガタックに狙いを絞り、突っ込んできた。
 しかし、それを察知したRXは受け止めると、逆に体当たりでカイザをよろめかせた。
「今だ、角を上げて、蹴り込め!!!」
 キャストオフを行うようにガタックゼクターの角を上げる。

―RIDER KICK―

 ガタックゼクターから音声が流れ出す。その音声が、ガタックに何をすべきか指し示した。
 ガタックの脳裏に浮かぶのはアギトのライダーキック。
 それと同じように、ガタックは空中高く飛んだ。そして、カイザに狙いを定めると体勢を整える。
「ライダーキック!!!」
 渾身の力を込めたライダーキックはカイザの胸へとめり込む。
「っ、ぁぁ、ま……り」
465名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:52:19 ID:xhv5kU8eO
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466名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:52:49 ID:dJXwf/gZ0
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467献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:53:10 ID:ko/pk9ty0
 カイザの身体中に張り巡らされた黄色の帯。それに伝わるように身体中に衝撃が駆け抜けていく。
 そして、その衝撃は帯の元である彼のベルトにまで行き渡らせた。
 カイザから外れ、吹き飛ぶベルト。同時にカイザは草加雅人への姿へと戻り、ゆっくり意識を失っていった。
 倒れ伏す草加に矢車が駆け寄る。
 彼の状態を起こすと、矢車は首筋に手を当て、脈を確認した。
「死んでしまったのでしょうか?」
「いや、生きている。気を失っているだけだ。ライダーキックまでも受けていながら……執念だな」
「よかった」
 ガタックへの変身を解いた氷川がため息を吐く。今度は安堵によるものだ。
「殺されかけたというのに、君は相当のお人よしだな」
 矢車としては、草加はここで止めを刺しておくにこしたことはないと思っていた。
 草加のような奴を生かしていては、必ず不協和音となり、脱出の障害となる。
 真っ先に脈を確認したのも、生きているかを確認したのではなく、死んでいるかを確認したかったのだ。
 しかし、氷川は草加が生きていることを良かったといった。見ると南も結城も同意しているような眼をしている。
(このメンバーでは止めを刺すことを提案しても駄目だな。それどころか、それが原因で不信感を抱かれかねない)
 矢車は自分の真意を隠し、草加の処遇についての意見を聞く。その結論は予想通りで、拘束して連れて行くことになった。
(まあ、今は仕方ない。俺が草加雅人に気を付けていれば済むことだ。仲間の甘さという欠点を俺が補う。それもまたパーフェクトハーモニーだ)
 草加の処遇を決めると、矢車は懐からトランシーバーを取り出す。
 氷川が結城から渡されていたものだ。傷の手当てのため、留まった小沢たちと連絡を取るために回線を開く。
「矢車だ。決着は着いた。今からそちらに戻る」
「わかったわ。ところで、草加は城戸くんについて何か言ってなかった?」
 草加と一緒に行動していたはずの彼は一体どこにいるのか。小沢の関心事はそこだった。
 だが、草加が気絶している以上、今は情報を聞き出すことはできない。
 しかし、城戸という名前に、氷川は反応した。
468名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:53:19 ID:xhv5kU8eO
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469名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:53:48 ID:dJXwf/gZ0
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470献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:53:57 ID:ko/pk9ty0
「城戸さんなら、僕と一緒にいました。僕とひよりさんたちを逃がすため、戦っています」
 無論、氷川の言っている城戸はリュウガのことで、小沢が探している城戸とは別人であった。
 だが、それを信じた小沢たちは傷の手当てもあり、来た道を戻り、城戸たちが来るのを待つことを選択した。
 この時、彼がリュウガを城戸と勘違いしていなければ、運命はまた少し違った結果になっていたかも知れない。


BATTLE4−2:市街地E6エリア

 龍騎とナイト。ぶつかりあった両者のファイナルベント。
 全身全霊を込めた必殺技はふたりに尋常ならぬダメージを与えていた。
 しかし、それでも立ち上がる男がいた。
 仮面ライダーナイト――秋山蓮。
 蓮は腰に挿したダークバイザーを抜くと、倒れ伏す龍騎にその刃を向けた。
「城戸、俺の勝ちだ。お前の持つサバイブのカードとお前の命……もらうぞ」
 せめて一撃で葬れるように。
 蓮が狙ったのは心臓だった。うつ伏せに倒れ伏す龍騎の背中から全身へと血液を送る心臓を狙う。
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 倒れた龍騎に向けて、放たれた剣。
 その命を奪えば、一歩踏み出すことができる。そう蓮は信じていた。
 愛する人のため、恵理のために自分はただ一人のライダーにならなければいけない。
 そのためには迷いのない心と揺るぎのない力が必要なのだ。
 龍騎を殺すことは、そのふたつを同時に手にいれることができるチャンスなのだ。
 躊躇いがないといったら嘘になる。だが、蓮は決意した。
 龍騎を殺すことを決意した。なのに……
「何故だ……」
 剣は龍騎の背中から、わずか1cmで止まっている。
 この1cmがどうしても蓮には進めない。
 突き刺せと心が命令しても、もっと深い心から止めろと命令が届いてしまう。
 進めないジレンマ。戻れないジレンマ。
 蓮自身には、いや、蓮自身だからこそ、自分がどうすればいいのか、答えを出すことが出来なかった。
471名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:54:19 ID:xhv5kU8eO
支援
472名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:54:39 ID:dJXwf/gZ0
支援
473献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:54:52 ID:ko/pk9ty0
「蓮……」
 龍騎の声が聞こえる。
 気が付いたのか?いや、違う。龍騎の声ははっきりしている。
 龍騎は気絶などしていなかった。
「お前、俺に殺されるつもりだったのか!?」
「いいや、そんなつもりはない。俺は信じてたから。蓮は俺を殺すことなんてできないって」
「っ!」
 絶句する蓮。龍騎は立ち上がり、蓮を正面から見つめる。蓮は龍騎の仮面に隠れた城戸の眼を見たような気がした。
 今の龍騎は蓮が知る城戸とは少し違う。
 蓮の戦う理由を知り、ライダーバトルに隠されていた神崎の真意を知り、優衣の死を知った城戸だ。
 城戸も一度は優衣のためにライダーバトルに乗ろうとした。だが、結局、人を殺すことはできなかった。
 同じなのだ、蓮も。ただ、蓮は止まる術を知らなかっただけ。だから、自分が止めなければならない。
「蓮、やっぱりお前には無理なんだ」
 親友からの優しい声が届く。不覚にも蓮の心は震えた。
「うるさい!」
 だから、蓮は龍騎に背中を向ける。これ以上、ここにいては自分が、殺戮者の仮面を付けた自分が保てなくなる。
「待て、蓮。俺はお前を…っ!」
 龍騎の声が妙な淀みを帯びる。何事かと蓮は思わず振り返った。
「城戸!」
 龍騎の胸から突き出る鋭き刃。その刃は龍騎の鮮血に赤く染まっていた。
「れ……ん」
 刃を引き抜かれ、支えを失い、崩れ落ちる龍騎の身体。そして、その後ろから現れたのは、蠍を模した紫色のライダー――サソード・マスクドフォームの姿だった。
「貴様!」
 開口一番、蓮はダークバイザーによる斬撃をサソードに向かって放つ。
 それをサソードは手にした刃で受け止めた。
 蓮はそのまま斬り倒そうと力を込めるが、サソードはビクともしない。
「何故、何故、城戸を殺した!」
「お前が殺せなかったからだ」
474名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:55:22 ID:dJXwf/gZ0
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475献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:55:34 ID:ko/pk9ty0
 サソードはずっとナイトと龍騎の戦いを見ていた。そして、判断した。ふたりは戦ってはいけないと。
 どちらかがどちらかを殺すようなことになれば、それはふたりにとって、非常に不幸なことになる。
 今は殺せなくても、続く戦いの渦中では何が起こるかわからない。自分とカ・ガーミンのように。
 ならば、自分がその不幸を背負うまでだ。
「お前にも叶えたい願いがあったのだろう。そして、友を殺そうとした。だが、出来なかった。
 それで正解だ。そんな思いを味わうのは俺ひとりだけで充分だからな」
「勝手なことを言うな!」
「理解してもらおうとは思っていない。好きなだけ恨めばいい。だが、俺は皆を幸せにするため、勝ち抜かなければならない。
 この命をやることだけはできない!」
 サソードの全身に通ったコードが伸ばされ、一瞬にしてナイトを絡め取る。
 ナイトは引きちぎろうとするが、ブラッドべセルと呼ばれ、サソードの血管とも言えるそれは太く、丈夫にできていた。刃物もなく、切れるものではない。
「だから、少し眠っていろ。次に目覚めた時には幸せな未来が待っている」
 拘束されたナイトにサソードはゆっくりと迫っていった。

(蓮の奴、勝手に殺しやがって。俺はまだ生きてるぞ……)
 確かに龍騎は死んでいなかった。息も絶え絶えだが、心臓の動悸はまだ続いている。
 だが、致命傷には違いない。もって数分といったところだろう。
 それは龍騎自身が一番よく理解していた。
(俺に出来ることをしなきゃ。戦いを止めなきゃ)
 龍騎はデッキからカードを取り出すと、ドラグバイザーへと装填した。

―ADVENT―

 鏡から再び召喚されるドラグレッダー。
 龍騎の意思に従い、サソードへと火炎弾を吐いた。
 その威力にブラッドべセルは一瞬で焼き切れ、ナイトへと意識を向けていたサソードは火炎弾をまともに受ける。
「うぉぉぉっ」
 紅蓮の炎を上げ、サソードは吹き飛んでいった。
 拘束より解放されたナイトは急ぎ、龍騎の元へと駆け寄る。
 体力が限界だったのだろう。同時に変身したというのに龍騎への変身は解け、城戸の姿へと戻っていた。
476名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:55:57 ID:xhv5kU8eO
支援
477名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:56:29 ID:dJXwf/gZ0
支援
478献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:56:43 ID:ko/pk9ty0
 城戸の背中にはジャンバーの青を、真っ赤に染める赤が広がっている。
 そして、既に城戸の瞳は閉じられていた。
「城戸!」
 うつ伏せに倒れる城戸を助け起こすことも出来ず、蓮は城戸へと顔を近づけ、その名前を呼ぶ。
「城戸!」
「れ……ん」
 瞳を閉じたまま、城戸は言葉を紡いだ。声をかすらせながらも必死で言葉を紡いだ。
「ひ、人を殺すな。例え……こ、殺せたとしても……戻れなくなるだ…けで、進むことなんて……できない。
 だから、だから……俺はお前を止める。進んでも進まなくても後悔するんなら……お前は……進まない方がいい」
「………」
 ナイトのマスクから涙がこぼれ落ちる。
「約束……してくれ。こ……の……戦い……」
 城戸は最後の言葉を、最後まで紡げずに眼を閉じた。
「城戸!おい!城戸!」
 蓮の呼びかけに、わずかだが、城戸の右手が動く。その手には一枚のカードが握られていた。
「……これは」
 蓮はそれが城戸の遺志の表れと理解した。
「友の遺言は聞いたか?」
「気配を消して後ろから近づくのがお前の趣味らしいな」
 蓮の瞳にもう涙はない。
 友を死に追いやった相手を激しくにらみつける。
 サソードの姿はマスクドフォームから、ライダーフォームへ変化していた。
 だが、そいつは城戸の仇であると確信する。姿形は変わっても、その声を蓮は生涯忘れるつもりはない。
 ナイトはダークバイザーを構える。だが、サソードはサソードヤイバーを構えることはせず、背中を向けた。
「何のつもりだ?」
「そいつとは一度、戦ったことがある。中々面白い、歯ごたえのある奴だった。
 俺の好敵手であり、お前のかけがいのない友である城戸に免じて、今は見逃してやる。次に会ったときが勝負だ」
479名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:57:21 ID:xhv5kU8eO
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480名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:57:29 ID:dJXwf/gZ0
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481献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 01:57:38 ID:ko/pk9ty0
 そう言うと、サソードはその場を去ろうとした。

―ADVENT―

「キシャッ!」
 ダークバイザーによって、召喚されたナイトの契約モンスター、ダークウィングがサソードに襲い掛かる。
 サソードはダークウィングの体当たりを素早く避けると、ナイトの方へ向き直った。
「ふざけるな、俺はお前を見逃すつもりはない!」
(済まない、城戸。お前とした約束は守れそうにない)
 城戸へ心の中で謝罪し、ナイトはサバイブ『疾風』のカードをダークバイザーに翳した。
 鏡が割れるようにダークバイザーの形状が変化し、青い蝙蝠を模した盾、ダークバイザーツバイへと変化する。
 その盾の装填部に、ナイトはサバイブ『疾風』のカードを装填した。

―SURVIVE―

 音声が響いたと思うと、ダークバイザーに続き、ナイトの身体も青い蝙蝠を模した姿へと変わっていく。
 黒き蝙蝠が、疾風の加護を受け、変化した姿――仮面ライダーナイトサバイブ。
「ふっ、いいだろう。俺はお前の仇。いつでも受けなければいけない立場にある。その復讐、謹んで受けよう」
 改めて、サソードヤイバーを構えるサソード。対して、ナイトサバイブもダークバイザーツバイからダークソードを引き抜いた。
「お前も剣士か。ならば、どちらの剣の腕が上か、試してみるか!」
 剣の腕を競える好敵手の存在にサソードの心は歓喜に満ちる。だが、ナイトサバイブは一度は抜いた剣を収めると、カードを装填した。

―BLUST VENT―

 より機械的に、ダークレイダーへと進化したダークウィングが三度召喚される。
482名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:58:54 ID:xhv5kU8eO
支援
483名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 01:59:03 ID:dJXwf/gZ0
支援
484献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:00:01 ID:ko/pk9ty0
 大きな翼を広げ、翼に搭載された車輪を、カードの命令に従い、回す。
 たちまち巻き起こる竜巻に、ナイトサバイブに斬りかかろうとしたサソードは吹き飛ばされる。
 立ち上がろうにもあまりの強風に、一度体勢を崩したサソードは姿勢を保つことが出来ない。

―SHOOT VENT―

 続いて、装填されたカードにより、ダークバイザーツバイは弓の姿をとった。
 その弓をサソードに向け、次々と矢を放つ。
 いくらサソードといえども、体勢を崩した直後では全て避けることは出来ず、何本かの矢はその身を貫いた。
「くっ、剣士同士の決闘に、伏兵に飛び道具とは」
「俺は剣士ではない。お前の勝手なルールに付き合うつもりはない」

―CLOCK UP―

 何本目かの矢を放った瞬間、サソードの姿が消える。
(これは、あの時の)
 引き出される記憶。ガタックとの戦闘を思い出したとき、早速、サソードの一撃目がナイトサバイブに炸裂した。
 ナイトサバイブを遥かに越えた速度で、サソードは攻撃を続ける。
 ニ撃、三撃と次々と攻撃が決まっていった。

―CLOCK OVER―

 終わる高速の時。大地に倒れたナイトサバイブには無数の斬撃が刻まれていた。
「俺の勝ちだ。お前は強かった。もし、お前が全快の状況で戦っていたら、勝負はわからなかっただろう」
 これは世辞ではなく、サソードの本音だった。
 サソードは今までの戦いでかなり負傷していたが、ナイトサバイブはその上に直前まで龍騎と戦っていた。
 剣による戦いを避けたのも、そのためだろう。
 友との戦いが、結果的に自らの命を奪うことになる現実に、サソードは同情を禁じえなかった。
「止めをさす前に名前を聞きたい」
「……秋山蓮だ」
485名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:00:20 ID:dJXwf/gZ0
支援
486名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:01:01 ID:xhv5kU8eO
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487献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:01:14 ID:ko/pk9ty0
「秋山蓮か。いい名だ。俺は神代剣。神に代わって剣を振るう男。
 その最後に相応しく、俺の最強の技で葬ってやろう」
 サソードはサソードゼクターの尾を深く押し込んだ。

―RIDER SLASH―

 サソードヤイバーにエネルギーがチャージされる。
「さらばだ。誇り高き騎士よ」
 緑色に光るサソードヤイバー。サソード最強の技がナイトサバイブを切り裂いた。

―TRICK VENT―

「何!」
 だが、その瞬間、ナイトサバイブは2体に分裂する。サソードは怯まずニ撃目を放つが、切り裂くと、その2体は分裂し、4体になる。
「ならば、分裂できぬまで、切り刻むまでだ」

―CLOCK UP―

 加速したサソードは分裂したナイトサバイブを次々と切り裂いていく。
 分裂の限界は八体までらしく、それ以降は切ると鏡が割れるような音を立て、消えていった。
 あっという間に七体を切り倒し、残るは一体。
「はっ!」

―CLOCK OVER―

 最後の一体を切り裂くと同時にクロックアップの時が終わりを告げる。
 だが、最後の一体も肉の感触はなく、鏡が割れるように消えた。
488名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:01:16 ID:dJXwf/gZ0
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489名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:02:06 ID:dJXwf/gZ0
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490献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:02:06 ID:ko/pk9ty0
(こいつも実体ではないのか?ということは)

―FAINAL VENT―

 鳴り響く、音声にサソードは自分が罠にかかったことに気付く。
 ナイトサバイブが跨るナイトレイダーは蝙蝠からバイクへと姿を一瞬で変え、こちらへ迫ってきていた。
 どこまでも姑息な奴。サソードはライダースラッシュで迎撃するためにサソードゼクターの尾に手を添える。
 しかし、尻尾を押し込むより早く、ダークレイダーからビームが放たれた。
 そのビームはサソードの身体を動きを封じ、自由を奪う。
「何!?」
(身体が動かない)
 走るダークレイダーはナイトサバイブのマントに包まれ、巨大な黒いドリルの姿をとった。
 その姿にサソードは恐怖した。
 ナイトのファイナルベントはその眼で見た。その威力は自分のライダースラッシュにも、ブレイドのライトニングブラストにも勝るとも劣らない。
 そのパワーアップ版ともいえる攻撃が自分の身体を貫こうとしている。
 この攻撃を食らったら間違いなく死ぬ。
「うぉぉぉぉっ」
 サソードは全身の力を振り絞り、何とか拘束を振り払おうとする。先程のナイトとは逆の立場だ。
 だが、自分に仲間はいない。自分で振りほどくしかないのだ。
 しかし、動くのは腕が精一杯。とても避けることは出来ない。
「クロックアップ!」

―CLOCK UP―

 ようやく届いた腰のボタンをサソードはスライドさせる。
 クロックアップの効果は周りの時間を遅らせること。身体の自由は相変わらず効かない。
 だが、時間を稼ぐことは出来る。
 終末までのわずかな時間、サソードは生き抜く術を考える。
491名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:02:43 ID:xhv5kU8eO
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492名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:02:48 ID:dJXwf/gZ0
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493献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:03:00 ID:ko/pk9ty0
 そして……

―PUT ON―

 サソードは尾を引っ張ることでライダーフォームを解除する。
 クロックアップはライダーフォームだけの能力、マスクドフォームの装甲が再構成された途端、サソードの時間は元に戻った。
 ナイトサバイブもスピードを取り戻し、こちらへと突っ込んでくる。
 自分は生き残れることが出来るのか?サソードは判決の時を待った。

「城戸」
 戦いを終えた蓮は城戸の元へと戻る。城戸はもう事切れていて、やすらかな眠りについていた。
 その表情はかすかに笑っているように見える。蓮が自分との約束を守ってくれると信じて、疑わなかったのだろう。
 そんな城戸を蓮は、最後まで単純な奴だと思う一方で、最後まで自分を貫けた強い奴だと思った。
「城戸」
 もう一度、自分の唯一無二の友の名を呼ぶ。
 そして、懐から取り出した一枚のカードを城戸の亡骸に添え、蓮はその場を立ち去った。


INTERMISSION

 市街地F4エリア。
 カイザを追った氷川たちを待つために、小沢は手近な建物へと入った。
 外が確認しやすいように窓の大きな建物を選ぶ。
 待つまでの間、ひよりと結城の治療を小沢は行う。治療といっても、満足な医療器具はない。
 仕方なく、建物にあったカーテンで包帯の代用にする。
 ガスコンロがあったのは幸いだった。消毒のためのお湯は沸かすことが出来る。
(それにしたって、医療器具は欲しいわね。激しい戦闘を勝ち抜くためにはどうしたって必要になるわ)
「そういえば自己紹介がまだだったわね。私は小沢澄子。警察官よ」
494名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:03:53 ID:xhv5kU8eO
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495名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:04:02 ID:dJXwf/gZ0
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496献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:04:06 ID:ko/pk9ty0
「結城丈二。科学者だ」
 小沢は結城の容姿を確認する。小沢が持った結城丈二の第一印象は堅物だった。
 年の頃は40ぐらいだろうか?真面目な人に刻まれる眉間のしわが深い。
 ピシッと着込んだスーツがよりその印象を顕著にしている。
(でも、女の子を身体を張って庇ってたし、悪い奴ではなさそうね)
 それにしても興味を引かれるのは、ライダーマンとしての彼の姿だ。
 強化スーツのようだが、独自に作り出したのだろうか?暇があるようだったら、メカニズムについて聞いてみようと思う。
 小沢澄子もその根はやはり科学者だった。
「静かに」
 結城が一指し指を上げ、黙るようゼスチャーを送ってくる。
 足音を聞いたようだ。
 結城は窓から外を覗く。
「……大丈夫のようだ。天道くん!」
 結城はドアを開け、呼び込んだ。どうやら彼の待ち人が先に着いたらしい。
 わずかな待ち時間の後、ドアが開き、結城とふたりの男が入ってきた。
「城戸くん!」
 背の高い、眼つきの鋭い男の隣にいるのは城戸だった。自分と別れた時と同じ、青いジャケットを着ている。
 だが、小沢は彼の顔を見た瞬間、何か違和感を感じた。
 眼つきが険しいとか、馬鹿っぽくないとか。
 そう、一言でいえば……
(かわいくない!)
「誰よ、あなた。あなた、城戸くんじゃないわね!?」
「いきなり、なんだ?」
 気だるそうな声で、質問に質問で返す城戸もどき。
「氷川くんは騙せても、私は騙せないわよ。一体何者なの、あんた!」
 城戸もどき――リュウガは頭を抱える。一目で自分が城戸ではないことを見破ったのは素直に感心する。
 感心するが……
(どうして城戸の知り合いは変な奴ばっかりなんだ?)
 追求されるリュウガを見るに見かねてか、それとも我が道を行くためか、リュウガに同行していた天道が小沢を遮る。
「こいつが何者なのかは知らんが、その追求は後にしろ。今は情報の整理が先だ」
497名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:04:51 ID:dJXwf/gZ0
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498名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:04:52 ID:xhv5kU8eO
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499名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:05:33 ID:dJXwf/gZ0
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500献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:05:55 ID:ko/pk9ty0
 天道の視線の先には氷川たちの姿。どうやら、待ち人が全て揃ったようである。

 今だ眠り続けるひよりと、気絶した草加を除き、集ったメンバーはそれぞれが簡単な自己紹介と、この戦いが始まってからの経緯の説明を行った。
 その間、天道は窓など、鏡になるものを隠して回り、一枚のメモを全員に回す。
 メモの内容は以前、天道が結城、ドクトルGと議論したときと同じ内容が書かれていた。
『この首輪はおそらく盗聴機がついている。首輪に関する話題は筆談で通すぞ』
 そのメモに全員が肯き、会議が開始された。
 口頭で話しつつ、筆談で別の議題に対しても会議を行う。
 通常なら、混乱して満足な議論が出来るはずもないのだが、並外れた頭脳を持つメンバーの間では、まったく問題ない。
 無論、不器用な氷川と南には無理な話であるが。
 議論を重ねる中、議題はリュウガに関することになった。
 リュウガの存在は、天道たちにとって、あまりにも突拍子過ぎた。
 リュウガはミラーワールドの真司。真司を吸収するために戦いに参加し、神崎にジョーカーとして任命された。
 名簿にも載っておらず、参加人数にも数えられていない。そして、既にふたりも殺害しているという。
「とても、信じられないわ。そこまで滅茶苦茶なことを仕出かしていながら、改心したなんて言われても」
 呆れ顔で発言する小沢。矢車もそれに同意する。
「確かに信じられないな。お前の話しが本当なら、なぜ神崎は首輪を爆破させない?
 改心したふりをして、隙を見て、皆殺しを狙ってるんじゃないのか?」
「信じてもらおうとは思っていない。改心した覚えもない。俺はひよりを守りたかっただけだ。
 邪魔する奴が現れれば、俺はそいつを殺す」
 リュウガと小沢、矢車のふたりは睨み合う。決定的に馬が合わないらしい。
「三人とも落ち着いてください。今、僕たちが争ったところで、それこそ神崎の思う壺です」
 氷川がなだめようとするが、空気が和む気配はない。その緊迫した空気を破ったのはまたしても天道だった。
「神崎がそいつの首輪を爆発しない理由は検討がつく」
「それは本当か?」
「嘘をついてどうする」
 矢車の疑問の声を天道は一蹴する。
501名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:06:19 ID:dJXwf/gZ0
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502献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:06:58 ID:ko/pk9ty0
「理由はふたつ。ひとつはジョーカーという存在がもう必要ないからだ。
 12時間で死亡者は17人にも及ぶ。とてもひとりやふたりゲームに乗っただけで、稼げる人数じゃない。
 シャドームーン、ジャーク将軍、グランザイラス、わかっているだけでもかなりの人数がゲームに乗っている。
 ジョーカーなどいなくても、ゲームの運行に支障はないということだ」
「なるほどな。それで、もうひとつは?」
「神崎は首輪を爆破しないんじゃない。できないんだ」
 矢車は筆談していた手を止め、その言葉に対しての返答を、紙に書き殴った。
『首輪の件は筆談で話すんじゃなかったのか』
「構わない。これは実験でもある。首輪を爆破できるか、できないか、これでハッキリする。
 神崎、聞こえているか。俺は次元を超えることができる。その力は既に手に入れた」
 天道は南光太郎のディパックからハイパーゼクターを取り出す。
 ガタックゼクターの反応から既に場所は特定できていた。
「ドクトルGから首輪も手に入れている。あとはこの首輪を解析するだけで、お前の野望は崩れる。
 俺は天の道を行き、総てを司る男。天はお前の願いを叶えることはない」
 天道が宣言をしてから、誰もが固唾をのんで天道を見守った。
 だが、天道に変わった様子は見られなかった。
 それは天道の仮説が証明され、脱出への道が示された瞬間だった。


天道SIDE

 会議が終わり、次の行動を取るまでの間、しばし休みをとることになった。
 脱出への希望が生まれたからこそ、慎重に行動しなければならない。
 天道は休憩の後、チームを2つに分けるつもりだ。
 首輪の解析のため、リュウガが見つけたという研究所に行くチームと、草加を尋問し、城戸を捜索するチーム。
 更にその後は、ゲームに乗っていない参加者の救出と、乾たちとの合流。
 まだまだやることは山ほどある。
「大したものだ。自分の命を賭けて、証明するとはな。だが、もしその賭けに負けていたらどうするつもりだったんだ?」
 ひとり思案していると、矢車が話しかけてくる。天道にとってはとるに足らない内容だった。
「自信はあった。リュウガが生きて、俺たちといる時点でこの仮説は既に証明されているようなものだ」
503名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:07:05 ID:dJXwf/gZ0
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504名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:07:09 ID:xhv5kU8eO
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505献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:07:52 ID:ko/pk9ty0
(それに新たなガタックがいるのなら、俺が死んでも脱出は出来る)
 天道は死ぬつもりはない。だが、今後、神崎が何らかの手段を講じてくるのは容易に予想できた。
 もしもの時の対策は立てておくのは当然だ。
(ひより……)
 天道は自分の妹たる少女を見つめる。この世で最も大切な少女の姿を。
(ひより、お前は俺が絶対脱出させて見せる。この命に変えてもな)
 天道は気付いていない。彼の想いは神崎の妹に対する想いとそう違うものではないということを。


矢車SIDE

「自信はあった。リュウガが生きて、俺たちといる時点でこの仮説は既に証明されているようなものだ」
 天道の言葉に矢車は息を吐く。
 まったく大した奴だと矢車は心から思う。天道が最初からZECTに入っていたら、どれだけ頼りになったか。
 しかし、元の世界に戻ったら、天道は倒さなければならない。いや、この天道にとっては既に過ぎた話しなのか。
 結城丈二が言うには、俺たちは同じ時間軸から集められたわけではないという。
 天道の脱出に使うハイパーゼクターも、氷川が装備するガタックゼクターも俺がいた後に完成したものらしい。
 その装備を天道が持っているということは、天道もZECTに入ることになったのか。それとも逆にZECTの方が折れたのか。
 天道に結果を聞けばわかるだろうが、聞かない方がいいだろう。聞いたところで、ここで俺がやるべきことが変わるわけではないのだから。
 矢車は草加のディパックを見つめる。
 早急に戦う力が必要だ。パーフェクトハーモニーのためには、それぞれが素材の持ち味を最高まで高めなければならない。
 俺に出来るのは戦うこと。だが、俺に戦うための装備はない。
 しかし、もし草加が持っていたあの装備が、汎用的なものだとしたら、俺の力にすることが出来る。
 矢車はじっと草加のディパックを見つめていた。


草加SIDE
 
(くっ、くっ、くっ、なるほどな)
506名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:07:57 ID:dJXwf/gZ0
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507名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:08:12 ID:xhv5kU8eO
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508名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:08:44 ID:dJXwf/gZ0
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509献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:08:55 ID:ko/pk9ty0
 草加の意識は、今の場所に連れて来られた時点で回復していた。
 氷川が所有していた手錠で、後ろ手に拘束され、満足に動くことが出来ないが充分だ。
 草加には決して拘束できない、頭脳がある。
 ガタックとの戦闘では、頭に血が昇り、冷静な判断を欠いたが、既に血は引いていた。
(天道総司、奴が鍵か。俺が真理を生き返らせるためには邪魔なんだよね) 
 草加は諦めてなどいない。自分が生きているという事実が、まだ草加に希望があると告げている。
 自分を生かしておくとは、馬鹿ばかり。馬鹿はいくらでも利用できる。
 天道たちの会議は、草加に誰が利用すべきかの判断の場とも成りえた。


氷川SIDE

 氷川はガタックゼクターを見て、物思いに耽っていた。
 自分を助けてくれた、城戸――リュウガはやはり人を殺していた。
 しかも、力を抑えられなかったわけではなく、自分の意思でだ。
 氷川は悩む。小沢と矢車はリュウガのことをまったく信用していない。それも当然だと氷川も思う。
 それでも氷川はリュウガのことを信じたいと思っていた。
 リュウガは信じてもらおうとも、改心したと覚えもないと言った。だが、ひよりを守りたかったとも言っていた。
(それを彼の本心だと信じたい)
 真っ直ぐな性根に、例え倒すべき敵だったとしても、信じたいと思う心。
 その心にガタックゼクターは反応する。その心は彼と共に戦った加賀美と同じものだったのだから。


リュウガSIDE

 会議が終わった後、リュウガはずっと考えていた。
510名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:09:43 ID:dJXwf/gZ0
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511名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:10:04 ID:xhv5kU8eO
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512献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:10:11 ID:ko/pk9ty0
 シャドームーンに天道が出した問いの答えを。 
『お前は何のために戦っている?』
 ひよりを守り、天道には会わせた。つまり、自分の願いは叶えられたのだ。
 今度は何のために戦う?
 リュウガは自分に生まれた感情が何か知りたかった。だが、それは何なのか未だに解らない。
 戦えば解るかと思ったが、無駄だった。リュウガは悩む。
(わからない。わからない) 
 頭を抱えたリュウガが顔を上げると、ひよりの姿が見えた。傷の手当ても終わり、やすらかに眠っている。
 そうだ、戦いはまだ終わっていない。天道が脱出の鍵を握ると知った以上、神崎は何らかの手を打ってくるだろう。
(俺は天道を守る。ひよりを守る。ふたりに危害を加える奴は俺が倒す!)
 悩んだリュウガが出した結論は、やはり戦うことだった。


シャドームーンSIDE

 影の王子はカブトとオーガとの戦いを終え、身体を休めていた。
 制限があるとわかった以上、ライダーマンとの戦いのような失態はもう二度と起こさない。
 傷の回復にも限度がある。できれば、RXとは万全の状態で戦いたい。
 シャドームーンはカブトとオーガとの戦いを思い出す。中々の強敵だった。
 あの場では引き分けに終わったが、長引いてはどうなっていたか。自分に能力の制限を加えるとは忌々しい首輪だ。
 シャドームーンはふと、カブトの問いを思い出す。
『お前は何のために戦っている?』
 無論、RXとの決着を着けるためではあるが、何のために決着を着けなければならなかったのか?
 それがシャドームーンからはすっぽりと抜け落ちていた。
 だが、シャドームーンはそれに気付かず、RXとの再戦に備え、力を蓄えるのだった。


南光太郎SIDE

(おのれ、クライシス!)
513名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:10:29 ID:dJXwf/gZ0
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514献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:11:18 ID:ko/pk9ty0
 皆が思い思いに休憩する中、一際、熱い想いをたぎらせている男がいた。
 南光太郎、その人である。
 会議の後、結城丈二から様々な情報を得た。曰く、結城丈二の時間では既にクライシスとの決着が着いているとのことだった。
 喜ばしいことであったが、同時に南光太郎の脳裏にはある推論が浮かんだ。
 クライシスの狙いは、まだクライシスと戦いを始める前の自分を抹殺し、未来を変えるつもりではないのか?
 参加者たちもほとんどがそれぞれの世界の要人ばかりで、未来を自分達の都合のいい方向に変えるためにこの場に連れて来られたのではないか?
 だとすれば、楽観視することは出来ない。ここでもクライシスの野望を粉砕しなければ。
 南光太郎は未知なる敵に、ひとり燃え上がるのだった。


結城SIDE

 結城は、小沢と共に、首輪の解析に入っていた。
 設備はなくとも、情報を得る方法はいくらでもある。
 観察していく過程で、どこが爆破を司り、どこがセンサーになっていて、どこを塞げば盗聴がされないかはわかった。
 あとは肝心の解除方法だけだ。
「やはり、もし設備があったとしても分析には時間がかかりそうだ。未知の部分が多すぎる」
「そうね、でもやるっきゃないわ。そうでしょう。」
「ああ」
 カードデッキ、カイザポインター、ラウズアブゾーバ、ディスクアニマル、ザビーゼクター、それぞれの世界のテクノロジーは揃った。
 あとは解析できる設備さえあれば、首輪を外すことができる。
 首輪の観察を続ける中で、首輪に血の跡を見つける。
(ドクトルG……)
 天道の話しから、それがドクトルGの血であることは明らかだった。 
 ドクトルGは自分にデストロンを託すといって、散っていったという。
 だが、既にデストロンは崩壊し、自分はデストロンを裏切っている。
(済まない、ドクトルG)
 結城は心の中で謝罪する。例え、敵とはいえ、騙したまま死なせてしまったことに罪悪感を感じた。
(俺は死んだら間違いなく地獄行きだ。地獄で再開したら心から謝罪しよう)
515名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:11:21 ID:xhv5kU8eO
支援
516名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:11:32 ID:dJXwf/gZ0
支援
517献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:12:07 ID:ko/pk9ty0
 結城は咎を抱え、首輪の解析を続けた。


小沢SIDE

「やるっきゃないわ。そうでしょう。」
「ああ」
 結城の返事に、小沢は合格を下す。
 常に前向きな小沢は今回の一件でより一層の力を得た。
 氷川との再開、脱出方法の確立、首輪の入手。
 少しずつではあるが、カウンターパンチの準備は整いつつある。
(あとは城戸くんたちとの合流ね)
 津上翔一のことも気にはなるが、今の小沢の最大の関心事は城戸の行方だった。
 自分があの時しっかり止めていれば、そう思うと慙愧に耐えない。
(城戸くん、私に焼肉奢るまで、無事でいなさいよ)
 小沢は城戸の無事を祈る。それが既に虚しき願いになっていることを知らずに。


剣SIDE

(お、俺は……生きて……いるの…か?……ふふっ、やはり神は俺の願いの成就を望んでいるらしい)
 剣はボロボロになりながらも生きていた。
 ナイトのファイナルベント――疾風断が炸裂する瞬間、剣がサソードヤイバーに代わり、用意したのはブレイバックル。
 
―Turn Up―

 ブレイバックルのレバーを引くことで発生するカテゴリーAのビジョンは適応者以外には、鉄壁の盾となる。
 ただ、いくら鉄壁の盾といえども、疾風の弾丸を完全に防御するのは不可能。
 着弾する瞬間を狙い、神代剣の姿から、スコルピオワームの姿へと変態した。
518名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:12:23 ID:dJXwf/gZ0
支援
519献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:12:52 ID:ko/pk9ty0
 ブレイバックルとマスクドフォーム、ふたつの防御力に、ワームの生命力を加えることで、ようやく命を拾ったのだ。
 どれかひとつ欠けていても、死は免れなかっただろう。
 剣は自分の命を守ったブレイバックルを見つめる。ふいに剣崎の魂が剣に宿った。
 相川始はどうしているのだろうか?


始SIDE

 この首輪が付けられたのは不幸中の幸いだったらしい。
 どんなにジョーカーの荒々しさが開放されようとも、時間が経てば、ヒューマンアンデッドの姿に戻ってしまうようだ。
 過去にジョーカーの呪縛に悩まされた俺としては歓迎すべきことだ。だが、今はそれが怨めしい。
「……ぐふっ」
 また、口から血反吐が吐き出される。俺の傷は深かった。
 神崎は不死ではなくなったといったが、マンティスアンデッド、ジョーカーの姿でいる間は不死に近い存在ではあるらしい。
 胸を貫かれても、それが死因には繋がらない。だが、ヒューマンアンデッドの姿になった途端、身体中の力が抜けていった。
 心臓。全身に血を巡らせるこの臓器が出来たためだ。今では歩くことさえままならず、呼吸も満足に出来ない。
 少しでも気を抜けば命の灯火を手放してしまいそうになる。
(そういえば、ジェネラルシャドウが言っていたな。俺を倒すにはクラブの8とスペードのAが必要だと。
 クラブの8……スコーピオンアンデッド、スペードのA……剣崎……ブレイド。
 なるほど、蠍の剣か。そういえば戦った相手の服と盾には蠍の紋章が刻まれていた)
 ジョーカーになった後のことは断片的にしか覚えていないが、奴が刃物を使って、俺の胸を刺したことは覚えている。
 つまり、ジェネラルシャドウの予言通りなら、あいつが俺にとってのジョーカー。
 俺はこれで死ぬということか。
『始さん』
 俺の脳裏に一瞬、自分が大切にしている女の子の姿がよぎる。
「あ・ま・ね・ちゃん」
 唯一の心残り。俺はそれを力に死という初めての敵と戦い続けた。


【ドクトルG 死亡】
【城戸真司 死亡】
残り31人
520名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:13:04 ID:xhv5kU8eO
支援
521名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:13:21 ID:dJXwf/gZ0
支援
522献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:14:03 ID:ko/pk9ty0
【天道総司@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:ハイパーゼクター入手後。
[状態]:中度の疲労、全身、特に背中に打撲、左腕に重傷。但し、全て応急処置済み。2時間変身不能。
[装備]:カブトゼクター&ベルト。カブトクナイガン。 ハイパーゼクター。
[道具]:食料など一式。
[思考・状況]
1:首輪の解析。
2:乾、あきらをはじめ、皆の守りたい人との合流。
3:加賀美の埋葬。

【矢車想@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:8話 ザビー資格者
[状態]:重症。全身打撲&火傷&刺傷(急所は避けていました。大出血もありません) 。全て応急処置済み。
[装備]:ライダーブレス(ザビーゼクター破壊)
[道具]:カイザドライバー(カイザブレイガンのみ付属) 。ゼクトマイザー。 ファイズアクセル。四人分のデイバック(佐伯、純子、草加、矢車)
 マイザーボマー(ザビー、ホッパー)
[思考・状況]
1:仲間を集めてパーフェクトハーモニーで脱出!
2:戦闘力の確保。カイザドライバーに興味。
3:リュウガに不信感。
[備考]
※1:矢車はBOARDという名前に嫌疑(ワームの組織では?)
※2:クライシスと神崎士郎が利害の一致で手を組んでいる可能性が高いと考えています。
※3:便宜上、矢車が持っていることになってますが、草加から取り上げただけであり、誰が所有するかまでは決まってません。
※4:ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。
523名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:14:06 ID:dJXwf/gZ0
支援
524名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:14:24 ID:xhv5kU8eO
支援
525献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:15:06 ID:ko/pk9ty0
【草加雅人@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:ファイズ終盤。
[状態]:背中に切り傷。胸に強度の打撲。参加者全員への強い憎悪。カイザに2時間変身不能。手錠にて拘束中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:ゲームの参加者の皆殺し。
2:馬鹿を騙し、手駒にする。
[備考]
※珠純子の死を秋山蓮に擦りつけようと考えています。

【氷川誠@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:全身に重度の火傷。応急処置済み。疲労大。ガタックに2時間変身不能。
[装備]:拳銃(弾一つ消費)。手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず、手錠は草加に使用中)。ガタックゼクター&ベルト。
[道具]:但し書きが書かれた名簿 。ラウズカード(ダイヤの7と9、クラブの8と9、スペードの3) 。
 ファイズショット。デザートイーグル.357Magnum(4/9+1) 。デイバック五人分(氷川、ひより、リュウガ、岬、明日夢) 。
[思考・状況]
1:リュウガを信じたい。
2:休憩中。指示を待つ。
3:木野薫、津上翔一との合流。
4:此処から脱出する。
5:短髪でロングコートの青年(秋山蓮)を探す。
526名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:15:38 ID:xhv5kU8eO
支援
527献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:15:59 ID:ko/pk9ty0
【リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:劇場版登場時期。龍騎との一騎打ちで敗れた後。
[状態]:中程度の負傷。特に背中。応急処置済み。オーガに2時間変身不能。
[装備]:リュウガのカードデッキ。オーガドライバー(オーガストランザー付属)。コンファインベント。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:自分の今の感情の名を知りたい。
2:ひよりと天道を守るために戦う。
3:神崎に反抗。
4:城戸を取り込むかどうかは、保留。
[備考]
※ドラグブラッカーの腹部には斬鬼の雷電斬震の傷があります。
※第二回放送を聞き逃しています。

【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:第1話、RXへのパワーアップ直後】
[状態]:健康。
[装備]:リボルケイン
[道具]:カラオケマイク(電池切れ)
[思考・状況]
1:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す。
2:シャドームーンを捜す。
[備考]
※黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※ガタックゼクターへの誤解は解けました。
528名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:16:09 ID:dJXwf/gZ0
支援
529献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:16:45 ID:ko/pk9ty0
【結城丈二@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:仮面ライダーBLACLRX終了後。
[状態]:中度の負傷。応急処置済み。ドクトルGに罪悪感。ライダーマンに2時間変身不能。
[装備]:カセットアーム
[道具]:トランシーバー×3(現在地から3エリア分まで相互通信可能)、名簿を除くディパックの中身一式
 ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)。ラウズアブゾーバー。カイザポインター。
[思考・状況]
1:首輪の解析。首輪の解析のための施設を探す。
2:死んだらドクトルGに謝りたい。

【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:G3-X完成辺り。
[状態]:多少の打撲と火傷。相変わらず沈着冷静。
[装備]:精巧に出来たモデルガン。
[道具]:GX−05ケルベロス(但し、GX弾は消費)、壊れたザビーゼクター。
[思考・状況]
1:城戸を探したい。
2:首輪の解析(道具と仕組みさえ分かれば分解出来ると考えています)
3:ザビーゼクターを修理する(パーツと設備、時間さえあればザビーゼクターを修理可能だと考えています)
4:津上翔一と合流する。
5:リュウガに不信感。
[備考]
クライシスと神崎士郎が手を組んでいる可能性は低いと考えています。
530献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:17:37 ID:ko/pk9ty0
【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]: 本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷。応急処置済み。気絶中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:気絶中。以下は気絶前の思考。
2:天道を助けたい。
3:天道と戦っていたのはもしかしてシャドームーン?
[備考]
※第二回放送を聞き逃しています。
※フライパンはF-7の道路に放置してあります。

[ひよりを除く全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
531献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:18:23 ID:ko/pk9ty0
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:RX27話以降。
[状態]:全身に中度の打撲。右腕のエルボートリガー破損。腹にドリルによる刺し傷。しかし、いずれの怪我も問題ない程度に回復。
[装備]:シャドーセイバー
[道具]:なし
[思考・状況]
1:RXを探し出し、決着をつける。
2:風見志郎(結城丈二)に借りを返す。
[備考]
※第二回放送を聞き逃しています。

【神代剣@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地E-6】
[時間軸]:スコルピオワームとして死んだ後。
[状態]:重度の負傷。腹に斬撃。右腕を負傷。極度の疲労。始への憤り。サソードとワームに2時間変身不能。
[装備]:サソードヤイバー。剣崎の装備一式。
[道具]:陰陽環(使い方は不明)。ラウズカードのスペード9&10。ダイヤのJ。
[思考・状況]
1:何処か休める場所で傷を癒す。
2:始と再会し、手を汚す前に自分の手で殺す。
3:この戦いに勝ち残り、ワームの存在を無かったことにすることで贖罪を行う。
4:さらに、自分以外が幸せになれる世界を創る。
5:秋山蓮といずれ決着をつける。
[備考]神代は食パンを「パンに良く似た食べ物」だと思ってます。
※剣崎と神代剣両方の姿に切り替えることができます。剣崎の記憶にある人物と遭遇しそうなら、剣崎の姿に切り替えるつもりです。
※リュウガを殺したと思っています。
532名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:19:39 ID:dJXwf/gZ0
支援
533名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:33:04 ID:dJXwf/gZ0
さるさんでしたので代理投下

【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地F-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:死ぬ一歩手前。胸部に抉れ。腹部に切傷。カリスとジョーカーに2時間変身不能。
[装備]:ラウズカード(ハートのA、2、5、6)
[道具]:未確認。首輪探知機(レーダー)
[思考・状況]
1:死との勝負に勝つ。
2:剣崎を優勝させる。
3:ジェネラルシャドウを含め、このバトルファイトに参加している全員を殺す。
[備考]
※相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。

【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:市街地E-7】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]:中度の負傷。深い悲しみ。2時間変身不能。
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:配給品一式。
[思考・状況]
1:戦いを続ける。
[備考]
※第二回放送を聞き逃しています。
※サソードは殺したと思っています。


※ドクトルGの盾とディパックはF6エリアに放置されています。
※城戸の死体とサバイブはE6エリアに放置されています。
534献身 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 02:34:27 ID:ko/pk9ty0
投下終了。
支援感謝。
最後の最後でおさるさんorz
誤字脱字、修正箇所、感想がありましたら、よろしくお願いします。

投下数59回ってなんだ。
今回、自分のボキャブラリーの貧困さを思い知らされましたorz
535名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:35:42 ID:De9/9BJp0
スゲーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

よく頑張った!感動した!!!!!
536名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:40:54 ID:dJXwf/gZ0
>>534
GJ!草加は色々かき回してくれそうだな…
それにしてもドクトルG、城戸・゚・(つД`)・゚・ウァァァァ
敵なのにかっけえ、城戸も城戸のままでよかったよ

ドクトルGが仮面ラーイダじゃなくて仮面ライダーで言ってるのはどうなの?
537名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:49:10 ID:g8iwc3z80
GJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!!!!!
いざという時に備えて携帯から支援を行っていましたが、ほとんど投下できたみたいで一安心。

めちゃくちゃ熱かった!面白かった!凄かった!
ドクトルG、漢!としかいいようがない最期だ!
城戸、らしい死に様。そして蓮を信じ続けるお前に俺が泣いたァ!!
超GJ!!!
538名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 02:57:17 ID:EmYtEFQuO
二名様ご案内

城戸…早い…早いよぉ
登場数回で退場とか…インペラーより早いよぉ
ドクトルGも漢だ…

草加の陰謀にも少しだけ楽しみ
539名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 03:02:56 ID:CG2K5o4uO
GJ!!!!
城戸…ドクトルG…お疲れ様。

そして矢車さんに死の影が…
まだまだ波乱は続きそうだ。
540 ◆E1yyNEjdEc :2007/05/30(水) 09:12:48 ID:ko/pk9ty0
>>536
しくじったorz
アップ前にもう一度推敲して、修正します。
投稿前の推敲は見逃しも多い。。。


別の矛盾点発覚。
斬鬼が雷電斬震を使ったってことはガライの装備は音撃弦・烈斬だorz
541 ◆4wyf44BgsE :2007/05/30(水) 12:23:14 ID:KFDi/ekDO
超GJ!
熱く、そして悲しい物語でした。
大作お疲れ様です!

途中経過ですが、まだ5割程度です……
今日と明日で何とかして仕上げようかと思ってますが……
542名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 14:59:56 ID:xLJG49T4O
楽しみにしてます

ドクトルG……アンタ漢だよ
543名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 16:15:51 ID:4dn9Gul30
うおおGJ!!
ドクトルGカッコええ。
城戸……ああーなんとなくこうなる気はしてたけど、彼らしい最期だった

そしてこれだけの戦いの中でも、やはり最後の最後でネタっぷりを忘れない光太郎も最高w
544名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 18:03:45 ID:2T4fPBfJO
このロワでの剣の憎らしさとしぶとさは異常
545 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:47:45 ID:g8iwc3z80
>>540
烈雷持たせたの俺だorz
色々申し訳ありません。

>>541
楽しみにしています。

それでは、ジャーク将軍、ガライ、上城睦月投下します。
546悪徳の栄え ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:49:15 ID:g8iwc3z80
 酷く揺れる車内の中、二人の男が不快な表情をしていた。
 一人は白い礼服の上にある厳つい顔を顰め、耳につけた銀のイヤリングが車内の光を反射していた。
「あの脆弱な生物を始末して、車を乗り捨てて進まないか?」
「そう言うでない。余らは力を蓄えておく必要がある。そして、このGトレーラーの装備と移動速度は魅力的だ。違うか? ガライ」
(もっとも、これでは余が運転した方が百倍マシだがな)
 答えながら内心吐き捨てるのは、黄金仮面の男。
 黒いマントを身に着け、悠然と事を構える彼は、ガライの沈黙を肯定と解釈して、冷静に現状を分析、次の目的地を定めていた。
 このGトレーラーの運転手、若い地球人の睦月にも目的地を知らせてある。
 彼の支給品の地図を広げる。無論、ただの地図ではない。
 トラップやこのGトレーラーや隠しアイテムのありかが記載されている地図である。
 もっとも、ジャークは当初、この地図に書かれてあるラウズカードなるアイテムは無視する予定だった。
 使い道が分からなかったからだ。だが、レンゲルという仮面ライダーを支配下に置いた今、このラウズカードは効力を発揮する。
 ジャークが話に聞いたリモートというカード。これはカードから怪人を呼び出し、敵と戦わせる効果がある。
 何らかの制限がある事を加味しても、手に入れる価値のあるカードだ。そして、ラウズカードを手に入れれば手に入れるほど、一人の仮面ライダーを闇に堕とすことができる。
 ジャークにとって憎い仮面ライダーの連中に不協和音をもたらす機会。これを逃すはずがなかった。
 野望に燃え上がると同時に、ジャークはようやく確認する時間ができたと考えながら、一つの辞典のようなものを取り出す。
 グランザイラスの支給品、支給品のデータ集だ。
 この殺し合いで配られた、もしくは各参加者が最初に持っているアイテムのデータが事細かく記入されている。
 もちろん、隠しアイテムのデータもある。Gトレーラーにたどり着くまで強行軍だったため、確認する時間がやっとできた。
 これによりジャークは睦月の言葉が嘘でない事を確認する。同時に、目ぼしいアイテムもないか目を光らせる。
547悪徳の栄え ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:50:25 ID:g8iwc3z80
 それにしてもと笑みを浮かべた。ネタバレ地図に、支給品のデータ集。自分に集まったものはとても都合がよかった。
 もっとも、目指すのは脱出。脱出に使えそうなアイテムがないのは納得したが、まだ諦めてはいない。
(こうなれば、脱出できる能力を持つ参加者に希望を持つしかない。そやつを探し出し、味方につける)
 静かな思考がジャークの頭を冷やした。しかし、彼の思考は中断する。
 ガコン、と音がして車が止まる。エンストのようだ。
 何度目か分からない車の停止に、ガライは舌打ちをしていた。


 やがて、Gトレーラーは止まり、中よりジャークが降りてくる。
「ガライ。そちにGトレーラーを守って欲しいのだが」
「構わん。だが、なぜその脆弱な生き物を連れて行く?」
「脆弱ッ!」
「まあ、そういうでない。ついてこい。睦月よ」
 そういい、ジャークと睦月はこの世界で二番目に高い建物、時計塔へと昇っていった。
 ガライの姿が完全に消え、古ぼけた木の階段をギシギシ音をたてながら進む。
 後ろからは睦月が無言でついてきた。脅えている気配が手に取るように分かる。
 ジャークの電撃は効いているようだ。
「睦月よ。余はそちに期待している」
「……いきなり何を言っている」
 虚勢が可愛く見え、知らず微笑む。鞭の効果はあった。なら、今度は飴だ。
「ガライはそちを脆弱と評したが、余は逆の考えだ。そちが他の仮面ライダーに比べ負けているのは、その若さゆえだ。
そちには光るものがある。余なら、それを引き出せる」
「なんだと?」
「ここに寄ったのも、そちに力を与えるためだ。余を信じるがいい」
 疑問を浮かべる睦月をつれ、ジャークは黙々と頂上を目指した。
 地図によれば、ここには睦月を強化するものがある。
 ジャークたちに不要で、睦月に必要。そして、睦月がいれば確実にジャークたちの戦力強化となるもの。
 それは……
「ついたぞ」
548悪徳の栄え ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:51:13 ID:g8iwc3z80
「こ、これは……」
 古ぼけた時計塔の裏、歯車が稼動し続けている部屋の中央に、ガラスのケースに収められたクラブの10とJのラウズカード。
 バクと象の絵柄のついたそれに、睦月が走り寄る。
 乱暴にガラスケースをどけ、カードを手にした瞬間、ジャークは睦月の瞳の闇が強くなるのを目撃した。
「これさえあれば、俺は最強の仮面ライダーになれる」
「いや、まだ足りぬ」
 振り返る睦月に、静かに微笑む。
「余は多くのラウズカードの在りかを知っている。それを使えばそちは強くなる。
どの仮面ライダーよりも、そちを馬鹿にするガライよりも!」
「強くなれる。俺は、どの仮面ライダーよりも、あの男よりも!」
 ジャークの狙い通り、睦月は闇へと沈んでいく。ここまで都合がよいと、吹き出しそうになるが堪えた。
「そうだ。睦月、余とともに、神崎士郎を倒す道を歩もうぞ」
「ああ、やってやる。俺は仮面ライダーだからな!」
(堕ちた)
 これでもう、睦月は闇より戻れない。ジャークはそう判断した。
「次は遺跡へ向かうぞ。G3エリアに、クラブのQとKが放置されている。そちを更に強くするため、そこに向かう」
「ああ、任せろ」
 意気込む睦月を従え、ジャークは勝利へと足を運んだ。


 再び、車内で身体を揺らすガライとジャーク。
 何度目か分からないエンストに、ガライはイライラしているようだ。
「だいぶ堪っているようだな。ガライよ」
「こんな酷い乗り物に乗せられれば誰だってそうなる」
「なら、次に出会う敵が一人ならまたそちに相手をさせよう。一人でも倒せば気が晴れるであろう?」
549悪徳の栄え ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:52:32 ID:g8iwc3z80
「……まあな」
 ニヤリと笑みを浮かべる彼を目の前に、ジャークは随分と感情的になったものだと思った。
 最初観察したときは、人形のような印象を持っていたが、今はまるで新しい玩具を手に入れた子供のように見えた。
 まあ、多くの部下を従えてきたジャークにとっては、ガライの変化など些細なことだ。
 その攻撃性が自分に向かないようにコントロールする自信はある。
 今は、地図に記載されたラウズカードを回収することに集中する。
 また、車がエンストを起こした。



 睦月は鍵を回して、エンジンをかけなおす。
 排気音を耳に、車が立ち上がった事を確認した。
 アクセルを深く踏む。心は新たなラウズカードに向いていた。
(俺は最強のライダーになって、邪魔する奴を全て倒す。神崎士郎も!
そのためにはキング、今はお前の提案に乗ってやる。こいつらも利用してやる!)

 ―― それでいい ――

 地の底を這うような声が聞こえた気がしたが、睦月は気づかない。
 更に、深くアクセルを踏む。
 砂を巻き上げ進み続けるGトレーラーが、エンストを起こした。

 G3エリアに放置されているクラブのQとK。
 それは睦月に光をもたらすのか、それとも不発に終わるか。
 Gトレーラーは、黙って砂を巻き上げ、エンストを起こした。
550名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 21:53:06 ID:rI8fbmK00
戦国時代のディスクアニマルってどうなったんだっけ?
551悪徳の栄え ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:53:14 ID:g8iwc3z80
【上城睦月@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地G7エリア】
[時間軸]:本編後。
[状態]:背中に大火傷。頭部に打撲。その他、身体に軽傷多数。カテゴリーAに取り込まれかけています。
[装備]:レンゲルバックル。ラウズカード(スペードのJとQ、ダイヤの3とQ、クラブのA〜6、10とJ)
[道具]:配給品一式(橘)。Gトレーラー(G3ユニット、GM−01、GG−02、GS−03、GK−06、ガードアクセラー)
[思考・状況]
1:ジャーク将軍に対する僅かな信頼。今は言うことをきく。
2:ラウズカードを集める。そのためにはキングとのゲームに乗る。
3:ジョーカーを倒す。
※睦月は橘を偽者だと思っています。
※睦月はD7が禁止エリアと思っています。A1が禁止エリアと思っていません。
※睦月は無免許でGトレーラーを運転しています。
※橘と戦ったことは忘れています。そのため、ジャーク将軍にもそのときのことは話していません。
 ただし、何かの拍子に思い出すかも知れません。


【ガライ@仮面ライダーJ】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地G7エリア】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]:火傷(中程度。再生中)
[装備]:剣。装甲声刃。音撃弦・烈斬。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:どんな手を使っても生き残る。
2:ジャーク将軍と協力して、首輪を解除する。
3:ついでに生贄を手に入れる。
4:神崎士郎は残酷に壊す。
5:脆弱な生き物と組むのは気に入らない。
552悪徳の栄え ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:54:06 ID:g8iwc3z80

【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地G7エリア】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:健康。
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:支給品のデータブック(ハイパーゼクターを除く支給品のデータが記載されています)
    ネタばれ地図。首輪(ヨロイ)。ライダーブレス(コーカサス)。変身鬼弦・音錠。
[思考・状況]
1:ラウズカードを集め、戦力の強化。
2:首輪の解析と勝ち残るための仲間探し。
3:上城睦月の闇を引き出す。
4:神崎士郎を殺し、脱出する。
5:RXを殺す。
6:城戸真司を探し、神崎の目的を探る。
7:ライダーマン、結城丈二を支配下に置く。手段は問わない。
※ジャーク将軍は睦月より、ブレイド世界の情報と剣崎、始、橘、キング、伊坂、北岡、リュウガの情報を得ました。
※ネタばれ地図には支給品以外のラウズカードの隠し場所も書かれています。
※支給品のデータブックは、支給されたアイテムの効果が記載されています。
 余裕ができ、中身を確認したのはGトレーラー内が初めてです。
 各参加者の初期支給品も記載されています。

[Gトレーラー組の共通事項]
G3エリアのラウズカードクラブのQ、Kを回収に向かっています。
553名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 21:54:13 ID:rI8fbmK00
                  
554悪徳の栄え ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 21:55:27 ID:g8iwc3z80
投下終了。
誤字、矛盾の指摘をお願いします。

>>550
確かドラスの破壊されたはずです。
555名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 21:58:34 ID:rI8fbmK00
GJ!
ああ、睦月がどんどん小物に……
ただ、本編で出ていないアンデットをリモートで解放する可能性ってのはどうなんでしょうか?
あと割り込んですいませんorz
556 ◆TJ9qoWuqvA :2007/05/30(水) 22:04:05 ID:g8iwc3z80
>>555
いえ、気になさらずに。
本編ででていないアンデッドは出さないように他の書き手さんにも協力していただくしかないですねorz
無理だというなら、他のカードに差し替え、それに合わせた修正をします。

本当は睦月の立ち直るフラグも仕込みたかったのですが、今回は断念。
いつか機会があればそのフラグもたててみようかと思います。
557名無しより愛をこめて:2007/05/30(水) 22:08:13 ID:2T4fPBfJO
そいや睦月ってたしか17だから車所かバイクの免許も持ってないんじゃ
558名無しより愛をこめて:2007/05/31(木) 07:32:02 ID:A4et9Ouw0
バイクは16
559名無しより愛をこめて:2007/05/31(木) 09:05:57 ID:WNuHMeIMO
着実に不良の道を進む
レンゲル
560名無しより愛をこめて:2007/05/31(木) 14:01:51 ID:Ieu2iK9wO
いっぱい投下きてるなw

ところで龍騎のカードデッキはどうなったんだ?
561名無しより愛をこめて:2007/05/31(木) 15:25:42 ID:00Myg7I4O
562 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/01(金) 02:14:46 ID:e+rbpzoW0
GJ!
睦月の闇を育てつつ、光への希望もありそうで期待してしまいます。
ジャーク将軍の雨と鞭も素敵でした。

>>560
デッキは城戸と共にそのまま放置されてます。
記載し忘れましたorz

まとめサイト更新。
ただし、自分のSSの修正はできてませんので、そのままアップしてます。
明日までにはなんとか。。。
563 ◆naAqV94LaU :2007/06/01(金) 03:25:47 ID:IoEGYcFHO
毎度ながら更新乙です!

ちょっと企画考えてみました。管理人さんを含め、書き手の方も読み手の方も目を通してみて頂けないでしょうか?
したらばの雑談スレに投下してきますので。

それと相川始を単独で予約します。
564 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 10:17:10 ID:Rn5Azgo1O
投下お疲れ様でした。悪徳の栄え、超GJ!

>>563
面白そうな提案ですね。
SSも楽しみにしています。

一つお詫びが在りまして、期限が今日の夕方なのですが、私用でその時間まで家に帰れなくなってしまいました。
今日中には投下します。
よろしくお願い致します。
565名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 18:52:51 ID:rCzE+EeAO
楽しみにしています。
566空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:36:58 ID:GKw02g/q0
遅くなってすみません。

安達明日夢、霞のジョー、水のエル
投下します。
567空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:38:22 ID:GKw02g/q0
「その時、兄貴はわざと怪人ムサラビサラに腕を噛ませた。
そして、バイオライダーに変身して 噛まれた傷口の毒から抗体を作り出し、少年達を救ったんだ!」

……ハァーッ。
明日夢は 心の中で3度目の溜息を吐く。
そんな胸中を知らず、霞のジョーは立上がり身振り手振りを交え、なお熱く語る。
「その後、強化繊維を体に括り付けた兄貴を、俺がサイを釣竿代わりに木の上から引っ張った。
空中遊泳を目の当りにしてムサラビサラは兄貴が空を飛べると信じこんだんだ!」

グランザイラスとは別のルートから丘を目指す。
そこまでは良かった。小休止のつもりで樹海の麓に腰を降ろし、
「飯にしようぜ!」
ジョーの提案に従ったのが悪かったのか。
一時間近くの間、グランザイラスに勝利し興奮覚めやらぬ霞のジョーの口から出る言葉は、兄貴に始まり兄貴で終わり、
如何に仮面ライダーブラックRXなる人物が素晴らしいかを繰り返し語り続けていた。

(まるでヒーローショーを見た後の子供みたいだ)
つい先日までなら、同じ様に勝利を喜び、そしてジョーの話を興味深く聞いていただろう。
(ヒーローなんて居ない。ジョーさんだって、たまたまベルトが支給品で、力を手に入れたから、この状況でも手放しで喜んでいられる。)
無論、霞のジョーは手放しで喜んでいた訳では無い、明日夢を励ます為の彼なりの気遣い。
此所に来るまでの間で、時折見せた明日夢の暗い表情がとても痛々しかったからだ。
その上、さっき流れた放送では、また10人も死んでいる。
(まだ、16の子供に受止められる状況じゃねぇ)
せめて、少しの希望を見出だして欲しいと語り続ける。
「兄貴の他にも凄いライダー達がいる。こんな馬鹿げた戦いはすぐに終わるさ。
でも、兄貴達も俺達がグランザイラスを倒したのを知ったら驚くぜ。」
彼等が何者であろうと明日夢には全く興味は無い。利用出来るか出来ないか、欲しいのはその情報だけだ。

568空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:40:39 ID:GKw02g/q0
(南光太郎、とりあえず利用出来そうかな)
安達明日夢、少年の愛称に相応しい大きく澄んだ瞳がキラリと光る。
だが今、その瞳の奥にはドス黒い影が差し。回転の早い頭脳は生き残る算段を弾き出す為だけに使われていた。
明日夢の足先から30cmの位置。そこにあるジョーのデイパックには、喉から手が出る程欲しいスマートバックルが入っている。
デイパックを見つめながら溜息を吐き出す。
(兄貴の話はもういいよ)
今すぐ鞄ごとひったくって逃げたい。そんな気分だった。
(それに……この魔化魍)
霞のジョーの兄貴節に相槌を打っている様にも、うんざりしている様にも見える水のエルに一瞥をくれる。
(グランザイラスから助けてくれた。だけど所詮化け物だ。長く一緒に居てプラスには、ならないかな?)
そう思った時、水のエルは視線を感じたのか、明日夢を見詰め返した。
(……心が読める訳じゃないよな?)
考えを見透かされまいと微笑を返す。
人間を守る不思議な魔化魍の表情からは思案を読み取れない。だが、ジョーに興味を抱いて居るのは伺える。
(隙を付いてジョーさんからベルトを奪っても、水のエルに殺されたら洒落にならない。暫くは、上手く利用しなきゃな)
黒い考えは顔に出さず、明日夢はジョーの話を聞いている振りをする事にした。

水のエルは、支給品のオルゴール付懐中時計を手にしながら、ジョーの話に耳を傾けていた。
スイッチに触れると時計の蓋が開いた。オルゴールから優しい旋律が流れだす。
「へぇー、オルゴールか。うん、いい曲だな。何だか優しい気持になれる」
――優しい。
ジョーの口にしたその言葉が水のエルの心に止まる。
人間と接する事など無かった水のエルには、その心情は良く理解出来ない。
(当て嵌めるとすれば……明日夢を気遣い励ます霞のジョーは、優しい人間なのだろう。)
オルゴールから流れる音色、ジョーの優しさ。
胸が暖かな何かで満たされて行くのは水のエルにも心地好かった。曲が終わると、無意識に呟いていた。

569名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 22:42:29 ID:U7hjnRDO0
 
570空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:43:55 ID:GKw02g/q0
「優しさか……我が主の愛する人間の持つ感情。それは守るべき価値がある。
我の、真の使命は人間にとって脅威なる存在で或るアギトを倒す事だ。」
人間に自分の使命を語るなど、まさか想像もしていなかった。オルゴールの作り出した穏やかな時間のせいだろうかと、水のエルは思った。
「アギトも戦い参加しているんですよね?」
膝を抱えたまま明日夢が尋ねた。
「……アギトと成る力を持つ者が2人いる」
返答の口調が、重々しい物となる。
「人間にとって脅威となる存在か……水のエル、協力するぜ」
霞のジョーが表情を引き締めた。クライシス以外にも倒すべき相手がいる。それが正義の心に火を付けた。

(それなら、アギトとこの2人でさっさと潰し合ってくれると助かるな。でも水のエルは魔化魍のくせに人間に気を許し過ぎじゃないかな)
そんな疑問が頭を過ぎった時、ハッと気が付く。
(僕にも、気を許しているよね。)
立上がり2人の背後に周る。ジョーも水のエルも全く明日夢を警戒していない。
靴紐を結び直す真似をしながら、明日夢は目線の高さにある一点を凝視していた。
(2人一緒には無理だけど、1人ずつなら殺せる)

「明日夢」
突然、ジョーが振り返った。
「なぁ、響鬼って人は明日夢にとっては兄貴みたいなもんなんだろ?」
狙いがバレたかと、飛び上がるほど驚いたが、ヒビキの話を名前を聞いた不快感の方が勝った。
「ヒビキさんは関係無い話でしょう?」
自然と語尾がキツくなる。
「だけど、兄貴達とヒビキって人、それに俺達が力を合わせれば、アギトや神崎士郎にだって負ける筈ねぇ、そうだろ?」
571空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:46:54 ID:GKw02g/q0
ジョーの一言が明日夢の心に出来ていたささくれを剥す。
(俺達で力を合わせるだって?)
剥れた傷口から血が吹出す様に、怒りや悲しみ、そして悔しさ……押えていた気持ちが溢れ出した。
(力が無いからこんなに苦労してベルトを奪おうとしてるんじゃないか!)
元々、戦いが始まってからこの半日間。心身共に極限まで張り詰め、疲れ切っていた。少しの苛立ちは、感情を爆発させるに充分だった。
「僕には力なんて無い!身を守る武器も何も無い!ヒビキさん何かと知り合ったばかりにこんな戦いに巻き込まれたんだ!
何が闇を切り裂く仮面ライダーだよ。もう6人も殺されてる!綺麗事はたくさんだ!」
止めることが出来ずに吐き出した。驚く2人を見て一瞬だけ後悔はしたが、御陰で冷静さを取り戻せた。
(別に焦る必要ないか、殺そうとした事がバレた訳じゃないし。
お人好しの正義の味方なら、僕を見捨てるはずがない。かならず追いかけて来る)
明日夢は、計算づくでその場を走り去った。
「俺って奴は馬鹿だ。気遣うつもりがあすむを傷つけちまった……水のエル、悪いが少し待っててくれ。明日夢を連れ戻して来る。」
水のエルは明日夢を追うジョーの背中を見送る。
(怒り、憎しみそして悲しみ、先程の明日夢の感情はあかつき号の乗船客から感じられた物と酷似していた。
……優しさとは、真逆の感情。)
この結末はどうなるのか、2人を追う事にした。

草を掻分け走りながらジョーは思う。
(兄貴と出会った時、ネックスティッカーと言う怪人に操られていた俺を、何とかしようと必死になってくれた。
この戦いでも、放送の少女が俺を導き救ってくれた。水のエルだってそうだ。
俺の周りにはいつも優しい奴等がいてくれた。だが、明日夢は違う。)
572空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:49:42 ID:GKw02g/q0
30メートル程 走った所で明日夢に追いつく。肩に手を掛け、出来る限りの笑顔で話しかけた。
「ちょっと待てよ、話は最後まで聞くもんだぜ。」
そう言うとスマートバックルを明日夢に差し出した。
「お前には言って無かったかもしれないけど俺は霞流拳法の使い手なんだ」
愛用のサイを取出し霞流の構えを決める。
「だから、このベルトは必要ないって訳だ。俺にはサイの方が性に合ってる。受け取ってくれるよな?」
明日夢は唇を噛締めている。
「こんな状況だ。誰も信頼出来ねぇのは無理もねぇ。でも俺と水のエル、お前には俺達がいるってことは忘れんなよ。」
「……ジョーさん」
躊躇いがちに、ベルトを受け取り、やっと口を開いた明日夢にジョーはホッとした。
「何なら、俺がお前の兄貴になってやるよ!」
おどけながら言うと明日夢に少し笑顔が戻った。
(ベルトがあったからグランザイラスに勝てたんじゃねぇ。誰かを守る、その強さが悪を倒すんだ。)

その様子を水のエルは少し離れた場所で見守っていた。
(優しさとは怒りや憎しみも中和するのか?心まで救う事、それが霞のジョーの使命か)
水のエルの姿を見つけたジョーが手を振りながら歩いて来た。だが、途中で明日夢の足が止まる。表情が見る内に変わっていった。

「どうした?」
明日夢の異変に、ジョーが尋ねた。
「……あそこに誰かが、こっちを見ていました」
「何?……わかった。お前は気が付かない振りをして水のエルの所へ行くんだ。俺が確かめて来る」
明日夢に耳打ちし、背中を軽く叩き水のエルの元へ急がせた。
573名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 22:50:35 ID:xtGCqU4P0
574空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:52:30 ID:GKw02g/q0
(何処だ……)
ジョーは油断していたことを後悔し、辺りに目を走らせる。
(少し迂闊だったな。明日夢に言われるまで気付かないなんて)
急に誰かが潜んでいる気がした。

「誰かがいたんです。ジョーさんが水のエルと安全な所へ行けって」
「……敵か?」
全神経を集中し気配を探る。明日夢を庇いながら、徐々に後退して行く。
(何の気配も感じられない……)
周囲に敵が居ないのを確信し、水のエルは全身の緊張を緩ませた。此所からは霞のジョーは死角で見えない。
(ジョーを呼び戻すか?いや、明日夢を安心させるのが先だろう。)
水のエルの肩を掴む明日夢の手に、やけに力が籠っていた。
「明日夢よ。心配は無い。」
霞のジョーを真似た精一杯の優しい口調で告げた瞬間。
(……ッ!?)
首元に圧迫を感じ振り帰る。
そこには、血走った目で水のエルの首輪に手を掛けた明日夢の姿が在った。

カチッ!
首輪の止金が外れる乾いた金属音。
鼓膜に届くまでの刹那で、水のエルは自分に身に何が起こるのかを悟る。
「何故だ?人は守るべき存在、主よ!我が使命は……!」
言い終える猶予を与えず首輪は起爆する。

――ボンッッ!

鈍い音の後、晴天の空へアーチを描きながら水のエルの首は宙を舞う。
575名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 22:54:38 ID:xtGCqU4P0
576空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 22:54:52 ID:GKw02g/q0
その姿が明日夢には水飛沫をあげ大海原へ泳ぎだす白鯨に見えた。晴天の青と、グレーのコントラストが心に焼きつく
(空中を泳いでるみたいだ……)
晴天の青と、グレーのコントラストが鮮明に心に焼きつく。

――バシャッ
首は着地する瞬間、飛沫となり弾けた。同時に体も地に崩れ落ち、水溜りを作った。
(終わった……後は霞のジョーだ)
首輪を掴んだ右手を握り締めると、手の掌に書いた汗がぬるぬるとして不快だった。
シャツで拭って汗では無く血液である事に気付く。
「うわっ!」
驚きと共に中指に痛みが走る。
爆発で中指の先が焼けただれ抉れていた。
(痛みに構っている暇は無いな)
手当てをする間も無く爆発音を聞付けたジョーが走り寄る。

「明日夢……一体、何が?水のエルは……」
疑問が頭を渦巻いたが、ジョーには答えなど聞かなくても解っている気がした。
なぜなら明日夢が少年に似つかわしくない軽薄で残酷な微笑みを浮かべていたから。

「思ったより簡単でした。首輪を引っ張るのに力は要らなかったし……ジョーさんがベルトを渡してくれた御陰です。
僕の嘘にこんなにあっさり引っ掛かるとは思わなかったけど……」
明日夢は期末テストの結果を伝えるかの様に淡々と話す。
そしてにっこり微笑むとベルトを装着し、ライオトルーパーへ姿を変えた。
「待てよ、訳が解らねぇ。水のエルは俺達と一緒に戦った仲間……ウグッ」
答えは無く、鳩尾にパンチが沈む。
「仲間とか兄弟だとか弟子だとかうざいんですよ。ジョーさんもヒビキさんも……」
蹲ったジョーの上から明日夢の声が降ってきた。

577名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 22:56:25 ID:xtGCqU4P0
支援
578名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 22:58:54 ID:xtGCqU4P0
  
579空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 23:00:31 ID:GKw02g/q0
「何でだよ、明日夢!」
「何で?生き残る為に決まってるじゃないですか。ヒーローなんて居ないんですよ?」
言い放った後、ガンモードにしたアクセルレイガンを構え光弾を発射する。
ジョーは後ろ宙返りで身を交わし、体制を整え、キックでアクセルレイガンを弾き飛ばした。
(畜生、俺が馬鹿だったのか?こんな奴の為に水のエルを見殺しにしちまった)
両腕をクロスに構え一歩踏み込むと顔面、肩、腕、にサイを打ち込む。
ジョーの繰り出す左右連なるコンビネーションは、打撃を確実にヒットさせる。
転がり倒れたライオトルーパーの心臓に突き刺すべくサイを振り上げる!
「何が悪いんだ、殺さなきゃ自分が殺される。信頼していた人に裏切られた僕の何が解るって言うんだ!」
痛みに耐えようと硬直したライオトルーパーの体から徐々に力が抜けていく。
サイは心臓の寸前で止まっていた。
(だめだ、俺には人を殺すなんて出来ねぇ。明日夢はたった一人で何の力も持たず、心の支えも無く、此所に放り込まれた。
死への恐怖、不安、怒りや悲しみに押し潰されたんだ)
確かに明日夢の犯した罪は許される筈が無い。だが、ジョーには明日夢に止めを指す事は出来なかった。
「何が悪いんだ、殺さなきゃ自分が殺される。信頼していた人に裏切られた僕の何が解るって言うんだ!」
右腕を振り払いジョーを跳ね除けた。
ジョーは受身を取り、すばやく起き上がると追撃に備えた。
闇雲に突き出される拳を軽いフットワークで避ける。
「ヤッ!」
右キックが放物線を描き明日夢の鼻先をかすめる。反射的に顔面を庇う為、両手のガードの位置が上がる。
(これは牽制……真に狙うは!ガラ空きのそのボディだ)
右足が着地するや否や
「ハッッ!」
気合一発。腰を低く落とし正拳突きを食らわせる。
間髪入れずにクルリと身を翻し、高く振り上げた両腕のサイを明日夢の両肩打つ。
「ウワァッ!」
絶え切れず尻餅を着いた明日夢の眼前にサイを突付ける。
「もうやめろ、お前は俺には勝てねぇ」
580名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 23:02:06 ID:W/XyKaqg0
 
581名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 23:04:08 ID:xtGCqU4P0
  
582空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 23:12:45 ID:GKw02g/q0
明日夢が仮面の下で悔しさにギリギリと歯を軋ませる。
「僕には、勝てない?鍛えてますからってヤツですか!」
サイを振り払い、すかさず立ち上がると渾身の力を込めキックを放つ。
ジョーは右腕でそれをガードし、左足で明日夢の軸足を払った。
「ああ!そうだな。心身共に鍛えてりゃ、そんな風にカッとなっちまう事もねぇ。明日夢!全身 隙だらけだぜ」
再び倒れた明日夢に言い放った。

(畜生、全身が痛みやがる)
グランザイラス戦の傷も癒えて無い。それにいくら明日夢が素人でも、ベルトの力で増幅されたキックの威力は凄まじい。
(これ以上戦っても、きっと意味がねぇ。たとえ俺に勝ったとしても生き延びられる程の強さは無い。明日夢の闇を切り裂いてやれるのは、今は俺だけだ。
助けてくれる兄貴も水のエルもいねぇ。一か八か、俺にとってはかなりの試練、それも命懸けのな)

「こんな事はもう、終わりだ」
サイを地に置き、丸腰のまま明日夢に手を差し伸べた。
「ヒーローなんて居ない、確かにそうかも知れねぇ。だけどよ、さっき兄貴なるって言ったのは嘘じゃないぜ!!お前と戦いたくなんか無いんだ。
俺が一緒に背負う!お前の犯した罪も悲しみも裏切りもだ!!だから目を覚ませ!明日夢!!!」
共に償いの道を歩く、それが自分に出来る唯一の事だと思った。
長い沈黙の後、明日夢はベルトを外し変身を解いた。そして、差し出されたジョーの手を硬く握った。


再び丘を目指す前に、ジョーは水のエルであった水溜りの前に立ちそっと手を合わせた。
水溜りの中心に落ちていたオルゴール付懐中時計を拾い上げる。
「水のエル、許してくれ。アギトを倒す、お前の使命は俺が継ぐ。そして必ず全うしてみせる」
明日夢はジョーの背中を見つめていた。相変わらず無防備なお人好し、暫くはこの背中に果物ナイフを突き立てることは無いだろう。
(盾になってくれる人間をわざわざ殺す必要がない。理由はそれだけだ……)
何故か自分に言い訳をする。
「行くぞ、明日夢。」
懐の果物ナイフをデイパックの奥に仕舞い込むと、明日夢はジョーと共に歩き出した。

【水のエル 死亡】 
583空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 23:14:21 ID:GKw02g/q0
【安達明日夢@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海エリアC-4】
[時間軸]:番組前期終了辺り。
[状態]:腕に軽い擦り傷。
[装備]: デイパックニ人分。加賀美と影月。
影月は支給品不明です。
スマートバックル)
二時間変身不能。
[道具]:果物ナイフ数本。
[思考・状況]
1:暫くはジョーと行動する。
※アクセルレイガンは樹海エリアC-4に放置されたままです。


【霞のジョー@仮面ライダーBLACKRX】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海エリアC-4】
[時間軸]:クライシス壊滅後。
[状態]:全身に打撲。負傷大。
[装備]:サイ
[道具]:オルゴール付懐中時計
[思考・状況]
1:C6の丘に向かう。
2:水のエルの使命を全うする(アギトを倒す)
3:兄貴と合流。

584空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 23:20:27 ID:GKw02g/q0
終了ですが、早速修正箇所発見。

>>571 の
>「僕には力なんて無い!身を守る武器も何も無い!ヒビキさん何かと知り合ったばかりにこんな戦いに巻き込まれたんだ!
何が闇を切り裂く仮面ライダーだよ。もう6人も殺されてる!綺麗事はたくさんだ!」

>「僕には力なんて無い!身を守る武器も何も無い!ヒビキさん何かと知り合ったばかりにこんな戦いに巻き込まれたんだ!
何が闇を切り裂く仮面ライダーだよ。もう16人も殺されてる!綺麗事はたくさんだ!」


>>576
>その姿が明日夢には水飛沫をあげ大海原へ泳ぎだす白鯨に見えた。晴天の青と、グレーのコントラストが心に焼きつく
(空中を泳いでるみたいだ……)
晴天の青と、グレーのコントラストが鮮明に心に焼きつく。

>その姿が明日夢には水飛沫をあげ大海原へ泳ぎ出す白鯨に見えた。
(空中を泳いでるみたいだ……)
晴天の青と、グレーのコントラストが鮮明に心に焼きつく。

指摘、感想、その他の誤字脱字もよろしくお願いします。
585空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 23:27:04 ID:GKw02g/q0
何度もすみません。
明日夢の状態表も下記に差し替えてください。

【安達明日夢@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:樹海エリアC-4】
[時間軸]:番組前期終了辺り。
[状態]:右手の中指先端欠損、全身の打撲。
[装備]: デイパックニ人分。加賀美と影月。
影月は支給品不明です。
スマートバックル。
二時間変身不能。
[道具]:果物ナイフ数本。
[思考・状況]
1:暫くはジョーと行動する。
※アクセルレイガンは樹海エリアC-4に放置されたままです。
586名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 23:34:30 ID:M/rGGE/2O


人間の味方をした怪人は死ぬ…水のエルも例外じゃなかったか……
587空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/01(金) 23:37:41 ID:GKw02g/q0
お礼が遅くなってしまいましたが支援ありがとうございました。
早速の感想も感謝です。
588名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 23:40:09 ID:xtGCqU4P0
乙!
水のエル。・゚・(ノД`)・゚・。
心を許した相手が悪かったorz
霞のジョーは波乱万丈だw
589名無しより愛をこめて:2007/06/01(金) 23:50:49 ID:oXZK1ZG+O

水のエル…むこうで天道と人生相談して人間不信とかにならないでくれ
590 ◆TJ9qoWuqvA :2007/06/02(土) 00:33:41 ID:Uuc193bX0
投下乙!
ステルスマーダー本領発揮で大満足。
水のエル、合掌。

小沢澄子、南光太郎、矢車想、神代剣、天道総司、リュウガ、
結城丈二、氷川誠、草加雅人、秋山蓮、ドラス、日高仁志、影山冴子
予約します。
591空中遊泳 ◆4wyf44BgsE :2007/06/02(土) 00:49:54 ID:WzYV0RRt0
>>590
楽しみにしてます。

実は>>579にもミスがあって、したらばに修正版を投下しました。
すみません。
592名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 01:04:48 ID:WvQFMb+Q0
うお、何やらまた大混戦の予感が!期待
593名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 19:51:46 ID:Nf8yougg0
「神代剣」
この名を見るだけで、誰かが死ぬんだろうなぁって分かるw
始の名が入って無い事にマジで安堵した俺がいる
594名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 22:02:15 ID:SveHdism0
しかし剣の奴、ブレイド ガタック 龍騎と友情殺し得意だよね
595名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 22:13:20 ID:doG3aTo8O
ぼっちゃま……何て奴だ…
596名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 23:05:20 ID:huty7AcA0
しかも、ぼっちゃまは主役・準主役級ばかりピンポイントで殺し続けてる。
こういうタイプのマーダーも結構珍しいんじゃ無かろうか。

そして話は変わるが、天道と愉快な仲間達の今後が不安だ。
ラノワの大集団崩壊、テイルズロワの大転落という前例があるだけに不安になる。
それはそれで二次創作ロワの醍醐味だけど。
597名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 23:20:53 ID:d6wE7AayO
天道、矢車、小沢、結城がそろっている状態ならかなり盤石だと思う。
この四人はそれぞれの短所を上手く補い合ってる気がしてならない。

誰かが欠けると不安だなぁ…
598名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 23:27:33 ID:8PeLxEU90
なんとなく次のぼっちゃま被害者は光太郎な気がしてきた
599名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 23:30:05 ID:FpEDC7EdO
しかし現在坊ちゃまは重症を負っている訳で。
予想の斜め上を行って、天道に介抱されステルスになるかもしらんな
600名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 23:30:54 ID:FpEDC7EdO
書き終わってオモタ
坊ちゃまの人気に嫉妬
601名無しより愛をこめて:2007/06/02(土) 23:43:10 ID:sitDIxKt0
>天道に介抱
そうされてほしいけど、坊ちゃまは起きてたら、自分がカ・ガーミンを殺したこと、
天道に黙ってはいなさそうだね。
602名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 00:50:42 ID:qD1PGTs10
カブトとストロンガーは出会ってほしいなぁ
603名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 01:45:06 ID:+pgJGGq/0
光太郎と絡むとラムネ菓子踏んづけて「嫌な予感がする」で正体バレなんてパターンもありえるがw
604名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 03:14:26 ID:IYGapRZ7O
天道に加賀美を殺したこと話したらどうなるかな?
やっぱり怒るんだろうか…
605名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 03:39:46 ID:vzvTAw8Y0
城戸のところに戻ってきて擬態とか
606名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 03:46:34 ID:vzvTAw8Y0
書いてて思ったけど、坊ちゃまより、ドラスが相当危険な気がする。
607名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 06:45:04 ID:mry6a5Lp0
秋山といい始といい唯一自分を肯定してつきあってくれる友達を亡くしちゃって…
奴らに草加の様な精神的強さがあれば・・・とも思うが
草加に奴らみたいに脆さや可愛げがあれば…とも思う。
そんな草加は草加じゃないがなww
608名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 08:16:07 ID:Xv3upSeu0
ドラスはマーダーとしても危険だけど、同時に1キャラ限定とはいえ首輪解除フラグを持ってるからなかなか微妙な立ち位置。
対ドラス用最終アイテム・オルゴール付き懐中時計も健在だし、今後どうなるか予想しにくい、どうなっても不思議じゃないキャラの一角だと思う。
609 ◆A.IptJ40P. :2007/06/03(日) 10:03:12 ID:glYlrFA1O
すいません。多分期限に間に合わないんで、予約延長お願いします。
610名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 12:41:46 ID:F0I9jsnG0
そういえば剣が剣崎に変身するのって時間制限かからないのかね?
611名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 15:21:56 ID:0Txtd4wy0
そういや剣崎は劇場版から来たんだよな
じゃあ始が自分と戦った剣崎は元の世界で引き続き運命と
戦ってる事に気付けば…始頑張れよ始
612名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 15:42:46 ID:IYGapRZ7O
>>609
期待してます
613名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 22:16:30 ID:s1NRwkLn0
ガタックゼクターが剣を敵と認識するんじゃね?
614名無しより愛をこめて:2007/06/03(日) 22:34:35 ID:IYGapRZ7O
>>613
天才
615名無しより愛をこめて:2007/06/04(月) 00:07:14 ID:2/hylJsSO
>>613
ファンになってもいいですか?
616 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/04(月) 05:55:46 ID:4IMCOmti0
>>584
GJ!
水のエルの純粋さが表れていていい感じです。
それとは逆に明日夢のダークさが。。。

まとめサイト更新、ついでに自分の作品も修正しました。
ジェネラルシャドウを予約します。
617名無しより愛をこめて:2007/06/04(月) 14:09:10 ID:4pobRykcO
613 その発想はなかったですわ
618名無しより愛をこめて:2007/06/04(月) 23:18:17 ID:Xge/L6R4O
橘さんケタックとして復活しないかな。
でもそれはそれであの死闘がぶち壊しか…
619名無しより愛をこめて:2007/06/04(月) 23:56:20 ID:9vV5O7RxO
ケタックは正規(?)ライダーじゃないしな。
それよりもワイルドカリスが見たい。剣ライダー達の強化変身が好きな身としては強化フォームのある剣崎と橘さんが脱落したのはかなり切なかった。
でも始は瀕死の重傷だし、ハートのラウズカード持ってるヤツは強敵だし、かなり望みは薄いが…orz
620名無しより愛をこめて:2007/06/05(火) 00:03:40 ID:qYk50mbLO
いや、ワーム剣崎が強化変身できる
問題はやっぱりスペードカード十三枚とアブゾーバー集めなきゃならないから道のりは果てしなく遠いが
621名無しより愛をこめて:2007/06/05(火) 00:43:04 ID:u8tJwcst0
すべてのカテゴリーのカードを最低一枚、ドラスが保有している恐怖。
と、いうかコンプに一番近いのが強化変身のない睦月だからな。

ちなみに参考

スペード ダイヤ ハート クラブ
A 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
2 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
3 氷川誠 上城睦月 ドラス 上城睦月
4 ドラス ドラス ドラス 上城睦月
5 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
6 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
7 氷川誠 ドラス ドラス
8 ドラス 氷川誠
9 神代剣 氷川誠 氷川誠
10 神代剣 シャドウ 上城睦月
J 上城睦月 神代剣 シャドウ 上城睦月
Q 上城睦月 上城睦月 シャドウ G3
K キング シャドウ G3
622名無しより愛をこめて:2007/06/05(火) 00:43:47 ID:u8tJwcst0
ずれた

スペード ダイヤ ハート クラブ
A 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
2 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
3 氷川誠 上城睦月 ドラス 上城睦月
4 ドラス ドラス ドラス 上城睦月
5 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
6 神代剣 橘朔夜 相川始 上城睦月
7 ? 氷川誠 ドラス ドラス
8 ? ドラス ? 氷川誠
9 神代剣 氷川誠 ? 氷川誠
10 神代剣 ? シャドウ 上城睦月
J 上城睦月 神代剣 シャドウ 上城睦月
Q 上城睦月 上城睦月 シャドウ G3エリア
K キング ? シャドウ G3エリア
623名無しより愛をこめて:2007/06/05(火) 10:55:01 ID:Flo5LKrFO
ラウズカードがある程度揃わないと強力な技(必殺技含む)を出すことが出来ない剣勢はライダーの中では劣勢になってしまうよな。。。
624名無しより愛をこめて:2007/06/05(火) 12:50:01 ID:tWjIPMxNO
555勢もベルトの付属武器は巧はポインターと草加はブレイガンしか持ってない
しかもバジンが不参加の為スパークリングカット使えないorz
625名無しより愛をこめて:2007/06/05(火) 13:16:23 ID:dmQGUyBnO
巧には強化できる道具があるから良いけど…
草加には……
626名無しより愛をこめて:2007/06/05(火) 18:52:22 ID:Flo5LKrFO
草加には冷静な判断力と話術と優秀な頭脳が備わってるから装備がアレでも強いイメージだった。本編終盤と劇場版は散々だったけどw
627 ◆naAqV94LaU :2007/06/06(水) 18:56:08 ID:inBQaKoGO
規制の為、したらばに投下してきました。
指摘等有りましたらお願いします。
628 ◆TJ9qoWuqvA :2007/06/06(水) 18:56:36 ID:H1tAmXj70
経過報告。
推敲を残すのみです。今夜十一時ごろに投下したいと思います。

後予約でひよりを抜かしてしまっていたので、慌てて追加予約します。
すいませんorz
629名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 22:31:44 ID:00vjKFk9O
>>627
GJ!
ホラーな天音が怖い……リアルで自分も夢に見そうだ。

>>628
楽しみにしています!
630 ◆TJ9qoWuqvA :2007/06/06(水) 23:14:16 ID:H1tAmXj70
>>627
GJ!
えげつない神崎に恐怖。始さん頑張れ

遅れてすいません。ただいまより投下します。
 閑散とした街中、バイクの排気音が響き渡る。太陽は真上を少し降りたあたりに存在し、空の青さが目に沁みた。
 バイクはビルが並ぶ街並みを走り抜ける。まるで、悪夢から逃げるように。
 いや、バイクに乗る男の本心はそうではない。
 着ていたジーンズと黒のライダースジャケットというのラフな姿は、所々が破れ、鍛えた身体に刻まれた傷が垣間見える。
 黒い頭髪は長くもなく、短くもなく。彼が活動しやすい長さにまとめられている。
 無骨な印象を持たせる、ガッチリとした顔の輪郭。しかし、その顔は精悍な印象の方が強い。
 だが、今はその顔は苦痛に歪んでいる。
 傷を負った左目は閉じられ、残った右目は悔しさを浮かばせていた。
 その彼の名は日高仁志。今の名は、『響鬼』である。

(麻生さんの仇をとる。そのために、今は休まないと……)
 それくらいしか、手段を講じれないことにヒビキは歯噛みをする。
 やがて、ファーストフード店と本屋のチェーン店が並ぶ道筋に、人影が現れた。
 ヒビキはバイクを止め、警戒心も露に影を見つめる。
 長身を黒いロングコートに身を包み、ヒビキと同様激戦を繰り広げたのだろう。
 男の身体は傷だらけ。短髪の黒髪の下の厚い唇の右横には青痣がついている。
 ヒビキは彼の名前を知っている。秋山蓮、この殺し合いで珠純子と草加雅人とともに出会った参加者だ。
 バイクを止め、地面に降りる。少し前のヒビキなら、無条件で信頼し、駆け寄るだろう。
 だが、今の彼は冴子に騙されたことにより、先に警戒心が働き、蓮を睨む。
 その様子に気づいたのだろう。蓮も立ち止まり、睨み返す。
「……ヒビキか」
「秋山、草加はどうした?」
「……奴の心配をしているのか? 相変わらずお人好しだな。珠純子を奴に殺されたというのに」
 瞬間、身体に熱が駆け巡り、ヒビキが怒りに震えた。
(やはりこいつらは冴子と同じ、この殺し合いに乗って俺を騙したのか!?)
 ヒビキに無念と怒りが沸き起こり、自分の不甲斐なさを呪う。
 もし、変身できていたなら、我を忘れて襲っていたかもしれない。
「……ちょうどいい。ヒビキ、俺と戦えッ!」
「なに?」
「俺はどうしても最後の一人にならなければならない! たとえ……親友をこの手で殺してもなッ!」
 蓮は叫んで、鉄パイプを上段から振り下ろす。
 だが、勢いも力もない攻撃を、ヒビキは片手で軽々と受け止める。
 ヒビキは蓮の自棄になった行動に呆れ、同時に怒りが静まり冷静になってくる。
「秋山、何があった?」
「黙れ! お前も変身ができるんだろ? なら、俺と戦えッ!!」
(そうか、こいつは今の俺と同じか)
 何か辛いことがあって、自棄になっているのだろう。秋山は自分が変身しないのは、制限のせいだと、この傷だらけの身体を見ても気づいていない。
 ヒビキはその様子を痛ましげに見つめる。
 やがて、鉄パイプを引いて、身体を泳がせる蓮の頬に右拳を叩き込んだ。
 蓮は道路を転がり、仰向けに倒れた。脱力し呼吸を荒くしている彼の姿に自分を重ねる。
 騙されたゆえに多くの知人や友人、この殺し合いで出会った仲間を喪ったヒビキ。
 この殺し合いに希望をかけるしかないため、友をも殺さなければならなかった蓮。
 蓮の事情はヒビキが考えるよりも複雑だが、彼がそれを知る術は無い。
 ヒビキは蓮の横に立ち、青い空を見上げる。麻生が望んだ光はそこにあるのだろうか。
 ゆっくりと、蓮へと向き直る。
「秋山、俺に手を貸してくれ」
「断る。話を聞いてなかったのか? 俺は乗ったんだぞ」
「だからこそだ。お前が優勝するには、どうしても倒さなければならない奴がいる。そして、俺はそいつらを倒して麻生さんの仇をとりたい。
俺一人では勝てなかった。お前一人でも無理だろう。だから、一時的に手を組もう」
「……本気か? 俺は珠純子を……」
「殺してはいない。お前は、人を殺せる奴じゃない」
 ヒビキの言葉に蓮が目を見開いている。
 おかしな事を言ったのかと疑問に思う。しばらくして、蓮は力を抜くようにため息をついた。
「分かった。そいつらを殺すまでだ。いいな」
「ああ」
 悲しみに満ちている男が二人、手を合わせた。


「殺してはいない。お前は、人を殺せる奴じゃない」
 蓮は、ここにきて城戸の言葉を聞けるとは思ってもみなかった。
 友を失った喪失感が蘇る。胸がきしみ、瞳に涙が溜まりかけたため、空を見上げた。
 ヒビキはその自分の顔を覗き込んだ。
(ヒビキが一人で倒せなかった相手か。もし死に場所となるなら、ちょうどいいかもしれない)
「分かった。そいつらを殺すまでだ。いいな」
「ああ」
 差し出された大きく力強い手を、蓮は握り返した。
 蓮は恵理を救う事を諦めてはいない。だが、城戸真司の死は彼に死に急がせてしまう結果になった。



 ガタックゼクターの案内で、氷川と天道は加賀美の墓の前に立っていた。
 辿り着いた二人が作ったものだ。氷川は敬礼を送り、天道は黙って見つめるのみだった。
 瓦礫が崩れる音に、二人は振り向く。視線の先には、リュウガとひよりがいた。
「……天道」
「遅かったな。加賀美に手を合わせておけ」
634名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 23:19:41 ID:t/yZnEwlO
 無言で頷く、赤いチェックの柄のシャツを着た、スレンダーな身体を天道の前に出す。
 セミロングの黒髪で隠された眉の下の閉じられた瞼の端には涙が溜まっていた。
 小柄な身体が、更に小さく見え、今にも消えてしまいそうだった。
(俺の妹を泣かせるとは。加賀美、罪作りな奴だ)
 墓を見つめる天道の視線は厳しい。この戦いは、犠牲が多すぎる。
 そして、その犠牲は止まる所を知らない。
「どういう奴だったんだ? 加賀美という奴は?」
 黙祷を終えたリュウガが、長髪の下にある険のある眼差しを天道へ向けた。
 スカイブルーのダウンジャケットを着る彼を眩しそうに見つめ、天を仰ぐ。
「馬鹿な奴だった」
「……ああ、馬鹿だ」
 死んだ人間を馬鹿と評す様子に、リュウガと氷川が呆気に取られる。
 だがやがて、ひよりが言葉を継いだ。
「だけど、優しくて暖かかった」
「そして、強かった。まったく、天の道に並ぶ事を許可したのに、お前と言う奴は……」
 氷川とリュウガは黙する。気を遣うこともないのにと天道は思う。
「天道、僕の身体のこと、知っているだろ?」
「ああ、それがどうした?」
「……僕はお前の妹である資格、あるのかな?」
 ひよりの言葉にギョッとする。後ろの二人が息を飲む気配を感じた。
 それに構わず、天道はゆっくりとひよりの隣へと立った。
「ひより、知っているか? 一回目の放送の二時間くらい後、一人の少女が希望を伝えた事を」
「……知らない」
「その時ひよりさんは気絶していたからしょうがないですよ。
その放送は、園田真理という少女が希望を伝えていたんです。
ファイズは、仮面ライダーは闇を切り裂いて、光をもたらすって!」
636名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 23:21:32 ID:t/yZnEwlO
「俺は、その時仮面ライダーファイズ、乾巧と一緒だった」
「どんな人だったんですか? 本物の、ファイズは?」
 天道は微笑みながら墓の前に出る。
 加賀美を含めてその場にいる人間全てに語りかけ始めた。
「……加賀美、お前に負けないぐらい、面白くて、不器用な奴だったよ。猫舌だがな。
そして、ひよりと同じく、その身体が人間でないことに苦悩していた」
「それって!」
「だが、奴は園田真理が言っていたように、闇を切り裂いて、光をもたらすに相応しい男だ。
ひよりには、あいつのように己の運命と戦って欲しいと思っている」
「僕には無理だよ」
「無理じゃない。俺が傍にいる。そして、リュウガも、氷川もな」
 振り向く自分の妹を安心させる為、墓に向けていた微笑を向け直す。
 氷川が同意するように頷き、リュウガは戸惑っていた。
「そうですよ、ひよりさん。あなたは一人じゃない。僕たちが傍にいます。ね、リュウガさん」
「いいのか? 俺なんかが傍にいて?」
「嫌だといっても付きまとってやれ。それがひよりの為にもなる」
「……なんという兄貴だ。お前」
 天道とリュウガのやり取りに、その場に笑いが満ちる。
 いつもは沈んだ顔のひよりにも、少し不器用な笑顔が出来上がっていた。
 その笑顔を見て、天道は安堵する。彼が見た彼女の最後の姿は、とても寂しげだったからだ。
(加賀美、お前の想いは受け取った。だから、俺がそこに逝くまで安心していろ。
もっとも、次に会う俺の姿は老人だろうがな)
 周りの空気を気にせず、右手の人差し指を天に向ける。
「俺は天の道を行き、総てを司る。氷川、リュウガ、脱出の計画をたてに戻るぞ」
 天道に応え、彼らが拠点としているビルへと踵を返した。



「ほう、面白いな。このカイザのベルトは」
 多くの会社員が仕事に励むであろう部屋で矢車が言い、結城が反応する。
 スーツを着込んだ、青年実業家を思わせる矢車。
 同じくスーツを着込み、渋みを漂わせる科学者然とした結城。
 それに、ノースリーブのシャツを着込んだ、活発な印象の小沢を加えた三人は、支給品を確認している。
「一瞬で強化服を精製する技術。これがあればアンノウンに対抗するのが簡単になりそうね」
「それに加えて、装着者を選ばないともなればな。小沢さんの支給品とリュウガの支給品が装着できた。
どうやら、カイザドライバーの装備だったらしいな」
 いまやカイザドライバーは、矢車の手によって装備を充実させていた。
 こいつは自分が持とう。矢車がそう言い出そうとしたときだった。
「これは小沢さんが持っていてくれ」
「どうしてだ? 結城さん」
「君は今このベルトに興味を持っているだろう? 本当に汎用性があるかどうか分かるまで、彼女に預かっていてもらいたい」
「私は構わないわよ。まあ、矢車くんも落ち着きなさい。まだザビーゼクターは死んだわけじゃないから」
「えっ!?」
 驚く自分に、小沢は壊れたザビーゼクターをデイバックより取り出した。
 小沢の掌にあるザビーゼクターは僅かに瞳を瞬かせた。
「今施してある処置だと、切断した回路を繋げただけよ。まだ変身はできない」
「……それでも、再びザビーになれるかもしれないってだけで、充分です。小沢さん。ありがとうございます」
「ま、気にしないでいいわ。借りは飲み会でみんなに奢るでどう?」
「考えておこう」
639名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 23:24:34 ID:t/yZnEwlO

 苦笑する矢車は、小沢に心の底から感謝をする。完全調和を目指す彼にはやはりザビーが性にあう。
 だが、それはあくまでザビーゼクターが直った後である。今は小沢の手元にあるカイザドライバーに目を向ける。
(まあ、焦ることはない。脅威が迫れば、嫌でも使わないといけないときも来る。その時に借りればいいさ)
 心の中で呟き、天道たちが戻ってきたのを確認する。
 会議の再開時だと考え、草加を見張っている南を呼びにトランシーバーを手に取る。

 矢車は、自分の欲求が死へ向かっていることに気づかなかった。



 柱に手を回され、草加は自分を見張る光太郎を前に、脱力していた。
 今はとにかく体力を回復させる。それを済まして、光太郎か氷川を丸め込み、ここから逃げる。
 できれば天道を殺すのが理想だが、それは高望みしすぎだ。
 最低でもカイザドライバーは手に入れたいと草加は考える。
「……草加さん。一つだけ聞かせてください」
 無言で返す。内心は、チャンスだと草加は喜んでいる。
 だがそれを少しでも表に出すと何を思われるか分からない。あくまで、拒絶するような態度をとる。
「あなたは、真理さんの放送で仮面ライダーの一人として伝えられた。なのに、なぜこんな殺し合いに乗ったのですか?」
「お前が知る必要はない」
「答えてください! 俺は、できればあなたに仮面ライダーに戻って欲しいと思っている。
こんなクライシスの策略に乗るのは悲しすぎます!!」
 まっすぐに、前分けした黒髪の下の乾巧を髣髴させる瞳を向けてきた。
 その精神に反吐を吐きそうになるが、表には出さない。
 数分の沈黙の後、草加は根負けしたような演技でため息を長々と吐く。
「君に話した真理と俺が恋人だったという話は本当だ」
「……えっ!」
「もっとも、俺の時間軸ではだが。長年想い続けていた彼女にやっと俺の気持ちが伝わったところだ。
彼女は俺と結ばれる時間軸の前から来たかもしれない。だが、いつの彼女でも関係ない!
彼女は殺された! なら、最後の一人になって彼女を蘇らせる!!」
 本気を混ぜた嘘。矢車や小沢ならともかく、光太郎では見抜くことは不可能だろう。
 案の定、光太郎は哀れみに満ちた目を向けている。
(いいぞ、もっとその哀れみの目を俺に向けろ)
 これはただの布石。光太郎の気を引き、その同情を氷川や結城といったお人好し勢に飛び火させる。
 今はまだ煙も上がらないが、これは重要な仕込みだ。
 しくじるわけにはいかない。光太郎の様子を見れば、今のところ成功しているのが分かる。
 もう一押し……
『南くん、聞こえているか?』
「はい、聞こえます。矢車さん」
『天道も戻ってきたところだし、会議を始めたい。君も参加してくれ。鍵はかけ忘れるな』
「了解」
(いいところでッ! まあいい。これからも機会は何度でもある。その時を逃さなければいい)
 会議室に向かおうとする光太郎は、立ち止まり草加に視線を合わせる。
「草加さん、俺はあなたが仮面ライダーに戻る日を願っています。その時は、ともにクライシスの野望を打ち砕きましょう」
 その言葉を残して、光太郎は去る。
 軋みながら閉まるドアを草加は憎々しげに睨んで、袖を探る。
 ここに来る前に連中が拠点にしていた建物で見つけた、ヘアピンだ。
 手錠は外しておいて損はない。もっとも、ここを逃げ出すのは混乱に叩き込んでからだが。
(待っていろよ。真理。俺が君を救うからな)
642名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 23:28:19 ID:1UJziElF0
支援
 草加の瞳は真理しか映していなかった。



 どこかの企業で使われていたであろう、会議室に、主要メンバーがそろう。
 鏡に相当するものは布で隠され、薄暗い室内で八人は顔を合わせる。それぞれ、首輪の一部には布が縛り付けられている。
 これは盗聴機能を抑える効果がある。ドクトルGのおかげだ。
 四角いテーブルに、上座に天道、その次の左右は席は矢車と小沢。
 続けて、結城と氷川、リュウガと光太郎、最後にひよりの席順となっている。
 テーブルの中央には支給品と地図。みんなが集まった事を確認した天道は、ゆっくりと口を開く。
「おそらく、今の俺たちのグループが一番脱出に近い。これはチャンスだ。
脱出のために今必要な事を話したい」
「その前に確認したいことがある。この首輪について、分かっている事をまとめたい。
まずは、この首輪が爆破する条件だ」
 挙手しながらはきはきと発言するのは矢車。彼の言うことももっともだ。
 天道、結城、リュウガ、小沢、矢車はある程度首輪について話し合っている。
 しかし、残ったメンバーには詳しい事を話してはいない。情報を整理する意味でも、矢車の提案に乗る。
「ああ、まずこの首輪についてだが、前に言った通り神崎は任意に爆破ができない。
理由は、リュウガと小沢の話を統合させた結果、『願いを叶える』という能力に支障をきたすからだ。
奴は多くの命を使って、『願いを叶える』という能力を持つことができる。しかし、あくまでも殺し合いで研磨された命のみ。
そうだったな? リュウガ」
「ああ。奴が今まで引き起こしたライダーバトルは概ねそんなところだ。
今回は幾らか毛色が違うが、あくまで基本は俺たちが何度も経験したライダーバトルを基にしている」
644名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 23:31:41 ID:1UJziElF0
 
645名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 23:42:29 ID:73WR/DnL0
  
646名無しより愛をこめて:2007/06/06(水) 23:49:19 ID:iebsSnk70
好きなキャラが死んでいくのは辛いなぁ。内容が面白い分、余計にそれを感じる。
最終回には、時空を超えて本郷や一文字が駆け付けて全員を助けてやってくんねぇかな。
仮面ライダーが死んじゃうのはかなり辛い。だが、面白い。。
バトロワ系のスレの終わり方をぶち壊す感じのラストを俺は期待したい。いい意味で。
「それで、この首輪の爆破条件を推測してみた。
命が研磨される条件。俺はそれを『生きようとする意志』だと考える。
神崎が引き起こしたライダーバトルは、願いを叶える事でしか希望をつむげない人物がほとんどだと聞いた。
願いを叶えるには、生き抜かねばならない。その『意思』は強ければ強いほど、神崎の能力を強力にする。
今まで失敗続きだった奴は、強引に妹に自分の能力を使うため、多くの『意思』を必要としているはずだ。
分解したため分かったことだが、さまざまな技術を詰め込んだ結果、首輪での爆破ではその『意思』を抽出しにくいとのことだ。
よって、奴は首輪での爆死を減らすようにするしか対策はない。
それから推測される爆破条件は、

一、禁止エリアに抵触し、一定時間そこで過ごした時。
二、無理矢理首輪を外した時。

以上の二点のみだ。これらに気をつければ、爆破は起きない」
 天道はため息が氷川、光太郎、ひよりから漏れるのを確認した。
 もちろん、完璧に安心できるわけではない。リュウガからも警告をされたが、真の切り札といえる『オーディン』がまだ使われていない。
 このまま行けば対決は免れないだろう。そのためには首輪を外し、仲間を増やして決戦に備えなければならない。
 やがて、続きを結城が引き継いだ。
「それで、今の目的は首輪や未知の技術の解析だ。これは、俺と小沢さんが引き受けよう」
「結城と小沢には期待している。そして、今の急務は解析できそうな場所を探索することだ。
それで、探索を行いたいのだが……」
「それなら、心当たりがある」
 みんなの視線が集まるのは、リュウガ。小沢、矢車両名の視線は疑惑が、氷川、ひよりには信頼がこめられた視線だ。
「ほう、リュウガ。その心当たりとやらを教えてくれ」
「ああ。俺はこのオーガドライバーをD6エリアの研究施設らしき場所で発見した。
そこなら、この首輪の研究が可能だと思う」
「その言葉、本当に信頼できるの?」
 小沢が疑念の瞳をリュウガに向ける。当然の反応だが、天の道を行く男は慌てない。
 慌ててフォローに入ろうとする氷川を押さえて、天道は悠然と小沢と矢車に視線を向ける。
「俺が信頼する。だから、小沢と矢車も信頼してくれ。
それで問題が起きそうなら、俺が引き受ける」
 静かに言うと、呆れた矢車の顔が眼に入る。
 そういえばこのころの矢車はこういう奴だったと思い出した。
「何でこいつを信頼する? 俺たちをこんな目に遭わせた神崎と組んでいた奴だぞ。それに、二人殺している」
「リュウガは、ひよりを守るといった。そして、その言葉を守ってくれている。
ひよりの味方は俺の味方。太陽は皆に平等に降り注ぐ」
 相変わらずの俺様節に、付き合いきれないと矢車が返す。
 小沢は……
「なかなか面白い事を言うのね。いいでしょう、あなたを信頼してあげる」
 ニヤリと、二人は不敵な笑みを返しあった。
 小沢はリュウガに対して疑念を払拭してはいない。だが、自分がいる限りこれが火種になることはないだろう。
 リュウガの話は一段落した。次は、例の研究施設についてだ。
「俺が例の研究施設へ向かおう。リュウガ、案内してくれ」
「待て。天道は脱出の鍵を握る奴だ。もしも、そこに敵がいたりしたらどうする?
それに、悪いがリュウガをまだ信用できない。完全調和の為に、誰か他の人物に変えるのを提案する」
「その提案は却下だ。ここで一番の戦力は、俺、南、リュウガだ。南には他に頼みたいことがある」
「なんでしょうか?」
「結城と一緒に市街地の南部を探索してくれ。怪我で動けない参加者がいるかもしれないし、こちらが襲撃される可能性を減らしたい。
それに、城戸真司とやらと合流もしたい。
あと、これは個人的な頼みだが、ドクトルGの墓を作ってやってくれ」
 天道の頼みに反応したのは結城。彼に残るドクトルGへの罪悪感を減らしてやりたいのと、ドクトルGに敬意を持っているゆえだ。
「ドクトルGなる人物は、ヨロイ元帥と同じデストロンの幹部なんでしょう?
そんなに気をかけるような奴だったの?」
「ああ、奴は敵ながら手ごわく、そして強い男だった。心も、身体もな。敵であるのが残念だ」
「……珍しいな、お前がそこまでベタ褒めするとは」
「奴は自らの首を落として、俺たちに首輪を託した。奴の想いを無駄にしないためにも、絶対脱出する。いいな」
 その場にいる全員が頷く。決意を胸に結束が固まっていった。
「それでは引き続きチーム分けを行う。
この三台のトランシーバーをトランシーバーABCと仮称しする。

トランシーバーAを持つのは、俺とリュウガだ。研究施設へと向かう。
トランシーバーBは結城と南。市街地南部の探索を任せる。
トランシーバーCはここに置いておこう。

ここの主な守りは氷川、お前に任せる」
「そんな大役。僕なんかが勤めても……」
「いいに決まっているでしょ。あなたは氷川誠。一度も逃げなかった男よ。もっと自信を持ちなさい!」
 言いながら小沢は氷川の背中を強く叩く。痛みに涙を浮かべる氷川を見て、皆に笑顔が宿る。
「さて、俺と矢車が料理した麻婆豆腐でも食うか。草加のデイバックに豆腐があるのは幸いだったな。腹も減っているだろう?」
「何なら、どちらの麻婆豆腐が美味いか勝負するか? 天道」
「今度は負けない。なぜなら、俺は光の料理人だからだ」
 対抗心を燃やす二人に呆れながら、ひよりとリュウガによって料理が並べられていく。
 途中、氷川が豆腐を上手く摘めないなどのトラブルはあったが、美味しい料理に舌鼓を打ち、その場には満ち足りた空気が流れる。
 食は人を幸せにする。それを実現させた瞬間だった。



 D6エリアの研究施設を前に、蓮とヒビキが立つ。
650名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 00:17:58 ID:dObUTbtS0
 
 見下ろす建物は、風が吹いて異様な雰囲気をかもし出していた。
 これが、ヒビキの言っていた邪気という奴だろうか?
 蓮の考えに答えは返らない。ヒビキが音叉を取り出したのが見える。
「ベルトは使わないのか?」
「これはなるべく使いたくない。麻生さんの力を、奪った感じがしてな」
「そうか」
 蓮はヒビキの気持ちが分からないでもない。サバイブのカードを真司の傍においてきたのも、彼と似た気持ちになったからだ。
 やがて、ヒビキは手近の壁へと音叉を叩く。
 凛とした音と音の波を引き連れた音叉を額へとかざしている。
 鬼の顔が浮かび、紫色の炎にヒビキが包まれた。
「ハァァァァ、ハァッ!!」
 炎が晴れた先には、鍛えた身体を紫色の硬質的な皮膚に変えた、異形の戦士が立っていた。
 顔には隈取に似た、赤い模様が彩り、銀の二本角の間には鬼の顔がある。
 腰に下げているのは、音撃棒・烈火という武器と、もう一本存在していたそれの鬼石をつけただけの、即席音撃棒があった。
 響鬼へと変身を終えるのを見届け、蓮もバイクのミラーへとカードデッキをかざす。
 現れた銀のベルトを確認すると、腰を捻り、ロングコートをはためかせる。
「変身!!」
 空のベルトの中央へカードデッキを装着する。
 黒い西洋騎士の鎧が合わせ鏡に映し出されたように、幾重にも重なる。
 やがて、蓮の身体に集中したそれは、彼を仮面ライダーへと変身させた。
 彼の鉄格子のようなバイザーから、青い瞳を向け、腰に下げていたダークバイザーをとって構える。
「行くぞ!」
 響鬼の掛け声とともに、坂を下りて研究施設へと突進する。
 しかし、その走りは止まった。地面が爆ぜて煙に視界を奪われる。
 煙の晴れた先には、こちらを研究所の上から見下すドラスと冴子がいた。
「やあ、お兄ちゃん。新しいお兄ちゃんを連れてきたんだね?」
「ああ、お前を倒して、麻生さんの仇をとるためにな!」
「ふーん。無駄なのによく頑張るよ。いいよ、相手してあげても。
でも、外でお願いね。研究所を破壊されるのは嫌だから」
 そういい、化け物は降りてきた。
 鋼色の肉体が徐々に赤く染まっていく。逆に赤い複眼は、黒くなっていき、触覚を縮ませていく。
 獣の牙を思わせるクラッシャーを不気味に蠢かせ、ドラスは『変身』を終えた。
「こういう場合は『変身ッ!』って言ったほうがいいかな?」
「お前がその言葉を口にするな!」
「ああ、同感だ。化け物は化け物らしく犬のように吠えていろ」
「ひどいなぁ〜。まあいいけどね」
 ドラスは肩を揺らしている。笑っているのだと理解し、人間の感情を醜悪に真似しているように見え、反吐が出そうになる。
「手伝いましょうか? ドラスくん」
「いいよ、冴子お姉ちゃんは見ているだけで。たぶん肩慣らしにもならないんじゃないかな?」

「「舐めるな!!」」

 響鬼と声を重ね、左右から挟み撃ちを仕掛ける。
 ナイトはそのままバイザーにカードをセットした。

 ―― SWORDVENT ――

 鏡より槍に似た大剣を召還する。ウイングランサーの名を持つ剣を両手で持ち、ドラスの身体を切り刻もうと狙いを定める。
 響鬼の方は、音撃棒を両手で構えて駆ける。
「ハァァァァァッ!」
 彼の腹の底からの雄たけびに応えるように、炎が鬼石と呼ばれる赤い石から伸びて、刃となった。
 やがて、二人が交差する瞬間を狙い、剣を思いっきり横一文字に振るう。
 金属がぶつかり合う甲高い音が車道に響いた。
 一瞬の静寂、ナイトの視界には無傷の赤い甲殻があった。
「ドラスくん、あなた頑丈ね」
「ね、言ったでしょ。肩慣らしにもならないって」
 ナイトが全力で剣を押し込むが、赤い肌に傷はつかない。
 向かいでは響鬼も同様に剣で切り裂こうとしているが、結果は虚しかった。
「あんまり引っ付いていると、暑苦しいな」
 まるで、ドラスが蝿でも払うかのように腕を振るったと思った瞬間、ナイトの胸部に重い衝撃を打ち込まれた。
 胸のアーマーを歪ませ、ナイトは天に舞い、青空を目にしながら倒れ伏す。
 ドサッという音は同時に聞こえた。おそらく、響鬼も同じ目に遭っているのだろう。
 痛みに震える身体を無理矢理立たせる。立ち上がるのに五秒ほどたったが、ドラスは何もしない。
「ハンデあげようか? 君たちが一発攻撃を加える度に、僕も一発反撃する。こちらからは攻撃しない。それでいい?」
「ふざ……けるなぁ!!」
「落ち着け!? 秋山!!」
 ナイトは突進し、デッキからカードを取り出す。

 ―― TRICKVENT ――

 電子音がダークバイザーから発せられると同時に、ナイトの姿が二人、四人、六人と分裂する。
 ドラスを囲んで、剣を振り下ろす。金属がぶつかる甲高い音の六重奏。
 中央のドラスは黙って立っている。
(効いたか?)
「ふふ……六発殴っていいんだよね?」
(効いてない!!)
 離れようとバックステップをするが、ドラスの拳が三人のナイトを砕いた。
 続けて、バックステップを終えた二人のナイトを蹴り砕く。
(速い!!)
「本物のお兄ちゃん、み〜つけった」
 ドラスは一瞬で距離を詰め、赤のボディに太陽の光を反射させた。
 右拳を音の壁を破りながら迫る。
 しかし、ナイトとドラスの間に、紫の影が割り込んだ。
 稲妻が轟いたような轟音が鳴り響く。
 響鬼が引き千切った車のドアが変形して、彼の身体を痛めつけている。
「すまん!!」
 ナイトは叫んで響鬼の背中を蹴る。同時に、取り出したカードをセットする。

 ―― FINALVENT ――

 鏡より現れた、蝙蝠を模したミラーモンスター・ダークウイングがナイトの背中に取り付き、マントへ変化する。
 ウイングランサーを下のドラスに向けたナイトは、マントに包まれ、円錐状の刃と化す。
 響鬼が離れた瞬間、青空に浮かぶ黒い円錐状の刃は、回転して唸りを上げながら、ドラスを貫かんと突進する。
 ナイトの飛翔斬がドラスを後方に吹き飛ばした。マントの変形を解くと、響鬼がベルトの音撃鼓を敵に投げ飛ばした。
 ナイトが攻撃を加えた場所に張り付いたかと思うと、ドラスを包むように巨大化する。
 響鬼が駆ける。ドラスとの距離まで後三メートル、二メートル、一メートル、零!

「豪火連舞の型!!」

 響鬼が両腕の音撃棒を振り上げ、ドオンと言う音がリズムを作り、奏でられていく。
 連続して響く太鼓の音色。太鼓は赤くなり、確実にドラスにダメージを与える。
 音の波がどんどん激しくなってくる。やがて、響鬼は力を溜めるように再び腕を天に向けた。

「ハァァァァァ、ハァッ!!」

 最後に、一際大きなドオンッ!という轟音を立て、ドラスの左肩を爆砕する。
 ドラスが後退し、響鬼が傍に並び立つ。
「一気に決めるぞ!」
「ああ!」
 響鬼に応え、ウイングランサーを構えて接近する。
 だが、ドラスが右腕をこちらに向け、嫌な予感がして右に跳ぶ。同時に、響鬼も逆に跳んでいた。
 二人がいた地点に赤い腕が飛び、地面を抉り取る。
 その威力にゾッとしていると、瓦礫が浮き上がってドラスの左肩に集まっていく。
 電撃が発生すると、瓦礫は姿を変え、ドラスの左腕となる。
 唖然としている二人に、左腕が問題なく動くのを見せ付ける。
「僕に傷をつけるって、結構やるね。お兄ちゃんたち凄いよ!」
 それはドラスの紛れもない本心だろう。子供が興奮するように、高速で拍手をする。
 金属であるドラスの身体では、硬質的な音しか奏でない。
 それが、堪らなく不快であった。
「でも、もう飽きちゃったな」
 言葉と同時に、ドラスの姿が掻き消える。
「グワッ!」
 ナイトの目に響鬼が錐揉みしながら壁に叩きつけられる様子が映る。
 そのすぐ後だ。ナイトが腹を殴られ、膝をついたのは。
 ナイトの頭が掴まれ、響鬼へと投げ飛ばされる。痛みに震える響鬼とぶつかり、瓦礫がまた生産される。
「ハンデ忘れちゃった。ごめんね。でも、楽しかったよ。バイバイ」
 ドラスの右肩に光が集中する。
 輝きは増していき、太陽かと見紛うほどの光量を作り出していた。
 ナイトの身体は動かない。響鬼も同じだ。
(恵理! 城戸!!)
 終わりが近付き、ナイトは死を覚悟した。
「ハイパーキック!!」


「ハイパーキック!!」

 ―― Rider Kick ――

 太陽より、赤い戦士が羽根を広げて怪人に蹴りを放った。
 ドラスの赤い装甲は砕かれ、破片を飛ばして吹き飛び、発射された光線がビルを砕く。
 十階建てはある建物を二、三まとめて跡形もなく吹き飛ばす威力に戦慄する。
 カニレーザーのレーザーの三倍は威力があるだろう。
 制限されているのに、凄まじい力だ。
「やったか? 天道」
 まだだ、と応える戦士は天に指を向ける。
 カブトムシの角を髣髴させる赤い角。
 銀の兜は太陽を反射させ輝いている。
 青い瞳は自分の敵を見つめ、黒いスウェットスーツには赤と銀の鎧が纏っている。
 仮面ライダーカブト・ハイパーフォーム。
 この参加者で五本指に入る強者だ。
 並び立つのは、頭に扇状の飾りをつけ、王者の風格を漂わせる戦士。
 金のラインが血脈のように全身を包み上げている。
 黒い姿に、マントを羽織る姿。
 仮面ライダーオーガ。
 ほぼ、最強といっていいタッグが駆けつけ、二人のライダーの命を救った。
「ふふふ、なかなか面白そうなお兄ちゃんが来たじゃない」
「ドラスくん。手を貸しましょうか? さすがに四対一は辛いんじゃない?」
「まだいいよ。けど、剣と銃を取ってくれるかな?」
「はい」
 冴子が投げる銃と剣を受け取るドラス。
 それを睨み、カブトとオーガは悠然と構えている。
「お前が放送を行ったヒビキと言う奴か?」
「ああ。君は?」
「天の道を行き、総てを司る男。天道総司」
「北岡よりも偉そうな奴だ」
 四人は赤い怪人と対峙し、それぞれの武器を構える。
 いや、カブトだけ、天に指を向けていた。
「行くぞッ!!」
「「「おう!!」」」
 四人は散り、それぞれの方向から攻撃を仕掛けていく。

 ―― Ready ――

 カブトの耳に聞き慣れた電子音が届く。
 光の刃がオーガの持つ柄から伸びて、ドラスの右方向から斬りかかっている。
 ドラスはオーガストランザーを怪魔稲妻剣で受け止めている。
658名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 00:28:39 ID:dObUTbtS0
 
 そのまま左手の銃でナイトと響鬼を牽制する。
 自分には肩よりレーザーを放ってきた。
「ハイパークロックアップ」

 ―― Hyper Clock Up ――

 時を支配し、レーザーの横を通り過ぎてドラスの腹に拳を一発叩き込んだ。
 鋼がぶつかり合う音が響き、痛みで痺れる拳を無視して飛び回し蹴りを四連続当てる。
 ようやくドラスの身体が浮かび上がったとき、カブトの『時間』は終わりを告げた。

 ―― Hyper Clock Over ――

 ドラスはビルに叩きつけられ、崩壊する壁の瓦礫に埋もれていく。
 その様子を見つめ、カブトは思考する。
(クロックアップよりも使える時間が短い。やはりかなり厳しく制限されているようだな)
 そう思うカブトの傍に、三人のライダーが並び立つ。それぞれ、クロックアップの能力は戦ったり、使ったりしてある程度把握している。
 この程度ではもう驚きはしない。そして、終わりでないのは四人全員が気づいている。
 油断無く見つめる仮面ライダーたちの前を、冴子が無視してドラスを助け起こす。
「なに? 冴子お姉ちゃん。僕はまだ助けを求めていないよ?」
「分かっているわ。ただ、お願いがあるの」
 冴子が妖艶に唇を蠢かし、ドラスの耳に何かを囁く。
 やがて、彼女が離れると、ドラスが肩を揺らして笑い始めた。
「ハッハッハッハ、いいアイディアだよ。冴子お姉ちゃん。分かった、任せて」
「頼んだわよ。ドラスくん」
 ドラスがゆっくりとこちらを向く。
 あれだけ攻撃をくらっても平然としているあたり、強敵なのは明白だ。
「いくよ」
 ドラスが突進し、オーガがオーガストランザーで受け止めた。
「ぐぅぅぅぅぅ!」
 オーガが力ずくで動きを止め、横から響鬼とナイトが攻撃を加えようと前進する。それに合わせて、カブトが飛翔する。
 ドラスの銃が発射され、ナイトを撃ちぬく。
「ちぇっ、弾が切れちゃった」
 銃を恐れる必要がなくなり、響鬼が加速、音撃棒を叩きつける。
 少し揺れたドラスは、剣を手放して横回転しながら響鬼を殴り飛ばす。
「オオッ!!」
 オーガがその隙を逃さず、袈裟懸けに剣を振り下ろし、ドラスの右腕を斬り飛ばした。
 オーガの頭上をカブトは飛び越え、蹴りを食らわして、そのまま停滞する。

 ―― Maximum Rider Power ――
 ―― One ――
 ―― Two ――
 ―― Three ――

 カブトは、ハイパーゼクターの角を倒してエネルギーをチャージする。
 その後、ボタンを順番に押し、最後にカブトゼクターの角を反転後元に戻した。
「ハイパーキック」

 ―― Rider Kick ――

 零距離で放たれるハイパーキック。
 稲妻に似たエネルギーがドラスを駆け巡り、よろめかせて後退させた。
 やがて、ドラスは膝をつく。初めてダメージらしいダメージを与えたことに、仮面ライダーは闘志が湧き立つ。
「ふふ」
 しかし、ドラスの余裕は崩れない。それなら、滅ぶまで攻撃を続ける。
 その場にいる仮面ライダーが思ったそのときだった。
「ガァッ!」
 オーガ、いや、金のラインの光が瞬いて、リュウガに戻った男が悲鳴をあげたのは。
 錐揉みし、地面に倒れ伏す。奪われたオーガドライバーは、赤いドラスの腕に握られている。
 そのまま右腕を装着したドラスは、オーガドライバーを冴子に渡した。
「それは……リュウガに斬り落とされた腕!」
「わざとだよ。後ろからなら、君たちでも対処しきれないでしょ?」
 オーガドライバーを受け取った冴子が妖艶に微笑む。
 その様子を目の前に、ナイトが叫んだ。
「城戸! お前……死んだはずだろ!!」
「城戸が死んだだと!? 本当か!?」
「油断するな! リュウガ、早く変身しろ!!」
「くっ! 変身!!」
 慌てて窓にカードデッキを掲げ、鏡像が重なる。
 リュウガより聞いていた、赤い龍の戦士とは対照的に、凍てつく黒の龍の戦士が鏡より顕在したのだ。
 城戸と呼んでいた人物とは似ていて、僅かに違うライダーにナイトは落胆する様子が見て取れた。
 おそらく、城戸が死んだことが強調されているのだろう。
「ふふっ、私も遊びに混ざろうかしら? いいでしょ、ドラスくん」
「冴子お姉ちゃんはしょうがないなぁ」

 ―― 0・0・0・ENTER ――
 ―― Standing By ――

「変身」
 冴子がオーガフォンを畳み、待機音を引きつれベルトに差し込む。
 眩い金のラインが冴子の身体を駆け巡り、光に満ちていく。

 ―― Complete ――

 黒い帝王のスーツが赤い宝玉を引き連れ、姿を現す。
 仮面ライダーでないオーガは、最悪最凶の敵として立ちふさがった。


 リュウガがバイザーを開け、カードをセットする。

 ―― SWORDVENT ――

 黒龍の尻尾を模した青竜刀を構えるリュウガ。
 一瞬の静寂。瓦礫が崩れた音が聞こえ、その場の六人は爆発して駆けた。

 ―― Ready ――

 オーガより精製された光の刃が横一文字に薙ぎ払われ、リュウガを斬り飛ばす。
 その横をすり抜け、響鬼が音撃棒を逆袈裟懸けにオーガに振るう。
 オーガは後退するが、すぐさまオーガストランザーを突いて、響鬼の身体を浅く抉る。
 リュウガは脇をすり抜け剣を振るうが、あっさりと受け止められる。
「どうしたの? さっきと違って、太刀筋に鋭さがないわ」
 そのまま剣を跳ね上げられ、オーガの袈裟懸け、続けて勢いそのままに回転しながら横一文字をくらった。
 よろめく自分が突き飛ばされる。光の刃を受け止める、炎の刃が視界に入る。
 響鬼はそのままオーガを蹴りで突き飛ばし、リュウガに並ぶ。
「レディを蹴るって、なかなか酷いわね」
「よく言う。おい、リュウガとやら。ボサッとするな! 死ぬぞ!!」
「分かっている!!」
 腹の底から返すと、響鬼は満足そうに頷いている。
 戦士二人の目は死んでいなかった。


(城戸は死んだ! なら、あいつはいったい……)
 ナイトは心乱れながら、ドラスの剣を捌いていた。
 しかし、驚異的な怪力で繰り出される斬撃は、そんなナイトを容赦なく斬り刻む。
「早く死になよ。騎士のお兄ちゃん」
 左手を切り離し、ナイトを押し続ける。その腕が、カブトによって跳ね飛ばされた。
 咳き込むナイトの前に、カブトが立つ。
「何があったかは知らない。だが、今は戦え。無理なら下がっていろ」
「……いや、戦う。あいつには後で聞きたいことがあるしな」
 無言でカブトは頷き、ドラスを睨む。
 倒すべきは、あいつだ。


「そろそろ決着をつけようか。冴子お姉ちゃん」
「そうねえ。私もこのベルトの力は大体把握したし」
 二人が呟き、ドラスの肩にエネルギーが集中するのが見える。
 オーガはベルトのボタンを押して、エネルギーをチャージしている。

 ―― EXCEED CHARGE ――

 仲間が息を呑むのが分かる。しかし、自分は天の道を行く。
 全員を救い、反撃する為に行動に移す。
「ハイパークロックア……」
 否、移そうとした。突如、銃声が響いて左腕が爆ぜる。
「ゴメンね。弾切れしたの……あれ嘘なんだ☆ でも、今回ので正真正銘の弾切れ」
 カブトが視界を銃声の方向に向けると、ドラスの外れた腕が落ちた銃を握っている。
 歯噛みをして、光を見つめる。間に合わない。
「ハハハハハハハハッ!!」
 不快な笑い声に、光が住宅街を支配した。


 光が晴れ、視界が戻ってくる。
 自分の身体が熱い。全身が沸騰しているのだろう。
 身体は光の刃を途中で止めている。これ以上後ろには行かせない。
 仲間は自分が作った陰に隠れて、やり過ごせただろうか?
「でももう、限界のようね。ヒビキくんが庇ったとはいえ、相応の傷は負ったのでしょう?」
 悪魔が笑いて、目の前で立ちふさがる。
 カブトは、一つの決心をする。
「俺が奴らを食い止める。お前らは逃げろ!!」
「お前にはひよりがいる。脱出の能力もある。ここに残るのは……」
「お前では逃げるだけの時間を稼げない! ここは逃げて、戦力を整えろ!!
秋山! そのベルトを矢車に渡せ! そいつはそのベルトの本来の持ち主だ!!」
 ナイトはベルトを掴み、悲しげに見つめている。
 やがて、二人の鏡像のライダーはバイザーにカードをセットする。

 ―― ADVENT ――

 モンスターを召還する電子音が重なり、蝙蝠と黒い龍のモンスターが現れ、二人は去る。
 空を追撃される恐れは少ない。その様子に安堵して、カブトは敵を睨む。
 ドラスたちは二人を追いかける様子は無い。
「お兄ちゃんは脱出できる能力を持つんだ。なるほど、そのベルトと銀色のアイテムが時間を操作しているのか」
「なら、捕まえるのかしら?」
「調子に乗るなよ」
 怒り込めた言葉。カブトは響鬼の亡骸を見つめ、敵に視線を戻す。
「お前らが光を掴むことはない。俺が、仲間が、仮面ライダーが砕いてみせる。
俺たちは、闇を切り裂き――――」
 カブトの心に浮かぶのは、麻生が叶えたがり、ヒビキも命をかけた一人の少女の言葉。
 彼が最初に出会った仮面ライダー。
「光をもたらす――――」
 自分に遺言を託したドクトルG。彼の宿敵に相応しい男たち。
 それが、世界が覚えておくべき名前。
「仮面ライダーだ!」
 三人がぶつかり、轟音が轟き、世界が震えた。



 結城は、一つの墓の前で手を合わせていた。
 公園で作られた、簡易な墓。デストロンの勇者が眠るにしては、粗末すぎるような気がした。
 だが、今はこれ以上の墓を作っている暇はない。
「結城さん、花を添えませんか?」
「そうすると、自分に似合わないと怒りそうだ。むしろ剣や斧を傍に置いておくのがいいかな」
「了解ッ!」
 光太郎は頷き、拾ってきた斧と盾を添えた。穏やかな光景である公園には似つかわしくない。死後は戦いに無縁であって欲しい。
 もっとも、当の本人が聞けば怒るだろうが。
「……ライダーマンの話は聞いています。デストロンにいたのでしょう?」
「ああ。だが俺は……」
「分かっています。あなたは正義の為に戦っている。
だからこそ聞きたい。なぜ、正義の為に戦う気になったのか。それが分かれば、俺は……」
 瞬時に、結城は理解した。自分たちを襲ったシャドームーンの話を聞いて、彼を自分のように仮面ライダーにしたいと願っているのだろう。
 やがて正直に、自分の身の上を語った。
「俺はデストロンに拾われた。V3に出会うまで、ヨロイ元帥と首領の言葉を聞くまでデストロンにもいい奴がいると思っていた。
だが、とうのデストロンは世界制服を目指す、悪の組織だった」
「結城さんの考えは間違っていませんよ」
「え?」
「ドクトルGは首輪を結城さんの為に託した。デストロンにもいい奴はいる。その通りじゃないですか。
ただ、俺たちとドクトルG。目指すものが違っただけです」
667名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 00:40:59 ID:9R+XnYE30
 
668名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 00:44:22 ID:1rIWJkVd0
>>664>>665の間抜けてるぞ

(みんな、無事か?)
 その後、視線を敵に向ける。ここは一歩も通さないと、気合を込めた視線だ。
「ヒビキッ!!」
 蓮の叫び声が聞こえる。と、いうことはちゃんと彼らを守れたということだ。
「やっとだ。やっと、俺は人助けができた……」
「おいっ! 何で俺なんかを庇った!」
「そう、悲しい事を言うなよ、秋山。お前は、俺にとっては仲間だよ。ごめんな、草加なんかと二人っきりにさせて。
俺がちゃんと気づけていたら、お前が純子さんのことに罪悪感を持たなくていいのに」
「もう喋るな!」
 ベルトを掴んで、右手を差し出す。誰かに麻生の理想を受け継いで欲しいと、万感の想いを込める。
「頼む。このベルトを、誰か……闇を切り裂く人に……」
 呟き、内心あきらと明日夢に謝る。だが絶望はしていない。
 二人を守る、闇を切り裂き、光をもたらす戦士はきっといるから。


 それっきり、響鬼は喋らなくなった。
 だが、彼は死んでも立ったままだった。変身を解かなかった。手を広げたままだった。
 仲間を守るため、彼は鬼らしい最期を迎えて消えていく。
 彼の望み、『人助け』を叶えた姿は、まさに彼の職業に相応しかった。


「ヒビキ……」
「ボサッとするな。退け!」
 カブトが叱咤する。敵は肩をすくめて現れた。
「まだ生きているなんて、しぶといね」
 結城は呆気にとられ、光太郎を見つめる。
 やがて、ふっと力を抜く。
(まさか南に諭されるとはな。いや、南だからこそ、本質を掴んでいるのかもしれない)
 多少失礼な考えが浮かんだ結城は、内心で光太郎に謝りながら、墓を見つめる。
 ドクトルGは自分たちを……いや、デストロンに役に立つ自分を守るため、あの場で一人残り、戦い散っていった。
(俺はあなたを誤解していたようだ。立場は違えど、あなたもまた信念の元に戦っていた。
俺は、あなたに報いることができない。だから、そっちに逝ったら好きなだけ切り刻んでくれ)
 やがて、デストロンの勇者の墓を後にする。ここでグズグズしては逆に叱咤されるだろう。
 光太郎も並び、歩く。
「……結城さん。俺があなたの事情を聞いたのはシャドームーン……いえ、信彦の為だけじゃないんです。
カイザ……草加さんを仮面ライダーに戻せないか考えていたんです」
「草加を?」
「はい。彼も元は真理さんに期待されていた仮面ライダー。そして、彼の時間軸では真理さんは彼と交際をしていた。
彼もまた、クライシスの犠牲者なんです。どうにか、仮面ライダーに戻せないでしょうか?」
「……難しいな。復讐心って言うのは、時間でしか解決しないんだ。俺と風見は幸いにも立ち直るきっかけがあった。
彼が立ち直るきっかけを掴めるか、俺には分からない」
「なら、俺が草加さんを立ち直らせるきっかけになります。仮面ライダーを悪の道に引き込む、クライシスの野望を打ち砕く為に!」
 力強く宣言する光太郎を結城は眩しそうに見つめる。
 何もかもクライシスの所為にするのは悪い癖だが、その熱さは誰も真似できない。
 燃え上がる光太郎に水を差すほど結城は無粋でない為、今は黙る。
 落ち着いたころにゆっくりと諭せば言い。問題は、光太郎が落ち着く機会が持てるかだ。
 結城が難しい問題だと思案していると、
「さて、城戸くんを探しに……」
『結城さん、応答してください!!』
 トランシーバーBから切羽詰った矢車の声が聞こえてきた。
 ただ事ではないと、光太郎と顔を見つめ合わせる。
「何が起きた?」
『天道が、敵に捕まってしまった!!』
 一瞬、時間が止まったような錯覚が結城を襲った。
 光太郎も同じだろう。目を見開き、大口を開けている。
『城戸真司の行方も分かった。一刻も早く戻ってくれ!』
 その言葉を聞き、二人は駆け出す。
 空は不穏な雲が覆っていた。



 剣崎の記憶が刺激される喫茶店に、神代剣はいた。
 『Jacaranda』。剣崎と始の思い出の場所であり、始が人と触れ合った場所。
 そこに、ワームである剣は、身体を休めていた。
 白い燕尾服には血が滲み、身体は青痣が覗いている。
 茶髪の下の視線は厳しい。彼に休む時間は無いからだ。
 一刻も早く優勝し、理想の世界を創る。もっとも、休めねばその願いが叶わない為、素直に休息をとる。
 ワームであるこの身体は徐々に傷を癒していく。
 剣崎の記憶では、ここで始と栗原親子は過ごしていた。
 あの、剣崎と始の別れの日まで。
 もう二度と、その日は来させはしない。
 全てを無かったことにするため、みんなが幸せに暮らせる世界を創るため、剣は決意を新たに立ち上がる。
 万全とまではいかないが、戦えるまでは回復している。
 急がねばならない。始が手を汚すかもしれない。
 ドアを開け、外を出ようとして剣は後ろを振り返る。

「「行ってきます」」

 その声に、一人の英雄が重なって聞こえた。

 剣が道を進む。猥雑にビルが立ち並び、空気が汚れている印象を受けた。
 車は存在していないのにである。それほど、自己嫌悪が激しいのだろう。
(そういえば、まだカ・ガーミンの墓を作っていなかった)
 剣はその事実を思い出し、人を探すついでに自分が親友を殺したところへ向かう。
 やがて、立ち並ぶビル群の一つに駆け込む男たちの姿が見えた。
 身体を隠し、聞き耳を立てる。どうやら、多くの人間がここに集まっているらしい。
 サソードヤイバーを取り出し、静かに様子を伺う。
(クロックアップで突入し、二、三人殺してもう一度クロックアップを使って逃げる。
……俺も随分、人の道を外れたようだ。天道に言わせれば、俺は天の道に背いたってところか)
 剣は自嘲し、柄を握る手に力を込める。
 今更戻れはしない。殺すために、ただ機会を待ち続けた。



「矢車さん! 先程の言葉は……」
「聞いたとおりだ」
 矢車が歯噛みする姿が眼に入り、光太郎は膝を崩す。
 肩は怒りに震え、眉間は無数の皺を刻んだ。
「そんな……」
 結城が呟き、壁を殴りつける。乾いた音が虚しく響いた。
 ボロボロのリュウガと蓮も、悔しげに俯いている。
 和やかだった室内は、通夜のような雰囲気に包まれていた。
 それも当然だ。天道は脱出の要である。彼がいなければ、首輪を解除できたとしても、ここから抜け出す手段が無い。
 矢車は、その事実と天道でさえ勝てない敵の存在に絶望していた。
 氷川は自身も悲しみながら、ひよりを気遣う。ひよりは身体を震わせている。
 リュウガはそんなひよりを見つめ、視線を逸らした。天道を守れなかったことを悔いているのだろう。
 蓮は、腕にある銀のベルトをひたすら見つめていた。
 そんな中、小沢は毅然と立ち、皆を睨みつけた。
「なによ! 情けない!! 大の男が揃いも揃って、辛気臭い顔をしない!!」
「今がどういった状況か……」
「分かっているから言っているのよ! 大体南くん、いつものクライシスの仕業だ!のあなたはどうしたわけ!
こんな状況なら、奪い返す!!ぐらい言いなさいよ!!」
 ポカンとする光太郎を尻目に、小沢は視線をリュウガに向けた。
「あなたも、この事を悔しがっているなら全力で奪い返しなさい。
まだ、私は信じていないけれど、あなたを信じた人に報いるチャンスよ! 頑張りなさい!!」
 続けて、氷川に向けると、彼は頷いた。さすが付き合いが長いだけはある。
 こちらの言いたい事を理解したらしい。小沢は身体ごと結城に向き、視線に力を込める。
「奪い返すわよ。気合を入れなさい!!」
「分かっている。俺たちは、捕らわれた天道くんを救いに行くぞ!!」
 蓮を除いて皆の心が一つになり、天道を助ける決意の雄たけびを上げようとした時だった。
 白い影が、ドアを乱暴に開いて、結城の襟を掴んだのは。

「どういうことだ! 天道が、捕まったというのは!?」
 白い燕尾服に血を滲ませた若い男。
 その男と因縁があるのか、蓮が声をかけた。

「神代剣!!」

 先程の無気力な姿を蓮は吹き飛ばし、敵意に満ちた視線を向けている。
 しかし、小沢の目には剣が蓮にすら気づく様子が見えなかった。
「聞いたままだ。天道くんは負けて、ドラスという化け物に捕まった。俺たちは、彼を助けるために策を練る」
 ゆっくりと、驚愕の表情を浮かべたまま剣は手を離す。
 やがて、怒りの表情を浮かべ、踵を返した。
「おい! どこに行く気だ!!」
「秋山蓮。お前とは後で決着をつける。だが天道を助けてからだ」
「お前は優勝するつもりじゃなかったのか?」
「もちろんそのつもりだ。勝ち残り、全てを無かったことにする。
だが、俺を倒した天道が負けたなど信じられん! そして、奴が俺以外の者に負けるなど許さん!
助けて、天道が身体を癒した後一騎打ちを申し込む。それが、昔の俺の望みを叶えた男に対する礼だ!!」
「ふざけるなよ。そう簡単に、ここを通すと思うか?」
「なら、力ずくで向かうまでだ」
 蓮と剣に一瞬即発の空気が流れる。だが、それも長くは持たなかった。
 呆れる小沢の前を、リュウガが横切る。
「お前たち、天道を助けるのに手を貸してくれるのか?」
「城戸ッ! お前は俺が殺したはずだぞ!」
「なんですって!!」
 小沢の頭が怒りで沸騰する。なんだかんだ言いながら、この男は城戸を殺したのだ。
 余りの自分勝手さに、反吐が出そうになる。
 怒りに震えながら、糾弾しようとする小沢をリュウガが制した。
「小沢、今は落ち着け。俺は城戸の影、リュウガ。神崎と同じ存在だ」
「……なるほどな。オーディンとやらと一緒で、神崎の手先か」
「今は違う。そして、俺は天道を助けたい。俺たちが戦った相手は強すぎる。
一人でも力が欲しい。頼む、今だけでいいから、俺に力を貸してくれ! 秋山、神代!!」
 いい終わり、リュウガは土下座をする。
 小沢は呆気にとられた。そこまでするとは思ってもいなかったのだ。
 やがて、ひよりがリュウガに並ぶ。
「僕からもお願いする。あいつは、天道は世界でたった一人のお兄ちゃんなんだ。
樹花ちゃんを悲しませたくないし、何よりもう加賀美のような奴を増やすのは嫌なんだ!
だから、お願い。僕に、力を貸してください」
 男女二人、ただ一人の人間を救いたいため、頭を下げる。
 この場にいる全員は息を呑み、成り行きを見守っていた。
 やがて、剣は小沢の目の前を横切り、二人に近付き、膝を折る。
「顔を上げてくれ。ひより、リュウガ。天道は俺の好敵手。助けるのは当たり前だ。
だが、一つ言わせてもらう。俺は、親友のカ・ガーミンを殺している。そしてこの身体はワームという化け物なんだ」
 ひよりが顔を上げ、剣を見つめる。リュウガが心配そうにしているが、ひよりは無言だった。
 小沢が驚くほど、剣がひよりを見つめる眼は優しい。城戸を殺したなど、信じられないほどに。
「そんな俺なんかに、頭を下げるんじゃない。共に戦ってくれと頼むんじゃない。
姉をも殺した俺にはそんな資格はない。だから、今から一人で助けに行く。お前たちは待っていろ」
「僕もお前と一緒だ」
「……そこまで自分を卑下するんじゃない。お前は、天道の妹なんだぞ」
「違う。僕も、ワームなんだ……」
 呟き、ひよりの姿が一瞬変わる。それを認めた剣は驚き、すぐに表情を引き締め彼女の肩に手を置いた。
「やはり、君はワームではない」
「……え?」
「そんな可憐な妖精が、ワームであるはずがない。醜い化け物は、俺だけのようだ」
 告げると、彼は立ち上がり、出口に向かう。彼の言葉と共に見えた表情は、小沢の知る氷川や仮面ライダーたちの姿と重なってしまった。
 城戸を殺した張本人であるのに。
「少し、待ってもらえないか?」
「矢車、先程も言った通り……」
「手を、組もう。神代剣」
 その場で驚愕の声が上がる。小沢は比較的冷静に矢車を観察したが、彼は正気だ。
 そして、小沢も歯噛みしながら、矢車の提案に乗らざる得ない状況だと理解する。
「俺たちは天道を助けたい。君はその上、優勝したい。そこにいる秋山くんも優勝をしたい。
なら、ドラスという怪人は現状では一番の壁だ。一時的に同盟を組もう。
期限は、天道を救い、ドラスを倒すまで。利害の一致なら、お互い気兼ねもしないで済むだろう?」
「いいだろう」
 即座に乗ったのは、秋山蓮。彼は銀のベルトを矢車に向けながら近付く。
「あの怪人は邪魔だ。リュウガとやらに聞きたいことは終わってないし、神代を逃がす気もない。一度だけ、手を組んでやる。
これはその証拠だ。お前に渡す。天道とやらが言うには、お前がキックホッパーの本来の持ち主らしい」
 蓮の行動に安堵が広がり、矢車は驚愕の表情を浮かべている。
 小沢や、氷川にキックホッパーの戦いの顛末を聞いているのだ。闇を切り裂く救世主の狼煙となった男。
 その彼と、同じ力を持つべき人間と言われ戸惑うのも無理はない。
 矢車はフッと力を抜いて、受け取る。その顔には、キックホッパーの名に恥じないよう根性を入れる男の顔だ。
 その様子を満足気に見て、小沢は頷いた。
 蓮は手を貸してくれる。皆の視線は剣に注がれた。
「……いいだろう。天道は俺が救う。そして、秋山の決闘を受けねばならぬ立場だ。
今だけ、俺でよければ力を貸そう」
 やがて、どこかの企業の会議室に笑顔が広がる。
「反撃開始よ! みんな、気合を入れなさい!!」
 雄たけびが答えとして返ってくる。皆の士気は落ちていない。
 早速、全員は会議を始めた。



 声にならない悲鳴が、研究所の一室であがった。
 肌を鋼色に戻したドラスが、ベルトとハイパーゼクターを興味深げに見つめている。
 続けて、天道へと視線を移した。かつて、望月博士に施した拘束処置と同じ方法を、彼にとっている。
 機械の束に取り込まれ、研究所の壁と一体化したような天道総司。これも、ZOを取り込み、得た能力の結果だ。
「それにしても、ドラスくん。あなた強くなったわね。このベルトの力も凄まじいけど、あなたに勝てる気がしないわ」
「そのことについては、一つ推論があるんだ」
「あら、何かしら?」
 天道をドラスが持っていた剣で突き刺して、拷問を行っていた冴子が手を一旦休める。
 傷口に突き刺した剣先を回転させ、抉られた痕が天道には無数にあった。
 その様子に苦笑しながら、ドラスは麻生の首輪を冴子に見せた。
「お兄ちゃんの首輪、異物として出されたでしょ? つまり、僕は『制限が解かれたZO』をエネルギーにしているんだ。
供給される巨大なエネルギーのおかげで、首輪の制限装置が誤作動を起こして、僕の制限がだいぶ緩んでいるんだ。
再生能力は特に強く制限されていたんだけどさ、今ではほら、左腕を短時間で作り上げるほどまでになっている」
「と、言うことは、首輪をつけている限りここではあなたは最強というわけね?」
「飲み込みが早くて助かるよ。ここさえ抑えていれば首輪の制限を解除して、僕に対抗できる奴が出てくるのを抑えれる。
他にも研究施設があるかもしれないけど、それは今から阻止してくるよ」
 言いながら、ドラスは拡声器を手に階段を上る。
 冴子が天道のへそに剣を突き刺して、傷口を抉っている様子が見えた。
「眠くなる。……もっと、気合を入れろ」
「ふふっ、あなたは楽しませてくれるわね」
 その言葉を背に、ドラスは階段を踏み続ける。
 やがて、赤茶色に錆びたドアが見え、蹴り飛ばす。
 風が吹き抜け、ドラスの触角を揺らした。
「あーあー、マイクテスト中。みんな聞こえてるー!?」
 その音が園田真理と同様、全エリアに届いているだろう事を確認して、満足気に頷く。
「さぁて、天道総司のお仲間さん。彼はまだ生きているよ。
助けて欲しかったら、科学者一人と交換ね。何で僕が科学者を欲しがっているかって?
答えは簡単。首輪を外して究極生命体に進化するためさ!!
この条件に乗るよね? だって天道は脱出できる能力と、アイテムを持っているんだもん。
僕もここから脱出したいからなるべくは殺したくないんだけど、次の放送まで何もなかったら殺しておくから覚悟してね。
そうそう、何で僕がこの拡声器を使っているか、不思議な参加者がいるかもしれないけどね、まず謝っておくよ。
ごめんね。これ使ったお姉ちゃんの死体、僕たちが灰にしちゃった♪
怒ったんなら来てもいいよ。僕に勝てないだろうけどね。それじゃ、またね〜」
 いい終わり、ドラスは拡声器を投げ捨てた。スキップでもしたい気分に彼は駆られている。
「実にお兄ちゃんの身体が馴染んでテンションが上がっちゃうよ。おかげで余計なことも言っちゃったかな?
でもま、これが最高に『ハイ!』っていう奴か。ハハハハハハハハハハハハハハハハハーーーー!!」
 愉快で堪らないと言うように、ドラスは身体を揺る。
 もし彼の表情があれば、虫を嬲り殺す子供の表情が浮かんでいただろう。
 傍から見れば不気味な笑い声を、ドラスはあげ続けた。
 しかし、一瞬だけ左肩の傷口が火花を散らした。
 響鬼が音撃を行った箇所である。清めを乗せた音が、傷の治りを遅くしているのである。
 だが、ドラスは気づかない。彼は慢心しているからだ。

 それがどうなるか、まだ分からない。



 草加は手錠の鍵穴に、ヘアピンをねじ込み、どうにかこじ開けれないかを試し続けている。
 ドアに動きはない。今がチャンスだ。
(大体、鍵をかけただけで安心するなんて、甘いんだよ。なにやらトラブルが起きているらしいが、これは逃げるチャンスだ)
 カイザドライバーを奪い取るには光太郎あたりを騙さねばなるまいが、ひとまず置いておき、今は拘束を解くのに全力を注ぐ。
 やがて、カチリと、小さい音が鍵穴から聞こえてきた。
(よし、もう少しだ)
 彼がこの集団を陥れる算段を始めたころ、三度拡声器を通した声が聞こえてきた。
 最初は、天道が捕まったという情報にほくそ笑み、手の動きが軽快になった。
 だが、続けてもたらされた言葉は、草加の思考を停止させた。

『ごめんね。これ使ったお姉ちゃんの死体、僕たちが灰にしちゃった♪』

 獣の唸り声のようなものが、草加の口から漏れる。低すぎる唸り声は、本人の耳にしか届かない。
(真理の……真理の身体を……灰にしただと?)
 ゆっくりと、ドラスの言葉が草加の胸に染み渡る。
 彼の大切な女。今はいない彼女。自分が蘇らせる事を誓った彼女。
 その彼女の、神聖な身体を放送の主は弄んだ。
(許せない。許せるはずがない! お前、いい度胸だな。
真理の身体を弄んだこと、後悔させながら殺してやるッ!)
 彼の口の端からは、奥歯を噛み締め続けた結果、血が流れ落ちる。
 眉間の皺は無数に刻まれ、怒気を宿し、険を厳しくする。
 見開ききった眼球に、爛々とした狂気が満ちている。
 今の草加の表情を見たものがいれば、こういっただろう。
 『修羅』。冥府魔道に生き、世界の闇に落ちたる者。
 草加雅人は、復讐の対象を見つけた。



 拡声器より通された声を聞いた一同は、それぞれ怒りを示す。
「タイムリミットは次の放送まで。迅速に完全作戦を纏め上げるぞ。いいな!」
 矢車は皆が頷くのを確認し、作戦を練るのを再開する。
 話は、各支給品の配分だ。広げられた支給品を、効率よく使える人物に配分する。
 ラウズアブゾーバーとラウズカードは剣に与えた。
 この殺し合いに乗った人物を強化するのは躊躇ったが、蓮とリュウガの話に聞いた怪人は強い。
 擬態した剣崎という人物の能力もあり、彼は今一番の戦力だ。
 GX−05ケルベロスは氷川に渡す。
 ガトリング弾を発射できるこの武器なら、ガッタクの力になれる。
 それに、これはもともと彼の装備だった。これ以上の適任はいない。
 ディスクアニマルは使える人物が分からない為、暫定的に小沢に渡す。
 使い方が分かれば、聡明な彼女の力になるはずだ。
 そして、キックホッパーのベルトとゼクトマイザーは自分が持つ。
 ベルトを受け取った瞬間、即座にホッパーゼクターが現れ、自分の足元で瞳を瞬かせていた。
 これで、自分も戦力になる。
 あとは、装備が揃ったカイザのベルト。詳細が分かるまで、このベルトは置いておくしかないだろう。
 そう思い、机においてあるカイザのベルトに視線を向けていると、誰かの手が伸びた。
 矢車が視線を手に追いかけると……
「草加雅人ッ!?」
 全員が視線を向ける。氷川や自分などは、ゼクターを構える。
 迂闊だった。天道が捕まったという知らせは矢車を含む、このメンバーにとって大きな衝撃だったのだ。
 見張りを用意しておくべきだったと、臍を噛む。
 その自分たちの様子を草加が確認し、ベルトを肩にかけ、こちらに声をかけてきた。
「あの放送の主を殺す算段だろ? 俺も一枚噛ませろ」
「どういうつもり?」
 小沢の言葉に、草加がゆっくりと視線を向けた。
 矢車は彼女の前に立ち、庇うように身構える。
「この声の主は、真理を汚した!? 一分一秒でも長く存在させたくない!
だが、そこにいる秋山の様子を見ると、一人では勝てない相手らしい。なら、俺はあいつを殺すため、お前たちを利用する。
代わりに、今は俺を利用しろ。真理の仇をとるまでは、手を組んでやる」
 勝手な言い草に矢車は呆れてしまう。しかし、草加の瞳は真剣そのものだ。
 それほどまでに、この放送の主が憎いのだろうか?
 答えあぐねているメンバーの中、動く人物がいた。
「分かりました、草加さん。ともに戦いましょう」
「本気か! 南くん。こいつは、君を騙して、我々を襲ったんだぞ!?」
「分かっています。ですが、草加さんの真理さんへの気持ちは本物です。それを、俺は信用します。
もし、草加さんが裏切り、ドラスに協力するようであれば、俺が責任を取ります」
「俺は南の案に賛成だ。とりあえず、一時的に協力をしよう。草加雅人」
 光太郎の意見に結城が同意する。そこまで言われると、矢車は何もいえない。
 他のみんなも、自分と同じ意見らしく、腑に落ちない顔で草加を見つめている。
 やがて、草加が前に一歩出た。
「ドラスという怪人の能力を教えろ。組んでいる奴もな。負けるのだけは、許さん」
 草加の発言を合図に、会議が再開される。
 その中で草加は、一つ一つの意見の検討、却下及び採用を理論的に組み立てていった。
 草加の作戦立案能力の高さに驚き、矢車は彼が殺し合いに乗ってしまったのを残念に思ってしまった。
(それにしても、ボードという組織はワームの組織ではなかった。
ただの、他の世界の仮面ライダーを支援する組織。それだけか)
 剣を見つめ、矢車はそう思考する。自分の考えは外れだった。
(まあいいさ。何が正しいか、何が間違っているか、完全調和で見極めながら、進もう)
 そして、矢車は一つ提案した。



 連中と話し合い、草加は必死にドラスを殺す方法を思案していた。
 あっさりとこちらの要求を呑んだのは意外だが、光太郎が原因なら、彼が行った『仕込み』が役に立ったのだろう。
 だが、今はそんなことはどうでもいい。
 ドラスという化け物を一分、一秒でも早く殺す。
 真理を生き返らせる上でも邪魔になるため、それが、今の草加の願いだ。
 装備が全て揃ったカイザドライバーを見つめる。
 カイザショットでなく、ファイズショットであったことが少し気に入らないが、どうせ色が違うだけだ。
 グランインパクトを放つには問題はあるまい。
 ファイズアクセルも持つが、これは少しいらないと思った。
 だが、放送を聞きつけた乾が来れば別だ。
 あの馬鹿を騙して、自分に協力させる。
 利用するものは何でも利用する。草加はその決意を胸に、復讐へと走り続けた。



 草加を見つめ、蓮はため息を吐いた。
(まさか、こいつともう一度組むことになるとはな)
 正直、今度会えば殺しあうかないと考えていた。
 だが、奴にも自分以外に大切な存在がいたらしい。
 園田真理、丘で起きた出来事と、二回目の放送の内容を聞いた蓮は、彼女の事を凄いと素直に尊敬できる。
 そんな城戸と代わらないお人好しを、一番大切だと宣言する草加を意外に思う。
 もっと、他人など信用せず、誰も愛さないのが奴には似合っていると思ったからだ。
 草加の建設的な作戦を聞きながら、彼は自分を庇った一人の男を思い出す。
(ヒビキ、礼は言わない。だが、仇はとる。それくらいいだろ? 城戸)
 心の中で親友とヒビキに声をかける。
 彼もまた、ドラスに復讐を誓ったのだ。



 草加が一時的とはいえ、自分たちの仲間になってくれることに、光太郎は喜んでいた。
(クライシス、仮面ライダーを闇に引き込もうとしても無駄だぞ!
草加さんは、絶対仮面ライダーに戻す! そして、天道さんを助ける。
クライシスの怪人、ドラスめ! このRXが成敗してくれる!!)
 太陽の子は、戦いを決意する。
 クライシスの野望を阻止する為に。
 もう二度と、自分と信彦の悲劇を繰り返さない為に。



 ガタックゼクターが、自分の主に凶悪な顎を向けている。
 そうはさせないと、サソードゼクターは剣の肩に乗り移る。
「構わない。ガタックゼクターは怒る権利がある」
 剣の言葉を無視し、ガタックゼクターを牽制する。
 そういうのは予想していた。だが、退くわけにはいかない。
 剣は悲しみの中、罪を背負いながらも全員を助ける道を選んだのだ。
 その願い、自分が理解しなければ誰が理解できるのであろう。
「ガタックゼクター、思うところはあると思うけど、今は退いてください」
 新たなガタックの資格者、氷川の肩にガタックゼクターが止まる。
 瞳を瞬かせ、お互いに牽制しあう。
「……なぜ、あなたは加賀美さんを殺したのですか?」
「親友だからこそ、俺の手で殺した。優勝せねばならないからな」
「だったらあなたの願いは何なんですか?
その身体を、人に戻すことですか?」
「俺の願いは、ワームの存在を消すこと。そして、この殺し合いも含めて全てを無かったことにする。それだけだ」
「そんなこと……」
「叶える! どんな手を使ってでもな」
「あなたの願いを叶えたら、あなたは……」
「消えてしまうな。だが、それがどうした? 俺は神代剣に代わって剣を振るうワーム。
だから、彼の親友を殺しても心を痛めない。それだけだ」
「違う。あなたは苦しんでいる」
「そうだよ。加賀美を殺したって、僕に言ったとき、お前はとても苦しそうな顔をしていた。
悲しんでいないって、嘘をつくな」
「優しいのだな、お前たちは。カ・ガーミンにも負けない。
氷川が第二のガタックに選ばれた理由が分かった。お前は、カ・ガーミンに似ている」
 悲しい笑顔を浮かべる主人を、サソードゼクターが見つめる。
 この殺し合いで彼は磨耗しすぎている。
 だからこそ、自分が全力で力にならねばならない。
 かつて、自分はこの手で主を殺した。それが、剣の望みだったからだ。
 全てのワームを殺す。その願いを叶えるために。
 じいやと、岬と、自分の涙を飲み込んで、パーフェクトゼクターへエネルギーを供給した。
 だから、今も彼の望みを叶える剣となる。
 それが、たった一つの約束だから。
「神代さん。一つ約束をしてください」
「何だ?」
「この戦い、天道さんを助けたら、僕と決闘をすると。あなたを、僕が仮面ライダーに戻して見せます!」
「いいだろう。天道、秋山が先だが、その決闘を受けよう」
 氷川が真剣に主を見つめ、主もまた微笑み返した。
 サソードゼクターは、少し氷川が主を仮面ライダーに戻すのを、期待した。
 同時に、戻さないようにも願った。
 主が仮面ライダーに戻るのは、願いを諦めたときだ。
 それは、主にとって残酷すぎる。
 サソードゼクターは、ただ主の傍に仕えるだけだった。



(城戸真司が死んだのか)
 リュウガは一つの事実を受け止め、冷静な自分を意外に思った。
(もう、俺は奴と一つになることに意味を見出せなくなっているのか。
まあ、今は天道を救い出すことからだ。その後で、城戸の死んだ場所へ行ってみるのもいいな)
 そして、彼は剣と、氷川、ひよりの三人を見つめた。
(天道は絶対救う。この感情、俺は知りたいが、それよりもひよりを悲しませたくない。
だから、無事でいろよ。天道!)
 黒龍は天を仰ぎ、表情を引き締める。
 ただ、仲間の無事を祈る姿があっただけだった。



(まったく、大変なことになったわね)
 小沢は、周りの面子を見ながら内心呟いた。
 殺し合いに乗った者と、脱出を目指す者。それらがたった一つの目的に邁進している。
 もちろん、何らかのきっかけがあれば、崩れてしまう危うさがある。
 それに自分が気をつけなければならない。
(城戸くん、この場にあなたがいて欲しかった)
 彼はもういない。しかし、彼の分まで戦い抜かねばならない。
 それが、一番彼に報いる答えだと思うから。
(リュウガだの神代だのドロドロしたのは後回し!
今は、天道くんを救うわよ。小沢澄子、今が根性の見せどき。踏ん張りなさいッ!!)
 彼女また、戦う者だった。



(天道くんを救う)
 風見のときは間に合わなかった。今度だけは、遅れるわけにはいかない。
 脱出の能力を持っているということもあるが、彼はこの殺し合いで出会った、初めての仮面ライダー。
 そして、ドクトルGが遺言を託した男。
 彼と、ドクトルGに報いる為にも、彼を殺されるのを見過ごすわけには行かない。
 結城はその頭脳をフル稼働させ、作戦を練り続ける。
 彼の仮面ライダーとしての戦いは、今始まったばかりだ。


 ZOを吸収したドラス。
 この脅威の赤い怪人に、脱出をかけた決戦が繰り広げられようとしていた。
 戦いは、クライマックスへと向かう。

【日高仁志 死亡】
残り29人
【ドラス@仮面ライダーZO】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:仮面ライダーZOとの戦闘で敗北し死亡した直後
[状態]:軽傷。左肩に音撃傷(本人は気づいていない)。最高に『ハイ!』って気分。二時間戦闘不可?
[装備]:怪魔稲妻剣
[道具]:首輪(麻生勝)。配給品一式×4(ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道)。
    ラウズカード(ダイヤの4、8。クラブの7。ハートの3、4、7。スペードの4)。
    ハイパーゼクター。ベルト(カブト)
[思考・状況]
1:第三回放送まで天道の仲間を待つ。
2:望月博士なしで神になる方法を考える。
3:首輪を外しこの世界を脱出する。
4:首輪の解除のため、冴子を利用する。
5:他の参加者は殺す。ただし、冴子には興味あり。
6:可能ならこの戦いに関する情報を得る。
[備考]
※1:ドラスの首輪は胴体内部のネオ生命体本体に巻かれています。(盗聴機能は生きています)
※2:ドラスはドクトルG、ヨロイ元帥、ジェネラルシャドウ、マシーン大元帥の情報を得ました。
※3:麻生は首輪が外れたため、死亡扱いになりましたが、ドラスの中で生きています。
ただし、ドラスが死ぬと麻生も死にます。
※4:赤ドラス化は能力発揮中のみ使用可能です。通常時は普通のドラスに戻ってしまいます。
※5:GM-01改4式(弾切れ)と拡声器はD-6エリアに放置されています。
※6:制限が緩められ、戦闘時間、戦闘不能時間に影響があるかもしれません。
687名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 01:31:44 ID:593sreMEO
ヒビキさん死んじゃった…ドラス、マジでうぜぇな。
まぁとにかく乙です。
最後は天道に神崎を一発ぶん殴って欲しいな。
同じ妹好きとして。
688名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 01:35:24 ID:dObUTbtS0
 
【影山冴子@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:本編最終話あたり
[状態]:肩にかなりの深さの裂傷。2時間は変身不可。
[装備]:オーガドライバー(オーガストランザー付属)
[道具]:首輪(園田真理)。アドベントカード(SEAL)。配給品一式。
[思考・状況]
1:生への執着。ドラスくんなら、自分の望みを叶えてくれる?
2:ドラスくんとの取引にのり、首輪の解除方法を探す。
3:あきらと巧に復讐。
4:ドラスくん、ご機嫌ね。
5:天道を拷問して時間を潰す

【天道総司@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:ハイパーゼクター入手後。
[状態]:拘束状態(ZO本編の望月博士と似たような状態)。全身に拷問の痕。重症。二時間変身不可。
[装備]:なし。
[道具]:なし。
[思考・状況]
1:この拘束状態から脱出する。
2:ドラスたちを倒す。
3:乾、あきらをはじめ、皆の守りたい人との合流。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:8話 ザビー資格者
[状態]:傷はだいぶ癒えてきた 。全て応急処置済み。
[装備]:ライダーブレス(ザビーゼクター破壊)、
[道具]:ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル。ゼクトマイザー。四人分のデイバック(佐伯、純子、草加、矢車)
    マイザーボマー(ザビー、ホッパー)
[思考・状況]
1:天道を救い、ドラスを倒す。
2:仲間を集めてパーフェクトハーモニーで脱出!
3:戦闘力の確保。カイザドライバーに興味。
4:リュウガに僅かに不信感。
[備考]
※1:矢車はBOARDに対する誤解が解かれました。
※2:クライシスと神崎士郎が利害の一致で手を組んでいる可能性が高いと考えています。
※3:ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷。応急処置済み。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:天道を助けたい。
2:シャドームーンはどうしているだろう?
3:加賀美の死に深い悲しみ。
[備考]
※1:第二回放送の情報を得ました。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【神代剣@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:スコルピオワームとして死んだ後。
[状態]:中程度の負傷。始への憤り。
[装備]:サソードヤイバー。剣崎の装備一式。
[道具]:陰陽環(使い方は不明)。
    ラウズカード(スペードのA、2、3、5、6、9、10。ダイヤの7、9、J。クラブの8、9)
[思考・状況]
1:天道を救い、傷が癒えたところで決闘を申し込む。ドラスは倒す。
2:始と再会し、手を汚す前に自分の手で殺す。
3:この戦いに勝ち残り、ワームの存在を無かったことにすることで贖罪を行う。
4:さらに、自分以外が幸せになれる世界を創る。
5:秋山蓮といずれ決着をつける。
6:氷川の決闘の申し出を受ける。
[備考]神代は食パンを「パンに良く似た食べ物」だと思ってます。
※1:剣崎と神代剣両方の姿に切り替えることができます。剣崎の記憶にある人物と遭遇しそうなら、剣崎の姿に切り替えるつもりです。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【草加雅人@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:ファイズ終盤。
[状態]:背中に切り傷。胸に強度の打撲。参加者全員への強い憎悪。ドラスに特に強い憎悪。
[装備]:カイザドライバー(カイザブレイガン、ファイズショット、カイザポインター)
[道具]:なし
[思考・状況]
1:このメンバーを利用して、ドラスに復讐。
2:ゲームの参加者の皆殺し。
3:馬鹿を騙し、手駒にする。
[備考]
※1:珠純子の死を秋山蓮に擦りつけようと考えています。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:劇場版登場時期。龍騎との一騎打ちで敗れた後。
[状態]:中程度の負傷。特に背中。応急処置済み。天道を救えなかった後悔。2時間変身不能。
[装備]:リュウガのカードデッキ。コンファインベント。
[道具]:なし
[思考・状況]
1:天道を救い、ひよりを安心させる。ドラスは倒す。
2:自分の今の感情の名を知りたい。
3:ひよりと天道を守るために戦う。
4:神崎に反抗。
5:城戸の死んだ現場に行きたい。
[備考]
※1:ドラグブラッカーの腹部には斬鬼の雷電斬震の傷があります。
※2:第二回放送の情報を得ました。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後。
[状態]:中度の負傷。深い悲しみ。2時間変身不能。
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:配給品一式。
[思考・状況]
1:ドラスを倒し、ヒビキの仇をとる。
2:戦いを続ける。
3:神代を逃がしはしない。
4:リュウガに話しがある。
[備考]
※1:第二回放送の情報を得ました。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
696名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 01:55:34 ID:8Z/ze58KO
赤ドラスの強化がこうも有利に働くとは思わなかった
697名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 01:58:05 ID:ldpG6mSA0
ちっと展開急ぎすぎ&説明的な文が目立つと感じた
698名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 01:58:15 ID:PQpYlrFiO
蝶乙

大集団は崩壊する…
このジンクスはとりあえず無かったな
共通の敵を倒す
何とも燃えるシチュエーションじゃないか
699名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 02:01:18 ID:dObUTbtS0
【氷川誠@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:中程度の負傷。応急処置済み。
[装備]:拳銃(弾一つ消費)。手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず、手錠はF-4のビル内に放置)。
    ガタックゼクター&ベルト。GX−05ケルベロス(但し、GX弾は消費)
[道具]:但し書きが書かれた名簿。デザートイーグル.357Magnum(4/9+1) 。
    デイバック五人分(氷川、ひより、リュウガ、岬、明日夢) 。
[思考・状況]
1:天道を助け、ひよりを安心させる。ドラスを倒す。
2:リュウガを信頼。
3:木野薫、津上翔一との合流。
4:此処から脱出する。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:G3-X完成辺り。
[状態]:多少の打撲と火傷。相変わらず沈着冷静。
[装備]:精巧に出来たモデルガン。
[道具]:壊れたザビーゼクター。ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
[思考・状況]
1:天道を救い、ドラスを倒す。
2:城戸を救えなかった後悔。
3:首輪の解析(道具と仕組みさえ分かれば分解出来ると考えています)
4:ザビーゼクターを修理する(パーツと設備、時間さえあればザビーゼクターを修理可能だと考えています)
5:津上翔一と合流する。
6:リュウガに僅かに不信感。神代に怒り。
[備考]
※1:クライシスと神崎士郎が手を組んでいる可能性は低いと考えています。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:第1話、RXへのパワーアップ直後】
[状態]:健康。
[装備]:リボルケイン
[道具]:カラオケマイク(電池切れ)
[思考・状況]
1:天道を救い、ドラスを倒す。
2:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す。
3:シャドームーンを捜す。
4:草加を始め、闇に落ちた仮面ライダーを救う。
[備考]
※1:黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※2:ガタックゼクターへの誤解は解けました。
※3:ドラスをクライシスの怪人だと思っています。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
【結城丈二@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地F-4】
[時間軸]:仮面ライダーBLACLRX終了後。
[状態]:中度の負傷。応急処置済み。ドクトルGに罪悪感。
[装備]:カセットアーム
[道具]:トランシーバー×3(現在地から3エリア分まで相互通信可能)、名簿を除くディパックの中身一式
[思考・状況]
1:天道を救い、ドラスを倒す。
2:首輪の解析。首輪の解析のための施設を探す。
3:死んだらドクトルGに謝りたい。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。


[その他共通事項]
HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません。
HONDA XR250は市街地D-6に放置されています。
703 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/07(木) 03:15:19 ID:dObUTbtS0
>>627
GJ!
始、死に打ち勝てたようで何より。
同時にジョーカーということで盲目になっていたのが、本来の自分を取り戻しそうになっているのもwktk

>>630
GJ!
長文お疲れ様です。
導入部から誰か死人が出そうだなと思ってましたが、まさか響鬼さんとは。。。
戦いも結果的にはドラス組みの強化で響鬼勢はとことん報われないなと。
ただ、ライダー、マーダー入り乱れてのチームの結成は非常に熱くなれました。

個人的には南と結城とのやりとりが好き。
南光太郎はステルスに騙されても、結果的に騙されてないことになりそう。

ではでは、私も投下いたします。
704悪魔の剣 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/07(木) 03:16:01 ID:dObUTbtS0
 ジェネラルシャドウは城茂と別れた後、遺跡に残り、ストロンガーとの決戦に向け、自分の能力の探求を開始した。
 まずは戦闘可能時間と戦闘不可時間の確認。
 能力を最大限に発揮できるのは10分間。この10分間の間は普段の自分の実力とあまり相違はない。
 ただし、この10分が過ぎると、2時間ほとんどの技が使用できなくなってしまう。
 瞬間移動『トランプフェイド』や分身技『シャドウ分身』は使えなくなってしまうわけだ。
 それでもシャドウ剣や、トランプそのものに仕込みがある技『トランプカッター』『トランプパンチ』『トランプショット』は使うことが可能だ。
 これはジェネラルシャドウが他の参加者と比べて有利な点と言えよう。 
 しかし、道具を使う肉体に制限が掛かっている以上、普段通りのキレは望めない。
(生き残るためには、自分の肉体に依存しない道具が必要ということか)
 次にジェネラルシャドウが確認したのは首輪だ。
 首輪について分かっていることは力を抑制することを除き3つ。
 無理矢理外すと爆発する。
 禁止エリアに入ると爆発する。
 神崎士郎が気に入らなければ爆発する。
 ただし、これらについては最初の1点を除いて、実際に確認したわけではない。ディパックの中にあったメモに書いてあっただけだ。
(最も、確認する術がないことも確かだがな)
705悪魔の剣 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/07(木) 03:16:52 ID:dObUTbtS0
 そして、ストロンガーと戦う上で解明しなければいけない問題。

『同じ手は食わない』

 トランプとシャドウ分身の合わせ技。切り札のひとつであるそれをストロンガーはあっさりと打破した。
 切り札と位置づけているだけあって、この技を知るものは皆無。
 そもそも仮に誰かから聞いたとしたら、同じ手は食わないという言葉は出てこない。
 真剣勝負の最中のストロンガーの言葉だ。ハッタリということも考えにくい。
 そのままの言葉の意味で取るなら、以前に受けているということだが、ジェネラルシャドウには覚えがない。
(ストロンガーの言葉の意味は分からんな。情報が少なすぎる。……誰かに接触するべきかも知れんな)
 考え事を続けるジェネラルシャドウ。そのとき、定時放送の間の抜けたチャイムの音が鳴る。
(風見志郎は死んだか)
 自分の片腕である蛇女の仇であり、ストロンガーの先輩ライダー。
 戦闘中に突如響いた轟音を聞いてから、明らかにストロンガーは戦いを急いだ。
 状況から推察するに、あの轟音はV3が起こしたものであることは、ジェネラルシャドウには容易に想像することができる。
(仲間と恩師に続いて、先輩の死。ストロンガーめ、また奇械人になろうと馬鹿なことを考えなければいいが……?……俺は何を心配している?) 
 蛇女の仇が死んだことより、ストロンガーを心配していることに、ジェネラルシャドウは苦笑し、思考を次へと移した。

『さあて、今から皆さんがお待ちかねの、禁止エリアの発表を行いまーす。
 一時に市街地G5エリア。三時に遺跡F2エリア。五時に採掘場D10エリアです。』

 禁止エリア。
 今し方、追加された3つに、既に設定された3つ。この禁止エリアに何の意味があるのか?
706悪魔の剣 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/07(木) 03:17:58 ID:dObUTbtS0
 単純に考えれば、殺し合いを促進するため。
 逃げ場を奪い、他者と出会う確率を上げる。誰かが隠れていれば、それをあぶり出し、行動しないという選択肢を消す。
 恐らく市街地という位置から考えてG5エリアには何人か戦わないものが集っていたのだろう。
 他のエリアも同じ理由。最初の放送ではそう思っていた。
 しかし、今回の放送でその認識は少し変化した。

『そうそう、五時に禁止エリアになるD10エリアに便利な乗り物が放置されています。』

 参加者が集っているなら、便利な乗り物は放置されたままにはなっていないだろう。
 つまり、D10エリアを禁止エリアにした意図は殺し合いに便利なものを餌に参加者を集めることだ。
 制限が掛かっている今では、道具の有無は、戦いの明暗を分けかねない。
 その重要性に気付く者は確実に集まってくるはずだ。
 では、そうなると残る遺跡F2エリアの意図は何なのか?
 誰かが集っているのか?何か道具があるのか?ただの数合わせか?
(……すぐ近くだ。鬼が出るか蛇が出るか。行ってみるとするか)
 禁止エリアの意味を知ることは今後、行動する上での指針となる。
 そう考えたジェネラルシャドウはF2エリアを目指した。
 F3エリアから、G3、G2エリアと回り、1時間ほど経った頃、F2エリアへと辿り着く。
「ふむ、特に変わったようなところは……」
 その時、ジェネラルシャドウの足元からカチリと音がする。
 見ると、床の一部分はジェネラルシャドウの重みにより沈んでいた
(トラップか!)
 たちまち、ジェネラルシャドウが歩く通路の壁が迫ってくる。
 ジェネラルシャドウは潰されてはたまらんと、前へと駆け出した。
 徐々に迫ってくる壁。曲がり角まであと少し。
 そのとき、また足元で何かがへこむ感触がする。
 前方の壁に穴が開く。そこから放たれる2本の矢。
(ふん、くだらん)
 だが、ジェネラルシャドウは慌てず、懐から取り出した2枚のカードで、矢を撃墜する。
 それくらいの芸当は能力を使わずとも造作もない。
707悪魔の剣 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/07(木) 03:18:54 ID:dObUTbtS0
 ジェネラルシャドウは壁に潰されるより早く、曲がり角を曲がった。
 ズンという音を立て、完全に通路を閉ざす壁。
 ジェネラルシャドウは戻れなくなったかと嘆息するが、その壁はしばらくすると元の位置へと戻っていった。
(ふむ)
 通路を戻り、ジェネラルシャドウは矢が発射させる仕掛けを押す。だが、その罠は作動しなかった。
(なるほど、壁が迫ってくることが前提で作動する罠か。罠とは、人を行かせたくない方向に仕掛けるもの。この先には何かある)
 道沿いに歩みを進めていく。罠を発動させないように慎重に。
 そのおかげか、罠が発動することはなく、歩みは順調だった。
 曲がり角は幾度かあったが、途中に分岐点はなく、基本的に一本道だった。
 そこでジェネラルシャドウはあることに気付く。
(どうやら、俺はこの遺跡の中心部に向かっているらしいな)
 曲がり角は全て右、しかも通路の距離は徐々に短くなってくる。その道が描くのは螺旋。
(恐らくたどり着くのはこの遺跡の頂上。……どうやら見えてきたようだ)
 恐らく最後になるであろう角を曲がり、少し進むと行き止まりに行き着いた。だが、そこには何かあるようには見えない。
(単なる数合わせだったのか?)

――ミシリ

 嫌な音がした。地面を見ると自分を中心に広がっていく多数のヒビ。
(しまった!)
 目的地に辿り着いた嬉しさと、何もなかった虚しさ。そのふたつが重なり、ジェネラルシャドウを油断へと導いた。
 急いで逃げ出そうとするが、踏み出した足が、床を踏み貫く。
 それが止めだった。ジェネラルシャドウの重みに耐えられなくなった床は一瞬にして崩壊した。
 当然、ジェネラルシャドウはそこから真っ逆さまに落下していく。
708悪魔の剣\444:2007/06/07(木) 06:39:18 ID:dObUTbtS0
(まずい、能力の制限がどうのと気にしている場合ではない)
 能力を使う決心をしたジェネラルシャドウはまず四方へとカードを投げる。
 一瞬の静寂の後、壁にぶつかる音が右手からした。
(しめた!近い)
 身体を右方向へと逸らし、素早くシャドウ剣を抜くと、壁があるであろう方向へと突き刺した。
「ヌォォォォォォ!」
 シャドウ剣を刺し込み、固定しようと力を込める。
 壁を上から下へと抉っていくシャドウ剣。摩擦が生まれ、煙が立ち昇る。
 崩れ落ちた床の破片が見えるほど、あとわずかで床に叩き付けられそうになるところで、ようやくジェネラルシャドウの身体は止まった。
(危ないところだった。戦いもせず、死亡など洒落にもならん)
 ジェネラルシャドウは床を確認する。特にトラップらしきものは見当たらない。
(だが、シャドウ剣はあきらめるしかあるまい)
 しっかりと壁に突き刺さった剣は、宙に浮いた状態ではとても取れない。
 愛剣に別れを告げ、ジェネラルシャドウは手を放し、下へと降りた。
 降りた場所にはしっかりとした地面と瓦礫たち。そして、いずこかへと通じる洞穴。
(怪しいな。だが、どのみち、道はひとつしかない。進むしかあるまい)
 ジェネラルシャドウは洞穴へと入る。するとそこには妙なものが浮いていた。
 直径30cmほどの、白い布のような形をした幽鬼たち。見ると、こちらを観察しているようにも見える。
 しかし、ジェネラルシャドウは魔人の国からやって来た改造魔人。幽鬼など恐れるに足りない。
 気にも止めず、スタスタと進んでいく。そんなジェネラルシャドウの姿に呆れたのか、幽鬼は少しずつ、数を減らしていき、ついには0になった。
 その瞬間、ジェネラルシャドウを炎が襲った。いずこからか発生した炎はたちまちジェネラルシャドウを覆い、燃やし尽くそうとする。
(ぬぅ、熱い。早く脱出しなければ、焼け死んでしまう)
 急ぎ、ジェネラルシャドウは出口を探す。その炎の中に、ジェネラルシャドウは見た。眩き剣の姿を。
 黄金と宝石があしらわれた鞘に、鞘と同様に黄金の柄を持ち、Sを模した鍔が付いた剣。
 その剣の美しさに、ジェネラルシャドウは一瞬にして、心を奪われた。
709悪魔の剣\444:2007/06/07(木) 06:40:46 ID:dObUTbtS0
 同時にその剣を欲する欲求が、思いっきり振って開けた炭酸飲料のように溢れてくる。
 だが、その剣のある場所は、今の炎が灯火に感じられるくらい、炎が渦巻いていた。
(シャドウ剣を失った今、あの剣は是非とも欲しい。しかし、剣を取ろうとすれば、大火傷は免れない。……決断しなければなるまい)
 死を恐れず武器を取るか、生を取るため撤退するか。ふたつにひとつ。
 炎に巻かれながらのわずかな熟考。ジェネラルシャドウは決断すると歩みを始めた。
 掲げられた剣のある方向へと。
(シャドウ剣を失った今、俺が生き残るためには新たな武器が必要だ。それにあの剣はどうしようもなく、俺の心を惹きつける!)
 激しくなる炎、じりじりと燃えていく体。だが、ジェネラルシャドウは歩みを止めなかった。
 それほどまでにその剣は、ジェネラルシャドウの心を強く、強く、惹きつけた。
「負けん!負けんぞ!」
 マントが燃え尽き、白きタイツが焦げて黒く染まった。顔を包む、透明のマスクは上昇した体温により、曇っている。
 だが、身体の痛みにも負けず、ジェネラルシャドウはその剣を手にする。
「フハハハハッ、手にいれたぞ!!!」
 歓喜のあまり、つい大声を上げる。自分のキャラではないと理解していながらも、あまりの嬉しさに笑いが止まらない。
 ジェネラルシャドウは早速、剣を抜く。刀身は血のように禍々しい赤さとルビーのように美しき光を放っていた。
「ウォォォォォォ」
 力を込め、それを炎に向けて振るう。剣から放たれた強力な衝撃波があれほど自分を苦しめていた炎を一気に吹き飛ばす。
710悪魔の剣\444:2007/06/07(木) 06:41:38 ID:dObUTbtS0
「凄まじい威力だ。次は……」 
 続いて、ジェネラルシャドウが狙ったのは壁。剣に手を添え、力を込める。すると、剣は赤き光を放ち始める。
 その溜めた力を壁に向って打ち出すように振る。
 たちまち赤き閃光は壁に向かい進んでいき、壁を一瞬にして破壊し、大穴を開けた。
「フッ、フッ、フッ、ハーハハハッ。すばらしい力だ。これさえあればどんな奴が来ようとも恐れるに足らん。例えジョーカーといえどもな!」
 ジェネラルシャドウは破壊された壁から遺跡を脱出した。目指すは市街地。狙いはジョーカーだ。
 いや、剣の力さえ試せれば誰でもいいというのがジェネラルシャドウの本音だった。
 ジェネラルシャドウは完璧にその剣に魅入られていた。自分の主義も、重くのしかかる制限も、今は見えない。ただ、その剣を使いたいがために走った。
 ジェネラルシャドウが魅入られたその剣の名前は、創生王の剣――サタンサーベルという。


【ジェネラルシャドウ@仮面ライダーストロンガー】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:遺跡F-2】
[時間軸]:37話前後
[状態]:多少の打撲と大火傷。但し、それも気にならないほど気分はハイ。2時間戦闘不能。
[装備]:サタンサーベル、トランプ内蔵ベルト
[道具]:ラウズカード(ハートの10、J、Q、K)
[思考・状況]
1:誰でもいいから戦う。
2:ジョーカーを倒す。
3:明日、ストロンガーと決着をつける。
4:ストロンガーの言葉(同じ手は食わない)に疑問。情報収集のため、他の参加者に接触する。
5:スペードのA、クラブの8が暗示するものを探す。
※シャドウ剣はF2エリアの壁に刺さっています。
711 ◆E1yyNEjdEc :2007/06/07(木) 06:43:03 ID:dObUTbtS0
投下終了。
誤字、脱字、修正箇所、感想がありましたらよろしくお願いします。
トリップモロバレorz
712名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 10:05:20 ID:8Z/ze58KO
>この10分間の間は普段の自分の実力とあまり相違はない。
打撃力の低いファイズでさえ制限で攻撃力が下がっているのでここをなおして下さい
713名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 10:54:53 ID:sTibMoAQ0
みなさん乙です。
>687 きっと天道や光太郎が仇をとってくれるさ。仮面ライダーは負けないんだから。
   よく考えてみたら天道も、神埼も「妹」を守るために戦ってるんだよな。
   そこら辺も対比も終盤にかけてあったら面白いかも。
714名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 13:02:57 ID:BAwvNF6kO
GJ!
ジェネラルシャドウが黙々と考察を続けている…。案外重要人物にのし上がるかもしれん。
サタンサーベルも手に入れたことだし、こっから是非とも本領発揮と言って貰いたいもんだ。
715名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 17:57:35 ID:qb/ax9QO0
ジェネラルシャドウ自体は見たこともないしあまり知らないが
ロワでのこいつは結構好きなんで、ビルゲニアの二の舞にならないように
祈ってるぜ。
716名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 19:52:00 ID:X0wJr1D/0
>>711
GJ! ジェネラルシャドウの考察、及びサタンサーベルゲット面白かったです。
剣に魅入られているあたりいろいろヤバイ匂いもプンプンしますが。

では、君、死ニタモウコトナカレの代理投下行きます。
717君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:52:51 ID:X0wJr1D/0
「ただいま。」
夢を見ていた。
神崎という男が開く、殺し合いの舞台。
俺は50数名の中の一人。
そして本来あってはならない存在、ジョーカー。
皮肉にも俺はその戦いの場でもジョーカーであったらしい。
傷つき、殺し、そして剣崎と戦った。
不可解な事が沢山あったが、猛烈に嫌悪感が胸を締め付けるような一筋の光も差し込まないような雰囲気。
何から何まで不吉な夢だった。
リアリティがあり、夢だと思わせないような緊迫感。
そして何より、天音ちゃんが人質に取られていたのだ。
神崎という男は狡猾で、約束を素直に守るとは思えない胡散臭さがあった。
あんな殺し合いを主催するような男が約束など守る筈が無い。

だが俺には抗う術が無かった。
ジョーカーとして戦い、そして再度長い眠りに着く。
殺し合いの優勝者は剣崎。
あいつを優勝させる。
絶望の殺戮ゲームは、そうして幕を降ろす筈だったのだ。
だが、夢というのは案外上手くいかないらしい。
早々に剣崎は死に、一筋縄ではいかない連中が勢揃い。
故にジョーカーとしての役目を全うするのも一苦労だ。

幾重もの戦いを繰り返し、やがて心身共に傷ついた俺は目を覚ます。

長い夢を見ていた。

++

気が付くと湖の畔に立っていた。
疲れていたのだろうか、立ったまま眠ってしまっていたのかもしれない。
718君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:53:35 ID:X0wJr1D/0
「…俺らしくも無い。」
何とも間抜けである。自分でも信じられない程、無防備であった。
小さく独り言を漏らしながら湖に目をやる。
太陽の光に照らされ、キラキラと輝く水面。
それはアンデッドである始の心にも響いた。
首に掛けられていたカメラを手に取りファインダー越しに再度湖を見据える。
カシャッ。
シャッターを切り、僅かな微笑みを浮かべると其の場に腰を降ろした。
「良い写真が撮れた。天音ちゃんに見せてあげよう。」
カメラの勉強を始めたばかりの自分に、どれだけこの風景を鮮明に写し出すことが出来るだろうか?
まだまだ未熟だが、カメラの勉強は新鮮で楽しかった。
アンデッドであり、人外である自分ですら心を奪われる。
不思議な感覚だった。
天音ちゃんや遥さん、そして剣崎。
みんなとぎこちないながら紡いで行く絆は、確かに存在するように思える。
それは人間として生きていきたいと、思える程に。
――そろそろ帰るか。
機材や荷物を纏めて身支度を整える。
不吉な夢を見たせいか、何故だか早く天音ちゃんと遥さんの顔を見たくなった。
あれは夢だ。
そう思っている筈なのに、何故だか胸が騒ぐ。
――早く帰って写真を見せてあげよう。
バイクに跨り、ハカランダへと走らせた。

++

ハカランダはいつもの通りだった。
719君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:54:29 ID:X0wJr1D/0
客の車は無かったが、元気な天音ちゃんの声が外に居ても聞こえてくる。
思わず表情が緩んだ。
「ただいま。」
意気揚々と玄関を潜り、眼に飛び込んできたものは異様なものであった。
確かに天音ちゃんと遥さんは居た。
遥かさんは夕食の準備に勤しんでいるらしく、台所で料理に精を出していた。
天音ちゃんはテーブルの上で宿題をやっているようだ。
至って普通の栗原家の光景である。
…二人とも首の上が存在していないという事を除いて。
俺の声に気付いたらしく、二人は俺の方を向いた。
首から上が存在していないのだ。
その光景は違和感を通り越して強烈な程に不気味だった。
「あ、お帰り!始さん!」
嬉しいのだろうか。此方へ駆けてくる天音ちゃん。
近くに来れば来る程、この状態がいかに不気味かが分かった。
首の切れ目、ここには一滴の血も付着していない。
それどころか首の切れ目には吸い込まれそうな程の漆黒が広がっていた。
化け物としか形容しようが無い。
本来なら切断されたなら肉や血が付着し、嫌な話だが生々しい状態になっている筈なのだ。
だが、これはまるで素から存在していないようだ。
そこにはドス黒い虚無の空間が広がっていた。

抱きつかれ、顔を見上げているらしい。
すぐ間近に首無しの天音ちゃんが居る。
強烈な吐き気が俺を襲っていた。
720君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:55:57 ID:X0wJr1D/0
「――あ、天音ちゃん…?」
「なぁに?始さん、どうかしたの?」
いつもの天音ちゃんだ。
やがて奥から遥かさんが顔を出す。
――いや、今の状態で表すなら身体を出す、と言った方が正しいかもしれない。
「ごめんなさいね?天音ったら、始さんが帰ってくるのずっと待ってのよ。」
口ぶりからするに、いつもの遥さんだ。
「良いの!始さんだって私のこと好きだもんね?」
今にも胃の中の物が溢れ出そうとしている。
気味が悪い。狂っていた。
――何なんだ、この世界は…!?
「私のこと好きだよね?」
「そ、それは…。」
「わたしのことすきだよね?」
「あ、ああ…。勿論…。」
俺は一言言うだけで精一杯だった。
ともすれば口から飛び出しかねない胃液と、恐怖心を抑えるのに必死だったからだ。
「わた こと す だ ね」
「…!」
「そ だね はじ さ 」
「あらあら、あまねったら。そんなにはじめさんのことがすきなのね。」
「――ッ!!」
壊れた人形のように途切れ途切れの言葉を話し、俺にしがみ付く天音ちゃんを突き飛ばした。
思いっきり床に叩き付けられた天音ちゃんの身体が歪に歪む。
背中、腕、足、あらぬ方向に曲がりビクビクと痙攣していた。
「は じ さ   」
「おこらないでね、はじめさん。あまねははじめさんのことがすきなだけなのよ。」
首が無い遥さんが、台所にあった包丁を手に持った。
ゆっくりとこちらへ近づいてくる。
俺は恐怖心と威圧感に、ただただ後ろへ後ずさることしか出来なかった。
しかし無限に出来るかと思われた交替も、何かに阻まれてしまう。
――壁…いや、いまや人間とは言えない醜い姿へと変貌してしまった天音ちゃんに、足を掴まれてしまったのだ。
721君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:57:01 ID:X0wJr1D/0
「どこ  の じめさ 」
まるで出来の悪いB級ホラー映画のように、あるいは壊れた人形のように。
あちらこちらが折れ曲がり、最早化け物染みてしまった姿。
恐怖心からだろうか、思わず蹴り上げてしまった。
「ぎゃああああああああああ!!」
断末魔の悲鳴が木霊した。
やがて、天音ちゃんはピクリとも動かなくなった。
瞬間的に反応してしまったのだが、直ぐに我に帰る。
「お、俺は…!お、お、おおおおお」
言葉が上手く話せない。
謝りたいのに、何故だ。
「ごごごごめ」
722君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:57:56 ID:X0wJr1D/0
舌が回らない。
頭がフラフラする。
ぼやけていく視界の中で、遥さんの持っている包丁が胸を貫くのが分かった。
しかし、感触、痛みすら感じない。
何かがおかしかった。
「ははははっはるるるかああさ」
「人殺し。」
思考が闇に飲まれていく。
遥さんが「人殺し」といったことだけ理解出来た。
そして、身体を滅多刺しにされている。
胸、頭、腕、足…刺される度に血飛沫が舞い、遥さんの衣服を濡らす。
どれだけ刺されたかは分からないが、最早何も感じなくなっていた。
「「人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し」」
「――――」
地面に倒れていた筈の天音ちゃんも「人殺し」と呪詛のように呟いた。
何の事か思い出せない。
一体俺は何者で、どんな名前であったかも。
「――――」
「お前はもう死ね。」
しにたい。
しなせてくれ。
――もうたくさんだ。
ああ、死とはこんなにも冷たいものなのか。
消えていく思考の中で思った。
723君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:58:43 ID:X0wJr1D/0
「お父さんを返してよ。」
「――返しなさいよッ!!」
俺が殺したのか。
幸せな家庭をを俺が奪った。
何を言われても、何をされても仕方が無い。
お れ  ――。
「「  」」

「――」

―――――。

――――。

―――。

――。

++

「相川始。」
誰かが俺を呼んでいた。
そう、俺の名前は相川始。
「苦しいか?」
当然だ。
「ならばお前を救ってやる。」
どうやって。
「簡単な事だ。」
――?
堕ちて行った闇の中、男の声が響き渡る。
この声には聞き覚えがあった。
確か…。
724君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 19:59:44 ID:X0wJr1D/0
「神崎…士郎…。」何も無い空間の中、崩壊していく自我と世界。
夢の中で現れた男が、何故。
まさかこれも貴様の差し金だと言うのか。
冗談じゃない。
あんな夢はもう沢山だ。
ただでさえ、思い返したくも無い現実に直面したのだ。
もう誰も俺に関わるな。
――俺に触れるなッ!!
「始さん。」
「――!!」
目の前には天音ちゃんが立っていた。
五体満足で。
本当に、何処も変わりようが無い。
「天音ちゃん…。」
圧倒的安堵。
そうか、あれも夢だったのだ。
あんな事が現実にあっては溜まったものではない。
「しゃ、写真撮って来たんだ。綺麗な湖があって…。」
「どうしてくれるの?始さん。」
「…何を言っているんだい…?」
悲しい表情を受かべる天音ちゃんを見つめる。
何かあったのだろうか。
異様な雰囲気は直ぐに察知できた。
どうにも嫌な予感が拭えない。
「お前のせいだ、相川始。」
神崎が口を挟んだ。
俺のせい?どういうことなのか。
身に覚えが無かった。
「お前がジョーカーとしての役目をロクに果たせない為に…。」
「何だと…?」
それは夢の話だろう。
確かに俺はアンデッドのジョーカーだ。
725君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 20:01:57 ID:X0wJr1D/0
だがそれと神崎は関係無い。
無論、俺は今の生活を少なからず気に入っていた。
他のアンデッドから見たら、さぞ憎たらしく見えただろう。
天音ちゃんや剣崎と居ると時を俺は心地よく思っていたのは事実。
弁解のしようも無いが。
だがそれを神崎、貴様に言われる筋合いは無い。
胸の中を不快感が占める。
「貴様には関係無い。それとも貴様が統制者だと言うのか?」「そうだ。」
即答。
何を当たり前の事を、当然と言うように返す。
相変わらず神経を逆撫でするのが上手い。
「笑えない冗談だ。」
「忘れたのか?貴様はこのバトルロワイアルのジョーカーだろう。」
「バトル…ロワイアル…?」
聞き覚えがあった。
妙に胸がざわつく。
バトルロワイアル、そしてジョーカー。

神崎士郎。

全てを悟った。
生まれながらにして戦いの宿命を背負った存在。
忘れる筈も無い。
「そうか…俺は…。」
「始さん、私のこと助けてくれるんだよね?」
ふと傍らに居た天音ちゃんが口を開いた。
とても、悲しい顔をして。
「勿論だよ。必ず助け出して見せる。」
その言葉に偽りは無い。
心からの本心だ。
「嘘吐き。」
だが尚も悲しい顔で、天音ちゃんは言った。
726君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 20:03:20 ID:X0wJr1D/0
一歩一歩こちらへ近づいて来る。
「嘘なんかじゃない!俺は…!」
俺は決めたのだ、天音ちゃんを守ると。
その覚悟は確かなものだ。
強がりでも誤魔化しでも無い。
「貴様が不甲斐無いせいだ。まともな戦果も上げられずに、必ず助け出して見せるだと?笑わせるてくれるな。」
「不甲斐無い…だと?」
この男に言われるのは腹が立つが、実に覚えはあった。
正規の参加者では無い俺は、戦いを円滑に進める為のジョーカー。
言わば神崎の切り札なのだ。
なのにも関わらず、未だに殺したのは一人だけ。
満足に勝つ事すら出来ていない。
自分としても納得の出来るものでは無いだろう。
心の中にはいつだって、やり切れぬ思いが燻っていた。
「成る程な。つまり殺しの催促に来たという訳か?」
「…。」
神崎は答えない。
「貴様らしい姑息な手だ。」
苛立ちを払拭せんと吐き捨てるように言い放った。
それでも神崎は何も言わず、ドス黒く濁った瞳を此方へ向ける。
いい加減にして欲しいものだ。
「…俺はこのバトルファイトを勝ち抜いて見せる。余計な真似は許さんぞ、神崎。」
剣崎を優勝させる、というのが本心だが今は伏せておく。
「もう遅い。」
「何?」
「栗原天音は殺した。貴様はもう用無しだ。」
笑えない冗談だ。
天音ちゃんなら横に居る筈。
この男のこういうところに一々苛々させられる。
「始さん…私死んじゃったんだよ?どうしてくれるの…?」
727君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 20:04:05 ID:X0wJr1D/0
「天音ちゃんまで何を…。」
声のする方を向く。
そこにあった光景に、俺は眼を疑った。
血まみれの姿。
肉は削げ落ち、目玉は抉れ、手や足が欠けている。
地を這う姿は先ほど見た、夢のようだった。
「助けてくれるって言ったのに…。」
血を滴らせ、生々しい音を立てながら此方へ這って来る。
悪夢はまだ終わってなかったようだ。
俺が不甲斐ないばかりに天音ちゃんを殺してしまった。
こんな生霊ような姿にさせてしまった。
何がジョーカーだ、何が必ず助け出して見せるだ…。

気が付けば俺の身体も傷だらけであった事に気が付く。
途端に力が抜け、地面に倒れこんだ。
呼吸するのも辛い。
指先一つ動かすだけでも全身に痛みが走る。
出来るならこのまま眠ってしまいたいぐらいだ。
「始さんも一緒に逝こう…?」
天音ちゃんが俺に寄り添い、そう囁いた。
甘美なまでの誘い。
天音ちゃんと共に逝けるなら…全てを投げ出してしまっても構わない。
そう思いながら意識が深い闇の中へ落ちていく。

もう何も考えたくない。
もう、疲れた。

瞳を閉じて、死に抗う事を止める。
ゆっくりと俺の心身を安楽が蝕んでいった。
「(剣崎…すまん…。)」
死に行く中、思うは友の姿。
朧げな意識の片隅で微笑む剣崎は、いつもと変わらぬままであった。
728君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 20:04:56 ID:X0wJr1D/0
++

「始。」
そうか、ここがあの世か。
どうやら三途の川を越えたらしい。
剣崎の声が聞こえるなんてどうかしている。
それとも幻聴か?
「始にはこれで良いのか?諦めて良いのか?」
…幻聴ではない。
俺の胸の中に語りかけてくる声は剣崎そのもの。
そして何より、俺が諦めかけた時に力をくれるのはいつだって…奴だった。
「剣…崎…。」
姿見えぬ友に語りかける。
眼を凝らせば、そこに剣崎が居るようだ。
温かな気持ちが俺を包む。
「運命に負けるな、始。必ず…必ず天音ちゃんを救い出すんだ。」
「剣崎!」
「約束だぞ。」
剣崎の意思が消えた。
そうだ、俺は何を弱気になっているんだ。
俺は誓った筈だ、天音ちゃんを救って見せると。
このゲームに打ち勝つと。
俺がこんなザマでは剣崎に会わせる顔が無い。
また、助けられたな。

胸に残っていた妙な不快感、そして違和感。
全てのピースが嵌った感覚。
理解した。
「俺は負けない。自分の幻影にすら勝てずに何が救い出すだ。」
俺は…
729君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 20:05:48 ID:X0wJr1D/0
「運命に負けないッ!!」

長い長い悪夢は幕を閉じた。
そして、相川始は目を覚ます。
不屈の信念と共に。

++

「……。」
見渡す限りの青空。
眩しい。
「ぐッ…。」
先程の夢と同様、身体の節々が痛む。
自分でも理解できる程の絶対的な負傷。
緑色の血もあふれ出し、地面に血溜まりを作っていた。
少し気を抜けば意識を持っていかれてしまいそうな朧気な意識。
死に誘われるのも無理は無い。
ここで息絶える事となろうと、それは仕方の無い事である。
誰の目から見ても明らかであった。
だが、彼には戦わねばならない理由がある。
決して投げ出す事の出来無い信念。
友との誓い。
彼を突き動かすには大きな理由だった。
悪夢は振り払った。
――天音ちゃん、必ず迎えに行くよ。
「這ってでも…俺は戦う…!」
自分が泥に塗れる事も厭わず、男は進む。

ジョーカー、アンデッド。
そんな事は今の彼には関係無い
ただ戦士として、親友として。
果たさねばならぬ誓いを果たそうとしていた。
730君、死ニタモウコトナカレ ◇naAqV94LaU氏の代理:2007/06/07(木) 20:06:34 ID:X0wJr1D/0


――君、死ニタモウコトナカレ。


【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:正午】
【現在地:市街地F-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:死ぬ一歩手前。胸部に抉れ。腹部に切傷。
[装備]:ラウズカード(ハートのA、2、5、6)
[道具]:未確認。首輪探知機(レーダー)
[思考・状況]
1:天音ちゃんを救う。
1:剣崎を優勝させる。
3:ジェネラルシャドウを含め、このバトルファイトに参加している全員を殺す。
[備考]
※相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。
731名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 20:09:57 ID:X0wJr1D/0
代理投下終了。
やって思ったのは、◆naAqV94LaU氏のタイトルといい内容といい静かな雰囲気がしてすきだなと思いました。
前も言ったとおりホラー要素も多くて好みですし。

あと◆E1yyNEjdEc氏、早く新トリを!
ばれたトリ使うと色々不都合が。。

スレ容量が485KB
早い……例によってスレ立てができませんorz
だれか、代わりに新スレをお願いします。
732名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 21:07:30 ID:EjYC62ku0
おおおおお
投下ラッシュ皆さん乙です!
一気に物語が……ドラスかっこいいよドラス、しかもサタンサーベルっておいシャドウ!

次スレが俺も立てられないorz
733 ◆naAqV94LaU :2007/06/07(木) 21:15:00 ID:BAwvNF6kO
代理投下有り難うございました。いつ覗いても人大杉で…勘弁して欲しいものですorz

タイトルに関しては
始→天音
剣崎→始
私w→始
という思いを込めて名付けました。今までのタイトルの中では一番気に入ってるかもしれません。

私も頑張ってこのスレの繁栄に尽力したいと思います。
死者名鑑の方も宜しくです。
734名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 21:52:26 ID:kd5DwBlo0
735名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 22:04:01 ID:TCU685vbO
>>733
次回も期待しています。
736名無しより愛をこめて:2007/06/07(木) 22:51:42 ID:X0wJr1D/0
仮面ライダーバトルロワイアル Part5
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1181223834/

新スレ立てれました!!
以降このスレは埋めますか。
737名無しより愛をこめて:2007/06/08(金) 00:06:23 ID:a2uMTmKU0
>君、死ニタモウコトナカレ

GJでしたが、ホラーテイストなので、途中まで本気で怖かったです。
あと、「遥香」さんが、「遥」になっています…
738名無しより愛をこめて:2007/06/08(金) 11:40:33 ID:gZ+U9TEp0
こんにちは。キャラ紹介書きの者です。
リアルで忙しくてここしばらく読めなかったのだが…
執筆陣の皆様乙&GJ!!
盛り上がってきたなあ…一時的とはいえ草加が味方なのがすげえ頼もしいww
サタンサーベルVSズバーンを剣視点で、とかも出来そうですね。
今後の展開が楽しみでしょうがない。皆さん無理しない程度にがんばってくれ!!

キャラ紹介、後はひより、矢車、リュウガで生きてる平成組は終わりです。
がんばるよ!!
死亡済みキャラとか初期に書いた為かなりテキトー感のある草加、加賀美の修正版とかは
必要ないかな?
執筆陣諸氏のリクに従います。ご意見をヨロシク。
739 ◆4wyf44BgsE :2007/06/08(金) 12:56:17 ID:mrnuCSzZO
>>738
いつも楽しく読ませてもらっています。
そして、とても参考になります。
死亡済みキャラも、お願いしてよろしいですか?

740 ◆naAqV94LaU :2007/06/08(金) 17:37:35 ID:E2C5RDCWO
指摘有り難うございます。完全に勘違いしてましたorz
申し訳有りませんが「遥」を「遥香」に修正してお読み下さい。

>紹介職人氏
個人的にはキャラ図鑑みたいな感じで死亡者の紹介もお願いしたいです。
私個人の趣味で言えば、剣崎と佐野を是非…!
741名無しより愛をこめて:2007/06/08(金) 19:02:35 ID:Dtz0ADfrO
>>738
ちょwww ズバーン参戦フラグかwwwwww
742名無しより愛をこめて:2007/06/08(金) 21:03:09 ID:uU0FxKVQO
北崎だけじゃなく他のオルフェノクも参戦しないかな
743名無しより愛をこめて:2007/06/08(金) 22:18:24 ID:2tzBTA4+0
気が早いけどバトロワ2が始まることを期待してる。

555は木場、海堂、長田この3人組の中の誰かは参戦してほしい。
カブトでは地獄兄弟での活躍が見てみたい。

555とカブトしかしらない傍観者の願望です。
744名無しより愛をこめて:2007/06/08(金) 23:11:02 ID:eLaZ43bD0
俺も海道は書いてみたいかも。
あと葦原さんとアマゾンw
745名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 00:06:01 ID:6/mHTFoBO
もし、バトロワ2が電王終了後にあったならハナさんに参戦してもらいたい…!(良太郎やタロス達も出て欲しいけど設定からして揉めそう。)

あとは、俺の勝手な妄想なんだが

ジョーカーは志村@アルビノで、ロワ終盤14と合体して暴れて欲しい。

そして主催者は天王寺さん+モノリスで!

746名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 00:08:45 ID:lefubw8+O
自分は劇場版の女性ライダー二人に出てほしいと思った。
二人ともマーダーになりそうだし。
747名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 02:38:35 ID:1C0NrRkH0
次があるとすれば、今回の参加者は、出てもそれぞれの作品から2名までぐらいにしておけばバランスとれるんじゃねぇ?
748名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 08:49:07 ID:4UKTONFy0
次があるならスカイ&スーパー1&ZXが書きたいな
749名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 09:23:49 ID:GAKvmBIUO
俺は2号ライダーとドレイク、地獄大使かな。
750名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 09:58:40 ID:GhZCTSLGO
自分も555の海堂、長田、が書きたい。
龍騎の手塚もだな。
751名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 13:39:58 ID:+AdwYLAD0
Blackのクジラ怪人を出したい。
752名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 13:50:59 ID:C7VTp9Zp0
と、登場自体死亡フラグじゃねえかww クジラ怪人www
そういや水のエルも鯨の怪人だったな。光太郎との絡みも見たかった。
まあ、それは死者スレでだ!

お前ら真・仮面ライダーの事も少しは思い出してください。

ところで◆A.IptJ40P. 氏は状況どうなんだろう。
さすがに四日延長は長くね?
753名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 14:09:39 ID:tPhA4VoDO
THE FARSTやNEXTも忘れないで
754名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 14:56:33 ID:RK0oTqfu0
>>745
電王勢はクウガ勢と同じくあっさり犠牲になりそうだ…
ああいうノリの作品のキャラなんで何だか可哀想な気がする…

天王寺&ねじれ昆布はいいがそしたら勝者への賞品はどうなるんだろう
755名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 15:08:37 ID:C7VTp9Zp0
優勝者は願い事をかなえる(嘘)

これでよくね?
756名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 21:13:14 ID:GhZCTSLGO
そして、その嘘に絶望した優勝者が主催で新たな戦いが……
なんてね。
757名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 21:43:55 ID:+qbwS+Jo0
>>756
それじゃ参加者が集めれんだろうがw
758名無しより愛をこめて:2007/06/09(土) 22:25:12 ID:jOY1AUpO0
>>754
電王は出さないで欲しいな。
なんかそういうキャラじゃない気がするし、作品的にも合わない。
これは現状で出てる響鬼にも言えることだが。
響鬼さんが死ぬとこなんてあんまり見たくなかったし。
759 ◆A.IptJ40P. :2007/06/10(日) 00:59:09 ID:Uq4cD0DYO
すいません。リアルで色々立て込んでまして……七割といった所です。
延長期間に見合った作品に仕上げられるとは思っているので、もう少し時間を下さい。
760名無しより愛をこめて:2007/06/10(日) 01:01:24 ID:1cItizh40
>>759
楽しみにしています。
761名無しより愛をこめて:2007/06/10(日) 11:55:44 ID:hZJ9z78DO
>>759
メンバーや彼等の状態からしてかなり緊迫した物になりそうですね。
楽しみにしてます!!


埋めついでにバトロワ2妄想。。。


参加者に海堂と啓太郎が助けた男の子(名前忘れた)。無意識にアークの力を使って最終的に多くの命を食って完全にアークオルフェノクに。
それを海堂、もしくは正体を知ってる参加ライダーが苦悩しながらも倒す。。。

…なんか暗い話になりそうだな。
762名無しより愛をこめて:2007/06/10(日) 12:05:48 ID:OJO9L3EI0
王が必要なのはオルフェノクの命だから微妙じゃない?
他じゃ怪人以外はアギトと鬼ぐらいだし
763名無しより愛をこめて:2007/06/10(日) 18:04:47 ID:8AT5ji47O
木場が参戦したらまた巧とすれ違って、分かり合ってそれでまた決別して最終的に死亡。みたいな感じになりそう
764名無しより愛をこめて:2007/06/10(日) 19:58:24 ID:mZ5Z6R8B0
2回目は神崎士郎を参加者にしたいな。
時間軸はなぜか第1回目の終了辺りとか。
スマートレディを絡ませてとかとか。
765名無しより愛をこめて:2007/06/10(日) 22:32:11 ID:b/jy/gNj0
光太郎と天道の共闘が見てみたい。
同じ「太陽の〜」って台詞が似合うライダーだし。
2人が組めばドラスにも勝てそう。
766名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 01:20:59 ID:SJmq6CfLO
仮に二回目やるとして主催者って神崎や大首領の他に誰かできそうなのいるかな
767名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 01:25:05 ID:aK8TKbEx0
主催者でいうと、根岸。あと村上社長。
変り種ならエキセントリック乃木怜治とか。
768名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 01:55:16 ID:vdswllVD0
ゴルゴムの世紀王はどうだろうか?
ブラックサンとシャドームーンみたいにロワで
次期創生王を選び抜く、みたいな。
769名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 18:04:08 ID:m6A9PWp70
>>767
むしろ乃木さんには参加者で出て欲しいw
770名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 19:34:20 ID:aK8TKbEx0
バトルロワイヤル史上初の「何度でも蘇るキャラ」かw
771名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 19:48:48 ID:I4BxK0L9O
そしたらクロコダイルオルフェノクも…(蘇りキャラ仲間として)w
772名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 20:04:27 ID:L4ia1Lfp0
乃木さんは分裂もしますよ。
分裂に分裂を繰り返せば参加者全員乃木さん。
一歩間違えば、
「ドキッ!乃木さんだらけのバトロワ大会」
になるよ。
773名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 20:18:24 ID:GWa32Gc5O
なんというカオスwww
それがありだったら滝とか普通の人間がオルフェノクになって苦悩とかも見てみたいwwwwww
774名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 21:33:13 ID:aK8TKbEx0
禁止エリアに追い込み、乃木を倒せたかに見えたライダー達であったが。
天道だけはその表情に苦味を込めていて・・・

「乃木を爆発させるなとあれほど言ったのに・・・遅かったか。」

53体に分裂した乃木達が、ライダーに襲い掛かる。
彼らは全員兄弟である。
775名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 21:58:10 ID:YslIQwOfO
しかもロワでは分裂=首輪のコピーが不完全で解除・脱出フラグにもなりうるから余計に恐ろしい
776名無しより愛をこめて:2007/06/11(月) 22:06:51 ID:T5PtBQj/O
そしてそれぞれの世界へ侵入し歴史を変えてしまう乃木達。
777名無しより愛をこめて:2007/06/12(火) 02:46:17 ID:3VrkWt60O
でも分裂するほど弱くなるよね
778名無しより愛をこめて:2007/06/12(火) 18:11:35 ID:3uhZgme50
>>765
RXとハイパーカブトが共闘すればオデンを倒せるな。
779名無しより愛をこめて:2007/06/12(火) 20:29:15 ID:SfMGrCxWO
太陽兄弟か
780名無しより愛をこめて:2007/06/12(火) 23:54:14 ID:3uhZgme50
別名、サンシャインブラザーズ。
781名無しより愛をこめて:2007/06/14(木) 00:00:54 ID:YsIqkELT0
埋めついでに延長期間についてでも話し合う?
◆A.IptJ40P. 氏の予約状況を見て、十五日間予約しているのに気づいた。
面子が面子だから予約したいって書き手はいっぱいいるだろうし。

メイン書き手があんまり延長申請しないから今までは問題になっていなかったけど、
今回はさすがに……
782名無しより愛をこめて:2007/06/14(木) 00:45:57 ID:7IJyuAi9O
予約してるメンバーがドラス達のいる位置にも近いしね。
とりあえず氏の進行具合がわかればいいんだが…
783名無しより愛をこめて:2007/06/14(木) 01:45:04 ID:00ZTsux+0
氏の作品と、ドラス周りの話が終われば第三回放送にいけるしな。

とりあえず今回の一件が終わったら、延長期間は三日でどうかな。
ここら辺曖昧にして、一ヶ月予約されたらたまらないし。
784名無しより愛をこめて:2007/06/14(木) 08:49:50 ID:unXk/9MI0
しかし、この流れを見て、ご迷惑おかけしました。作品を破棄しますっていうのだけはやめて欲しい。
ここまで待って、それをやられたら本当に報われない。
785名無しより愛をこめて:2007/06/14(木) 08:57:41 ID:beCgVT+zO
自分も氏の新作楽しみにしてます。
とりあえず経過報告を待とう。

それと、今後の延長期間は三日間に賛成します。
786名無しより愛をこめて:2007/06/14(木) 21:44:02 ID:00ZTsux+0
・予約
 キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
期間:予約当日から1週間。予約期間後は、他の人が投下してもOKです。
途中報告:2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回、進行を報告してください。
延長期間は三日。それ以降は他の書き手が予約可能になります。
予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
また、ひとりリレーを防ぐため、投下した書き手は投下終了から二十四時間一切予約禁止、
投下作品に出たキャラは更に百二十時間禁止。


テンプレの予約項目に加えてみた。
意見が欲しい。
787名無しより愛をこめて:2007/06/14(木) 22:36:12 ID:beCgVT+zO
GJ!!!
788名無しより愛をこめて:2007/06/15(金) 02:17:42 ID:UOzotwGF0
投下乙。
浅倉vsあきら、浅倉vs木野のバトルの意外性は面白かったですが、気になった点があります。
全体的に時間軸が滅茶苦茶になっていると思います。
木野がアギトに変身できるということは橘との戦いの後、二時間経った上でのことと推測できますが、その間、城やキングはずっと同じ場所をウロウロしていたのでしょうか。
また、浅倉は乾、あきらと遭遇するのがそんなに遅かったのでしょうか。
前のSSを読む限りではとてもそうは思えませんでしたし、メインはギャレンvsデルタなのですから、時間を大幅に進ませる必要はなかったのではないでしょうか。
後、氏は城とキングについては一度、予約した後、指摘され追加予約をされておりますが、SSを読む限り、このふたりを無理矢理追加したとしか思えません。
この扱いならば、帳尻あわせは他の方に任せておいた方がよかったと云わざるを得ないです。あと、東と西の方角が逆です。
SSの出来は問題ないだけに無理に自分ひとりでなんとかしようとするのではなく、他の書き手さんに相談していただきたかったです。
789名無しより愛をこめて:2007/06/15(金) 02:19:23 ID:UOzotwGF0
すいません。誤爆しました。
790名無しより愛をこめて:2007/06/15(金) 02:26:25 ID:Axf4NoBh0
気にせずにw
上のテンプレ案は明日あたりしたらばのテンプレスレに追加したいと思います。

ドラス戦まで一手必要になりましたか。
しょうがない。今月までには第三回放送にいけるかな?
791名無しより愛をこめて:2007/06/18(月) 19:49:32 ID:7k03gjQ60
うめ
792名無しより愛をこめて:2007/06/18(月) 20:00:43 ID:EvU+X1WDO
うめ
793名無しより愛をこめて:2007/06/18(月) 22:20:33 ID:7k03gjQ60
イライラするんだよ!

ふんわか?
794名無しより愛をこめて:2007/06/19(火) 00:48:14 ID:Fb25vMqH0
サタンサーベルの人気に嫉妬!!
795名無しより愛をこめて
荒野を渡る風 ひょうひょうと ひとり行く ひとり行く 仮面ライダー
悲しみを 噛しめて ひとり ひとり 斗う
されどわが友 わが故里 ひとりでも ひとりでも
護る 護る 俺は 仮面ライダー

木枯し吹き荒れる ひょうひょうと ひとり行く ひとり行く 仮面ライダー
悲しみを 乗り越えて ひとり ひとり 斗う
されどわが友 サイクロン 爆音あげろ サイクロン
斗う 斗う 俺は 仮面ライダー

されどわが友 サイクロン 爆音あげろ サイクロン
斗う 斗う 俺は 仮面ライダー