* 初登場
薄暗い森のなか、そこにいまにも崩れそうな不気味な城が聳え立っている。
周辺の住民は、この城を<亡霊城>と呼び、近づいた物は行方不明になるという伝説を信じて誰も近寄らないのだ。
実際、このハンブルグで宝石強盗をした男達が逃げる途中でこの城に迷い込み行方不明になり、さらにその強盗を
捕らえんと追ってきた警官達も行方不明になっているのだ。
城の地下室。そんなオカルトめいた話とは違い、無数の近代的(70年代には、まだ開発されていなかった巨大コン
ピューター)な機械類と、同じく場違いな円型の手術台。その上に両手両足を拘束具で拘束された金髪の女性。
その顔は、これから我が身に起きる出来事に恐怖で歪んでいる。
「ようこそ、イルデ・・・・。オリンピックで金メダル確実と目される東ドイツが誇る新体操界の天才少女を、我が
崇高なる<シヨッカー>に招く事が出来て嬉しい限りだ・・・・。」
機械を忙しなく弄る白覆面の男達に混じって、指示を与えている白いスーツに黒地のマントをした骸骨のような容貌の
初老の老人が丁重な口調で言い放ち、口許に満面な笑みを浮べる。
イルデ・ミッテンマイヤーは、その笑みに恐怖した。その顔は幼い頃、祖母が幼いイルデに話して聞かせた物語の死神
そのままだったからだ・・・・。
「放して!!私を家に帰して!!」
「フフッ。無駄だ・・・。君は、すでに崇高な<シヨッカー>の為に尽くすために改造手術を受ける事が決定されたのだ!!」
「そ・・そんな!!」
「我々、<シヨッカー>の為に働く事は、大変に素晴らしい事だ!!君も改造されれば、その事を実感できる・・・・。」
無言で横にいる白覆面の男に頷く。白覆面の男は水色の液体がはった注射器を持ち、イルデの右腕に針を近づける。
「辞めて!!いゃ〜ッ!!」
身を捩り、何とか注射から逃れんとするが無駄だった。
針がイルデの白い透き通るような腕に容赦なく突き刺さる。
<続く>
* まだ、改造シーンが纏まっていません。明日、書きます。