>591の続き
「夏実ちゃん、何するの?・・・痛いよ!!」
ボウフラ女は舌にあるセンサーで沙由の血液を調べる。
「合格。沙由ちゃん、おめでとう。あなたは私たちグロンの仲間入りよ。」
「え?・・・」
手を沙由の後ろに回し、足で抱きつく。
「ひい・・・いやーー!!」
沙由は暴れるがその力に叶う筈もなく、ボウフラ女はもう二本の足で下がっていく。
「おい、夏実!!沙由を返せよ!!」
わかった。夏実じゃない。少なくとも友達だった頃の夏実ではない。
「あは!!秀司君・・・死んで」
「え?」
どこからか触手が伸びてきて、バットをへし折る。さらにそのまま秀司の首を締め上げる。
「その子はグロンのボウフラ女・・・もう夏実なんかじゃないわよ。」
秀司の目には毒毛虫女とミミズ男が立っていた。触手はミミズから伸びてるようだった。
「ぐ・・・もう?」
「夏実は改造されたの・・・だから栄誉ある怪人なのよ〜。」
「沙由を放せ!!夏実を・・・元に戻せ・・・」
息ができない。意識も薄れてきた。
「そろそろ殺してあげよう・・・」
秀司の首を絞める力がより強くなり、体も浮かせられる。
「あ・・・う・・・」
「ハハハハ!!死ね、死ね〜!!」
突如閃光が輝く。その時、ミミズ男の触手は半分切れていた。
「俺様の・・・俺様の腕があぁ!!」
「まさかデリーター?」
しかし現われたのは刀を持った少年だった、
「何者!?」
こんな時代に。あんな刀を持った高校生などいやしない。
「僕は・・・真田輝斗。」
腕にあるピースチェンジャーのスイッチを押す。
「貴様達を・・・倒すものだ!!(決まった!!)」
一陣の風と共に分子レベルにされていた鎧が再構築され、輝斗の体を包んだ。
「デリーターじゃない?。」
あんなものは聞いていない。体の色は紅色をしている。
「風神流れて生命を護る。火神降りて悪を斬る。幻鋼戦士キラード!!」
秀司は薄れかかった意識を保ちながら、キラードの姿を見ていた。
「ボウフラ女、その子を放すんだ!!。」
「いや・・・この子は改造して、グロンの一員になって、一緒に人間をいっぱい食べるの!!」
沙由を握る力が急激に強くなる。
「あう・・・」
沙由はあまりの恐怖と激痛に声も出ない。親友がこんな姿になって動揺も隠せない。
「夏・・・実ちゃん・・・やめ・・・」
「う・・・沙由ちゃん・・・」
洗脳が解けかかっている。毒毛虫女はその事に気付いた。
「ボウフラ女、その子を放しな。その子はお前の災いになる」
「はい・・・」
沙由は解放され、秀司の方へ走っていく。いつの間にか2人は消えていて、ミミズ男だけが残っていた。
「貴様・・・俺様の腕をよくも・・・」