ロワもいいが一番のお気に入りは平成ライダー兄弟スレ。
あのなんともいえないほのぼのワールドが大好きでw
兄弟スレはわかったのだけど『ロワ』ってどこ?
409 :
謎の男の軌跡:2007/03/02(金) 17:03:20 ID:nkx00gZZ0
そこは、喫茶店ハカランダ。
俺は相変わらず暴飲暴食をしていたのだが、少し引かれているようなので手を止めた。
勘定を済ませて、財布が軽くなった気がした。「全く、あれでまけてやったとでも言うのか!?」
彼は、自分が食べ過ぎたのに気付いていなかった。
しかしその帰りであった。「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアア」俺は無駄にでかい悲鳴をあげた。
落ちていく!しかしどこへ!?何も解らない。
ただただ、無の空間に落ちていく感覚が伝わる。
「小夜子―――!」
410 :
謎の男の軌跡:2007/03/02(金) 17:12:15 ID:nkx00gZZ0
気付けば…俺は町のゴミ捨て場で眠っていた。
どこだ?なんでここに?疑問は浮かぶばかり。ゴミをあさる気はしなかったので、空腹に耐え
歩いていく。適当にさまよい、辿り着いた店はなかなか美味そうな気品が漂っていた。
「ビストロ・ザ・サル」
看板にはそう書かれていた。
すぐに転がるように入ると、歳はいってそうな妙に明るい女性が、注文を聞く。
俺は即座に言う。
「ウニ」
「ウニは当店にはございません」
即答であった。仕方ないのでミートパスタで我慢。
411 :
謎の男の軌跡:2007/03/02(金) 17:21:26 ID:nkx00gZZ0
大量のミートパスタを食し、笑みを浮かべる俺。財布が心配になった。
「ハカランダでだいぶ使ったが、まあ足りるだろう」
彼は気楽であった。自分が別世界に居るのも知らずに。
そしてポケットに手をやる。
「……足りないどころか、無いじゃないか――――――――――!!」
逃走する俺。「ドゥクナンダココハイッタイ!!ムォウオレノカダダウァボドボドダ!!」
息切れのせいか、うまく喋れない。どうしてここに居るのか、なぜ財布が無いのか。彼は全てがわからなかった。
412 :
謎の男の軌跡:2007/03/02(金) 17:32:16 ID:nkx00gZZ0
走って居ると、誰かとぶつかる。
「ダリナンダアンダイッダイ!」俺は聞いた。我に返り、あっ、たまたま歩いてた人か。と、ほっと胸をなでおろす。
しかし次の瞬間、そいつは緑色の蛹のような怪物に姿を変える。
「ウワアア…じゃなかった!アンデッドか!?ヘンジ…」
しかし、あの愛用のダイヤのバッグルはない。
「ど、どうすれば!」本気で困る俺は、道に捨てられている赤いグリップを見つけた。
「コレクッテモイ…じゃなかった!」スライディングで怪物の攻撃をかわし、グリップを手にする。
「どこをどうすればいいんだ?」とりあえず威嚇にとグリップを振り回す。しかし何も起きない。
413 :
謎の男の軌跡:2007/03/02(金) 17:39:43 ID:nkx00gZZ0
一発殴られ、吹っ飛ぶ謎の男。もう駄目かと思われたその時、空から何かが飛来し、ワームにダメージを与える。
「戦えって言ってるのか?」ゼクターの動きを察した俺。するとゼクターは、グリップに合体した。聞きたい事は山ほどあるが、今は戦うしかない。
久しぶりに、その叫びをあげる。
「ヘンジンッ!!」[HENSHIN]
414 :
謎の男の軌跡:2007/03/02(金) 17:44:49 ID:nkx00gZZ0
次回予告「赤き風」
その瞬間、俺の体は朱色の装甲に包まれた。
レッドドレイク・マスクドフォームが姿を現す。
「銃撃戦なら!」自慢の腕を見せ、ワームを倒していく。
しかしある日彼は、何を思ったかZECTに進入し…
415 :
謎の男の軌跡 第2話 「赤き風」:2007/03/03(土) 14:56:14 ID:/XFeJhjB0
死ぬ。
彼は、自分の死を悟った。
だが、神は彼を見捨てなかった。
[HENSHIN]
赤と朱色で彩られた装甲が、右腕から徐々に生成・構成を繰り返し、変身を完了させる。
レッドドレイク・マスクドフォームの誕生だ。
そのスーツは、どこか懐かしく想えた。Z・E・C・T…ゼクトと読むのだろうか。
何のマークかは解らなかったが、グリップにはそれが刻まれていた。しかしこれがなかなか動きにくい。
そこで、遠距離からの射撃でワームを追い詰める。この銃の性能は謎の男を満足させた。赤い光弾が、
トリガーを引くたびに2発3発と発射される。威力も高いようで、倒れこみひるむワーム。
彼はその隙を見逃さなかった。目にもとまらぬ速さで光弾を連射し、ワームの体は限界を向かえた。
蛹の姿をしたその怪物・ワームは、体に稲妻が走らせながら、断末魔の叫びと共に爆死した。
416 :
謎の男の軌跡 第2話 「赤き風」:2007/03/03(土) 15:01:05 ID:/XFeJhjB0
修正。 稲妻が走らせながら
↓
稲妻を走らせながら
417 :
謎の男の軌跡 第2話 「赤き風」:2007/03/03(土) 15:22:58 ID:/XFeJhjB0
…それからは、護身用にとグリップを常備する事にした。
どれだけ運が悪いのか、今までであの怪物に6回は会ってしまった。その度にグリップを使い変身し、倒す。
ただ気に入らないのが、やはりあのスーツは動きにくい。防御力・パワーに重点を置いたシステムの様だが、
かつてスピード重視で戦っていた俺には、扱いにくい物であった。当時俺が使っていたライダーシステムとは
明らかに形式が違う。だが変わったのは、それだけでは無い。敵のほうも全く未知の生命体なのである。
蛹のような見た目で、頑丈そうな外骨格を持っていた。ある程度ダメージを与えれば爆発する。
つまり、あいつらは「不死」では無いのだ。これであのライダーシステムに「封印」の機能が無いのも納得できる。
そして何日たったかも解らないが、この場所で過ごしていくうちに、俺は一つの結論に到達した。
「やはりそういうことか!」
………。俺は、どうやら俗に言う「並行世界」って所に迷い込んだらしい。
それも、怪物がうごめくメチャクチャな世界に。
――西暦は…2006年?
418 :
謎の男の軌跡 第2話 「赤き風」:2007/03/03(土) 15:48:00 ID:/XFeJhjB0
ならばと、グリップを手にとる。「じゃあ…これが対怪物用の兵器、この世界のライダーシステム。」
それだけ解れば―いや、正確には、それだけ推測できれば十分だ。後は、この世界からどうやって脱出するか。
――茂みから、音がした。
とっさに身構え、ワームの姿を確認。そして、グリップを天にかざし…叫ぶ!
「ヘンジンッ!」
レッドドレイクゼクターがグリップに合体し、眩い光と共に鎧を生成する。威嚇射撃をしようと銃をかざす。
しかし銃口の先には、見慣れた緑の怪物ではなく、異形の生物が立っていた。手を止める謎の男。
「な、なんだあれは!?」そう叫んだ瞬間、体に重い衝撃が走った。「ゴフッ…」相手の攻撃を喰らったらしい。
だが、姿は見えない。そして受身をとる暇もなく次の攻撃が彼を襲う。速い。
どれ位の時が流れたのだろう。そのまま倒れるレッドドレイク=謎の男。体中に激痛が走り、立つ事も出来ない。
苦しみの中、彼の目はようやく怪物の姿をとらえる事が出来た。ワーム成虫体の姿を…。
419 :
謎の男の軌跡 第2話 「赤き風」:2007/03/03(土) 16:09:39 ID:/XFeJhjB0
倒れている謎の男。ワームが彼を殺そうとするが、間一髪で青いゼクターに助けられる。雄々しき2本の角を持った、
ガタックゼクターに。「俺のほかにもライダーが!?」驚く謎の男。「大丈夫ですか!?」若い男が駆け寄ってきた。
「ドレイクに似てるけど…赤い?」俺を見て首をかしげる。襲い掛かるワームの攻撃をかわすと、彼はガタックゼクターを
手にした。――ベルト?その男の腰には、何かが巻かれていた。「変身!」[HENSHIN]
ガタックゼクターをベルトにインサート。すると青年はガタック・マスクドフォームに姿を変える。
両肩の砲門から光弾を発射し、ワームがひるむ。「今だ!」ガタックはゼクターに手をやる。
「いいですか?ゼクターを操作してください!マスクドライダーシステムには、二段変身の機能があるんです!」
ゼクター。マスクドライダーシステム。二段変身。聞いたことも無い言葉ばかりであったが、何をすればいいかは、
予測がついた。レッドドレイクゼクターを操作する。そして2つのゼクターから、[CAST OFF]という電子音声が
発声された。体に稲妻が走り、体を包んでいた重装甲が一気に弾け飛ぶ!
420 :
名無しより愛をこめて:2007/03/12(月) 00:02:16 ID:jTtZg/Rm0
それ
モモタロスの話。
予想以上に長くなっちまったので分けました。
様子見ながら一週間くらいかけて貼っていきます。
全四話で完結の予定です。
デンライナー食堂車。モモタロスとウラタロスは今日も元気に喧嘩していた。
もう既に相当殴りあったらしい二人の身体はボロボロで、お互いを睨みつけながら肩で息をしている。
両者の壮絶な睨みあいは、ハナの鉄拳で終わりを告げた。
「ぐっ!何だよ、暴力ハナクソ女ッ!!」
「何だじゃないわよ!全く毎度毎度、一般のお客様に迷惑でしょう!」
「今日は客は居ねえじゃねェか」
今日は食堂車に客の姿はなく、ナオミとハナ、喧嘩の当事者二人のみであった。
「何?あんたに、口答えする権利があると思ってるの?」
確かに、客が居ようが居まいが二人は喧嘩を始めるであろう。
しかし、非情な言葉の投げナイフに、文句のひとつも言いたくなる。
「はっ、大体、亀公だって悪いのに、叩かれるのは俺ばっかりじゃねえか。」
「そう、自分の事は棚上げするの。最低ね!」
「くあぁっ、それが乗務員の態度かよ!」
「あんたはお客じゃない。それに、そんなに嫌なら出ていけばいいじゃない」
「ぐ………」
どんな事をしたって、口ではハナが優勢である。
ハナは更に追い討ちをかけた。
「ほうら、言い返せないでしょう。イマジンの弱みね」
カッとなったモモタロスは、遂に言ってはならない事を口走ってしまった。
「言われなくったって出てってやるぜ、こんな電車!!」
――何時までそうしてるつもり?
「知るか。もう帰るかよ、あんな所」
――別に、僕はいいんだけどさ……
良太郎――…いや、モモタロスは、良太郎の自室で横になり、天井を見つめていた。
家出すると言っても、実体を持たないモモタロスが住める場所など、
デンライナーを除けば、皆無に等しい。
必然的に、良太郎の体の中しか選択肢がなかった訳で。
「暇だ、良太郎」
――……はいはい、そこの本棚の本、読んで良いよ。
主に『ミルク・ディッパー』店主、野上愛理の趣味である、星の本が本棚ひとつを占領している。
店内にも相当な本があったが、ここでさえ本が溢れかえっている。
「活字は嫌いだ」
――…絵本もあるから……それなんかどうかな。そう、その青い表紙の。僕が小さい頃、好きだったやつ。
モモタロスは指定された本を手に取った。
ぱっと見、絵本にしては文字数は多いが、読めない程ではない。
「『双子の星/宮沢賢治』か…熱い奴が主人公なんだろうな?」
――うーん、モモタロスの考えてるのとは、ちょっと違うかもね……
でもとっても良いお話だよ。
ふうん、と唸り、モモタロスはページをぱらりぱらり、めくり始めた。
意識を共有しているため、良太郎には彼の心の内が何となく分かってしまう。
モモタロスは分かっているのだ――自分が悪いのだと。
だからこそ、良太郎はあえて干渉せず、モモタロスが自分から言うのを待っている。
数日もすれば、帰る気にもなるであろう。
――…でもこの調子じゃ、日が暮れちゃうな……
良太郎の心配をよそに、モモタロスは絵本を黙々と読み耽っていた。
「良太郎、双子ってスゲエ良い奴らだな!!
蟹とカラスが喧嘩してもどっちも助けてやるなんてよ!!」
良太郎の与えた絵本は、モモタロスの琴線に少なからず触れたようだ。
モモタロスと言えば、蟹だのやれ、させ、だのぶつぶつ呟きながら、さっきからずっと号泣している。
予断だが、蟹ではなく『蠍』なのだが彼は漢字を解読できず、
挿絵のハサミの存在から蟹と判断したようだ。
この間相対したイマジンにも、少しばかり影響されたようだが。
――…き……気に入って貰えて嬉しいよ
多分、モモタロスは『喧嘩は駄目だ』と言う良太郎のメッセージには気付いていない。
もっと直接的な描写の物がよかったかな、でもそうしたら本当に幼稚園児向けになっちゃうよなあ――…
良太郎は、本日何十回めかの溜め息を漏らした。
「良ちゃーん、ご飯よー」
「やった、飯だ!」
階下で姉の呼ぶ声がする。モモタロスは、喜び勇んで絵本を乱暴に仕舞った。
――モモタロス、姉さんの前で僕のフリ…できるよね?
「!!……そうだった……」
良太郎の姉、愛里はモモタロスの存在を知らない。
姉を巻き込みたくない良太郎は、電王に関する事を何ひとつ伝えていないのだ。
前にもこんな事があったが、正直上手くいったとは思えなかった。
しかも今回は、成り済ます時間が前回と比べると、大分長い。
もし良太郎が良太郎でない、なんて事がバレたりすれば――…モモタロスはこの体から退去せねばならないだろう。
恐ろしさに身震いする。
モモタロスのそんな気持ちを、良太郎は敏感に感じ取ったようで。
――大丈夫、何かあったら早い段階で知らせるから。
不安は全く拭えなかったが、さ、行こう。と促す良太郎に従って、モモタロスは立ち上がり、
ドアノブに手をかけた。
つづく
GJ!!!
自分こういう話大好きです。
続き楽しみにしてます♪
これは非常に和んだ
GJ!
「あ、良ちゃん。座っていいわよ。もう少しだけ待っててね」
確かに良太郎の姉――野上愛理は美人であった。ウラタロスが力説するだけはある。
促されるままテーブルに着くと、モモタロスは眼下に広がる料理に目を見張った。
一人分にしては相当な量だ。
いや、それよりも特筆すべきは、そのメニューの方であろう。
驚いたことに、ドンブリのご飯の上にかき揚げが乗っている。普通は蕎麦であろうに。
その他にも、枅川のサラダに山椒とチーズが添えてあったりと、数々の不思議料理が食卓を彩っていた。
もしかしたら、良太郎のセンスは姉譲りなのかもしれない、とモモタロスは思った。
と、それにしても。
「旨そうだ」
料理に手をつけようとすると、早速良太郎から待ったがかかった。
――待たなきゃ駄目だよ。お行儀が悪い。
「ちぇ…何だよ、良いじゃねえか。目の前にあるのに待たないといけないなんて拷問だぜ」
「さ、良ちゃん、いただきますしましょうか」
愛理が席に着いた。二人は手を合わせる。
「「いただきます」」
漸く食べる事ができる。モモタロスは箸を手に取るや否や、豪快にかき揚げ丼を掻き込む。
「旨え!」
やはりと言うか何と言うか…――がっつくモモタロスに良太郎は苦笑した。
「まあ、良ちゃん今日はよく食べるのね!嬉しいわ、まだお代わりあるからどんどん食べてね」
――…まあ、姉さんも喜んでるし……いいか。
「あれ、良ちゃん……御箸の持ち方が変よ?」
首を傾げて、愛理が呟く。
二人にひやり、と戦慄が走った。
箸を二本揃えて、人差し指と親指で挟むようなスタイル――モモタロスはまるで、スプーンを持つように箸を持っていた。
――ッ、おい!良太郎何とかしろよ!
箸の持ち方は盲点であった。対策なんて全く用意していない。
――何とかって言ったって……その…人差し指と中指で…
――ああ、クソッ!口で説明されても分かるか!!
こんなところで計画がパアになってしまうのか。二人が覚悟したその時、
なんと、愛理はくすくす笑っている。やがて声すらたてて笑いだした。
「アハハッ、やだ良ちゃんったら。それ、『私、スプーンより重い物持った事がないの』っていう洒落でしょう!」
「あ、…うん……じ…実はそうなんだぁ」
ははは、と乾いた笑いを発する。二人はホッと胸を撫で下ろした。
「あ、でもわざわざ洒落を説明するのは野暮よね。ごめんなさい。」
――姉さんの素敵な勘違いに助けられた。
どうもこの家の住人は、ことごとく一般常識(特に芸術的センスが)から微妙にズレているようだ。モモタロスでさえそう思った。
とりわけ彼女のセンスは、良太郎に似ているのではない――良太郎すら越えている。
もし、あやまってモモタロスが良太郎でなく、愛里についたとしたら――どんな奇天烈な姿になったか知れない。
――良太郎、俺…お前でよかったのかもな……
人知れず呟くモモタロスであった。
窓を開けると、ビルの隙間を縫うように、月がでていた。何時もよりも朱い月。
夜風が吹き込むのも気にせず、モモタロスは月を見つめて、考え事をしていた。
今日は散々な日であった。毎日これが続くのか、と思うと溜息がでる。
もし、良太郎の機嫌を損ね、体から締めだされれば――モモタロスは今度こそ本当に居場所が無くなる。
いつかの誰かの様に、砂の味がする唇を噛み締めるのは嫌だ。それだけは避けたい。
そうならぬ為に、モモタロスはそれ以外の事は何でもしなくてはならなかった。
幸い、良太郎は、そう理不尽な要求はしてこない。
今回のミッションだって、理論的に考えれば当たり前の事なのである。
でも。
――俺は何をしているんだったっけ
危うく忘れかけていたが――…普通は…本当なら、良太郎の願いを叶えれば、過去に行くことができる筈なのに。
なのに、今のこの状況は何なのだろう。
まるで逆ではないのか。
イマジンのアイデンティティを問われる問題に、モモタロスは(足りない頭なりに)苦悶していた。
月を見つめて、ふと浮かんで来るのは、(僅かな期間ではあったが)懐かしき我が家(宿)――デンライナー。
デンライナーの中というのは、相当恵まれた環境であった事を嫌でも思い知らされる。
少なくともあそこでは、ある一定の(実際はパスポートの有無くらいだが)規律の上で自由であった。
今の様に、自由に個性を表現できなかった訳ではないし、要らぬ気遣いをすることもなかった。
確かにハナやウラタロスは嫌な奴らだが…――今の状況を鑑みるに、仮にそれらを差し引いてもお釣りが来る。
しかも、寝床と三食コーヒー付き――…
幸福数量計算の結果は明らかだった。
急に後悔の念に苛まれる。しかし、あんなタンカを切った手前、帰る事なんてできやしない。
頬杖を外す。何だか、伽藍堂な胸の中を隙間風が差し込むようで。
「良太郎」
呼べども返事がない。寝ているようだ。
「俺も寝るかな……」
窓を閉めた。風の音が遠ざかる。
モモタロスは、いつか自由を切望していた頃のように、夜遊びをしようなどとは到底思えなかった。
続きキタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
モモがカワイイw
家に居ると、より鬱屈した気持ちになるから、散歩に行こう――そう誘ったのは良太郎だった。
家に居ても、生産的な事は何ひとつするでもなし。
良太郎から借りた絵本(童話か、若しくは星の本ばかり)にも、ルービックキューブにも飽きた。
退屈していたモモタロスにとっては、またとない申し出であった。
近日、暖冬ゆえにコートもマフラーも要らない暖かさであったが、何もないとまだ肌寒い。
そして、今日は寒の戻りが激しく、特別風が強かった。
「っはあ、寒ィ。流石良太郎の姉ちゃんだな」
――後でお礼、言わなきゃね。
風は手足を叩きながら、そこここで音を立て、去ってゆく。
過保護な姉に半ば無理矢理持たされたジャンパーは重宝していた。
「しっかし、イマジンいねえとこうも暇だとはな。体がなまってしょうがねェ」
人っこ一人いない。平日の住宅街なんてこんなものだ。
――あ、猫だ
良太郎が言ったとおり、道の端に段ボールと一匹の猫。
モモタロスはそれらに近付いた。段ボールを覗き込む。
「お前ェ、不細工な面してやがるな」
ひひ、とモモタロスは猫を抱きあげた。
顔はくしゃりと潰れており、片目がヤニだらけ。明らかに飼い猫ではなさそうだ。
――尻尾が無いね、喧嘩か何かで失くしたのかな…
「ふうん、なかなか根性のある猫だな」
みィ、ふみゃァと返事をする様に鳴く猫。
「はは、何言ってんだよ、コイツ」
普段こんな体験をしないモモタロスは、とても嬉しそうに猫の腹を撫で回した。
ふ、と手を止め、モモタロスの視線は、濡れ跡でボロボロになった段ボール箱に注がれた。
「そうか、お前も家が無ェのか……」
ぽつりと呟き、小猫を自分のジャンパーの中に放り込んだ。
――モモタロス、どうするの。家じゃ飼えないよ。
「でも、放って置けるかよ」
モモタロスは、走り去るようにして、その場から離れた。
ハナは今朝からずっと苛々している。
さっきだって、挨拶をしても何も言わずにとびきりキツイ眼光を寄越したし、訳もなく食堂車を行ったり来たりしている。
彼女の纏う空気は何時もよりぴりぴりしていた。
――……あーあ、見ちゃいられないね。
ウラタロスは、本日六杯めのコーヒーを一口飲んで、ちらりとハナを盗み見た。
僕に助けを求めないなんて、強情なんだから…まあ性格から言って、彼女はとても言いそうに無いけどさ。
僕もこの雰囲気飽きてきたし、そろそろ助け船を出してもいいかもね。
よし、完全に意識を遮断してるわけではないみたいだな……
確認をしてから、空間に言葉を放り投げる。
「僕、居場所分かるよ」
「本当?」
早速反応が来た。いれぐい、という奴だ。
「また嘘じゃないでしょうね」
「ハナさんがデートしてくれるなら――…」
「ふざけないでよね、目玉潰すわよ」
冗談半分、本気半分で言ってみると、間髪をいれず解答を投げ付けられる。
口元は笑っているが、目は笑っていない。
――こいつはかなりキてるな……
今は大人しく従った方が無難かもしれない。ウラタロスは溜息をついた。
「…――しょうがないな……今回だけ特別だよ?」
家出したモモタロスの気持ちがほんの少し分かった気がした。
――…ま、だけど何時までも僕にばっかり、ハナさんの相手を背負わせられるのは嫌だからね。
折しも、今のハナの不機嫌さはクライマックスである。連れ戻すには絶好のタイミングだと思われた。
ハナが擬餌の友釣り漁だ。
覚悟しとけ、先輩――…にやりほくそ笑みながら、ウラタロスは意識を集中させた。
436 :
名無しより愛をこめて:2007/03/17(土) 23:52:02 ID:sGYtN3Gq0
5話でモモがやった乗っ取り返しだねw
――…こんなもんかな
「おう、ちょっと五月蝿ぇが前よりゃマシだろ」
駅のガード下。鉄が擦れあう喧騒の中に二人はいた。
彼らは、猫の第二の居住地にここを選んだのだ。
店も多く、食料には事欠かないだろう。
飼う訳にはいかないので、せめて…と良太郎は自分の青いハンカチを猫に与えた。
新しい段ボールの中の猫は、ハンカチを引っ張り遊んでいる。
その微笑ましい光景に、微かな既視感を覚えた。
前だって、こんな――…
そうだ、良太郎のハンカチだ。
そういえば、良太郎は何時もこんな風に人を幸せにしてきたのではなかったか。
もし、それが単なるその場限りの同情なら、彼らはまた同じ過ちを繰り返す事だろう。
しかし彼らは――彼らが一番必要な、自立する心を取り戻した。
もう彼らは生きてゆける。
ささやかな幸せの為の、未来への分岐点。
それが特異点――良太郎なのだ。
傍から見れば、ただのお節介にも見えるが……それは確実に彼らを未来に導いていたに違いない。
「つくづく、変な野郎だ」
――ん?なあに、モモタロス
「いいや、何も」
猫の頭を撫でながら、モモタロスは寒い風とは裏腹に
なにか温かいものが広がるのを感じた。
プァン、という音が微かに響く。
駅のほうからかもしれないが、それにしては妙に聞き慣れた音だ。
モモタロスは不吉な予感がして、振り返った。
つい、げ、という声が漏れる。
「ハナクソ女…!」 ――…ハナさん!
ハナであった。
ハナはつかつかとブーツを鳴らし接近してきた。
そして、目の前で立ち止まったかと思えば、挨拶がわりと言わんばかりの右ストレート。
小気味よい音をたて、渾身の一撃が見事に決まった。
出会った頃より、格段にキレが増した気がする。モモタロスにとっては迷惑極まりない話であるが。
「ぐっ…!……何だよ、ハナクソ女……!!」
慌てて、さらに繰り出される拳を両手で封じる。
すると、無防備な横腹に強烈なキックを叩き込まれた。
たまらず、膝と片手をついた。すぐに起き上がる事ができない。
――…痛い……
「何すん…だ、……テメエッ…良…太郎の……体だぞ……」
「それはこっちの台詞よ!よりにもよって死のうとするなんて!!正気!?」
胸倉を掴まれ、耳元で叫ばれるので、耳の奥がきん、と痺れた。
「はあ?」 ――…へ?
「あれは……確かに私もちょっと言い過ぎたって思ってるけど、何も死ぬ事――…」
更にぎりぎり締め上げようとするハナ。
「ち、ちょっとまて。誰が死ぬって!?」
「誰って――…あんた達が」
「良太郎が死ねば、俺も死ぬだろうが」
「だから!あんたが良太郎を道連れに――…」
「するか!!いつ俺がそう言ったんだよ!」
「だってウラが………あっ」
ハナはやっと認識したようだった。
ハナは、先程のウラタロスとの会話を思い返した。
――…あ、橋かな……いや、駅のガード下に居るみたいだ。
――えっ…でも、どうしてそんなところに?
――さあ………身投げでもするんじゃないの?
だから、ハナは血相をかえて飛んで来たのだ。
あいつか。あいつの要らぬ情報に、またもや踊らされた。
思いだすだけで腹が立つ。
「〜〜ッ、あんの嘘つき亀ぇっ!!」
意図せず振り上げた拳はアッパーカットと化し、良太郎に襲い掛かった。
それは顎に綺麗にヒットし、二人に悲鳴を上げさせる余裕さえ与えない。
「あ…ああっ、良太郎……ごめ…」
ハナは謝るものの、良太郎は気を失い、返事が返って来ない。
良太郎の運の悪さは、たとえモモタロスがついたところで、ちっとも代わり映えしないのであった。
彼の幸運の星は、まだまだ先のようだ。
あのあと、モモタロスは謝罪、和解を経て、漸くデンライナーに搭乗を果たした。
良太郎は、モモタロスを匿っていた事が解決の遅延を招いて悪かった、と詫びたし、
ウラタロスはハナに、ハナは良太郎に殴った事を詫びた。
みんな謝る事があって、少し可笑しかった。
「いやあ、楽しかったよ。ここじゃあ釣りネタには困る事はないね」
一部始終を見物していたウラタロスは、まだ彼を肴にクスクス笑っている。
「しっかしやり過ぎだぞ、良太郎まで怪我させちまいやがる」
「いいよ、別に。あれ位きついお灸を据えてもらった方が、モモタロスの為だし」
良太郎は、さらり、と言ってのけた。
彼は、正直彼ひとりではモモタロスを連れ戻すのは困難だと思っていたのだ。
しかし、二人が絡むと、これだけ早く話が収束するとは。
良太郎は二人の行動力と影響力に、素直に驚嘆した。
「でも、最後のアレはちょっと効いたかな……」
良太郎は気を失う程の鋭いアッパーを思い出し、苦笑する。
「それに、僕だって殴られたんだぜ。痛み分けだよ」
「へっ、良い気味だ」
「ありがとう、ウラタロス。モモタロスが謝るきっかけ作ってくれてさ」
良太郎はにっこり笑って言った。
ウラタロスは、少し意外そうな顔をしたが、またすぐ普段の笑みに戻った。
「良太郎が言うなら…そうゆう事にしとこうかな」
「チッ、嘘に決まってら」
「さあね、釣られる間抜けは、針なんざ見えてない」
「んだとコラ!」
「やめなよ、二人とも。折角帰ってきたのに」
ウラタロスと軽口を叩きあい、それを良太郎とハナが止める。
傍らにはナオミのコーヒー。
たまには気に食わないこともあれど、こう言うのも悪くない。
モモタロスは、いつもの日常がある幸せを噛み締めた。
おしまい
いい話でした。お疲れ様!
もしネタが浮かんだらまた書いてくださいね〜
昨日「ヴァン・ヘルシング」見てて思いついた『世界中に蔓延る怪物や魔化魍と戦いながら
旅をする鬼』っていうファンタジーでバイオなライダーと、攻殻見てて思いついた『ある組織
に改造されるも脳改造寸前に脱出し、情報操作で警察から追われる身になったサイボーグ』
っていうSFでメカニックなライダー。どっちがいい?
>>442 個人的には後者が好きかも
442の活躍に期待
>>世界中に蔓延る(ry
誰かが書くとしたら
ライダーはバイオライダー
でいいんじゃないいかな
雑談でもしながら神を待とうや。
職人さんも何か思いつくかもだし。
イマジンとかかなり個性的なの多いから、オリジナルの話とか来そうな余寒。
それが良い奴で、でも悪役の振りして倒されたりとかしたら泣く。
え〜と、ちょっとSS投下してみようと思うんですがいいですか?
一回の話が短めですが一応ライダー共闘SSです。
では投下させていただきます
プロローグ
空は紫がかっていた。
もうすぐ夜が明ける…それを告げるかのように次第にその明るさを増してゆく。
その場所に人影は無い。
あるのは荒涼たる廃墟、そして虚しさ。
無造作に山積みされたスクラップが、まるで何かのオブジェのように見える。
「それ」はそこにあった。
いつから存在していたのか。
何故存在しているのか。
金属的に輝く脳のような「それ」が強く輝いた。
スクラップの山が「それ」に集まる。
フェンス。
鉄パイプ。
折れ曲がった鉄塔。
かつて自転車だったもの。
人によってつくられ、人によって処分されたモノを「それ」は身に纏って行く。
スクラップを纏った「それ」は次第に形を変えてゆく。
腕、脚、そして頭を作っていった。
やがて完成されたその姿はあまりにまがまがしいものだった。
朝日が昇り、陽光が射す。周囲に散乱するガラスの破片に反射しミラーボールのように光を撒き散らす。
まるで「それ」の誕生を祝福するかのように。
そして「それ」は産声とも聞こえる雄叫びをあげた。
ACT.1
『1・2・3、ライダーキック』
「どおりゃぁあ!!」
懇親の力を込めて放った右足は、ワームを完全に捕らえていた。
爆音と共にワームは爆砕され、後には緑色の炎だけが残っていた。
「一体なんだって言うんだ。何故こんなにワームが…」
『ガタック』の変身を解除し『加賀美新』は疑問を呟く。
ここ最近ワームの数が異常に増えているのだ。
何が発端なのかは見当がつく。
一週間前に「渋谷遺跡」で観測された謎のエネルギー反応だろう。
7年前に隕石が落ちた場所は今は遺跡…廃墟と化し今は何も無いはずだ。一体ここで何があったのか…。
「…!?」
咄嗟に殺気を感じた。無意識に回避行動に移っていたのは、ガタックとして戦いをこなしてきた賜物だ。
案の定、さっきまで加賀美がいた場所には一見して五寸釘にも見える針が突き刺さっていた。
針の刺さり方から、相手がどこにいるのかは見当がついた。
空だ。
見上げた先には蜂のようなフォルムをした『何か』がいた。一見してワームのようにも見える。だがそれはワームとは違うものであることを、加賀美は感じとっていた。
「くっ、変身!」
空間が裂け、蒼いクワガタが飛来した。加賀美はそれを掴み、ベルトのバックルにセットする。
一瞬。
まばゆい閃光を放ち、加賀美の姿は『仮面ライダーガタック』にかわっていた
「相手が何であろうと…人を脅かす存在なら、俺は倒す!!」
加賀美の叫びに答えるようにその『何か』は呟く。
「…ゲゲル、ザヂニ(ゲーム、開始)…」
すいません、一回の話が短いのでちょっとずつ投下していきます。
一応次はACT.2です
451 :
対カッシスのそのあと:2007/03/24(土) 15:10:34 ID:rgDN6/SyO
保守がてら、地獄兄弟投下。
「準備運動は…できたな」
矢車はくわえて間もないハコベを投げ捨て、カッシスワームの巻き起こした火の粉を踏み潰した。
歩道橋の下では、一斉に集まったワームどもがひしめきあっていて、さながら緑の海が眼前に展開していた。
集まり、うごめく怪物たち。時折、飢えた、彼ら特有の声があちこちで響く。
「弔い合戦か…似合わない事してるのかなあ、俺達」
「勘違いするな。可愛い弟の、最期の望みを叶えてやるだけだ」
いつもの仏頂面で矢車は答えた。
相変わらずの矢車に、影山は嬉しそうににっこり微笑んだ。
影山は、引きちぎった鎖の欠片を拳に忍ばせ、握りしめた。
パン、と強度を確かめるように、左手に自らの武器を叩き込む。
……――もう一度光を求めてみるか
それを聞いた時、影山は本当に嬉しかったのだ。
昔、兄弟は共に、同じ力の資格者であった。
部下に裏切られた時、矢車はどんなに悲しかったのだろう。どんなに孤独だったのだろう。
どんなに――…どんなに絶望したのだろう。
矢車はその時の事を話したがらない。また、影山もそれを強いることはない。
故に、空白の数カ月間に、元上司を闇の住人に変貌させる何かがあったはずなのだが、影山はそれを知らない。
「…そうだね、兄貴」
矢車の事、自分が同じ道を辿って、漸く理解できた気がする。少し、遅過ぎたけれど。
もしかしたら、俺はその時間の埋め合わせの為に闘っているのかもしれないな。影山はふと、そう思った。
いや、闘う理由なんて最初から決まってる。
――…俺は、どんな事があったって、兄貴に着いていくと、決めたのだから。
影山は、俯く矢車の端正な横顔を見つめながら思い出していた。
以前、矢車が、醜い根性の影山を叱り飛ばした事があった。
あの時…過去の栄光に縋った影山は、ザビーを求めた。
どうしようもなく力が欲しかった。今でも愚かだったと思っている。
だけれど――…自分の正義に嘘を吐かなかった事だけは、誇る事ができる。
今だってそうなんだろ、兄貴。
あの時の、俺と同じだ。
口はぶっきらぼうだけど、正義感が溢れててしょうがない、って顔だぜ。
昔の様に、他人の事ばっかり考えてて
昔の様に、自信に満ち溢れていて
昔の様に、正義の塊みたいな兄貴は――やっぱり最高に格好良い。
矢車は立ち上がり、黙祷を捧げた。
影山もそれに倣う。
目を開け、顔を上げると、さっきの立ち位置のままの矢車の横顔。
「ざっと数千か。やり甲斐がある」
矢車はにやり笑って、体ごと彼らを見遣る。彼の目がたちまち鋭く光る。獲物を淡々と見据える戦士の瞳。
そこには、ZECT・シャドウ精鋭部隊隊長――…矢車想がいた。
いや、最早あの時よりも、矢車の瞳は黒く、深く光っており、彼の言葉を借りれば――闇を見た人間独特の、強い色彩を放っていた。
影山は考えを改めよう、と思った。
今の、兄貴をしてる兄貴が、一番格好良いな。
見てるか、剣。
俺たち、幸せだったよな。
こんなに格好良い兄貴が、俺らの兄貴でさ。
風が音を起てて、顔を、手足をなぶってゆく。
破片を握る拳が、微かに震えた。
ふたつのゼクターは、もう既に二人の手の中。
「さあ、地獄が待ってる――行くか」
「うん」
「変身」「変身」
『『HENSHIN』』
二人のホッパーは闇を背にして――…群衆へと一歩、踏み出した。
sage忘れスマソ
あと改行エラーで随分遅くなったり、長さが中途半端だったりしててごめん。