裁鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ 肆乃巻

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449仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:28:30 ID:9LdK5iGd0
197×年、夏。
その日、四国支部所属のキリサキとウズマキの二人は、関東支部からやって来るという客人を迎えるために高知空港を訪れていた。
ロビーでその客人を待っている間、二人は他愛も無い話をしていたのだが、いつしか話題は以前ここを訪れていたコウキについてになった。
「でも本当に凄かったですよね、初めて会った時の先輩とコウキさん。まさに一触即発で……。それがあんなに仲良くなるなんて未だに信じられませんよ」
「ん……。まあ何つーか、あいつとは最終的にグルーヴが合ったんだな」
「余所者には冷たい先輩があんなに楽しそうにしていたんですからね!」
「まあ閉塞的な村の出身だからな」
故郷の村が魔化魍に襲われた時の事を思い出したのか、少ししんみりした口調になるキリサキ。
「これから来る人とも仲良くしてあげて下さいよ?」
と、東京発の便に搭乗していた乗客達がロビーに次々とやって来た。だが、殆どの乗客がまるで何か奇妙なものを見たかのような表情をしていた。
その様子を怪訝に見ていたキリサキ達だったが、ロビーでその人物に会ってようやくその謎が解けた。乗客達は実際に奇妙なものを見ていたのだ。
「OH〜!南国土佐というくらいだからハワイみたいな気候かと思ったけど、東京と変わらない湿気だらけの気候じゃないか!」
そこには、実に悪趣味な柄のアロハシャツを着てサングラスを掛け、何故か首にレイを掛けた人物が荷物片手に立っていた。
絶句するキリサキとウズマキ。
450仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:30:55 ID:9LdK5iGd0
アロハ野郎は、キリサキが腕に巻いている鬼弦を目聡く見つけると歩み寄ってきた。
「えっと……四国支部の人?」
こいつだ。この奇人が関東支部からの客人だ。
「……違うぜ」
「……あ、えっと、そうです。自分達が四国支部からの使いの者です」
キリサキの否定の言葉を打ち消すかのように、ウズマキが必要以上に大きな声で挨拶をする。
「ああ、それは良かった!俺、関東支部で弦の鬼をやっているザンキ。よろしく!」
自己紹介をするアロハ野郎に、ウズマキも自己紹介を行う。
「自分は四国支部で管の鬼をやっているウズマキと言います。で、こちらが……」
「……キリサキだ」
物凄く不機嫌そうに名を告げるキリサキ。明らかに目の前の鬼を、ザンキを毛嫌いしている。
「ちょっと先輩!初対面の方に、しかも外人さん相手に失礼ですよ!」
注意するウズマキに言葉の代わりに鉄拳で答えるキリサキ。腹を押さえて呻き声を上げるウズマキを一瞥すると、キリサキはザンキに喰って掛かった。
「おいてめえ!その格好、舐めてんのか?あ?」
「馬鹿言うなよ。いい女なら兎も角、お前なんか舐めたら汚い」
「ふざけんじゃねえっ!」
二人とも格好が格好だけに、傍から見ればチンピラ同士の喧嘩にしか見えないだろう。案の定、警備員がこちらに向かって来るのが見えた。
「やべえ!ずらかるぞ!」
「言われなくてもスタコラサッサだぜぇ」
大慌てで蹲ったままのウズマキを肩に担ぐと、二人は一目散に逃げていった。
451仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:32:19 ID:9LdK5iGd0
客人を迎えるためという事もあってか、二人は車で空港に来ていた。ザンキを後部座席に乗せ、ウズマキがハンドルを握りキリサキが助手席に座る。
車中、無駄に明るく大きな声で喋るザンキとそれにいちいち相槌を打つウズマキに苛々を募らせるキリサキ。
「ねえ、何で助手席の奴はさっきから不機嫌なの?」
「すみません。根は悪い人じゃないんです。許してやって下さい」
この会話にますます機嫌が悪くなっていく。
「くそっ、コウキの時よりタチが悪いぜ」
この独り言をザンキが耳聡く聞きつけた。
「コウキ?ひょっとして関西支部のコウキか?あの頑固者で融通の利かない……」
急に盟友の名前を口に出されて仰天するキリサキ。
「知ってるのか!?そうだよ、お節介で自己中で自信過剰で大口を叩くあのコウキだよ!」
「何だかんだで子どもっぽい、あの理不尽なコウキだな!」
共通の知人の悪口を肴に、いきなり話が弾みだすキリサキとザンキ。
その頃……。
「ぶぇ〜っくしゅ!」
吉野総本部の研究室でいつものように機械いじりをしていたコウキは、盛大なくしゃみをしていた。
(誰かが私の噂話でもしているのか……?)
その予感は当たっていたわけだが、まさかその相手が自分の盟友と自分の記憶の中の汚点的人物の二人だとは夢にも思うまい。
三人が乗った車は、当初の険悪な雰囲気は何処へやら、和気藹々とした状態で物部村にある四国支部へと辿り着いた。
452仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:34:12 ID:9LdK5iGd0
四国支部として運用されている支部長の自宅に通されるザンキ。
「大きくて古い屋敷だな。そういや何でここは店を開いてないんだ?関西支部は旅館だったし、他も……」
「ああ、それは村ぐるみで猛士をサポートしてくれているからですよ。だから店を開いてカモフラージュをする必要が無いんです」
ウズマキが説明する。非常時には村の人間が協力してくれるので人材不足ながらも今までやってくる事が出来たのだ。ただ、資金不足まではどうする事も出来なかったのだが……。
三人は支部長の小松辰彦の下へとやって来た。相変わらずにこにこと穏やかな笑みを湛えながら、小松がザンキに自己紹介を始める。
「遠路遥々ようこそ。私が支部長の小松です」
その後、コウキに話したのと同じ四国支部についての説明をザンキに話して聞かせる小松。一通り説明を終えると、何か質問は無いかと尋ねた。
「はーい、質問!親父さんは陰陽師らしいですけど、葉っぱを飛ばして蛙を殺したり出来るんですか?」
親父とは小松の愛称である。
「それは安倍晴明の話ですね。よくご存知で」
ザンキの不躾な質問にも小松は笑顔で答えた。
「確かに、いざなぎ流にも人を呪い殺す術があります。ですがそういったものは他人に見せてはいけない決まりなのです。そうしないと最悪な場合、呪いが逆流してしまう……」
そう言ってやんわりと断る小松。ザンキは実に残念そうだ。
「では私の話はこれで終わりにします。どうかゆっくりしていって下さい」
ザンキにそう告げると退室する小松。後にはキリサキ、ウズマキ、ザンキの三人が残った。
「おい、お前。弦の鬼なんだろ?セッションしようぜ」
「いいけど俺、別に仕事で来たわけじゃないから弦を持ってきてないぞ」
キリサキの提案にそう答えるザンキ。だがキリサキは。
「ちょっと待ってろ。研究室から弦を持ってくる。おいウズマキ!酒持ってこい、酒」
「え!?昼間から酒を!?だって今日は確か……」
「うるせえ!三分以内に持ってこないと酷い目に遭わすぞ!」
そう言うと部屋から出て行くキリサキ。ウズマキも渋々台所へと向かう。
453仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:35:50 ID:9LdK5iGd0
三分以内に二人とも戻ってきた。ウズマキの手にはビールケースが、キリサキの手には一本の音撃弦が握られていた。
「丁度こいつがあったからな。これで弾いてくれ」
「先輩、それってサカズキさんの『風雲児』じゃ……」
ウズマキの言う通り、それはサカズキが調整のため多々良に渡していた音撃弦・風雲児だった。音撃震も既に装着済みである。
そんな事はお構いなしに「風雲児」をザンキに渡すと、自身は音撃弦・宵闇をケースから出して手にする。
「じゃあまずは俺が弾くぜ」
そう言うとチューニングを終えた「宵闇」を弾きだすキリサキ。最初という事でまずは軽くディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を演奏する。
「おっ、『スモーク・オン・ザ・ウォーター』か。いいねぇ」
「あの、イントロだけで分かるんですか……?」
ウズマキの問いに、睨みつけながら答えるキリサキとザンキ。
「当たり前じゃねえか。ロック好きとしては常識だぜ。なあ」
「その通り!この特徴的なリフは『スモーク・オン・ザ・ウォーター』以外に有り得ない!」
最初出会った時が嘘みたいに意気投合する二人。
その後ザンキが演奏したのだが、そのギターテクに目を見張るキリサキ。
「凄いじゃねえか!今すぐにでもプロデビュー出来るぜ!」
「当然よ!俺に影響を受けたギタリストは欧羅巴中にいるぜ!」
アルコールも程よく回ってきた二人は、次に互いの技術を競い合いだした。まずキリサキが右腕をぐるぐる回すウィンドミル奏法を披露した。
「おっ、ピート・タウンゼントだな」
ピート・タウンゼントはザ・フーのギタリストで、ライブ中にギターを破壊する事で有名である。その荒々しさは少なからずキリサキの戦い方に影響を与えていると思われる。
次はザンキの番だ。「風雲児」をなんと歯で弾き始めるザンキ。
「それはジミヘンのパフォーマンスじゃねえか!ならこっちは……」
ライトハンド奏法を織り交ぜながらクイーンの楽曲を演奏するキリサキ。
盛り上がり続ける中、一人ウズマキだけが蚊帳の外であった。
454仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:38:08 ID:9LdK5iGd0
セッションと言っておきながら、互いに一曲ずつ弾いては交代を繰り返していた二人。
キリサキはキャロルの「ファンキー・モンキー・ベイビー」を演奏したのだが。
「何それ。日本のバンドの曲?」
「知らないのか?日本の伝説のバンドの曲よ。俺は和製バンドも大好きなんでな」
「ふ〜ん。節操無いね」
この何気ない一言がキリサキのハートに火を点けた。
「……今何て言った?」
「だから、海外のハードロックだけじゃなく日本製のも聴くなんて、結局ロックと銘打っていれば何でもいいのかなぁ……って」
明らかにさっきの発言よりも悪くなっている。酔いも手伝ってか、とうとうキリサキが吼えた。
ただ、延々と自分とロックについて語ったりするわけではない。行動で示すのだ。勢いよく部屋を飛び出していくキリサキ。戻ってきた彼の手には、ガソリンがたっぷり入ったポリタンクと幾つかの花火が握られていた。
それを見て、すぐにキリサキが何をしようとしているのか理解したウズマキが慌てて止めに入る。
「やめて下さい、先輩!自分が今何をしようとしているのか分かっていますか!?」
「うるせえ!今の俺は酔ってるんだ!何をするか分からねえぞ!」
「俺は酒が強いって常日頃から言っているくせに!」
「黙れ!ファーック!」
ふとザンキの方に目をやると、既に何処かへ消えた後だった。急に厭な予感がしてくるウズマキ。
455仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:39:02 ID:9LdK5iGd0
と。
ドグシャァァァン!
轟音と共に壁をぶち抜いてオート三輪が飛び込んできた。運転席にはザンキが座っている。
「どうだ!これが俺のロックだ!」
それがロックの一言で許されるのなら、繁華街での酔っ払い同士の喧嘩だってみんなロックだ。
「畜生!火ぃ点けてやるっ!燃え〜!」
ますます興奮するキリサキ。ウズマキの手には負えなくなってきた。
と、「銀」の多々良勝彦が血相変えて飛び込んできた。
「な、何をやっているんですか、あなた達は!」
惨状を目の当たりにして絶句する多々良。
「な、何という事を……。大体キリサキくんとウズマキくんはこれから出撃でしょうが!それなのに真昼間から酒を飲んで……」
「じ、自分は飲んでいません!」
ウズマキの弁解も耳に入らず、怒鳴り続ける多々良。
「今すぐ出ていきなさい!ここは僕が何とかしておきますから!」
「は、はいっ!」
そう言うや否やキリサキを連れてザンキが開けた穴から外へと飛び出していくウズマキ。ザンキもオート三輪から降りると、逃げるように後へ続いた。
一人残った多々良は、手の施しようが無いくらい滅茶苦茶の室内を見て深い溜め息を漏らした。小松は日課の散歩に出ているため暫くは戻ってこないだろう。しかし戻ってくるまでに全て片付け終えるのは不可能であろう。
(支部長、これを見てもまだキリサキくんを将来の支部長に推薦するつもりなのだろうか……)
そんな事を考えながら多々良はぼりぼりと頭を掻いた。
456仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:40:08 ID:9LdK5iGd0
ウズマキが運転する車中で、キリサキとザンキはずっと口論を続けていた。堪らずウズマキが注意する。
「もういい加減にして下さいよ!これから魔化魍退治に向かうんですから。……何でザンキさんが一緒にくっついてきちゃったのかは分かりませんが」
そう言われて渋々口論を止め、音撃棒・酩酊を取り出すと手入れを始めるキリサキ。
「太鼓って事は夏の魔化魍か?」
ザンキの問いにウズマキが答える。
「そうです。カジガババアが出たらしいので」
「カジガババア?」
ザンキの疑問に、今度はキリサキが答えた。
「狼の魔化魍の事だ」
「狼……」
途端に嫌な顔をするザンキ。それはそうだろう。何せ彼や彼の欧羅巴での仲間達は皆、狼に変身出来るのだから。
カジガババア(鍛冶ヶ婆)とは。
高知県室戸市佐喜浜町に伝わる話である。鍛冶屋の老母を食い殺した狼が老母に化けて昼間は普通に振舞い、夜には正体を現して旅人を襲っていたという話だ。
「でな、それ以来狼の魔化魍はカジガババアって呼ぶようになったんだ。……おい、やけに汗が出てるぞ。大丈夫か?」
「あ〜、大丈夫だ。心配するな」
そう言ってハンカチで冷や汗を拭うザンキ。
ウズマキに命じてエアコンを強くさせるキリサキ。冷たい風がザンキの顔に当たる。
そうこうしているうちに三人が乗った車は、伝承の残る室戸の地へとやって来た。
457仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:41:34 ID:9LdK5iGd0
草木も眠る丑三つ時。テントの中では心地よい寝息を立ててウズマキが眠っている。
そして外では、キリサキとザンキが珈琲を飲みながら火の番をしていた。何もやる事が無いキリサキは「宵闇」を爪弾き始めた。
「……ステアウェイ・トゥ・ヘブンか。上手いじゃないか。ジミー・ペイジにも負けてないぜ」
邦題は「天国への階段」。レッド・ツェッペリンが1971年に発表した、ロック史上最高の名曲として誉れ高い一曲である。
「ありがとよ。初来日公演にも行ったんだぜ」
そのまま昼間の続きと言わんばかりに、ロックの話で盛り上がる二人。
「ロックってのは社会思想や体制への反抗なんだよな。俺達みたいな裏社会の人間にとって一番相応しい楽曲なんじゃないかなと俺は思うな」
空を見上げながら、ぼそっと呟くキリサキ。夜空には綺麗な満月が輝いている。
「……まあな。でもさ、俺達が戦う理由は人を守るためだろ?そんな凄い事をやっている人間が反社会だの反体制だのを口に出すってのもどうかと思うぞ」
「……難しいなぁ。ロックも、人生も」
こんな妙な話を始めたのも、山中という特異なシチュエーションのせいだろう。うん、きっとそうだ。そういう事にしておこう。
ザンキが、どさくさに紛れて持ち出してきていたサカズキの「風雲児」を弾き始める。
「お前も弾けよ。今度こそセッションしようぜ」
曲はさっきキリサキが弾いていた「天国への階段」だ。
二人の弦の音と歌声が深夜の山中に鳴り響く。と、カサコソと音を立てて、茂みの中から人の形をした一枚の式王子が戻ってきた。
458仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:42:59 ID:9LdK5iGd0
「ウズマキくん。私……」
「コ、コンペキさん……」
いい雰囲気の二人。徐々に二人の顔が近付いていく。そして互いの唇が重なろうとした瞬間……。
「おいウズマキ!とっとと起きやがれ!」
テントの中に乗り込んできたキリサキの強烈な蹴りが、眠っていたウズマキの頭部に直撃し、彼を夢から引き戻した。
「せ、先輩!?何て酷い事を……」
「いいから準備しろ。魔化魍の居場所が分かった」
カジガババアは夜行性の魔化魍だ。だから彼等は寝ずの番をして式王子の帰還を待っていたのである。
明かりを手に、真夜中の山道を三人が行く。道中でキリサキはザンキに音撃鼓と音撃棒を渡した。鬼の弟子が使う練習用の物だ。
「えっと、これを手渡されたという事は……」
「当然お前にも戦ってもらう。夏の魔化魍ぐらい戦った事あるだろ?」
「……マジでか?」
物凄く嫌そうな表情をするザンキ。
459仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:43:42 ID:9LdK5iGd0
「……でも先輩、本当に自分達だけで大丈夫なんですか?コンペキさんかサカズキさんのどちらかに来てもらうべきだったのでは……」
カジガババアの連携は夏の魔化魍達の中でもトップクラスだ。分裂の度合いによっては苦戦を強いられる事は明白である。
「馬鹿野郎。何から何まであの二人に助けてもらうわけにはいかないだろうが。それに二人とも今手が空いてないんだろ?」
そこへザンキが疑問をぶつけた。
「確か昼間の説明じゃその二人は香川方面の担当って言ってたよな?それなのに呼べばわざわざ高知にまで来てくれるのか?」
その質問に対しウズマキが答えた。
「確かに自分は徳島、先輩は高知のように担当が決まっています。でも高知県に関しては四国支部所属の九人の鬼全員が担当でもあるんです」
四国支部で二番目に魔化魍の出現率が多いのは瀬戸内海である。八十八箇所霊場の結界の加護を受けていない小豆島や淡路島等があるが、ここは四国支部のナンバー1であるコンペキとナンバー2のサカズキが担当しているためか被害はかなり少ない。
そして一番が高知県なのだ。と言うのも、以前コウキが聞いた話の通り四国山脈は魔化魍が大量に湧くのだが……。
「高知県は全体の八割が山間部なんです。山のすぐ隣に居住地がある場所なんて珍しくも無い。おまけに黒潮の流れに乗って水棲魔化魍もやって来る。到底二、三人程度じゃカバーしきれないんです」
結界があってこれなのだ。もし無かったらと思うとぞっとする……、そうウズマキは告げた。
と、複数の遠吠えが聞こえてきた。カジガババアだ。
「出たな……。二人とも、変身だ!」
弦と笛が同時に鳴らされ、三人を鬼の姿へと変えた。
460仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:44:46 ID:9LdK5iGd0
「どうりゃああああああ!」
カジガババアの顔面に音撃鼓・酔鯨を貼り付け、「酩酊」で滅多打ちにする霧咲鬼。コウキに鍛えられたせいか、叩く姿も随分と様になっている。
爆散するカジガババア。くるくると回転しながら戻ってきた「酔鯨」を受け止めると、周囲に檄を飛ばす。
「数が少ないからって油断するな!夜間の、しかも山中での戦いは向こうに分があるんだからな!」
「はい、先輩!」
渦巻鬼もまた、音撃鼓・黒潮を貼り付けたカジガババアに音撃棒・波浪による打撃をお見舞いしていた。
一方、斬鬼も練習用の音撃鼓で戦っていたのだが……。
(こいつら予想以上にDMCの狼に似てるぞ……。なんか気が滅入るなぁ……)
「そろそろ親が来るぞ!抜かるなよ!」
二匹目のカジガババアを清め終えた霧咲鬼が叫ぶ。
と、真っ白い毛並みのカジガババアが突然飛び出してきて斬鬼を押し倒した。カジガババアの親だ。
「先輩、斬鬼さんが!」
「うるせえ!分かってる!」
斬鬼の喉に噛み付こうとする親のカジガババア。針のように尖った白い毛が月光を浴びて輝いている。
(くそっ!狼が狼にやられるなんて洒落にならねえぞ!)
斬鬼は渾身の力で親のカジガババアを蹴り飛ばした。受身を取ると再び斬鬼に組み付こうとするカジガババア。だが既に斬鬼も体勢を立て直していた。
「うおりゃああ!」
鬼闘術・雷電脚が親のカジガババアを蹴り上げる。そこへ。
「行くぞ渦巻鬼!」
掛け声と共に霧咲鬼と渦巻鬼が同時に跳び蹴りを叩き込んだ。親のカジガババアは、上手い具合に残っていた子のカジガババアの上に覆い被さるように落下した。
好機とばかりにカジガババアの体にそれぞれの音撃鼓を貼り付ける三人。六本の音撃棒が山中に清めの音を響かせる。
そして。
「トドメだ!狼野郎ども!」
親も子も纏めて爆発四散し、塵と化した。顔の変身を解除し、一息吐くキリサキ。
「ふぅ……。こいつらが里に下りる前に倒せて良かったぜ」
「全くです。それ程増えてなかったのが幸いしましたね」
同じく顔の変身を解除したウズマキが同意を示す。
461仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:45:30 ID:9LdK5iGd0
「……ん?ザンキはどうした?」
「あれ、そういえば……」
いつの間にかザンキは姿を眩ましていた。一体何処へ行ったのだろうか。
「さっきまで一緒に居たのに……。おーい、ザンキさーん」
と、弦の音色が響いてきた。見ると、「風雲児」を弾きながらザンキがこちらへと向かって来ている。その曲は……。
「こいつは……『天国への扉』か」
原題「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」。ボブ・ディランが1973年に発表した楽曲である。ザンキはこれを鎮魂歌の代わりに弾いていたのだ。
以前、開発局長の南雲あかねが「鬼も魔化魍も根は同じ」みたいな事を言っていた。全くもってその通りだ。この曲は、哀れな狼達を追悼するために奏でられている。勿論、彼のこの行為の理由をキリサキもウズマキも知らない。
演奏を終えたザンキが顔を上げる。そしてキリサキの顔を見ると、にやっと笑った。
「何やってんだよ、馬〜鹿」
悪態を吐きながらも、キリサキもまた笑みを浮かべた。
と。
「よくも子ども達を……」「鬼め……」
カジガババアの童子と姫が、残ったカジガババアを引き連れて現れたのだ。
「あ、そういや童子と姫を倒してなかったっけか」
「子どももまだ居たんですね。……夜明けまでには片付くかな」
再び顔を鬼のものにし、臨戦態勢を取る霧咲鬼と渦巻鬼。一方ザンキはと言うと……。
「まだ居たのかよ……」
また「天国への扉」を弾くか?いくら何でも怪しまれるだろ。……そんな事を考えていた。
462仮面ライダー高鬼番外編「狼達への鎮魂歌」:2006/09/09(土) 23:47:26 ID:9LdK5iGd0
数日後、とうとうザンキが関東支部へ戻る日がやってきた。
空港のロビーで別れを告げるザンキ。あの日と同じで、彼の目の前にはキリサキとウズマキが立っていた。
「じゃあ元気でやれよ。支部長達によろしくな」
「ザンキさんもお元気で。また遊びに来て下さいね。ほら、先輩も……」
ウズマキに促されてキリサキも別れの挨拶を交わす。
「ん、じゃあな。もしコウキの奴に会う事があったらよろしく言っといてくれ」
そう言って拳を突き出すキリサキ。その行為の意味を理解したザンキは、自分の拳をキリサキの拳に軽く当てた。
「時間だ。じゃあ行くぜ。……それとこれ、俺からの餞別な。また俺達が会えるように祈りを込めて書いたんだ」
そう言って四つ折にした紙片をキリサキに渡すザンキ。
「恥ずかしいから俺が発ってから見てくれ」
わざとらしくサングラスを掛けてザンキは言った。
東京行きの便が離陸するのを見送り、帰路へと着く二人。車中はザンキの話題で持ちきりだった。
「……とんでもない人でしたね。でも先輩が一番ザンキさんと意気投合していましたね」
「どうも俺は変わり者を惹きつける性質らしい」
「先輩も充分変わり者ですもんね」
「あん?何だと、この野郎〜」
そう言って運転中のウズマキの首を絞めるキリサキ。
「ちょっと先輩!危ないですって!ギブギブ!」
笑いながら手を離すと、キリサキは別れ際にザンキから渡された紙片を取り出した。そろそろ開けてみようと言うのだ。
「そうですね。でも先輩だけそんなもの貰えて羨ましいな……」
「ははは、そりゃあいつと俺は共にギターを弾いた仲だからな!」
嬉しそうに紙片を開き、中に書かれた文字に目を通すキリサキ。だが、彼の表情が一変して強張った。
「……先輩?」
「……今すぐ空港に戻せ」
言っている意味が分からず聞き返すウズマキ。それに対しキリサキは声を荒げて再度告げた。
「引き返せっつってんだろ!あの糞野郎……ぶん殴ってやる!」
その紙片にはでかでかとこう書かれていた。
「こ れ を 見 た ら 三 日 以 内 に 死 ね」
その後、マジでザンキを追ってキリサキが関東支部に乗り込んでいったのは言うまでもない。 了
463名無しより愛をこめて:2006/09/10(日) 18:03:59 ID:+RpaaoJv0
470KB超えましたね・・・。
464名無しより愛をこめて:2006/09/10(日) 22:51:45 ID:LbIrrBy60
高鬼、凱鬼バッカかよ・・・まあ楽しんでるけどよ
弾鬼、鋭鬼はどうなった?
待ってますよ!

465名無しより愛をこめて:2006/09/11(月) 14:14:22 ID:aI2HmfD30
もうちょっとソフトな言い方を心がけよう
466弾鬼SSの筆者:2006/09/11(月) 22:15:06 ID:27qZ6+EP0
>>464
申し訳ありません〜〜!
現在必死こいて書いております!
書いては、修正・削除を何度も繰り返しているもので、なかなか投稿出来ずにいます。
早ければ今週中に投稿できると思いますので、今しばらくお待ちいただけると幸いです。

467名無しより愛をこめて:2006/09/11(月) 23:24:38 ID:Sg+eS2eC0
>>466
待ってますよ〜。
468DA年中行事:2006/09/12(火) 01:46:15 ID:zq4qSau60
>>466
弾鬼SSさん、みょーんとツノを長くして待ってますよ〜。
高鬼SSさん、凱鬼SSさん、ペース速くて羨ましい限りです。

「天国への階段」、「ノッキン・オン・ヘブンス・ドア」、そしてP・タウンゼント・・・
うひゃぁ、好物だらけw
469名無しより愛をこめて:2006/09/12(火) 04:26:24 ID:wg5r47tx0
斉藤 真斗芽さん、忙しいのかな?
体壊したりしてなきゃいいんですが・・・。
470名無しより愛をこめて:2006/09/12(火) 17:12:28 ID:0JOk6xTGO
このスレの物語が、OVAになる……夢を見たよ。

強い裁鬼さん、新しい鬼の一撃鬼さん。無敵の天鬼さんに、カツコエェ送鬼さん。
熱血短気な弾鬼さんにノホホンマッスルな勝鬼さん。
妖艶な吹雪鬼さんにメロメロ鋭鬼さん。
厳格な高鬼さんと、破天荒な先代斬鬼さん。
可愛いDA達が動き回る映像!

こんな夢を見るくらいここのSSが好きなんだな〜と実感させられたよ。

あぁ〜見たい!
この気持ち俺だけじゃ無いはずだよな?みんなもだよな?
471名無しより愛をこめて:2006/09/12(火) 21:17:27 ID:CM09L3JlO
つっこまないもん(`ε´)
472凱鬼メインストーリー:2006/09/12(火) 21:35:31 ID:wg5r47tx0
十之巻「共に鳴る音」

翌週土曜日。
秋田県のブラスバンドのコンクールに早めに着いた一真は、コンクールの演奏順を記したパンフレットを眺め、あきら達の学校が午後の部の最後から3番目であることを確認した。
「・・・・・・まだまだ時間があるな。」
そう呟くと一真は荷物を席において会場を出ようとした。
「ッ!?」
首がしまって呼吸が出来ない。
振り向くと、あきらが切羽詰った顔をして一真の襟首を引っ張っていた。
「緊急事態!ちょっと協力して!」そう言ってあきらは一真を控え室へ連行した。
そこでは20人程度の部員と顧問が座っていた。一真には何がなんだかさっぱり分からない。
「先生!臨時部員、連れてきました!」
「天美、その人は?」
「幼馴染の風巻一真です。ギターなら充分弾けます!」
「ちょっと、どういうこと!?しかも呼び捨て・・・。」
「ギターの部員が事故で今日は来られないの。で、規定人数に足りなくて困ってたのよ。」
「それで俺を?」
「そ。やってくれるよねぇ?」あきらの目が潤潤しはじめた。頼むからそんな目で見ないでくれ顔を合わせられないだろう.
「べ・・別に良いけど、楽譜によっては弾けないかもしれないぞ?」
「頼む!一生のお願いだ、やってくれ!」顧問が楽譜を手に頭を下げた。
「・・・・分かりました・・・・やれるところまでやってみましょう。」
室内に歓声がどっと沸く。一真は楽譜を受け取ると即座に練習を始めた。
473凱鬼メインストーリー:2006/09/12(火) 21:36:07 ID:wg5r47tx0
「ここがこうで・・・次にAmか・・・」
「どう?出来そう?」
「とりあえずエレキ調だけでよかった〜って感じかな・・・。」
「苦戦気味ですか・・・。」
「まぁ、そんなとこ。・・・でもさぁ、やるって言ったからにはやらなきゃ。」
「そうだよね。」
顧問があきらを呼んだ。開会式がはじまるのだ。
「じゃ、また。」
一真はうなずくと、視線を譜面に戻した。

開会式が終わったあきらは足早に控え室の扉を開くと、途端にギターの音色が大音量で響いて頭がぐらぐらしてきた。
あきらに気づいた一真が手を止める。
「あ、もう開会式終わった?」
「う・・・・うん・・・。」
「今、最初の6小節くらいできるようになったよ。」
「は・・・早いねぇ・・・。」
「まぁ、イツキさんにかなり叩き込まれてたからさぁ。ある程度はできないと。」
「時間には間に合いそう?」
「ん〜・・・合わせを含めてギリギリかな・・・。」
あきらが頷いたそのとき、控え室に多数の部員が入ってきて、何人かが一真の周囲に集まってきた。
「風巻さんて歳いくつですか?」
「え・・・17だけど。」
「17!?・・・ってことはどこの高校ですか?」
「いや、高校は行ってない。・・・まぁ、就職・・・かな。」
「何の仕事???」
「まぁ・・・・レスキュー隊って言えばいいのかな・・・。」
「おぉ〜・・・!」
「あ・・・でもみんなはちゃんと高校行けよ!な!」
「はいはい!お喋りしてないで楽器の調整!」
「は〜い・・。」
474凱鬼メインストーリー:2006/09/12(火) 21:37:16 ID:wg5r47tx0
東北支部。カチドキが支部長にヌレグモの件を話しているとき、戸がガラッと音を立てて開いた。
「こ〜んに〜ちは。」
「おや、美夏さんじゃないですか。どうだった?吉野は。」
「う〜ん・・・。温泉は気持ちよかったんだけどねぇ・・・・。」
「開発局長でしょう。」
「そうそう。小暮耕之助さんだっけ?ほんっとに堅苦しくてね。」
「あの人はもともと、あぁいう人ですから。本人に悪気はないんですよ。」
「そうなんだろうけどさぁ。」
「で、なんと仰っていましたか?」
「なんか研究室に一人で篭って、『言霊マイクの理論を応用すれば可能な筈なんだ!!』って大声で叫んでましたよ。他の研究員の方の話なんてまるで聞いちゃいないし。」
「相変わらずですね・・・小暮さんも・・・。」
「あ、そうそう。」
何かを思い出した様子で美夏は言った。
「佐古さんって開発局の方から手紙を預かってました。」
そう言って美夏は白い封筒を渡すと階段を登っていった。
それを見計らってか、さきほどまで声をかけずにいたカチドキが支部長に話しかける。
「佐古さんって・・・恐山に行ったときの?」
「うん。なんだろ・・・。」
475凱鬼メインストーリー:2006/09/12(火) 21:38:39 ID:wg5r47tx0
支部長が封筒を切ってとりだした紙を広げると、馬鹿丁寧な字体が並べられていた。
『よっ仇ちゃん!この手紙を読んでるということは、あの娘はちゃんと届けてくれたのね。
それはひとまず安心。で、このまえ採取した鬼石だけど、やっと新しい音撃武器の理論が浮かんだの。
早く完成させて届けてあげたいところだけど、どうにも局長の技術が必要でね。
いま局長が開発してる“装甲声刃”が完成したら局長にも手伝ってもらうように頼んでみるわ。
どんな武器かは・・・もちろん秘密♪』
「あの鬼石ってそういうことだったのか・・・。」
「何を作る気なんでしょうね。」
「それよりこの“装甲声刃”ってなんだ?そっちの方が気になってしょうがない。」
「確かに・・・。」
支部長がそうぼやくと、封筒から新たにまた紙片が床に落ちた。
「なんだコレ・・・?」
「こ、これは・・・!」
その紙には先ほどとは打って変わって雑な字体でこう書かれていた。
『東北の鬼ども、装甲声刃が完成すれば最初に試運転をさせてやろう。嬉しく思え!』
支部長は頭が凍りついた。
476凱鬼メインストーリー:2006/09/12(火) 21:40:00 ID:wg5r47tx0
一真は呼ばれて演奏のための舞台に向かった。ついに来たのだ。本番が。
調子はどうです。と顧問に問われ、反射的に「バッチリです。」と答えてしまったことに後悔しながら、黒とシルバーのツートンカラーが美しいエレキギターを手にして一真は舞台へ上がった。
あきらはクラリネットを手にして譜面を開き、腰掛けていた。舞台慣れしているのがひと目で分かる。
それに引き換え、後ろの方で緊張気味に楽器を手にしている集団は1年生だろうか。
まだ小学生らしい面影が微かだが残っているように思えた。
アナウンスが流れ、準備が万端した。
顧問の指揮棒が宙を舞い、木琴の三重奏が会場に響き渡る。
ポォン!と跳ねるような音がしたかと思うと、太鼓が弾み、微かにトランペットが交えていた。
和と洋の調べが繊細で威勢のある音を織り成し、和音となって会場に響く。
続く主旋律金管楽器の曲調ではトランペッターが威勢よく吹き鳴らし、あきらたちクラリネットと太鼓がそれを支えていた。
次には一真を筆頭とした3人のギターが弦をかき鳴らし、ネックを上下させてヘヴィな音響で観客の心を一蹴した。
最後に太鼓、管、弦全ての楽器がそれぞれの響きで繊細な音響を奏でていた。

「一真・・・今はどんな感じですか?」
カチドキがイツキに聞いた。
「あぁ、いい感じだ。もう1年と半年になるし・・・そろそろ変身させてみるかな。」
「よろしくお願いします。」
「気にせんでもいい。俺もなかなか楽しいしな。まぁ、でも・・・奴も年頃だしな。多少は自由にやらせて構わんだろ。」
「だから今日は・・・?」
「あぁ。・・・人助けなんて、いろんな形で出来るからな。偶には外に放りだすのもいい。」
そんな他愛のない会話を交わすのが、東北支部での暇の持て余し方の1つだった。
とはいえ、支部長自身は自室で時代劇を視聴する方が性に合っていたのだが。
477凱鬼メインストーリー:2006/09/12(火) 21:40:37 ID:wg5r47tx0
「発表します!今年度春季吹奏楽コンクール金賞は・・・・」
一真は固唾を呑んで司会者の唇を睨んだ。
暫しの沈黙。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「北城中学校、ブラスバンド部。“輝”です!」
「よっしゃー・・・!!」
北城中の座席から歓声と拳が突き出される。一真もその輪に入っていくと、他の生徒が待ってましたとばかりに一真を胴上げした。
「うおっ!?」
慣れない縦ゆれで体を浮かされながらも、一真の顔、あきらの顔、全員の顔が輝いていた。

BGM:「少年よ」
478次回予告:2006/09/12(火) 21:41:48 ID:wg5r47tx0
クルルルル・・・・

「ガタロウか。」

「一真、お前もだ。」

「厳鬼・黒金!!」

十一之巻「啼りひびく河」
479名無しより愛をこめて:2006/09/12(火) 23:03:12 ID:q6+3Tsjk0
うはwwww弾鬼さんSS来るのかwwwww
480竜宮:2006/09/14(木) 13:11:06 ID:bqnuobnO0
 凱鬼メインストーリー様。ブラスバンド部「輝」!!おおっ。なんだか涙が出そうです。
「明日夢十夜」のどの話かで演奏ネタ使いたいなと思っていたものの
ぜんぜん楽器が分からないので、もし良かったらこのあきら中学時代の演奏設定とか描写とか
つかわさせていただいていいですか?
 ショートで夢オチなんで、たいしたことはできないと思いますが。
書きかけの分まで全部データーなくしちゃったんで、後半6話は次スレだいぶ後に
なると思います。
 470さん、私もこのスレのOVA見たいです。
特典映像では魔化魍や童子・姫達とくつろぐ鬼や猛士達のメイキング映像付でどうでしょう?
もちろんお茶やお菓子のお運びはDA達にお願いして。
481凱鬼メイン作者:2006/09/14(木) 18:58:25 ID:LR98GCLc0
>>竜宮さん
実は僕もあんまり楽器は知らなかったんです。
あきらがクラリネット奏者というのは秋山奈々さんがクラリネットをされているから。
実際に輝でクラリネット使ってるかなんて皆目見当もつきませんし、エレキギターだって、“ベースと普通”しか知りませんからw
要はでっち上げで自分の聴覚をたよりにどの楽器を使ってるかを載せてみただけです。
気に入っていただけたなら幸いです。どうぞお好きに使っちゃってください。
482竜宮:2006/09/15(金) 02:07:57 ID:vbcvBXe+0
ありがとうございます。まあお目汚し程度のものしか書けないんで
忘れかけた頃に読み飛ばしていただければ幸いです。
 凱鬼メイン様も皆様もぼちぼち寒くなってきましたので
お体に気をつけて素敵な世界を読ませてください。
483名無しより愛をこめて:2006/09/17(日) 09:06:03 ID:SfdjaJVD0
「輝」を演奏するのはこの世界でのセオリーなのかなw
中四国支部の合奏練習も輝だったよねw
484名無しより愛をこめて:2006/09/20(水) 02:03:03 ID:3BQV++bP0
現在485kb。よろりと次スレ立てた方がよさそうだねぇ。
昼間にでもチャレンジしてみていいかい?
490くらいまで待ってた方がいいかい?
485名無しより愛をこめて:2006/09/20(水) 09:15:58 ID:DL7LZBGxO
>>484
おねがいします〜!次で5スレ目か!早いな〜!
486484:2006/09/20(水) 18:16:12 ID:GRJywATC0
スレ立て、チャレンジしてみるっす!
487484:2006/09/20(水) 18:25:41 ID:GRJywATC0
・・・・すんません、裁鬼さん、俺じゃ立てられなかったっス

他の『サポーター』の方にお任せするッス・・・・・
488名無しより愛をこめて:2006/09/20(水) 19:00:54 ID:oAnrumVS0
俺にも立てれん・・・。
ということで私から一つサポート。
「肆」の次は「伍」ですよ〜。
489名無しより愛をこめて:2006/09/20(水) 22:59:01 ID:Qix7bBXV0
立てたよ

裁鬼さん達が主人公のストーリーを作るスレ 伍乃巻
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1158760703/
490名無しより愛をこめて:2006/09/20(水) 23:45:50 ID:GRJywATC0
>>489
ありがとう!そして乙!!
作家さん方、スレ住人のみなさん、また宜しくです!
491斉藤 真斗芽:2006/09/21(木) 01:47:47 ID:+/pMlJT80
ここまで収録しました。

久しぶりの更新をしたら新スレ立ってますね。
ずっと仕事モードだったので、いざ更新しようとしたらやり方を忘れていて、キーボードの前で暫し放心状態でした。
なので、おかしなところがあったら指摘してください。

>> 瑠璃公さくしゃさん
こういう短い話も好きです。
ベタだし(失礼!)このスレでも使い古されたパターンかも知れないけど、忠犬(忠DA?)話に弱いんだよな。
あと、カタカナでしゃべる獣に弱いので、わかってても涙腺が緩んでしまう。
492プチ埋めさん。:2006/09/24(日) 10:53:58 ID:jRlEbBcj0
(ED)
弾鬼「鋭鬼さん!俺に構わずヤッてくれっ!!」

鋭鬼「おぅ!!」

       音撃打『生物撲殺』の型ぁ!!!


                         どォォぉぉんッ

♪まるで〜〜
斬鬼「ヘックシッ!」

弾鬼「これじゃ済まないって言ってんだよ」

洋館夫人「大人しくしてれば良いのに」

響鬼「何にでも真っ向から飛び出していく、

                だから名を」



          第伍乃巻『翻る尻』
494想像してみました:2006/09/27(水) 17:18:46 ID:Iu5ll4dkO
最終回以降の姫や童子は、以前の怪童子や妖姫、クグツを使用しているのではないかと思われます。スーパー童子・姫(ダッサい名前ですよね)は戦闘能力が高い反面、自我や知性が高過ぎました。そのため、自らの存在意義に悩んだり、最後には主に逆らう様にまでなりました。
そのことから多少知性が低くても、扱い易い前のタイプをバージョンアップしていく(鎧童子の時の様な)のに戻しているのではないかと考えています。
495追伸:2006/09/27(水) 17:24:03 ID:Iu5ll4dkO
身なりのいい男女って、西洋から来た貴族風の男女のクグツになるのでしょうか。
496名無しより愛をこめて:2006/09/27(水) 17:29:45 ID:2slNVnyJ0
その西洋男女も別の何者かのクグツなのかもしれませんね。
497名無しより愛をこめて:2006/09/27(水) 18:35:44 ID:In85ojJTO
今日も一仕事終え打ち上げにいった裁鬼一行
仕事のあとのビールはやっぱり最高
居酒屋からでてバイクでかえる裁鬼
警官に呼び止められる裁鬼 
焦る裁鬼
変身する裁鬼
逃げる裁鬼→追う警察
そんな飲酒運転問題を世にとう物語
498『威吹鬼伝 序章』
私があの人に出会ったのは、14歳の時だ。
両親を失った私は、親戚だという家に預けられることになった。
生まれ育った町を離れて、遠いところに行くのは不安だったが、中学生の私には他に選択は無かった。
預けられた和泉家は全国の猛士をまとめている古くからの名門で、代々鬼を輩出しているところだった。
格式ばった家なのかと思っていたが、のんびりとした空気が漂っていて拍子抜けしてしまった。
家族は皆優しい人達で、私を新しい家族の様に受け入れてくれたのだ。
和泉家に来てから一月が経った頃、私はずっと考えていたことをご当主に伝えた。
「鬼になって父の跡を継ぎたい」
よくは聞かされてなかったが、和泉家と同じく私の家も代々鬼を輩出してきた。
私が鬼にならなかったら、父の代でそれまで受け継がれてきたものが絶えてしまう、それが理由だった。
鬼になるのは自由意思で、必ずしも決まりではない。
ご当主もご夫人もそう言って止めてくれたが、私の決意は変わらなかった。
吉野で試験を兼ねた基礎訓練が終わった頃、私に師匠がつけられることになった。
その人は和泉家の三男で、大学生になったばかりと聞いた。
しかし高校生の頃から一人立ちした鬼として、既に数々の魔化魍を始末してきたらしい。
「やあ、きみがあきらさん?」
そこに現れたのはひどく愛嬌のある青年だった。
「あっあの、イブキさん…ですか?」
「うん、今日からよろしく頼むよ、楽しくやっていこう」
それがイブキさんとの出会いだった。