>>82のつづき
伊吹「でも16年前に、兄貴と義姉さんが豹牙を遺して事故で逝ってしまったのは、残
念ですよ、今でも……」
伊吹、ふと吾郎とその妻の遺影を見る。
陣川も、黙ってしまう。
伊吹「(ふと気まずい顔して)ああ、陣川さん、今日は何の様だったんスか?」
陣川「(思い出した様に)ああ、実は、これの事なんだ」
陣川、ザックから赤い土の入った瓶を出す。
伊吹、目を凝視させる。
伊吹「こ、これは……」
陣川「そうだ、30年前の時に、ここから発見されたものと、同じ土だ。今朝発見したばかりのやつだ」
伊吹「どこから見つかったんです、これが?」
陣川「30年前にメガロが地下に逃げ帰った後、地盤が崩れて塞がれた洞窟跡からだ」
陣川、スクッと立つ。
陣川「あの洞窟は完全に塞がれてはおらず、人間大なら行き来できる可能性がある」
伊吹「……ってことは、30年前みたいに、工作員が……?」
陣川、窓から外を見やる。
陣川「ああ、その恐れは十分に感じている。奴らが再びメガロを送り込もうものなら、
まずジェットジャガーに目をつけるだろうからな」
伊吹「(慌てて)じ、じゃ、警戒を厳重に……」
陣川「その点は抜かりない」
(つづく)