「この戦い、ゴルゴムの仕業か?・・・いや、そんなはずはないか」
南光太郎はいつもの癖で口にした言葉を、即座に否定した。
なぜなら、ゴルゴムはつい先日、彼が滅ぼしたばかりなのだから。
(だが誰であろうと、こんな馬鹿げた殺し合いを許すわけにはいかない・・・
もう、俺と信彦のような悲劇を繰り返させるものか・・・!)
秘密結社ゴルゴムを倒し、人類に平和を取り戻した光太郎。
だがその戦いで、彼は全てを失った。人生の全てを狂わされた。
生みの親と育ての親を殺され、改造人間にされたことで人としての幸せを絶たれ、
そして、救うべき親友をその手にかけ。自分を支えてくれた少女達とも、もう逢う事もないだろう。
運命と呼ぶには過酷過ぎるその境遇に、彼の心は打ちひしがれていた。
そう、些細なきっかけで脆く壊れてしまうほどに。
(あの連中、人間を何だと思っているんだ・・・何様のつもりだ!!
罪なき人々の運命を弄んで・・・許さん・・・絶対に許さん・・・!!)
彼の理不尽な悪に対する憎悪の念は、もはや計り知れないものとなっていた。
そしてその異常すぎるほどの悪への怒りは、彼を狂気の道へといざなうことになる。
(このふざけたゲームを叩き潰してやる!!
そしてあの神崎士郎とかいう奴の一味を倒す!!どんな手を使っても・・・
そう・・・例えこのゲームの参加者を全滅させることになってもな・・・!!)
この状況で正気を保つには、今の光太郎はあまりに精神的に消耗しすぎていた。
彼がここに召喚された時間が、ゴルゴムの戦いの最中だったならば、
あるいはクライシス帝国との戦いの最中・・・いや、せめて佐原一家と出あいその心の傷を少しでも癒した後だったならば、
彼の決断は違ったものになったかもしれない。しかし。
(もう俺達のような、親しい者同士で殺し合うような悲劇を起こさせはしない・・・
どんな犠牲を払っても、どれだけこの手が血塗られようとも、絶対に・・・!!)
彼は決断した。矛盾だらけの、狂った決断を。
「いくぞ・・・悪に生きる道などないということを思い知らせてやる・・・!」
本来ならばクライシス帝国との戦いで口にした言葉を、一人静かに呟く。
だが、そこには確かな狂気が感じられた。
ゲームが始まってまだ30分足らず。
空からは穏やかな太陽の光が降り注いでいた。
【南光太郎@仮面ライダーBLACK】
[状態]:健康。このゲーム及び主催者への強い憎悪。
[装備]:なし
[道具]:荷物一式(支給品不明)
[思考]:打倒主催。そのためならば参加者の全滅すらも辞さない。
【現在位置:E-4 高層ビル屋上】