ゾフィーの日記
xxxx年YY月ZZ日
今朝の会議で新しいカプセル怪獣を作ろうと言う計画が持ち上がった。責任者は私だ。
こう言う事もあろうかと前から目星を付けておいた星がある。生態系は複雑だが、
まだ知的生命体は現れていない。
xxxx年YY月ZA日
早速怪獣のDNAを作り上げ、目標の星に送り込んだ。あの星系の恒星からは生物を変異させる
特異な放射線が出ているらしい。ひょっとしたら、意外な掘り出し物が現れるかも知れない。
そうなれば私の将来は万々歳だ。
xxxx年YY月ZB日
怪獣達は順調に進化している。あの特異な放射線のせいか、周囲の生物を取り込んで
自分を進化させる能力を身につけた模様。これならいかなる環境でもウルトラ戦士の
手助けになるだろう。
xxxx年YY月ZC日
なんてこった! あの星には知的生命体が住んでいた! 特殊なエネルギー生命体で私の探知能力
も及ばなかったらしい。しかし、すでに怪獣達は生命体の都市に雪崩れ込んだ。これはまずい。
しかも、あの生命体は恒星からの放射線を浴びなければ肉体を維持できないのだ。新しい星に彼らを
れんこ……導く事も出来ない。
xxxx年YY月ZD日
あれから夜も眠れない。かと言って私が出向けばその内この事件が明るみに出るかもしれない。
どうしたものかと軌道上から眺めていたら、私の知らないウルトラマンが戦っているではないか!
全身銀色で、肩から翼のようなものが突き出ている。しかも強いぞ。
xxxx年YY月ZE日
私の知らないウルトラマンは怪獣を全て撃退し、休眠状態に入ったらしい。証拠が全て消えた(同時に
計画もパーになった)のはありがたい。しかも、知的生命体は怪獣達が自然発生したと結論付けたようだ。
これでどうやら私のミスが露呈する事もなさそうだ。
xxxx年YY月ZT日
久しぶりに様子を見に行ったら、なんと例の星系が消滅していた。あちこちで聞き込みをしたところ、あの星を
狙っていたバド星人から情報を入手する。なんでも、あの知的生命体は怪獣が再び現れた時に備えて自分達で
ウルトラマンを作った(身の程を知らない連中だ)そうだが、そいつに埋め込まれた自己進化プログラムが暴走
し、自身を強くするために怪獣どもを蘇生し、増殖強化させてしまったらしい。
結局、知的生命体は惑星を爆破し、その連鎖反応で恒星も超新星爆発を起こし、星系そのものが吹っ飛んでしま
ったとの事。
完璧に証拠が消えたのはありがたい。しかし、胸騒ぎがするのは気のせいだろうか。