【純情】♀メビウス萌え〜4【無垢】

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1名無しより愛をこめて
『ウルトラマンメビウス』の主人公、メビウスがもし女だったら?と空想して萌えるスレです。
【二人は】ミライ×リュウ【ラブラブ】スレから「メビたんは女の子だよ」派が分離したのが始まりです。

初代スレ http://tv9.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1163818899/
前前スレ  http://tv9.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1167534080/
前スレ   http://tv9.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1169481845/

・ここは全年齢板です。エロネタ、グロネタなどの描写は避けましょう。
・様々なネタが投下できる雰囲気になるよう心掛けましょう。
・他スレへのネタの持ち出しは禁止です。
・次スレはレス番>>950か容量480KBあたりで宣言して立てて下さい。駄目なら駄目で報告を。
 レス数が1000に満たなくても 容量501KBで書き込めなくなります。
・メール欄には半角小文字で『sage』と入れましょう。こうするとスレッドが上に上がりません。(荒らし対策)
・まとめは>>2以降
2名無しより愛をこめて:2007/02/21(水) 18:46:20 ID:F88NCmYz0
まとめ倉庫(総合)
ttp://vaxim.80code.com/content/index.html
ユーザー mebius、パス infinity
避難所へのリンクもこちらから

まとめ倉庫(シリーズ物一気読み用)
ttp://burningbrave.web.fc2.com/mebi/index.html
ユーザー mebius、パス burningbrave
3名無しより愛をこめて:2007/02/21(水) 18:55:57 ID:53Bp+w1y0
>>1乙っス!
4名無しより愛をこめて:2007/02/21(水) 21:39:06 ID:ubLZH0RI0
>>1には乙をする事。それが私の変わらぬ願いだ
5名無しより愛を込めて:2007/02/21(水) 22:32:10 ID:K0C2xA0V0
>>1  スレ立て、乙です!とうとう4本目ですね。
64コマ ◆nL.tEAkRlc :2007/02/21(水) 23:04:30 ID:/DdWMjCJ0
ここにはエースさんがいるみたいだwww
7名無しより愛をこめて:2007/02/22(木) 02:39:30 ID:yMczmyZ0O
ファンです!応援あげ!
8名無しより愛をこめて:2007/02/22(木) 02:44:34 ID:REFniEk20
ファンなら>>1を読みたまへ。ここはsage進行!
9名無しより愛をこめて:2007/02/22(木) 02:46:27 ID:zZej2SsS0
頑張って下げないと。。。
10名無しより愛をこめて:2007/02/22(木) 06:56:56 ID:lcZQ6GLU0
ちなみにsageを入れたからと言って下がらないんだが・・・
1に書いてある通り「スレッド自体が上に上がらず、嵐を呼びこむのを防ぐ」
為のsage入力なんだけど。
このスレの住人は特撮板どころか2ちゃんに慣れていない天然が多いなとつくづく思う。
時々心配になるぞ。
11名無しより愛をこめて:2007/02/22(木) 07:20:13 ID:CDLIJQXD0
>>10よ、禿同だ
追々慣れてくれるだろうと思いつつ居着いてるんだが、ちと心許ない
ま、心配してんのは俺の勝手だがな
12名無しより愛をこめて:2007/02/22(木) 07:55:26 ID:s1XOBFMZ0
いや、いつもの人だから。
13名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 00:24:42 ID:wJl8gQGC0
確かに2ちゃんねる初心者が多いのかもしれないけど、そういう住人を力強く
フォローしてくれる物の分かった住人も多くて心強い。自分も初心者のほうなんで、
ありがたいと思っている。(ゼノンやゾフィー兄さんに守られてる感じ ^^;)

sageの件なんかも、知らないと不安になること多いんだろうと思う。そういうスレが
できてたくらいだし。
いろいろお騒がせしたり心配かける事が多くて申し訳ないが、これからもよろしく頼む。

14闇の呼び声9 1/8:2007/02/23(金) 00:27:15 ID:wJl8gQGC0
フェニックスネスト緊急処置室。第二モニタに映し出されたリュウ=タロウの
臨んでいる幻覚世界の映像を、コノミは必死にたどっていた。ミライのそれより
も映像は鮮明だ。
「リュウさんは公園から町へ降りていっています」
延々と続いた螺旋階段のヴィジョンがようやく終息し、画面は不可思議な路地の
光景を映し出していた。しかし、第一モニタのミライのヴィジョンと比べると、
画像の鮮明さの度合いを別にしても、とても同じ光景とは思えない。ミライのいる
薄暗い路地は、夕暮れの光景のようにも、曇天の寒々しい光景のようにも見えるが、
リュウの臨むそれは明るい昼間の路地だ。しかも、それはかなりの勾配を伴った、
坂の中腹にあるらしい路地なのだった。
「隊長、どうしてこんなに画像が違うんでしょう。リュウさんは本当にミライ君の
ところに行けているんでしょうか」長時間画面をたどったために、真っ赤になった目
をしばたたかせながら、コノミはサコミズに問いかける。
「…僕にも確証があるわけではないが」サコミズは一言一言をかみしめるように説明を
する。「この作戦を申し出てくれたときにタロウが話していたことによれば、幻覚世界
というのはこちらの世界のように一枚岩につながっているのではなくて、さまざまな
記憶や幻想が形作るゾーンが連鎖状に連なっている世界なんだそうだ。つまり、ドア
一つ開ければ、時間も気候もまったく異なる空間と隣りあわせで接していたりする。
だから、リュウのいる場所から、たとえばどれかの建物に入れば、そこからミライの
いる場所に出るということもありうるわけだ。今は二人の見ている光景は違うが、同じ
脳波と神経が受け止めて作り出した世界として、この二つの光景は同じ座標軸の上に
あって、どこかで接しあっているんだ。その接点を見つければ、二人は出会えるという
ことだろう」「どうやって見つければいいんですか?」「その手がかりが、ミライの記憶
や思い出の中で核をなす何かなんだと思う。ミライと会った場所とか、町の中で印象に
残っている場所とか、プライベートも含めてできるだけ思い出してほしい」
15闇の呼び声9 2/8:2007/02/23(金) 00:30:06 ID:wJl8gQGC0
サコミズの言葉は、ガン・フェニックスの機内モニタと、眼下に広がる町の間に、
共通した路地の光景を求めて旋回し続けているジョージとマリナの耳にも届いていた。
…クルーの脳裏に、これまでのさまざまなミライとの日々が浮かんだ。バイクの整備場。
転がしたボールをキャッチされた空き地。人のいないサッカー場の客席。保育園。服を
選んでもらったブティック。医学部の構内。ツルギがその意識の主導権を握っていたと
きのセリザワがミライと対峙した廃工場。おいしいメロンパンを売っていると連れて行
ってくれた公園。…
その一つ一つを、マリナとジョージは丁寧に探索した。もちろんフェニックスネスト
でも、挙げられた場所と事件に関する記録が詳細に検討され、そのデータは出動中の二人
に絶えず送信され続けた。しかし、そのどこにも、モニタの路地との共通点を見出すこと
はできなかった。ため息をつきながら、出発点の丘の上の公園に戻り、空を仰ぐ二人。
ジョージは腕時計を見た。…リュウ=タロウが、幻覚世界に突入してから、ほぼ5時間が
経過している。あと15時間。「畜生!」
「…ねえ、ジョージ」メットをはずして汗ばんだ髪を風に流していたマリナがぽそりと
言った。「あたしたち、まちがってたかもしれないわ」
16闇の呼び声9 3/8:2007/02/23(金) 00:32:04 ID:wJl8gQGC0
「どういうことだよ」
「ミライ君との思い出って言うと、あたしたちどうしても懐かしかったり、うれしかっ
たりした場所を思い浮かべちゃってたけど。でも、そうじゃなくて、むしろミライ君に
とって、つらかったこと、悲しかったことを、それをミライ君がいやでも思い出して
しまって切なくなるような場所やものを、探さなければいけなかったんじゃないかな。
ミライ君が自分でも気づかないうちに心にしまいこんでいる悲しかったり悔しかったり
するようなこと。裏切られたり割り切れなかったりするようなこと。…それは何?」
ジョージは考え込む。「…今思いつくのは、俺たちがミライをメビウスだとまだ知らなくて、
ウルトラマンなんか仲間じゃないって言ってしまったときのこと。インペライザー戦のと
き、帰らなくちゃいけないって悩んでいたときのこと。コノミを利用しようとしたヒルカ
ワに殴りかかったときのこと。メイツ星人のビオとのこと。それから、サイコキノ星人の
女の子のカコと、最後までしっくり理解しあえなかったこと。俺は最後のが一番印象に
残ってるな。隊長が言った、ウルトラマンの言葉もすごく重かった」

…やさしさを、忘れないでくれ。弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国の人
たちとも友達になろうとする気持ちを、失わないでくれ。 
たとえその気持ちが何百回裏切られようと。

「そうね、あたしもそうかな。…」しかし、マリナは、ほんのわずかな違和感をも感じ
ていた。何かしっくりしない。何かが抜け落ちているような気もする。何?
「そうか!」ジョージが突然叫んだ。「俺、分かったぜ、リュウのいる路地がどこなのか」
「ええ?!どこよ?!」「説明はあとだ。ガン・フェニックスに戻るぞ。急ごう」
17闇の呼び声9 4/8:2007/02/23(金) 00:33:21 ID:wJl8gQGC0
「…どこへ行こうとしてるのよ、ジョージ」コックピットに搭乗し、マリナは前席の
ジョージの背中に問いかける。「…神戸だよ」「神戸ですって?」
「モニタ画面を見てみろよ。坂の中腹の路地で、ものすごい急勾配だ。それに建物の
雰囲気が変わってる。…なんとなく日本でない感じだろ」
「そうか、ミライ君、神戸に来たことあったんだよね。そこで、ウルトラ兄弟といっしょ
に、戦ったんだった…」「あのころ、俺たちはミライがメビウスだなんて知らなかった。
だけど、今から考えてみると、いろんなことがわかると思わないか。…あのとき、メビウ
スのにせものが出ただろう?」「そうだったね。…ザラブ星人の化けたにせもの。ツルギに
化けたババルウ星人ほどじゃなかったけど、たくさんの地球人が、メビウスは侵略者にな
ったと思い込んだ」マリナはそのときのマス・メディアの対応を思い出して苦い気分になっ
た。「…ミライ君、すっごく悔しくて悲しかったろうな」

神戸空港に降り立ち、そこからマリナとジョージは北野へと向かった。急勾配の坂の
上から海を臨む異人館通り。華やかな観光地だが、細やかな路地がいくつも派生している。
入り組んだ坂道の、通りと通りの間の狭い路地。こじんまりとした異国情緒に満ちた空間。
スペイン風の飾り付けをしたバーや、インド風の構えの店。だが表通りと違って派手では
ない。来るものは拒まないが、あえて呼び込もうともしない。そんな店が、ポツリポツリ
並んで独特の空間を作っている。人通りも、決して多いわけではない。その奇妙な閉塞感
は、まさにリュウの見ている幻覚空間の、真昼の孤高な路地の画像と共通していた。
「ビンゴ!」
18闇の呼び声9 5/8:2007/02/23(金) 00:34:30 ID:wJl8gQGC0
たちこめるカレーのにおい。濃いエスプレッソの匂い。「ミライ、カレー好きだもんな」
「神戸に行ったとき、このあたりに来たのかしら」モニタ映像からは見当のつけようが
ないが、現実の路地はさまざまなにおいと喧騒に満たされていた。ジョージはメモリー
ディスプレイの画像をオンにして、サコミズを呼び出す。「隊長、聞こえますか?」

「…二人とも、よくやった」サコミズは憔悴した顔にかすかな笑みを浮かべた。「その
あたりをもう少し調べて見て。第一モニタと第二モニタの世界が結びつくような何かが、
そこには必ずあるはずだ」 歓声を上げるコノミとテッペイの肩をたたいてから、サコミズ
は静かに息を吸って、青い光のコーティングの中でよこたわったままのリュウのほうに
視線を向け、軽く念じる。(…ゾフィー、頼む)

路地の一角。異国雑貨を扱う店のいささかほこりっぽいショーウィンドウに、陶器の
人形がいくつもならんでいる。そのなかに、胸に赤い花を挿した一つのオルゴール人形が。
「この顔…!」ジョージはマリナと目を見合わせる。「…隊長!」

(リュウ。…フェニックスネストのサコミズ隊長にテレパシーを送るぞ)
リュウの中のタロウは、脳髄の端でかすかに感じ取った長兄からのサインの中身を、
あくまで意識における認識上は会話として、しかも微調整された会話としてリュウに
伝えた。これによって、リュウの上司の中にタロウの長兄がいることは、リュウの
意識の表層にまでにはのぼっていかない。したがって、分離が行われたときには、
リュウの意識からその情報は消去される。意識を融合させるに当たってはイレギュラー
な処置であり、当初の予定通り自分の意識を完全封鎖した状態だったら、もっと厄介
だったろう。だが、サコミズもゾフィーもそれを望んでいるので、いたしかたがない。
それにあの二人の場合は、普通の融合とはやや異なるのだ。…
(隊長。リュウです。)
(ああ、リュウ。連絡をくれるのを待っていた。…君のいる路地だけれど、そこは…)
19闇の呼び声9 6/8:2007/02/23(金) 00:35:38 ID:wJl8gQGC0
…オルゴール人形?リュウは、誰もいない店のドアを開ける。幻覚世界の<神戸>は、
真昼の明るさがむしろ人っ子一人いない沈黙を際立たせて寒々しかった。ほこりっぽい
店の中に足を踏み入れてぎょっとする。胸に赤い花を抱き、赤い靴を履いた同じ顔の
人形たちが、白いつめたい目を一斉にこちらに向けていたのだ。陶器の小さな顔は、
リュウの記憶にある一つの顔に酷似している。
「カコだ。ミライの妹を名乗ったサイコキノ星人だ」
…ミライ、お前ここへ来たんだな。それからどこへ行ったんだ。

(オイカケテ。オイカケテ)人形たちは、文字通り陶器の鈴を振るようなかすかな声で、
リュウに訴えかける。(ケサレル。ケサレル)
「ミライは、どこだ!」
(ケサレル。オイカケテ)だが、人形たちはいっせいに破裂し、粉々になって砕けた。
リュウを襲う激しい頭痛と衝撃。心臓を握りつぶされるような想像を絶する激痛が全身を
襲う。…畜生!負けてたまるか。ミライ、どこだ! どこにいるんだ!?
20闇の呼び声9 7/8:2007/02/23(金) 00:37:02 ID:wJl8gQGC0
赤い靴を握りしめ、とぼとぼと路地の奥を目指すミライ。タロウに昔きいた、ドルズ
星人の話を思い出す。白い光の中に、タロウの姿が現れて自分にうなずいたように見えて、
ミライは思わずタロウ教官!と叫ぶ。しかしタロウの姿は一瞬で消えてしまった。
自分を呼ぶ声は、さらに強くなっていた。ミライには、どうしてもそれが、邪悪なもの
には聞こえなかった。自分という存在に、心から呼びかけてくれているように思える。
どうしても放っておけないのだ。その背後で黒い影が嗤った。…自分から破滅に近づいて
いる。馬鹿な奴だ。
 路地は続く。目の前を通り過ぎていく、大きな荷物を持った男。男の入っていく先には、
古ぼけた古物店があった。ぼんやりとその看板を見上げるミライ。男が振り向く。
…あんた、疲れてるね。ちょっと休んでいかんか。…いいえ…ぼくは…。しかしそうい
ったそばからミライの足はもつれ、よろめく。…そうら、ふらふらやないか。いいから
入んなさい。
ぐあらん、と大きな音がして扉につけた錆色の鐘が鳴った。引き込まれるように、
ミライは扉の向こうの店内へと入っていってしまう。薄暗い店内には、いわくありげ
なものたちが所狭しと並んでいる。…そこへ、おかけ。
黒光りする籐の長椅子に、ミライは崩れるように座り込む。鼻につく防虫剤の匂い。
壁にかかった振り子時計が重々しい音を立てている。…こっち、こっち、こっち。
…こっちへ、おいで、こっちへ。
 ミライの頭がまた激しく痛み出す。懸命に堪えるミライの前に、男は飴色に使い込まれ
た備前焼の湯飲みをコトリと置く。…少し眠るといい。痛みに顔をしかめながら、ミライ
は弱々しく首を横に振る。だが、渇ききったのどに、湯飲みから立ち上る湯気の揺らめき
は抗し難い誘惑だった。ミライは湯気の香りをかぐように湯飲みを抱え込む。固まった
唇の血が溶けて、白湯は鉄の味がした。それでも、ほんのわずかだが、気分が楽になった
ような気がする。そしてそのまま、ミライの意識は一瞬間途切れる。……
21闇の呼び声9 8/8:2007/02/23(金) 00:38:39 ID:wJl8gQGC0
はっと、ミライは目を覚ます。…こっち、こっち、こっち。相変わらずの時計の音。
針はほんの一分しか進んでいなかった。湯飲みは卓上に戻されている。少しだけ頭が
すっきりしている。…ありがとうございました。カウンターの奥で新聞を読んでいる
らしい古物商の男に声をかけて立ち上がろうとするミライ。…行くのかね。
がさり、と新聞を置いたかと思うと、男はミライのもうすぐ前に立っている。
…兄ちゃん。いや、お姉ちゃんかな。
ぎょっとするミライ。おもわずあとずさるが、そこは壁際だった。
…あんたは良いもの持ってるね。そいつを譲っておくれ。 
古物商の細い目と指先が、ミライの握りしめている赤い靴を凝視していた。…これは。
これは、だめです。拒むミライに、じゃあ、それをと、今度はミライの胸のポケットに
収められたメモリーディスプレイを男は指さす。…ごめんなさい、だめなんです。
激しく首を横に振り、懇願するかのように必死に拒むミライ。空いているほうの手で、
ポケットごとぎゅっとつかむ。リュウが描いてくれた、金色の炎の模様のディスプレイ。
…失いたくないものばかりだね、お前さん。薄笑いを浮かべた古物商が帽子を取ると、
そこには木彫りの恵比須が赤い不気味な目を光らせていた。だけど、この先進んだら、
そんなもの全部失ってしまうよ。私にそいつを渡してくれれば、あんたは、少なくとも
全てを失わずにはすむかもしれない。…ミライを押し倒さんばかりにして迫ってくる、
コダイゴン・ジ・アザー。ミライは必死に身をよじる。そのとき、金色のメモリーディ
スプレイを握りしめるミライの耳に、リュウの声が聞こえてきた。…

**
今回ここまでです。
22名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 01:36:00 ID:nWVctGtdO
>>1
新スレ乙
職人さん達も早速の投下乙

2ちゃんに不慣れな人は初心者板見たりして慣れていけばいいと思う
慣れてる人にただ教えてもらうだけじゃなくてな
4コマ氏はsageとアンカーは指摘されるまで知らなかったようだがトリップは自力で覚えたみたいだし
23名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 01:51:45 ID:wJl8gQGC0
>>22 そうですね。いろいろ調べることでだんだんお利口になっていけますね。
そうやって少しずつ慣れる。「守られてる」けどそれに甘えちゃいけない。
一つ、他人の力をあてにしないこと!  でつな。
24名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 11:12:33 ID:VpQQPbqW0
闇乙・・・緊迫感が高まりすぎてトイレが近くなってるのは自分だけだろうか?w・・orz
25フィフストレーニング3-4:2007/02/23(金) 12:12:23 ID:FnGQ3/z+0
「こちら80。ターゲット確認しました」
『おう、見つかったか!』
『頼むよ、80!』
「あのですね、」
「何を考えているの?」
隣で聞こえた可愛らしい声に、80はテレパシーを打ち切った。
「い、いや。なんでもないよ」
「そう?何か調べたいことがあったんじゃない?」
「そ、そうじゃないんだ、ユリアン」
80は腕を絡めてくるユリアンに今回ばかりは辟易しつつ、視線を時折ゾフィーとメビウスの方へ向ける。
「でも久しぶりのデートがアニマル星だもの。何か興味のある動物でもいるのかなって。
それに、調印式の前に急にっていうのも変じゃない?どうせなら、この間アミューズメント用に惑星改造したミラダイスに行くとかしたほうが楽しいと思うの」
「わ、わかった。調印式が終わったら、ミラダイスに行こう」
「本当?!やった!!」
無邪気に飛びついてくるユリアンに多少の後ろめたさを感じながら、80は視線の先にいる長兄と、テレパシーの先にいる獅子座の双子を恨んだ。
26フィフストレーニング3-5:2007/02/23(金) 12:14:52 ID:FnGQ3/z+0
「なんだか随分機嫌が悪そうだったな」
「デートの尾行に気が進まないんじゃないかな?」
「でも俺たちが二人で後を尾行していったら、周りから怪しまれるだろう。やっぱりデートの尾行はデートだよ」
「そうだよねえ」
双子は双子で頭を抱えていた。
本部から出た二人はすぐにメビウスの住んでいる寮へと向かった。呼び出しをかけてもらったが、メビウスはもう出かけてしまったという。
レオは嫌な予感がして先にゾフィーの方を調べた。遅かった。
秘書に嘘を教えたか、嘘を言うように仕向けたか知らないが、ゾフィーの休暇は今日の午後から始まっていたのだ。しかも空を小さな人影と一緒に飛んでいるのを見た者がいるという。
すぐにアストラは行く先を調べた。一人で宇宙を放浪していた時に、彼独自の情報ネットワークを作っていたのだ。
その間にレオは尾行につく人選を決めた。仮にカップルばかりや女の子の多い場所にゾフィーがメビウスを連れていった場合、男の双子が行ったら怪しまれるからだ。
そうして連絡を取ったのがユリアンである。亡国とはいえ皇太子だったレオは、子供の頃にユリアンと会ったことがある。
最近の方が接する機会は増えたが、兄弟の中でも80に次いで王族とは親しい。
すぐに「80が急にヒマになってデートに誘いたそうな顔をしている」とかなんとか言いくるめた。
後はアストラと二人で80をとっ捕まえ、アストラの集めた情報に従ってアニマル星の方へと送り出した。
『あ、ターゲットが動き出しました』
「80、実況が大変ならリモートビューイングに切り替えてもいいよ」
「ゾフィー兄さんがメビウスを押し倒さないようにすればいいんだから」
『そんなことするわけないでしょう。宇宙警備隊の隊長ですよ』
「80はさっきのゾフィー兄さんがどれだけ楽しそうにしていたか知らないから!」
「タロウ兄さんが気の毒だろ。昔憧れてたお姉さんをゾフィー兄さんに取られたとか泣いてたことあるんだぞ」
『そんなの初耳ですよ』
「こないだ飲んだ時聞いた。
ともかく、しっかり見張っててくれよ!」
27名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 12:21:10 ID:VpQQPbqW0
ちょ、押し倒すってww・・・さすがにそんなことしませんよね・・・た、隊長?orz
28名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 14:51:27 ID:FnGQ3/z+0
遅くなりましたが、>>1 乙です。

短編ネタ頑張って考えよう。
29名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 15:38:20 ID:wJl8gQGC0
>>26 皇太子レオ様とユリアン王女様が国交親睦の舞踏会か何かでダンスしてる場面を連想しちまった。。
30名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 16:04:30 ID:wJl8gQGC0
もうあっちに書けなくなっていたので、こっちに書く。

前スレの最後の一連の流れに>>こんなふうに住人の考えをいろいろ聞けてむしろよかったと思う。書き手が固定されて減ってきてるな、というのはすごい感じてたし。
自分の場合は、長いものばかりで書きまくって申し訳ないと思いつつ、もうすぐ本編が終わるから、それまでにどうしても書き終えてしまいたい、
一緒に盛り上がりたい、と思って最近加速度がついてるのもある。メビウスでなくても、と言う意見もあったが、自分にとってはメビウスが
終わったら、もうそれは別物になってしまう。3月末までの限定された祭りなんだよな。。。
でもまあそれは個人的な思い入れだ。
前スレ>>652に同意。ウルトラファンであることに誇りを持ってここでの一期一会を楽しみたい。


31名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 16:19:00 ID:oByUsy220
>>30
別に書くなとはいわない。けど、1日も早く終わらせてくれるとうれしい。

正直、オリキャラばかりで長文で書かれたネタでは、
他人にそのネタを使って続きを書くなんてできないし、
大半は傍観してるだけだよ。

みんなで盛り上がりたいなら、みなで共有できるネタを書いてほしい。
一つのネタを、いろいろな人が続きを書いたり、面白く発展させられれば、
だれだって気軽に書き込めるスレになるよ。
32名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 16:39:31 ID:wJl8gQGC0
なるほど。シリーズ物はやっぱりかなりうっとおしがられてるわけだね。
自分としては共有ネタとシリーズ物とが共存できればいいと思ったけど、
難しい物なのかもしれないな。

まとめまで作っていただいたから、それなりに面白い物を完成させたいと
思ったけど、シリーズが全て終わらなければ共有ネタを投下する雰囲気に
ならないということなら、それはそれで考えるよ。
33名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 16:43:20 ID:1BCHS4rz0
投下した時点で色々言われて当たり前だしね。
それに対するリアクションも色々だし。
結局スレが潤滑にいくかって、そこら辺を上手く捌けるかどうかなんじゃないかな。
スレから外れていなければ、別に書くのも読むのも自由で良いと思う。
34名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 16:59:45 ID:lV5sCild0
>>33>スレから外れていなければ、別に書くのも読むのも自由
同意見
自分は、単発も長編も共有ネタもそれぞれ楽しんできたから
余談だが、一番ガックリくるのは、未完てヤツね
35名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 17:03:15 ID:wJl8gQGC0
別に色々言われてもかまわない。でも、共有ネタなら、誰が言い出しっぺでもいいじゃないか、とは思うな。
長いのはさっさと終えて早く共有ネタかけって言われるとちょっときついわ。

長いの書いてても放り出して参加したくなるような共有ネタを、むしろどんどんふってくれたらいいと思うんだ。
それをやるには雰囲気としてシリーズが目障りだというでは正直つらい。

面白い共有ネタ、短編物、好きだけど。本編が今暗いからよけい求められるってのもあるんだろうけど。
36名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:07:23 ID:oByUsy220
>>35
長いのがだめというよりも、長文を一度に何レスにもわたって投下されるのが
読むほうもつらい。

個人のサイトならどってことないかもしれないが、
2chのスレなら、3行以上だって長文でうざがられたりするのに、
それが何レスにもわたって投下されたら、自ずと読む人なんて限定される。
37名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:08:48 ID:QV4Ay1SM0
>>25->>26
悪魔と天使のデートだ!(押し倒したりしたら淫行罪とかになるんじゃあ・・・)
そういえば本編のインペライザー戦は最初の設定では隊長が救援に向かうはず
だったとか?どうやってタロウ教官がそのお役目を勝ち取ったのかが気になる〜。
38名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:10:16 ID:lV5sCild0
隊長は悪魔かよw
39名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:10:32 ID:U0eStv8L0
>>シリーズ物はやっぱりかなりうっとおしがられてるわけだね

自分はそんなことないけど。かなり楽しませて貰ってるし、感謝してるくらい。
本編中と思われる話にオリキャラが出張って来てる訳じゃなし。
本編終了後のいわゆるパラレル話でしょ?
作者さん次第だろうけど、了解さえ取れれば、その設定で話を書くもよし
自分の裁量で書くのもよしだと自分は思うけど。

大体、メビウスが好きでこのスレがに来てるはずなのに
揉め事に発展するのがよー解らん。
書きにくいならスレの住み分けとかも(シリーズ系とパラレル無しの話系とか)
考えてみれば?
40名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 17:12:10 ID:wJl8gQGC0
一日一レス奨励ってか?(^^;)
短いのや共有物なら自分も参加する、というのなら、いいだしっぺを引き受け
てもいいんじゃない?それはいやなの?

41名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:16:07 ID:lV5sCild0
>>39>メビウスが好きでこのスレがに来てるはずなのに揉め事に発展するのがよー解らん
揉める度にそう思うよ
でもさ、スレの住み分けとかって、また別スレたてるわけ?
自分に合わない物はスルーすればいいだけの話なんじゃないの
42名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 17:18:11 ID:wJl8gQGC0
ごめん、>>40>>36に対するレスです。
ほかの皆さんごめんなさい。ちょっと熱くなっちゃった。
♪ファイトの意味は憎しみじゃなーい、ってことで一つ。
しかし、行くもならず戻るもならず。未完にしたくはないが、
さっさと終わらせるのもこれまたきつい。。はぁ、どうしよ。。
43名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:21:09 ID:lV5sCild0
未完だけは勘弁してください
44名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 17:25:28 ID:wJl8gQGC0
>>43 もうできてるんですよ。ベースはさいごまでね。その都度本編と絡ませる
改変はあるけど、話は書き終わってる。
でも、一度に投下できる量じゃないし、はしょるのもしんどいし。発表媒体として
ここを使わせてもらってもいいのかと言うことです。
45名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:25:53 ID:VpQQPbqW0
長編も単発も好きだが。自分書けないんですげーな、って単純に思うし。
まあ、長いの読みたくねって人はNG登録でもすればいいんじゃマイカ?
職人さんが限定されてきてるって、他のネタスレってそんなにわんさと職人さんいるもんなん?

共有ネタか・・・ひな祭り、ホワイトデーネタ以外にこれから受けそうな共有ネタってなんだろう?
46名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:28:36 ID:+SJDHBYi0
他の似た様なスレでは、シリーズもので作者単独の場合は、コテかトリップつける人が多い。
そうすれば、苦手な人はNGしておけばいいし。
シリーズ、共有で揉めているのってあんまり見掛けた事無いな。
共存しないと落ちる過疎スレが多いからかもしれないけど。
47名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:28:42 ID:U0eStv8L0
>>41自分に合わない物はスルーすればいいだけの話なんじゃないの

全くもってその通りなんだけど、このままじゃ、話を書きたくても、書けない雰囲気だしね〜
自分としては、気にしないでどーんと投稿してもらいたいんだけど。
読みたく無い人はスルーする度量を求む!
自分も、合わないと思うのはスルーしてるし。
48名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:32:43 ID:lV5sCild0
長いの読みたくねって人はNG登録かスルー
で、読みたくなったらまとめへGOー!
>>44ここで始めたんだから、ここで最後までやってほしいよ
49名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 17:45:34 ID:wJl8gQGC0
>>48
こちらとしてもここで最後まで書きたいのは山々ですが。しかしはよ消えた方が盛り上がると
言われたらね。。もともと新参者だったわけだし、サイト私物化しやがってと言われてる気分になる。
実際そうなのかもしれんし。書いてもいいという方がいらっしゃるなら、書かせて欲しいですけども。
自分に関して言えば、本編の最終回放映までには何とか全部終えたいと思っているので、今少し見過
ごしてくれませんか。  長文まことにもうしわけない。
50名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:49:11 ID:+SJDHBYi0
で、お互いレスにもあんまり神経質にならない事かな。
顔が見えない分ストレートな内容になりがちだし。
職人に対する要望なんて、本来対応するもしないも職人次第だもん。
対応する・しない・してくれ・してくれない、なんて事で揉めてもなと思うよ。
その辺のやりとりが上手・下手ってのは有るかもね。
51名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 17:52:16 ID:+SJDHBYi0
>>49
気にしないで投下続けてくださいな。
スレ違いな内容じゃないし。

って、そろそろこの話題自体がスレ違いになりそう。
52名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 17:55:46 ID:wJl8gQGC0
>>50 そうなんだけど、やっぱり長い分気も使いますよ。レスの消費も半端じゃないし。
公共の場で、皆さんが読んでくれるのかな、どうだろうと思いながら出すわけだし。
書き手のこだわりはあるけど、それは「芸」みたいなもんで。

とりあえず、様子を見ます。おさわがせしました。

53名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 18:02:33 ID:U0eStv8L0
>>49
新参者とか、そう言うのは関係ないと思うけど。
私物化とか感じたこともないしね。
楽しませてもらってる人も多数居る訳だし、遠慮すること無いと思う!!!
大体、書いてくれる人が居なくなったら、このスレ終わりだし・・・

共通ネタも長編も何でも来い!って思えんかな〜皆さん。

>共通ネタ
今日は無理だろーけど、次回予告でどうなるか?の予想話とか
最終回どうなるとか、第一話から順に、本編の隙間を埋める話とか。

共存しようよ、ね。
      
54名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 18:03:45 ID:oByUsy220
>>52
途中で辞めるかどかは、他人が強制できるものでなく、あなたが自分で決めればいい。
2chのスレには、要望や願望は書き込めても、強制力のある書き込みなんてない。

とりあえず、トリップつけてくれたら、
あとはNGワード入れるから今後は一切関知しない。

前スレで終わったことを、わざわざこっちに引っ張り出してきたのは、あなただ。
原因を作っておいてお騒がせも何も無いだろう。
55名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 18:09:17 ID:wJl8gQGC0
>>54 了解。ではこれでこの話は終わりにしよう。
56名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 18:11:07 ID:nWVctGtdO
なんか伸びてると思ったら議論中か

・書き手への個人的意見
別にシリーズものがうざいわけではなく、オリジナル色が濃すぎたり、『これってメビウスでやらなくてもいいよな』なネタがちょっと辟易されてるんではなかろうか
あと『よく分かんない所は脳内補完してね』みたいな説明不足なネタとか

・読み手への個人的意見
『気に入らないネタはスルー』ってのは常識ではあるが、『長文はちょっと…』な人は今ほぼ全てのネタをスルーしているのではないだろうか
読解力が足りないとかは論外


議論スレは避難所に立てた方がいいような気がする
57名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 18:23:17 ID:bIToSFx5O
ネタの質ていうか・・・言っていい?
「にょたの隠れ蓑を着た801じゃないのか」って雰囲気がするんだよ。
作品自体はそう感じなくても、レスなんかがね。
「メビ=おにゃのこ」のはずなのに、アヤとくっつくのが嫌だとか
頬キスにリュウが嫉妬するとか・・・
スレ趣旨考えたら有り得ないんじゃないか?
58名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 18:26:43 ID:+SJDHBYi0
自分にスレを合わせるな、スレに自分を合わせよう

って、言われているしね。スレ違いでなきゃ、どこに居付くか原則自由よ、2chは。
59名無しより愛を込めて:2007/02/23(金) 18:29:24 ID:wJl8gQGC0
>>57
それは自分でないのもあるが・・
一応男に擬態化した女なので、自分的には「リボンの騎士」のサファイアに近い物として想定されている。
あれは801なのか?
60名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 18:42:55 ID:lV5sCild0
>>55でこの話終わりってなったけど、これから来る人たちもいるわけだ
個人的には、この際、議論するならちゃんと議論した方がいいんじゃないかと思えてきた
揉めるのも一度や二度じゃないんだし、結局似たように事が問題になるなら、また揉めるだろ
でもって、明日の放送は気分よく視聴したい
61名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 18:53:51 ID:WwMsIJMS0
ネット上の匿名同士の議論って、結局揉めるだけで結論出ないんだよね。
だから、揉めない雰囲気づくりが大事なんだけど、難しいね。
6260:2007/02/23(金) 19:16:34 ID:lV5sCild0
何かね、またかよって気分になったものだから
膿出しちまえって思ったけど、まあ無理だわな
スマン水でも被って逝ってくる
63名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 19:53:37 ID:bIToSFx5O
前も「ネタ」と「同人」の違いが一時議論になったと思うが、
反省が生きるどころか作品の偏りが一層進んだ気がした。
(と言うか、他の書き手さんが来なくなったって言った方が正しい?)

>>リボンの騎士
自分もそういうつもりで見てたからこそ、このスレ好きだったんだが。
どうもそうじゃない、微妙な違和感があるわけよ。
どんな・・って言われても、本職のss職人さんたちを納得させられる
うまい説明なんて到底出来ないけど。
64名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 20:30:41 ID:U0eStv8L0
このスレって

本編のミライの言動が女の子みたいだから、

1、男の子に擬態した本当は女の子(見かけだけ男。リボンの騎士?)

2、初めから女の子に擬態(これなら、ほっぺにちゅ〜でも、リュウは焼かない?)

と言う感じで見てたんだけど。違うの?

スレの趣旨に合わせてれば
ネタであろうが、小話であろうが、長編であろうが、面白ければいいと思うけど。
嫌ならスルーすれば良い訳だし。
65名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 20:55:55 ID:KkOOpiLP0
ちょっとマジレスのようなそうでないような…ウザかったらスルーして。

自分もしがない単発ネタ書きだったりしますが、
スレの主流と住人さんの趣向が長編大作にシフトしていったような気がして、
以前なら軽い気持ちで投稿出来たような小ネタでも、
落としにくいなあ〜と思って引っ込めたりしてました…orz
(特にオンエアネタとか、落とし時を逸すると捨てるしかない)

自分もSSデビューは長編だったのですが(別板で)、やはり少し苦い経験しましたですよ。
 :2ちゃんの、1000レス或いは500kbという容量限られた中で、
 :1レス1000字近く書き込んで数レス近く消費して、なおかつ続く…となると、
 :読み疲れてしまう。一回の投下で完結するならともかく。

…何か、そーゆーニュアンスだったような。あ、長い以前に自分の文章力の問題か;
ごめん、「おめーのネタだって出来てねーしつまんねーよ」って言われたら
何も反論出来ないっす。

>>64
自分は1です。でもguysもそれ知ってる設定でないと、ホントにヤオ臭くなるので
結局リュウは焼餅つーより「ずりーぞ(女の子の分際で)あんな美人にチューしてもらいやがって!」
となるパターンかと思ってた…間違ってるかなあ?
66名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 21:04:54 ID:mLO2tYGX0
いや、色々な設定が同時平行してていいんじゃないか。
基本はただ一つ「メビウスは女の子」だけ。
後は「予想外の事態をもたらすのはキング」かな?
67名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 21:06:51 ID:lzOV3JqP0
俺らが大変な時にてめーはいい目会いやがって(女の癖にーっ!)
だと、思ってた。自分は。

コネタは投下してください。軽い気落ちでOK。需要多いと思うぞ。
というか、ちゃんぽんなほうが、それぞれの味が生きるから欲しいぞ、激しく。
自分、書きたくても思いつかないんですよ、コネタ。
自分、長くなっちまってるから、すごく諫言が耳に痛かった。
でも話を中途半端にしたくないだよorz ゴメンナサイ。
68名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 21:30:05 ID:HNmAa1qt0
今のタイトル書くの面倒だからふわふわと名乗る。多分バレるし。
長編を始めたのは確か私だな、それ以前は全て単発か設定モノだった。
というか、白痴メビネタがほぼ半分を占めていた。懐かしい。

なんらか謝罪して欲しいのだという人は名乗り出て説明してくれればそうする。
とりあえず、騒動の発端になったことはすまんかった。
69名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 21:56:57 ID:k/ninsaC0
次回予告パロとか「仕事しろ」のゾフィーAAだのソードマスターヤマト改変とかやった者ですが

>>64
自分の中では1。SSによっては2の設定のものもあるみたいだから1じゃなきゃ駄目だってわけではないが
むしろミライにキスしたアヤに嫉妬(女同士と分かっていても)というのはどうだろう

自分では長編とか書けないから長編書いてる人たちは素直に凄いなと思ってる
小ネタとか単発ネタとかは落としづらくても落としてみてはどうだろう、需要はあるみたいだし
感想とかつかなくても落ち込むことはない、つけば嬉しいけどそれは個人の自由だから

>>68
誰も謝罪は求めてないだろうし、別に貴方が発端ではないと思う
70名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 23:18:10 ID:rSTjdq3F0
801臭いとかいわれても、自分はピンとこないんだよ。
だって、端から「ここのメビは女の子」で萌えたんだもんな。
リュウのヤキモチネタだって、別に変とも思わなかったし。
だって、妬くときゃ犬猫にだって妬くもんよ。←人としてどうよ、とはいわないでくれorz

単発ネタもドシドシ落としてほしい。いろいろ読めるのが楽しいから。
71名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 23:20:03 ID:Kh9IctW00
>>68
「謝罪して欲しい〜」なんて誰も思っていないと思うけど、そういう発想がすぐ出ちゃうんなら
貴女にはこういったコミュニティは向いてないよ
今のタイトルだって投下する時は入れるんだろうし、コピペできるだろうし
なんか不思議な人だなと思うくらいで
72名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 23:22:10 ID:HNmAa1qt0
>>71
ごめん、後半なんのこと…?
73名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 23:51:52 ID:Kh9IctW00
いや、あえて今の投下作品のタイトルぼかしているのかなとか、そういうところが不思議ちゃんだなと
ミライとオソロイだとでも思ってればいいよ
74名無しより愛をこめて:2007/02/23(金) 23:57:18 ID:HNmAa1qt0
>>73
ああ、続くんなら毎回コピペ面倒だなと。
というか、正直レスつける必要が皆無なように見えるんだが…?
75名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:05:04 ID:7mrURrs30
万事がそんな感じだから、何処でも誰とでも揉めるんでしょ…
行くスレ行くスレで騒ぎ起こすんだもん、飽きれるよ
76名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:06:57 ID:s8/gzLPt0
だから、謝って欲しければ言って欲しいと。>>75
具体例と説明を入れてくれればいいよ。
77名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:09:40 ID:s8/gzLPt0
例のスレで書くのでよろしく。
お邪魔しました。
78名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:10:32 ID:wHwSsXE90
いい加減スレ違い
79The Hanged Man.34:2007/02/24(土) 00:20:16 ID:s8/gzLPt0
アス(さむいな、ここは。80がいればなんとか痕跡が辿れると思ったけど、
 気配も感じにくいなー・・・)

――しかし、お前が見たという人影とは何者だ?
アス「わかんない、しかもなんか近づいてきたら兄さんとのライン切れたし」
――ノアかとも思うんだが、さすがにお前を見て声も掛けないのは妙だしな。

アス(結構妙な御仁って噂、兄さんは聞いてないのかな?)
――なんだ?
アス「んにゃ、僕らじゃ映像の共有までは出来ないしねぇ、難しい」
――・・・今度コツでも聞いてみるか。

アス「隊長兄さんはなんて?」
――どういう呼び方だ、おい。調査員は出したが、お前が行ってくれたことで
 実戦力の投入までは考えていないとのことだ、80は有能だしな。
アス「正直、人割き過ぎになっちゃうよねぇ」
80The Hanged Man.35:2007/02/24(土) 00:21:45 ID:s8/gzLPt0

がさ

メビ「え? わっ、なにこれ」
イオ「地球で言うところの毛布、端が切れてるから横に動け、エルが起きる」
メビ「(なんで一緒に寝てるんだろ;)は、はい、うわ・・・体軽い」
イオ「うーむ、侮り難いな、ローテクノロジー。“防寒”という概念だ」

メビ「あの、エルさんはどうかしたんですか」
イオ「お前と引き離すと不安がるんだよ、なんか大変だった・・・。ただまあ
 おかげで随分温かかったんじゃないか」
メビ「想像つきません;」
イオ「俺もつかん。とにかくお前らが元気でいてくれないと困る」

メビ「・・・。あの、ゼノンは?」
イオ「枯れ葉を集めに行くとか言ってたが。どうかしたか、メビウス?」
メビ「いいえ(にこ)」
81The Hanged Man.36:2007/02/24(土) 00:22:46 ID:s8/gzLPt0
――

タロ「変なヤツでね、自分のことが頭にないというか・・・誰かが自分のこと
 関心にないってわかると笑うんですよ。とりあえずって感じで」
ゾフ「? 意味がわからない」
タロ「あー、違う、疎ましく、というほどでもないし」
ゾフ「“愛想笑い”?」
タロ「そうだ・・・なんで光の国の住人がそんなことをするのかと」

ゾフ「(ペンをくるくる廻す)そのくらい、私もやるが」
タロ「兄さんのは腹芸でしょう、技術の類だ。あの歳でそんなものが必要、、
 てか、生粋ですよね?」
ゾフ「正直、詳しくは知らない。一訓練生なんだ、お前のほうがまだしもだ」
タロ「嘘だぁ。だって、メビウスですよ、上位5位に軽く入る(ぺち)」

ゾフ「前から妙に拘ると思っていたが、その態度はよくない。らしくない」
タロ「・・・ごめんなさい」
ゾフ(どうしてやればいいのか、というのも甘いか。正直わからんな)
82名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:23:16 ID:xYq7ds/F0
>>77
具体的に誘導位してくれ。
83名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:24:01 ID:s8/gzLPt0
ここまで。

>>78
正直すまん。今後は最初から同じコースにする。
84名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:26:12 ID:gAybJvdJ0
>>77
まとめはどうすればいいのでしょうか
仮にまとめられなくても、最後まで読みたいから、誘導はしてほしい
85名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:28:02 ID:s8/gzLPt0
>>82,84
あ、ごめん、SSじゃないです。それはここでやりますよ。
86名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:35:11 ID:gAybJvdJ0
よ、よかった...早とちりで
87名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:35:57 ID:P9L85val0
皆、優しいな…正直、別スレに投下して貰いたい。

>>85
そっちの誘導しないから…。
88名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:45:27 ID:kOFRIsdc0
>>63
前のとき、「同人臭いのでスルーして」と書いたのは、男の子(外側)が女装するとか
いうネタがそれっぽいかな、と思ったから。
だけど、リボンの騎士でも男装のサファイアがさらに女装して亜麻色の髪の乙女に
なるってはなしあったし。。
実のところ、自分は、少なくともウルトラネタで書く時801を意識したことは一度も
ないので、そこはちょっと心外でした。男の友情やタッグを書くのは好きだから、
その辺がそう見えるのかな、鎖とか。
89名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 00:54:19 ID:kOFRIsdc0
リュウの嫉妬については>>70と同意見。「俺のミライに変なこと教えんなー!」て感じ。
個人的にカコがミライをいじくるのはOKだがアヤあまり好きじゃないんだな。
タロウの一代目さおりならいいけど二代目はいや、て人なんで自分。それと同じ。

住み分けについては>>54さんの忠告どおりとりあえずトリップつけるのでそれで堪忍
して。それでも問題ありならそのときはまた考える。トリップつけて、週明けから
鎖と闇のSS再開します。
90名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 01:02:16 ID:P9L85val0
>>89
落ち着いたら、また投下して下さい。

リボンの騎士とかベルばらとか、そういう少女漫画的要素が、ウルトラマンって少年ものと
ミックスされるのが面白いところなのかなと思ってる。
91名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 01:37:34 ID:XXU7gHAT0
>>63の言いたいことは分かる。ていうか、同意。
「おにゃのこメビウスでネタ」じゃなくて
「カップリング小説におにゃのこ設定がついてくる」って感じ

にょたしてるから801じゃないって思うかもしれないがリアルは男。
ここと現実は区別してるけど、本編(現実)の話をこのスレ的な見方で語られるとそれっぽく感じる。

それとも現実のミライが女の子に見えない自分はこのスレとは合わないのかな
アヤのキス見ても全然okだったよ。ホモ扱いされるよりマシかなって。
92名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 01:45:50 ID:bj+N/sqa0
変身体は兎も角、人間体同士の絡み(エロい意味でなく)を書く以上、正直ヤヲ臭いって
受け取られてるのは宿命みたいなもんじゃないかな〜本編の描写共々。
だって、殆どの作品がミライのビジュアル=五十嵐氏まんまの前提なワケだし。
ミライを女性タレントに置き換えたりは出来ないでしょ今更。

書き手が意識してなくても、過剰反応する人はいると思うんだ
(拒絶・歓迎入り混じってるかもしれないけどね)
93名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 01:51:29 ID:wFrVQOFV0
俺は、テレビ観てるときは、普通に観てるよ(どっちかっていうとお子様モードで)
このスレとは別だし、ホモは嫌いだから
ここに来たら、切り替えるわけよ
だってネタスレじゃん
94名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 02:40:49 ID:MDYu2BaG0
誘導
◎●ふと思ったことを書き込むスレ●◎ in特撮板
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1168234675/172-173
95名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 04:08:14 ID:8KkFS8w70
そういや養成所スレも荒れたの4スレ目だったなー。
そういう時期みたいなのあるんかな。
96名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 04:21:01 ID:KrE6lU410
光の国ネタ(ウルトラマンばっかり)がどちらかと言うとスキなので
女の子メビの借りの姿であるミライ(五十嵐くん)の性別に深くこだ
わった読み方をしてなかった・・。

97名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 07:25:30 ID:kOFRIsdc0
>>91
本編のミライ君はどんどんたくましくなってるし、あれ重ねるとつらいかもしれないが。
自分は801を意識していない。でも、ここの「メビウス女の子萌え」に自分が本気ではマリ、
しかもSSまで書こうと思ったきっかけは、初期のいくつかのMADだ。secretやstars、こないだの
切ない系のsonnet。あれに出てくるミライは美少女にしか見えない。男の姿を借りてるが、中身は
切ない女の子にしか見えない。自分のSSのミライはあれだと思ってるし、本編見てやっぱり男
っぽい、と思うときはまたMAD見直してイメージ高める。それが801だ、ホモだキモイということ
ならつらいが、あの神の様なMADへのオマージュなので、スレ違いとは自分は思いたくない。。。

ホモっぽく見えたりキモかったりするのは自分の文章力のせいも大きいのだろうな。
すまんかった。。
98名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 08:21:10 ID:GuR2N7620
>>91
同じくアヤとミライのカップルは好きだ。

昔やってたアニメのファイバードの、火鳥勇太郎と国枝美子先生みたいに
天然男と年上のしっかりお姉さんのカップルってほほえましくていいよね。
99名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 08:28:09 ID:VN3vqu2J0
>>98
一瞬百合かと思ってしまったじゃないかw
火鳥兄ちゃんと美子先生は自分も好きだが
100名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 09:26:02 ID:3vZWzc4U0
アヤの件、ちと唐突とは思うが・・・やるんならテレビでもっと前から絡んでほしかったな。
ガイアのガムとアッコの時も似たようなこと思ったが。
(後からガイア全部見直せば、少しあったんだけど、唐突感が。
米田さんみたいに前々からしっかり複線ひいて欲しかったっす)。

で、このスレではおにゃのこ、で切り替えて萌えてるが。
テレビの男前になっていくミライも好きだぞ、自分。

そーいえばミライとカトリにーちゃん、にてるよな。
天然マジボケのいざとなったら男前。
さすがにミライはタワシを食わんだろうが。
101名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 12:16:34 ID:gkqCY36J0
アヤの件>>
自分はいきなりすぎと、とんでもないセリフ(白馬の騎士)で引いた。
今時それはないんじゃってね。あの脚本家さん、たまにとんでもない暴投があるよな・・・

リュウがヤキモチ>>
見かけが男でも、女でも(GUYSの面々は女の子だと知ってる)リュウがミライに惚れてれば

「俺のミライに何をする!!!」

なんじゃないかい?(相手が)女でも独占欲が強ければ、ブチ切れんじゃない?あの熱血君
と自分は思ってたんだけどね〜

リュウ×ミライのスレからメビは女の子で分離してきてんだし・・・

本編は本編、こっちはこっちで切り替えて楽しめばいいんじゃないかい?
本編ではこうだったけど、メビが女の子だったらこうだよね、みたいな。



102名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 12:21:56 ID:CdipFtpC0
バレスレに出てた画像のひとつ、メビの美しさに萌えた。(兄さんと一緒に構えてるやつ)ハイホビやるなw
すまん、議論に秋田。長編でも何でも読みたい
103名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 13:09:53 ID:gkqCY36J0
>>102

同意。
104名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 13:18:51 ID:GuR2N7620
>>100
いや、ミライだったらタワシコロッケみたいに出されたら、
ちょっと匂いをかいで食べてしまいそうだ。
それで「これ、ちょっとおいしくないと思います」と申し訳なさそうに言いそう。

>>101
確かにリュウは熱血バカだろうけど、見境なしに嫉妬するような了見が狭い男じゃないと思うぞ。
105名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 14:16:28 ID:bj+N/sqa0
うん、男はいくら独占欲強くても、自分の彼女が同性に頬キスされたくらいで普通妬かない。
キスした相手がレズ趣味姐さんだったら少しうろたえるかもしれんがw

リュウは十分大人だし、女相手に「俺のミライに…」て嫉妬、では違和感ある。
どっちかってーと「女に先を越された!」って少し奮起(何に?)、て展開か。
106名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 14:47:51 ID:nmcI31iA0
もともとリュウはミライをやたらかわいがってるからなぁ。手のかかる弟(妹?)分みたいに。正体知って丸くなってからは溺愛ぶりにも拍車かかってるし。
ちょっと溺愛しすぎでやばい方向だけどな。なんか嬉しそうに80人形買ってくるわ、ビオにやられてると速攻勘違いして撃っちまうわ、レオに銃を向けるわ。ミライ絡みだとナチュラルに判断力がふっとんでるし。
それこそ、可愛い恋人を猫かわいがりし、なおかつ独占欲全開の体育会系DQN兄ちゃんみたいじゃないですか。いろんな意味でw

で、ミライがキスされる。
あー、知ったらきっと「可愛い弟(妹)をとられるすっっっごい複雑な気分」は最低でも味わうなリュウは。
あれ、本当に複雑な心境なんだよなぁ……。
おまけにそういう場合、たいてい弟(妹)は天然で、どうして兄貴が微妙に不機嫌かわからないんだぜ。 orz
107名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 15:02:18 ID:GuR2N7620
>>106
さすがに、そこまでいくと、ちょっと引くわ。

いままでミライは、兄さんたちと違い特定の彼女もなく、色恋沙汰と無縁だったため、
逆にリュウさんとのウホッ臭が鼻につきすぎて、それを緩和するために
「メビウスが女の子だったらホモじゃない!」という発想で見てた。

だから、ミライに彼女がができれば、それはそれで良いことに思える。
個人的にリュウが相手じゃなきゃ嫌とかでなくて、
とにかくメビウスがホモ臭くなくなればいいので。
108名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 15:20:39 ID:wFrVQOFV0
議論から見解披露だか雑談だかわかんなくなってきたけど、面白いぞ!!
これなら職人じゃなくても参加OKだしなwww
ネタが落ちてくるまで、もっとやれー!という感じ
109名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 15:21:35 ID:J25iFu/I0
>リュウはそこまで了見の狭い男じゃない
ものすごく同意。

このスレはさすがに「特撮板」でやるには無理が出てきていると思うんだが。
同人臭や腐臭(書き手や住人にその気がないにしても)は通常の板では
嫌われる事が多いんでな。<笑えるようなネタスレは盛りあがりもするけど

例えば「難民板」に移動して仕切りなおすとかってのはどうだろう?
2ch初心者が多いようだから1つの案として提案してみるよ。
110名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 15:36:56 ID:g9TqNHVAO
>>106
そういう腐女子臭い発想のレスがこのスレ落としめてることに
いい加減気付いてくれ。
こんな超解釈書き散らしておいて
「私は801とは思ってない」なんて言い訳しても、何の説得力もない。
他の有志のフォローも無駄にする気?
>>107には同意。
111名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 15:54:00 ID:gkqCY36J0
>>109
「特撮板」でやるには無理

なんだろーね、本当の所は。引越しもありかも。
雑談とか軽いネタとかはここで、長編なんかは難民スレとか。

作者さん方はどうなんでしょう?
新しいところですっきり出直しの方がいいのかな?
112名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 16:19:17 ID:7I+uexDO0
 引越しの問題

 丸ごと引越 新しい人が流入しにくいんでは。

 一部分離  魅力が薄れなくないか? 色々混ぜ混ぜがここの魅力の一つだと思うのよ。

 ふと疑問。
 皆さんはいつごろからスレに?
 自分は分離前のラブラブスレからロムってた。
113名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 16:28:56 ID:cInZeY+1O
ネタいろいろ混ざってなかったじゃん最近w
分離前からずっとロムってたけど誰かが書いていた通り
スレ内改善どころか進歩してないし。
何度同じ忠告受けてんだよ。だらだら同じ事の繰り返しで進歩ねえ。
114名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 16:32:00 ID:ZFhSSq650
1ROM人(ラブラブスレから)の立場から。

長編の投下の際「今日はここまで」を最後に書くのではなく「今日は○レス投下」と
最初に書いておいてくれるとありがたい。
「5レス中の1レス→1/5」とかやってくれると読み手には親切かと。

長編大作は今のところ読んでいない。正直追いきれなくなったので。
完結してからまとめて読もうと思ってる。

引越しはしなくていいと思う。ネタスレは他にもあるし、時々似たような議論は起きてるし。
今までの作品はどれも面白く読ませてもらってる。それぞれに魅力がある。
115名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 16:32:09 ID:wFrVQOFV0
106と「私は801とは思ってない」人は別の人じゃないの?

>>112に同意
ラブラブスレからロムってた自分はそもそもガワ萌えだったしな
楽しめればよかったから、こだわりの多い人が多くてちと驚いた
趣味の合わないものはスルーが当然だと思ってたし
116115:2007/02/24(土) 16:35:28 ID:wFrVQOFV0
ごめん最後の一行書き忘れた

でも自分は全部読んでるよ
117名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 20:33:53 ID:XaU0mJNC0
つぶれや様ってヒドいな
118名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 20:34:53 ID:XaU0mJNC0
誤爆
119名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 21:36:41 ID:5gUAVSgn0
>>110
>>115氏の言うとおりで>>106とは別人だ。もうどっちでもいいけどな。
とにかくトリップつけるから、やな人はスルーしてくれ。引越しするのは、
その辺見極めてからにしたい。それでもだめそうなら、結末はこうですよっ
てのだけ書いて引き上げる。それなら未完にもならんしな。。
>>113
一人でいろんなネタ書き分けるの無理。いろいろ混じっててのは書いてな
い人に言って。長編職人の来る時間って昼休みか朝方か深夜が多いんだし、
何とでもなるじゃん。どんどん書いて楽しんでくだされ。
120名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 21:50:37 ID:g9TqNHVAO
>>119
申し訳ない、110は貴女を限定して書き込んだ訳ではないんだ。
「私は801と〜」の前に「後から」を入れたつもりでいた。
不快にさせて悪かった。フォローのつもりではないんだが、
貴女の「鎖」ネタは楽しく読ませてもらってる(レオ好きだし)。
こんな状況で厳しいかもだが、再開待ってるよ。
121名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 22:01:56 ID:gkqCY36J0
話を投下する人は、名前欄か、もしくは話の始まりに話数を書く。
読まない、または読みたくない人はスルーする。

で、スレ内住み分けすれば良いんでは?

書いてる人も、読みたい人も、読みたくない人も、
好きな作品のスレに来る権利はあるわけだし。
本編はもうすぐ終わっちゃうんだし、今しか楽しめないんだから。

揉め事は終わりにして、前みたいにマッタリ行きましょ〜よ。
12245.5話:2007/02/24(土) 22:06:19 ID:7I+uexDO0
 うーん。一生懸命コネタ考えたけど、この体たらくorz 才能ねぇな。
 メビはおにゃのこ、ミライは男性体で

45話ラストのリュウとミライが、がっつり抱き合っているのを見て
サコミズ (あのねぇ・・・中身は女の子って分っているけど、見た目男同士・・・。
      二人っきりで公園でサンドイッチも視覚的にどうかと思ったけど)

45話放映後の会話(報告) 
ミライ 「アヤさんに頬に唇押し当てられたんですけど、あれってキスですよね」
サコミズ「orz」
  ↑
見た目男女だと、今度はプラトニックで百合になってしまう事実に気付いて頭痛い。
123名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 22:08:51 ID:5gUAVSgn0
>>120
いや、こちらもなんかケンカ売るみたいな言い方になってしまって申し訳ない。
少し書き方変えてなるべく短くなるように今調整してる。
お絵かき掲示板で報告氏が投稿宣言したのを読んで、少し元気が出た。
やり始めたことは何とかけりつけたい。エール、うれしかったよ。
 だが「貴女」はやめてけれ(^^;)武人に男も女もないように職人にもとりあえずは性別はない。
124名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 22:11:09 ID:s8/gzLPt0
>>123
貴方の渋いレオはマジ好きだ。
実はアストラのほうは若干影響を受けた、すまない。
125名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 22:12:33 ID:wFrVQOFV0
>>122
やはりどこまでも苦労するサコwワロタ
126名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 23:06:10 ID:g9TqNHVAO
>>123
重ね重ね失礼したOTZ
「あなた」の第一変換候補が「貴女」だったもんでそのまま・・・

>>122
こういうさりげないネタ、もっと見たい。GJです!

住み分けについては121に同意。
長編小説が好きな人も、短編小説が好きな人もいる。
テンプレにあるように「様々なネタが投下できる雰囲気」
が戻ってくればいいなと思ってる。
127名無しより愛をこめて:2007/02/24(土) 23:27:54 ID:CdipFtpC0
今日の「泣くな、みっともねぇ」の後抱きつかれて「・・痛ってえ」のリュウは
まんま「闇」に出てくるリュウな気がしたな。すげーいい表情だったとオモ。

それにしても、先週からの人類不信話にジャック兄さん(本編でついに呼ばれたな)が重みのある言葉を。
「・・・人間の美しさも、醜さも・・」それでも人間を好きでいてくれて守ってくれていたんだなあと
マジ泣きしそうになったよ、家族の眼があるんで我慢したけどw
128名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 00:27:32 ID:vEDe1ZiQ0
何にコーフンしたかって、そりゃあもう。

「デスレムの火球から市民庇って倒れこんだメビのウェスト〜ヒップのライン」

これしかないです。もーセクシー通り越して鼻血出そうでしたよホント。
129名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 01:09:07 ID:jrcfoKvS0
>128
同感!あれの中身って男なんだよな・・・俺より細いorz
130名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 01:10:34 ID:E/ousBeuO
》GJ!

メビが男の子として育った理由を考えた。

1 兄5人ぐらい、弟4人ぐらいの男所帯で友人も男ばかりだった。

2 姉が7人ぐらいで、男の子が欲しい両親は、末っ子メビを男の子として育てた。

3 両親も天然だったため、メビが男の子の真似をしても注意しなかった。
131名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 01:18:51 ID:6/2fhvGz0
>>130>2 姉が7人ぐらいで、男の子が欲しい両親は、末っ子メビを男の子として育てた。
それでオスカル様に滝涙w
132名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 01:38:52 ID:q+kutMe50
>>129
あれはスーツアクターの岩田栄慶さんと思われます>細腰セクシー
最近メビウスの中は岩田さんが多いような。
メビのスーアクは和田三四郎さんが多かったけどここの所見ませんね。
シリーズ前半は和田さん、山本諭さんで演じられてたのが、最近は岩田さんか山本さんに。
岩田さんは今までヒカリ、タロウ、ゾフィーなどお兄さん役が多かったです。
今回は山本さんがジャック(山本さんの方が少し筋肉質)をやられてたのかなー

ヒカリ萌えなのでスーアクさんチェックしてたらわかっちゃいまして(汗
133名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 01:42:25 ID:FGCnWRGH0
>>132
ヒカリサーガのヒカリが確か岩田さんと聞いた覚えがある。
なるほどそうか。
134名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 01:48:47 ID:6/2fhvGz0
>>132
11月頃、和田三四郎さんが怪我されていたとブログで読んだ覚えがある
その所為かもと思っているんだが
和田さんの後ろ姿と芝居、山本さんのアクションが好きなんだ
135名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 01:51:58 ID:FGCnWRGH0
岩田さんにはなんというか、透明感がある。ように思う。
和田さんのメビウスは可愛らしいね。

…山本さんにも今度注意して見てみよう。
136名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 02:05:26 ID:q+kutMe50
>>133
はい、ヒカリサーガのは岩田さんです。ヒカリにピッタリ、色気まで見える時がある!

>>134
和田さんの怪我は知りませんでした。
岩田さんはもっと細いんでしょうかね。
最近のメビのスーツが妙にダブついて見えるので…(←一時夏やせと思ってた爆)

>>135
「エースの願い」のエースも山本さんかも。フトモモの具合が同じ感じだった!


とはいえ本当の所はわかりません。テロップの順番などで推測してるので;;;;;
あくまで個人の見た目なので間違ってたらゴメンナサイ!

…というか完全にスレ違申し訳ない!
137万能の神はいない:2007/02/25(日) 09:59:42 ID:D746BY7l0
 万能の神はいない91〜98投稿いたします。
 お気に召さない方はスルーをよろしく願いします。

 ちと書きたいことをテレビで表現されちまって凹んだ部分もあったりorz
138万能の神はいない91:2007/02/25(日) 10:01:45 ID:D746BY7l0
 休暇を申請すると、あっさり通った。
 一応大分落ち着いたとはいえ、昨日今日でミライの様子が心配なだけにありがたかった。
 そこでツヅキが隣にいる、とミライが言い出し、リュウは慌てて青木宅に電話した。
 実際いた。今、食器洗っているわよ、と青木Fに言われ、リュウはこめかみを抑えた。
 しっかり朝飯までごちそうになったらしい。
 あの極度の寒がりに一晩、外に立たれたよりはるかにマシな事態とはいえ、お隣に保護
されるウルトラマン・・・見てくれが一応成人した男子だけに情けないことおびただしい。
 迷子になった保育園児じゃあるまいし(中身はガキと大差ないのかもしれないが)。
 青木夫婦が完全な部外者じゃないだけよかったというべきか、正体を知られている分、
極めてみっともないというか。――なんか頭が痛くなってきた。
 その様子が伝わったらしい。怒らないでやってね、と青木Fが電話口でくすくすと笑う。
 確かに心配させたんだろう。怒るに怒れないのは確かだ。
リュウは自分が休暇をとったことを告げ、ツヅキに出勤するようにと伝言を頼んだ。
 途端、僕も休みます! という大声が電話口から聞こえた。もっと頭が痛くなった。
 電話の最中、ずっと聞き耳を立てていたのだろう。全く、あいつはうかつすぎやがる。
しっかり地球人の聴覚を踏み超えている。モロバレじゃねぇか。そりゃ地球人にもマリナ
みたいな特異な例外はいるが――そこで自分のうかつさに気付いた。
 コノミに口止めを忘れた。サコミズは――しただろうか? 別口の頭痛がした。かなり
まずいかもしれない。男の二人はともかくとしてマリナには責められそうだ。今まで自分
の周辺の不穏さを黙っていたことに対してだ。いや、ミライの件しかコノミは知らない。
今日明日中にでも連絡をすれば、多少報告が遅れたことに対する文句ぐらいですむか?
 電話を切った後、いつもより少し遅めの朝飯を食べた。
 ミライの口数が少ない――それでも、昨晩よりずっとましだ。
「今日一日、家でごろごろするか?」
 そうリュウが言うと、ミライは「はい」とうなづいた。まだ泣き顔に近い笑い顔だった。
139万能の神はいない92:2007/02/25(日) 10:03:11 ID:D746BY7l0
 最初にテッペイに電話した。自分の件は黙り、内容は保育園で起こったことでミライが
ショックを受けている、ということだけ。リュウが告げた時、その落ち着いた態度から
コノミからすでに話が行ったことは間違いなさそうだ。周辺には気をつけるように言って、電話を切る。次は・・・ジョージは時差を考えると(時差−8時間だ)、電話は非常識だろう。
 マリナか。そう思うと本気でリュウは頭が痛くなってきた。マリナとは表現は悪いが
相性が悪い。より正確に言うと分が悪い。悪すぎる。しばらくリュウは電話を睨みつけて
いた。が、ついに意を決して、リュウはマリナの個人の番号をまわした。
「遅かったじゃない、熱血馬鹿」
 案の定、第一声からコレだ。幸い――マリナはそれだけで矛先を収めた。
「ミライはどうなの」
「・・・まだ情緒不安定でよ。昨日今日じゃしかたねぇんだが・・・笑った後、急に泣く」
「そう――ミライ君、つらいわね。私たちだってきっついわよ。ミライ君、周辺で親しい
人間を失ったことないでしょ? 私達の場合デマだったわけだし、死亡情報は僅かな時間
だったし。それでも戻ってきた後、あんたに抱きついて、泣いていたじゃない」
「・・・そうだな」
 泣き虫だったよな、昔から。
 ふと、思い出したのは、バン・ヒロト。親しい人間ではないかもしれないが。
 最初に出会った地球人。そして最初に救えなかった地球人。ミライの擬態モデル。
「お前も周辺気をつけろよ」
「頼んでもいないのにボディーガードがついているから平気よ」
 マリナが言い放ったセリフにリュウは息を呑む。はん、とマリナが笑う気配がした。
「・・・気付いていないと思った? たまに報告している声が聞こえるんだから。私の耳を、
甘く見ていたのね。ミライ君が戻ってからずっとくっ付いてるわよ」
「・・・すまん」
「いいわよ、別に。こっちを邪魔しないし。ストーカーとか排除してくれるもの」
「ストーカー? お前に?」
「熱狂的なファンとか、もう大変。俺のほうを見た! とか言って勝手に熱上げて、自宅
に乗り込まれそうになったり。自称恋人、一体何人いるか分かったもんじゃないわよ」
「――大変だな」
「おまけに凄く失礼よ。外見で熱上げてくれて。私はアイドル稼業まで営業してないわよ」
140万能の神はいない93:2007/02/25(日) 10:05:01 ID:D746BY7l0
「――で、アイハラ隊長とツヅキは休暇?」
「隊長は奥さんの側にいたいって。ツヅキは万が一に備えて待機するって」
 淡々とミハルは事実だけを述べた。が、
「ほんとワンコね。ヘタレだけど」
 いささかとがった口ぶりは今だ納得していない口ぶりだ。
「チャコ」
 リョウスケがややたしなめるように愛称を呼ぶ。言ってからしまったと思ったのだろう。
チャコは少しばつが悪そうな顔をした。
 ヒデアキはむっつりとデーターに目を通している。
 ・・・予想通りの光景にミハルはため息をつく。二人とも悪い子じゃないんだけどね。
よく言って理論派。悪く言えば頭でっかち。プライドは高くて気性は激しい。
 うちは頭脳労働のはずのインドア派が過激だ。
 まぁ気持ちは分からないでもない。
 今朝、いきなり訪問したイサナ隊長は常の軽妙さは何処へやら、物凄い勢いで総監室の
ドアを叩き――現在もお取り込み中だ。
 いくらアイハラ隊長と仲がいいとはいっても本来の身内である自分たちは脇において、
言っては悪いが部外者であるオーシャンの隊長が何故?
 ミハルだって異議を唱えたいことはある。
「何、調べとるん?」
「イサナ隊長の訪問記録――秋口から、ね。前以上に頻繁になったの。例のアヒル騒ぎ前
まで――夏のころまでの3倍よ」
 リョウスケにそう答え、チャコは更に操作を続ける。
 聞き流しているようなそぶりだが、ヒデアキもその様子に興味津々だ。
 ワタルはいささか渋い顔をした。チャコは腕がいい。そして時々度が過ぎる。無理やり
扉をこじ開けてしまうのだ。
「不祥事はよせよな。チームから犯罪者をだしたかねーぞ」
「痕跡を残すようなドジは致しません」
 つんとした態度で答えられ、ワタルはため息をつく。
 まぁ、『あの』超機密は電子データーで入力されているはずもないが。アナログだろうが
なんだろうが、結局、最重要の機密は紙以上の媒体を人類は保有していないのだ。
141万能の神はいない94:2007/02/25(日) 10:09:28 ID:D746BY7l0
「で、誰がやったかわかんないんですか?」
「確定的な証拠待ち。実は妙なことになってるんだよね」
「妙?」
「今朝方、タケウチ最高議長からタレこみ。ウルトラマン教って知ってる?」
「なんですか、その冗談みたいな宗教」
「ウルトラマンを信仰している宗教団体の通称。真面目にあるの。ウルトラマンに対する
『信仰』って多かれ少なかれ一般人にあるわけでしょ、日本人には。殆んどはウルトラの
父降臨祭みたいな実に他愛のないものなんだけど」
「あれは、殆んどバレンタイン商戦張りに商魂たくましい光景ですが」
「そう。昼はウルトラの父を祝って、夜はクリスマスイブ。んー。まぁ日本的というか、
えーかげんというか。厳格な国の人だと卒倒しそうな宗教観だよね」
 イサナの顔が険しいままなのは、一見滑稽な話に悪辣な思惑が仕込まれている事がある
のをたっぷりと思い知らされたからだ。高い勉強料だ。イサナもよもやアヒルのおもちゃ
がここまで深刻に展開するとは思いもしなかったのだ。
「今、教義を読んでいる最中なんだけど、キリスト教的な世界観と、西洋的ファンタジー
世界観のごった煮みたいな内容だった。一神教的なとこと多神教的なとこの、ちょっと
矛盾した感じがあって・・・小説だったら若い子向きの、えーと、ライトノベル? まぁ宗教
って見方を変えれば神話とかファンタジーみたいな面が多かれ少なかれあるんだけど。
正直言っちゃうと底が浅い新興宗教なんだけどね。ただ実際として何十年とウルトラマン
は人類を守ってきたという歴史がある。実績に裏打ちされたってやつ。だから変に根強い
んだ。信者からお金が流れているけど、信者が浄財として納得してればよそから口を挟む
ことじゃない。主張もやっていることも全般的に善行だしね。奉仕活動にも熱心に従事
しているし、間違いを直して清く正しく生きましょう、がお題目だし」
「・・・気に食わないって口ぶりですね」
「気に入らないよ。清く正しくウルトラマンに依存して。最後はウルトラマンがすべて
何とかしてくれるって、その態度は嫌いだね」
 自分の得た経験は異常だ、とサコミズは分かっている。その中でも一際特異なもの――
ウルトラマンとの邂逅。だから肌で知っている。
142万能の神はいない95:2007/02/25(日) 10:10:55 ID:D746BY7l0
「リュウの後をつけまわしたのは、そっち」
「つけまわしたの『は』?」
「宇宙ケシとは別口。なんかウルトラマンと関係がある、とウルトラマン教の熱狂的な
連中から探られた、らしい。どっからそんな話が出回ったのか・・・まぁGUYSJAPANでも
結構末端の職員まで『ウルトラマンを地球につなぎ止めている男』の噂は流れていたから」
「しかし、なんでリュウに・・・今のGUYSJAPANで残っている面子で、メビウスと戦って
いたのはあいつだけだからですか?」
「僕もいるけど、僕は周りが厳しくなっちゃったからリュウに行った可能性もある・・・失敗
したかな。リュウは居場所が掴みやすかった上に、身辺はツヅキだけだったからつけ込み
易く見えたか・・・。ジョージ、マリナは有名人だから割と簡単に居場所が割りだせるけど
周囲の目が厳しい。テッペイとコノミはその逆。ま、上のことだから恐らく皆の周りには
こっそりボディガードを配置しているんでしょうけど」
「コノミちゃんには山吹さんだっけ。そういや山吹も色か」
「パレット、というそうだ。ウルトラマンに関する情報部のプロジェクトの総括名。で、
ミライとリュウの周辺で展開しているミッションがカラーレンジャー」
「・・・あの、まじに戦隊ものだったんですか」
「タケナカ最高議長も結構お遊びが好きだからねぇ」
「・・・しかし、本当に偶然なんですか」
「じゃないか、と見られている」
「これも断定じゃない、と」
「そう。ただ星の御光は――ああ、ウルトラマン教の熱狂的な一派の名前ね――今まで
社会的な問題は起こしていなかったし、今回の宇宙ケシとの関わりが全く見られない。
連携をとっていたと仮定しても・・・声高にウルトラマンを排除すべしというイミュニスト
と、ウルトラマンを信仰の対象にしている面々じゃ主義主張が真っ向からぶつかる。水と油もいいところで連携を取れるものかどうか。研究員の周辺を洗っているけど、星の御光
の方とは今のところ全然接点がない」
「まじに余計な連中まで加わっていたのかよ、全く」
「・・・とんだ援護射撃になったことは確かだね。僕もリュウに注意が偏った。でも連携じゃ
ないにしても偶然にも程がある。やっぱり情報の流出源が気になるな。妙にピンポイント
な気がする。同じ日に、あの二人――リュウにミライだよ」
143万能の神はいない96:2007/02/25(日) 10:15:41 ID:D746BY7l0
「イミュニストとの関わりは?」
「あったよ。彼の大学時代――暴露すると僕の後輩だったんだけど、そこの同期生にいた。
イミュニストたちはあの大学OBに多いんだ。・・・素地はあっただろうね。ウルトラマンに
頼るな、自分たちの手で守れ、があそこにいた一の宮博士たちの主張で・・・」
 ふ、とサコミズは息をつく。
「自らの手で地球を守る。いずれはウルトラマンの力を借りずにすむように。大事な事だ。
僕やセリザワに限らず、あの人たちの言葉を受けて歴代の防衛隊の中核は育ってきた・・・」
 サコミズはそう長く沈黙しなかった。
「殺害された研究員は2年目の若手だった。つまりそのあたりの年代は最後のメビウスの
時ですら学生時代。メテオールが実際どのレベルまで使えるのか、肌で分かっていない。
世間で喧伝されているメテオール効果を鵜呑みにしていた世代だな。研究者を差別する訳
じゃないけど、机上の空論だけを見ちゃう傾向にある。・・・観念がまず先走って地に足が
着いていないっていったらいいかな。君たちみたいに最前線を経験していないから殊更」
「イミュニストに学生や若手研究者が多い、と言っていましたね」
「そう。特に理工系ね。・・・あの時から何年経つかな。怪獣災害も風化するもんだ」
 イミュニストの台頭は、ある意味で平和の代償だ。実際に怪獣や侵略者が頻発する中で
ウルトラマンを排除せよ、などという声が例え一部にしろ浸透するはずはない。例え、
どれほど高邁な理想論であろうとも、今襲い来る現実の前では説得力をなくす。
144万能の神はいない97:2007/02/25(日) 10:31:18 ID:D746BY7l0
 そもそも提唱者オオヤマとて、あくまで過度の依存に危機感から自立の声を上げた。
警鐘を鳴らしたものの、ウルトラマンを危険視していたわけではない。ウルトラマン
なくして今の地球がなかったことをこの上なく知っている――あの人も最前線に立つ隊長だった。
 それにしても、本来イミュニストは活動家ではない――他の排除論者と同じく、少数派
を自覚した、一種奇妙な使命感――啓蒙意識はあったにせよ。それがこれほどの短期間で
(先鋭化はここ数ヶ月。この変貌には一体どんな化学反応があったのか。きっかけは?
「そういえば、最初に来た新聞切抜きの脅迫状は、ウルトラマン教なんですか」
「・・・感触が妙らしい。リュウを尾行したことも、今、教団内でもめているらしい。情報部
の方も今まで重点的に監視していた、という訳じゃない。良くて念の為扱いだったしね」
 何かに祈る――それはサコミズにもある。思い知っている。宇宙でまさに絶体絶命の
状況にあった時――もはや自ら為す術がなくなったあの時に。
 締めることが出来ないならば、人は何かに祈る。祈る、しかない。
 そして、助けに現れたウルトラマン。
 あの瞬間、サコミズの目にも――確かに神に見えた。救いの神に思えた。
 だが『彼』に呼びかけられた時。そう、『彼』は一人の個人として自分に呼びかけた。
 まさかそのウルトラマンのために、神に祈ることになるとは思いもしなかったが。
 ミライの為に何度も祈った。痛切に祈った。幾度もだ。
 だから、神に祈る行為をサコミズは否定しない。
 だが、ウルトラマンを神と崇める行為に対しては拒絶感がある。嫌悪といっても言い。
 勝手なものだ、と自分でも思う。だが、何も感じない木石を勝手に祭り上げるのは構わない。
勝手に頼みにし、すがればいい。そして助けてくれないと罵ればいい。
 だが、彼らは、ミライは。
 メビウスがどんなに必死に戦おうと犠牲者は出る。その都度、ミライが抱え込んだ煩悶。
サコミズは一度だけ告げた。厳然とそこにある不変の事実。
 ミライ、君は神様じゃない。全ての人を救う術なんて何処にもないんだよ。
 どんなに強大な力を持とうともウルトラマンは全てを救う万能の神ではない。
 ――ミライ。昨日、君はどんなに傷ついた?
145万能の神はいない98:2007/02/25(日) 10:34:02 ID:D746BY7l0
 ジョージに連絡する前に、イサナから電話が来た。サコミズに全てを聞いたはずなのに、
いつものように今晩遊びに行っていい? とお伺いを立ててきた。常と変わらず、ただ、
声はいつもよりも静かで柔らかく、彼の気遣いを感じさせるものだった。
「今更遠慮すんな、気色悪い」
「あはは。そうだね。ワンコ、そこにいる?」
「昨日からずっとお隣ん家だ」
「お隣ぃ?」
 詳しく事情を話すと、イサナは爆笑した。
「ご近所づきあいが一層深まったって感じだねぇ。ま、これで四人で揃うわけだ。ミライ
に言ってよ。今晩はホットケーキの準備出来るでしょって。お人形とか、ミッキーマウス
とか、4人で揃ったらホットケーキで作りましょうって前にミライが言っていたでしょ?」
「ああ、そうだったな。ミライ!」
 イサナの来襲予告とホットケーキの件をリュウに告げられてミライは「はい」と笑顔で
答えた。なのに、ぽろぽろと涙がこぼれてミライは狼狽した。
「み、みっともないですね」
 泣くな、とは言われなかった。
 頭を引き寄せられてぽんぽんと背中を叩かれる。
 そのままリュウはイサナと手短に言葉を交わして、電話を切った。
「――昨日から子ども扱いですね」
「悪かったな」
「いいえ。でも、ここで泣いちゃ変ですよね? おかしいですよね?」
「おかしかねぇ。地球人だってそういうことは結構あるんだ」
「・・・はい」
 その言葉にミライは甘えることにした。イサナが来る。でも、その前に、今だけは。

 今回はここまででございます。
146名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 10:39:39 ID:qiv5CZKX0
>>137
できれば、トリップも付けてほしいです。
スルーするにしても、タイトルだと他のレスにも引っかかったりするし、
トリップつけてくれるのが一番やりやすい。

お互い気持ちよく、住み分けしたいですね。
147万能の神はいない:2007/02/25(日) 10:52:12 ID:D746BY7l0
 真剣に超初心者でスマン。
 トリップって名前の所の記入じゃなかったのか・・・勘違いしていた。
 ・・・勉強ガンバルよorz
148名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 11:30:01 ID:Aiib/Ups0
>>147

祝・投稿復活!
昨日の本編ともちょいとリンクですね。
149名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 12:11:54 ID:4YfQkkWZ0
>136
まことに申し訳ないが、SAGAのヒカリは丸山貢治。
SAGAのクレジットもちゃんと見ようね。

150名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 12:42:18 ID:FGCnWRGH0
>>146
それ少し考えていたんだけど、記号で代替って無理かな?
どう考えても使わない任意の記号を一つ入れる。
トリップだと長くなりすぎるんだよね。
この場合偽者の心配をする必要はないし。
151名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 12:43:19 ID:GZU8mJKa0
>>146>>149も最後の行は余計だと思うよ。
152名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:07:55 ID:qiv5CZKX0
>>150
タイトルがそれほど長大というわけでもないし、
トリップ付けられないほどじゃないと思います。

長文を書かれている職人のみなさんも、すでにトリップの件は承諾しているし、
それで長文が苦手な人たちと丸く収まったのに、なんで混ぜ返すんですか?
153名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:11:47 ID:FGCnWRGH0
>>152
状況を理解した上でいいって言ったの今のところ一人だよ?
(もう一人はトリップをこれから勉強するところだし。)

NGで排除出来さえすれば構わないと思うんだが。
154名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:39:00 ID:qiv5CZKX0
>>153
トリップの件は、長文が苦手な人とお互い譲れるところは譲って出てきた解決方法だし、
それがきちんと成されれば、考え方が違うもの同士でも信頼関係がしっかりできて、
このスレも落ち着くんじゃないでしょうか。

それに、やると言っておいて、やっぱりやめた、と言われるのは
その人の勝手ですけど、人間としては軽蔑します。
155名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:43:24 ID:FGCnWRGH0
>>154
だから今のところ承諾した人は一人しかいない。

タイトルで排除できると正直思っていたし、連載の場合は今までの関連スレなどだと
それが普通だった。
(オリトラスレかな? トリップ排除してるのは。)
それが駄目なのは「感想に掛かる」からという反論がさっき初めて出た。
通称で書いてるから可能だろうと思ったけど、そうじゃないとわかった。

だから、トリップ以外でレスに引っ掛からないものを提案してみた。
156名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:45:52 ID:FGCnWRGH0
ああ、トリップを付ける人に止めて欲しいと言ってるわけじゃない。
ただ試してみたら極めて読みにくいんだ。

どうしてもトリップ以外に無理というわけでなければ多少は融通利かせて欲しい。
157名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:50:21 ID:qiv5CZKX0
>>156

読みづらいといっても、タイトルだけですよね?
本文になにか影響あるんですか?

トリップにこだわるのは、特板以外の板でそのタイトルワードが引っかかる場合もあるし、
トリップならその点は絶対無いから、利便性で言ったまでです。
158名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:50:44 ID:2CkYpm+Z0
折角落ち着いてきたのに、また揉めるのか・・・
吊られたさんだよね?
勘弁して下さい。仏の顔も三度だよ。
A兄さんみたいに999回も耐えられない。
159名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 13:54:30 ID:FGCnWRGH0
わかった、議論をぶり返してすまなかった。
では以降使わない記号の組み合わせにさせて貰う。

一応毎回、投下の前に置いておく(投下回数の宣言もあるしな)。
160名無しより愛をこめて:2007/02/25(日) 15:34:41 ID:vgYJlv+M0
>>149
大変申し訳ありません。勘違いしておりました。
今クレジットちゃんと見て確認いたしました。(先に見てから書け、という事ですね)
他の皆様も混乱させてすみません。
もう余計な事は書きません。引き続き作品を楽しませて下さい。
161闇 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:13:24 ID:1o7MBRyy0
テスト。
162闇説明 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:16:17 ID:1o7MBRyy0
*おことわり:今回より長編作品(闇&鎖)投下の際はトリップをつけます。
タイトルのあと通し番号と消費スレ数とそのいくつめかを記します。
いやな方はスルーして下さってもよし、NG登録をしてくださってもよし。
未完に終わるのは自分もいやなので、とりあえず読んでくださる方に感謝を
しつつ最後まで投下すると決めました。

今回は闇です。あと6回(それぞれ5から6レス)の投下で終える予定。
鎖はそのあとでまた。まずは闇にけりをつけます。今回と次回は本筋から
少し離れたサブ事情。次次回以降がいわば最終局面です。
あと、オリジナルな人物関係の少し設定がありますが、結構他のスレでも
見る設定で、基本的には特に新しいものではないです。
(総監光太郎に想定している時点で皆さん考えたくなる設定かと)
 では作動します。

次レス以降「闇の呼び声」10、今回6レス分。
163闇の呼び声10 1/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:18:27 ID:1o7MBRyy0
ガイズ総監室。丘の上の公園―リュウとミライが初めて出会った場所―を、室内の
ディスプレイで見ている総監、東光太郎。傍らに立つのは、ただ一人この部屋への
出入りを公式に許されている総監代行のミサキ・ユキ。静かに会話を交わす二人。
**
「前にミライ君にウサギ林檎やらサンドイッチのバスケットやらを教えたのはきみだろう?
おかげで心配性の教官は気が気じゃなかったらしいぞ。 …俺には懐かしかったけどね。」
ミサキは黙ってかすかに笑む。「ミライ君、私のところへ来たときにこう言ったのです。
…その人は僕に、本当にいろいろなことを教えてくれたんです。間違ったことをしたとき
は誰よりも厳しく、まっすぐな眼で叱ってくれました。一生懸命すぎて誤解されるときも
あるけど、すごくやさしくて頼りになる存在なんです、と」
ふいに、ミサキの口調が変わる。「そんなことを言ってる本人が、まっすぐな眼で一生
懸命言うのよ。それで私、なんだかお父さんのことを思い出しちゃったの。…」
光太郎の口調は特には変わらない。「なんか複雑な気分だなあ、その評価。…あれはきみ
が小学生の頃だったよね」
「そうね。お父さんがまだ、こっちにいた頃。でもお父さん、あの頃からもう忙しかった
わね。めったにないお休みの日で、お母さんはたまたま叔父さんのところにいく用事がで
きちゃって、私はお父さんとデート。すごくうれしくて、気合を入れてお弁当を作った
のよね」少女のように肩をすくめるミサキ・ユキ。 光太郎は静かに微笑む。
「美味かったよ。塩水につけすぎたウサギ林檎がしょっぱかったのも良く覚えている」
「あのあとすぐね…。神戸の事件が起きて、ハヤタの小父様たちの代わりに、お父さん
はあちらに召還された…」
「すまなかった、さびしい思いをさせて」
「いいの。こうやって帰ってきてくれたのだもの。…お父さんが帰ってきていなかったら、私、ミライ君にあんなこと、教えなかったと思うの。ミライ君が、もしあちらに帰らなけ
ればならなくなったとしても、きっとまたこちらに帰って来られるようにと思って、また、
大切な人と会えるようにと思って、私がこうしてお父さんともう一度会えたように」
「ユキ…」
「今度もまた、きっと会えるわ。私はそう信じてる。…」
164闇の呼び声10 2/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:22:08 ID:1o7MBRyy0
**
これまで二度だけ、光太郎はミライに会ったことがある。一度は神戸で。もう一度は
この東京で。一度目はタロウに、かつて融合していた地球人として紹介された。二度目
は、サイコキノ星人の事件で落ち込んでいた彼に、会ってやって欲しいとサコミズに言
われた。純粋で、素直で、まっすぐな青年だと思った。実は青年に擬態しているだけで、
本当はウルトラ族の少女なのだと後で知らされて、驚くと共に納得した。少年とも少女
ともまた十分に分かたれていないような、無垢な魂。不思議な魅力がある。かつての
分身が、あれほどまでに入れ込むのも分かるような気がする。
セラフィタ。セラフィトス。…以前、世界中をまわっているとき、船の上で読んだ。
バルザックの小説だった。しかし小説の中の両性具有の天使と違って、あの子には
蠱惑的なところはない。ただひたすらに思い詰める。痛ましいほどに。ほっとけない。
…それはそれで罪作りではあるな。
**
 ユキ。きみはサコミズ君に妬いたりしないのかい。どうして?メビウスが地球に
来たときから、というよりバン船長のところからサコミズさんがあの子を引き取って
きたときから、私もあの子の保護者のつもりでいるわ。お母さん代わり、というのは
さすがに抵抗があるけど、よき姉でありたいと思っている。ミライ君だけではなくて、
ガイズのメンバー全員が、かわいくてしかたないの。素晴らしいメンバーよ。
 そう、だけど少し気になる。君とサコミズ君との間の雰囲気がね。君はともかく、
サコミズ君は時々つらそうだから。どうして?サコミズさんは私なんかよりずっと
大人なのに。ユキ。大人のほうがつらいことも、恋にはままあるんだぜ。お父さんに
そんなこと、言われたくないわ。それに今はそれどころじゃない。…
165闇の呼び声10 3/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:23:58 ID:1o7MBRyy0
光太郎は回想する。この席に座るようになってから、初めて一対一で、サコミズ・
シンゴと個人的に話したときのことを。若々しい容貌に似合わない落ち着き。むしろ
柔弱に見えるような優しい面差しの青年であるのに、ふと目を上げたときの視線の持つ
思いがけないほどの強さ、頼もしさ。実年齢と容貌の乖離についてはあらかじめ知らさ
れてはいたが、本人を前にするとそのギャップの大きさに改めて驚かされる。…しかし、
話していくうちに、繊細なほどの細やかな情念がそのうちに潜んでいることを感じ取って
再度驚かされた。…

「あちらは、いつあなたをこちらへ帰還させたんですか」
「メビウスを候補生に決めて、あの子にタロウが特別訓練を課すプログラムの認定が降
りた後だったよ。だから私は、今回まであの子と直接話したことはなかったんだ」
「あちらは、はじめからあなたを彼と分離して、あなたをこちらへ残すべきでした。
切羽詰った状況だったとはいえ、既に一人の人間にもどっていたあなたの人生を、あちら
の事情に巻き込んでしまったんですから」
「でもあの時はね、俺もどうしても行かなければならないと思ったんだ。一人の人間に
もどっていたのは、俺だけでなく、俺の中にいた彼もそうだったのだから」
「でも、あのときはじめから分離してあなたがすぐこちらにもどっていたら!ユキさん
もさおりさんも、もっと幸せに暮らせていたはずでした」
「いろいろなことが、すべて運命なんだよ。いろいろな出来事も、人とのめぐりあいもね。
あなただって、それは俺以上に良く知っているでしょう。…帰ってきてすぐ、俺は二人を
探した。だが、二人を見つけることはできなかった。健一君とすら連絡がつかなかった。
憔悴して神戸で見たのは焼け野原だった。召還される直前に神戸で見た一切の美しい景観
は破壊されつくされていた。…」
166闇の呼び声10 4/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:30:58 ID:1o7MBRyy0
あのとき、高校生だったユキは、四人の「伯父」をたずねて神戸にきていた。そして
巻き込まれたのだ、あの未曾有の震災に。(テレパシーさえ使えない、ただの人間であ
ることが、あのときほど恨めしかったことはなかったな)
「俺のいない間、二人の面倒を何くれとなく見てくれていたと聞いている。その年の
暮れに大学への推薦も決まって、挨拶とお礼に行ったんだそうだ。…さおりも、健一君も、
神戸で必死にユキの行方を探していた。ようやく会えたとき、二人とも疲れ果ててぼろ
ぼろだったよ」「……」
光太郎は妻と弟を連れていったん東京へ戻った。さおりには心身ともに療養が必要だ
ったのだ。病院の手配をして、そのまま神戸に戻りもう一度ユキを探した。「兄」たちに
も協力を仰いだ。だが、ユキはなかなか見つからなかった。ユキは、被災した人を二次
災害からかばって頭を打ち、一時的に記憶を失ってしまっていたのだった。彼女がかば
った「美崎」というその初老の女性は店を失い、足が不自由になった。ユキは記憶が
戻るまで、この女性と身を寄せ合うようにして暮らしていたのだ。…このとき、旧知の
仲だった美崎―かつて「マエノ」という名で防衛軍にかかわり、己の判断ミスでひとつの
星を壊滅させたことを苦に病んで、ひっそりと故郷の神戸に身を寄せていたのだ― を
陣中見舞いに訪れていたのがサコミズだった。二人はもともと大学の先輩と後輩で、
そのことを、光太郎はずいぶん後になってから現最高議長であるタケナカから聞いて
知った。(彼もまた同窓で、当時の参謀としてマエノの苦悩をつぶさに見た一人だった。)
サコミズと美崎、ユキという三人の不思議な縁を思う。

…半年ほど経ってようやく記憶を取り戻したユキさんは、まずはハヤタさんたちを
訪ね、お母さんの具合が悪いことを知り、それから、ずっと待ちつづけてきた、大好
きなお父さんがやっと帰ってきて、自分を探し続けていたことを知ったんです。
167闇の呼び声10 5/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:33:31 ID:1o7MBRyy0
「ユキが見つかったとハヤタさんから知らせが入って、とるものもとりあえず駆けつけ
た。俺の人生の中で、あんなに嬉しかったことはなかったよ。…だが、さおりの治療や
生活のための金が必要だった。俺は地球で改めて仕事を探さなければならなかったが、
10年のブランクは大きかった。もちろん、あなたが地上勤務に就いたときに感じたブラ
ンクとは、比べものにならないような、時間ではあるんだけどね」「いえ」

「ZATではたらいた経歴を生かせないかと思ったんだ。怪獣が封印されてから久し
かったけど、それなりに経歴を認められて働けることになった。…あなたの助言も相当
あったときいている」「私は何も。当時はまだ宇宙観測局の総括本部に朝比奈氏がご健在
でしたからね。対策本部室にいた荒垣氏も、オーシャンの科学部管理室長だった北島氏
もあなたのことをよくおぼえていたそうですよ」「朝比奈さんも荒垣さんも故人となら
れて、北島さんは退役して…まさか俺が総監になるとは、思ってもみなかったろうな」
「さあ、それはどうでしょう」「だって本来この席に座るべきはあなたでしょう。実際、
今でもよく分からない。俺は本当のところ、デスクワークむきの人間じゃないんだ」
「私だってそうですよ。…私は、とことん実戦向きの人間です」「そうは思えない。
あなたは沈着冷静で大局観を持つことのできる優秀な指揮官だ。俺は後先考えずに飛び
込むタイプだったから、ZATの時は随分同僚を心配させたものだった。…本当のところ
はどうなんだい?俺とタロウのことは、ガイズのドキュメントにも伏せられている。
俺を推薦してくれたという朝比奈さんも荒垣さんも北島さんも、俺がタロウと融合して
たことは知らなかったはずだ」「朝比奈さんは薄々知っていたみたいですよ」「…そう
いうことか」光太郎は苦笑する。


168闇の呼び声10 6/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/26(月) 00:35:34 ID:1o7MBRyy0
「…しかし、ユキまでガイズを志望することになるとは思わなかったな。聞いた
ときは少しあせったよ」「ユキさんはあなたにばれないように、わざと変名で
試験を受けたんだそうです」「かつて、ひとときだけとはいえ『家族』だった美崎
さんの名前で登録してね。ユキときたら、推薦で決まっていた大学を震災で休学
したのをいいことにいつのまにかガイズに入る準備を着々と進めていたらしい。
その辺も全部『美崎』名にしてたんで、気づくのが遅れてしまった。よっぽど
美崎さんへの思いは強いらしいね」
「それもありますが、むしろユキさんは、ずっとずっとあなたにあこがれて、
あなたの歩む道をずっと追いかけているんですよ。…東光太郎という無敵のウル
トラ・マンを、ね」

**
 ウルトラマンとの融合体験を持つ俺が、しかも今は平凡な一人の人間である俺が、
ガイズの総監という任務につく、か。まあ、君という存在に対する一種の影武者だと
考えて良いんだろうな。君は、あくまで現場で実戦の指揮を取る。その君の上官として、君の今の状況をある意味一番理解できる者、補佐できる者、そしてウルトラマンの事情
をもよく理解する者が俺というわけだな。あなたの総合的能力に対する評価ですよ。
それにプラスアルファして、ということはあるかもしれませんが。遠まわしな言い方は
好きじゃないよ。こういう位置にある人間が他のメンバーに秘密裏にされているという
のも本当はあまり気に食わない。仰々しいのは好かないよ。俺はもともと風来坊的生き
方しかできない人間だからな。ご謙遜を。あなたを直接に知る人のすべてが、あなた
という人間に魅了されてやまない、そのことを私は身にしみて知っています。やはり
あなたは、ウルトラ・マンなんですよ。

**今回以上。
169名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 08:26:50 ID:1o7MBRyy0
ええと、感想はトリップなしでいいんだよね?

>>138-145
旧ガイズ・新ガイズ入り乱れての展開が面白かった。
個人的にはストーカー撃退のマリナたんに禿萌。
ミライ、ホットケーキ食べて早く元気になれよ。
本編ではあの後みんなでカレー食べたのかな。。太田愛脚本の回はいいな。。

170インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/26(月) 10:04:46 ID:kaXw7Whp0
test
171インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/26(月) 10:12:52 ID:kaXw7Whp0
すみません、あげちゃって・・・・orz

基本は一日1レスですが、月曜日は3レスぐらい(土、日分)。
事前に「何レス投下します」という連絡ではなく、「今日はここまで」方式の方が投下しやすいので
(改行エラー等が発生した時、その場で削ったり直したり、即興で1レス分追加したりする。たまに2レスある時などはそう)
そちらでさせてください。
172インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/26(月) 10:14:32 ID:kaXw7Whp0
フィフストレーニング3-6

「34番でお待ちの方。いらっしゃいますか?」
「ああ、我々の番だな」
ゾフィーはメビウスを促して立ち上がる。受付カウンターに行くと腕時計を一つ渡された。
「お待たせいたしました。アニマル星へようこそ!
アニマル星の滞在許可時間は、銀河標準時間で5時間、アニマル星時間で2時間15分になります。
こちらがアニマル星の時計です」
「わかった。ありがとう」
「シャトルはご利用になりますか?」
「いや、大丈夫だ」
「かしこまりました。それでは、お帰りは2番ゲートよりお戻りください。
それでは、行ってらっしゃいませ」

「あ、もう入国ゲートを?!」
『何ー!?すぐに追いかけろ!』
「80、見て見て!このジュエルバタフライっていう蝶々、とっても綺麗!見にいきましょうよ!」
観光マップをもらってきたユリアンが80の肘を引っ張った。
「無理ですよ!」
「え?どうして?」
「あ、ああ、いや、ごめん。なんでもない」
173インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/26(月) 11:16:09 ID:kaXw7Whp0
フィフストレーニング3-7

ゾフィーとメビウスは惑星の地表に向かって降下した。雲海を抜けると、コバルトブルーの海が視界いっぱいに広がってくる。
「わあ・・・・」
メビウスは陸地の濃い緑とそれを縁取る砂浜、そして様々な青を持つ海に声をあげた。
アニマル星は大気や海、土壌といったものの成分が地球のものと非常に似通った惑星だ。現在のところ文明を形成するような生物は現れておらず、様々な動植物が豊かに暮らしている。
銀河連邦政府はこういった惑星の幾つかを指定自然公園とし、管理保護下に置いていた。維持費の捻出のために多少は観光用として公開されているが、多くは絶滅危惧種等の保護、研究に力を注いでいる。
外部からの動植物の持ち込みはもちろん、持ち出しも厳禁とされ、観光者の滞在時間は短く決められていた。
「こういった惑星には来たことがないのか?」
「はい。以前に行った海洋惑星だとずっと海中に滞在していて。たまに空から海を見下ろしたり、小さな鳥を見たりしましたけど。
あそこも綺麗だったんですけど、ここも違った感じで綺麗です」
「そうか」
ゾフィーは赤道沿いに飛行路を変えた。
「何処に行くんですか?」
「以前に会った時は赤道沿いの小島に棲んでいたのだが・・・・まだそこにいるか少々探してみよう。付いて来てくれ」
「はい」

「80、ジュエルバタフライのいる森はそっちじゃないわ。えーとね、そっちは珊瑚礁の群生が見られるらしいの。
でも、それも綺麗よね。それよりもっと高度を下げて飛びましょう?」
「あ、いやあんまり低空だとこっちの姿が見えて・・・・」
「え?」
またもやユリアンに不審な目を向けられる。
『どうせなら海面スレスレで飛んだらどうだ?』
「勝手にテレパシー飛ばしてこないでくださいっていうか、人の会話を盗み聞きしないでください!
ついでに何処のレーダー対策ですか」
『じゃあいっそ海底に潜るとか』
「ちょっと80、どうしたの?」
「い、いや。そうだね、海に潜って珊瑚礁見ようか?」
「ええ!」
174インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/26(月) 11:19:40 ID:kaXw7Whp0
フィフストレーニング3-8

やがてゾフィーは群島の上空で一旦停まった。
「この辺だったな・・・・ああ、居た居た」
メビウスはその言葉に眼下を見下ろし、目をこらすが、人影らしいものは見当たらない。
「誰もいませんよ?」
「これだけの島の数から見抜くとは、私もまだ衰えたものじゃないな」
「隊長?」
ふふんと笑うゾフィーにメビウスは小首を傾げた。
「では降りるぞ」
「あ、はい」
群島のうちの一つに向かってゾフィーが高度をさげる。メビウスもそれに続いた。
亜熱帯系のジャングルに降り立つと、ゾフィーは腰の辺りまである下草に構わず歩き出した。メビウスは思いついたことがあって、その後姿に声をかける。
「隊長、あの・・・・」
メビウスの声にゾフィーは立ち止まって振り返る。
「ふむ、その『隊長』というのは今日は無しにしよう」
「え?じゃあなんて呼べば・・・・」
「『ゾフィーさん』とか」
「ええええ?!」
メビウスは悲鳴をあげて、後ろの木まで後辞去る。
「む、むむむ無理ですよ!」
「何故だ」
「だって、だって・・・隊長ですよ!?」
『ゾフィーさん』なんて言ったらゼノンが黙ってはいないだろう。「隊長に対してなんてことを!」と無表情のまま怒るに決まっている。だがゾフィーはメビウスの心中などお構いなしに詰め寄る。
「それは役職名。ほら、言ってみるんだ」
「すみません、ごめんなさい!無理です!」
「い・い・か・ら!」
「イヤーーー!助けてーーー!!」
175名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 13:17:40 ID:1o7MBRyy0
隊長ーーーーーー!!!!あきまへんがなっ!
急げ獅子座!!ってまにあわなさそーw
176名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 13:30:24 ID:kaXw7Whp0
>>万能 そっかー、マリナ達にもついてたんだ、護衛。
ああ、サコミズさんの立てたウワサが無駄に・・・・
イサナ隊長、久々の登場が嬉しいッス。

>>闇 光太郎さんとミサキさん、親子だったんですねー。無理なく説明されてて、とても良いです。
177名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 14:00:21 ID:DWFYwqOb0
>>174
無表情のまま怒るゼノン、に吹いたw
178名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 18:22:49 ID:1o7MBRyy0
楽しい単発も推奨。で、勝手に前スレ>>618につづけてみますた。

もものせっく

コノミ:はい、ミライ君、こっちが女雛でこっちが男雛ね。
ミライ:めびな…?
マリナ:女のお雛様ってこと。
ミライ:なんか僕の名前みたいですね!
コノミ&マリナ:(^^;)そ、そうね…。

アヤ;ミライ君、ずいぶん気に入ったんだ、それ。
ミライ:ハイ!

アヤ:でも、ミライ君は白馬の騎士だから、やっぱりこっちじゃないの。
この男雛さん、すごくハンサムでミライ君に似てるよ。
ミライ;…!! (でもぼくこっちがいいな…TT)

* *てなわけで。
ひなかざり(ガイズ編)
お内裏様:リュウ(けっ!) お雛様:ミライ(にっこり)
三人官女:マリナ・コノミ・ミサキ
五人囃子:ジョージ・テッペイ・サコミズ・イサナ・マル
左大臣:タケナカ(私はサコッチとペアがいいんだが) 右大臣:トリヤマ(うぃっく)

ヒルカワ:うええっ!ヒナ壇芸人勢ぞろいかよっ!
179名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 18:35:59 ID:dPhduPyf0
↑誰かコラ頼む!
180名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 18:37:00 ID:1o7MBRyy0
もものせっく2

ひなかざり(光の国編;いろいろ考えられそうだが)
お内裏様:タロウ(ふ…当然!)お雛様;メビウス(にっこり)
三人官女:ユリアン(何で王女の私がここ?)・南夕子(ひし餅ありますよ)
ウルトラウーマンベス(ナンデスカ、トツゼン?!)
五人囃子:マン・セブン・ジャック・エース・80
左大臣:キング 右大臣:ウルトラの父

ゾフィー:お内裏様は私だろう!早くタロウを降ろせ!!;
獅子座兄弟:まあまあ、隊長、抑えて抑えて。
ウルトラの母:後でダーリンと一緒に私設版でやってみようかしら。(父にウィンク)


連発失礼。ソフビでつくろかな。。。
181名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 18:42:15 ID:xkauq2xa0
>フィフストレーニング
笑えるんだけど、80が気の毒で……でも笑う スマソ80

ひなかざり(ガイズ編)は予想外のオチだなあw
前スレ>>618は仕事ネタにまとめちゃったんだけど、
もっとこのネタが増えるなら、ひな祭りでまとめるのもいいかも
182名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 18:49:48 ID:xkauq2xa0
いってるそばから、もものせっく2が来てたわ
リロードはこまめにせにゃいかんね
183名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 19:03:20 ID:1o7MBRyy0
1ってつけときゃよかったな。スマソ  
この後誰か続けてくれるとうれしい。ヒカリ&ゾフィー編とか。。

184名無しより愛をこめて:2007/02/26(月) 22:09:22 ID:dPhduPyf0
>>183
今北産業

ゾフィー「タロウめ・・・宇宙警備隊長の実力を思い知らせてやる!」

お内裏様:ゾフィー(得意満面)
お雛様:ヒカリ(細身に十二単が辛くて失神寸前)
三人官女:アミア、カミーラ、ババルウ(不穏な空気)
五人囃子:マックス、ゼノン、ネクサス、コスモス、ナイス(収集がつかない)
左大臣:キング 右大臣:ウルトラの父 (出たがり)

その他近衛兵:マン、セブン、ジャック、エース、タロウ・・・「何だ!この扱いは!」(暴動必至)

185まとめ2号 業務連絡:2007/02/26(月) 22:38:52 ID:eMVZjvOD0
まず、お詫び。
只今、過去ログが読めなくなっています。すいません。
場所借りるときに、過去ログの容量のことをすっかり忘れていた為のミスです。
(1ファイルの容量が大きくて、強制削除されてますorz)
過去ログが読めなくては「まとめ」にならないので、引っ越しを考えています。

そこで、皆さんにお訊きしたい。
総合まとめに習って導入したのですが、まとめ2号に閲覧用パスワードは必要ですか?
186名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 00:35:56 ID:LknPuCDB0
>>184
暴動w・・・て、おい、主役がいないジャマイカorz
187名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 00:49:06 ID:mBO9FRcK0
>>186
いやー、実はゾフィー内裏様は両手に花で、反対側の隣にメビもいるんだったりして!ww
>>184
吹いたーー!!! ヒカリたん色っぽいなー。五人囃子の平成ウルトラズもいい。
三人官女は。。。てかなんでババルウww
188名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 01:01:24 ID:mBO9FRcK0
>>185 いつも迅速な更新ありがとうございます。
パスワードの件は、もともと検索よけの一環だったと思うので、他の面で
検索よけ機能がキープされている状態であれば、なくても何とかなるのかな、と。
その辺あまり知識がないもので、甘いのかもしれませんが。
メビウスが女の子って設定、やっぱり特殊ですから、知らないで見たらびっくりしますよね。
ほかの皆さんのお考えは同でなんでしょうか。
189名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 01:01:45 ID:wqx0mBk/0
>>185
パスそのものより、検索避けとしては有効かとは思いますが。
お任せします。
190名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 07:29:41 ID:pomIWAm80
>>187
まさか、タロウがメビウスを離さないから、
ババルウに擬態させてる・・・とか。ガクブル(AA略)
191名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 07:32:35 ID:BgnkykQp0
 いつも迅速な対応、ありがとうございます。
 自分はその手のことに詳しくないので、お任せいたします。
192インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/27(火) 10:13:08 ID:A/Nnd+eS0
フィフストレーニング3-9

海岸に上がったばかりの80とユリアンの耳に、悲鳴が聞こえる。
「この悲鳴、まさかメビウス?!」
「メビウス?」
『何ぃ?!やったのか、ゾフィー兄さんが?!』
『すぐにメビウスを助けないと!!』
「わかっています!」
「ちょっと80!何が『わかっています!』なの?!」
走り出しかけた80の腕を、がっしとユリアンが掴んだ。
「うわわっ?!ユリアン、危ないじゃないか!」
「80、メビウスって誰なの?」
振り返った80は、やたら笑っているのに殺気を漂わせているユリアンを見た。
「なっ、ど、どうしたんだ、ユリアン?!」
「教えて80。メビウスって誰なの?」
「え、えっと・・・生徒」
ユリアンに掴まれた二の腕に、負荷がかかる。
「その生徒さんが、どうしてこの場で出てくるの?今日は養成所はお休みでしょう?」
「い、いや・・・そのゾフィー兄さんが」
「ゾフィーは養成所とは関係ないでしょ!
80、あなたひょっとして浮気しているんじゃないの?!しかも相手はその生徒?!」
「う、浮気〜〜〜?!違う違う!絶対に違う!!」
「じゃあさっきから変な独り言を言っているのは何?!テレパシーで誰と話していたの?!」
「あれはレオ兄さんとアストラ兄さんが・・・・・」
「レオがどうしたっていうの?!はっ?!あなたまさかレオに口裏を合わせてもらっているんじゃないでしょうね?!」
「ああ〜〜〜!」

「・・・・なんだか話がこじれてきたみたいだ・・・・」
「80、ごめん・・・・」
二人はそろってアニマル星の方角に向かって手を合わせた。ちーん。
「だけどこうなったら仕方が無い。俺たちがゾフィー兄さんを止めないと!」
「うん!」
193名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 12:53:38 ID:jYvuInUs0
>>節句ネタ

三人官女の1人は既婚者という噂が・・・。
あ、それでババルウがいる?
194名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 13:14:28 ID:mBO9FRcK0
>>194
「やったのか、ゾフィー兄さんが?!」>爆
二人はそろってアニマル星の方角に向かって手を合わせた。ちーん。>
80先生テラカワイソス 笑っているのに殺気を漂わせるユリアンが超怖ええーー
195名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 13:16:55 ID:mBO9FRcK0
>>194のアンカーは>>192

ジュエルバタフライ探しに逝ってくるorz。。。
196名無しより愛をこめて:2007/02/27(火) 14:46:18 ID:A/Nnd+eS0
パスワード、んー、連絡板に誰もいたずらしなければナシでも。

もものせっく>>ご満悦のタロウ兄さんとゾフィー兄さんが可愛いv
197闇 ◆smJNL9GJT. :2007/02/27(火) 22:10:50 ID:mBO9FRcK0
深夜でないのに出没し、恐縮ですが、闇入れます。今回5レス分の予定ですが、
微調整で6レスになるかも。(それ以上にはなりません)もう一回サブ事情。
198闇の呼び声11 1/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/27(火) 22:13:42 ID:mBO9FRcK0
やっぱ6レス。スマソ
*****
誰もいない、ガイズのディレクションルーム。テッペイ、コノミはガイズ緊急処置室
に詰めきりだ。通信機能などもすべてあちらで処理できるように臨時の切り替えがなさ
れているので、夕べからここにはクルーの誰も足を踏み入れていない。サコミズは、
自席近くだけに点灯し、棚から愛用のサイフォンを下ろす。…もう七時間このかた、
モニタと計器と書類を睨みっぱなしの部下たちに、一息入れるように何度注意しても、
二人は一向に応ずる気配はなく――おそらく外回りの部下二人も同じ調子で走り回って
いるのだろう――業を煮やしたサコミズは、自ら熱いコーヒーを立てて差し入れること
にしたのだ。だいたい、リュウの突入前から、クルーはほとんど休息を取っていない。
まったく、いくら若いといったって、無茶苦茶だよな。…
サイフォンの銀色の金具に、自分の顔が映っている。それを見てサコミズは苦笑する。
俺はこんな面であいつらの前に立っていたのか。憔悴しきった顔。指揮官の顔じゃないな。
部下が不安になっちまう。しゃんとしなくては。
ふいに、やつれた硬い表情の自分の顔に、ミライの幻覚世界の中の自分が重なった。
映像は不鮮明だったが、そのせいで、却っていっそう不穏な雰囲気が伝わってきた。
自分であって自分でない顔。おぞましいあの表情。…
199闇の呼び声11 2/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/27(火) 22:15:22 ID:mBO9FRcK0
(…サコミズ。)
サイフォンの中に浮かんでは消える泡を見つめながら、深い思考の闇に入り込んでしま
ったかのようなサコミズに、「中の人」が話しかけてきた。(どうしたんだ、ぼんやりして。)
ゾフィー。俺は、なんだか自分で自分のことに自信が持てなくなってきた。(何のことだ?)
あの時、俺は本当に、ただあの子の目を観察しようとしただけだったのかな。…
(何を言ってる、サコミズ。)
「中の人」の声は直接頭の中に響いてくる。目の前の銀の金具には、たった一人、闇の中
で眉を寄せ、疲労に押しつぶされそうな男が映っているだけだ。サコミズは目を閉じる。
…なんだか、苦しくなってきた。今頃、なんだか狂おしい気分になってきて、俺は…。
(君まで時空波のあおりを食ってしまったのか? 私が君の中にいるせいかもしれないな。
しっかりしろ。君は君だ。幻覚世界にいるのは君のにせものだ。君とは何の関係もない。
過敏になってしまったメビウスの恐怖心が生み出した、ただの幻に過ぎない。…)
目をかたく閉じたまま、サコミズは激しく頭を振る。…ミライは、俺の中にある不穏な
何かに気づいて、それで本能的におびえたんじゃないんだろうか…。
200闇の呼び声11 3/6:2007/02/27(火) 22:16:39 ID:mBO9FRcK0
(君はあの子のこの地球での父親代わりだろう。)…そう、ずっとそうだったし
自分でもそのつもりでいた。
(君はあの子をものすごくかわいがってきた。それは私がよく知っている。あの子が
地球へ来てからずっと、いろんなことを補佐してきた。いろいろな常識や知識も教えた。
だから、あの子は今あんなにも仲間に愛され、必要とされる存在になれたんじゃないか。
あの子だって君をこころから慕い、大切に思っているよ。君はいわば、地球でのあの子
の一番の理解者じゃないか。)
だから余計びっくりしたんだろう、あの子は。俺の中の剣呑な思いに気づいて。
(おい、サコミズ…。)
リュウが羨ましいな。…俺が守りたかった。俺が抱きしめたかったんだ、あの子を。
サコミズは自嘲気味に笑う。
…俺自身も分らなかったんだけど。子犬みたいな目をして、にっこり笑うんだ。
あんなのがウルトラマンなんて、反則だよ。いつも真剣で、まっすぐで、教えたこと
は何度もよく復習して必死で身につけようとする。それで「次はどうするんですか、
サコミズさん」といってまたきらきらした眼でこちらを見る。…可愛いと思った。
心から思った。はじめは、年のはなれた弟のように。子供のように。それから、
娘のように。妹のように。…だけど、いつのまにか。
(冷静になれ。君は疲れているんだ。時空波の影響で自分の心を見誤っているだけだ。
父だって娘を、兄だって妹を、自分の手で守りたいし抱きしめたいさ。私だってさっ
きはタロウに少し嫉妬したよ)
時空波が見せたという俺の姿はショックだったよ。だけどあれは、俺自身の中に
確かにある何かの具象化なんじゃないかと思えてね。あの子の心の中で、俺が恐怖
対象になっている。拒否されている。そんなことでこれほどつらい気持ちになるなんて、
自分でも思いもしなかった。…情けない話だな。
201闇の呼び声11 4/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/27(火) 22:18:13 ID:mBO9FRcK0
(しかし、君には恋人がいる。二人で父と母のようにあの子を見守ってきたじゃないか)
ユキさんのことか。…彼女が見ているのは、俺じゃない。はじめからずっとそうだ。
彼女は一途に、父親のことだけを見ているんだ。
(それは無理もないことだ。一番会いたかった時期に、会えなかったんだ。今、父親の
もとで仕事をすることが、彼女にとってどんなにうれしいことか、君が一番知っている
はずじゃないか。)
 わかっているさ。わかってはいても、ときどき考えてしまう。最初に出会ったときの
まま彼女と接することができていたら、とね。だが、もうそうはいかない。すべてを知
る立場に彼女はいる。確かに今でも慕ってはくれてる。でもそれは、恋人へのまなざし
ではないんだ。それはそうだよな。俺とユキとは、父と娘以上に年が離れているんだから。
本当なら。…
そんなときにミライが現れた。純粋でまっすぐな、ウルトラ族の少女。少年に
擬態していたけれど、全体から漂うやわらかな雰囲気は、やっぱり女の子のもの
だった。ゾフィー、雄雄しくてたくましいあなたのような存在とはまったく違う、
それは、やわらかな愛らしい生き物だった。可愛かったよ。いとおしかったんだ。
純真無垢に俺を見つめる瞳が。俺を、俺として見てくれる、ぶれないあの瞳がね。
202闇の呼び声11 5/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/27(火) 22:19:42 ID:mBO9FRcK0
(君は、生まれた年がどうあれ、実際にはやっぱり四十年分しか生きていないんだよ。
それに君は、宇宙を飛び回ってばかりで、結局恋のほうはからっきしだものな。)
あなたにそんなことを言われるいわれはないよ。…サコミズ・シンゴは鼻白む。「中の人」
はおかしそうにつづける。
(私にも、覚えがあるから分かるのさ。君は、部下の女の子がめがねからコンタクトに
変えているのにすぐ気づく観察眼はあっても、恋の相手となった女性にどうふるまえば
いいのか、さっぱり分からないでいる。ユキさんがまた、言いたいことをぐっと飲み込
むのに慣れている人だからな。今度どこかつれてってとか、あの服がほしいとか、素直
に言えばいいのに。)
ばっ…!
(ほら、すぐそんな風に赤くなる。君は自分でユキさんに壁を作っているんだ。メビウス
は、ミライは、ぜんぜんそういう壁、作らないものな。)
ミライだって、どこかへつれてってなんて言わないよ。
(言わなくても、君はつれてっちゃうし、新しい服も買ってやってしまう。保護者、
としてなら何をすればいいか簡単にわかるんだね、君は。でも、ユキさんの「保護者」
は君じゃない。君はどう彼女に接すれば良いのかよく分からない。だから、素直に接
することのできるメビウスに惹かれるような気がしてしまうのさ。ミライこそ、下手を
すれば君の娘くらいの年じゃないか。そんな少女を、君は恋人のようにその胸に抱き
たいというのか?そうじゃないはずだ。頭を冷やせ。)
分かってもらおうなんて思っていない。ただ、俺は俺の中にあるものを確認して
おきたいだけだ。もちろん、この先どんなに切なくても、俺はあの子の父親でいるさ。
この地球で、たった一人の、俺はあの子の父親なんだ。
203闇の呼び声11 6/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/27(火) 22:22:10 ID:mBO9FRcK0
(なあ、サコミズ。あまり自分を追い詰めるな。ユキさんは君を愛していると私は思う。
だけど彼女にも君の心が読めないんじゃないか? 君自身が、ユキさんを愛しているのか、
それとも、かつての恋人のいわば形代として見ているのかをね)
…あのひととは、そういう関係ではなかった。俺より後輩だったけど、いつも俺と対等に
話したがるひとだったよ。ぽんぽんやられて、圧倒されっぱなしだったさ。
(だが、彼女が勇み足をしたのは、君に対するあてつけだったんだ。宇宙を気ままに
飛んで、自由奔放に生きつつ、地球防衛の仕事に打ち込む君に反発するように、むしろ、
超兵器を開発することでいながらにして地球の平和を守れるようになる体制を作って
見せる、と意気込んでいたんだと。浅はかなことをして、君に会わせる顔がない、と
嘆いていたと)   
…誰からそんなことを。
(神戸にいる弟の一人からな。震災の折にユキさんを通じて再会して、すぐにわかった
んだそうだ。…血を吐きながら続ける、悲しいマラソン。忘れられない言葉だと、言っ
てくれていたとね。そもそも「美崎」の名を捨てて「マエノ」に変えたのも、君への思い
を振り切るためだった。もう一度すべてを振り捨てたとき、昔の「美崎」の名前だけを
取り戻して胸に抱いた。…ずっと、君を思っていたんだ。ユキさんは、そういう彼女の
思いを、全部知ってる。知ってて、君を見つめている。)

(ありのままのきみを、じっと見つめているのは、むしろユキさんじゃないのか。)
 
サコミズ・シンゴは顔を上げる。サイフォンがこぽこぽと心地よい音を立て、暗いディ
レクションルームにコーヒーの強い香りが満ちている。
…さあ、コーヒーが入ったぞ。みんなのところへ戻ろう。
204名無しより愛を込めて:2007/02/27(火) 22:29:12 ID:mBO9FRcK0
闇です。本当に申し訳ない!!一つだけトリップ消えてた!!全くもって失礼した。
以後は気をつけるから、今回のみ勘弁して下さい。陳謝。orzorzorz
205名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 00:49:05 ID:P1mFRzx10
>インパクト
ユリアンこええ((((゜Д゜;))))

アストラ『あれは何? あれは敵? あ〜れは何だ〜
   謎の姫 襲い来る 婚約者〜』
80「歌うなぁぁ!!」
ユリアン「誰も歌ってないでしょ!」
80「ヽ(;´Д`)ノ」
レオ「アストラ・・(´д`)」

>闇
そういえば前に養成所スレで光太郎の娘が登場するSSを読んだ記憶が・・・
偶然?
206名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 01:11:45 ID:SKMEUhwA0
>>205 うん、あとメビウス脚本スレにもあった。みんなおんなじこと考えるんやーと思った。
養成所スレのは、娘が生まれたときに光太郎召還されちゃうんだよね。自分は一応十歳くらい
までは一緒に住んでたという設定にしてる。それで、震災のときに娘の危機ってので光の国か
ら光太郎だけ戻ってくる、と。
207名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 01:22:33 ID:dtF01q5T0
>闇の呼び声
弱気なサコミズ隊長って、なんか新鮮
208万能の神はいないXXX ◆F4InWXB3Ok :2007/02/28(水) 05:13:12 ID:bnh9J28E0
 テスト。
209万能の神はいない ◆F4InWXB3Ok :2007/02/28(水) 05:22:05 ID:bnh9J28E0
 な、なんとかトリップできたかな?
 えー、万能の神はいない99から103、状況によってはプラス1?になるか?
投稿いたします。

 作風等肌にあわないという人はスルーをよろしくお願いいたします。

 ちょっとサコっちのとこが闇さんの文と重なるかな? 正直びびったorz
 同じようなことってあちこちでみな思うのね・・・。

 
210万能の神はいない99 ◆F4InWXB3Ok :2007/02/28(水) 05:24:14 ID:bnh9J28E0

    嫉まれるがいい
    憎まれるがいい
    幸福もまた無傷ではない        谷川俊太郎「シャンパン」

 覚悟はしている。
 これまで築いてきた全て失うだろう。全てを無くすだろう。
 自分の末路も、予測から大きく外れまい。
 人は運命に対して自らの態度を選ぶ自由を持つ。
 従容と受け入れるのも、挑むのも。
 よもや自分がこれ程までに感情で動く人間だとは思いもしなかった。
 ・・・なぜ、あの時、自分は今のように動けなかったのか。あの手を取れなかったのか。
 自分の逝く先は、お前たちとは違う。
 ただ、それだけは心残りだった。
 いまさら未練か、とも思う。
 単に事実を告げた。自分は嘘なぞ1つも口にしなかった。
 ウルトラマンがただ1人の男の側にいる為に地球に戻った。
 ただ、1人の男の為にメビウスは地球に留まっている。
 それをどのように受け止めるかは、その人間しだいだ。
 ――人間は見たいと思うものしか見ようとはしない。
 後は少し、背を押す。
 その望みにそうことを囁いてやる。
 サイは投げられた。そう、ルビコンの川を渡った。
 もはや後戻りは出来ぬ。
211万能の神はいない100 ◆F4InWXB3Ok :2007/02/28(水) 05:28:46 ID:bnh9J28E0
 忘れてはならない。対処療法だけに目をやってはいけない。根本的な問題を忘れては
いけない。まず、どこから情報がもれたのか。噂が囁かれはじめたのは9月ぐらいから。
 一の宮博士たちが反応を示したのもその辺り。
 ウルトラマンの『兵器力』に執着する権力者や軍人たちにその手の話が伝わったらしい
のも、やはり同時期。
 レトロな新聞切抜きの脅迫文はその後。
 ウルトラマン排除を叫ぶ一派からの脅迫文は更に後(これは先の脅迫に対してサコミズが
流したカウンター情報に反応したというのもあるが)。
 イミュニストが活発・先鋭化したのはここ数ヶ月・・・9月から10月あたりから。
 星の御光は?
 なにかサコミズの感覚に引っかかる。その正体が分らない。
 息をつき、軽く眉間を指で押さえた。
 あの子が戻ってきて何年になるか。
 GUYSの上層部の思惑(外の星からの侵略者へ牽制としてウルトラマンを切り札に、例え
完全に味方にならなくても少なくとも好意的に地球に引きずり込みたい、というある意味
切実な下心)、連れ添っているリュウへの監視(彼の安全の為と、彼がウルトラマンの力を
悪用しないかと言う危惧)。
 それでも、今まではなんとかあの子達はごく普通に暮らしていた。
 持った方だったのだろうか。
 結局は監視されていることはミライにばれた。例え彼らが好意的な存在であっても、
本当はミライに知られたくはなかった。どちらか一方が(確実にリュウの方だろう)生を
終え、ささやかな生活が終わるまで、こんな政治的な裏面など見ずにいてくれればと
願っていた。せめて、もうこれ以上は。
 守れるのか。
 ・・・昨日の事がバン・ヒロトの時のように深い負い目にならなければいいと思う。
 ごく僅かの差で救えなかったバン・ヒロト。人の心に対して無知だったゆえに
ミライが傷つけてしまったヒロトの父親バン船長。今だ、この二人の事を悔やみ、
涙するミライ。
 あの子に、これ以上の傷を負って欲しくない。
 細い糸からの振動のように微かに自分の頭に伝わる、気遣われる思念。『彼』だ。
 大丈夫だ、とサコミズは自分の内に向けて呟く。『彼』、そして己に言い聞かせるように。
 大丈夫だ。守る。何としてでも守ってみせる。
212万能の神はいない101 ◆F4InWXB3Ok :2007/02/28(水) 05:30:51 ID:bnh9J28E0
「・・・感情の波が不安定だな」
「あれでもな、大分ましになった」
「明日も休むか?」
「・・・一人で我慢させたくねぇ」
 いささか苦渋の表情だ。普段ならともかく――当時者とはいえこの非常時に隊長の職分
を放棄するわけには行かない。サコミズの周辺も手が気になる。
 ミライは眠っている。イサナが持ち込んできた甘いジュースのようなカクテル一本で
沈没した。元々アルコールに弱いという面もあるが、疲労も助長したのだろう。
 悪い夢を見ていなければいい。
 ツヅキが黙々と水仕事中をしている。瀬戸物が立てる音が妙に響く。
 イサナはリュウを付回した存在とミライを巻き込んだ存在が別個であることを告げた。
「脅すわけじゃないが・・・妙にタイミング良過ぎというサコミズ総監の言葉には全面的に
俺は賛成。なんちゅーかね。俺ってこの手の偶然を信じられないの。それと個人的な意見。
お前んとこの部下、今回ちょっと噛ませろ。使え」
「あいつらを?」
「組織に不和の種を蒔くのは俺も不本意だぜ。にらまれたぞ」
 事実だ。実際まずいと思ったのだ。ちくちくと視線を感じた。リュウの部下からだ。
「アイハラ隊長、愛されてるじゃん」
「よせやい」
 照れも混じり、大仰に顔をしかめるリュウにイサナは笑う。
 確かに自分でもちょっと浅慮だったか、とイサナは思う。所属を越えて首を突っ込み
すぎだ、という自覚はあった。サコミズの好意に甘えた形だ。かといって分をわきまえて
引っ込んでいられるかというと、否だ。今更外されていたら、絶対自分はあらゆる手管を
使って入り込もうとする。その努力を厭わない。顔をしかめられてもだ。
 だからといってリュウの指揮下に不協和音を立てていいわけではない。
 難しい話だ。機密上、何も知らないリュウの部下を巻き込むのは気が引ける。しかし
完全に彼らを除外し続ければ不満が爆発するのは目に見えている。それは組織上、実に
好ましくない事態になる。年中顔を出し続けたいイサナの都合にも極めて悪い話だった。
213万能の神はいない102 ◆F4InWXB3Ok :2007/02/28(水) 05:33:11 ID:bnh9J28E0
 サコミズはよく考えた上で、イサナに首を突っ込ませる決断をくだしたのであろうが。
 それともこの予測してしかるべき部下達の反応を失念していたか。だとしたら非常に
珍しい。それだけあの人もミライのことで動揺していたのか。
 ああ、もう、愛されてるよなぁ。今更だけど。
 地球に来たばかりのミライを引き取り、教育していたのはサコミズだったという。その
話は当人からもミライからも聞いている。ただ、あの人の場合は、もう殆ど父親の気分
じゃないかと思う。単に教育係と教え子の範疇というには納まらない情愛の注ぎ方だ。
 気持ちは分かる、と思う。ひねこびている自覚のある自分とて、ミライの為に何かして
やりたいと思う。その正体がウルトラマンであることを差っぴいても、だ。
「しかし・・・」
 リュウは生真面目な男だ。正直すぎるとも言える。真っ向過ぎて不器用といっていい。
嘘も不得手だ。無骨すぎて誤解されるが、内実は繊細で情が深い男だ。それは内に一度
抱え込んだ相手には極めて強く発揮される。ミライの秘密もあるが、任務以外の自分たち
に係る事で面倒に部下を巻き込みたくないのだ。躊躇する気持ちも分かる。が。
「指くわえて見てる立場にもなってみな。それに部下に騒動に巻き込まれたのはばれてる。
余計なことまで聞かれる前に、言える事だけ言っちまいな。その方が必要以上に追求も
されない。部下に邪推されたら厄介だぜ? それにツヅキがやっかまれる可能性がある。
お前の部下で一人だけ初めからから絡んでいるからな。まだ今は俺に集中してるけど、
まずいだろ、それ。サコミズ総監が送迎に一人加えさせたのは、そういう面もあると思う」
「・・・俺は隊長失格だな」
「仕方ないっしょ。おたくら二人はGUYSの最高機密だしさ。そっちの方が優先しちゃう
ってのは。当事者だし、昨日今日でばたばたで、そこまで気が回んなくても。おまけに俺
だって睨まれるまで気が回んなかった・・・俺も自分の部下のケアしないとな」
 イサナも少し自嘲気味だ。自分も人様の事を言えた口ではない。出かけ際、最高機密!
の一言で部下を煙に巻いた。隊長代行を申し付けられた部下はイサナが真面目なのか冗談
なのか判断に困っていた。我ながらつくづくと思う。常日頃の行いがものを言った。
214万能の神はいない103 ◆F4InWXB3Ok :2007/02/28(水) 05:39:27 ID:bnh9J28E0
 この夜、イサナはリュウの言葉に甘えて友人宅に一泊した。
 おかげで朝っぱらから、珍しい光景を拝むことになった。
「休むって言ってるだろう」
「僕は大丈夫です!」
 ずっと平行線のままである。このちょっとした言い合いに、ツヅキは正座したまま二人
の間で固まっている。イサナなどはさっさと周辺域から離脱した。あほらしいからである。
 言い合いといっても些細なもので、実に他愛ない。夫婦喧嘩にもなっていない(それで
もこの二人の間としては大変珍しいのだが)。
 確かに大分立ち直っているのだろう。が、いつもよりミライが感情的だな、とイサナは
思い、そのあたりにまだダメージの痕跡を見てとる。リュウもやや過敏というか過保護か。
 ――こいつ、変に負い目になってるからな。
 リュウがどうもミライに関して、ひどく過敏になることは前々からイサナも感じていた。
確信したのはリュウがインペライザーの辺りの話をした時だったが。
 以前の二人がどのような感じだったかは、イサナも目にしていない。推測するしかない。
黙って側にいただけだった時期。ミライはリュウを傷つけないために必死だったのは
聞かずとも分かる。それを知ってしまったリュウのやり場のない気持ちもだ。
 よりによってメビウスの正体バレとあわや死別という状況で己の気持ちを突きつけられ
てしまったのだから、リュウが何かと深刻になるのもいた仕方ないといえばしょうがない。
 しかもその後、いつ時間切れが通告されるか分からないという状況が続いて、一時とは
いえ別れ別れ。今の生活もリュウは自分は何も失わずにいる、なのにミライには何もかも
捨てさせた、と感じている・・・。
 ある意味、不器用な二人だと思う。今だって結局どっちも相手を思いやっているが故だ。
 休む、大丈夫の言い合いがいきなりぴたりと止まった。
 ミライが急に目を見開いて絶句したからだ。同様にツヅキが背をピンと伸ばした。
「・・・さ・・・」
 リュウを驚ろかせたミライの言葉を、やや離れていたイサナは聞き損ねた。聞き返す暇
もなく、ミライは弾かれるように玄関へ駆け、ドアを開け放つ。そしてミライが呼んだ
その名前にイサナは仰天した。
「タロウ兄さん!」

 今回はここまででございます。
215名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 06:09:21 ID:bnh9J28E0
 トレーニング
 ・・・80先生、海から突進していくのかなーと思っていたらその前に、ちーん、ですかw
 笑っちゃいかんと思いつつ噴いた。

 ひなまつり・・・みんなよくネタ思いつくなぁ。なんで時節ネタ思いつかねーんだろ。

 闇・・・ああああ、あのミサイルの女性化学者かーっ。ちょっとびっくし。
 サコっちって戸籍年齢と実年齢のギャップを抱えているからありえるんだよな。
 周りから時間にとり残されたという点で、 彼は僅かながら通常の地球人より
ウルトラ族に近い感傷を持っているのかな、と自分は思っている。
216名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 06:46:24 ID:ckBi4z110
>万能
相変わらずヒキが上手いス
こんな気になるところで「待て!次号!」……
217名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 08:38:14 ID:SKMEUhwA0
万能さんキター!!
orzなんてとこで終わるんすかっ ついに登場するのかあの人が 
激しく続き気になるっす!

>>209 同じこと考えてるのって、ビビリもするけど、なんかうれしくもある。
あれから養成所見てきたらタロウネタが改めてこのとこ多くて感動。

>>215 そうです、セブンのギエロン星獣の回のマエノ博士です。化学者と
言うより宇宙生物学ということで、アヤが海洋自然科学を目指すきっかけに
なった人、ということでもからめられないかな、とか。サコッチの実年齢
割れた回の後、唐突に思いついたネタでした。
権威ということで、

 
218名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 08:39:47 ID:SKMEUhwA0
すいません、>>217の最後の行、消し忘れっす。
219名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 08:44:39 ID:Zj5eRmI/0
他スレの話はよしましょう
220名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 09:49:26 ID:SKMEUhwA0
>>219
スマソ 同じこと考えてる話があるって教えてもらったのでつい。
気をつける。
221インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/28(水) 10:07:53 ID:DuF0wqpY0
フィフストレーニング3-10

「変質者に遭った見たいな悲鳴をあげるんじゃない」
ゾフィーはメビウスの顎を掴むと、勝手に上下させる。
「ほら、言ってごらん。『ゾフィーさん』って」
メビウスは舌を噛みそうになりながらも、顔を横に振った。
「む、むりれふ・・・・」
今度は唐突にメビウスの頬がぎゅーっと横に引っ張っられる。
「いひゃ・・・・」
「お仕置き」
ゾフィーはメビウスの頬を好きなだけ引っ張ると、唐突に手を離した。
「まあ今回はこれぐらいで許してやろう」
「はうう・・・・」
誰かこの隊長にお仕置きしてくれないかな・・・とメビウスは頬を擦りながら呟いた。
「ところで何か質問があったようだが?」
「うう・・・・アニマル星に人って住んでいるんですか?」
「直接は住んでいない。人が生活するということは、自然環境がそこだけでも破壊されるからな」
「じゃあ、隊長は誰に会いにきたんですか?」
ゾフィーはメビウスの質問をあっさり無視して、斜め上に実っている果実に目を向けた。
「君は果物の類を食べたことはあるか?」
「くだもの、ですか?いいえ」
ゾフィーは入国の際に貰った腕時計を通信モードに切り替える。
「もしもし管理センターですか?飲食可能な植物の採取に関してですが・・・・・」
「もう、隊長!」
メビウスは膨れて樹を見上げる。鮮やかなオレンジ色をした実は確かに甘い香りを放っていた。
「これがくだものかあ・・・・いい匂い。クッキーとかケーキとか、食べられるものって、皆いい匂いがするなあ・・・・」
「メビウス、許可が出た。今年は植物の成長が順調だから、食べても良いそうだ」
ゾフィーは通信を終えると、少し背伸びをして、果実をもぎ取った。
222インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/28(水) 10:24:41 ID:DuF0wqpY0
フィフストレーニング3-11

受け取った果物から更に甘い香りがして、メビウスは果物に顔を近づけ、香りを思い切り吸い込む。
「周りの皮を剥いて食べるんだ」
「皮、ですか?」
「そう。こうやって」
ゾフィーの手本に習って、メビウスも果物の皮を剥く。
「これはどうしますか?」
「地面に捨てておいて良い。微生物が分解してくれる」
ゾフィーはそういうと、果物にかぶりついた。メビウスも果汁の滴るそれを口にする。
「・・・凄く、美味しいです!甘くて、香りと味が同じ・・・・!」
「君はこういった香りが好きなんだな」
「はい。コーヒーとか紅茶もとてもいい香りがして好きです」
「臭覚や味覚は原始的な、生きる為の能力だ。君は感覚的に先祖返りに近いのかもしれん」
メビウスはゾフィーの言葉に、目をぱちくりさせた。
「先祖返り・・・?」
「今わかっているところでは、地球人が一番我々の先祖に似ているな」
「僕は地球人に似ているんですか?」
「私は地球には長期滞在をしていないし、伝え聞いているだけだ。タロウや他の弟達から見てもそうだというのなら、そうなのだろうが」
「今度タロウ教官に聞いてみます」
223インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/02/28(水) 10:26:46 ID:DuF0wqpY0
フィフストレーニング3-12

「・・・・これ、なんですか?」
メビウスは実の中の種を発見すると、軽く噛んだ。甘く柔らかかった果肉と違い、今度は固くて少し苦い。
「それは種だ。これが地面に落ちて芽吹き、成長し、また実をつける」
ゾフィーは果樹をぽんぽんと叩く。
「こんなに小さいのに、こんなに大きく・・・・?!」
「我々だってミクロ化からマクロ化までできるだろう」
「でも、でも、全然違いますよ?!」
メビウスは手の中の小さな種と、目の前のたわわに実をつける樹を交互に見つめた。
「そろそろ休憩を終わりにしよう。その種は地面に落としていい」
「あ、はい」
メビウスはしゃがんで種を地面の上に置いた。
「これで大丈夫かな?」
「行くぞ」
「あ、はい」
224名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 11:39:19 ID:DuF0wqpY0
闇>>親子に近いけれども、サコミズさんがミライを・・・・っていうのは珍しいですね。
でもちょっとドキドキしました。こういうのも好き。


万能の神>>ついにタロウ登場?!でも光太郎さんかも・・・・。
225名無しより愛をこめて:2007/02/28(水) 13:15:48 ID:DuF0wqpY0
>>205 アストラの替え歌に吹いたww しかもタロウの歌ですよ!
226闇 ◆smJNL9GJT. :2007/02/28(水) 23:04:04 ID:SKMEUhwA0
また深夜でもないのに出没。闇の呼び声12。6レスで入る予定。
サブ事情は終わり、本筋へ戻っていきます。
227闇の呼び声12 1/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/28(水) 23:05:22 ID:SKMEUhwA0
「でもなぜ?」
熱い湯気を立てるカップを、両手で抱くようにしてコノミが問う。隊長に手ずから
お茶くみをさせてしまった申し訳なさもあり、つかれきった体に、さすがにその強烈
な香りの誘惑は避けがたくもあって、コノミとテッペイはそれぞれがカップを手にし、
淹れたての熱いコーヒーの恩恵にあずかっている。だが、同時に、その目も神経も脳
も、その分析対象から一瞬たりともそらされないでいる。
「ミライ君があの子…カコちゃんに会ったのは、神戸の事件のずっと後だったのに」
「逆だよ。カコちゃんの記憶から、神戸で見た人形の記憶が喚起された。似ていた
のは偶然だろう。幻覚世界のほうでは、もっと似た顔になっていた可能性があるけど」
だけど、とテッペイは首をかしげる。「ジョージやマリナが言うように、本当に
偽メビウスの記憶が強烈ってことなのかな、神戸が出てくるというのは」
「テッペイ?」
「いえ、どうも気になるんですよ。確かに偽メビウスのことはミライ君にとって嫌な思い
出かもしれないけれど、かといってそこにずるずる引き込まれていくほど強い力を持って
いる記憶とも思えない。わりとすぐに本物が現れたから、人々が誤解―というより当惑ですが―した時間もそう長くはなかった。一部のマスコミで悪意のある記事が出回ったのは
事実ですが。…わりきれなかったカコちゃんの思い出に比べれば、きちんと解決した事件
だと思うんです」テッペイはぐいとコーヒーを飲み干して腕を組んだ。
「もちろん、実際に映像と現場が一致してるんだから、神戸の何かが鍵なのは事実だと
思いますが」
228闇の呼び声12 2/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/28(水) 23:06:51 ID:SKMEUhwA0
そういえば、とコノミも言った。「あのときの戦いの記録では、事件にかかわったのは
神戸でも海側のほうが中心でした。北野の異人館通りは報告された中にはないですね。
…でも、そのあとプライベートで行ったかもしれないし」「そうだね」サコミズの脳裏に、
神戸にいる四人の「弟」の姿が浮かんだ。五人目の「弟」が光太郎をミライに紹介した
のも神戸だったと聞いている。連中が北野あたりに「妹」を連れ出した可能性はかなり
高い。…しかし、それはミライにとって、楽しい思い出となったはずだ。

 同じことを、神戸にいるマリナも感じていた。神戸に来て、確かに該当する路地を見つ
けた。だが、やはり微妙な違和感はぬぐえない。…何か忘れてる気がするのよ。何か大切
な手がかりを。

「封印…かな」「隊長?」
「神戸では、封印されていたものが20年ぶりによみがえった。自分の中にある、何か
封印されたものを、引き出されようとしている、そういう感覚が、神戸の封印がとけた
記憶と結びついているんじゃないだろうか」
「ミライ君の中に封印されているもの?」 クルーには当座それを思いつけない。ミライは、
隠し事のできないタイプだ。素直すぎ、正直すぎる。すでにウルトラマンであることさえ
クルーに公然のこととなってしまっているのに、この上何が封印されているというのだ。
(恋…?)コノミは考える。だけれど、ミライがリュウに心を寄せていることは誰の目
にも明らかだ。あるいは、少女であるのに青年に擬態していることで生じる違和感のよ
うなものか。
「それほど大仰でないかもしれない。でも、普段出さないけど、ずっと心に抱えてるもの
だとかね」 さらりと言いながら、サコミズの心がちくちく痛んでいる。言った先から、
言葉が自分に跳ね返ってくるようだ。
(違和感。…罪悪感)
ふいにそんな言葉が自身のうちによぎった。サコミズは当惑する。己はともかく、
ミライにそんなものがあるだろうか。
…あった。たった一つだけ。サコミズは立ち上がる。なんとうかつな。なんという
馬鹿だ、俺は。「…隊長?」
229闇の呼び声12 3/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/28(水) 23:08:21 ID:SKMEUhwA0
…ミライ。ミライ! 聞こえるか、俺の声が。
(リュウさん。…本当に、リュウさんなんですね!)
そうだ。俺だ。いや、お前の教官も一緒だ。
(!! タロウ教官が…?)
そうだ、メビウス。お前を追いかけるためにわれわれは一体化してここまで来た。
(一体化を? タロウ教官とリュウさんが?)
いいな、ミライ。俺たちはお前を連れて帰る。必ず連れて帰る。…だから、負けるな。

ミライはうなずく。のしかかってくる怪物をはねのけ、体勢を立て直すと、左腕に
現れるメビウスブレス。そこから発される輝く光線。一瞬の後、コダイゴン・ジアザ
ーは不気味な笑いを浮かべ、ただの木偶に戻っていった。…
 右手にメモリー・ディスプレイを、左手に赤い靴を握りしめて、ミライは立ち上がる。
頭痛と耳鳴りは、しかしさっきよりさらに酷くなっている。古物商の店を出て、不思議
な風が吹く町を、ミライはよろよろと歩き出す。

一足遅かった? 人形の店の裏口から続くもうひとつの路地へと、テレパシーを頼りに
進み、その先にあった古物店でリュウ=タロウが見たものは、黒こげになったコダイゴン
の残骸、不気味に燻った木偶の姿のみだった。
ごぼごぼと泡を吹きながら、木偶が笑いかける。…間に合うかな?
リュウ=タロウはミライに再びテレパシーをおくる。…どこだ、ミライ。行くな。それ
以上進むな。俺たちが行くまでそこで待ってろ、いいな。
(でも、リュウさん。)
ミライは、泣き出しそうな顔で、自分を呼ぶ声のいや増す切なさに煩悶していた。
…メビウス、だめだ。
(タロウ教官。苦しいです。でも、このまま放って帰れば、ぼくはきっと、壊れてしまう。
どうしても、あの声の主を。ぼくは知りたい。)
残された時間は、あと六時間。
230闇の呼び声12 4/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/28(水) 23:09:45 ID:SKMEUhwA0
苦しみつつ前進するミライ。路上で挟み将棋をしている男二人が目に入る。勝負に
熱中しているらしく、ふりむきもしない。その彼らと将棋盤とが、いわば関守のように
鎮座する、路地の一番奥。そこで、ミライの目の前に突然広がったのは川原の光景だ。
そして、蛇行する川の対岸で、水鳥が翼を広げる水面を眺めてぼんやりと坐っている
後ろ姿。「きみは…!」
そのすぐ後へ、ようやくのことで追いついたリュウ=タロウが叫ぶ。
「ミライ!だめだ、そっち行くな!」
「リュウさん…。それに、タロウ教官。」ミライは二人を認めつつ、川べりの後ろ姿へ
とまたすぐ視線を戻し、食い入るように見つめた。
リュウもまた、その後ろ姿を見る。そして、息をのむ。あれは…。いや、そんなばかな。
そんな、そんなばかなことが。

川辺の風に靡く、ふわふわとした茶色い髪。さびしげな肩の線。そしてゆっくり
振り向いたその顔は、ミライとうり二つ。物憂い瞳で、水鳥に手をさしのべている。
「きみは…だれ…?」
231闇の呼び声12 5/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/28(水) 23:11:14 ID:SKMEUhwA0
ミライはごくりとつばを飲み込む。「ぼくは」
「きみは、ぼくにそっくりだね。きみはだれ?きみがぼくをここへよんだの?」
ぼくはなぜこんなところにいるんだろう?ここはどこなんだろう?ここは地球なの?
あんまり時間がすぎて、もうぼくはなにもわからなくなってしまった。
「ヒロト、さん」ミライの目から、涙がこぼれる。「生きていたんですね。お会いしたか
った」ヒロト、と呼びかけられたもう一人のミライは、不思議そうに首を傾けた。「だれ?」
「ぼくをおぼえていますか」ミライは、メビウスブレスを露出させ、本来の姿に戻る。
変身時にきらめいた無限の輪の光を見て、ヒロトの目に、光が少しもどった。「ウルトラマ
ン…メビウス」
あなたが付けてくれた名前だった。それなのに、ぼくは、あなたを助けられなかった。
ずっとずっと、つらかった。ウルトラゾーンを見つけたとき、あなたを今度こそ助け
られると思ったのに、あなたはいなかった。こんなところにいたんですね。よかった。
ほんとに、よかった。かえりましょう、はやく。
232闇の呼び声12 6/6 ◆smJNL9GJT. :2007/02/28(水) 23:12:33 ID:SKMEUhwA0
「どうして、きみはここに?それにどうしてぼくのすがたを?」ヒロトが尋ねる。
「光の国から、地球へと遣わされていく途中で、ウルトラゾーンに吸い込まれていく
あなたを見ました。あなたを助けようとしたのに、ぼくは間に合わなかったんです」
リュウの胸に、ウルトラゾーンで見せたミライの号泣がよみがえる。そうか、そうだ
ったのか、ミライ。
ぼくはあなたの姿を借りて地球に降り立ちました。あなたのお父さん、バン船長にも
お会いしました。ぼくが、もの知らずだったために、船長を悲しませてしまって、もう、
この姿はやめようと思いましたけど、けど、バン船長はぼくを許してくれて、ヒビノ・
ミライと言う名前も、つけて下さったんです。…
「そうだったの、父が…。それで、きみは、地球ではぼくのすがたですごしたんだね」
「はい。ごめんなさい、勝手なことをして」メビウスはうつむく。「本当に、ごめんなさい」
「いいんだよ」ヒロトは微笑んだ。「ねえ、もういちど、ぼくのすがたになってみて」
「え?」
「じぶんのすがたがどうだったのかも、忘れちゃったよ。この川の水、濁ってるしさ」
再び、ミライの姿になるメビウス。そっくりな二人の青年が、川を挟んで向かい合う。
「なんか、ふしぎだね」微笑むヒロト。
「ヒロトさん、お父さんが待ってます。早く帰りましょう」
対岸へ手をさしのべ、歩みかけるミライ。

行ってはだめよ。行ってはだめ。胸ポケットの赤い靴から、かすかな、しかし必死に
呼びかけるカコの声。「カコちゃん?」
行ってはだめよ。行ったらあんたは、そのまま消えてなくなる。その人と入れ替わり
にウルトラゾーンに閉じこめられて、もう二度と出てくることはできないわ。

突然、現れる黒い影。赤い靴は悲しい叫びと共に消滅した。
「うるさいサイコキノの小娘が」
233名無しより愛を込めて:2007/02/28(水) 23:16:47 ID:SKMEUhwA0
インパクト>ゾフィー隊長、やりたい放題だなあ。でも少しまともに戻って一安心。
何というか、ギリシア神話のゼウスと彼に目を付けられた無垢な乙女、ってかんじで良いね。
234インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/01(木) 08:41:51 ID:7JfJgE3T0
フィフストレーニング3-13

ジャングルを抜けると、綺麗な白い砂浜と遠浅の海がゾフィーをメビウスを出迎えた。
「わあ、綺麗・・・・!」
日向に飛び出すと、塩気を含んだ風が吹き抜けた。タロウの見せてくれた地球の風景写真の一つに、とても似ている。
少々残念なのは、不自然なまでに大きな岩陰が入り江の一角を塞いでいることだ。
ふと思いついたことがあって、メビウスはのんびり歩いているゾフィーを振り返る。
「隊長」
「どうした?」
「ここって海岸ですよね?」
「そうだ」
「ここに会う人がいるんですか?」
「ああ」
「だったら上空から直接こっちに降りれば良かったんじゃ・・・・」
「何故そんなつまらないことをしなければならない?」
メビウスは再び肩を落とした。
「君は存外効率的に動くんだな」
「だって、滞在時間は限られていますし・・・・」
「まだ一時間半はあるぞ」
アニマル星時計を持ち上げ、得意そうに言う。メビウスは諦めて辺りを見渡した。
「ここの何処にいるんですか?」
「いるだろう。そこに」
ゾフィーが指差したのは、景観のバランスを崩している岩陰だった。
「あそこに、人が?」
「誰が人だと?」
ゾフィーは波打ち際にくると、不意に45メートルの大きさにまでマクロ化する。
「た、隊長?!」
そのままゾフィーは岩陰に近づいた。その気配に気付いたのか、岩陰が軽く身震いし、柔らかそうな首がにゅっと突き出した。
235名無しより愛をこめて:2007/03/01(木) 10:19:29 ID:7JfJgE3T0
>>闇 ヒロト君登場!黒幕は?!そして舞台として神戸を選んだ理由は?!
クライマックスですねー。リュウタロウとやっとテレパシー繋がって良かった。
236名無しより愛を込めて:2007/03/01(木) 20:01:48 ID:bggrQs+F0
>>234 何が出るかな? いいな、ほのぼので癒される。絵本かなんかにして読みたい。

237鎖の紙反古 ◆smJNL9GJT. :2007/03/01(木) 20:13:29 ID:bggrQs+F0
闇今晩小休止。一応最終局面まで行ったし、あと三回ほどで終わるし。。
次辺りからバトルになるからそうでもないけど、とにかく暗いので、スレを
重くしちゃってすいません。で、気分転換に単発鎖です。勝手に雛祭りネタに
続いているんですが、シリーズ嫌な人のためにトリップは付けておきます。
238幕間の鎖 ◆smJNL9GJT. :2007/03/01(木) 20:16:00 ID:bggrQs+F0
>>184に続けてしまった。スマソ
**
明日人:ああ、肩いて…ったく、最近ああいうイベントがあると必ず声がかかるんだよね。
ゲン:お前が普段悪乗りしてるからだ。…しようがないさ。
明日:それなりに愉しいからいいけどね。レディ…メビウスも可愛かったけど、ヒカリの
なよ腰も良かったなぁ。和えかな風情で、ほんとに平安の上臈ふうだったね。
ゲン:あんなにたくさん着せるからだ。かわいそうだったぞ。
明日:だって、ゾフィー兄さんがあれこれ注文だすんだもの。あんなにたくさんの衣装、
どこで調達してきたんだか。…まあ、こっちもいろいろ勉強させてもらったさ。
それよりタロウ兄さんが大変だったね。
ゲン:よくもまあ、暴動にならなかったことだな。
明日人:レディの十二単姿の立体ポートレート、作っといたからな。「にっこり」で、瞬殺。
ゲン:やれやれ。
(↑二段目にババルウがいたことについては、お互いに見なかったことにしてる)

明日人:ところでまた試作品?最近乗ってるね。
ゲン:ストレス解消には悪くない。…俺も久しぶりにあっちへ行ったらなんだか疲れてな。
お前もたまには一緒にどうだ?
明日人:いいよ。俺は食べるほうで。
ゲン:……。太るぞ。
明日人:ステージは消耗激しいから大丈夫よ、このくらい。…うん、美味い。これ、貝?
ゲン:蛤の酒蒸しと菜の花だ。雛祭りだからな。セサミのパンに合わせてみた。
明日人:地球はいろいろ祭りがあって愉しいね。…もちろん、いつも祭りの日が平和だ
とは限らないけど。兄さん、あとでこれ、陣中見舞いにガイズに届けてあげないか。

**今週土曜日本編放映日は雛祭り。かつての上司の降臨を、レオはまだ知らない。。
239名無しより愛を込めて:2007/03/01(木) 20:20:14 ID:bggrQs+F0
ところで明日人ってヴォーカリスト実在して活躍中なんだね。(しかもビジュアル系!)
しらんかったorz。これこそ全くの偶然です。ファンの人、いたらごめんなさい。
レオ兄貴の新作(提供はツムラ・イン・「キッドウォー」3・4)よかったら食ってってちょ。
240名無しより愛をこめて:2007/03/01(木) 21:11:36 ID:ODvqnyFu0
>>238
ババルウって、確か初期設定は女じゃなかったっけ。
見なかったことにされてカワイソス
ヒカリのなよ腰ハァハァ

241ひなまつり便乗 1/2:2007/03/01(木) 22:07:53 ID:L8pEQyO80
ミライ「あれ、このお雛様座ってませんよ?それに男雛と女雛しかない」
コノミ「あ、立ち雛って言って、これも雛かざりの一種なんだよ〜」
ジョー「変わり雛、ってのもあるぜ。お雛様っつーよりは、世相を映したパロディ人形って感じだがな」
ミライ「へー、、着物着てなくてもお雛様なんですね」
テッペ「皆さん!すごくタイムリーなドキュメント見つけたんですが…見たいですか?」
マリナ「何よ、勿体ぶらないでよ」
テッペ「何と、『ウルトラ兄弟の恋人』の記録です!記述だけでなく、映像も残ってるから
かなり信憑性が高いですよ」
ミライ「えぇーっ、兄さんたちの!?」
コノミ「わぁ〜ウルトラマンにも恋人いたんですね〜♪」
ミライ「エース兄さんと80兄さんは何となく知ってたけど…他の兄さんのは知りませんでした
   (兄さんたちってば(´∀`)」
リュウ「よぉしミライ!何だかタイムリーだし、兄さん達の変わり雛作ってプレゼントしてやれよ!」
ジョー「ウルトラ兄弟も喜ぶかもな」
マリナ「『何でメビウスが知ってるんだ!?』って、慌てたりしてww」
ミライ「面白そうですね!やってみます!」  →何だかんだとノリノリである
242ひなまつり便乗 2/2:2007/03/01(木) 22:11:03 ID:L8pEQyO80
  桃の節句を控えた某日。ウルトラ兄弟のもとに、メビウス手作りの雛人形が届いた

エース「あの子、夕子には会った事ない筈だが…ロングヘアバージョンとはまた…」
夕子「私、何だかあの子とは話が合いそうな気がするわ(私の場合、変身すると逆に男になっちゃってたけど)」

80「何だかこのユリアン、妙にほっそり…」
ユリアン「誰が『実際はメビウスより太ってる』ですってー!?」
80「何も言ってないじゃないか〜(いかん、心読まれた)」

新マン「アキちゃーん!(と心の中で涙しつつ『るみ子さんと誤解されてなくて良かった』と一瞬考える郷の意識)」

マ ン「何で私のには三人官女が…ってこれ、シュシュトリアン!?」
アサミ「モロボシダン曰く、戦いとは血を吐きながら続ける苦しいマラソン!」
マリナ「フジサワ博士って、月子姉ちゃんに似てますよね!見てたなー子供の頃!」
アサミ「遠い昔の事みたいに言われると、何かちょっとキツいわ〜」

タロウ「どーしてコメットさんなんだ〜!」
レオ「奇遇ですね〜俺のもなぜかコメットさんですよ」
セブン「お前たちもか?(アンヌだろフツー!ウリーも平成ダンも関係ない!)」
タロウ「誤解だメビウス〜!あの光太郎別人だし!」
レオ「俺は実際出ちゃったしなあ…話はうまく繋がってたんだし、もうそれでいいじゃないですか
  (でも百子さんの方が良かったけどなあ)」
タロウ「やだやだメビウスじゃなきゃやだ〜!」

ゾフィー「おや?手紙が…『恋人の記録はありませんでしたが、娘さんの記録がありましたので』
    …って、アヤパン!?(俺はまだ独身だ!)」
                                                                 おわり

243名無しより愛をこめて:2007/03/01(木) 22:37:15 ID:y2bfpQDN0
ひなまつり、どれも楽しいなw
レオ兄貴の新作、美味そうだ

そういや、前スレが落ちたね
244名無しより愛を込めて:2007/03/02(金) 08:58:58 ID:zq+i1bqO0
>>242 「シュシュトリアン」が一瞬「ジャシュライン」に見えた自分orz
アヤパン、大谷博士の娘さんだったよねーー
太田愛情報だと本編も雛祭りの放映日意識してるとみた(*^^*)
桃の花ってメビウスに似合うよな
245インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/02(金) 10:14:43 ID:CZV1Jszy0
フィフストレーニング3-14

「か、亀・・・・?!
巨大な亀が動き、ゾフィーに近づくと大きな高波がきた。慌ててメビウスは空中に上がる。
「大きい!」
ゾフィーの大きな手が、亀の頭を優しく撫でた。
「憶えていてくれたようで何よりだ」
上から亀の方を見ると、奥の方には更に同じぐらいの大きさの亀と、少し小さめの亀がいるのが見えた。
「メビウス、君も近くに来るといい。ただし怒らせると爆弾を産むから注意しろ」
「ええ?!」
戸惑うメビウスに、ゾフィーは手招きする。
「ああ、マクロ化はしなくていい。そのまま彼女の背に乗せてもらいなさい」
「『彼女』?」
「そうだ。良いものが見れる」
メビウスは飛んでゾフィーの近くに来ると、ゾフィーが掌に乗せてくれて、一匹の亀の背中に下ろしてくれた。
「彼女はクイーントータスだ。こっちがキングトータスで、二人の子供のミニトータス。
そして・・・・ミニトータスに弟や妹ができたようだ」
ゾフィーの視線にあわせて、メビウスは大きなクイーントータスの背中の上で背後を振り返る。
今のメビウスの両手ぐらいの小さな亀が10匹程、不思議そうに珍客たちを見上げていた。
「可愛い!!」
メビウスは近づいてしゃがみこむ。手を子亀たちに差し出したが、一旦引っ込めた。
「クイーントータス、赤ちゃん達に触ってもいい?」
足元の甲羅が、やや身震いした様な気がする。キングトータスとミニトータスが、それぞれ隣から顔を覗かせた。
「良いそうだ」
「ありがとう!」
メビウスは足元の甲羅を軽く叩くと、改めて子亀たちの方に向き直った。子供らしく好奇心旺盛なのか、小亀達はメビウスの足元にのそのそと近寄り、よじ登ろうとしたりする。
「皆可愛いなあ・・・・」
メビウスは数匹の亀を抱え、膝や足の上に乗せて、小さな彼らを撫でた。
246名無しより愛をこめて:2007/03/02(金) 11:21:42 ID:rzvjxoii0
・・・あれからここで家族仲良く暮らしてたのか(安心)・・ええ話や
247名無しより愛をこめて:2007/03/02(金) 12:15:08 ID:pMOUCENhO
>>242
テッペイ、一体どういうドキュメント見つけたのか気になるw
シュシュの初代マン話見たい〜!ネットで調べてびっくりした。
ジャシュライン…一人三人官女できるなw
248名無しより愛をこめて:2007/03/02(金) 12:49:09 ID:CZV1Jszy0
光の国からアニマル星(アギラの出身惑星)にセブンが連れて行ったという話をどこかで聞いた気がする。

鎖>>時事ネタおっけー。アストラの特技、キング経由かゾフィー兄さんの情報網にひっかかったのか(笑)
でもメビがいるなら自主参加かな?レオ兄さん、ご苦労様です。そしてサンドイッチ食べたい。

>>242 アヤパンは何処から情報仕入れたんだ?(笑)
アキちゃん作ってくれたのはGJ!!

 

249桃の節句 ◆dRwnnMDWyQ :2007/03/02(金) 17:57:02 ID:09dgC8Ff0
 時節ギャグネタですが、万能の神はいないがベースなので嫌な方はスルーよろしく。
 ミライが戻ってきてから初めての桃の節句という設定です。
250桃の節句 ◆dRwnnMDWyQ :2007/03/02(金) 17:58:45 ID:09dgC8Ff0
 3月3日は桃の節句。
 保育園で、コノミが人形を一体一体取り出しながら、ミライに説明した。
「意味はいろいろね。元々は女の子の健やかな成長を祝うお祭と、形代――お人形に災い
を肩代わりしてもらう、って意味も含まれて、結婚する女性が持参する大切な道具にも
含まれたんだよ」
「だから、サコミズさん、僕にも送ってくれたんですね」
 コノミはくすくすと笑った。サコミズは店員とどんな会話を交わして、雛人形を選んだ
のか。想像すると微笑ましい気分になる。
「3月4日にお片づけ、ですね」
 うん、とコノミはうなづいた。
「ひな祭が終わった後は長く飾るのは良くないんだって。お嫁さんになるのが遅れちゃう」

サコミズ「で? 真夜中にひな壇片づけで大騒ぎだって?」←喧嘩仲裁中。
リュウ 「もう、絶対日にちが変わったら速攻で片付けるって、秒針にらんでやがった」
ミライ 「だって、良くないんですよ! お嫁さんになるのが遅れるって」
サコミズ「・・・あのね。片付けはそんな一秒一刻を争うもんじゃないから。
     第一ミライは慌てて自分の分を片付けても意味はないんじゃない?
     だって、もうリュウのお嫁さんになっているでしょ」
ミライ 「あ」

おまけ 赤塚支店 お隣をただ今盗聴中。
赤塚M 「・・・orz」←真夜中のドタバタに、すわ何事かと徹夜で待機していた責任者。
赤塚F 「いやーん、ミライ君ってば可愛いですぅ」←もう趣味丸出し。

おまけ2 後日
イサナ 「ぎゃはははは!」
リュウ 「笑うな! 俺が止めなきゃ真夜中に、保育園の方まで片付けに行く所だったんだぞ!」
251名無しより愛をこめて:2007/03/02(金) 19:58:16 ID:Mnw0FxLz0
>>250

爆笑させてもらいました〜
嫁に行ってる事を忘れてたんかい!!
ミライらしいっちゃ、ミライらしい(笑)
252名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 11:24:17 ID:oeaRHJE50
プライド・オブ・ガールズ。勇ましいひな祭りだったなー、本編。

トレーニング>>トータス親子だったんだ。ゾフィー兄さんとも会ってたんだね。
桃の節句>>ミライの天然に爆。それ以上にサコミズのパパ馬鹿ぶりがww
253闇本舗 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:29:48 ID:oeaRHJE50
後三回で終える予定だったが、一回分増えるかも。スマンです。
次レスから闇の呼び声13、今回6レス分。暗くてごめん。
254闇の呼び声13 1/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:31:27 ID:oeaRHJE50
「何をするんだ!」怒りと悲しみにふるえるミライ。
「よけいな口を挟むから、退場させたまでだ」あざ嗤う黒い服の男。

黒服の男は挑発する。「知らないままにしておけばよかったのにな。サイコキノ
の小娘が言ったとおりだ。お前がその川をわたったら、お前はあちらの世界に閉じ
こめられて二度と出ることはかなわない。だが、そのかわりにバン・ヒロトはこちらの
世界に戻ることができる。お前と入れ替わりにな」
 …迷うことはあるまい? もともとお前は、この男のすがたを借りてここに仮に
滞在しているだけだろう。この世界で本当に存在するべきは、その男だ。
お前は、その男の姿を借りて、その男が地球で味わうはずだった様々のことを、
勝手に横取りしたんだ。
 …お前は、その男の存在に勝手になりかわろうとした報いを受けるのだ。当然
ではないか? さあ、ウルトラマンメビウス、ミライの姿のまま、ヒロトの所へ
行くがいい。二人が手を取り合ったとき、ヒロトはこちらへ戻り、お前はあちらの
世界の住人となる。未来永劫、永遠にな。それがお前の運命だ。…

 リュウが、ぶるぶると震えているミライの肩に手を置く。「ミライ、これは罠だ。
行くんじゃねえ」
ミライは、そっと首を横に振る。「リュウさん、でも、あいつの言うとおりです。
ぼくは、勝手にヒロトさんの姿を借りて、地球で過ごした。確かに、本当ならヒロト
さんが味わうはずの、地球でのいろいろな体験を、友人と、仲間と、」
…ぼくは、ぼくは、すごくたのしかった。しあわせでした。ですけど、ぼくがあちらに
行くことでヒロトさんが戻れるのなら、ぼくはこの姿とこの世界での生きる権利を、
ヒロトさんに返さなくてはなりません。
255闇の呼び声13 2/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:33:33 ID:oeaRHJE50
「ミライ、お前はお前だ、たとえ姿形がその人をモデルにしたんだとしても、
お前はお前なんだ。お前はお前としてこの地球での生活を楽しんだし、苦しいことも
悲しいことも、乗り越えてきた。そんなお前と、俺たちは仲間になったんだ。
そんなお前だから、俺はこうやって迎えに来たんだ。
…ここはお前が時空波によってみせられている幻覚世界だ。お前はずっと、
ヒロトさんのことで苦しんできたんだな。だから、時空波はそれを利用して、
お前の心の、一番辛い部分にゆさぶりをかけているんだ。これは罠なんだ。
あれは、幻だ、ミライ。宇宙の果てのウルトラゾーンにいる奴が、こんなところ
にいるわけねえじゃねえか」
 黒い服の男は嗤う。「幻であって幻ではない。私はウルトラゾーンの歪みにとらわれた
あの男を、亜空間を通じてこの世界の反世界に封じた。お前たちがウルトラゾーンで
あの男を見つけることができなかったのはそのためだ。いつか使うこともあろうかと、
ずっと反世界の中で眠らせてきたが、今こうして覚醒し、メビウスの心を呼ぶ格好の餌
となった」
「なんて卑怯なことを。それで、ヒロトさんに、ミライを呼ばせたのか」憤るリュウ。
「どっちかどっちを呼んだんだかな。メビウスの心にはずっとあの男が引っかかっていた
ようだ。折に触れて、あの男に心の奥で語りかけていた。あの男はその声に反応を返した
だけだ。つまりメビウスは、自分で自分をここに呼んだわけだ」
256闇の呼び声13 3/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:35:03 ID:oeaRHJE50
黒い服の男は、うつむいたままのミライに向かって、さらに嘯く。…
「お前は捨てられなかった、サイコキノの小娘の破片も、お前の隣にいる男とお前とを
つなぐその通信装置も。そしてお前は捨てられなかった、お前がすでに失ったものでさ
えも。その結果、お前はお前自身を失うことになる。…それとも、どうする。まだ間に
合わないでもないな。あの男を見捨てて、隣にいる男とともにもとの世界へ帰るか」
「そんなこと…!」ミライは唇を噛む。
「そうだろうな。そんなことはお前にはできまい。帰ったところで、お前は、別の闇の
中にとらわれるだけだろう。罪悪感という名の、底知れない深い闇の中へな」
「ひきょうもの!ヒロトさんを解放しろ」きっと顔を上げて男をにらみつけるミライ。
男は哄笑する。「解放する手立ては当座たった一つ。反世界の存在と相互変換が可能なのは、
まったく同じ姿の、同じ質量の存在だけだ。ヒロトの姿になっているお前ならば、既に
反物質化してあちら側の存在になっているあの男と、互いに入れ替わることで、あの男を
こちらに引き戻すことができる。…しかし、時間はあまりない。反世界というのは不安定
なものでな。いつでもこちらの世界と接触しているとは限らぬ。今、ここでお前たちが
接しているのは、お前たちの互いに呼び合う声を、われわれが増幅し、強力な磁波と変え
て、異空間同士を無理やりつなげたからだ。あの男を覚醒させてお前の声を聞かせ、呼び
合わせた。だがこの邂逅は長くは続かない。まもなく磁波は緩み始める。お前がここへ
たどり着くのを見込んで、そうなるように仕掛けたからな。長くてあと二時間。お前の
心身の限界が来るまでの時間が、あの男がこの世界に接していられる時間の限界だ。
 その間に好きなほうを選ぶがいい。あの男と入れ替わりに反世界の住人となるか、それ
ともあの男を捨てて、隣にいる男とともにもとの世界に帰るか」
257闇の呼び声13 4/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:37:39 ID:oeaRHJE50
リュウ=タロウとミライとが出会ったときから、ガイズのモニタ映像は鮮明となり、
音声もはっきり聞こえはじめていた。その前で、クルーは、さまざまな衝撃の中にいる。

…なぜ気がつかなかったのか。気づいてやれなかったのか。こんなに近くにいて。
いつもあの子を見てきたのに。そもそもの最初、俺とあの子が出会ったきっかけに
なったできごと。あの子があんなにも、必死に、俺の言ったことを覚えようとしたこと、
守っていこうとしたこと。生来の一途な、まじめな性格によりいっそう輪をかけていた
ものは、助けられなかったヒロト君への思い。それをわからなかったわけではない。
だが、レッサーボガールの一件で一段落ついたのだと、俺は、勝手に思い込んでいは
しなかったか。…そうではなかった。ずっとずっと心のどこかで、いつも呼びかけて、
探し続けて。おそらくは自分でも意識しないほどに、それはお前の心の習性と化して。…

…なぜ思い出せなかったの。確かにミライ君は泣き虫だ。でも、あんなふうに号泣したの
は後にも先にも一回だけだった。それなのに、どうしてあたし、思い出せなかったの。
それに、あそこで聞いたヒロトさんの声。ミライ君にそっくりな声だった。どうして、
忘れていたの。こんな大事なことを。…


258闇の呼び声13 5/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:41:36 ID:oeaRHJE50
…お前、いつも気にしてたんだな。この人を助けられなかったこと。なあ、ひょっとした
ら、と思うことがある。俺がお前に―ウルトラマンという存在に、ずっとあこがれて、
いつかなりたいと思ってきたように、お前は、俺たちに―この地球という星でチンケに
暮らしてるちっぽけな人間という存在に、もしかしたら、似たような気持ち、抱いていた
のかもしれない、なんて、さ。…しょってるな、こんな言い方。でも、お前、俺たちの
地球や、俺たち地球人のことを、すっごく好きでいてくれてるよな。メビウスという
ウルトラマンだってことと同じくらい、いや、時としてそれ以上に、ガイズのヒビノ・
ミライであることを誇りに思ってくれてるよな。…でも、それでも、お前は気にしてた
のかな、そもそもは自分が地球人ではないということを。ミライという姿は仮の姿でしか
ないということを。…助けられなかった人の、でもいつかは助けるんだと思っている人の、
その姿かたちを借りるってことは、その人を助けた後は、どうするつもりだったんだ。
やっぱり返上?…そりゃないぜ、ミライ。リュウの言うとおり、お前はお前なのに。お前
はお前でしかありえないのに。そんなに簡単に、お前がお前であることを手放そうとしな
いでくれ。…なあ、頼む、ミライ。



259闇の呼び声13 6−1/7 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:45:56 ID:oeaRHJE50
…ミライ君。だめだよ。そんなに簡単に、自分を捨てちゃだめだよ。ヒロトさんとミライ
君は、似ているけれど、別の人だよ。入れ替わったりなんかできない。そんなに簡単に
あきらめないで。きっと何か方法があるはずだよ。あたしたち、何とかしてそれを見つけ
る。ヒロトさんとミライ君とが、一緒に戻って来られるように。だから、だから、お願い。
あきらめないで。戻ってくる意志を、決して捨てたりしないで。お願い、ミライ君!

…落ち着いて、ミライ君。君は今、ずっとその世界をさまよい続けて、もう限界に近いま
で、体も心も衰弱している。ゆうべ意識を失ってから君は、幾たびも、そこから出ようと
してもがき苦しんできたんだよ。その一方で、君が時空波の呼びかけに、どうしても逆ら
えなかったのには、こんな事情があったからだったんだね。つらいね。こちら側で横たわ
ったままの君の頬に、また涙が流れてる。さっきからずっと止まらないでいる。それに君
の手は、隣に横たわっているリュウさんの方をずっと探すように宙をさまよってる。…
僕はさっき、あんまり痛々しくて、君の手をリュウさんの手にそっと重ねてあげた。でも、
そしたら君の手は、ぶるぶる震えながら、リュウさんの手から離れようとするんだ。
そのくせ、離れたリュウさんの手のそばを、やっぱり探すようにさまよってる。…
ほんとは、捨てたくなんかない。ほんとは、帰ってきたい。だけど、ヒロトさんをその
ままにしてはおけない。君の名前をつけてくれた、君にそっくりな、やさしい勇気のある
青年。何とかして助けなくちゃね。反世界に関するデータを、今僕たちは大急ぎで分析に
かけている。だから落ち着いて。ねえ、ミライ君。

**(すいません、7レスになる。今回は次で終わり)
260闇の呼び声13 6-2/7 ◆smJNL9GJT. :2007/03/04(日) 11:49:05 ID:oeaRHJE50
川の対岸。黙っていたヒロトが、ミライを見つめて、しずかに口を開く。
「メビウス。きみは、こっちへ来てはいけないよ」
「ヒロトさん!ぼくは、…ぼくは、いいんです。あなたが、こちらへ、戻らなければ」
一語一語を噛みしめるように発するミライ。「ここは、地球は、あなたの星です。だから!」
「だめだよ、メビウス。ぼくはただの人間だけど、きみはウルトラマンだ。きみがこちら
にとらわれたら、地球はこんな奴らの思いのままだ。それに」ヒロトは、にっこりする。
「それに、ミライ君。きみはきみ自身として、この地球でちゃんと居場所を持っている
んじゃないか。それは、ぼくが取って代われるような場所ではないよ」
「あなたの居場所だって、ぼくが取って代われるようなものじゃないんです」ミライの
まなかいに浮かぶ、バン船長の涙。止まったままのヒロトの時計。今なら、わかる。なぜ
自分が、船長を悲しませたのか。「あなたのお父さんにいわれました。きみは私の息子では
ない、と。あなたを愛して、ずっとあなたを思っている人がいる。大切な人として、あな
たを待っている人が。戻って、生きて下さい」

ヒロトはゆっくりと首を横に振る。…きみを愛して、きみをずっと待っている人もいる
はずだよ。いま、きみのそばにいる、きみのともだち。きみをひきとめようとした女の子。
きみを大切に思っている人たちが、きみを待っている。きみには、捨てられないものが
たくさんあったとあいつは言った。それはきみが、ここでの時間をどんなに大切にしてき
たか、その証だろう。その時間が今、きみを守ろうとしている。…聞こえるんだ、目を閉
じると、きみを呼ぶたくさんの声が、ぼくの耳に。こっちに来てはいけない、ミライ君。


 ヒロトはふいに川原にかがみこみ、角の取れた石の中から、やや薄手の一つを拾い上げ
ると、それを思い切りよく足元の別の石をめがけてぶつけた。かしゃん、と鋭い音がして、
薄手の石は割れ、いくつかの瓦礫の破片となる。そのうちの一番尖った破片を拾い上げる
と、ヒロトはそれを自分の胸元に差しつけた。

*今回ここまで。
261GUYS情報部赤塚支店 桃の節句 ◆bcN0weLYD. :2007/03/04(日) 15:19:21 ID:Xyam04fl0
>>250 桃の節句 赤塚支店バージョン投稿いたします。

 嫌な方はスルー願います。投稿は3回。
 私の現在のコード名は赤塚M。
GUYS直属の情報部に所属。下部組織GUYSJAPANの指示は一切受けない。
現在長期にわたると推測されるミッション「カラー・レンジャー」を遂行中。
任務はメビウス人間体の旧姓ヒビノ・ミライとその配偶者アイハラ・リュウの安全と機密
を守ること。
 GUYS情報部におけるウルトラマン関連『パレット・プロジェクト』に関わる隊員の中
でもタフな面子が招集された。その重要性・機密性も然ることながら、期間がパレット・
プロジェクトの中でも飛びぬけて長くなることが予測されたからだ。一生をこのコード名
で終える覚悟で任務につけ、とは召集時に告げた。むろん自分自身も例外ではない。
「『お隣さん』はどうだ?」
「夫婦円満ですぅ」
 私の女房役:赤塚Fが相変わらず語尾を延ばした言い方で答える。カラー・レンジャー
発足前に宇宙ケシ騒ぎの任務で女子高に生徒として潜入して以来、はまったらしく、口調
がそのまんまである――これが似合うから怖い。誕生から高校入学を余裕で二巡できる齢
を重ねているくせにどうしてこいつはきゃぴきゃぴな女子高生の言動が似合うんだか。
「しかし――なんだ、今晩の飯は」
「だぁかぁらぁ、ひな祭りですぅ。桃の節句は初めてだって言うからぁ、ミライ君に教え
ながらぁ、一緒に作ったんですぅ。講師役は青山Fでしたけどぉ」
 それで桜寿司にハマグリのお吸い物か。基本的に和食は青山Fだからな。
 メビウス人間体は資料に書かれた以上に人懐っこく、世間知らずだった。先だっても、
ひな壇飾りの設置にFメンバー全員が首を突っ込んでいた。
「ミライ君、本当に可愛いv」
「赤塚F」
「分ってますぅ。任務は忘れていませぇん。ただ役得を楽しんでいるだけですぅ」
「バレンタインみたいなことは仕組んでないだろうな」
「・・・ボスが止めたじゃないですか。今回もやってみたかったのにぃ」
 だからそこで恨めしげな目で俺を見るな。
 「食事?お風呂?それとも僕?」とか、首にリボンつけて「プレゼントは僕」とか、
純粋無垢なウルトラマンに、本当にろくな事を教えやしねぇ。
これをまたメビウス人間体:アイハラ・ミライ(旧姓ヒビノ)が素直に実行するもんだから、
実に洒落にならん。
盗聴中「僕のこと食・べ・て(はぁと)」のまきぞえ受けたこっちの身になってみろ。
 幸い、直撃くらったアイハラ・リュウが硬直したことで、アイハラ・ミライはいつもの
調子に戻り、事なきを得たが。いくら俺でも新婚ピチピチ夫婦生活まで顔を突っ込みたく
ないわい。そんな物好き、赤塚Fだけで十分だ。
 その赤塚Fは「いやーん、なんでそこで止まっちゃうんですかぁ!」と悶えていたが。
なに期待しとるんじゃ、お前。
 ともかくままごとレベルの夫婦の片割れに変な入れ知恵を入れるのを阻止できて、今回
は幸いだった。お隣夫婦の平和の為にも、私の心の平穏の為にもだ。
 ・・・ところが、この夜、隣の様子が変だった。
 秒針が午前0時を過ぎた途端、どう聞いても家財道具を片付けている気配。
 それが終わったと思ったら、「僕は行きます!」「今から何処行きやがる! 行く必要は
ねぇ! お前はここにいろ!」「リュウさん、ひどい! あの子たちがどうなってもいいん
ですか!」「そんなことは言ってねぇだろうが!」と口論――監視して半年もたってないが、
この二人には初めてじゃないのか。
赤塚Fも真顔だ。
 我々が一見この微笑ましい新婚夫婦にずっと張り付いているのは、この二人の行く末に
地球の未来がかかっていると言っても過言ではないからだ。何しろウルトラマンと地球人
の初めてのこの夫婦である。しかも、ウルトラ兄弟の末っ子、溺愛の妹だ。ウルトラマン
との関係をより強固にしたいGUYS上層部としては、ここでしっかり掴んで離すなと心
から激励を飛ばしているのである。
逆に言うと、この夫婦にひびが入ったら、とんでもない。まさか、さっきの物音は
「実家に帰らせてもらいます」の準備じゃなかろうな。少なくとも夕食の雰囲気は悪く
なかったんだが。何か愛想を尽かれる事をやったか、アイハラ・リュウ。
 地球の将来はひょっとすると旦那のあんたが握っているんだぞ!
 我々はまんじりとせずに夜を明かした。一晩中、行く、行くなの言い合いが続いた。
その挙句、結局GUYSJAPANの総監までお出ましに・・・。いや、この夫婦の実質、
仲人みたいなもんだが・・・朝っぱらからすっとんでくるサコミズ総監に我々の緊迫感は
嫌応なしに高まっていた。
 それが。
「で? 真夜中にひな壇片づけで大騒ぎだって?」
「もう、絶対日にちが変わったら速攻で片付けるって、秒針にらんでやがった」
「だって、良くないんですよ! お嫁さんになるのが遅れるって」
「・・・あのね。片付けはそんな一秒一刻を争うもんじゃないから。第一ミライは慌てて自分
の分を片付けても意味はないんじゃない? だって、もうリュウのお嫁さんになっている
でしょ」
「あ」
 ・・・orz
 横で赤塚Fが「いやーん、ミライ君ってば可愛いですぅ」と完璧に趣味丸出しで悶えて
いたが、とがめる気力もなかった。
 アイハラ・リュウが止めなかったら、更に真夜中に保育園のひな壇片付けに突進する所で
あった、という。そりゃ止めてくれて正解だ。真夜中に保育園に乗り込まれたら不審人物
としてウルトラマンが警察に検挙されていたかもしれない。偉いぞ、アイハラ・リュウ。
 ・・・しかし、今まで考えまいとしていたが、地球はこんな天然に守られていたのか。
「赤塚F」
「はい、ボス」
「俺は寝るぞ。不貞寝する。休暇をとるから、その間、指示は任せる。緊急時には起こせ」
「GIG。ああーん、やっぱりミライ君ってば、なんでこんなに可愛いんでしょうかぁ」
 赤塚Fが再び悶えているのを背に、俺は自分の寝室に向かった。
 私の現在のコード名は赤塚M。
 GUYS直属の情報部に所属。下部組織GUYSJAPANの指示は一切受けない。
 しかし・・・時に何かも放り出したいしたい時もある。
 そもそも新婚の監視なんて・・・やってられるかー!(←独身)
265名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 15:42:27 ID:Xyam04fl0
 トレーニング、なぜか思い出したのが不思議の島のフローネ・・・。orzトシガバレマスナ
 ほのぼのすすんでいますが。・・・80先生の安否は?

 闇 ヒロトー(涙) あああ、この子もなんていいコなんだーっ(涙)
266名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 16:12:15 ID:tEQFqBmf0
>>262

余計なことかもしれませんが「青山F]ではなく「青木F]では?
しかし、新婚さんの監視は独身の身には辛かろーて(笑)
サコッチもごくろーさんです(笑)

>>254

クライマックス近しですね〜幸せな結末を祈ってます〜
267万能の神はいないXXX ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 16:54:09 ID:Xyam04fl0
>>266 ほぐぁ! また間違えたorz
 まとめ様、回収時には青木で・・・。

 な、なんか続いてしまいますが、万能は神をいないを投稿したいと思います。
 104から109、もしかすると+1ぐらいになるかもしれません。
 嫌な方はまた、スルーお願いします。
268万能の神はいない104 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 16:56:02 ID:Xyam04fl0
 考えてみれば、とイサナは後で振り返った。
 黒幕の誤算の1つは地球にいるウルトラマンがミライ一人だけでなかったことだ。
そもそも他のウルトラマンは目に入っていなかった、としても。
 ――いや、それすらも語弊がある。相手にとって他の者はどうでも良かったのだ。
 ミライとリュウ。最初からこの二人だけしか見ていなかった。

 颯爽とした男だった。最近流行の小奇麗なだけのちゃらちゃらした優男とは全く毛色が
違う骨太さ。陽性の、老若男女に受けいれられる好男子。
「タロウ兄さん、一体どうして」
「お前の顔を見に来た」
 ミライに向ける眼差しは暖かく優しい。精悍な顔立ちが一笑するとふわりと甘くなる。
同性の目から見ても実に惚れ惚れするようないい男振り。ミライを抱き寄せている姿も
実に様になる。
 タロウ兄さん、っていうことは。
 イサナは唖然とした。確かに、リュウは言っていた。顔を見に飛んで来る、と。
「おい、足。ちゃんと履け」
 タロウの気配に何も履かずに飛び出したのだ。注意され、はっとミライが我に返ると
急にコンクリートの冷たさが感覚に捉えられる。靴下越しとはいえ足先が悲鳴を上げた。
ミライは慌ててリュウの差し出したサンダルを履く。その横で男二人は言葉を交わした。
「――あんた、しばらく逗留できるのか?」
「そのつもりだ」
「そうか・・・正直助かる。ミライ。今日、出勤するわ」
「あ、はい。送迎の、ワタルさんをお呼びしますね」
 ミライがばたばたと室内に戻る。それを見送るリュウの背にタロウは一言。
「分かっているだろうな」
「分かってら」
269万能の神はいない105 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 16:59:21 ID:Xyam04fl0
 火花飛んだよ、おい。
 イサナは微妙に視線を泳がせた。ミライに対する態度と随分違う。
 小舅というよりこれはまるで――
 瞬間、イサナの心身が引き締まった。
 タロウの視線だった。ミライに向けた柔らかさ、リュウへ向けた遠慮のなさとも又違う。
立場を誰何し、観察する目だ。
 すぐにリュウがタロウに説明した。
「GUYSオーシャンのイサナ隊長だ。ミライのことはよく知っている――大丈夫だ」
「そうか。世話になった」
 微笑み眼光をやわらげれば、愛嬌に満ちた好漢でしかない。
「シークウァル、状況を把握したい。記憶を見せろ」
 呼ばれてツヅキがタロウの前に立った。背筋をピンと伸ばした姿。
 さっき呼ばれたのが彼の故国での名か。イサナはこの青年の事を実は然程知っていない。
 イサナの見ている前で彼らは軽く額を合わせた。彼等はこのようにして互いの記憶を
伝達できるらしい。地球の言語ではなく、何か2,3言葉を交わす。ミライの時とは異なる
が、年長者の情愛を感じさせる目と表情。・・・ミライはタロウの教え子だった。この二人も
師弟になるのだな、と直感的に分る。
 それにしても――確かにぽやぽやしたもんじゃないな。
 タロウやレオはそんなもんじゃなかった、と。これもリュウの言葉だった。
 だが経験と先入観とは恐ろしい。ミライだツヅキだと面識があるウルトラマンの2例が
2例なものだから、イサナは彼らがそういうものだとばかり、ついつい思い込んでいた。
 ・・・ミライたちは個体としてまだ幼く、甘いのだろう。見ていて微笑ましいほど。
 はっきり言えば総じてあの二人は可愛らしい。それに比べるとこちらは明らかに歴戦の
つわものだ。彼が実は相当なご立腹らしいのを割り引いても、あの二人を見ていると沸き
起こる強烈な保護欲は感じない。この違いは個性なのか、経験の差か。
「今、ワタルさんが来られるそうです。それまで待機してくださいって」
 ミライが顔を覗かせると、彼はあの眼差しになった。優しい『兄』の顔だった。
270万能の神はいない106 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 17:01:55 ID:Xyam04fl0
 電話の最後に、ジョージに言われた。もう少しミライの気持ちも考えたらどうだ、と。
過保護すぎるのも、また逆に相手の負担になると。ミライの本質は『守るもの』だ。

 考え込んでいるリュウにワタルが質問したのは、もはや第二の習性に過ぎなかった。
「アイハラ隊長。誰ですか、見送りに混じっていたあの人」
「・・・ミライの兄貴」
 単語の意味が頭に構築された瞬間、ワタルは心の中で叫んだ。ウルトラマンメビウスの
兄貴!? ハンドルを握っていなかったら振り返って今一度確認してしまう所だった。
「えーと、奥さん、宇宙育ちで親族が地球にいないんですよね」
「あいつはたまに顔を見に来るけどな。今回、しばらく逗留する。安心しろ。腕は立つ。
滅多なことでどうかなるやつじゃねぇ」
 ワタルは内心苦笑した。そりゃそうでしょうよ。正体がウルトラマンじゃ。
「お兄さんのお名前は?」
「タロウ兄さんだと」
 ウルトラマンタロウか! しかしあのマンションにウルトラマンが3人いたのか。
知らぬとは言え、とんでない密度のところに立ち会ったものである。
「奥さんって何人兄弟なんですか?」
「9人兄貴がいて、ミライが末っ子・・・って言っても血はつながってねぇけどな」
「養子か何かなんですか?」
「いや。ミライの生まれた所じゃ兄弟ってのは背中を預けられる相手って意味なんだと」
「まるでヤクザの義兄弟・・・」
 イサナは小声で言ったのだが、しっかり隣のリュウは拾ったらしい。
「なんか言ったか?」
「そこで凄むなっちゅーに。おまえ、無駄に目つき悪いんだからさ」
「言いやがったな! 余計なお世話だ! お前が軽すぎんだ!」
「そういえばコノミさんがツヅキに早く弟になれるといいねって言ってましたね」
 ワタルは話題をふる。後部座席の隊長同士のやりあいに助手席で縮まっている新入りが
こくこくとうなづく。はっきり言ってこの車内で一番態度が小さいのがウルトラマン――。
 微妙に何か間違っているような気がする。
「言われたのか?」
「はい、アイハラ隊長。まだ『弟』とは名乗れませんので訂正しました。その時に」
271万能の神はいない107 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 17:05:42 ID:Xyam04fl0
 あいつ、ねぇ。
 イサナはツヅキと話すリュウの横顔にちらりと目をやる。
 いくら配偶者がメビウスってもさ。変にウルトラマン慣れしていると言うか、なんと
いうか。確かにミライを除いても異様に接触率が高いのだが。
 タロウをあいつ。
 あいつと呼ぶのに気負いもない。嘘や演技のできる男じゃない。それだけにこの男の
本心だと分る。正体がなんであるとリュウにとっては特に身構える存在ではないのだと。
 今回の件で気が立っているらしいのを除いても、やはり。視線でひとなでされた時の
プレッシャーは相当な物だった。ミライやリュウの話からタロウとリュウの初対面は、
今回イサナが受けたそれとは比較にならなかったはずだ。何しろ人間体ではなく、50mを
超えた巨人の姿で見下ろされた、というのだ。メビウスを連れ帰るはずだった巨人を正面
に一歩も引かず、リュウは対峙したという。
 呆れるほどウルトラマンに気後れしない男である。
 タロウの方も、また結構リュウに遠慮がなかった。
 喧嘩相手というか好敵手というか恋敵というか。
 ウルトラマンとも、地球人同士同然の関係を構築できる所がこの男の真骨頂だと思う。
 イサナもミライやツヅキあたりなら気軽に話せる。よくからかう。が、流石にタロウに
関してはそうはいかなかった。初対面だから、という訳ではない。なにせイサナは初対面
からミライとツヅキをからかった実績がある。・・・イサナは分っていた。自分はリュウが
築いている関係の上にのっかっているのだ。だからあの二人はからかえる。
 恐らくミライにも、イサナが目撃していないだけでウルトラマン特有の強烈な存在感が
発散されることがあるのだろう。何しろあの1年間の戦いの間、リュウは側にいたのだ。
後半は特に、その正体を知りながら。知らずにいられるわけがない。
 その気配に身を晒されても臆することはない。いたわり、口論し、共に泣き笑う。
(後になって知ったが、リュウは初対面の『メビウス』を相手に盛大に怒鳴りつけたという。
イサナは呆れた。普通しない。というか、普通するか。並の神経じゃ出来ないだろ、それ)
 他にごまんと欠点があっても、その辺りがこの男がミライの側にいられる要因の1つと
いう気がイサナにはした。
 なにしろウルトラマン相手に俺、お前、だ。
272万能の神はいない108 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 17:09:39 ID:Xyam04fl0
 『あの男』あるいは『お前が選んだ男』。
 リュウの名前を知っているはずなのに、なぜか一向に呼ぼうとしない。
 師でもあり兄――この条件は長兄や80、レオ、アストラにも重なる条件だがやはり教官
として最もメビウスに関与したのはやはりタロウだ。そのタロウがリュウを嫌っている
わけではないことをメビウス=ミライは良く知っている。妙に意固地になってはいるが、
リュウを認めてはいるのだ。ただ、ひどく珍しいとは思う。この兄が、露骨にここまで
つっけんどんな対応をとり続けるというのは。記憶にある限りリュウに対してだけだ。
「あの男と喧嘩したのか?」
「・・・喧嘩ではありませんけれど」
「――おいで、メビウス」
 差し伸べられた手にミライは素直に兄の隣に座った。
「あの男に言えないことがあれば私に言え。あの男に筒抜けになる心配だけはない」
 その物言いにミライは笑う。そして下を向いた。
「少し、過保護に扱われて」
「今回は仕方ないだろう」
「・・・前からなんです。今回だけではなくて、僕に対して、ひどく過敏で深刻になるんです。
気を使われすぎて、時々居たたまれない心境になることもあります。でも、その原因は
結局以前の僕の行いが裏目にでたせいです」
「メビウス?」
「・・・初め黙っていました。ずっと黙っていようと思っていました。とてもではありません
が、自分の気持ちをあの人には言えませんでした。僕がメビウスだという事もありました
けど・・・リュウさん、残される事をとても恐れていましたから。・・・とても繊細な人なん
です。前の仲間が自分一人を残して全滅したばかりで、心の傷がとても生々しかった。
いつか僕はあの人を置いて地球を去る。それは前もって自分で分かっていました。あの人
に更に残される経験を負わせる訳にはいけない。僕も側にいるだけでよかった。だって、
リュウさんは自分では全く気付いていなかったけど、僕の事を好きでいてくれたから、
それだけで十分報われました。ずっと秘密にしておこうと思いました。それなのに、結局、
僕は秘密を守り通せなかったんです。」
273万能の神はいない109 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 17:17:04 ID:Xyam04fl0
 ミライは視線を足元に落としたまま、言葉を続けた。
「あれは本当に最悪のタイミングになるところでした。インペライザーの時にリュウさん
の前でメビウスになりました。――兄さんの助けが来なければ、あのまま死んでいました。
リュウさんをまた残される立場にするところでした。そのタイミングで秘密に気付かれて。
本当にあのまま死んでいたら、リュウさんにどんな深手を負わせていたか、ぞっとします」
 それなのに、あの時。
「それから、リュウさんは僕にとても過敏になっています。以前のことですごく罪悪感を
抱えています。僕が黙っていたのは僕の勝手です。リュウさんが傷つくのが怖かったから
黙っていただけなのに。あんな、辛そうな顔をさせるために黙っていたわけじゃないです」
 感情のうねりに耐えるよう噛み締めていると、宥めるように、髪を撫でる手。
「それでも、変な話ですが、あの時はまだよかったです。怪獣も侵略する異星人も多くて、
時間もないのも分かっていて、お互いにそこまで構っていられませんでしたから。今は
なまじ時間があるからリュウさんも色々思ってしまうみたいで――少し、ぶつかりました」
「そうか」
「本当に変な罪悪感は持って欲しくないんです。僕が地球に戻ったのは、僕の心が耐え
切れなかったから、なのに。僕の意志、はっきり言えば僕のエゴです。なのにリュウさん
は僕を残す、ということに今からとても負い目を感じてしまっている・・・。分かっています。
僕のことを思ってくれるからだって。でも、僕はリュウさんが思うほど綺麗な生き物では
ありません。結構、僕は自分勝手です」
「こうして地球に居ついているしな」
「・・・はい」

 やっぱ行多すぎたorz もう一回続きます。
274万能の神はいない110 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/04(日) 17:20:13 ID:Xyam04fl0
 ミライは目を閉じた。
 タロウ兄さん、本当は――そんなものじゃありません。
 あの時。見納めだ、とリュウさんの顔をメビウスの姿で見下ろした時。
 ごめんなさい、ごめんなさい、と何度も謝った心の裏で。
 なんて汚い。自己中心的な。
 あれがリュウさんの致命傷になったのかも知れないのに。
 単なる姿を消した同僚であれば、いずれ記憶も薄れる。
 痛みを覚えることもなくなる。
 勝手な奴と一時的に罵っても、やがて記憶は風化する。
 でも、こんな別れ方は最悪だ。
 リュウさんが自分の亡骸を抱えてこれからを生きてしまう。
 なのに――同時に僕はこう思ってしまった。
 これでリュウさんは僕を忘れない。ずっと覚えてくれる、って。
 そう思ってしまったんです。兄さん。

 今回はここまでです。
275名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 17:51:41 ID:oeaRHJE50
光太郎さん(タロウ兄さん)の男前ぶりにKOされますた…あああああ、かっこよすぎる!
これからしばらくは兄さんの魅力を楽しめるんだよね。ウレシイww

時事物とメインストーリといっぺんに読めて幸福だーー。赤塚Mさんおつかれさん。
イサナもリュウもいい男だが、久しぶりに「守る」側としてのミライの心情が描かれるのもイイ。
276名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 21:38:16 ID:tEQFqBmf0
万能さんの話を読んでると、インペライザー編とかデスレム編とかアリゲラ編とかの
現役バリバリ時代のメビウス、万能さんバージョンが、読んでみたくなる〜!!!

277名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 22:24:53 ID:N7p8n3Xr0
♀メビで万能さん作でインペライザー……。
確かに超読みたい。スポットとか追憶でもいいから。
でも。

「明日ミライ君がデートに誘ってくれるかもよ」
「デートぉ?けっ、ふざけんな」←本編。
「デートだぁ?ば、ばっきゃろふざけんな(真っ赤)」←♀メビ版。

リュウの反応が、♂メビだろうと♀メビだろうと大きく違わなさそうな気がするのは気のせいか。
単にリュウのツンデレ度があがるだけなのか。
278名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 22:43:49 ID:Gt3LlqmK0
いや、表の態度はともかく、男なら戦友だろが。♀だからそれ以上の感情が出てくるんじゃ・・
・・・もっかいスレタイ読み直してから(ry
279名無しより愛をこめて:2007/03/04(日) 23:29:31 ID:ctiPceH70
例え相手が女の子でも、態度が変わらないのがリュウということではないかと。
280インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/05(月) 09:59:24 ID:RWKBKtHH0
フィフストレーニング3-15

「隊長の会いたかったヒトって、彼等だったんですね」
「ああ」
一頻り小亀達と遊んだメビウスは、元のサイズに戻ったゾフィーと一緒に浜辺に下りていた。波打ち際では、トータス親子が海水に頭をつけたりして戯れていた。
「今日はこのコーヒーを淹れてくれ」
ゾフィーは挽いてあるコーヒー豆を取り出してメビウスに渡した。封を開けて一番に漂った香りに、メビウスは目を丸くする。
「これ、お菓子みたいな香りがします!」
「よくわからんがフレーバーコーヒーというらしい。これは確かマカデミアナッツだったかな?貰い物だ」
「へー・・・・不思議ですね」
メビウスはウエストポーチからコーヒーセットを取り出すと、お湯を沸かし始めた。
「あの亀の親子は、隊長が以前に飼っていたんですか?」
「いいや、違う」
ゾフィーは強くなったナッツの香りに意識を傾ける。悪い感じはしない。
「タロウがまだペーペーの時に未解決にしてしまった事件があってな」
「ペーペー・・・・」
「それをセブンがぬけがけして助けにいって、保護したのが彼等だ。
だが、他惑星から動植物を移動させるのはかなり面倒な手続きや検査が必要でな。あいつがそれをやらずにいたものだから、私の方に全部書類が回ってきた」
「はあ・・・・あの、『ぬけがけ』ってなんですか?」
一瞬ゾフィーの視線がトータス親子の方へと向いた。
「単なる接続詞だ。気にするな」
「え、でも接続詞って・・・・」
「ナマサラカア星のクャピッハソウ大陸に住む放浪民族タテベラナ族が使う言語の文法と単語だ」
「はあ・・・・」
そんな惑星あったかなと、メビウスが地理の授業を思い出そうとしたが、すぐにゾフィーは話を元に戻した。
「ともかく、セブンのお陰でしばらく保護施設に通った。タロウもあれから彼等に会っているのやら」
「その辺りの話は、僕も伺ったことがないので・・・・今度聞いてみます」
メビウスは亀の親子を見上げ、出来上がったコーヒーをカップに移す。
「そうだな。事件の詳細も含めて、できれば一緒にまた来るといいだろう。あいつはもっと自分の恥を公開するべきだ」
ゾフィーはコーヒーの香りを深く吸い込んだ。まるでお菓子を食べているような気がする、甘い香りのコーヒー。
「それじゃ教官に悪いです」
281インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/05(月) 10:00:51 ID:RWKBKtHH0
フィフストレーニング3-16

『恥』という言葉に、メビウスはちょっとだけゾフィーを睨みつける。
「失敗の経験は糧になる。それを知らない者に知らせるのは、経験者の務めだ。ましてや被害が広がる可能性がある場合な」
「トータス親子みたいな被害者を出さないためにも、ですね」
「被害者、ね」
カップの向こうでゾフィーの声がくぐもる。
「? 隊長?」
「この件に関してはそれでいい。
だがこれが星人の場合、話は多少こじれてくる。被害者と言う言葉も使い勝手を間違える場合がある」
「あの、どういうこと、ですか?」
「そういう場合もあるということだ。誰もが被害者であり、加害者であるという状況が、時には発生する」
「誰もが加害者に・・・・」
ゾフィーはカップを膝に下ろして、メビウスを見た。
「メビウス。絶対悪ほど相手をするのに楽なものはない。それは脅威だが倒せばいいだけの話だ」
メビウスはその言葉に、目の前の人物を凝視した。
『悪を相手にする程、楽なものはない』と、この正義を預かる隊長が言い切った。
悪を相手にすることを学んでいる自分に、言ったのだ。
「・・・・はい」
まだ理解できない頭の中で、それでもメビウスはその言葉を呑み込んだ。
282インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/05(月) 10:02:23 ID:RWKBKtHH0
フィフストレーニング3-17

「いや、あの、これはだからそもそもタロウ兄さんが・・・・」
「今度はタロウ?80、あなた兄弟全員を巻き込んで、一体何をしていたの?」
ユリアンの握力は一行に弱まる気配がない。いっそ光線技の一発でも喰らって終わりだったら気がラクだろうに・・・・と80が視線を彷徨わせていると、青空に真紅の点が見えた。
「お〜い!」
「あれは・・・レオ兄さん!アストラ兄さん!」
「え?」
ユリアンもつられて空を見上げる。
「あら、本当」
点はあっという間に大きくなり、二人の前に着地した。
「よお、ユリアン。まさかこんなところでデートしていたなんて」
「あら、レオの方こそどうしたの?アストラと一緒に」
レオのお陰で、80の腕を拘束するユリアンの力が弱まった。
「大丈夫?80」
「助かりました・・・・って、元々はアストラ兄さんとレオ兄さんの所為でしょう?!」
『しっ!大きな声出さないで!』
アストラのテレパシーに、しぶしぶ80は怒鳴りたいのを我慢してテレパシーに切り替える。
『ゾフィー兄さんとメビウスは?』
『わかりません。メビウスの悲鳴を聞いたところでユリアンがああなってしまったので』
80とアストラは揃ってレオとユリアンの方に視線を向けた。
「たまの休日だし、動物園とか行こうと思ってさ」
「二人共、動物好きだものね。ペットも飼っていたし」
ロンのことを思い出してユリアンはちょっと笑った。レオもアストラも辛い表情はしていない。
共有できる思い出話は、できるうちにしてしまえというのがユリアンの持論だった。して欲しくない話ならばその気配ぐらいは出すだろう。その時にやめればいいだけだ。
(思い出は辛いかもしれないけれど、奮い立たせてくれるのもまた思い出だったりするのよね)
283名無しより愛をこめて:2007/03/05(月) 12:39:42 ID:RWKBKtHH0
>>闇 ヒロト君、優しいよ(涙)でもミライはこれで二度もヒロトの死を見なければいけないのか・・・・
リュウタロウ、なんとかしろー!!

>>万能の神 タロウ兄さん、22歳の光太郎さんの姿ですか?なんつーか、やっと来た救世主という感じがしますよー。
あの爽やかな好男子ぶりはなかなか他の人では出せませんよー!活躍が楽しみ〜ww
でも自己嫌悪になっているミライを救うのはやっぱりリュウさんなんだろうなー。
ヤクザの義兄弟にワロタww
284名無しより愛をこめて:2007/03/05(月) 13:24:19 ID:RWKBKtHH0
>>262-264 バレンタインのアイハラ家の様子、kwsk
285名無しより愛をこめて:2007/03/05(月) 13:48:30 ID:FYB5N+Tp0
>>280-282
「ナマサラカア星のクャピッハソウ大陸に住む放浪民族タテベラナ族が使う言語の文法と単語だ」
・・・隊長、ぜってー適当にいってんだろーなw
286名無しより愛をこめて:2007/03/05(月) 22:58:36 ID:e7QJZlGG0
>>283
 タロウが見てくれだけとはいえ、リュウより年下になるはずありません。
 リュウよりちょい上ぐらいです。
>>284
 時機を逸した為、どこかにしまい込んだメモ帳をただ今サルベージ中。

 インペ、デスレムは一部つまんで万能にエピを突っ込む予定。
 アリゲラ編は・・・イサナが強烈すぎorz 番外になっちゃうけどいいですか?

287万能の神はいない ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:02:55 ID:sClrLLlS0
 万能の神をいないを投稿したいと思います。
 104から109、もしかすると+1ぐらいになるかもしれません。
 嫌な方はまた、スルーお願いします。
288万能の神はいない ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:04:48 ID:sClrLLlS0
 ちがった、111から115ですorz 
289万能の神はいない111 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:06:03 ID:sClrLLlS0

 彼らは『正義』で動いていた。

「メビュームシュートぉ!」
「きゃー、やられたぁ!」
 個室のドアを開けるなり、ウルトラマン活劇に興じている患者と看護士が目に飛び込み、
テッペイは噴出した。
「シュウ君、すっかり元気だなぁ」
「あ、若先生」
 ちょっとばつが悪そうな顔で彼女は頭を下げる。手には怪獣のソフビ。子供の方は当然
正義の味方メビウスだ。
「渋谷さん、看護師長が探していたから急いでください」
「あ、すいませーん」
 鳩羽の言葉に競歩の勢いで出て行く後姿を苦笑交じりにテッペイは見送った。
「あの、あの人を怒らないでくださいね。何かと気にかけてくださって、ああやってこの
子といつも遊んでくれて」
 母親の言葉にテッペイは安心させるように笑う。
「渋谷さんはウルトラマン好きですからね。ああ、シュウ君、ちょっと検査するけどいい
かな?」
 子供は逞しい。記憶がないこともあろうが、もうすっかり元気でやんちゃぶりを発揮
している。これを聞けばミライもコノミも安心するだろう。
 ミライ君が、ミライ君が。電話ごしのコノミの泣きそうな声を覚えている。
 かつてウルトラマンは生物だ、と僕は皆に説明したけれど。あんなに涙もろい存在とは
知らなかった。きっとまた泣いただろう。守られることなど頭になかっただろうから。
 利益を求めず、見返りを求めず。一生懸命、その献身的な気性そのまま。
 共に戦った、あの1年。ミライは夢を遠回りさせた、と気に病んでいた。だがあれは
とても大切な事だったとテッペイは思っている。あの1年を知らずにいたら、当然の様に
自分もウルトラマンに頼りきっていただろう。
 疑わず、無邪気に、悪意もなく。
290万能の神はいない112 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:10:15 ID:sClrLLlS0
「・・・確かに皆を全ての情報から隔離という訳にはいかない様だね。すまなかった」
 サコミズは自分の予測の甘さを認めた。やはり、現場を離れて鈍ったか。総監の椅子の
上にいては、実際に隊員に接する隊長ほどにはやはり隊員一人一人は掌握が難しい。
「君の護衛に加わらせるのが一番無難だな。リュウ、君の好みには合わないだろうけど」
「いいえ。あいつらのことは俺が真っ先に気付かなきゃなんなかったんです」
 リュウは首をふる。ミライにしか目が行っていなかった。隊長として大失態だ。
「実際に護衛に加われるのはツヅキ以外じゃワタルかミハル。・・・勘が鋭いので気付かれる
恐れもありますが・・・口の堅い連中です。他の3人、リョウスケは押さえに回る口ですから
問題はヒデアキとチヅコです。頭のいい連中なんですが、プライドが高くて気が強い。
行動力もあります。目を離すと無茶をやると言うか、後先を考えないというか」
「君に言われるようなら相当なもんだね」
「それじゃチヅコちゃんかな。俺のこと睨んでたの」
「長い黒髪ならそうだ」
「せっかく可愛いのにな」
「それ、絶対本人の前で言うんじゃねぇぞ」
「なんで?」
「すげぇ反発くらう。・・・女だからって押さえつけられるのは嫌だと。可愛い顔してとか
女の子なんだし、という言葉も厳禁だ。散々、女の癖に、女は後ろに引っ込め、女は前に
出るなってやられたらしい。それでも入隊直後よりはだいぶ角が丸くなったんだ。
能力的には文句ないぞ。作戦立案はチヅコが断トツだ。有能な隊員として見ている」
 ふう、とリュウは息をついた。上官と部下の立場を離れると扱いに苦慮している様子が
伺えた。対等に扱っていても、基本的に古風な男だから、どうしてもとっさの時には女を
守ろうとしてしまうのだ。だが、かばわれるのを良しとしない相手の気持ちも配慮したい。
その女性隊員が基本的に危険の少ない室内に控える隊員で幸いというかなんと言うか。
 ふとイサナは思った。今朝、ミライにリュウの古風な気質が強く出すぎたのか。それに
ミライの自尊心が無意識に反応したのだろう。どれほど保護欲をそそろうと、庇護される
立場にミライは安住出来ない。敵と戦い、守る者であって守られる存在ではない、その証。
291万能の神はいない113 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:12:46 ID:sClrLLlS0
「・・・その二人、保安部との連携を取らせよう」
「保安部と?」
「宇宙ケシの件はGUYSご本家直属情報部の管轄だ。でもリュウの尾行は表向きには
GUYSJAPAN管轄、調査は保安部が行っている。保安部は脅迫状の事は伝わっても、
よもや本当にウルトラマン絡みとは思っていない。リュウが上では最重要人物の扱いな事
も知らない。そこからミライの正体がばれる可能性は相当低い、と思う」
「保安部に相当嫌がられると思います。あの二人、必要以上に首を突っ込むのは確実です。リョウスケもくっつけて下さい。少しは摩擦がマシになると思います」
「断言するねぇ」
「それぐらいは分らねぇ方がまずいだろ。自分の部下だぜ」
 イサナは肩をすくめた。サコミズは苦笑する。
「でも今回はそれ位の方がいいかもしれない。少し示唆して、重点的に彼らに見てもらう
ことも出来るわけだ。・・・保安部は根幹にある真実を知らない。どうしても焦点がぶれる
可能性が高い。情報部から星の御光の件はそれなりに回っているだろうけど、何故という
点に関して下手に明かに出来ないからね。切迫感も――せいぜいウルトラマン好きの行き
過ぎたストーカー行動、としか捉えられないだろう。関連性を疑っている情報部は君の件
に関しては機密をばらす恐れから表立って動けない。裏では手を回すだろうけどね。ただ、
こっちの問題は君の部下にも真実を告げずに動いてもらうということ、だな」
「俺は勝手に動きますよ、サコミズ総監」
 しれっとイサナは告げた。しぶい顔をしたリュウにふふん、と笑った。
「俺は休暇中だ。何処に行こうと俺の勝手でしょ。それでGUYSJAPAN保安部には
たっぷり顰蹙を買うかもしれませんが、それで保安部の注意が引ければ上等でしょう」
 だが、即座に仕返しを食らった。
「・・・ツヅキを連れて行け」
「馬鹿言え。ワンコはお前の護衛をしなきゃ駄目だろ」
「俺にはワタルとミハルがつく。それにもう、俺は下手に外を出歩けねぇから心配すんな。
むしろお前の方がヤバイだろ。ツヅキ、イサナを一人で歩かせんな」
 控えていたツヅキがリュウから離れる事に強く不服の表情を示した。が、結局はリュウ
の意見が通った。サコミズもイサナが一人で動くことに難色を示したからだ。
292万能の神はいない114 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:18:05 ID:sClrLLlS0
 拍子抜けするほどそれは『善意』の集団だった。
「天使・・・」
「これがか?」
 イサナは否定的な声を上げた。扉のステンドグラスに図案化されているそれ。
「はい。智天使ケルビムです。エデンの園を守る天使だと」
「よくご存知ですね。初め、皆様はぎょっとされるんですよ」
 ウルトラの父感謝祭も近いこともあり、教団の礼拝堂は部外者に対しても開放的だった。
 思わず感嘆の声を上げた。一歩中にはいると、外の喧騒が遠い世界に思える。
白い壁、金色の窓枠に縁取られた青が主体のステンドグラス――星図が実に美しい。
青い光が床や天井に映え、プラレタリウムの神殿の中に佇んでいるような心地になる。
そして白い光の巨人像が正面に列柱のように配置されている光景は、実に厳かだ。
「ようこそ。好奇心でも足を運んでいただいて嬉しいですよ」
 そこの管理人だという女性は微笑した。聖歌隊を連想させるシンプルな白い衣装。実に
清廉な印象だった。若くも美しくもないが、品のある女性だった。
「ここではウルトラマンを祭っているとお聞きしましたが」
「ええ。感謝を捧げているのです。いくら感謝を捧げても足りません。私達が今こうして
無事に生きているのも彼らの加護のお陰です。彼らに加護されるに足りる人間になろうと
我々は身を正している所です。一人でも多く、良き人になれば彼らも喜ばれましょう」
 まさかその同族が目の前に立っているとは思ってもいない。信仰を疑わぬ無邪気さ。
「どのような規律があるのですか?」
「難しい事ではありません。人を殺してはならない。傷つけてはならない。罪を犯しては
ならない。人道と正義を守る場合を除き争ってはならない。己の楽しみの為に際限のない
欲望に従ってはならない。犯した過ちは正しなさい。助けが要る者には手を差し伸べよ。
彼らに日々感謝を奉げ、災いより救われるに相応しい人となりなさい。彼らの意に添え」
 ツヅキの顔が固い。それを目の端に捕らえながら、イサナは素知らぬ顔で彼女から冊子
やパンフレットをもらった。一般の人間が興味を示してくれたのが嬉しいのか、彼女は色々
と施設の中を案内してくれた。礼拝堂を除けば文化センターのようだった。小さな会議室
では何か手芸に励む女性たち、手話教室を開いているグループもあった。
293万能の神はいない115 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:28:07 ID:sClrLLlS0
「感謝祭の時にも覗きに来てくださいね。チャリティバザーとコンサートがあります」
 星の御光の建物から出ると、ツヅキの顔色が悪い事に気付く。
「大丈夫か?」
「――怖くなって。イミュニストの主張、納得しそうで、怖い。アイハラ隊長は僕らが背負う
もんじゃないと言われましたけど――ウルトラマンは、地球人にとって本当は有害なんでしょうか」
「おい」
「ウルトラマンがいなければ身を守る事も出来ない――そんな気概もない。ウルトラマンに頼りきり
になって――僕は、僕らは地球人をそんなひ弱な存在にしたい訳じゃないです。でも、これじゃ」
 イサナは図体だけは一人前以上の――だが本質はまだ未成熟な青年の背中を撫でた。
「リュウも、サコミズ総監も、お前の同僚も、俺だってちゃんと自分の手で守ろうとして
いる・・・ミライの元同僚だってあの時、元はただの民間人だったのに戦ったんだぜ。この間、
コノミちゃんに会ったんだろ? 人類、皆がああじゃない。分かっているな」
「・・・はい」
 なまじ悪意にさらされるよりこの青年にはきつかったらしい。
「ウルトラマンのせいじゃない。神様にすべてお任せって考えは随分昔からある。神の
教えに疑問を持つな――そういう主張もある。でも疑問を捨てなかった。だから今の地球
がある。科学があるだろ? ま、そっちから見たら随分ちんけな科学だろうけど――科学
ってのはな、疑問なしには発展しないんだよ。思考停止したら進まないもんだからな」
 エデンの園。楽園。追放の理由は知恵の果実。神の存在を脅かすものになり得る為に。
 だが、その科学も万人を救うわけではない。だから今も宗教に救いを求める人間は多い。
 そして今度はウルトラマンに救いを求めるのか。当人の意思を無視して。
 無理もない――多くの人にとってウルトラマンは光の巨人、侵略者や怪獣から自分たち
を守ってくれる守護神だ。あれほど明確に形になった存在が他にあるか。
 だが自分たちは知っている。
 この時イサナはあの時、サコミズが示した拒絶感がよく分かった。
 ウルトラマンは――あんたたちの思うような神様じゃないんだ。
294万能の神はいない ◆F4InWXB3Ok :2007/03/06(火) 07:30:10 ID:sClrLLlS0
 今回はここまでです。ミライ出せなかったorz
295名無しより愛をこめて:2007/03/06(火) 07:38:23 ID:sClrLLlS0
 トレーニング、80先生無事でないよりw しし座兄弟キター!
しかし、ゾフィ兄さん、重いよ、その言葉・・・。
296インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/06(火) 10:00:19 ID:V//8QkPh0
フィフストレーニング3-18

80は二人の会話に、目の上を平らにした。
『ユリアン、私に対する態度と随分違うんだが・・・・』
『君には気を使わなくていいと思っているんだよ。そっちの方がよっぽど良いんじゃないかい?』
『そうですか?』
『君でも妬くことあるんだねえ』
「でも、どうしてこんな小島に来たの?」
「どうしてって、えーと、君達だって何かいるから来たんだろう?」
「それがね、レオ!聞いて!80ったら生徒と浮気していたっていうのよ!」
「それは違う!!」
慌てて80はレオとユリアンの間に割って入った。
「だからさっきからそうじゃないって・・・・」
「だからって何でゾフィーやタロウが出てくるのよ!」
「ユリアン、落ち着いて」
アストラがユリアンの肩に手を置いた。
「多分、80は君に見せたかったものがあると思うんだ」
「アストラ?」
『大丈夫、任せてレオ兄さん』
アストラは森の方を見ると、「ほら、いた」と指差した。
そこには、陽光を反射して、キラキラと光り輝く蝶が一匹、飛んでいた。
「まあ、ジュエルバタフライ!」
「ここは生息・・・痛っ!」
『ジュエルバタフライは「渡り蝶』なんだよ。気の早いものはもうこの群島に移動しているんだ』
『え、そうなんですか?』
「凄く綺麗・・・・・! あ、また一匹いたわ!」
『早く適当に声かけろ!』
双子はそろって末弟の背中を蹴飛ばした。
ぎこちなくユリアンの機嫌を取り出した80の姿に、レオとアストラは肩の荷を少し下ろした気分になった。
『でも、良くジュエルバタフライのことなんて知っていたな』
『さっき売店で図鑑を立ち読みしただけだよ』
297名無しより愛をこめて:2007/03/06(火) 12:31:14 ID:V//8QkPh0
>>286 それでいいですイサナ隊長、思いっきり目立ってるヤツで(笑)

>>万能の神 ウルトラマン教の怖さがなんだか身にしみてきましたよ。
ましてやルーキーのツヅキにはきつすぎるだろうなあ。タロウ兄さんなんかこの現状知ったら激昂しそう。
298まとめ2号 移転報告:2007/03/06(火) 19:55:14 ID:eIsmEO0c0
結局、PASSをかけてしまいました。前のとは違うので、お間違えなく。
bookmarkは必ず下記のアドレスにお願いします。

http://park10.wakwak.com/~kaei/mebi/index.html
ID= mebius  PASS= burningmode
299一発小ネタ:2007/03/06(火) 21:22:31 ID:4cxuipAO0
プライド・オブ・ガールズその後

リュウ「コノミ、マリナ、本っ当にご苦労だった!ミライ、派手にぶっ刺された腹は大丈夫なのか?」
ミライ「(満面の笑み)ハイ!何でか良くわかりませんけど、メディカライザーでふさがったみたいです!
   すごいメテオールですね!」   →それだけで片付けていいのか?という気もする;
マリナ「ふふーん♪女の子の強さ、思い知った〜?それに比べて男連中と来たら〜」
コノミ「テッペイさんまで風邪でダウンしちゃうなんて〜」
ジョー「それにしてもミライ、ウルトラマンて寒さに弱いって聞いてたけど…人間体であの
   グローザムの冷気は平気だったのか?」
リュウ「そーいやマリナとコノミも同じ場所に行ったのに、テッペイだけが大風邪ひくたぁな」
テッペ「それは…ほら、男性と比べて女性の方が『皮下脂肪』厚くて器官守られてますからね、
   寒さには僕なんかよりずっと耐性が…え?ちょ、ちょっとマリナさんコノミちゃんミライくん、
   なんでそんな顔になってるんですか???」

マリナ「…確かに冬場はあまり外で運動したりしなかったから、ちょっと気にはなってたんだけど」
コノミ「美味しいものいっぱい食べて、こたつでまるまったりしてたし…」
ミライ「やばい…やばいです!(頭をよぎる劇場版の恐怖)」

   その後、病室を飛び出した3人娘はミサキ・アサミをも巻き込んで、
   ひな祭りにも関わらずジョギング・筋トレに汗を流したとか。
300闇 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 02:26:29 ID:TRp+ZPc80
こんばんは。闇の呼び声、投下させていただきます。今回は14、6レス予定です。
ええと、設定の説明に結構字数を取り、時間がかかってしまいました。今週中には
終わりますんで、もう少しだけ延長をご寛恕願います。(全17回ということに。。)
301闇の呼び声14 1./6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 02:28:17 ID:TRp+ZPc80
「ヒロトさん!何をするんですか!」青ざめるミライ。同じくらいに青白い顔をした
ヒロトが静かに微笑む。「これが一番いいと思う。ぼくは、もうそちらの存在ではない
のだから。ぼくはぼくの意思でぼく自身にかたをつける。だから、きみは何も気に病む
必要はないんだ」
尖った石の破片を握りしめて、自らの左胸をめがけて振り下ろそうとするヒロト。
「やめてください!!」
とどろくような、悲鳴にも似たミライの絶叫。リュウ=タロウも思わず足を踏み出しかけ
るが、刹那、黒服の男が指を突き立て、そこから発した怪光でヒロトの石を粉々に砕く。
「!!」
「小器用なことをするな。お前に死なれるのはこっちも困る」黒い男は肩をそびやかす。「今
のところはまだな」ヒロトは男をにらみつけ、再び石を拾い上げようとかがみかけるが、
その彼をリング状になった怪光が襲う。身動きが取れないヒロト。
「おとなしくしていろ」怪光がひときわまがまがしく明滅する。ヒロトは苦悶の叫びを上
げてばったりと倒れふしてしまう。「ヒロトさん!」

「死んだわけではない。お前があちらへ行ってやればぴんぴんして戻ってこようさ」
「ヒロトさん!…ヒロトさん!」気を失ってしまったらしく、倒れふしたまま動かない
ヒロトに、ミライは必死に呼びかける。そのまま前のめりに川の中に踏み込んで対岸の
ヒロトのほうへ行こうとするミライを、リュウ=タロウが羽交い絞めにするようにして引き
止める。「ミライ、だめだ!」腕の中でふわふわと上下する茶色の髪をかき抱くようにして、
泣き叫ぶ相棒のからだをかかえこむリュウの中から、タロウが愛弟子に呼びかける。

…落ち着くんだ、メビウス。
…タロウ教官。もう、ぼくはどうなっても。でも、ヒロトさんだけは、助けなくては。
お願いです。ぼくを、行かせてください。
…今動くのは敵の思う壺だ。冷静になれ。
302闇の呼び声14 2/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 02:29:57 ID:TRp+ZPc80
面白そうに眺めていた黒服の男が、はたと手を打った。
「そうだ、忘れていたよ、メビウス。ヒロトを助けたいのなら、お前にはもう一つ手放
さなければならないものがある」
リュウにかかえこまれながら、ミライはぼうぜんとした顔を上げる。
「お前が後生大事に持ってきた、その通信装置。入れ替わるには、衣服も含めて同質量で
ある必要がある。サイコキノの破片はもう残ってはおらんが、その通信装置は邪魔だな」
ミライは、対岸で倒れたままのヒロトを見やる。そして、ヒロトが、自分と全く同じ、
Gジャンとコットンパンツを身に着けていたことに改めて気づく。
「リュウさん、はなしてください」ミライはリュウ=タロウの腕をゆっくりとふりほどき、
ポケットからメモリー・ディスプレイを取り出した。リュウが描いてくれた、金色の炎。
ミライの耳に、コダイゴン・ジ・アザーの、敵とも味方ともつかなかった不思議な古物商の、
かわいた声が、どこからともなくひびいてくる。
(…だから私に渡しておけと言ったやろうに。そうやって大事にしたからこそ、手放す
ときはよりつらい。)…君は、いったい何者だったんだ。(あの娘と同じ。あんたを守り
たい連中の思念を、ほんの少しだけ受けた。木偶だから注がれる思念の受容体になりや
すいわけさ。だが、基本的には、われわれは刺客でしかない。…選ぶのは、あんただ)
「…ミライ」
ミライは振り向き、心配そうなリュウ=タロウの目を見つめる。「リュウさん」
握り締めたメモリー・ディスプレイをゆっくりと差し出すミライに、リュウは愕然とする。
「だめだ。…行かせねえ。行かせてたまるかよ」
「でも、リュウさん」無骨な大きな手でディスプレイごと掴まれた自分の手を、あえて
振りほどこうとはせず、さびしげに見やりながら、ミライはリュウに問いかける。「リュウ
さんならどうしますか」…リュウさんが、ぼくの立場なら。やっぱり行くでしょう? 
行かずにいられますか。
「俺なら」リュウはきっとなって黒い服の男をにらみつける。「ミライ、あと二時間ある。
俺なら、まずあいつを倒す。…すべては、それからだ」
303闇の呼び声14 3/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 02:31:44 ID:TRp+ZPc80
高笑いしていた黒衣服の男は、ふいにひらりと身を翻し、川原にかかる高架の上へと
移動して、見上げる二人の背後に向かってくいとあごをしゃくる。いつのまにか、そこ
にたたずんでいた背の高い人影。「ミライ。こっちへおいで」
「…隊長…!?」悲しげな瞳で語りかけるサコミズに、ミライは息を呑む。「見たくない
ものを見ることになるかもしれない、といったよね、私は」物憂い様子でミライの目を
見つめるサコミズ。「アランダスを見つけて、君がウルトラゾーンへ行くといったとき。
あのときから、こうなることはわかっていた」
ゆっくりと近づいてくるサコミズは、立ちすくむミライの腕を掴む。「いいんじゃない、
もう考えることをやめて楽になっても」ミライのからだが、小刻みにふるえはじめる。
「…はなして、ください」刷り込まれた恐怖心が喚起されてこわばったまま動けない。

「惑わされるな、ミライ!」リュウが放つメテオールショット!「そいつはにせものだ」
攻撃を難なくよけて、<サコミズ>は憂い顔でつぶやく。「そうかい、リュウ」そのまま
リュウの眼を覗き込み、つとその背後をあごで示す。「あそこには彼も来ているのに」
ふりかえったリュウの目がぎょっとしたように見開かれる。「セリザワ…隊長?」

間髪をおかず、リュウの頭の中に響いてくる声。(…リュウ!やつの目を見るな。君たちが
大事にしているものを掘り起こしてはそれを映像化しているだけだ。)…タロウ教官。
(目を閉じろ。邪悪な気配だけを感じ取れ。そしてそれを撃つんだ)…おっしゃ!
 リュウは目を閉じる。…再び放たれるメテオールショット。
304闇の呼び声14 4/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 02:34:40 ID:TRp+ZPc80
「罠だ」吐き出すように呟くと、クルーの前ではついぞ見せたことのないすさまじい怒り
の表情で、サコミズはデスクに拳をたたきつけた。
「隊長…」コノミはその心情を思いやる。目の前で偽物の自分が大切な部下を翻弄する
映像を見せつけられたのだから。(これ以上に見たくないものなんて、そうはないですよね)
しかし、サコミズが見ていたのは、幻覚世界を映すモニタではなく、デスクに置かれた
ドキュメント・ファイルの画面だった。「入れ替わりなんてとんだ茶番だった。あれは反物
質世界なんだ」「反物質?」
テッペイがあとを続ける。「そう、反物質世界。こちらとあちらの同じ姿のもの同士が
ふれあうと、入れ替わるのではなく、両者が共に一瞬にして消滅する。粒子と反粒子が
対消滅して共に無に帰してしまうんです」「そんな!それじゃミライ君もヒロトさんも…」
「手をふれあった瞬間、二人とも消えてしまうことになる」テッペイの片頬がこわばって
震えている。「絶対に二人を近づけてはいけないんだ!」

サコミズは頭の中に語りかけてくるゾフィーの声を聞いていた。
(…かつて、別次元におけるわれわれの同朋が、今と似たような事態に遭遇したことが
ある。反物質によって構成された襲撃者によって、防衛していた星の一部が反物質化し
てしまった。そのとき、同朋は、ともに戦っていたもう一人の同朋によって放射された、
反物質化光線を浴びて自身の体を反物質化し、反世界の中で戦った。襲撃者の目的は、
星全体を反物質化させて正宇宙と対峙させ、第二のビッグバンを起こすことだった。
今回も、メビウスを消滅させるだけではなく、消滅時に起こるすさまじいエネルギーを
使って、それをメビウスなきあとの地球侵略のために利用しようとしている可能性がある。
反物質化光線は、われわれの誰もが使えるというものでもない。また、使うにしても、か
なりのエネルギーが必要だ。幻覚世界の中にいるタロウが、このパワーを発揮するのは極
めて難しい。リュウ君と融合している状態でそんなことをしたら、下手をしたら二人とも
戻れなくなってしまう。…)
ゾフィーの警告とテッペイの叫びが重なる。サコミズは両の手の拳を握りしめる。
305闇の呼び声14 5/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 02:38:59 ID:TRp+ZPc80
 幻影は、粉砕された。幻の上官二人は掻き消えて、高笑いする黒服の男だけが依然と
して跋扈しつづける。リュウ=タロウは跳梁する黒い影への狙撃を続けながら、外の世界
で自分たちを見守っているはずの、本物のサコミズに向けてテレパシーを送る。
(…隊長!リュウです。聞こえますか?)
「…リュウ!!」サコミズ・シンゴは、脳内に響いてきた部下の声にかじりついた。クル
ーもいっせいにサコミズを見つめる。「私が今から言うことを、よく聞いてくれ、リュウ」

(やっぱりそうだったのか)サコミズの声と長兄の声とを、同時に聞きながら、タロウは
沈思する。ようやく気を取り直してリュウとともに黒服の男への攻撃態勢に入ったミライ
だが、時折気がかりそうに対岸のヒロトに目を向けている。それが目に入るたび、ヒヤリ
としてしまう。…まさに一触即発だったのだ。なんという卑劣な罠を。


306闇の呼び声14 6/6 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 02:44:34 ID:TRp+ZPc80
「…結論から言えば、反陽子発生システムを起動させて、反物質を物質化させることは
ガイズの技術上可能だ。ただ、問題が二つある。一つは、これまで実験ではほとんど
無機物が対象だった。有機物、すなわち生物を転換させるにあたっては、データが少な
すぎることだ。人間のような複雑なしくみの生命体を、なんの副作用もなく、反物質化
した状態から物質化させることができるかどうか。もう一つは、ヒロト君のいる反世界
がミライの幻覚世界を介して正世界と接しているということだ。こちらの世界のどこかに、
ミライの幻覚世界とリンクする形で存在する、反世界との接点を見つけることができれば、
そこから突破口がひらくんだが」

(一つ目に関しては、テッペイに預けたリライブ・キューブを同時に照射することでうまく
いくと思う)サコミズに答えながら、リュウ=タロウは眉をしかめる。自分たちを翻弄
する黒い影が、次第にその容積を増していくように見えたからだ。攻撃をたくみにかわし
ながら、薄笑いの顔のままで、男は次第に人間離れした黒い妖獣へと変貌していく。
(二つ目は)タロウの意識がやや前に出る。(メテオールでこちらから反世界の境界にシー
ルドをはる。そうすれば、それを手がかりにそちらで接点を見つけられるはずだ。ただ)
リュウ=タロウはミライを見る。(シールドをはると反世界は不安定になって、急速にこの
世界との接触の度合いを緩めていく。そのあと速攻で接点を見つけないと、ヒロト君を飲
み込んだまま、反世界はこちらから一切コンタクトできない状態になってしまうだろう)
…その間の駆け引きは、ミライにとってつらい時間になるだろうな。

…それでも。(ミライ、仲間を信じよう。必ず、必ず、ヒロトさんを助け出す。)
307名無しより愛をこめて:2007/03/07(水) 02:56:46 ID:TRp+ZPc80
トレーニング>80先生ご愁傷様。ユリアンとレオの雰囲気いいですね。
でも、自分はなんてったってアストラ、でした。今回。
万能>ウルトラマン教。善意の塊ってのが一番怖いってか。ヤプールが善人に見えて
くる展開のメビならたしかにありそう。
一発小ネタ>これも一つのひな祭りネタといえそうでつね。テッペイ、
医者の不養生に加えて、口は災いの元だよww
一番リアルなのはメビの「劇場版の恐怖」だな。後は皆さん細いもんな。

>>298 新まとめサイト立ち上げ乙です。いつも本当にありがとうございます!
308インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/07(水) 10:14:02 ID:/Aj2B+Mi0
フィフストレーニング3-19

「まあ今から深刻に考える程のことでもなかろう。実際にそういった事件に遭遇した時にでも思い出せばいい」
「そう、ですか?」
「コーヒーでも飲んで落ち着きなさい」
言われてメビウスは、まだこの変わった香りのコーヒーを飲んでいないことに気がついた。一口含んで、それから一気に半分程飲み干す。
少し温くなっていたのが幸いした。これは砂糖無しでも充分に飲みやすい。
「凄く美味しいです」
「これはなかなか当たりだな。ああ、もうアルコールがないか。後で届けさせよう」
アルコールランプの残りを見て、ゾフィーは例の小型プレートを取り出して書き込んだ。
アルコールの残りを心配していたメビウスだが、ふとあることに気付いて顔をあげる。
「あ、あの、どうして僕が何時もコーヒーを淹れるんですか?その、秘書の人とかいっぱいいるんでしょう?」
もちろん、とゾフィーが頷く。
「フールフール星のカラマン茶を淹れるのが上手い者がいるな。それとコッチャベリポック星のヒセリップ茶にベラロロ星のフレロラ茶、ヌワラレン星のドメネ茶とマステル星のワレン茶に・・・・」
「え、まだあるんですか?」
「連邦加盟星の主だった飲料ぐらい出せないとまずいだろう。一人10種類ぐらいは淹れられるが、地球産のコーヒーは今のところ君ぐらいしか淹れられないな」
ゾフィーはそこで笑ってまた一口飲んだ。
「そうだ、君が負担に思っているのなら、うちの秘書たちに教えてくれるといい。講習の時間を設けよう」
「え、ええ?!」
メビウスは先日隊長室から戻る時の、タロウの嫌そうな表情を思い出した。曰く「有能と勤勉が忠誠の服を着ている」人達。
ゾフィーの悪口を聞くと人物も手段も選ばず報復を食らわせるとか、連邦中のお偉いさんの弱みを握っているとか、勇士司令部も影で恐れているとか、そんな話をしていた。
「あ、あの・・・・いいです・・・・」
309名無しより愛をこめて:2007/03/07(水) 12:50:15 ID:/Aj2B+Mi0
>>闇 ミライのヒロトを助けようって気持ちが、なんだか誘導、固定された感じがする。
なんというか、確かにそう思っているんだけど、過剰に増幅されているような、そんな感じ。
しかしコダイゴンも助けてくれる人だったのかー。どれだけ愛されてるんですか。
そしてこのままだとヒロト復活?
310名無しより愛を込めて:2007/03/07(水) 14:03:03 ID:TRp+ZPc80
>>308 「フールフール星のカラマン茶」「コッチャベリポック星のヒセリップ茶に
ベラロロ星のフレロラ茶、ヌワラレン星のドメネ茶とマステル星のワレン茶に・・・・」
語感が楽しくてワロタw アナグラムになってるのかな?

>>280の「ナマサラカア星のクャピッハソウ大陸に住む放浪民族タテベラナ族」は
逆さ読みだと気づいて改めて爆ww

ゾフィー兄さん、眼兎龍茶は如何です?
311闇本舗 ◆smJNL9GJT. :2007/03/07(水) 14:12:23 ID:TRp+ZPc80
>>309 ちょっと不自然な感じになっているかもですね。スマソ 
確かにある意味増幅させて利用しようとしているわけなんだけど>黒服
当初よりガイズメンバーが出張ってきたのでちょっと微妙な路線変更してます。
反世界ネタはガイアの第14話から。



312インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/08(木) 10:04:50 ID:sbbpmvO/0
フィフストレーニング3-20

「あ、あの・・・・いいです・・・・」
「どうした?皆、若い連中ばかりだ。それ程気にしなくていい」
「でも、皆恐い・・・・あ、いやいや!」
「今、恐いと聞こえたが?」
メビウスは目が回りそうな程首を振った。
「ちちち・・・・違います!えーと、凄い人達ばっかりなんでしょう?」
「どうせタロウにロクでもないことを吹き込まれたんだろう。
君も卒業したらそこに加わればいい。凄いと言っても、その程度だ」
「でも僕、前線希望だし・・・・」
メビウスは白い砂にもじもじと指先を突っ込んだ。ゾフィーの秘書達に会ったら取って喰われてしまいそうだ。
「まだ君は基礎学年だ。後方支援に変更しても問題はない」
「後方はゼノンが行きたいって言ってました。
あっ・・・そうだ、ゼノン!」
313インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/08(木) 10:32:12 ID:sbbpmvO/0
フィフストレーニング3-21

突然メビウスは表情を輝かせて顔をあげた。
「? ゼノン?」
「はい!僕の友達です!ゼノンは凄く隊長のことを尊敬しているんです!
隊長は憶えていないかもしれませんけど、会ったことありますよ!」
「ゼノン、か・・・・」
ゾフィーはプレートを操作してゼノンのプロフィールを探し出す。
(そうだ、ゼノンにコーヒー係を頼もう!気絶するのだって克服できるかも!!)
「君やマックスと同じクラスか。去年の論文大会の優勝者。ああ、そういえば見たことがあるような。
君とマックスが二人で絶叫していた記憶があるが」
メビウスは赤面のあまり泣きそうになった。ゾフィーの前では今さっきのことにしてもロクが思い出がない。
「うう・・・・そんなのばっかり・・・・あれ?
マックスを知っているんですか?!」
「もちろんだとも。去年の校内飛行マラソンの優勝者だろう?」
「そうです!」
「ゴール直後に校舎に激突した」
メビウスは砂浜に顔を突っ込んだ。
(有名すぎるよ、マックス!!)
「是非ともその瞬間を見てみたかったものだ」
「いえ、その・・・・」
身を起したメビウスの脳裏にマックスの起こした数々の事件が頭をよぎる。全部ゾフィーが知っているのなら、とんでもない失態だ。
「マックスは私の中では、今のところ最も期待のかかっている訓練生だな」
ゾフィーはメビウスの顔についた砂を払ってやると、プレートを眺めた。
「ええ?!そうなんですか?!」
(マックス、凄いよ!)
「ああ。警備隊員たるもの、実力と面白さを兼ね備えていなければならない。マックスはその条件を満たした最高の警備隊員になるだろう」
314名無しより愛をこめて:2007/03/08(木) 12:52:42 ID:sbbpmvO/0
今日はここまで。

名前はその場その場でテキトーにつけて遊んでます。
今回は語感だけで。
315名無しより愛をこめて:2007/03/08(木) 12:56:26 ID:oP2dmp800
>>313
「ああ。警備隊員たるもの、実力と面白さを兼ね備えていなければならない。(ry
て、なんで面白さを兼ねてなきゃナラナインデスカ、隊長・・・orz
それにしても、マックスは体力ゼノンは知力、メビは愛嬌で目立ってるのかw
316名無しより愛をこめて:2007/03/08(木) 13:43:23 ID:HKIdDawj0
「ゴール直後に校舎に激突した」
ここでドリンクヨーグルト吹いた。
317万能の神はいないXXX ◆F4InWXB3Ok :2007/03/08(木) 20:36:25 ID:SDitDM940
 昨日アク禁くらってましたorz 
 万能の神はいないを投稿したいと思います。
 116から122、もしかすると+1ぐらいになるかもしれません。
 嫌な方はまた、スルーお願いします。
318万能の神はいない116 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/08(木) 20:39:04 ID:SDitDM940
「リュウさん」
 出る時、ミライが何か問いたげな目になった。それを気付かない振りをする――ちゃんと
出来たのだろうか。リュウには自信がない。知らせたくない。だが・・・。
「行ってくる」
 タロウの視線も感じる。お前はどうする、と。
 分かってる。

「義兄さんによろしく」
 そう言った時のリュウの実に微妙な表情。思い出してサコミズは笑う。
 当人に自覚はないようだが、これだけ色々と彼らに関わっている地球人は他にいない。
 当たり前のように彼らと接している地球人もだ。
 ごく細い思念の糸でつながったイレギュラーな形とはいえ、自分が『彼』と身構えずに
話せるようになったのはミライを預かって以後からだ。ミライのお陰で彼が自分たちと
それほど変わらない精神構造だと気付けた。あの出会いから20年近くかかっていた。それ
ほど時間がかかったのだ。
 そしてミライ。確かにミライは超越者という感じがしなかった。まず人間体で接触した
せいかもしれない。そして自分より精神的には幼い個体だったことも影響していただろう。
 庇護が必要だ、という直感。それまで唯一の接触例だった『彼』やアーカイブで知る
彼らの印象とはあまりに異なりすぎた。
 『彼』よりも短期間で、より親密にミライと接することが出来るようになった。
それでも引き取った直後はやはり構えていた。特に男性体から女性体へとミライが気軽
に変貌した時など正直、一瞬引いた。あの巨人への変貌に比べれば実に些細だが、それで
も引いた。それをまだ人間の機微を殆んど分かっていなかったあの子に気付かれなくて
幸いだったと思う。
 ――あの子を良く知る今ならば同じことがあっても引くことはないと確信を持てる。
しかし、あの時はミライのことを本当によく知らなかったのだ。未知なる存在への躊躇。
 ひとかけらも悪意はない存在と知っていても、そして等身大の(自分より小さな)人間
と変わらぬ姿で接していて、しかも予備知識があってすら最初はこれだ。
319万能の神はいない117 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/08(木) 20:43:08 ID:SDitDM940
 それなのに、この部下ときたら、初っ端から「ばかやろ−っ」だ。
 それも地球人の姿を取っていたミライではなく見上げる巨人、ウルトラマンであった
メビウスを怒鳴りつけた。よく知りもしないウルトラマン相手に、だ。
 今も、あの時しょぼんと帰ってきたミライの姿を思い出せる。どこか怪我をしたのか、
と心配してみれば「怒られました」だ。しかも怒鳴りつけたのがリュウだと分かった時の、
天を仰ぎたくなった気持ちときたら。
 ミライはリュウの前でメビウスとなった時。例え生きて還っても、もう側に居られない
と覚悟した。そう後で白状した。あの頃にはミライも大分人の心の機微が分かってきて、
可哀想にそれがあの子を随分と追い詰めていたようだ。それが、あのまま僕を受け入れて
くれるなんて全く思っていませんでした、と泣き笑いで言っていたミライ。
 ミライを皆が受け入れた、それはそれまでのあの子が彼らと築いた信頼関係の賜物だ。
それでも最初の突破口になったのはリュウだったと思う。あの時、ミライに対する姿勢が
終始、見事にぶれなかった。
 ある意味、普通で特異。
 セリザワはよく彼を遺してくれたと思う。
 あの友人にしてみれば手塩にかけた部下がここで全滅するのが忍びなかっただけだと
しても。・・・リュウにとっては『生き残らされた』ことが今もトラウマだとしても。
 あれは天の配剤だったと思う。
 無論、あの時、あの二人だけでなく、皆がいて、支えあい励ましあい、1年を駆け抜けた。
 本当に、あの時のGUYSJAPANは地球人とウルトラマンの混合チームだった。
 あの子達を見ているとサコミズは少しばかり将来を楽観的な気分で空想できる。地球人
がウルトラマンと肩を並べて戦える日が遠からず来るのではないか、と。少し前まで完全
に夢物語だったことが、もしかすると自分の生きている間に実現するのではないかと。
 無論、それが現在は空想の域を出ないことをサコミズは知っている。メテオールもまだ
援護射撃の域を出ない。まだ自分たちは彼らウルトラマンに及ばない。しかし、いつか
絵空事でなくなる。そう信じたい――そう、いずれ成らねばならない。その為に。
 かつて何度も繰り返された恩師の言葉のように。
『我々は彼らに示さなくてはいけないんだ。人類は戦えると』
320万能の神はいない118 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/08(木) 20:54:25 ID:SDitDM940
「ほら、元気出せ。チョコレートいるか?」
「キャラメル、あるわよ」
 保安部との折衝後だ。さぞ刺々しく・・・と思えば、新人を構っているチームの過激派2名
――ヒデアキとチャコの図。ミハルの無言の疑問にリョウスケはお茶を注ぎながら答えた。
「ツヅキが滅茶苦茶凹んで戻ってきたんよ。ほら、イサナ隊長が1人で動くと危ないから
アイハラ隊長に言われてくっ付いていったやろ? 星の御光ちゅーウルトラマンを崇めて
いるとこ行ってきたんや。ま、一杯」
「ありがと。・・・それで?」
「すごーく善良な連中だったらしいんやけど・・・あれやねん。疑いもなくウルトラマンに
守ってもらいましょ、ゆう考えで、GUYS隊員として存在意義がどうっちゅうより・・・
イミュニストの考えが、すごく正しく思えてしもうたらしくて、ずっとああや」
 あの日の後輩の抑制した怒りを、ミハルは見ている。イミュニストはその犯人の最有力
候補なのだ。その彼らの考えに腑に落ちてしまったのか。落ち込みもするだろう。
 ・・・それでもかなり珍しい。よく凹みはするのだが、うたれ強いというか立ち直りも早い
のもこの新人の特徴だ。少なくとも思い出して再凹みはすることはあるが、こう何時間も
引きずっているのは多分初めてだ。それになんか・・・いつもよりダメージが深い?
 しかしそこで慰めようと出てくる単語がチョコやキャラメルか。それがチームの頭脳派
二人の口から飛び出すのが極めてナニだ。頭は良くても、情緒的面でこの二人はまだまだ。
「アイハラ隊長の護衛はいいんか?」
「アイハラ隊長はイサナ隊長と話し合いに小ルーム。ドアの前にワタルが立ってるわ」
 それにしても言わば頭でっかちの理数系過激派イミュニストに、非科学系の宗教団体。
 理工系のエリートと、道徳を重んじる宗教人。片方はウルトラマンの弊害を声高に上げ
排除しようとし、もう片方は心から感謝を捧げ離そうとしない。一方は自らの手で地球を
守るべきだと主張し、一方は全てをウルトラマンに自らの運命を任せようとしている。
 両方に共通なのは・・・ウルトラマン?
 アイハラ隊長もミライさんもアマガイさんもメビウスの頃、サコミズ総監が隊長兼任時
のGUYSJAPANに所属していた。イサナ隊長も確か共同作戦を取った事がある・・・。
321万能の神はいない119 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/08(木) 20:56:11 ID:SDitDM940
「ちょっとね、ワンコにはいきなりアレは不味かったか」
「・・・前にも気にしちゃいたんだ。ちらっと天使と悪魔の話をした時に」
「天使と悪魔?」
「イミュニストの主張だよ。ウルトラマンは天使の顔をした悪魔に等しい・・・どういう意味
なのか、分からなかったんだな。天使とか悪魔とか後でネットで調べていた」
「ああ・・・それでケルビムのことが分かったのか」
「怪獣が?」
「いや、そっちじゃなくて名前の元になった天使ケルビム。なんか化け物みたいなの。
エデンの園の門番。そういうやアダムとイブが追放されたのって知恵をつけたからだよな。
つまりエデンの園ってのは良くも悪くもイノセントじゃないと住む資格がないのな・・・」
「イノセント?」
「無垢とか汚れないとか無邪気、同時に無知とか単純とか悪意がないとか無害とか・・・
つまりあそこは神様に絶対服従な人間だけの楽園なわけよ。自分の立場を脅かす知恵を
つけた人間は外に放りだされる・・・まぁ約束を破ったから、というのもあるんだけど」
「そう言われると、あんまり気持ちよくねぇな」
「・・・扉にケルビムがあったということはあそこをエデンの園になぞらえているのかとね。
善良で心清らかな、ウルトラマンへ従属した『自主的な奴隷』ってか。ご主人様に気に
入られる為に善行を積むってやつ? ワンコの前じゃ流石にそこまで言えなかったけど」
「いわねぇでくれ。いきなりそんなもんじゃ・・・ミライだってそこまでぶち当たってねぇ。
GUYSJAPANでチームの面子を集めた時の苦労で薄々察しちゃいるが、そこまで
ずっぽりと地球はウルトラマンが守ってくれるからって考えてる人間と面と向かって
ミライだって会っちゃいねぇからな」
「でもちゃんと一緒に戦ってくれたんでしょ、あの4人」
「さんざん他の支部から言われたぜ。素人集団ってよ」
 それまで極普通に生活していた一般人だった仲間たち。
「だから、よかったんじゃない? ちゃんと普通の人だって立ち上がるんだって分かって」
322万能の神はいない120 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/08(木) 20:59:12 ID:SDitDM940
    しねばなにもかもわすれさることができるのだろうか
    いきているうちにおかしたつみのかずかずも
    もしそうだとしたらひとをよろこばせまたくるしめた
    あのあいのおもいではどこにきえうせてしまうのか
    あいにひそむにくしみはてんしにはみえない

「そうか、君たちは立ち上がったのだな。私はとても嬉しいよ」
「はい。貴方に言われた通りでした。私たちは甘んじてはいけなかった。ウルトラマンに
ただ一方的に守られるだけの立場に安息してはいけない。ちゃんと私たちは戦えるのだと」
「うむ。それが彼らへの何よりの恩返しだ」
「色々、感謝しております。私たちの愚かさを気付かせて下さったことにも」
「ああ。人類はちゃんと自分の足で立たなくちゃいけない。全てウルトラマンにおんぶに
抱っこはいけない。それは私が常に一貫して発言していたことだ」
「存じ上げております。貴方が私たちを認めてくださって、本当になんと心強いか。他の
誰が知らなくても、貴方の功績は私が存じております」
「――私もだ。君たちの行いを私は知っている」

「待たせた」
「・・・さっきのは」
「そう毛嫌いするな。私の教え子なんだ。第一歩としては悪くない。ウルトラマンからの
自立への第一歩だ。いきなり君たちのように誰もが一人立ちが出来るわけじゃない。あの
子は数ヶ月前まで疑問も抱かずウルトラマンに自分たちを守ってもらうという考えだった
んだ。自分もやれることだけでもやる、と決意表明だけでも上出来だ」
「・・・随分とお気の長い」
「全て君たちの世代で意識改革が出来る、とは思えない。繰り返すが、君たちは早すぎた」
「・・・言われなくても分かっています。それより」
「本気さ。代償なしに事が成せるか。その程度の覚悟がなくてどうする」
「そこまで、貴方が本気だとは思っていませんでした」
「信じられん、か。ま、いきなり迎合してもな。だが、私は知ってしまった。事実から目
を背ける訳にも見過ごすわけには行かない――君たちだけに全てを背負わせる訳にもな」
323万能の神はいない121 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/08(木) 21:06:18 ID:SDitDM940
「何、谷川俊太郎?」
 柄じゃないなぁ、と揶揄する声にリュウはぱたんと詩集を閉じた。
「亡くなった管理人の影響でミライがよく読むようになったんだよ。ミライが喜びそうな
もんってことでこいつを買ったんだが・・・その日にアレでよ。渡せなくなった」
「・・・そっか。で、どんな感じ?」
「俺に聞くな」
 マリナあたりならここで熱血馬鹿の言葉が飛ぶところだ。イサナが手を出したので本を渡す。
「返すのは別にいそがんでいいぞ」
「お言葉に甘えて」
「それより、お前、自分の隊員ほっといていいのか?」
「うちは俺の気まぐれと放蕩ぶりに慣れているんでね。副隊長もベテランになってきたし
・・・いい経験になるって。そろそろどっかの隊長に引き抜かれてもいいぐらい有能なやつだからね。
おかげでラクしてますよ。少しはお前も仕事放り出してみ」
「馬鹿いえ。お前みたいに、そうほいほい出歩けるか」
「あははは。真面目だねぇ。部下に鬱陶しがられない?」
 イサナはちらりと助手席の青年に注意を払う。いつもならここで異論を上げる青年は
黙ったまま窓の外を眺めている。一応は顔色の悪さは消え、大分浮上はしているようだ。
 あれはこいつにはきつかったな、と思う。イミュニストの危惧――自分達ウルトラマン
の存在が地球人から自立の意志を失わせる。その極端な形を目の当たりにしてしまった。
 ミライを見れば分かる。ウルトラマンはただ守りたいだけだ。そしていずれ共に肩を
並べ戦える事を期待している。だが一部とはいえ自分達の存在が地球人の自己防衛の意欲を
そいでいるという皮肉。だが教徒の信仰をより強めるとしても、ここで彼らは手を引けない。
地球人のみでは侵略者を防げないという現実があるからだ。
 いつか彼らと対等な立場になった時――イサナは思う。同時に神と崇める目から彼らを解放
できるのではないか。特別視も無くなるのではないか。
 出来ないはずはない。共同作戦を取ったアリゲラの時。イサナは羨ましいと思った。
 ウルトラマンと地球人の区別なく、まず最初に仲間であったチーム。あそこでちゃんと
実現できた。そう、出来ないはずがない。それに、今だってイサナは実例を知っている。

「今、帰ったぞ」
「かえりなさい、リュウさん」
324名無しより愛をこめて:2007/03/08(木) 21:13:30 ID:SDitDM940
 闇 敵方えげつねーorz
   大切な形をこういう風に利用されるってきついなぁ。
   ガイアネタはすぐぴんと来ました。

 トレーニング 爆笑しました。
        兄さん、あんたどういう基準ですかいw
325闇本舗 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 01:58:39 ID:CRp422Uh0
闇の呼び声15、投下させていただきます。長くなっちまって、8レス分。
毎度暗くてすいやせん。もはやパラレルっすけど、時期的に41話と42話の間と
いうことになっています。次レスより始動。
326闇の呼び声15 1/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:00:13 ID:CRp422Uh0
リュウ=タロウは、メテオールショットを、ミライとヒロトを分かつ川に向かって
放つ。とたんに川原の光景は消えて、幻覚空間がその真の姿を露呈した。二人の間を
分かつ境界が緑色の電磁波のような光の紗幕となり、ヒロトのいる空間は、緑の紗幕
に包まれるようにして頭上に上っていく。
「ヒロトさん!」驚愕し、衝撃を受けるミライ。「リュウさん、何を…!?」
リュウ=タロウが真正面からミライを見つめる。「ミライ。お前がヒロトさんに触れても、
ヒロトさんはもどってこられない。それどころかお前たちが接触したら最後、お前たち
はともに消滅して無に帰してしまう。罠だったんだ」

緑の紗幕の中では、強烈な光と振動で、気を失っていたヒロトが意識を取り戻し、
身を起こしていた。「!?」自身のいる空間がずんずん上昇し、ミライやリュウのいる
空間を見下ろす形になっていることに戸惑うヒロト。水鳥のいた川原は消えて、半透明
の地面越しの、ちょうど足のすぐ下に彼らの頭が見える。ヒロトは、その緊迫した会話
に耳をすませる。

 リュウ=タロウの説明を聞いても、ミライには納得しきれないものが残る。「でも、
それなら、シールドをはるのは、せめてもとの世界で、接点が見つかるめどがついて
からでもよかったじゃないですか」「シールドそのものが接点を見つける手がかりに
なるんだ」「もし、もし、接点が見つからなかったら、ヒロトさんはどうなってしまう
んですか?」…あんなに近くに見えているのに。やっと、やっと、見つけ出せたのに。
「同じ姿がだめなのなら、ぼくが、メビウスに戻ればよかった。そうしたら、ヒロト
さんは」(同じことだ、メビウス。反物質化した存在に触れるには、自身が反物質化する
しかない。だが、お前にはまだその力はない。)
「ぼくは、無力だ」ミライの目から、また新しい涙が、音を立てて地面に落ちていく。
327闇の呼び声15 2/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:01:36 ID:CRp422Uh0
(…ああ、また泣いている)こんなときなのに、なぜかヒロトは微笑んでしまう。(ウル
トラマンも泣くんだね。あんなふうに、涙をぽろぽろとこぼして…。なんか、ふしぎだな)
ヒロトは、ウルトラゾーンが閉じる直前に見えた光の超人の記憶をたどる。(かっこよか
ったな、荘厳で、光に満ちていて。…そしてなによりも、なんだかやさしかった)
…ねえ、メビウス。ぼくのすがたで、きみは何人の友達をつくったのだろう。話して
みたい、きみとも、きみの仲間とも、もっと、もっとたくさんのことを。ぼくは、きみ
よりずっと無力だ。きみがいてくれてよかった。ぼくは、ほんとにそうおもってるよ。
だから、泣くなよ、な、ミライ君? 

膨張を続ける黒い妖獣は、絶えることなく耳障りな声で嗤い続けている。まるでそれが、
習性であるかのように。…そうやって、自分の無力さを嘆くがいい、メビウス。嘆けば
嘆くほど、苦しめば苦しむほど、お前は自分で破滅に近づいていく。
ミライは袖口で涙をぬぐうと、妖獣をにらみつけた。「せめて…せめて、お前だけは
ぼくが倒す!」
…苦しむがいい、メビウス。こころが砕けるまで。…妖獣はさらに巨大化し、幾本もの
触手をゆらめかせてミライに迫る。左腕のブレスが輝き、メビウスの姿が顕現する!
328闇の呼び声15 3/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:03:05 ID:CRp422Uh0
「あの怪獣は…!」
ガイズの緊急処置室で、緊迫した顔を見合わせるクルー。「神戸に出現した怪獣です。
ウルトラ兄弟全員が一堂に会して戦ったという…レジストコードは、Uキラーザウルス」
コノミがファイルを見ながら言う。「でも、報告されているのとは少し形態が異なってい
ます。形も小ぶりですし、色も黒っぽい」
「あれは、あくまでミライの幻覚世界の中の存在だからだろう。いわばメビウスの心象
のひとつなんだ。その意味で、Mキラーザウルスというほうがいいかもしれない」
サコミズがため息混じりに言った。「やはりあの黒服の男の正体は」
「…異次元人ヤプール」テッペイがつづけた。「異次元空間が封鎖されたので、ミライ君
の幻覚世界を媒介にこちら側へ乗り込もうというわけですね」
「幻覚世界の中で、キラーザウルスと同化しているけれど、おそらく間違いないだろう」
サコミズは通信機のモニタに向かった。「ジョージ、マリナ。そっちの様子はどう?」

神戸組の二人は、リュウ=タロウの放ったシールドを、現実世界で探知すべく悪戦苦闘
していた。「六甲山中であることは確認済みです」とジョージ。「でも、小さいシールドな
ので、反応が弱くて、詳しい場所がどこなのかは、現場付近まで行かないとわからない
んです」
「隊長、装置はいつこちらへ来るんですか」マリナはカリカリしていた。「後一時間半を
きってます。間に合うんでしょうか?」「大丈夫、すでに基地を発進している。有能な
パイロットが高速で運んでいるから、三十分もあればつくだろう」マリナは首をかしげる。
…誰のことなの?「きみたちは一刻も早くシールドの場所を特定するんだ」「GIG!」
329闇の呼び声15 4/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:04:39 ID:CRp422Uh0
メビウスはキラーザウルスと向かい合う。(兄さんたちと倒した…はずの)
かつてのものの五分の一ほどの大きさだが、巨大化したメビウスよりもさらに一回り
大きな黒光りするからだと、ゆらめくまがまがしい触手が圧倒的な威圧感を放つ。
果敢に攻撃するメビウス。しかし、切りはらう触手は片端から再生し、前後左右から
襲撃してくる。リュウ=タロウはトライガーショットで地上からメビウスを援護する。
 触手を避けてキラーザウルスの頭上に飛んだメビウスは、妖獣の瞳に映し出された
赤い異形を見ていまさらながら戦慄した。「…ヤプール!」
 …そう、私だ。気づいていなかったわけではあるまい。私が人の世界に出没する
には、さまざまな出入り口があるのだよ、メビウス。人間の心なぞ、もろいものだか
らな。あちこちに隙がある。ちょっとした憎しみや、不安、疑心暗鬼、怒り、そう
いうものがわれわれをこちらに導く格好の扉になってくれる。それが、お前の心に
もあるのだ、メビウス。人間とかかわりすぎたのか、地球になじみすぎたのか、…
もっとも、地球人のそれはお前とは比較にならぬぐらいもっとどす黒いものだが。
…だが、パワーとしてはM78星雲人のお前のほうが桁違いだからな。お前の恐怖、
お前の不安、お前のあせり、お前の悲しみ、怒り、それらのすべてが、わがキラー
ザウルスの力の糧となるのだ。
 妖獣の口から、紫の煙幕が吐き出され、メビウスの視界を覆った。もがくメビウス
を触手が捕らえる。銀と赤の肢体が反り返り、巻きついたくろがねの蔓を振りほどこ
うと暴れるが、そのからだからは、次々に光のエネルギーが黒い煙に変換されて妖獣
へと吸収されていく。そのたびに激しく身をのけぞらせ、苦しむメビウス。空しく宙
を掻き、しなう指。
 リュウの耳に、ミライの絶叫が聞こえてくる。「ミライ!しっかりしろ!」
はるかな頭上で苦しむ相棒を、ただ見上げるのみの己にもどかしさがつのるとき、リュウ
に呼びかける内なる声。(…リュウ、腕のバッジを掲げろ。)
バッジ? 己の左腕に、いつの間にか不思議な金色をしたバッジが、装着されていた
ことに、初めて気づくリュウ。…これを?
うなずくように、ぴかりと光るバッジ。「…よっしゃああああああああああ!!」
リュウは、タロウに変身する!
330闇の呼び声15 5/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:06:05 ID:CRp422Uh0
しなやかに宙を旋回して妖獣の頭上からあらわれたタロウは、愛弟子に巻きついた
黒い蔓の、ひとつになった根元にむけて一直線に切り込んだ。軽やかだがその効力たるや
すさまじい、スワローキックの一撃!ぞわぞわと虫の集団のようにうごめく触手の群れが、
捕えていた銀と赤の肢体を取り落とし、ひとまずは解放されるメビウス。だが、ダメージ
は強く、地面に這いつくばったまま動けない。
タロウは猛攻を開始する。激しい戦闘。繰り出される光線技と肉弾戦。歴代勇士の中で
も抜群の肉体能力を持ち、俊敏な動きを誇る赤い戦士は、さすがに触手の一本さえもその
身に触れさせることなく、ひたすらその本体の頭部と触手の根元とに対象を絞って集中攻
撃を加え続ける。しかし、キラーザウルスはめっぽう強い。タロウの息が乱れてくる。
その脇でうずくまったまま苦悶するメビウス。エネルギーのほとんどを、キラーザウル
スに取り込まれ、カラータイマーは風前の灯だ。タロウにおさえ込まれながらも、充填さ
れたエネルギーの値においては余裕綽々のヤプールは、例の耳障りな声でメビウスに宣告
する。
…まもなくお前は、変身能力を失ってミライの姿に戻るだろう。そうしたらお前を、
ヒロトのいる反世界にたたきつけてくれる。お前たちが接触したときに生じるすさまじい
エネルギーを吸収することによって、キラーザウルスは現実の世界で復活する。メビウス
なき世界で、もとい、まさにメビウスの力によって、われわれの地球侵略が実現するのだ。

緑の紗幕の中で、唇を噛むヒロト。…メビウス。畜生、どうすれば。
突然ぐらりと視界が揺れる。ヒロトは自身のいる空間ごと、強大な力で妖獣の方へ引き
寄せられていることに気づいて愕然とする。激しく揺れる空間の中で自身も猛烈な旋回の
渦に巻き込まれ、息もつけない。…ようやく揺れが収まったとき、ヒロトは己のいる場所
を悟って絶望的な思いに駆られる。そこは、妖獣キラーザウルスの額の中だった。
…そこは、反物質を組成し保留しておくことの可能な亜空間ゾーンだ。メビウスの体力
が尽きるまで、お前はそこで見物していろ。
331闇の呼び声15 6/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:08:12 ID:CRp422Uh0
「消えた!」六甲山上空を飛ぶジョージとマリナは、探知機から突然メテオール反応が
読み取れなくなったことに衝撃を受ける。さらに幻覚世界のモニタに映し出された光景
を見て凍りついてしまう。「…そんな!ひどい…」「えげつなさすぎるぜ、ヤプール!」
 …あきらめるな。
何もかも投げ出して大声で泣き喚きたいような、絶望に駆られたふたりに、どこかで
誰かが呼びかける。「…え?」マリナの耳が、かすかなその声をとらえる。「だれ?」
 …ヒントは、川原だ。Uキラーザウルスを壊滅させた神戸の埠頭を山から臨む、水源
を探せ。町からそう遠くない、足を伸ばせば、すぐにたどり着ける、だが、人は日常の
喧騒に飲まれて、その景色を見落としがちだ。壮大に見える海も山も、本当は小さな入り
組んだ町のすぐ傍らにあって、その営みを見つめ続けている。つながっている。…
 マリナは呼びかける声に必死で耳を傾ける。一言も聞き漏らすまいとして。ぼやけかけ
た視界を指でぬぐって、ナビゲーターの地図に目をやる。…ここだ!「ジョージ、行く
わよ」「えっ?」「装置搭載機の有能なパイロットさん、きこえる?」マリナは全機受信オー
プンに設定された通信機に向かって叫ぶ。「…もたもたしてないでさっさと来なさいよ!」
332闇の呼び声15 7/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:11:31 ID:CRp422Uh0
かつての戦いで、ジングウジ・アヤが閉じ込められていたその空間に、緑の紗幕ごと
封印されてしまったヒロトの姿に、激しく動揺するメビウス。「ヒロト…さん」
よろよろのからだを波打たせながら、震える手を差し伸べるメビウスに、ヒロトは
ゆっくりと首を横に振り、愛弟子をかばうようにやや低空に身をかがめて妖獣の動きを
推し量っている、赤い戦士に向かって叫んだ。「…ウルトラマンタロウ! ぼくごとこの
怪獣を倒してくれ、はやく」タロウの銀色のマスクがかすかに揺れる。足元から上がる
愛するものの悲鳴。「タロウ教官!兄さん、お願い、やめてください!」

 …メビウス。ぼくのことで苦しまないで。ぼくは、ウルトラゾーンに残ったあのとき
から、自分自身の意思で、こうなることを予測していた。きみのせいじゃない。たまたま
通りかかって、手を差し伸べてくれたから、きみはぼくを助けられなかったとつらい思い
をした。でも、ぼくは、最後にあの無限の輪の光を見られて、すごく救われたんだよ。
きみが通りかからなかったら、悲しさと寂しさしか残らなかった。あの光を見られたから、
ぼくは幸せな気持ちでこの世界に別れを告げることができたんだ。
 無限に続く、光の中へ。きみはぼくをつれていってくれた。何にも、気に病まなくて
いい。きみ自身がきみ自身の手で掴んできた、かけがえのない仲間とともに、ぼくの分
まで、生きて。…さよなら、メビウス。ヒビノ・ミライ君。

「だめだ…だめです、そんなの、だめだ…!!」
妖獣の額にはめ込まれた緑の球体に、メビウスは、ミライは、必死で手を差し伸べる。
333闇の呼び声15 8/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/09(金) 02:14:03 ID:CRp422Uh0
…違うんです。違う。あなたを助けられなかったこと、ぼくはずっと気にかかってた
けど、でもそれは、あなたが言ってくれるような、やさしいものではないんです。どう
して、ぼくを罵倒しないんですか。どうして、ぼくに腹を立てないんですか。自分の姿を
使って、勝手なことをして、と、あなたには怒る権利があるのに。…ぼくは、ここで、
たくさんの友達をえました。大切なひともできました。ぼくは、どんどんここが好きに
なる。大切なひとのことが好きになる。…そのたびに、ぼくの心にあなたが、あなたの
声がきこえてきました。ぼくはここにいる、と。ぼくがしあわせなたびに、ぼくがうれ
しいたびに、宇宙のどこかで、たったひとりでいるあなたのことを、ぼくは思わずにいら
れなかった。いつかあなたと手を取り合いたい、とずっと思ってきたんです。でもいま、
その手と触れることさえかなわない。あなたを助けることが、いつか必ず成し遂げなけれ
ばならない、ぼくの仕事だと思ってきたのに。あなたが死んでいるなんて、思ったことは
ない。だってずっとあなたの声が聞こえていたんです。悲しいときも、腹を立てたときも、
うれしいときも、しあわせなときも、ずっと、ずっと、あなたの声がぼくを呼んでいた。
それなのに。
この星の生まれではないぼくが、いつかは帰らなければいけないぼくが、あなたの姿を
かりたおかげで、ここにいられる。愛するひとのそばに、いられる。それなのに、あなた
はまたひとりでいこうというんですか。そんなの、そんなこと、だめです。…

ガイズの緊急処置室。こちら側でのミライの体が、えびぞりになって、硬直する。
閉じられた瞳からあふれる涙。断末魔のような叫び。テッペイは残りのリライブ・キューブ
を照射する。しかし、それももう、効力を示さない。
334名無しより愛を込めて:2007/03/09(金) 03:18:46 ID:CRp422Uh0
>>312-313 年少三人組可愛いなあw。マックスが本編で時々おちゃらける
のは、カイト君のせいかと思っていたけど、マックス本人の資質もあるのだな。
実力と面白さ>ゾフィーがタロウを実は高くかってる理由はそこかーー。

万能>まずは関西弁リョウスケの台詞に萌w。
そしてアリゲラ編回想、アリガトウ。イサナの勇姿がよみがえったよ。
あの回は本当にいい回だったなーー。
335名無しより愛をこめて:2007/03/09(金) 06:18:34 ID:ytSyQQuf0
万能のサコミズさん、ちょっと心情語りすぎじゃね?・・・いや、ただの読者の独り言だが。
なんつーか、場面変わるごとにサコやイサナが内面語りするんで、話が進んでかないよーな
サコが大事なのは分かるが、ちょっと分量がな。タロウやメビ早く出 ウワナニヲスル(ry←カラーレンジャーにより連行中
336インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/09(金) 08:21:47 ID:e5GEvljV0
フィフストレーニング3-22

「あの、実力はともかく、面白さって・・・・」
マックスを基準にしたら、自分もゼノンも落第点だ。しかもなんだか嫌な方向に。
「必要だろう。人を泣かせるよりも笑わせる方がずっと難しいのだ」
「それじゃ、僕は全然ダメですね・・・・」
どーんと落ち込むメビウスに、ゾフィーのからかうような声が降って来る。
「君は自分で思っているよりも遥かに面白いと思うがね。それに、美味いコーヒーも淹れられる。それだけでも笑みが零れるというものだ」
「・・・・コーヒーが美味しかったら、隊長は面白い人だと思うんですか?」
おそるおそるメビウスは顔をあげた。今日は何回下を見ただろう。
「君とは面白いの基準が違うとは思うが、まあそうなるだろうな」
「よし!」
メビウスは拳を握り締め、固く固く誓った。
(絶対にゼノンにコーヒーの特訓しないと!!)
「さて、名残惜しいが、そろそろお暇するとしよう」
ゾフィーはメビウスにカップを返して立ち上がり、トータス親子の方へと歩みだす。
「あ、はい」
メビウスもコーヒーセットを小さくしてポーチに仕舞うと、後を追った。
ゾフィーはまたマクロ化すると、キングトータスやクイーントータスの頭を撫でる。
「また来る。元気でいてくれ」
メビウスは最初はチビトータス達と別れを惜しみ、最後にゾフィーと同じ様にマクロ化して、亀の夫婦に触れた。
「今度はタロウ教官と来ますね。元気にしていてください」
クイーントータスはメビウスの手に逆に自分の顔を押し付けるようにして応えてくれた。
「それでは行くぞ」
「はい!」
二人は一旦浮かび上がってもう一度亀の親子に手を振ると、そのまま衛星軌道上にあるステーションへと向かった。
337名無しより愛をこめて:2007/03/09(金) 12:29:19 ID:e5GEvljV0
マックスは御神木引っこ抜いて「ジョワワ?!」とやった後、植えなおしているが一番印象に残っているもので。
格好良い彼は一体どこへ。
おにゃのこメビに若手芸人みたいなことさせているのは自分ぐらいだな・・・。

>>報告 最後のミライの「おかえりなさい」がいいなあ。
今夜の夕飯は、兄さんも一緒ですね。

>>闇 リュウさんがタロウにーー!!
ヒロトさん・・・・(涙)
338名無しより愛をこめて:2007/03/09(金) 15:42:32 ID:H/HYvMpy0
>>337
いや、マックスは格好いいからこそ、
「ジョワワ?」の破壊力が増幅されるのだと、
「わたしはだあれ」を見てつくづく笑い死んだ。
339名無しより愛をこめて:2007/03/09(金) 21:44:16 ID:EhEnUnsQ0
>>329
>「…よっしゃああああああああああ!!」
でウルトラマンに変身するヤツは、後にも先にもリュウさんだけだろうなw
340名無しより愛をこめて:2007/03/10(土) 12:45:52 ID:LFWlnI5J0
 闇、どうなるのか、PC前で悶えております。

 トレーニング、この後ステーションでなにか騒動がおきそうな・・・。

 マックスは御神木事件といい宇宙化け猫事件といい、はっちゃけぶりが凄かったからなぁ。

341万能の神はいないXXX ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 12:53:07 ID:LFWlnI5J0
 えー万能の神はいないを投稿したいと思います。
 123から131、もしかすると+1ぐらいになるかもしれません。
 嫌な方はまた、スルーお願いします。

 >>335さんへ
 すんませんorz 構成へたっぴで。
 1回の投稿がえらく長くなってしまうため、今回ミライとタロウまで行かず。
 (書いたんですが、次回に回しました。すまん)
342万能の神はいない123 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 12:55:22 ID:LFWlnI5J0
 結局、話せたのは、また事が1つ起きてしまってからだ。

「泣くなよ・・・」
「・・・みっともない、ですか?」
「そうじゃねぇって・・・。いてっ」
「ごめんなさい。・・・痕、残りそうですね」
 抱きつくのをやめ、改めておそるおそる指を伸ばしてくる。ミライの指がリュウの顔や
頭、腕に出来た傷口の周辺を触れる。遠慮がちな仕草と触感にリュウは表情を緩めた。
「たいしたことねぇよ。ちょっとばかり、縫っただけじゃねぇか」
「でも、ここなんか結構深いですよ。髪が生えなかったら、禿げちゃいますね」
「・・・誰だ、そういうことを教えやがったのは」
「タロウ兄さんが」
「あの野郎・・・」
 恐らく、今、この部屋の外で立っているだろう男に悪態をつく。リュウに対してこう、
みみっちい意趣返しというか、ちまちまと余計な知識を付与する機会を逃さないのか。
「・・・リュウさん」
「うん?」
「みんな・・・本当に・・・本当に無事で良かったです」
 その表情を見たことがある。
デスレムの策謀で自分たちがミライに対する人質となったその後・・・帰還を果たした時、
出迎えたミライの顔。
 自分たちとのつながりを利用され、手出しも出来ず、一般市民からは一方的に非難され、
苦悩したミライ。
 ジョージから経緯を聞いた時、どれ程、周囲を、そして自分が腹立たしかったか。
「ミライ」
「はい、リュウさん」
「話したいことがある」
343万能の神はいない124 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 12:56:37 ID:LFWlnI5J0

 暴力が障害物を速やかに
 一掃してしまうことはある。
 しかし、暴力そのものが創造的であると
 証明されたことは一度もない。           アインシュタイン

「ミライに・・・?」
「俺たちは忘れちゃいないでしょうか。確かにミライは人がいい、すぐ人を信じる。騙す
ことは簡単です。特に俺たちの言うことは素直に信じるでしょう。――でも、いつまでも
隠すなんて出来やしません。あいつは今も世間知らずだけど馬鹿じゃない。今、過敏に
なっているから余計です。それにミライは俺に関することには鋭いんです」
 サコミズは苦笑した。
「・・・今、盛大に惚気たでしょ」
「申し訳ありません」
「いいのか?」
 イサナの言葉にリュウは顔をゆがめた。
「本当は知らせたくねぇ・・・だけど、知らせない方がよっぽどあいつには辛いんじゃねぇか
って思う。もし、何か俺にあった後で知っちまったら余計」
「リュウ」
 珍しくサコミズは厳しくとがめた。
「言霊って言葉があるんだよ。そういうことは口にしない」
「ことだま」
「声に出した言葉にはこれから起こることに影響力があるって考えだよ。良い言葉を口に
すれば良い事が、悪いことを口にすると悪い事が起きる。だからツヅキ、滅多やたらな
ことは口にしない」
「・・・はい」
「総監、本多博士からお電話です」
 ミサキの言葉にサコミズは不審げな顔をした。
344万能の神はいない125 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 12:58:04 ID:LFWlnI5J0

自分を頼みとする者は、
なすべき事のやりかたを総て知っている。         バルタザール・グラシアン

 あの時に、何か一言、告げれば良かったのだろうか。例えすでに手遅れだったとしても。

「なんだ。君が直々に来ることかね」
「他の人間が来ても門前払いだって聞きしました。いくらなんでも私まで直に来れば貴方
でも無下に拒絶できませんでしょう」
「・・・何のために電話線を抜いたか分らんな。しかし、これは公権乱用じゃないかね」
「本多博士が嘆いていましたよ。一の宮博士だって」
 ふう、とサコミズは溜息をつく。
「脅迫されているなら、それなりのご対応をなさってください」
「こんな老人1人、今更くたばっても世の中変わるもんかね。私が現役ならともかく」
 胸を張り、コーヒーの香りを楽しむ。その姿は老いたるといえども、堂々たるものだ。
「サコミズ君、とりあえず座ったらどうかね。GUYSJAPANの総監を立たせたままという
のも。ああ、アイハラ君たちも。冷めないうちに遠慮なくコーヒーを口にしたまえ」
「博士・・・」
「いいから座りたまえ。立ったままする話じゃないだろう」
 老人にいなされた形で、サコミズは座る。リュウとツヅキ、ワタル、ミハルは勧められ
ても立ったままで警戒を保った。扉の外では更にSP二人が控えている。
 それにしても。リュウは室内に視線を目を流す。
書類や資料を詰め込み途中のダンボールが何個もあり、物が散乱している。もの寂しい。
明らかにそこにあった研究人生の後始末といった風情が隠しきれない。
345万能の神はいない126 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 12:59:05 ID:LFWlnI5J0
「脅迫相手は?」
「分らんよ。お前の意見は認められない、で分るもんかね。そもそも、さっきも言ったが、
私を脅迫したって今さらだよ。私は過去の人間だし、主流派から外れて久しい。その上、
棺桶に片足突っ込んでいる人間を脅しても相手に得られるものがあるとは到底思えんな」
「態度が投げやりなのは余命を宣告されたからですか」
「・・・本多君だな。そんなことまで君に漏らしたのかね」
「ご心配されていましたよ・・・最近あなたの姿がお見えにならないと思ったら・・・」
「いっそ私を出汁に、とか思いつかんのかね。今の私は形ばかりの名誉職だし、主流派は
煙たがっているだろうし、老い先短い。本人だって了承するぞ。今ここで誓約書にサイン
したっていい。――妻とも離婚は成立した。そもそも特段泣かせる相手もおらんしな」
「一の宮博士と本多博士は嘆かれますよ」
「あの二人には私にやり逃げされた、と思ってもらうしかないか。ああ、そんな怖い顔を
せんでくれ。別に投げやりになっておらんよ。気持ちはありがたいんだがね。安心した
まえ。単に理論的に考えて大事にする必要を感じなかっただけだ。単にこの老人に対する
嫌がらせだろう」
 ちん、と指先でカップの縁をはじき苦笑する。その恩師にサコミズは改めて聞いた。
「本当に心当たりはないのですか?」
「ないなぁ。というかありすぎて分らん。かといって私を殺してまで得られるものがない
のはまず明白だし、逆に少々煙たい、黙れと思っている連中は結構な数じゃないかね」
「そこまで敵を作りになる博士ではありませんでしょうに」
「勝手に向こうが敵視するだけじゃよ。まぁ論敵だからといって脅迫までするとは思えん。
非論理的すぎる」
「馬鹿げた理由でとんでもないことをしでかすケースもあります。一応、心当たりを」
「ここ最近だと・・・しいてあげれば軍事石頭とウルトラマン不要論者の極端な連中と論議
したぐらいだからなぁ・・・それだって私には恒例行事だが」
「不要論者・・・?」
346万能の神はいない127 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 13:01:36 ID:LFWlnI5J0
「ああ。イミュニストといったか? 頭でっかちというか・・・確かに私は、自らの手で戦う
べきだ、と主張している。確かに彼らの献身と善意が人類の依存を引き起こしかねない。
その危険性も指摘している。ただし現実として我々はウルトラマンの力を借りなければ
地球防衛も覚束ないのも心得ている。それに人情として、これまでの彼らに敬意を払って
いるよ。彼らの献身的姿には感謝すべきだし、ありがたいと思ってきた。我々は彼らの
庇護を長く受けてきた。それを『天使の顔を装った悪魔』などとよくほざけるものだ。
確かに彼等は強い。我々の高みにいる。だが天使でも悪魔でもない。ましてや万能の神
ではない。いかほどに崇高な精神と善意を持っていようと、間違いを犯すこともある。
・・・私は彼らが敗北した光景を見たことがあるんだよ」
「その時のお話はかねがね聞いております」
「そもそもメテオールだってまだよちよち歩きだ。やっとウルトラマンのサポートが
できるようになった、という段階だろう。それなのにあの連中は愚かだ。」
「最近、と仰られましたね?」
「ああ。ここ2、3ヶ月か」
 結局コーヒーに口をつけず、老人は立ち上がった。
「心配させて悪いがね。私は特に切迫したものを感じていない」
「いいえ。すぐ護衛を回しましょう。ここ2、3ヶ月で彼らの先鋭化が進んでいます」
「あの連中に何ができるかね? 基本的に声はでかいが、シンパがそういるわけでなし、
彼らだけで固まっている分には大きいことにはならんよ。小うるさいとは思うが」
「博士・・・世の中あなたが思っているように動くとは限りませんよ」
 例のミライの周辺に起こった事は情報統制の下にある。口外できないことがサコミズ
にはもどかしい。もし、これで恩師に何かあったら。
「君がそんなに心配症とはなぁ」
 引き出しから懐中時計を取り出した。そして上着を手に取り、さっさとドアを開けてしまう。
「博士、どちらに」
「散歩だよ。構内をぐるっとな。足腰を弱めぬための日課なんだ」
347万能の神はいない128 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 13:02:42 ID:LFWlnI5J0
 わが道を行く性格は健在だった。老人とは思えぬさくさくとした足取りで行ってしまう。
 慌ててサコミズも、リュウたちも、SPも必然的にこの老人の後を追うことになった。
 外に出た瞬間にツヅキが寒風に身をすくめる。
「博士!」
「おお、やるべきことは進んでいるかね」
「はい。ですが」
「君が気に病むべきことは何もない。いいね」
 慈父というべき優しい表情で彼は教え諭した。
「あの子は?」
「ああ、教え子だ。とても素直な子でね」
 思い出したのか、くくく、と博士はのどの奥で笑った。
「君らは逆だったなぁ。一種出戻り組だったせいもあるんだろうが、一度社会に出ていた
から頑固というか、自分の考えがしっかりしていたというか。気に食わなきゃ例えどんな
に高名な教授の講演にもそっぽむいていたからなぁ。喧嘩を売っていたというか」
「・・・セリザワと一緒にしないで下さい」
「そうだな。セリザワ君と違って、君は表面を取り繕うのがうまかった。セリザワ君は実
に率直な奴だったからなぁ。そういう点は君の方がはるかに手に負えなかった。全く、
セリザワ君にサコミズ・シンゴという参謀がついたお陰で我々は・・・」
「博士」
「おや、私は間違ったことを言ったかね」
 思わず顔に手をあてたサコミズに声を立てて老人は笑う。
「覚えているかね。ミニロケット発射を実演した場所を」
「ええ。なんでこう無駄に広い場所があるのかと」
「イイじゃないか。夏になるとキャンプを張っただろう。あそこで君たちが爆竹やら打ち
上げ花火に変な手を加えるもんだからロケット用の非難小屋に逃げ込む羽目になって・・・」
「部下の前でそういう昔の話をばらさないでくれませんか」
「いや、アイハラ君、騙されちゃいけないよ。こんな人畜無害な顔をしてセリザワ君共々、
歴代屈指の問題児だったんだ。いつぞやは培養タンクを無断借用して酒を密造するわ、
その密造酒で宴会を開いた挙句にゼミ仲間から急性アルコール中毒患者を出しおって」
「博士」
348万能の神はいない129 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 13:04:50 ID:LFWlnI5J0
 そこは確かにだだっ広かった。広い空間と、深い貯水湖のような池にあたりをぐるりと
取り囲む防風林(ミニロケットが発射失敗の時の為のものだそうだ)。ぽつんと立っている
小さな一階建ての、しかし強固な非難小屋。
「・・・発射台は撤去されたのですか」
「最後の打ち上げが終わった後に撤去した。まぁ半分は私の趣味みたいなものだったな、
あれは。今度新しい研究棟を作ることになるらしい。この光景ももう少しで見納めだ」
「しかし、毎日ここまで歩いているのですか」
「おう。足腰が衰えると老化が一気に来るぞ、サコミズ君。机にかじりついていると、
あっという間だ。気をつけたまえ」
「忠告、痛み入ります・・・」
 サコミズとしては苦笑するしかない。
 こうして語り歩いている限り、全てが嘘のようだ。脅迫のことも、恩師の余命のことも。
 セリザワとこの恩師がいたおかげで自分は随分楽になれたと思う。
 特異な経験から今の社会に馴染むまで、時間がかかった。覚悟はしていたとは言え、
時間の流れから取り残された孤立感。ギャップを埋めるために籍を置いた大学でもやはり
サコミズは浮いていた。生きてきた年数だけでも5、6年は違っていたし、同級生たちとは
生まれた時代による世代的な記憶の共有もない。おまけに経験の差。特に宇宙で『彼』と
の遭遇――侵略者との戦いの経験がさらに周りの生ぬるい空気と齟齬を生じさせた。
 ここに在籍していた時、そこにセリザワがいたのは、サコミズにとって有難かった。
彼の場合、叩き上げの隊員だったのが、幹部候補生として半強制的に叩きこまれていた。
防衛隊に所属していた経験が彼を周辺から浮かせていた。不本意な在籍であったせいか、
周囲の評価など気にもせず、また当人の思い切りの良い気性と相まって随分と教授連の頭
を悩ませた存在だった。だがこの面倒見の良い友人の存在がサコミズの気を楽にさせた。
 このセリザワ共々問題児扱いだったサコミズに目をかけてくれたのが、この恩師だった。
一の宮博士、本多博士にも世話になったが、断トツにこの恩師には色々と(本当に色々と)
世話になった。セリザワもこの恩師の部屋に入り浸ったのは、他の教授たちとは異なる、
最前線にいた男特有の匂いを嗅ぎ取ったせいかもしれない。
349万能の神はいない130 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 13:05:58 ID:LFWlnI5J0
 サコミズはそれ以上回顧に浸れなかった。一気にサコミズを現実に引き戻したのは周囲
を取り囲む防風林から、あたり一斉に鳴り響いた爆発音だった。
 全員がその場に伏せた。
 爆音に一斉に飛び立つ烏の群れ。追い立てられるように、空へ、黒い雲のように。
ぎゃあぎゃあと頭上で異常な鳴き声。
 しばらく伏せた状態のまま様子を窺う。銃を取り出して先にSPの一人が身を起こす。
「・・・継続した襲撃は」
 ない、と言いかけた彼は絶句した。
 地面に落ちる血まみれの烏。しかも1羽や2羽ではない。共食いのような互いを攻撃
する異常な行動。地面に次々と落ちてくる。
「まさか・・・宇宙ケシ!?」
「一部、こっちに来ます!」
 ぞっと肌が粟立つ。跳ね起きる。このだだっ広い空間で逃げ場は。
「非難小屋に! 博士、走れますか?」
「ああ」
 サコミズは思い出す。悪夢のような映画があった。あれはヒッチコックだったか。
 目をかばい、腕を振り回し、銃を打ち、サコミズと老人を中心に走り出す。
「博士!」
 急によろけた老人が背を丸め倒れこむ。激しく咳き込み喀血した。腕を取ったサコミズ
の助けを振り払う。首を振り、行け、と老人は手を振る。
「冗談じゃありません!」
 老人の身体をツヅキが抱き上げた。
 間髪いれずリュウが数度、頭上に向かって撃つ。
 さほど離れていないはずの非難小屋まで、恐ろしく長く感じた。
 小屋の鍵は開いていた。中に転がり込むように逃げ込む。
 扉を閉めた時、全員が安堵の息を漏らした。
350万能の神はいない131 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 13:07:30 ID:LFWlnI5J0
 サコミズは懐かしい狭く強固な建築物の壁を探り、電気をつけた。みな、烏に突付かれ、
多かれ少なかれ血がにじんでいる。
「博士は?」
「・・・脈が弱いです」
 意識のない腕を取りながらミハルが報告する。
「あまり、良いとはいえません」
「多分、あの爆発で気化した成分を吸ったと考えられますから、しばらく待てば烏も正気
に戻ると思います。移動はそれからの方が安全ですね」
 ワタルの言葉にうなづきながら・・・リュウはのぞき窓から外の様子を窺う。お互いを
突付きあい、攻撃しあう群れ。その異様さ。
「運が良かったぜ。ドアに鍵がかかってなくて・・・」
 口にした瞬間、可能性に気付く。ぞくっとしたものがリュウの背筋を走った。
 ミライの時はどうだった。麻薬ケシ・・・動物・・・子供。だが決定的な殺傷力は。
「不審物はないか!」
「こんなかに爆弾はねぇか!?」
 サコミズとリュウの叫びはほぼ同時だった。追い込まれた!
 真っ先にツヅキがそれに反応した。物陰の箱を掴む。その残り秒数を見た瞬間に、箱を
掴んだまま、まだ烏の群れが蠢く外へ飛び出した。とめる間もない。
 音を立てて閉じられるドア。
「駄目です、隊長!」
 追いかけようとしたリュウをワタルは押し留めた。わずかなもみ合いの決着が付く前に、
どん、と地響きがした。
351万能の神はいない132 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 13:09:42 ID:LFWlnI5J0
「ツヅキ!」
「さーむーいーっ」

「…で、その濡れワンコは?」
「風呂」
 リュウは憮然としている。心配した分、えらく腹が立ったらしい。
「ったく、やることなすこと、どっか抜けてやがる」
 爆発直後、顔色を変えて飛び出したリュウに向かって第一声が『さーむーいーっ』と
なれば脱力も甚だしい(極度の寒がりである当人には実に洒落にならなかっただろうが)。
「爆弾を池に投げ込みました」
 爆発時に水浴びて、というツヅキの言い訳を皆は信じた。
 実際は投げ込む余裕もなく、外に飛び出した勢いのまま本人ごと池にテレポート(飛込み)
してしまったという。次の瞬間、泡を食って本人は水から飛び出したらしいが、結果的に、
この寒空で寒中水泳というのが真相らしい。あの間抜け。
「そう怒るなよ。あのままだったら皆オダブツだったんだろ」
 ごっそりと混じっていた釘。殺傷力を高めるために爆弾に詰め込まれていた。
もしあそこで爆発していたら。大型玩具のレベルの小型対応とはいえロケットの爆発
事故に耐えるように作られた非難小屋――あの頑強な閉鎖空間の中は血の海だっただろう。
「同一犯と見なすって?」
「だろうな。やり口が似ている」
 動物(子供)と宇宙ケシは撹乱。そちらに目を向けて、ケシの効果切れを待っていると、
爆弾が控えている。
「そういや、サコミズ総監の恩師、どうなった? 意識は回復したのか?」
「・・・いや。そもそも今まで普通に動き回っていたのが不思議だってよ」
「それじゃメディカルセンターでずっと入院になるのか・・・」
「下手な病院じゃ警備上問題が出るからな」
 遠慮がちなノックの後、リョウスケが顔を出し、来客を告げた。ミライが来たと。

 今回はここまでです。
352名無しより愛をこめて:2007/03/10(土) 19:59:19 ID:FnlbAzWh0
緊迫したシーンですが、カラーレンジャーがいないと寂しいです。
状況がちょっとずつですが詰まってきましたね、減ってきたというか。
(でもやっぱり先は全くわからない。)
353名無しより愛を込めて:2007/03/10(土) 20:25:37 ID:BcEKFu8b0
トレーニング>「面白さ」というより、人の心をどう和ませるのか、が隊長の基準なんだね、きっと。
とすると元祖は、意外にもハヤタ=マンのような気もするなー。今日はマジメだったけど。
万能>せこいぞ、光太郎w 次回は「守る」側に立つものとしてのミライの登場かな。
カラーレンジャー大人気だなー。
354闇本舗 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:30:33 ID:BcEKFu8b0
昨日久々にアク禁でした。今日の入れてあと2回です。最後まで長々失礼。
次レスから闇の呼び声16、8レス分です。
355闇の呼び声16 1/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:31:42 ID:BcEKFu8b0
「ミライ!」「メビウス!」赤い超人の中から、二つの声が同時に発現する。タロウは
青いシールドを放って、愛弟子のからだをとりあえずキラーザウルスから遮断した。
シールドごとかばうようにその前に仁王立ちになると、銀のブレスレットをランサーへ
と変換させ、さいぜんからメビウスのエネルギーを取り込み続けている妖獣の腹の、吸口
部と思しきあたりへ突き立てる。だが妖獣は難なくそれを吐き戻して紫の毒炎を撒き散ら
し、勢いを取り戻した触手に加えて全身からうねり出る黒い生体ミサイルの連続放射で、
さらに攻勢をかけてくる。…さしもの赤い超人もたくましいその背を波打たせている。
だがその俊敏さはいささかも変わるところがない。
伝説の勇士の肉体を存分に駆使しながら、リュウはタロウの逡巡を感じ取る。もとより
リュウにもタロウにも、ヒロトの自己犠牲を受け入れるつもりなどまったくない。タロウ
がためらっているのはそんなことではない。リュウはそれを確信している。そのうえで、
融合した意識の継ぎ目がきしむような、このもどかしさは何なのか。
(…タロウ教官。さっきから、何迷ってる。)
…リュウ。キラーザウルスの弱点は、おそらく目だと思う。ヤプールが身を潜めている
目に、あいつの中枢が納まっている。だが、あの目はヒロト君のいる額の部分にあまりに
も近い。それに。(それに?)それに、ヒロト君がザウルスに取り込まれたことで、おそ
らくさっきのメテオール・シールドが役に立たなくなっている。(なんだって?それじゃ…)
ガイズの諸君を信じたいが、いかんせん時間がもうない。残り三十分をきっている。(くそ!
どうすりゃいいんだ)一つだけ、手がある。…
 途端、われがねのようにリュウの頭に響く、声とも周波ともつかぬ衝撃。
…だめだ、タロウ。
356闇の呼び声16 2/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:33:29 ID:BcEKFu8b0
リュウは、まるでため息をついてでもいるかのように揺れているタロウの意識を感じ
取る。(今のは?)…われわれの長兄だ。(…ゾフィー…か。)リュウはテッペイに見せられた
ドキュメントの記憶を思い起こす。(…時々、俺の意識にもシールドはってたことと関係が
あるのか?)…気づいていたのか。(当たり前だ。こうやって融合してるのに、水臭いこと
すんなよな。)リュウは、戦闘に臨む肉体にみなぎらせた気合と集中力とを、いささかも緩
めることなく、タロウの意識に問いかける。(それで?どうすればいいんだ?)再び逡巡す
るタロウ。(俺は、やれることをしないであとで後悔するってのが一番嫌いなんだよ。…
なあ、やれることがあるなら、やろうぜ。このままじゃ、ミライも、ヒロトさんも、消さ
れちまう。)
赤い超人は、青いシールドの向こうで立ち上がろうともがいているメビウスに目をやる。
タイマーが弱々しく点滅し、その銀と赤の肢体はゆっくりと輪郭を失っていくように見え
る。もうあと数十秒もすれば、その姿はミライに戻ってしまうだろう。そうしたら。…
融合したふたつの心は同じ痛みでうずく。失いたくない、大切なこのいとしいもの。
この子を守るために、こいつを守るために、われわれは、俺たちは、ここまで共にやって
来たのだ。…
…一つだけ、方法があるにはある。だが、リュウ、それを使うときみが。
(はじめの約束だ。20時間、俺たちはともに戦うんだ。そうだろ、タロウ教官)
…しかし、きみに限界が来たら、すぐ分離するとも私は言ったはずだ。
(限界はまだ来てねえ。時間も、俺のからだもな。…なのに、こんな状態で俺を放り
出すのかよ? なあ、俺たちは今一心同体だろ? 絶対にあいつを連れて帰るんだ。
一緒にやらせてくれよ。頼む、タロウ教官)
タロウの意識が、意を決したように、改めてリュウの意識に滑り込んでいく。
…行くぞ、リュウ!
赤い超人の動きが、こころなしか、無骨さを増したように見えた。「おっしゃ、行くぜ!」
357闇の呼び声16 3/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:35:20 ID:BcEKFu8b0
 幻覚世界の空に、幾筋もの放物線を描く生体ミサイルの弾道を潜り抜け、タロウ=リュ
ウは、妖獣のはるか頭上にまで飛翔する。伸び上がりひしめく触手の群れを足下に臨み、
両肘を胸の前で合わせて、念ずるように力をこめる。そのまま前下方にぐいと突き出され
た両腕の先から、不可思議な金緑色の光のボールが放たれる。
…なんだあれは。
妖獣の瞳の中で、赤い異形がいぶかしげな声を発した。青いシールドにくるまれた半死
半生のメビウスも、妖獣の額の中で静かに終焉を待とうとしていたヒロトも、その神秘
的な光に魅せられたかのように、目を見開く。(…タ…ロウ…教…官…?)
金緑の光球は、静かにゆっくりと妖獣の頭部へと下降し、たどり着いたと同時に改めて
まばゆいほどの明るさに輝いた。そのあまりに強い光に、目をくらまされた赤い異形は、
ぎゃっというおぞましい叫び声を上げて顔を覆う。と、すかさずそこへ突き立てられる
銀色のタロウ・ランサー。二股に分かれた形に再変換されたそれが、キラーザウルスの両目
を串刺しにする。ヤプールの悲鳴。
 上空に浮かんだ赤い超人は、己の頭上にかざした右手で、ランサーを遠隔操作していた。
そして、もう一方の左手は、大きく開いた手のひらを下に向けて、輝く金緑色の光球を
維持せんとする念波を送り続けている。…その念波が、並々ならぬ集中力とエネルギーを
要するものであることは、彼の広げた左手から腕、肩へかけてのたくましい筋肉が、力み
かえるあまりにぶるぶると痙攣を起こしふるえていることからも明らかだった。
 金緑の光球は、妖獣の額を押し包むようにそこに貼り付いて、やわらかく瞬く穏やかな
光を発するものに変わる。その光に導かれるようにして、手を差し伸べるヒロト。
358闇の呼び声16 4/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:36:48 ID:BcEKFu8b0
 …やめろ、タロウ。反物質化光線を幻覚世界で使用するなどということは、よほどの
エネルギーがなければできることではないのだ。まして、さっきからあれほどのエネルギ
ーを消費しているお前に、そんな力が残っているものか。無茶をするんじゃない。お前は
一人ではない。リュウ君も一緒だということを忘れるな。

タロウ=リュウの融合した意識の上を、苦渋に満ちた長兄の声が、砂丘に舞う銀砂の
ように流れていく。(忘れたわけではない、ゾフィー。われわれは、俺たちは、一緒だから
こそ、この選択をしたんだ。なんとか短時間集中でけりをつける。そして、必ず、ヒロト
君をこちら側に戻して見せる。…)
 …大切な、俺たちの愛するもののために。

 サコミズは、「中の人」の、ついぞ見せたことのない激しい動揺に驚きつつ、共鳴する
自身の心の奥にあるものをたどり返していた。…ゾフィー、だが、きみがあそこにいても、
おそらく同じことをしただろう? せずにいられなかっただろう? 「中の人」は苦笑いし
ながらつぶやき返してくる。…無茶だな。本当にむちゃくちゃだ。そう、だけど私はとも
かくあいつは、それが可能だというならたとえわずかでも、その能力が自分にあると分か
っていればためらいなく、同じことをするだろうな。昔からそうなんだ。おまけに、そん
な自分と共鳴するやつとばかりうまく融合を果たすんだから、始末におえない。…今回は、
いささかエゴな理由であるにせよ。
…だが、タロウよ。リュウよ。それでも、君たちは、帰って来なければならないんだぞ。
愛するものとともに、ここで生きるために。それを忘れるな。

…なあ、サコミズ。愛するものを、現場に赴いて己の手で救い出せるものは、自分が幸せ
であることをどのくらい知っているのかな。己の手で愛するものを守り抜くことが許され
るものを、時に羨みつつ、われわれはそれを見守る。それがわれわれの戦いであり、時に
切ない思いの昇華でもあるわけだ。…だから、必ず帰って来い、と命じる。帰ってきてく
れないと困る。…それもエゴな理由ではあるが、な。

同時刻、同じ思いでモニタを見つめる男がもう一人、フェニックスネストの深奥にいた。
…残された時間は、あと二十五分。
359闇の呼び声16 5/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:39:30 ID:BcEKFu8b0
 …やめろ、タロウ。反物質化光線を幻覚世界で使用するなどということは、よほどの
エネルギーがなければできることではないのだ。まして、さっきからあれほどのエネルギ
ーを消費しているお前に、そんな力が残っているものか。無茶をするんじゃない。お前は
一人ではない。リュウ君も一緒だということを忘れるな。

タロウ=リュウの融合した意識の上を、苦渋に満ちた長兄の声が、砂丘に舞う銀砂の
ように流れていく。(忘れたわけではない、ゾフィー。われわれは、俺たちは、一緒だから
こそ、この選択をしたんだ。なんとか短時間集中でけりをつける。そして、必ず、ヒロト
君をこちら側に戻して見せる。…)
 …大切な、俺たちの愛するもののために。

 サコミズは、「中の人」の、ついぞ見せたことのない激しい動揺に驚きつつ、共鳴する
自身の心の奥にあるものをたどり返していた。…ゾフィー、だが、きみがあそこにいても、
おそらく同じことをしただろう? せずにいられなかっただろう? 「中の人」は苦笑いし
ながらつぶやき返してくる。…無茶だな。本当にむちゃくちゃだ。そう、だけど私はとも
かくあいつは、それが可能だというならたとえわずかでも、その能力が自分にあると分か
っていればためらいなく、同じことをするだろうな。昔からそうなんだ。おまけに、そん
な自分と共鳴するやつとばかりうまく融合を果たすんだから、始末におえない。…今回は、
いささかエゴな理由であるにせよ。
…だが、タロウよ。リュウよ。それでも、君たちは、帰って来なければならないんだぞ。
愛するものとともに、ここで生きるために。それを忘れるな。

…なあ、サコミズ。愛するものを、現場に赴いて己の手で救い出せるものは、自分が幸せ
であることをどのくらい知っているのかな。己の手で愛するものを守り抜くことが許され
るものを、時に羨みつつ、われわれはそれを見守る。それがわれわれの戦いであり、時に
切ない思いの昇華でもあるわけだ。…だから、必ず帰って来い、と命じる。帰ってきてく
れないと困る。…それもエゴな理由ではあるが、な。

同時刻、同じ思いでモニタを見つめる男がもう一人、フェニックスネストの深奥にいた。
…残された時間は、あと二十五分。
360闇の呼び声16 5/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:42:03 ID:BcEKFu8b0
 幻覚世界の薄闇の空の果て、赤い超人の手の先から放射され続ける金緑の光。ときおり
タロウのからだが揺らぎ、ともすれば崩れ落ちそうになる。しかし、彼は、金緑色の光球
の放射をやめようとはしない。その足元で、両眼を射抜かれた妖獣が、びくびくと全身を
うねらせて体勢を立て直そうと機をうかがっていた。…タロウめ。こしゃくなまねを。
エネルギーの消耗著しい赤い勇士の足先に、ぞわりと伸びる触手。「タロウ教官!」
青いフィールド越しに叫ぶ、ミライの姿のメビウス。タロウ=リュウは、身を翻し、光球を
維持したままはるか下の愛しいものを見やる。(戻ってしまったか。あともう少し…なんだ
が…な)荒い息遣いで赤い肉体がしなう。(…いいや、もうためらわない。ためらっている
うちに死力を尽くすまでだ!) 赤い貴公子と呼ばれるりりしいファイター・フィギュアの
動きとしてはやや乱暴な立ち居振る舞いで、タロウは最後の賭けに出た。光球を維持する
左手をそのままに、右腕のみ掲げたその肘から、発射される強烈な変形ストリウム!腹部
を貫かれて地上に這い蹲る黒い妖獣を意にも介さず、ひたすら光球を発し続けるタロウの
タイマーが、だがついに最終警告を鳴らし始めていた。

「経過時間は?」「19時間45分です」
リュウ、タロウ。もう、限界だ。…唇を噛み、思わず目を背けるサコミズ。
そのとき通信機から聞こえる、マリナの声。「隊長!シールドの位置を確認しました。
中にヒロトさんがいるのが見えます」感無量だった。…きみたちはなんという。
「イサナ隊長も到着しました。これより反陽子発生装置を作動します。リライブ・キューブ
照射準備も完了です」こみ上げてくるものを必死で抑えながら、サコミズは命じる。「よし、
直ちにかかってくれ。急いで。だが慎重にね」「GIG!」
…ありがとう、ジョージ、マリナ。イサナ君。俺のガイズ・クルー。最高だ、きみたちは。
361闇の呼び声16 本来の5 /8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:51:36 ID:BcEKFu8b0
**ごめんなさい、>>359>>358がだぶった。>>360の前に、このレスの部分が入るのです。
流れぶったぎり、大変不調法なことでスマソ。つまりこのレスのが本来の5,>>360は本来6っす。
********************************
 六甲山中、生田川上流にある布引の瀧。傾きかけた午後の日差しが焦燥感をそそる中、縦に長い神戸の町からわずかに山中へ入った所にある、雌雄の瀧のそばを、微細なメテ
オール反応の探査を続けつつ歩いていくジョージとマリナ。
「ほんとに、ここなのか」「うん、きっと間違いない」…あの声は、きっと。
わずかに赤みを帯びた陽光の下に、訥々と広がる川原の光景は、確かにモニタに映し出さ
れていたものに似ていた。違うのは、高架がもう少し下流の方であることと、勇壮な瀧の
流れが川原を睥睨していること。近づくと、薄暗い岩陰に白糸のような滝の水しぶきが見
える。中にかすかに光る、緑でふちどられた部分をジョージの目がとらえた。水のすだれ
越しに見えるのは、緑のシールドにくるまれた光の鞘の中で眠っている、ミライそっくり
の青年の姿。「…あれだ!」
 
そのとき、瀬戸内のおだやかな海をそのまま頭上にのべたような、雲一つない水色の空
から、まるで抜け出てきたような青い勇壮な機体が、ふたりのすぐ頭上にまで静かに下り
てきた。「ボーイ・アンド・ガール。待たせたな」 機上に見えるその顔は。「イサナさん!」
「遅くなって悪い。にしてもあのハッパは効いたわ」「…すみません!」赤面するマリナ。
「なんの。それより、あの状況でよくここをつかめたもんだ。敬服しちゃうね」軽い口調
で流しながら、搭載された反陽子発生装置の照準を、慎重に緑色の光の鞘に合わせる。
「流星ボーイ、リライブキューブの照射はきみにまかせたぜ」「GIG!」
362闇の呼び声16 7/8 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 20:54:54 ID:BcEKFu8b0
この部分、本来の7です。8まで。
**
経過時間、19時間52分。
金緑色の光の中で、ゆっくりと緑色の電磁波が解けはじめた。妖獣の額がひらき、ヒロ
トのからだが空に浮く。手を差し伸べるミライ。その手をしっかりと取って、地上に降り
立つヒロト。そっくりな二人の青年は、かたく手を取り合い、瞳を見交わす。
「メビウス!きみとふれあえた。きみもぼくも、ここにいる」
ミライ=メビウスはしっかりとうなずき、ようやく、泣き濡れた泥だらけの顔に小さな微笑
をうかべた。だが、次の瞬間、はるかな頭上を見上げ、目の前を倒れ落ちてゆこうとする
タロウの姿を見て、愕然とする。「タロウ教官!」
タロウはかすかにうなずき、そのままがくりとくずおれていく。しかし、その手は依然
として金緑色の光を維持しつづけ、最後の力を振り絞ってヒロトの前に光の道を開いた。
「ここをくぐれば、元の世界だ」
消耗著しい赤い巨人を、心配そうにみつめるヒロト。だが、意を決したようにうなずいて、
その道を降りていく。それを見届けるや、ミライは再びブレスをきらめかせ、メビウス
となる! タロウに駆け寄るメビウス。「タロウ教官!リュウさん!」
「ミライ…やっぱ、お前の教官、すげえわ」荒い息をしながら、タロウの姿でリュウが
語りかける。くそう、心臓が破れそうだ。だけど、後悔なんてこれっぽっちもねえ。
「リュウさん…しっかりしてください!ぼくは、じぶんのことばかりで」
「気にするな。…お前を助けにきたんだ。あたりまえのことだ」

経過時間、19時間58分。
地上に這い蹲った黒い残骸が、最後のあがきのようにむくりと頭をもたげ、二人に向けて
黒い霧を吐く。
363闇の呼び声16 8/8 ◆CWs9o06fZs :2007/03/10(土) 20:56:25 ID:BcEKFu8b0
タロウ!限界だ、早く分離を!… ゾフィーの、サコミズの、絶叫。
(だけど後ろにまだ敵が…!)気を失いそうになりながらも、分離に抵抗するリュウ。
しかし今度はタロウの強い意志がそれを押し返す。…はじめに言った筈だ。君がいない
世界に、メビウスは戻れない。君をもとの君のままで、もとの世界に帰す。どうしても、
そうしなければ、われわれがここに来た意味もない。ヒロト君を戻せた今、あとは何とか
する。早く戻ってくれ、頼む、リュウ。

タロウは腕をクロスさせ、リュウを光の道へと下ろす。だが、そのあとはもう立ち上が
れないでよろめき、そのままばったりと倒れふしてしまう。
「教官!兄さん!…ごめんなさい、ぼくのために」
バーニングモードのメビウス!
メビウスを呼び寄せていた悲しみの声は、ようやくいま解消され、大切な兄と友への思い
がその心を奮い立たせていた。満を持して燃え上がるバーニングブレイヴ!その傍らで、
タロウはくずおれながらもみたびブレスレットをランサーに変形し、敵を固定する。粉砕
され、焼き尽くされ、消滅する黒い影。次第に周囲のセピア色が薄くなり、全ては靄の中
に包まれていく。その中で、タロウの姿を見失うメビウス。
「タロウ教官!兄さん!」叫ぶ声も靄の中に吸い込まれていく。

時を同じくして、一人の男がフェニックスネストの深奥から姿を消した。
364闇 ◆smJNL9GJT. :2007/03/10(土) 21:00:13 ID:BcEKFu8b0
どうも大変不調法で読みにくく失礼しました。orzorzorz
まとめ2号様、更新の際はお手数ですがよろしくお願いします。
闇の呼び声は、17で終了します。深夜か早朝にまたきます。長々アリガトウ
365名無しより愛をこめて:2007/03/10(土) 22:00:26 ID:ncia51RA0
>>341
122の回がないが・・・ナンバリング間違いか、ヌケかどっちだ?
366万能の神はいない ◆F4InWXB3Ok :2007/03/10(土) 22:48:40 ID:XOSvBEvz0
>>352
 色物戦隊は後々。

>>365
 ・・・orz 調査してたらナンバリング飛び判明。あーほー。
 原稿とつき合わしましたが話は飛んでいません。
 ・・・いっそ妄想しますか?
 全年齢版には書けなウワナニヲスル(ry←タロウ兄さんにより連行中
367闇 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:09:53 ID:f7IJEyOf0
連投失礼。迷ったが、夜の闇にまぎれて終えてしまうことにします。
闇の呼び声17.最後は10レス分。これでほんとにオシマイ。
368闇の呼び声17 1/10  ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:11:27 ID:f7IJEyOf0
バン・テツロウは、自宅の庭を眺めて物思いに耽っていた。おもてで車のとまる音が
したような気がして目を上げる。…気のせいか。再び思考を内に向けるテツロウ。
ふと、傍らに人の立つ気配を感じる。茶色いふわふわ髪の青年が、静かに立っていた。
「父さん」にっこりと微笑む人なつこい笑顔。しかしそれは、帰還してからこのかた、
いくどか見た同じ顔の笑顔よりも、ほんの少し精悍で、たくましい。「…ヒロト」
「地球は、きれいだね、父さん」夕暮れ近い庭を満たすまだ暖かな日差しに、目を細め
ながら、ヒロトは深呼吸をした。「景色も、人の心も」
父親は裸足のまま庭に降り立つと、照れくさげに佇む息子を、しっかりと抱きしめる。
「…ただいま、父さん」
「お帰り、ヒロト」ぼやけた視界の中で、日差しはループを描き、無限の光の輪を形作っ
ているように思えた。(ありがとう、メビウス、そしてそのすばらしい仲間たち。)
緑のあふれる広い庭に、親子は抱き合ったまま、いつまでも立ちつくしている。…
369闇の呼び声17 2/10  ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:13:38 ID:f7IJEyOf0
ガイズ緊急処置室。ぱちりと目が覚めるミライ。
「ミライ君!!」両側から上がる歓声。「テッペイさん…コノミさん…」
「ミライ!」「ミライ君!」通信用モニタ画面の中で、バン船長宅からの帰途にある
ジョージとマリナも声を上げる。「よかったー、ほんとに」「心配したぜ、アミーゴ」
ぼんやりと、安心したようにそんなクルーの様子を見ていたミライは、はっとわれに
かえった。「テッペイさん…リュウさんは?」
「大丈夫、消耗は激しいけれど、命に別状はない。脳波も神経も平常に戻っている」
テッペイが微笑む。「きみの脳波と神経も、もう大丈夫。…よく頑張ったね、ミライ君」
「タロウ教官は?…リュウさんと一緒に戻ってきたんですよね?!」
顔を見合わせる一同。
サコミズがゆっくりと首を横に振った。「リュウが帰ってきたとき、もう分離し終えて
いた。無事ならば、彼もこの世界のどこかで戻っているはずだ。彼もひどく消耗している
から、おそらくは太陽エネルギーを摂取するために宇宙へ出たのではないかな」
ミライは、戦いの最後のタロウを思い浮かべた。消耗しきったからだで、最後の最後ま
で自分を補佐してくれた師。(教官。…いいえ、タロウ兄さん。無事ですよね?あなたが、
死んでしまうなんて、そんな、そんなわけはない)
ミライは立ち上がる。ほんの少し眩暈がしたが、かまってはいられない。
「ミライ君、無理をしない方が…」
テッペイの声を振り切って、ミライは駆け出していく。
370闇の呼び声17 3/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:15:27 ID:f7IJEyOf0
地上の某所。夕闇の中、大地に横たわる赤い巨人。胸のタイマーは風前の灯火だ。…
ぎりぎりまでメビウスを苦しめるな、と言ったくせに、結局ぎりぎりまでメビウスにも
リュウにも負担を掛けてしまったな。本当に、ぎりぎりだった。だが、何とか間に合った。
リュウをもし廃人にしてしまっていたら、メビウスはそれこそ二度と戻ってこられなか
っただろう。…
すんでのところでリュウを分離することに成功したものの、それは赤い巨人、ウルトラ
マンタロウ自身にとっての深刻な危機的状況でもあった。融合していた人間体を分離して、
今、急激に擬態を行う余力は彼にはなかった。彼自身の神経や肉体もかなりのダメージを
受けている。地球上でウルトラ人のままの姿でいることはさらに消耗に拍車をかけること
はわかっている。それを承知のうえで、タロウは、サコミズの推測したとおり、分離後
は宇宙空間へと飛行し太陽に近づいてエネルギーを取り戻そうと考えていた。
だが、その肉体の消耗は、彼自身の予測を超えて激しかった。幻覚空間の消滅後に拡張
していた神経と脳波をもとに戻して、こちら側に帰還はできたものの、宇宙空間へ飛び立
つ前に、力尽きて地球上で倒れてしまった。か細く点滅するカラータイマー。
…私も、いよいよだめかもしれないな。
自嘲気味に心の中で呟き、静かに死を覚悟する。そんな彼の耳に、必死で呼びかける
ひとりの男の声が、いま、聞こえてくる。…
371闇の呼び声17 4/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:23:13 ID:f7IJEyOf0
「タロウ!」こ…うた…ろう…?「馬鹿やろう!無茶しやがって!早く俺と一体化しろ!
急がないと間に合わないぞ!」だめだ、光太郎。こんなに消耗している私と今合体したら、
きみの肉体にもダメージを与えてしまう。
「俺は大丈夫だ!」だめだ…。お前をまきこむわけには、いかん。
「水臭いことを言うな。リュウ君はミライ君の看護疲れで普段より衰弱してたかも
しれないが、俺はぴんぴんしてるんだ。さ、早く!」
だってお前…ほんとは…。赤い巨人は口ごもる。(…もうすぐ還暦じゃ…)
「うるさい!!」光太郎はやにわに上着を脱ぎ捨ててジャンプ!タロウの体の上に飛び
乗った!「どうだい、見くびってもらっちゃ困るぜ」さすがに息切れしつつ、にやりと
笑って指を立てる。「俺は東光太郎だぞ!!」
(無茶してんのはどっちだ…)赤い巨人は苦笑した。「お前、昔のままだな」
「ああ、そうだとも!俺たちは一心同体だ!一人で死ぬな、タロウ。…頼む…頼むから」
光太郎の涙が、風に飛んでいった。「さあ、…来い!」
タロウはかすかにうなずくと、タイマーの上に両腕を組んだ。「ありがとう、光太郎」
見る見る赤い巨人は虹色の光と化し、その光は東光太郎のからだも一緒に包み込んで
ひときわ鮮やかに輝くと、消えた。

少し離れた草原に、光太郎が倒れている。
「へへ…懐かしいな、この感じ」いたずらを見つかった少年のようににっと笑うと、
満身の苦痛に形のよい眉をひそめ、歯を食いしばる。
「いってえ…。やっぱ無茶ばっかだ、タロウ、君は」
いとおしげに、自身の中のもう一人の自分に呼びかけると、(お前こそ…)という内なる
声を感じ取って、光太郎は満足げに手足を伸ばし、大の字になった。が、たちまち激痛
がその身を襲う。「いたたたた…」…大丈夫か?光太郎!「平気平気」
 すまない…ありがとう。「こっちこそありがとうだ。生きるほうを選んでくれて」
光太郎?「かわいい教え子に、もっといいところ見せてやろうぜ!」
「無敵の笑顔」でさわやかに笑うと、腕時計につけた小さなボタンを押し、光太郎は
目を閉じた。「体力温存、寝るに限る…ユキ、あとはたのむぞ」

******
372闇の呼び声17 5/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:25:54 ID:f7IJEyOf0
明け方。丘の上の公園で、空を眺めつづけているミライ。その後姿に、松葉杖を
つきながらよろよろと近づくリュウ。
「…リュウさん」
「お前、俺がお前に言ったことを、タロウ教官に言ったんだってな」
リュウは疲れた顔に無骨な笑みを浮かべた。「命がけで戦うのは、笑顔で仲間に会う
ためだ…俺がお前を助けるまでは分離したくないと拒んだら、あの人は俺にその言葉
を投げて返した」
「タロウ教官が?」
「ああ。大丈夫、あの人は死んだりしねえよ。お前のために死んじまったら、お前また
別の闇にとらわれちまう。そんなお前の優しい気持ちを、誰よりわかっているあの人が
死んだりするもんか」リュウは、ミライの肩に手をおいた。「いい教官だな」

「リュウ君の言うとおりだ」突然背後から発せられた、心地よい響きの、あかるく通る声。
立っていたのは、すらりと姿勢の良い、落ち着いた物腰の五十がらみの男。整った高い
鼻梁とまっすぐなまなざしが若々しい。ミライは目を丸くする。「あなたは…光太郎さん」
「光太郎さん?じゃあ、この人が」リュウは、不躾なほどに目を見開いて、まじまじと
その男の顔を見た。…確かに、いい男だぜ。
光太郎はリュウの無遠慮な反応に苦笑しつつ、ミライに向かって微笑んだ。「大丈夫、
タロウは無事に光の国に帰った。きみに宜しく伝えてくれと、コンタクトがあったよ」
ミライの顔に安堵の表情が浮かぶ。「良かった…!!」思わずリュウと顔を見合わせる。
「だから言ったろ?簡単にやられるタマじゃねえよ、あの人は」そういいつつリュウの
顔もほころんでいる。
373闇の呼び声17 6/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:28:38 ID:f7IJEyOf0
「ですけど…」少しミライはさびしげだった。「直接会ってお話をしたかったし、
お礼もしたかった」
「まあ、またそんな機会もあるさ。あいつは心配性だから、またちょくちょく顔を
出すと思うよ。それから、リュウ君」
「え?」
「私が言うのも変かもしれないけど、やっぱり言わせてくれ。…ありがとう」
リュウは戸惑う。しかし、わかってはいたのだ。融合を通して、心を一つにしたとき、
相手に感じる思いがいかなるものになるのかを。自分は、ほんの一日足らずだったが、
この人は、その人生の半分近くを、彼とともに生きたのだ。…
「俺のほうこそ感謝しています、そう、伝えてください」リュウは威儀を正して光太郎に
真正面から真摯な目で向き直った。…セリザワ隊長。あんたの思いが、俺にも少しだけ、
分かった気がする。あんたのヒカリに対する思い。あんたがなぜ、ヒカリとともに生きて
いく道を選ぼうとしたのか。少しだけだけど、俺にも分かった気がする。
…タロウ教官。あんたと一度でも融合できたこと、俺は誇りに思うぜ。
光太郎はゆっくりとうなずいた。「伝えるよ。確かに。…それと、もう一つ」
ジャケットのポケットからそっと取り出す、赤いハンカチに包まれたもの。「これを、
ミライ君にあずかってきた」
「?……!!」
374闇の呼び声17 7/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:31:04 ID:f7IJEyOf0
ハンカチにくるまれていたのは、陶器の少女人形。赤い靴を履き、赤い花を持った、
オルゴールのついた、マイセン陶器。「カコちゃん…」ねじを巻くと、皮肉っぽい口調
のテレパシーが、ミライの胸に懐かしく響いてきた。 
(…無事御帰還、おめでとう、オニイチャン。ほんと、運のいいヤツ。てか、馬鹿も
トコトンまで行くと結構無敵ってことかもね。ただ、あいつら、これであきらめたわけ
じゃないと思うから、あんまりいい気になんないほうがいいよ。…あたしはいったん戦線
離脱。これは置き土産にあんたのセンセに預けとくね)

オルゴールはゆるゆると鳴り出す。ただ、曲が違った。

   …青い目をしたお人形は アメリカ生まれのセルロイド

「あの子は、大丈夫だよ」光太郎は穏やかに言った。「あの子なりに、君のこと慕ってる
んだと思う」

   …わたしはことばがわからない 迷子になったら何としよう
やさしい日本の嬢ちゃんよ 仲良く遊んでやっとくれ …

白い陶器の顔が、少しだけ微笑んで見えるような気がする。ミライはにっこりして、
赤いハンカチごと人形を胸に抱く。
375闇の呼び声17 8/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:35:23 ID:f7IJEyOf0
光太郎はそんなミライを満足そうに見つめつつ、言った。「それじゃ、また。…といって
も近々また会うことがあると思うがね」少しいたずらっぽい表情が、その整った面差しに
浮かぶ。
「?! それはどういう…」
「今はちょっといえないけど。そのうち、わかるよ」やわらかな笑みがこぼれた。折から
さす朝日の中で、東光太郎は、その名の通り、東雲の空から降り立つ光を全身に受けて、
さわやかな朝焼けに見入った。「新しい一日がまた始まるね。同じ今日は二度とは来ない。
リュウ君、ミライ君。自分をいとおしんでくれるもののために、自分自身をいとおしむ
ことだ。そう、大切な人のために、自分自身を大切にすること。…じゃ」

去っていく光太郎の腕に、見覚えのある金色のバッジが光るのに、リュウはふと気づく。
(ええっ? ひょっとすると…!)
「リュウさん?」急に黙り込んだリュウに、いぶかしげに目をやるミライ。
(ううむ、複雑だ。あの人に融合しちまったら、無敵じゃないか、タロウ教官!)
無意識のうちに、ミライの肩に置いた手に力がこもり、知らず知らずにそのからだを
引き寄せてしまっている自分に、まったく気づかず、不毛な思考状態に陥ってしまった
リュウに、戸惑うミライ。「リュウさん、痛い…」20時間の闘争をへて、うっすら伸びた
無精ひげがミライの頬にふれる。(痛いけど、あったかい…)ミライは目を閉じて、朝の光
の明るさと、傍らにいる大切なひとのあたたかさを、ゆっくりと味わう。(ありがとう、
リュウさん…)
376闇の呼び声17 9/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:39:01 ID:f7IJEyOf0
…そう、自分をいとおしんでくれるもののために。大切な人のところへ笑顔で戻るために。

いつでも主を迎えるべくきれいに整えられていた自室で、この星で最初に見る朝の光
をまぶしそうに仰ぎながら、ヒロトは微笑んでいる。
…ねえ、メビウス。父から聞いたよ。きみがほんとうは女の子なんだってことを。
びっくりしたけど、なんだかすごく納得した。だって、きみと向き合いながら、なんだか
ふしぎだったんだ。ウルトラマンなのに、きみはやさしげで、たよりなげで、ふんわりと
してて。ぼくにそっくりなのに、ぜんぜんちがってて、ほっとけなかった。
…ねえ、メビウス。この戦いがすべて終わったら、きみはまた光の国に帰ってしまうの
かもしれない。でももしそうだとしても、一度だけでも、きみが女の子として地球を楽し
む姿を見てみたいと思ったりする。そう、ぼくにそっくりな女の子の姿で。ひとりっ子の
ぼくにも、可愛い双子の妹ができたと、思っていいかな。こんなこと言ってると、きみの
となりにいた、あの、きみの素敵なナイトにしかられそうだけどね。…
 再び動き始めた懐中時計。かつてこれをここへ届けた者と受け取った者、二人分の涙が
濡らしたその銀の蓋を、ヒロトは開き、その文字盤を見つめつつ、時計を暁の空に掲げる。
…なあ、元気でいろよ。そして願わくば、もう二度と苦しむことなく、幸せな、日々の
未来を、きみに。きみのために。…
377闇の呼び声17 10/10 ◆smJNL9GJT. :2007/03/11(日) 03:44:25 ID:f7IJEyOf0
**
フェニックスネストを臨む、木立の中の道で。
「聞こえたかい、タロウ?」光太郎は内なる相棒に話しかける。「リュウ君の言葉」
(ああ、聞こえたとも)
「いい青年だな、彼も」
(うん、まったくだ)
「相当頑張らないと、持って行かれるぜ、彼に」
(い、いやだから、その)
「いいじゃないか、俺と違って、君はまだまだ若い。応援してるよ」
(光太郎…!!)
「しばらく、こっちにいろよ。静養をかねて。時空波があれであきらめるとは思えないし、
最終決戦は、むしろこれからだろう」光太郎の表情が引き締まる。
(ああ、そのとおりだ)…神戸にいる兄さんたちも、心づもりをはじめたようだ。
「その前に、久しぶりに地球を楽しめよ。英気を養っておけ」
東光太郎は、ちらりとフェニックスネストのほうを見上げ、ボクシングのフックのポーズ
を二三度、軽くとったかと思うと、引き締めた表情を再び楽しげな微笑に変え、人通りの
増えつつある朝の街に向かって、さわやかに、軽快な足取りで歩いていった。

                                 了

***
「闇の呼び声」終了。本当に長々と引きずってしまいました。
読んでくださった方に心から感謝します。
そして、願わくば、このスレに集うすべての住人に、幸せな日々の未来を!
378万能の神はいない ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:18:31 ID:GtTnOj+R0
 闇さん、完結おめ! お疲れさんでした。

えー万能の神はいないを投稿したいと思います。
 133から140、もしかすると+1ぐらいになるかもしれません。
 嫌な方はまた、スルーお願いします。
379万能の神はいない133 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:20:08 ID:GtTnOj+R0
 今、考えれば随分珍しいことなのだとミライは分かる。
 GUYSに入る直前、サコミズは自分の個人的な事柄を口にした。
「僕はね、時間にとり残された人間なんだ」
「とり残された・・・」
「自分で選んで、だから最初から覚悟はしていた。自分は周りと余りにも違う生き方を
選択した。一人で昔を懐かしむ事は出来ても誰かと共感を持って過去を語り合えることは
出来ない。昔の記憶を共有できる相手はまだ生きているけれど、僕は彼らにとって余りに
異常な存在になってしまった。逆に異常と気づかれない相手とは共有する記憶がない・・・
それに気付かれない様に、必要以上に人と関わることを僕は避けていたのかもしれないな。
ミライ、君も秘密を抱えて生きる事になる。自分が異質である事を周囲に隠して生活する
ことになる。もし、自分がメビウスであることで何かあったら、些細な事でも遠慮せずに
僕の所に来なさい。君の気持ちが分かるとは言わない。けれど、周囲とは違うことを隠す
のは僕も経験済みだからね。少しははけ口になってあげられると思う」

「サコミズさんの恩師が」
「ああ。多分、お前ん時と同じ連中だと思う。宇宙ケシとか、やり口とか似ている」
 ミライにとって今だ傷口の生々しい記憶だろう。リュウも出来れば――。
「サコミズさん、辛いと思います。その人はサコミズさんにとって大切な人だと思います。
ご自身の事はあまり口にされません・・・けど・・・一度、僕に言われました。自分は時間に
とり残された人間だ、自分は周りと余りにも違う生き方を選択した。一人で昔を懐かしむ
事は出来ても誰かと共感を持って過去を語り合えることは出来ない・・・。別の時に、人間は
思い出がないのが辛いって言っていましたけど、自分以外に思い出を共有する人がいない
のも辛いじゃないですか・・・覚えているのが自分だけしかいないなんて。そのせいなのだと
思います。サコミズさんと昔から面識のある人、という話をお聞きしません。その博士は
数少ない人ではないではないでしょうか」
「・・・かもしんねぇな」
「僕が今まで分かっている人はタケウチ最高議長と」
 は、と口を閉ざしたミライに、リュウは柔らかく、ゆっくりと言葉をつなげた。
380万能の神はいない134 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:23:18 ID:GtTnOj+R0
「セリザワ隊長な・・・セリザワ隊長にとっても恩師に当たる人だと。なんかセリザワ隊長と
つるんで色々やっていたみたいだな、サコミズ総監」
 今は静かに語れるようになった。
 ウルトラマンと融合したセリザワ隊長。
 時に父親の様に今の自分の基礎を叩き込んでくれたかつての上官。共に死ぬ覚悟だった
あの時、リュウは無理やり脱出させられた。25年ぶりの怪獣へ機体ごとぶつかった様を
目の当たりにした、その時に受けた打撃。自分を残して全滅した、かつての仲間――最初
のチーム。今も思い出せば傷口が疼く。ただ一人残される、あの猛烈な孤独感。
 でもあの人は死んじまってはいなかった。あの時、ヒカリ(当時はツルギと呼ばれていた)
に『器』として拾われ生き延びていた。しかし、初めはセリザワの意識はなかった。あの
人の姿を見た時の喜びと、その事実を知った時の絶望と憤り。それでもセリザワが生きて
いる、という藁にもすがる思いと混乱。
 あの頃の自分の側に黙って側にいたミライ――随分と酷い事も言った。メビウスにだけ
ではなくミライにも。自分に与えられる好意に安住し、時に拒絶し、都合よく甘えていた。
 そのくせ自分が守っているつもりになっていた。・・・お笑いだ。ずっと守っていたのは
ミライの方だったじゃねぇか。ずっと自分の生命も、心も。
 失いかけてやっと気づいた。
「今回のことで、前回のやつも標的はお前じゃなくて、サコミズ総監の周辺に対する攻撃
じゃないかって意見が強くなった。お前と博士じゃ繋がりねぇしな。中心をサコミズ総監
にすれば・・・博士はサコミズ総監の恩師だし、お前は身内みたいなもんだろ」
 だからお前のせいじゃない可能性も、というリュウの言葉にミライは同意しなかった。
「・・・それだって原因はメビウスですよね。サコミズさんが、メビウスを手元に置いている
って噂のせいですよね。・・・リュウさん、イミュニストの掲げる主張は、僕らウルトラマン
に常に付きまとっていた問題なんです。今に始まった話じゃないんです。僕の前に地球で
戦った80兄さんは、特に苦悩していました。80兄さんは地球に赴任した歴代の兄弟の中で
も特に独力で敵を撃退することが多くて、依存の問題はとりわけ根深かったんです」
381万能の神はいない135 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:27:46 ID:GtTnOj+R0
 負けてはいけない。でも。
「僕らは決して地球人に依存して欲しい訳じゃない。いずれ共に肩を並べて立って欲しい。
だから――分かっています。なぜ兄さん達が正体を隠し、すぐ地球を去ったのか。本当は
・・・ウルトラマンの滞在は必要最低限度に留めなくてはいけない。なのに僕は」
「――ミライ」
「それをちゃんと考えれば、僕は、地球に戻るべきじゃなかった。でも――」
「お前が戻ってこなきゃ俺が救われねぇぞ。ミライ、俺がどんな男か分かっているだろ」
「・・・僕も、リュウさんが側にいないと、駄目です」
 泣き笑いの顔を、今度は自分から引き寄せてぽんぽんと背中を叩いてやる。
「お前が戻ってこなけりゃこないで、ぐちゃぐちゃやってるさ、地球は。そんなもんだ。
お前1人でどうかなるわけねぇ。お前ぐらい、弱っちぃウルトラマンもいねぇし」
「ひどい、リュウさん」
「ホントだろ。ビルを盾にしやがった。最初、なんてへたくそな戦い方だと思ったぞ」
「怒鳴られましたね」
「・・・八つ当たりだった。すまねぇ。ホントろくでもねぇ、顔合わせだったよな」
「でも、その前にリュウさんとは会っていました。だからリュウさんがどんな人か僕は
分かっていました。それに本当に僕は未熟でした。皆の協力があってようやく一人前の
働きでした。GUYSの皆がいなかったら、1人だったら、きっと戦え抜けなかった」
「俺たちだって、お前とだから一緒に戦えたんだよ」
 それに、とわざとおどけた口調で続けた。
「こんな弱っちぃウルトラマンだから俺たちもなんとかしなきゃって思えたんだぜ? 
こいつ1人で戦わせるわけいかねぇ、俺たちも戦わなきゃってな」
 GUYSの奮戦がイミュニストに早計な自信をつけさせたとしても。
 でも、この未熟な存在だからこそ、GUYSの力が必要とされた、という一面がある。
自分たちもウルトラマンを援護できるのだ、という誇り。地球人には必要な気概。
「僕は――僕で幸いだったんでしょうか。力がなくて・・・よく思いました。もっと、力が
あれば。もっと助けられた人がいるんじゃないかって」
382万能の神はいない136 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:31:42 ID:GtTnOj+R0
 もっと強ければ、という思い。それはリュウにも常に思っていた。もっと自分たちが
強ければ自分達の力で地球を守れる――。初めはウルトラマンの力を借りなければ守る事
すらままならない自らの力不足に対する怒り。途中からはこの純真な仲間を結局は危険な
矢面に立たせてしまう不甲斐なさに。自分は何度歯軋りをしたか。
 守れる力が欲しかった。地球を、仲間を、俺の――俺たちのウルトラマンを守る力が。
 今、怪獣や侵略者を向かい撃つ戦場ではない。
 リュウがミライから守りたかったのは。
「本当は、お前に知られたくなかった。こんな勝手な、人間のこんなひでぇところを、
お前には見せたくなかった」
 献身的に地球人の為に戦い、その為に敵意を向けられる。依存される。
 自らの主張の為に同じ地球人を殺すことも厭わない人間がいる。その人間が自分の周囲の
人間を狙っている。その理由が戻ってきたウルトラマン!
 ウルトラマンに人間が依存する。それすらも人間の勝手であるというのに。
 その事実がどれほどこの存在を傷つけるか。
 歯を食いしばった、その頬に触れる、指。
「リュウさん。僕はリュウさんにそんなに気遣われる資格はないです。リュウさんが思う
ほど僕は綺麗な生き物じゃない」
「そんなことねぇよ」
「いいえ。それは僕が一番知っています。僕だって色々あります」
 ミライはリュウから少し離れた。躊躇した。リュウの目の前で初めて変身を見せた時
よりもよほど。
383万能の神はいない137 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:34:39 ID:GtTnOj+R0
「リュウさんに正体がばれた時、僕が何を思ったか分かりますか? これで、もう僕の事
を一生忘れないだろうって思ったんです。それまでずっとリュウさんを傷つけたくないと
思っていました。黙っていたのだって、いつか僕は地球から去るのに、リュウさんに辛い
思いさせたくないって、そう思っていたのに。あんなばれ方は最悪でした。リュウさんを
傷つけないためには、いつか自然と忘れていくように別れなければいけなかった。なのに、
あの土壇場で・・・。忘れてほしくなかったんです! リュウさんに忘れてほしくなかった! 
リュウさんの心にどんな大きな傷になるか、僕は分かっていたのに。リュウさんには辛い
思いをさせたくないって思いながら、僕の本音なんて結局はそんなもんなんです! 全然
綺麗じゃありません!」
「ミライ・・・」
「デスレムの時も、何も知らない癖にって・・・怒りとか、憤りとか、何でそんな事を言うの
かって、もう・・・ぐちゃぐちゃでした。あの時、リュウさんを、皆をあのまま失うような事
があったら・・・自分も、人間も、何もかも許せなかったと思います。今はもっと・・・そんな
もんじゃないです。・・・僕はウルトラマンなのに!」
 涙でぐしゃぐしゃな顔。引き寄せるとぐったりと肩口に額を当ててよりかかってくる。
「今は、もっと酷いんです・・・本当に、全然、僕は綺麗じゃないです・・・。今、口にした事
だって、僕の全部じゃない。僕は怖い。リュウさんに知られるのが怖いです・・・こんなこと。
でも・・・僕はリュウさんに気遣ってもらうような綺麗な生き物じゃないんです!」
「お前がそんな風になったのも、俺のせいだよな」
「そんなこと・・・!」
「馬鹿野郎。少しは自惚れさせろ」
「・・・自惚れ、ですか?」
 きょとんとした顔にリュウは噴いた。
「やっぱ、お前は不思議ちゃんだな。人の機微ってやつ分かってねぇ。まだまだ十分に
綺麗な生きもんだよ。ほれ、鼻かめ、鼻」
 ティッシュを顔に押し付けると、ミライは素直にリュウの言うことに従った。
ちーん、と鼻をかむ動作はまだまだ子供だ。理性が先行して育ってしまい、今、自分の
感情の波の激しさに戸惑っているのが微笑ましく、不憫だった。
384万能の神はいない138 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:38:59 ID:GtTnOj+R0
 人間なら当たり前の葛藤。だがミライには恐怖すら覚える心の動き。地球に来なければ、
自分の隣にいなければ覚えなかったであろう感情。――復讐に一命をかけていたヒカリの
件からもウルトラマンが決してプラスの感情ばかりの生命体ではないことは分かる。だが、
それも愛する対象を失ったが故に覚えた憎悪。守りきれなかった自身への怒り。
 ・・・ウルトラマンってのは基本的に純真にできてやがるよな。
 前に言われた。ミライのせいで君が死ぬ、という事態だけは絶対にやめてくれ、と。
あの子にとってそれが心の致命傷になりかねない。
 サコミズに言われなくてもリュウは分かっていた。絶対に、自分は『ミライのせいで』
死ぬわけにはいかない。ウルトラマンが原因で自分が死ぬことがあれば、ミライが耐え
切れるはずがない。絶望も、憎悪も、ミライには知らぬ存在でいて欲しい。そんな思いは
させたくない。たださえ、寿命の差から一人ミライを残すことになるだろう自分が、これ
以上ミライに深い傷を与える事態など、まっぴらごめんだった。
 掛け値なしの本音だ。だが、同時にリュウの奥底には認めがたい矛盾する悦びもあった。
 ミライをそこまで追い込むことができるのが、自分なのだと。
 ・・・よっぽど、俺の方がひでぇじゃねぇか。なぁ、ミライ。

 腕を組み、壁に背を預けてそのドアから目を外そうとしない。表情から甘さが消える
と、いい男だけに近寄りがたい。
「・・・ミライさんのお兄さん?」
「実の兄弟じゃなくて、危険の中でも背中を預けられる相手、って意味らしいけどね」
「バディ(相棒)みたいなもんですかね」
「そういうもん? ついでに彼にとってミライは教え子」
「ツヅキも?」
「うん。ミライとツヅキは兄弟弟子になるかな」
 なぜかこそこそと声を潜めてイサナはリュウの部下の一人――リョウスケは人当たりの
よい青年だった――としゃべる。が、微妙に横合から感じるプレッシャーが。
 ・・・気まずい。ちゅうか、愛されてんなぁ、ミライ。
 そこに駆け込んできた人物には感謝してありあまる。
385万能の神はいない139 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:43:05 ID:GtTnOj+R0
「タロウ教官!」
「怪我は?」
「烏に突付かれただけです。むしろ池に飛・・・爆発で水を浴びた方が、その寒くて」
 この間、裏でテレパシーのやりとりが交わされていたのだがイサナには聞こえない。
ただ微妙にタロウの表情が呆れたように柔らかくなったのは分かる。
「やだ・・・。誰、あの人」
「知らん顔だな。ワタル、知っているか?」
「アイハラ隊長の奥さんのお兄さん」
「いい男だこと。かっこいいじゃない」
 廊下の角から顔だけ出している。面子が変わってもGUYSJAPANのチームカラー
って微妙に変ってないな、と、イサナはつくづく思う。オーシャンだとこんな可愛げなぞ
1週間で跡形もなくなる。原因はイサナの傍若無人ぶりにあるのだが。
 一人はバスタオルを持っているところを見ると、風呂から上がるなり駆け出したツヅキ
を追いかけてきたらしい。確かに見直せばぽたぽたと青年の髪から雫がたれている。
 イサナは一方で彼らを手招きすると、ツヅキに注意を即した。
「ワンコ、髪が濡てる。湯冷めするって。ほら、タオルもらってこい」
「え、あ、はい」
「風呂から出るなり駆け出しやがって。子供か?」
 バスタオルをツヅキに押しつけてヒデアキはデコピンする。
「すいません」
「本当に大丈夫? 痛いところは?」
「烏に突付かれたところが痛いです」
「・・・禿げないといいわね」
 この点に関してミハルは突っ込む気力がなくなった。当の本人は風呂に突っ込まれて
やっと人心地が付いたと見える。
 サコミズ総監以下、全員が血まみれでメディカルセンターに直行という事態に居残り組
も騒然となったらしい。実際は流血の原因が烏、突付かれて少々針を縫うハメになったと
言うレベルで事と、入院した1名も被害ではなく前からの病のためであったので、すぐに
落ち着きを取り戻したという。
386万能の神はいない140 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:45:03 ID:GtTnOj+R0
 相手側はかなり気合を入れて罠を仕掛たのだろう。実際に成功していたら、空恐ろしい
ことになったと思う。しかし純然たる最大の被害が極度の寒がりの癖に寒風吹きすさぶ中
で水浴びするハメに陥ったこの後輩、という事実。幸運がついてくれた、と思う半面、
皆の気が抜けても致し方ない。実際に、ずぶぬれで歯の根も合わずにがたがた震え、手当
もそこそこ、風呂場に駆け込んだ後ろ姿は確かに情けなかった。
 それでもあの直後は非難小屋にいた全員(除く意識不明者)が本当に顔面蒼白だった。前回
の宇宙ケシ騒ぎで一人爆死している。リュウが血相を変えて外に飛び出して、返ってきた
答えが『さーむーいーっ』では。ミハルは脱力した自分たちを責める気は毛頭起きない。
「ああ、もう、垂れてるじゃなの!」
「ご、ごめんなさい」
「さっさと拭く!」
 殆ど大型犬に対する飼い主、のチャコにミハルは噴く。その噴出しは重なっていた。
「きょーかぁん」
 ツヅキが情けない声を上げる。
 教官?
 第一印象は颯爽とした『いい男』だ。年は多分アイハラ隊長と同じか少し上。
ミハルは彼の容貌以上にツヅキの教官という言葉に興味をそそられた。しげしげと観察
してしまう。・・・許されるならそのコードを剥いでしまいたい。あの身体能力の化物の師匠
ならばさぞいい体だと思う。いささか不躾な視線にも彼は爽やかだった。
「東光太郎だ。よろしく」
 破顔一笑すると、『あの』チャコですら赤面した。だが当の本人は意識してやっている訳
ではないらしい。天然のたらしか。いやらしさがないだけにかなり手に負えなさそうだ。
「ツカモト・ミハル。アイハラ隊長の下についております」
 踵をあわせて敬礼をする。それに彼も敬礼を返してきた。――それが恐ろしく決まって
いる。素人ではこうはいかない。・・・経験者?
387万能の神はいない141 ◆F4InWXB3Ok :2007/03/12(月) 07:51:19 ID:GtTnOj+R0
 ミハルが判断を下している横で彼はツヅキに尋ねた。
「キャプテン・サコミズは?」
「サコミズ総監なら治療を終えた後、ニューヨーク本部と連絡をとられています」
「あの、サコミズ総監と個人的に面識がおありなのですか?」
「ああ。彼がまだ宇宙にいて、キャプテンの時に兄が面識を得てね」
 視線がドアに向かった時、爽やかで甘い表情は消えた。中から出てくるなり、
「話したのか?」
「話した」
「で?」
「しばらくサコミズ総監の側で待機する。しばらく帰れねぇ。ミライを頼む」
「分かった。――戻るぞ」
 妹に対する、穏やかな声。
「はい。リュウさん、着替えとか、持ってきますから」
「ああ」
 リュウが顔を和らげて、うなづく。
 男同士の遠慮のなさと間に挟んだミライに対する各々の柔らかさ。態度のあまりの違い。
ミハルは思わず事情通と思える二人に目をやる。
 ツヅキは見慣れているのか平然と見送りに行ってしまった。が、残ったイサナの方は
目線が微妙に泳いでいる。
 ・・・ひょっとして。
「血の繋がりはない兄妹やて」とリョウスケから聞いた時、どうりで、と思いはした。

 この日、GUYS本部よりイミュニストに対する強制捜査が決定した。
 そして、同日。星の御光が事実上分裂したという連絡が入った。

 今回はここまでです。
388インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/12(月) 10:43:59 ID:CSQP2jGB0
フィフストレーニング3-23

出国ゲートで腕時計を返すと、二人は窓沿いにステーションの出口へとのんびり歩いていく。窓の外では太陽光に当たって碧く輝くアニマル星が見える。
「隊長、今日はありがとうございました」
「今朝の不機嫌さは行方不明になったみたいだな」
ゾフィーの言葉に、メビウスは頬を膨らませてみせる。
「隊長はいっつも突然なんですよ!ちゃんと説明してくれればいいのに・・・・」
「それじゃつまらんだろう」
「つまらなくていいですから!」
「長い人生がつまらないものでいいものかね」
ゾフィーはやれやれと首を振ると、売店の方に足を伸ばす。
「隊長?」
後を追うメビウスに、振り返ったゾフィーは何かを押し付けた。
「アニマル星の亀だ。カメリンとコカメリン」
つぶらな瞳をメビウスに向ける亀のぬいぐるみに、メビウスは目をぱちくりさせる。
「え?」
「トータス親子はこの星の固有種ではないからな」
「あ、あの・・・いいんですか?」
「彼等の事をよく憶えておくように」
メビウスは亀の親子のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。
「ありがとうございます!!」
素直に喜ぶメビウスを見て、「だから唐突の方が面白いのだ」とゾフィーは胸の中で付け足した。これだけ表情が変わる子も、光の国では珍しい。
「君はタロウとこういう風に外には出ないのか?」
「はい。教官は何時もお忙しいし、僕が教官室にお邪魔しているだけだし・・・・。
あ、でも一緒に買い物に行って、掃除道具とかペンとか買ってくれました!」
「掃除道具にペンね・・・・」
(甲斐性ナシめ)
筆頭教官よりも遥かに忙しい隊長は、軽くタロウの顔を思い浮かべて、メビウスの肩を引き寄せた。
「では、本国に戻るとしよう」
389インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/12(月) 10:45:45 ID:CSQP2jGB0
フィフストレーニング3-24

ジャングルの草の陰から、レオとアストラがひょこひょこっと顔を出した。80とユリアンは放ってきた。
「いたいた」
「メビウスは無事みたいだな!」
砂浜の上で、ゾフィーとメビウスが並んで座っている。後姿しか見えないが、とりあえずは何もなさそうだ。浅瀬の奥で大きな亀達が遊んでいるのが見える。
ゾフィーとメビウスの会話の内容はレオとアストラの能力を以ってしても聞き取れないが、時折メビウスは盛大に落ち込んだりするのは見える。
「あ、メビウスが倒れた」
「顔についた砂をゾフィー兄さんが払ってる!」
「なんでこんなところでまでコーヒーなんか・・・・」
「なんかメビウスが拳握り締めて燃えてる」
「あ、大きい亀と一緒に遊んでる」
やがて二人は亀に手を振り、上空へと飛び立っていく。
「デート終了か?」
「多分。時差なんかを考えると、そろそろメビウスを返した方がいい時間だし」
メビウスが特にゾフィーに怯えているとか、そういったことも見受けられなかったので、おそらくは何もなかったのだろう。
「とりあえずは無事だったってことか」
「良かったね。何かあったらタロウ兄さんに顔向けできないよ」
「じゃあ、俺たちも帰るとしよう」
「そうだね」
二人は頷きあうと、少し時間を置いてステーションへと向かう。出国手続きを済ませてゲートを抜けようとした時に、スタッフに呼び止められた。
「お待ちください、レオ様、アストラ様。お言付けを承っております」
「言付け?」
「はい」
渡された小型プレートに触ると、ホログラム文字が浮き上がる。
『着眼点はいいが人選ミス』
「・・・・・・・・・・ええええーーー?!」
言付けを託した者の名は入っていなかったが、誰が書いたかは一目でわかった。二人の背中をだらだらと大量の汗が伝い落ちる。
「ど、何処から気付いていたんだ?!」
「ひょっとして、今朝からこれを狙ってたんじゃ・・・・」
双子は顔を見合わせると、わけのわからない絶叫をあげた。
390インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/12(月) 10:59:39 ID:CSQP2jGB0
フィフストレーニング3-25

光の国へ帰ってくると、もう夜になっていた。ゾフィーはメビウスを寮の近くの公園まで送ってきていた。
「さて、残念ながら私が送れるのはここまでだ」
「ひょっとして、お仕事抜け出してきてたんですか?」
「そんなことはせんよ。ちゃんと届は出しておいた。でないと入国手続きの時に秘書達に捕まるだろう」
捕まった前科があるらしい。メビウスはなんとかこの悪戯好きな隊長が慌てている様子を想像することに成功した。
(面白いかも)
「今、何かを思いついたようだが?」
「いえいえいえっ!」
ゾフィーの視線に頭の中を覗かれた様な気がして、メビウスは慌てて首を振る。
「そうか」
抑揚のない声と共に、すっとゾフィーの手がメビウスの頭部に伸ばされた。
(叩かれる!)
今日一日の反抗的というか失態というか、全部ひっくるめて、怒られない方がどうかしている。
反射的に身を竦ませたメビウスの頬がぐいっとひっぱられ、反対側の頬に微かな吐息がかかった。
(あれ?)
メビウスが目を開けると、まだ顔を遠ざけている最中のゾフィーが見える。
「あの、怒らないんですか?」
「何がだね?」
「いえ、その・・・・よくわからないんですけど・・・・」
「よくわからないが叱って欲しいということか?君はやっぱり面白いな」
メビウスの頬から手を離して、ゾフィーは笑った。「合格だ」と小さく聞こえた声に、メビウスは自分がマックスと同じカテゴリに放り込まれたと確信する。
「いやあの面白くなくていいですから・・・・。
でも、今のは、なんですか?」
多分、さっきのはゾフィーの口が頬に当てられたのだと思うが。失った感触を惜しむかのように、その頬に手を当てて質問する。
「うむ。チタマという星で、親しい者同士がする挨拶だそうだ。『おはよう』から『おやすみ』まで、又、別れの時等あらゆる状況で使える万能な挨拶だ」
「そうなんですか。便利ですね」
そこではたとメビウスは気付いた。『親しい者同士』だ。この間ゾフィーは勝手にメビウスを友人にしてしまった。
「えーと、僕もした方がいいですか?」
391名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 11:11:09 ID:3wBXu4qr0
>>万能
「お前が戻ってこなきゃ俺が救われねぇぞ。ミライ、俺がどんな男か分かっているだろ」
「馬鹿野郎。少しは自惚れさせろ」
リュウの台詞にくらくら。土曜日本編でのミライの涙とリュウの動揺、ラスト
のハグを思い浮かべたよ。 光太郎さんも相変わらずカッコヨス。
>>トレーニング 隊長は何でもお見通しw カメリンコカメリンほしいぞ。
392名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 11:17:32 ID:3wBXu4qr0
>>390
ついにやっちゃったよ、ほっぺにチ○ー!後々大変そうで楽しみっす。
393名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 11:40:37 ID:CSQP2jGB0
すみません、レオ兄弟と80先生、あんあオチで・・・orz
>>闇 完結乙です!ああー、良かったーー!皆無事で!!
タロウが「おまえ、還暦・・・」と言ったところに笑いました。無敵の光太郎&タロウコンビが、これからリュウとミライにちょっかいだしてくれるでしょうね。
ふと思ったが、ミライは光太郎さんがタロウと融合していたの、知っていたの?

>>報告 ツヅキの存在がすごく緩衝材になってます。彼のほのぼので色々救われてるなあ。
あと、タロウ教官に興味持ったミハルとか。
なんといってもリュウとミライのお互いを想って、自分も心の暗い面を告白し合うのは、凄い愛情を感じました。
でも、最高総議長って「タケナカ」さんでは?
394名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 19:26:24 ID:DgxPOsSI0
>>393 orz まとめさん、いつもすいませんがタケナカに訂正を・・・。
>>323も、ラスト、おかえりなさい、が、かえりなさいにもなっていたしorzorzorz
395名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 19:28:10 ID:DgxPOsSI0
 ゾフィ兄さん、タロウに呪われてもしらんぞー。
 ま、やられそうにないお人だけど。
396名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 19:28:31 ID:eWWKCRv80
>>388-390
た、隊長、ナニヤッテンデスカorzorzorz
メビ、頼むから返さんでいいw。タロウがこれ知ったら・・・て、なんか隊長企んでるなorz
397名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 20:30:49 ID:/nYIXke50
wwww
398名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 23:28:11 ID:874QaH6W0
「えーと、僕もした方がいいですか?」

是非汁!
399兄たちの降臨:2007/03/13(火) 00:08:05 ID:EroRrr3J0
メフィラス後日談。
**

タロウ:君には失望したよ、リュウ。
リュウ:は?なんで…
タロウ:メビウスのことに、最初に気づかなくてはならないのはテッペイ君じゃなくて
君のはずだろう。それをあんな言いかたして泣かせるとは。
リュウ:う…
レオ:そうだ、君にはもうメビウスは託せない!
D4:われわれは彼女をつれて光の国に帰る。

メビウス:兄さんたち、待ってください!リュウさんはちゃんとわかってくれました!
ぼくはやっぱり地球にいたいんです!!

ゾフィー(サコミズ):待て、弟たちよ。
タロウ:兄さん、今度という今度は従えませんよ。
ゾフィー(サコミズ):(携帯を取り出して写メール画像で涙顔のミライを見せる。)
泣き顔、可愛いよん。配信してほしい人、いるー? ハイ手を上げてー。
タロウ:うっ…!!
レオ:その顔は何だ、その涙は何だ!(胸が痛いぞーー)
(結局配信してもらった画像を手にして帰還していく兄弟たち。)

アストラ:てっか、メビウスは結局今回は涙で敵を倒したことになるんだよね…。
80:敵も見方も総落とし…。恐るべし、無敵の涙、ですね。 
400名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 00:17:49 ID:e3+Uv8gz0
ってーか、兄さんいつ写メ撮ってたんだ(隠し撮り??)ww
・・・確かにあの涙はくらっとしたけどなw
401インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/13(火) 08:15:59 ID:WX6b0Ktm0
フィフストレーニング3-26

「そうだな。だが、君は私が君に対して想っている程には親しんでくれていないようだし」
またゾフィーが手を伸ばし、今度は頬を引っ張った。
「ほら、『ゾフィーさん』って言ってご覧」
(わー、また!!)
ゼノンの顔が頭をよぎり、メビウスは顔を横に振った。
「むりれふ・・・・」
「なら仕方ないな」
ゾフィーはあっさり手を離す。
「痛たた・・・・隊長?」
「『挨拶』は次回に期待しよう」
さっきまで抓っていたメビウスの頬を優しく撫でると、
「では、また」
ゾフィーは踵を返した。
「隊長って、よくわからない・・・・」
一人残されたメビウスは、ぬいぐるみをもう一度しっかり抱きしめると公園の中に入った。ここを突っ切った方が早く寮に着く。
公園の中にウロウロしている人影があった。しかも寮側の出入り口の方だ。
(こんな時間に、誰だろう・・・・)
メビウスは一旦公園の外に出て迂回しようかと思った。街頭の下に入った姿に、足を止める。
「タロウ教官?!」
「め、メビウス?!」
メビウスの声に顔をあげ、その人物は驚いた表情のまま走ってくる。
「メビウス、無事だったか?!」
「は?」
「何処も怪我してないか?苛められてないか?」
402インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/13(火) 08:19:16 ID:WX6b0Ktm0

フィフストレーニング 3-27

「あ、あの・・・どしたんですか?それに、引率は・・・・」
体のあっちこっちを触って点検しだすタロウに、逆にメビウスの方が心配になる。
「あ、頬のところが赤くなってる!」
タロウはさっきゾフィーに引っ張られたメビウスの頬に手を翳すと、リライブ光線をかけた。
「他には?大丈夫か?」
「は、はい」
「良かったー。引率から帰ってきたら、君がゾフィー兄さんに誘拐されたってメッセージがあったから・・・・」
「・・・・まあ、誘拐みたいでしたけど・・・・」
メビウスはまたぬいぐるみを抱えなおす。タロウも一息ついたみたいだった。二人は並んで寮の方へと歩き出す。
「今日、ゾフィー隊長がアニマル星に連れて行ってくれたんです」
「アニマル星?」
「はい。そこでトータス親子に逢ったんですよ」
「トータス親子だって?!彼らはアニマル星にいたのか」
「はい!とっても元気でした!クイーントータスが赤ちゃんを産んでいたんです。とっても可愛くって・・・・」
「そうか・・・・無事に暮らしていたのか・・・・良かった」
安堵したタロウの笑みに、自然とメビウスも嬉しくなる。
「今度、教官と一緒にアニマル星に行きたいです」
「そうだな。私も彼等に会いたいよ」
「教官がトータス親子に遇った時の話、聞かせてくださいね」
「ああ。
ところでそのぬいぐるみは?」
タロウはメビウスの腕にしっかりと抱かれている亀の親子を指差した。メビウスはぬいぐるみを目の高さまで持ち上げて、タロウに見せた。
「ゾフィー隊長が買ってくれたんです。トータス親子じゃなくてアニマル星の亀だけどって」
(あのクソ兄貴ーーーー!!遠出してプレゼントしてってこれじゃデートじゃないか!!)
403インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/13(火) 08:28:55 ID:WX6b0Ktm0
フィフストレーニング3-28

タロウの握り締めた拳がぶるぶる震える。頭の中ではあらん限りの罵詈雑言と、報復方法が同時進行で浮かんでいた。
やがて公園を抜け、寮の入り口が見えてきた。
「タロウ教官、ありがとうございました」
「散歩にもなってないよ」
苦笑するタロウに、メビウスは「ちょっといいですか?」と背伸びをする。タロウはそれにあわせて少し屈んでやった。
「どうし・・・・?!」
タロウから離れたメビウスが、にこにことタロウを見上げている。
「なっ、なっ、なっ・・・・?!%$#?!」
「『また今度』と『おやすみなさい』の挨拶です。チタマって星で色々な意味で使っているってゾフィー隊長が・・・・タロウ教官?」
メビウスの目の前で、タロウの銀色の部分がみるみる紅く染まっていく。
「ぞ、ゾフィー兄さんが、教えたぁ〜〜〜〜?!」
「はい。あの、教官・・・・?」
メビウスは、角まで真っ赤になったタロウに不安になる。まるで赤一色の人形だ。
(まさか、本当は全然違うんじゃ・・・・)
(チタマ?!そんな星あるか!地球の間違いだろ!!それに、なんてことを・・・・!)
タロウのウルトラ心臓が尋常ではないレベルで早く脈打つ。今ウルトラダイナマイトを使ったら再生なんてできないだろう。
がっしとタロウの手がメビウスの肩を掴んだ。
「ひえっ?!」
「いいかい、メビウス。もう誰にもこんなことしちゃいけないよ?!」
「あ、あの・・・・ひょっとして・・・・」
「今のはラギュ・オ・ラギュラ星だと決闘の申し込みだし、ゼニノハナ星だと借金の催促だし!無闇にやるんじゃない。誤解を招く方が遥かに多いんだ!」
「す、すみません・・・・」
(そうか、それでタロウ教官怒ったんだ・・・・僕にお金なんて借りてないのに催促されて・・・・隊長ってば本当に酷い!!)
俯くメビウスの肩からタロウの手が離れ、代わりに頬を優しく撫でる。そのままそっとメビウスの頬にキスをする。
「た、タロウ教官?!」
「でもいいよ。せっかく君が新しいことを憶えたんだから。ただし、他の人にしちゃダメだぞ。これは私と君だけの挨拶にしよう」
「・・・・はい!」
404インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/13(火) 08:30:18 ID:WX6b0Ktm0
フィフストレーニング3-29

タロウがメビウスの頭を撫でると、メビウスは何故か薄っすらと頬を染めた。
「それじゃ、おやすみなさい」
「おやすみ」
もう一度お互いの頬にキスをすると、メビウスは手を振って寮に駆けていく。
だが、メビウスの姿が見えなくなると、途端にタロウはその場にへたり込んだ。
(な、なんだ?!なんでだ?!なんでこんなに・・・・)
全身がまた真っ赤になって、心臓の鼓動が焼き切れそうな程に強くなっている。
(ほっぺにキスぐらい、地球じゃ普通だ。光太郎と旅した時だってそんなの何度も見てる。日本じゃあまり見なかったけど。
でも、なんだってメビウスにされたぐらいで・・・・くそっ、ゾフィー兄さんが余計なこと教えなければ・・・・!)
猛烈にゾフィーに対して腹が立ってきた。教えたからにはメビウスにしたか、されたか、両方か。
「あんのクソ兄貴、明日憶えてろ・・・・!」
タロウは勢い込んで立ち上がると、寮の方を見上げた。
「絶対に、他の人にしちゃダメだからな・・・・」
暴れそうになる自分の感情に名前をつけられないまま、タロウは呟いた。

            


                              Fin

おまけ
街頭の上には、小さくなったゾフィーが寝そべって下の様子を眺めていた。
「さて、明日が楽しみだな」
405名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 10:24:02 ID:WX6b0Ktm0
ホワイトデー前に一生懸命、終わらせましたよ!

えーと、エースの願いのラストを見て考えたオチ。一ヶ月もかかったよ・・・・orz
タロウ教官、まだメビが女の子として好きかどうかわかっていなかったので、明確にしようとしてみました。
406名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 11:57:47 ID:FEIp800I0
それニコちゃん大王〜〜〜〜>チタマ
407名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 12:11:00 ID:WX6b0Ktm0
>>399 隊長がウルトラ兄弟を手玉にとっているのを見てリュウさんは・・・・w
408名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 12:57:48 ID:b42qgC2c0
ウルトラ族は唇もほっぺも硬そうだからなあ
キスの擬音もチュッじゃなくてコンッとかカチンッとかなキガス
409名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 13:44:02 ID:OEFWx7vpO
ちゅうの瞬間だけ口許が地球人状態なウルトラマンを想像してしまった

それではライダーマンかシルバー仮面(人間大)だな
無精髭とかあったらイヤかも
410名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 14:10:08 ID:e3+Uv8gz0
いや、あれで意外と?やわらかいに違いない・・・
>>408>>409で想像するとタロウ&メビの記念すべき一瞬が・・・orzorzorz
411名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 14:14:54 ID:e3+Uv8gz0
>>401-404
>>408&>>409のあまりのインパクトに忘れてたwww
改めてGJ!タロウ教官にやっといい目?見せてくれてdクス
412名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 21:05:57 ID:HXCCJqdS0
>>408
そっちのほうが萌えないか?
そうか、いや、すまん、駄目かやっぱり...orz
413名無しより愛を込めて:2007/03/13(火) 21:24:09 ID:EroRrr3J0
>>412
いや、同志!そっちの方で萌える自分がここにいるぞ!
コンとかコツンッとか、銀マスクどうしが触れるキスって、個人的にはウルトラ族
っぽくていいと思う。特撮画像で脳内補完した場合は、とくに。
トレーニングのメビはファンタジックで柔らかそうだけど(それはそれで萌えるが)
414名無しより愛をこめて:2007/03/13(火) 21:34:11 ID:jA/qe9/a0
>>412>>413( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ナカマー!
ミライはともかく、メピのほっぺはぷにぷにじゃない方がいい
ちょっと硬くてスベスベなんだ、きっと…と妄想して萌える自分
415名無しより愛を込めて:2007/03/14(水) 00:12:35 ID:RMJKtWjO0
トレーニングおつかれさま!ゾフィー隊長、策士っすね。でも結局いいとこ取りしてる気も。。
タロウガンバレ!ホワイトデーを、しかしメビは知ってるんだろうか??

>>393 遅レスで失礼。一応>>164で、タロウと融合していた地球人として既に面識があることを
書いてますが、何にせよ、膨大な分量をドバドバ書いちゃったのでわかりにくくてすみません。

もう少し先になるが、鎖を再開させるとして、トリップは同じでいいですよね?
幕間は同じトリップで書いちゃったしな。変えた方がいいようだったら言って下さい。
416名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 07:34:41 ID:OdyJ8Fbb0
他のSSでもメビたんのほっぺたつまんでた気がする。
で、ウルトラ族同志だと防護しなくていいからぷにゃってると
脳内補完してた。
あ、緊張具合で硬度が変わると面白いかも〜
417名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 11:03:03 ID:n4M7h2Nc0
ホワイトデー1/3

バレンタインの「チョコレートの日」の続きとして読んでください。

3・14 地球に降り立ったタロウは若き日の光太郎の姿に擬態していた。
タロウ「メビウスはこのフェニックスネストにいるんだな」
       ポン
???「何やってるんだタロウ」
タロウ「うわぎゃぎゃが?!」
びっくりして振り返ると、そこには東光太郎が
光太郎「おまえ、人の姿で何やってんだ」
タロウ「こ、光太郎!いや、ちょっと地球に遊びにきたから・・・光太郎いるかな〜と思って」
光太郎「へえ?じゃあそれは俺へのお土産なんだ?」
       と、ブルーのリボンのついた箱を指す。
タロウ「え?いや、これはその・・・・」
光太郎「はは〜ん、さてはお目当てはミライ君だな?先月のバレンタインにチョコレートを教官に贈ったって嬉しそうに話ししていたから」
タロウ「そ、そうか・・・・メビウスが嬉しそうに私のことを・・・・」
光太郎「そんな脚色はしてないんだが・・・・あと俺の姿はヤメロ。ZATの制服も着るな!」
タロウ「ええーー?!なんで?!」
光太郎「同じ姿した人間が二人いたらおかしいだろ!」
タロウ「同じ姿って、おまえの方が老けて・・・・」
        ドカッ ゲシッ!
光太郎「まだボクシングの練習は続けてるぞ」
タロウ「うう・・・油断した・・・・」
光太郎「まったく、仕方ないな。俺の部屋に来いよ。こっそり会わせるぐらいならしてやるから」
タロウ「本当か?!って、おまえの部屋?!まさか、メビウスを連れ込んであんなこととかこんなこととかしているんじゃないだろうな?!」
光太郎「俺、一応GUYSJAPANの総監なんだけど。そうか、おまえはそんなに不法侵入者にされたいか」
タロウ「滅相もございません」
418名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 11:05:04 ID:n4M7h2Nc0
ホワイトデー2/3
         ブーブー!ブーブー!
       突如鳴り響く緊急警報!
光太郎「なんだ?!」
タロウ「敵かっ?!」
ミサキ「総監、至急ディレクションルームにお願いします」
光太郎「わかった」
タロウ「私も行く!ちょっと体貸してくれ!」
光太郎「どわっ?!おまえ、どさくさに紛れて・・・おいっ!」
       一体化完了
タロウ(これだったら怪しまれずにすむだろう?)
光太郎(おいおい、まさかこの歳で変身するのか?!)
       ともあれディレクションルームへ
サコミズ「総監!」
光太郎「どうしたんだ?宇宙人か?怪獣か?」
テッペイ「いま映します」
       スクリーンに映ったのは、何故かウルトラの父
光太郎・サコミズ・ミライ「「「ぶっ?!」」」
タロウ(と、父さん?!)
ミライ「だ、大隊長・・・どうして地球に・・・・?」

父「ふふふふ・・・・メビウスよ、パパチョコのお礼に、私からスノーマシュマロをプレゼントしよう!!」
       ウルトラアレイが光る! すると晴れた空から雪の様に細かなマシュマロが降ってきた。
ミライ「うわあー、綺麗です〜〜〜!!」
コノミ「凄い、キラキラ光っているのもある!あ、ピンクやブルーとかのもありますよ!」
マリナ「昼間なのにロマンチックじゃないの!」
光太郎・タロウ(一人だけ良いところ持っていきやがった、あのオヤジ・・・・)
サコミズ(これは、報告した方がいいのか・・・・?)
419名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 11:07:42 ID:n4M7h2Nc0
ホワイトデー3/3

  タロウ教官へ
先日はホワイトデーの贈り物、ありがとうございました。光太郎総監からいただいたのですが、できれば直接お会いしたかったです。
リュウさんはキャンディのいっぱい詰まった綺麗な箱を、テッペイさんは兄さん達のフィギア付きのビスケット、ジョージさんはサッカーチョコをくれました。
あと、兄さん達もそれぞれクッキーやチョコレートを贈ってくださいました。
本当にありがとうございます。
大隊長までわざわざ来てくださいました。
ただ・・・・大隊長のスノーマシュマロ、ほとんどが地面に落ちてしまい、衛生上食べられなくなってしまったのが残念です。
GUYSのメンバー総出で回収をして、もったいないけど焼却処分にしました。日ノ出さんという職員の方も、残念がっておられました。
でも、とても綺麗だったので、大隊長にお礼を伝えておいてください。
                                メビウス

母「あなた、ちょっといいかしら?」
420名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 11:44:45 ID:n4M7h2Nc0
>>417 が変な文章に・・・・orz 後でまとめさま、直します・・・・orz
421名無しより愛を込めて:2007/03/14(水) 15:18:45 ID:RMJKtWjO0
ホワイトデーネタ、面白かったww このあとパパンにママンのお仕置きがw
>リュウさんはキャンディのいっぱい詰まった綺麗な箱
リュウ、無骨者のくせに一番センスがいいかも・・・成長しやがったぜ!

タロウが直接会えなかったのは、光太郎の牽制のたまもの?
422萌えないホワイトデー一発ネタ:2007/03/14(水) 20:08:37 ID:N4EZkdZQ0
ミライ「あの〜、ホワイトデーって何なんですか?」
ジョージ「うっ!そいつは痛い質問だ」
リュウ「男にとっては結構きっつい日だぞ。先月のバレンタインデーのお返しに、逆に女子に
プレゼントしなきゃなんないんだから」
テッペイ「そうそう。しかも女の子は暗に『倍返し』を要求してる所ありますからね〜、自分は
コンビニかどっかで買って来た義理チョコ適当に渡しておいて、『お返しはバッグが欲しいなぁ〜』なんて」
リュウ「ケッ、たった4粒ほどのチョコぽっちでそんなんねだられてたまるかってんだ」
マリナ「ちょっとぉ、たった4粒でもコンビニじゃなくてちゃあんとショップで買った高級チョコ
なんだからね!(やっぱ熱血バカには駄菓子もゴディバも同じだったか…)」
リュウ「げ、地獄耳」
コノミ「それにぃ、別にお返しなんて期待してませんよぉ。気持ちですってば。
    ねーミライくん♪」
ミライ「ふぅん、つまり1ヶ月ずれた時間差プレゼント交換、て事ですね」
ジョージ「ま、そーとも言うか」
コノミ「あーっ!強いて言えばぁ、欲しいものがありますぅ」
テッペイ「な、何?」
コノミ「こないだ会った、馬に乗った不思議なおじさん…神戸の牧場で働いてて、そこで売ってる
チーズケーキが、絞りたてのミルクで作ったカマンベールチーズをふんだんに使ってて
すっごく美味しいよ!て言ってたんですぅ♪」
マリナ「うゎあそれ食べてみたい!」
ミライ「(あ、それってセブン兄さんの…)ダメですコノミさん!あのケーキは危険です!」
コノミ「えー、どうして?美味しくないの?」
ミライ「そんな事ないです、すっごく美味しいんです!だから、ついつい差し入れで沢山もらったのを
調子に乗って全部食べちゃって、気がついたらそりゃあもう大変な事に!」

一同「…もしかして、神戸であんなに太ってたのはそのせい?」

423名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 21:47:36 ID:sp0nZoOO0
確かに、チーズケーキは高カロリーだそうだw
424名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 21:58:14 ID:awZ4HvLd0
 禁句をw インフィニティの悪夢w
425214・314  ◆9NWHlAMg2Y :2007/03/14(水) 22:12:11 ID:awZ4HvLd0
 時節ねた投入です。先月投入し損ねたネタと抱き合わせです。
 時節ギャグネタですが、万能の神はいないがベースなので嫌な方はスルーよろしく。
 更に赤塚支店・桃の節句>>262-264 と話が続いています。
426214・314 1/4 ◆9NWHlAMg2Y :2007/03/14(水) 22:14:27 ID:awZ4HvLd0
3月14日 赤塚支店。
赤塚F 「もぉ、どうしてひな祭りに続いて、今回も止めるんですかぁ!」
赤塚M 「当たり前だ! お前は趣味に走りすぎだ!」

2月14日
「女から贈り物をする日って、そりゃ日本だけだぜ、アミーゴ」
 電話の向こうでふう、とため息が聞こえてくる。
「そりゃこっちでも、チョコだけでなくお菓子を送りあう風習はあるけれど、むしろ花だ。
それも男から大切な女性へ送る方がこっちでは主流だ。お前もミライに送ってやれ。
赤い薔薇を一抱えなんてどうだ」
「・・・あのな、ここは日本だ」
「今更、日本の風習にこだわる必要はないだろう。ウルトラマンを嫁さんにしたくせに頭
が固いな。ミライだって風習や慣習なんか、よく分かっていないんじゃないか? 去年の今頃はそれどころじゃなかったから、何にも知らない可能性だってある。だから、むしろ
ミライにはお前から送った方がいいと思うぞ。ミライが知らなかったら、世界ではこうだ! 
で押し通しちまえ。後で知ったミライが自己嫌悪しなくてすむ。ミライがチョコをもって
きたらお互いにプレゼントを贈り合う。グラシアス! 実に美しい光景じゃないか」

ミライ 「バレンタインってなんでしょうか」
赤塚F 「ミライ君は宇宙育ちだから知らないんですね。世界的には愛情を確かめる日、
日本では特に女の子の方から愛を告げる絶好の日ですぅ。人生の先輩から
新婚さんにぃ、初めて迎えるバレンタインにちょっとしたアドバイスですぅ」
ミライ ←正座して清聴。
427214・314 2/4 ◆9NWHlAMg2Y :2007/03/14(水) 22:16:10 ID:awZ4HvLd0
ミライ 「お帰りなさい。どうしたんですか、リュウさん!」
リュウ 「ジョージから言われた。今日は男から送るのが世界の主流だと」
ミライ 「すごく綺麗です。あ、僕も用意しましたよ」
リュウ 「ちゃんと知っていたんだな」←道々恥ずかしかったが、どうでも良くなった。
ミライ 「僕だって勉強しています。お隣さんからも聞きましたし、イサナさんから雑誌
     とか情報誌とか頂いていますから」

お隣赤塚支店。ただいま勤務中。
赤塚F 「いやーん、熱々ですぅ」←交代前なのに盗聴にかぶりつき。
赤塚M 「夕食終わったら、後は任せた」←新婚ぴちぴち生活を聞くのは凄く嫌(独身)。

ミライ 「はい、デザートです。今日の本番になります」
リュウ 「勉強したんだな」
ミライ 「はい。去年はそれどころじゃありませんでいたから、今年はちゃんと出来て
     嬉しいです」

赤塚M・F 去年の怒涛の1年を思うとこの二人の経緯にちょっとしんみり。

428214・314 3/4 ◆9NWHlAMg2Y :2007/03/14(水) 22:17:27 ID:awZ4HvLd0
ミライ 「リュウさん」←上目遣いでにじり寄り。
リュウ 「うん?」
ミライ 「僕のこと食・べ・て(はぁと)」

            間

リュウ 「・・・」←よもやミライからそうくるとは思わなかった。
ミライ 「(身を正して)・・・あの、僕、変なことしました?」
リュウ 「・・・いや(硬直解けた)。お前が勉強熱心なのはよぉく分かった。だけどな、
     あんま慣れんことは無理して実行する必要はねぇぞ」
ミライ 「あ、はい。・・・なんか難しいですね。週刊誌みたいにうまく行きませんね」
リュウ 「いや、あれは極端だと思うぞ」
ミライ 「そうなんですか?」
リュウ 「多分な・・・あんま真に受けんな(イサナの野郎・・・裏でナニ教えてやがる!)」

赤塚F 「いやーん、なんでそこで止まっちゃうんですかぁ!」←真犯人。
赤塚M 「orz」←心構えが出来ていないところで新婚プチダイナマイト食らった独身。

再び3月14日
赤塚F 「だからってもぉ、ひどぉい。2度もとめるなんてぇ」
赤塚M 「・・・ひな祭りん時、お前、ナニ準備していた」
赤塚F 「3日は桃色、今回は白を物色したのにぃ」←ぴらっと広げた問題のブツの色違い。
赤塚M 「・・・orz(また買ったのかよ)いい加減、あの夫婦をほっといてやれ。今時珍しい
     うぶな純愛カップルなんだから」
赤塚F 「えー、でもぉ、私だけを止めたってぇ、片手落ちですよぉ」
429214・314 4/4 ◆9NWHlAMg2Y :2007/03/14(水) 22:19:04 ID:awZ4HvLd0
ミライ 「リュウさん、そういえばイサナ隊長からお荷物届いています」
リュウ 「イサナから?」←箱を開く。
ミライ 「あ、電話」

            間

ミライ 「あ、イサナさん。はい、届いています。え?・・・夜に使ってね?」
リュウ 「イサナぁぁぁ!」←電話奪う。
イサナ 「いやー、遅ればせながら結婚祝いに。ホワイトディに合わせて白ね」
ミライ 「わー、綺麗です。向こうが透けて見えますね」←広げてる。
リュウ 「てめぇ、ナニ考えてやがる!」
イサナ 「新婚と言ったらやっぱりあれでしょ。男のロマンス、すけすけエプロン」

赤塚F 「先に越されちゃったじゃないですかぁ!」←超悔しい。
赤塚M 「・・・orz」

ミライ 「??? 一体何を怒っているんですか? リュウさん」
リュウ 「いいから、そんなもん、とっとと捨てろ!」
ミライ 「何故ですか? 確かにこれは実用性に乏しいですけど」
リュウ 「(一瞬言葉に詰まるが)いいから捨てろ!」

赤塚F 「こうなったらぁ、絶対リベンジですぅ。カラーレンジャーの名に賭けて!」
赤塚M 「かけんでいいわ!」

 4.14オレンジディに続く・・・かな?
430名無しより愛をこめて:2007/03/14(水) 22:21:01 ID:oc+xDb660
赤塚Mが可愛くなってきました(どうしよう)。
しかしこう、ミライはどこまでいってもミライですなぁ。
431名無しより愛を込めて:2007/03/15(木) 01:08:21 ID:uyKI+Jt90
>>422 セブン兄さんのチーズケーキ罪つくりっww これに北斗兄さんのごちそーが加わったらもう。。。
>>426-429
定番になりつつありますね、このノリ。。(笑)
ミライ、いいこと教えよっか、透けエプはメビウスに変身してから使うといいんじゃないーー? 
こ、こら、リュウ、それでもまだ赤面するのかっwwウワヤメロナニヲスル
432鎖の紙反古 ◆smJNL9GJT. :2007/03/15(木) 03:45:07 ID:uyKI+Jt90
ホワイトデー済んでしまいましたが、便乗。桃の節句に続き、鎖ネタです。
ただ、かなりシリアスで、しかもメビウスが出ない。ごめんなさい。
ほんとはメビ編を入れるつもりでしたが。。世界観はつながっているので
お許しを。。(金的の話のあとに来る感じ)5レス分、いやな方はスルーでお願いします。トリップは闇と同じです。
433春雪の鎖1/5 ◆smJNL9GJT. :2007/03/15(木) 03:46:30 ID:uyKI+Jt90
Scene1

3月14日は、ホワイトデー。女性ファンから殺到した明日人へのバレンタイン・
チョコに、というよりはその気持ちに対する感謝を込めたコンサートが、無事に終わる。
第二部、夜の部の終了後に、明日人の楽屋を一人の客人が訪れた。

「ご無沙汰しています」「元気そうだな。なかなか人気がでているようじゃないか」
「ええ、おかげさまでぼちぼちと」「ゲンもよく歌っていたっけな。きみもいい声をして
いる」「恐れ入ります」「ゲンは」「兄は、残念ながら今日は不在です。たぶん、一日
帰ってこられないと思います」「そうか。それは残念だな」「でも兄はモロボシさんが、
今日あたりこちらにいらっしゃるだろう、とは言っていました。宜しくお伝えしてくれと」
「…そうか」「近々、光の国へお戻りになるそうですね」「うん、そういうことだ。いろい
ろ、聞いているんだな」「われわれも、状況に応じてどう動くかを考えるつもりです」
「うん、そうしてくれ。メビウスのことが気になる。せっかく落ち着いてきているのに、
気の毒ではあるが」「いいえ。どう動いても、我々の基盤は、ここです。おそらく、それは
今後も、決して変わることはないと思います」「そうか」「ところでモロボシさん。兄が、
お会いできない代わりに、あなたに会わせたい人をここへ招んだんだそうです」「私に会わ
せたい人?」「ええ。せっかくですから、お会いになって行かれたら如何ですか。このあと、
会員制の第三部をこぢんまりやるんですが、そこに、その人も来ることになっているんで
す。ぜひ、いらしてください」
434春雪の鎖2/5 ◆smJNL9GJT. :2007/03/15(木) 03:48:13 ID:uyKI+Jt90
 小さなバーで。丸テーブルが、七つほど。照明は暗く、落ち着いた雰囲気。グラスを
傾けたり、上品に語らったりしている、シックな服装の男女。ダンは驚く。そのほとんど
が、地球人ではない。ケンタウロス星人、アルファ星人、ミラクル星人、小熊座人、白鳥
座61番星雲人。コロ星人やファントン星人までいる。男女ともに異星人であるカップル
もあれば、一方だけが地球人であるカップルもある。
…地球には、我々が考えている以上にたくさんの、宇宙からの移民たちが生活している。
彼らの中には、初めは侵略目的で来たものもある。だけど、地球で過ごすうちに、地球人
が好きになってここで住むようになった。彼らは本来の姿では過ごさない。本来の姿では、
地球人はまだまだ受け入れてはくれないから。また彼ら自身、その擬態後の自身の地球人
の姿にも、愛着するようになっているから。それでも、ときどきは、思い出す。星の記憶。
雪が舞っているのに、その向こうにまだ星の明かりも見えるような、こんな夜には。…
ダンの胸に響く、明日人のテレパシー。会場のはじに、小さなスポットライトのあたる、
スツールがぽつんとひとつ。そこに坐った明日人が、常よりも低く、抑制の利いた、
しかし深みのある暖かな声で歌う。
 
ダンは空いていた席の一つに腰をおろす。隣にいた、銀の肌に緑の目の青年が会釈した。
会釈を返してはっとする。きみは。青年は微笑みながら、傍らにいた和服姿の初老の女性
と席を入れ替わり、再び会釈して席を立っていく。その女性が誰なのか、ダンにはもうわ
かっていた。
…兄は、あれからずっと、あのお二人の消息を把握してきたんだそうです。いつか、
あなたにご報告するつもりだったそうですけど、彼女が時期が来るまではまだとそれを
止めていたと。あれから三十年ばかりたちました。息子さんはこの間、恒点観測員の資格
を取られたそうです。すっかり落ち着きましたって。彼女は、あなたの同僚その人ではな
いんです。その人が、ずっとずっと抱き続けていた思いが、凝って、別次元で生じてしま
った、いわばシャドウなんです。でも、シャドウでも、実体化してしまった以上は生身だ
し、感情もあるんですよ。…
435春雪の鎖3/5 ◆smJNL9GJT. :2007/03/15(木) 03:50:42 ID:uyKI+Jt90
 私は、アンヌではありません。アンヌではないんです。でも、どんなに、アンヌになり
たかったでしょう。あなたに、アンヌ、と呼ばれて、どんなに嬉しかったでしょう。でも、
それは私に許された名前では、なかったのです。あの子を、あなたと同じ、恒点観測員と
なるまでに、なんとか育て上げて、ようやく、あなたに会うことを自分に許す気持ちにな
りました。あなたが、許して下さるかどうかは分かりませんけれど。…お会いしたかったんです、本当は、ずっと。
 アンヌ。ダンは微笑む。…地球では、いや日本では、かな。今日は、ホワイトデーで、
男が女性からもらった思いに自分の思いを返す日だそうだ。私は、かつて地球を去った
とき、きみから、この上なく尊い、熱い思いをもらった。それが、今日まで私をどんなに
支えてきたか、どんなに切なくさせてきたか、とても一言ではいえない。アンヌ。目の前
のきみが、あの、あのときのアンヌの思いの凝って生まれた存在なのなら、きみは私自身
だ。ずっと私が、私の胸の中に暖め続けてきた、私自身の思いだ。ずっと、会いたかった。
許して欲しかったんだ、きみに。会いに来てくれてありがとう、アンヌ。

 外は柔らかな春の雪。白い、白い日の終わりに、静かに響く、遠い星の歌。
436春雪の鎖4/5 ◆smJNL9GJT. :2007/03/15(木) 03:53:40 ID:uyKI+Jt90
Scene2

白い日の朝。
暖冬のまま春になるかと思われた弥生の初めに、日本列島は突然寒波に見舞われた。
普段なら暖かいはずのこんな南の海の孤島にまで、細かい雪が舞う。寄せる波濤のしぶき
と雪と、見た目にはどちらがどちらなのか分からない。激しく吹く風。これも春一番なの
か。
 風と波の音を聞きながら、海に臨む石碑の前にたたずむ男一人。今日は雲水の姿ではな
く、近頃着用の多いスーツでもなく、着慣れた道着でもなく、ざっくりとした白いセータ
ーに黒いズボン。強い風になぶられている短い髪は、ほんの少し白いものが混じっている
が、まだ黒々としている。遠目には、青年の黒髪に白い細かい雪が吹き付けているだけと
も見える若々しさだが、吹き乱れされる髪と対照的に風にも雪にもびくともしない、泰然
としたその背中が醸し出すオーラは、じっくりといぶされた良質の銀だけが放つ硬質の落
ち着きによるものだった。
 おおとりゲンは呼びかける。石碑のたたずむこの島の、人一人いない静かな大地のどこ
かに、ひっそりと咲く花となって、可憐に鳴く鳥となって、穏やかにささやく梢となって、
帰ってきているに違いない、恋人の魂に向かって。なぜなら、ここは彼女のふるさとだか
ら。…律儀ね、おおとりさんたら。柔らかく微笑む声が聞こえた。ゲンの口元が少しだけ
ほころぶ。…一度も、返せないまま、きみと別れてしまったから、な。
…やあね、おじさんくさい。立派なおじさんさ、もう。あれから三十年たった。でも
それは地球年齢で、ほんとのあなたはもっと若い、青年の姿にもなれるはず。知っていた
のか。…前に、言わなかった?宇宙人でもかまわない、おおとりさんはおおとりさんだか
らと。地球を侵略する、悪い宇宙人でもかまわない、とすら、きみは言ったね。そうよ、
私を愛してくれるなら。悪い宇宙人だってかまわないわ。今でも変わっていない、その気
持ち。…きみは、地球とウルトラの星が衝突しそうになったとき、ずっと俺を看病して
くれた。地球が滅びてしまうのなら、俺のそばにいたいと言ってくれたと、あとで隊長
から聞いた。それなのに、俺は、きみと最後まで、いてやれなかった。きみを、むざむざ
と死なせてしまった!
437春雪の鎖5/5 ◆smJNL9GJT. :2007/03/15(木) 03:56:09 ID:uyKI+Jt90
いいのよ、おおとりさん。あなたのせいじゃない。それにどっちみち私の方が先に死ん
でいたでしょう、あなたの寿命は、私たちよりもずっと長いのだもの。だったら、こうし
て魂だけになって、ずっとあなたのそばにいられるのは、悪いことじゃない。
…百子さん。なあに? 俺がMACに入る前、きみとつきあい始めたばかりのときだ。
俺はまだ地球のことをよく知らなくて、きみが二月にくれたチョコレートの意味がさっぱ
り分からなかった。それで、翌月にも何にもしないできみをむくれさせた。あとで知って、
来年は必ず、今年の分まで大盤振る舞いをするって約束したよな。…そうだったかしら。
そうさ。だが次の年、一月の終わりに円盤生物が来襲して、全てが終わった。月々の
行事なんて言っていられない毎日が続いて、失念していたけれど。とうとう一度も、返せ
なかった。俺は、約束を、果たせなかった。…気にしないで。バレンタインのお返しなん
てなくても、私にはちゃんと分かっていたもの。あなたがどんなに私を愛してくれている
か。どんなに私を大切に思ってくれているか。今だってそう。あなたは私を、心から愛し
てくれている。三十年たっても、私のこと忘れずに、こんな日に、ここまで来てくれた。
結局無粋なままで三十年、生きてきた。俺が身につけたことと言えば、武道のほかは、
これだけだ。…そんなに可笑しいかな?似合わないと言われるのには慣れた。だけど、味
は保証するぞ。…ええ、ほんとうに美味しい。そして可笑しい。でも、可笑しいのはあな
たじゃなくて、私の涙が止まらないことよ。魂だけになったはずなのに、どうしてこんな
に可笑しいの。どうしてこんなに涙が出るの。

白い雪の降りしきる白い日の白昼。白い服の男が、一人坐って白い波濤を眺めている。
まといつく雪と風に、楽しそうに笑う乙女の姿が、ときおり幻のようにはためく春の孤島。

                                   Fin
438名無しより愛をこめて:2007/03/15(木) 09:43:54 ID:DmNpPR5v0
>>429
イサナ、そんなもんどこで買ったorzorz平気な顔して店員さんに相談してそうだw
ところで、オレンジデイとは??
439名無しより愛をこめて:2007/03/15(木) 12:27:52 ID:uzA5rghx0
>>鎖 涙腺をあまり刺激しないでください・・・・特にゲンと百子さんがーーー(号泣)
440名無しより愛をこめて:2007/03/15(木) 12:33:38 ID:uzA5rghx0
>>422 「あの人にあやまれ!」と隊長に怒られたあの件ですね?

>>万能 イサナ隊長と赤塚Fがタッグ組んだら無敵だろうな。
しかし正座して清聴し、迫った後もすぐに姿勢が直るんだから、まだわかってないのね、ミライ・・・・。
441名無しより愛をこめて:2007/03/15(木) 21:25:44 ID:CVlAho330
>>440
 絶対分かってませんw 普通よ普通、と言われて
 一生懸命『普通』を真似している段階です。
 ・・・分かる日が来るのか? orz

>>429
 ええ、絶対に、つか、いっそ爽やかに満面の笑みで店員に相談してますな。
 新婚さんへの贈り物とか言って。

 オレンジデイとは
 はーい、赤塚Fより回答していただきます。
 4月14日、愛媛県の柑橘類生産農家が1994年に日本記念日協会に登録した記念日ですぅ。
 欧米では、オレンジは多産のシンボルとされ、新婚のカップルなどに贈られるのですぅ。
 これに目を付けた様々な団体や企業が、2月14日のバレンタインデー、3月14日のホワイトデーに続き
 2人の愛を確かなものにする日としましたぁ。(いやーん)
 オレンジまたはオレンジ色のプレゼントを持って相手を訪問する日としてキャンペーンを行っておりまぁす。
 バレンタインデーやホワイトデーのようななじみはほとんどありませんがぁ
 2006年に東京ディズニーランドがこの日のキャンペーンを行うなどしていることから
 以前よりは認知度は上がっているのではないでしょうかぁ。
 いわば商魂の生んだ記念日ですけどぉ、恋人たちが愛を深めるのに何の問題があるでしょうかぁ。
 次は絶対にリベンジです!
 時節ネタとして、皆様もがんばってくださぁい(はぁと)
442名無しより愛をこめて:2007/03/15(木) 21:36:26 ID:CVlAho330
 ゲンと百子さーん(泣)
 実らせてやりたかったカップルだったのう・・・。

 いや、ダンとアンヌもそうだけど、ウルトラと地球人って・・・(涙)
443名無しより愛をこめて:2007/03/15(木) 22:04:49 ID:OS9XaWth0
>春雪の鎖
マジに涙出た……
いつもながらGJ!

ここのスレ、鎖に限らず、レオ兄弟がすげえいいな
444名無しより愛をこめて:2007/03/16(金) 00:27:18 ID:/fthh82J0
 
445まとめ2号 業務連絡:2007/03/16(金) 01:02:58 ID:vV4qJqLr0
移転前のサイトを消します。
今後の一気読みは、>>298でよろしくお願いします。
446名無しより愛をこめて:2007/03/16(金) 14:47:23 ID:1dIRVBd30
>>445
乙です!いつもありがとうございます。
447名無しより愛をこめて:2007/03/16(金) 22:51:21 ID:a8/ghm+V0
>>431
セブン兄さんのチーズケーキ
A兄さんのフルコース
レオ兄さんのサンドイッチ

食べられるものなら、メタボリックの恐怖にだって負けないのにwww
448名無しより愛を込めて:2007/03/16(金) 23:37:29 ID:tdgd0urk0
>>445 ありがとうございます!
つるされた。。シリーズが更新されて堪能しています。ミスタ・アストラが素敵です。

>>447  
(ぽそっとバラす)>>443でゲンさんが持っていったのは、マシュマロサンドイッチです。
これだけは食べられるのは一人だけなんだそうです。

449名無しより愛をこめて:2007/03/17(土) 00:13:09 ID:XM0NLyXX0
>>448
ホワイトデーに手作りのマシュマロサンドイッチ!!
百子さんが生きていたら、本当に微笑ましい日になっただろうに……
ああ、また泣けてきた。

でもなーやっぱり食べてみたいなー
(感傷に浸るのか食い物の妄想するのかどっちかにしろと我ながらorz)
450まとめ2号 業務連絡:2007/03/17(土) 12:54:22 ID:yknsgVbj0
「フィフストレーニング3」と「闇の呼び声」UPしました。
最後まで一気に堪能できます。
451名無しより愛を込めて:2007/03/17(土) 18:00:20 ID:HLEplcPY0
トリピー!ああトリピー!!!(号泣)
452名無しより愛を込めて:2007/03/17(土) 18:37:18 ID:HLEplcPY0
↑スンマセン。でも実況ではないです。
>>450 更新乙です。サイト自体も微妙に整理されてていい感じです。
ありがとう!!
453名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 02:07:33 ID:g0m0p3eiO
避難所のお絵描き掲示板を、久しぶりに覗いての苦言。
もうこれ以上、いつ終わるかもわからないような長編の新作投下は、
このスレ(というか板)ではご遠慮いただきたい。

長くなるのがわかっているなら、ふわふわの人みたいにまとめサイトに
データまとめて送るか、もう同人サイト立ち上げてそこでやればいい。

言っておくが、私は長編が嫌いな訳ではない。
極力スルーせず読んでいるし、好きな話もあるが、今のこの流れは
2ちゃんの特撮板の範疇を超えていると思うから。
トリップつけてるんだからスルーすればいい、で済む問題ではない。

作家さん達も、それだけ文才に恵まれてるのだから、
数レスで完結出来る話を書く努力をして欲しい。
454名無しより愛を込めて:2007/03/18(日) 02:39:07 ID:/t+rV6An0
長編についての苦言は理解できるけど、もうすぐ本編は終わるし、
終わったら、そのあとまた考えるというのではだめ?
本編が終わったらまたどこかでやりたいねって相談してて、
ここじゃない場所での検討もでてはいますよ。
とりあえず、今ここでやっているものについては、ここで終わらせて
くれという要望があり、それにこたえるべく、しかも本編が終わるま
でに終わらせるべく、考えてきたつもりだけど。
あと、2週間でしょう。せめてそのくらい大目に見てくれませんか。
455名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 07:00:22 ID:YZLu9WXZO
>>453
なぜ今更そんな話をするのですか…
読み手も書き手も中途半端は嫌だから、せめて現行のシリーズだけでも
本編終了までに終わらせる。そのかわりトリップつける。
それで決着がついたのではなかったですか?
やっと波風おさまって落ち着いて読めるようになったと思ったのに…
どの話も終盤ですし、あと二週間じゃないですか。最後までちゃんと読みたいです。
456名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 11:48:32 ID:pb+pPzIH0
◆日本はやり直しのきかない国◆
・年齢差別を国が認めているため倒産、リストラにあうとやり直しが難しく
 失業給付期間が異常に短くおおむね3〜6ヶ月なので(外国の場合は2、3年)
 なかなか次の仕事が見つからず借金地獄に陥りやすい。
・長時間労働、サービス残業などが横行しこれを摘発してもなぜか罰則を適用
 しないという企業に甘い社会。よって過労死、ノイローゼ者が続出。
・仕事を持たないとアパートが借りられない、しかし住所がないと仕事を
 得られない。さらに保証人が必要で敷金、礼金と不条理なものがまかり
 通っているので一度ホームレスになると復帰は困難。
・一極集中なので不況になればなるほど仕事を求めて都会に人が出て来る
 ので地価が下がっても需要があるので家賃が下がらない --> 生活苦
  一度落ちると這い上がることは至難のワザ
*****************************
どんな生き物も「自らが生きるための社会構造」を作っているのに
この国の構造は、人間にもっとも向いていない。
「生きるな生きるな」と言い続けているような社会になったのも全部ヒルカワのせい
*****************************
457名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 15:08:17 ID:hztf9KJq0
長編についての議論は
連絡板の「絵描き掲示板からから移動してきました」スレで。
458名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 15:47:15 ID:GISky+Qh0
流れ読まずに読み切り投下。
ネタは四月の最初の日。
構成上、レス数が多いのは平にご容赦。

TV本編の流れを見ると。
そのまま残留しそうな勢いですが。
あくまでパラレルって事で。
459卯月の愚者 1/8:2007/03/18(日) 15:48:06 ID:GISky+Qh0
昔から。嘘を付くのは苦手だった。
泣き顔を見るのは嫌いだったから。
――――――――――――――――――――――――――――

『昔、一部の国では新年が3月下旬だったんですよ』
怪獣博士の得意げな声。
夕食時。いつものように不思議ちゃんの質問に答えて。

『で、春のお祭りが大体一週間続いて、丁度最終日が4月の頭』
『ふ〜ん。それで、何でそこからそんな風習が出来ちゃった訳?』
『ある年、そこの王様が“新年は1月1日とする”って言い出して。
 今までの風習を変えたくなかった人たちが、“嘘の新年”と言って、
 その時期にお祭りを開催したんです』
『だからって、それじゃ理由としては弱くないか?』
『そうですね、それだけでしたら。
 ……それに腹を立てた王様が、なんと開催者達を処刑しちゃったんです』
『それって、最低……』
『当然、他の人達は怒りました。
 そしてそのことを忘れないように、
 その日に“嘘の新年”を祝っていったのが、始まりなんだそうです』
『なんだか、かわいそうな記念日ですよね〜。子供達にはお話出来ないかなぁ』
460卯月の愚者 2/8:2007/03/18(日) 15:48:48 ID:GISky+Qh0
大きな戦いが終わって。
丁度赴任期間も終わって。
あいつは数日後に帰ることになった。

その翌日から。
あいつはひたすら外出し始めた。ネストの外を見て歩きたかったらしい。
非番な奴が順次それに付き合って。
夕食時には、報告タイム。

地獄耳と繁華街でウィンドウショッピング。
ストライカーと競技場のハシゴ。
ウサギちゃんと動物園。
怪獣博士と……怪獣博。夏でもねぇのに。

そして。俺の非番は最終日。

さて、今日はどこに行くんだ?
俺には思いつかねぇけど。やっぱどっか有名な所か?
「公園に行きませんか。サンドイッチ作ったんです」
461卯月の愚者 3/8:2007/03/18(日) 15:49:18 ID:GISky+Qh0
「やっぱり、いつ来ても眺めがいいですね」
初めてこいつと出会った公園。
天気は快晴。故郷の星もはっきり見える。

開けたバスケットの中には。
タマゴサンドにツナサンド。ハムやらトマトやらチキンやら。
なんか、前とはうって代わって豪勢だよな。
……しかし。タコさんとカニさんウィンナーはどうかと思うがよ。
「頑張って作ってみました。最後ですし」

最後、なんだよな。
思わずサンドイッチを選ぶ手が止まる。
「どうかしましたか? 嫌いなものでもありましたか?」
鋭いんだか、鈍いんだか。

あの時は一口しか喰えなかったそれらを。
今度は飽きるまでほおばる。
「まるで子供みたいですね。……あ、ほっぺた、付いてます」
にこにこしながら、顔をのぞき込むんじゃねぇ。頬をつっつくな。
462卯月の愚者 4/8:2007/03/18(日) 15:49:48 ID:GISky+Qh0
満面の笑顔で。今まで観てきた所を語る不思議ちゃん。
単なるお散歩にでも出てるかの様に。
まるで“次がある”かの様に。

今まで事ある毎に泣いていた癖に。
悔しい時も。嬉しい時も。悲しい時も。
……最後なのに。何で泣かねぇ?

嘘を付くのは苦手だった。
泣き顔を見るのは嫌いだった。
でも。今日は。
「……今日、何の日だ」

「……えっ? えっと……四月の」
「今から言う事、よっく聞けよ」
一拍おいて。大きく深呼吸して。
思いっきり。腹に力を込めて。

『お前なんか、大嫌いだっ』
463卯月の愚者 5/8:2007/03/18(日) 15:50:13 ID:GISky+Qh0
「さっさと、光の国に帰っちまえ」
帰るな。ずっとここに居ろ。
「もう二度と戻って来んな」
すぐ戻ってこい。明日でも明後日でも。
「もう……顔も見たくねぇよ」
出来る事なら。ずっとこのままでいられたら。

……俺の涙腺が緩んでどうする。
下を向いて。こぼれ落ちないように目を閉じる。

幾ばくかの間の後。
『僕も、貴方が、大嫌いです』
絞り出す様に。一区切りずつ。
思わず顔を上げる。

さっきまでの笑顔が。
見事なまでに泣き顔に変わっていた。

「今すぐに、でも、帰りたいです。
 もう、二度と、帰って、きません。
 ……会う気も、ありません」
ぽろぽろと。言葉と一緒に。雫を落とし。
そして沈黙。
464卯月の愚者 6/8:2007/03/18(日) 15:50:40 ID:GISky+Qh0
「……ごめんなさい」
何で謝る。
「嘘です。もう言いません」
そういう日だろ、今日は。

言い出したのは、俺なのに。
謝んなきゃなんねぇのは、こっちなのに。
……やっぱりこいつは不思議ちゃんだ。

ぽろぽろと泣きながら。
おそるおそる手を廻してくる。
同じ様に手を廻し。力を入れて引き寄せ。
おでこが当たって。目線を合わせて。

胸の内で大きく息を吸って。吐いて。また吸って。吐いて。
……よし、覚悟完了。
そして。衝撃の衝突の寸前。

『ピピッ』

不思議ちゃんの胸ポケットからの音。MDの着信音。
「……隊長からです」
『やあ、お邪魔だったかな?』
ああ、思いっきりな。
465卯月の愚者 7/8:2007/03/18(日) 15:51:04 ID:GISky+Qh0
『上を見てごらん』
上? 空か?
「……あ、ウルトラサイン」
「……なんて書いてあるんだ?」

「えっと……。
 『次代赴任要員準備不足の為、汝の赴任期間を延長とする。
  延長期間は数年の予定。詳細は追って連絡。警備隊大隊長』
 だそうです」
ってことは……。
「僕、今日、帰らなくてもいいんですね!」
マジ、かよ。
『いくらこんな日でも、彼等が嘘付くわけないでしょ?』

『フェリシダーデスだな! アミーゴ』
『早く帰って来てね〜。特製カレーが待ってるよ〜』
『今度はちゃんと買い物しようね』
『怪獣博、今度の新作ムービング展示はバードンVSメビウスだそうですよ』
それは単なるお前の趣味だろが、怪獣博士。

『嘘の日に新しい門出。これぞ“嘘の新年”って所だね』
466卯月の愚者 8/8:2007/03/18(日) 15:51:31 ID:GISky+Qh0
あの時は、“かわいそうな事の記念日”なんてことも言われてた。
だけど。“嬉しい事の記念日”ってのでもいいじゃねぇか。なあ。

「じゃあ、帰りましょうか。カレーが待ってます」
うお。色気より食い気に変わりやがった。
さっきまでの雰囲気は何だったんだ。

「お前、変わり身早過ぎ」
頭をぺしっと軽く叩く。
「痛いじゃないですかぁ」
涙目。でも笑いながら。

空のバスケットを持って。空いてる手を繋いで。
ゆっくりと歩いて。家に帰ろう。
そして。また来よう。……次こそきっと。

――――――――――――――――――――――――――――
嘘を付くのはやっぱり苦手だ。
泣き顔を見るのはとても嫌いだ。
泣き顔より、笑顔の方がいいに決まってる。
“次がある”んだしな。
467卯月の愚者 おまけ:2007/03/18(日) 15:51:54 ID:GISky+Qh0
公園から帰ってきて。夕食後のディレクションルームにて。

リュウ 「そういや、お前、怪獣博だかにも行ったんだっけか」
ミライ 「あ、はい。テッペイさんに連れて行って頂きました」
リュウ 「……確か、怪獣博って普通夏休みの時だけじゃ無かったか?」
テッペイ「ああ、確かに今までは夏の時期にしか開催されていませんでしたね。
     ですが、今年は実物が来襲したものすから、出現した怪獣を片端から
     追加展示していった所、連日大盛況になったんですよ。
     で、期間延長を繰り返して、今もやっているんです」
サコミズ「因みに、毎年の怪獣博は、GUYSが主催なんだよ」
マリナ 「でも、そうなると殆ど常設よねぇ」
テッペイ「ええ。実際の所、常設の話も出てきてますよ。貴重な収入源ですから」
ジョージ「こればっかりは、怪獣にグラシアスか」
リュウ 「怪獣博で怪獣退治費用稼ぎかよ……」
テッペイ「別に怪獣ばかりを展示してある訳じゃありませんし。
     当然、歴代ウルトラマンの彫像なんかも展示してあります。
     メビウスもありましたよ。各チェンジモード解説付きで」
ミライ 「兄さん達の姿、とっても凛々しかったです」
コノミ 「他には、どんなものがあったんです? かわいいものとかありました?」
テッペイ「そういえば、シーピン929を配ってたりもしてました。
     マケットデータを使った、模擬バトルなんかも人だかりでしたし。
     あ、後、動く怪獣模型なんかも多数展示されていましたね。
     すごかったですよ。思わず見入っちゃいました。
     Uキラーザウルスの『戦慄の奇岩』とか!
     アリゲラVSシーウィンガー『激突!海上の死闘!』とか!
     エンペラ星人&インペライザー13体の『皇帝と円卓の騎士』とか!
     ああっ! 早く新作も見たいなぁっ!
     ……って、あれ、皆さん、どこいっちゃったんですかぁ?」
468名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 15:57:39 ID:hztf9KJq0
>>459-467GJ〜!!
>「じゃあ、帰りましょうか。カレーが待ってます」
ウケタw
怪獣博は俺も行ってみたいぞ
469名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 16:05:34 ID:CDKfnL2N0
>>459-467

「怪獣博で怪獣退治費用稼ぎかよ・・・」
確かに、現場の人間からしたら、ちょっと複雑?(笑)
470名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 16:18:46 ID:/t+rV6An0
>>459-467 GJ! 
>>462-463のリュウの台詞がすごく胸に来た。。。
隊長の「お邪魔」は確信犯だと見たぞwあちらとこちらの連携フォローがいいね。
471名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 16:34:43 ID:hPShtZCI0
ネタに半分ネタで返すわけだが……
費用稼ぎというより、むしろ広報が本来の目的くさい気も。
怪獣博で出動にかかるお金だと、ジェット燃料代くらいしか出ない気がする。
一回の出動で何バーレルくらい喰うのかなぁ。

ガンウインガー壊したらかりに100億くらいとして、
(参考・1985年の自衛隊のF15購入価格が一機109億円。ただしボラれての価格らしい)
スペシウム弾頭弾の制御システムや筐体の費用は2000万くらいか?
(中身はメテオールなのでお金のつけようがない。空対空ミサイルのそれなりのって一発これくらいだっけ?)
特にデータがあるわけではないから推測にすぎないが、
30話のインペライザー戦リベンジで使った金だけで百億以上かかってないか?
(GUYS SPACYが未使用の爆弾をちゃんと回収できたとして)

金かかるよGUYSの戦い。
変身するだけで戦えるウルトラマンはすげえ orz
472名無しより愛をこめて:2007/03/18(日) 16:55:01 ID:GISky+Qh0
まあ、本来は本部から出てるんでしょうね>費用
というか、展示品追加でさらに金喰ってますがなにか(笑)
他の費用稼ぎ……雪像作り?(まて

>変身するだけで戦えるウルトラマンはすげえ orz
カレー与えておけばOKだし。安上がりだ(笑)
473The Hanged Man.:2007/03/18(日) 21:48:30 ID:nLZqVytN0
ttp://park10.wakwak.com/~kaei/mebi/hanged2_3-633.html
まとめ2号さまにデータ送付してまとめて頂きました。
パスは作品倉庫のものでお願いします。
これで60話まで(もうご存知みたいですが...orzマヌケ)、残りは30話。
お手数ですがもう一度お世話になります。
474名無しより愛をこめて:2007/03/19(月) 00:52:45 ID:DgWclKVl0
>>472
>>カレー与えておけばOKだし。安上がりだ(笑)

リュウさんも与えてください。
人間大好き、すきすき光線全開のいたいけなワンコには飼い主が必要です。
475まとめ2号 業務連絡:2007/03/19(月) 02:00:05 ID:1XC+JbAu0
「ヤプール文化放送」まとまりました
476インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/19(月) 10:32:42 ID:nnRy1Rxm0
シックス(ラスト)イグニッション1

タロウは古いペンをくるりと回し、明日からの授業内容を書き込んでいた。だがホログラフ文字は何度も消され、時間割と進行予定はちっとも埋まっていない。
明日から最上級生が帰ってくるが、今考えているのは去年教えたメビウスのことだった。
最上級生を担当する自分が、一年生から面倒を見た唯一の生徒。ちょっと変わったところはあるものの、一生懸命な良い生徒だった。
小さかった背もあっという間に標準ぐらいになり、苦手な光線技は得意分野になるまで頑張った。
(大丈夫かなぁ?スタミナが足りないから、本隊の訓練についていけるかなぁ?もう配属先、決まったかなぁ・・・・?)
  バターン!!
「うわっ?!」
突然の音に、タロウは椅子から転がり落ちた。
「な、何だ?!」
「タロウ教官!」
そのままの体勢で扉の方に目を向けると、息を弾ませたメビウスが立っていた。
「め、メビウス?!」
「教官、大丈夫ですかっ?!」
すぐに慌てたメビウスが駆け寄ってくる。しゃがんでタロウの体を支えてくれたが、その時にはタロウは自分で姿勢を整えていた。
「ああ、大丈夫だ。それより、どうしたんだ?ノックもしないなんて珍しいな」
「わあっ、す、すみません!」
メビウスは顔を紅くすると、開けっ放しのドアを閉めて戻ってきた。
「それで?もう卒業したのにどうしたんだ?」
立ち上がったタロウは、まだ少しわたわたしているメビウスを見下ろした。
「あ、はい!配属先が決まったので、報告をしようかなと・・・・」
「そうか。もう決まったのか。それで?何処に行くんだ?」
尻すぼみに声の小さくなったメビウスは、タロウの問いに表情を輝かせて顔をあげた。
「はい、地球です!!」
477インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/19(月) 10:38:20 ID:nnRy1Rxm0
シックス(ラスト)イグニッション2

「地球?!」
「はい!」
何時ものメビウスらしからぬ興奮はその為か。入学した当初から地球の話をずっとタロウから聞かされて、兄弟達の活躍も多くが地球。
そして何よりも、太古の光の国の姿に近いとして知られる惑星。
「あ、でも、最近は怪獣とか侵略者とかいない様なので、研修みたいな形らしいです。もちろん、何かあったら戦います!」
メビウスは拳を握り締めて力説した。
「そうか。良かったな」
タロウは少し寂しそうに笑うと、メビウスの頭を撫でた。
「教官?」
「初任務で地球に行けるなんて名誉なことなんだぞ。しっかり頑張ってこい」
「はい。でも、タロウ教官は・・・・あんまり嬉しくなさそうですね」
「そうでもないさ。ただ、地球に行ったらと思うと寂しいよ」
「遠いから、ですか?」
「そうじゃない」
タロウは頭を振った。
「あの惑星は一度好きになったら、こっちに戻ってくるが難しいぐらいに好きになってしまうんだ。
君もそうなりそうな気がするな」
「そんなことないです!」
今度はメビウスが激しく首を振る。
「だって僕の故郷はここですし、タロウ教官だってここに居ます。絶対に帰ってきます!」
「ははっ、そうであって欲しいな。でも、それ程あの惑星を愛してくれたとしても、私は嬉しいよ」
既に別れた半身の姿を思い出し、タロウは息巻くメビウスの頭をもう一度軽く撫でた。
「・・・頑張って、行ってきますね」
「ああ。体に気をつけて」
タロウがメビウスの体を引き寄せると、互いの頬にキスをする。
体を離そうとしたメビウスだったが、タロウの抱擁はまだ終わっていなかった。
「教官?」
478インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/19(月) 10:42:36 ID:nnRy1Rxm0
シックス(ラスト)イグニッション3

「・・・・・・メビウス」
やにわに顔を紅くしたタロウがメビウスの両頬を押さえると、自分の口をメビウスの口に押し当てる。
一瞬だったが顔を離したタロウの赤面状態はメビウスの目から見ても酷いものだった。
「あ、あの、タロウ教官?!大丈夫ですか?!」
「う、うん・・・だいじょう、いやそれよりごめん!」
「いや、別に何も・・・・」
慌てて体ごと離れたタロウは手を意味もなくあたふたと振ってメビウスに謝罪する。
「あの、本当に大丈夫ですから。それより今のは?」
「あ、あー・・・オホン。
今のは、課題だ」
479インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/19(月) 10:44:29 ID:nnRy1Rxm0
シックス(ラスト)イグニッション4

若干元に戻ってきたタロウは咳払いすると、真面目くさった表情で言った。
「えーーー?!課題ーーー?!」
「そう。今のは地球の習慣の一つだ。この習慣の意味を調べてくること!これが最後の課題だ」
「そうか、そうですよね。地球に派遣されるんだから、向こうの習慣に慣れて・・・・・」
「うわああ、そうじゃない、そうじゃない!!」
タロウはメビウスの肩を掴むと、ガクンガクンと揺すった。
「こ、この習慣に関しては、地元の人に質問しないこと!実演もなし!見ても見ぬフリしてさりげな〜く調べるんだ!
いいかい?地球はまだ銀河連邦に加盟していない。そんな惑星には擬態して行くだろう?向こうの人とコミュニケーションを取るのに、いちいち『これはどんな意味ですか?』って聞いてまわっていたらおかしいだろう?!」
「そ、そうですね・・・・」
タロウの剣幕に押されながら、メビウスは何とか頷いた。
「うん。わかればよろしい。
・・・・・・・・返事は帰って来てからでいいから・・・・・」
ぼそりと呟かれた言葉を聞き取れず、メビウスは小首を傾げてタロウを見た。
「え?」
「どうした?」
「いえ、最後に何か言われたようなので・・・・」
「気のせいだろう。
頑張って行っておいで」
タロウは平時通りの爽やかな笑顔を浮かべると、ポンとメビウスの肩を叩いた。
「はいっ!」


                               FIN
480インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/03/19(月) 10:48:15 ID:nnRy1Rxm0
以上をもちまして、学園ライフ完結とさせていただきます。
長い間、ありがとうございました!

連載はまた別のところでやるかも?
481名無しより愛をこめて:2007/03/19(月) 11:39:59 ID:kNzAOaoP0
タロウ教官、ついに・・・。
(*^^*)

インパクトさん、長い間本当お疲れ様でした!
ファンタスチックな可愛いウルトラワールド、毎日の楽しみでした。
連載、読みに行きますので!
482名無しより愛をこめて:2007/03/19(月) 11:42:45 ID:qYLIKBEN0
>>476-480
え、そこで終わっちゃうんですか?
今まで楽しみに読んできたのに!本編も終わってないのに!
メフィラスじゃないけど「残念です!」
続きあれば楽しみにしてます。

にしても、タロウ、ついにやっちまったな!
483名無しより愛をこめて:2007/03/19(月) 15:15:50 ID:zBsf8CMG0
インパクトさん、連載お疲れ様でした〜
別の場所でお目にかかれるのを楽しみにしていますね。

この後、助っ人に行った地球で、「大切な人〜」発言をかまされるとは
思ってもいないんだろーな(笑)タロウ教官!
484名無しより愛をこめて:2007/03/19(月) 22:13:55 ID:lMxrKZMQ0
インパクト、dクス!
インパクト世界のメビ、タロウ、隊長がすばらしく好きだったんで寂しいす
でも、もうすぐ本編も終わるし、いいタイミングなんだろうな。・・・とにかくGJ!
485名無しより愛をこめて:2007/03/19(月) 22:53:45 ID:o3fTBxkQ0
インパクト世界、楽しませていただきました。
いつか光の国に戻ったメビウスが、タロウにどんな課題の報告(返事)を
するんだろうと想像してしまいます。

何はともあれお疲れ様でした!
486まとめ2号:2007/03/20(火) 01:13:47 ID:VP4iQpQE0
インパクトさん、完結おめでとうございます&お疲れ様でした。
ほのぼのとした展開で、とても楽しかった。
GJ!!
早々と「シックス(ラスト)イグニッション」まとめました。
「ファーストコンタクト」から一気読み!いきます!
(明日のために寝ろよという心の声は、あえて無視)
487麗人の祝日 1/2:2007/03/21(水) 01:20:20 ID:ESA+1YH30
恥は掻き捨て。世は情け。
ネタは書き捨て。勢いのみで。
――――――――――――――――――――――――――――

「あの、リュウさん」
ん、なんだ?
「オカマってなんですか?」
……コーヒー飲んでるタイミングで聞くな。

「ちょっと! 汚いじゃない!」
げほげほっ……すまん。
つか。なにその質問。どっから出てきた?
「ジョージさんが教えてくれたんです。『4月4日はオカマの日だ』って」
……そこの情熱野郎! てめぇ何教えてやがる!

きっかけは不思議ちゃんのいつもの学習欲。
記念日なるものを調べていたら、
後ろから覗いていたストライカーと怪獣博士が横やりを入れてきたらしい。
「まあ落ち着けアミーゴ。ノリだノリ。日本の良き伝統だ」

「で、オカマってなんですか?」
いや、目をきらきらさせながらそういう質問すんなよ……。
「まあ、確かに説明し辛そうではありますね。特にミライ君相手だと」
「え、そうなんですか?」
……そこの怪獣博士! 事の当事者が冷静に分析すんじゃねぇ!

……えーとだな。
体は男で、中身は女っつーか。
「……僕って、オカマなんですか?」
……ディレクションルームのデスクって、結構固いのな。マジで額がいてぇ。
488麗人の祝日 2/2:2007/03/21(水) 01:20:47 ID:ESA+1YH30
「男性体で産まれながら女性としての精神を持つ人達の事、かな。
 広義では女装する男性の事を指す場合もあるね」
隊長、助け船サンクス。
「……ええっと……やっぱり僕って……」
違うだろが。話をちゃんと聞け。

「ミライ君は〜、変身した姿が男の子なだけで〜、元々は女の子でしょ?」
「あ、そうでした……」
ようやく納得したか。やれやれだ。

……ま、男だろうが女だろうが、ばいんばいんには程遠そうだがよ。

……ん? 何でみんな部屋から出てくんだ?
部屋んなかが急に暑くなってきたんだが……って、うおっ?!


『ああああ! メビュームダイナマイトだああああっ!!』


後日。GUYS就業規則に
『基地内に於いて、緊急時以外の物理系ウルトラ能力の使用を禁じる』
という一文が加わったのは言うまでもない。
489名無しより愛をこめて:2007/03/21(水) 01:28:33 ID:eo5MRC3C0
>>487-488
ぶははははは!ワロター!GJ
ばいんばいんのオチは久々じゃね?

『4月4日はオカマの日だ』なんて知らんかった
そんなのあるんだw
490名無しより愛をこめて:2007/03/21(水) 09:40:31 ID:1bCq0wIb0
ちょっと、失礼な言い方しないで頂戴。オカマってなにさ、ふん!
4月4日は「トランスジェンダーの日」よ。分かった?w
491名無しより愛をこめて:2007/03/21(水) 11:30:59 ID:GxAoSP740
〔トランスジェンダー〕
一般的な分類である男性と女性に加え、その両方の性、またはどちらでもない性

「それじゃあ、合体変身して完全男性体になる私もそうなっちゃうのかしら…」 by南夕子

「トランスなんたら?それ、飴より美味いのか?」  byジュリ

「何ぐだぐだ定義づけしてんだい!俺は昔からこーゆーキャラだよ!」 byババルウ星人
492名無しより愛をこめて:2007/03/21(水) 11:58:15 ID:u2BeiRrj0
ババルウww
49346話のその後?1:2007/03/21(水) 21:39:07 ID:VdBoCuii0
初書き、初投稿。
意味無し、オチ無しですが、そこの所はスルーでひとつ、よろしく〜


作戦名、プライド オブ ガールズ。

ダムに貼り付けになっていたメビウスを救い出し、グローザムを殲滅。
女の子の底力を見せた二人は人間体に戻ったミライを見つけるなり大丈夫かを連発した。
いくらミライがメビウスとはいえ、腹を突き刺された上に氷漬け・・・
今までにも過労や毒に中って倒れてるのを眼にしているだけに、
ケロリとしているミライをみても心配は尽きない。
おまけにこの天然不思議ちゃんときたら、他人の事には敏感でも
自分の事となると無理し放題の無頓着。周りが心配しすぎるほどで丁度いい。
49446話のその後?2:2007/03/21(水) 21:40:29 ID:VdBoCuii0
「ねえ、本当に大丈夫なの?ミライ君」

女の子三人だけのディレクションルームでコノミが心配顔をミライに向ける。
串刺しにされる瞬間を目の当たりにしただけに、元気そうなミライの顔を見ても心配は尽きない。

「大丈夫ですよ?まあ、氷付けだったんで寒かったですけど」

((・・・って、寒いとか寒くないとか言う問題じゃないし!))

マリナとコノミは顔を見合わせ、同じつっこみを心の中でミライにしながら、阿吽の呼吸で動く。

「じゃなくて、お腹よ!お腹。風穴あいてんじゃないでしょうね?」

「風穴って・・・あいてませんよ!って、ちょっとコノミさん?!マリナさん!?」

椅子に座っているミライをコノミが押さえ、マリナがスーツのファスナーを下ろし下に着ているシャツを捲り上げる。
ディレクションルームには三人以外のメンツが居ないとはいえ、出入り口はそこにあり
いつ人が入ってくるかもしれない状態で、半裸とは行かないまでも、女の子としてはこの状況は・・・
49546話のその後?3:2007/03/21(水) 21:42:10 ID:VdBoCuii0
「ちょ、ちょっとマリナさん!何するんですかぁぁぁ」

ミライの抗議はスルーしマリナはやっぱり・・・とコノミを見る。

捲り上げたミライの腹部にはグローザムに突き刺されたと思われる箇所が殆ど塞がってはいるものの
なまなましい傷があった。見てはいないが背中の方にも同じように傷があるに違いない。

「ミライ君、メディカルセンターにSally Goだからね!」

「へ?ああ、リュウさん達のお見舞いですか?」

「じゃなくて!ちゃんと先生に診てもらいなさい!痕が残ったらどうするの、女の子なのに!」

「大丈夫ですってこれく・・・」

「「大丈夫じゃない!!」」

二人の息のあった怒鳴り声に、ミライは首をすくめる。

「たく、どーしてそう、自分のことに無頓着なの」

「ミライ君、もっと自分を大事にしなくちゃダメだよ?」

「そうよ?幾らウルトラマンでもちゃんと治療はしなきゃ!」

「メディカルセンターが嫌ならここで消毒だけでもしとこうよ、ね?」

「他に誰もいないんだし、ここでやっちゃおうか?コノミちゃん救急箱」

「GIG!」
49646話のその後?4:2007/03/21(水) 21:43:24 ID:VdBoCuii0
「え!?ちょっと、待って下さい!?ここディレクションルームですってば〜〜〜!!」

(いつ、誰が入ってくるか判らないのにぃ〜!?)




女三人集まれば姦しいとは言うけれど。ディレクションルームに入ったとたん、男三人は固まった。
ミライにしがみ付いたコノミとミライのシャツの裾を握り締めたマリナ。変な体制の女三人。

「何やってんだお前ら・・・」

ミッションが成功し、無事に三人とも帰還したと報告を聞いて、労をねぎらおうと、こっそり病室を抜け出してきた男性陣は
本日の立役者の女性陣が同性とはいえウルトラマンの身包みを剥ごうとしている光景に唖然とした。

「え!?ああ、ミライくんの傷の手当をね、しようと思って・・・って、あんた達、また抜け出してきた訳?」

「いや、お前らが帰ったって、ミサキさんから聞いたから」

「セニョリータたちの労をねぎらおうかと」

「けほっ・・・傷の手当って、ミライくんどこ怪我したの!?」

「グローザムに突き刺されたところよ!」

「メディカルセンターに行った方がいいって言ったんだけど、大丈夫だって言い張るし、取り合えず消毒だけでもって思って」

「だから大丈夫ですって・・・」
49746話のその後?5:2007/03/21(水) 21:47:45 ID:X1TR24ec0
「大丈夫じゃないだろ!」

「ちゃんと治療はしないと・・・ごほっ」

「怪我を軽く見ちゃいけないぜ、アミーゴ」

「そう、軽く見ちゃいけない。という事で、脱走犯は速やかに病室。ミライは速やかに診察室。」

いつの間にか現れた、サコミズ隊長。

「ほら、戻るぞ、ミライもちゃんと治療する。」

男三人+ミライを促しディレクションルームを出ようとしたサコミズは足を止めマリナとコノミに振り返った。

「今日は本当に良くがんばってくれた。二人ともご苦労さま。」


49846話のその後?:2007/03/21(水) 21:49:42 ID:X1TR24ec0
終わりを入れるのを忘れた・・・以上で終了です。
499名無しより愛をこめて:2007/03/21(水) 21:57:50 ID:1bCq0wIb0
女の子って女同士でいちゃついてる(ように見える)時があるよな(なんかもったいない)w
500名無しより愛をこめて:2007/03/21(水) 22:41:07 ID:GxAoSP740
>>498
カワイイ話乙〜!また書いて!
501名無しより愛をこめて:2007/03/21(水) 23:48:28 ID:soLNjAuL0
>>493-497に便乗。裏から見た図。オチはお約束で。
――――――――――――――――――――――――――――

『他に誰もいないんだし、ここでやっちゃおうか? コノミちゃん救急箱』
『GIG!』
『え!? ちょっと、待って下さい!? ここディレクションルームですってば〜〜〜!!』

女三人寄ればかしましい、とは言うが。

今回、野郎共が怪我で動けず。女性陣が大奮闘した。
作戦成功の報を聞き。声でもかけようとデレクションルームに来てみれば。
……あにやってやがりますかあなた方。

「え!? ああ、ミライくんの傷の手当をね、しようと思って……って、あんた達、また抜け出してきた訳?」
せめて体制を整えてから発言してくれ。目のやり場に困る。
他の連中も顔をあらぬ方向へ向けてるし。

「メディカルセンターに行った方がいいって言ったんだけど、大丈夫だって言い張るし、取り合えず消毒だけでもって思って」
「だから大丈夫ですって……」
「ちゃんと治療はしないと……ごほっ」
「怪我を軽く見ちゃいけないぜ、アミーゴ」

「そう、軽く見ちゃいけない。という事で、脱走犯は速やかに病室。ミライは速やかに診察室」
隊長、なんてお邪魔な……いや、丁度いい所に。
「ほら、戻るぞ、ミライもちゃんと治療する」

……いや。別に見たくて見たんじゃねぇぞ、っと。
意外とばいんばいんかも……って、背後からなにやら火花っぽい音?!

『あああ! ライトニングカウンター・ゼロだああああっ!! ……ごほごほっ』
502名無しより愛をこめて:2007/03/22(木) 01:10:52 ID:TorFU6wN0
>>501
不思議ちゃんを怒らせちゃ駄目!w
503名無しより愛をこめて:2007/03/22(木) 12:12:44 ID:Hvqp0tCx0
スポブラしていたかノーブラか気になる(下品ですみませ・・・・)
504名無しより愛をこめて:2007/03/22(木) 12:18:03 ID:nmsh0OWk0
ミライはノーブラ、メビはスポブラ超希ぼ(ry
505名無しより愛をこめて:2007/03/22(木) 12:19:46 ID:DDYqVqOGO
リュウ、命が幾つあっても足りないんじゃ…
メビモナー(もう60年も寿命縮まってるぞ)
506名無しより愛をこめて:2007/03/22(木) 13:16:21 ID:lR8sYTPTO
完全に一部住人に私物化されたスレ晒しage
さすがにここまでになると引く。
50746話のその後?:2007/03/22(木) 13:34:14 ID:9TnctXCj0
こんなお馬鹿話に、レスサンクスです(感涙)

>>501

いや〜さすがというかなんと言うか、ちゃんとオチがついてるvvv
なるほど、勉強になりまする〜
見たくて見たんじゃないといいつつ、ちゃんとしっかり見てるんじゃ?>リュウ
じゃ無きゃ意外とばいんばいんなんて判らな・・・

>>503

え?やっぱし、ノーブラで、見えそで見えなさそで〜という事で、ひとつ(何が?・笑)
508Let's お見合い! 〔TIGA〕:2007/03/23(金) 00:15:15 ID:id7sIB0v0
平成戦士の性格は作者の勝手な主観入ってますのでご容赦を。

カコーン…ししおどしが涼やかな音を響かせる日本庭園を臨む一室。
艶やかな振袖姿のメビ、その並びにウルトラ父母・長兄〜五兄(6以下は後ほど☆)
異様な雰囲気に圧倒される本日の見合い相手―ティガ。

ゾフィ「まず、出身は地球…て事でいいのかな?」
ティガ「はい、厳密には不明なんですが、ざっと3000万年ほど前…かな」
初 代「バラージよりも昔か…(しかし、何となくこの男とは一度会った事があるよな気が
    するんだが…気のせいか?)」 ←ジッソーさんの回
セブン「私たち兄弟の目は節穴ではないぞ。調べた所、泥沼の修羅場があったようだが?」
ティガ「(ギク)あ、その…分離した人間体はともかく、昔の関係はきちんと決着つけましたから」
ジャッ「…ま、昔の事は不問に処すとして。何だね、『特技・フォームチェンジ』って?」
ティガ「あ、体の色とか技能とかを、TPOに応じて何種類かに変化させられるんです。
究極形態として『グリッター』っていうのもありまして、全身金ピカになれたりします!」
メ ビ(全身金ピカ?…それでは敵にやられっぱなしじゃ…) ←明らかにイミ取り違え
エース「ふん、金ピカが何だ!俺達だって5人揃ってブロンズになった事があるぞ!」
ウル父「…それ、威張って言う事じゃないし」 ←その節は長旅疲れで大変な目にあった人;
ゾフィ「まあまあ落ち着いて…で、メビウスは彼の事どう思うんだ?」
メ ビ「う…何だかイヤな事思い出しちゃいました…(頭の中 ♪ジャージャジャッジャッジャッジャ〜
    の歌が駆け巡ってしまっている)」

ウル母の採点:70点「かなりハンサムな方だと思うのですが…やはり過去に女性問題あった方に
純真無垢なメビウスを託すのには、不安がありますわねえ」
509Let's お見合い! 〔DYNA〕:2007/03/23(金) 00:20:29 ID:id7sIB0v0
  〜二人目入室〜

ダイナ「初めまして!ダイナですっ!」
メ ビ「(うゎ熱血系?)は、初めまして」
ダイナ「分離しないまま異次元彷徨ってたもんだから、性格が人間体なまんまなのは大目に見て下さい!
    早速ですがメビウスさん、聞きましたよ〜横浜スタジアムで投げた事があるそうで!
    アスカも野球やってましたからね、僕も大好きなんです!気が合いそうですねっ!」
ジャッ「…コホン、それはそうと君の特技も『フォームチェンジ』なのか?」
ダイナ「ハイっ、お見せしましょう!フラッシュ!(何のた〜めに〜♪)ミラクル!(誰のた〜めに〜♪)
    ストロング!(あの力はあるの〜だろ〜♪)」
メ ビ(うゎっいきなりすんごい太った!)
ダイナ「これならアナタがいくら太っても釣り合いが取れるし、軽々抱き上げられますよ〜ハッハッハ」
メ   ビ「そ、そうですか…orz(神戸体型を思い出し凹)」
エース「…ところで、君もティガくんと同系統で、光の国出身ではないとの事だが…
    何故に君の歌には『♪ウルトラの〜星が〜』と出てくるのだ?」
ダイナ「(ギク…話題変えなきゃ;)ところでこのチーズケーキ、美味しいですね!あれ、メビウスさん食べないんですか?」
メ ビ「すみません、食欲なくて…(ストロングさんに釣り合う体型にはなりたくない;)」
セブン「折角メビウスの為にエースと二人で作ったのに(悲)」
エース「えーいダイナとやら!お前に食わせる為に作ったんじゃなーい!メビウスが食わんなら俺が食ってやる!」
兄一同「いや、お前はこれ以上…シャレにならんて」

  ウル母の採点:60点「根は良さそうな方なのですが、少しデリカシーに欠けるかしら…」
  ウル父「お前の採点は辛いな。息子には予選免除で次の課題与えておいて」
  ウル母「あら、もし80点以上出す殿方がいれば、タロウと同じ課題を与えるつもりですわ。
      タロウには『おつかい』って言ってありますけどね、ホホホ」
  兄弟一同「つか、見合いって『予選』なの?」
510Let's お見合い! 〔extra〕:2007/03/23(金) 00:28:15 ID:id7sIB0v0
【一方その頃、M78星雲から遥か遠くの星系】
 
タロウ「…で、なんで俺、こんな辺境におつかいなワケ?しかもお前らと」
レ オ「いや、深い意味なんてないでしょう(お見合いの件は秘密なだけに冷汗)」  ←目付け1
アスト「さあさあ、銀十字軍隊長殿のご所望の品は何でしたっけ?」 ←目付け2
タロウ「ギルファスの石の鉢、ゴッドジャギラの玉の枝、ロボネズの衣、ナースの首の珠、サタンモアの子安貝…
    あー見事に出現年代も生息地もバラバラじゃん!しかもマイナーなパラレル怪獣混じってるし!
    『この中のどれか一つでも持って来れたら、ご褒美が待ってますよ』とか何とか言って、
    結局家から閉め出しくらったよなもんだし…あー、どれから探そっかな〜」

レ オ(この人、母親の真意にマジで気付いてないのかなあ…)
アスト(ま、途中で投げ出して見合い会場に乱入、て事態だけは防がないとね)
レ オ(そうだな…つか、本当にあるのか?そんなレア物…)

   ――終わり(誰かガイア・コスモスのお見合い書いて欲しい)――
511名無しより愛をこめて:2007/03/23(金) 00:34:13 ID:9QR9ic+h0
>>508-510
古典「竹取物語」とは、上手い!!(円谷のDVDもそうだったねw)
スタイルネタなんかも入ってるし、面白かったよ
512名無しより愛をこめて:2007/03/23(金) 10:44:25 ID:9S37Dilf0
453には激しく同意するなあ。
初心者多いんだろここ。2ch総合案内なんかちゃんと読んだのか?

ほかに気をつけることは? △ ▽  ▲ ▼
>まず、他人が見て面白いことを書きましょう。大勢の読者がいることを意識してください。
>サーバやシステムのリソースは無限じゃありません。
 スレッドを立てる前に、同じような内容のものがないか確認するのも忘れずに。。。
>データ量をむやみに増やしたり無駄にスレッドをあげたりすると、「荒らし」と
 呼ばれちゃうこともあります。

>の部分とか理解してる?それでいてTV最終話までに投下とかにこだわってるなら
もうちょっと自分達が上手に作ったまとめサイトも活用しなよ。
2度目の騒動まではそれなりに見守ってたけど、あまりにも勝手な住人が多いね。
513名無しより愛をこめて:2007/03/23(金) 11:36:20 ID:6yXCZ0pc0
>>508-510 GJ!! さりげなく野球ネタがイイ!!
514名無しより愛をこめて:2007/03/23(金) 13:08:21 ID:jY+wpgBH0
>>510
ナースの首の珠ワロタ。
515名無しより愛をこめて:2007/03/23(金) 13:14:08 ID:9nLapqnR0
>>508-510

ここで平成ネタが来るとは思わんかった♪
神戸でのメビと映画のダイナの中の人が同じなんだよね・・・
って関係ないか(爆
まじめそうなティガに熱血馬鹿のダイナ
ん?熱血馬鹿はどっかの誰かとかぶって・・・(笑)
516続・見合い:2007/03/23(金) 13:53:48 ID:jY+wpgBH0
ガイア、コスモス未見のため、ネクサス編いきます。

初 代「またどこの馬の骨かわからん奴が来たな」
セブン「その頭は、その肩の飾り物は何だ!そんなものでメビウスを・・・」
エース「君も色が変わったりするんだよねえ〜」
ネクサス「色・・・というか、最終形態はこんな感じですが・・・(ぼそっ)」
と言いつつ、いきなりノア化。
一 同「うわあああああ!」
ジャック「ピカピカならいいってもんじゃないぞ〜コノヤロ〜」
一 同「そうだそうだ。こんな無愛想な光り物野郎に可愛いメビウスは渡さん!」
ネクサス「そうですか。ここではちょっとナンですので・・・(ぼそっ)」
と言いつつ、いきなりメタフィールド発動。
数分後、何事も無かったかのように再び現れたネクサス。
そして気絶している兄弟一同。

ウル母「真面目で実直で、とてもいい方ね。わたしがあと○万歳若かったら・・・」
ウル父「ちょ、母さん!」
肝心のメビは・・・無口なところが逆に新鮮で、
ぽっと頬を赤らめてたらどうしよう・・・

517名無しより愛をこめて:2007/03/23(金) 14:38:50 ID:9nLapqnR0
>>516

次はマックス?その次は・・・?ヒカリか熱血か(笑
518名無しより愛をこめて:2007/03/23(金) 18:22:11 ID:s+zxBASq0
>>516
メタフィールドずるいw。てか、光り物野郎て兄さんイワシ扱いかよw

こうなるとガイア・コスモス・マックス・ゼノンあたりも見たくなるな
519勝手に続々・見合い:2007/03/23(金) 21:47:33 ID:AT3eOM2q0
初代「あれ、次の見合い相手はガイアとか聞いたんだが、
写真とは違う奴が来たな」
コスモス「こんにちは。コスモスと申します。伝言をことづかっています。
ガイアが急にお見合いに出られなくなりました。いつまた出られるのか、私にも分かりません。
そこで今回は私の地球での活躍をじっくり聞いていただき、メビウスさんに私のことをアピールできればと思っています」
エース「ピンチヒッターかよ。本気で見合いしようなんて気はなさそうだな(体も青くて軟弱そうだし)」
コスモス「いいえ、メビウスさんの純真さには、ずっと憧れておりました。
この私の、月の優しい光のごとき慈愛で、メビウスさんの純真さを包んであげることができれば、これに勝る喜びはありません」
メビウス「(こういうタイプの人、初めてかも…ポッ)」
ジャック「(昭和顔に妙な親近感…)君もモードチェンジするって聞いたことがあるけど、ほんとなのか?」
コスモス「はい、普段はこのとおり、慈愛のルナモードですが、邪悪な力に対しては
怒りのコロナに変身して戦います。さらに本気を出せばエクリプスになり、
敵を完膚なきまでに粉砕するなどわけはありませんよ」
一同「(表面は優男だけど、得体の知れないところがあるな)ゴクリ」

ウル母「老成した感じが、メビウスの世間知らずな性格を補ってくれるかしらと思ったんだけれど、
意外と気分屋さんなのかしら?なぜか安心して任せる気になれないのよねぇ」
ウル父「浮気とは無縁そうだが…ちょっと遠慮しておくか」
520名無しより愛をこめて:2007/03/24(土) 00:17:38 ID:mbGbyxS40
久々の見合いですなww
ティガ辺りが有望な気もするけどレナいるしなぁ。
521名無しより愛をこめて:2007/03/24(土) 07:25:44 ID:VP/vMrYbO
ダイゴからは離れてるから無問題だとオモ。
人間体込みがよかったら、ツバサとセッティングする?
(リュウケンドーだしw)
522まとめ2号 業務連絡:2007/03/25(日) 13:08:50 ID:4Y+veBP+0
「The Hanged Man.」UPしました
523名無しより愛をこめて:2007/03/25(日) 21:12:17 ID:6AP3eEap0
>>321
いや、平成はマックス以外はウルトラの人格ないしね。
半ばティガとレナのカップルとして見てるからなぁ。
しかし、リュウケンドーとメビウスをむしろ見てみたいww
524名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 07:25:23 ID:Kd3YtReu0
ザムシャーってさ、
「貴様は俺が斬る→誰にも斬らせない→だから護る」だから、
これってやっぱメビウスに惚れてるんじゃないか?
16話でヒカリが「こいつは護るものがあるから強い」
って言ってる時、そのよこでものすごいあどけない顔して、
ザムシャーのこと見上げてたよね?
人類を護るメビウスは強いけど、そのメビウスを護ったザムシャーは、
もっと強いんだよね。
サムライよ、安らかに眠れ・・・合掌。


525名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 08:49:21 ID:SQ0EJ2Zr0
>>524
あちこちのスレで言い尽くされた感があるが、要するに

べ…べつにあんたを護りにきたわけじゃないんだからねっ!
ただ…あんたを斬るのはアタシなんだから、、こんなヤツに先に
やられたら困るのっっっ…それだけなんだからねっっっ!!!!

526名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 09:34:34 ID:tRo+h1F00
ツンデレザムシャーはネタだからこそいい
しかしマジっぽく書かれると引く

「惚れてたんじゃないか?」の後に「あどけない顔で見上げてた」…キモイ
別にメビウスがあどけない顔してもザムシャーはなんとも思わんだろ
強さとか信念とか、もっと他に言い様はあるだろうに。

こう書くと荒らし扱いを受けるのだろうが
次スレはもう特撮板で立てない方がいいと思う。
527名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 10:09:58 ID:Y25gKUVR0
現スレで議論の的になったあたりを読み返せば、「私のスレの掟」が解って
くるのではないでしょうか。
特に36・56・65・114・121辺りの意見は、参考にした方がいいかもしれません。
異論もあるかもしれませんが、私のスレの性質考えれば致し方ない事だと思うのです。
今まで書く方も読む方も、荒し等が来ないのに甘えて、私のスレ内である事を忘れて
自由にやり過ぎて来た所もあるかもしれません。
(最近も「初心者が多い」、との書込がありましたし)

ともあれ、ss書く人が増えるのは嬉しい事です。
デビュー作、簡潔に上手くまとまってて、楽しかったので次も楽しみにしています。
528名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 10:20:06 ID:5DKKOkESO
ほら見ろ、書き手と一部読み手が好き勝手やってるから。
まあ真っ当な苦言書き込みに対して被害妄想みたいに受け取るような奴が多いスレだからな。
何度2chの特性学べって言われてたんだよ。
ちなみにスレ私物化したってのは長文書き手の古株の事だから、気にしてるあんたじゃねーよ。
焦るあまり自分の自己満足の為に一気に投下なんて荒らしと変わらんての。

今回はsageといてやるよw
529名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 10:26:55 ID:Y25gKUVR0
現スレで議論の的になったあたりを読み返せば、「2ちゃんネタスレの掟」が解ってくるのではないでしょうか。
特に36・56・65・114・121辺りの意見は、参考にした方がいいかもしれません。
異論もあるかもしれませんが、2ちゃんの性質考えれば致し方ない事だと思うのです。
今まで書く方も読む方も、荒し等が来ないのに甘えて、2ちゃん内である事を忘れて自由にやり過ぎて来た所もあるかもしれません。
(最近も「初心者が多い」、との書込がありましたし)

ともあれ、ss書く人が増えるのは嬉しい事です。
デビュー作、簡潔に上手くまとまってて、楽しかったので次も楽しみにしています。
530名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 17:38:47 ID:wR6gaSdq0
え〜メビウスってあどけないじゃん〜
531名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 18:48:09 ID:A0HvGy1x0
「絶望の暗雲」前日譚(時期的には27話近辺に遡る)

エンペラ星人「鏡よ鏡、太陽系で一番美しいのはだぁれ?」
鏡代わりのリフレクト星人「それは…メビウスです」
エンペラ「な、何〜!?そ、それはどこのどいつ!?」
リフレク「第三惑星担当の、うら若き乙女です」
エンペラ「くぅ〜っ、余より美しい者がいるなんて許せない!インペライザー!
  そのメビウスとやらを抹殺して来なさい!」
インペライザー「ういーん」

 あんなに重苦しい話だったのに、何度も見返しているうちに、皇帝様が
 わりと女性的なデザインに見えてきてしまったもんでちょっと書いてみた。
 (エンペラの声は北浜晴子に変換してください)
532名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 19:18:40 ID:dAgVX365O
7人の小人がGUYSか?王子様は誰だ?!
533名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 19:56:10 ID:i97i6ZWC0
7人の小人て、頭数合わないじゃん?
あ、トリ・マル含めれば無問題か
534名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 20:04:27 ID:H39ZZE81O
「7人の兄弟」だったら…

アストラ「僕は入れてもらえないんですかぁ〜!」
80「俺だって一緒にロベルガー2世倒したのに〜!」
タロウ「小人はいやぁ〜!王子様がいい〜っ!」
535名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 20:24:06 ID:wR6gaSdq0
劇中劇ということで、
王子様はヒカリかマックスを希望したい。
だが、そこにはライバルをストリウム光線でなぎ倒したタロウが・・・
536名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 20:41:28 ID:qzXVMXHs0
丸くてツルツルのリフさんの背中を覗き込む皇帝を想像したら、リポD吹いた
>鏡代わりのリフレクト星人
歪んで不細工に映りそうだw
537名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 20:45:40 ID:i97i6ZWC0
>>536
リフ「よくも私の体にケチを…!」
538名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 20:51:48 ID:qzXVMXHs0
だってリフさんまるいんだもんw
34話や↑のの台詞からして、毎日全身磨いてるんだろうな

で、背中にて届くの?ごめん、素朴な疑問…
539名無しより愛をこめて:2007/03/26(月) 21:15:44 ID:i97i6ZWC0
>だってリフさんまるいんだもんw
リフ「(くっ、確かに!…しかし気を取り直す)フッ、あなたのその質問で気がそがれてしまいました。その命、預けておきましょう!(消滅)」

リフ帰還後
エンペラ「リフ、表情も鏡代わりの体も、心なしか曇っているようだけどいったい何が?」
54034話直前:2007/03/27(火) 00:26:23 ID:YtqL+Yu90
突如現れたリフレクト星人に対峙するメビウス。
鏡のように磨かれたリフレクト星人の身体に、自分が映りこんでいる。
『僕、いつの間にか太ってるーーーーー?!!!
最近この姿で鏡見てなかったから、気がつかなかった?!』
動揺したまま劣勢に陥ってしまうメビウスだった。

>>531>>536-539の流れで思いついたけど、あかんわ_| ̄|○illi
素直にROM専に戻る
541名無しより愛をこめて:2007/03/27(火) 09:40:31 ID:F3/Xd/200
初戦で敗れた背景にはそんな理由が・・・orz
542名無しより愛をこめて:2007/03/27(火) 11:28:02 ID:PaXd+xhE0
巨大眼鏡拭きの上を転げまわって自分を磨くリフさん。
543名無しより愛をこめて:2007/03/27(火) 13:56:24 ID:vkdqUlkrO
いかん、ますますリフさんに萌えてしまったではないかww
544名無しより愛をこめて:2007/03/27(火) 19:37:46 ID:BtecaFJd0
おかしい、メビに萌えに来たはずなのにリフさんww
545名無しより愛をこめて:2007/03/27(火) 20:42:49 ID:Y49ex0JT0
34話はリフさんが面白すぎ、(リフさんとの対比で一層)メビがほっそり見え、
リフさんに剣を突きつけられたメビの横顔が美しく、
ゲンさんが渋く、レオが格好良すぎで、とにかく俺には神作だった。

リフさんを一目見たとき、手足を収納してボール状態で飛ぶのを想像したんだがなw
546名無しより愛をこめて:2007/03/27(火) 21:35:16 ID:EEbJzxas0
・・・それなんてハロw
547名無しより愛をこめて:2007/03/27(火) 21:53:25 ID:Y49ex0JT0
トゲトゲボール状態でメビに体当たり攻撃するかと思ったんだ
宇宙飛行中は棘も収納とか想像したんだけど、>>546にそう言われると似てるw
548名無しより愛をこめて:2007/03/28(水) 14:02:44 ID:IfF5nmqKO

エンペラ様「どうして余のセクシィバディに誰も言及してくれないのだ〜!」

リフさんの人気に嫉妬の炎を燃やす皇帝様であった
549名無しより愛をこめて:2007/03/28(水) 14:56:57 ID:3ZOrpJeL0
メビ「あ、あの、ここ僕のスレですよね?!」

>>548
すみません、せくし〜な皇帝様のこともすっかり忘れていました
550名無しより愛をこめて:2007/03/28(水) 15:16:40 ID:ZvvRq+aA0
「絶望の暗雲」があんまり絶望的だったので、リフさんに逃避してしまった・・・orzスマソ
551幕間の鎖2(最終回前夜編)1/2 ◆smJNL9GJT. :2007/03/28(水) 16:39:57 ID:Xy4tuM7A0
最終回予告を見て。祝・獅子座兄弟本編出演。
********************

絶望の暗雲の果てで。
太陽のそばへ飛翔する二つの赤い光。

見ちゃいられないね、兄さん。
待て、アストラ。
でも、ザムシャーも。ツルギも。それに、リュウ君まで…!
俺たちには俺たちの領分がある。そこで全力を尽くすまでだ。
わかっては、いるんだけど。…

なあ、アストラ。
うん?
あの時、俺はメビウスにだけこの地球を託したのではない。
あの子を取り巻く、あの仲間たちすべてに、あの笑顔のすべてに、
俺は俺たちのふるさとを、託したんだ。
うん。
俺は、信じている。彼らなら、きっと。きっと、切り抜けるさ。

うん、そうだね、レオ兄さん。俺たちはここで、俺たちのやれるすべてを。
そういうことだ。…そして、な、アストラ。
うん?
必ず、俺たちは帰るんだ、一緒に、あのふるさとへ。
ああ、そうだね。…美しい、あのふるさとへ。

いっしょに。
いっしょに。


******
552幕間の鎖2(最終回前夜編)2/2 ◆smJNL9GJT. :2007/03/28(水) 16:46:08 ID:Xy4tuM7A0
******
メビウス。…レディ。たくさんの仲間が、君と共にいる。近くからも、遠くからも、
それぞれの場所から、君を応援してる。…いいかい、絶望しちゃいけないよ。
決して、あきらめてはいけないよ。たくさんの声が、君を支えてる。君がつむいできた
たくさんの絆が、積み上げてきたたくさんの希望が、君が大切にしてきたこの星での
時間が、君の力になる。
…泣かないで、レディ。決して決して、絶望しないで。

*********
炎の中で絶叫する男の脳裏におくりこまれた幻影。

 傷ついてぼろぼろになった、男の相棒を抱き上げて、そのふわふわの髪を
撫でている、謎めいた鎖のヴォーカリストが、その耳元に低い美声でささやいている。
…皇帝よりも、リフさんよりも、誰より君が一番素敵だよ、レディ。俺が保証する。
オッド・アイがやさしく瞬いた。…みんな君に見とれてる。君を守りたいと。
 気障な男の抱えあげる相棒の周りには、なるほどいくつもの熱い視線。

…あったりめえじゃねえか! 
おどりゃあああああ!こんな誘惑だらけの中にミライを置いて俺は死なねえぞぉぉぉぉ!
俺が!守るんだ、お前を。必ず、必ず、お前の元に、俺は帰るぞ!

***************                       
そうそうその意気、リュウ君。必ず、戻れよ。そしてレディを、頼む。

じゃ、行こうか、レオ兄さん。
よし。

     
553名無しより愛をこめて:2007/03/28(水) 19:27:59 ID:3ZOrpJeL0
「うわぁ〜〜、久々の鎖シリーズだぁ〜!」(テッペイ風)

獅子座兄弟の会話にしみじみ浸りながら読んでたら
> …皇帝よりも、リフさんよりも、
のとこで、ヘーゼルナッツ珈琲、口にしてなくてよかったw

兄弟出演オメ!ついでに(?)
鎖再開オメ!
554名無しより愛をこめて:2007/03/28(水) 21:49:49 ID:g9dsEMJ/0
鎖の職人さんは健在だったかw
・・・他の職人さんは何処に?
万能は本編終了までに終わりそうにないね。どうせなら最後まで読みたいんだが
それと、報告タロウ編を正座で待ち続けていたら足が石化したぜw

555名無しより愛をこめて:2007/03/28(水) 22:10:31 ID:mrD3cnZU0
>>554
タロウ兄さんが執筆中。
556名無しより愛をこめて:2007/03/30(金) 12:11:48 ID:ZCfoA3/SO
保守がてら。
ウルトラコクピットの追加続編Discが出るらしいぞ!
最終回以後の話になるらしい。GUYS隊員部分も新撮あるみたいだし。
前作では出なかった、レオ兄弟や80先生との共演はあるかな?
557名無しより愛を込めて:2007/03/30(金) 12:37:15 ID:6BQH2cW60
>>553
リフさん面白かったので、つい続けてしまった。
鎖は最終回で双子の活躍をじっくり見届けてから、また続けていくよ。

>>556 コクピットに双子が出たら、もう絶対買いだぜ、自分^^;
558名無しより愛をこめて:2007/03/30(金) 21:12:59 ID:1tgALOvbO
ウルトラマンスタジアムの来月のイベント案内に書いてあった。

「ウルトラマンメビウスショー『恋するメビウス!?』出演:ウルトラマンメビウス・ウルトラマンゼアス」
……思わぬ伏兵登場?
559名無しより愛をこめて:2007/03/30(金) 21:27:38 ID:ZCfoA3/SO
ぐは、本当だw
潔癖症のゼアスに惚れるのかメビ?
560名無しより愛をこめて:2007/03/30(金) 23:02:26 ID:AB4r3G150
>>558
え、なにに惚れるんだ、それ??
このスレ的に素で解釈しそうになったけど、今回ばかりは見逃して...orz
561地球狂の詩:2007/03/30(金) 23:10:51 ID:MhkBkDBh0
宇宙警備隊・各惑星担当新人警備員選抜会議(通称ドラフト会議)。
この年の新人としては、最強最速の男・マックスに各惑星の首脳陣から熱い期待が寄せられており、太陽系のみならず複数星系からの競合指名が予想されていた。
そして一巡目、太陽系第三惑星地球の番。司会者が高らかに、入札された候補者の名を読み上げる。
「第一回選択希望候補生!地球担当候補、メビウス!」
どよめく会場。無理もない、予想されていたマックスへの指名を外し、全くの無名候補生を一位指名したのだから。
ゾフィーはほくそ笑む。「面白くなるのは、これからだよ」

 数日後、メビウスという候補者の正体が、マスコミによって白日のもとに晒された。
   「仰天!地球担当候補・メビウスは女の子だった!」
   「地球担当、警備隊協約無視の暴挙!」  数々の中傷見出しがタブロイド誌に躍る。

「『宇宙警備隊協約第87条第一項・各惑星担当警備員は、以下の者を派遣する事は出来ない。【医学上男子でない者】』…よもや歴戦の勇士の警備隊隊長が、この条文を知らぬわけではあるまい?」
「協約が何だ!!俺たちは、協約の壁を越えてみせるっ!!」
「僕…地球に行きたいです!!地球を守りたいです!!」

―宇宙警備隊初の女性ウルトラマンとして、メビウスの試練の日々が始まる―

 〜EDソング「メビウスのテーマ」〜  歌:堀江美都子

 ♪戦いの広場に 男の広場に 咲いた可憐な 花一つ
 小さな胸に秘めた闘志は 澄んだ瞳と決意のくちびる
 大きな心で クルーを信じて
  明日に向かって羽ばたけ  我らの天使羽ばたけ
  メビウス  メビウス  メビュームシュート          (単語3個分だけ改変)

このネタ元がわかる人、このスレにいるのだろうか…多分いないか。ゴメン
でも自分には、水原勇気と♀メビがシンクロするんだ(腕に筋肉ついた代わりに
胸小さくなったと呟いてみたり、武骨で口汚いが熱くて一所懸命な男に惹かれたり)
ま、ここはセ・リーグ開幕記念つー事で。
562名無しより愛をこめて:2007/03/31(土) 00:02:56 ID:U5jqjpbK0
>>561
懐かしか〜!!
>腕に筋肉ついた代わりに胸小さくなったと呟いてみたり
このシーン、印象強くて覚えてる
563名無しより愛をこめて:2007/03/31(土) 10:18:58 ID:1r70kY4pO
ちょ、ゾフィーは鉄五郎か?マックスが沢村で、リュウが武藤なのか?

水原勇気=芯は強いがどこか儚げな美少女=メビに確かに通じる物があるかもね

564名無しより愛をこめて:2007/03/31(土) 10:44:31 ID:r6tJzU+a0
>>558
相手役としては微妙なチョイス?と思ってしまった自分はやっぱりこのスレに毒され過ぎw

>>561
地球狂・・・一途なメビが頭に浮かんで、ちょっとツボった
565名無しより愛をこめて:2007/04/01(日) 01:47:57 ID:GV7MJzsa0
つぶらやの公式サイトがすごい事になってるwww
メビの日記への兄さんsのコメントが禿萌えだ!
エイプリルフール限定らしいから見逃すな!
566名無しより愛をこめて:2007/04/01(日) 19:36:54 ID:zZOVO1Y00
いやむしろ、ヒカリ?
一人だけなんだあのテンション...orz
567名無しより愛をこめて:2007/04/01(日) 22:41:56 ID:+d/OiYJj0
>>565
ttp://sns.m-78.jp/show_friend.php?id=83
ナニゲに見てみたらリフさんがすごい事になってます
568名無しより愛をこめて:2007/04/02(月) 15:09:09 ID:pIZp+Gxq0
お祭り企画、個人的にはマグマ星人のゾフィー人間体ばらしの書き込みに、
メビが「ネタバレは禁止です」と突っ込んでいるのが笑えた。
真面目な美少女優等生が言いそうな台詞だよね。

あとリフさんのご趣味が乗馬とは…
(一度落馬したら、どこまでも転がっていきそうで怖い)
569インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/03(火) 08:26:08 ID:SuJSymKI0
フィフストレーニング4-1

見直しはOK。
名前は? 書いた。

メビウスは起動しているプレートを落とすと、そっと伏せて席を立ち上がった。
音を立てないように歩いて、ドアを開ける。
廊下には既にマックスとゼノンがいた。
しーっと口に指を当てる。
足音を立てないように、そーっとそーっと。

「イ〜〜〜〜ヤッホゥ!!」
マックスは校舎の外に出た途端、踊り上がった。
「やーっと終わったぜ!」
「うん・・・・ちょっとドキドキしたけど」
メビウスはまだ少し不安げな表情をして、胸を押さえた。
「何処か不安な箇所でもあったのか?」
「問5が難しかったよ」
「そうか。私は問6の方が迷ったな」
「迷ったら一番最初に思った答えを書けばいいだろ」
先を歩いているマックスは、後ろ歩きに切り替えてゼノンとメビウスを見る。
「どうせなら最後まで確認したかったのに・・・・」
「最後のテストぐらい、ぱぱっと終わらせろよ。休みがもったいないじゃん!」
「いや、でも増えても30分・・・・」
「30分というは貴重だぞ、メビウス」
ゼノンの抑揚のない声が諦めの悪いメビウスを両断する。
「そのお陰で映画に間に合うのだ。急ごう」
マックスとゼノンはメビウスの手をぐいぐい引っ張って連行する。
「もう、しょうがないなあ」
メビウスも苦笑しつつ、それに付き合った。
570名無しより愛をこめて:2007/04/03(火) 09:43:56 ID:2A5NWKCN0
うわお、再開!グラシアス!楽しい日々が再び戻りそうですね。ありがとうございます。展開を楽しみにしています!
571名無しより愛をこめて:2007/04/03(火) 11:35:38 ID:C2sVxSHo0
うれしいサプライズですねー。これからも楽しみにしています!
572名無しより愛をこめて:2007/04/03(火) 21:54:47 ID:V39DepmD0
あちらの人たちも普通に映画見るんだね。。。
573インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/04(水) 08:45:36 ID:jQooJl1u0
フィフストレーニング4-2


「?」
「どうした、メビウス?」
映画館へ行く道すがら、突然メビウスが立ち止まる。
「うん、今何か聞こえたみたいな・・・・気のせいかな?」

       ぃ・・・・

「いや、確かに何か聞こえる」
ゼノンの言葉に、マックスも耳を済ませる。
街の雑踏に掻き消されてしまうほどの、微かな気配を拾おうと、体中のセンサーを全開にして。

       みぃ・・・・

「! 聞こえた!」
「こっちからだ!」
「ちょ、おい! 映画は!!」
「ごめん、少し遅れる!」
メビウスとゼノンは今通ったばかりの道を引き返し、音の発生源を探る。
「あー、もう!」
マックスも諦めたような声を出すと、慌てて後を追った。
「何か、動物の声みたいだった・・・・」

       み・・・・

「弱々しいな・・・・」
特定するのが難しい、小さな気配を必死になって捉えようと精神を集中させる。
「あ・・・・いた!」
メビウスは習ったばかりの透視能力を駆使して、建物の影で怯えるように体を震わせている、小さな生き物を発見した。
574名無しより愛をこめて:2007/04/04(水) 12:03:59 ID:OlrIXQCp0
…ぬこ?
575名無しより愛をこめて:2007/04/04(水) 15:45:21 ID:WloyJoo20
>>558のウルトラマンスタジアムのショーあらすじがうpされてた。

「春…それは出会い♪ 春…それは恋の季節♪」
最初に見たものに恋をしてしまう不思議なカプセルをメビウスに使い、地球を手に入れようと企む宇宙人達。
カプセルのせいでメビウスの様子がおかしい…?
本当に大好きな物を守る為に、メビウスはピンチから抜け出す事ができるのか?!

「最初に見たモノ」ですか、そーですか
576名無しより愛をこめて:2007/04/04(水) 16:17:52 ID:f+vqi+u/O
後のミケ・クロ・タマである
577名無しより愛をこめて:2007/04/04(水) 18:22:26 ID:AM2blRWP0
>>558
「誰でも最初に見たものが、お前のほんとの恋人だ。」
…シェークスピアの真夏の夜の夢のパックのセリフですがな。
578名無しより愛をこめて:2007/04/04(水) 22:08:14 ID:PGOf/w6n0
>>575
どこの同人誌ですか一体?!
579名無しより愛をこめて:2007/04/05(木) 07:38:18 ID:olcSNcgeO
戦隊物でそういう話を見た気がする>>575
宇宙人の策略をいち早く察知しつつ、何が何でもメビの視界に真っ先に
飛び出そうとするタロウを想像したww

しかし・・・恋する対象は「物」なのかメビ?
580名無しより愛をこめて:2007/04/05(木) 09:06:10 ID:7hu85efF0
そういえば、この間子供と見に行ったショーは「たいせつなたからもの」だったけど、
ソフビ人形が本物?と同じになって、本物のメビウスとともに戦うという話で、
人形のメビウスの声は、ケロロ軍曹に出てくる冬樹くんにそっくりだったんだけど、
割と女声でもメビウスって違和感ないなと思ってしまった。
581インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/05(木) 09:43:38 ID:+HsW57HY0
フィフストレーニング4-3

「怪我してる!」
「いたのか?!」
「うん!」
路地に走っていくメビウスの後を、マックスとゼノンが追った。
建物の隅に小さく小さく丸まっている緑色の影がある。メビウスが近寄ると、それは「フー!」っと威嚇の声を出した。
「大丈夫・・・・恐がらなくていいよ・・・・」
本来はふさふさとした緑の毛に、赤い血がべっとりと張り付いてその生物を小さく見せていた。
「これは、エメラルドキャットだな」
エメラルドキャットは光の国では愛玩動物として人気のある動物だ。もともとは別の惑星の生物だが、研究用として持ち込まれたものが、後に一般家庭でも飼われるようになった。
「げ。高いんだろ?」
「多分。何処かの家から逃げ出してきたのだと思うが・・・・」
「心配しなくていいよ」
メビウスはエメラルドキャットにそっと手を差し出し、ゆっくりと近寄る。
「すぐに怪我、治してあげるから」
鼻先まで伸びてきたメビウスの手を、その生き物は前足で払った。
「大丈夫、大丈夫。痛くないよ」
その一撃で大分体力を消耗したのか、大人しくなったエメラルドキャットを、メビウスはそっと抱きかかえた。
「可哀想に・・・・こんなに血が出てる」
「こりゃー、仲間同士のケンカだな」
マックスは毛を捲って傷口を見て、それから血の付着したエメラルドキャットの爪を見た。メビウスの胸を力無くカリカリと引っ掻いている。
「銀十字のアニマルセンターに連れて行った方がいいだろう」
「うん・・・・」
メビウスは弱々しく暴れるエメラルドキャットを抱えなおすと、ふわりと浮かび上がる。爪がぱたりと、落ちた。
「!!」
「どうした?メビウス?」
「この子が・・・・タロウ教官のところに行ってくる!!」
582インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/05(木) 10:12:14 ID:+HsW57HY0
あげちゃってスミマセン・・・・orz
583白馬の王子:2007/04/05(木) 12:20:17 ID:9oAyxRNT0
ミライ「アヤさんの言っていた白馬に乗った王子様ってなんだろう?」
???「それは私のことですね!」
突如、白馬に跨ったリフレクト星人が空間転移で出現。
リフ 「メビウス、私と共に来ていただきましょう」
ミライ「ええええーー?!」
飛来するガンフェニックス。
リュウ「冗談は体型と性格だけにしときやがれ!」
スペシウム弾頭弾直撃! 傷はつかないが、嘶く馬から後ろに落馬!!
リフ 「ああああぁぁぁぁぁぁ……‥‥‥・・・・」
どこまでも転がりながら、2人の視界からフェードアウトしていくリフさんだった。

リュウ「ミライ、無事だったか!?」
ミライ「リュウさん……白馬に乗った王子様って、なんですか?」
リュウ「は??」

-------------------------------------------------------------
明け方、ダヴィッドの「サン・ベルナール峠を越えるナポレオン」よろしく白馬に跨ったリフさんが夢に出た。
これは絶対>>568を読んだせいだと思う。

>>581メビとぬこ ツボ直撃(゚∀゚)
584名無しより愛をこめて:2007/04/05(木) 13:15:11 ID:9oAyxRNT0
王子じゃなくて騎士だったかもしれない。
うろ覚えで書いちゃって、間違ってたらすんません。
585名無しより愛をこめて:2007/04/05(木) 16:22:56 ID:NniOYQLi0
>>581
メビが傷ついたぬこ連れてタロウ教官の元へ。萌える展開になりそうでwktk中〜

>>583
GJ!テレビ本編ともうまく絡んでる。それにしても、あぁリフさん…

586名無しより愛をこめて:2007/04/05(木) 18:04:48 ID:YlO60eMN0
黒馬にまたがったザムシャーに会いたい・・・(つдT)
587名無しより愛をこめて:2007/04/06(金) 11:43:34 ID:ZcZZSKSWO
>>579
そんなタロウの野望を打ち砕くべく、リュウがインビシブルフェニックスをタロウにブチかます!!
リュウ「ミライは渡さねぇ!!」

しかし…
メビウス「あれは…ガンフェニックストライカー……(はぁと)」
リュウ「…ミライ?」
メビウス「待ってください!!」
リュウ「うわー!?」
ガンフェニックストライカーをしっかりと抱き締めるメビウス。
メビウス「もう離しません!! ずっと一緒です!!」
リュウ「やめろミライ!!」

…スマソ調子に載り過ぎたんで吊ってくる
588インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/06(金) 12:07:36 ID:JKyww7Cm0
フィフストレーニング4-4

メビウスは空を飛んで、養成所へと戻った。
「しっかり!頑張って!もうすぐ治してあげるから!」
手の中の小さな緑色の毛玉に必死に話し掛け、タロウの教官室に向かう。
本来は養成所の中を飛んで移動してはいけないのだが、今はそんなことに構っていられない。教官室の窓に近寄ると、外から小刻みに叩く。
「教官! タロウ教官! いますか?!」
丁度テストを抱えて戻ってきたタロウは、窓の外に浮いているメビウスを見て、目を丸くした。
「め、メビウス?!」
回収してきたプレートを放り投げて、窓を開ける。
「どうしたんだ?!」
「タロウ教官、この子を助けてください!!」
メビウスは、本当に微かにしか呼吸できていないエメラルドキャットを、タロウの前に差し出した。
「これは・・・・わかった」
タロウはすぐにリライブ光線をかけた。
「これで、大丈夫だと思うけど・・・・」
エメラルドキャットは乾いた血を纏ったまま、メビウスの腕の中で穏やかに目を瞑っている。さっきよりもずっと強く上下する胸を見て、メビウスは輝かんばかりの笑顔を向けた。
「ありがとうございます、タロウ教官!」
「いいよ、これぐらい」
タロウはメビウスをソファに座らせると、さっき放り出したプレートを拾い上げる。これから採点するテストだ。
「今、紅茶を淹れてあげるよ」
「あ、紅茶なら僕が・・・・」
「たまに遊びにきたんだ。座ってなさい」
「すみません・・・・」
タロウは短く笑うと、タオルを濡らしてきてメビウスに渡した。
「じゃあこれで血を拭いてあげなさい。このネコも汚れたままじゃ嫌だろう?」
「はい!」
嬉しそうにタオルを受け取ったメビウスの頭を撫でて、タロウはキッチンに立った。
589名無しより愛をこめて:2007/04/06(金) 12:11:08 ID:d4uAbBDIO
>>587
禿ワロタぜGJ!そっちかいメビっ!リュウカワイソス・・・
590名無しより愛をこめて:2007/04/06(金) 17:17:20 ID:p6CiEZi/0
>>587
タロウの野望を打ち砕くために攻撃し掛けんのかよww
操縦者として売り込めば問題なしだよね(゚∀゚)
591名無しより愛をこめて:2007/04/07(土) 09:27:19 ID:7WiK64iO0
>>588
リライブ光線で癒されるネコイイ!(^^)メビが飼うことになるのかな?
592お帰り、メビウス1/6:2007/04/07(土) 22:24:46 ID:xK+pve6c0
戦い終わって、日が暮れて…ここは光の国。
戦友達には、惜しんでも惜しみ足りない想いを振り切るように別れを告げて、
メビウスは帰ってきました。

初マン「メビウスを見かけないがどうしだんだ?帰任の挨拶に養成所に来て
  いたのは見たが。」
新マン「休暇だそうですよ。」
セブン「休暇?実家にでも帰ってるのか?」
新マン「あれだけの戦いでしたからね。大隊長に挨拶したあと、倒れたそうですよ。」
セブン「そういや分解までされたそうだからな…じゃあ、メディカルセンターに?」
新マン「それが…」

ここで勝手に追加設定。
養成所は、全寮制を取っているため、舎監のほかにも教官職の者が交代で宿直に
付いている。筆頭教官ともなると、ほとんど宿直に付くことはないが、それでも
時として宿直勤務が必要となることもあり、そのため筆頭教官室の奥には宿直室
が設けてあり、寝具も揃っている。

筆頭教官室の宿直室のベッドで眠るメビウス。
レオ「過度の疲労で倒れたっと…で、なんでこんなところに寝てるんだ?」
アストラ「んー、この部屋の主が…ねぇ?」
80「いきなりテレポートしたもんだから、止める間もなくて」
レオ「入院したほうがいんじゃないのか?」
80「まあ、銀十字の隊長の見立てでは、落ち着いて休養が取れればどこでも
 構わない、とのことでしたが…」
レオ「で、部屋の主はどこにいったんだ?」
593お帰り、メビウス2/6:2007/04/07(土) 22:27:02 ID:xK+pve6c0
ゾフィ「じゃ、後は頼む」
エース「頼むって…あ」
後ろ向きで手を振るようにして、ゾフィはメディカルルームを出て行って
しまった。
エース「まったく…これは俺の役回りじゃないだろ」

大隊長に帰任の挨拶をして、部屋から出たとたんに倒れたメビウスをタロウが
受け止めたまではよかった。たまたま居合わせた母がメビウスの額に手をかざし、
心身の状態をスキャンする。
母「戦闘のダメージが相当蓄積されていますね。治療というより、十分な休養が
 必要でしょう」
母が言うと、タロウはそのまま自らの宿直室にテレポートしてしまったのだ。

こんこんと眠りつづけるメビウスの側で右往左往するタロウ。とりあえず見守る
ヒマ人達。(レオ・アストラ・80)←80は当然暇なわけ無い
タロウ「このままmが目覚めなかったらどうしよう…GUYS、イヤ、リュウにヤロウがあんな
 無理させたからだ…ダイナマイトだけで一体何回だよ…ゾフィ兄さんが大丈夫
 だって言うから俺は太陽に向かったのに…それなのに…のに…のに…」
と、徐々に周囲の気温が上がり始め、なにやら不穏な空気になってきたところで、
やにわにゾフィが後ろからタロウに近づき、当て身をくらわしてここまで引き
ずってきたのだった。
594お帰り、メビウス3/6:2007/04/07(土) 22:29:54 ID:xK+pve6c0
つか、あんな当て身あるかよ。並のヤツなら死んでる)
などと思いながら、スヤスヤ眠っていたメビウスとは対照的に、苦悶の表情を浮か
べるようにして眠っている(気を失っている、というべきか)すぐ下の弟を見下ろす。
いつの間にかエースの背丈を超え、今では見上げるほどに成長した弟。
(図体ばかりでかくなりやがって。まだまだだな)
ふと笑みがこぼれる。まあ、弟でさえこんなに気がかりなんだ。ましてや待ち望んで
いた下の兄弟、しかも「妹」ともなれば…。
(「妹」のうえさらに、か?)

自室へ戻ろうと廊下を進むゾフィ。前方から仰々しい一団がやってくる。今日の来賓
予定は…とゾフィが思い出そうとするより先に、一団の中心人物が話しかけてきた。
ユリアン「あら、どうしたの?こんなところで」
ゾフィ「これは…ユリアン内親王殿下。ご無沙汰をしておりました。今日は…」
ユリアン「公務よ。毎年この時期に銀十字軍の創立記念行事があるの。一応、名誉総裁
 になってるのよ。立場上の当て職みたいなものだけれどね。で、『妹』が帰ってきて
 るって聞いたものだから、後でちょっと顔を見ていきたいと思っているのだけれど。」
ゾフィ「ああ…実は(かくかくしかじか)」
ユリアン「まあ、そうなの。じゃ、今日はこのお花だけ預けていくわ。あとでゆっくり
 お話を聞かせて欲しいって伝えておいてくださいね。」
ゾフィ「ええ、それでは、お預かりします。」
595お帰り、メビウス4/6:2007/04/07(土) 22:33:00 ID:xK+pve6c0
「ん…」
どうやら目覚めたらしい。タロウはゆっくり起き上がると深呼吸をする。
タロウ「あんのバカ兄貴…殺す気かよ」
エース「お、生き返ったな。ったく、だいたいあんなところでダイナマイト構えるなよ。」
タロウ「(思い出してきた)あ、それは…その…」
エース「まあいいや。少しは落ち着いたか?落ち着きが足りんようならもう2、3回気絶さ
 せとけって言付かってるんだが」
不敵に笑みを浮かべるエース。メビウスの状態を思い出し、はやり始めた気持を無理に
タロウは押さえつけ、
タロウ「イヤ…大丈夫です。戻りましょう」
二人はメディカルルームを後にした。


部屋を出て、教官室に向かう廊下では先ほど部屋を後にしたはずのゾフィがユリアンと話
をしていた。
二人が挨拶をしようと近づいたとき、会話が漏れ聞こえてきた。

ユリアン「それにしても…眠り姫が目覚めるとしたら、決まってるわよね。その勇ましい
 お姫様は誰のキスで目覚めるのかしらね。」

エース「うわあっっっっ早っっ!」
ゾフィが振り返ると、エースが一人呆然と立ち尽くしていた。
エース「ちょっっっ、またテレポートしやがった」
追いかけるエース。ユリアンは無表情を装うゾフィと顔を見合わせるとエースが去った
方向に向き直った。
ユリアン「頑張ってね、80。クスッ」
596お帰り、メビウス5/6:2007/04/07(土) 22:35:44 ID:xK+pve6c0
タロウ「メビウス〜〜〜!」
レオ・アストラ・80「「「うおっっ!びっくりした!」」」
メビウス「ハイ?」
メビウスはベッドに腰掛けた状態で、とびきりの笑顔を向け返事をする。
タロウ「あ…起きてたのか…ままままさか…だだだ誰かにななな何かされてないか!?」
メビウス「え?あ、はい…」
メビウスの両肩をつかんだまま周囲をにらみつけるタロウ。訳が分からずガンを返すレオ。
肩をすくめるアストラ。ため息をつく80。やっと追いついたエースが事の次第を伝え、
あきれかえる面々。

その微妙な空気を救ったのはメビウスだった。
メビウス「あ、それよりタロウ教官、地球では本当にありがとうございました。」
タロウ「え?」
メビウス「地球での最後の戦いの時です」
タロウ「ああ。あのときは私は太陽に配置されたのだが…。」
メビウス「いいえ。それだけじゃないんです。あのとき、僕は一度エンペラ星人の
 レゾリューム光線で分解されてしまいました。でも、そのときウルトラダイナマイトから
 復元した経験があったからこそ、あの光線を受けても完全に分解されることなく生還でき
 たのだと銀十字の隊長から聞かされました。離れた場所で戦っていても、僕は教官に…
 タロウ兄さんに守ってもらっていたのだと…本当にありがとうございました」
まっすぐにタロウに向けられるメビウスの瞳。その瞳を見つめ返し、タロウは答える。
タロウ「当然だ。それがウルトラ兄弟の…俺たちの紡いできた絆だ。」←アレ、どこかで聞いたような
597お帰り、メビウス6/6:2007/04/07(土) 22:37:27 ID:xK+pve6c0
タロウ「だがメビウス、ダイナマイトの多用は良くないぞ。あれは命とひきかえにする
 性質の技だ。もしあの技で命を落としたら、そのあとは一体誰が守るんだ?守る側の者は、
 最後まで立ち続ける事が何より必要なんだ。」
メビウス「ハイ…おっしゃるとおりです。僕はまだまだです。これからも、よろしくお願いします!」
タロウ「よし、その意気だ。」

レオ「タロウ兄さん、なんかイイコト言ってるぞ。」
エース「さすがだな、『タロウ兄さん』」
アストラ「メビウス、良い子だなー」
80「はぁぁぁぁ。」←最近忙しくてユリアンをほったらかしにしてたらしい。

おしまい。
598お帰り、メビウス:2007/04/07(土) 22:47:14 ID:xK+pve6c0
あぎゃ、2/6間違いだらけ。
ヒマ人の中にレオは入ってないはず…orz
文中のmってのはメビウスです。

マン兄さん達も光の国に帰ったんですよね…。
勝手にいろんな方の設定その他を流用させていただきました。
初めてトライしてみましたが、書き始めると長くなってしまうものですね。
その割にはつじつまが合わなかったり…んー難しい。
どうも、お邪魔いたしました。
599名無しより愛をこめて:2007/04/07(土) 23:04:50 ID:spDquSFX0
楽しかったっすw
いや、人数多いからねぇ( ´∀`)
600名無しより愛をこめて:2007/04/08(日) 00:03:01 ID:d7kl8W+50
>>592-598
GJ!メビの素直さが本編とあってていい!
しかしタロウはメビにダイナマイト多用の注意をしてるくせに自分はどうなんだよw
それを見守ってる兄弟たちといい、タロウもメビ同様ほんと愛されてるよなあ

そういや今日近くで「メビウス&タロウショー」があったんで行ってきた。
侵略宇宙人を追って地球にやってきたタロウがメビの目の前でフィギアにされて・・・という
内容で、司会のお姉さんが新人?&悪役がライダーの敵みたいなキャラでショーに締りが無かったが
握手会のとき、タロウが息子と握手した後、自分にまで手を差し出してくれてちょっと感動したw
いやあやっぱタロウはいいやつだな(←単純バカ)
601鎖の紙反古 ◆smJNL9GJT. :2007/04/08(日) 12:31:25 ID:k8bziU4Z0
>>592-598 メビウスのない土曜日の寂しさを、埋めていただきました!GJ!
インパクトシリーズも読めるようになったし、なんかほっとします。。

ええと、鎖シリーズの最終回終了後日譚を、前後編で投下させていただきます。
「お帰り・メビウス」のお話の、地球編という所でしょうか。>>551-552の続きになります。
前編は4レス分で。「金的」は来週から再開します。
602花守の鎖 前編1/4:2007/04/08(日) 12:33:28 ID:k8bziU4Z0
闇の中に浮かぶ、ほのあかり。まかがやく月の光を受けて、青みを帯びたうすい
朱鷺色の花びらが、ゆらめく、夜。
「やっぱり、来てくださった」
満足そうに声を発して、見事に満開の、夜桜の木の下へと歩んでいく、一人の青年。
いまどきの男としては背の高いほうではないが、しゃんと伸ばした背筋と、落ち着いた
物腰とが、その育ちのよさと、百戦錬磨の戦いを経て培った、彼なりの自信とを示して
いた。
「きみには、ばれていると思っていたよ」
桜の木の下にたたずんでいる背の高い男が、顔を上げ、穏やかに言った。「おそらくは、
きみにだけではない、とも思うけどさ」月明かりに男の目が、きらりと二色の光を放つ。
「かもしれません」クゼ・テッペイは微笑んだ。「…すみません。黙っていようと思った
んですが。でも、もう、あなたしか、考え付かなかったので」すぐにまじめな表情にな
って、ていねいに頭を下げる。「来てくださって、ありがとうございます」
「頭を上げてくれ、テッペイ君」明日人はあわてて制した。「ガイズの諸君に知られるのは、
俺たちは一向に構わないんだよ。ただ、メビウスが…ミライ君が、あんまり一生懸命だっ
たものだから」「…そうでしたね」二人の男は静かに笑い合う。それから、少し切ない思い
で、ともに春霞の夜空を仰いだ。
テッペイは呟く。「ミライ君は…元気にしているのかな」
603花守の鎖 前編2/4 ◆smJNL9GJT. :2007/04/08(日) 12:34:31 ID:k8bziU4Z0
「正直、まだ、本当ではないんだ」明日人は眉を寄せた。「エンペラが、あの子の体を
破砕してしまったから。もちろん光の粒子はひとつたりとも失われたわけではないし、
あのときは、きみたちの協力で、いったん堅固な融合組成を果たしたおかげで、単体に
もどってもしばらくの間はエネルギーを本体をかたどった姿に保っていられた。でも、
それは一時的なものでね、破砕された体を、緊密な細胞組成の肉体に復元するのには、
かなり時間を要するんだよ。光の国の技術を以ってしてもね」
「それじゃ、その間、ミライ君は…」テッペイの表情も曇る。
「うん、実体がない状態が、もうしばらく続きそうだな。でもあの子は大丈夫。相変わ
らずさ。好奇心旺盛で泣き虫で、いまは回復後に就任する警備隊養成所の仕事のために
勉強してるから、過去のデータを、色々読んだりしてるわけだけど、突然感動したり、
涙ぐんだり、腹を立てたり、…全く、エネルギー体だけなのにこんなに感情豊かなのも
珍しいってあきれてたよ。今サポート役してる80がね」
「80?…タロウ教官ではなくて?」テッペイは目を丸くした。明日人は口元にかすか
な笑みを浮かべた。「…タロウ兄さんはね、心配性がすぎるって一時的に公式のお役目
からはずされちゃったんだ。だから、当座のあの子のケア・マネージメントを担当して
るのは80なんだよ。でも、代わりにプライベートの「友人」として自由に面会したり
リハビリの手助けをしたりしてる。公式のサポート役は、いろいろな部署との交渉もし
なくちゃならないけど、「友人」ならあの子のことだけ考えていればいいからね」「はぁ」
…ウルトラマンの世界も、いろいろ大変なわけですね。…テッペイは、かつて仰ぎ見た
赤い勇壮な戦士のイメージとのギャップにしばし目をぱちぱちとさせたあとで、いかに
も人の良さそうなその面立ちを穏やかな微笑でほころばせた。「すこし安心しました」
604花守の鎖 前編 3/4 ◆smJNL9GJT. :2007/04/08(日) 12:36:49 ID:k8bziU4Z0
三日前、明日人の元に届いたのは、ガイズの社用箋に書かれた一通の手紙。…
ご無沙汰しています。その節はお世話になりました。これからぼくの書くことが、
もし明日人さんにとって、全く心当たりのないことでしたら、どうか笑って読み捨てて
ください。でも、もしぼくの思っていることがあたっているのなら、お願いです、力を
貸してください。ぼくたちの大切な友人であるヒビノ・ミライ君と、なんとかしてもう
一度コンタクトを取りたいのです。もし、あなたがたのあいだに、今でもコンタクトが
あるなら、アクセスをすることが可能なら、どうか、どうか力を貸してください。土曜
日の夜、フェニックスネストの近くにある、丘の上の公園で、お待ちしています。…
改めて総監として執務するようになったサコミズ氏と警備隊隊長とのアクセスは、どう
やらイニシャティヴが隊長側にあるらしいし、ダンディー4も改めて帰還した。地球残留
組は、今のところ俺たちだけだよな、確かに。 …ほんのすこしため息をついてから、
明日人は、テッペイに連絡し、その公園で一番大きくて老齢の、この桜の木の下を指定
した。土曜日のスケジュールがすべて終了したあとの深更。春とはいえ冷たい夜気が闇
とともに辺りを押し包んでいる。こんなとき、いまや慣れ親しんだはずの鎖が、じんわり
と冷ややかさを増しつつ改めて左の太ももに食い込んでくる感覚は、四季の豊かな地球に
滞在するようになって初めて体感したものだった。時折からん、と音を立てるちぎれた
連輪にふれると、夜露の細かい水滴が指を濡らす。はらはらと散る薄紅の花びらのいくつ
かが、そこにくっついている。…これも命。一つ一つが、命の粒子だよな。「…明日の晩。
この木の、満開の、最後の夜。その、最高潮の花の、命の宴の力を借りるよ」
605花守の鎖 前編4/4 ◆smJNL9GJT. :2007/04/08(日) 12:40:06 ID:k8bziU4Z0
「でも、大丈夫でしょうか、今伺ったような状態だとしたら」「サポート役の承認は、一応
もらったよ。…「友人」のほうが多少厄介だけどね」「正直、伝言をお願いできるだけでも、
と思っていました」「あの子が一度言い出すとね、たぶん、誰も止められない」「…わかる
ような気は、します」くすっと笑った後で、なぜだか涙がにじんできた。「…明日人さん。
本当にありがとうございました」暖かい手が、テッペイの肩をぽんぽんとたたく。その
手の指に、赤い石を戴く銀色の獅子がきらめいていることに、初めて気づいてはっと
した。これの色違い、以前に。…顔を上げると、穏やかに微笑みながら、後ろを振り
返るように促す明日人。すこし離れたベンチに、シンプルなスーツをぴたりと身に着
け、淡いグリーンのコートを羽織った渋い男が、いつのまにか腰かけていた。立ち上が
って振り向いた厳しい面差しの、口元に浮かんだ微笑は意外なほどに暖かい。…つと、
テッペイの前後で不思議な光が輝き、一瞬ののちに彼は、おのれの眼前でサムズアップ
し合っている等身大の赤い勇士二人に、ちょうど挟み込まれるようにして立っている自分
に気づいて、ぽかんと口をあけたまま固まってしまう。だがたちまち歓喜が彼の全身に
あふれ、子供のころのままの憧れに瞳を輝かせながら、彼は、叫ぶ。「…レオ兄弟だぁ!!」 
 獅子座生まれの双子は、おかしそうに金色の目を見交わすとそのまま巨大化して春霞
の夜空へ飛び立っていった。やがて、われに返ったテッペイの耳に、穏やかな声のテレパ
シーが、届く。…それじゃ、明日。

***
後編は明日に。
606:2007/04/08(日) 12:42:38 ID:k8bziU4Z0
ごめんなさい、一つ目とリップ付け忘れた!!
陳謝。二回目ですね。スルーの人スミマセンでした。。orz
607名無しより愛をこめて:2007/04/08(日) 15:38:28 ID:VxRmC7as0
>>602-605

GJ!続き楽しみにしています!!
・・・誰か、帰還話、書いてくんないかな〜
608名無しより愛をこめて:2007/04/08(日) 18:47:36 ID:sjuELnus0
>>602-605
おかしい、テッペイがかっこ良く見える…が>「…レオ兄弟だぁ!!」
変わってないところがいい(笑)また楽しみにしております〜
609名無しより愛をこめて:2007/04/08(日) 20:23:29 ID:IoH2Yhit0
後編楽しみ〜(・∀・)!

テッペイって、本編でもリュウとは違う形でミライと深い関わり方してる
と思う。フェミゴンのときとか、メフィラス星人のときとか。

後半にかけて、トリピーと並ぶ勢いで評価うなぎ上りだったなぁ。
610名無しより愛をこめて:2007/04/08(日) 22:54:36 ID:sKVioI210
相変わらずかっちょいいなぁ、レオ兄弟…♥
テッペイもいいっすね。
611名無しより愛をこめて:2007/04/08(日) 23:50:34 ID:ZNOD3lMn0
リュウは、本編でもこちらでも「ウルトラマンだろうが、人間だろうがミライは
ミライだ!」という形で周りを押しのけての絆なのだけど、テッペイは逆に、
ミライがウルトラマンであることを頭で冷静に受け止めてから、その上で、
「それでもミライ君と絆を結ぶことはできるはずだ」という風に考えていそう。

SSというほどできたものではないですが、私は、もしGUYSの面々がミライに
コンタクトをとる、ということを仮想したとき、やはり最初に動くのはテッペイが
自然かな、と思ってましたので、ある意味ドンピシャの展開です。

で、蛇足的に付け加えると、それをサコミズさんに相談に行くけれど、サコミズは
それにとても厳しい条件をつける。(できないとは言わないことにしてます)
で、5人のメッセージと並んで総監のメッセージが付されたものが、ゾフィー
経由でメビウスのもとに届きます。よろこぶメビウス。ただ、それはメビウスが
乗り越えなければならない壁だった……。というプロット。

「メビウスは女の子」と、ちょっとずれてしまったかも。本編の2人の別れかたが
結構あっさりしていた関係で、例えば「万能」さんみたいな密着恋愛よりも、
相手に祈りを捧げる「片思いの延長」の方を連想してしまいましたので。
ちなみに自分で考えた題は「総監の遺言」。これでオチがわかっちゃいますよね。
失礼いたしました。
612名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 00:56:45 ID:ZfL+s+0H0
寝る前に覗いてみたら、熱心なテッペイ論が展開されていて、もしかしたら
自分の>>608のレスがきっかけかなと思いまして…1行目はジョークを入れたつもりですが、
舌足らずな書き方でしたかね(^^;) 不快に思われたらごめんなさいm(_ _)m

自分はテッペイについてはテレビ本編の「青い火の女」の回でのミライ=ウルトラマンとの
葛藤、「メフラスの遊戯」での、ウルトラマンを仲間として受け入れた上での冷静な行動が
印象に残っています。ただ基本的にはコミカルな部分が多いので、上のようなレスになりました。
鎖さんのお話は、色々な経験をしてきたテッペイをとても上手く表していると思います。

>>611さんのプロットは個人的にとても興味があるので、ぜひお話を書いてみたらいかがですか?
今までにないお話ができそうで楽しみです。

従来の職人さんも戻ってきて、以前の賑わいが出てきましたね。
あとは万能さんの作品の再開が待ち遠しいのですが…
613インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/09(月) 12:08:35 ID:r+hsnSRw0
フィフストレーニング4-5

「タロウ教官〜! いますかぁ〜?!」
「マックス! ゼノン!」
メビウスは窓の外から顔を出した二人を見て、エメラルドキャットを抱えたまま立ち上がった。
「二人共来てくれたんだ」
「どうした?」
ティーポットを抱えたタロウは、窓の外に張り付く二人を見て、また目を丸くした。
「今日は三人そろって窓から入ってきて・・・・」
「へへ・・・・」
「申し訳ありません」
「まあいいよ。一人も三人も一緒だ。座りなさい」
「はい!」
マックスとゼノンはメビウスの両隣に座ると、まだメビウスの膝で寝ているエメラルドキャットを覗き込んだ。
「もう大丈夫なのか?」
「うん。教官がリライブ光線をかけてくれたから」
そう言って見上げるメビウスに、タロウは笑い返す。
「それにしても、何処で拾ってきたんだ?」
「テストが早く終わったから、映画に行こうって街に出たんです」
「そしたらメビウスがこのネコの声を聞いて・・・・」
「へえ」
タロウの視線にメビウスは気恥ずかしくなったのか、少し頬を赤らめた。
「ごめん、二人共。映画に行けなくなっちゃって・・・・」
「問題ない。我々が正式に入隊すれば、Eランク待機でも呼び出しはあるだろう。それの事前訓練だと思えばいい」
「そうそう! 救助活動第一ってな」
二人の言葉に、メビウスは表情を輝かせた。
「ありがとう!」
「三人とも、大分警備隊員らしくなってきたな」
タロウは満足そうに頷くと、四人分のカップを並べて紅茶を注いだ。
614インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/09(月) 12:10:37 ID:r+hsnSRw0
フィフストレーニング4-6

「ありがとうございます。ですが、我々がここに滞在しても大丈夫ですか?」
ゼノンの言葉に、タロウは数年前のことを思い出した。
「大丈夫。今年の最上級生は皆ちゃっかりしているというか、要領が良いというか。テスト後に相談にきたことなんてないんだよ。
手がかからなくて大助かりさ」
メビウスもその言葉に笑みを漏らすと、紅茶を飲んだ。
「そうだ、こいつ誰かの飼いネコかな?」
マックスは綺麗になった緑の毛並みを撫でて、首の辺りを触った。
「お、あった」
ふさふさした毛に隠れた首輪を発見して、軽く持ち上げる。
「んっと・・・ナフタリって書いてある」
「ナフタリか」
「君、ナフタリって言うんだね」
メビウスはカップを置いて、ナフタリのお腹を撫でた。
「後は迷子ペットセンターに連れていけば大丈夫だな」
「はい」
お腹を撫でていたメビウスの手に、ナフタリの尻尾がゆらゆらと揺れて当たる。
「あ、起きたみたい」
ナフタリは億劫そうに顔をあげて大あくびをし、前足で顔を洗うと、自分を触っているメビウスの手を見た。
そのまま腕、肩、顔へと視線を移す。エメラルドグリーンの毛並みとは対照的な、金色の瞳がメビウスを見た。
「良かった、元気になったみたいだね。恐がらなくていいからね」
メビウスはそう言って、優しくナフタリの喉を撫でる。ナフタリは最初は嫌がるように顔を背けたが、次第に目を細めてメビウスの指に自分の顔や喉を擦りつけるようになった。
「結構ちゃっかりしたネコだな。さっきはメビを引っ掻いてたのに」
「警戒をする必要がなくなったからだろう」
「愛情を持ってちゃんと接すれば、どんな動物も心を開いてくれるよ」
タロウはエメラルドキャットをあやすようにするメビウスに、目を細めた。
615インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/09(月) 12:11:55 ID:r+hsnSRw0
フィフストレーニング4-6

   みゃう

ナフタリが、タロウの教官室で初めて声をあげた。
「声が出るぐらい、元気になったみたいだな」
「エサとかって何食べるんだろう?」
「ちょっと調べてみようか」
タロウが席を立って端末を立ち上げようとした時だった。
「え?!」
「どうした、メビウス?!」
タロウが振り返ると、メビウスの膝の上にいたナフタリが、一回り以上大きくなっていた。
「な、なっ?!」
全員が驚く目の前で、ナフタリはドン!と、また大きくなった。
「なんだこれ〜〜〜〜?!」
「エメラルドキャットって大きくなるの?!」
「ちょっと待ってくれ!」
タロウは慌てて端末に飛びつき、エメラルドキャットについて検索をかけた。
「わかった! エメラルドキャットは自在に大きさを変えらる!」
だが、振り返った時ナフタリは、既にメビウスと同じぐらいの大きさにまでなっていた。
「あわわ・・・・きょ、教官〜、もう支えきれ・・・・」
「おい、このままでっかくなったら、教官室壊れちゃうんじゃないか?!」
「外に出るんだ!」
ゼノンが窓を空け、マックスがメビウスと一緒にナフタリを支えて外に飛び出す。
「お、重い〜〜〜〜〜!」
「メビウスーーー!」
メビウスとマックスはほとんど落下に近い状態で、二人に抱えられたナフタリは、また体を巨大化させた。
616名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 12:21:39 ID:r+hsnSRw0
>>おかえりメビウス 情け容赦なく弟を気絶させるゾフィー兄さんとか、
タロウを焚きつけるユリアンとか、弟を大事にしているエースとか、
他にも登場キャラたくさんで、楽しませてもらいました!
なんか良いところとっちゃってますよ、タロウ兄さん! メビも素直で可愛いv

>>鎖 桜とレオ兄弟って、似合うね!「剣にこそ愛が必要なのだ」という某アニメの台詞を思い出してしまった。
ただの怪獣オタじゃない、細やかな心配りのできるテッペイさんが、格好良いぞ!

>>611 そのプロット、かなり良いと思います。ぜひとも書いて見せてください!!
できないとは言わない総監に萌え。
617名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 13:36:10 ID:SVCf7Kxi0
>>613-615
ナフタリとは今の(衣替えの)季節らしいいい名前だw。それにしても大きくなるとはオモシロイ
618Fly Away 1:2007/04/09(月) 13:45:59 ID:OcWihWJtO


あれから、数週間。
甚大な被害を被ったフェニックスネストの修復もほぼ完了し、倒壊・半壊した近隣の施設やオフィス街、住宅地などの再建も着々と進んでいる。

皆、それぞれの進むべき道へと戻って行った。
1人、また1人と。


あれ以来…あの最後の戦い以来、Guysには入隊希望者が殺到している。
新隊長としては嬉しい悲鳴、と言ったところか。何しろ面接だけでもひっきりなしで、ゆっくり昼飯を食べる暇も無い。

その日も午前中の予定が昼過ぎ迄ずれ込み、遅い昼食を簡単に済ませて午後の予定の時間まで一休み…

とウトウトしかけた所へ、先日配属されたばかりの新隊員・ツカモトが声を掛けて来た。
「アイハラ隊長、お休みのところ申し訳ありませんがお客様です」

619万能の神はいないXXX ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 19:43:33 ID:3HvC5Wsi0
 アク禁解除。
 ・・・お久しぶりです。仕事+風邪に負けておりましたorz
 えー万能の神はいないを投稿したいと思います。
 142から152、もしかすると+1ぐらいになるかもしれません。
 嫌な方はまた、スルーお願いします。
 いきなし長いわ、おまけにメビの出番がorz  再開早々こんなんで、ごめんなさい。

 しかし、最終3話・・・設定が完全に齟齬でorzです。
 ほかの事はともかく、人類に正体ばれはすりあわせが・・・orz
 そこのところ設定無視してくださいorz
620万能の神はいない142 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 19:45:49 ID:3HvC5Wsi0
 息がかかるほど顔と顔が近づく。間近から覗き込む目。
「『彼女』のために、あなたも動いてくれるのね?」
 先ほどまで彼女の首にかかっていたものが、手の上に置かれる。もう片方の手を握り締める、
女性の手のひらの柔らかさ。
「あなたに栄誉がもたらされます様に」

 彼らは彼らが考えた神への確信ゆえに、真の神を認めない。

「分裂した?」
「正確には分裂と一部は脱会、なんだけどね。これまた、妙に縁があるというか。・・・分裂
した、ええと、こっちの名前は『星の真光』といって少数派が分離したもの。それと信仰
から脱会した、本当の脱会者ね。どっちもあの大学の理工系の学生が多いんだよ」
「イミュニストといい、随分と人材が豊富な大学だな」
「イサナ!」
「ああ、リュウ、そこで切れない。イサナも腹立てているのは分かるけど冷静に」
 サコミズは苦笑する。科学の進歩を無条件に素晴らしいと幻想を抱けない時代。かつて
サコミズが宇宙へ志願した時は科学の進歩が直に未来へ明るい展望を感じさせたものだが。
「星の御光に限らず理工系の人間が科学や技術で壁にぶち当たると、新興宗教にはまる
ケースは多いみたいだね。おまけに地球防衛の歴史はいっちゃなんだけど、ウルトラマン
と切り離せないからね。生半可に知識がある学生や研究者たちが挫折するとウルトラマン
に縋っちゃう・・・。それで、実は脱会には博士が関与していたらしい」
「ええ?」
「前々からだそうだ。ウルトラマンを神に見立てたり、なんの疑問もなくウルトラマンに
地球人類の未来を丸投げするような考えは、あの人の主張する『地球は我々の手で守る
べきだ』と相容れない。時々激しく信者の学生と激論を交わしていた、と言うからね。
実際、何人もの信者を還俗させて、少々煙たがられていたらしい・・・。と言っても星の御光
の考えは『神(ウルトラマン)の御心のままに』清く正しく生きましょう、だから積極的
にあっちから博士を攻撃した話はないらしい。むしろ宗教から教え子を引っ張り出そうと
博士の方がやたら嘴を突っ込んで説教している方だったっていうし・・・ここ数ヶ月は病も
あって彼らとはそんなにやり合ってはいないらしいけど」
621万能の神はいない143 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 19:49:07 ID:3HvC5Wsi0
「・・・結構あちこちに喧嘩を吹っかけている爺さんなんだな」
 リュウはサコミズが目前であったが、つい呆れた感想を漏らしてしまう。
「紳士的な対応だからうっかり見過ごすけどね。ああ見えてもここ一番の度胸は半端じゃ
ないよ。おまけに実戦経験者特有と言うか、前線に立ったことのない高級官僚の言う事は
絶対に聞かないし、本人は気にしないけど若い人間じゃ面と向かって言い辛いしねぇ。
一の宮博士まで無理となると、個人的に面識があって、組織に残っていて、さらに地位的
にあの人を一応はものを言える人はタケナカ最高議長か僕位になる。まさか最高議長に
お言付けを頼むわけにも行かないから、消去法で僕なんだよ。それで本多博士も何とか
してくれって無理を承知で私に頼み込む羽目になったんだ。全く、度胸が良すぎる老人も
困るよね。そりゃあの時代に修羅場をくぐった人が、今時の観念ばっかり先走った青臭い
若造相手に尻込みするはずもない。宗教関係もイミュニストも、あの人にとっては同じさ。
見当違いの事を喚いているただの洟垂れ小僧なんだから」
「流石はサコミズ総監たちの恩師というべきか・・・」
「ま、そういう人だから、実は本人にその気はないけど、イミュニスト以外からの恨みも
一部買っているんじゃないかって可能性は否定できないんだよ。といっても、現状では
イミュニストが一番あやしいんだけど。しっかり遁走しているし」
「しっかり?」
「そりゃもう見事に。立つ鳥跡を逃がさず。身に覚えがあるしか思えない。パソコンを
溶かしてまで証拠隠滅だよ。ま、こっちはGUYS情報部の仕事だね。GUYSJAPANの
任務は怪獣災害の対応だ。僕らの職務の範疇じゃない・・・とはいえ、僕も事件当事者だし」
「・・・例の噂のせいですか」
 リュウの顔が固い。自分とミライを流言から守るためにサコミズが流したカウンターが
事件の発端であれば。
「・・・リュウ。忘れちゃいけない。悪いのは君達じゃない。いかなる主張・事情があろうと、
また、その人が如何なる身分・功績を立てた人であろうと、その犯罪を他者に転嫁する事
は許されない。罪を犯した者が罪を償う。それが法の正義と公平であり、また条理という
ものだ。犯罪被害者は自己を責め易いけど、それははっきり言ってお門違いだ。彼らの
悪行に君が責任を感じる必要は全くない」
622万能の神はいない144 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 19:55:09 ID:3HvC5Wsi0
 サコミズは淡々と告げた。
「前回と今回の事件の特徴を言えば、@宇宙ケシを動物、もしくは子供に投与。それを
陽動に使用している。A最終的な決定打は爆発物に頼っている。宇宙ケシの不確定性を
嫌っていると言える。B事前に脅迫が来ていること。そして現場において実行犯の姿が
視認できない。C攻撃対象がGUYSの関係者であること。ミライ、コノミは元GUYSJAPAN、
博士は設立当初の貢献者だ。僕もリュウたちもGUYS関係者――まぁこれは巻き込まれた、
と見なされているけど。まぁ平たく言うと僕の周辺だね」
 今回の事件での不幸中の幸いは死者が出なかったことだ。ミライの時に出せなかった
強制調査のカードが切れたのは、今回ミライの名前が出てこないからだ。ふと忘れがちな
ミライの存在を表に出せない事を痛感するのはこういう政治的な動きがある時だ。
「二つの違いはどうなんですか?」
「規模もそうなんだけど、ミライの時は爪が甘いというか、杜撰というか、計画をその場
で変えたり、試行錯誤・・・どこか行き当たりばったりな印象がある。今回は明らかに緻密だ。
広場の中央へ烏を追い込むように爆弾を配置、同時に気化した宇宙ケシを烏に吸収させる。
その烏に追いつめられるように非難小屋へ逃げ込むことを計算して爆弾を置いている。
あそこで安全な場所と言ったらまずあの小屋だからね。あの広場に人がある位置に来た時、
林周辺の爆弾にスイッチが入る。非難小屋の爆弾は内部で電源のスイッチが入れられると
起動するようになっていたらしい。あの頑強な建物の中で爆発すれば、僕らは大惨事でも、
外にはさほど影響がない。おまけに防風林に取り囲まれた広場にあった。あそこは発射台
が取り外されてから定期的に訪れるのは博士ぐらい。今の時期は学生も立ち寄らないし、
学生の興味をそそる対象も他にない。・・・変な言い方だけどあの場にいた人間以外に被害が
及ばないように配慮を感じるぐらいだ。ミライの時は偶然に立ち会った子供を巻き込んで
くれたけど、今回は極力避けている部分が見られる。例えば研究室にあの規模の爆弾が
仕掛けられてごらん。必ず学生からも死傷者が出る。今回は確実に仕留めようとする強い
執着と同時に、なにか不必要な死者を厭う・・・美学? 何かあるな」
「・・・それと、かなり内部事情にも詳しいですね」
623万能の神はいない145 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 19:59:10 ID:3HvC5Wsi0
「そう。イサナの言うとおり。大学の様子、博士の行動。よく知っている人間だよね」
「俺らは余計な部外者ってわけか」
 リュウがふん、と鼻を鳴らす。
「変に智恵がまわる奴がいるもんだな。アヒルの時も、ようはタレこみを装った知らせ
一本で全世界のGUYSを手玉に取りやがった」
「そうだね・・・一体のアヒルのおもちゃにケシを混入させた協力者が一人いたけど、基本的
に匿名一本であれだけ我々を引っ掻き回してくれた訳だ。あれで手を割かれてGUYSは
他の事に手が回らなくなったりしたんだ」
「なんつうか、テロを起こす連中にしてはスマートなやり口でしたね、あれは。最後は
頂けませんが――協力者は殺されたんですよね」
 イサナの言葉にサコミズはうなづいた。
「そう。急にあれで手口が変ったように見えたけど・・・確かに今回とアヒルのおもちゃの
撹乱・・・何か似ているな。この2つは同一人物が計画を立てたのかもしれない」
「・・・ミライの時は違いますか?」
「やり方は似てる。でも、こう、泥臭い? 現場で計画を変更したり、臨機応変といえば
聞こえはいいかもしれないけど、その場その場で泥縄っぽい行動じゃない。あの子供が
宇宙ケシの効果が持続している間に必ずしもミライたちの方へいくとは限らなかったよね。
そもそも最初は爆弾を別の場所につけるはずだった。けど、それだってミライが必ずそこ
に行くという条件が完全じゃない。また爆発場所に必ず行くように何かし向けているわけ
でもない。たまたま子供がウサギを見に行った、子供を追いかけていったコノミの悲鳴を
ウルトラマンの聴力で聞きつけたミライがその場に行った。うまく条件が重なった。
――凄惨なことに目が行くけど、どこか運に頼った甘っちょろい印象なんだ。対して今回は
かっちり計算をしていたって感じだ。不確定要素は僕たちが来たことぐらいか。それでも
当初の計画通りに推し進められた・・・仕掛けがすでに完成していて変更ができなかった
のかもしれないが・・・ミライの時と比べて完成度が高かった。冷静に計算していた」
確かに、イサナも聞いていてぞくっときた。ミライの時はむしろ憤りを感じた。しかし
今回は確実に抹消してやろうという決意を感じてぞぞっとした。この相手から受ける差異。
「しかし、分からないな・・・」
「サコミズ総監?」
624万能の神はいない146 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 20:04:08 ID:3HvC5Wsi0
「いや、博士本人も言っていたけど、なぜ今、なんだ。過去のあの人ならともかく今の
あの人を狙うのにここまで大仰にする必要があるのかってね。事実上引退し、名声と業績
はあるけど今現在、影響力は殆ど無い。在野の老人一人をターゲットにするには大掛かり
過ぎだ。仕掛けも凝り過ぎな気がする。あの人はまともに脅迫を取り合っていなかったし、
あそこまで大仰な仕掛けにしなければもっと狙いやすい。僕と違って四六時中ガードが
ついているわけじゃなかった。単に犯人にとってはターゲットが偉大に見えた可能性も
あるが・・・いや、早計は禁物だな・・・」
「まぁ分析とか対策は本部直属の情報部の権限でしょう。俺らが管轄を越えて必要以上に
首を突っ込むわけにも行きませんから。せいぜい降りかかる火の粉を振り払うぐらいで」
 現在、GUYSJAPANの管轄にどうどうと首を突っ込んでいるオーシャンの隊長は、
いけしゃあしゃあとのたまう。
「・・・例えばこれはJAPANの管轄内に収まっているリュウの尾行騒ぎ、星の御光の件ですけど、
保安部のほうからは?」
「それが今回の騒ぎの方に目が行っちゃったと言うか」
「・・・仕方ないですけどね」
 実際のテロ未遂と、単に尾行、では(しかも前者は総監まで巻き込んでいる)。
「最高議長からの方からは?」
「星の御光と星の真光、それぞれに人を潜ませてあるそうだ。星の御光は・・・危機に際して
は万事ウルトラマン任せだが、分裂した星の真光の方が積極的な性格をしている。リュウ、
君の後を付回したグループはむしろこっちだ」
「積極的ですか?」
「ウルトラマンに全面的に頼り切るのはいけないって考えになったらしい。共に戦おう、
彼らの危機には立ち上がろう、がスローガンなんだよ」
「まともなこと言っているじゃねぇか」
「・・・リュウ、言いたくないけど、今回、一番に疑わしいイミュニストも基本的に主張する
根本はまともなんだ。過激な表現だけど、地球防衛は地球人の手で、と我々の気持ちを
代弁する一面すらある。だが言葉がどんなに美しくても内実を伴わない相手を僕は信用
できない。ましてや自らの正義で他者を傷つけることを躊躇しない相手にはね。星の真光
だって分かんないよ。イミュニストほど目だって悪さはしていない。けど、君を尾行した
人間がいたことを忘れないでくれよ」
625万能の神はいない147 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 20:07:45 ID:3HvC5Wsi0
「確か、こっちも博士のいた大学の学生やOBが多いって話ですよね」
「イミュニストほどの比率じゃないけどね。分裂騒ぎの中核になったみたいだよ。・・・確か
に博士の門下生なら口すっぱく『地球は我々の手で』と言われ続けてはいるだろうけど、
さてウルトラマンの依存者がいきなり自立できるか」
「手厳しいですね」
「まぁね。ただ、前は軽視されていたけど、妙に視界のすみに入るようになったでしょ。
今回の分裂騒ぎといい、なんか動いている」
「・・・しかし昨日見てきた分には、そんなばたばたした感じはなかったなぁ」
「お前・・・! 一人で出歩くなって言っただろう!」
 リュウの剣幕に首をすくめたのはツヅキだけだ。サコミズのとがる視線にも、当の
イサナはと言えば平然とコーヒーの香りを楽しんでいた。
「全然危ないって感じじゃなかったって。今、ウルトラの父光臨祭が近いし、部外者も
結構出入りしていたし」
「・・・ツヅキ、絶対こいつから離れんな」
「いや、今日はワンコがいなかったらどうよ。GUYSJAPANの総監に隊長に隊員、
あそこにいた全員下手すりゃ仏様、一番マシでも一人はあの緑川って情報部の男の二の舞
じゃないか。言っとくけど、今日のアレはワンコがウルトラマンだからあの程度ですんだ
って事を忘れないでくれよ。あの場にワンコがいなっかったらマジしゃれになんねーって」
実際、話が届いた時、イサナは猛烈に腹を立てたのだ。「お前はくんな」とリュウから
言われた時、なぜ自分は素直に従ったのか、と。ツヅキがまだこの男の側にいてよかった。
「だからといって、君が一人で動くのも良くないよ」
「そうだ。一人で勝手に動きやがって」
「でも人手割けられないでしょ。他のリュウの部下にはびみょーに反発食らってるぽいし」
 そう嘯いてイサナはコーヒーに口をつける。すると沈黙していたツヅキが口を開いた。
「承諾が取れました」
「承諾?」
「はい。イサナ隊長にタロウ教官が付いて下さるそうです」
 イサナはあわやコーヒーを噴出するところだった。寸での所で醜態を晒すのを回避すると
イサナは渋い顔でこの天然な新人ウルトラマンに体ごと向き直った。
「一体何時、承諾を取ったのかな、ツヅキくぅん?」
626万能の神はいない148 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 20:13:03 ID:3HvC5Wsi0
「たった今です。テレパシーで相談しました。メビウス先輩も同意して下さいましたが・・・」
ツヅキは自分がイサナに対し、滅多にない強烈な不意打ちを食らわせた事実に気付いて
いなかった。イサナの態度に戸惑ったように首をかしげる。
「僕は何か変なことを言いましたか?」

 すっと背筋がたった、守る為に戦う意思を見せる顔。
『あの男』と話し合った後、不安定さが消えた。
「タロウ兄さん、イサナさんをお願いします。周りには危ないって制止するのに、自分は
危ないことを平気で請け負うところがあるんです」

「赤塚さん達が一緒にいてくださるから大丈夫、イサナ隊長が一人のほうがよほど危ない
って。先輩も自分はウルトラマンですから、心配しないでくださいって言っています。
気を悪くされるかもしれませんが、臨戦態勢に入った僕達に物理的な危害を加えるには
国家レベルでも相当大掛かりな手段を講じないと・・・普通の地球人にはまず無理な話です」
 ・・・結局イサナがツヅキの『好意』に折れた。3人の方に理があったし、そして、何より
口にしなかった最大の理由――あのお綺麗な依存集団のところへあの純朴な青年を連れて
行かずにすむからだ。
 しかし、この人物もウルトラマンだ。ベテランを新人と同列には扱えない。が・・・イサナ
はタロウにツヅキを連れて行くことに抵抗を覚えた理由を車内で告げた。
「ツヅキには悪いことをしたと思っています。・・・免疫がなかったのにいきなりあてちまうような目にあわせて。
はっきり言って、貴方達には気持ちのいいものじゃないでしょう」
「シークウァルからは記憶を『見た』。随分気を使ってもらったな。礼を言う」
「俺もあいつが可愛いですから。・・・変な言い方かもしれませんが、図体はでかくても
あいつはまだまだ子供って感じがします。ミライも似たような印象です。ミライはもっと
純粋培養な感じがしますが」
「・・・メビウスは同学年の中でも細くて小さかったからな。おまけに女の子で留年がざらな
養成所で飛び級をした。幼かったし、メビウスの性格もあるだろうが、大概は経験する
学生時代の悪行から周り中によってたかって隔離されてしまったきらいはあったんだ」
627万能の神はいない149 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 20:20:05 ID:3HvC5Wsi0
 おそらくはその筆頭だったのではないか、と見なされる男がため息をつくのを見て、
イサナはなるほど、と思った。メビウスはとんだ箱入りウルトラマンだったわけだ。
「あー、なんとなく、周囲が超過保護になっちゃうんですね。GUYSJAPANでも
似たような状況になっていました。イケナイことからついつい遠ざけちゃうような」
「・・・私は大丈夫だ。メビウスやシークウァルのような純真な擬態型じゃない」
「セリザワさんに憑いたヒカリみたいな? そういえば東光太郎、と名乗っていましたね」
「いや、純然たる憑依型でもない。今は理由があって分離した」
「一緒になった後、分離なんて出来るものですか?」
「できる。が、分離といっても完全に融合前の人間とウルトラマンに戻れはしない。融合
が進んでいるのを半ば無理やり分けたからな。1年程度ならまだしも、私の場合はかなり
時間がたってからの分離だ。おまけに私達は屈指の融合率を誇っていた。今も私の中に
光太郎であった部分が残っている。間違いなく光太郎の中にも私が残っている」
 彼の視線が何かを見ていた。遠く、寂しげに、愛しむように。
「だから安心してくれ。人間についてはあの二人ほど無知ではない。光太郎と融合した際、
彼と共有した記憶も私には残っている。光太郎は相当無茶な男だった――少し記憶を探る
だけでも必ず1つや2つ、とんでもないものに出くわす。その中には結構な修羅場がある」
「修羅場?」
「私と融合する前は世界各地を旅していた。その中には紛争地域もかなりあった。悲惨な
光景を目にしてあいつが立ち尽くしている記憶もあったよ。それでもあいつは世界には
美しいものが沢山ある、と思っていた。人間にも同じだ。一部には汚い心の人間もいる。
しかし、多くの人間は皆美しい心を持っている、と。光太郎の影響かな。・・・私は地球人
として生涯をまっとうしたかった。諸事情で叶わなかったが」
「・・・ひょっとするとあの二人が俺たちに物凄く好意的なのは貴方のおかげかな?」
「本人の気質だろう。影響を与えたとしても私ではなく『光太郎』の方だろうな。それに
初めはともかく今も続いているのは、あの二人が経験したものが裏付けたからだろう」
「いや、ちょっと少し過保護にしすぎたかな、とは思うけどね」
628万能の神はいない150 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 20:41:02 ID:3HvC5Wsi0
 ・・・初めて対面した時、正直驚いた。漏れ聞いたコクピットの中の会話から『ミライ』が
メビウスとあたりはつけていたが・・・実に先入観を裏切る存在だった。
 なにせあれだ。一体誰がウルトラマンをあんなぽやぽやした存在だと想像するだろうか。
 チームが一丸となってイサナという『外部』からミライを守り抜こうとしていたか、
思い出すだけで妙におかしい。皆に守られているウルトラマンというのもまた。
 怪獣や侵略者から人類を守ってくれる光の巨人。そのウルトラマンの人間の姿。
 逞しい、戦いを生き抜いた猛者と。そのイメージならこの先達などはるかに、らしい。
 最初に彼に出会っていれば自分の期待は全く裏切られなかっただろう。だがこれ程まで
に関わる事も、またなかったような気もした。
「・・・つけている車があるぞ」

 ヒデアキの運転は快調だ。リョウスケはため息をつく。初めは独自に調べてやる、のはずが。
「それで、なんであの二人をおいかけることになるんや」
「・・・だって保安部の捜査の進展、殆ど進んでいないのよ! アイハラ隊長の件なら、余程あの二人の方が動いてそうじゃない」
 『また』こじ開けたんかい。リョウスケはため息をついた。洗いざらい情報を引っ張り出していた
チャコが「ろくに進展していないじゃないの!」と、ぶちぎれたのは記憶に生々しい。
 自分の権限内に、例え同じJAPANの部署でも踏み込ませたくない。縄張り意識は確かに
存在する。そうして慇懃無礼に、殆ど情報をよこさなかった保安部の折衝相手に、表面上は
引きつり気味とはいえ笑顔を貼り付けていたチャコだったが、折衝直後にPCに向かっていた
後姿に黒い炎を感じたのはリョウスケ一人ではあるまい。

「あの男の部下だな。男二人女一人。ハタ・リョウスケ、サッサ・ヒデアキ、ニッタ・チヅコ・・・
仲間内ではチャコと呼ばれている」
「あー、なんか言ってたな。チームの過激派二人にお目付けつけるって。・・・しかしその3人がまたなんで」
「私服になっている。ひょっとすると隠密行動をとるつもりだったのかも知れんな」
「・・・暴走体質もリュウの部下か」
 本人が聞いていれば、俺はそんなに暴走してねぇ、と盛大に文句をつけているだろう。
が、生憎はこの場に不在だ。異議申し立てはなされない。
629万能の神はいない151 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 20:43:39 ID:3HvC5Wsi0
 この時、躊躇しなかった、と言えば嘘になる。だがこの瞬間イサナは決めた。かけても
いい。ここで無視してもこいつらは自分の行く先に首をつっこんでくる。

「あら、この間とはお連れ様が違うのですね」
「ええ。あ、この人は長く宇宙にいて地上は久しぶりなんですよ」
「はじめまして」
 爽やかに微笑まれ、管理人の女性が「あら」という感じで頬を赤らめる。彼女だけで
なく周辺の女性もちらちらと視線が向かっている。
 すげぇ効果覿面、とイサナは感心する。これが意図的でないところがまた凄い。
 ・・・チャコが微妙な表情でその様を見ている。

「と、いうことで、3人をデートに連れ出しますが、はい。と、言う事でぇ、リュウと
サコミズ総監には許可もらいました。ヨロシク!」
 約一時間前のことだ。
 チヅコ――チャコの眉間に思いっきり皺が寄っている。それを認めてため息をつく。
隊長も色々やな、とリョウスケは思う。よくまぁこれで、と思うぐらいリュウとイサナ
は性格が違う。あれで仲がいいのだから人間の相性というのは分からない。
 リュウは無骨で熱血漢、こちらはなんと言うか・・・色男だが軽すぎる。
 ただ単に軽いだけの男が隊長を任じられるはずがない。そう分かっていても、色々と
チャコの神経に障るらしい。
「で、どこにお誘いくださるわけで?」
 通信を打ち切ったイサナに、ヒデアキが問う。何しろ武器携帯を確認されたのだ。
 イサナはにやりと笑った。
「なに、少しばかりウルトラマンを拝みにいくのさ」

「分裂しちゃったんですね」
「・・・ええ。大学にいるような若い子達の一部が出て行きました。・・・正直心配なのです。
少し、行き過ぎるところがあって」
「行き過ぎ?」
「お恥ずかしい話ですけど、独断で人を動かして人様に迷惑をかけてしまいましてね。
強く叱咤したばかりなのです」
 嘆かわしい、と首を振る。
630万能の神はいない152 ◆F4InWXB3Ok :2007/04/09(月) 20:46:07 ID:3HvC5Wsi0
「我々は身を正しくあれ誤りを正しなさい、とは唱えています。ですが、だからといって
他者に強要は出来ません。いくら正しいことであろうと自発的に行わねばなりません。
ましてやそのことで人に迷惑をかけていい訳がありません」

「拍子抜けしただろう?」
 イサナはリュウの部下に告げた。
「あ、はい」
「まぁ、確かに・・・」
「善人やなって」
「それだけに俺たちにとっちゃ厄介かもしれないぞ。地球の危機はウルトラマンにお任せ
で、自分たちで戦おうって気がてんで無いんだ。あんな連中ばっかりになったら滅びる
べくして滅ぶ星になるぞ。ウルトラマンだってそいつは望んじゃいない。地球は地球人の
手で守るって気持ちを忘れちゃお終いだ」
 地球防衛に携わる者としてイサナの掛け値なしの本音だ。
僕らは地球人をそんなひ弱な存在にしたい訳じゃないです。
 絞り出されるように出された、あの言葉もまた。
「次は、やんちゃな方だ。万が一、俺らが戻ってこなかったら、すぐにリュウかサコミズ
総監に伝えてくれ。またやばい雰囲気を感じたらすぐ逃げろ」
「そんなに危険、ですか?」
 ヒデアキの表情は幾分硬い。
「リュウを付回したのがどうやらこっちらしいからな。万が一だ。・・・一般市民に開放して
いるところで何かやらかす危険性はないだろうよ」
「イサナ隊長。私が一緒に付いた方が自然です」
「お連れしたお嬢さんを危険にさらすわけにはいかないよ」
「私もGUYS隊員です! 女だからって除外しないでください」
 きっとチャコがにらみつける。あちゃぁ、という風にリョウスケが自分の顔を押さえて
いる。・・・どうも地雷を踏んだらしい。そういえばリュウが言っていた。イサナは息をつく。
「失礼した。聞くが、前の騒ぎの時にリュウを出迎えたか?」
「出迎えたのはワタルとミハルです。俺たち3人は待機でした」
「なら、お前たちの顔は見られていないな――」

 今回はここまでです。
631名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 20:58:29 ID:1wH42EZW0
>>万能さん、お久しぶりです♪
連載の再開、待ってました!!!
本編は終わっちゃいましたが、万能さんの世界は続いて行って欲しいです!

本編の正体バレ>>

気にしないで、このまま万能さんの世界観でれっつらご〜♪で(笑)
632名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 21:53:25 ID:awdVKRtp0
と言いつつ残り容量が気になる罠
結局次スレはどうなんの?
633名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 23:10:10 ID:cTWdtOVCO
ウザイから立てるな
めざわりだ
ミクシィ池
634名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 23:15:59 ID:ZfL+s+0H0
万能さんの作品が一気に!再開おめでとうございます!楽しみにしています。
インパクトさんも週明けでたくさん来ているし&気になる新作?が。
確かに容量、そろそろですね
そういえば鎖後編はまだ…?
635名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 23:25:39 ID:cTWdtOVCO
うぜぇから次スレ立てるなミクでやれ
636名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 23:38:39 ID:cTWdtOVCO
マンコ
637名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 23:40:01 ID:++W+Qoet0
>本篇の正体バレ
そうそう、小さな設定はともかく、大きな部分は気にしないでいいですってw
だいたいミライが人妻だしww
638名無しより愛をこめて:2007/04/09(月) 23:48:55 ID:cTWdtOVCO
もう次スレ立てるな!
放送終わったんだろ!
ミクでやれ!
639名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 00:17:43 ID:nr5Vm6ES0
現スレで議論の的になったあたりを読み返せば、「私のスレの掟」が解って
くるのではないでしょうか。
特に36・56・65・114・121辺りの意見は、参考にした方がいいかもしれません。
異論もあるかもしれませんが、私のスレの性質考えれば致し方ない事だと思うのです。
今まで書く方も読む方も、荒し等が来ないのに甘えて、私のスレ内である事を忘れて
自由にやり過ぎて来た所もあるかもしれません。
(最近も「初心者が多い」、との書込がありましたし)

ともあれ、ss書く人が増えるのは嬉しい事です。
デビュー作、簡潔に上手くまとまってて、楽しかったので次も楽しみにしています。
640名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 00:41:44 ID:GBa2TlfE0
万能さん、まっておりましたっ!応援しています。
641鎖の紙反古 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 01:49:08 ID:QcUKl0NZ0
こんばんは。日が変わってしまいましたが、鎖の後編です。
すいません、帰宅が遅かったもんで。
では、後編。7レス分(アンバランスやねえ)
642花守の鎖 後編1/7 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 01:51:03 ID:QcUKl0NZ0
こんばんは、リュウさん。…よお。どうしてた? 光の国で、すこしのんびりして
ました。友人に会ったり、本を、読んだり、して。 ウルトラの国にも、本なんて
もんがあるのか。 はい。地球のとは、形態が違いますけど。それで、あとは定期的
にメディカ…いえ。 んなとこで、気なんか使うな。まだ、からだが本調子じゃない。
だからあっちで医者にかかってる。…そんなとこだろ。 はい。…バレバレですね。 
無理させたんじゃねえのか。ごめんな。 いえ。だって、ぼくが、…ぼくが来たか
ったんですから。大丈夫です。無理はしません。月が沈むまでの、間だけ。 …そか。

 見上げるばかりの巨木の桜は、大振りの枝を、リュウの頭上に広げていた。
そのどの枝にも、鈴なりの、花。薄紅というよりは、夜目にむしろ白く、時折吹く
風に、うなずいて見せるかのように揺れている。その花越しに、今宵も浮かぶ、見事
な月の珠。そして。…
 リュウは、思わずつきかけたため息を、こっそりと呑み込む。
「…けどお前さ、何で桜なんだ?」
「はぁ。おかしかったでしょうか」
ふわふわした茶色の髪の頭が、かすかに横にかしげた。 
「おかしかねえけどよ。桜、特に夜桜ってのはなんか老成してるってか、おとなっ
てか。お前の柄じゃねえ」
643花守の鎖 後編2/7 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 01:53:38 ID:QcUKl0NZ0
「ひどい、リュウさん。ぼくだって、子どもじゃないですよ。それに、年齢だって、
ほんとはリュウさんよりずっと年上なんですから」
「俺の言ってんのは精神年齢だよ。お前は、そうだな、保育園とかでよく咲いてる、
赤いチューリップな。ああいう単純で明るいのの方が、似合ってるぜ」
「見たことあります、コノミさんのところで!可愛い花ですね。中から、女の子が
出てくる花ですよね!」きゃらきゃらとはしゃぐ姿は前とすこしも変わらない。
「…コノミのヤツ、現実と絵本の世界とをごっちゃにしてやがるな。ま、いいけどよ」
正直、こいつなら、マジであの赤い花の中から笑って出てきそうで。だけどきっと、
モグラともカエルとも、友達になっちまうんだろうな。…苦笑しながら、ほっとする。
けど。そう、明るい日向の、青空の下の花畑。単純な色彩の、能天気な花壇。そん
な場所で、会えたのだったなら。…いつもの、お前でさ。
見慣れた姿よりも、やや長めに、肩まで伸びた茶色の髪が、ふわふわと夜風にたなび
いている。最初に会ったときと同じ紺色のGジャンを羽織って、相変わらずのベージュ
のコットンパンツを身に着けているのに、頭上ばかりでなく、地上近くにまでも、盛り
の花をさしのべてくる桜の枝のせいで、まるで、白いふわふわとしたスカートをまとっ
ているかのように見える相棒に、無骨な鼓動がとどめようもなく、高鳴った。…
いつか、あったっけな、こんな、こと。そうあの時も、月がきれいで、お前が。
…くそぉ。だからなんで夜桜なんだよ!…なあ、ミライ。俺は。

「チューリップでもよかったんですけど。でも、この季節に、一番強いエネルギーを
放っていて、月や星の光を吸収できる花っていうと、桜が一番だって。半分実体を失
ったような存在に、これまでも力を貸してきたことが、幾度となくある不思議な花な
んだと、教えてもらいました」白い指が、目の前の桜の枝に、そっと触れた。
(…ちなみに、この邂逅のセッティングをしたのが誰なのかを、リュウは知らない。)
644花守の鎖 後編3/7 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 01:55:41 ID:QcUKl0NZ0
なあ、ミライ。実体がまだ完全じゃないお前に、渡すのはひょっとしたら無理かも
しれないけど。…みんなで作った。もし可能なのなら、お前に持っていて欲しい。
俺はガイズに残るけど、あいつらはガイズを離れる。それぞれの世界でまた頑張って
いくんだ。約束、ちゃんと守ってほしいって、言ってたぞ。試合、見に行ってやれよ。
そのそれぞれの世界で、みんな、お前の作ってくれたお守りを持って頑張るんだ。
だからな、お前にも、ガイズを離れても、友人である証として、コイツを持っていっ
て欲しいと。

リュウが差し出したのは、いびつな形の金属でできたペンダントだった。その表面
に、慣れ親しんだ模様がくっきりと浮かび上がっている。
「…ファイヤーモード、ですね」にっこりと、手のひらのそれを見つめるミライ。
「そうだ。メビウスの姿で携帯するのは難しいかもしれないけど。お前、返しちまった
から、メモリー・ディスプレイをさ。…もちろん、いざとなれば、お前のからだには、
ファイヤーモードが浮かび上がるわけだけど。けどさ、お前が、作ってくれたろ、
みんなに手作りで。だから、同じことを、俺たちも返したかった」
「ありがとうございます。ちゃんと持って帰ります。大丈夫です」ミライは、金属片に
通された皮の紐を、首から下げた。「似合いますか?リュウさん」うれしそうなミライ
に微笑みつつ、リュウはぽそりと言った。「それな、『俺たちの翼』でできてるんだ」
「え?」「ぶっこわれちまったけどな。俺たちが名前書いたとこのあたりだけ、奇跡的
に残ってた。そいつはその一部だ」かすかな笑みを浮かべたまま、リュウは、空を仰ぐ。
「俺たちの、絆だ」
「…大切にします」ミライは胸元に下がった「絆」を、両の手で握り締めた。
「…何だ、また泣いてやがる」「泣いてませんてば!」ミライはあわてて鼻をすする。
「…ただ、皆さんにも、お会いしたかったなぁと」「あ、ああ」リュウは、少しばかり
複雑な面持ちになって鼻の頭をかいた。…くそ、あいつらは、全く。鈴なりの桜が、
クルーの声で笑ったような気がして、憮然とする。
645花守の鎖 後編4/7 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 01:56:47 ID:QcUKl0NZ0
 「ほんとに、これでいいのかい、テッペイ君」満開の桜の巨木から、すこし離れた
芝生の上で、ぼんやりと空を眺めているテッペイに、となりに腰をおろした明日人が
しずかに声をかける。「…ええ。みんな、納得してますよ。だって、ペンダントのこと
だけなら、もう少し先でもよかったんです。でも、もう一つのほうは」
穏やかな面差しに、不思議な力強さを感じさせる、ほほえみが浮かぶ。「どうしても、
ぼくたちが、ガイズにいる間に、お膳立てしたかった」「…なるほどね」「…リュウさん
は、隊長になる。隊長になったら、仕事を理由にまた自分をごまかし続けますよ、彼は。
…意地っ張りで、強がりで、照れ屋で。最後の最後だって、ほとんど何もいえないで、
ミライ君が飛び立ってから空に向かって叫んでいた。…そんな彼が、毎日こっそりと
車庫内にこもって。何をしてるのかと思いましたよ」それが分かったとき、どうしても、
ミライ君にコンタクトをとろう、そうみんなできめたのだ。
 最終戦のあと、ぼろぼろになったフェニックスネストを修復し、残骸の中から、取り
出せるものは取り出そうと、泣き笑いしながらみんなで作業を進めた。割れたコーヒー
カップや、すすだらけのウサギのぬいぐるみや、溶けかけたソフビ人形のコレクション。
オーナメントとエンブレム。それらにかかわった、どの場面にも、ミライが、いた。
笑いながら、泣きながら、怒りにこぶしをぶるぶると震わせながら、いつも、そこに、
ミライが、いた。…どのくらい、その存在になごませられたろう。どのくらい、その
存在に助けられたろう。そして、どのくらい、その存在に教えられたろう。
「しあわせになってほしいんです。…しあわせになれると、伝えてあげたいんです」
今度こそ、これが最後の、ガイズ・クルーとしてのぼくが、このかけがえのない仲間
のためにできる唯一のこと。「ありがとう、明日人さん。いいえ、アストラさん」
少年のような瞳の地球の友人が、礼儀正しくさし出した手を、明日人はしっかりと握
り返した。…
646花守の鎖後編5/7 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 01:58:25 ID:QcUKl0NZ0
いつかのメビウスのような、朧な真珠色の光を放って、桜越しの月が、おだやかに
微笑んでいるような春の夜。無骨な男はにわかに相棒に背を向けると咳払いをする。
「で、あれだ」「はい?」「俺は」そのまま急激に振り返ると、距離感が掴みきれずに、
相棒の鼻先にまで身を乗り出した形になって、リュウはあわてた。だが、動じること
もなくにっこりと両手で彼を支えようとしたミライを、彼は唐突に抱きしめてしまう。
「お前…ほんとに、実体がないのか? ちゃんとこうして、お前に、触れることが、
できるのに」
抱きしめた相棒の、手も、頬も、冷たい。…でも、それは春の、この花冷えのせいで。
「大切な人」に抱きしめられたまま、ミライはゆっくりとつぶやく。「全くないわけで
はありませんよ。だいぶ、戻っています。だから、分かります。リュウさんが、暖かい。
リュウさんの心が、暖かい」ふわふわとした長い茶色の髪が、花びらとともにリュウの
首筋を撫でた。風が、強くなる。リュウは目をつぶったまま、ポケットから取り出した
ものをミライの手に押し付けた。「…やる」「?!」
「リュウさん、これ…」「彫金てのはペイントと違って、難しいもんだな。単純なギザギ
ザみてえにみえるけど、一応ファイヤーモードのつもりなんだ」「リュウさん…」
「もって帰るのは、やっぱり無理かな。光に戻ったとき、すりぬけちまうかな」
「大丈夫、です。でも」「うん?」「おねがいがあります。リュウさんが、はめて下さい」

リュウは、満開の桜の中で、いまやはっきりと少女とわかる姿となって凛とした微笑と
やわらかなまなざしをこちらに向け、左手を差し出す相棒を、まっすぐに見つめ返した。
「ココですよね」「…ミライ…」「心臓に一番近いと、最近読んだ本に書いてありました。
地球で、大切な人からもらった指輪は、ここにはめるのだと。リュウさん、リュウさんが、
はめて下さい」
647花守の鎖後編6/7 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 01:59:52 ID:QcUKl0NZ0
 かじかんだ指に、かすかに重くて、くすぐったい、小さいのに不思議な存在感。
はめられたそれを改めて見つめる暇も有らばこそ、無骨な暖かい手に両手とも包み込まれ、
もう一度しっかりと抱きしめられてしまう。だがそれは、さいぜんの、仲間へのハグと
は似て非なる、ミライにとっては生まれて初めての、不思議な喜びと戸惑いに満ちた
感覚だった。だが、同時に、ミライは、握り締めた手と指輪とを介して、胸の中に突然
染み入ってきた、「大切な人」の怒号のような切ない叫びを聞いて、はっとする。
…桜は、いやだ。いやなんだ!散ってしまうのが、無惨で、つらいから。お前が
散らされた、あのときを思い出してつらいから。またおまえが、消えていってしまい
そうでやり切れねえから。どこへも行くな。行くな、なあ、ミライ!

<アストラ兄さん。レオ兄さん。お願いします。もう一度だけ、力を貸して下さい。ぼくは、もう二度と、ぼくのことで大切な人を悲しませたくないから。だから、お願い、力を貸して下さい。>
648花守の鎖後編7/7 ◆smJNL9GJT. :2007/04/10(火) 02:01:28 ID:QcUKl0NZ0
翌朝。テッペイに促されて、リュウはいやいや公園の桜の下へ向かう。そして、
目を丸くした。夕べの花の宴がうそのように、真新しい若葉の緑が枝を覆いつくして
いる。しかも、あれほど舞い散ったはずの、散り敷いた花びらはひとひらも残っては
いなかった。その若葉の陰の、小さな木の洞に、きらりと光るもの。リュウは肩をす
くめる。…やっぱり、無理だったか。実体がなきゃ、持って帰れねえもんな。
だが、拾い上げてはっとする。微妙に違う、模様。そして何よりも、リングの内側
にあるのは、「M→R」の文字だ。そのとき、陽光の中、若葉を伝う風に乗って、なつ
かしい、声が、聞こえてきた。…だって、こういうのって、交換するものなのでしょう?
ふわりと舞い上がり、くるくると回りながら落ちてくる、指輪。それはすっぽりとリュウの左手の薬指にはまる。…これで、おそろいですね。

(この後、散り敷いてこそ風情あるはずの、桜が、都内で、今年に限って花びらを一片も
残さずに、早々と新緑に変わっていることが、マスコミで大きく報道されることになる。)

ぼくは、かえってきます。かならず。それぞれの場面で、大活躍する皆さんの姿を見るために。約束を果たすために。そして、大切な人のそばに。
ああ。待ってるぜ、ミライ。

                                 了
649:2007/04/10(火) 04:04:46 ID:QcUKl0NZ0
最後のほう改行失敗して読みにくくてすみませんでしたorz。。
色々また読めるようになって、嬉しいです。
光太郎さんも素敵だし、巨大ネコも可愛い。(モットクレロンを思い出したよ)
リュウ隊長とミハルちゃんも、これからまた楽しみですね。
>611さんもぜひSS化を!にぎやかに楽しく大勢で!!
650名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 05:28:15 ID:roy6X7ZN0
容量490KBになってるが、連絡板での議論もまだ決着ついてない
そろそろあっちで結論出した方がいい
651名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 08:06:27 ID:UaZGEeYc0
まとめ管理人さん、乙であります。

ここにきてスレが活発化してきて嬉しい反面
結論というか、意見がまとまらないうちに容量
オーバーする心配があったので、とりあえず
ほっとしました。

652インパクト ◆MZJfuSddgE :2007/04/10(火) 12:18:23 ID:WOtyKKb80
フィフストレーニング4-6

「きゃあ〜〜〜!!」
「うわあああーー!!」
珍しく女の子らしい悲鳴をあげたメビウスとマックスは真っ逆さまに落ちて行く。飛ぶことも忘れて受身を取ろうとしたが、意外と柔らかな地面に衝突した。ぽふっとビロウドの絨毯が二人の体を受け止める。
「あれ? 痛くない?」
「これ、ナフタリの毛・・・・?」
先に起き上がったマックスが緑の毛に埋もれているメビウスを助け起こす。
「お〜〜〜い、大丈夫か〜〜〜?!」
遠く上にある窓の向こうから、タロウの声が聞こえる。
「大丈夫です〜〜〜〜!!」
メビウスとマックスは手を振った。と、足元の毛が動く。
「わわっ?!」
転がると空が視界に入った。それをナフタリの巨大な頭が遮る。
「な、ナフタリ?」
「つーか、でけぇ!」
中央棟の10階辺りとナフタリの屈んだ頭の位置が同じぐらいだ。そこから背中を辿って、首を巡らす姿を見ると、多分自分達はナフタリの尻尾に落ちたのだろう。

  みゃー

ナフタリは一声鳴くと、大きな顔をメビウスとマックスに近づけた。
「うわ、あ・・・喰われるーーー!」
咄嗟にマックスは、メビウスの手を引いて空中に逃れた。
自分の尻尾を追いかけたナフタリは、見失った獲物を探してキョロキョロと辺りを見渡した。
ナフタリがいるのは校門正面の中庭だ。さっき外に出た拍子に、庭園の一部が破壊されていた。
「これ、ひょっとしてマズイんじゃ・・・・」
653名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 12:27:47 ID:WOtyKKb80
>>618 新作ー、新作ー! 続きが楽しみですよーー!

>>万能 光太郎さんとイサナ隊長という異色の組み合わせ。しかし、相変わらずモテモテな光太郎さん。チャコちゃんが辺りに牽制とかしそうで怖い?ツヅキが普通にテレパシーとか使っているのが、なんか嬉しかったり。

>>鎖 え、なんすかこう、指輪の交換なんかやっちゃって。早く戻ってこいよー、ミライ!!

まとめ管理人様、いつもありがとうございます。
新しくこのスレを覗く人がいると思うなら次スレ。なければ特に・・・・という感じです。
アク禁で書き込めないことあるし。
654名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 13:31:00 ID:0ILhJV6W0
>>652
相変わらず、楽しいです。
メビの手を引いて飛ぶマックスに萌えw
655Fly Away 2:2007/04/10(火) 14:05:07 ID:gUafwBO/O

飛び起きた。
そりゃ起きるだろ。

あの時、あのままの姿で。
にこにこと嬉しそうに笑みを湛えて。
あいつがそこに立っていたんだから。


ミライ。
俺たちのウルトラマン。…メビウス。

…なんで、いる?
「え?」
だからお前、なんでここに居んだよ。
「休暇を貰って来ました」
あ?!
「って云うのは、建前で」
「帰る時に、不思議な色の雲が見えて。あれなんだったんだろうって、気になってたんです」
「兄さんたちに聞いても、自分の目で確かめろ、って教えてくれないし」「…だから確かめに来ちゃいました」
来ちゃいましたって…おいおい。
「どうかしました?」
いや、お前…。その何だ、新人に色々と話して聞かせるんじゃなかったんかよ…
「あ、話しましたよ。何かひっくり返ってる子とかいたけど…そんな変なこと言ったかな?って」
656名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 15:20:17 ID:GxyT9eF50
職人さん達、次々に書いてるんは嬉しいんだが・・・・容量オーバーが迫ってるんだが
結局次スレどうすんだ?(つーても自分は立て方も知らんシロートだが)
657名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 16:22:57 ID:yQFQEYWe0
>>鎖
お手製の指輪ですか・・・何気に器用な二人だ!(笑)
切ない・・・でも、幸せな二人って感じですね〜♪
658名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 16:47:15 ID:ba1VuObQ0
Fly Awayの人、続き気になってたんで久しぶりにここ見てワクワクした。
あなたの文章好きだわ。

で、1ロムとして気になるけど次スレの話し合いとかしてないの?
まとめの専用掲示板でしてるよ、とかのレスもないから
いまだに心配してくれてる人達も心配になってるんじゃないか?
659名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 17:27:34 ID:LHSdlXjP0
まとめサイトの掲示板に話し合いの場を作ってみました。
管理人様、勝手にすみません。論じたい方ご自由にどうぞ。
660名無しより愛をこめて:2007/04/10(火) 17:41:13 ID:ue5pKKwS0
上の補足訂正。
まとめ2号さんのところの連絡板です。
661FA:2007/04/11(水) 01:39:19 ID:MvHxleCVO
>>万能 再開乙!!あ、設定ちょこっとお借りしてます。
>>鎖 花見(?)ネタ被った…申し訳ないですm(_ _)m
>>653 >>658 あ、ありがとうございます。細々と頑張ります…
662611:2007/04/11(水) 23:39:47 ID:rYeG5Y7J0
なんか、単なる妄想もやもやのプロットの話をしただけなのに、さっそく支持を
いただいて、恐縮してます。本筋の、サコミズのメッセージはだいたい頭にある
のですが、5人の(特にリュウの)メッセージをどうするか、今頭を悩ませている
ところです。それと、ここのサイトを最近知った関係で、ミライが「女の子」
ではなく、「両性具有」と考えている上での私の話が、こことかみ合うのか、という
心配が少々ありまして。ここのスレの次の落ち着き先が決まって、そこでもし
受け入れていただけるのであれば、そのときに改めて、と思っております。
失礼いたしました。
663名無しより愛をこめて:2007/04/14(土) 02:21:23 ID:cnaxagav0
久々きたんだけど泣けました(つД`)>>649
お疲れ様です,次回作期待しています

職人さん活性化(・∀・)イイ!!
664名無しより愛を込めて:2007/04/15(日) 17:50:47 ID:E2HnQCn70
>>663 >>649です。ありがとう。
話し合いが落ち着くまで、まとめ2号さんとこの投稿板に
ぼちぼちおとそかな、と考えています。
665名無しより愛をこめて:2007/04/15(日) 18:15:53 ID:UDb3FGy10
「もしもメビウスが女の子だったら」1
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1176306436/l50

類似スレ立てたのここの人?
666名無しより愛をこめて:2007/04/17(火) 10:09:46 ID:wEmLwk6JO
ここ終了?
667名無しより愛をこめて:2007/04/17(火) 10:20:16 ID:d5bnAk8CO
終了。
668名無しより愛をこめて:2007/04/17(火) 10:46:41 ID:d5bnAk8CO
>>665次スレはここでおながいしますm(__)m。
669名無しより愛をこめて:2007/04/17(火) 12:59:47 ID:rurdo7nNO


次スレに関してはまとめ2号氏の所の掲示板を御覧下さい。


670名無しより愛をこめて:2007/04/19(木) 08:52:14 ID:st876NGF0
今さまながら、激しく見たかったorz

368 :名無しより愛をこめて :2007/04/14(土) 15:27:23 ID:ngAYThEx0
>>363
元々30話の脚本ではラストで
タロウ「だがきみときみの仲間達ならどんな試練もきっと乗り越えられるな」
メビウス「はい、タロウ教官」
タロウ「…兄さん、だ」
メビウス「…タロウ、兄さん」
というやりとりがあったんだけどカットされたんだよね。

マジだったら、なんつーもったいないorz
671名無しより愛をこめて:2007/04/19(木) 15:50:28 ID:18KsafX10
エイプリルフール企画でやってたね、そんなやり取り。
672名無しより愛をこめて
>>671
そうだねタロウ兄さん、腹がへったよ。